文才ないけど小説かく 7 (482)
ここはお題をもらって小説を書き、筆力を向上させるスレです。
◆お題を貰い、作品を完成させてから「投下します」と宣言した後、投下する。
◆投下の際、名前欄 に『タイトル(お題:○○) 現在レス数/総レス数』を記入。メール欄は無記入。
(例 :『BNSK(お題:文才) 1/5』) ※タイトルは無くても構いません。
◆お題とタイトルを間違えないために、タイトルの有無に関わらず「お題:~~」という形式でお題を表記して下さい。
◆なお品評会の際は、お題がひとつならば、お題の表記は不要です。
※※※注意事項※※※
容量は1レスは30行、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)
お題を貰っていない作品は、まとめサイトに掲載されない上に、基本スルーされます。
まとめサイト:各まとめ入口:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/
まとめwiki:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/
wiki内Q&A:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?Q%A1%F5A
文才ないけど小説かく(実験)
文才ないけど小説かく(実験)2
文才ないけど小説かく(実験)3
文才ないけど小説かく(実験)3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357221991/)
文才ないけど小説かく(実験)4
文才ないけど小説かく(実験)4 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373526119/)
文才ないけど小説かく 5
文才ないけど小説かく 5 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391418769/)
文才ないけど小説かく 6 (前スレ)
文才ないけど小説かく 6 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405065955/)
【次スレについて】
次スレは>>950の人が立てるようにお願いします。
無理だった場合や反応がない場合>>955の人が、さらに無理だった場合>>960の人がという具合に
以後は>>5ずつ後ろの人が宣言をして立ててください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405065955
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1454759856
▽書き手の方へ
・品評会作品、通常作を問わず、自身の作品はしたらばのまとめスレに転載をお願いします。
スレが落ちやすいため、特に通常作はまとめスレへの転載がないと感想が付きづらいです。
作業量の軽減にご協力ください。
感想が付いていない作品のURLを貼れば誰かが書いてくれるかも。
※↑現在冷温停止中? 詳しくはスレ内で確認をお願いします。↑※
▽読み手の方へ
・感想は書き手側の意欲向上に繋がります。感想や批評はできれば書いてあげて下さい。
▽保守について
・創作に役立つ雑談や、「お題:保守」の通常作投下は大歓迎です。
・【!】お題:支援=ただ支援するのも何だから小説風に支援する=通常作扱いにはなりません。
▽その他
・作品投下時にトリップを付けておくと、wikiで「単語検索」を行えば自分の作品がすぐ抽出できます
・ただし、作品投下時以外のトリップは嫌われる傾向にありますのでご注意を
▽BNSKスレ、もしくはSS速報へ初めて来た書き手の方へ。
文章を投下する場合はメール欄に半角で 「saga」 (×sag「e」)と入力することをお勧めします。
※SS速報の仕様により、幾つかのワードにフィルターが掛けられ、[ピーーー]などと表示されるためです。
例
ドラ・えもん→ [たぬき]
新・一 → バーーーローー
デ・ブ → [ピザ]
死・ね → [ピーーー]
殺・す → [ピーーー]
もちろん「saga」と「sage」の併用も可能です。
▲週末品評会
・毎週末に週末品評会なるものを開催しております。小説を書くのに慣れてきた方はどうぞご一読ください。
wiki内週末品評会:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%BD%B5%CB%F6%C9%CA%C9%BE%B2%F1
※人口減少のため、不定期の開催になり、月末品評会に遷移していてきました。また、てきすとぽい(http://text-poi.net/)を利用する試みが行われています。※
※↑管理者不在の為、週末・月末共に現在開催はされていない模様です。ボランティアの方の助力次第ではまた開催も……?
(文才ないけど小説かく 6 - SSまとめ速報
(ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405065955/509)) 本当にお疲れさまでした
前スレのテンプレートを一つに纏めて、最後の品評会について自分が分かる範囲で修正しておきました
詳細をお知りの方は適宜補足をよろしくお願いします
http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?bnskのトップページのリンクを修正して参ります
http://i.imgur.com/Crh0L0H.jpg http://i.imgur.com/wCIfZoW.png
http://i.imgur.com/Iz5kd7m.png http://i.imgur.com/4ZrvhX5.jpg
http://i.imgur.com/xTDcDxo.jpg http://i.imgur.com/foWcC9M.jpg
http://i.imgur.com/g8F7VeU.jpg http://i.imgur.com/LqR1ASf.png
http://i.imgur.com/TZVviOp.jpg http://i.imgur.com/mGtngCg.png
http://i.imgur.com/EtDNBac.jpg http://i.imgur.com/JtyVcVM.jpg
http://i.imgur.com/Nt2XLw3.jpg http://i.imgur.com/7OES2Os.jpg
それにしても、やる夫スレに嵌ってる間に落ちてるとは吃驚だ
お題下さい
>>5
雪雲
ついでにお題ください
>>6
茶柱
>>6
把握しました
ありがとう
さっそくですが、4レスほど投下します
厚手の手袋越しだというのにすっかり指先は冷えていて、それほど長く空を見ていたのか
と少し驚いた。
自転車を支える手はすっかりかじかんでいたのに、まだこの胸は熱いつもりで――。零れ
出た息が白いのは当然の事だろうに、この身が立ち竦むに任せて、ただ、空を見ていた。
街中を走り抜けた身体の熱さを、走り出さずに居られなかった熱を、吐き出してしまいたく
て。空一面の雲と同じ色をした息を吐きながら、ただ空を見ていた。
時には視界が霞むに任せて、舞いては静かに街中に降り下るこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいと、一面の空を覆って
隠す雲と、白く空気に溶けていく吐息とが綯い交ぜになるままに、ただ空を見ていた。
見るともなしに、こうしてただ空を見ていたように。
それがそうであると判っているつもりの事すら、判ろうとしていなかった。
投下しなおします
厚手の手袋越しだというのにすっかり指先は冷えていて、それほど長く空を見ていたのか
と少し驚いた。
自転車を支える手はすっかりかじかんでいたのに、まだこの胸は熱いつもりで――。零れ
出た息が白いのは当然の事だろうに、この身が立ち竦むに任せて、ただ、空を見ていた。
街中を走り抜けた身体の熱さを、走り出さずに居られなかった熱を、吐き出してしまいたく
て。空一面の雲と同じ色をした息を吐きながら、ただ空を見ていた。
時には視界が霞むに任せて、舞いては静かに街中に降り下る粉雪と、一面の空を覆って
隠す雲と、白く空気に溶けていく吐息とが綯い交ぜになるままに、ただ空を見ていた。
見るともなしに、こうしてただ空を見ていたように。
それがそうであると判っているつもりの事すら、判ろうとしていなかった。
昨晩は今に劣らず寒かった。
けれど窓の鍵は普段通り外していて、耐えられない寒さならそれこそいつもの様に、前足
を器用に使って窓を開けて入ってくるだろうと。 ユメウツツ
稀によくある。矛盾のようでそうではない日常の、猫が喧嘩をして駆けて行く喧騒を、夢現
の中で聞いた。
なぜ判ったのかは判らない。その鳴き声の一つが、知っている猫ものだとは判っていた。
不安は覚えていた。
いつ亡くなってもおかしくはないと。
冷えた身体を震わせたまま、窓の隙間から布団の隙間へと入り込んでくる。それを、半ば
眠ったままで迎え入れて温める。その冷たさで目が冴える事もなく、むしろ安堵と幸福の中
で深い眠りについていった。
今日は生きていてくれた。けれど、明日亡くなるかもしれない。
そう覚悟しているつもりで、毎日の様に己に言い聞かせているつもりで、生きていてくれる
“ 今日 ”が永遠に続いてくれるものとばかり思っていた。
不安が不安のままである、この幸せな日々が続くと――。ずっと。
巧く抱かないと曲がりくねって滑り落ちる。あの柔軟な身体はもう無くて。
手に抱いた硬さと冷たさばかりが思い出される。
空を見ている。
体中にあった暑さも、胸を焦がす程の熱ももはや感じられない。ただ、寒さと冷たさばかり
が今のこの身を満たしていた。
確かに見えていた筈の事が、どこか遠い事の様にしか思えなくて、ただ空を見ている。
涙で霞むに任せて、空を見ている。
確かにあるはずの雲も見えず。
確かに降るはずの雪も見えず。
確かに浮かぶはずの息も見えず。
ただ真っ白く塗りつぶされる、霞んだ空を見ている。
雪雲は他の雲よりは地に近いのだと、どこかで得た知識ではそう判っていても、涙で世界
が滲む時でもないと、その近さを実感できないままでいて。
何の心の準備もできていない幼子の様に、突然の現実に振り回されるしかなくて。
それでも、困惑しながらも別れを済ませる事ができていた事に今さら気づいた。
どれほど空を見ても、雪の冷たさを感じずにいられるようにはならなくても。
どれほど慣れても、寒さを覚えずにはいられなくても。
判っている筈のことをどれだけ考えても、実際の日々には叶わなくても。
ただ、空を見ている。
確かに触れたあの冷たさを思い出して、もう触れないこの身の寒さを思い出して、そして、
この空の下で確かにあった暖かい触れ合いを思い出して、泣く為に。
ただ、空を見ている。
終わり
以上です
>>16 おつ
じわりと沁みるような喪失が印象的でした
乱暴にあらすじをまとめれば『飼い猫が死んで悲しい』になるんだろうか
このお話には劇的さはないけれど、逆にそれが味になっている節がある
猫の死に対して完全に受け入れることは出来ない
けれど、かといってひどく執着しているかと言われればそれも違う
やけに現実的で絶妙にあいまいな心の距離感、何とも言えぬが個人的には好ましい
ただ一つ気になったのは死ぬ間際に帰ってくる猫について
なんとなくだが、死に際に帰ってくるのは猫ではなく犬のイメージだ
猫の死を演出するのならば、
『一度帰ってきて主人公の顔を一舐めしてどこかへと消える』
主人公はなんとなくそれを察する、くらいあいまいでも良かったように思う
個人的には非常に好みの物語だった
お題下さい
>>18
爆竹
把握
お大工太斎
>>21
カンナ
把握しました
完成したので投稿します
久しぶりに自分で煎茶を淹れてみればどういうわけか茶柱が立っていて、
『おばーちゃん! 見てみて、コレ! 茶柱、茶柱たったよ!』
『おぉ本当かい、すごいね。きっといいことあるね』
不意に、そんなことを思い出した。
確か、かれこれ十年以上前の出来事のはずだ。
あの頃は茶柱を見てあんなにはしゃいでいたのに今ではさほど驚かなくなっている。
それは別に感性が鈍ったからだとか、大人になって物怖じしなくなっただとか、そういうことではない。
端的に分かり易く表現すると『私にとって幸運とは当たり前のものになってしまったから』である。
茶柱に喜んでいた頃は確かここまでではなかったはずだ。
精々人よりも少し運がいい、その程度であったと記憶している。
あの頃の私はなんてこともない普通の子供だった。
だけれど今は違う。
今の私は……、
「控えめに言って幸運に愛されている、としか言えないのよね」
ありがたいといえばありがたいことではあるのだ。あるのだが、正直に言うと生きる甲斐がないのも事実。
成人してからなんとなくで買ってみた宝くじは現在七連勝中で、総額にすると十億円程度。
ほかにも色々と試してみた、競馬、競輪、ボートレース、お年玉付き年賀ハガキ等々。
パチンコとスロット以外で運の関わるものは片っ端から試したように思う。
その結果、私は一生働かなくても食っていける程度には当たりを引いてしまった。
さすがにここまでになるとは思いもよらず、
この多大なる結果を友人どころか親族のだれ一人にさえ打ち明けることが出来ていなかった。
正直に言えば、今言えていない時点でそれをすることに運が向いていないんだろうなと半ば確信しているが。
「でもなぁ……、」
現時点でもかなり好き放題生きているのだが、だとしてもどこか虚しさが漂うのだ。
そうまるで運命の女神に操られているかのような。
なんて、そんなのは考えすぎか。
「気分を変えるために、何か始めてみよっかな」
幸い資金は潤沢にある、最後の最後にはきっと運で勝ちを拾ってしまうだろうけれど、
そこに到達するまでが出来るだけ遠い、出来れば実力至上主義の趣味がいいかな。
こういう時間が私は好きだ。
物事は始める前が一番楽しいのだから。
以上です、お題くれた方ありがとうございました
名前欄はミスりました
http://i.imgur.com/Crh0L0H.jpg http://i.imgur.com/wCIfZoW.png
http://i.imgur.com/Iz5kd7m.png http://i.imgur.com/4ZrvhX5.jpg
http://i.imgur.com/xTDcDxo.jpg http://i.imgur.com/foWcC9M.jpg
http://i.imgur.com/g8F7VeU.jpg http://i.imgur.com/LqR1ASf.png
http://i.imgur.com/TZVviOp.jpg http://i.imgur.com/mGtngCg.png
http://i.imgur.com/EtDNBac.jpg http://i.imgur.com/JtyVcVM.jpg
http://i.imgur.com/Nt2XLw3.jpg http://i.imgur.com/7OES2Os.jpg
乙乙
お題ください
共鳴
お題下さい
めまい
完成したので投下します
俺の中には長いことしこりのような一つの感情が居座り続けてきた。
『幼馴染にはかなわない』
アイツは女の身でありながらほぼ全てのスペックで俺を遙かに凌駕し続けていたのだ。
運動も勉強も、何か一つだって勝てたためしがなかった。
俺としては一緒にいればそれだけ劣等感が募っていくばかりだったから、
『いつまでも仲良く一緒になんていたくない、何かの縁でそのまま関係を切れればいいのに』
なんて結構本気で考えていたのだ。そのはずだったのだ。
なのに、現実は違う。
すべての面で俺よりも凄かった幼馴染はもういない、いなくなった。
「なぁに、タツ。毎日毎日飽きずに見舞いに来てくれちゃって。青春が勿体ないよ?」
「統理は一人でいるといつまでもウジウジしてるからな、気を紛らわせてやろうっていう俺の配慮だよ」
「ふぅん、まぁわざわざありがとうね」
「おう、感謝しろよな」
代わりにいるのは勉強は出来るし、運動神経もとても良い隻眼の幼馴染だ。
それは事故だったらしい。
夜の弓道場で備品の確認作業をしていた統理に一本の矢が飛んできて、運悪く目に突き刺さったのだそうだ。
弓を射てしまったのは部内の三年生で腕前は五指からは少し漏れる程度だったらしい。
ついでに補足しておくと統理が入ってくるまでは大会のレギュラーだった人だそうだ。
つまりはそういうことなんじゃないかと、俺は勝手に思っている。
だけど、肝心の統理はそれに対して何も言わないのだ、本当に何も。
悔しいとも、つらいとも、ズルイとも、何とも言わない。
ただ時折片目でぼぅと遠くを眺めている。
「タツは部活入らないの?」
「あぁ、そうだな。どこか入ろうかな」
「ウソ!? 本当?」
「俺が部活入らない理由もなくなったしな」
「なにそれ? どういうこと?」
「いや、こっちの話。大したことじゃない」
「あそう、言いたくないなら聞かないけど……」
しつこく聞かれても絶対に答えないけどな、格好悪いし。
「それで、何部に入るの?」
「いや、まだ決めてないけど」
「それじゃあさ、弓道やろうよ。楽しいよ?」
統理は他人の劣等感に酷く疎い。
俺の幼馴染は何でも即夏こなすことが出来る天才タイプだから、というわけではない。
逆なのだ。こいつは異常なほど負けず嫌いなのである。
誰にも負けたくないから以上に努力をする。それ自体は褒められたことだし、俺も尊敬している。
問題はその精神性の方にあり、『努力をしないやつは悔しいともわない人間だ』そんな風に信じ込んでいる。
つまり、打てば響くこいつにとって『やってもできないグズなやつ』ってのは本当に理解できない存在なのだ。
優秀であるために弱者の気持ちが分からない。それが俺の幼馴染というやつだった。
そしてそいつは、絶対に超えられない壁に直面して、それでも笑ってる。
「なぁ、教えてくれないか?」
「ん? 何、弓道?」
「違う、お前の今の純粋な気持ち」
「……、」
何とも清々しいほどに憎々しい笑顔を浮かべる。
「正直に言えばね、すごくムカついてる。すごくすごく、ムカついてる。
だって、的の前に人がいるのに弓を引く人なんていないでしょ。普通に故意だよ、絶対。
でも何よりムカつくのはね、あの人がアタシに勝てるように努力しなかったこと。
アタシにはそれが信じられない。だって人の足を引っ張って蹴落としたところで自分は何にも変わらないんだよ」
荒くまくし立てる統理に、俺は僅かばかり安堵を覚えた。
あぁ、こいつはちゃんと憤れるやつなんだって、安心した。若干ずれてる感は否めないとしても。
「安心した」
「何がよ!」
「お前もちゃんと人の子なんだなって思ってさ。気に食わないことに腹を立てるんだってそんなことが」
「じゃあついでにぶっちゃけるけど! アタシからずっと逃げ続けるあんたもムカつく!」
「……ッ!」
どうやら筒抜けバレバレであったらしい。
あぁ、クソほんとに恰好悪いな。
「だから弓道やろ?」
「結局俺はお前には一生勝てない気がする」
「タツ、そんなのは分からないんだって。今負けてるなら勝てるようになるまで努力し続ければいいでしょ?」
あぁ、そうだよな。統理はこういうやつだ。
そう統理は、どこまでもこういうことを本気で言うやつなのだ。
いい加減俺もそれくらいは分かってる。
「格好悪いままだと、男としての沽券にかかわるし、本気になるよ」
「じゃあ努力の仕方から教えてあげる」
多分俺は、一生こいつに勝てないと思う。色んな意味で
以上です
お題くれた方ありがとうございました
お題くだし
ケサランパサラン
お題下さい。
お題下さい。
旬の食べ物
幸せ
おだくだ
クイーン
お題please
雑種
>>35-38
投下乙
抒情的な作品と短編という形式がミスマッチ起こしている感があるのが、勿体ない気がする
とは言え、お題を消化することを第一に考えると、一応の答えに向かって書ききらなくちゃいけないのも分かる
長編で読みたい作品だなと思いました
感想ありがたや
勿体ないと長編で読みたいは短編書くたびに言われてる気がする、そこが課題か
ついでにお題ください
明晰夢
書きあがったので投下します
「ねぇねぇ那月! あたし退屈だよー、なんかないの? 事件! 事件ないの!?」
「そんなポンポン事件が起こってたら俺が平和を堪能できないだろ」
「平和より激動だよ、絶対そっちの方が楽しいってばぁ!」
「俺にそんなことを言われても知らん、俺は激動よりも平和がいいの、楽しくても疲れるのは嫌だからな」
「那月のアホー! じゃあ、どっか行こう! 事件を探しに行こう!」
「つかこの間謎のカエル蓑事件を解決したばっかだろ。思い出で満足しとけよな」
「やだやだ、あれもう一週間も前だよ? 満足できないー! ほらほら、出かけようってばぁ」
「だぁぁ! 分かった分かった! 準備するからちょっと待っとれ」
「ふふん、それでいいよの、そ・れ・で!」
俺はケサ子に急き立てられて仕方がなく課題をまとめていたノートを閉じて立ち上がる。
にしてもこいつが来てから毎日が忙しなくて仕方がない。
大体こいつなんでまだ俺にまとわりついてくるんだったっけ?
そんなふうに考えてしまえばそこからはもうトントン拍子に記憶の渦が逆流してくる。
それは俺とケサ子が初めて出会って、それから解決した非日常の記憶である。
「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーんっ!」
呼んでもいないのに突然現れた小さなそいつはフヨフヨと元気よく宙を漂う。
俺はこの現実を理解できなかった。
「はっ? いや呼んでないし、ていうかなんだよお前? いやついに俺は頭がおかしくなったか?」
思わず頭を抱えて独り言をつぶやく始末。
だというのに、
「へぇぇ、いい度胸しているじゃない! 見えてるし聞こえてるんでしょ! この童貞っ!」
「げ、幻覚じゃないのか? それじゃあ……、夢か?」
目の前に浮かんでいる半裸の生き物を右手で掴み、左手で思い切り頬を抓ってみる。
痛いな。ということは夢というわけでもないらしい。
信じられないぞ、おい。
「放しなさいよ! いきなり人のことを無遠慮に握るなんて頭おかしーんじゃないの!?」
「やっぱりそうだよな、けど感触もあるし、やっぱり俺の頭がおかしくなったとしか思えない……」
痛みもある、手の中には温もりさえ伝わってくる。
けど、存在そのものがあまりにも現実的じゃないのだ。
「違うわよ! あんたの頭がおかしくなったんじゃなくて、あたしが現実にいるの! 信じなさいよぉ!」
「もしかして、さっきから俺に話しかけてたの?」
「ほかにどんな選択肢があるっていうのよ!?」
どうも目の前のよくわからないやつは意思疎通ができるらしい。
全くもって訳が分からない。
「つーかさ、このままここで君、でいいのか?
まぁいいや、君ってほかの人には見えてないとかそういうやつでしょ?」
「そうね! あたしの姿は適性のある人にしか見えないわ!」
「だと思った。せめて俺が家に帰るまで待ってから声をかけるという選択肢はなかったのか、と言いたいわけだ。
まぁだから、これから俺は一切君に反応しないから、少なくとも家に帰るまでは」
もうすでに周りの通行人の皆様方から可哀想な人を見る目というものを沢山頂いてしまっているのである。
「はぁ!? ふざけんじゃないわよぉ! 何、何、無視するきなわけ!?」
そうだ、無視無視。
「んっぎぃ! 本当に無視するってわけ!? んむむぅ、あったま来たわ!」
それから一人寂しく通学路を歩く俺の周りをよくわからない小さなそいつはびゅいんびゅいんと飛び回った。
まるで、犬のフンに集るハエのような勢いで。
「あんた今絶対失礼なこと考えたでしょう!? そのくらい分かるのよ!」
なんと、この小さいのは心が読めるのか!?
「ふっふーん、心は読めないけど、人間の考えることなんて大体わかるわよ!
特にあんたみたいな根暗野郎の考えそうなことはね!」
俺にまとわりついてくる気満々なこいつはどうやらとてもとてもパッション溢るる陽気な奴らしい。
正直そんなふうに自由に生きれるのだとしたらとてもとてもうらやましく思うのだけれど。
「いいこと思いついたわ! これならあんたは絶対にあたしを無視できないはず!」
ブンブンと俺の周りをぐるぐるしていたそいつは俺の真正面から顔に向かって飛びかかってきやがった。
だが、これは苦もなく華麗にスルー。
顔に向かって飛んでくる何かを避けるのには慣れているのだ、すまんな。
「むっきー! あんた断りもなく避けるんじゃないわよ!」
いや普通避けるだろ。むしろ断ってる暇がある方が驚きだっての。
「まぁいいわよ、別に突撃しなくても目的は果たせるし! 果たせるし!」
で、なんで俺の頭の上に腰を下ろして髪の毛を引っ張りながらデコの方に降りてくるかね。
「どうよ! これであんたはあたしのことを構わずにはいられないっ、って寸法よ!」
あー、確かにこれなら普通だったら構わないとダメだな。
なんせそのちっこい体で俺の視界を塞いできてるわけだし。
けど、そんなこと俺には関係ないね。大体学校から家までの通学路なら目をつぶっていても間違えないっての。
「えっ、ちょっとー!? 何でよ、なんで視界塞がれたまんまでそんなずんずん進んでいくわけぇ!?
信じらんない! 怖くないの? 頭おかしーんじゃないの!?」
視界の端っちょからちらっと見えてるし音をしっかり聞いてればそうそう何かとはぶつかったりしないっての。
「あぁ、ちょっと止まりなさいよ。赤よ、信号よ! 轢かれるわよ!?」
別に問題ない、車の音もしないし。何よりこんなところを通る車なんかありゃしないっての。
この辺りの別名は『近代魔術師の森』。まぁ別段、幽霊が出るだとか自殺者が多いだとかそういう曰くはない。
じゃあ何でそんな呼ばれ方をしているのかって? 決まってるじゃん、いるんだよ、曰くそのものが。
そいつが誰かって? 俺の祖母だ。
ばーちゃんは、現代の魔女だとか、近代最後の錬金術師だとか言われている。
別に何をしたわけでもなく、というか嫌われ者というわけでもない。
ただ、杜の中にポツンと佇む洋館なんてゴーストスポット紛いなものに近づきたいと思う奇特な人間が少ない
というだけの話だと思う。少なくとも俺はそう思っている。
「信っじらんない! あんたどういうつもりよ!? 前も見ず、信号もガン無視でそのまま歩き続けるとかっ!」
いや、むしろお前がどういうつもりだ。大体勝手に人の視界を塞ぐとか常識ないってレベルじゃねーぞ。
「ンッ! まあいいわ、少し黙っててあげるわよ! お望み通りねっ、お望み通りね!」
なぜ最後を二回言ったし。
まぁ負け惜しみとしてもその方が助かる。
「さて、話を聞こうか。お嬢さん?」
「何よ、あんた。さっきまであたしのことを無視していたとは思えないずうずうしさね」
「ずぅずぅしいとは何事か。大体突然の出来事に取り乱してないことを褒められてもいいレベルだと思うけど?」
「どーだか! ふつーに取り乱してたじゃないの!」
「いや、幻覚を疑うくらいは極々有り触れた対応だろうよ」
「ふん、イーだ!」
小人さんは歯をむき出しにして怒りを表したご様子だった。
「まぁ、取りあえず今までのことは水に流そう?」
「い・や・よ!」
「そりゃないぜ。取りあえず自己紹介しよう、な?」
「あたしのことくらい知ってなさいよね!」
「なんツー理不尽な……、俺は山ノ辺那月(やまのべ なつき)」
「そう、ふーん。山ノ辺、それとも那月?」
「どっちでも好きに呼んでくれ。でそっちは?」
「あたし? んー、どしよっかな」
「いや、まぁ名乗りたくないならいいけどその場合、『おい』とか『お前』とか『小さいの』とか呼ぶよ?」
「名乗るわよ、名乗ればいいんでしょう!? あたしはケセランパセランよ」
「ケサランパサランって、あのUMAか?」
「ユーマじゃないわよ、妖精よ!」
「ほー、そうなんだ。んじゃケサ子な」
「ん、んなー!? ケサ子って、ケサ子ぉ!?」
「なんだよ、不満か?」
「あたしはケサランパサランだって言ったじゃない!」
「だってケサランパサランってなげーじゃん。だから縮めてケサ子」
「子はどっから出てきたのよぉ!?」
「かわいいだろ?」
「かわいかないわよぉ……」
そろそろ本題を聞きたいわけなんだけど、聞いてもいいのだろうか。
「あんた、このやり取りに飽きてきてるわね……、そう思うならもうちょっとあたしに優しくしなさいよ」
「やっぱケサ子ってスゲーね!」
適当におだてておこう。
「ふっふーん。まぁいいわ許してあげる」
「それはよかった。で、ケセ子は何の用があって出てきたわけか?」
「そうよ! 森に出るのよ!」
「出るって何がだよ。幽霊はでんだろ?」
「そんなのはどうだっていいのよ! 出るって言ったらツチノコに決まってるでしょ!?」
「マジ!? 捕まえないと!」
「そうよ、捕まえてよ! そして森から追い出して!」
「はぁ、なんでそんなに必死なんだ?」
「捕食されるからに決まってるでしょぉ!」
なるほど、ツチノコはケサランパサランを捕食するのか。
知らなかった。
「ツチノコの餌ってケサ子たちなの? ケサランパサランあるところにツチノコありってヤツか?」
「ツチノコってやつは基本的に小さい生き物なら何でも食べてくれやがるのよ……。まぁヘビみたいなものね」
なるほど。
捕まえるというのはまぁいい。しかし問題がある。
「で、俺はどうやってツチノコを見つければいいんだ?」
そう、現実世界においてツチノコとはUMAであるのだ。
UMA、Unidentified Mysterious Animalの略で日本語で言えば未確認生物。
ビックフット、雪男、ネッシー、モケーレムベンベ等々、世界中のいたるところに伝わったり伝わらなかった
りする幻の生き物たちのことであり、ケサランパサランもツチノコも同じようにコレに属する。
ちなみに本人は妖精と言い張っているがケサランパサランは純和風なので、実際には妖怪だと俺は思う。
「そんなの見ればわかるわよ! あたしのことが見えてるのにツチノコが見えない道理があると思うの?」
「うぅん、言われてみれば、その通りのような、それとこれとは話が別な気もするような……」
「大丈夫、普通に見えるわよ! あんたはそこんじょそこらの一般人とは違うって!」
「いあ、俺は普通でいいんだけど、というか普通でいたいんだけど……」
「何でもいいわよ! ツチノコを退治してくれたらなんだって!」
「退治つったってなぁ、小さいんならまだしも、ケサ子を丸呑みするくらいにはデカいんでしょ?」
「あたしが感じたのは……」
言い淀んでから、大きく手のひらをぐわぁと広げる。
「こんのくらいよ、こんのくらい!」
「ほぉ、全然分からん。ちょっと待っててくれっか」
「むぅー! このわからず屋! アホ、トンチンカン、ドスケベ、童貞! 童貞、童貞!」
「童貞連呼すんなってんのー!」
俺が探し物をしている背中にあまりにも連呼してきたために思わずスルーに失敗した。
「なるほどね、気にしてるのね童貞なこと!」
「あんまりそういうこというと君のちっこい体を凌辱するぞー?」
「ひぃ!?」
ケセ子はどうやら割と小心者らしい。
大体こんなもんでいいな。
「そんじゃもう一回聞くな。大きさどのくらい? 一番近いのを指さしてくれ」
目の前にそれぞれ二リットル、一リットル、五百ミリリットルのペットボトルを並べる。
「んー! その一番大きいのを三本くっつけたくらいよ!」
なるほど、割とでかいな。
男子でも免疫がない奴なら普通に躊躇するレベルの爬虫類だ。女子ならば言わずもがなだし、五百のペットボ
トルよりも一回りほど小さいケサ子からしてみたらとんでもない大きさの化け物だ。
はて……。
「なー、ケサ子」
「何よ!」
「俺は怖くないのか? ぶっちゃけケサ子からしたら俺ってゴジラくらいあるだろ?」
「はぁーん! そんなことっ、あるわけないでしょ! 何で妖精のあたしが人間を怖がらないといけないのよ」
「そういうもんか。じゃあ俺がケサ子食べるって言ったら?」
「えぇ……? あんた、あたし食べるの?」
「実はずっとおいしそうだなって思ってたんだけど」
もちろん冗談だ。
「ひぃぃ。やめなさいよ!? いやよ、食べてもおいしくなんてないんだからぁぁ!」
めちゃくちゃ声が震えてやがってますよ、こいつ。ちょっとかわいいぞ。
「冗談、冗談」
「ふ、ふふんっ。知ってたわよ、知ってたんだからねそのくらい!」
「ほいほい、分かった分かった。それで俺はどうやってツチノコを捕まえればいいわけ?」
「そんなの自分で考えなさいよ!」
「そーかい、ならちょっと準備してくるから待っとれよ」
必要なものはなんだろな、革の手袋にデカい網だろ、そっから懐中電灯も持ってくか。
ほかには、あぁそうか一応あれとあれも持ってくか。杜の中で使うのはちょっと怖いけど、まぁ定番だし。
「まっこんなもんで大丈夫だろ」
「なぁに、やっと用意できたの? まったく待ちくたびれちゃったわよ!」
「いい御身分ですこと、ほら行くぞー」
「うわ、何その重装備っ! ちょっと引くんだけど……」
「俺は脆弱な人間なんだ、ケサ子たちみたいな不思議生物と一緒にしてくれるなよ。分かるか? 君らは丸呑み
されれば咀嚼の必要もないし自力で浮いてるから最悪井の中でも数時間くらいなら余裕だろうけど、俺らは脆弱
だから噛まれたりして、その牙に毒でもあった日にはもう、すぐにおっ死んじまうんだよ。分かったか?」
「ふーん、人間ってよわっちいのね」
「身体能力的には最弱の生物とさえいえるね」
これは俺の持論である。
「まっ、いいわよ。早く行きましょ」
「へいへい」
ちゃんちゃんちゃんと、やってきましたうちの杜。
直径二千六百メートル、総面積は大体五百三十ヘクタールのうちの広大な森林だ。割とカブトムシとかも取れ
たりするんだぜ。捕まえないけどな!
