【艦これ】提督「若葉とケッコンした」 (59)

前作
提督「これをMK(三隈救出)作戦とする!!」
提督「これをMK(三隈救出)作戦とする!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448792747/)
の続きというか、派生です。

大した独自設定とか無いので、面倒って方はこのままでどうぞー。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452080598


若葉「提督、手紙だ」

提督「ん、はいはい」


若葉「恋文か?」

提督「なわけあるか」

若葉「ちょっと見せてみろ」

提督「違うって」


若葉「ただの演習要請か」ホッ

提督「一々恋文を鎮守府通して送る奴がいるか」

若葉「一通届いていたぞ」

提督「!?」


若葉「メガネ鎮守府の鳥海からだった」

提督「…… で、その手紙は?」

若葉「検閲に通したら破り捨ててたぞ」

提督「初霜ォ!!」ガバッ


若葉「執務はやはり少ないな」ノビーッ

提督「若葉が手伝ってくれるお陰だよ」ナデリコ

若葉「はは、この時間が好きなんだ」

提督「俺もさ」

スレタイホイホイ大賞


ハチ「提督? 頼まれていた本、持ってきました」ガチャ

若葉「提督なら初霜の所だ。本? 預かろう」

ハチ「あ、そうでしたか。お願いしますね」バタン

若葉「―― また漫画か… もう少し文字を読むべきだと思うが…」

若葉「『封神演義』?」



提督「いやぁ、勝手に検閲作られちゃたまんないな」ガチャ

若葉「らいこうべーん!!」ダキッ

提督「あ、また勝手に読んだな?」

若葉「え… 駄目だったか?」シュン

提督「…… 良いに決まってるだろ! 傾世元禳!」ガバーッ

若葉「んー! 提督の匂いだ」ムハーッ

提督「まだ途中だろ? こっちで読もう」


若葉「てい… とく……」ムニャ

提督「………」ナデリコナデリコ

若葉「ムフー… もっとだぁ…」ゴロゴロ

提督「………」ナデリコナデリコ

若葉「ていとく… すきだぞ……」ギュウ

提督(なにこのかわいいいきもの)


若葉「…… ハッ 今何時だ!」

提督「フタマルマルマル。いい時間に起きたね」

若葉「… 24時間寝なくても大丈夫…」

提督「二時間でアウトだったけれど?」

若葉「………」ダキッ

提督「若葉?」

若葉「食堂に行くぞ」カアァッ

提督(照れてる… かわいい)


若葉「美味しいぞ!」

イムヤ「それは良かったわ! もっと食べてね」

提督「本当に美味しいな… イムヤ、腕上げたな」

イムヤ「…… 私だって頑張ってるのよ」

提督「… ああ、そうだな」チラ

若葉「…」コクン

提督「ありがとな」ナデナデ

イムヤ「! え、ええ! ま、司令官が望むなら、もっと作ってあげてもいいわ!」

提督「え、あ、いや、流石に四杯目はキツいかな」

イムヤ「そ、そう…」シュン

若葉「また次の当番の時、その気合を用いればいい」ニコ

イムヤ「… そうね。何を作るか考えなくちゃ!」スタスタ

若葉「…… 一々許可を取ろうとしなくてもいいんだぞ?」

提督「目はそう言ってないぞ?」

若葉「わかってるならいい」


若葉「… 『理想を語るには、それに見合う力が必要だ』… か」ペラ

提督「その通りだよな」

若葉「分からなくもない… けれど、力を伴わない理想だってあるはずだ」

提督「例えば?」

若葉「こうだ」ダキッ

提督「…… まぁ、確かに」ナデリコ

若葉「だろう?」ニヘラ


提督「んじゃ、旗艦阿武隈から、球磨、瑞鶴、三隈、若葉、島風ね」

六人「了解っ!」ビシッ


女友提督(以下女)「や、久しぶり」

提督「や。珍しいな、こっちまで来るなんて」

女「ケッコンしたって聞いたしね。女の私にはあんまり縁はないかな」

提督「案外一人くらい男がいるかもしれないぞ?」

女「あー… レーベとかそうかも」

提督「海外艦か」

女「ほら… あそこの銀髪の」

提督「あー 確かに」


レーベ「なんか変な事言われてる気がする」

若葉「仲良さそうだな…」

阿武隈「気持ちはわかるけど集中して!」

ビスマルク「レーべも! 頼むわよホントに…」

グラーフ「レーベが男じゃないか、と言ってるな」(地獄耳

レーベ「あそこ撃ってもいいかな」


提督「戦術的勝利か。戦艦相手にはよくやった方かな」

女「… まさか負けるとは思わなかったわ」

ビスマルク「若葉… あなた強くなったわね」

若葉「提督のお陰だ。若葉は若葉のやれることをしただけだ」フッ(MVP)

