みく「みくは猫だよ!」 (68)

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寺生まれのPさんとか、ふじともとか、微妙にイカレた茄子さんとか、神社生まれの歌鈴ちゃんとか、神様ちひろとか出ます

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歌鈴「はぁ!!!」

歌鈴「……どうでしょうか?」

ちひろ「んー……涼しい風くらいですねー」

歌鈴「う……まだ、ぜんぜんですか……」

歌鈴「うーん……どうやったらお兄さんみたいにできるんでしょう……」

朋「おはようございまーす」

朋「……あら、二人で何してるの?」

歌鈴「あ、朋ちゃん!」

歌鈴「おはようございますっ!」

歌鈴「今、ちひろさんに修行に付き合ってもらってたんです!」

朋「修行?」

ちひろ「はい、修行です♪」

歌鈴「今、お兄さんにいろいろ教わってるんです」

歌鈴「『破ぁ!!!』ってやつとか」

朋「なんでまたそんな……」

歌鈴「みなさんに、私を助けてもらいましたから」

歌鈴「私も、いざというとき皆さんを守れるようにって!」

朋「歌鈴ちゃん……」

ちひろ「すばらしい考えですよね」

朋「そうだけど、あんたが言うとなんか台無しよ」

ちひろ「あら」

歌鈴「……でも、まだぜんぜんなんですよね」

歌鈴「一応ちょっとはできるんですけど……」

朋「……だから修行してるのね」

歌鈴「はい、ちひろさんに手伝ってもらって……」

歌鈴「……あの、ちひろさん、ありがとうございます!」

ちひろ「いえいえ、危険なんてぜんぜんないので大丈夫ですよ」

朋「……またどっかに飛ばされたりするんじゃないの?」

ちひろ「この程度で飛ばされるわけないじゃないですか」

朋「すっごい馬鹿にされてるわよ、歌鈴ちゃん」

歌鈴「……でも、事実ですから」

歌鈴「……」

朋「……」

朋「まあ……あいつもたくさん修行してできるようになったって言ってたし」

朋「いつか歌鈴ちゃんもできる日が来るわよ」

歌鈴「……ありがとうございます、朋ちゃん」

朋「いえいえ」

モバP「おはよう」

朋「あ、おはよ」

歌鈴「おはようございますっ!」

ちひろ「おはようございます……あら?」

ちひろ「プロデューサーさん、その手に持ってるのは?」

モバP「猫だ」

朋「いや、それはわかるわよ」

歌鈴「……あの」

歌鈴「その猫すごい暴れてるみたいですけど……」

モバP「そうだな」

モバP「手やら何やら引っかかれて大変だ、まったく」

朋「じゃあ持ってこなきゃいいのに」

モバP「いや、いい練習台になるからな」

朋「練習台?」

モバP「ああ、歌鈴のな」

歌鈴「私の……」

朋「……あ、もしかしてそれ妖怪?」

モバP「そう、猫の妖怪だ」

ちひろ「あれ、気づいてなかったんですか?」

朋「いや、普通気づかないわよ」

モバP「さすがにちひろ相手だと上達もわかりづらいだろうしな」

モバP「そんなに強くもない妖怪を連れて――」

モバP「――あ、いてっ!」

朋「雑魚っていわれて怒って暴れてるわね」

ちひろ「それでもプロデューサーさんから離れられないあたり、本当にそんなに強くないみたいですね」

モバP「……まあ人に化ける以外はただの獣みたいなもんだからな」

歌鈴「人に化けるんですか?」

モバP「ああ、俺に近寄ってきたときもそうだった」

モバP「人の姿で人間に近寄り、油断させたところを捕食する妖怪だ」

朋「自分から近寄ってきたんだ……」

ちひろ「自殺志願者でしょうか?」

モバP「いてっ!」

モバP「くそ……手放すほど痛くないとはいえ、このままだと引っかき傷が増える一方だな……」

モバP「……歌鈴」

歌鈴「はい?」

モバP「今こそ練習の成果を出す時だ」

歌鈴「練習の……」

歌鈴「でも、私まだぜんぜん――」

モバP「それは相手がちひろだからだ」

モバP「もうちょっと下級の妖怪だったら結果は変わるはずだ」

歌鈴「……」

モバP「……頼む、歌鈴」

モバP「早くしないと俺がボロボロになる」

歌鈴「……わかりました」

歌鈴「すぅ……」

歌鈴「はぁ!!!」

朋(……あいつのよりは弱いやつだけど)

朋(たしかに歌鈴ちゃんの手から光が出て)

朋(あいつの持つ猫を包んだ……)

朋(……これが、修行の成果なら)

朋(歌鈴ちゃんに短期間の修行で技を使えさせるようにする)

朋(寺生まれってすごい)

朋(あたしは改めてそう思った)

朋(……)

朋(……で)

朋(猫を包んでいた光は、だんだんと大きくなり)

朋(一際強く輝いたかと思うと、ゆっくりと消えてく)

朋(……その後)

朋(プロデューサーの手には……)

朋(……)

朋(……あたしたちと同じくらいの女の子が残ってるんだけど)