「んで、どのあたりよ」
「向こうね、このまままっすぐ」
にしても、さっきからすごいぞケサ子のヤツ。長年住んでる俺でさえ目印がなくって迷うこの森の中をグング
ン進んでいきやがる。
俺はケサランパサランことケサ子のヤツを見直しながら何の疑いもなくそのあとをついていく。
だって、相手は不思議生物だぜ? そのくらい、なんかホラ杜の声的な奴が聞こえてるとか思うじゃんか。
「あっ、迷ったわ」
「ケサ子お前……」
あっちゃー、ポンコツだったか。
「何よ! 何の確認もせずにノコノコついてくるあんたが悪いんじゃないの!」
「そうだな、それに関しちゃ俺も同意見だわ」
「ふふーん、そうでしょ。あたしは悪くないわ」
「あぁ、おまえは悪くないよ、初見から漂っていたポンコツ臭に気が付かなかった俺が悪いんだ」
「そうよ! あんたが悪いんだから……、ってぇ! 今あたしのことポンコツ呼ばわりしたわねぇ!?」
「杜の妖精が杜に迷うとかポンコツ以外の何物でもないだろ?」
「うぐぅ、ぐぬぬぬ」
さすがにこれには反論の余地もないらしい。
「んじゃ、ケサ子がツチノコと会った場所ってどこよ」
「えっ? あたし別にツチノコに会ってないわよ?」
「はっ? えぇ?」
「だから、あたしはツチノコに会ってない」
「じゃあどうやってツチノコがいるって分かったんだ?」
「ビビッときたのよ! ビビッと!」
「えぇー、解散!」
そうだった、あの時はというか今までも結局うちの杜でツチノコなんてものは一切発見できずにいるんだった。
ほんとに迷惑な奴だよ、ケサ子は。
そういえば、大体の事件の顛末はこんな感じの益体のなさだった。
たまにはいつも振り回されている分仕返しをしてやろう。
そう思い立ち、出かける用意を済ませた俺はケサ子を家の一室へと案内することにした。
その部屋は俺が五歳の時に封印されて、月一の掃除以外では決して戸が開かない曰く付きのお部屋。
「なーケサ子。出かける前にお前に紹介しないとけない部屋があるんだ」
「何、那月! まだあたしに隠し事してたの?」
そうそう、隠し事。
「ごめんなー、だからちょっとついてきてくれ」
「しょうがないわね!」
そして、俺はそのドアを開く。
「な、に、よ、あれぇ!?」
「うちのペット兼見張り役兼要石のスラ子ちゃんです」
ウニョウニョと床をべったりと濡らしながら動くスライムちゃんがこっちにこんにちはをしていた。
「なんなのよぉぉぉ!?」
訳の分からない知り合いならまかせるんだぜ!
というわけで、俺の楽しい人外ライフは順風満帆、旗色輝かしである。
以上です
お題くれた方ありがとうございました
乙乙
投下しまーす
1989年、ベルリンの壁が崩壊したその年に、台湾の屏東県である事件が起きた。それは実に奇妙な事件だっ
た。その現場にいた全員が笑顔だったことは間違いない。それはまさに熱狂の渦だった。紅潮した肌、額に浮か
ぶ汗。人々の歓声が沸き立ち、拍手喝采が巻き起こった。誰かが害を被ったわけではない。その事態に気付き、
最初に駆けつけた男性は「あれほど幸福と熱気に満ちあふれた刑務所は見たことが無い」と話している。とはい
え常識的に考えて、それは許されることではなかった。
・・・・・
アイビー・リーはそれほど貧しいわけでもないがそれほど豊かなわけでもない家庭に産まれた三女である。二
人の姉については、現在長女は実力派の女優として人気を博しており、次女は国の奨学金を受けてアメリカに留
学したあと研究機関に就職した。アイビーは高校を卒業した後大学に進まず、定職にも就かず、仕事を点々とし
てそこそこの生活を送っていた。配偶者は居ない。長女のような華々しい容姿もなければ、次女のような明晰な
頭脳も持たなかった彼女は己に誇るところを見いだせず、引っ込み思案で人見知りな性格に育ち、特に親しい友
人もいなかったという話である。
アイビーはとくに親戚の集まるイベントが苦手だった。やはり二人の姉が脚光を浴びる一方で、自分の惨めさ
が強調されるためだった。
彼女には将来の目標らしいものは無く無為な日々を送っていたが、一人アパートに帰って布団に入ると、自ら
が多くの人間に囲まれて賞賛される夢を見た。そこでは両親は自分を誇りに思い、親戚たちは自分を育てた両親
をしきりに褒め称えるのだ。もちろん目が覚めれば、ただただ虚しい思いをするだけだったが。
そんな彼女が屏東県の南端にある刑務所に就職したのは1988年の春、年齢は23歳だった。
その刑務所は民間に委託された新しい民営刑務所で、とくに資格を必要としなかったうえ、接客することもな
いし、同僚とのコミュニケーションもそう多くなく、肉体労働もないという条件の職場だった。給料は高くない
し交通は不便だったが、アイビーにとっては願ってもない環境だった。
刑務所は何も無い平地にぽつんと建っていた。外見はローマのコロッセオを思わせる平たい円柱形で、工場の
ような無骨な灰色だった。風の強く吹く地域だったため、終始雑草が左右に揺れ、砂埃が巻上って空気を黄色く
染めた。しかし刑務所だけが絵の具をべっとりと厚塗りした油絵のように微動だにしなかった。
「この刑務所はパノプティコン構造って言うんだよね」
60代と思われる禿げて太った所長がアイビーに説明した。
「パノプティコンっていうのはさ、つまり刑務所の人件費を抑えるのに最適なんだよね。囚人たちを入れる部屋
がバームクーヘンみたいに円形の建物の中にあって、監視はバームクーヘンの穴の中から360度全ての部屋を見
渡せるってわけなのね。一人で全ての囚人を監視できるっていうのがスゴいとこよ。ホントは人間一度に周囲を
見られないけどさ、監視は首をくるっと回せばどの部屋も瞬時に見られるわけでしょ。囚人からしてみれば、い
つ監視が自分の方を見るかわからないから、結局は常に監視されてるのと同じってわけなの」
実際に建物の中を見てアイビーは驚いた。
ペットショップの犬猫のショーケースのような監獄が円形に並んでいて、部屋は三階まであった。円の中心に
は灯台のようなものがあって、監視は灯台の中に入って監視業務を行うようになっていた。
異常が発生した時ただちに非常ベルを鳴らすのが監視の仕事で、異常発生後の事態鎮圧を行うのは別の部署の
仕事である。つまりアイビーは決まった時間この灯台の中に座って囚人を監視し、何かあればそれを知らせるだ
けで良い。刑務所の監視が世間体の良い仕事でないのは確かだが、とりあえず明日食う飯を買えれば良いと考え
ているアイビーにとって仕事は楽なものほど良いのである。
・・・・・
それから半年ほどアイビーは真面目に勤務を続けたという。監視交代のときくらいしか同僚と会う機会がない
仕事だが、そのときでさえアイビーは会釈するだけで口もあまりきかなかった。そういう彼女のイメージを持っ
ていた同僚たちは、何故あんな事件が起きてしまったのか、まったく理解できないという。
・・・・・
勤務開始から半年が過ぎたころから、アイビーはある囚人に悩まされるようになった。
大抵の囚人が寝転がったり、本を読んだり、手紙を書いたり、筋トレをしている中、その二階北北東に居る囚
人は終始灯台を見つめているのだ。もちろん、灯台の監視をからかうような連中は何人もいた。しかし無視を決
め込めば、すぐに飽きて無駄な体力を使わないようになった。
その囚人もそういう類いのいたずらをしているのだと思って、アイビーは無視を決め込んだ。
しかしいつちらりと視線を向けても、彼は飽きること無くじっとアイビーを見つめている。彼女はその視線が
いやでたまらなかった。
来る日も来る日も、囚人はアイビーをじっくりとねっとりと見つめた。彼女はそれを誰にも報告しなかった。
報告すれば、あの囚人のもとに「監視のほうを見るな」という注意がなされるだろう。しかしそれは囚人のいた
ずらにこちらがこたえているという証拠になってしまう。それでは相手の思うつぼだ。彼女と囚人の静かな闘争
はしばらく続いた。
ある日変化が現れた。いつものように例の囚人を無視して周囲を見回すと、二、三人がこちらを見ていたの
だ。最初、アイビーは例の囚人が他の連中にもいたずらを広めたのだと思った。いよいよ面倒なことになったと
気持ちが暗くなった。
ところが、事情が少しちがうらしいことにしばらくして気がついた。例の囚人が、苛立ったように、アイビー
を見ている別の囚人を指差し怒りを露わにしているところを目撃した。また囚人たちがただ見つめるのではな
く、手紙の便せんを折り紙にしてアイビーに見せたり、服を脱いで鍛えた筋肉をみせたりし始めたのである。
囚人たちは口裏を合わせて一緒にいたずらをしているのではない。彼らは競ってアイビーの視線を得るために
アピール合戦をしていたのである。
ある者は手を振ってみたり、ある者は下品に腰を動かしてみせたり、その方法は多種多様だった。
そしてアイビーが視線をやって眼が合うと、嬉しさを隠さずに飛び上がってみせたり拳を突き上げたりした。
どうあっても彼らに指一本触れられることが無いアイビーはこの事態に恐怖心も覚えなかった。
むしろどこかくすぐられるような気持ちーーそれは彼女にとって初めての感情だったーーになった。いつの間
にか、わざと視線を向けずに焦らしたり、サービスしてウインクするようになった。そうすると檻の中の男たち
は大喜びしてみせる。見知らぬ快感の芽が胸の内に生まれ出て、急速に成長しつつあった。それは根を張り、葉
を広げ、今にも花びらを開くところだった。ことここに至り、異常性も忘れ、この現状を楽しむ自分がいること
にアイビーは気付いた。
それは天体が動いているのではなく、地面が動いているのだと気付いたの同じくらい、大きな転回だった。
・・・・・
そしてあの日、ベルリンの壁が壊れた年、地球は動き始めたのである。
いつものように出勤し、薄灰色の制服で灯台に入ったアイビーは、やはりいつものように椅子に座って監視を
始めた。アイビーが来る時間をしっかり把握している囚人たちはすでに檻にすりよって灯台に向かって各々のア
ピールを始めていた。
しかしいつも以上にアイビーは無愛想で、反応を見せない。囚人たちのアピールは次第しだいに勢いを失って
いった。
ふとアイビーは立ち上がり、椅子の上に登ってぐるりと周囲を見渡した。
なんだなんだ、と囚人たちは怪訝そうに灯台の中のアイビーを見た。
アイビーは後ろにまとめた髪を解き、前髪を思い切りかきあげる。そしてゆっくりと上着を脱ぎ始めた。観衆
は息を飲む。アイビーは腰を左右にゆったりと振りながら、色気の無い灰色のズボンをおろしてゆく。柔らかそ
うな白い太ももが露出する。
囚人たちの歓声がわき上がる。スリッパで檻を叩く。指笛を吹く。アイビーの指一本の動きにどよめき、静ま
り返り、再び興奮の叫びをあげる。
アイビーは黒い下着だけの姿になって自らを取り巻く観衆に身体を見せつける。彼女の心臓はかつてないほど
激しく高鳴っている。指先が緊張と興奮で震えていた。服を一枚脱ぐ度に歓声が沸き上がる。その度に背筋に熱
い液体をそそがれる様な感覚が襲った。脳の奥からじゅわじゅわと何かが滲み出している。
決して女性的に優れた肉体なわけではない。胸もないし背も高くない。しかしそんなことは関係がなかった。
露出されたのかむき出しのアイビーの魂であり、囚人たちにもそれがわかっている。
熱いスポットライトが全身を照らしている。焼けるような快感、汗が粒となり肌を濡らす。
パノプティコンの刑務所内は熱気に包まれていた。今やアイビーはブラジャーのホックを外し、胸を手で覆っ
ている。しゅるりとブラを下ろしそれを放り投げる。挑発するように周囲を見渡す。右腕で両胸を抑え、左手を
パンツのひもにかける。爆発したような男たちの声で建物が振動した。ガリレオ・ガリレイも大声で地動説を叫
んだ。
騒ぎに気付いた警備員がやってきたのはそのときだった。
・・・・・
もちろんアイビー・リーは解雇処分となった。地元誌によれば刑務所はパノプティコン構造にも問題があると
して、灯台の窓はマジックミラーで覆い、囚人たちから監視の姿が見えないように改善する予定だという。
所長は真面目な所員の起こした事件に関して「アイビーは真面目で静かな女性でしたね。何故こんなことに
なったのか、さっぱりわからない」とコメントした。アイビーの心の中で何が起こったのか知っているものはお
そらく誰もいないであろう。彼女には恋人もなければ友人も無く、親戚とだって付き合いがなかったのだから。
その後彼女がどこへ行ったのかは明らかになっていない。ゴシップ誌にはストリップ・覗き部屋界隈で有名な
女王になっているという記事が掲載されたが、根拠の無い噂話に過ぎない。人々は関心を失い、事件のことはす
ぐに忘れられた。
確かなことは、壁はこわされたということだけである。
おわり
以上です
気軽に読んでいただけるとうれしいです
>>70
読みました。綺麗にまとまった作品だと思います。
1点だけ指摘するのなら、論評記事のような文体でありながら唯一刑務所長がアイビーに
パノプティコンを説明するセリフだけが普通に入っているのが浮いているのかな、と。
そこまで違和感があるというわけではないですが。
いっそ架空の(過去の)ニュースを伝える記事という体で、そこも最後の所長のコメントみたいに、
「確かこういう説明をしたはずです」みたいなインタビューの形式にしても面白いかも、と思いました。
>>76
読んでくれてありがとう
最後のレスで「露出されたのかむき出しの…」ってあるけどほんとは「露出されたのは」って書きたかった
推敲しっかりせんといかんですな
お題くだち
霹靂
完結したので投下します
「私が生まれるずっと前、あの空はいつも晴れていたんだって」
彼女は口元を覆う防塵マスクをずらしながら、しかし視線は双眼鏡から外さずにボクに告げる。
ボクはというと、彼女の真似をするようにどんよりと蠢く鈍色の空を飽きつつもただ眺めていた。
「あの灰色の霞が一面真っ青なの、想像できる?」
「見渡す限りが青一色だなんて、少し怖いね」
彼女は僕の面白味のない返答にふくれながらも、双眼鏡を持ち上げる腕を休めることはない。
もし赤色なら、彼女のように包丁と仲が良くなければよく目にすることができる。 緑色ならば道に積もった灰をどかせばすぐに会えるだろう。
青は人工物でしか見たことがない。 海沿いの土地に住んでいればすぐに見つけられるだろうが、生憎とこの辺りは鶯色の山に囲まれている。
「テレビもラジオにも砂嵐は飛んでいなくて、雨の日じゃなくても傘は差さなくてよかったの」
そう言って彼女はようやく双眼鏡をおろし、肩や髪に積もった灰を払い落してボクにしたり顔混じりの微笑みを向ける。
気恥ずかしさから逃げるように、ボクは目線を慌ててレンズの向こうに逸らした。
肌寒さを覚えながらも双眼鏡を覗き込み、あるかどうかも分からないサザンカ前線を探す。
今日こそ"青空"を見れるかもしれない。 制止するボクを振り切って飛び出した彼女は、そう言い残して台風のように去っていった。
遅れて荷物を彼女に届けるのはいつもボクの役割だ。
「あ……今」
ふいに彼女の声が投げかけられた方向へと目を向ける。
一見いつもと変わらない灰空に目を凝らすと、濡れた指でこすられたように色が滲み、波打つベールに似た濃淡が現れていた。
こちら側はより深い燻し銀、あちら側には水色を一滴落とした藍鼠。
「思ったより薄いね」
「でも、蒼いわ」
緩慢に、けれど着実に青を重ねていく蒼空は彼女の注意を一点に集めて離さない。
それがなんだか気に入らなくて"これ以上青くならないで"と祈ったけれど、空はそんなボクに構わずどんどん表情を変えていく。
気付けばボク自身もあのどこまでも蒼い青に目を奪われていた。
「不思議ね……どうしてあの蒼は、どこを切り取ってもみんな決められたように同じ青なのかしら」
「だけど、なんだか作り物の気がしない。 きっと空は大昔からあの醒めるような蒼だったのね」
くいと引っ張られるような感覚。 そこで彼女の指がボクの上着の袖を掴んでいることに気が付く。
あの影一つない蒼空の向こう側には限りがあるのだろうか? 灰に満ちたこの世界こそ作り物ではないだろうか?
ボク達は引き延ばされた時間の中で、ただただ灰空の裏側を眺め続けていた。
「あれは何?」
彼女がそう呟いた刹那、灰の切れ間から覗く蒼空に光の裂け目が走った。
遥か彼方を覆う偽物の雲は、その裏側で瞬く稲光に合わせて古ぼけた電灯のようにせわしなく点滅している。
「あれは……稲妻だ」
「イナヅマ?」
「空がいつも晴れていた頃の自然現象だよ」
帯電した灰が裂けることで放たれた電子が、蒼空を跨いで橋を架けるようにまた別の灰へ。
空がひび割れないかしら、という彼女の問いに相槌を打つやりとりをいくつか繰り返したあと、予期せず訪れたそれにボク達は息を飲んだ。
――――――――轟ッ!!
この曇天の空を埋め尽くすかのように弾かれる閃光。
網膜を焦がすほどの輝きに囚われた意識は、遅れてやってきた怒号に大きく揺すぶられる。
濁流のように叫びを上げた大気は、宙に漂う灰燼に乗って伝播していく。
そうしてボクに届いた揺らぎは全身から侵入して内側で何度も反響したあと、じりじりと肌を掻き鳴らしながら去っていった。
「あの煤まみれの空は、こんなものまで私達から隠してきたのね」
雷は、さらに古い言葉で神鳴りと書くらしい。
雨の涙を流す神、その口から漏れた嗚咽がボク達の住む地上に響いているさまを指しているそうだ。
ならばこの蒼空に轟く神鳴りは、きっと久しぶりにあの澄み渡る空色を見て感嘆の声をあげているのかもしれない。
舞い上がる灰が地上へと差し込む光芒に照らされて燦然と煌めき、一筋の梯子となって埃を被った舞台に踊り出る。
それからしばらくは灰色の世界に広がる蒼天に、いつまでも嬉しげな霹靂が響き渡っていた―――――
以上です
お題くれた方ありがとうございました
>>81
読んでると絵が頭のなかにスッと浮かんでくるような作品だ
とても好きだ
お題くだち
劫火
完結したので投下します
「思い出してほしい。 私達は燃やすことができる」
いまだ震えの鎮まらない手に乗せた紙屑を掲げ、迸る紅蓮で包み込む。
原理は知らない。 科学の範疇にあるのかもしれないし、私の考えるように人智を逸脱した現象なのかもしれない。
とにかく私には燃やせるということに気づき。
私以外にも燃やすことができるということを知るために実験した。
「やめ、うア゙」
得られたものは塩の塊へ姿をかえた野良猫、そして手足にへばりつくような恐怖。 埋められるべき孤独は敵愾心で満たされていく。
こいつは本当に今まで燃やせるということに気づいていなかったのか? お前などいつでも殺せるという警告ではないのか?
燻る疑惑は止められない。 どちらにせよこいつは私と同じなのだ、迷っている暇はない。
燃やされる前に、燃やしてしまえ。
足音が聞こえる。
彼女を燃やしているところを見られたかもしれない。
脈がうるさく鳴り響く頭の片隅で、私は一つの結論に辿り着いた。
人は燃やせるのだ。 誰も自覚していないだけで、おそらく誰でも。
こみ上げる胃液を抑えつけ、むさぼるように肺へ空気を取り込む。 それから酸素の足りていない脳で逃げるように思考を巡らせた。
なぜ今まで誰も気づかなかったのだろう? 私のような子供が思いつくほどには単純な発想だというのに。
熱を帯びた脳裏で想像する。 誰もが燃やせるという社会を。
人ひとりを跡形もなく灰に還すことのできるこの焔は、絶対に裁くことができない。
なぜなら拘束したところで、人も建物も燃やし尽くせばいいだけのことなのだから。
人がこの火から自衛するためには、そいつに燃される前にすみやかに彼を殺せばいい。
善人にも悪人も等しく危険に晒される社会―――そんなものが果たして存続可能だろうか?
自分を安全な人間だと主張するつもりなら、私には燃やすことができないと騙ればいい。
それを証明するつもりなら、一度も誰も燃やさなければいいだけのことだ。
そうしていくうちに、いつしか人は燃やせるということを忘れてしまったのだろう。
だが、燃やせるという事実が消え去ったわけではない。
「大丈夫かい?」
全身がびくりと引きつる。 呼吸のために俯いていた上体を起こすと、見知らぬ男が珍しいものでも見たかのような表情を浮かべていた。
そこで私は思い出す。 あの時の足音はこの男のものではないか?
そのぎこちない作り笑いは、きっと私の警戒を解くためのものだろう。
―――私を燃やすために。
私は駆け出した。 追ってきたので燃やした。
視界の外から大きなクラクションが聞こえる。 車ごと燃やした。
それを見た若い夫婦が叫びを上げた。 燃やした聞きつけた人がやってきた燃やした燃やした燃やした燃えろ燃えてしまえ。
燃やすことのできる側の人間である私に、この社会のどこにも居場所なんてない。
こんなつもりじゃなかったのに。 ただ私を理解して欲しい、それのなにがいけなかったと言うのか。
いまや世界のすべてが私の敵であり、すべての他人は私を燃やせるかもしれない脅威に過ぎない。
ならば燃やしてしまえばいい。 私を認めない世界なんて灰になってしまえ。
しかし世界中を火の海にするには人手が足りない。 どうすればと考えていると、ふと疑問が浮かび上がった。
どうして人類はいままで絶滅しなかったのだろう? 全員が燃やせることに気づけば、この程度の被害では済まないはず。
隔たりがあったのだ。 それは時間的であり、空間的でもある。
そして今の私には、すでにそれを解決する手段を知っていた。
私は携帯端末を操作し、ストリーミング放送サービスにアクセスする。
ディスプレイの向こう側へ呪詛を吐く私を止められる者はもういない。
「思い出してほしい。 私達は燃やすことができる」
紙屑の燃えかすをつまみ上げ、吊り上がる口角も隠さず私は淀んだ感情を投げかける。
「これと同じように、あの建物も燃やした。 大勢焼き殺した」
私だけこんな思いをするなんてあんまりだ。 おまえらこそ自分達の撒いた火種で自滅すればいい。
「なにも特別なことじゃない。 これを見ているあなたにもできること」
この汚らしい人間どもを一匹残らず焼き尽くせるのならば。
「たった一度"燃えろ"と念じればいい。 ここで私を殺さなければもっと人が死ぬ」
もはや私さえも必要ない。
「さあ、私を燃やしてみろ」
―――私の身体はたちまち燃え盛る焔に包まれた。
これでいい。 言葉のウイルスは情報機器を介し、不特定多数の脳へばら撒かれた。
私を燃やしたことにより、彼らは燃やせるということを自覚したのだ。
劫火の連鎖は止められない。 この世は燃え広がる死によってたちまち灰と化すだろう。
そういえば、どうして私はこれほど世界を憎んでいるんだっけ。
理由は忘れてしまったが、もはやそんなことはどうでもいい。
きっとこれは復讐だ。
みんな燃えてしまえ。
以上です
お題くれた方ありがとうございました
乙です
激しいのに寂しいなぁ……
お題下さい
鯉のぼり
把握
おっ、新しいの建ってたんだ。
せっかくなんでお題ちょうだい。
諸刃
>>95
遅いかもしれないけれど感想を。
色々と考えさせる小説で面白かった。
ある力を持った子供がいて、その力を止めるために力を使った人間がいる。
一つの存在が他の存在より大きな力を持つと、他の存在を容易に信用できなくなり、他の存在もその力を持った唯一の存在を信用できなくなる。
うまく言えないけど、戦争とか、もっと身近な争いでも、こうやって相手を信用できないことによる恐怖で、被害が大きくなっていくんじゃないかなと感じさせられた。
例えば国同士でも、抑止力のために力を持ったり、自らが襲われるかもしれないという恐怖、想像に取り憑かれて、力で相手を抑えたり殺したりしてしまう。
たいていは自らの想像が自らを殺すみたいな感じなんだけど、恐怖に勝てる存在なんてそうそうないし、ましてや子供だと恐怖には勝てない。
この主人公も、もっと言葉でコミュニケーションを取って信用を築いていけたらよかったけれど、子供が力を持つというのはやはり危険なことなんだと思う。
個人的に戦争を思い浮かべたけれど、そういう観点で見ると、『燃やせる』も核爆弾なんかに思えるし、
まあたぶん戦争だけじゃなく、いろいろな方向に想像させられるような、普遍的に訴えかけられるいいテーマで、読んでいる人の想像力に訴えるような小説だと思った。
読みやすかったし、面白い。燃やせるって設定もいいと思う。
>>101
把握。ありがとう
>>102
感想ありがとう
ついでにお題くだち
ラーメン
>>105
把握。少し間を置いてから投下します
お題ください
時計
時計、把握しました
文才あるよ
お題下さい
泥棒
最近書けないなぁ……
週末まで妄想のモチベが続くようなお題下さい
ラストゲーム
把握
あげ
あげ
お題くらさい
あと人いるかわからないけど月末品評会やらない?
わおこのスレ生きていたのか
自然消滅したとばかり思っていた
>>118
再会
お題ください
>>119
健康診断
>>119
歯車
>>118
仕切ってくれるならやる
やるなら参加するで、品評会
お題plz
>>123
電光石火
俺もお題欲しいな
>>125
エコバック
そ
>>125
さんくす
>>126
ありがとう
再開したときの例に倣いつつ仕切っちゃうね
来月1日は水曜日なので日曜日しめきりということで投稿期間は5日にしますね
期日前投稿は・・・どうしましょうか
個人的にはアリだと思いますけど
投稿期間:2016/06/01(水)00:00~2016/06/05(日) 24:00
宣言締切:三日24:00に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※
投票期間:2016/06/06(月)00:00~2016/02/12(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※
※※※注意事項※※※
容量は1レス30行・4000バイト、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)
あと月末品評会お題とレス数をささっと決めよう
お題は参加しやすいようにと再開ということで2つ決めます
どちらかのお題でもどちらのお題を使ってもok
みなさんの意見もあるでしょうから数レスあけておきます
お題>>135-136
レス数>>137
こんな感じでやってみましょうか
投票期間なんで2月になってんだよお・・・
6月12日の日曜日ですね・・・・サーセン・・・
ksk
加速しますね
このぎりぎりのタイミングで……
お題下さいww
幼稚園
異能
10
いまさら気づいた6月〆切にしたら月末じゃねえじゃん・・・ww
今回は混乱をさけるため日程はこのままとします
2016年5月末品評会
お題『幼稚園』『異能』
制限 10レス以内
投稿期間:2016/06/01(水)00:00~2016/06/05(日) 24:00
宣言締切:三日24:00に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※
投票期間:2016/06/06(月)00:00~2016/06/12(日)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※
※※※注意事項※※※
容量は1レス30行・4000バイト、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)
こんな感じで今回は開催します
テキストぽいとかはわからないです
ここ落ちないの?
( 」´0`)」投稿期間になりました。もう6月ですね
幼稚園と異能だけでオラワクワクすんぞ
うーかけないぞー
焦り焦り
宣言締め切り今日になってるけど、これ5日の間違い?
今日ならもう間に合わん
>>来月1日は水曜日なので日曜日しめきりということで投稿期間は5日にしますね
ということですね
まだ誰も投稿してないのでひっそり投下
ねえ、先生?
先生は生まれた頃の体重を覚えている?
私がこの世でもういちど産声を上げたとき、この身体は二九八二グラムだったんだ。
三度目は二九六一グラム、その次は二九四〇グラム。
そして先生と向かい合っている今の私は、かつて二一〇〇グラムしかなかったんだよ。
二一グラム。 人間は死ぬと二一グラムだけ軽くなるんだ。
それが魂の重さで、ヒトが生まれ直すたびに削り取られていく真の寿命の単位。
世界が神様の寵愛に包まれて、私達がお葬式をあげなくなってから人も国も変わってしまった。
国家はとても喜んでいるね。 福祉資源を掠めとる老人達を、赤ちゃんへリサイクルできるんだもの。
道徳は命の価値がどこかへ飛んで行ってしまって、思想と経済価値だけが人の脳を支配している。
だけど擦り減っていく魂のことなんて、誰も彼もが目を背けて見ようともしない。
いのちを大切にしましょうなんてお題目はね、つまるところ多数決なんだよ。
邪悪な国を滅ぼしましょう、邪悪な宗教を排斥しましょう、邪悪な犯罪者の首を吊るしましょう。
どこまで行っても正義の多数決。 大義名分を担ぐための、その場しのぎの言い訳。
なら、殺すべき悪が殺せなくなったら?
誰も死ななくなったから人は増え続けるけれど、そのしわ寄せで世界は狂気に溢れかえっている。
当然だよ。 獄中の犯罪者たちが次々と来世へ脱獄していったんだもん。
政府はこれを恐れて自殺を禁じているけれど、こんなのは時間稼ぎにもならないよ。
人は無限に生き長らえさせられないからね。
罪を犯すのは犯罪者だけじゃない。
今まで社会的な制裁を恐れて罪を犯さなかった人達も、一度剥げた仮面をもう被り戻そうとは思わないんじゃないかな。
みんなの心から、犯罪に対する抑止力が消え失せたんだ。
たとえ生き返り続けても、それでも人は永遠に生き続けることはできないよ。
先生は死んだことある? 私はもう何度も。
初めは人工呼吸器が外されて、ベットの上で溺れ死んだんだ。
感覚も記憶も思考も細切れに昏く塗りたくられて、重く淀む喪失感に溶けて消えた。
失くした全てを取り戻したのは、自我が芽生える三歳頃のことだったかな。
次の最期は餓死だったよ。
私の里親は気づいたんだろうね。 愛しているのは私じゃなく、私を育てる自分自身ということに。
飢えが鳴り響く耳の奥で、最後に鼓膜を打ったのは"次の人生で幸せになってね"という声だった。 冗談じゃない。
その次は……ああそうだ、この頃から生き返った人間に対する風当たりがおかしくなっていったんだった。
荒れ狂う激痛の中、私は犯されて死んだ。
怒張が突き入れられる度に飛び散った血が施設の床を汚し、気がつけば内臓があちこち破裂して死んでいた。
四度目は知らない。 多分自我が目覚める前に死んだと思う。
そうして五回目の生を受けたとき、私の中から一〇五グラム分の正気はすでに無くなっていたんだ。
そこで私は気づいたんだよ。
一つ、人の心は何度も死に耐えられない。
二つ。 人は一定回数を死ねば、あとは勝手に死に続ける。
死ぬたびに軽くなるこの身体は、いつか自発的に生存できる境界線を越えてしまうに違いない。
たった一〇〇〇グラムの胎児が、どうやって生きていけるのだろうね?