グラーフ「昼の内に駆逐艦にやられるとはな…」


女「それじゃ、披露宴には呼んでちょうだいね」ノシ

提督「ああ。お前も早くいい人見つけろよ!」ノシ

女「ウッセーバーカ!」


提督「… それじゃ、風呂入って」クタッ

六人「はーい」

若葉「提督も一緒だろう?」グイ

提督「… 行きますよ」ハァ


三隈「もう提督が一緒でも慣れてしまった私がいますわ」カポーン

提督「すまんな」

若葉「提督は余りジロジロしないからな。若葉は見てもいいぞ」

島風「私も見ていいよ!」ザバーッ

提督「」

阿武隈「全力で目閉じてる…」

瑞鶴「別にいいのに」

提督「」ユビサシ

若葉「ん?」ユビササレ

瑞鶴「あー…」

阿武隈「あー…」

若葉「な、なんだ!」


若葉「… 提督、そろそろ寝たらどうだ」

提督「あと三巻で終わるんだよ…」

若葉「… もう離れて寝るぞ」

提督「続きは明日にするよ」

若葉「それでいいんだ」ニコッ

提督「敵わないな…」ナデリコ

若葉「提督が選んだんだ… そこは若葉が有利だぞ」ギュッ

提督「そうだね…」ギュッ

若葉「んっ… 冬の夜でも… こうしてれば暖かいな」

提督「ああ……」スヤァ

若葉「なんだ… もう寝たのか?」ナデ…


若葉「今夜も無しか…」

今日はここまでです。
続きはいつになるかわかりません… 時間取れたら更新します。


初春「惚気けてきおったわ」

子日「あわわわ…」

初霜「… まぁ、あの人の事ですし…」

若葉「だが… ケッコンしたのは事実だ…」

初春「急ぎすぎじゃ。まだケッコンして二ヶ月も経ってないではないか」

若葉「二ヶ月も、だ。二ヶ月間、二人で同じ布団に入っていながら、提督はそういう行動を一切してこない!」

子日「ね、子日… 退散の日~!!」ドヒュン

初霜「あ、逃げた」

若葉「若葉に… 魅力が無いのだろうか」

初霜「そんな事はないと思うけれど…」

初春「もっとしっかりせい! まったく… 提督も提督じゃ…」

初霜「まぁ… ねぇ」

若葉「その動かなさは山の如し… 提督はすぐに寝てしまうんだ」

初春「若葉がはっきりと言えばいいのではないのか?」

若葉「それだと負けた気がする」

初霜「なによそれ…」


弥生「話は聞かせてもらった」バァァーーン

若葉「や、弥生!?」

子日「そこでばったり会って…」

弥生「… 少し言いにくいけど… 司令官とシたことあるから…」

若葉「」

初霜「」

初春「」

子日「」

弥生「やっぱりびっくりするよね…」

若葉「け、ケッコンする前か?」

弥生「うん。あまりにも構ってくれなかったから、押し倒したら、襲ってくr… 襲ってきた」

初春「な、なかなかやるのぅ…」

弥生「まぁね」

初霜「何か打開策でも?」

弥生「全裸で布団の中に待機していれば…」

若葉「服を着ろって言われそうだ…」

子日「た… 確かに」


弥生「押し倒すのはイヤなんでしょ?」

若葉「あ、ああ…」

弥生「それじゃあ、ずっと無理じゃないかな」

若葉「うぐ…」

初霜「あーあ… 言われちゃった」

若葉「う、うるさい…」

弥生「それこそ薬でも盛らない限りは…」

初春「そういうのは提督が最も嫌うものじゃ」

長月「経験者は語る… か?」

子日「長月!?」

若葉「ま、まさか長月もか!?」

長月「いや、私はしていない。したいとは思うが、もう後の祭りだしな」

若葉「むぅ…」

長月「話は大体分かったが… きっと司令官は、まだ何も思ってないぞ?」

弥生「うんうん」


子日「何も思ってない… って?」

長月「司令官は、やりたいことはやる、って人だ。だから、今やっていないことはやりたいと思ってないってことだ」

若葉「や、やはり若葉じゃ…」ウルウル

弥生「そうじゃないよ。それでも弥生の事は抱いてくれた… 何ていうのかな… まだスイッチが入ってないんだよ」

長月「今若葉が立っているラインに、そもそも司令官がたどり着いてないんだ」

初春「な、なるほど…」

若葉「ど、どうすれば…」

弥生「それは弥生達が言うことじゃないと思う…」

長月「右に同じだ」

若葉「ぐぐ……」

弥生「ただ…」

若葉「ただ?」

弥生「日常の中から、少しずつ変えていけばいいんじゃないかな…」

若葉「ど、どういうことだ?」

長月「少しだけでも、スキンシップを露骨にすればいい。ということか?」

弥生「それもあるし… 三隈さんから教えてもらったんだけどね――」


初霜「色気を感じる仕草?」

弥生「うん。こう、ムラッとさせれば、少しは近づくんじゃないかな?」

子日「む、ムラッと…?」ワナワナ

若葉「た、例えば!?」

弥生「若葉の場合は分からないな… 聞いたのは弥生のだけだったし」

若葉「み、三隈の所に行ってくる!」

子日「いってらっしゃーい」


初霜「ねぇ… こんな噂聞いたことある?」

初春「… ? なんじゃ、薮から棒に」

初霜「『ケッコン指輪は一つだけじゃない』って」

弥生「!?」

長月「そ、それは本当か!?」

初霜「まぁ… お金の話よ」

子日「お、お金…」

初霜「買えるらしいのよ。ケッコン指輪。効果で言えば、単なるパワーアップアイテムだし…」

初春「な、なるほどのう」

初霜「…… 若葉を祝福するって決めたけど」

子日「欲しいものは欲しいよね~」

弥生「うんうん」

長月「」コクンコクン

初春「今度聞いてみるかの」


三隈「はぁ… 弥生さんに教えたことを?」

若葉「た、頼む!」

三隈「…… 仕方ないですわね。いいですよ」

若葉「あ、ありがとう!」


提督「二つ目の指輪?」

翔鶴「はい!」

提督「… うーん、予定はしてないな」

翔鶴「そうですか…」

提督「全員の前でプロポーズまでしたんだ… それは少し、裏切りを含む行為だと思うな」

翔鶴「…… そうですね。きっとこの事はここでも噂になってますから、皆に伝えておきます」

提督「油断も隙もないな… よろしく頼むよ」

翔鶴「失礼しました」バタン

提督(二人目… 三人目… とか、失礼な話だよな)


提督「……」マジマジ

若葉「ふぅ…」

提督(… 今日は一緒に風呂には入らないと言われ心なしか寂しい思いをしていたわけだが、若葉だけがあったかいというのも中々…)

若葉「どうした提督、手が止まっているぞ」

提督(少しだけ湿った髪の感触が鎖骨辺りに触れる… 集中しろっていう方が無理な話だ…)

提督「提督は風呂に入りたいんだけれど…」

若葉「ダメだ。執務が多めなのにサボっていた罰だ」

提督「うぐっ…」

提督(確かにケッコン指輪は買い揃えることができる… 心のどこかで、全員にそれを渡したいと叫んでいる自分が一部居る)

