ことり「おばあちゃんな絵里ちゃん」 (33)
*穂むらだよ♪
絵里「こんにちはー」コンニチハー
穂乃果「あ、絵里ちゃんだ!」ニコニコ
絵里「遊びに来たわよ~」
穂乃果「上がって上がって」
絵里「お邪魔します」シマス
*ここはほのルームと呼ばれています
穂乃果「絵里ちゃん、Wiiやる?」
絵里「うぃい?」
穂乃果「ゲームだよ。ゲーム」コレダヨ
絵里「ああ、ファミコンね」
穂乃果「ふぁみこん?」
絵里「もう、穂乃果ったら。ファミリーコンピューターよ」
穂乃果「パソコン?」
絵里「え、ゲームよ。ピコピコ」
穂乃果「Wii?」
絵里「うぃい?」
海未「あの、誰も突っ込まないと延々と続けるのでしょうか? それ」
絵里「あ、海未。おっはー」オッハー
穂乃果「海未ちゃんも居たんだ?」
海未「あれー、おかしいですね? 私、3時間前から穂乃果の部屋に居たんですが?」
穂乃果「そっか、大変だね」
海未「あれー?」
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絵里「そうそう、お菓子を買って来たんだったわ」
穂乃果「わーい!」ワーイ
絵里「はい、ぽたぽた焼き」
穂乃果「美味しいよね、ぽたぽた焼き」
海未「絵里は随分渋いチョイスなんですね?」
絵里「別に渋くないわよ。美味しいでしょう? ぽたぽた焼き」
海未「まぁ、美味しいですが」サクサク
絵里「甘じょっぱさが良いわよね」
穂乃果「うん! うちのお菓子、甘いものばかりだから丁度良いよ!」
絵里「ね? 私のチョイスは間違っていないのよ」
海未「別に間違っているとは言っていませんが」
穂乃果「絵里ちゃん漫画でも読む?」
絵里「漫画……ああ、劇画ね」
穂乃果「げきが?」
海未「劇画と言うのは、青年向けの漫画のことです。絵里のように漫画のことを劇画で一括りにする人も居ます。私たちの年代ではまずありえないはずなんですが……」
穂乃果「そっか、大変だね」
海未「あれー?」
絵里「よっこらっせっと」スタンダップダネ
海未「絵里……」
絵里「なによ、海未? 穂乃果、お手洗い借りるわね?」
穂乃果「うん!」
海未「何なんでしょう? どうにも絵里には若さが足りない気がするのですが」
穂乃果「……」
海未「あの? 穂乃果?」
穂乃果「……」ムスットシテイルヨ
海未「もしかして、怒ってます……?」
穂乃果「……折角の絵里ちゃんとのデートなのに、なんで海未ちゃんも居るのさ!」
海未「えぇぇー!? 私だけですか!? あと、これデートだったんですか?」アレー?
海未「ええとですね、お菓子を買いに来ましたら、おばさんに穂乃果の部屋へ通されたんです」
穂乃果「へぇ、顔パスなんだ?」
海未「それは幼馴染ですからね」
穂乃果「海未ちゃん、邪魔!」
海未「ストレート過ぎません? ねぇ? 酷くないですか?」アハハ
絵里「ただいま~」
穂乃果「お帰り~」
海未「あの、私、居ても良いんでしょうかね?」
絵里「え? 先に海未が遊びに来ていたのだから、良いに決まっているでしょう?」
穂乃果「ちっ!」
海未「えぇー!? 穂乃果、流石に傷付きます!」
穂乃果「そっか、大変だね」
海未「あれー?」
絵里「そうそう劇画の話だったわね」
穂乃果「なに読む?」
絵里「久しぶりにはいからさんが通るを読みたいわね?」
穂乃果「ごめんね。それは持ってないんだ」
海未「あの、絵里? わざとなんですか? わざとですよね?」
絵里「なんの話?」
海未「なんで昭和の香りがするチョイスばかりなんです!?」
絵里「? 私が昭和生まれだから?」
海未「それ中の人の話でしょう!?」
絵里「中の人?」
穂乃果「絵里ちゃん、そんなブルーヘアーイエローアイズに構ってないで、穂乃果と遊ぼうよー」
海未「私、どこかのドラゴンでしょうか?」
絵里「もう、穂乃果は仕方がないわね。それじゃあ、こっくりさんでもやりましょう?」
穂乃果「こっくりさん?」
海未「危険な遊びに穂乃果を巻き込まないでください! ついでにまた昭和チョイスですか!?」
穂乃果「海未ちゃん、うるさい」
海未「……無視されるよりはマシなのでしょうか?」
絵里「あら? これは墓場鬼太郎ね!」マンガダヨ
穂乃果「ゲゲゲの鬼太郎のこと?」
海未「どうして、穂乃果の家にゲゲゲの鬼太郎が置いてあるのでしょう?」ウーム
海未「ああ、思い出しました。ことりが昔古本屋で見つけてきたのは良いものの怖がって、穂乃果の家に置いて行ってしまったんでした」アア!
