穂乃果「悲しみに二つの祝福を」 (319)

ラブライブ!板で上手くスレ立てできなかったのでこちらに立ててみます

・結構長めです
・規制等がなければとりあえず第三部まで
・呼称はアニメ版準拠

よければお付き合いください


あらすじ:μ'sにびっくりする事がおきる。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418874101

穂乃果「あ、メールだ」

穂乃果「未来です? 迷惑メールかな? わっ、開いちゃった」


From:mirai2kotomin@dokodemo.ne.jp

Subject:未来です

『本日の講義ではありがとうございました。

 こちらが私のアドレスになります。これからもよろしくお願いします。

 追伸:明日は午後から雨が降りますので、折り畳み傘をお持ちください。』


穂乃果「誰だろ? 講義って大学生とかだよね」ウーン

穂乃果「きっと間違いメールだね。教えてあげなきゃ」ポチポチ


To:mirai2kotomin@dokodemo.ne.jp

Subject:Re:未来です

『メールのアドレス先間違っているよ。

 これは穂乃果の携帯電話だから、もう一度確かめて送った方が良いよ。』ソウシン

ほのケータイ『新着メールだよ♪』チーズケーキモリノナカ~

穂乃果「わっ、早い」


From:mirai2kotomin@dokodemo.ne.jp

Subject:お恥ずかしい限りです

『穂乃果さん、わざわざありがとうございました。

 アルファベットを一文字間違っていたようです。

 お礼と言うには細やかですが、明日の天気をお伝えします。

 午後から雨が降りますので、明日は折り畳み傘をお持ちください』

穂乃果「? 明日は晴れだって天気予報でやってたよね、確か。 うーん……」

穂乃果(信じる者は救われるってよく言うから、とりあえず鞄に傘を入れておこう)

穂乃果「返信はした方が良いのかな? こういう時悩んじゃうよね」

穂乃果「……気を遣わせちゃうだろうから、返信はやめとこう」

オネエチャンオフロアイタヨ~

穂乃果「うん、今入る~」


──お風呂シーンは省略されました。続きを読むには穂乃果ちゃん可愛いと──

穂乃果ちゃん可愛い!

よくじつ!

穂乃果「ことりちゃん、おっはよう!」

ことり「おはよう、穂乃果ちゃん。今日も元気だね♪」

穂乃果「穂乃果が元気だとパンが美味しい! ってよく言うよね」

ことり「うん!」ツッコミヤクガイナイ…

ことり「ねぇねぇ、穂乃果ちゃん。わたしね、また新しい催眠術を覚えたんだ♪」

穂乃果「昔から好きだね、ことりちゃんも」

穂乃果(ことりちゃんは中学校の時に催眠術にはまっちゃったんだ)

穂乃果(きっと、ちゅうにびょうってやつだね!)

ことり「それでね──」

穂乃果「分かっているよ。また穂乃果を実験台にするんだね」

ことり「うん♪」

穂乃果(ことりちゃんの催眠術は本物なんだ。いつも実験台にされるから分かるよ)

穂乃果「でもね、今度こそ私は催眠術なんかに負けないんだ!」

ことり「えい♪」チュンチュチュチュン

穂乃果「」スヤー

ことり「ふふっ」

穂乃果「──はっ!?」

ことり「おはよう、穂乃果ちゃん」

穂乃果「ここは教室! また私は催眠術に負けちゃったの?」

ことり「いつから催眠術に勝てると錯覚していた?」

穂乃果「……なん……だと……」

海未「何をやっているんですか、二人とも」

穂乃果「あ、海未ちゃん。おはよう」

ことり「海未ちゃん、おはよう」

海未「おはようございます」

ことり「今日も弓道部の朝練だったの?」

海未「はい。日々鍛錬です」

穂乃果「えー、たまには休もうよ」

海未「穂乃果。そんなだらけたことを言っていると、大人になってから困りますよ」

穂乃果「そんな~。高校に入ってからほとんど海未ちゃんと一緒に登校してないよ~」

穂乃果「海未ちゃん、穂乃果は寂しいよぅ」ウルウル

海未「くっ。そんな表情は反則です!」

ことり「ほのうみいただきました」

海未「?」

穂乃果(たまにことりちゃん変なこと言うよね)

海未「ところで穂乃果。宿題はきちんとやってきましたか?」

穂乃果「え? ……あったっけ?」

海未「はぁ」

穂乃果「うわーん、助けてことりちゃん」

ことり「もう、仕方がないなぁ」

海未「ことり! 穂乃果を甘やかしてはダメです!」

穂乃果「海未ちゃんの鬼! 大和撫子!」

ことり「あはは。穂乃果ちゃん、後半褒めちゃってるよ」

キーンコーンカーンコーン

穂乃果「あー! 授業始まっちゃうよ~」

海未「諦めて先生に怒られてください」

穂乃果「これも園田海未って奴の仕業なんだ……」ガックリ

穂乃果(窓から覗く青空がやけに目に染みたと穂乃果は思った)

昼休み!

穂乃果「あーあ、海未ちゃんのせいで先生に怒られちゃったよ」パンモグモグ

海未「変な責任転嫁は止めてください!」

ことり「まぁまぁ。あれ? 空曇ってきたね」

海未「今日は降水確率ゼロパーセントだと思いましたが」

ザー

ことり「わぁ、土砂降りだね」

穂乃果「──はっ!?」

穂乃果(その時、穂乃果に電流が奔る!)

海未「その様子だと穂乃果は折り畳み傘を持ってきていないですね」

ことり「わたしも忘れちゃったよ」

海未「仕方がないですね。私の折り畳み傘は少し大きめですから、一緒に帰りましょう」

海未「あ、でも流石に三人は無理ですね」ウーム

穂乃果「ふっふっふ。今日の穂乃果はいつもと違うよ!」

穂乃果「じゃーん」

海未「穂乃果が、自分の鞄から、傘を、出した……」

ことり「わっ、穂乃果ちゃん凄い」

海未「いつもの穂乃果なら絶対に持ってきていないはずなのに……」

穂乃果「私はいつも進化し続けるんだよ」

海未「なるほど! この雨は穂乃果の仕業ですね」

穂乃果「雨やめー!」

ことり「しかし、穂乃果ちゃんのマジックパワーが足りない」

穂乃果「現実は非情である」

モブ「いつも楽しそうだよね、あの三人」

ほのルーム


To:未来さん

Subject:すごいよ!! 未来さん

『穂乃果です。どうして今日の天気が分かったの?

 天気予報は晴れだって言ってたよ。予知能力かな?

 おかげで海未ちゃんに自慢できたよ!』ソウシン


穂乃果「わっ、相変わらず早い!」イマメザメタハナタチヨ~

From:未来さん

Subject:Re:すごいよ!! 未来さん

『未来です。穂乃果さんのお役に立てたようで光栄です。

 実は、天気を当てることができたことには秘密があります。

 でもそれを教えるためには一つだけ条件があります。

 穂乃果さん、私と友達になって下さい。

 メールフレンドとでも言うのでしょうか。そういう関係も面白くありませんか?』

To:未来さん

Subject:良いよ!

『穂乃果です。私も面白いと思います。友達になってください!

 あ、私は高坂穂乃果です。東京の音ノ木坂学院の2年生です。』ソウシン


穂乃果「そう言えば、どうして東京の天気だって分かったんだろう」

穂乃果(天気を当てただけでも凄いのに、もしかしてそういうことも分かるのかな?)

ほのケータイ『めっ、メールなんだからね』カミノケクルクル~

From:未来さん

Subject:Re:良いよ!

『未来です。とても嬉しく思います。

 私は琴見未来と申します。同じく東京の大学の2年生です。

 早速ですが私の秘密をお教えしましょう。

 私は、実は予知能力者なのです。ですから、穂乃果さんのことも知っていました。

 ごめんなさい、プライバシーの侵害ですよね。

 こんな私でも良ければ友達でいてください。』

穂乃果「すごい!」

穂乃果「すごい!」

穂乃果(大事なことなので二回言いました)ポチポチ


To:未来さん

Subject:ズッ友だよ

『どうして謝るの? すごいよ! ゴイスだよ!?

 同じ東京に住んでいるなんて偶然だね。もしかしてどこかで会っているかも?

 これからよろしくお願いします。』ソウシン

ほのケータイ『メールだにゃ』リリホワハショウワ!

From:未来さん

Subject:Re:ズッ友だよ

『こちらこそよろしくお願いいたします。

 記念に未来天気予報をお送りいたします。

 明日の天気は天気予報通り一日中の雨です。』

穂乃果(私と未来さんのメールのやり取りはそれから毎日続いた)

穂乃果(未来天気予報という的中率百パーセントの未来予知と一緒に)

穂乃果(だから、私が未来さんの予知能力を疑うことは一度もなく、私がμ'sという
アイドルグループに所属していることも、もちろん未来さんは知っていた)

穂乃果(学校にアイドル活動に、未来さんとのメールのやり取りに私は夢中だった)

穂乃果(充実した毎日、私は幸せだったのだと思う)






穂乃果(だけど、そんな幸せは──ある日突然崩れ去るのだ)

From:未来さん

Subject:無題






『明日、東條希さんが自殺します』






穂乃果「え……?」


──悲しみに二つの祝福を 第一部 終──

『驚かれたことかと思います。

 しかし、本当のことです。』


穂乃果「……」


『未来を変えることは非常に難しいでしょう。

 ですが、穂乃果さん。あなたが本当に望むのであれば、どんな手段を用いても

 良いのであれば未来を変えることは不可能ではありません。』


穂乃果「……私は、未来を変えたい。変えたいよっ!」

『きっと、穂乃果さんはそれを望むことでしょう。

 微力ながら、私も知恵をお貸しいたします。

 まずは──』

穂乃果(私は未来さんのメールを何度も何度も読み返した)

穂乃果(絶対に希ちゃんを死なせはしない! それを胸に抱きながら)

翌朝

穂乃果「結局眠ることはできなかったな……」

穂乃果(でも、少しも眠くない。緊張でそれどころじゃないからだろう)

穂乃果「希ちゃん、私は未来を変えるよ。絶対に」

昼休み

校内放送『綾瀬絵里さん、至急生徒会室に来てください』

希「穂乃果ちゃんの声やね」

絵里「なんの用かしらね?」

希「生徒会室に来てって言ってるのやから、十中八九生徒会の用事やね」

絵里「まぁ、そうよね。……はあ、仕方がないわね」

希「ウチも行く?」

絵里「希は先にお昼を食べてて。私は生徒会室で穂乃果と一緒にお昼になりそうだから」

希「うーん、了解」

にこ「あ、今日は希ちゃん。一人でお昼?」

希「せやで」

にこ「それなら、たまにはニコと一緒にお昼食べない?」

希「ええね」

絵里「それじゃ、私は行ってくるわね。ニコ、希のことお願いね」

にこ「このニコニーに任せなさい!」

希「なんだか、エリちうちの保護者みたいやね」

絵里「そうだけど?」

希「わーい、お母さん♪」

絵里「はいはい」

にこ「いいから、さっさと行きなさいよね」

絵里「はーい」




にこ(穂乃果ちゃん、約束は守るわよ)

にこ(でも、こんなメールを送ってきてどういうつもりなの?)




From:穂乃果ちゃん

Subject:大切なお願いです

『にこちゃん、一生のお願いです。

 今日の昼休みはずっと希ちゃんと一緒に居てください。

 お昼に絵里ちゃんを生徒会室に呼び出しますが、絶対に希ちゃんを

 生徒会室に行かせないでください。

 理由は後で説明します。とても大切なことなんです。お願いします。』

生徒会室

絵里「穂乃果、来たわよ。──あら? ことりと、真姫も?」

絵里(ことりは分かるけど、なんで真姫まで居るのかしら?)

真姫「で、穂乃果ちゃん。絵里ちゃんとことりちゃんまで呼んで何の用なのよ?」

ことり「……」

穂乃果(ことりちゃんにはもう説明済みだ。さあ、私。ここからが勝負だよ!)

穂乃果「これから私が言うことは、きっと信じてもらえないと思う」

穂乃果「でも、冗談でも嘘でもない本当の話なの」

絵里(穂乃果の表情、今まで見たこともないくらい真剣だわ)

真姫(……何だか嫌な予感がするわね。ことりちゃんはもう分かっているって顔ね)

ことり「……」

絵里「よく分からないけど、私なら大丈夫よ。だから、話してみて」

真姫「そうね。聞いてみないと冗談も本当もないわよ」

穂乃果「……ありがとう、二人とも」

穂乃果「結論から言うね。今日の一時三十分、希ちゃんが自[ピーーー]るの」

真姫「はぁ……? えっ! な、何言っているの、穂乃果ちゃん!」

絵里「……確かに冗談にしか聞こえないわね。でも、冗談だったら私、許せないわよ?」

絵里(でも、分かる。これはきっと冗談じゃない。……嘘だって言って欲しいけど……)

穂乃果「うん、分かってる」

ことり「ねぇ、穂乃果ちゃん。あのメールを二人に見せてあげて」

ことり「ううん、琴見さんとのメールを初めから見せてあげて」

ことり「それで二人とも納得できると思うから」

穂乃果(私は一番初めの未来さんとのメールを表示する)

穂乃果(未来さんのメールは保存BOXに保存しているから、これで続けて読めるはずだ)

穂乃果「……絵里ちゃん、真姫ちゃん。このメールから順に見ていって」

絵里(穂乃果が差し出した携帯電話。それを受け取る私の手は震えていた)

真姫(……雨が降る? 確かこの日は降水確率ゼロパーセントの予定だった日)

真姫(全く予報と反対だったから記憶に残っている。って、これって、本当に──)

絵里(未来予知。信じられないけど、記憶の限り天気を百発百中言い当てている)

絵里・真姫(そして、この最後のメール)

真姫「正直、納得したくないけど納得したわ」

絵里「……希、どうして……」

真姫「それで穂乃果ちゃん。私はどの役割を行えば良いの?」

穂乃果「真姫ちゃん……」

絵里「……そうね、切り替えないと、ね。言って穂乃果。私は何だってやるわよ!」

ことり「ことりは最初から同じ気持ちだよ♪」

穂乃果「絵里ちゃん、ことりちゃん……」

穂乃果(心強い。そして、私は泣きそうになる。でもその涙は最後にとっておこう)

穂乃果(私は説明する)

穂乃果(三人とも文句も言わずに了承してくれる)

穂乃果(これで下準備は整った!)