提督(そんな事を思っていたら日が沈んでいたなんて… 言えないよなぁ)

若葉「提督は執務を進めるのが早いからな。すぐに終わるさ」ナデナデ

提督「―― !?」

提督「わ、若葉!? なんだか人が変わったみたいだぞ?」

若葉「も、もしかして嫌だったか!? か、加減が分からなくてだな…」


提督「加減? 何の?」

若葉「あっ」

提督(俯いてる… 耳が赤い… 可愛いぞ…)


若葉「うー…ん 言うべきか否か…」ブツブツ

提督「…… はい、執務終了」ポン

若葉「わひっ!? あ、な、なんだ… お、お疲れ様だったな、提督」

提督「うん。じゃあ風呂入ってくるよ」

若葉「あ、ああ」

提督「上がったら、教えてくれるかな?」

若葉「…… 考えておく」

風呂――

提督「……… ふぅ」カポーン

提督(若葉が何を考えているのか… 分からないけど、きっとどこかで分かってる)

提督(わかってるけど、分かろうとしない自分が居るから、分からないのかもしれない)

提督「むぅー…」

最上「お疲れのようだね」ヒョコ

提督「も、最上か… びっくりした」

最上「そんな顔はしてないように見えるけど?」

提督「本当に驚くと、表情を変える暇もないんだよ」

最上「そういうものかな?」

提督「そういうものだ」

最上「… さっきのは疲れの溜息じゃないね。なにか悩みでも?」

提督「…… いや、これは解決できるやつだから、大丈夫」

最上「そ。ならいいけどね」

提督「……… いや、流石に若葉の体形はなぁ…」

最上「艦娘じゃなかったらアウトだよね」ハッハッハ

提督「艦娘でもアウトでしょう…」


最上「うーん、誠実なのは良い事だけどさ、それは若葉ちゃんの事を考えての行動じゃないよ」(察した)

提督「… 分かってるんだ。若葉がたまに悲しそうな目をしているのが見えるんだよ」

最上「一回抱いちゃえばもうぐわーっていけないの?」

提督「最上が言うぐわーが何なのか分からないけど… 最初のハードルがなぁ」

最上「若葉ちゃんの事好きなんでしょ?」

提督「ああ」

最上「若葉ちゃんは提督の事大好きだよ? 僕もだけど」

提督「さりげなくぶっ込んできたな… まぁ、うん」

最上「… なんでそんなに拒むの?」

提督「―― なんか、変なんだよ」

最上「変?」

提督「きっと今のまま性交したとしても、それはきっと、お互いに傷を付け合うだけの気がする」

最上「???」

提督「…… ああ、そういうことか… その距離は… そういうことか… なるほど……」

最上「え? 何かわかったの?」

提督「―― きっと若葉は… まだ俺と『話せてない』」

最上「………?」

提督「『話すべき』なんだ。『話さなきゃいけない』。それは、うん、そういうことだ」

最上「… 本音で話し合うってこと?」

提督「本音っていうか本心… というよりは本能」

最上「???」プシュー

提督「ああ、オーバースペック…」

脱衣所――

最上「うう… 気持ち悪い……」

提督「すまん」パタパタ

最上「提督ってさー… たまに本当に訳わからないこと言うからさー…」

提督「すまん」パタパタ

最上「… でも… そういうとこ好きかも…」

提督「… そうか」パタパタ

最上「…… 反応薄いなぁ」

提督「そんな青い顔してる人に言われてもな」パタパタ

最上「復活したらもう一回言ってやる… うえっ」

提督「あーあー」セナカサスサス


弥生「誰かと思えば、ロリコン司令官と最上君ですか」

提督「ツッコミどころが結構あるんだけど…」

弥生「失礼ました… です。まったく… どうして若葉には手を出さないんですか?」

提督「直球かー」

最上「そーだそーだ」

提督「無理しない」サスサス

弥生「弥生には手を出したのに」

最上「!?」

提督「あーあー」

最上「… あんた」

提督「断る理由も無かったからな… その時は」

最上「あ、ケッコン前か」

弥生「だから許されるわけではないですが」

提督「半ば逆レイプだったろ…」

弥生「途中からはノリノリでしたけどね」

最上「うわぁ…」

提督「嫌々するのも嫌だろ」

弥生「そうですが…」


最上「…… 半ば逆レイプって」

弥生「あ、そこでうわぁって言ったんですか」

最上「うん―― あ、あー! そっか、そういう事」

提督「最上は頭良いな。そういう事だよ」

弥生「え? 何ですか?」

最上「弥生ちゃん、逆レする前、沢山提督に言いたい事言ったでしょ?」

弥生「え、ま、まぁ…」

最上「そういう事ねー… あー確かに、若葉ちゃんってそんな事言わなさそうだもんね」

提督「…… というわけで、俺は執務室に戻ろうかな」

最上「愛しの若葉ちゃんの所へ、の間違いじゃない?」

提督「うっさい」

弥生「なんだか分からないけど… いってらっしゃい」

提督「ん、行ってくる」ナデナデ

弥生「………」テレテレ


最上「そういえば遅い入浴だね」

弥生「キタンがかっこよすぎて…」

最上「あー…」

執務室――

提督「戻ったよ」ガチャ

若葉「………」(布団の横で正座)

