女提督(以下、提督)「え、なにそれ? どういうこと?」
霧島「指令はそれがチョコレートであると、100%の確信を持って言えるのですか?」
提督「う……ううん? どうみてもチョコでしょ、これ」
※提督はレズ
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糞スレか。さっさと死んどけゴミks
<新百合ヶ丘鎮守府 指令室>
霧島「そのチョコ……と思われる物体に……なんの疑念も持たないとは、見損ないました」
提督「いやいや、さっき金剛がわたしにくれたんだよ! 間違いなくチョコだよ!」
霧島「指令、こんな言葉をご存知ですか?」
霧島「『人間は万物の尺度である』」
霧島「古代ギリシアの哲学者、プロタゴラスの言葉です」
提督「それが何か?」
霧島「つまりです……物事の考え方や見方は、人それぞれによって違うのです。ゆえに……」
提督「ゆえに……?」
霧島「そのチョコ……っぽい物体は、金剛お姉さまにとってはチョコでも、提督にとってはチョコではない可能性があるのです!!!」
提督「な……なんだって~!!!」
霧島「提督にとって、チョコとはどのようなものでしょうか?」
提督「えーーっと……黒くて甘くて、美味しい、かな」
霧島「黒くて甘い……餡子とどう違うのですか?」
提督「ちょっと苦くて……まろやかで……」
霧島「焼け焦げた餡子と、どう違うのですか?」
提督「だぁあああああ!!! チョコはチョコだよ!」
霧島「かように人の認識というのは曖昧なのです」
提督「うーーん……そうかも……」
霧島「このように……知っていると思っていたことも、突き詰めると良くわからない……。
知ってるつもりで、知らなかった。この自覚は哲学的な大発見でした。これについて有名な言葉が……」
提督「言葉が……」
霧島「『我知無知』……我、無知を知る……古代ギリシアの哲学者、ビリトリス・ヘリンティヌウスの言葉です」
提督「ほほう……」
霧島「嘘です」
提督「」
霧島「本当は、ソクラテスの『無知の知』です」
提督「大して変わんないっていう……」
霧島「では、本当のチョコとは何か? それを知るためにはどうすればいいか……」
提督「うん」
霧島「わたしは『イギリス経験論』でアプローチします」
提督「イギ……なに?」
霧島「経験を積み重ね、真理に至る、という考え方です」
提督「つまり……どういうことだってばよ……」
霧島「『帰納法』という手法を使います。実験や観測を繰り返し、共通事項を見つけ、そこから一般的な法則や規則を導き出すのです」
提督「なるほど……わからん……」
霧島「見ていて下さい。ここに金剛お姉さま、比叡お姉さま、榛名お姉さまからのチョコ……らしき物体があります」
提督「うん」
霧島「そして……観測を繰り返します……」ヒョイパク、ヒョイパク
提督「う……うん?」
霧島「ただし、この……モグモグ……方法は……提督のように……口だけは達者なトーシロには……ムグムグ……無理なのです……」ヒョイパク
提督「ひどい!」
霧島「哲学者ベーコンいわく……四つのイドラに陥らない必要があるのです……モグモグ……」ヒョイパク
提督「四つのイドラ?」
霧島「一つ、洞窟のイドラ。洞窟の中から外を見ると、限られた世界しか見えません。そのように個人の性質、環境、立場からの偏見です」ヒョイパク
提督「ふむ」
霧島「指令のように、視界にクソレズ特有のフィルターがかかっている人間だと、まともに観察できませんね」ヒョイパク
提督「うぐ!」
霧島「二つ、種族のイドラ。人間という種族の感覚や精神からくる錯覚、偏見です」ヒョイパク
提督「ほう」
霧島「指令のように、艦娘をペロペロしすぎてバカになった舌で、まともな観察は……」ヒョイパク
提督「おほ!」
霧島「三つ、市場のイドラ。市場で飛び交う流言飛語のような言葉による誤解、偏見です」ヒョイパク
提督「うん」
霧島「指令のように、『渾作戦』と『褌作戦』を取り間違えるような神経では……」ヒョイパク
提督「くっ!」
霧島「四つ、劇場のイドラ。劇場で行われている芝居を本物と信じてしまうように、権威、伝統を信じることからくる偏見です」ヒョイパク
提督「へえ」
霧島「指令のように、まとめwikiを盲信して、ガセレシピに踊らされるようでは……」ヒョイパク
提督「あ゙あ゙っ!」
霧島「ふぅ……整いました」
提督「……金剛、比叡、榛名からもらったチョコが全部無くなった……」
霧島「これら経験から導き出された結果……チョコとは……」
提督「うん……」
霧島「黒くて甘くて、美味しいもの、ということです」ニッコリ
提督「それさっき、わたしが言ったから!!!」
霧島「曖昧な認識での発言と、観測の結果をふまえた発言とでは、似てるようでもまったく意味合いが異なります」メガネクイッ
霧島「ところで……なぜ私がチョコとは何かと言い出したか、わかりますか……?」ニジリニジリ
提督「ひっ……わかりません……」後ずさり
霧島「しょせん、チョコはチョコということです……黒くて甘くて、美味しくて……それ以上のものではないと、知ってほしかったのです」ヌギヌギ
提督「なぜ服を脱いでるの……」後ずさり
霧島「『作者の死』……哲学者ロラン・バルトによると、小説の文章は作者と独立した存在である……と。
チョコも同様なのです。そこに本人はおらず、独立した存在なのです」ヌギヌギ
提督「つまり……」
霧島「いくらチョコを食べても、そこに本人も愛もない……。ならば、直接、指令に愛を感じて頂こうかと……」スッポンポーーン
提督「まさか……」
霧島「メイク・ラヴ・ナーーーーーーーウ!!!」ピョーーン
提督「やっぱりぃいいいいああああ!!!」
クソレズ提督としては、ある意味ウェルカムではあった。
しかし結局、すんでのところで霧島は金剛、比叡、榛名に取り押さえられ、きっちり〆られた。
そして金剛姉妹は、再度、提督にチョコをあげたそうな。
- 完 -
※参考資料
図解 いちばんやさしい哲学の本 (沢辺有二)
https://www.saiz.co.jp/saizhtml/bookisbn.php?i=4-88392-912-2
ベーコンの「イドラ」について
http://kou.benesse.co.jp/nigate/social/a13n0506.html
単語記事: 作者の死
http://dic.nicovideo.jp/a/%E4%BD%9C%E8%80%85%E3%81%AE%E6%AD%BB
とりあえず、バレンタインに対して、何か物申したかった……
依頼してきます……
俺また一つ頭良くなったよ
我知無知で声出して笑ったわ
あのクソレズ提督の番外編か
乙
※お詫び
霧島さんが「提督」といっているのは、「指令」の誤記です
ごめんなさい
>>16
「指令」じゃなくて「司令」です……
※お詫び(決定版)
霧島さんが「提督」、「指令」といっているのは、「司令」の誤記です
すまんす
乙
>>5
ジミーにビリーっぽい名前使っててワロタ
頭脳明晰な霧島が、理詰めで提督を追い詰める……という点が面白ポイントだったはずなんだけど、作者の力不足で、ダダ滑りだったっていう
とりあえず、ベーコンの帰納法と4つのイドラを覚えてもらえると、こんなクソSSでも役に立つかも……
大陸合理論、カント、ヘーゲル、マルクス、キルケゴールとか面白そうだけど、SSに落とし込むのは大変そう
構造主義とかポスト構造主義とかは、いまいちピンと来ない
このSSまとめへのコメント
乙ですが、森の妖精が哲学者になってる気が……