私はこの事実を歓迎したし、これに気づいたときは舞い上がるような気持ちだった。
あと何度か死ねば、私はもう生き返らなくて済むんだ!
それじゃあ、あとどれだけ? 私はそれまで何回死ねばいいの?
私がそこへ辿り着くまで果たして正気を、私の心を保ったまま死ねるばずがあるのかな。
記憶は脳に打ち付けられた楔だった。 自我は身体を縛り付ける茨だった。
生きていても死んだとしても、私の魂は濁りきった未来に怯え爛れていく。
ふと抱えた膝から顔を上げると、周りの子供たちが私に声をかけていた。
彼らは私と同じで、すでに何度も死んできたらしい。
そのとき私はたった一人の孤独から救われて、思わず同じ境遇の仲間たちに泣きついたんだよ。
だから、彼らが私に殺してくれと頼んだ時は本当に悲しかった。
それでも私は、彼らの気持ちを理解できないわけがなかったんだ。
先生?
みんながいなくなったのは、私が一人残らず殺してあげたからなんだよ。
死は救いだった。 神様は私たちからそれを取り上げてしまったんだ。
人が永遠の生を享受するには、きっと私たちの魂は軽すぎたんだね。
すでに私の魂には八八二グラム分の穴が開いてしまって、継ぎ足された狂気が私を少しずつ薄めていく。
それでも私は、魂のないゾンビとしてではなく。
人として死にたいんです。
だから先生、最後のお願い聞いてくれますか。
どうかわたしを。
殺し続けてください。
以上です
お題のこじつけ感は大目に……
投下します
高校進学を機にスマートフォンを持つようになって、SNSが持つその一種の力のようなものを初めて実感し
たのはいつ頃だったろうか。
それまでもTwitterというSNSが存在していることは知っていたし、それがどのような機能を持ち、人々が
どのように利用しているのかもある程度理解しているつもりだった。
だが、実際自分がTwitterに登録して利用して見ると、それまで知っていた知識とは比べ物にならないほど
の大きさの人と人の繋がり、そうまるで巨大な組織のようなある種の大規模なコミュニティが形成されてい
ることに僕は気がついた。
そう、思い出した。はじめにこのTwitterの恐ろしい力を実感したのは、去年、僕が高校一年生の時だ。
クラスの所謂リア充グループに属する、仮にここではA君としよう、その彼が引き起こした、いや巻き込まれた、
被害にあったとも言えるそんな事件がきっかけだったと思う。
一年生のはじめの頃、まだクラスのみんなが馴染めていないときだ。なんとなく近くの人同士で携帯電話の番号、
メールアドレス、そしてTwitterのアカウントを教えあおうという空気ができていた。人見知りするほうの僕ですら、
高校進学したばかりの高揚感とその場の空気に流されてアカウントを作ったものだった。
しかし、ただ一人その空気に混ぜれない人間がいた。彼のことをここで仮にB君としよう。いまどき携帯を持って
いない高校生なんているはずがなくB君も携帯電話は持っていた。しかし、彼が持っていたのはスマートフォンでは
なく、かなり古いタイプのガラケーでTwitterをすることができなかったのだ。
はじめはそのB君の持っていたガラケーの物珍しさと、彼をいじるネタな部分があり、別段険悪な雰囲気はなかった。
だが、やはり高校生活を送るうえで一人だけ情報をみんなと共有できないというのは、きっと、親や教師ほとんどの
人間が想像しているよりずっと大きな問題があったのだろう。
次第にB君を弄る行為はエスカレートしていき、その中でも特に酷かったのは先ほどのA君だった。
A君はクラスの人気者であり、成績も優秀、不良のような素行はなく教師からの評価も悪いものではなかったと思う。
そして彼はみんなを笑わせるのが得意で、つまりそういったお笑い芸人的な要素でクラスの地位を獲得した人間だった。
彼はある時、ガラケーを操作しているB君をスマートフォンで撮影してTwitterのアカウントに画像つきでツイートした
のだった。そして、このA君のツイートはクラスの中で反響を呼んだ。良い意味で。
このツイートはたちまちクラスの中で笑いの種となり、大量の「いいね」を生み、リツイートがリツイートが呼び、
やがてクラスの輪から飛び出し他のクラス、他の学年へと飛び火していった。
これが、きっとA君が想像しているよりみんなにウケてしまったのが、この行為をエスカレートさせてしまった
原因だったのではないだろうか。
やがて「今日のB君」というハッシュタグを付けられたB君の画像つきツイートが毎日のように投稿され、中には
それを真似する人間も出てきたが、やはり最初にはじめた人間というのは著作権や特許がそうであるように一番偉い
ものだ、A君は学校一の人気者という地位を不動のものにした。
だがあるとき事件が起きた。
数週間後に全校生徒での球技大会あり、体育の授業でそれぞれ出場する競技の練習をしていたときだった。
B君はサッカーに出場することになっていたため、同じくサッカーに出場する生徒たちと校庭でボールを追いかけて
いた。その中にA君もいた。
B君は足元に転がってきたボールを思いっきり蹴ろうと足を振りかぶり、ボール目掛けて勢いよく足を振り下ろした。
だが、B君の運動神経が悪いのか、ただ単に運が悪かったのかはわからないが、B君のシュートはそれはもう見事な
空振りに終わり、彼は勢いそのままに顔面から地面に転がったのだった。
それを見たA君は、まるで大物が釣れたと言わんばかりに意気揚々とスマートフォンを取り出すと、B君の泥と鼻血に
塗れた無様な面を撮影して、すぐさま「今日のB君」をツイートしたのだった。
それが不味かった。
B君が間抜けに転がったのを見たほかの生徒たちも彼を囲み「大丈夫かよー」と笑いながら声をかけていたのだが、
そのB君を取り囲んでのはA君が撮影した画像はまるで、集団でリンチされている被害者の図そのものだった。
そのツイートはたちまち波紋を呼び、やがて学校内の輪を飛び出し、まるで関係のない赤の他人の目にも晒され、
やがて全国区で取り沙汰されるニュースになった。
A君、およびに「今日のB君」をツイートしたことのあるものは全員もれなく退学処分となった。
学校側の処分に疑問視する声もでたそうだが、ではいったい誰が真に悪いのかどうやって線引きをする?
全世界へと通ずるネット上に、毎日本人の預かり知らぬところでその画像を上げ続けることは間違いなく
モラルに反する悪なのだ。そして直接画像を上げていないがそれに反応したものも、やはり同じように加害者で
あることには変わりないのだ。
ならば学校側としてはわかりやすく「今日のB君」をツイートしたことのある人間と、そうでないもので区別
するしかなかったのではないだろうか。
ねえB君、未だガラケーっていうのはどうなの?」
「だから、おれは家に自分用のパソコンあるからいらないの」
「ふーん、最近はTwitterよりLINEでみんなやりとりしてるんだよ」
「知ってる、けどおれ友達、お前しかいないからやっぱ必要ない気するんだよなあ」
「このLINEってのうまく使えば、また僕と君で裁き下せるんじゃない?」
「お前、ほんっとそういうの好きな」
「だって悪人を裁くのって気持ちよくない?」
「まあね」
SNSというある種ひとつの力のようなものに僕が魅かれてしまったのはいつの頃からだったろうか。
この力は別に僕だけが持っているものじゃない。
A君も、B君も、そこら中にいる有象無象の人間たちの手のひらの中にその力は存在している
はい、30秒で間に合わなかったので時間外となります。ありがとうございます
小説らしきものを久しぶりに書いたので感想が欲しいです!
ちなみに今回主催しました。
締め切り期間などで不備があり大変申しわけございませんでした
次回開催はテキスポ?なども調べてそちらのほうでも呼びかけしてみようかなと思っております。
常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)◆NSr7d3y3ORk4氏
求めたのは21グラムの魂と君の言葉ェ・・・・
自分も伊藤計劃好きなんですよ(屍者の帝国は劇場版を見ただけですが)
ほんとね「人間は死亡すると生前に比べて体重21グラムほど減少することが確認されてるいる」
ってこのフレーズとそこから始める冒頭部分大好きなんですよ!!
故にこの話はあまりにもその設定に頼りきった、ほんとんどそれだけで◆NSr7d3y3ORk4氏の加えたアレンジも、むしろ薄めただけ?で・・・
説明しないとあれな部分もあるけど説明部分をもう少し省いてでも、物語として昇華してほしかったなあ・・・
ところどころに散りばめられた伊藤計劃要素もあるけどうーんですね
そういえば「屍者たちの帝国」ってアンソロジーも出ているんですよね。読みたいし読む時間も欲しい。
今回自分は投票も関心票もなしにします。
それと自分の作品は時間外ですので、次のお題は2016/06/12(日)24:00投票期間終了後 ◆NSr7d3y3ORk4さんお題発表お願いいたします。
スケジュールの調整、テキストポイのほうへの呼びかけのなども調べて自分がやりたいと思いますので(遅れたらすいません!)お題のほうだけ考えておいてください!
すいませんほんとこんな感じでいいのかな?ってか人いんのかな?
こんな感じでやっていきたいと思いますー
問題点などございましたら指摘のほどお願いいたします
感想ありがとうございます
元ネタはダンカンマクドゥーガルの実験です
お題plz
夕立
っぽいかな?
了解
クソ暑かったので夏っぽいお題ください
しろくま
品評会お題まだー?
反応ないね日曜日まで発表なかったらまた安価でお題決めましょうか
っていうか人いるのかな、お題に即レスつくあたりいないことはないんだろうが
ってか感想ほしかった・・・
スレ立てた方が読者付くもんなあ
いっそのこと分離式にする?
割と>>167が名案な気がするがどうだろ
お、O
別人だしそもそも日跨いでるんだが…
分離式とは?
ただお題を投稿するだけのスレと、いきなりお題に従った小説が投稿されるスレという2匹の怪物が爆誕する
はいはーい品評会お題きめちゃいますよー
さくっと決めても締め切り2週間くらいしかないけど大丈夫かな?
意見あったらお願いします
あと勢いのないこのスレで安価もあれなので、お題に関して一つ制限を
お題の頭文字は「な」で決めてください
なんとなくの「な」です
お題>>174
レス数>>175
ななし
あ、あと(自分が書けなかったらイヤだから)お題もう一個決めましょう
こちらは7月に関するお題でお願いします
厳密にではなく7月っぽからアリです
お題2 >>176
ラムネ
7月の季語らしい
10
2016年7月末品評会
お題『ななし』『ラムネ』
制限 10レス以内
投稿期間:2016/07/01(金)00:00~2016/07/03(日) 24:00
宣言締切:三日24:00に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※
投票期間:2016/07/04(月)00:00~2016/07/10(日)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※
※※※注意事項※※※
容量は1レス30行・4000バイト、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)
これで開催したいと思います
てきすとぽいのほうにも呼びかけしてみる予定・・
>>161のお題完成したので投下します
「しくじったなあ……」
ユキコは空を仰ぎ見てぽつりとこぼした。
図書室を後にする際、窓の外を見たときには降っていなかったのだが、
ユキコが校舎から出るといつの間にか空には暗雲が立ちこめぽつとぽつと小粒の雨滴を落としていた。
いつもこうである。ユキコは雨が降るたびに自分の運の悪さ、
間の悪さのようなものを自覚せずにはいられなかった。
ユキコが初めてこのことを自覚したのは小学生の時だった。
小学一年時の運動会の日、共働きの両親がともに休暇を取り
ユキコの応援にと張り切っていたのだが、生憎の土砂降りだった。
運動会は延期され、両親が仕事で来られない翌週に改めて開催された中、
一人で食べた冷たいおにぎりの味をいまでも思い出せる。
この運動会に始まり、遠足、学芸会、修学旅行、卒業式と何か大きな行事があるたびにユキコには雨がついてまわった。
それ以来ユキコは折り畳み傘を肌身離さず持ち歩くことを誰にともなく誓ったのだった。
だが先日の気象庁の梅雨明け発表とその日は期末試験程度のイベントしかないからと油断をしていた。
今朝の天気予報でも一日快晴が続くと言っていたし、前日の雨で折り畳み傘をベランダに干していたことも
ユキコが珍しく傘を持たずに家を出ることに一役を買っていた。
「バス停まで走るしかないか……」
こうしてぼんやりとしている間にも雨足は強まってきていた。先ほどまで小粒だった雨滴も
大粒なものとなり屋根や地面で弾けては大きな雨音を立てていた。
ユキコは意を決してバス停へと走り出した。
雨に打たれながらユキコは思う。雨に濡れるのはあの日以来だ。今でも時たま思い出すことはあるが、
こうして雨に打たれているとあのときの冷たい雨の記憶がより鮮明に浮かび上がってくる。
「うへー……」
学校前までのバス停までは大した距離ではないのだが、それでも結構濡れてしまっていた。
濡れたブラウスからうっすらと下着の色が覗いているし、カバンの中の教科書類も心配だ。
だが、図書室に残って少し勉強してから学校を出たこともあり、他にバスを待っている生徒はいなかった。
バス停前のベンチに腰を下ろし、脚を投げ出してふーっと一息吐く。
視界を線となって通り過ぎる雨をと、道路に叩きつけられて弾ける雨粒を眺めながらユキコは思う。
自分は死神なのかもしれない、と。最近読んだ小説の中に出てきた死神だ。その死神は仕事のために下界に降りてくると
いつも雨が降っているのだ。そして、自分は晴れ間を見たことがないと。
ユキコもこうして自分が雨に見舞われているときに誰かが死んでいるのかもしれないと想像してしまう。
そんなわけはないのに。でもいつも、降ってほしくないときに雨が降るものだから、雨と死神を結びつけて想像してしまう。
それに自分は雨女だ、と考えるより死神と思ったほうがなんとなく、かっこいい。
そんなとりとめもない妄想を続けていると、やがてバスがやってきた。
ユキコを乗せたバスはガタガタと揺れながら発進し、ゆったりと進んでいく。住宅街を抜けて小学校前、スーパーの前、
他に何もない歩道にぽつんとあるバス停の前を通りすぎ、やがて一つの高校の前で停車した。
バスの中ほどから乗車してきた一人の女の子と目があってユキコははっと息を呑んだ。
中学生の頃の友達だった。それも一番仲のよかった、アキだった。
アキもユキコを見つけて目を見張り動きをとめるが、やがてガタガタと揺れて発進したバスに慌てて近くの席に座った。
ユキコはバスに揺れるアキの背中を見つめながら、なんで!? どうして!? と頭の中で繰り返した。
アキとは中学の卒業式以来、連絡を取っていなかった。いや、それ以前、高校の合格発表のあの日を境に連絡はおろか
口すら利かずまったくの疎遠となっていた。
ユキコとアキは同じ高校を受験し、その日は父の運転で高校に張り出される合格者通知を共に見に行ったのだ。
そんな一大イベントであるにも関わらず、その日は珍しく晴れていたのを覚えている。
アキも「こんな日に晴れるなんてきっと良い結果だよ」と緊張を隠すように笑っていた。
「ひぃ~ウチ、死ぬかもしれへん。口から心臓が出て死ぬかもしれへん……」
高校に到着し、いざ掲示板を前にしたユキコは緊張のあまり卒倒しそうになっていた。
アキはそんなユキコを「よしよし」と宥めて「よし、せーので一緒に見ようか」と言った。
「う、うん。せーのね。せーの、ね!?」
「せーの!」
「ひぃ~!」
ユキコは恐る恐る目を開き掲示板を見上げた。
4446。それがユキコの受験番号だった。1000番台、2000番台、3000番台と飛ばし、4000番台から番号を目で追っていく。そして。
「あ、あった! あったあった! あった!」
ユキコは自分の受験番号を見つけて、喜びのあまりアキに抱きかかった。
「アキは!? アキは受かった!?」
喜び勇み、アキに抱きつくユキコの鼻頭に冷たい雨滴が当たった。
「あ……」
見上げると薄暗い雲が空を覆い、まばらに雨が降り出していた。
しばらく沈黙のまま掲示板を見上げていたアキがぽつりと言った。
「ごめん……」
興奮していたユキコを現実に引き戻すようにさーっという雨音が辺りを包み込んでいた。
「ごめん……」
雨音にかき消されるくらい小さな声でアキがもう一度呟いた。
その泣き顔を隠すように雨が一層強く降ってきていた。
本当は知っていながら知らぬふりをしていたのだ。仲の良いアキが、滑り止めに受けた高校を、ユキコが知らないはずがなかった。
そして、自分の通う高校の前から出てるバスが、アキの高校前で停まることも。
知らないはずがなかった。
ただ、まさかという思いがユキコの中にはあった。この日、このタイミングで、まさかアキがこのバスに乗ってくるなんて。
あの日以来、アキがユキコに連絡をしてくることはなかった。ユキコもまた、負い目のようなものを感じて声をかけることができずにいた。
そもそも、なんと声をかければ良かったのだ。一緒に受験した希望校に、自分だけが受かったのに。
バスは直に終点の駅前に到着する。ここでまた、見なかったふりをして帰途につくのか。それではまるで、
二人の訣別を決定づけるような気がしてならなかった。でも、今更なんと声をかける。核心を避けて笑顔を取り繕って、
あの日のことなんてなかったかのように話すべきなのか。まるで、親しくない間柄の世間話のように。
そんなこんなと考えているうちにバスは終点に到着してしまった。
アキが一度、ちらとユキコの方を振り返った。一瞬、何かを言いたげに口ごもるが、すぐにそそくさとバスを降りていってしまった。
それを見てユキコは決意した。
自分から話かけないと、きっとこれっきりだ、と。
ユキコは急いでバスを降りると、傘を差して歩きだしたアキの背中に声をかけた。外は、小雨と言っていいほどに落ち着いてきていた。
「アキ!」
振り返った彼女の表情は、どこか苦しげに歪んでいた。ユキコも声を掛けたものの、何を話すべきのか、まったくわからないままだった。
「あ、あのさ……」
ユキコは苦笑いを浮かべながら空を指さした。
「傘忘れちゃったから入れてもらってもいい……?」
アキは一瞬ぽかんと口を開けてから、ぷっ吹き出した。
「ユキコはほんともう……」
そう言って笑うアキの顔は、前と変わらぬ屈託のないものだった。
一つの傘の下で肩を寄せ合い歩きだした二人は、はじめのうちこそぎくしゃくしていたものの、次第に前と同じように笑って喋ることができていた。
結局、とユキコは思う。思い詰めすぎていたのかもしれない。たいしたことではなかった、とはユキコの立場からは決して言えない。
それでもこのまま仲違いして二人の関係が終わってしまうことに比べたら、きっとたいしたことではなかったのだ。
「あ……」
アキが傘を下ろして、空を見上げた。
ほんとうに間が悪いな、とユキコも同じように空を見上げて思う。
雨に濡れた道が、きらきらと光を乱反射させている。雲間から差した陽光が二人の行く先を照らし出していた。夕立はもうすっかりあがっていた。
もう少し相合い傘しながら歩いていたかったのに。ユキコはこっそり思った。
以上です
感想いただけると幸いです
てきすとぽいのほうでも告知しておきました
http://text-poi.net/vote/120/
文字数は60文字×30行×10レスで18000文字にしました
>>185
雨が降るところから始まって、冷たいおにぎりの味とか、死神という文字が出たりして、「この物語はどうなってゆくのかしら…」と不安な予感を抱きながら読んだのだけども
最後は晴れてほっとしました…
雨という舞台装置(無粋な言い方ですが)が作用して話がすっきりしてて、読みやすかったです
>>185
雨が降るところから始まって、冷たいおにぎりの味とか、死神という文字が出たりして、「この物語はどうなってゆくのかしら…」と不安な予感を抱きながら読んだのだけども
最後は晴れてほっとしました…
雨という舞台装置(無粋な言い方ですが)が作用して話がすっきりしてて、読みやすかったです
>>188
感想ありがとうございます
死神のところは遊びの部分というかなんというか・・・
雨が降っている話を書くのはたぶんはじめてだった気がするので描写とか自分の語彙力のなさに悩まされました
それと三人称で書くのもあまり慣れてなくてそれの練習的なところもありました
感想もらえるとやっぱ嬉しいですね
品評会書こう
私は自分が嫌いだ
嫌いだ
嫌いだ
三回書言って、少し言い過ぎたと気づく
今は、嫌いだ
あと、二回も言えば満足するだろう
嫌いだ
嫌いだ
満足したこんな単純な自分が嫌いだ
泣きたくなる
気付いたときにはもう遅い
目尻には涙が溜まっている
私は泣いたら、だめだ。
泣いたら、私が弱いと思われる
心配されたくない
馬鹿にされたくない
わたしを知られたくない
でもわたしを知ろうとする人間なんてどこにもいない
くそ
くそ
わたしが悪いのか
あんな奴らより
わたしの悪口で笑っているやつらより
私が悪いのか
ふざけるな
自分のことで怒って何が悪い
何が面白い
わたしの知性を馬鹿にするな
私の行動をみて、せせら笑うな
わたしが一度でもおまえらを馬鹿にしたか?
わたしが一度でもおまえらを笑ったか?
ないないないないないないないない
一度もない
だめだ
涙で前が見えない
胸が熱い
でも、この瞬間だけが
わたしの慰め
ぶさいくと呼ばれた
気持ち悪いと言われた
なにもないわたしの生きた証だった
わたしはそのあと
空をとんだ
あ、お題「異能」です
投下終わり
自由詩だね
ワロタww
メンヘラ構ってちゃんのポエムみたいww
感想あざっす
電波女感出てたならそれでよし!
作者としてはこれで笑えるのはこういうことを一度も思ったことがないんだろうとも思う。うらやま
痛みを知らないやつだけが他人の傷を見て笑う
一番乗りいただきます
品評会投下ー
コンクリートジャングルを旅立ち数時間。真っ赤なローカル電車を降り立った私に真っ先におかえりを告げたのは、
耳が痛くなるほどの蝉の大合唱だった。
東京へ移り住み早十余年。その中でもこうして帰省をした回数が両の手の指で十分にまかなえてしまうのは、さすが
に親不孝者の証か。帰るたびに強いノスタルジィが襲うものの、やはりここは私にとって不便さの象徴でしかなかった。
私にとってもう、帰るべき家といえば、妻と子の待つマンションの五階のあの部屋だけなのだ。
そんな私をこうして帰郷へ導いたのは、先日届いたふるさとからの便り。六年間通った小学校が取り壊されるから久
しぶりに集まらないかという、旧友からの報せであった。
学校と言ってもしょせんは田舎の小さな学び舎である。一学年に生徒は十人もおらず、それが六年間も続くのだから、
クラスメイトは皆仲の良い友達のようなものだ。その面々に久しぶりに会えるかもしれないという淡い期待の方が、
実のところ母校がなくなることより私を故郷へ向かわせた要因としては大きかった。
仕事の休みは三日しか取れなかった。そもそも長居するつもりもなかったし、到着した日は実家でくつろぎ、翌日に
母校での同窓会。その日のうちに「家」へと帰り、三日目は家族サービスでもしよう。そんな算段であった。
「おお、懐かしい顔が揃ったな」
子供のころは果てしなく広く感じた、今となっては手狭ささえ覚えるグラウンド。集合場所であるそこに最後に現れ
たのは、今回の同窓会を企画した張本人であった。
「遅いぞー、学級委員長」
「あれ、あんたちょっと太った?」
「うるせーばか、気にしてるんだよこっちは」
「変わんないねぇ、みんな」
懐かしさが会話を進める。誰かが言った「変わらない」という言葉は、ある意味ではその通りで、だけど正しくはない。
みんな大人になったのだ。会話の端々に垣間見える彼らの生活が、それを如実に物語っていた。その場だけを刹那的
に楽しめた少年期とは、もう決定的に違うのだ。
と。感慨にふけっていた私のシャツの裾を、くいくいと引っ張る手。
「久しぶりぃ」
にぃ、といたずらっぽい笑みが、私の顔を低い位置からのぞき込んでいた。
「ああ、久しぶり」
幾つになっても黒髪の似合う女だな。真っ先に思い浮かんだのは、そんな感想だった。
「あら、そっけないお返事。会えて嬉しくないの?」
「いや、そんなことないさ。だけどお互いもうわいわい騒ぎ立てる歳でもないだろ?」
「……なーんか、つまんなくなった? きみ」
「大人になったからな」
「そういうものかね?」
「そういうものさ」
そういうものなんだ。大人になるっていうのは。
「ほら、他の連中、中に入ってっちゃったぞ」
「おっと、いけないいけない。行こ行こ」
ぱたぱたと駆ける後姿は。
なぜだろう、遠い昔のあの頃の後姿に、ぴたりと重なった。
「うわぁ、いい眺めだなぁ」
校舎を一通り巡り、懐かしさを高めた私たちが最後にたどり着いたのは、高い建物のないこの町を一望できる屋上で
あった。一望と言ってもそもそも校舎自体が二階建てであるため、見渡せる先もたかが知れているのだが。
しかし、それでもクラスメイトの言う通り。緑が広がるこの風景は、マンションの屋上から見える灰色の景色に比べ
ればよっぽど良い眺めであった。
「あ、ほら。ここからでもあの神社見えるんだね」
そう声をかけてきたのは、黒髪の似合う彼女。指さす方向を見やると、確かに彼女の言うものが視界に映った。
懐かしさと同時に、少しだけ甘酸っぱさとほろ苦さが、胸の中に湧く。
「ななしのラムネ様」
私の心の内を読んだかのように。
彼女は、その言葉を口にした。
「覚えてる? 私が教えたななしのラムネ様のうわさ」
「…………ああ」
答えが遅れたのは、それが決していい思い出とは言い切れなかったから。
「私」がまだ「俺」だったころ。
家が近くでよく登下校を共にしていた黒髪の似合う彼女は、ある日の帰り道にこんな話をしてくれた。
「ね。ね。知ってる? ななしのラムネ様のうわさ」
日差しが強い夏の日だった。少ない小遣いでも買えるラムネを握りしめていた俺は、自分の手の中のそれと彼女の顔
とを二、三度見比べ、首を横に振った。
「なに? その……ナントカサマって」
「ななしのラムネ様、だよ」
くすくすと無邪気に笑う彼女。一方の俺は、揺れる長い黒髪がきれいだな、なんて場違いなことばかり思っていた。
「あのね、私も聞いた話なんだけど――」
彼女の言うところによると。通学路の途中にある小さな神社。今は使われていないそこの賽銭箱の奥、人目につかな
いその陰に、中身を半分だけ飲み好きな子の名前を書いたラムネ瓶を置いておくと不思議なことが起こる、というもの
だった。
「不思議なことって?」
年頃の少年であった俺からして見れば、それこそが話の肝である。話の中に「好きな子」というワードが出てきた段
階でおおよその見当はついていたのだが、それでも俺は興奮を隠しきれずに先を急かした。
そんな様子がおかしかったのか。やはりくすくすと笑いながらも、彼女は続けた。
「次の日。もしもその瓶が空っぽになって、名前も消えてたら。その相手と両想いになれるんだって――」
「俺」は年頃の少年であった。ならばこそ、色恋沙汰に関心を持っていたのも道理というものだ。
「そうなんだ」なんて興味のないふりをしながら、内心ではすぐにでも試してみたくてしかたなかった。というのも、
そこに書きたい名前のアテがあったからこそ、なのだが。
善は急げを体現するがごとく、その翌日にはすぐさま実行に至った。彼女にはいつものように一緒に帰ろうと誘われ
たが、用事があるからと断りを入れて俺は放課後になるや否やすぐさま教室を飛び出した。行きつけの駄菓子屋でラム
ネを買い、急いでその半分を飲み干し、マジック片手に神社へと向かった。
うら寂れた神社に人気はなく、むしろ最近誰かが足を踏み入れた様子もなかった。これならラムネ瓶が心無い誰かに
イタズラされることもないだろうと安堵する。
神の存在なんて信じたこともなかったが、その瞬間だけは、前日に知ったばかりの胡散臭い神様に祈りを捧げた。
興奮冷めやらぬまま神社を後にし、翌日。休日の朝一番はまだ気温も上がらず涼しさを感じさせた。そんな中息を切
らせながら神社へと急ぐ俺。
はやる鼓動は、全力疾走をしたせいだけでは、もちろんなくて。
目的地へとたどり着き、賽銭箱の裏をおそるおそるのぞき込んだ俺は。
果たして、ななしとなったラムネ瓶を見つけた。
「わ、いい風」
私の視界の中で、彼女の黒髪が揺れる。
あの日から。ななしのラムネを見つけたあの日から、「俺」が意中の相手と両想いになれたのかは、わからない。
わかるのは、結局その相手とはなんら進展することもなく、小学校も中学校も高校も卒業し、「俺」は東京の大学へ
進学。相手はふるさとに残り、しばらくして地元の何某さんと結婚したということだけ。
それが、甘酸っぱくて、ほろ苦い感情の、正体。
子供のうわさなんてその程度のものだと、「私」は潔く切り捨てた。
今となってはそれも過去の思い出だ。むしろ過去がそうであったからこそ今の妻と結ばれることとなったのだと考え
れば、何も間違っていない道筋だと言える。
そうだ。
何も、間違ってなんていない。
相手に気持ちを伝えられなかったのだって――間違って、いなかったのだ。
「ね。ね。知ってる?」
懐かしい問いかけが、私の意識を今へと引き戻す。
「なにを?」
私はもう俺ではない。関心のないふりだってお手の物だ。
だけど。
「ななしのラムネ様ってね――ぜーんぶ、私の作り話だったんだよ」
その言葉の意味は、すぐには理解できなかった。
「え?」
聞き返す私を、面白そうに見つめる彼女。
蝉の声が、クラスメイト達の声が、風の音が、遠くなる。
言葉を何度か咀嚼して。
悟った。
彼女の言葉の意味を。
ななしのラムネ様の、本当の意味を。
黒髪の似合う彼女の名前が書かれた、ラムネ瓶の行方を。
私は、俺は、いまさらになって、悟った。
「――そう、なんだ」
それでも、平気な顔を保てたのは。
「うん。そうなんだ」
彼女も、平気な顔でそう答えたのは。
きっと、俺たちが――大人になったから、なんだろう。
以上、投下終了です
転載しておきました
http://text-poi.net/vote/120/1/
たぶんこれで問題ないはず
感想は投票期間になってからかな?