真姫「でも、穂乃果ちゃん。どうして、花陽ちゃんや凛ちゃん、ニコちゃん、
そして何よりも海未ちゃんはここに居ないの?」

穂乃果「……ニコちゃんにはもうお願いしてあるの。花陽ちゃんと凛ちゃんは
きっと皆みたいに耐え切れないから」

穂乃果「そして、海未ちゃんは──」

真姫「ごめんなさい。そうよね」

穂乃果「……うん」

三年生教室

希「あ、エリち。ようやく戻ってきたんやね」

絵里「……ええ」

希「どんな用だったん?」

絵里「穂乃果に引き継ぎ忘れた仕事が一つあったのよ。私はその後処理」

希「エリちにしては珍しいね」

絵里「私だってミスくらいするわよ」

希「あはは、せやね」

絵里(……普通に振る舞うのって、こんなに難しいことだったのね)

希「それよりもエリち。戻ってきて早々悪いんやけど」

希「ウチちょっと体調悪くって……」

希「ちょっと保健室で休んでくるんで、先生に言っておいて欲しい──」

絵里「大丈夫なの!!」

希「ちょ、ちょっとエリち。大袈裟やん。ウチあの日なんよ」

絵里「そ、そうなの」

希「それで悪いんやけど、先生に伝えておいて欲しいんやけど」

絵里「ええ、『分かったわ』」







希(さようなら、エリち)







1年生教室

凛「あ、真姫ちゃん。どこ行ってたの?」

真姫「……ちょっと具合が悪くて、保健室に居たのよ」

花陽「えっ!? 真姫ちゃん、大丈夫なの?」

真姫「そうね、まだ少し辛いからまた保健室に戻るわ」

真姫「花陽ちゃん、悪いけど先生に伝えておいてもらえる?」

花陽「うん、いいけど……」

凛「凛が付き添おうかにゃ?」

真姫「大丈夫よ。それじゃ、お願いね」

花陽(真姫ちゃん、本当に辛そうだったな……)

三年生教室

絵里(希が教室を出ていく。少しも違和感なんてなかった。そう本当にいつも通り)

絵里(ねぇ、希。私はあなたの本音をいつも知らなかったのね)

絵里(だから、あなたがいつも通りにしか見えない。……悲しいことね)

44 :名無しで叶える物語:2014/12/16(火) 21:10:03.45
絵里「ねえ、ニコ」

にこ「なに?」

絵里「私は希の付き添いで保健室に行ったと先生に伝えておいてもらえる?」

にこ「元生徒会長が授業をサボるの?」

絵里「ごめんなさい。一生のお願いよ」

にこ「はぁ。今日はずいぶんと一生のお願いをされる日ね」

にこ「いいわ。行ってきなさい。希ちゃんの分も伝えておいてあげる」

絵里「ありがとう、ニコ」

にこ「よく分からないけど頑張りなさい、絵里ちゃん」

>>47訂正

三年生教室

絵里(希が教室を出ていく。少しも違和感なんてなかった。そう本当にいつも通り)

絵里(ねぇ、希。私はあなたの本音をいつも知らなかったのね)

絵里(だから、あなたがいつも通りにしか見えない。……悲しいことね)

絵里「ねえ、ニコ」

にこ「なに?」

絵里「私は希の付き添いで保健室に行ったと先生に伝えておいてもらえる?」

にこ「元生徒会長が授業をサボるの?」

絵里「ごめんなさい。一生のお願いよ」

にこ「はぁ。今日はずいぶんと一生のお願いをされる日ね」

にこ「いいわ。行ってきなさい。希ちゃんの分も伝えておいてあげる」

絵里「ありがとう、ニコ」

にこ「よく分からないけど頑張りなさい、絵里ちゃん」

二年生教室

海未(穂乃果とことりが授業になっても戻ってきません)

海未(携帯に連絡をしてみても返答なし)

海未(二人とも生徒会室で居眠りでもしているのでしょうか)ウーム

???

穂乃果(ことりちゃん、真姫ちゃん、そっちは任せるよ)

穂乃果「それじゃ、絵里ちゃん。私、行ってくるね」

絵里「ええ。希のことお願いね」

穂乃果「うん。絶対に自殺なんてさせないから!」

絵里「もちろんよ」

穂乃果(そして、私は扉を開いた)


──悲しみに二つの祝福を 第二部 終──

なんでうみちゃんには内緒なの?

>>51
メインヒロインだから

学校屋上

穂乃果「あ、希ちゃんだぁ!」

希「あれ? 穂乃果ちゃん?」

穂乃果「奇遇だね」

穂乃果(いつも通りの私を演じながら、希ちゃんに近づいていく)

希「駄目やで穂乃果ちゃん。もうチャイム鳴っとるんよ?」

穂乃果「サボりました!」

希「漢らしい回答やけど、現生徒会長がサボりはいかんよ」

穂乃果「えー、そういう希ちゃんはどうなのさー?」

穂乃果「ぷんぷん」

希「あちゃー、痛いところつかれたわ」

希「……まぁ、ウチは空を眺めていたんねん」

穂乃果「久しぶりの快晴だもんね。分かる分かる」

希「ここのところお天道さんの機嫌が悪かったもんね」

希「まぁ、冗談はさておき、穂乃果ちゃんは教室に戻った方がええで」

穂乃果「希ちゃんは?」

希「うーん、この時期になると三年生の授業は大学受験対策でほぼ自習でな」

希「ウチ、正直あのピリピリした雰囲気苦手なんよ」

希「だから、たまには気分転換してもバチは当たらへんと思うん」

穂乃果(ああ、どうしてこんなに希ちゃんはいつも通りなんだろう)

穂乃果(まるで何でもないように。どこかに散歩にでも行くような気軽さで)

穂乃果(知っている。普段の希ちゃんは演技だから)

穂乃果(誰一人、本当の希ちゃんを見たことがなかったから)

穂乃果(あんなに冷たい目をした希ちゃんはもう見たくなかった)



穂乃果(──ねぇ、穂乃果? そんな希ちゃんをいつ見たの?)







穂乃果(見たことないよね? 知らないよね?)

穂乃果(あれ私……、わたし、ワタシ、ホノカってワたシ?)

ホノカ(オカシイな、オカシイナ、おかしいヨ、ねえ、おかシいよ)

穂乃果(──代わろうか?)

穂乃果(ううん、大丈夫。少し動揺しただけ)

穂乃果(それなら良いけど)

希「穂乃果ちゃん……?」




穂乃果「!?」

穂乃果(希ちゃんの声で我にかえる。私、今おかしかった?)

穂乃果(変な感じがした。でも、それは考えなくていいこと)

穂乃果(穂乃果が言っていたよ)

穂乃果(それなら安心だ)

穂乃果(よし! 私は私の役目を果たすんだ!)

穂乃果「えーいっ、わしわし」

希「ちょ、ちょっと穂乃果ちゃん!?」

穂乃果「わしわしやでー」ワシワシ

希「それウチのキャラやねん」

穂乃果「わしわしMAX!」

希「あはは、穂乃果ちゃんはおもしろいなー」

穂乃果「あはは」




穂乃果「ねぇ、希ちゃん」

希「ん?」






穂乃果「捕まえたよ」







希「うちの真似やなく、刑事さんごっこなん?」

穂乃果「そうかもね」ギュ

穂乃果(希ちゃんの真似のわしわしを止め、私は希ちゃんを抱きしめる)

希「穂乃果ちゃん……ウチ照れるよ」

穂乃果「……」







穂乃果「死なせないよ」







希「っ!?」

穂乃果(希ちゃんが初めて動揺を見せる。ただし、一瞬だけ)

希「穂乃果ちゃん、何言っとるん?」

穂乃果「自殺はさせない、って言ってるの」






希「……あーあ」







希「いつ気づいたん?」

穂乃果(その一言で、予知が外れるという微かな可能性はもうなくなった)

穂乃果「……気づいたことなんてなかったよ」

希「? まぁ、ウチも隠すことには自信があったんよ。だから、今ちょっと驚いてる」

穂乃果「そうだね完璧だったよ。ただね、私の友達に予知能力者がいた。それだけ」

穂乃果(未だに普段の希ちゃんにしか見えない。だからこそ異常だった)

希「あー、そりゃ敵わへんね」

希「なあ、穂乃果ちゃん。放してや」

穂乃果「駄目。放さない」

希「参ったなぁ。……予知能力者ときたか」

穂乃果「ねぇ、希ちゃん。一つだけ教えて」

希「冥土の土産やね。ええで」

穂乃果「なんで死のうとしているの?」

希「死にたいから」

穂乃果「……そういうことじゃなくて、本当の理由を教えて欲しいの」

希「うーん、本音なのだけれどね」

希「それじゃあ、高坂穂乃果。あなたは死にたくなったことはない?」

穂乃果(希ちゃんが無表情になった。言葉遣いも変わった)

穂乃果(きっと、これが希ちゃんの素の姿。……なんだか寂しいね)

穂乃果「死ぬほど恥ずかしい思いをしたことはあるよ」

希「その時は本気で死のうとした?」

穂乃果「そこまで考えもしなかったよ」

希「そんなものなのね」

穂乃果(希ちゃんは私の腕の中で何かを考えるそぶりをみせる)

穂乃果(もちろん、私は決して希ちゃんを放そうとはしない)

希「──私の死にたい理由、ね。たぶん理解できないと思うよ」

穂乃果「それでも聞きたい。聞かせて」

希「はぁ」

希「それじゃあ、のんたんの過去話をするでぇ」

穂乃果(無表情なのに口調だけ元の希ちゃんに戻る。怖い、そう思った)

穂乃果(でも、私はここから引く気は一切ない)

希「まぁ、結論から言っちゃうとね、ウチ、人の感情を理解できへんねん」

希「生まれ持った欠陥ってやつやね」

希「正直、それに初めて気づいた時、戸惑ったんやで」

希「幸い、それが異常だと気づくのは早かったんで何とかできたんやけど」

希「まず、ウチが行ったことは他人を観察すること」

希「そうやね、例えば親がテレビを見ていて笑っている」

希「それでウチはテレビを見ると人は笑うんだと知った」

希「でも、別の時親はテレビを真顔で見ている」

希「それが真剣な表情だというのを知ったのはまた別の話やけど」

希「そこでウチは知ったん。テレビを見るというシチュエーションは笑うだけではなく、
他の表情もあるんやと」

希「その違いを一つ一つ学んでいった」

希「小学校高学年の時やね、ようやくある程度他人を学べたのは」

希「それまでどうしていったって? にこにこやで。あっ、ニコっちとは違うで」

希「いや、ある意味同じなんかな。子供は大体にこにこ笑っていればどうとでもなる」

希「まぁ、クラスで飼っていた生き物が死んだ時は失敗したんやけど」

希「そうして、数えきれないほどの観察とそれなりの失敗を経て、ウチは今ここに居る」

穂乃果「で、でも、それなら普通に生活できているんだよね?」

穂乃果(正直、理解し辛かった。でも、穂乃果は理解しているようだった)

穂乃果「そこから、どうして自殺に繋がるの?」

希「なあ、穂乃果ちゃん。同じ人間の殻を被っていて中身がイルカでした」

希「さて、そのイルカはどう思うでしょうか?」

穂乃果「……分からないけど、嬉しいんじゃないかな」

希「ほぉ! それはどうして?」

穂乃果「だって、人間なら言葉も話せるし、その気になれば大体のことはできるよ」

希「なかなか興味深い感想やね。でも、ウチはこう思うんねん」







希「死のうかな、ってね」







穂乃果「どうして!?」

希「イルカはな、とってもお利口さんなん。一説には人間くらいの知能があるらしいで」

希「でもイルカはイルカ。故郷は水の中。でも自分の身体は人間」

希「中身はイルカなのに、周りに居るのは人間ばかり」

希「それって、ちょっとしたホラーやん?」

希「自分以外が異形で、自分も形だけは異形。決して中身は人間にはなれへんのに、な」

希「閑話休題。知っとる? 話題を変えますよって言葉やで」

希「真似っ子って極めると、本物に近づけるんやで。でも決して本物になることはない」

希「しかも、いつ嘘がばれるのか冷や冷やしっぱなしや」

希「もう一つと言うと、とっても疲れるんやで」

希「さあて、穂乃果ちゃん。ウチとしては大分頑張って説明したんやけど──」







希「──理解できた?」







穂乃果「……」

穂乃果(よく分からない。でも、私じゃ、説得は無理だというのは何となく理解できた)

穂乃果(だから、知らずに私は穂乃果に頼っていた)