提督「あー… 若葉――」

若葉「提督。すまないが、こちらの話を優先させて欲しい」

提督「… ん」シットダウン

若葉「―― なぜ手を出してくれないんだ」

提督「はっきり来たな」

若葉「散々考えた結果だ。あまり言いたくはなかった」

提督「… そう、それだからだよ」

若葉「… ? ど、どういうことだ」

提督「―― 『俺はまだ、若葉の事を何も分かっていない』」

若葉「聞き捨てならないな… 若葉が提督にどれだけ――」

提督「でも言いたくないことがあるだろ」

若葉「う… ま、まぁ」

提督「―― 弥生とシた事がある」

若葉「知ってる」

提督「えっ」

若葉「本人から聞いた」


提督「そ、そうか…。 弥生は、俺を押し倒したんだ」

若葉「ああ」

提督「嫌なら押しのけてって苦しそうな顔をしながら」

若葉「ああ」

提督「そこからはもう… 思い出すだけで顔から火が出そうだ」

若葉「で?」

提督「弥生にはあって、若葉にはなかったもの。これなんだ」

若葉「… 勇気か?」

提督「…… それが一番足りなかったのは俺だ」

若葉「そうだな」

提督「まだ、どこか遠慮してるんだよ」

若葉「若葉がか?」

提督「若葉も、俺も。だから、きっといい終わり方にはならないと思うんだ」

若葉「……」

提督「無意識。無意識的にお互い、少しだけ距離を開けていた。若葉はそれを、性交することで縮めようとしていた」

若葉「……」

提督「本能でね」

若葉「… 確かに、そうかもしれない」


提督「今必要なのは、本能をさらけ出し合うこと。言いたいことを全部言うことだと思う」

若葉「ずっと、そんなものはないと思っていたが… 案外、目を背けているものが沢山あったな」

提督「だろ? さ、愛し合おうよ」

若葉「臭いぞ」


若葉「提督は若葉を少しだけ贔屓するようになった」

提督「そりゃあね」

若葉「何か義務感を覚えたりはしないか?」

提督「… まぁ、少しは」

若葉「義務感は、怖い。それは嫌だぞ」

提督「愛故に」

若葉「愛… 義務を作る愛なんて、必要ないと思う」

提督「そうかな?」


若葉「そうだ。恋や愛は苦しいものだと言うが、苦しいだけの愛なんて愛じゃない… そう思う」

提督「義務感が苦しいだけって訳でもないさ」

若葉「だからといっても、若葉が苦しむならまだしも、提督が苦しむのを見るのは嫌だ」

提督「俺は若葉が苦しむのは見たくないな」

若葉「だったら義務感なんて捨ててくれ」

提督「捨てろって言ったって…」

若葉「簡単だ。もっと気楽に求めていいんだ。提督はまず、この矮躯に遠慮してるだろう? 違うか?」

提督「イエスマム…」

若葉「弥生には手を出したくせによく言えるな。まぁいい。遠慮なんかいらない。これでも若葉は、駆逐艦若葉の魂を受け継いでいる」

提督「それにしたってな…」

若葉「なんなら、元帥や妖精さんに頼んで体を代えてもいい。どうだ?」

提督「そ、それは嫌だ」

若葉「まぁ、できないことだが… 提督はロリコンなんだな」

提督「ストライクゾーンが広いだけだよ」

若葉「それを誑しと呼ぶんだ」

提督「初春によく言われました」


若葉「提督は若葉を愛しているか?」

提督「ああ。愛している」

若葉「若葉も愛しているぞ。心の底から」

提督「心の底から」

若葉「いや、それは嘘だ」

提督「えっ」

若葉「提督は、若葉のことを心の底から愛そうとするなら、この体も愛するべきなんだ」

提督「あ、あー」

若葉「心を混ぜ合う愛も大切だ。けれど、それにしたって、やはり体に残る物が欲しい」

提督「若葉…」

若葉「ずっと、寂しかったんだ。やっぱり若葉じゃダメなのか、とか、若葉の事が嫌いになったのではないか、とか」

提督「………」

若葉「抱きしめてくれる。キスもしてくれる。嬉しいぞ。でもな… 若葉だって、女の心くらいは持っているんだ」

提督「… ああ」

若葉「嫉妬だってする。欲情だってする。愛を注がれれば嬉しくなるし、その流れが止まれば悲しくなる」

若葉「…… 本能で話すというのも、中々心地のいいものだな」フゥ

提督「よく伝わったよ」

若葉「提督は何かないのか?」


提督「若葉には何もないさ。本能で話して欲しい、と考えていたのが全部だ」

若葉「若葉には? なんだか含みのある物言いだな」

提督「…… ケッコン指輪、綺麗だよな」

若葉「うん? まぁ、そうだな。好きだぞ」

提督「装飾だけじゃない。今まで二人、皆で過ごした中で育った愛情が刻まれている気がする」

若葉「…… ああ、そうだな」

提督「傷だらけだが、綺麗だ」

若葉「ああ」

提督「… 触ってもいいかな」

若葉「提督も付けているじゃないか」

提督「若葉のを触りたいんだ」

若葉「… まぁ、構わないが」


提督(……… 若葉の指輪の中の色は… 俺の物とは違う。それこそ、外見じゃなく、中身の話だ―― その指輪には、どれほどの想いが込められているのだろう ―― そう考えると、なんだか押しつぶされる感覚に見舞われる)

提督(俺の指輪の色が軽薄だというわけではないんだ… 愛が重いと非難する訳でもない… どこか不安なだけなんだ)