8レス投下します
連投規制とかあるかもしれないので、しばらく投下されなかったら虫してください
夏の日暮れどき、縁側の網戸に丸々としたカナブンがとまっていた。居間で兄と夏休みの宿題をやっていた僕
はちゃぶ台に肘をつきながら、西日に照らされたカナブンの陰影をじっと眺めていた。隣の空き地から虫の鳴く
のが聞こえる。風が吹くと、青っぽい湿った匂いがした。目の前には絵日記が広げられているが、日付以外は真
っ白なままだ。かれこれ三日、日記をなまけている。絵にしろ文にしろ、何も書くことが思いつかなかった。
「夏祭り兄ちゃんと行っていい?」
と僕は言った。
兄はカリカリと数学の問題を解きながら、顔も上げずに「おう」と応えた。今年高校受験を控えている兄は、
春先から別人のように真面目に勉強をしている。進学先は偏差値の高くない地元の私立校だが、好成績で合格
し、授業料が免除される特待を取らなければならない。両親は特待でなければ私立に進むことを許さないと言っ
ている。兄はなにがしかの分けがあって、どうしてもそこへ入りたいらしい。
受験も何もない小学生なのに、何故勉強しなければならないのかと、白紙を鉛筆で突きながら考える。それか
ら、山岸の姉のことを考える。
+
先週、夏休みに入ってすぐの頃、スーパーでクラスメイトの山岸に偶然出くわした。僕は母親に夕飯の買い出
しで連れてこられていたのだが、野菜を選んでいるのを見ても面白くないので、一人お菓子コーナーをうろうろ
していた。陳列棚の向こうに、山岸を見つけたのはその時だった。特に学校で親しい仲ではないが、体育のチー
ム分けや遠足のグループで同じになったことがあった。彼は背が高く、縁のない眼鏡をかけている。目立ったこ
とをしないが、勉強はできるほうで、僕が密かに一目置いている男だった。「よう」と声をかけると、山岸はポ
ケットに両手を突っ込んだまま、顔だけこちらに向けて「ああ」と応えた。少し驚いた風だったが、大して興味
もないという顔だった。「何してんの」と訊くと「なんもしてない。ただ…‥」といいかけて僕の後ろに視線を
やった。
振り向くと、色の白い学生服姿の女の人が買い物かごを持ってこっちに向かって歩いている。「姉ちゃんだ」
と山岸は言った。彼女も気がついたようで近くまで来た。「リュウちゃんの友達?」と彼女は僕を見て言った。
僕は人見知りの質で、口を閉じていた。山岸は「ああ、クラスメイトの中川」と言いながら、姉の横についた。
僕は今更「こんちは」と頭を下げた。山岸はこれで終わりという風に「それじゃあな、中川」と背中を向けた。
山岸の姉もつられて歩き去って行った。
また一人になったので、両手を頭の後ろに組んで、お菓子を物色しようと思った。その時、去って行く山岸の
姉の話し声が聞こえてきた。「かわいい子だったわね」
僕はすっかり嬉しくなって、母親のところへ走って行った。それから荷物持ちを手伝って、夕飯を食べてる間
「今日の料理はウマイなぁ」等と言ったりした。テレビもいつもより面白かった。
+
それから夏休みの間、僕は山岸の家に遊びにいくことばかり考えた。しかしそれが実現することはなかった。
家がどこにあるか知らなかったし、連絡網で自宅の電話番号がわかっても、山岸の家族が出たらと思うと、行動
に移す気にならなかった。それに、僕が山岸と二人で遊ぶというのがそもそもおかしなことに思えた。今まで何
度か二人で話したことがあったが、気がつくと当たり障りのない内容を話している内に「それじゃあ」と言われ
て終わってしまう。二人の間柄はそのくらい浅いものだ。
しかし山岸も夏祭りには来るだろう。そして姉も一緒にちがいない。根拠もないのに、僕はそう決めつけて考
えた。そしたら彼女が「あら、あの時の子ね」と話しかけてくれるように思える。山岸の家に遊びにいくよりも
彼女に会える可能性は高い。しかし会ってどうするのだか、僕も知らない。
ただ一つ、ラムネでも一緒に飲んだら楽しいだろうなと思う。
+
今日の分でもさっさと終わらせようと適当にカナブンの絵を描いていると、遠くから太鼓の音が聞こえてき
た。
「兄ちゃん」
と声をかけたが、兄はまだ問題を解いている。返事もよこさないので、僕は日記帳を閉じて鉛筆を筆箱にしま
った。とっくにカナブンはどこかへ消えていて、外は薄暗くなっていた。
「まだ終わんないの」
「うるさいな。急がんでもまだまだ時間あるだろ。もうちっと黙っとけ」
「はーい」
僕はまたじっと兄を待たなければならなかった。
母は病気の祖母の見舞いに出ていた。母の兄弟たちと話があるから帰ってくるのは遅いということだった。夕
飯のお金は兄が持っている。ゆえに兄の言うことを聞いていないと、夕飯にありつけるかも危ぶまれる。もちろ
ん夕飯は、夏祭りの屋台で食べることになるはずだ。
そしてラムネも……と考えて思い当たる。どうやって山岸の姉の分のラムネを買ってもらえばいいんだろう?
兄にはどうしても、二本ラムネを買ってもらわなければならない。僕は全然お金を持っていない。
太鼓と笛の音が風に乗って聞こえる。商店街はすっかり人でいっぱいだろうな、と想像する。焼きそばとイカ
焼きと、かき氷と、水風船。金魚掬いはできない。うちの水槽には兄が以前掬った金魚が、鯉みたいに太って水
槽の中を狭そうに泳いでいる。一緒に入れていた金魚をみんな食べてしまった奴だ。だからこれ以上の犠牲を生
むわけにはいかない。
仕方がないので黙って畳の上に仰向けになって寝転んだりブリッジしたりしていると、兄が勉強道具をしまい
出した。
「よし、じゃあ行こうぜ」
大仰に伸びをしながら兄は言った。
「うん。ラムネ飲みたいな」
「ラムネ? いいよ。財布持ってくるからちょっと待ってな」
兄は階段を二段飛ばしで登っていき、すぐに戻ってきた。「P」のマークの赤い野球帽をかぶって、尻ポケッ
トに折りたたみ傘を突っ込んでいる。「毎年この時期は夕立がすごいからな」と兄は言った。
+
暗い、静まり返った住宅地を抜けて大通りに出ると、夏祭りの香りがいっぱいに立ち込めていた。
真っ直ぐの通り沿いに所狭しと屋台が並んでいる。浴衣姿もちらほらと見える。人の流れが切れることなくず
っと続いている。街灯と街灯の間に赤と白の提灯がぶら下がっていて、それを見るとなんだか嬉しい気持ちにな
った。僕は人混みの中を兄の背中にくっついて歩いた。
「エラくごった返してるなあ」兄は振り返って「何か食うか」と訊いた。
「焼きそばかな」と僕が言うと「焼きそばだろうな、まずは」と返した。
しかしこれだけ多くの屋台があるくせに、食べようと思ったものの屋台は何故か近くにはなかった。人が多
く、行きたい方にさっさと進むこともできない。
「まあ、焼き鳥でも食うか」
すぐ近くの屋台を指差して兄は言った。僕は頷いた。
浴衣姿のカップルの後ろに並んでいると、「おい、中川じゃねえか」と声をかけてくるものがあった。振り向
くと四人組の男たちがすぐ近くにいた。彼らには見覚えがあった。兄は彼らに「おう」と片手をあげて応えた。
「中川の弟?」
と誰かが言った。また誰かが「似てるな」とか「似てないな」とか言って笑った。僕は口を閉じて様子見し
た。
「ああ、ハヤトっていうんだ。こいつら俺のクラスメイト」
兄は僕の肩を掴んだ。彼らがうちに遊びに来たのを、僕は見たことがあるのだが、彼らはみんな僕のことは忘
れているらしい。僕は初対面のような顔をしていいのだかなんだかわからなかった。
「なあちょっと焼き鳥買っといてくれよ。これ財布」
と兄はボロボロに擦り切れた帆布の財布を手渡して四人の輪の中に入って行ってしまった。その時ちょうど、
前のカップルが買い物を終えた。仕方がないので、僕は一人で焼き鳥を注文しなくてはならなかった。店員のお
じさんは肌が真っ黒で、顔は汗でびっしょりだった。
「ボウズ」とおじさんは言った。「ボウズ」なんて呼ばれたのは初めてかもしれなかった。「どれがいい? い
まこれが焼きたてで、ウマいよ」
と、一切れ一切れがごろりとした大きさの牛串を手に取った。僕は言われるがまま「それください。二本」と
指を二本立てて見せた。
おじさんは舟皿に串を乗せて「八百円ね」と言った。僕は財布から千円札を出した。お釣りの二百円を、ちょ
っと考えてから、ポケットにしまった。
ビニルの暖簾をくぐって通りに出ると、兄の姿がなかった。僕は左手に皿、右手に財布をもって辺りを見回し
た。人の流れの向こうに、赤い帽子が見えた。ほっとして、人の間を抜けながら、早足に歩いた。僕は買い物を
突然任せておいて、勝手に遠くに移動している兄に腹が立った。財布をポケットにしまって、牛串を一口かじっ
た。肉は硬く、味がなく、かんでもかんでも、塊のまま口の中に居座った。何故、牛串なんて買ったのだろう。
その時、人混みの向こうに見える赤い帽子のマークが「C」なのに気がついた。僕はその瞬間、はっとその場
に立ち止まった。腹が立ったのも何もかもみんなスポーンと出て行った。
さっきよりも速い足取りで元の焼き鳥屋に戻った。しかしやっぱり兄の姿はなかった。
僕はしばらくの間歩き回った。歩いてきた通りを戻ったり、路地に入ってみたりした。そうしているうちに、
だんだん人通りが増えて、ほとんど流れに乗って歩くしかできなくなった。
男たちの掛け声が響いた。みな、声の方を向いた。カメラを構えている人もいる。和太鼓がドンドンと打ち鳴
らされ、神輿が立ち上がった。ワッと声が上がって、神輿が動きだす。神輿の上で、髪をまとめ上げたサラシ姿
の若い女性が提灯を掲げて声を上げている。熱気がだんだんと高まっていくように見えた。しかし僕だけがひど
く孤独だった。ちっとも興味が湧かなかった。突然よそ者になったような疎外感を覚えた。
僕は押しのけるようにして人混みを抜けた。
すっかり冷えた牛串をみんな口にほうばって皿と串を設置されていたゴミ箱に入れた。湿った分厚い段ボール
を食べているようだった。
+
とうとう提灯が飾られていないところまで歩いてきてしまった。人通りは疎らで、屋台も並んでいない。祭り
の外までやってきたのだ。
僕は小さい居酒屋の入り口で、水を張った大きなバケツの中に飲み物を冷やして売っているのを見つけた。バ
ケツの横に兄と同い年くらいの子供が座っていた。バケツの店番をやっているらしい。ぼうっとしながらうちわ
を扇いで、いかにも退屈そうに見えた。
僕はポケットから二百円出して、ラムネを二本買った。ラムネを差し出しながら、店番が言った。
「君、一人で歩いてるの?」
「うん」
「それなら遅くなる前に、帰ったほうがいいよ。危ないからね。そろそろ酒の回った大人が現れる頃だから」
「でも、兄ちゃんとはぐれちゃったんだ」
「ふぅん。じゃあお兄ちゃんも探してるだろうな」片手で扇ぎ、片手で顎をさすりながら彼は言った。「最初に
はぐれたところに戻ってじっと待ってたほうがいいかもね。お互い居場所のヒントはそこしかないから……お
い、ずいぶんしょげた顔だな。オレも店番なんかしてなかったらね、一緒に探してあげるんだけどさ。悪いね」
「うん」と頷いて僕は背を向けた。
それから気づいて振り向き、「ありがとう」と頭を下げた。店番はうちわを振った。
+
僕は店番の言った通り、焼き鳥屋に戻ることにした。指針が与えられて、少し元気も湧いてきた。
遠くにお囃子が流れている。神輿の掛け声も聞こえる。しかしどこかへ移動していて、今はその姿が見えな
い。さっき神輿がいた場所に戻ってきたが、ずっと空いていて歩きやすくなっていた。
その時、山岸が一人で歩いているのが見えた。向こうのほうが先に気づいていたらしく、人通りを抜けながら
こっちに向かってくるところだった。
見知った顔に出会って嬉しくなった。
「よう、よく会うな」と山岸が手を挙げた。
いつもクールぶっているが、今は祭りの空気のせいか、いつになく朗らかな顔つきだった。
「ひとりかい」と聞くと「いつも姉といるわけじゃないさ」と彼はにやりと笑った。
もしかしたらそのままいつものように「それじゃあ」といって立ち去るのではと思ったが、今日に限っては僕
の歩くのに合わせて隣についた。一人で行動していて手持ち無沙汰だったのだろう。
「さっき神輿を見たか?」と山岸が口を開いた。「あれに乗ってるの、みんな姉ちゃんの友達なんだ。威勢のい
いこったよな」
「山岸の姉ちゃんもなんかやってるの?」
「ああ、そいつらの写真撮ってるよ。なんていうの、記録係っていうかさ」
「ふぅん」
つまり神輿を見た時、近くにいたんだと僕は思った。
+
僕は話しながら、ひっそり、手に持っている二本のラムネのことを思った。山岸が何度か、そのラムネをちら
と見た気がした。しかしこのラムネは……。
ひどく自分が貧乏くさく思えた。二本あるんだから、それを分けてやるのが普通じゃないか。
それに、彼に秘密で山岸の姉と親しくなろうと思っていたことが、後ろめたい気もした。頭のいい山岸はそう
いう全てを見透かしている気もした。
みんな僕の思い込みにすぎないけれど、それでも気持ちが良くないものは良くないのだ。
僕は、まるで今気がついたというふうに「そうだ、これやるよ」と言って山岸にラムネを一本差し出した。彼
はなんでもないふうに「サンキュー」と言って瓶を開けて口にした。
これで妙な夢想も泡と消えた。
「ちょっと前までは姉ちゃんと、姉ちゃんの友達と一緒に遊んでたのに、近頃は僕のことをのけものにするん
だ」山岸は言った。「何も言ってないのに、今日も、『あんたとは出かけないからね。いつまでも子供のお守り
はごめんなんだから』なんて言うんだぜ。ドラマの女優みたいな口調でさ。バカバカしいよな」
山岸はビー玉をとりだして遊びだした。僕はそういう山岸の姉の性格を知って、全く意外に思った。大体、彼
女がどういう人かなんて一つも知りはしなかったのだ。なんだか夢から覚めたような気になった。そしてこの山
岸も、一人の「弟」に過ぎないのだと思った。
「上の兄弟なんて、みんなそんなもんなんだぜきっと。僕も今、兄ちゃんにおいてけぼりにされてるところなん
だ。勝手にどっか行っちゃってさ、しかも財布まで僕に渡したままでさ、アホなんだ」
山岸はふっと笑った。僕も同じ笑いをした。それは僕と山岸との間では今までなかったやりとりの形だった。
+
焼き鳥屋の屋台の通りまで僕らは来ていた。30分か40分か、下手したらもっと長いこと歩き通しだ。ここら
はまだ人が多く、流れに沿って進むしかなかった。
「おい、あれ」と山岸が不意に服を引いて指差した。彼の指差した先は提灯で照らされた通りから外れた、少し
広場のようになっている暗い三叉路だった。
数人の大人たちがにらみあって何か話しているのが見えた。
そして誰かが辺りに響くような怒鳴り声をあげた。大勢が歩みを緩めて、声の方を注目した。僕らも足を止
めて遠巻きに見ていた。
一方がつかみ掛かっていき、殴りつけた。陰になって漠然とした動きしかわからなかったが、動物のようなう
なりやうめきをあげていた。僕は人がそんな風にむき出しになっているのを見るのは初めてだった。十メートル
以上は離れていたし人の壁もあったのに、すっかり怖気づいてしまった。野次馬たちが輪を作り始めていた。
喧嘩を見物しようとする連中が寄り集まってくる流れに逆らって僕らは歩いた。喧嘩している人以外の声も上
がり始めていた。
ちょっとの間黙って歩いていたが、山岸は「そろそろ姉ちゃんのところに行こうかな」と口を開いた。
それとほぼ同時に、絶えず空を覆っていた太鼓と笛の音を割くように雷が低く轟いた。はっとして空を見上げ
ると、雨の香りが吹いて辺りを満たした。次の瞬間に、なだれ込むようにして雨粒が一斉に降り注いだ。叩きつ
けるような激しい雨だった。屋台の屋根やアスファルトを打つ雨音で耳の中がいっぱいになった。
人々は走って軒下に飛び込んだり、もう諦めて雨に打たれるがままになったりした。僕と山岸は全身びしょ濡
れになって足早に歩いた。
「それじゃあ」と山岸は言った「姉ちゃんのとこ、行くから!」
雨音に負けないように、声を張る必要があった。
「それじゃあ!」
僕が手を振ったのを見るが早いか、土砂降りの中山岸は走り去っていった。
+
焼き鳥屋はすぐそこだった。その軒下には何人かが雨を逃れて集まっていたが、兄の姿はなかった。肌の黒い
おじさんは、屋台の周りに透明なビニルシートを張ってずぶ濡れになっていた。
避難している数人は服を絞ったりしながら、雨の時間を過ごした。雨脚の強さに、地面が白んでいた。側溝に
流れができて川のようになっている。天にまします何者かが祭りを強制終了したように思えた。神輿の少女たち
の威勢が良すぎたのかもしれない。暴力沙汰が起きたせいかもしれない。だとしたら、なかなかいい判断だ。
僕は自分のラムネを開けていないことに気がついた。歩き続けて、喉も渇いていた。
キャップでビー玉を押し込むと、白い泡が盛り上がって瓶の口からこぼれ落ちていった。慌ててすすり口に含
むと、しゅわしゅわとはじけながら甘い香りが鼻腔を通り抜けて行った。すっかり温くなっていたし、炭酸も抜
けてしまった。なんでこんなもの、飲まなきゃならないんだろう? と僕は眉根を寄せた。そういえば、今日は
ずっとこんな思いばかりしている。
+
ビニルの向こうから人影がやってくるのが見えた。黄色い雨ガッパを着ているその影が、ビニルシートを開け
て中に入った。下ごしらえか何かをしていたおじさんは顔を上げて「いらっしゃい?」と言った。
その人物がカッパのフードを脱いだ時、僕は声を上げた。
「お母さん!」
髪の毛を頬にはりつけた顔で、母は目を見開いた。
「あっ、ハヤトみっけ」
店員はそれを見て、わけを察して下ごしらえに戻った。
+
降ってきたのと同じように、雨が止んだもの唐突だった。視界を覆い尽くしていた雨は幕を引くようにあっと
いうまに消え去った。あとには水たまりと、湿った空気と、申し訳程度の星空だけがもたらされた。
雨が降っていたのはちょっとの間だけで、すぐに祭りは再開された。
「お兄ちゃん、顔青ざめてたよ、かわいそうに。責任感じちゃってるの」
「おいてかれたの、僕の方だよ」
僕と母は帰路についていた。祭りの中心を離れ、静かな住宅地を歩いている。どこかの家の庭から、虫たちが
慎ましく鳴いているのが聞こえる。祭りの囃子は、既に遠いものになっている。
僕が迷子になった後(僕はそういう風に言われるのを遺憾に思う)、兄はすぐ家に帰って、母に電話したらし
い。母は予め、何かあった時の連絡先を兄に教えていたのだ。
それから母はできるだけ早く切り上げて、帰って来たという。兄は電話した後、僕と同様に探し回っていたら
しい。それから搜索に加わった母が、先に僕を見つけたということだ。これらのことは思い返せば、ほんの一時
間とか、一時間半くらいのことにすぎない。なんだか随分長い出来事のように思えるので、不思議だった。
家に帰って兄とようやく再会を果たすと、怒るでもなく喜ぶでもなく、鼻から息を吐いて、眉を寄せた変な顔
をした。それはおそらく、僕と同じ表情だったに違いない。今日はいろいろあったけど、これは何事でもない出
来事なのだ。
+
祭りから家に帰るとさっさと風呂に入って寝てしまったその翌日、僕は前日のことを絵日記に描いてしまおう
と思った。しかしよくよく考えると、やっぱり何か起きたようで、何も起きていない。書くことは山岸のこと
か、神輿のことか、雨のことか、思案しながら絵日記帳を開くと、既に絵を描く欄の真ん中に、丸々とした緑色
のカナブンの絵が描かれていた。
以上です
トリップつけてなかったんだけど大丈夫だろうか
ていうかこれトリつけられてるかな
品評会のもの投下いたします
夏は花火の如し。
終わってほしくないと願うのに消えてしまう。
それでも鮮明に、鮮烈に脳内へと焼き付く。
いや、夏ではなく"彼女"か。
白を基調としたワンピース、長く美しい黒髪、少しつばの長い麦わら帽子。まるで絵画の世界から飛び出してきたかのような彼女。
夏に祖父母の家に帰った時、ラムネを飲みながら散歩していて近くの神社で出会った。
運命……だと思った。
賽銭箱の前の階段に座り、俺の瞳をじっと見つめてきた。
気づいた時には彼女の隣に座っていたのだ。
そして会話もすることなく、ただその空間を楽しんだ。
嗚呼、なんと贅沢な時間だったのだろう。
空はやがて青からオレンジへと移り変わり、俺達に帰れと言わんばかりに夜の帳が降りはじめた。
何か最後に一言と思い彼女の方へ振り向くと、彼女もじっとこちらを見ていた。
「あなたといると落ち着くわ。そう思わない?」
そう言うと俺の返事も同じだと確信しているかのように、薄く優しい笑顔を浮かべ立ち上がった。
「ラムネ、いただいてもいいかしら?」
また、彼女は俺の返事も待たずに僕の手からラムネを受け取り、ぬるくなったそれを美味しそうに飲み干した。
「ごちそうさま、美味しかったわ。またね」
飲み干したラムネ瓶を先ほどまで座っていた場所に置くと、颯爽と歩いて行った。
自分勝手なその行動に腹は立たずに、むしろ魅入られていた。まるで初恋のように胸が高鳴ったのだ。
次の日も、また次の日も彼女に会いに行った。
その度にラムネを持って行ったので、カランとエー玉が瓶の中で鳴ると彼女を思い出す。名前も知らない彼女のことを。
それが去年の夏のこと。
そしてまた、夏が訪れる―――
風に誘われて草が舞い踊る畦道を、水滴を纏わせたラムネ瓶を片手に歩く。
鬱陶しい蚊柱を手で払いながら、神社のある山の麓を目指す。
去年までは親に従うがままに来ていたこの田舎に初めて進んでやってきた。
彼女に会うために。
両親はさぞ不思議がっただろう。
いつもはごろ寝した後、気怠さを払拭するように出かけてたのに、今日は荷物を家に入れてすぐ元気に出かけて行ったのだから。
爺ちゃんにも婆ちゃんにもただいまだけ。
それほどまでに俺は彼女に焦がれていたのだ。じりじりと肌を焼く太陽よりも熱く、真っ赤に。
逸る気持ちを抑えながら歩いていると、石で造られた階段が見えてきた。
ここだ。三十段ほどの階段の上には赤く古ぼけた鳥居が鎮座している。
唾をのみ込み、心を落ち着かせて、一歩、また一歩と石段を踏みしめる。
周りで蝉が鳴いている声も、木が風によって騒めく音も、心臓の音に掻き消される。
全ての石段を登りきり、鳥居の奥に建っている神社の前には―――
「久しぶり」
「うん、久しぶり」
去年の頃のまんま、しかしずっと綺麗に見える彼女がやはり賽銭箱の前の階段に座っていた。
俺は思わず止めてしまった足を動かし近くまで行く。
そして隣へと腰を下ろし、ラムネを開ける。
玉押しを当てて力を入れてやると、ポンと音を立てて瓶の中に玉が落ちる。どうやら今日の玉は素直なようだ。
しばらく押さえた後にゆっくりと離し、漏れ出ないことを確認してから飲む。
この暑い中少し歩いた後だからなのか格別に美味しい。
一息ついたところで彼女のほうを見ると、彼女もまたこちらを見ていた。
「……飲む?」
「ええ、ありがとう」
一切の躊躇なく小さな口を瓶につけ飲み始めた。
恥ずかしくないのだろうか?
いや、きっと俺が意識しすぎなだけに違いない。
「なぁ一つ聞いていいか?」
「何かしら?」
そう聞き返す彼女の表情は心做しか綻んでいるように見える。
何故だろう?……まぁいいか。
「名前……なんていうんだ?その……なんて呼べばいいかわかんないから」
それを聞き、きょとんと顔をした後、くすりと笑った。
「ほんと変わらないわね」
「え?なんて?」
「何も言ってないわ」
何か重要なことを言ったのだろう。
今だけは親の説教をシャットアウトする耳を恨みたい。何故彼女の言葉までシャットアウトしたのかと。
「名前のことだけど……な・い・しょ」
ずっと大人びて見えた彼女もこの瞬間は子供っぽく見えた。
まるで友達に悪戯を仕掛けているような、そんな雰囲気に捕らわれる。
「でも、もしあなたが名前を当てられたら……何かしらのご褒美をあげるわ」
そう言われると頑張りたくなるのが男の心理だ。
しかし名前か……田舎だからやっぱり"子"がつくのだろうか?
「けいこ」
「違うわ」
「さちこ」
「違うわ」
「まさこ、せいこ、きくこ、りょうこ」
「全部はずれよ。というかなんで全部"子"がついてるのかしら」
「田舎だからそういうイメージが」
「古風な名前でもついてないものいっぱいあるわよ。私も違うもの」
一刀両断され、いかに浅はかな答えを出し続けていたかわかった。
しかし、いまのでわかったこともある。
彼女は古風な名前なのだ。
後は簡単だろう。
またもや浅はかな考えは瞬く間に打ちのめされ、結局俺が帰る日まで答えは出なかった。
「明日帰るわ」
「……そう残念ね」
どこか消え入りそうな顔でそう呟いた。さっきまで楽しそうに微笑んでいたのに。
締め付けるような痛みは、心の奥底から俺に言葉を吐かせる。
「……来年。来年また来るから!」
「……私はいないかもしれないわよ?」
「そんなことは……ないだろ」
「……うん。いるわ。だってこの場所が好きだもの」
ずきり、ずきりと胸を締め付ける。それほどまでに彼女への思いが大きくなっていたのか?
俺にはわからない。
「それじゃ……またね」
その瞬間、酷く心臓が跳ねた。
そして強いノスタルジーが心を占める。
そして思い出す。セピア色に変わった思い出の断片を。
神社の前で、二人で、なんでも分け合って、そして約束をした。
気付いた時には彼女はいなかった。
残り僅かなラムネを飲み干す。
カラン―――
今は一人になった神社の境内に音が響いた。
いつから祖父母の家に行くのに気が進まなくなったのか?
それは十年近く前、とある女の子との約束を破ってしまったからだ。
理由は両親が忙しくて二・三年帰れなかったから。
約束はただ、来年もここで会おうねって、ただそれだけ。
でも、約束を破ってしまったことが重くのしかかって、結局久しぶりに帰った時も神社には行けなかったのだ。
それから数年。そんなことはとうに忘れてしまい、そしてまた出会ったのだ。
運命……だと思う。
しかしやはり心苦しい。
彼女はどう思っているのだろうか?変わらない心のままでいるのだろうか?
嫌われてはいないのだろうけど……
とにもかくにも、今年も彼女に出会ったら一番最初に名前を呼んでやろう。
今年は親と一緒には行かない。
一人で電車とバスを乗り継いで先に行くのだ。
楽しみだ。
そしてまた、夏が訪れる―――
投下は以上です
後でてきすとぽいのほうにも転載しておきます
【BNSK】2016年7月品評会
投票期間2016.07.04 0時~2016.07.11 0時
No.01 ななしのラムネ様(ID:Uf2E1B1ho氏)
http://text-poi.net/vote/120/1/
No.02 処理業 (茶屋氏)
http://text-poi.net/vote/120/2/
No.03 BBQデビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏)
http://text-poi.net/vote/120/3/
No.04 夏が訪れる(くっぱ氏)
http://text-poi.net/vote/120/4/
No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏)
http://text-poi.net/vote/120/5/
No.06 夏休み、暇だから((仮)氏)
http://text-poi.net/vote/120/6/
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
・本スレッドで投票する場合
以下のテンプレートに記載し、投票してください。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
―感想―
<<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
********************************************************
・てきすとぽいの場合
「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
みなさん投稿おつかれさまでしたー!
やばいすいません見落としてた
【BNSK】2016年7月品評会
No.01 ななしのラムネ様(ID:Uf2E1B1ho氏)
http://text-poi.net/vote/120/1/
No.02 処理業 (茶屋氏)
http://text-poi.net/vote/120/2/
No.03 BBQデビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏)
http://text-poi.net/vote/120/3/
No.04 夏が訪れる(くっぱ氏)
http://text-poi.net/vote/120/4/
No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏)
http://text-poi.net/vote/120/5/
No.06 夏休み、暇だから((仮)氏)
http://text-poi.net/vote/120/6/
No.07 何事もなき夏の出来事 ◆W6mCFCW2q6氏
http://text-poi.net/vote/120/7/
全部で7作品です!
【投票】: <<ななしのラムネ様>>ID:Uf2E1B1ho氏
―感想―
二人の気持ちを考えてしまう作品でした
名前を見てしまった彼女
そして今更真実を知った私
甘酸っぱい青春、大好物です
気になった作品:<<処理業>>茶屋氏
【投票】:<<BBQデビュー>> ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏
―感想―
思わずニヤリと笑ってしまうお話でした。
面白く読めました。
こういう面白さを作れるのはスゴイ
気になった作品:<<夏休み、暇だから>>(仮)氏
何か書こうと思って白いページにとりあえず「あああ」と入力するシーンは頷きながら読みました。
ああいった強く共感できる描写があると、すっと話に入っていけますね。
しつもーん
No.7は投稿時間外で評価外の扱いですか?
No.7ってこのスレに3日の22時に投下されてるから評価対象じゃね?
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:<<夏が訪れる>> ◆くっぱ氏
―感想―
展開が急ぎすぎだと思った。
けど彼女の名前が多分だけどわかって個人的に楽しめたので投票。
桔梗であってるかな?
それはさておき最初強引な女だと思ったけど
そこの描写が気づいてほしいけど言いたくないから昔?みたいに接したっていうふうに感じて可愛く思えたのもポイントだった。
もう一回読むと印象が変わるっていうの好きな描写だ。
【投票】:<<夕闇の彼方で>> ◆大沢愛氏
―感想―
レズだと思ったらホモだったでござる。
まぁいいけど、そこは重要じゃない。
環境とか身体的なものとか色々変化しても一緒に祭りに行ったのが良かったので投票。
女の子の支度が遅いのは当たり前でしょ。っていうのがほろっときた。
早苗とはいったいなんだったのか。
それだけは気になる。
気になった作品:<<ななしのラムネ様>> ◆ID:Uf2E1B1ho氏
―感想―
彼女が「俺」の気持ち知りたくてラムネ様を使ったはいいが自分の名前書いてて罪悪感が
って感じか。うん、甘酸っぱい。
面白かったけど少し虚しい気分になったので気になった作品。
********************************************************
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:<<夕闇の彼方で>>◆大沢愛氏
―感想―
最初は女の子同士だった二人が、実は男の子同士だったというお話。
「ガラス玉隠し」の場面で結構ドキドキしてしまった。
男の子同士だったことは前半部でかなり巧妙に隠されていて、
偶然知り合った早苗という女の子と過ごしたことで、
実は男の子としての性徴が始まりつつあったななしの変貌に気づく、
というのはうまいな、と。
早苗は「自分は女の子」というおまじないが解けたことを示す役割かも。
早苗に対して反応が薄いのもななしの男の子的なくっきりした顔立ちに
惹かれていたと考えれば納得。
たとえおまじないが解けてもやっぱりななしとお祭りに行こうとするのが良かった。
小さく「頑張れ」と言いたくなる切ないラストで投票決定。
気になった作品:<<夏休み、暇だから>>◆(仮)氏
―感想―
ゴミ屋敷を持ち込んだ設定が好みだった。
現代の禁忌空間。
ただ、盛り上げたい部分を説明ですませるのが少し残念。
白骨死体、という言葉を出さない方が良かった。
最後の書きかけのお話はメルヘンではなくていい気も。
********************************************************
ななしのラムネ様 ID:Uf2E1B1ho氏
全体的にキレイにまとめてある作品だと思いました
テキストぽいの点数に当てはめると3より上だけど4までいかないくらい
気になったのはたぶん30前後と思われる登場人物にしては彼女のほうがとくに子供っぽいところ
それと30前後の人間が「大人になった」ということをやたら強調する3のが逆に子供っぽいというか・・・
同窓会で童心に帰ったと思えばわからなくもないけど、最後の文章も大人になったでしめちゃうののもクサいというかなんというか
No.02 処理業 (茶屋氏)
もうちょっとエピソード的な部分を書いてもよかったのでは?という印象
設定だけのお話な感じでその割に目新しさも魅力もないなと
そういえば火葬した骨の粉をたべるという話を最近読んだ小説でみたな
No.03 BBQデビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏)
ウェーイうっぜえなwwwって思いながらもちょっと笑った
学生のサークルやらなにやらの飲み会とかでもしれっと混ざりこんで食い逃げするって簡単にできそうな雰囲気は確かにあるよねw
そういった謎の食い逃げ常習犯を追えっていうミステリーを森見登美彦風に書いたらおもしろいかもとふと思った
No.04 夏が訪れる(くっぱ氏)
まず思ったのが登場人物たちは何歳なんだろうということ
20くらいの学生っぽい感じはするけど
それと「白を基調としたワンピース、長く美しい黒髪、少しつばの長い麦わら帽子。」っていうイメージとかけ離れた彼女のしゃべり方
な・い・しょのとことか子供っぽいかなあ?とか思ったりもした
No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏)
文章とか設定とか今回の作品の中で頭一つ抜けてると思いました
子供の無垢な感じを思わせる語りもすごい好き
気になったのは主人公が男に戻ったことをすんなり受け入れたこと、それとそれまでお風呂入ってたときはどうしたの!?