穂乃果「……正直、聞き飽きたかな」

希「……この話をしたのは今が初めてのはずなんやけど」

穂乃果「希ちゃん。一言で言うとね、そんなことはどうでも良いんだよ」

希「はあ!? 理由を知りたいと言ったんは穂乃果ちゃんやん」

穂乃果「そうだね。希ちゃんの話は結構分かりやすかったよ」

穂乃果「でもね、結局のところ、はいそうですか、で終わるの私にとっては」

穂乃果「他人が分かりません。自分の感情は偽物です。疲れました。死にます」

穂乃果「そういうことだよね?」

希「簡潔やね。今度があればウチもそう説明しようかな」

穂乃果「そうだね。おすすめだよ」

穂乃果「さて、人間観察が得意な希ちゃん。簡単な問題を出すよ?」

希「……なあ、自分本当に穂乃果ちゃんなん?」

穂乃果「穂乃果だよ。ただ、ちょっとだけスパイスが入っているけど」

希「ウチ、穂乃果ちゃんのことを見誤っていたんかな」

穂乃果「そうでもないよ。今だけ特別だから」

希「特別なら仕方がないなぁ」

穂乃果「では、質問です。希ちゃんが一時三十分、あと少しだね、で自殺をしました」

穂乃果「その後には何が起こるでしょう?」

希「ウチがただの肉の塊に変わる。それだけやね」

穂乃果「ぶっぶー、不正解」

希「ウチが地獄に行く?」

穂乃果「それも外れ。全然分かってないんだね、希ちゃん」

希「だって、ウチ他人を理解できへんもん」

穂乃果「それじゃ、教えてあげるね」

穂乃果「穂乃果が泣くよ。しかも、二度と立ち直れなくなるくらいに」

希「……大袈裟やね。たったウチ一人が死んだところで……」

穂乃果「問題を変えよっか? 穂乃果が今自殺をしました。希ちゃん、どう思う?」

希「……とりあえずウチは泣いとけば良いんやないかな?」

穂乃果「経験上?」

希「そやね」

穂乃果「あとは何かある?」

希「穂乃果ちゃんの自殺はウチと同じく屋上からの飛び降り?」

穂乃果「そうだね」

希「それじゃあ、警察と救急がやってきて死体の処理、学校側の対応、たぶんマスコミも
来るやないかな。もちろん、お金もかかる」

穂乃果「そういうのは理解しているんだね」

希「そやね。でも、人が肉になったら、この場合穂乃果ちゃんはもう関係ないやん?」

穂乃果「巫女さんとは思えないセリフだよね」

希「自覚はあるで」

穂乃果「ねぇ、似非関西弁の希ちゃん」

希「なんかウチの悪口になっとらん?」

穂乃果「自覚はあるで」

希「……真似っ子やん」

穂乃果「最後にもう一つだけ質問するね」

希「確か一個だけって話だったような気がするんやけど」

穂乃果「ううん、結局、私が聞いている質問は全て同じことだから」

希「? どういう意味なん?」

穂乃果「すぐ分かるよ」

穂乃果「それと、この質問が終わったらあとは勝手にしてもらっても良いから」

希「ほんまに?」

穂乃果「ほんまに」

穂乃果「では質問です。希ちゃんが自殺した後、自殺してしまう絵里ちゃんですが」

穂乃果「希ちゃんはどう思いますか?」

希「……やめてや、そんな冗談」

穂乃果「ううん、冗談じゃないよ」

希「ありえへん、エリちが……エリちが死んでしまうん? いや、ありえない」

希「しかも、ウチの後をおってとかありえへんやん……」

希「そ、そんな非現実的な質問、意味がないし、ウチ考えられへん」

穂乃果「本当の本当に、他人が理解できないんだね、希ちゃん」

希「ありえへんったらありえへんのっ! エリちが自[ピーーー]るなんて……」







穂乃果「──だって、絵里ちゃん?」







絵里「……」

希「エリち!?」

穂乃果(屋上の扉が開き、絵里ちゃんが入ってくる。私たちの会話は携帯越しに
絵里ちゃんへと全て届いているはずだった)

希「え、エリち……な、なんでここに……?」

絵里「……私だけじゃないわよ」

希「え?」

絵里「下を見てごらんなさい」

穂乃果(私は手を引き、屋上の柵の前に希ちゃんを連れてくる)

穂乃果(自殺には柵を乗り越える必要があるから、私がついていれば万が一はない)

希「……ことり、……真姫ちゃんまで……」

穂乃果(二人には万が一のために地面にマットを用意してもらっていた)

穂乃果(ことりちゃんを通して理事長には暗黙の了解ももらっている)

絵里「ねぇ、希。もしあなたがここから飛び降りたら、今下に居るあの子たちに
あなたはぶつかるかもしれないわね」

穂乃果(万が一はないようにしている。だけど、その可能性はあるのだ)

穂乃果(ことりちゃんと真姫ちゃんは命を張っている)

穂乃果(μ'sの仲間だから、それだけの理由で二人はそこに居た)

希「こ、困る……。それは、あかんよ……」

絵里「どうして?」

希「そ、それは……」

絵里「死んだら肉になるだけだから、あなたにはもう関係ないことじゃない?」

希「勝手に、自分で、死ぬのは良い、良いはずや……そうでなければいけない……」

希「で、でも、誰かを、よ、よりによってμ'sの仲間を道連れにするのはあかん!」

絵里「どうして?」

希「え?」

絵里「どうしてμ'sの皆は駄目なの?」

希「そ、それは……」

穂乃果(希ちゃんは考える。きっと必至に考えている)

穂乃果(でもね、答えを私は知っている)

希「……な、仲間……とも、だち、だから……」

穂乃果(それこそが、希ちゃんがただの人間である証拠なのだから)

絵里「分かっているじゃない」

絵里「いい?希」

絵里「結局あなたが行おうとしていたことは、立場が逆なだけで同じことなのよ」

絵里「あなたが自殺をしてしまったら、私はとても悲しい」

絵里「あなたの後をすぐに追おうしてしまうくらいにね」

希「……」

穂乃果(希ちゃん、考えなさい。その人生の全てを懸けて)

穂乃果(そして、いつか答えをあなたは見つけるでしょう)

希「……エリち、ウチ──」

絵里「自殺は止める?」

希「……今は止める」

絵里「そう。でも、これが最後の機会よ?」

希「ど、どういう意味なん?」







絵里「だって、私が絶対にあなたを止めるもの」







希「……ウチには分からんよ」

絵里「そのうち分かるわよ」

絵里「あなたが他人を理解できないのなら、その手伝いを私がするわ」

絵里「ね、簡単でしょう?」

希「エリち……」

穂乃果(ねぇ、希ちゃん。今、あなたは泣きそうな顔をしているよ)

穂乃果(それは演技? 自然に出てきたものじゃないの?)

絵里「さあて」

希「?」

穂乃果(絵里ちゃんがズカズカと私たちとの距離をつめる)

バシッ

希「っ!?」

穂乃果(おお、見事なモミジが希ちゃんの左頬にできあがったね)

絵里「心配させた罰よ」

穂乃果(もう大丈夫だろう。あとは絵里ちゃんに任せよう)

穂乃果「絵里ちゃん、あとは任せるよ?」

絵里「ありがとう、穂乃果。このお礼は必ずするわ」

穂乃果「それなら、希ちゃんをお願い」

穂乃果(私は希ちゃんから手を放し、絵里ちゃんにバトンタッチする)

穂乃果「希ちゃん、私たち九人揃ってμ'sなんだよ。忘れないでね?」

希「……穂乃果ちゃん、ありがとう……」

穂乃果「その言葉も経験上?」

希「……分からんのよ」

穂乃果「それなら、良し! だよ。それじゃあね」

穂乃果(私が屋上から出ていく時に絵里ちゃんが希ちゃんを抱きしめている姿が
ちらりと視界のすみに映った)

穂乃果(携帯電話でことりちゃんに連絡をとる)

穂乃果(成功したよ、と)

穂乃果(そして、ありがとう、と)

穂乃果「ふぅ……」

穂乃果(疲れた。一気に眠気が出てきた気がするよ)

穂乃果(授業が終わるまでどこに居ようか考えながら、私はふらふら彷徨う)

穂乃果(きっと、少しだけ時間が経った。でも、授業が終わる前だ)

穂乃果(前から誰かが近づいていくる。足音が聞こえた)

穂乃果(先生に見つかったら言い訳がしづらい。少しだけ緊張する)

ことり「穂乃果ちゃん」

穂乃果(ことりちゃんの声を聞いて、最後の緊張の糸がぷつりと切れてしまった)

穂乃果(私は意識を飛ばす/そして、私が目を覚ます)

穂乃果?(いや、希ちゃんと話をしている時には半分目を覚ましていた)

ことり「穂乃果ちゃん、ううん──」







ことり「『穂乃果さん』お疲れ様です」

穂乃果「うん。ありがとう、『未来さん』」






──悲しみに二つの祝福を 第三部 終──

疲れたー。一旦終了です
一応全五部、+六話+エピローグの予定です

元ネタは検索すれば出てきます
未来さんの正体は勘が良い人は2レス目で気づいていたと思います

少しでも楽しんでいただけたのでしたら幸いです。ではでは~

穂乃果(何度繰り返したことだろう)

穂乃果(初めは信じなかった。二度目は何もかもが上手くいかなかった)

穂乃果(三度目は死なせてしまった。四度目は後輩二人が耐え切れなかった)

穂乃果(五度目は成功したように思えた。でも──幸せにはなれかっただろう)

穂乃果(そして、六度目。今度こそ成功させてみせる)

穂乃果(希ちゃんは救った。あとは海未ちゃんだけだ)

穂乃果(おやすみなさい、この時間の穂乃果。あとは私が上手くやる)

穂乃果(これが最後だ。もう時間を繰り返すことはない)

穂乃果(これで終わりにするのだから)

ことり「穂乃果さん、どうしたんですか?」

穂乃果「……少し昔のことを考えていた、かな」

ことり「……はい」

穂乃果(ことりちゃんは、唯一私が時間を繰り返していることを知っている人だった)

穂乃果(例外的に彼女のお母さんである理事長も知ってはいるが、手伝いは主に
ことりちゃんにお願いしている)

穂乃果(思い返せば三年前、この繰り返しの開始地点にして、二度目の悔恨が残る場所)

穂乃果(未来を変えようとすると必ず影響を受ける人が居る。それがことりちゃん)

穂乃果(なぜならば──)



穂乃果(この繰り返しの中で、二度、私はことりちゃんを死なせてしまっていたのだから)

三年前

穂乃果「ねぇ、ことりちゃん。私って予知能力者なんだよ」

ことり「あはは。そういう漫画、昔読んだよね」

穂乃果「ぶーぶー、本当なんだって」

ことり「うん、そういうことにしておいてあげる」

穂乃果「うーん、どうすれば信じてもらえるのかな?」

ことり「わたしは穂乃果ちゃんが本気だったら何でも信じるよ」

穂乃果(可愛く笑いながらことりちゃんはそう言った)

穂乃果「本当?」

ことり「うん、本当♪」

穂乃果「それじゃあ、今から本気で話すよ?」

ことり「いいよ♪ ──えっ!?」

穂乃果(私は私の演技を止める。流石ことりちゃん、一瞬で分かったようだ)

穂乃果「私は高坂穂乃果。ただし、三年後から来た別の穂乃果です」

穂乃果(三度目からは、ことりちゃんに私の自己紹介を必ず行うようにしていた)

穂乃果(それが味方を得る行為であり、彼女を死なせないための唯一だったから)

ことり「……本当、なの?」

穂乃果「うん。信じられないのは分かるよ。私だって未だに夢か何かだと思うこともあるし」

穂乃果(ことりちゃんが信じたいけど信じられないそんな表情をしている)

穂乃果「ことりちゃん、今私たち、学校から下校しているところだよね」

ことり「う、うん……?」

穂乃果(当たり前のことを言っているのだから当然の反応だろう)

穂乃果「ことりちゃんが家に帰るとすぐにおばさんから電話がかかってくるの」

穂乃果「忘れ物をしたから音ノ木坂学院に持って来てって」

ことり「え、そうなんだ」

穂乃果「重要なのはその後。ことりちゃんは音ノ木坂学院に向かう途中、
居眠り運転の車にひかれてしまう」

ことり「えっ!?」

穂乃果「安心して。ことりちゃんが時間をずらせばただの自損事故で終わるから」

穂乃果(自損事故、自分で言っていながら苦笑してしまう)

穂乃果(三年後の私はそんなを言葉を知らないし使わない)

穂乃果(今私の精神年齢は何歳なのだろうか?)

穂乃果(どうでもいいことか。まずはことりちゃんに信じさせることから始めよう)

穂乃果「と言うわけで、ことりちゃんのお家に少し寄るね」

ことり「うん、いいけど……」

穂乃果(半信半疑の表情、六度目ともなると見慣れてくる)

穂乃果(そして、数分も経たずにことりちゃんのお家に到着する)

ことり「ただいま~」

穂乃果「お邪魔します」

穂乃果(二人とも家に誰も居ないことは知っているが、習慣だった)

プルルルル

ことり「わっ!?」

穂乃果「ことりちゃん、電話だよ。出てみて」

ことり「う、うん。──はい、南です」

ことり「お、お母さん!? え? な、なんでもないよ。う、うん、分かった」

ことり「も、持っていくね。緊急なの? う、うん、なるべく早くだね。分かった、うん」

穂乃果「……どうだった?」

ことり「す、すごいよ! 穂乃果ちゃん! 本当にお母さんから電話がかかってきた!」

ことり「あ、でも、わたし、これから……」

穂乃果(事故に遭う、そう思い出して一瞬で興奮が冷めやんだようだった)

穂乃果「大丈夫。そのために私がここに居るんだよ?」

ことり「そ、そうだよね! 穂乃果ちゃんが居るもんね」

穂乃果「五分待ってから家を出よう。そのくらいなら大丈夫だよね?」

ことり「うん。なるべく急いでとは言われたけど、それくらいなら」

穂乃果(この事故は音ノ木坂学院の近くで起きる)

穂乃果(衝突音を聞いたことりちゃんのお母さんは、直後現場に駆け付けることになっている)

穂乃果(愛娘が事故に巻き込まれたのかもしれないのだ。当然だ)

穂乃果(そして、本来ことりちゃんはその事故で即死する。その場面を私は二度目で見た)

穂乃果(大丈夫、私は学んでいる。これでことりちゃんは無事で済むはずだ)

穂乃果「そろそろ行こっか、ことりちゃん」

ことり「うん♪」

穂乃果(二人で手をつなぎながら音ノ木坂学院へと向かった)

声「ことりっ! ことりーっ!!」

穂乃果(事故はすでに起きていた。野次馬の中、必至に声を張り上げるおばさんの声)

穂乃果(幸いことりちゃんさえ巻き込まれなければ運転手が軽傷を負うだけだ)