絵里「懐かしいわ。昔、貸本屋でよく読んだものよ」
海未「GEOとかの話ですよね? 決して戦後の貸本屋のことではないのですよね?」
絵里「やーね、海未ったら」
海未「いやー、そうですよね」ホッ
絵里「江戸川乱歩とかもよく読んでいたわ」
海未「あれー? おかしいですね。この人、1歳違いなんですよね? 100歳違いとかじゃないですよね?」
穂乃果「江戸川らんぽなら知ってるよ。コナンだよね?」
海未「確かに江戸川コナンはそこから名前をとっていますが、絵里の言っていることとは全くかみ合っていないのですよ?」
絵里「アーサー・コナン・ドイルね。シャーロックホームズは名作よね?」
穂乃果「あーさー? ああ、セイバーだね!」
海未「誰です? 穂乃果に深夜アニメを見せたのは!?」コトリデス
穂乃果「海未ちゃん、うっさい」
海未「しょぼーん」
穂乃果「絵里ちゃん、スクフェスでもやる?」
海未「おおーっと! スクフェスの中の人がそのゲームをやるとか、おかしくないですか? と言うかスクフェス存在しているんですか?」
絵里「知ってるわ! スクフェスで検索ね!」
海未「どうでも良いことこの人知ってた! なんでそこだけ現代の知識なんですか!?」
穂乃果「シャンシャンシャン♪」
海未「本当にスクフェスをやっているんですか!?」ギョッ
絵里「あら? ……画面が小さくて老眼鏡がないと私には無理そうね」シバシバシテルネ
海未「今、老眼鏡って言いましたよ、この人!?」
穂乃果「そっか、残念」
海未「いやいや、それ以外に何か思うことありますよね?」
穂乃果「海未ちゃん、ちょっと30分で良いから息止めてよ」
海未「あれー? それじゃあ、死んじゃいますよ? 幼馴染の海未ちゃん、死んじゃいますよー?」
絵里「そうねぇ……ここはスクールアイドルらしくアイドルの話でもしましょうか?」
穂乃果「うん、良いよ」
絵里「穂乃果は光GENJIでは誰が好き? 私はミッキーかしら?」
穂乃果「ミッキー可愛いよね?」
海未「絶対この2人違うことを考えていますよね?」
穂乃果「それで左之助が二重の極みを使うの!」
絵里「へぇー、明治時代には珍しいタイプの人ね。私の知り合いにはいなかったわ」
海未「あのー、それだとー、絵里が明治から生きていることになるんですが、どうなんでしょう?」
絵里「坂本龍馬とはマブダチよ!」
海未「……頭が痛いです」
穂乃果「そっか、病院行けば?」
海未「絵里ー、穂乃果が私をいじめます!」
絵里「最近の若い子は何かあればいじめにしたがるから困ったものね」
海未「そろそろ聞いても良いですか? あなた一体何歳なんですか!?」
絵里「もう、年上に歳を聞くなんて失礼よ」
穂乃果「そうだー、そうだー」
海未「その年上がどのくらいかで、話が変わると思うのは私だけでしょうか?」
絵里「それでね、孫の亜里沙がね、なんとかの楽園っていうあにめ?を見ていて──」
海未「孫! 今更驚きませんよ。えっ、亜里沙が孫ぉ!? あと、なんとかの迷宮とか楽園であなたエンディング歌っているじゃないですか!?」
絵里「もう海未は変なことばかり言うんだから」
穂乃果「海未ちゃんは変態だよね」
海未「あれー? おかしいですね? 私は結構まともなこと言っていますよ? 穂乃果は罵倒をやめましょう」
絵里「あら? もう良い時間ね」
穂乃果「そうかな? まだまだ全然大丈夫だと思うよ。なんだったら、泊まっていっても良いんだよ。穂乃果が土下座すれば泊まっていってくれる?」
海未「どれだけ、必死なんですか、あなたは!?」
絵里「そうもいかないわ。家では孫が待っているもの」
海未「もう突っ込みませんよ?」