若葉「… ?」

提督「若葉」

若葉「な、何だ」

提督「俺といると嬉しいか?」

若葉「あ、ああ」

提督「俺といる時間は楽しいか?」

若葉「ああ」

提督「俺といると落ち着くか?」

若葉「そうだな」

提督「俺と一緒に居たいか?」

若葉「勿論だ」

提督「そこには何があるかな」

若葉「―― そうだな。若葉は提督の事が好きだし、愛しているけれど、その次に、皆を愛してる。だから、ここと皆がある」

提督「…… もう一回言ってくれ」

若葉「… 仕方ないな」


若葉「提督が一緒にいると嬉しい。心が晴れやかになるんだ。何にでも耐えられるような心に加えてな」

若葉「提督と過ごす時間は楽しい。何もしていない時間でも、執務中でも、自分の好きな事をやっているように楽しい」

若葉「提督と居ると落ち着くんだ。特に、膝の上や左腕。もたれると、そのまま溶けてしまいそうになる」

若葉「若葉は提督と一緒に居たい。皆とも一緒に居たいんだ。ずっと、これから先ずっと。戦いが終わっても、一緒に居たい」


若葉「提督の女の扱いは少し不満を持たざるを得ないが、それでも皆をできる限り平等に扱おうとしてくれていた。優しさが好きだ」

若葉「提督の仕事熱心な所は好きだ。だが、もう少しだけでも頼ってくれてもいい。その為に隣に居る、というのもある」

若葉「提督の体付きは、その、直視できないというか―― 逆にまじまじと見れるのは翔鶴くらいだ。魅力的なんだ」

若葉「提督の声は心を和らげてくれる。出来ることなら、くっついているときは囁く回数を増やしてほしい」

若葉「提督の撫では心地がいい。だから、若葉以外の皆にすることも許す。その代わり、その倍は若葉にもしてほしい」

若葉「提督の真っ直ぐな目は、見るだけで何もできなくなるほどに大きい。神秘的な目なんだ。奥に若葉が映ると嬉しい」

若葉「提督の寝顔は可愛いぞ。撫でればにやけるし、唇に指を当てれば少しだけ加えてくる。これはここの皆が大体やってることだ」

若葉「提督から感じられる愛情は、きっと誰か一人に注ぐための物じゃない。でもそれでいいんだ。それでいい」


若葉「その中で若葉が少しだけでも沢山、その愛を受け止める事が出来るなら、それだけで幸せなんだ」


若葉「もう少し欲を出してもいいなら、皆の倍は注いで欲しいかな。それが出来るなら、ここの皆と何をしようと若葉は構わない」

若葉「分かったか? まだまだ言い足りないけれど、今はこの程度しか出てこなかった。もう少し時間をくれればもっと言える」


提督「」カオマッカ

若葉「言ってくれと言ったのは提督だぞ?」

提督「はい… でも、嬉しいよ。どうやら俺は、具体的な『好き』を聞かないと安心できないらしい」

若葉「… 面倒くさいな」

提督「言ったな? だけど、そっちの方がいい」

若葉「本当にそんな顔をしているな」

提督「…… お返しだ」

若葉「え?」


提督「若葉が一緒に居ると安心する。若葉の大丈夫だって声が心を落ち着かせる。ずっと聞いていたいくらいに」

提督「若葉が笑うと楽しくなる。あまり笑顔は見せないだろ? たまに見える楽しそうな顔は、こっちも楽しくさせる」

提督「膝の上は若葉の他にも座る子は居るが、左腕に持たれるのは若葉だけだな。右は他に何人か居るが… そこに若葉が居ると、時間が止まればいいのにって思うんだ」

提督「俺は若葉と一緒に居たいと思う。一歩離れたり近づいたりすれ違ったりすると思うけど、それが一番の道なんだって思う」


提督「若葉の強さには色々な意味で惚れ惚れするよ。空母も堕とすもんな。すごいと思う。これは敬愛だな」

提督「若葉の静かさは大好きだ。それでいて存在を主張しているから、何も喋らなくても安心する。その時は若葉の顔を見るのが好きなんだ」

提督「若葉のストイックさは少し心配になる。でも、たまにヘナヘナになるから可愛い」

提督「寝惚けている時に出す猫撫で声は、思わず抱きしめたくなるほど可愛い。もう録音して目覚ましにしたくらい可愛い」

提督「若葉の匂いはいい匂いだ。若葉と居ると安心しっぱなしだな。抱きしめてると香るその匂いが、その抱く力をもっと強くさせるんだ」

提督「若葉の目はしっかりとしている。真っ直ぐ此方を見てくれる。強い目だ。虜になるな… いや、もうなっているのか…」


提督「確かに… ここで暮らしている以上は若葉だけ自分の全部をかけて愛す訳にはいかない。だけど約束する」


提督「ここまで本能で話し合った以上、もう隠すことはない。絶対に幸せにする。若葉を筆頭にな。全員、幸せにするんだ」


提督「若葉に注ぐ愛情はもっと増やすよ。後はその場その場でやっていく。これからは、もっと一緒に居られるな」


若葉「」ウズクマリ

提督「な?」

若葉「は、恥ずかしいぞ!」カアアッ

提督「そうなるって」

若葉「悪くない―― もっと言ってくれ!」ガバッ

提督「うおっ―― ああ、いつでも何度でも言うさ」

若葉「若葉もだ… 提督が若葉への愛を忘れないようにな」

提督「忘れないよ… 絶対」

若葉「…… 約束だぞ?」

提督「ああ」

若葉を胸に抱いて試験勉強します。
続きは一月二十日あたりになりますかね…。

時間は守らない(慢心)