やっぱりうすうす感づいていたのかな。それとも女の子もあるものと思い込んでいたのか。あれそれだとななしの親父さんのを見た時の反応とかも・・
矛盾にせよなんにせよ、考える余地として捉えちゃうくらいこの話は好きでした
No.06 夏休み、暇だから
自作。
寝ながら考えているときにごみ屋敷を探索するというのとタイトルを決めていない小説っていう〆を思いついて書き始めた話
自分で言うのもあれだけどゴミ屋敷が出てくるまでに3000文字くらいかかってしまっておいふざけんなよ余計な事書きすぎだろどうすんだよこれってなりました・・・
猫の動きを見るためにyoutubeで時間を潰されたりゴミ屋敷どういう風に描写しようかとggったりゴキブリやらなにやら検索してうええ・・ってなったり
やたらと時間がかかってしまいました
もうちょっと書きたいことはあったけど間に合わないからと無理やり終わらせたにも関わらず関心票が入ってて正直驚いています
No.07 何事もなき夏の出来事 ◆W6mCFCW2q6氏
熱しやすく冷めやすい子供のうつろいやすい心情がよく書けているなと思いました
全体的にみるとタイトルや文章にもありましたけどやっぱり何事もなくて物足りなさを感じます
けれど話を考えるときってやっぱり山場や書きたい、見せたいという場面って頭に浮かぶと思うんですけど
それを極力抑えて「何事もなき夏の出来事」として話をまとめたと考えるとおもしろいというか、よくできてるのかなとも思いました
逆に◆W6mCFCW2q6氏はそういった子供の心情や何事もない雰囲気が書きたかったのかもしれませんけど
自分はけっこう好きでしたこの話
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏)
気になった作品:No.01 ななしのラムネ様(ID:Uf2E1B1ho氏)
:No.07 何事もなき夏の出来事 ◆W6mCFCW2q6氏
全体的に似た雰囲気の話が多かったですね
それと、強制できることではないですけど
投票以外の作品に関しても一言でもいいので感想なんかあるといいですね
そのほうが感想や意見が盛んに行き交う場所なんだじゃあここで一つ書いてみようかなと思う人もでてくるでしょうし
自分もそういったことを望んで品評会の音頭を買って出たところもありましたので
あっちのコメントで主催になってくれて感謝とありましたけどそういうのはいいんです
自分がやりたくてやったわけですし、主催になったから偉いわけでもなんでもないので
ただ願わくばもっと感想や意見の飛び交う場になってくれたらなと思いました
みんなもそのほうがいいでしょ?
>>241 の主催者のご意見、至極もっともだと思うので、
遅ればせながら239での投票・関心票以外の作品についてのコメントを。
No.01 ななしのラムネ様
同窓会→回想→明かされる「ななしのラムネ様」の真実、という流れ。
人称の変化以外は、現時点での私と回想での俺の精神年齢があまり変わらないような?
地の文の言い回しがやや古臭くて紋切型が多いせいで子供の感覚が埋没した感じ。
それにしても過剰なまでに書き込んだ前半に対して後半はかなりスカスカ。
どちらかに統一した方が。
No.02 処理業 (茶屋氏)
伊藤たかみの芥川賞受賞作品「八月の路上に捨てる」を思い出した。
謎の先輩が齧っていたのはラムネではなくて骨だった、と。
匂いで一発で分かるような気もするが。
途中でハヤシさんが骨のことを言ってしまい、後はどうなるのかと思ったがなんとそのまま。
先輩のキャラをもう少し膨らませないと、謎にしても平板すぎる。
No.03 BBQデビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏)
大学によっては6月に中間試験があるのか?
大学のクラスは大抵は語学の選択で分かれるから顔見知りじゃないのか?
そして、食い逃げ常習犯のこの男の子。
コミュ障の女の子と話していれば確かに周囲から誰何されることもないけれど、
万が一拒否られたら逆に注目されて危険なのでは。
それもこれも、この男の子にもうちょっと魅力さえあれば解決する問題なのだが。
No.04 夏が訪れる(くっぱ氏)
この彼女は十年前に約束を破った相手だというのはいいけれど、果たしてこの世のものなのか。
偶然やってきた境内に居るあたり、どうも幽霊ではないかと。
幽霊譚の場合、主人公の独り言的な展開になりやすい。
そうじゃないにしても「彼女自身」的なものが何らかの形で表出できたらいいけれど、
途中から予定調和的な流れで進んでしまい、感興をそがれた。
時代がかった台詞から着物でも着ているのか、と思ってみたり。
No.07 何事もなき夏の出来事 ◆W6mCFCW2q6氏
語り手は田舎の小学生にしては偏差値だの受験の数学だの、あっさりと。
夏祭りの場面に山岸姉がまるっきり登場せず、
代わって関心を引くものも大して現れず、でかなり辛かった。
小学生っぽい感受性の鋭さがもう少しあれば祭りの場面にも広がりが。
山岸姉に出会えるかどうかも分からないのにすぐぬるくなってしまうラムネを2本買ったのを、
少年の無邪気さと見るか、無理やりラムネを登場させたかっただけだと見るか。
■本スレ
投 関
1 2 No.01 ななしのラムネ様(ID:Uf2E1B1ho氏)
1 No.02 処理業 (茶屋氏)
1 No.03 BBQデビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏)
1 No.04 夏が訪れる(くっぱ氏)
3 No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏)
2 No.06 夏休み、暇だから((仮)氏)
1 No.07 何事もなき夏の出来事 ◆W6mCFCW2q6氏
■てきすとぽい
投 関
1 No.01 ななしのラムネ様(ID:Uf2E1B1ho氏)
1 1 No.02 処理業 (茶屋氏)
4 No.03 BBQデビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏)
1 No.04 夏が訪れる(くっぱ氏)
1 1 No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏)
2 1 No.06 夏休み、暇だから((仮)氏)
2 No.07 何事もなき夏の出来事 ◆W6mCFCW2q6氏
■合計
投 関
1 3 No.01 ななしのラムネ様(ID:Uf2E1B1ho氏)
1 2 No.02 処理業 (茶屋氏)
1 4 No.03 BBQデビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏)
2 No.04 夏が訪れる(くっぱ氏)
4 1 No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏)
2 3 No.06 夏休み、暇だから((仮)氏)
2 1 No.07 何事もなき夏の出来事 ◆W6mCFCW2q6氏
優勝は、No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏) です!!
うわああ集計結果ズレまくってるうう
■本スレ
投 関
1 2 No.01 ななしのラムネ様(ID:Uf2E1B1ho氏)
1 No.02 処理業 (茶屋氏)
1 No.03 BBQデビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏)
1 No.04 夏が訪れる(くっぱ氏)
3 No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏)
2 No.06 夏休み、暇だから((仮)氏)
1 No.07 何事もなき夏の出来事 ◆W6mCFCW2q6氏
■てきすとぽい
投 関
1 No.01 ななしのラムネ様(ID:Uf2E1B1ho氏)
1 1 No.02 処理業 (茶屋氏)
4 No.03 BBQデビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏)
1 No.04 夏が訪れる(くっぱ氏)
1 1 No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏)
2 No.07 何事もなき夏の出来事 ◆W6mCFCW2q6氏
■合計
投 関
1 3 No.01 ななしのラムネ様(ID:Uf2E1B1ho氏)
1 2 No.02 処理業 (茶屋氏)
1 4 No.03 BBQデビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.氏)
2 No.04 夏が訪れる(くっぱ氏)
4 1 No.05 夕闇の彼方で(大沢愛氏)
2 3 No.06 夏休み、暇だから((仮)氏)
大丈夫かな・・・
いつもに比べてスレが随分にぎやかになった。
こういうのもいいんじゃないか。
次は参加したい。
次回お題発表がございました
8月度BNSK品評会
お題「制汗スプレー」「日焼け止め」
※片方のみの採用でも、両方採用でもOK
18,000文字以内=1レス、60文字×30行=10レス以内
日程のほうは月初めの週末〆切にしてしまうと
テキストぽいのほうのイベントともろ被りしてしまうのでどうしようかと考えております
意見があったらください
自分は㋇の第二週の投稿期間と〆切にしようかと思っております
意見がないようでしたらそのようにもう一度告知とテキストぽいのほうでも開催ページを作ってきます
いずれにしろお題と文字数制限につきましては変更はありませんので早めの発表とあいなりました!
>>247
あ、もろ被りしてるイベントって私が立ててるやつのことですかね?
あれは「イベントない期間あると寂しいなー」みたいなノリで立てたゆるゆるの企画ですし、
投稿期間ももう始まってて締切長めなのでこちらと被っても大丈夫じゃないかなと思います
過去にもてきすとぽいさん内で期間被ってる企画あったような・・・
あんまり深く考えずに期間設定したら気を使わせてしまったようで申し訳ない
主催お疲れさまですー
あと遅ればせながら拙作にコメントくださったかたありがとうございましたー
2chに書き込みするの初めてだけどこれでいいのかな?ww
制汗スプレーというのはデオウォーター的なものだとダメなのだろうか?
>>248
どーも、それでいいですよ(適当
わかりました!期間はどうしようかな、とくに意見なさそうだから・・・うーん
3連休仕事なので開催ページ作成及び〆切発表はは連休明けになりそうです・・・
>>249
明確に「制汗スプレー」とありますので(特にスプレーの部分)ウォーターだとちょっと違うのかな
石油ストーブとファンヒーターみたいな違いのような・・・用途は同じだけど明確に同じ物と言い切れないような感じ
ただお題の単語を必ず文章にいれるというルールはありませんので・・・それとなく・・・制汗剤という言葉で濁したりもアリかな
前回のお題でも飲み物のラムネとお菓子のラムネとしてお題解釈がありましたし、
ななしに関しても人物名としてのななしと、名前がないという意味合いでのななしがありましたので
筆者の裁量になってしまうのかなと思いますよ
>>250
回答ありがとうございました。
要するに現代の夏のストーリーであれば自然と出てくるアイテムですな。
いい感じで書けそう。
【BNSK】2016年8月品評会
お題『制汗スプレー』『日焼け止め』
※片方のみを採用、両方採用のどちらでもOK
18,000文字以内=1レス、60文字×30行=10レス以内
投稿期間:2016/08/01(金)00:00~2016/08/14(日) 24:00
投票期間:2016/08/15(月)00:00~2016/08/21(日)24:00
集計発表:08/22(月)
てきすとぽい開催ページhttp://text-poi.net/vote/123/summary.html
告知遅れたのと、てきとぽいのほうで別イベントと日程が被るため、一応投稿期間および投票期間のほうはずらす形で開催したいと思います
また作品投稿締め切りがお盆期間と被るため、PCのない辺境に帰省するというかたがいるかもしれませんのと(スマホ投稿もできるかもしれませんがww)
品評会参加者を広く募るという建前で作品投稿は8/1からとします
こんな感じでよろしくお願いします!
品評会投稿期間となっております!
今月14日までお忘れずに!
やっぱり毎月募集にしたのがまずかったんじゃないか?
前シリーズは14回続いたけど隔月実施だったし。
そのくらいのほうがいいんだよきっと。
締め切りギリギリ投稿ラッシュくるからへーきへーき!
こないじゃん!嘘つき!
>>254
すいませんちゃんと確認していませんでした・・・・
と思ったら一か月だったのが隔月開催になった感じだったんですね
どうしましょう隔月開催のほうがいいという方のほうが多いようでしたら次回はそうしますし
毎月でもいいよという方が多いようでしたらまた来月開催しますけど
ただ意見募ってもあんまり積極的に発言してくれる人少ないのがなあ・・・ww
なにもないようでしたら任せるよということだと受け取って私が判断して開催したいと思います
それとちょうどスレのほうで聞こうと思っていたことがありました
てきすとぽいのほうで作者名非公開という機能が実装されたようなんですが・・・・
次回開催するときに、作者非公開で開催したほうがいいのかどうかということを意見頂けたらなと思います
【BNSK】2016年8月品評会
No1 救世主(茶屋)
http://text-poi.net/vote/123/1/
No2 海が聞こえない(古川遥人)
http://text-poi.net/vote/123/2/
No3 ぼくは友達がほしい((仮))
http://text-poi.net/vote/123/3/
No4 夏のベリー(大沢愛)
http://text-poi.net/vote/123/4/
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
・本スレッドで投票する場合
以下のテンプレートに記載し、投票してください。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
―感想―
<<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
********************************************************
・てきすとぽいの場合
「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
書こうと思ったまま忘れてたやすまん
>>256
お返事ありがとうございます。
毎月だと実質、20日くらいの間隔になりますよね。
隔月開催のてきすとぽいとの兼ね合いもありますし、公募に出す人もいるでしょうし。
品評会以外にも本スレに作品を投下する人も。
BNSKは一万字前後の長めの作品がメインなので、スケジュールがあんまりタイトになっちゃうときつい気もするという、それだけです。
主催、お世話になっています。今回もいい感じの作品が集まり、読むのが楽しみです。
隔月がちょうど良いかもね
間隔広い気もするけど、その間にまたベンキョウしたり創作意欲膨らませたりね
作者非公開は一回試しにやってみたらどうかな?
本スレに投稿すると実質、作者非公開になるんだよなぁ。
どうしても非公開がいいって人は本スレに投稿すればいいんじゃないかと。
ご意見どうもです
作者非公開については一つの懸念として
身内票とか、フォローしてる人の作品だけ読んでスレに投稿されたスルーされるんじゃないかなといったことを防げるんじゃないかなと思いまして
またそういったことからスレが荒れたりすることを防いだり、逆にもっと気軽に参加できるイベントになるんじゃないかなと
それと投稿者に対する偏見などもなくなって、純粋に作品だけを評価できるんじゃないかななんて思ったりもしたからです
まあ、もともと人の少ない場所ですからそんな心配杞憂でしょうし
仮に不正があったとしても賞金がでるわけでもないイベントだから、どうだっていいといえばどうだっていいんですがww
そういうわけで一応スレのほうでも意見を求めた次第でした(性格悪い奴だなと思われそうであんま言いたくなかった・・・
品評会開催については、このまま大きな反対意見もなさそうなら隔月という方向で進めてみようかと思います
ご意見ありがとうございました
No1 救世主(茶屋氏)
メンインブラックみたいだ!MIB好きな自分としては評価したい!
主人公MIBに召集されるといいですね
ただ、序盤のモノローグからこいつ頭のおかしいヤツなんじゃないか、っていう印象のまま、まんまそのままの最後で終わってしまったのがちょっと残念
なにか捻りが欲しいなと思いました
しかし制汗スプレーの成分なんてまったく知らないので、作中で語れるなんやかんやはホントにあるものなんでしょうか?
No2 海が聞こえない(古川遥人氏)
今回の作品で一番完成度が高かったと思いました
主人公の胸にぽっかり穴が空いたような喪失感も真に迫るように感じられました
ただ個人的にはあまりおもしろくはなかったかなあと、好みの問題でしょうが
12000文字の長い話のほとんどが主人公の惨めったらしいウジウジした感傷で構成されていて、読んでて辛いというか飽きるというか
最後ヒロインの自殺で終わるというのも安易というなんというか
あそこから突然ハッピーエンドになられてもそれそれで困るけれども
No4 夏のベリー(大沢愛氏)
氏の作品を初めて読んだ前作から打って変わってのギャグ、コメディでかなりびっくりましましたww
個人的には無臭性って言葉がでてきたなら無修正ってギャグも入れてほしかった
無修正はエロビデオだけで充分ってことだなみたいなのを(うるせえ
なんとなーく良い雰囲気というか青春を感じさせるような終わり方になっていたけど
お話的に最後はやっぱりコメデイ調というか馬鹿だなあこいつって笑わせられる終わり方をして欲しかったなあと思いました
先週だかの銀魂のコロッケ話みたいな感じ、基本的にバカなんだけど最後なんとなく納得させられてやっぱ最後はバカっていうあれ(読んでなかったらごめんネ
No3 ぼくは友達がほしい 俺
最後、時間と自分の筆力が追い付かずかなり大雑把にまとめてしまった
ラストのお父さんとのやりとりを入れるか入れまいかギリギリまで迷っていました
投票はてきすとぽいでします(集計が楽だから
それにしても今回は投票迷うなーうあーどうしようなあ
時間外でも投稿してもいいんですよ?
いまなら私の拙い感想がついてきますよ?
>>262
お世話になります。
てきすとぽいの「てきすとぽい杯」がやはり隔月(偶数月)なので、できればそれとずらしたほうが良い気がします。
となると次回は9月か11月か?
迷いますね。
そうですね次回開催どうしようか悩みどころですね
個人的には9月の祝日あたり・・もしくは前後の開催でもいいかな・・・なんて考えております
11月まで飛びますと(自分の)筆が止まっちゃいそうですし、それにいきなり今年最後の品評会になってしまうからなあと
それに今月、投稿作品少なかったですから、来月こそは!と考えている方もいらっしゃるのでは?いませんか?
意見がございましたらお願いします
いっそ今回の優勝者さんに決めてもらおうかな
お題が「制汗スプレー」「日焼け止め」ということは気になる異性への思いを仲介するアイテムとして用いられるのが定型だろうと思う。
定型通りに仕上げるのか、全く異なるアプローチをするのか。見どころはそこだと思い、4作を読ませて頂いた。
No1 救世主(茶屋)
http://text-poi.net/vote/123/1/
2つのお題を「うちゅうじん」と戦うための武器として用いたのは面白かった。定型に堕すことを拒む姿勢は買える。ただ字数制限1万8千字でわずか2千字というのはどうだろうか。少ない字数の中に凝縮して、という物語ではない。おかげでいろいろな部分の表現不足が際立つ結果になった。そもそも何で「私」は「うちゅうじん」と戦っているのか?組織の命令なのか義憤に駆られてなのか個人的な思いなのか。そのあたりがまるっきり示されていない。バトルアニメの途中の回だけを見せられた気分だ。途中で出てくる「彼」も唐突過ぎてラスト部分も、はあそうですか、としか思えない。おそらくこれは漫画なら何とか成立するだろう。主人公の表情や衣服、街の佇まいで背景を暗示したように思わせられなくもない。だがこれは小説だ。暗示というより単に書かれていない。読み返すと、感動的なはずのラストすらありがち感を催させた。最後に、この話だと別に制汗スプレーや日焼け止めでなくても、キンチョールやガスボンベでも構わないことになってしまう。そのあたりがほんの少し残念だった。
No2 海が聞こえない(古川遥人)
http://text-poi.net/vote/123/2/
タイトルからして氷室冴子原作のジブリアニメのパロディだ。制汗スプレーの香りが年上の従姉と結び付けられた、定型通りの設定だ。制汗スプレーの香りが初出箇所ではフローラルなのにプールではグレープフルーツ、というのは意味があるのかどうか。兄と主人公の関係の設定は味があった。3枚だけのチケット部分は特に良い。ただこの作品の致命的な欠点はほとんどを説明で済ませているところだ。兄の性格を「極度の負けず嫌い、繊細」などと説明するよりは、それが表れたエピソードをきちんと書いた方が伝わる。両親の兄偏重も、説明されるとどんどん白けてしまう。言われたことしか理解できない読み手を想定しているのだろうか。それは自らの表現を狭めることにしかならないと思うが。活き活きしているのはエピソードの部分だけだった。そもそもなぜ「修一を海へ」連れて行ったのか。いじけて暗い主人公のどこにそんな魅力があるのか。アニメならそこそこイケメンに描いておけばなし崩しに受け入れられるけれど、小説だとやはりきつい。
No3 ぼくは友達がほしい((仮))
http://text-poi.net/vote/123/3/
某アニメのタイトルのもじりだろうか。ポケモンGOが出てくる以上、現代のお話だろう。現代の小学生はそこまでステーキに憧れるだろうか。むしろ焼肉の方を喜ぶけれど。主人公は夏休みの自由研究のクワガタムシ集めを山の神様に依頼した見返りに、山のゴミを一日集めることになる。ゴミ拾いに行った主人公はいつも自分をいじめるダイキが神様の使いのヌエをなぐって吹き飛ばされ、橋の縁に引っ掛かっているところに歩みより、助ける代わりに友だちになることを約束させる。制汗スプレーを顔にかけられたダイキは河原に転落し、主人公に暴言を吐く。友だちにもならない、と。主人公はヌエをダイキにけしかけ、ゴミ拾いを済ませて帰り、父の宝くじが当たった吉報に接する。結局友だちはできず、ダイキに復讐した満足感だけが残る。いかにも卑小な満足だが。山の神様がらみの部分がどうにもご都合主義的で、ヌエとの部分も意外に平板に見えた。そもそも主人公は本当に友だちが欲しいのか?貧乏ゆえの違和を痛感しているのに。その点が大いに疑問だった。
No4 夏のベリー(大沢愛)
http://text-poi.net/vote/123/4/
制汗スプレーがここまで身も蓋もなく使われるとは思わなかった。女の子に飢えた男子高生たちが彼女と抱き合ってきた同級生のシャツの匂いを嗅いで興奮する。主人公は友だちの彼女のつけていたのと同じ香りの制汗スプレーを買って帰るが、姉に見つかり、意図まで見透かされる。翌朝、そのスプレーをつけた姉に思い切り抱き締められた主人公は憑き物が落ちたように学校へと向かう。この種のバカ話は語り手を常識人にして周囲のバカっぷりを批評させるのがパターンだが、それだとご都合主義が先走って作品世界は尻すぼみになる。この作品の場合、周囲の男子もヘンタイだが主人公もそれ以上におかしい。主人公を道化にして突っ切るのはかなり苦しいが、最後まで押し通したのは見事。主人公の一人称語りの割には周囲の状況も示されていて、ちりばめられたエピソードもなかなかだった。明らかなミスが一カ所あるけれど、姉のキャラクターといい、ラストはさまざまに解釈できるところといい、かなりの練達の士と見た。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:<<夏のベリー>>◆大沢愛氏
気になった作品:<< >>◆
********************************************************
「投稿された作品を用いての教授をしたらどうなるのか」という観点で批評をしてみます。
「別にそんなこと必要ない」「エンタメを書くために書き下ろしたのだ」とおっしゃる方には、意味のない感想かと思います。お目汚し申し訳ありません。
若干辛口です。
No1 救世主(茶屋)
http://text-poi.net/vote/123/1/
「テーマ」は、「信じてた人から受ける裏切り。そのおかげでより自分の信念で行動できる」
クライマックスは64行目「違う、これは……」
変わったことは「主人公の『うちゅうじん退治』に対する気持ちの持ちよう」である。
変わったことによって、「主人公はさらに『うじゅうじん退治』を行うであろう」である。
変わった理由は、「信じてた彼が『うちゅうじん』の仲間だった」である。
○裏切りを描写したいなら、クライマックスに『うちゅうじん』を含めるのはどうかと。
『うちゅうじん』は物語のテイストであり、中核ではない。クライマックスに置いてしまっては物語がブレます。
『うちゅうじん』を中核にしたいのなら、まずテーマを宇宙人特有な何かにしなければ、読者にすとんと落ちないのでは。
○お題の捌き方は「とりあえずぶっこんだ」という感じ。
No2 海が聞こえない(古川遥人)
http://text-poi.net/vote/123/2/
「テーマ」は、「あの日みた彼女の姿を今でも思う。だから一歩も進むことができない」
クライマックスは237行目「こらこら、五年ぶりの再会にどんなボケかましてんの」
変わったことは「鳴海の肯定ではなく、『昔の鳴海の肯定』」である。
変わったことによって、「主人公は今もなお昔の鳴海を思い続け」ている。
変わった理由は、「今の鳴海に逢って、考え方や生き方に共感できなかったから」である。
○もしテーマが読み取った通りなら、上手に書けている作品だと思います。
ただ、長い。そのことを書くにあたって、テーマには関係ない部分がたくさんあるような気がします。
それを必要とするなら、(物語の書き方として)時代背景に食い込ませるか、兄との軋轢に鳴海を関わらせるか、プールでの出来事を現代に引きずるか、どちらにせよ意味のあるものにしないと「机の上の宝物=拾った石」になってしまいます。つまり、描写した文章の数々は拾った石ころで終わってしまうと思います。
○お題の捌き方はテーマに絡めて「思い出」として消化していて好感触でした。
No3 ぼくは友達がほしい((仮))
http://text-poi.net/vote/123/3/
「テーマ」は、「気に入らない同級生に仕返しすると、何もかもうまくいく」
クライマックスは258行目「ぼくはそれをダイキ君の顔に向かって噴射した」
変わったことは「ダイキ君を抹消したことにより、主人公が生きやすい環境になった」である。
変わったことによって、「主人公の学業も上手くいき、家庭も上手くいった」である。
変わった理由は、「主人公は『神様』という超次元的な存在と慣れ親しんでおり、環境を変えるキッカケを掴むことができた」である。
○作者さんがこういう意図で作品を書いたかどうかは定かではありません。
ですが、もしそうだとしたなら、たぶん、読み取ったもの以上でも以下でもないと思います。私にはそれ以上のものを読み取ることはできませんでした。
○お題の捌き方は「とりあえあずぶっこんだ」という感じ。
No4 夏のベリー(大沢愛)
http://text-poi.net/vote/123/4/
「テーマ」は、「制汗スプレーのにおいを思う。それはつまるところ、スプレーのにおいをつける誰かを思う」
クライマックスは下から10行目「そういう感じなんだろ」
変わったことは「女の匂い=制汗スプレーのにおい。が、制汗スプレーのにおいをつける女=かわいいと思い直すこと」である。
変わったことによって、「制汗スプレーを吹き付ける人によって、スプレーは意味を成すということがわかった」である。
変わった理由は「制汗スプレーを吹き付けた姉に抱きしめられたことによって主人公の意識が変わった」である。
○書いていて、下から七行目>「言いたいことはわかるけれど」がわからない。
それはたぶん、主人公に感情移入して読み込んでいたから、急に現れた姉の考えを読み取ることができなかったからだと思います。
制汗スプレーを吹き付け、主人公(弟)を抱きしめた姉は、主人公に何を伝えたかったのか。(作者様に明確なメッセージがあるのであれば)これを受け取れる読者とそうでない読者で、評価は分かれる気がします。私は受け取れませんでした。
わかったらよい作品と思うのかもしれません。
○お題の捌き方は「そのものについてズバリ書いた」という感じ。
***********************【投票用紙】*********************
【投票】:No2 海が聞こえない(古川遥人)
http://text-poi.net/vote/123/2/
――感想――
物語として読むことができました。
********************************************************
――総評――
作品を投稿するつもりでしたができませんでした。次回は参加しようと考えています。
今回の感想は、たくさんあるうちの一つの小説(特に物語小説)の読み取り方と思ってください。(私小説や歴史小説では、こんな読み取り方をしたのでは、重要な文章も読み落としてしまうものですから)
物語序盤と終盤の変化(クライマックス)を通してテーマを読み取らせるのが基本となっている昨今、変化自体を投げ捨て、序盤の設定を終盤で強調するいわゆる「離陸」作品はとても書きやすいと感じます。(やっぱりそうだった。だから俺は一人でいる。という結びで終わる作品など)今回では『No.2 海が聞こえない』がそうでしょうか。
だから悪いという意味ではなく、離陸作品は往々にしてオチが光らない作品と呼ばれています。だからこそ作者の腕が光る「テーマを絡めた中盤」が良かった作品だと感じました。
小説はすべての文章が意味を持つといいます。それは、すべての文章が「テーマ」を強調する文章になっているという意味だと思います。
そういう意味では、『No.4 夏のベリー』は作品全体を通して物語の世界観や雰囲気を上手に作り出していると感じました。ただ、私には何を伝えたいのかわかりませんでした。
『No.1 救世主』や『No.3 ぼくは友達がほしい』は、クライマックスは容易しているが、それによって主人公の変わったことが書きたいであろうテーマと乖離しているような気がしました。
偉そうにすいません。どれも長文で作品を書き上げるエネルギーがすごいと思いました。作者様方、運営の方お疲れ様でした。次回を楽しみにしています。
■本スレ
投 関
No.01 救世主(茶屋)
1 No.02 海が聞こえない(古川遥人)
No.03 ぼくは友達がほしい((仮))
1 No.04 夏のベリー(大沢愛)
■てきすとぽい
投 関
1 5 No.01 救世主(茶屋)
4 2 No.02 海が聞こえない(古川遥人)
2 3 No.03 ぼくは友達がほしい((仮))
2 2 No.04 夏のベリー(大沢愛)
■合計
投 関
1 5 No.01 救世主(茶屋)
5 2 No.02 海が聞こえない(古川遥人)
2 3 No.03 ぼくは友達がほしい((仮))
3 2 No.04 夏のベリー(大沢愛)
集計結果でましたー
優勝はNo.02 海が聞こえない(古川遥人)です!
>>266
こちらにつきましては意見もないようですので
優勝者様に次回開催月のほうも決めていただくという形をとらせていただきます
お題と開催月告知あったよー!
【BNSK】2016年9月品評会
お題『道化』『モキュメンタリー』制限18000文字以内
片方のみ、両方どちらでもok
日程は後日
9月末ぐらいがいいかなあ?
9月にやると3カ月連続か。さすがにきつくね?隔月なら10・12月でいいだろ。
てきすとぽい杯ってのは即興でやるもんだから別にかぶっても関係ないだろうに。
【BNSK】2016年9月品評会
お題『道化』『モキュメンタリー』
※片方のみを採用、両方採用のどちらでもOK
18000文字以内
目安 18,000文字以内=1レス、60文字×30行=10レス
投稿期間:2016/09/19(月)00:00~2016/09/25(日) 24:00
投票期間:2016/09/26(月)00:00~2016/10/02(日)24:00
集計発表:10/03(月)
てきすとぽい開催ページ:http://text-poi.net/vote/125/
日程とぽい開催ページ作りました!