穂乃果「そ、それじゃあ、絵里ちゃんの家まで送るよ? 穂乃果が直に」
絵里「うふふ、大丈夫よ。それじゃあ、また学校でね」バイバイ
穂乃果「絵里ちゃん、また遊ぼうねっ!!」
海未「穂乃果の必死さとは裏腹に絵里はあっさり帰りました」
穂乃果「……ねぇ、海未ちゃん」
海未「普通に穂乃果が話しかけてくれるとは思いませんでした。何ですか?」
穂乃果「絵里ちゃんさ、絶対に穂乃果に脈ありだよね?」
海未「え? 勘違いも甚だしいのではないですか?」
穂乃果「海未ちゃん、帰りなよ」
海未「うわー、私は至極真っ当なことを言いましたよ? それでこの扱いですか?」
穂乃果「かえれ」
海未「はい」
海未「こうして海未はトボトボと帰宅の途についた。結局絵里は何歳なんだろうかと考えながら」ウミチャンモタイガイダヨ
海未「負けるな海未! くじけるな海未! 明日も海未は頑張るのだ!」
穂乃果「いいからかえれよ」
海未「はい」
*この番組は絵里ちゃんに恋する穂乃果ちゃんと、おばあちゃんな絵里ちゃんの出演でお送りしました。
海未「あの、私は?」
*突っ込み役の海未ちゃんとニコニコしていたら1日が終わっていたわたし、ことりの提供でお送りしました。
海未「ことり、ほとんど皆と絡まないでニコニコされていると逆に怖いです」
*ガーン
終
ことりちゃんは半角カナでちょこちょこ登場していましたね(スレタイで出ている以上、無理やり登場させていたとは言えない)
絵里ちゃんよりもそれに対応し、メタ発言もする海未ちゃんの方が変だと思います
最近絵里ちゃんのSSストックが無駄に溜まっていっていましたので、投下してみました
乙
流石にスレ立ててこれで終わりは短い
ストックあるなら投下したらどうか
>>10
どうもです
残りのストックは全てシリアスものなので、おばあちゃん絵里とはかなりの温度差があります
それでもよろしければ、次のお話に進んでください
↓次のお話
絵里「全てが穂乃果? パラダイスじゃない!?」
声「えりち、えりち!」
絵里(……)
声「大丈夫なん!? えりちっ! 返事して!」
絵里(……のぞみ?)
穂乃果「えりちっ! えりち!!」
絵里「……あら? 穂乃果じゃない?」
穂乃果「え……?」
絵里「どうしたの、穂乃果?」
穂乃果「穂乃果ちゃんって……ウチのこと、言っとんの……?」
絵里「もう、何で希の真似しているのよ?」フフッ
穂乃果「……何なん……」フラッ
絵里「穂乃果! どうしたの!? 顔が真っ青よ!」
……。
…………。
穂乃果「……うぅ……」
絵里「大丈夫? 穂乃果?」
穂乃果「……えりち?」
絵里「急に倒れるからビックリしたじゃない。でも、ここにベッドがあって良かったわ」
穂乃果「……病院、やもんな」
絵里「どうして、私たち病院に居たのかしら?」
穂乃果「!? 覚えとらんの……?」
絵里「これでも記憶力は良い方よ。ええと……ああ、そうそう、確か第2回ラブライブの開催が決まったのよね?」
穂乃果「……うそ、やん……」
絵里「嘘はついていないわよ。それで新しい曲を作るために、確か合宿に行くことになっていたわね」
穂乃果「……えりちの中では、そうなってしもうたんか……」
ガラッ
穂乃果「失礼します」
絵里「えっ!? 穂乃果!?」
絵里(こっちにも穂乃果、あっちにも穂乃果? 夢かしら?)
穂乃果「え? どうして、希ちゃんがベッドで寝ているんですか?」
穂乃果「……花陽ちゃん。ウチ、もうどうすれば良いんか分からんよっ!」
穂乃果「希ちゃん……一体何があったんですか?」
絵里(穂乃果が穂乃果と話しているわ)
絵里(ハラショーね!)