若葉「………」キラキラキラ

初霜「これはもうアウトですね」

若葉「何がだ?」ニンマリ

弥生「おめでと」

若葉「ふふ… これでやっと、弥生に追いつけたかな」

弥生「そんな… ずっと前に抜かされてるよ」

若葉「… はは、そうかもな」


提督「わかばー」ノシ

若葉「提督っ!」ガバッ

島風「はっやい…」

潮「… いいですねぇ… 選ばれるって」

皐月「そんな事いうキャラだっけ?」

潮「………」ボーッ

皐月「あっ、ダメなタイプだ」


提督「ん、シャンプー換えたか?」

若葉「分かるか? だが換えた訳じゃない。切れてしまって、初霜の物を使ったんだ」

提督「ああ、通りで」

若葉「初霜の匂いがすると?」

提督「ん、うん」

若葉「… 開き直られると何も言えないぞ…」

提督「え?」

若葉「何でもない!」ウガーッ

瑞鶴「おーおー昼間っから仲の良い事で」

提督「瑞鶴? これから遠征のはずだよな」

瑞鶴「ええ、可愛い後輩の所に行かなくっちゃね」

翔鶴「とは言っても、正規空母を一箇所に集めるとは… 元帥も何を考えているのやら」

提督「まぁ、楽しんでおいでよ」

瑞鶴「楽しむ? 何を?」

提督「弓、よく見ておいたほうがいいかもな」

瑞鶴「???」


若葉「………」クイクイッ

翔鶴「!」

翔鶴「では、行ってきますね」ペコ

瑞鶴「むー…? なんか釈然としないなぁ… まぁいいや、行ってくるね」ノシ

提督「いてらー」ノシ

若葉「行ってらっしゃい」ノシ


若葉「… ふぅ」

提督「元帥も面白いこと考えるよなぁ」

若葉「何の話だ?」

提督「いや、こっちの話」

若葉「こっちに若葉はいないのか…」シュン

提督「男の世界の話さ」

若葉「…… リンゴォ?」

提督「言うと思った」

風呂――

若葉「やはりここが落ち着くな」

提督「… まぁ、もういいか」ヒザダッコ

望月「若葉ー、右腕かしてくれない?」チャプ

若葉「なっ、なんだ、居たのか… いいぞ」スッ

望月「あー、いや、若葉のじゃなくて」

提督「俺か」

若葉「…… まぁ、いいぞ」

提督「俺に決定権は無いのね」

望月「よいしょー。あー、ちょうどいー」ウデマクラ

提督「あっそう…」

若葉「……」モタレ

提督「……… ん」ギュ

若葉「! …」フッ

望月「若葉ってさー、何にでも耐えられるような鉄の意志と鋼の強さが感じられるけどさー。案外さみしがり屋だよねー」

若葉「…… まぁ、そうだな」

望月「あれ、否定しないんだ」

若葉「本人が目の前にいるのに、否定するようなことはしない」ギュ

望月「ふーん…」キュ

提督「お互いの事、前よりはだいぶ分かってきたからな」ナデ

若葉「そうだな」フフ


望月「仲が宜しいようで」ザパァ

若葉「もう出るのか?」

望月「あたしあんたらが来る前から居たんだよ?」

提督「あ、じゃあいい時間か」

望月「………」

若葉「? なんだ」

望月「… いや、何でもない」

提督「???」

若葉「…… !」

若葉「………」フッ

若葉「… 提督と約束したんだ」

望月「?」クルッ

若葉「皆で、幸せになろうって」

望月「んぁ… まぁ、そりゃいいことだけど」

若葉「―― だが若葉は選ばれた。若葉は一番だ」ニヤニヤ

望月「あー、うん」イラッ


若葉「だが、提督を独占しようなどとは思っていない」

望月「ん? どういうこと?」

若葉「… 提督も若葉も、お互いと同じくらいに、皆の事が好きだということだ」

望月「…… なんか、エサを与えられてる気分だねぇ」

若葉「若葉の口から言うことじゃないな」フッ

望月「だねぇ… でもまぁ、ということは、今まで遠慮してた分をとっぱらっちゃっていいってこと?」

若葉「ああ。提督が耐えられれば、の話だがな」

提督「大丈夫だよ」

望月「ふぅーん… じゃあ、明日から少しだけやる気出しちゃおうかなぁ」

若葉「ああ、いいだろう。な、提督」

提督「バッチコイ」

望月「っはは! 翔鶴さん辺りが聞いたら、すっごい喜ぶんじゃないかなぁ」

臨時再開。

翌日早朝食堂――

望月「あ、司令官。おっはー」ギュウ

艦娘「!?」

提督「うおっ… あ、お、おはよ」ナデ

艦娘「!!?」

望月「んあ^~ 久々だわぁ~」コウコツ

若葉「程ほどにな… 昨日は少しだけ気分が乗っていたんだ」

望月「んぁ? なに、撤回する気?」

若葉「いや、本心ではあった。撤回はしない」チラ

提督「わかってるよ。俺は若葉を選んだし」ナデ

若葉「ならよしだ」ニコニコ

弥生「ちょ、もっちー… 司令官が困って… ない?」

望月「弥生も目が『行きたい!』っていってるじゃーん。来なよ! へいかもん!」クイッ

弥生「え… でも、その…」

島風「おっそいよ!」ビュン

島風「ほんとにいいの!?」ダキッ

提督「聞く前から抱きしめてどうする」ハハハ


若葉「……」フゥ

初春「のう」

若葉「ん? どうした」

初春「あれほどイチャイチャとしてるけどいいのかや?」

若葉「問題ない」

初春「…… 誰かと話すだけで少し眼付きが鋭くなる人の台詞とは思えないのう」

若葉「…… 望月にはな、『皆にも幸せになってもらいたいから』という理由をこじつけたんだが」

初春「だが?」

若葉「初春になら話してもいいか…… 放置というムチの後の、飴の味が知りたいだけなんだ」

初春「」

若葉「そうなるように、提督には『皆の倍、二人の時には愛を注いで欲しい』と言ったんだ」

初春「… ならばもし、その飴の味とやらが口に合わぬとしたら?」

若葉「『やっぱり嫌だ』と言えばいいかなと思っている。そのくらいの我が儘は通るだろう」フッ

初春「若葉… 腹の中が腐ってしまったのう」

若葉「そんなもの、皆だってそうじゃないか。違うのはきっとしおいや長月だけだ」

初春「…… じゃの」


初春「… さて、自分の妹が大丈夫じゃない事を知ってしまった今、この鬱憤をどう処理するのかじゃ」

初霜「え?」

子日「どうしたの?」

初春「本人に聞くと良い。否定するほど酷いものでもなかろう」

初霜「…… 若葉?」

若葉「ああ、どうした」

子日「なんだか大人な目~」

初春「大人と言えるものなのかや…?」ボソ


提督「飯くらい食わせてくれよ」ハハハ

球磨「嫌だクマ。なんなら球磨を食べろクマ」フン

提督「今すっごい恥ずかしいこと言わなかった?」

球磨「それだけ放置されてたってことクマ。…自分が本当に情けないクマね… 見守る覚悟は決めたつもりだったクマ…」

阿武隈「… 私なんか、あれだけ見栄張ったのに…」

三隈「はーい、フレンチトーストですわ~♪」

提督「おお、ありがと」

三隈「あ~ん」

提督「おぁ、ぁあ」アツイ

皐月「ああ! 僕も!」ジュウ

提督「アアッ」


若葉(なるほど… これには…)