3か月連続にはなってしまいますがあまり議論するのも面倒なので奇数月の隔月開催という方針で進めていくことにしますね
お題下さいな
イタリア
小生も頂きたいですな
一応二つ提示頂けると有難い
転校
コーヒー
今回のお題むずいなあ
落ちないよね
お題くださいなー
自分の好きな近代以前の時代の日常話
「 お腹が減ったので、町が見渡せるオステリアに立ち寄った。店内へ入ると、パンや野菜のいい匂いがした。今は昼時なんだけれど、結構人だかりができていた。
何やら天才ヴァイオリニストとやらが、店内でコンサートを開いているという。席に着くまでに、心地よい音色が聞こえてくる。可憐なドレスに身をまとった少女がガボットを弾いていた。
「何歳だと思う?」
「二十後半だなありゃ」
d 酒臭い中年がピアニストを指差して笑った。そのうち料理と一緒に酒が届いた。
しばらくゆっくりしていると、ピアニストが換わった。伴奏者がレを三回鳴らすと、聞こえてくるのはラ・フォリア。見ると、弾き手は少年だ。随分とぼろ雑巾のような服と安っぽいヴァイオリン。
聴けば分かる。相当な腕前だ。だが周りの人々はこう言う。
「もっとマシな格好をしろ」
「女を出せ」
「あいつあの貧乏一家の長男だってよ。いくらヴァイオリンがうまくたってなあ」
前菜を食べ終え、私は店を出た。さあ、中学校に行こう。」
「この小説面白いな」
すいません報告前に投稿しました。
再開なさるんですか?
これだけです
またお題下さい
ローマ
海外旅行中にテロに巻き込まれる
>>283
わけわかんなくってワロタ
お題ください
パチンコ(ギャンブルじゃない方)
ありがとうございます
BNSKむちゃくちゃ。
3カ月連続の上、このくそ忙しい9月まで。
付き合いきれん。
忙しいなら参加しなければいいだけだよ~
自分で考えて行動しよう!
>>294
過疎で意見を募るのも難しいですし、落としどころとしては前回優勝者に開催月を決めていただくのが妥当かなと判断しました
無茶苦茶やっていると思われてしまったのでしたら、申し訳ございませんでした
いずれにしろ品評会を開く開かぬも日程などに関しても音頭をとる人間が判断して決めないといけないので、
どうしても勝手やっていると思われる方が出てきてしますのはしょうがないと思います
それでも気に入らないというのでしたら主催のほうを変わっていただくということでも私はかまいませんが
日程などもご自身で決められますし、品評会に出品したいけど都合が悪すぎるというのでしたらアナタにとっても悪い話ではないと思いますが
あ、一応
9月品評会の投稿期間はじまってますー
締め切りは25日、日曜の24:00までですー
>>294 このレスの自分が出てやってる感
つーか、意見募ってたんだからそん時に言えや
後で気に入らねえからってガタガタ抜かすなクズ
なんかガラ悪くなったね
ゴタついてるの?
どこも繁忙期だからね
イライラするんだよ
誰も投稿しないの?
一人だけ投稿は恥ずかしい
>>300
農繁期って読んで納得しかけたww
アイデアはあるんだけど時間がこれっぽちもないから無理かなあ
【BNSK】2016年9月品評会
投票期間 9/26(月)0時-10/3(月)0時
No1 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
http://text-poi.net/vote/125/1/
No2 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
http://text-poi.net/vote/125/2/
No3 タマフミ(都宮 京奈)
http://text-poi.net/vote/125/3/
No4 鯖道~mackerel’s load~ (スイカ(チコ))
http://text-poi.net/vote/125/4/
No5 冴えない一日(古川遥人)
http://text-poi.net/vote/125/5/
全5作品です!
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
・本スレッドで投票する場合
以下のテンプレートに記載し、投票してください。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
―感想―
<<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
********************************************************
・てきすとぽいの場合
「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
忘れていた・・・
時間外でもいいんだよー
No1 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
http://text-poi.net/vote/125/1
テーマ「道化」を真摯に書いた小説だと感じました。
先生が連れて行ってくれた店のひとつ、高尚なお店を「道化」とすると、屋台が「道化」の反対の場所。
……かに思えたが、やはりチェリオ(曲芸集団)に熱狂する「道化」のひとつ。
先生を称賛している作中内において、「道化」を悪いものととらえるのであれば、その反対は「正義」なのだという話でしょうか。
しかし、最後には、
>皆道化師なのだから何に気を使う事があるものかと叱咤して頂いたのかも知れません。
と感じています。
主人公は「道化」にならざるを得ず、そう自分をとらえて生きてくのでしょう。
だとすれば、先生が頑として譲らなかった「正義」の落としどころはどこへ行ったのでしょう。
先生から「人類皆道化」を学び、それならば、「なぜその大事な場面で道化を演じなかった?」と主人公は思わなかったのでしょうか。
それぐらいは主人公は先生のもとに訪れて一言いってやっても良いかもしれません。
No2 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
http://text-poi.net/vote/125/2/
モキュメンタリーのドキュメンタリーとなかなか手の込んでいる構成です。
読み進めていくにつれて事態が悪化していくのが、モキュメンタリーらしさを醸し出しています。
ホラーモキュメンタリーにおいて、撮る側が一番生存確率が高いのも、ジャンルならではといえます(テープが切れてしまいますものね)。
そうすると、
>ルチアーノがカメラを持ち撮影班を撮影するというものだ。
という文から、ルチアーノが最終的には生き残るという物語だといえます。
しかし、最終場面ではルチアーノを殺害するという内容が書かれます。
日付を見てみると、2016 1(最後から二場面目)と2016(最終場面)と書かれています。
これではどちらが先でどちらが後かはわかりません。そのことによってオチをぼかしています。
モキュメンタリーはオチがボカされるのもよくあること。
「モキュメンタリー」らしさをとても高いレベルで表現していると感じました。
No3 タマフミ(都宮 京奈)
http://text-poi.net/vote/125/3/
自作。テーマは「モキュメンタリー」。
誤字がたくさんあります。
「一行目>▽占い師女子高生ERI→▽占い女子中学生ERI
八行目>私の鼻孔をくすぐる→揚羽の鼻孔をくすぐる
下から六行目>気味割るなって→気味悪くなって」
誤字がこれだけあり、文章もすんなりと読めない部分があることなどを読んでくださった方々にお詫び申し上げます。
駆け込み投稿で推敲する時間が取れなかったので誤字満載になってしまいました。申し訳ありません。
書きたいことは書けましたが、そう(プロット通りに)すると余計わからないものになったのが面白かったです。小説って難しいですね。
読んでくださった方ありがとうございました。
No4 鯖道~mackerel’s load~ (スイカ(チコ))
http://text-poi.net/vote/125/4/
サバのドキュメンタリー作品。
ニシンの例もありますし、「美味だから誇り」とは短絡的なのでは。
とはいえ、楽しく読ませてもらいました。
No5 冴えない一日(古川遥人)
http://text-poi.net/vote/125/5/
モキュメンタリーというよりドキュメンタリー。
登場する主人公が架空の人物(作者)と考えれば、モキュメンタリーになりえるのでしょうか。
風俗に行って小説の着想を得て、素晴らしい作品を書くことができた。
私小説好きな小説家が描いた小説が宗教問題、移民問題を絡めたとってもドラマチックな短編、いわゆるノンフィクション作品だったっていうのが好きです。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No2 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
http://text-poi.net/vote/125/2/
―感想―
「モキュメンタリー」という映像作品のジャンルを
文章で上手に表現していました。
また、「モキュメンタリー」という作品を
知っている人ならではのオチが楽しめました。
気になった作品:No1 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
http://text-poi.net/vote/125/1
―感想―
作品に時代感を持たせようとする意気込みと、
テーマについて書こうとする真摯な姿勢がすばらしかったです。
********************************************************
――総評――
今回はお題がとてもむずかしい。「道化」が書きやすそうだと思いましたが、それはオチが透けて見える(誰が道化なのかを探して読んでしまう)。「モキュメンタリー」はもともと映像手法のことなので文章で表現するのには限界がある。
No.2はその難しさを巧みに表そうとしていました。なので投票。
そして、No.3は「道化」を見事、作者自身でテーマを吟味して書き上げた。とても勉強になりました。ですから関心。
No.5はモキュメンタリーをドキュメンタリーとして書き始めた様子がうかがえました。
読み物としてはとても面白かったです。お題至上主義ではありませんが、お題がなければ魅力がないのも事実。
話の流れよりも、途中のコメディがかなり好きでそればかり印象に残ってしまうのが残念。
作品を包括して語りずらいものになってしまっています。作品としての一貫したテーマが見えませんでした。
きっとbnskもてきすとぽいもこういうのを求めているのだなぁと感じるのはNo.4。
パンチのある設定に、短い文章でとても読みやすい。作品全体の概要がすぐわかる。素晴らしい作品だと思います。
投票に至らなかったのは、作品の完成度を見てみた場合少し低いと感じたからです。
サバがどんな姿なのか、どんな様子で語っているのか、どんな匂いなのか、どんなしゃべり口調なのか、といった随所に気になる部分が書ける気がします。
それによって、サバが本来どう思っているのか、どうしてほしいのか、そして人類と魚の共存は今後どうなっていくのかまで幅を持って読者に想像させることができます。インタビューを受けるまで、大変な目にあった、というエピソードを付け加えても後半の「でも、それはある意味誇りであって、私たちが生きていられる根底なんです」に重みを付けられますね。
ここまで書く必要はないのかもしれません。ですが、これらがなかったので、「よくあるSFチックな短編か」と思い、流し読んでしまいました。
総評としては、どれも素晴らしい作品だったと感じます。どの作品も3回は読めるほど読み応え抜群でした。5作といえども、随分多い作品量だと感じます。
企画してくださった方、作品を投稿してくださった方々、そして感想・投票をしてくださった方お疲れさまでした。次回も楽しみにしています。
No1 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
http://text-poi.net/vote/125/1
文章といい時代背景といい内容といい、教科書に載っているようなお話だったなという感想
ふと立ち止まって周りや自分を振り返ったとき、馬鹿馬鹿しいくだらない道化だなあって改めて感じることはいつの時代でもありますよね
そうして特に自分が(主人公が)道化だったと、思い知らされたり打ちのめされたりする話はありがちな気もしますし、自分もよく書いてしまいがちな気もします
この作品に関しては無理のない程度に丁寧にまとめていると思いましたが、先生との食事2回にそのとき目にした人間模様、そして先生の辞職と全体的に薄いというか
強く印象に残ることが起きず、すこし退屈だったかなあと。田舎から都会に上京してきて、周りに圧倒されている小心者という主人公像もあいまって
No2 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
http://text-poi.net/vote/125/2/
>>ルチアーノの人格が撮影者にも侵食していくとか、
結局こういうことなのかな?ちょっとよくわかんない
No3 タマフミ(都宮 京奈)
http://text-poi.net/vote/125/3/
ホラーっぽいよくわからない終わり方だったけど・・・・最後の男?だったり男の子になったりとかそれを示唆する伏線とかはない感じだったですよね?
うん、やっぱりよくわかんねえって感じだった
No4 鯖道~mackerel’s load~ (スイカ(チコ))
http://text-poi.net/vote/125/4/
わかりやすくておもしろかったです、ただ短い!
もうちょっと鯖にくだらないこと喋らせてもよかったんじゃないですかね?
No5 冴えない一日(古川遥人)
http://text-poi.net/vote/125/5/
作家、古川遥人のモキュメタンリー
こういうのでよかったのかーww そのくだらなさと主人公の矮小さに笑いながら読めました
風俗行ってなんかいい感じの小説書けたよという最後はなんとも安っぽい終わりかただなって思ったけど
モキュメンタリーっぽさってこういうところなんじゃないかなとも思えたり
■本スレ
投 関
1 No.01 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
1 No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
No.03 タマフミ(都宮 京奈)
No.04 鯖道~mackerel’s load~ (スイカ(チコ))
No.05 冴えない一日(古川遥人)
■てきすとぽい
投 関
2 2 No.01 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
4 1 No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
1 No.03 タマフミ(都宮 京奈)
1 2 No.05 冴えない一日(古川遥人)
■合計
投 関
2 3 No.01 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
5 1 No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
1 No.03 タマフミ(都宮 京奈)
1 2 No.05 冴えない一日(古川遥人)
集計けっかあああああ!
【BNSK】2016年9月品評会優勝は No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋氏)です!優勝おめでとうございます!!
ずれまくりとかマジ勘弁して・・・
■本スレ
投 関
1 No.01 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
1 No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
No.03 タマフミ(都宮 京奈)
No.04 鯖道~mackerel’s load~ (スイカ(チコ))
No.05 冴えない一日(古川遥人)
■てきすとぽい
投 関
2 2 No.01 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
4 1 No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
1 No.03 タマフミ(都宮 京奈)
1 4 No.04 鯖道~mackerel’s load~ (スイカ(チコ))
1 2 No.05 冴えない一日(古川遥人)
■合計
投 関
2 3 No.01 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
5 1 No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
1 No.03 タマフミ(都宮 京奈)
1 4 No.04 鯖道~mackerel’s load~ (スイカ(チコ))
1 2 No.05 冴えない一日(古川遥人)
集計けっかあああああ!
【BNSK】2016年9月品評会優勝は No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋氏)です!優勝おめでとうございます!!
■本スレ
投 関
1 No.01 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
1 No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
No.03 タマフミ(都宮 京奈)
No.04 鯖道~mackerel’s load~ (スイカ(チコ))
No.05 冴えない一日(古川遥人)
■てきすとぽい
投 関
2 2 No.01 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
4 2 No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
1 No.03 タマフミ(都宮 京奈)
1 4 No.04 鯖道~mackerel’s load~ (スイカ(チコ))
1 2 No.05 冴えない一日(古川遥人)
■合計
投 関
2 3 No.01 英雄(ヒーロー)のいない曲馬団(白取よしひと)
5 2 No.02 ルチアーノ・カヴァルカンディ(茶屋)
1 No.03 タマフミ(都宮 京奈)
1 4 No.04 鯖道~mackerel’s load~ (スイカ(チコ))
1 2 No.05 冴えない一日(古川遥人)
です!!!
すいません何度も・・・
次回品評会は11月となり今年最後の開催となります
お題発表のほうはできるだけ早めにスレにて発表はしたいと思いますが
日程のほうにつきましては開催期間もあきますので、できれば中ごろがいい等の要望がございましたらできるだけ反映したいと思います
また今年開催いたしました品評会では投稿期間1週間、投票期間1週間という日程を取っていましたが
こちらのほうも見直してくれ、という要望がございましたらできる限り応えたいと思います
よろしければ意見のほうお聞かせください
投稿期間は告知から間取ってるからいいと思うけど
感想少ない感じもするし、投票期間2週でもいいかなあとは思うけど・・・隔月だし日程的にも問題はないよね?
11月品評会のお題発表ありましたー!
「冒頭が電車に乗っている場面から始まるストーリー」
文字数制限なし
今年締めくくりに相応しい自由度の高いお題ですね
冒頭ってことは回想から始めてもいいのかな
いいんじゃないかな
回想でも電車に乗ってる場面からはじまれば
それにしても意見が全然ないねえ
11月の中頃、投稿期間にしようかなあと思いますね
>>314
こちらの投票期間についてはどうしましょうか
投票期間延ばしても感想や投票が増えるかっていったら微妙そうなところではありますが・・・
一応の保守
【BNSK】2016年11月品評会
お題『冒頭が電車に乗っている場面から始まるストーリー』
※文字数等の制限はなし
投稿期間:2016/11/01(火)00:00~2016/11/20(日) 24:00
投票期間:2016/11/21(月)00:00~2016/11/30(水)24:00
てきすとぽい開催ページ:http://text-poi.net/vote/128/
開催ページ作成しました!
今年度ラストの品評会ですので投稿投票ともに少し期間をあけてあります!
ラスト盛り上がるといいですね!
楽しみ
投稿期間無視でも投稿できるのか
もうなんでもアリだな
いっそ〆切もなしにすりゃいいだろ
【BNSK】2016年11月品評会
投稿期間となりました!
〆切は11/20(日) 24:00までです!
正直〆切の意味を感じないのはある
それとは関係ないけどお題募集
お休み
>>324
サツガイ
品評会中だがお題ちょうだい
>>326
ライラック
お題ください
>>328
週末
【BNSK】2016年11月品評会
ただいま投票期間中です!
投票期間:2016/11/21(月)00:00~2016/11/30(水)24:00
No.1 花魁扇花-白煙千鳥の如く(白取よしひと)
http://text-poi.net/vote/128/1/
No.2 大都会デビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.)
http://text-poi.net/vote/128/2/
No.3 とお く のものがたり(茶屋)
http://text-poi.net/vote/128/3/
No.4 夏の残像(白取よしひと)
http://text-poi.net/vote/128/4/
No.5 金色の波を渡る(大沢愛)
http://text-poi.net/vote/128/5/
No.6 たそがれの うみ。(有理数)
http://text-poi.net/vote/128/6/
全6作品です!
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
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「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
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投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
No.1 花魁扇花-白煙千鳥の如く(白取よしひと)
http://text-poi.net/vote/128/1/
台詞や地の文のあちこちに現代が透けて見えるのが興ざめ。落語の廓話的な語りが全体を重ったるくして、印象が散漫。
No.2 大都会デビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.)
http://text-poi.net/vote/128/2/
スイカとSuicaについてはアニメ「くまみこ」に出てきた。ただこの軽妙な展開は心地良い。もうひとアイデアあれば。。。
No.3 とお く のものがたり(茶屋)
http://text-poi.net/vote/128/3/
ヤナギダイベントに引っ掛かっているうちに銀河鉄道が出て終わり。これをパロディと見るか無理やりの展開と見るか。
No.4 夏の残像(白取よしひと)
http://text-poi.net/vote/128/4/
雰囲気はある。ただ、この章分けを取っ払って通読すれば、意外にも貧相な世界しか浮かばない。喚起力がいまひとつ。
No.5 金色の波を渡る(大沢愛)
http://text-poi.net/vote/128/5/
暑苦しい。いたたまれない状況に稲をなぎ倒して迫るパトカー。リアルなのか非現実なのか。読み終わって汗をかいていた。
No.6 たそがれの うみ。(有理数)
http://text-poi.net/vote/128/6/
感情移入できるかできないかで真っ二つに割れる。世界があまり広がらないので下手すると悲傷の押しつけになってしまう。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<No.5 金色の波を渡る>>◆大沢愛氏
気になった作品:<<No.4 夏の残像>>◆白取よしひと氏
********************************************************
■本スレ
投 関
No.01 花魁扇花-白煙千鳥の如く(白取よしひと)
No.02 大都会デビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.)
No.03 とお く のものがたり(茶屋)
1 No.04 夏の残像(白取よしひと)
1 No.05 金色の波を渡る(大沢愛)
No.06 たそがれの うみ。(有理数)
■てきすとぽい
投 関
1 2 No.01 花魁扇花-白煙千鳥の如く(白取よしひと)
2 No.02 大都会デビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.)
2 2 No.03 とお く のものがたり(茶屋)
No.04 夏の残像(白取よしひと)
1 1 No.05 金色の波を渡る(大沢愛)
1 No.06 たそがれの うみ。(有理数)
■合計
投 関
1 2 No.01 花魁扇花-白煙千鳥の如く(白取よしひと)
2 No.02 大都会デビュー( ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.)
2 2 No.03 とお く のものがたり(茶屋)
1 No.04 夏の残像(白取よしひと)
2 1 No.05 金色の波を渡る(大沢愛)
1 No.06 たそがれの うみ。(有理数)
優勝はNo.03 とお く のものがたり(茶屋)です!!
おめでとうございます!!
おめっと
お題下さい
>>335
パン屋
なんかもうぐだぐだたったなBNSK。
こっちからの投票が1人だけってのが何とも言えん。
あと発表が投票締め切りの7日後って。
ごめんねー
なかなか時間とれなくて、投稿作品に感想かくのも発表遅れてしまいました
一月の予定もどうなるか今のところまだわからないので、一旦私のほうでの開催は見送らせてもらうね
代わりに開催してくれる人いましたらそちらに任せますし、私のほうで余裕ができそうならまた開催するかもしれません
まーでもこっちに人いるのかもわからんし、あえてBNSKで開催するのも意味がないのかもしれませんが・・・
久しぶりにやってきましたが懐かしいですね
お題ください、今でも感想もらえるんでしょうか
吉兆
投下しまーす。
「私は昔、優也に殺されかけたことがあるわ」
そう姉に言われた。僕はちょっとした冗談的な意味合いだと思ったが、姉は本当に殺されかけたのだと言った。
僕は大学進学に向けての一人暮らしのために、実家の部屋を片付けていた。僕と姉のアルバムが出てきて、興味は移ろい、掃除はたやすく中断された。文庫本サイズの冊子が三冊。市販のインスタントカメラで撮った時代のもので、僕たちが小学生低学年くらいまでの写真が収められてあった。
澄香姉ちゃんにも見せようかな、とも思ったけれど、姉は昨日の夜から高熱を出していてダウンしていた。お昼時で、なにか作って部屋に持っていこうか、とさっき姉に声をかけたのだけれど、「大丈夫だから」とひとりでリビングに行った。
少しは良くなったのかな、と思いつつアルバムを持ってリビングに行くと、姉はご飯を食べながらテレビを見ていた。自分で作ったおかゆを食べる動作は、やはりどこかけだるげに見える。
「澄香姉ちゃん、ほんとに大丈夫?」
「うん」
姉はあやふやにつぶやく。長い髪をまとめ上げて普段より露出している頬が赤らんでいる。大丈夫そうにはあまり見えない。
僕は姉の向いに座って、アルバムを差し出した。
「昔のアルバムが出てきたよ。僕と澄香姉ちゃんの」
「へえ……」
姉はスプーンを持った手を止めて、アルバムをぱらぱらとめくりだす。
「懐かしいわね。幼稚園、小学校くらいのとき? もう十年以上も昔なのね。早いというか、なんというか」
「写真の中の澄香姉ちゃんの年齢を追い越した今でも、いつまでも姉は姉なんだなって不思議に思うよ」
「どういう意味?」
「小学生の澄香姉ちゃんを一七歳の僕が見ても、年はとっくに追い越したのに姉って感じる。いつまでも永遠に追いつけない存在だなって」
「ああ、まあ確かに、中学校の時の先輩とかも、実年齢はとっくに追い越してるのに、記憶の中でいつまでも先輩でありつづけるものね」
しばらく姉はぼんやりした目つきでページをめくっていた。そして姉は言った。
「アルバムなんて持ってくるから、昔話になっちゃうけれど……私は昔、優也に殺されかけたことがあるわ」
「それ、なんのこと?」
「たしかヨーグルトを優也の分を食べてしまって、それで優也がぐずったのよ……そういえば冷蔵庫にヨーグルトあったよね、見てくれない?」
冷蔵庫を開けた。三つ入りパックのアロエヨーグルトが卵置き場にあったので、僕はその一つを姉に渡した。姉は残りのおかゆをちびちび食べている。
「殺されかけた、って、僕なにかしたっけ。全然覚えてない」
「小学生の時だったかしら。確かその時も私、風邪引いていたんだと思う。私、風邪引いたらヨーグルト食べたくなるのかな、昔から。で、最後の一個を食べちゃって、僕も食べたかったって優也はだだこねて。風邪でしんどかったから面倒くさくって相手にもしなかったわ。そしたら、優也、私が部屋で寝てるときに首を締めにきたのよ」
殺されかけた、という言葉が首を締める、という行為に結びついて、空恐ろしくなった。
「え、うそ。まじで僕そんなことしたの?」
「刃物持ってこられるよりましね、と思ったわ」
「いやいや、そういう問題じゃなくって……で、なに、喧嘩でもしたの?」