絵里「穂乃果が2人! 最高だわ!」
穂乃果「ほ、穂乃果ちゃんが2人……?」
穂乃果「そっか……花陽ちゃんまで穂乃果ちゃんに見えるんやね」
穂乃果「希ちゃん、これって一体……?」
穂乃果「またお医者さんに診てもらわんとあかん、そう言うことなんやと思う」
絵里(その後は穂乃果パラダイスだった!)
絵里(お医者さんのコスプレをした穂乃果、看護師さんの穂乃果、色とりどりの私服姿の穂乃果、穂乃果穂乃果穂乃果!)
絵里(何故かしばらくすると、どの穂乃果も制服姿になっていたのが残念だったわ。それでも!)
絵里(見えるもの全てが! そう!)
絵里「全てが穂乃果? パラダイスじゃない!?」
絵里(私はそのパラダイスを堪能している間に、場所は病院から自宅へと変わり、3人の穂乃果と一緒に暮らした!)
絵里(アドレナリン全開で穂乃果との日々を楽しんだわ!)
絵里(最高! 本当に最高だわっ! ヒャッホー!)
絵里(──でも、数日してふと我に返った)
絵里(世界には穂乃果しか居ない。テレビも穂乃果、新聞も穂乃果。ドラマや小説、漫画に至るまで穂乃果だけだった)
絵里(そして、気付いてしまった)
絵里(見るもの全てが穂乃果に代わっていたのだと)
絵里(変わるのではなく、代わる)
絵里(全ての人間が『穂乃果に代わった』のだ)
絵里(……私の記憶にはわずかな欠落があった)
絵里(合宿を計画した後と病院に居た前の記憶が綺麗さっぱり消えている)
絵里(つまりはこの現象に至る過程と原因が分からないのだ)
絵里(流石に喜んでばかりもいられないとようやく気付く)
絵里(そして、空白の記憶を求めつつ、私は日常を送った)
絵里(浮かれ気分が残っていたから、真剣さはなかったが、日常を観察することから始めようと思った)
絵里(1週間、10日、1ヶ月と時間が経過していくほどに、私は事の深刻さを知っていく)
絵里(気付けば、鬼気迫る勢いで日常の粗を探し始めた。原因を求めた。でも……)
絵里(調べようとしても、全てが穂乃果に代わったことによって、大きな障害が生まれていた)
絵里(姿はおろか、人物名、声色まで人に関わるもの全てが穂乃果に置き換えられる)
絵里(ただ、肉声で述べられる名前のみはその例外だった)
絵里(妹の亜里沙ですら、その例外と口調で聞き分けなければ、父と母との区別さえできない)
絵里(肉親ですら、これなのである。知人に至っては細心を払わなければ、絶対に見分けることなど不可能だった)
絵里(この現象はなんなのだろうか? かつて、これと似た状況のフィクションを読んだことがあるが、あれよりはまだマシなのだろうか?)
絵里(その主人公のように開き直れれば、大分楽なのかもしれない。もっとも、私はギブアップしたので、そこに可能性は抱いていない)
絵里(ああ、話がそれた。細心の注意を払って、知人に原因を求めるものの、全てが曖昧に誤魔化される)
絵里(それがかえって、この現象に至る重要な事実が存在していることを示していた)
絵里(他人の手を借りることはどうやらできないらしいことを悟った私は、新聞やインターネットなどに手を伸ばした)
絵里(結果は散々。本日穂乃果結婚しました。本日穂乃果は軽傷を負いました。本日穂乃果はオリコン1位を獲りました。などなど、参考にすらならなかった)
絵里(この結果は見えていた。だけど、それを行わざる得なかったのは、ある一つの推測があったからだ)
絵里(この現象が、穂乃果の喪失から、発生しているのではないか?)