若葉(慣れるのにも…… 時間が少しだけいるか)

初霜「ちょっと聞いてる?」

若葉「ん、すまない。聞いていなかった」

初霜「ハァ… 提督と何かあったのって聞いてるの」

若葉「いや、特にないぞ? 若葉の望みを提督が聞いてくれただけだ」

初霜「???」

初霜「望みって… あれが望みだとでも言うの!?」<キャーキャーテイトクー

若葉「… 正確には、その後かな」

初霜「え?」

若葉「少し手洗いに行ってくる」

初霜「ちょ―― ちょっと!」

若葉「三隈は料理が上手だな。美味しかったぞ」

三隈「!」ビクッ

三隈「あ、あら、そうでしたか。それは良かったです」アセアセ

若葉「構うことはない。提督の事は好きにするといい」

若葉(それだけ後のお返しが多くなるということだ…)

三隈「は、はぁ…」

トイレ――

若葉「………」

翔鶴「若葉さん?」カベゴシ

若葉「ピャッ」

若葉「な、なんだ、翔鶴か。よく分かったな」

翔鶴「後を追いかけてきましたから」

若葉「あ、ああ」

翔鶴「何をお考えですか?」

若葉「… 提督の事か?」

翔鶴「ええ。私や初霜ちゃんに匹敵する程の嫉妬心を持つ貴女が、なぜあんな事を?」

若葉「…… 話せば長くなる」

翔鶴「でしたら、取調室にでも」

若葉「そんな場所があったな。いいだろう」ガチャ

翔鶴「では」ニコ

イムヤ「聞かせてもらえるかしら?」

若葉「イムヤもか」

イムヤ「翔鶴さんに連れてこられたら、なかなか面白そうな展開になりそうじゃない」ピキピキ

若葉(怒っているな… それもそうか)

翔鶴「まぁまぁ、話はこちらで」スタスタ

若葉「ああ」スタスタ

取調室(防音)――

イムヤ「―― あれは何の冗談!?」バン!

若葉「いきなりか」

イムヤ「いきなりも何もないわ! まるで餌に踊らされる魚じゃない! ふざけないで!」

翔鶴「イムヤさん、落ち着いてください」

イムヤ「落ち着いていられるわけないでしょ!? ずっと覚悟を胸に我慢してきたのよ?」グスッ

若葉「それなんだ」ビシッ

翔鶴「?」

イムヤ「… なによ、司令官の真似のつもり?」

若葉「いや、『覚悟を胸に我慢』という言葉だ」

翔鶴「それこそ、ここの艦娘は全員…」

若葉「… 若葉が言う事ではないかもしれない。だが怒らないで聞いて欲しい。あれだけ露骨にアピールをしていたお前達にだから話すことだ」

イムヤ「………」

若葉「何なら、このまま何も言わずに文句をずっと言われ続ける、でも構わないが?」

イムヤ「… いいわ。話してもらえるかしら…」ハァ

翔鶴「長くなってもいいですから、わかるようにお願いしますね」

若葉「ああ」


若葉「ケッコンして、少し経った頃だ―― 皆の目を見るようになったのは」

若葉「何て悲しい目をしているのか。阿武隈は特に酷い目だった」

若葉「イムヤも翔鶴も、球磨も木曾も阿武隈も、瑞鶴も初春も子日も、島風も皐月も長月も弥生も望月も潮もハチも、あの初霜でさえ、自分を押さえつけていた。しおいは純粋に過ごしていたが」