??「うぅ……なんにゃぁ……」

歌鈴「……はれ?」

歌鈴「あ、あれ……!?」

歌鈴「えっ、何で……?」

??「眩しくて……」ゴシゴシ

??「……んぅ」パチッ

??「……あれ?」

歌鈴「あの、お兄さん……どういうことでしょう?」

モバP「……」

??「わっ、なんでみく人間の姿になってるの……!?」

??「なるつもりなかったのに……んー?」

ちひろ「言葉を聴く限り、さっきの猫と同じ子みたいですね」

モバP「みたいだな……俺もずっとつかんで話さなかったし」

??「とりあえずまた戻らないと……んー!」

??「……」

??「……あれ、戻らないにゃあ」

朋「しかも、猫に戻れないみたいよ?」

ちひろ「そうみたいですね」

歌鈴「……私のせいでしょうか?」

モバP「……おそらくだが」

モバP「歌鈴の力がまだ未熟だったから一部分だけが消えたんだろう」

朋「それが、この子の猫の部分ってこと?」

モバP「おそらく……多分……」

ちひろ「随分曖昧ですね」

モバP「いや、本当に……前例が無いからな」

モバP「おそらくという形でしか答えられない」

モバP「……仮に一部分だけ消えるとしても、人に化ける力の方が消えて普通の猫だけが残

るはずなんだが」

モバP「今回はこうして人の部分だけが残った」

モバP「……っていうとこがよくわからん」

朋「わからん、って……」

モバP「わかんないものはわかんないんだ、すまん」

朋「……」

??「ちょっとちょっと!」

??「みくをおいて話をしないでほしいにゃぁ!」

歌鈴「あ、ごめんなさい」

??「ほんとにゃあ!」

??「キミのせいでみく、元に戻れなくなったみたいだし!」

歌鈴「あうぅ……ごめんなさい……」

??「まったく……」

歌鈴「うぅ……」

歌鈴「お、お兄さん、どうしましょう……?」

モバP「……」

歌鈴「も、もう一回やったらできるでしょうか……?」

ちひろ「歌鈴ちゃん、さっきも『破ぁ!!!』ってやってましたし、もう疲れてるんじゃないですか?」

歌鈴「う……確かに、ちょっと疲れてますけど……」

モバP「……こうなったのはそれも原因かもしれないな」

モバP「まあ仕方ない、後は俺がやろう」

??「え、何を?」

??「……もしかして、さっきの?」

??「えっと……さっき猫に戻れなくなったからー」

??「今度は人に戻れなくなってー……」

??「あれ、みくは?」

ちひろ「消えちゃいますね」

??「……」

??「……」

??「ええっ!?」

??「ちょ、ちょっと、ちょっと待つにゃぁ!」

??「え、みく死ぬの? 死んじゃうの!?」

??「なんで!? なんで殺すの!?」

モバP「人に害をもたらしたからな」

??「だって、人間ってみくの餌だもん!」

??「餌を食べて何が悪いのにゃぁ!」

モバP「餌にとってはたまったもんじゃないからな」

モバP「それじゃ――」

??「ストップ、ストップ、ストーップ!」

??「待って、殺さないで!」

モバP「――」

??「……わかった!」

??「もうみく人間食べない、人間食べないから!」

??「ほら、両の手を差し出した服従のポーズ!」

モバP「――」

??「お願い、許してにゃぁ!」

??「何でもするから!」

歌鈴「……その」

歌鈴「うまくできなかった私が言うのも、ダメかも知れないですけど……」

歌鈴「ちょっと、可哀想になってきちゃいました……」

歌鈴「この子がこうなっちゃったのは私のせいですし……」

モバP「……」

モバP「だが、ほうっておくとまた人間に被害が出るからな」

モバP「可哀想かもしれないが……」

歌鈴「う……そうですよね……」

??「もう絶対人間食べないから!」

??「信じて、ほら、この純粋な目を!」

朋「そう言われると信用できなくなるわよね」

??「えぇ……」

??「じゃ、じゃあ、もう目は信用しなくていいから!」

??「みくを信じて! みくを!」

歌鈴「……」

モバP「……」

朋「……あたしも可哀想だとは思うんけど」

朋「でも……この子餌っていうくらいだからいっぱい人間食べてきただろうし……」

??「だから、もうしないってば!」

??「それに、今みく、人間の姿だから簡単に襲えないし!」

??「だから、殺さないで!」

朋「……」

歌鈴「……」

モバP「……」

ちひろ「……ふふ」

ちひろ「なら、私にいい考えがありますよ♪」

ちひろ「その子……えっと、多分みくちゃんですよね?」

ちひろ「みくちゃんは消されないですむし、人間を二度と食べさせない方法があります」

歌鈴「えっ、本当ですか!?」

ちひろ「はい、本当です♪」

朋「……どんな方法?」

ちひろ「簡単ですよ」

ちひろ「みくちゃんをこの事務所で飼えばいいんです♪」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


茄子「おはようございま――」

茄子「――」

朋「あ、おはよ、茄子さん」

歌鈴「おはようございますっ!」

茄子「――あの」

茄子「あそこで、鎖につながれてるのは……?」

ちひろ「新しく事務所で飼うことになったみくちゃんです♪」

みく「……みくにゃあ」

ちひろ「あれ、元気ないですよ、みくちゃん?」

みく「……」

みく「……そりゃ」

みく「そりゃ元気も無くなるにゃあ!」

みく「なんで!?」

みく「なんでみく首輪につながれてるの!?」

ちひろ「だって事務所で飼うんだから、逃げないようにしないとじゃないですか」

ちひろ「つながれてる間は消したりはしませんし」

みく「うぅ、そうだけど……そうだけど!」

茄子「……あのー」

茄子「いまいち状況がつかめないんですけど……」

朋「ああ、えっとね――」

朋「――ということがあったの」

茄子「なるほど……」

茄子「つまり、みくちゃんに『破ぁ!!!』ってやらない代わりに、この事務所でペットにするってことですね」

朋「そういうことね」

茄子「……」

茄子「私、絶句するほど驚いたの初めてかもしれません」

朋「まあ、事務所入ってあれを見て驚かない人はいないでしょ」

歌鈴「まだ来てませんけど、芳乃ちゃんも聖ちゃんも驚くと思いますし……」

茄子「驚くでしょうね……」

茄子「今日は面白いことがありそうだと思ったから早く来たんですけど……まさかこんなことになってるとは……」

茄子「ふふっ、運がいいですね♪」

歌鈴「いいんでしょうか……?」

みく「……むー」

茄子「みくちゃん、私は茄子って言います」

茄子「よろしくお願いします♪」

みく「……よろしく」

茄子「あら、不機嫌そうですね?」