絵里(そんな恐ろしい考えを私は抱いている)
絵里(ここまで至る過程は実は単純だった。μ'sは私を含めて8人しか居ないから)
絵里(馬鹿でも気付く物的証拠。否定したくても、必ずそこに辿り着く)
絵里(簡潔に言えば、穂乃果に何らかの事態が発生し、学校に来ることができていないでいる)
絵里(病気、けが? 嫌だが、本当に嫌なんだが、死去。それが頭をよぎる)
絵里(そして、私の記憶の欠落。もしかしたら、穂乃果がそうなった現場に私も居て、それに巻き込まれ、結果、この現象が起きている)
絵里(正直、その可能性が高いと私は渋々ながら認めていた)
絵里(……さあ、これからμ'sの練習が始まる。おそらく私のために曖昧に誤魔化されたμ'sの姿をまた今日も見なければならない)
絵里(どこにでもある穂乃果の笑顔だけが私の救いだった)
穂乃果「おっ、えりち。早いね?」
絵里「あら、希。逆にあなたは遅かったわね?」
絵里(希は分かりやすい。クラスは同じだし、口調が誰よりも特徴的だから)
穂乃果「あー、穂乃果ちゃんたちのフォローに行っていたんや」
絵里「穂乃果たち、ね……」
絵里(一つだけ幸いなことがあるとしたら、耳で聞いた肉声のみは穂乃果に置き換わらないこと。つまり、希は意図的に穂乃果という単語を使ったことになる)
穂乃果「ニッコニッコニー。ニコニーが来たわよ!」
絵里(同じく3年生のニコ。言動というより動作が奇抜なので、やはり区別がつけやすい)
穂乃果「あら? 絵里は辛気臭い顔をしているわね?」
絵里「正解を教えてくれたら、元気になるかもよ?」
穂乃果「また絵里の自虐的推測?」
絵里「かなり良いところをついていると思うわよ?」
穂乃果「ニコは知ーらない」
絵里(鎌をかけようとしているが、なかなか引っかかってくれない。ニコのわりにやるのよね)
穂乃果「えりち、そんなにニコっちに突っかからんと」
絵里「希も教えてくれたら早いのよ?」
穂乃果「えりちは考えすぎなん」
絵里(明らかに嘘だろうが、のれんに腕押しだろう)
穂乃果「今日もパンが美味い!」
絵里(来たわ。今日の穂乃果役の人が)
穂乃果「絵里ちゃん、元気ないね?」
絵里「本物の穂乃果だったら元気が出るかもしれないわね」
穂乃果「また絵里ちゃんの妄想? 穂乃果はここに居るよ?」
絵里(確かに口調だけなら穂乃果だ。それもメンバーが揃う頃には破綻する)
穂乃果「まったく、穂乃果にも困ったものです」ハァ
穂乃果「あうっ! 海未ちゃん……」
穂乃果「残務は片づけておきましたよ!」
穂乃果「うぅ……。ごめんなさい」
穂乃果「まぁまぁ、海未ちゃん。穂乃果ちゃんも頑張っているんだし、ね?」
穂乃果「まったく、ことりは甘すぎます!」
絵里(海未にことり。それじゃあ、この穂乃果を語る人は誰なのだろうか?)
絵里(それを推理することがμ's内での私の最優先事項)
絵里(おそらく1年生組の誰かなのだろう)
穂乃果「なんだが、絵里ちゃんの視線が痛いよー」
穂乃果「私はそろそろ慣れてきました」
穂乃果「こんにちは! 凛だよ!」
絵里(1年生組が到着したようだ。凛が自分を名乗るのは、以前からではあるが、この状況に至っては怪しさも感じる)
穂乃果「こ、こんにちは」
絵里(多分花陽だろう。と言うことは、今回の穂乃果役はまさかの真姫なの?)
絵里「真姫はどうしたの?」
穂乃果「真姫ちゃん? ちょっと遅れるって」
絵里「ねぇ、穂乃果」
穂乃果「なに? 絵里ちゃん?」
絵里「あなた真姫でしょう?」
穂乃果「流石に真姫ちゃんが穂乃果の真似をするのは無理があるよ」
穂乃果「ごめんなさい、遅れたわ」
穂乃果「あ、真姫ちゃんにゃ!」
絵里(いつの間にか一人減っていた。誰が居なくなっていたの?)