「ううん、静かなものだったわ。私の上にまたがってスッと首に手をかけられて、ああ、首締められるんだな、って私は呑気に思ってた覚えがある。けれど力は入れられなくって、そのまましばらくして、黙って優也出てった」
姉はおかゆを食べ終えて、そのままスプーンでアロエヨーグルトを口にした。
「夢でも見てたんじゃないの? 熱でうなされた悪夢とか」
「さあね……そう言われればそうかもしれない。でも悪夢だろうとなんだろうと、もとよりもうずっと昔のあやふやな記憶よ。変わりはしないわ」
「僕は僕がそんな怖いことやったとは信じたくないし、そんなことをする人間だと澄香姉ちゃんには思われたくはないよ」
「そう言われてもね……私も記憶の中で、優也は首を締める優也で永遠の存在になっちゃってるから、いまさら言われても変えられないわ」
冤罪だ、と主張しても無駄なようだった。なんともいやな記憶を呼び覚まさせてしまって、アルバムなんて安易に見せるもんじゃないな、と僕は思う。
「ま、どうであれ、優也はそれだけの存在じゃないから安心しなさい。ちゃんと可愛い面も嫌な面も私は知っているんだから……。幸い、今ならヨーグルトはまだ残っているわよ」
「じゃあ今食べてるの、一口ちょうだい」
「風邪、移すでしょう。冷蔵庫にまだあるでしょって言ってるの」
「平気だよ。僕はちょっとだけでいいんだ」
僕は姉のヨーグルトを一口食べる。こんなことで昔は泣いていたんだな、と思うと味わい深いような気がする。
再びアルバムをめくっていた姉が「あれ」と呟いた。
アルバムに、四葉のクローバーが挟まっている。
「澄香姉ちゃんが入れたの?」
「いいえ、知らない」
「僕も記憶にないな。お母さんとかが挟んだのかな」
「干からびていても、縁起物は縁起物ね。大学進学の門出じゃない? どうする、このアルバム。持ってく?」
「いいよ。家に置いとく。澄香姉ちゃんの風邪が早く治りますように、って願うよ」
「流れ星じゃないんだから。四つ葉のクローバーは、また違うんじゃない? 流れ星ってもっと即物的なものって気がする」
「じゃ、澄香姉ちゃんの健康祈願ってことで。養生してください」
僕はヨーグルトを姉に返す。
僕がこの家で姉の首を締めた、なんてまやかしだってことを今更祈ってもしょうがないけれど、そんな縁起の悪い記憶は四つ葉のクローバーと一緒に相殺しとけばいい。
以上です。感想いただけたら嬉しいです。
>>342
読みました。
うまく言えないけどなんだかもやもやした気分になりました…
きょうだいの間にある殺人未遂の過去というマテリアルが重く、口に入れたものをかんでもかんでも飲み込めないような読後感を抱きました
ふわっとした感想で申し訳ない
お題くーださい
クレヨン
>>346
感想ありがとうー
投下しまーす
連投規制とかないと思うけど…
僕は6つ年下の妹が大嫌いだ。今年6歳になるにすぎないが、彼女にはあるひどい癖があっ
て、そのことに僕以外は誰も気づいていない。だから僕ばかりがその被害者になる。ついでに言
えば、その醜い意地汚い妹の癖に気づかない僕の両親のことも、やっぱり僕は嫌いだ。
ある夏の夜に妹がぐずついた。「あたしのアイスがない!」
地団駄を踏んだり大きな声で泣いたりしたので、母親が心配げに「どうしたの」「なにがあっ
たの」と妹のそばに寄った。
母と妹はキッチンにいて、僕はリビングでテレビを見ていた。父は会社にいる時間なので、家
にいるのは三人だけだった。
僕はなんとなく嫌な予感がしていたが、何事もなく過ぎ去るのを祈ってテレビに見入っている
ふりをした。しかし予想通り「ちょっとお兄ちゃんこっち来なさい!」と母が金きり声で呼んだ
ので、祈りはそこで尽きた。
「なに、どうしたの?」
キッチンでは目を赤くした妹と彼女に寄り添う母が僕を待っていた。考えうる限り最低のシチ
ュエーションだった。
「どうしてあんたはそうなの? 妹にひどいことばっかりして……」
「僕が何かした?」
「サキのアイス食べちゃったでしょ、ねえ?」
母は妹に訊く。妹はこくんと頷く。
「知らないよ。確かにアイスは食べたけど、サキのものかどうかなんかわからないじゃん」
「自分のことばっかり考えて、あんたそんなんじゃ人に嫌われるよ。社会で生きていけない大人
になるよ。思いやりってものがないの?」
僕はアイスが誰のだとかなんとかいう小事件から、まさか人に嫌われるとまで非難されるとは
思わなかったので、ひどく頭にきた。
実のところ、僕は妹がどうして突然ヒステリックに「自分のアイスを食べられた」と騒ぎ出し
たのか知っている。彼女はしばしば、突然思いついたように出来事をでっちあげて、自分を被害
者にするのだ。そうして周囲の反応を見る。今回は「自分がとっておいたアイスを兄に食べられ
た」というストーリーを作り上げて、母が自分をどんなに味方してくれるかを試したのにちがい
ない。実際僕はファミリーパックのアイスの最後の一つを食べたにすぎないし、妹がそれに名前
を書いたりして自分のものだと主張したわけでもない。
おそらく最初は、「アイスを食べようと思ったが、予想に反してそれはもうなくなっていた」
というだけだった不満の感情が「兄に食べられた」という物語にすり替えられたのだ。
なぜこれほど妹の心理が分かるかといえば、妹は常々こんなことを繰り返しているからだ。
「サキのアイスだとは思わなかったんだよ。気づかなかった」
僕は爆発しそうな怒りの感情を飲み込んで、力なくそう言うしかなかった。それでも母は追い
討ちのようにすかさず言った。
「ごめんなさいは?」
もう一度煮えくり上がってきた感情を飲み込めもせず、ひたすらな気持ちになって僕は「ごめ
んなさい」と妹に頭を下げた。
妹は何も言わず、ぼうっとした無表情で僕と母のやりとりを眺めているだけだった。
自室に帰って僕は布団に潜り込んで少し泣いた。僕の頭はとてもクリアで、論理的で、この事
件において何が起きているのかすべて理解しているつもりだ。けれども、ああして母に理不尽な
言葉をぶつけられると、頭とは別の部分が大きくぐらついて、気がつくと目頭が熱くなってしま
うのだった。
なぜ母は妹の悪癖に気がつかないのだろう。僕は怒りを伴って疑問を抱いた。つまるところ、
母は僕たち子供のことをちっとも見ていないのだという気がする。彼女の目には「兄」「妹」と
いう関係だけが見えていて、本当のところは何も見ていない。妹は憎たらしくてたまらないし、
母親には怒りを覚える。毎日がその繰り返しだ。
その事件からしばらくして、夏休みに家族でプールに泳ぎに行った。とても大きい施設で、流
れるプールとかウォータースライダーとかいったものが一通り揃っているところだ。
施設の中はひどくごった返していた。空には雲ひとつなくて、太陽光が鋭くさすように肌を焼
いているような気がした。人いきれと蒸発したプールの熱気で僕は到着した時から気分が悪かっ
た。
僕は小学校の水着を履いて、妹はピンク色の水着にピンク色の浮き輪を肌身離さず持ってい
た。父と母は売店で食べ物と飲み物を買って、パラソルの下に座っている。二人ともプールで遊
ぶ気はないらしい。ついでに言えば僕も泳ぐのは好きじゃないし、妹はほとんどプールに恐怖心
を抱いている。
誰がプールに行こうなんて言い出したのだろう。確か父だ。彼は、子供ならプールが大好きに
ちがいないと決めつけている。さらに言えば僕が昆虫好きだと思っているし、妹がまだ絵本を読
むと思っている。実際にはそれらは数年前までの僕たちの好みだ。
僕は不満を言いたかったが、母が僕のことを家族行事に非協力的な子供だと評価するにちがい
ないから、なにも言うことはできなかった。
僕は妹の後をついて人ごみの中を歩いていた。妹はどのプールに入るでもなく、ピンク色の浮
き輪を腰に持ったまま、うつむきがちにてくてくとあっちへこっちへ歩く。彼女を一人放ってお
くわけにもいかないから、僕はお目付役のつもりでついていった。
それで行き着いたのがお土産などが売っている売店だった。シュノーケルやらゴーグルやら、
あるいはキーホルダー、置物などがある。妹が関心を寄せたのがクレヨンだった。
「~~プールクレヨン」という、プールの名前が冠されたもので、僕は後ろからそれを見なが
ら、なんでもあるものだと思った。
妹はじっとそれを手にとって見ていた。物欲しそうに見ていた。
するといつの間にかすぐ近くまで来ていた母がそれを後ろからとりあげて「サキちゃん、クレ
ヨンなんかもう持ってるでしょ」と言ってクレヨンを商品棚に戻して、またどこかへ歩き去って
行った。偶然近くに居ただけらしい。
妹はもう姿も見えなくなった母の去っていった方向をじっと睨みつけた。僕は彼女の、まだ欲
しいとも何とも言っていないのに、という悔しい気持ちが手に取るようにわかった。妹はクレヨ
ンを手にとってじっと葛藤していたのにちがいない。しかし彼女の中にあった感情の揺れ動き
は、母に完全に無視されてしまった。
ついに妹は退屈そうな表情を崩すことなく、プール施設をうろつくだけだった。父と母は良き
休日を過ごせたという表情で帰り支度を始めた。
僕は帰り支度の途中一人トイレに向かった。けれどじっとりと湿ったトイレサンダルや、水色
のタイル張りのひんやりした床、異様にスースーする芳香剤の匂いを嗅いで、やめた。ここは最
低な場所だ。
みんなのところへ戻る前に、僕は売店であのクレヨンを買った。九百円もした。
帰りの車で父はラーメンを食べて帰ろうと言い、母はそれに反対して言い合いになった。僕と
妹は後部座席でそんな親二人の様子をぼうっと見ていた。
僕はしばらくの間クレヨンを妹に渡せずにいた。恩着せがましくするのが嫌だったし、僕と妹
はそんな風に物をあげたりする仲じゃない。きっと妹という名の他人なのだ。母も母という名の
他人で、父も父という名の他人なのだ。僕自身この家のなかで他人だという気がする。
結局、クレヨンを妹にやるもっともらしい理由でもあればよかったのだがそんなものはなく、
なんでもいいから手渡してやれという気になった。ただし両親にその様子を見られてはダメだ。
僕が優しい兄を演じたことを、彼らは無神経に笑うだろう。あるいは自分たちの教育が正しいの
だと満足に頷いて見せるだろう。それはたまらなく嫌だ。彼らは子供達が真剣に何かを考えたり
必死に取り組んでいたりするなんて思いもしないのだ。だから子供達はいつも軽んじられている
心地がする。それが当事者にとってどれだけ悔しいか、虚しいか、知らないのだ。
「これ、いらないからやるよ」
と僕はいった。母が夕飯の準備をしている頃合いだった。妹はリビングに寝そべってテレビを
見ていた。妹はクレヨンに気づくとそれを手にとってお腹の下に隠した。母に見られたらまずい
とわかっているらしい。
僕は何もなかったように妹から離れて子供部屋に戻った。
別に妹に同情してクレヨンを買ってやったわけじゃない。母への反抗としてやったのだ。
その後妹からはお礼もお返しもなかった。ただ僕がクレヨンの秘密を握っているためか、いつ
もの悪癖はなりを潜めたようだった。
おわり
>>355
終始主人公視点のお話でしたね
妹は妹で腹に一物を抱えてるようで明確に描写されないという、
家族のいびつな距離感を描いていて面白かったです
お題プリーズ
朝焼け
このスレももっと活気が出るといいなー
創作系のコミュってどこかあるんだろうか
お題くれー
酒
新年あけましてお題下さいおめでとうございます
抱負
把握
それでは投下します
冷えたポッキーを咥えながら彼女がそう言った。
「抱負だって言ってんだろ」
「だからよ」
炬燵に両手を突っ込んで頭と口からのポッキーを付き出しながら
「シンプルで分かり易くて可愛いのがいいでしょ」と言った。
そういえば蜜柑が置いてあった。
手は自然と筆を半紙の横に置いてそれに伸びる。
やや柔らかくなった蜜柑は酸味が抑えられて甘味が際立つ。
無心で向いた蜜柑の一房を口に運ぼうとして、横からトドの様な動きのモノが
それを咥えて奪って行った。
彼女である。
せっかく可愛いというのに動きがもうトドである。
「トドみたいなのはどうかと思う」
「アザラシはトドとは違いますー」
「似たようなもんだろ」
「全然違うよ。鳴き声とか」
そうですかっとため息をつきながら、俺は次の一房を指でつまむ。
そしてまた奪われた。
「なにをするか」
「アザラシ」
「アザラシをしているのか」
「そうじゃなくて、抱負のをアザラシにしなよって」
食べながらでないと提案ができないのかとか、手で持てよとか、指が濡れてるとか
言いたいことはいろいろあったが
「文字通り抱えるものだぞ、アザラシを抱えろと?」という一言を優先した。
だが、優先した事が正しかったかどうかは分からない。
「可愛いからイイよね?」という、首を傾げながらの理屈の見えない問いかけに頭を
抱え、ただ
「可愛くなければ追い出しているところだ」と答えるのが精一杯だった。
三回目にしてようやく蜜柑を口に出来て、しばし静かな時間を堪能していると、また
トド――いや、アザラシが動いた。
腕を仕舞った頭ばかりの姿で炬燵布団を持ち上げないようにズリズリと、どういう
体勢だか炬燵の足も通り抜けて横に来ると
「うりゃ」とのたまわって右肩に頭突きを仕掛けてきた。
「なにをするか」
「アザラシ」
「アザラシをしてみたのか?」
「それもあるけど、さっさと抱負のにアザラシって書きなって」
「抱えろと仰るか」
「抱えろと申す」
こういう意味の分からない会話で、とりとめのないままに時間が過ぎるのも好きではある。
あるが、こうしている最中にもうりゃうりゃと頭が擦り付けられるのはさすがに困る。
「書けない」
「なんでだよ」
「意味が分からん」
「おバカさんだ、このおバカさん」
「お馬鹿さんで悪かったな」と、うりゃうりゃと追撃を繰り返す頭を腕で跳ね除けた。
あまり表情が変わらないその顔の、瞳が僅かに見開かれる。
「うりゃ」
一度だけで終わる、その軽いもたれ掛りは止めなかった。
ただその遠慮がちな接触が、接触後の沈黙が、彼女の気持ちを伝えてくるようで
居た堪れなく感じられた。
「抱負の負が、背負うモノって意味だからって……」
沈黙を続けていられなくて、適当に口を動かし
「負けるって文字は縁起が悪いから別の文字を考えようっていう前提でだな」
誤魔化すように彼女の頭をグリグリと押さえつけながら言った。
「なんで、“負う”の代わりにアザラシが入ってくるんだよ!」
彼女は俺の激しいツッコミも意に介さない様子で言った。
「アザラシの鳴き声が“オゥ”だから」
以上です
初ボケの出ができて満足です
>>369
読みました
時期的に、男女のだらっとした新年の書き初めの風景を描きたかったのだろうなと理解しました
しかし、かろうじて、です
どういう状況を書いてあるのか把握するのに苦労しました
つまり、何が書いてあるのかがわかりにくいのです
例えば書き出しでいきなり「彼女はそう言った」とありますが、何故書き出しで「そう」などという指示語がでてくるのか
そうした点含め、つっかえつっかえ読んだ感じでした
あ、一行目「アザラシで良くない?」が抜けてた……
どうもです
投下します
大学四年生のときに、私は彼と知り合った。
仮に彼のことをサイトウと呼ぶことにする。
四年のゼミの配属先が私とサイトウは同じだった。専攻が同じだったにもかかわらず、私と彼はそれまで一度
も顔を合わせたことがなかった。必修の科目でも私と彼は常に別のクラスを選び続け、一度も平行線が交わるこ
とがなかったということだ。ゆえに、最初の授業の日、少し早めにゼミの教室に入って彼を目にした時、別の専
攻の人か、留年生かと思った。
ゼミの教室はあまり広くない。「口」の形にテーブルが並べられた、十五人程度しか収容できない小会議室の
ような部屋だった。
部屋にはサイトウしかおらず、私はサイトウと対面する位置の席に着いた。
講義の開始まで十分ほどあった。部屋の中は嫌に静かで、彼が読書か何かでもしてくれていればよかったが、
サイトウはぼんやりと椅子に深く座っているだけだったので、無視するということもし難かった。
私は最初になんと声をかけただろうか。「どうも」とか「今日は寒いね」とか、そんなことだったと思う。サ
イトウはそれに答えて「僕はサイトウ。君は?」と言った。
彼の声は見た目に反して低く響くようだった。どちらかといえば線が細く童顔だったので、そんなことを意外
に思ったのを覚えている。
以上のようにつつがなくファーストコンタクトを終えた私たちだったが、しかしその後しばらく彼とはとくに
会話もしなかったし、仲を深めるようなことは何もなかった。四年のゼミは卒論を書くわけで、講義も毎週ある
わけではなかったのだ。月一程度の頻度で中間発表を行い、それ以外に教授に質問がある時や相談事がある場合
には、個々人が研究室を訪れたり、メールでやりとりする。中間発表の時も、私はゼミにいた他の友人と食事に
いく場合がほとんどで、サイトウとは一緒にならなかった。ゼミの飲み会に彼を誘った時もあったが、彼は参加
することが一度もなかった。ゼミの友人たちにもサイトウと深い仲を築いている人はいないように見えた。彼は
いつも静かな存在であり、彼が注目を集めることはなかった。
・・・・・
その年の夏休み私は卒論の準備が順調だったため、実家に帰ることにした。ありがちなことではあるが、一人
暮らしのうちに身につけた私の価値観と両親の価値観とにズレが生じており、ほんの三日生活を共にしただけで
険悪な雰囲気が家族の間に生まれてしまった。そういうわけで私は帰省を後悔しながら東京の下宿に戻り、する
こともないので大学で研究資料を集めることにした。
その時偶然出会ったのがサイトウだった。彼は私と同様に下宿にとどまり(私は一度は帰ったわけだが)、図
書館に通って勉強を続けていたという。
彼と図書館で時間を過ごし、休憩がてらに二人で自販機のコーヒーを飲みながら世間話をした。両親との喧嘩
のために孤独な気分に追いやられていた私は、たいして仲が良いわけでもない彼に遭遇したことをやけに嬉しく
思った。それから初めて彼と夕飯を共にすることになった。
私は彼と大学近くの有名なカレー屋に行き、それから食後にどこかへ行こうという段になり彼が酒は飲めない
と判明したので、カフェでコーヒーを飲むことにした。
「今更言うのもなんだけど」サイトウはブラックコーヒーの水面を見ながら言った。「昼間図書館で会った時、
ずいぶん顔色が悪かったね」
「そうかな? まあ、確かにいい気分ではなかったけど。勉強なんか大嫌いだからね俺は」
彼は微笑んでコーヒーを一口飲んだ。
彼が口を閉じてしまったので一瞬沈黙が流れる。私はつい、何か話そうとして口を開いた。
「実は実家に帰って親と言い合いになってね。早く自立しないといけないと強く実感したよ」
「言い合い?」
「そう。いや、ちょっとしたことでね。こっちで就活進めてたのに、今更地元に戻ってこいなんて言い出して
さ。実際、まだ本格的に動き出してないから強く言い返すこともできなかった。俺自身、なんで東京で就職した
いかと言われれば、特に理由もないんだ」
私はそう話してからすぐ、余計なことを言ったな、と思った。しかし同時に、それほど親しい相手ではないか
らこそ、好きなだけ話したって構うものかという気になった。その日は酒の席でもないのに、私は妙に饒舌にな
っていた。
「だけど、自立したい気持ちがあり、親とのズレを感じている」
サイトウは低く響く声で言う。私は頷いて続けて言った。
「そう。東京で働きたいという積極的な気持ちはない。けど、地元に戻りたくないという積極的な気持ちがある
わけだ。なんというか、母親と一緒にいるとあの話を思い出すんだ。『今昔物語』霊鬼についての話」
「母親が鬼になって子を食べようとする話」
「そう、それ。千年くらい前の話のくせに、よくできてるぜ。年をとった母親は子を食おうとする。手元に置い
て、ああしろこうしろって自由を奪うんだ。家にいると、自分が食われようとしてるのがわかる」
「それは怒り? 不安?」
「さあね。……まあ、どっちもだろうな。現実問題として学費を払ってもらってたり、世話してくれたのをありが
たく思う気持ちもある。だからそれを後ろ盾にされると反論もできない。それは不快な気分だよ。がんじがらめ
だ。向こうが正しい。でも、こっちは息苦しい。早く経済的に自立して、親に金を返して、独りになりたい」
私のコーヒーは冷めていた。私自身は熱くなっていた。彼に話していると、実家にいた時の荒れた感情がむく
むくと蘇ってくるようだった。サイトウはそれを聞きながら頷き、ときに相槌を打ち、表情をほんの少しずつ変
えてみせた。
結局その日、二時間近くカフェで話し込んでしまった。サイトウは寄るところがあると言って、カフェの前で
別れを告げ、駅とは反対方向に歩き去って行った。彼は夜の雑踏の中にあっというまに消えてしまった。
私は独りで乗った電車の中でようやっと気がついた。彼のことは何一つわからなかったということに。一方で
私のことは何もかも話してしまったようなきがする。大学での交友関係や様々な思い出、考え方、思想、家の位
置まで。
普段私は聞き役に回ることの方が多いというのに、奇妙な経験だった。サイトウは相当な聞き上手だ。自らの
沈黙を守る才能、そして相手から聞き出す才能、それらを隠す才能を持った男なのだ。
その会合を境に彼への見方がすっかり変わった。
それから私は度々彼と食事に行ったり、買い物に行ったりした。それでも彼は常にヴェールの内側に身を隠
し、何も明かすことはなかった。
・・・・・
秋が去り、冬の季節に差し掛かった頃のこと。私は結局東京で就職先を見つけ、親との軋轢を残したまま自ら
の進路を決めていた。人生を生きて行くうちに、いくつか不和を抱えることになるのは、仕方のないことだ。そ
んな悟りを開き、卒論の仕上げに集中していた。
十二月の最後のゼミの時、私はサイトウの異変に気がついた。
いつもポーカーフェイスで、自らを隠している彼が、すっかり弱りきって見えたのだ。
頬はこけ、青ざめ、目は落ち窪んでいる。いつでも決して目立たない彼なのに、ゼミの皆がチラチラと彼に視
線をやり、困惑していた。そんなことにも気がつかないのか、彼は背中を丸めて全くの無表情のまま、机の上に
視線を落としていた。
発表が始まってからも、私は彼のことばかり気にかかって上の空だった。前回の発表のあと彼と食事に行き、
それから今日まではたしかに一度も会っていない。その間に、何があったのだろう。
卒論はほぼ全員最後のまとめに差し掛かっており、発表の中で問題が発覚した者はそこを修正しなければなら
ない。冬休み図書館が開いている期間は短いので、作業を急ぐように、と教授がゼミを締めて解散となった。
卒論が問題なく進んでいる連中で飲みに行くかという提案があったが、私は辞退し、幽霊のように教室から消
え去ったサイトウの後を追った。
彼はいつもエレベーターではなく階段で下に降りるので、すぐに追いつけた。
「よう。体調が悪そうだな?」
サイトウはちらとこちらを向いて、いつも通り微笑した。
「いや、そんなことはないよ」
確かに実際話してみるとそれほど異常をきたしている風にも思えなかったので、少し安心した。
「夕飯でも食べないか?いつものカレー屋がいいか」
「いいや、酒が飲みたい気分だ」
私は意外に思った。彼が酒を飲むなんて。
「僕もたまには飲むんだよ、実は」
サイトウが隠していることを明かすのを見るのは、それが初めてだったかもしれない。
私は店の選択を彼に任せ、電車に乗り、地下鉄を乗り継いで、銀座に行った。
歌舞伎座の前を通り過ぎ、細い通りに入っていく。そんな通りにも立派な店が軒を連ね、いかにも高級そうな
服装の年寄りが行き来している。こんなところに、大学生二人で入る店があるのかと、私は不安に思った。
サイトウは、さらに細い道に入った。路地裏のような通りだ。街灯もなく、壁にはスプレーで落書きがされて
いる。下水道の穴から白い煙が上っている。
なぜこれほど奥まったところまで行くのか不思議だった。しかし、サイトウは文字通り隠れ家に私を連れて行
こうとしているのだろうと思った。
戦後間もない頃に建てられたような古い建物にネオンの看板。入り口を開いたらそこは階段で、地下に続いて
いた。私は彼の後について階段を降りて行った。私はもうここがどこなのかわかっていなかった。
木製の薄いドアを開けるとガランガランとちゃちな鈴が鳴る。
「いらっしゃいませ」
中は薄暗いバーで、カウンターに立っている男性が声をかけた。六十歳か、それ以上の年寄りに見えた。背は
高くひょろ長い。総白髪のオールバックで、芝居に出てきそうな風格があった。
空いていたので、私とサイトウはテーブル席に座った。同じくらい年配の女性がメニューを持ってきて、愛想
よく「ご注文がお決まりになったら」と去って行った。
「おい、なんだかスゴイ店を知ってるな。銀座のバーなんて」
「僕だって行きつけってわけじゃないよ。買いかぶられちゃ困るけど、店はここしか知らないよ」
私はカクテルはよく分からないので、彼に任せた。
年配のウェイトレスが私の前にモスコミュールを、サイトウの前にアイリッシュコーヒーを置いた。
モスコミュールは透明な液体で、ライムが飾ってある。アイリッシュコーヒーは見た目はコーヒーそのものの
ように見えた。真っ黒なコーヒーと真っ白なクリームがきっぱりとした境界線を描いている。
「やっと一休みできるな。卒論はまだ残ってるけど、だいたい完成してるし、就職も決まったし……いや、ゼミの
連中はどうなんだろうな」
「ハナヤマとイケタニはまだ決まってないみたいだね」
とサイトウは言った。私は思わず「えっ」と声を出した。それはゼミの仲間の名前だった。
「あいつらと仲よかったっけ」
「いいや、仲がいいってほどじゃないけど、何度か話したことがあったからね」
訊くと、サイトウはゼミのほぼ全員と交友があるということだった。それも、いつも一対一で話す関係を作っ
ている。しかし複数人で遊んだことは一度もないという。
「ゼミに限らない。僕は、あんまり大勢で行動するのが億劫だから、一対一で話せるときだけ誘ったり誘いを受
けたりするんだ。大学一年の頃から……いや、もっとずっと前からかもしれないけどね」
私は彼が交友関係の少ない人間だと勝手に思い込んでいたので、少なからず驚いた。
「僕は人の話を聞くのが好きなんだ。人の表層的な部分はどうでもいいんだ。人の話にはその人の人生の一部分
が姿を現していて、それは無価値なものじゃない。それを一つ一つ聞いて、頭の中にしまっておくのは良いこと
だ。……でも本当はそうじゃないのかもしれないと、つい最近になって思い始めた」
バーの暗い照明の下で、彼は瞳に悲しい光を宿らせていることに私は気がついた。彼は今、ヴェールの外に出
ている。
「つまりこういうことなんだ。人生には形も色もない。ただ何もせずとも時間は流れすぎていく。人々はその中
で様々な体験をする。『体験』それ自体は中立的に存在しないんだ。それは自らが綴る物語の形をとって個々人
の人生に内包される。わかるだろ? 君は君のパースペクティブでしか物事を経験できない。もちろん僕も」
彼はアイリッシュコーヒーを飲んだ。私は続きを促した。
「人間は時間を、体験を切り取って生きているんだよ。無数の、おびただしい数の物語を書いてみんな暮らして
いる。それは、無意識のうちに行われる。その中の一部は物語と言わず『思い出』と言い換えることもできるだ
ろう。大切な思い出、辛い思い出……」
私は、彼がもう酔ってしまったのではないかと疑った。これほど自分の考えを話すのを見るのは初めてだった
し、それは彼らしくない。彼らしい行為ではないと思った。
「話が下手ごめん。話すのは苦手なんだ。実は就職も決まってない。面接で不利だろう。話す練習をしておくん
だったよ。なんだっけ、そう、物語だ。原稿用紙を想像してみてくれ。君はある出来事についての物語を書く。
そしてファイリングする。しかし中には、ファイリングしたくないものがある。君はその原稿用紙をどうすれば
いいだろう。そうだ、丸めて、捨ててしまえば良い」
私はモスコミュールを飲む。きつい、強い口当たりだ。苦く、しかし後味を残さずに抜けていく。
「僕は思うんだよ。この僕は、丸めた原稿用紙を捨てるためのゴミ箱なんじゃないか」
「それは、違うよ」
私は言った。しかし、言葉は彼に届く前に消滅してしまったような気がした。
「違わないかな。それは愚痴を言うのとは異なる行為なんだ。原稿用紙を放って、放ったことも忘れてしまうと
いうことが重要だ。誰も彼も僕に話したことを忘れるのさ」
私は、親しくない者にこそ話せない話をしてしまうものだと知っている。
よく言われることだ。同じ客船に乗って旅をした者たちが、目的地について別れた後、互いに会おうとしなく
なる。船の中でつい不用意に話したことが気まずくて、会えなくなるからだ。
サイトウはいつも客船の上で人と出会い、話を聞く。しかし彼らは、船を降りた後で彼に会おうとは思わな
い。彼の役目はそこで終わっている。
何かが間違っているように私には思えた。彼自身が悪いのか、それとも皆間違っているのか。
サイトウのアイリッシュコーヒーはクリームとコーヒーの境界が崩れ、混じり合い、泥のような色に混濁して
いる。
「問題は僕の中にあるんだよ。なぜなら、こんな物語を作ったのは僕だから。……今日は話を聞いてくれてありが
とう」サイトウは言った。疲れた声音だった。「僕の話は、誰も聞いてくれなかったんだ」
二人とも次のカクテルを注文しないで、席を立った。
相変わらず彼は用があるからといって駅と反対に去って行った。冬の夜風はひどく寒く身体を貫いた。
owari
以上です。ちょっと長いかもしれませんが読んでみてください。
お題ください
パンツ
>>373-379
1/7で気になったとこ
説明がくどいかな。
・サイトウと出会った時のこと。
・ファーストコンタクト後もさして親交はなかったこと。
これについてくどくど説明されてる感が強い。
「 彼の声は見た目に反して低く響くようだった。どちらかといえば線が細く童顔だったので、そんなことを意外
に思ったのを覚えている。」
ここの雰囲気は少しいい。でも文法が少し奇妙。
主人公の主観なのだから「彼の声は見た目に反して低く響いた。」
「どちらかといえば線が細く童顔だったので、意外に思った。」
に直したくなる。
3/7で気になったとこ
「それから私は度々彼と食事に行ったり、買い物に行ったりした。」
自分のこと棚にあげるけど、こういう書き方すると書き手の薄さが透ける。
逆にここの転機のシーンを一味工夫して掛けばかなりこなれた感じになると思う。
4/7で気になったとこ
「人生を生きて行くうちに」…???なんか不思議な表現だな。
いや、意味は分かるんだけどなんか気持ち悪いわ。
読み終えた。最後サイトウが一気に独白するシーンは結構面白かった。
主人公の例え話(客船の話)はサイトウにさせた方が良かったかな?