みく「そりゃ不機嫌にもなるにゃあ」

みく「餌にペットにされるなんて……屈辱にゃあ……!」

茄子「餌じゃなくて茄子ですよー♪」

みく「みくに取っては人間は等しく餌にゃあ」

茄子「茄子ですよー♪」

みく「だから……」

茄子「茄子ですよー♪」

みく「……」

茄子「茄子ですよー♪」

みく「……なんなのにゃ、こいつは」

朋「多分、名前を呼ばない限り延々と言われるわよ」

朋「ちなみにあたしは朋ね」

歌鈴「あ、じゃあ私も私もっ!」

歌鈴「えっと、歌鈴ですっ!」

みく「……」

茄子「茄子ですよー♪」

みく「あーもう、わかったにゃ」

みく「茄子チャン……これでいいでしょ?」

茄子「うふふっ」

みく「それに朋チャンと歌鈴チャン」

朋「あ、私たちも呼んでくれるのね」

みく「さっきみたいに延々と言われたら面倒だもん」

朋「いや、あんなのやるのは茄子さんだけよ」

茄子「あら、そうでしょうか?」

茄子「芳乃ちゃんもやると思いますけど」

朋「……やりそうね」

みく「うげ、またやられるの……?」

歌鈴「ちゃんと名前で呼んであげればいいんですっ!」

みく「……まあ、面倒は避けたいし」

みく「みくが人間の名前を覚えて呼ぶなんて初めてなんだからね!」

歌鈴「そうなんですか?」

みく「当たり前にゃぁ!」

みく「歌鈴チャンたちだって、食べるものの名前をいちいち覚えてないでしょ?」

歌鈴「えっと……シャケとか、マグロとか……?」

みく「そういうのはみくにとっての人間と変わらないにゃぁ」

みく「そうじゃなくて……たとえば、3つシャケを手に入れたとして、それぞれのシャケの名前を知らないでしょ?」

朋「……まあ、そうね」

みく「みくの言ってることはそういうことー」

茄子「……でも、みくちゃんが私たちの名前を覚えてくれたってことは、私たち餌から一歩ランクアップしたんですよね」

茄子「やった♪」

みく「……」

歌鈴「……あ、そろそろレッスンの時間ですね」

朋「そうね……じゃ、行きましょうか」

歌鈴「はいっ!」

みく「……あ、出てくの?」

朋「あたしたちだってずっといるわけじゃないわよ」

みく「ふーん」

歌鈴「……もしかして、寂しかったりしますか?」

みく「そんなわけないにゃ」

みく「むしろ清々するにゃ!」

朋「あ、そう」

歌鈴「あはは……」

歌鈴「それじゃ、行ってきますね」

朋「行ってきまーす!」

みく「べーっ!」

茄子「いってらっしゃーい」

みく「……」

茄子「……」

みく「……あれ?」

茄子「?」

みく「茄子チャンは?」

茄子「?」

みく「茄子チャンは行かないの?」

茄子「あ、私はまだ時間じゃないので」

茄子「だからまだみくちゃんと一緒に遊べるんです♪」

みく「……」

みく「……」

みく「……えー」

茄子「あら、嫌そう」

みく「だって、やっとみく一人の時間になれたと思ったのに!」

みく「みくだって色々あったから整理したいの!」

茄子「ああ、そうなんですか」

茄子「でも私がここから離れてももう一人ここにいますから、結局一人にはなれませんよ?」

みく「……え?」

みく「でも、ここにはみくと茄子チャンしかいないよ?」

みく「さっき男の人は出てったし――」

茄子「いえ、もう一人」

茄子「ちひろさんが」

ちひろ「呼びましたか?」

みく「うにゃぁ!?」

茄子「あ、ちひろさんおはようございます」

ちひろ「ふふっ、茄子ちゃんおはようございます」

みく「えっ……ど、どこから現れたの!?」

ちひろ「私はずっとここにいますよ」

みく「うそ!」

みく「だって、みくが周りを見渡しても誰もいなかったよ!?」

みく「何かのトリックを使ったとしか思えないにゃあ!」

ちひろ「んー……まあ、トリックといえばトリックですね」

ちひろ「私、基本的に皆さんの邪魔にならないように姿を消してるんです」

ちひろ「物理的に」

みく「物理的に!?」

ちひろ「はい」

ちひろ「で、呼ばれたときだけ出てくるようにしてるんです」

みく「……そんなことできるの?」

ちひろ「できますよ」

ちひろ「だって神様ですから」

みく「えぇ……」

みく「神様ってなんなの?」

ちひろ「神様は神様ですよ」

ちひろ「何でもできちゃいます♪」

みく「……」

みく「ねぇ、茄子チャン」

茄子「本当のことですよ?」

みく「……」

ちひろ「あら、信じてない?」

みく「信じられるわけないでしょ」

みく「信じてほしいなら何か神様らしいことしてみるにゃぁ」

ちひろ「お金さえくれればやりますよ?」

みく「そもそも持ってないにゃぁ」

ちひろ「あら、残念」

ちひろ「それでは私はまた仕事してますね」

みく「……」

みく「……本当に消えたにゃぁ」

茄子「ちひろさんは神様ですから」

みく「……もしかして、このいくら引っかいたりひっぱったりしても外れない首輪と鎖もあいつが何かやったのかにゃ?」

ちひろ「もちろん♪」

みく「うにゃぁ!?」

ちひろ「みくちゃんが逃げられないようにがんばりました、では」

みく「……」

みく「……何なのにゃあ、あいつは」

茄子「神様ですね♪」

みく「……」

茄子「さて、みくちゃん」

茄子「遊びましょう?」

みく「……」

茄子「……あ、整理するんでしたっけ?」

みく「いや、もういいにゃ」

茄子「あら?」

みく「だって、これ絶対はずれないんでしょ?」

みく「じゃあもう諦めるしかないもん」

みく「もう煮るなり焼くなり好きにするにゃあ」

茄子「じゃあ遊びましょう?」

みく「……そんなに遊びたいの?」

茄子「せっかく新しい友達ができたんですから、仲良くなりたいんです♪」

みく「……」

みく「……まあ、なんでもいいけど」

みく「みく、見てのとおりぜんぜん動けないんだけど、何するのー?」

茄子「んー……」

茄子「あ!」

茄子「みくちゃん」

みく「ん?」

茄子「にゃあ♪」

みく「……」

茄子「……」

みく「……?」

茄子「あら、伝わりませんでした?」

みく「みくにはにゃあとしか聞こえなかったけど」

茄子「そうなんですか?」

茄子「みくちゃんって猫だから、猫の言葉とかわかると思ったんですけど」

みく「だって、それただ『にゃあ』っていっただけでしょ?」

みく「それは猫の言葉じゃないにゃあ」

茄子「じゃあ、どういうのが猫の言葉なんですか?」

みく「んー?」

みく「例えばー――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「ただいまー」

歌鈴「戻りましたー」

茄子「にゃ?」

茄子「んにゃー♪」

みく「にゃあ……にゃにゃにゃ!」