穂乃果「さあ、皆揃いましたので、練習を始めましょう」
絵里「ねぇ、海未。8人しか居ないのだけど?」
絵里(いつものことではある)
穂乃果「……どうしても気になるのでしたら、練習が終わった後に話を聞きましょう。まずは練習に集中してください」
絵里(しかしながら、いつものように誤魔化すわけでもなく、海未はそう返した)
絵里「……分かったわ」
絵里(そろそろ誰もが無理を感じていたのかもしれない。この状況になってようやくまともな話ができそうだった)
穂乃果「ふぅ。それでは今日の練習はこれで終わりです。皆さん、クールダウンは忘れないように」
穂乃果「はーい」
絵里「海未。約束は忘れていないでしょう?」
穂乃果「はぁ、絵里はそのままで良いのですがね」
絵里「私がスッキリしないの」
穂乃果「仕方がありません。帰り道、公園にでも寄りましょう」
絵里「分かったわ」
穂乃果「ことりも着いて行こうか?」
穂乃果「いえ、大丈夫です」
穂乃果「ニコは付き合うわよ」
穂乃果「……分かりました」
絵里(ニコ? この場合、希が来そうなものだけど)
穂乃果「ごめんな、えりち。ウチ、バイトあるんよ」
絵里「ああ、そうだったわね」
絵里(希は一人暮らしのため、バイトをしている日がある。この現象前にも、そう言う日はあったので納得はできる)
絵里(もっとも、本当は夕方以降のバイトは禁じられているが、希の場合は神社の手伝いと言う立場なので、ギリギリのところで黙認されているようだった)
穂乃果「……それで、絵里は何を知りたいのですか?」
絵里「穂乃果が居ない理由。それと気付いているでしょ? 私が皆を穂乃果としか認識できていないことを」
穂乃果「そうですね……。この辺は誤魔化せるとは思っていません」
穂乃果「ちょっと! 海未っ! そんなところまで話しちゃうの!?」
穂乃果「絵里はおそらく答えに近づいています。認められるようになってきた証拠でしょう。それならば、ある程度を話しておくことも重要だと思います」
絵里(認められるようになってきた、ね)
穂乃果「さて、絵里。まずはあなたの推測を聞かせていただけますか?」
絵里「そうね……。穂乃果が何らかの原因で学校に来ていない。こんなことを言うのは嫌だけど、最悪死去してしまっている可能性も考慮に入れているわ」
穂乃果「……っ!?」
絵里「おそらく、穂乃果がそうなってしまった場所に私は居て、そのトラウマから見るもの全てが穂乃果に代わってしまった」
絵里「そして、それを理解している周囲の人間が、私のその特殊な状況を利用して、穂乃果が不在であることを誤魔化している」
絵里「……どう? 大分良いところをついていると思うのだけど」
穂乃果「……驚きました。ほぼ正解です。そして、穂乃果が亡くなっている可能性もあなたは考えていたのですね」
絵里「どうしても思考の終着でそこに行きつくのよ」
穂乃果「そうですか……」
絵里(そう言って、海未は押し黙ってしまった。言うべきことを選んでいるのかもしれない)
穂乃果「μ'sは現在8名です。これは正直、誤魔化せない事実です」
絵里「練習でも8人しか居ないのだから、当たり前よ。と言うより、ずっと指摘していたのによく今までのらりくらりとかわし続けたわね?」
穂乃果「そういうことは得意ですから。……絵里は、私たちがあなたを騙していることをどう思いますか?」
絵里「……やさしい嘘、だと思うわ」
穂乃果「そうですね。そうかもしれません。……いいえ、私たちの勝手な欺瞞ですね」
穂乃果「ニコは正直ぶっちゃけるけど、8人でもラブライブを目指しているわよ!」
絵里「μ'sは9人だからこそμ'sのはずよね? もしかして、それが穂乃果の願い?」
穂乃果「……ニコの意地よ」
絵里(そう、あくまでそれはニコの意地として通すのね)
絵里「ねぇ、海未。回りくどいことは止めにしない? 穂乃果に何があって、私に何があったか、それを教えて」
穂乃果「やはり真相を求めますか。しかしながら、それは他人に教えてもらうのではなく、絵里本人が辿り着かなければならないことです」
絵里「散々考えたわ! それでも、どうしようもなかった! だからこそ、あなたに聞いているのよ!」
穂乃果「まだ時期ではないということなのでしょう」
絵里「縁起でもない話だけど、穂乃果が最悪の結末を迎えていても私は受け入れるわ」
穂乃果「そうですか。……それならそう遠くないうちにあなたは気付くのでしょう」
絵里「全ての真相に?」
穂乃果「はい」
絵里「……これ以上粘っても、あなた、話すつもりがないでしょう?」
穂乃果「……ええ、当然です」
絵里「ニコもそうなの?」
穂乃果「……ニコとしては絵里が根本的なものに気付くまで、話すつもりはないわ。そして、それは絵里の周りに居る人全員の意思よ」
絵里「つまり、聞いても無駄ってことなのね?」
穂乃果「そう、ね。もっとも、気付いてしまえば、説明なんて必要ないくらいに状況ははっきりするでしょうけど」
絵里(自宅に帰り。海未とニコとのやり取りを振り返る)
絵里(誤魔化しは相変わらずだが、妙にすんなりと穂乃果の状態を認めていたように思う。もちろん、明言にはしなかったが、十中八九死亡に近い状態なのだろう)
絵里(すんなりと言えば、私のこの現象。海未ははっきりとそれを利用していると認めていた)
絵里(どうにも、手のひらの上で転がされている気がする)
絵里(考え過ぎなのだろうか? いや、可能性は考慮すべきだ)
絵里(もしかしたら、私は最初の推測から間違っていたのかもしれない)
絵里(穂乃果は、実は普通に学校に来ていて、本当に居ないのはその他のメンバー。現象の理由には乏しくなるが、ありえないと言うことはないだろう)
絵里(──待って! そもそも、私は本当に綾瀬絵里なの? 鏡に映る姿が唯一穂乃果以外の人間である自分。……まさか、本当は別人の可能性がある!?)