穂乃果(もし、この事故自体を防ごうとすれば、別の場所でことりちゃんが死亡する)

穂乃果(こういうのをバタフライエフェクトと言うそうだ)

穂乃果(極力本来起きることへの介入はしない。バタフライエフェクトを防ぐにはそうするしかない)

穂乃果(そして、これがギリギリのラインなのだ)

理事長「いやーっ、ことりぃ!!」

穂乃果(……まずはことりちゃんのお母さんを安心させてあげよう)

ことり「お母さん……?」

理事長「こ、とり……本当に、ことり、なの?」

ことり「うん、ことりだよ。──わあっ!?」

穂乃果(ギュッとことりちゃんをおばさんが抱きしめる)

穂乃果(良かった。今回も助けることができた。心底安堵する。二度目がトラウマなのだ)

穂乃果(よし、切り替えよう。次に行うことは──)

穂乃果(この事故を通してことりちゃんは私のことを完全に信用してくれるようになった)

穂乃果(ことりちゃんのお母さんも最悪の事態を回避したからか、信用してくれているようである)

穂乃果(後に理事長という立場からの信用が希ちゃんを救う一因となるのだ)

穂乃果(その後、私はことりちゃんに全てを明かした)

穂乃果(自分が未来から意識だけでやってきたこと。それが六度目の繰り返しであること)

穂乃果(そして、将来、希ちゃんというまだ見ぬ友人と親友の海未ちゃんを救うために
ことりちゃんの力が必要であるということ)

穂乃果(ことりちゃんの協力はとても重要だった)

穂乃果(何しろ、普段の私は協力者が居なければ、今の時間の高坂穂乃果にしか過ぎないのだから)

自室

穂乃果(私が私と成りえるのは今の時間の穂乃果が意識を手放す時、つまり眠っている時にしか
動くことができない)

穂乃果(正確に言うのであれば、思考は常時別途で働いているし、意識を無理に表へ出すことが
できないわけではないのだが、何かしらのトリガーが必要となる)

穂乃果(具体的には眠気、失神、私自身の強い意志が思わず溢れてしまった時など)

穂乃果「そして、ことりちゃんにはもう一つのトリガーを作って欲しいの」

穂乃果(すでに過去の繰り返しの中で実証済みの方法なので、私には自信があった)

ことり「はい。穂乃果さんが言うんだったら、この南ことり、何でもします!」

穂乃果(ちなみに普段の穂乃果を穂乃果ちゃん、今の私を穂乃果さんとことりちゃんは呼ぶ)

穂乃果(明確な識別があることは便利ではあるが──)

穂乃果「やっぱり、ことりちゃんに丁寧語を使われると違和感があるなあ」

ことり「当然です! わたし、穂乃果さんのことを尊敬しているんですから」

穂乃果(たまに、まだ見ぬ花陽ちゃんと被るんだよね、その口調)

ことり「催眠術ですか?」

穂乃果「うん。あの五円玉を紐でプラプラ揺らす感じのあれね」

ことり「分かりました! 催眠術の本を今すぐ買ってきます!」

穂乃果「待って待って、ことりちゃん!」

穂乃果(脱兎のごとくとは今のことだろう。意味合いが違う気もするがとりあえず彼女を止める)

穂乃果「なんと言うかね、まぁ、自分で言うのもなんだけど穂乃果は単純だから……」

穂乃果(そうなのである。我ながら情けないが五円玉プラプラで穂乃果は眠ってしまうのだ)

ことり「そんな、わたしは尊敬してます!」

穂乃果「ええとね、穂乃果ちゃんの方ね、一応」

ことり「なるほど、分かります!」

穂乃果(理解されちゃったよ)トホホ

穂乃果「そんなわけで、最初は五円玉で大丈夫だから。あとは催眠術だって言って適当にやるだけで、
穂乃果ちゃんは眠ってしまうわ」

穂乃果(私のキャラも繰り返す度にブレブレだよね。もう口調が真姫ちゃんだよ!)

ことり「はい!」

穂乃果(あの事故の日から、ことりちゃんは私に憧れの瞳を向けてくる)

穂乃果「……」

穂乃果(前回の繰り返しの時、私はことりちゃんの本当の気持ちを知った)

穂乃果(そして、私の返答は──)

穂乃果(止そう。今は今、過去は過去だ。これは今に持ち込んじゃいけないものだ)

穂乃果「もし今の私と連絡を取りたい時には、その催眠術を使って」

穂乃果「短い時間だけど、私が出てこれるから」

ことり「分かりました♪」ニコニコ

穂乃果(にっこにっこにーって言いそうだな、このことりちゃん……)

穂乃果(そして、時間は流れ、私にとっては六度目の高校二年生)

穂乃果(特に大きなバタフライエフェクトは発生していない。順調と言えた)

穂乃果(ただ、あと一手が欲しい。今回もあれが良いだろう)

穂乃果(μ'sの活動で疲れたのか、穂乃果ちゃんは九時前だというのにもう眠ってしまっている)

穂乃果「おかげで私が動けるのだから、感謝なんだけどね」

穂乃果(疲れた身体に鞭を打っているようで気が病むが、過去の自分だからまぁいいだろう)

穂乃果(この適当さが私も穂乃果だということを実感させてくれる)

穂乃果(精神年齢三十五歳、そろそろいい歳だね、私も)

穂乃果「さあて、ことりちゃんに電話をしようか」

穂乃果(希ちゃんを救う計画は最終段階に突入していた)

穂乃果『あ、ことりちゃん。穂乃果さんの方だけど』

ことり『は、はいっ! ほ、本日もお日柄もよく──』

穂乃果『深呼吸』

ことり『ひっひふぅー、ひっひふぅー』

穂乃果『ラマーズ法だっけ? ……まぁ、落ち着いたのならそれでいいのだけど』

ことり『はい、大丈夫です!』

穂乃果『ことりちゃん、以前パソコンに送っておいたメールは覚えている?』

ことり『もちろんです』

穂乃果『明日から順に穂乃果の携帯にメールをお願いね』

ことり『はい。……もう、そんな時期なんですね』

穂乃果『希ちゃんが完璧過ぎて実感が湧かない?』

ことり『そう、ですね。あと、海未ちゃんも……』

穂乃果『希ちゃんはそもそもが演技だから仕方がないわ』

穂乃果『海未ちゃんはもう中学校の時からおかしかったし、ね」

ことり『穂乃果さんは分かるんですね』

穂乃果『長い付き合いだしね』

穂乃果(そう長い、本当に長い付き合いだ)

穂乃果『それで、差出人の名前はどうするか決めた?』

ことり『琴見未来にしました』

穂乃果(やっぱり、その名前だよね)

穂乃果『どうして、その名前にしたの?』

ことり『……穂乃果さん、分かってて言ってますよね?』

穂乃果『本人から直接聞きたくて』

ことり『もぅ、いじわるなんですから』

穂乃果『年上だしね』

ことり『先輩、後輩禁止ですよ』

穂乃果『流石アイドル』

ことり『穂乃果さんもです!』

穂乃果『で、由来は?』

ことり『……南ことりのアナグラムです』

穂乃果『エヌが余るね』

ことり『ですから、アドレスをmirai2kotominにしています』

穂乃果『南ことり2ね。上手いと思うわよ』

ことり『ほんとですかぁ!?』

穂乃果『うん。これからもよろしくね、ことみん♪』

ことり『もう、穂乃果さんのいじわるぅ』

穂乃果(そして、穂乃果ちゃんと未来さんのメールでのやり取りが始まった)

穂乃果(そうして、今、希ちゃんの自殺は食い止めることができた)

穂乃果(本来であれば三日後、厳重に施錠されていた屋上から希ちゃんに続き飛び降りる生徒が出る)






穂乃果(それが園田海未、同じ生徒会役員でμ'sの仲間、そして──かけがえのない私の親友)



穂乃果(自殺の理由ははっきりしている。しかし、六度の繰り返しの中で一度も救うことができずにいる)

穂乃果(いや、前回は成功したのかもしれない。私が死んでしまっていたから分からないだけで)

穂乃果(ねぇ、海未ちゃん。あなたが自殺しないように何度も繰り返してきたよ)

穂乃果(今回だって、あなたのその苦悩を取り除こうと必死に動いたよ)

穂乃果(でも、海未ちゃん。あなたは誰にも明かさなかったね……)

穂乃果(私は今も昔も、そしてこれからもあなたの親友だって思っているよ)

穂乃果(海未ちゃん、あなたはどう思っているの?)

穂乃果(六度の繰り返しの中で希ちゃんを助けることができたのは二度)

穂乃果(その二度のうち、一度が希ちゃんと同じ日に海未ちゃんが自殺している)

穂乃果(もう一方は私が殺された)

穂乃果(ねぇ、海未ちゃん。たぶん、あなたは今日、自[ピーーー]るんだよね?)

穂乃果(確率は低いかもしれない。だけど、一度はありえた)

穂乃果(おそらく、これが希ちゃんを救うことで起きたバタフライエフェクト)

穂乃果(今回は救うよ、必ず)






穂乃果「海未ちゃん、待ってて。今、穂乃果が行くよ」


──悲しみに二つの祝福を 第四部 終──

疲れたー(本日二回目)

第四部は伏線回収の話でした
次がラスト第五部となります

まぁ+六話+αがあるんですが
元ネタを知っている人でも分かる人と分からない人が居るのが元ネタの意地悪なところ

ひとまず、ではでは~

saga入れよう せっかくなのに台無し

年単位で繰り返してるのかきついな穂乃果さん

ことりちゃんを救う3年前から海未ちゃんがジサツしてしまう瞬間までを6回繰り返してるわけだから

スタート時点で17歳、三年の繰り返しを6度だから精神年齢35歳か
なるほど

>>119
ごめん、2chに書き込むのになれていないんだ

sagaってsageと同じ? 調べても出てこなくて

>>120
しかも、本体が眠っている時も常時思考しているんだぜ

>>121
その計算でOKです

>>122
ごめん、テンプレにのってたね

sageだと思ってた

第五部投下していきます

今までの[ピーーー] のところには基本『自殺する』が入ります

ここからはsagaでいきますね

なお、第三部から即興で書いていますので、誤字脱字は大目に見ていただければ幸いです

放課後・屋上

海未「……」

ガチャ

穂乃果「あっ、海未ちゃんだー」

穂乃果(屋上へと私は入っていく。大丈夫だ、普段の穂乃果を演じられている)

海未「穂乃果? むっ! 今までどこに居たんですか!?」

穂乃果「えへへ」

海未「笑っても誤魔化されません!」

穂乃果「テヘペロ」

海未「怒りますよ!!」

穂乃果「もう怒ってるじゃん」

穂乃果(いつも通りの海未ちゃんだ。昼休みから姿を消した私を心配してくれていたらしい)

海未「ことりも一緒だったんですか」

穂乃果「うん。昼休みに二人で保健室で寝ていたら放課後になっちゃってた」

海未「この学校の保健室ってそこまでザルだったんですか!?」

穂乃果「驚きだよね」

海未「それ以前にあなた生徒会長ですよ! いい加減自覚を持ってください!!」

穂乃果「今は反省している」

海未「反省していないでしょう!」

穂乃果「海未ちゃん、あんまり怒ると血圧上がるよ?」

海未「怒らせるようなことをしているのはあなたです!」

海未「ことりも呼んできなさい! 二人ともお説教です!」

穂乃果「まぁまぁ」

穂乃果(いつも通りの海未ちゃん。ねぇ、海未ちゃん、いつも通り過ぎるよ。自覚してる?)

穂乃果「ねぇ、海未ちゃん」

海未「何ですか? 言い訳は聞きませんよ」

穂乃果「ううん、そんなことは言わないよ」

海未「? なら良いですけど」

穂乃果「ねぇ──」






穂乃果「海未ちゃんはどうしてこんなところに居るの?」







海未「どうしてって、μ'sのメンバーが屋上に居ておかしいですか?」

穂乃果「今日、練習はお休みだよ」

海未「ついつい足を運んでしまうんです。穂乃果だってそういうことありませんか?」

穂乃果「あるね。思い出が詰まっている場所だもんね」

海未「はい」

穂乃果「それじゃあ、質問変えよっか?」

海未「はい?」

穂乃果「二つあるよ」

海未「意味が分かりません」

穂乃果「一つ。放課後になったばっかりなのに、来るのが早すぎない?」

海未「たまたまホームルームが早く終わったからです」

穂乃果「ふーん」

海未「疑っているんですか?」






穂乃果「うん。嘘だって知っているもん」

海未「なっ──!?」

穂乃果「どうして知っているのかって? 簡単簡単」

穂乃果「ことりちゃんのお母さん、理事長に今日だけは私たちのクラスのホームルームは
必ず十分遅く終わるようにお願いしていたんだ」

穂乃果(そう、まだ私たちのクラスのホームルームは終わっていない。そんな時間だ)

海未「ありえません!」

穂乃果「ありえるよ。穂乃果とことりちゃんの一生のお願いだったから」

穂乃果(念のための策。理事長から私たちの担任へそういう指示を出すようお願いしていた)

海未「なにを──」

穂乃果「大方、穂乃果を探してきますとか言って、ホームルームの前に抜け出してきたんだろうけど」

穂乃果「日頃真面目な海未ちゃんだから大抵のことは問題視されないよね?」

海未「……あなた、誰です?」

穂乃果「穂乃果だよ」

海未「いいえ違います。あなたは私の知っている穂乃果ではありません」

穂乃果(海未ちゃんに睨まれる。凄いな、分かるんだ」

穂乃果「そうかもね」

海未「誤魔化さないでください!」

穂乃果「お互い様だよ」

穂乃果「二つ目の質問」

穂乃果「ねぇ、海未ちゃん──」






穂乃果「どうして私から逃げるの?」






海未「逃げてなどいません!」

穂乃果「そう?」

穂乃果(私は一歩踏み出す。同時に海未ちゃんが一歩後ずさる)