茄子「みゃぁ……」

みく「にゃ、にゃー」

朋「……何これ?」

茄子「にゃ……あっ、二人とも、お帰りなさい」

茄子「今、みくちゃんに猫語を教えてもらってたんです」

歌鈴「猫語……?」

みく「茄子チャンすごいにゃ!」

みく「すぐ覚えちゃうんだもん!」

茄子「うふふ、みくちゃんの教え方が上手だからですよ」

みく「この調子で行けば猫の言葉が理解できるなんてすぐにゃ!」

茄子「本当ですか?」

みく「うん!」

みく「茄子チャン覚えが早いもん!」

茄子「うふふ、楽しみです♪」

今日はここまで

続きは近いうちに

???「自分は猫に限らず、動物の言葉ならわかるぞ!」

茄子にゃんいいゾ~^

このみくにゃんは全裸で首輪を付けられているのでしょうか?
とても大事なことだと思うのですが

>>21
響は沖縄県やってるからな

絆創膏と謎の光がぼうが護っているので大丈夫だろう

神様のことだ、きっと変態には見えない服を着せてるんだよ

そこは変態にしか見えない服で良いのでは

茄子「じゃ、今度は私がレッスンに行きますので」

茄子「また教えてくださいねー♪」

みく「んー」

朋「……ずいぶん仲良くなったみたいね」

みく「まあ、みくが教えて、茄子チャンが学んでってだけだから」

みく「仲良くなったっていえるのかな?」

歌鈴「でも、楽しそうでしたよ?」

みく「楽しかったにゃ!」

みく「ペットに芸を教えてるみたいで」

朋「この場合ペットはみくちゃんだけどね」

みく「……うー」

みく「もう色々諦めたけど……でもやっぱ納得はいかないにゃぁ」

朋「諦めたんだ」

みく「だって、みくどうあがいても逃げられないみたいだし」

みく「さっき神様が言ってたにゃぁ」

朋「あー……」

歌鈴「あぁ……」

歌鈴「……あ、そうだ!」

歌鈴「みくちゃんが喜びそうなものいっぱい持ってきたんです!」

みく「喜びそうなもの?」

歌鈴「はい!」

歌鈴「最初は……これっ!」

みく「……ねこじゃらし?」

歌鈴「猫ちゃんなら喜ぶかなって」

歌鈴「どうですか?」フリフリ

みく「……」

みく「みくは確かに猫だけどー」

みく「でも、その辺の猫とは違うの!」ブン

みく「みくはただの猫じゃなくて、それよりもすごい猫ちゃんなんだから!」

みく「だから、そんなのにじゃれついたりしないにゃ!」ブンブン

朋「……」

みく「……何?」

朋「いや……」

朋「今、思いっきりじゃれてるわよ」

みく「え……?」ブンブン

歌鈴「うふふっ、可愛いですね」フリフリ

みく「……」

みく「……」

みく「本能には勝てなかったにゃ……」

歌鈴「えいっ、えいっ」フリフリ

みく「にゃっ、にゃっ!」ブンブン

みく「くっ……悔しいけど楽しいにゃ……!」

歌鈴「うふふっ、私もちょっと楽しいですっ」フリフリ

朋「ちなみに後は鞠とかねずみのオモチャとかあるわよ」

みく「本当にただの猫扱いにゃ……」

朋「じゃ、ねずみ走らせるわねー」

朋「いけーっ!」

みく「うにゃーっ!」ダッ

歌鈴「あ、みくちゃん!」

歌鈴「鎖あるのに走っちゃうと――」

みく「ぐえっ!」

歌鈴「――ああ、遅かった……」

朋「だ、大丈夫!?」

みく「……いたいにゃあ」

朋「……ごめん」

歌鈴「えっと……走っちゃうと危ないので」

歌鈴「遊び道具はねこじゃらしだけにしましょう」

朋「……そうね」

みく「うにゃあ……」

みく「首輪さえなければ……」

歌鈴「……ごめんなさい」

歌鈴「さすがに、それをはずせないので……」

朋「ちひろさんの作ったやつだから、物理的にもはずせないだろうしね」

みく「……神様ってずるいにゃあ」

朋「……」

歌鈴「……」

歌鈴「……あ、えっと、おもちゃだけじゃなくて」

歌鈴「ほかにも喜びそうなもの買ってきたんですよ!」

みく「ん、何にゃ?」

歌鈴「えっと……ほら!」

歌鈴「お魚です!」

みく「……」

歌鈴「……あれ?」

歌鈴「あまり嬉しくないですか?」

みく「うん」

朋「うわ、直球」

みく「みくはお魚嫌いなの」

歌鈴「あ、そうなんですか!?」

朋「猫なのに……」

みく「みくは普通の猫じゃないから!」

みく「だからお魚は嫌いにゃ!」

朋「……自慢げに言うことなのかしら」

歌鈴「いっぱいお魚買ってきたんですけど……」

朋「本当に無理なの?」

みく「ぜーったい無理にゃ」

みく「……っていうか、餌付けする気満々だったんだ」

朋「そりゃ、飼ってるからには楽しく過ごしてほしいじゃない」

歌鈴「だから、喜んで欲しいと思ったんですけど……」

朋「当てが外れちゃったわね」

朋「仕方ないからこのお魚とかは夕飯に使いましょうか」

歌鈴「そうですね」

歌鈴「……ちなみに、何が好きなんですか?」

みく「ハンバーグ!」

朋「へぇー」

みく「みく料理できるわけじゃないから、たまに食べれるとすっごいおいしいの!」

朋「そうなんだ……」

朋「……」

朋「一応お昼ごはんに買ったお弁当にハンバーグ入ってるんだけど」

みく「朋チャン大好きにゃあ!」

朋「貰うつもり満々なのね」

みく「ダメ……?」

朋「……いや、別にいいんだけど」

みく「んー♪」

みく「やっぱりハンバーグは最高にゃあ……♪」

朋「あはは……喜んでもらえて何より」

みく「朋チャン大好きにゃあ!」

歌鈴「……朋ちゃんだけなんかずるいです」

歌鈴「えっと私のお弁当は……あ」

歌鈴「みくちゃん、ウインナーとか食べます?」

みく「くれるの!?」

歌鈴「ふふ、どうぞ」

みく「やったにゃあ!」

みく「歌鈴チャンも好きにゃあ!」

歌鈴「あ、大好きにはならないんですね」

朋「現金ね」

みく「お肉は好きだけど、その中でもハンバーグは一番好きなの!」

みく「だから、お肉をくれるひとは好きで、ハンバーグをくれる人は大好き!」

みく「言うなれば歌鈴チャンはウインナーで、朋チャンはハンバーグにゃ!」

朋「食材として見られてるような気しかしないんだけど」

みく「そんなことないにゃあ」

みく「みくはみくに優しくしてくれる人は大好きだから」

みく「だから二人も餌としてみないようにがんばるよ!」

みく「あと茄子チャンも!」

朋「……一応まだ餌なのね」

みく「食べていいって言われたら喜んで食べるよ」

歌鈴「いや、それはさすがに……」

みく「にゃはは」

みく「……まあ冗談にゃ」

みく「ここでずっと飼われることになるんだろうし、それだったらストレスフリーでいたいからにゃ」

みく「みんなのことを好きになるつもりにゃ」

歌鈴「そうですか……」

歌鈴「じゃあ……えっと、みくちゃん!」