絵里(それがもし本当だったら、私は──)
コンコン
穂乃果「お姉ちゃん、ただいま!」
絵里「お帰り、亜里沙。最近、帰りが遅いわね?」
絵里(自然に言葉を返せただろうか? 動揺が伝わっていなければ良いのだが)
穂乃果「学校祭の準備があるから、仕方がないよ」
絵里「そう、そうだったわね」
絵里(欠落する記憶の前に、亜里沙は確かに学校祭の準備がしばらくしたら始まると言っていた)
絵里(これは確かに綾瀬絵里の記憶。……だけど、一度抱いた疑問は私を不安にさせる。不用意な言葉を発してしまうほどに)
絵里「ねぇ、亜里沙? 私は本当に綾瀬絵里なの?」
穂乃果「なぞなぞ?」
絵里「いえ、本気の質問よ」
絵里(一度言葉にしてしまった以上、後々になって亜里沙がその言葉に疑問を抱くかもしれない。それならばいっそ聞いてみよう)
穂乃果「お姉ちゃんだよ。間違いないって亜里沙が保障するよ!」
絵里(私のよく知っている亜里沙の口調は、確かに私を想っていた)
絵里「そう、それなら良いの」
穂乃果「お姉ちゃん、あんまり神経質になっちゃうとダメだよ?」
絵里「ええ、分かっているわ」
絵里(肉親はこの現象のことをもちろん知っている)
穂乃果「あ、そうだ。もう少ししたらご飯だって言っていたよ」
絵里「そう、少ししたら行くわね」
穂乃果「うん」
絵里(……それじゃあ、何が間違っていると言うの……?」
*ある日の会話
真姫「……絵里ちゃんは現実に気付く段階まで来ているようね」
海未「はい。あの様子ですと、穂乃果の死も受け入れているようです」
真姫「他人が穂乃果に見えている時点で、まだ準備ができていない気もするわ」
海未「そうなのかもしれません。ですが、明日にでも絵里の見ている光景が変わりでもしたら、絵里は耐えられるのでしょうか?」
真姫「治る兆候は表れているのだから、避けては通れないでしょうね」
海未「絵里はリハビリをして身体の調子を戻しました」
真姫「その直後ね、植物状態だった穂乃果ちゃんが帰らぬ人になったのは」
海未「それを知り、絵里の見る光景は変わってしまいました」
真姫「そして、私たちは大ウソつきになったわけね」
海未「……一連托生ですよ」
真姫「現実はいつも非情ね」
海未「そういうものです。私だって、今も穂乃果のことは冗談にしか思えません」
真姫「でも、絵里ちゃんはその瞬間を見てしまったから、有無を言わせないで現実として受け入れるしかなかった」
海未「……ラブライブ優勝したいですね」
真姫「突然ね? でも、それは穂乃果ちゃんに自慢ができるから是非とも叶えたいわね」
海未「はい。いずれ私もあっちに行ったら、自慢できるように今を頑張るつもりです」
真姫「……縁起でもない。でも、まずはラブライブ地区大会を勝ち抜かないといけないわね」
海未「大丈夫です。私たちには穂乃果がついているのですから」
真姫「案外、迷惑だって思っているのかもね」
海未「それでも良いです。私は穂乃果と一緒に立つべき場所に行くつもりですから」
真姫「……相変わらず、カッコいい人ね、あなた」
絵里(最近、徐々に穂乃果の姿が見えなくなってきている。私自身が穂乃果の死を受け入れた影響だろうか?)