穂乃果「また、逃げたよね。と言うより一定の距離を保っているよね?」

海未「……」

穂乃果「屋上に来てから、ずっとそうしているよね?」

穂乃果「なんで?」

海未「なんででしょうね、私にも分かりません」

穂乃果(そうきたか)

穂乃果「閑話休題。希ちゃんから教えてもらったから使ってみたよ」

海未「違う話題ですか?」

穂乃果「うん。海未ちゃんもその方が良いよね?」

海未「何を言っているのか分かりません」

穂乃果「いいよ。穂乃果が勝手に話すから」

海未「穂乃果穂乃果穂乃果って! あなたは穂乃果じゃありません!!」

穂乃果「海未ちゃんが認めてくれなくても、正真正銘の穂乃果なんだから仕方がないね」

穂乃果「さあて、そうそう閑話休題だったね」

穂乃果「私の親友がね、悩みがあるんだけど絶対に打ち明けてくれないの」

穂乃果「海未ちゃん、どうすればいいと思う?」

海未「……あなたの親友なのですから、たいそう底意地の悪い人なのでしょうね」

穂乃果「ある意味ではそうだけど、すっごい良い子なんだ」

海未「……意外ですね」

穂乃果「そうかな? でもね、良い子って別に良いことだと私は思わないかな」

海未「良い子と言っているのです。それなら良いに決まっているのではないですか?」

穂乃果(一歩足を踏み出す。海未ちゃんがまた一歩下がる)

穂乃果「物事の善悪でいくのなら善いだろうね。でも、良い子過ぎて壊れてしまったら意味がないんじゃない?」

海未「……それもまた人生です」

穂乃果「なるほど、海未ちゃんはそう思うんだ」

海未「……それが?」

穂乃果「ねぇ、海未ちゃん」

海未「なんですか、さっきから何回も何回も私の名前を呼んで──」

穂乃果「汚い言葉をつかうけど堪忍や。希ちゃんの真似似てる?」

海未「いい加減にしてください!! 本気で私は怒りま──」







穂乃果「怒っているのはこっちなんだよっ!!!!」






穂乃果「いい加減にしろよ!! 何回も何回も何回も!!」

穂乃果「『私の人生は良い人生でした』? 遺書でそんなこと知ったところでどうなるって言うんだよ!!」

穂乃果「親友が死んだんだ! どんな気持ちになるか、そのぐらい分かれよ!」

穂乃果「苦しんでいるんだろう!? 苦しかったんだろう!?」

穂乃果「遠まわしに自分の人生を美化して、遠まわしに辛いと叫んでっ!!」

穂乃果「届くわけないだろ!? 届くはずないんだよっ!!」

穂乃果「生きている時でないと意味がないんだ!! 死んでからじゃ遅いんだよっ!!」






穂乃果「分かってよ……分かりなさいよぉ、私の……穂乃果の気持ち、を……」

海未「な、何を言って……いえ、何故遺書のことまで……」

穂乃果「……もう絶対に死なせない。……私はそう決めたんだから!」

穂乃果(知ったのは一度目の繰り返す前の海未ちゃんの遺書からだった)

穂乃果(海未ちゃんは自殺に追い込まれるまでに苦しめられていた)

穂乃果(品行方正、聞こえは良いがそれを成し遂げるまでには多大な努力が必要となる)

穂乃果(園田海未は品行方正を絵に描いたような人物だった)

穂乃果(気付いてあげられなかった。誰も気付けなかった)

穂乃果(園田家を継ぐために幼い頃から遊ぶ時間を削ってまで彼女は鍛錬に励んだ)

穂乃果(弓道部に入部した。努力の成果、大会では入賞を当然と思われるようになった)

穂乃果(彼女の姉が嫁いだ。彼女への重責がさらに重くなった)

穂乃果(学校の存続をかけたアイドル活動。彼女の時間を占有した)

穂乃果(馬鹿な生徒会長を補佐するために生徒会に入会した)

穂乃果(どれだけ苦しかったのだろう。どれだけ助けを求めていたのだろう)

穂乃果(私では想像すら及ばない)

穂乃果(ただ私が知ったのは、彼女の亡骸と美しい言葉に彩られた遺書だけ)

穂乃果(……美しさの裏にある苦悩だけ)

穂乃果「なんで……助けての一言が言えないのさ」

穂乃果「私たちってそれっぽっちの関係だったの?」

穂乃果「穂乃果は寂しい時は寂しい。悲しい時は悲しいって言ったよ」

穂乃果「何でも相談してって言った時もあったよ」

穂乃果「そんなに頼りない? そんなに信用できない?」

穂乃果「私は親友だって思っているよ。私だけ? 私だけなの?」

穂乃果「ねぇ、いつから一緒に学校に行かなくなった?」

穂乃果「ねぇ、いつからお互いの家に行かなくなった?

穂乃果「ねぇ……知ってる? いつから、私が、海未ちゃんを……頼ってはいけないと思っていたか……」

──「うわーん、助けてことりちゃん」

穂乃果「μ'sの誰もが、海未ちゃんのことを分かっていたよ。いつだって助けを待っていたよ」

──「ごめんなさい。そうよね」

穂乃果「海未ちゃんが平気な顔をするから、誰だって、誰だって、大丈夫だって……勘違いするんだよぉ……」

海未「……」

穂乃果(私はもう自分が何を言っているのか分からない)

穂乃果(ただ感情のままにあらん限りの言葉を使って全てをうったえる)

穂乃果(涙はとっくに流れていた。身体がブルブル震えていた)

穂乃果(でも、心だけはぶれずに、海未ちゃんを、親友を救いたいと願っていた)

穂乃果(私は一歩踏み出す。海未ちゃんは動かない)

穂乃果(また一歩踏み出す。海未ちゃんは動かない)

穂乃果(もう一歩、また一歩、どんどん進んでいく)

穂乃果(今まで果てしなく遠かったその距離が一気に縮まっていく)

穂乃果(私の情けない激情が海未ちゃんに届いたのかもしれない)

穂乃果(私の情けない表情が海未ちゃんの琴線に触れたのかもしれない)

穂乃果(海未ちゃん、今、穂乃果が抱きしめてあげるよ)






穂乃果(そして、一緒に泣こう)

穂乃果「……う、みちゃん……」

穂乃果(ぐしゃぐしゃな顔でささやいたその声は海未ちゃんに届いただろうか)

穂乃果(あと一歩、あと一歩で届く)

穂乃果(六度繰り返した、この悪夢のような日々が終わる)



















穂乃果(そう思っていたのに)





















海未「ごめんなさい、穂乃果。さようなら」



















穂乃果(耳を疑った)

穂乃果(それを理解する前に、私があと一歩足りないことを知った)

穂乃果(海未ちゃんが離れていく。遠い遠い場所に行こうとしている)

穂乃果(足りない。たった一歩なのに)

穂乃果(あと一歩踏み出すだけで、海未ちゃんを抱きしめてあげることだってできたはずなのに)

穂乃果(届かない届かない)

穂乃果(何で気付かなかったんだろう。何で今気付くんだろう)

穂乃果(屋上の柵が一本折られている)

穂乃果(海未ちゃんくらいなら通り抜けられるように)

穂乃果(海未ちゃんに気を取られ過ぎていた)

穂乃果(希ちゃんの時に異常がなかったから安心していた)

穂乃果(馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ)

穂乃果(なんで海未ちゃんがこんな早くに、屋上に居ることを深く考えておくべきだった)

穂乃果(六度の繰り返しの中で一度もその方向に飛び降りた海未ちゃんが居なかったことに慢心していた)

穂乃果(馬鹿な穂乃果が招いたこと)

穂乃果(届かず、絶望して、この六度目も終わる)


穂乃果(最期に聞こえた言葉は──)










海未「あなたを殺してしまった私は生きていてはならないのです」










穂乃果(ああ、そうか。海未ちゃんも繰り返していたのか)

穂乃果(こうして六度目の私は終わった)




















穂乃果?『大丈夫、届くよ』

穂乃果「──え?」



















穂乃果?『初めまして、ううん、ちょっとだけ久しぶり、かな? もう一人の私』

穂乃果「誰? 穂乃果? だって、この時間の穂乃果は──」

穂乃果?『眠っていないよ。ずっと一緒だったよ』

穂乃果「ありえない。ありえないよ」

穂乃果?『ふふふ、私の演技は完璧……ちょっと怪しいところもあったけど、分からなかったでしょ?』

穂乃果「だって、もう一人の私は何も知らなくて、無邪気で──』

穂乃果?『ノンノン。あなたをだますことなんて簡単だよ。だって──』



















穂乃果「『私は七度目だから!!』」


穂乃果(届く!)

穂乃果(絶望的だった一歩が届く!)

穂乃果(だって私は海未ちゃんが走り出すよりも前に走り出していたから)

穂乃果(さっきの絶望は六度目の記憶)

穂乃果(さあ、今度は私の番だ)

穂乃果(頑張ったね、六度目の私。大丈夫、絶対に上手くいくから)

穂乃果(さあ、その手を伸ばして、親友を捕まえよう)

穂乃果(ねぇ、届くでしょう?)

穂乃果「海未ちゃん」



















穂乃果「今度こそ、つかまえたよぉ!!」

海未「ほのか……穂乃果! どうして、どうしてぇ! 私を死なせてくれないんです!!」

穂乃果「ばか」

海未「え……?」

穂乃果「バカって言ったの」

海未「何を……?」

穂乃果「あほ、おたんこなす」

海未「ほ、ほのか……?」

穂乃果「すかぽんたん、おんなたらし」

海未「え、えっと……」

穂乃果「ばか、ばか、ばか。やーい、ばか」

海未「わ、私はどうすれば……」










穂乃果「でもね」










穂乃果「だーいすきだよ! 海未ちゃん!!」



【Normal End Epilogue】



穂乃果(その後、おたんこなすの海未ちゃんを連れて、ことりちゃんのところへ行った)

穂乃果(ことりちゃんには万が一のために、希ちゃんの時のように下で待機してもらっていたのだ)

穂乃果(結局、ばかの海未ちゃんは別のところから飛び降りようとしていたので無駄だったのだが)

穂乃果(私たちの顔を見て、ことりちゃんは大号泣した)

穂乃果(すごく安心したらしい)

穂乃果(あほの海未ちゃんには土下座をさせた。当たり前である)

穂乃果(海未ちゃんと希ちゃんのことは、時間が経ったらμ'sの皆には打ち明けようと思っている)

穂乃果(たぶんびっくりされる。いや、それで済まないんじゃないかな)

穂乃果(まぁ、怒られるのはおんなたらしの海未ちゃんと希ちゃんだ)

穂乃果(後日談。穂乃果も怒られました。黙っていてヒドイだそうです。もっともだ)

穂乃果(その後もすかぽんたんの海未ちゃんと一緒に園田家へ乗り込んだり、弓道部で
ひと悶着あるのだが、それは別の話)



穂乃果(季節は春。三年生たちとの別れの日が近づいている)

穂乃果(寂しくないと言ったら嘘になる。でも、μ'sの絆はあれ以来さらに強固になっている)

穂乃果(何も心配することはないんだ)



穂乃果「ねぇ、ばかの海未ちゃん」

海未「ほ、穂乃果、いい加減に許してください……」

穂乃果「許すわけないじゃん、あほっ」

海未「そ、そんな……」

穂乃果(こんな情けない海未ちゃんも見慣れてきた)

穂乃果「一生懸けても許さないからね♪」



穂乃果(ねぇ、海未ちゃん。今、あなたは幸せですか?)



穂乃果(穂乃果はねぇ、幸せだよ)


──悲しみに二つの祝福を 最終部 終── 7th Loop End

疲れたー(三回目)

一旦終了です。元ネタ準拠のため、今回はNormal Endです

消化不良の部分はきっと1st Loop~6th Loopのどこかで触れることでしょう

そして、Normalということは……つまりはそういうことです

7th Loopのネタバレに限ってはお答えできますので、もやもやする方はレスしてください

応えられるかもしれません。とりあえず、ではでは~


面白かったよ!

良いSSだった、是非とも酉は付けずにこれからも書いていてほしい。

なぜ酉つけたらダメなの?

>>152 >>154
ありがとうございます

たぶん自分の書くSSはこれだけかな


以下、自分用メモ

【作中年表及び裏設定】

1st Loop 3年前~ループ地点   『夢……?』自 始まり
2nd Loop 3年前~ループ地点   『行動しなければ……』自 バタフライエフェクト
3rd Loop 3年前~ループ地点   『今度こそことりちゃんを……』自 仲間を得る
4th Loop 不明~ループ地点   『次は希ちゃんだ!』自 後輩組……
5th Loop μ's~ループ地点前  『今度こそ海未ちゃんを……』他 ことり編
6th Loop 本編~ループ地点直前 『絶対に助ける!』自 Bad→Normal
7th Loop 希編~ループ終了   『これが最後の機会』なし Normal→?

*ループをする度に戻れる時間が短くなっていっている。三回目までは完全に戻れることができていたが……。
*強く思ったこと以外の心中は別の穂乃果へは伝わらない
*本編の穂乃果さんの回想の一部は自己改変されている
*本当は六度のループで限界だったが、七度目を行う。結果、希編で混乱
*ループの原因は1st Loop時に判明
*海未のループは穂乃果と比べると非常に短い期間
*ショックに強い:にこ・真姫・絵里 ショックに弱い:ことり・花陽・凛
*穂乃果的にHappy 7>6>5>4>3>2>1 海未的にHappy 7>6>1=2=3=4>>>5

>>155
ごめん>>154ではなく>>153だった

これから1から5ループの話を書くって事?
5ループ目が気になるな

乙乙、面白かった。続きも期待してる

最初から本編の穂乃果=7th穂乃果だと思ったがメモ見ると希編中に追加されてたのね
最終的に穂乃果ちゃんは1~7全部の意識が混在しているのか、ループ穂乃果は上書きされてくのか、
6と7が同時に現れたのが例外なのか。おれの頭が付いていかない

>>157
試しに1st Loopを投下してみます

短編です。ただし、鬱が苦手な方はご遠慮くださいな内容です

ソフト目に書いていますが、内容自体はかなりアレです

穂乃果「うわぁっ!?」

穂乃果「……はぁはぁ、はぁ……」

穂乃果(目覚めは最悪だった。なに、あの夢! 勝手に海未ちゃんを殺さないでよ!!)