歌鈴「これからよろしくお願いしますね!」

みく「うん、よろしくっ!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


茄子「朋ちゃーん、歌鈴ちゃーん?」ガチャ

朋「あ、茄子さん」

朋「レッスン終わったの?」

茄子「はい♪」

茄子「なので、二人がいるなら一緒に帰ろうと思いまして」

歌鈴「~♪」フリフリ

みく「にゃっ! うにゃぁっ!」ブンブン

茄子「ふふ、みくちゃんと仲良くなれたみたいですね」

朋「モノでつったみたいだけどね」

茄子「きっかけはなんだっていいじゃないですか」

朋「……そうね」

茄子「うふふっ、私も混ざろっと♪」

茄子「おーい、歌鈴ちゃーん」

歌鈴「あっ、茄子さん!」

歌鈴「おちゅかれさまですっ!」

歌鈴「……あう……今日はまだぜんぜん噛んでなかったのに……」

茄子「ふふっ、お疲れ様」

茄子「私もやってみていい?」

歌鈴「あ、はいっ、どうぞ!」

茄子「それじゃあ――」

茄子「にゃあ♪」

歌鈴「え……?」

茄子「にゃ、にゃっ!」

歌鈴「えっと…………あ、もしかして……」

歌鈴「……えいっ」フリフリ

茄子「にゃっ♪」ブンブン

朋「そっちをやるの!?」

みく「……茄子チャンには猫の素質があるにゃあ」

朋「どんな素質よ、それ」

みく「……

歌鈴「えいっ、えいっ」フリフリ

茄子「うにゃあっ!」ブンブン

歌鈴「うふふっ、何か楽しくなってきちゃった」フリフリ

みく「……」

みく「むー……」

みく「いや、別にうらやましくはないんだけど」

みく「ないんだけど……」

みく「……」

朋「……ねぇ、みくちゃん」

みく「何にゃ?」

朋「ねこじゃらしもう一本あるのよね」フリフリ

みく「――うにゃっ!」ブンブン

朋「それっ、それっ」フリフリ

みく「にゃっ、にゃっ、にゃぁっ!」ブンブン

茄子「ふぅ、楽しかったです♪」

歌鈴「あ、もう終わりですか……?」

茄子「もうちょっとやりたかったですか?」

歌鈴「そういうわけじゃ……」

茄子「うふふっ」

茄子「猫の気持ちになるの楽しかったです」

歌鈴「……というか、完全に猫になってましたよね」

茄子「にゃあ♪」

茄子「……みくちゃん、明日も色々教えてくださいね」

みく「にゃっ、にゃっ――」ブンブン

みく「――あ、いいよー」

みく「茄子チャンを立派な猫にしてやるにゃ!」

茄子「よろしくお願いします♪」

茄子「いつか道端にいる猫とも会話できるようになるんでしょうか?」

みく「もっちろん!」

みく「みんな面白い子たちにゃ」

茄子「……じゃあ、いつか会話できる日が楽しみですね」

みく「そのときにはみくが茄子チャンを紹介――」

みく「――できないにゃぁ、ここから出れないし……」

茄子「……」

朋「じゃ、そろそろ帰りましょうか」

歌鈴「そうですね」

歌鈴「じゃあ、みくちゃん、バイバイ!」

茄子「また明日」

みく「んー、また明日ー」

みく「……」

みく「……」

みく「……あー、ようやく一人になれたにゃ」

みく「はぁ……疲れたぁ……」

みく「あーもう」

みく「なんなのにゃあ……急につれてこられて」

みく「猫に戻れないかと思ったら、こんなところで飼われるし」

みく「しかもこの首輪もはずせず逃げられないって……もうわけわかんないにゃあ」

みく「……」

みく「猫耳も尻尾もなくなっちゃうしー……」

みく「うー……」

みく「……」

みく「……でも」

みく「茄子チャン達と仲良くしたら、もしかしたら一回くらい外に出してもらえるかもしれないよね」

みく「たまには散歩したいとか言ったら、3人とも優しいからきっと――あ、あと二人いるんだっけ」

みく「まあ、でも3人の仲間ならきっと優しい奴にゃ」

みく「だから、いつか散歩に連れてってくれるにゃ」

みく「で……外へ出たら一目散に逃げる!」

みく「首輪とかがついてくるけど……まあ、アクセサリとして思えば大丈夫にゃ」

みく「で、目の届かないところまで逃げて……」

みく「ふふ、完璧にゃあ……!」

ちひろ「いえ、欠点だらけだと思いますけど」

みく「うにゃあっ!?」

みく「いっ、いつのまに!?」

ちひろ「だから私姿を消して作業してるって言ったじゃないですか」

みく「あ、そういえば……」

みく「……ってことは、もしかして今の全部……!」

ちひろ「もちろん聞いてましたよ」

みく「うげ!」

ちひろ「うふふ、やっぱり逃げることを考えてたんですね」

ちひろ「あんなに人を餌だとか行ってたのに、すぐ仲良くなってますし」

みく「……あ、あんなこと考えてたけど」

みく「でも、普通に仲良くなりたいのも本当にゃ!」

ちひろ「そうなんですか、餌なのに?」

みく「う……そうなんだけどぉ……」

みく「でも……でも、みんな優しかったし……あと……ちょっと楽しかったし」

みく「仲良くなりたいのも本当なの!」

みく「3人に言った言葉に思惑はあっても、嘘はないにゃあ!」

ちひろ「じゃあ、なんで逃げようと思ったんですか?」

みく「それは……」

みく「……」

みく「仲良くするのとペットになるのは別にゃあ」

みく「そりゃ自由になりたいって思うにゃ」

ちひろ「なるほど……」

ちひろ「つまり、みくちゃんはみんなと仲良くしたいけど、首輪もはずしたいと」

みく「……まあ、そういうことにゃ」

ちひろ「なるほど……」

ちひろ「それなら、私がそれをはずしてあげますよ」

みく「本当!?」

ちひろ「ええ」

ちひろ「私の言うとおりにすれば」

みく「……言うとおり?」

ちひろ「はい」

ちひろ「これから私が指示することをやってくれれば、その首輪はずしてあげます」

みく「……」

ちひろ「もっとも、今すぐできることではないので……ちょっと時間は必要ですけど」

ちひろ「どうします?」

みく「自由になれるならやりたいにゃ!」

ちひろ「あら、即決」

みく「だって、これ窮屈でしかたないんだもん!」

みく「今日だって、大変だったんだよ!」

ちひろ「なるほど……大変でしたね」

みく「お前のせいにゃ」

ちひろ「ふふっ」

ちひろ「まあ、やってくれるというのなら話は早いですね」

みく「で、何をやれって言うのにゃ?」

ちひろ「それは――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


茄子(……今日は、歌鈴ちゃんの初ライブの日)

茄子(朋ちゃんもついていくって行ってたから、事務所には誰もいないはず)

茄子(みくちゃん以外)

茄子(……確か生放送するって言ってましたし)

茄子(せっかくだからみくちゃんと一緒に見ようかな)