絵里(そして、今日、部室に入った瞬間に視界がクリアになった感触を覚えた)
絵里(きっと答えが出る。そう思った)
絵里(そんなことを知らないであろう他のμ'sメンバーが部室に入ってきた)
ことり「あー、またえりちが一番乗りか! ウチもまだまだやね」
絵里「……え?」
ことり「どしたん? えりち」
絵里(希がことり!?)
海未「ニッコニッコニー。あなたのハートにラブニコよ!」
絵里(海未がニコ!?)
絵里(……私はとんでもない勘違いをしていたのね……」
絵里(血の気がひく。もし、今私の考えていることが正しいのだとすれば──)
真姫「まったく、穂乃果には困ったものです」
花陽「まぁまぁ、海未ちゃん。穂乃果ちゃんも悪気があったわけじゃないんだし」
真姫「ことりは穂乃果に甘すぎます!」
絵里(ああ、やっぱり……)
凛「ふぅ、海未ちゃんからやっと逃げられたよ」
真姫「穂乃果!」
凛「わあっ!? 海未ちゃん!?」
雪穂「まったく、どうせ怒られるんだから逃げなければ良いのに」
亜里沙「あはは、真姫ちゃんも厳しいね」
絵里(──そう言うことなのね)
絵里「……ねぇ、今日、凛は休みかしら?」
凛「凛はここに居るよ?」
絵里(……普段であれば穂乃果役の凛が本物の凛に代わったことすら気付きもしなかったのだろう……でも、今日ははっきりとそれが見えた)
絵里「ねぇ、海未。前に穂乃果の件をあなたは認めていたはずよね? どうして未だに穂乃果を演じている人が居るの?」
真姫「……全てが破綻するからです。絵里が認めようと認めまいと穂乃果の役割は必要なのです」
絵里「そう……。でも、もういいわよ」
真姫「もういい、とは?」
絵里「私がわずかな記憶の欠落と思っていたものは、わずかどころではなく、1年と言う長い時間だったのね……」
真姫「あなた記憶が!?」
絵里「いいえ、記憶は戻っていないわ。ただ、穂乃果以外が見えるようになっただけ」
海未「……なるほど、気付いてしまいましたか」
絵里「ええ、海未。あなたたちの嘘はとっても優しいのね」
海未「騙していた事実は卑劣にしか過ぎません。優しいなどとは言わないでください」
絵里「いえ、あなたたちにこれほど負担をかけていたなんて、私の方が卑劣よ! 無知は罪ね……」
絵里「でも、ありがとう。皆が居たから私は苦も無く、ここに居られた」
絵里「それが、どうしようもなくありがたいの……」
海未「絵里……」
絵里「ねぇ、聞かせて? 私と穂乃果に何があったの?」
真姫「……本当に話してしまっても良いの?」
絵里「ええ、覚悟はできているわ」
ことり「……たぶん、絵里ちゃんはもう正解が分かっているんだよね?」
絵里「……そうね。希役だった、あなたには隠し事ができないわね」
亜里沙「お姉ちゃん……」
雪穂「……それでは、お姉ちゃんのことは私が話します」
絵里「ごめんなさい。雪穂ちゃんにそんな役目を任せてしまって」
雪穂「いいえ、お姉ちゃんの妹の私だから、話さなければならないんです」
絵里「……そう、なのね。……教えて、穂乃果がどうなって、私がこうなった理由を」
雪穂「はい。それは──」
絵里(皆の作った優しい嘘がはがされていく。だからきっと、私は新しい一歩を歩めるようになるのだろう)
終
台詞前が穂乃果A穂乃果Bでないのは、少し位置を入れ替わるだけで絵里が特定の誰かを認識できなくなるためです
おばあちゃん絵里とのこの温度差。でも、ストックの中では一番重くない話でした
どちらかと言えばネームに近い話なので、必要最低限の描写しかしていません。最後が曖昧なのもその影響ですね
他のスットクは雰囲気が違い過ぎるので、機会があれば別スレで
>>28
スットク→ストック
乙よかった
スレタイがおばかちゃんな絵里ちゃんに見えたのは俺だけかな?
ん?結局なにがあったんだ?
不思議系の話でオチをぼかすの、下手な奴に限ってやりたがるよな
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