穂乃果(あと、誰だっけ、のぞみ? って言う人も死んだし)

穂乃果(最悪だよ、もう!)

穂乃果(……まだ、深夜だ。もう一回寝よう)




穂乃果(でも、夢にしては何だか生々しかったような……)

穂乃果(結局、眠れなかったよ、最悪!)

ホノカチコクスルワヨー

穂乃果「……ごめん、お母さん。今日、体調悪くって……」

ダイジョウブビョウインイク?

穂乃果「もう少し寝てみるよー」

アンセイニシテナサイヨー

穂乃果(やったー。昨日寝てないから嘘は言っていないよね)

穂乃果(ことりちゃんにメールして)ソウシン

穂乃果(これで良し!)

穂乃果(そう言えば、あの夢で私は今日休んだっけ?)

穂乃果(ううん、あんな夢のことなんて忘れちゃおう)

穂乃果(あの悪夢を徐々に忘れ始め、気付けば、ひと月が経っていたそんな朝)

穂乃果(お母さんが血の気の引いた顔で私に告げる)

穂乃果(……ことりちゃんが交通事故で亡くなったんだって)

穂乃果(なんだあの夢は結局、夢だったんだね。夢の中でことりちゃんは死んでないもん)

穂乃果(ことりちゃんの話を聞いた時から私の感覚は麻痺していた)

穂乃果(そして、私はこの日を境に部屋から出なくなる)

穂乃果(数年が過ぎた頃、たまたまお母さんと雪穂の話し声が聞こえてきた)

穂乃果(音ノ木坂学院で誰かが亡くなったらしい)

穂乃果(その数日後、海未ちゃんからメールが届く)

穂乃果(『さようなら』とだけ書かれていたそのメールはいつかの悪夢をよみがえらせる)

穂乃果(海未ちゃんだけは、引きこもった穂乃果に電話やメールをくれていた)

穂乃果(それだけが私の外の世界だった)

穂乃果(でも、それが今終わったことを知った)

穂乃果(分かっていたよ。あの悪夢は夢なんかじゃない。現実で起きたことだ)

穂乃果(私はタイムスリップしてしまったんだよね)

穂乃果(それじゃ、もう一回過去に戻ろう)

穂乃果(方法は簡単だよ。あの悪夢の最後で見たんだから)




穂乃果(待ってて、海未ちゃん、今行くよ)


穂乃果(なんで私の部屋にこんな丈夫なロープがあるのかな)

穂乃果(そうそう、あの悪夢の後に買ったんだった)

穂乃果(こうなることが分かっていたんだよね、最初から)

穂乃果(今度は首つり自殺かぁ。屋上から飛び降りた時は一瞬だったよね)

穂乃果(今回もそうなのかな)

ギシッ

穂乃果(……甘かった。ははは、笑えるくらいに苦しいや)

穂乃果(こうして一度目のタイムスリップは穂乃果の意識がなくなるまで、最悪の苦痛と共に終わった)


──悲しみに二つの祝福を 悪夢編 終── 1st Loop End

こんな感じです。本編がどれだけ希望に溢れていたことか……

>>158
本編中、穂乃果の心中が怪しくなった時がありましたよね? その時に7thが来ました
それ以前の本編は全て6th前の記憶が元になっています
元々の穂乃果がどうなったのかと言うと7thと溶け合った状態です
そもそも元々の穂乃果自体が……
使用上、穂乃果が三人以上同じ身体には居られないという誰得設定があります


面白かった

1stループを見る限りループする条件が穂乃果が死ぬことだと思うんだけど、6th穂乃果と7th穂乃果が同時に存在出来たのは何故?

>>167
1stループだけが他のループと決定的に違う点が一つあります

6thと7thの同時存在は2nd以降のループで


それでは、そろそろ寝ます

スレタイそのままで調べたらフリゲが出たけど、元ネタってのはそれのことだろうかね

>>171
そうそれです。流れは一緒で部分部分かなり変えています
未来→南ことり→琴見未来→融合できるんじゃね? という発想です

なお元ネタは他のループがプレイできることも、グランドエンディング(?)が存在することも教えてくれないし、
何故か1st Loopのみランダム発生という鬼仕様ですが


空き時間に2nd Loopのみを投下していきます
*この作品はフィクションです。実在の様々なものとは関係なく、絶対に真似をしないでください

穂乃果「──がはっ! ごほっ、ごほ……」

穂乃果「はぁはぁ、はぁ……」

穂乃果(……ここは?)

穂乃果(私の部屋? ……戻ってきた、の?)

穂乃果(首に触れる。ロープの跡はなさそうだった)

穂乃果(最悪の経験だったなぁ)

穂乃果(でも、戻ってこれた。それで十分だ)

穂乃果(深夜、かな?)

穂乃果(そう言えば、前回も深夜に目を覚ましたんだよね)

穂乃果(私が死ぬと、この時間に戻ってくる? そんな規則性でもあるのかな)

穂乃果(まぁ、難しいことは私の分野じゃないや。枕元の携帯電話を開き、日付と時間を確認する)

穂乃果(ことりちゃんが事故に遭うまで残り一週間。まだどうにかなる!)

穂乃果(引きこもりの私だったけど、ことりちゃんの事故のことだけは頭に叩き込んでいた)

穂乃果(私は、あまり頭は良くない。だから、真っ向勝負だね!)

穂乃果(そうと決まれば、明日、まずは実行だ! ──あれっ!?)

穂乃果「……トイレ」

穂乃果(どうなってるの? 身体の自由が効かないし、私が勝手に話してる!?)

穂乃果「むにゃむにゃ……」

穂乃果「おやすみなさい……ぐぅ……」

穂乃果(あ! 身体の自由が戻った?)

穂乃果「……どうなっているの?」

穂乃果(数日経って、ようやく理解する)

穂乃果(本来の穂乃果に意識がある時、身体の自由はその穂乃果になってしまうらしい)

穂乃果(と言うか、穂乃果の身体に二人穂乃果が居るってことなんだよね?)

穂乃果(意味分かんない!)

穂乃果(確かタイムトラベル前に知り合った真姫ちゃんのセリフだよね)

穂乃果(それはともかく、私はこの身体の持ち主の穂乃果が寝ている時にしか行動できないようなのだ)

穂乃果(なんというハードモード。昔のゲームも裸足で逃げ出すよ!)

穂乃果(まったく、ことりちゃんの身が危ないというのに、どんどん時間がなくなっていくよ……)

穂乃果(でも、今は深夜。つまりは私の活動時間なのだ。やったね!)

穂乃果「あれ? もしかして、私、こっちの穂乃果に性格が引きずられている?」

穂乃果(タイムトラベルしてから、やけにポジティブなのだ)

穂乃果(元引きこもりとは到底思えない)

穂乃果(この前、三年ぶりに海未ちゃんとことりちゃんを見た時も、結構大丈夫だったし)

穂乃果(まぁ、いっか。元気なことは良いことだよね?)

穂乃果(さあて、いい加減覚悟を決めようか)

穂乃果(深夜の電話は非常識だ。穂乃果だってそれくらい知っているよ)

穂乃果(でも、メールだと大変さが伝わらないかもしれないし、学校に行っている時に
こっちの穂乃果に聞かれたら、そこで終わりだ)

穂乃果「したがって、私は今からことりちゃんに電話をかける。かけるったらかける!」

穂乃果(ことりちゃんなら許してくれるよね?)

プルルル

ことり『ふわっ、……ことりだよ~』

穂乃果(半分寝ているようなことりちゃんの声。いや、寝ているよね?)

穂乃果「ことりちゃん、穂乃果だよ」

ことり『……おいしいよね、ちーずけーき。えへへ、すき~』

穂乃果「あのー、ことりちゃん?」

ことり『ことりもたべるよ~』

ピッ

穂乃果(あ、何だか分からないうちに電話を切られた)

穂乃果(この後も何度か電話をしてみたけど、一回も出てくれなかった)

穂乃果(え? もしかして、私つんでる……?)

穂乃果(この時、私は初めて危機感を覚えていた)

穂乃果(事故の前日。私はない知恵を絞って必至に考えた)

穂乃果(幸いにも時間はたっぷりとある。何故なら今の穂乃果は眠らないから!)

穂乃果(常時、眼が冴えているのだ。どうだすごいだろう?)

穂乃果(まあね、私が眠っている時に身体を動かさなければ本体は眠っているんだけどね)

穂乃果(そこで穂乃果は思いつきました。たった一つの冴えた方法、それは!)

穂乃果「今夜寝なければ良いじゃん」

穂乃果(我ながら天才だと思った)

穂乃果「よーし、徹夜だぞー」

穂乃果「……何しよう?」

穂乃果(何しろ、今私の部屋にあるマンガもゲームも昔遊んだものばかり)

穂乃果(暇をつぶせないのである)

穂乃果(ここ数日は本体の穂乃果の赴くままに身体を眠らせていたけど、実はそれが一番退屈しない)

穂乃果(何だか不思議と安らぐのだ)

穂乃果(もしかしたら、それが今の私の睡眠と言えるのかもしれない)

穂乃果(そんなわけで、いざ身体を動かせるとなると時間の使い方に困ってしまうのだ)

穂乃果(羊でも数えていよう。眠りたくない時はそうすると良いんだよね?)チガウヨー

穂乃果(なるべくゆっくり数えよう)

穂乃果「ひつじが一匹、ひつじが二匹……」

穂乃果「……ほのかが三万九千七匹、……ほのかが二千五百万式、……はっ!?」

穂乃果「朝だー、朝が来たぞー」

穂乃果(穂乃果は打ち勝ったのだ。暇と言う大敵に!)

穂乃果「……うーん、もうあさー?」

穂乃果(あ、本体の穂乃果が起きた)

穂乃果「うーん、眠いよー。あと五分~」

穂乃果(可哀想なことをした気がする。でも、私だからまぁいっか!)

穂乃果(半分眠りながら、穂乃果は登校して行った)

穂乃果(もちろん、授業中に眠くなるがそこは私が頑張った)

穂乃果(優等生だね、私!)

ことり「穂乃果ちゃん、眠そうだけど大丈夫?」

穂乃果「大丈夫だよー」

穂乃果(本体の穂乃果はぐっすり眠っているけどね。……身体ダルいなぁ)

穂乃果(ちなみに海未ちゃんはもう部活に行ってしまった)

穂乃果(何があったか分からないけど、海未ちゃんも救うからね!)

ことり「それじゃあ、帰ろっか?」

穂乃果「あ、今日は私の家で遊ばない?」

ことり「え? 穂乃果ちゃん、今日は寝た方が良いんじゃない? 凄いクマだよ」

穂乃果「大丈夫。元気元気!」

ことり「ほんと?」

穂乃果「ほんとほんと」

穂乃果(名付けて事故が起きるなら穂乃果の家で遊べば良いじゃない計画!)

穂乃果(だが、私はこの後、痛いほど思い知らされることになる)

穂乃果(未来を変えることの困難さと私の馬鹿さ加減を……)




穂乃果(クラリとした時には遅かった。私の身体は車道に投げ出され、運悪く車がやってきた)

穂乃果(また死ぬのかとどこか他人事のように思いながら、私はその瞬間を待った)

穂乃果(衝撃)

穂乃果(車がぶつかったわけじゃない。誰かに押し飛ばされた?)

穂乃果「あ……あっ……」

穂乃果(目の前に映った光景は信じられないくらい真っ赤で──)

穂乃果(私の代わりに犠牲になった誰かが居た)




穂乃果「ことりちゃんっ!!」

穂乃果(──そう、私が叫んだ気がした)

穂乃果(即死)

穂乃果(私に待っていたのはただその事実だけだった)

穂乃果(愛娘を失ったばかりのことりちゃんのお母さんの嗚咽と私にかけられた
優しい慰めの言葉が未だに耳から離れない)

穂乃果(どうせなら罵って欲しかった)

穂乃果(ことりちゃんを殺したと恨んで欲しかった)

穂乃果(私は泣き叫びたくても身体の所有権は本体の穂乃果にある)

穂乃果(ねぇ、穂乃果。意味が分からないでしょう?)

穂乃果(気付いたら目の前に真っ赤な塊があったんだものね)

穂乃果(ことりちゃんだよ。馬鹿な穂乃果を庇って死んじゃったことりちゃんなんだよ……)

穂乃果(ごめんね、ごめんね……)

穂乃果(その言葉はことりちゃんに向けたものなのか、本体の穂乃果に向けたものなのか
自分でも分からなかった)

穂乃果(本体の穂乃果が前回の私と同じようになった)

穂乃果(代わりに私がほぼ身体を専有できるようになっていた)

穂乃果(私の罪は消えない。だったら、私はその罪を背負わなければならない)

穂乃果(本体がこんな状態だから、私は逆に逃げることができない)

穂乃果(それはことりちゃんの最期の呪いのようだった)

穂乃果(……命の恩人に対して何を考えているのだろう、私は)

穂乃果(タイムトラベルと少し浮かれていた私をボコボコに痛めつけてやりたい)

穂乃果(身体が借り物だからそれさえできない)

穂乃果(タイムトラベル? 笑わせる。こんなものはトラベルなんかじゃない!)

穂乃果(……繰り返し、そう呼ぼう。二度と私の罪を忘れないように)

穂乃果(その後は繰り返しの前の光景が奇跡だったかのような転落ぶりだった)

穂乃果(μ'sは結成されない。一人すでに足りないからだ)

穂乃果(希ちゃんが死んだ。その事件があるまで、希ちゃんの存在すら忘れていた)

穂乃果(海未ちゃんが死んだ。厳重な屋上の警備体制をかいくぐって、希ちゃんと同じ死に方をした)

穂乃果(繰り返し前に海未ちゃんの遺書を読んでいたことをやっと思い出した)

穂乃果(海未ちゃんの苦悩を初めから知っていたはずなのに、何もできなかった)

穂乃果(二人とも私が殺したようなものだ!)