若葉「… 若葉は、提督が好きで、提督も、若葉を選んだ。その事実が、発破をかけた阿武隈を筆頭にここのほぼ全員を押し潰そうとしている。そう感じた」

イムヤ「… まぁ、そうね。覚悟していたことだったけど、それでも… 毎日顔を合わせるもの…」

若葉「最初は、嫌らしながらも、ちょっとした愉悦感があった。どうだ、いいだろうとな。だが、もうそんな物はない。一騒動あった後、こうすることに決めた」

若葉「若葉が望んだことだ」

翔鶴「… いまいち話が掴めませんね」

若葉「これから言うのは、望月に言ったことだ」


若葉「提督が耐えられる所まで、若葉は提督から手を離す」

イムヤ「………」

若葉「その時は、若葉は提督と同じくらいに皆の事が好きだから、提督を独占するようなことはしない。と言った」

若葉「皆の事が好きなのは事実だが… それだけが理由じゃない」

翔鶴「… もしそれだけが理由なら間違いなく怒ってました」

若葉「分かっている、若葉もそこまで馬鹿ではない」

若葉「ここから先は、初春にだけ話したことだ」

若葉「…… 放置の後の愛の味が知りたかっただけだ」

翔鶴「」

イムヤ「」

若葉「ん、分かりにくかったか? つまりは――」

翔鶴「い、いや、そうじゃなくて……」

若葉「放置プレイだ」

イムヤ「言っちゃうのね…」

若葉「それが一番だと思ったんだ。そのためにも、二人きりの時は、皆の倍は愛してもらうと約束した」

翔鶴「私達は提督とケッコン前の様に触れ合うことができて、若葉さんは放置プレイの後で沢山愛してもらう、と」

若葉「合理的だと思うんだ」

イムヤ「それは… もう、貴女がそうならそれでいいわ、としか言えないわよ…」

若葉「…… だが、正直、逃げたという所もある」

イムヤ「え、どういうこと?」


若葉「時折、皆は無意識の内かもしれないが、提督に向けていた視線が、若葉に向けられるときがある」

若葉「より、攻撃的になって」

翔鶴「…… 否定しきれません… ごめんなさい」

イムヤ「そうね…… 恥ずかしいわ」

若葉「いや、いいんだ。だが、正直言うと辛かった。一人で泣きそうになった夜もあった」

翔鶴「うう…」

若葉「この件は誰が悪いとかじゃない。ただの若葉の我が儘なんだ」

イムヤ「でもその我が儘には、私達も関わっているんでしょ?」

若葉「…… ああ」

イムヤ「… 悪かったわ。ごめんなさい。自分を棚に上げて…」

若葉「いいんだ。この事はあまり言いふらさないで欲しい。特に提督の耳には絶対に届かないようにして欲しい」

翔鶴「提督に?」

若葉「… その、まだ、これが若葉に対する放置プレイだと、言っていないんだ。流石に、恥ずかしい、というか」ウツムキ

イムヤ「… 分かったわ! イムヤにおまかせね。ちゃんと誤魔化してあげるわ」

若葉「ああ、すまない」

翔鶴「皆も持っているこの疑問には、私達も答えるとしましょう」

若葉「ああ、すまない」

イムヤ「話してくれて、ありがとね」

翔鶴「ええ… 安心できました」

若葉「… ああ」

執務室――

球磨「クマー… 提督の匂いクマー」クンカクンカ

提督「ハハハ」ナデナデ

翔鶴「失礼します」ガチャ

イムヤ「こんにちわ、司令官」

球磨「クマ… お邪魔かクマ?」

翔鶴「いえ、そのままでいいですよ」

イムヤ「―― せーのっ」

二人「「覚悟してて(ください)ね?」」

提督「ヒッ」

球磨「クマッ」

翔鶴「ちゃんと、若葉さんを愛せるだけの余裕を持っておくことです」

提督「わ、若葉から聞いたのか」

イムヤ「ええ。私達もガンガン行くから」

提督「お手柔らかに頼むよ」


若葉「そこでだ」バァァーーン


球磨「い、いつの間に提督の背後にクマ!?」

若葉「夜だけ、夜だけは若葉とふたりっきりにして欲しい。ああは言っても、二人の時間が無ければ意味がないからな」

提督「ドアにでも貼り付けておくか」

若葉「それがいい」

若葉「―― 慣れてきたら、許可制にでもしよう」

提督「ん、何に?」

若葉「提督がだ」

翔鶴(放置されることに、ですね)

イムヤ(絶対、放置に慣れてきたらってことだわ)

提督「そうか、それもそうだな」

球磨「なんだか飼育されてる気分だクマ」

若葉「それは本当にすまない。でも、そうじゃないと若葉も、きっと皆も耐えられないと思うんだ」

球磨「…… 一理あるクマ。でも一理あれば提督の膝に居れるのなら、それでいいクマよ」

若葉「… ありがとう」

『緊急時を除く部屋の立ち入りを禁ず(フタフタサンマルより)』

皐月「これで若葉との時間も確保かぁ」

長月「きっと二人で考え合ってのことだろう」

弥生「…… 寝よっか」

皐月「そうだね」(夜這いしに来た)

長月「ああ」(上に同じ)

弥生「……」()

望月「… 油断も隙もねぇなぁ」(三人を監視してる)

望月「…… なぁんか、裏があるような気がするんだよねぇ」

翔鶴「勘が鋭いですね」ユラァ

望月「」

翔鶴「あ、気絶してる」

こうして鎮守府の治安はほんの少しだけ回復し、モラルはほんの少しだけ低下したのだった。

艦!!

エクストラ―― 部屋の中

若葉「………」ウズウズ

提督「ん、どうした」

若葉「これで終わりなのか?」ダカレ

提督「―― やっぱり不満か」ダキ

若葉「当たり前だッ!」ガバッ

提督「… ふぅ」


この先少しだけR-18要素あり


若葉「提督! ていとくっ! もっと、もっとだッ! んぁッ」ビクンッ

提督「くっ… これ以上は―― 若葉が――」

若葉「大丈夫だ! だいっじょうぶッだからッ! もっと―― もっとぉぁあッ」

提督「こう―― こうか!」

若葉「あうぅっ―― そこぉッ そこだ―― ぁひッ んあああッ」ビクビク

提督「このッ―― 愛してるぞっ――」

若葉「ッ――」ゾクゾクッ

若葉「もっとッ 言ってくれ――  若葉も愛しッてるからぁっ――」ビクンビクンッ

提督「愛してるッ―― あいしてる! 大好きだっ――」

若葉「―― あひっ いしてるッ―― すきだっ―― だい… すきだ――」

提督「若葉―― 若葉ッ!!」

若葉「ていッ と、くうぅうううぅう」ビクッ… ビクッ…

若葉「あかッ… あ、かはッ」ガクガク

提督「わ、若葉… 若葉?」

若葉「だ、大丈夫だ―― て、提督… も、もう一回――」

提督「もう出ないと思うんだけど…」

若葉「そ、そうか…」シュン

提督「!」

提督「そういえばこの辺に―― メガネから貰った薬があった」

若葉「薬? 大丈夫なのか?」

提督「」ゴクゴク

提督「………」ムクムクッ

若葉「お、おお…」

提督「さ、もう一回だろ?」

若葉「ああ… 嬉しいっ」

翌日――

瑞鶴「あれ、腰抑えて、どうしたの?」

提督「いや、ちょっとね…」

弥生「若葉も腰が痛いの? 一体、どれだけやったの…」

若葉「19回… だったと思う」

提督「21回じゃなかったか?」

翔鶴「そんなんじゃ体持ちませんよ?」

提督「普通とは違うから、大丈夫」

初霜「尻尾以外は普通の人間なんですから、無理しないでください」ハァ

提督「あい…」

若葉「とりあえず5回に止めておこう…」

提督「ああ…」

瑞鶴「これって私がおかしいの? 十分多すぎると思うんだけど?」

初春「この二人が異常なだけじゃ」

島風「何の話?」

潮「ま、まさか…」

最上「あ、あー、やっぱりそういう事するよねぇ――」


若葉「昼間は何をしてもいい、と言ったはずだ」


提督「結局同じ回数になりそうなんですがそれは」


若葉「約束だろう? 頑張ってくれ―― 若葉の大切な人は、そんなんじゃ倒れないはずだ。な?」チュッ


提督「あ^~」


若葉「好きだぞ、愛してる。提督」

次は初霜を書きますね。
このスレは詐欺にならないようにこれで閉じます。

じゃあの

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