もう少し手を加えればいいショートショートになると思った。
改めてタイトルを見ると陳腐だと思った。もったいない。
>>383
丁寧に読んでくれてありがとう
全体の構成から細部までブラッシュアップできそうだ
お題くだそーい
堕天使
ずいぶん前の名前欄が残ってた、失敬
お題ください
>>388
予見者の眼に映らない空谷の跫音
>>389
相分かった
あれ、書き込めない
空谷の文字列をドラッグすると、私のAndroidスマートフォンはすぐさまサジェストを画面下部に表示した。ワンタップで検索画面に切り替わり、Googleのエンジンは考えうる最大の早さで結果を提示した。検索トップの辞書ページによると、空谷とは「人のいない寂しい谷間」のことを表し、空谷の跫音と続けることで、「孤独なときに受ける珍しくてうれしい訪問や便りのたとえ」という意味の慣用表現となるらしい。跫は一文字で足音の意であることは知っていたが、跫音として二字で熟語になることは今知った。これで昨日の自分よりかは少しは賢くなれただろうか。
それから、「予見者の眼に写らない」という語句について考えた。
予見者、つまり未来の物事を予め見ることが出来る者。その者の眼に写らないとなれば、一見矛盾しているように思える。
論理の世界に生きる人には腹立たしく感じられるかもしれないが、矛盾は往々にして詩的表現を生むものだ。柔軟に受け入れて考えてみよう。そうして整理してみると「予見者の眼に写らない空谷の跫音」というお題は、物語の予感を内包しているように見えなくもない。
さて、ここで唐突ではあるが私は今小説を書こうとしていることを白状しよう。そしてこれは創作のメタ構造を無視し、読者であるあなたを想定した記述であることを先に述べておく。もっといえば、リアルタイムでこの文章を綴っている現実世界の私は、このあと勤め先の会議を控えているが、
会議場に予定時刻の二時間も前に着いてしまったために時間をもて余しているの間抜けな奴である。そして、
2ちゃんねるの創作スレッドでお題を貰って小説を書いている最中でもある。
こういった記述は小説作法一般では禁じ手とまでは言わないにしろ、決して好ましい技法ではないことは勿論承知している。その前提の上で、私は小説の登場人物でありながら、書き手である「私」としてもあなたに問いかけながら物語を進めていくことを許してほしい。
さて、「私」の位置付けを先に吐露してしまったのは、悪手ではないかと自問しつつも、私に残された道を考えてみようと思う。
一つは、このまま何事もなかったかのように、劇中劇という形式で小説を書き、お題を消化するこ
と。そうした場合、モノローグで再び私が登場し、何らかの気の効いた締めの一言でも添えれば一応、小説としての体裁は整うだろう。
もう一つは、捻れたメタ構造を維持しつつ私の物語を着地させること。
後者の解決策の抱える問題は、私が予見能力を持たない一般人であることか。
と、ここまで書いたところであることに気がついた。「私」は小説の登場人物でありながら、物語の趨勢を左右できる作者としての「私」、つまり未来を思うがままに予見し、更には記述することあらゆる状況を産み出すことが出来る存在では
ないかということに。
光明が見えた。
「私」にとって空谷の跫音とは、寒空の下で会議が始まるのを一人待つ惨めな状況の中、思いがけず与えられた、「予見者の眼に写らない空谷の跫音」というお題そのものではないだろうか。ここにお題に対する私なりの解答を得た。ちょうど間もなく会議も始まろうとしている。それでは今日は、このあたりで筆を置かせてもらおうと思う。
書き込めた。終わり
よーし、もう一本書こうかな
お題ください
>>396
[入替]改札口
自分にもお題ください
若さもしくは老い
僕にもください
幼な妻
久々にお題ください
野望
お題くださいん
ビッグ
お題ください
書くと思うからくらはい
お題ください
正義の魔法少女vs呪怨の怨霊佐伯伽耶子
409ですが、呪怨を見たことがありません…
せっかく、お題を下さったのに、わからないので、書けそうにないので、何か他の方が出しているようなテーマみたいなお題ください。
本当に申し訳ないです…
時代遅れ
雨水を吸い、風に晒され、私は静かに待っていた。
人が去ったあとはなんとなく侘しいものだ。
人のあたたかな体温を数十年経過した今でも静かに待ちわびているのか。
私は、フリーランスの建築士として働いている。郊外に自宅兼事務所を構え、早十数年、経営はぼちぼちで、のんびりとした毎日を送っている。
その日は一日中、窓から見える街路樹のハナミズキをぼーっと眺めていた。時計は午後2時40分を指していた。退屈に喝を入れるため、珈琲を淹れようと椅子から立ち上がり、背伸びし、腰に手を当てながら、腰を左右に動かしていた時、電話が鳴った。依頼だった。
依頼内容は、学生寄宿舎だったアパートを改修してほしいというものだった。
建物は、数年前に大学のキャンパスが移転してから、借手がつかなくなってしまった3階建てのアパートで、築50年以上経過しており、老朽化が進み、借手がつかないので、改修して、再び借手を募集したいという内容であった。
今日は、依頼主のご主人と共に、物件を下見に行くことになっていた。
街路樹のハナミズキの植えられた通りを抜けて、更に奥に行った所にその物件はあった。
「こんにちは。」
建物の前に小太りの中年の男性が立っていた。
私は軽く会釈し、名刺を渡すと、お互いに簡単な挨拶を交わした。
建物の外観は、埃や泥が染み込み、風が色を拭い去った色褪せたブルーで、築50年ということもあり、かなり老朽化していた。
完全に時代に取り残され、時代遅れな外観をしていた。
今のままでは、老人はおろか、若者が家賃が安い以外の理由で住みたいと思わせる理由がなかった。
ふと、足元に目をやると、隅に無愛想な顔をした三毛猫が座っていた。
「かわいい猫ちゃんですね、この猫は、ご主人の猫ですか?」
私は屈んで、猫の首元をくすぐりながら言った。ご主人は、座っていた猫を一瞥後、
「いえ、違いますよ、ぼくの猫ではありません…おそらく、以前の飼い主の猫なのでしょう。」
私は猫の頭を撫でながら「その…失礼ですが、以前とは…?差し支えなければ教えていただけないでしょうか。」
猫は、目を細め気持ちよさそうに私の手に頬を擦り寄せている。
ご主人は、吃り手をもじもじとこねくり回しながら、言いにくそうに「あの…そのー、前に管理人の婆さんが住んでいてですね。それが、5年程前に亡くなりましてね。
おそらくその猫は、飼い主が死んだ今も家に残っているんでしょうね。猫は人よりも家につくっていうでしょ、たぶん、それでしょね。」ご主人は猫を伏し目がちに見ていた。
逆光の影が全身を覆い、ご主人の表情は見えにくくなっていた。猫はごろごろと喉を鳴らし、手に絡みついている。
西日が眩しい。私は、目を細めて、なんとかご主人の表情を伺おうとしたが、駄目だった。
ご主人の表情を伺おうとするのは諦め、猫の方に顔を向けながら「へぇー、そうだったのですね。この子は自分の意思でここに残ったのでしょうね。しかし、本当に人懐っこい子ですね、相当可愛がられていたんでしょうね。」
日が傾き、オーナーの表情は完全に見えなくなった。
ご主人は、傾きつつある日が眩しいのか手をかざして日差しを遮った。
ご主人の履いていた合成皮革のつっかけが僅かに私の方に向き「まあ、そんなところでしょうねぇ。立ち話もなんですし、そろそろ中を、案内しますよ。」と静かに私を促した。
「えぇ、よろしくお願いします。」
私は撫でていた猫から手を離し立ち上がると、ご主人の方へ向き直った。
猫は尻尾をくねくねさせながら、退屈そうに長いあくびをした。
ご主人は、目で合図すると鍵を開けた。重い裏口の防火扉を開けると、埃とカビが混じった臭いが鼻をついた。
ご主人の案内で中に入ると、ひんやりとしたコンクリート剥き出し特有の空気が身を包んだ。
コンクリート製の冷たい階段を埃のかぶった手摺りを伝い、つっかけと革靴が昇って行く。
ご主人の足が止まった。
「ここです。」
私は、上がる息をどうにか抑えようとして、ワイシャツ越しに胸を掴んだ。俯き加減になっていた顔をあげると、ポッカリと空いた広い空間が目の前に飛び込んできた。
私は、背負っていたリュックサックから、クロッキーブックと鉛筆を取り出すと、スケッチを始めた。
ご主人は、クロッキーブックを覗きつつも、辺りをうろうろと落ち着かない様子で「ぼくはね、ここには思い入れがあってね、この土地を買った時は、ずいぶんと活気があったんですが、学生達がいなくなってからは、団地の奥さんと子供がぽつぽつと通るだけになってしまって…」
ほら、団地の人たちって、人付き合いってやつ、お嫌いでしょ。だから、人と会っても挨拶もそこそこにせかせかとベビーカーを転がして、そそくさと行ってしまう。
子供もね、声をかけると、すぐに不審者だ何だのって親や学校に通告する。
ぼくはね、なんていうかー、人が同じ地域に住んでいれば、挨拶するだけで自然と心が通うもんだと思って生きてきたが、最近は、心どころか、同じ色の血が通っている筈なのに、どうしてもそれが信じられない。
昔は誰でも会えば挨拶して、世間話に花を咲かせたもんなんだがね。誰がこんな侘しいせかせかとした人間にしたんだ。
あのー、つまり、その、せめてうちだけでも、もう1度血のかよった交流ができるようになったらいいなーなんて思ってるんだが、できるかね?」
私はスケッチしていた手を止め、ご主人の顔を見た。薄暗い室内の影に強調され、顔に刻まれた皺がより濃く見えた。
「私はまだこの地域の事を知りませんので、実地調査で歩き倒してみないことにはわかりませんが、ご主人のご希望に添えるよう努力いたします。」
ご主人は元々多かった皺を更に目元に増やして、それならよいと微笑んだ。
「ひとりにしてくれませんか?」
人影が、黙ってその場を去った。
尻ポケットに入れていたスマートフォンで、気になる箇所を撮影した。
壁に近寄り、剥き出しのコンクリートに手を触れ、目を瞑った。
この建物に限らず、人が住んだ体温の記憶を建物は持っているように思う。
建物に人が存在した記憶があれば、無機質で冷たいコンクリートにも人のぬくもりが通う。
冷気が身体に絡みついた。人のぬくもりを欲しているのか。
再び人と相見えたいのか。
人と交わった記憶にすがりついて、人肌の温かさを今も求めているのか。
窓から漏れる風の噂が私の鼓膜をつつく。
暫くして、つっかけの引きずるような足音が近づいて、止まった。
「先生、今日はもう閉めたいのだけど、ええかい?見たかったら、また明日来てくれんかね。」
「いえ、もう本日は、結構です。今日はありがとうございました。」
「そうかい、よかった、よかった。よかったら、また明日来てな。ええ、明日も伺います。」
「じゃあ、行くかね。」
「はい。」
ふたつの足音が階段を下る音ががらんどうの建物にこだまする。
「それでは、これで。また、お伺いする時に電話しますね。」
「ああ、待っとるよ。」
外に出ると、猫はもういなかった。
青白い街灯が途切れ途切れに辺りを照らしていた。
日付を跨いだ。
私は、事務所の手元だけを照らした蛍光灯の元、デスクに置かれたスケッチとパソコンを見比べていた。
パソコンで、物件の周りの地図を検索する。
幾度と無く、縮尺を変えては、地図と睨み合う。夜は、静かに動いていた。
半径1km圏内に、商店街、小学校があり、団地が密集している。
半径3km圏内には、用水路、河川敷がある。
半径5km圏内には、大型ショッピングモールが存在していることがわかった。
目線が何度も地図とスケッチを行き来するうちに、ある考えが浮かんだ。
明日から本格的に時間帯を変えて、街がどんな動きをするのか、見てみようと思っていた。
実際に歩いてみないことには、住んでいる人の流動が読めないからだ。
翌日、朝早く起床した私は、地図、鉛筆、クロッキーブックを持って、早朝の街を見て回ることにした。
街はまだ人が動き始めたばかりで、静かな中に騒々しさが存在している。
登校する小学生がぽつぽつと通っていく。
パートに出勤するだろうと思われる、主婦がバタバタと団地を駆け出していく。
昼になった。
ハナミズキの白い花が春風に揺れている。
街は静かだ。昼時ということもあり、人は動かない。用水路の水は少ない。
午後になった。
下校する小学生の群れに遭遇した。
パート帰りの主婦と思われる女性が乗った軽4が幾度も往来した。
そろそろ、昨日のご主人に電話しようと思い、尻ポケットからスマートフォンを取り出し、電話帳からご主人の番号をタップし、コールする。
すぐに電話口から、もすもーすと明朗な声が聞こえた。
歩いてアパートまで向かう。
ハナミズキの花が風に落とされ、アスファルトを転がった。行く途中に商店街を見て回ろうと、商店街側の道を通ることにした。
商店街はほとんど人気がなく、所々シャッターが閉まった店もある。お惣菜の煮物の香りが鼻腔をくすぐる。次第にお腹が空いてきた。
「これは、これは、昨日から引き続きご苦労様です。」
ご主人は、私の姿が目に入ると、アパートの前を旋回しながら、挨拶した。
猫は同じ場所で眠っていた。起こすのは悪いと、触れずにいた。
昨日同様、部屋をうろうろと見回っては、写真を撮影し、スケッチに収めた。
それから1ヶ月間、みっちりと街を歩き回り、地図ではわからない多くの事がわかった。
私は、アパートを老人用シェアハウスにリノベーションしようと思っていた。
半径5km圏内に商店街、ショッピングモールが存在し、用水路からの水流が豊かな自然を育み、辺りには雑草が生い茂っている。自然と都市が適度に調和した、静けさと喧騒が共存する。
老い先短い老人が暮らすには良質な環境だと思ったからだ。
ご主人に早速相談すると、よすよすと顔中に皺を寄せて微笑んだ。
工事の日程について、電話と対面でご主人と数回打ち合わせをした。
半年後、リノベーションが終了した。
ご主人は、いつものしわしわの笑顔で、私の手を握り「先生、本当にありがとうございました。」とご丁寧に何度も何度もお辞儀をした。
私もその仕草がおかしかったのと、仕事をやりきった達成感とあいまって、思わず思いっきり笑ってしまった。
それまで時代遅れだったアパートは、街と自然に調和した現代的なデザインに生まれ変わった。1階部分は、住民の老人達と、地域住民達の憩いの場として、オープンスペースにした。
2、3階は、居住スペースとして、簡単に住人が行き来できるように解放的に作り替えた。
また、屋上は芝生を植え、交流スペースとして住人と地域住民が自由に使用できる様にした。
1年後、ご主人から手紙が届いた。
1階部分のオープンスペースでは、手芸好きな老婦人がパッチワークの作品を常時展示するようになり、屋上の交流スペースには、夏の花火大会の時期になると建物の住民と地域住民が仲良く酒を飲み交わし、談笑するようになったという。
また、それまで閉鎖的だった老人達は、互いに交流するようになり、それぞれ自慢のおかずを交換する姿が頻繁に見受けられるようになったそうだ。
ご主人の言っていた、人の血のかよった交流とはこういったことだったのだろうかと、事務所の椅子にもたれかかったまま、ぼんやりと天井を見上げながら考えていた。
ある時、酒に酔った私はふらつきながら、街をさまよっていた。
馴染みのラーメン屋に辿り着けぬまま、時間だけが過ぎていった。
きょろきょろと辺りを見回し、苛立ちに悶えていたところに見覚えのある建物が目に入り、足を止めた。
少し下がって、建物を見上げると大きな声で談笑する人々にピントが合った。
様々な色のTシャツがレンズ越しに楽しそうに揺れ動く。
光の音が空で轟いた。少し離れた河川敷で、花火大会を開催しているのか、夜空では花火の音と光が天に昇って点滅を繰り返していた。
風の音が強く聞こえる。
通りに、浴衣を着た人々がぽつぽつと行き交う。
上ばかり見ていたら、足に何やら柔らかい感触が絡みついたので、目線を下にやると、それは猫だった。いつか見た三毛猫だった。
夜空の下に青白い街灯が点滅し、猫と私の意識を夜空に誘った。
物に命を通わせ、体温を感じさせるのは、いつだって、人の営みだ。
時を越えた物が置き去りにされ、時代遅れとなるのは、人に見向きもされなくなり、人に置き去りにされた時だろうと思う。
私は静かに深呼吸し、歩き出した。
猫は脚から離れて、そこが自分の居場所だと主張するように、シェアハウスの前に鎮座した。
猫は、人の記憶より、建物の記憶を色濃く内包しているのだろうと思った。
酔いは覚めても、夢は醒めなかった。
おわり。
「投下します!宣言」するのを忘れてしまい、申し訳なかったです。
以後気を付けます。
長くなってしまいましたが、感想くださると幸いです。
よろしくお願いいたします。
度々申し訳ないのですが、二か所ほど訂正です。
タイトル:ぬくもり(お題:時代遅れ)2/6
日が傾き、オーナーの表情は完全に見えなくなった。
↓
日が傾き、ご主人の表情は完全に見えなくなった。
タイトル:ぬくもり(お題:時代遅れ)4/6
「そうかい、よかった、よかった。よかったら、また明日来てな。ええ、明日も伺います。」
↓
「そうかい、よかった、よかった。よかったら、また明日来てな。
「ええ、明日も伺います。」
何度も確認したのですが、二か所も誤字脱字が見つかるとは・・・
この他にもございましたら、申し訳ございません。
投下します
誰かにサツガイされると感じるとき、それは自分ならサツガイしかねないと思うときだ。
例えば、電車を待っているとき後ろを警戒してしまうのは、自分が誰かを突き落としたいと潜在的にあるいは衝動的に思ったことがあるからだ。
つまるところ、何者かにサツガイされることを恐れる者は、少なからず加害者がサツガイする妥当性を認めてしまっている。
サツガイする夢を視る者は、いずれ危険因子となる。
すると、この世で最も安全な人種というのは、ただ自分は長く生きるだろうと言う漠然とした想像を信じ込み自分は清廉潔白、恨みを買うような人間ではないとのたまう輩だ。
この世界にいる大多数の人間は、この種だ。彼らはしばらくの間は無害で、サツガイをすることはない。
しかし、恐れよ。
彼らがサツガイをする夢を視たとき、世界はしだいに変貌する。
夢と同じくサツガイされることを恐れ、サツガイを防ぐために柵をたて、鍵をかけ、
夜を明るくし、サツガイを遠ざけようとする。
だが影のようにぴったりとついてくるサツガイから、けっして逃れることはできない。
それどころか、ありとあらゆる防護をすり抜けて、サツガイは行われ、我々はそれを聞いて、見て、恐怖する。
いずれ、我々は自分で、自分をサツガイする夢を視るだろう。
こんな日常にサツガイが紛れこむ世界はサツガイされるべきだと、思う。
そうなれば、人類はサツガイにサツガイされたも同然だ。
サツガイされることを恐れるな。
サツガイを恐れる者を、恐れよ。
終わりです
お題下さい。
最強の女騎士まさかの敗北
投下します。
女は静かに墓石に野薔薇を手向けた。
ここは、王宮の庭に咲く色とりどりの薔薇が一望できる山奥の丘だ。森深く人気はない。
女はしゃがんで目を瞑り、手を合わせた。
風が女の白髪混じりの長い黒髪を乱した。
背後から草を踏む音が聞こえたので振り返ると、そこには見慣れた男の顔があった。
「お前は本当にここが好きなんだな。」
「ええ」
女は再び墓石に視線を戻した。
男が歩み寄り、女の隣にしゃがんだ。
男の手には赤い1本の薔薇が握られていた。
男は墓石の上に花を手向けると、目を瞑って暫くの間祈った。
そよ風が二人の髪や衣服を揺らした。
男がゆっくりと立ち上がる。
女は丘の向こうを見ていた。
やがて、男は森の奥に戻っていった。
女は男の足音が消えたのを見計らって、持っていた鞄から一冊の本を取り出すと、墓前に捧げた。
立ち上がり、スカートに付いた草を手で払うと再び丘の向こうに見える街並みを見ていた。
そして、急に何かを決心したような表情になった。
その面は唇を引き結び、眼光は鋭かった。
女は涙を必死に堪えていたのだった。
視界が歪み、街が、宮殿が滲む。
女は溢れる涙を拭うことさえせず、ただ佇んでいた。
丘に吹く風が女の置いた本のページをめくっていく。
風がやんだ。
女は森の奥へ歩き出した。
ページは最初に戻り、表紙になっていた。
かつて、帝国が誇る最強の騎士、剣鬼としてその名を轟かせた一人の女騎士がいた。
彼女の名は「ローザ」
彼女は女性でありながら、14歳の若さで帝国騎士団に志願し、めきめきと腕を上げた。
17歳の時、初めて戦場に出ると素早く華麗な剣さばきで相手国の騎士団長の首を取った。
こうして、彼女の名は帝国のみならず他国でも知れ渡ることになった。
その後も精力的に戦に出ては戦果を上げた。
彼女自身に生まれ持った剣術の才は無い。
ただ、人一倍負けず嫌いで辛抱強い性格でここまで上り詰めた。彼女はほかの誰よりも努力家だった。
毎朝4時には起床し、昼間は剣術の鍛錬、図書館で深夜まで本を読み漁った。
その生活を30年以上続けてきたが、自身はもう若くはない。
彼女は最近忍び寄る自身の老いをひしひしと感じていた。
昔の自分と現在の訓練生の姿を重ねると、近頃の若者は訓練は平気でサボり、?責すれば自分を顧みることもなくローザの悪口を言い、とにかく挨拶の声が小さかったりと、なんとも情けない。
彼女は後進に何度も道を譲ろうと、自身の進退について考えたものだったが、どうにも彼女の次を担う者は現れなかった。
今年もまた駄目かと思っていた。
通常、騎士団の志願は冬に締め切り、春に試験結果が発表され、晴れて騎士団への入団を許される。
ある雪の日であった。
騎士団に入門したいという少女が王宮に訪れた。
その現場にたまたまローザも居合わせた。
門番が苛つきながら少女をいったいったと追い払っていた。
ローザはその一部始終を見ていた。
少女は門番に何度も追い出されては、また戻ってくる。
風の音で会話はよく聞こえなかったが、途切れ途切れに会話が聞こえてくる。
「どうか、どうかお願いします!」
「いや、だめだだめだ!」
「どうしても騎士になりたいのです!!」
そのまま通り過ぎればよいものを、ローザは様子を近くで見ようと近寄った。
「待て!!」
ローザがつかつかと門番と少女に近寄る。
自分でもなぜ声をかけたのか分からなかった。
ローザは自身の行動に驚いた。
少女は地面にへたり込み、ローザの顔をじぃと見ていた。
ローザは中腰になり、少女の顔を見た。
身なりは汚かったが、精悍な顔つきをした黒髪の少女で一向にローザから視線を離そうとしなかった。
「名は何という。」
少女はしっかりと目を見て、はっきりと言った。
「エリカです。」
ローザは一目でこのみすぼらしい少女を気に入った。
時期外れに騎士団に入団しようなどという変わり者だ。
きっと、何か人に言えぬ事情とやらがあるのだろう。
ローザはわざと聞かずにおいた。
時が来ればいずれ自分から話してくれるだろうと思ったからだった。
ローザはエリカを騎士団に入団させた。
エリカは若かれし頃のローザを彷彿とさせるような献身的で努力家の面を浮き彫りにさせた。
決して他の者よりも優れた才を持っていたわけではなかったが、見る見るうちに上達し、
わずか3か月で他の訓練生に追いついて見せた。
エリカの一日は朝5時に始まる。朝は剣術の訓練に励み、昼は宮殿の外周を走り込み、
夜は遅くまで図書館で本を読み漁った。また、眠れぬ夜などには外に出ては剣術の訓練を黙々としていた。
ローザはその様子を窓から毎晩ひどく懐かしむような眼で見ていた。
あれから10年の月日が過ぎた。
エリカは美しく、そして逞しい女騎士に成長した。
今では頭角を現し、その存在は騎士団の中でも群を抜いていた。
ローザはエリカになら騎士団を任せられるのではないかと次第に思うようになっていた。
帝国安寧の時期であった。
その少しして、帝国は再び戦乱の時期を迎えた。
ローザ50歳、エリカ20歳の夏だった。
エリカの初戦であった。
ローザはこの戦を最後にしてエリカに騎士団長の座を引き渡そうと思っていた。
戦の前日の深夜、エリカはローザの部屋を訪ねた。
「ローザ様、まだ起きていらっしゃいますか。」
ノックから少しして、扉が開いた。
「どうした。」
「どうにも眠れないので、剣のお相手をしていただけないでしょうか。」
「ははあ、エリカ貴様緊張しておるな。まあ、そう緊張するなとは言うが無理はなかろう。少しだけ相手をしてやろう。」
「すみません、ありがとうございます。」
二人は外に出た。
お互いに向き合い剣を構える。
『はああっ!!』
キンッ!カンッ!!とおぉ!!二人の剣の音と声が夜の闇にこだまする。
「はあ、はあ・・・」
「エリカ、そんなんで息切れをしておるとはみっともない。戦場では敵は待ってくれぬぞ。」
ローザは得意げに笑って見せた。
エリカの返事はない。
いつもならこの程度でエリカが息切れするなどありえなかった。
ローザは不安に思った。
「エリカ、休憩するか。」
エリカは無言で頷いた。
噴水の前に腰掛け、次第に明るくなっていく夜空を見ていた。
きっと、エリカは不安なだけだろう。訓練と実際の戦は全く違う。
皆、己の命を懸けている。生き残ろうと捨て身の攻撃をする者も少なくない。
命を捨てた人間の恐ろしさと執着心程恐ろしいものはないとローザは長い騎士人生の中で思っていた。
沈黙が続いた。
最初に沈黙を破ったのはエリカだった。
「ローザ様、聞いてほしいことがあります。」
「何だ。」
「私、おなかに赤ちゃんがいるんです。」
「なんだと。誰の子だ。」
「休暇をもらって街に出た時に男たちに囲まれて、わたし、それから。」
「いい、もう言わなくてもよい。」
「申し訳ございません。ローザ様に育てていただいたのに、何もできませんでした。
せめて明日の戦で戦果を出したいと思っています。」
「いい、気にするな。明日はとにかく生き延びる事だけを考えろ。いいな?」
「ありがとうございます。わたし、自分がすごく弱い存在だと思いました。
剣無しでは何もできなかった。男たちの力は凄まじくて、到底敵わず、
女の私では殴り飛ばすことくらいしかできませんでした。
何も、何もできなかったのと同じです。戦が終わったら国を出ようと思います。」
ローザは返す言葉が瞬時に思い浮かばなかった。
長い沈黙が続いた。
「国を出るなどと、そう早まるな。お前はまだ若い。
やり直しがきくではないか。騎士団員で子供を持つ者はそう多くはないが、
おるではないか。女一人で子を育てるのは何かと苦労が多いとは思うが、
私にも決して多くはないが貯えがある。お前がその気なら私は喜んで支援しよう。」
エリカは首を横に振った。
「ローザ様にご迷惑をおかけすることはできません。家の者と幼馴染に手紙を出しました。
そうしたら、お前のためなら笑ってこの国を捨てるとありました。」
空が青白くなってきた。
ローザは立ち上がった。
「私は少し眠る。お前がどこに行こうと師弟関係は変わらぬ。それだけは覚えていろ。」
一人残されたエリカは大粒の涙を流した。
翌朝、戦地は夏の暴風雨に襲われていた。
大雨が暴風により身体中に打ち付け、視界は悪く、鎧の中は冷え切っていた。
帝国騎士団の士気は完全に下がっていた。
ローザは士気の下がった団員たちの士気を上げるため、雄弁を奮った。
戦の開始時刻までおよそ15分程残されていた。
敵国の騎士団が5分前に到着した。
敵の騎士団長と向かい合うローザ。
帝国軍の角笛で戦の火ぶたが切って落とされた。
先に出たのはエリカだった。疾風のごとく馬を駆り、剣を奮い敵陣の波を割っていく。ローザも負けじと剣を奮った。
戦は1年程続いた。
結果は帝国軍の大大敗となった。
ローザは戦中に落馬し、全身の骨を折る重傷を負った。
敗戦した帝国軍は領地を減らし、勢力を落とした。
騎士団長として、国王に責任を追及されたローザは宮殿の北側にある塔に幽閉された。
塔は大雨になるとよく雨漏りした。
そういえばあの日も大雨だった。
床にできた水たまりを覗くとそこには白髪の多く混じった金髪の老婆がいた。
皴に覆われた顔面を同じく皴だらけの手が触れる。
思えば長いこと鏡を見ていなかった。
若い頃は長い金髪をなびかせ、戦場を駆け巡り、剣鬼として帝国最強の女騎士と恐れられたが今では見る影もない。
戦に負け、老いに負け、己に負け、老いたローザには何も残されていなかった。
絶命の数時間前、こんなことならもっと早くに後進に道を譲るべきであったとひどく後悔した。
ローザは絶望の淵に立たされた。後は飛び降りるだけだ。
遠退いていく意識の中で、エリカはあれからどうなったのだろうかと思った。
無事なのだろうか。もし、戦死しているのならば、エリカのもとへ行ける。
愛弟子と二人しがらみのない世界で今度はのんびりと酒でも飲みかわしたいものだ。
次の朝、見回りの召使がローザの息がないことに気づいた。
衰弱死だった。ローザの遺体は、人知れず葬られた。
エリカは生き延びていた。戦後、国外に移住した。今は家族と暮らしている。
帝国騎士団の歴史的大敗から、早30年の時が過ぎようとしていた。
終戦の同時刻に宮殿の北側の塔の鐘が鳴る。
そこはかつてローザが幽閉されていた塔だ。
ローザの死後、鎮魂のため聖職者がつけさせたものであった。
ここは薔薇の見える丘。
遺骨の無い墓がひっそりと存在する。
今日も丘は風が強く吹いている。
風が宮殿に咲き誇る薔薇の香りを運ぶ。
墓前には、一輪の赤い薔薇と一冊の本が置かれていた。
その本のタイトルは―――
「帝国最後の最強女騎士、ローザ・アリヨ=マリーの生痕、著:エリカ・バルニエール」
以上です。
お題くださった方ありがとうございました。
早速ですが次のお題も下さい。
最強の女騎士まさか敗北の外伝、全盛期のローザのドラゴン退治
続きまだ?
お題ください
超能力
お題ください
犬
お題ください
裏山掘ったら見つけた物
お題ください
幼女拾った
お題をください
やる気
やる気か……欲しいな
お題も欲しい
再興
把握
新年あけましておめでとう御座います
御題下さい
暴露
久しぶりにお題ください
プレミア
スレが生きていたら、何かお題をください
>>453
復活
俺ももらえるとうれしいな
お題下さいな
>>454
もうすぐ夏休み
>>455
おかず
把握しました
投下します。
>>434
『最強の女騎士まさか敗北の外伝、全盛期のローザのドラゴン退治』
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「ローザ様!大変です!」
「どうした?そう急ぐなじっくり話しを聞こうではないか」
ローザは読んでいた本を閉じると、扉の前の部下に向き直る。
「も、申し訳ありません!街でドラゴンが飛んでいて恐ろしいと国民から報告がありました。国王様が至急ドラゴンを退治しろとのご命令です!!」
「なんだと…まずは現状を確かめに現地へ赴いてみるとするか。至急兵を集めよ!」
「はっ!」
部下は、素早く騎士団の控え室へと走り去った。
「とりあえず、ドラゴンとやらがどういう目的でウロウロし始めたのかを確かめねばならぬな」
ローザは、国王陛下の元へ向かった。
「騎士団長のローザです。失礼します。件のドラゴン退治のことで伺いました」
「入れ」
「はっ!」
ローザは、国王陛下の前に膝まづいた。
「陛下、我々はこれからドラゴンがうろついているというあたりを見回りに行こうと思います。国民からの聞き込みもしたいと思っております。
そして、ドラゴンがどういった理由で街の上を飛ぶようになったのか突き止めようと思います。それから、ドラゴンがこれ以上国民の恐怖心を煽らないように我々騎士団が解決してみせます」
「ほう、言いたいことはわかった。頼んだぞ。騎士団は我が国の誇りだからな。粗相の無いように、わかったな?」
「はい」
「下がって良い。無事を祈る」
「ありがとうございます、陛下。それでは失礼致します」
ローザは広間に集まっていた騎士団員たちを見渡すと、事情を説明した。
今は国民の話を聞くことが先決だ。
ローザたち騎士団は現地での聞き込みを行うため、王都から程近いドラゴンが出るという山の麓に住む民の元へ向かった。
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2
「誰かドラゴンを見たものはいないか?」
すると、一斉に人々が駆け寄ってきて、口々にドラゴンの目撃翌例をあげた。
彼らの言うことをまとめると、ドラゴンは明け方から早朝に出没し、山の上を飛び回っているそうだ。被害を受けたものはいないという。
ローザは、人々がドラゴンを恐怖の対象として見ているだけだと思った。
しかし、ドラゴンがいつ気が変わって村を襲うかわからない。
話によるとドラゴンは、どうやら山の奥深くに住んでいるようで、いつもそこから出てきては飛び回っているようだ。
ローザは、団員を連れてそのドラゴンが住むという山の奥深くまで行ってみることにした。
団員達は、ドラゴンに震え上がっている。
「ローザ様、ここは一旦帰ってドラゴン討伐のために鍛治職人に武器を作らせましょう。あの硬い鱗は普通の刃物では歯がたちません!」
「いや、寝ている今こそチャンスだ。ドラゴンは眼を狙って脳まで貫通させれば即死だ。我々が戻って武器をこさえているうちに村が無くなったらどうするんだ?」
「そ、それはありますけど…その、誰がドラゴンの眼をやるんですか?」
「私がやるに決まっているではないか!勿論、この中の誰がやっても構わないのだぞ」
団員は口を閉じた。
3/5
騎士団は、山を登った。
2時間ほど悪路を登ったところで、頂上が見えた。
「よし!もう少しだ!」
ローザは一気に駆け上がった。
しかし、そこには草木以外何も無かった。
「ローザ様、ドラゴンの巣なんてないじゃないですか!無駄足だったのでしょうか?」
「そう焦るな。皆で手分けしてドラゴンの巣を探そう。日が沈まぬうちに!」
団員達は散り散りになって、ドラゴンの巣を捜索しはじめた。
ローザは奥へ奥へと進んでいく。
すると、木の葉で覆われた巨大な半年型のドームのような物から、灯りが漏れているのを見つけた。ローザはおそるおそる近づいてみた。
どちらかというと、黒に近い灰色のドラゴンが器用に爪でペンを持ち、羊皮紙に何か書いているではないか!
木の葉のドームの中には、枯葉を固めて作ったと思われる本棚があり、数えきれない程の本が整理され収められていた。
金色の目をした灰色のドラゴンは、時折あくびをしながら、ページを器用に巨大な爪で捲りながら、筆を進めていく。
ローザは、その予想外の状況に驚き、後ずさった。パキッと小枝を踏みつけた音がした。
ドラゴンと目が合った。死を覚悟した。
「隠れていないで、出てきておくれ」
低い優しい柔らかな声でドラゴンが言った。
ローザは、前に出た。片手にはしっかりと聖剣が握られている。
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4/5
「ボクをやっつけに来たのかな?」
ドラゴンは本を閉じて、本棚にしまった。
紙は片方の爪で丸めて後ろにあった筒に入れる。
ローザは恐ろしくて口がきけなかったがなんとか勇気を振り絞り、「そうだ」と言った。
「やれやれ、人間は無害なドラゴンを恐ろしいと見た目だけで判断して命を奪おうってことだね?変わらないね、人間ってのは。
ボク達は、ずっとこの山に住んでいるけれど、人間に危害を加えたことは1度もないよ。人間に寝込みを襲われたりすることは何度もあったけど」
ドラゴンは、棚からまた違う本を取り出して、読み始めた。
「キミはどうやら帝国騎士のようだけど、この気の弱い優しいドラゴンのボクに口も聞けない程怯えている。滑稽だね」
「だ、黙れ!」
「ほら、脚が震えているじゃあないか」
「う、うるさい!とにかく話を聞こうではないか!」
ローザは、恐怖心に打ちのめされそうになりながら、ドラゴンの元に近づいた。
ドラゴンはふうんといった顔でローザを上から下まで見下ろした。
「まだ若いじゃないか、キミ、名前は?」
「ローザだ」
「ボクは知識を集めるドラゴンのイントだよ。うーん、そうだねえ、2,015歳かな?息子もいるよ。妻は第3次帝国戦争の時に、人間を避難させようと背中に乗せている時に、兵士に撃ち落とされた」
ローザは言葉を失った。
4-2/5
「まあ、そういう感じの話だね。この国で文学賞を受賞して作家として食べていけてるし、息子もおかげで本が好きだし、
お父ちゃん、ボクも作家になりたいんだけど!とか言ってくるし、充分幸せだよ。でもその幸せを壊そうとする人は僕は絶対に許さない。それでもボクをやるのかい?」
「すまなかった…その、イントってあのイントのことか?!」
「そうだよ」
ドラゴンはふふっと笑って、「1億部のベストセラー作家のイントはこの僕のことだよ。他にも色々名前変えて本出してるよ」
「なんだと?!」
ローザは、憧れの作家のイントが実はドラゴンだった事の衝撃と、そのイントを目の前にしている興奮を抑えきれなくなった。
「あの…本当にすまなかった!私はあなたの著作に何度心を救われたことか!どうか、非礼を許して欲しい」
「いいよ、いいよ。騎士団は国王陛下には逆らえないだろうし、仕事ってそんなもんだよね。わかってくれてよかった」
ローザは鎧の隙間から1冊のボロボロになった古書を差し出した。
4-3/5
「おお、これは初版本だね。わかった、サインしよう」
「あ、ありがとうございます…」
イントは、ローザから本を受け取ると、スラスラと中身にサインして寄越した。
「はい、これからも大事にしてね」
「もちろんです!」
ローザはほくほくしながら、本を受け取った。すっかり、討伐のことなど忘れていた。
「それで…国王陛下にはなんて言うの?とりあえず、山の上を飛び回ってるのは僕の息子なんだけど、
まだ育ち盛りだから飛びたくてしょうがないんだ。飛んでるだけで、村焼いた訳でもないし、国王陛下にも無害でした。
討伐の必要はありませんって伝えてくれないかな?」
「は、はい!」
「それから、ボクのことは国王陛下以外には内緒にしておくれよ」
「わかりました」
ローザは帰ってから、この事実をどう説明するか悩んだ。
結局、王都に帰ったローザは国王陛下にありのままの事実を伝えた。
国王陛下は、ワッハッハー!と椅子から転げ落ちんばかりの大笑いをし、一言「いいだろう!」と豪快に言った。
騎士団の団員達は、ローザが帰らないのを山を降りて心配していた。
「ローザ様、てっきり食われたかと思ってましたよ!」
「心配かけたな…すまなかった」
5/5
後日、村には国王陛下からドラゴンについてのお達しが貼り出された。
「ドラゴンによる被害は報告されていません。騎士団を赴かせて、ドラゴンの様子を見て来たところ、
大変大人しいドラゴンでこれからも人に危害を加えることはしないと約束した。ドラゴンと共存できるように暮らすべし」とのお達しがでた。
ローザは自室に戻って、鎧の中の本を取り出して中を見た。
くっきりと力強い筆跡がそこに堂々とあった。
それから、多くの時が過ぎた頃、ローザは酒の席で騎士団員の黒髪の少女にうっかり山のドラゴンが作家のイントであることを話してしまう。
「言うなって言ったのに…」
遠くから、小さなため息が聞こえた。
以上です。
スレ見ている方いますか?
いろいろとミスしてしまい、申し訳ないです。
お題はでてるけど、作品投下してる人がいなくて寂しいなあ…
次のお題ください。
頑張ってみます、なにかお題ください
>>470
堂々巡り
お題ください。
お題「最強の戦女神の最後はその美しさに嫉妬した娼婦に毒殺される」
お題下さい
お題「夜の学校」
お題下さい
お題「fate/アポクリファのIF ルーラージャンヌダルク、黒のアサシンのマスターである六導玲霞の罠に嵌りまさかの敗北」
生きてるなら、お題下さい
>>478
鈴の音
遅ればせながら把握しました
お題くださいな
義弟との恋
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