穂乃果(限界だ。本体の穂乃果はもう生きているのか死んでいるのか)

穂乃果(私ももう無理だ。海未ちゃんや希ちゃんの気持ちが少し分かったような気がする)

穂乃果(死にたい。……そうだね、死のう)

穂乃果「いってきます!」

穂乃果(私は元気を装って外出した)

穂乃果(どうせなら、海未ちゃんと同じように死にたかったけど、屋上にはもう入れない)

穂乃果(二人死んだのだ。当然だ)

穂乃果(死に方はいろいろ考えた。拙い頭で思いついたのは──)




穂乃果(私は線路に身を乗り出した)

穂乃果(最期によぎったのは、ことりちゃんの笑顔だった)


──悲しみに二つの祝福を 蝶の羽ばたき編 終── 2nd Loop End


2nd Loop終了です

ちなみに穂乃果の中で1st Loopが最悪となっていますが、それは行動しなかったことが
最悪であり、結果的には2nd Loopが最悪の結末なります。穂乃果視点では、ね……

>>187訂正

2nd Loop終了です

ちなみに穂乃果の中で1st Loopが最悪となっていますが、それは行動しなかったことが
最悪であり、結果的には2nd Loopが最悪の結末になります。穂乃果視点では、ね……

3rd Loopはちょっと意外な展開になるそうです

変更している部分を教えてくれ
どんな感じで変えてるのか参考にしたい

>>189
共通部分:メールフレンド、催眠術、ループものであることを隠している、全体の流れ
変更部分:登場人物4人→9人、最終部をあっさりめに、2nd、3rd、4th、バタエフ、ループ人格設定など
こっち:他のループが存在すること、+αがあることを提示
あっち:本編で完結しているようにみえる。一見さんお断りな作り。選択肢・スキップ機能あり。音楽の力

それでは3rd Loopと4th Loopを投下していきます(超長いです)

*今頃気付きましたが呼称がスクールアイドル準拠になっていますが細かいことは──でお願いします

穂乃果「私は高坂穂乃果。ただし、三年後から来た別の穂乃果です」

穂乃果(私はまた繰り返していた)

穂乃果(最初はもううんざりだと思ったが、最期に思い出したことりちゃんの笑顔をまた見たいと思った)

穂乃果(きっかけはそれだけ。でも、こんな私が生きる目的にするには高級過ぎる)

穂乃果(一つ、前回の繰り返しとは変わった点があった)

穂乃果(それは多少無理をすればちょっとの間だけど、身体の所有権を持つことができるということ)

穂乃果(それだけで、随分と自由が効くようになった)

穂乃果(そして、私は前回行うはずだった正攻法を選んだ)

穂乃果(自分の正体をことりちゃんにバラす。そして、事故のことを伝える)

穂乃果(シンプルだが、自分にできる最善手に思えた)

穂乃果(問題はことりちゃんが信じてくれるのか、事故は前回みたいに変化して起こるのではないか、という二点だった)

穂乃果(私は思う。下手に過去は変えない方が良いのではないのか、と)

穂乃果(珍しく図書館に行って、調べてみたらバタフライエフェクト、バタフライ効果ともいうものを見つけた)

穂乃果(穂乃果の頭で要約すると、少しでも過去を変えると未来が大きく変わってしまうということらしい)

穂乃果(前回の繰り返しでは、穂乃果自身の過去を変えてしまっている)

穂乃果(考えてみれば前々回もそうだ。たった一日学校を休んだだけでことりちゃんが事故に遭ったのだ)

穂乃果(もちろん、他の可能性もある)

穂乃果(ただ、このバタフライエフェクトという言葉は妙にしっくり馴染んだ)

穂乃果(これしかない! と直感が言っているのだ)

穂乃果(そして、今に至る)

穂乃果(今日まで自分の知っている過去を一切変えなかった。要はこっちの穂乃果に任せたのだ)

穂乃果(ただし、事故の直前に私の正体だけはことりちゃんにバラす)

穂乃果(そして、睡眠をしっかりとった私がことりちゃんと一緒に行動する)

穂乃果(ことりちゃんの家に行ったら、電話が鳴り、ことりちゃんはおばさんにおつかいを
頼まれることになった)

穂乃果(思わぬところで事故の原因が分かった)

穂乃果(私は五分だけ遅く家を出ようと提案した)

穂乃果(その結果、前回のことが嘘だったかのようにあっさりとことりちゃんは生存し、
加えて私の大切な味方にすらなってくれた)

穂乃果(今回の繰り返しの成功の予感に胸が躍る)

穂乃果(……相変わらず馬鹿なのだ)

穂乃果(バタフライエフェクトという言葉がすっかり抜け落ちていたのだから)

穂乃果(三回目にして、遂にμ'sが結成された)

穂乃果(今までは遠かった希ちゃんも、こっちの穂乃果の頑張りで随分親しくなった)

穂乃果(でも、こんなに気さくな人がなんで自殺なんてするんだろう?)

穂乃果(この時は不思議でならなかった)

穂乃果(それでも過去三度、希ちゃんは自殺をしている)

穂乃果(ことりちゃんの時のように簡単に未来を変えることができると思っていた)

穂乃果(ことりちゃんにも手伝ってもらうつもりだ)

穂乃果(私に怖いものはない、──そんな傲慢な考えはすぐに打ち砕かれる)

穂乃果(いい加減、学んだらどうなんだろう? 私)

穂乃果「希ちゃん、私、未来から来たんだよ」

穂乃果(私、ことりちゃん、希ちゃんは三人揃って屋上に居た)

穂乃果(今日の練習は休みだったので他に誰も居ない)

ことり「信じられないと思うけど、本当なんだよ」

希「あはは、凄いなぁー。穂乃果ちゃんは」

穂乃果「そうでしょ?」

希「ほんまにね」

ことり「うんうん、私も交通事故から救ってもらったんだよ♪」

希「ははっ、ことりちゃんのお墨付きかいな」

穂乃果「そうだよ。海未ちゃんも救ってあげるんだぁ」

希「あちゃー、海未ちゃんも事故に遭うん?」

穂乃果「ううん、自殺なんだ。……私が言っても、悩みを打ち明けてくれないし、どうしよう?」

ことり「わたしも駄目だったよ……」

希「ほう、そっかそっか」

希「海未ちゃんはウチと同じなのかもしれんね」

穂乃果「うん……?」

ことり「?」

希「のんたん、これでも運動神経良いねん」

穂乃果「うん、知ってるけど?」

希「だから、木登りもスッスーイや」

ことり「もう希ちゃんったら、木登りなんて男の子みたいだよ」

希「あはは、せやね」










希「それじゃあ、さようなら。穂乃果ちゃん、ことりちゃん」


穂乃果(私とことりちゃんが戸惑っている間に、希ちゃんは屋上の柵をあっと言う間に登ってみせる)

穂乃果(最期に見た希ちゃんの瞳はゾッするほど冷たいものだった)

穂乃果(終わった。そう思った)

穂乃果(あっけない、本当にあっけない幕引きだった)

穂乃果(目の前で初めて死を看取ったことりちゃんは心を病んだ)

穂乃果(結局、この日以来、この繰り返しの中で二度とことりちゃんに会うことはなかった)

穂乃果(絵里ちゃんが希ちゃんの後を追うように自殺した)

穂乃果(二人の仲の良さを知った今となっては、これまで自殺していなかったのが、不思議なくらいだった)

穂乃果(μ'sは崩壊した。間もなく海未ちゃんがやはり希ちゃんと同じ死に方をした)

穂乃果(どうやって屋上に入っているのか疑問を抱くぐらいしか、最早私の感情は動かなかった)

穂乃果(今回も終わりだなと思った)

穂乃果(もう私に味方はいないし、誰も救うことができなかった)

穂乃果(あまつさえ、絵里ちゃんというイレギュラーまで発生していた)

穂乃果(また、死のうと思った。だけど、繰り返すのも嫌だった)

穂乃果(私は廃人一歩手前だったのだと思う)










にこ「穂乃果ちゃん、やっと見つけた!」

穂乃果「……ニコ、ちゃん……?」


にこ「あんたが一番ヤバそうだと思ったけど、案の定ね」

穂乃果(ニコちゃんがため息をつく)

穂乃果(え? なにこれ? こんなこと今まで一度もなかったよ……?)

にこ「まぁ、なによ、いろいろあったわね」

穂乃果(いろいろじゃ済まされない出来事ばかりだけど……)

穂乃果(μ's内で三人が死んで、一人が病院送り、私も死のうか悩んでいるんだよ?)

にこ「……悲しい気持ちは痛いほど分かるけど、死者に囚われてちゃダメよ」

穂乃果「……どういうこと?」

にこ「私はね、アイドルだから死人よりも生きている人を大切にするわ」

にこ「死んでしまったらもうしょうがない。まさか、生き返るわけもないしね」

穂乃果(……ある意味生き返っている人が目の前に居ます)

穂乃果「……ニコちゃんは、強いね」

穂乃果(どうしたらそんなに前向きになれるの? もう私の心は折れたよ)

にこ「……慣れてるからね」

穂乃果「……え?」

にこ「忘れたの? 希も絵里も私の友達で同じクラスよ?」

穂乃果「……あ、あぁ……」

にこ「あと、私は妹たちを守っていかなければならなかったから、強くならざるを得なかったのよ」

穂乃果(ニコちゃんの家庭環境聞いたことがない。でも、今ので察することはできた)

にこ「元気出しなさいよ! まぁ、別に私みたいになれとは言わないわ」

にこ「でも、前は向きなさい。悲しんでも誰も救われないわよ?」

穂乃果(……ニコちゃん)

穂乃果(ニコちゃんを見ていると、不思議と心が温かくなってくる)

穂乃果(こんなことは初めてだ)

にこ「私ね、綺麗事って大好きよ。やらない善よりやる偽善ってね」

穂乃果(ニコちゃんは自分の言葉が綺麗事だと思っているのだろう)

穂乃果(それでも、ニコちゃんは自分を曲げない!)

穂乃果(それは私に決定的に足りなかったもの)

穂乃果(その強さが欲しいと私は思った)

穂乃果(どうしてだろう、まだ頑張れる。不思議とそう思えたんだ)

にこ「それじゃ、穂乃果ちゃん。私、行くわね」

穂乃果「……ニコちゃん、ありがとう」

にこ「……どういたしまして」

にこ「まぁ、なによ、よく分からないけど、頑張りなさい、穂乃果!」

穂乃果(何も知らないはずなのに、ニコちゃんは私の背中を押してくれる)

穂乃果(ありがとう、ニコちゃん。もう一度その後ろ姿にそう投げかける)

穂乃果(私はまだ頑張れる! そう思えたんだ!!)




穂乃果(よーし、さあ死ぬぞぅ!)

穂乃果(かつてない前向きさで、私は死を選択した)

穂乃果(次こそは救ってみせる。──ニコちゃんのような強さで)


──悲しみに二つの祝福を 隣のアイドル編 終── 3rd Loop End


3rd Loop終了です

この時に穂乃果の中でにこが一番頼れる先輩となりました

だから、本当に大切な役割はにこに任せますし、日常を守る立場であって欲しいと考えています

絵里は比較的ショックに強い性格にしていますが、希関係では弱くなります

むしろよく3rdまでよく耐え切ったものと言えます(別にループしているわけではありませんが)


そんなに4thも長くないような気がしてきたので、一旦休憩します

乙!
元ネタなんだかわからんが、シュタゲぽくて好き

>>205
ありがとう。元ネタはシュタゲよりも前に作られたんよ

4th Loop投下していきます

穂乃果(希ちゃんを救う方法を考えてみる)

穂乃果(μ's結成までは全て前回と同じように進んでいる)

穂乃果(問題はこの先だ)

穂乃果(私は希ちゃんの問題を軽く考えすぎていた)

穂乃果(ゾッするほど冷たい瞳。未だに忘れることができない)

穂乃果(深い深い闇が希ちゃんにはある。四度目でようやくそれを理解した)

穂乃果(そうなると、一度も辿りつけていない海未ちゃんはどうなのか?)

穂乃果(さらに深い深い闇が海未ちゃんにもあるのではないだろうか?)

穂乃果(実際、海未ちゃんの遺書を読んだことのある私はすでにその可能性に気付いていなかったか?)

穂乃果(前回はニコちゃんに救われた。だから今回がある)

穂乃果(それでは今回また失敗したらどうなるのか?)

穂乃果(また繰り返すの? 永遠に続くものなの?)

穂乃果(もしそうであるのなら、私は生き地獄から抜け出すことができない)

穂乃果(それはそれで最悪だ。でも、この繰り返しが有限だとしたら?)

穂乃果(それが一番怖い)

穂乃果(繰り返す度に少しずつ前進はしている。でも、海未ちゃんの自殺まで辿りつけない)

穂乃果(有限だとしたら一体あと何度あるのか? もしかしたら、今回で終わりなのではないか?)

穂乃果(そんな恐怖を近頃考える)

穂乃果(考えすぎて思考のループにいつも陥る。考えすぎて元の穂乃果からどんどん別の私に変わっていく)

穂乃果(救いを求めるとしたら、全員が救われる未来)

穂乃果(そこにこの繰り返しのゴールがあるのではないだろうか?)