茄子「……って思って事務所に来たんですけど」

茄子「もぬけの殻ですね」

茄子「……」

茄子「みくちゃーん?」

茄子「……」

茄子「……」

茄子「ちひろさーん?」

ちひろ「ああ、はい、なんでしょう?」

茄子「みくちゃん知りませんか?」

ちひろ「いえ……私も探してるんですけど……」

ちひろ「少し目を離した隙にいなくなってまして……」

茄子「そうですか……」

ちひろ「はい……」

ちひろ「いったいどこにいるんでしょう……?」

茄子「……神様の力で見つけたりできないんですか?」

ちひろ「……いえ」

茄子「プロデューサーさんは下級妖怪って言ってましたけど」

茄子「下級妖怪でも見つけられないものなんですか?」

ちひろ「……」

茄子「……」

ちひろ「……」

茄子「……そうだ、一応プロデューサーさんたちにも連絡してみましょう」

ちひろ「あ、待ってください!」

ちひろ「私が連絡しておいたので大丈夫です」

茄子「……」

茄子「じゃあ、どの辺を探したか聞いてみますね」

ちひろ「……」

茄子「えっと――」

ちひろ「茄子ちゃん」

茄子「はい?」

ちひろ「ちょっとの間みくちゃんのこと忘れてください」

ちひろ「えいっ」

茄子「えっ――」

茄子(ちひろさんが光って――)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


歌鈴「うぅ……緊張します……」

歌鈴「……い、いっぱい人がいる……!」

モバP「そんなに緊張することはない」

モバP「今日のこのライブは新人同士が競う小さなライブだ」

モバP「観客もそれをわかって見に来てる、ちょっとくらい失敗したところで大丈夫だ」

歌鈴「でもぉ……」

歌鈴「すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……」

歌鈴「……たくさん深呼吸してるのに、ぜんぜん心臓が止まらなくて……!」

朋「いや、心臓が止まったら危ないでしょ」

歌鈴「そうですけど……!」

朋「……大丈夫よ、きっと」ギュッ

歌鈴「朋ちゃん……!」

朋「一緒に練習してきたあたしが大丈夫って言うんだもん、絶対大丈夫」

歌鈴「……」

歌鈴「……ありがとう」ギュッ

朋「……こんな言葉しか遅れないけど」

朋「がんばって!」

歌鈴「はい……!」

歌鈴「……」

モバP「……大丈夫そうか?」

歌鈴「まだ、心臓もばくばく言ってて、緊張なんてぜんぜん取れませんけど」

歌鈴「朋ちゃんとお兄さんが見守ってくれてるので……大丈夫でしゅっ!」

歌鈴「……」

歌鈴「ほ、本当に大丈夫ですっ!」

朋「ふふっ」

歌鈴「それじゃ……」

歌鈴「歌鈴、行ってきます!」

モバP「ああ、行ってらっしゃい」

朋「行ってらっしゃい!」

『今日対戦する新人アイドルはこの二人です!』

『まずはこちら!』

歌鈴「あ、えっと……道明寺歌鈴ですっ!」

歌鈴(……ひ、人がいっぱい……!)

歌鈴(でも、大丈夫……うん……!)

歌鈴「よっ、よろひくおねぎゃいしまひゅっ!」

歌鈴(……い、いまだかつてないほど噛んじゃった……)

『対する相手はこちら!』

歌鈴(うぅ……最初の挨拶……失敗しちゃった)

歌鈴(……ここから、がんばらなきゃ)

歌鈴(相手の人に負けないように……!)

歌鈴(……)

歌鈴(……そういや、今日の相手の人って……?)

みく「みくだよっ!」

みく「みんな、よろしくにゃあ!」

歌鈴「!?」

歌鈴「……」

歌鈴「……」ゴシゴシ

歌鈴「……」

歌鈴「えぇっ、みくちゃん!?」

『なんと! 知り合いだったのですか?』

歌鈴「は、はい!」

歌鈴「えっ、なんで、みくちゃんなんでこんなところに……!?」

みく「にゃふふ、今日のみくはアイドルにゃ!」

みく「歌鈴チャン、負けないよっ!」

みく「みくの未来のためにも!」

歌鈴「え、えぇ……?」

『おおっと、みくちゃんからの宣戦布告!』

『対する歌鈴ちゃんは……?』

歌鈴「あ……わ」

歌鈴「わ、私も負けませんっ!」

『こちらも、熱い宣戦布告!』

『果たして、今日の勝敗はどちらになるのか!』

歌鈴(……みくちゃんが急に現れて)

歌鈴(すっごく驚いて……だから、緊張は消えたんだけど……)

歌鈴(……)

歌鈴(ま、まだ頭がついていきません……!)

『それでは、二人には一旦戻ってもらいましょう』

みく「また後でねー」

歌鈴「……」ペコリ

歌鈴「とっ、朋ちゃん、お兄さん!」

歌鈴「みくちゃんが……みくちゃんが!」

朋「うん……あたしたちも見てた……」

朋「驚きでいっぱいよ」

モバP「何でこんなところにいるんだ……?」

歌鈴「衣装もしっかりしてましたし……」

歌鈴「どこで用意したんでしょう……?」

朋「……いや、たぶんあいつ……ちひろさんの仕業でしょ」

歌鈴「ちひろさんの……?」

モバP「まあ、間違いなくそうだろうな」

モバP「あの首輪も鎖も、みくの力じゃ壊せもはずせもしないからな」

モバP「だとしたら、ちひろ本人がはずしたと考えるしかないだろう」

朋「そうよね……」

朋「何考えてるのかしら……?」

歌鈴「さあ……?」

モバP「……」

モバP「……まあ、相手はどうあれ、やることは変わらないんだ」

モバP「先手は歌鈴だ」

歌鈴「あ、はい……そっか、すぐに行かないと」

歌鈴「ええっと……緊張はなくなりました!」

歌鈴「だから、えっと……精一杯がんばりみゃ……がんばりますっ!」

『それでは、まずは歌鈴ちゃんに登場してもらいましょう』

『どうぞ!』

歌鈴「こんにちはっ!」

歌鈴「えっと……道明寺歌鈴です!」

歌鈴「……あっ、さっきも自己紹介しましたよね……えへへ」

『可愛い!』

歌鈴「え……あ、ありがとうございます!」

歌鈴「あ、あのっ……」

歌鈴「私、ずっと、アイドルって好きで!」

歌鈴「そんな私が、今ここに立ってて……えっと……」

歌鈴「えっと……な、なんというかすごいですよねっ!」

歌鈴「……」

歌鈴「は、はわわ……後何話そうとしてたんだっけ……」

歌鈴「えっと……わ、忘れちゃった!」

『ははは!』

歌鈴「あうぅ……えっと、えっと……」

歌鈴「……とっ、とりあえず歌いますから」

歌鈴「聞いてくだしゃいっ!」

歌鈴「~♪」

みく「……」

みく(歌鈴チャンの歌……落ち着くにゃあ)

みく(でも、みくも負けられないの――)

===============================


みく「……え、アイドル?」

ちひろ「はい、うちはアイドル事務所なんです」

ちひろ「……アイドルって知ってますか?」

みく「まあ、一応……」

みく「それで、みくがアイドルになるの?」

ちひろ「はい」

ちひろ「今度歌鈴ちゃんが出るライブがあるんですけど」

ちひろ「それに、みくちゃんも出てください」

みく「……いや、出ろっていっても」

みく「みく、アイドルのことぜんぜんわからないよ?」

みく「それに、歌とかもぜんぜん知らないし……」

ちひろ「みくちゃんは可愛いから大丈夫ですよ」

みく「えぇ……何その適当な理論」

ちひろ「歌や衣装なんかは全部何とかしましょう」

ちひろ「こんなのがいいって言うのがあったら要望を聞きますよ?」

みく「……歌はよくわかんないからなんでもいいけど」」

みく「服は猫ちゃんみたいなのがいいにゃ!」

ちひろ「猫ちゃんみたいなの?」

みく「だってみくは猫なんだもん!」

みく「今はネコミミも、尻尾も生えてないけど……でも、みくは猫だもん!」

ちひろ「わかりました、じゃあそういう風にしますね」

みく「やったにゃ!」

ちひろ「それで、みくちゃん」

みく「んー?」

ちひろ「そのライブに出て、稼いだお金から私に対価をください」

みく「対価?」

みく「なんのにゃ?」

ちひろ「私がみくちゃんにしてあげることの、です」

ちひろ「鎖をはずすこと、首輪をはずすこと、衣装や歌を用意すること……などなど」

みく「ふーん」

みく「まあ、みくお金なんか興味ないしいいよ!」

みく「それで自由になれるならお安い御用にゃ!」

ちひろ「うふふ……ありがとうございます」

ちひろ「もしもみくちゃんが勝ってくれたら、その後逃げられるように斡旋もしますから」

みく「……わかったにゃ」

ちひろ「それじゃ、色々用意しますから」

ちひろ「少し待っててくださいね」

みく「はーい」

みく「……」

みく「……にゃふふ」

みく「これでやっと自由になれるにゃ!」

ちひろ「あ、後ひとつ」

みく「うにゃぁっ!?」

みく「もういきなり出てくるのやめて!」

ちひろ「あら、ごめんなさい」

ちひろ「それで……えっと、首輪と鎖はライブに出るときははずしてあげますけど」

ちひろ「逃げようなんて考えないでくださいね♪」

みく「……わかってるにゃ」

==============================


みく(――みくはそう約束したにゃ)

みく(その後、私の心と体に歌と踊りを刻み込んですぐ踊れるようにしたり)

みく(このライブに出られるようにしてくれたにゃ)

みく(……神様ってすごいにゃ)

みく(神様の力で、今みくはここで衣装を着て、首輪とかも全部外して立ってるんだもん)

みく(……今すぐにでも逃げたい気持ちは少しあるけど)

みく(あいつ神様って言ってたし、みくのことすぐ見つけるだろうし)

みく(だったら、あいつの言うとおりにして、自由を手に入れるにゃ)

みく「にゃふふ……」

みく「……勝ったらその後の逃げるのも手伝ってくれるし」

みく「勝たなきゃ!」

みく「……」

歌鈴「~♪」

みく「……うん」

みく「みくもがんばるにゃ!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


歌鈴「~♪……」

歌鈴「ふぅ……」

歌鈴「ありがとうございましたっ!」

『ワアアアアアアアァァァァ!!!』

歌鈴「わぁっ!」

歌鈴「あ、ありがとうございます!」

歌鈴「ありがとうございますっ!」

『ありがとうございました!』

『それじゃあ、続いてみくちゃんに登場してもらいましょう、どうぞ!』

みく「みくだよっ!」

みく「みんなー、こんにちにゃーっ!」

『こんにちにゃー!』

みく「みくは、猫なのにゃ!」

みく「この尻尾、猫耳……は偽者なんだけど」

みく「本当に本物の猫なんだよ!」

『へー!』

みく「でもー、みくはこんなにかわいい猫ちゃんだからー」

みく「この前まで鎖につながれて、首輪をつけられて飼われてたのにゃ!」

『へ、へー……』

みく「みくが愛らしいからってみんなひどいよねー」

みく「そのまんまだともしかしたら食べられちゃうかもしれないし」

みく「でもみくも人間食べようと思ってもあいつら強いしー」

みく「みくは絶体絶命だったのにゃ!」

みく「でもでも、ここでがんばればみく自由になれるって言うから!」

みく「みんな応援してね!」

みく「じゃ、みくの歌、いっくよー!」

みく「~♪」

朋「みくちゃん歌上手いわね」

歌鈴「そうですね……ちょっとうらやましいです」

朋「いや、歌鈴ちゃんの歌もよかったわよ」

朋「心がゆったりする感じで……聞いてて心地よかったわ」

歌鈴「そ、そうですか……?」

歌鈴「えへへ……ありがとうございます」

モバP「みくは……確かに歌は上手いが」

モバP「その前で観客が少し引いてたな」

モバP「まあ、鎖でつながれてたと人間を食べるとかそんな話をされたらなぁ」

朋「……みんな本気にしちゃったのかしら?」

歌鈴「でも……普通は信じられないんじゃないでしょうか?」

朋「もしあたしが観客の立場だったら信じないとは思うけど……」

モバP「……信じる信じないにしても内容が内容だからな」

モバP「出てきて、話した内容がアレっていうのは……」

朋「まあ、そっか……」

モバP「……」

朋「……」

歌鈴「……」

歌鈴「きれいな歌声ですね」

朋「そうね」

みく「~♪……」

みく「ふぅ……」

みく「にゃはっ、ありがとにゃっ!」

『ワアアアアアアアァァァ!』

みく「にゃははっ!」

『ありがとうございました!』

『それでは、歌鈴ちゃんにもステージに戻ってきてもらいましょう』

歌鈴「あ、はいっ!」

歌鈴「みくちゃん、いい歌でしたっ!」

みく「歌鈴チャンも!」

『それでは、観客の皆さんの投票から勝者を決めるときです!』

『果たしてどっちが勝者になるのか!』

歌鈴「……」

みく「……」

歌鈴「……」

みく「……」

『集計が終わりました!』

歌鈴「!」

みく「!」

『勝者は――』

歌鈴「……」

みく「……」

『歌鈴ちゃんです!』

歌鈴「!」

歌鈴「や、やったっ!」

歌鈴「や、やりましたっ、勝ちました!」

朋「やったわねっ!」

モバP「おめでとう」

モバP「楽しそうにやれてたな」

歌鈴「はいっ、とっても楽しかったです!」

歌鈴「私の歌を……言葉をたくさんの人が聴いてくれて」

歌鈴「歓声まで貰っちゃって……!」

歌鈴「……ほ、本当にいいんでしょうかってくらい、楽しくって!」

歌鈴「えっと……とっ、とにかく楽しかったです!」

朋「ふふっ」

朋「今度はあたしとも一緒にお仕事しましょ!」

歌鈴「はいっ!」

歌鈴「ふふっ、楽しみです!」

モバP「……」

モバP「で、だ」

モバP「みくはどこいった?」

歌鈴「……どこでしょう?」

朋「探しに行った方がいいかしら?」

朋「あ、いや、あたしが占えばいっか」

歌鈴「あ、水晶玉……持ってきてたんですね……」

朋「何があるかわからないし」

朋「えーっと、みくちゃんの居場所は……っと」

朋「……」

朋「……事務所?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「ただいまー」

歌鈴「ただいま戻りましたー」

みく「……むー」

歌鈴「あ、本当にいました」

朋「あたしの占いだもん、外れるはずがないわ」

朋「それより……」

茄子「……むー」

朋「……なんで茄子さんもふくれてるの?」

茄子「聞いてくださいよ、朋ちゃん!」

茄子「ちひろさん、さっきまで私からみくちゃんの記憶を消してたんですよ」

朋「えぇっ!?」

ちひろ「だからそれはみくちゃんがスムーズにライブに出れるようにするため仕方なかったんですって」

ちひろ「プロデューサーさんたちに……特に朋ちゃんに事務所にみくちゃんがいないって知られたら絶対見つかりますし」

ちひろ「見つかっちゃったら、また面倒じゃないですか」

ちひろ「歌鈴ちゃんは本番前でしたから、余計なことは考えて欲しくなかったですし」

ちひろ「あ、歌鈴ちゃん、さっきのライブとってもよかったですよ♪」

歌鈴「あ……ありがとうございますっ!」

茄子「……理由はわかりましたけど」

茄子「それでも友達の記憶を消されるのは嫌なんですー」

モバP「……なんでそんなことしたんだ?」

ちひろ「だからライブに出れるように――」

モバP「――そうじゃなく、なんでみくをライブに出させたんだ?」

ちひろ「みくちゃんをここから逃がすためですよ」

ちひろ「そういう約束を二人でしたんです」

ちひろ「みくちゃんがライブに出てその稼いだお金から私に対価を渡すって言う約束を」

朋「うわっ」

モバP「おい」

ちひろ「神様の力は使いましたが、人は殺してませんよ?」

ちひろ「みなさんとそういう約束はしてますからね」

モバP「……」

みく「約束を守ったんだからさっさとみくを逃がすにゃあ!」

ちひろ「いや、だってまだ対価貰ってませんし」

みく「そもそもお金はどっかに振り込まれるって聞いたんだけど」

ちひろ「ああ、それなら大丈夫です、そのお金は全部手に入れたんで」

みく「じゃあ逃がしてよ!」

みく「せめてこの首輪と鎖を外すにゃあ!」

ちひろ「ダメです」

みく「なんでにゃあ!」

ちひろ「だって、まだぜんぜん払うべき対価に至ってませんから」

みく「……え?」

ちひろ「衣装とか、歌とか」

ちひろ「その辺の分の対価ならもらえたんですけど」

ちひろ「首輪や鎖をはずす分なんかはぜんぜん対価としてもらいきれてないんですよね」

ちひろ「それにその後、ライブに出るために色々いじったのとか」

ちひろ「後は、みくちゃんが変なことを行ったから、それを観客の皆さんから忘れさせるための記憶操作とか」

ちひろ「その他色々やった分の対価をまだ貰ってないんですよね」

ちひろ「それを貰いきるまではみくちゃんをここから出すわけには行きません♪」

みく「え、ひどくない?」

ちひろ「最初に対価を返したらって言ったじゃないですか」

みく「でっ、でも!」

みく「ライブに出てそのお金で対価って言ってたにゃあ!」

ちひろ「足りませんでしたね」

みく「でもっ、鎖とか首輪とかはその対価でって行ってたにゃあ!」

みく「なんでそれまで対価を払ってないことになってるのにゃあ!」

ちひろ「足りませんでしたね♪」

みく「う、うぅ……!」

みく「お、鬼にゃ!」

茄子「悪魔ですっ!」

ちひろ「いえ、神様です」

ちひろ「それじゃ、みくちゃん」

ちひろ「私に対価を返せるまで、アイドルのお仕事がんばってくださいね♪」

みく「えぇ……」

ちひろ「……さ、皆さん!」

ちひろ「事務所に一人仲間が増えましたよ」

ちひろ「うふふ……アイドルが増えてくのは楽しいですね♪」

みく「……」

みく「もうみくペットでいいにゃ……」

ちひろ「えー、アイドルしないんですかー?」

みく「だってこれ衣装とか歌とか使うたびに対価が増えてくんでしょ!」

ちひろ「はい♪」

みく「じゃあもうみく何もしないにゃあ……」

みく「ずっとコタツの上で……違う、事務所の中で丸くなってるにゃあ」

朋「……なんか、ごめん」

みく「いや……みくが甘言に騙されただけだから……」

ちひろ「騙してなんていませんよ」

みく「……」

モバP「ちひろ……今度からこういう脅迫めいたことは禁止な」

ちひろ「プロデューサーさんが言うなら……わかりました」

ちひろ「……アイドルが増えると思ったんですけど」

モバP「そんな奴隷的な増やされ方されてたまるか」

モバP「……」

モバP「……俺が対価を渡すから」

モバP「せめて、みくの首輪を外してやってくれ」

歌鈴「……いいんですか?」

モバP「ちひろが対価を要求する限り、みくは逃げられないだろうし、なら首輪をつける必要もないだろう?」

ちひろ「んー……まあ対価をくれるならかまいま――」

みく「――いや、別に大丈夫にゃあ」

みく「みく、これからペットとして生きるから、首輪があってももういいから」

みく「だから、そんな変な対価払わなくてもいいにゃあ」

みく「……みんな、みくのことよろしくね」

茄子「あ、はい、改めてよろしくお願いします」

朋「……」

歌鈴「……と、とりあえず遊びましょう、色々終わりましたから!」

歌鈴「ほら、みくちゃん、猫じゃらしですっ!」フリフリ

みく「にゃあっ!」ブンブン







おわり

寺生まれのPさんとか、占いの当たる朋ちゃんと、がんばる歌鈴ちゃんとか、猫茄子とか、妖怪猫みくにゃんとか、傍若無人の神様ちひろとか、書きたかったのを混ぜました


誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません、呼んでくださった方ありがとうございました

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よかったらこちらもよろしくお願いします

これってシリーズもの?
小梅とこれしか読んでないがシリーズものなら酉で検索すればヒットする?

>>60
酉つけたのが小梅ちゃんのからなので、酉だとヒットしないです、すいません
以下に小梅ちゃんの以前のシリーズ一覧を載せるので、よかったらよろしくお願いします


上から古い順に

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>>61
ありがとう、読んでみる

おつおつ

この調子に乗ってるちひろに天罰はくだらないのかな?

>>64
わざとらしくageて発言するお前には天罰下るな
そもそもその発言で何も読んでないのがわかる

神様に天罰とか笑えること言いおる

きっとそのうちPがちひろ越えするんだよ(適当)
おつ

寺生まれとはいえ人間だから神様超えは無理だろ
神様超えたら意味がない

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