穂乃果(そんな都合の良いことをいつも望んでいる)

穂乃果(正解は分からない。だけど、結論は分かる)

穂乃果(この繰り返しが最後であると思って行動する)

穂乃果(仮に全員が救われて、また私が繰り返したのならその成功例を参考にすれば良いのだ)

穂乃果(目先の問題は希ちゃん。海未ちゃんは決して心を開かない)

穂乃果(それもどうにかしなければならないが、まずは希ちゃんだ)

穂乃果(どうすれば良い? 考える、考える)

穂乃果「どうすれば……」

穂乃果(瞬間、元の身体の穂乃果と入れ替わったのが分かる)

穂乃果(今は授業中。居眠りをしてしまったのか)

穂乃果(もう私は十年以上も眠っていない。もしかしたら、気が狂っていて、それに気付かずにいるのかもしれない)

穂乃果(……よそう。それこそ狂いそうになる)

穂乃果(せっかくの機会だ。休み時間にでも、ことりちゃんに相談してみよう)

穂乃果(それまでは授業を聞いておこうかな。……ははっ、今の私だったらもう簡単にとける問題だ……)

穂乃果(昔の私はチンプンカンプンだったのに……)

穂乃果(もう私は穂乃果ではないのかもしれない)

ことり「穂乃果さんはもっと友達に頼るべきです!」

穂乃果(ちょうど昼休みとなり、私はことりちゃんと一緒にお昼を食べている)

穂乃果(他人に聞かれてはいけない話だから、今居るのは部室だ)

穂乃果(ことりちゃんは気付かなかったようだが、先ほど扉がちょっとだけ開き、ニコちゃんの顔が見えた)

穂乃果(『お邪魔虫は帰るわ』と口をパクパクさせて去って行った)

穂乃果(ニコちゃんは天使なのかもしれない!)

穂乃果(……話題がそれた。本題に戻ろう)

穂乃果「友達に頼る? 今、ことりちゃんに頼っているけど」

ことり「それは、……その、嬉しいですけど。そうじゃないんです!」

ことり「わたし以外にも、海未ちゃんは無理だとしても、絵里ちゃんもニコちゃんも居るんだよ……です」

穂乃果「ええと、無理に言葉遣いを変えなくても良いんだよ?」

穂乃果(所詮穂乃果だよ?)

ことり「わたしが尊敬しているんですから駄目です!」

穂乃果(譲れない部分らしい。正直、こそばゆいんだけどね)

ことり「あと、真姫ちゃんも一年生だけどしっかりしていますし、花陽ちゃん、凛ちゃんだって信じてくれると思うんです」

穂乃果(友達に頼るか……)

穂乃果(それは考えたことがないわけではない。実際、前回ニコちゃんに救われているわけだし)

穂乃果(ただ怖いのはバタフライエフェクト。私が誰かに頼ることで未来が大きく変わるかもしれない)

穂乃果(もちろん、ことりちゃんの考えているように良い可能性に転がる場合もあるだろう)

穂乃果(だけど、悪い方向に転がったら?)

穂乃果(それに、私の利点は未来を知っていることだ。未来が少し変わるだけでもその優位性は失われる)

ことり「……私は穂乃果さんに頼ってもらえて嬉しいですよ」

穂乃果(……そうだね。このまま何もしないのであれば結局未来は変わらない。皆を信じてみるのも良いかもしれない)

穂乃果「分かった。ことりちゃんの言う通りにしてみるね」

ことり「はいっ!!」

穂乃果(まばゆい笑顔だった)

ことり「それじゃあ、早速誰かに相談しましょう!」

穂乃果「ほ、本当に早速だね」

ことり「善は急げと言います」

穂乃果「まぁ、言うね。……問題は誰に頼るかだけど」

ことり「海未ちゃんと希ちゃん以外の全員はどうですか?」

穂乃果「……それは駄目」

穂乃果(特に前回死亡してしまっている絵里ちゃんはアウトだった)

ことり「んー、絵里ちゃんとニコちゃん、あと真姫ちゃんとかですか?」

穂乃果(だから絵里ちゃんは駄目だって。ニコちゃんは言わなくても助けてくれるからいざという時にとっておきたい)

穂乃果「その中だと真姫ちゃん、かな」

ことり「絵里ちゃんとニコちゃんは駄目なんですか?」

穂乃果(軽く前回のことを説明すると、理解してくれたようだった)

ことり「いっそのこと、一年生組全員が良いと思います!」

穂乃果「……その心は?」

ことり「三人寄れば文殊の知恵、です!」

穂乃果(五人なんだけどね)

穂乃果(そんなわけで、一年生組を呼んで、話してみた)

穂乃果(かつてない展開スピードだよね、これ)

真姫「……冗談を言っている表情には見えないけど、流石にはいそうですか、とは言えないわよ穂乃果ちゃん」

花陽「大変だったんですね、穂乃果ちゃん……」

凛「真姫ちゃんは頭が固いにゃ」

真姫「わ、私はあなたたちみたいに単純じゃないのよ!」

穂乃果(花陽ちゃんは涙ぐみ、凛ちゃんは疑問も抱かず受け入れてくれる)

穂乃果(なんて良い子たちなんだろう)

穂乃果(真姫ちゃんは性格上、仕方がないのだろうけど、疑っている)

穂乃果(でも、三人中二人も信じてくれて力を貸してくれる!)

穂乃果(なんて心強い!!)










穂乃果(この時はまだ、そんな風に考えていた……)

凛「ねぇねぇ、穂乃果ちゃん。今の穂乃果ちゃんは、元々の穂乃果ちゃんが──ちょっとこんがらがってくるにゃ、
ええと、寝ていないと出てこれないんだよね?」

穂乃果「そうだよ」

花陽「大変ですよね」

凛「ぶっちゃけ、面倒くさいにゃ」

花陽「り、凛ちゃん! そんなこと言っちゃだめだよぉ」

凛「かよちんも不便だと思っているよね?」

花陽「え、ええと、つまり凛ちゃんはですね、今の穂乃果ちゃんとすぐに会話をできるようにしたいんです」

穂乃果(流石幼馴染。つーかーの仲だね)

穂乃果「それなら、私も前々から考えていたよ。……まぁ、催眠術とでも言えば眠るんじゃないかな」

花陽「それは流石に……」

凛「一理あるにゃ!」

花陽「えーっ!」

ことり「異議あり! 穂乃果さんはそんなに単純じゃありません!」

穂乃果「穂乃果ちゃんの方だよ」

ことり「納得しました」

穂乃果(納得されました)

真姫「……どうせなら、偽名を使ってメールでも送っておきなさいよ」

ことり・花陽「?」

凛「と言うか真姫ちゃん、穂乃果ちゃんの話を信用していないのにどうしてまだ居るの?」

真姫「あなたたちだけじゃ、心配で──ごほん、成り行き上よ!」

凛「ツンデレにゃ」

真姫「にゃーにゃーうるさいわよ! まったく!」

穂乃果(……)

穂乃果「ねぇ、真姫ちゃん。メールの話詳しく教えて」

真姫「……言っておくけど穂乃果ちゃん、私はその繰り返しというのを信じていないわよ。それでも良いの?」

穂乃果「でも、あり得るかもしれない、そう思って考えてくれたんでしょう?」

真姫「……あー、なんか穂乃果ちゃん本当に別人ね。少し信じちゃったわよ」

穂乃果「私もよく思うよ」

真姫「まぁ、良いわ。まず前提としてことりちゃん辺りの手伝いが必要になるんだけど──」

穂乃果(真姫ちゃんのそのアイデアは後の未来で大きな役割を果たすことになるのだが、今はまだそれを知りようもなかった)

凛「真姫ちゃん、詐欺師になれるよ」

真姫「ならないわよ!」

凛「褒め言葉なのに……」

穂乃果(真姫ちゃんのアイデアは早速使われることになった)

穂乃果(……なるほど。これが友達の力か。今までと比べて一歩も二歩も前進した気がする)

ことり「これで希ちゃんのこともなんとかなりそうですね」

穂乃果(琴見未来を名乗ることになったことりちゃんがそう嬉しげに言ってくれる。でも)

穂乃果「ううん、まだ希ちゃんの自殺の理由が分かっていないよ」

ことり「あ、そうでした……」

真姫「……はぁ。私分かるわよ」

穂乃果「えっ!?」

穂乃果(また真姫ちゃんが凄いことを言い始めた。と言うかこの子一人でもういいんじゃないかな?)

真姫「サイコパスって言葉知ってる?」

花陽「怖そうな響きだね……」

ことり「テレビで聞いたことがあるような気も」

真姫「簡単に言うと、他人、それどころか自分の感情さえ分からなような人間を指す言葉よ」

凛「実際に怖かったにゃ!」

花陽「だね……」

穂乃果「……なんで真姫ちゃんはそれが分かったの?」

穂乃果(四度の繰り返しの中で一度も希ちゃんがそんな人だと思ったことは──!?」

穂乃果(前回か! あの瞳はそういうことなんだね!!)

真姫「まぁ、これでも医者を目指しているから心理関係も多少かじっているのよ」

真姫「それで、つい癖でμ'sメンバーを分析してみたことがあるの」

真姫「大体は見た目通りの性格だったわ。ただ、驚いたのがそうではない人間が三人も居たことよ」

穂乃果(私に視線が向けられる)

真姫「一人目は穂乃果ちゃん。性格が百八十度違う時がある。原因は信じたくないけど、そうことなのよね」

真姫「二人目は海未ちゃん」

穂乃果(ドキリとした。遂に海未ちゃんの理由に辿り着けるのかもしれない)

真姫「本音を全く言わない。上辺だけの人間」

花陽「ず、ずいぶんバッサリ言ったね……」

真姫「昔の私を極限まで悪くしたような人間だもの、μ'sで一番信用していないわ」

真姫「まぁ、その努力とおそらくあるだろう相応の苦悩は認めるけどね」

ことり「うそ……全然気が付かなかったよ」

真姫「別に不仲とは言ってないわよ。心の底で信用していないだけ」

真姫「最後に希ちゃん。人ってね、大抵一つや二つ他人に共感できないことがあるはずなのよ」

真姫「私が凛のにゃーにゃー言うのが分からないように、凛も今私が言っていることを理解できていないでしょう?」

凛「すごい! 正解だにゃ!」

穂乃果(さっきから凛ちゃんがうんうん頷いていたのは誤魔化していたからか)

真姫「……希ちゃんは凄いわよ。全てに共感するのよ。完璧過ぎて正直、怖いくらい」

真姫「それでサイコパス診断テストを簡単に希ちゃんに問いかけてみたの」

真姫「結果はゼロパーセントの確率でサイコパスですって」

花陽「? 百パーセントの間違いかな?」

真姫「いいえ。ゼロパーセントパーフェクトよ」

真姫「日常が完璧なのにサイコパステストも完璧? 冗談、そんな人間居るわけないしょう?」

真姫「いつでもあらゆる状況に完璧に応えられるように準備していたに決まっているわ」

真姫「労力は認めてあげるけど、確信させるだけよ、希ちゃんはサイコパスだって」

穂乃果(四回繰り返して、ここまでの情報量は初めてのことだった。流石に着いていくのでやっとになる)

ことり「どうすれば希ちゃんの自殺を止められるの?」

真姫「分からない。希ちゃんが私たちの心を理解していないように、私も希ちゃんの心が分からない」

真姫「でも、もし何とかできる人間が居たとしたら──いえ、傷つくだけか。忘れて」

穂乃果(最後の真姫ちゃんの言葉が気になったが、あいにく昼休みは終わりだった)

穂乃果(その後も運よく表に出られた時に、真姫ちゃんに聞いてみるものの、はぐらかされるだけだった)

穂乃果(そうしている間にも時間は過ぎ、希ちゃんの運命の日がやってくる)

穂乃果(結局、真姫ちゃんは半信半疑ながら手伝ってもらえることになった)

穂乃果(役割はこうだ。私が希ちゃんを説得する役。ことりちゃん、真姫ちゃんが万が一のために下で控える役)

穂乃果(運動神経の良い凛ちゃんが扉の前で待機、凛ちゃんと息の合った花陽ちゃんがその補助)

穂乃果(ことりちゃんのお母さんには授業中にことりちゃんと真姫ちゃんが外に居ても良い理由を作ってもらった)

穂乃果(完璧だった。完璧のはずだった)

希「閑話休題。知っとる? 話題を変えますよって言葉やで」

希「真似っ子って極めると、本物に近づけるんやで。でも決して本物になることはない」

希「しかも、いつ嘘がばれるのか冷や冷やしっぱなしや」

希「もう一つ言うと、とっても疲れるんやで」

希「さあて、穂乃果ちゃん。ウチとしては大分頑張って説明したんやけど──」

希「──理解できた?」

穂乃果(イルカの例えはよく分からなかったが、真似っ子の方はこの繰り返しを通して理解してきたように思う)

穂乃果(そんな私の逡巡を見計らっていたかのように、希ちゃんが動きだす)






希「さようなら、穂乃果ちゃん」


穂乃果(せめて希ちゃんを掴んでいれば間に合っただろう)

穂乃果(一瞬の出来事のように希ちゃんが屋上の柵を乗り越える)

穂乃果(違う! 今まで希ちゃんはその方向から飛び降りたことがなかったじゃないか!)

穂乃果(そっちにはことりちゃんも、真姫ちゃんも居ないんだよ!?)

穂乃果(絶望が思考を支配する)

穂乃果(そんな時、何人かの声、しかも大声が雑音のように耳に入ってくる)


凛『──だ、駄目だにゃ!』

穂乃果(希ちゃんが飛び降りようとしているのを見て、慌てて凛ちゃんが出てくる)

花陽『ま、、待って──ちゃんっ!』

穂乃果(花陽ちゃんの様子がおかしかった)

穂乃果(ああ、最悪だ。こんなことになるなんて)










絵里「のぞみっーーー!!!」

希「エリ、ち……?」

穂乃果(能面のような顔だった希ちゃんの表情に微かに感情が宿る)












穂乃果(そして、希ちゃんは──地面に落ちていった)










穂乃果(誰かの魂からの絶叫が聞こえ、そして──もう一人落ちていった)

穂乃果(三人とも誰も動くことはできなかった)


穂乃果(前回のことりちゃんと同じだった。凛ちゃんと花陽ちゃんが酷く心を病んだ)

穂乃果(聞くところによると二人で心中を図ったそうだ)

穂乃果(幸い助かったらしいが、その後の話を聞くことはなかった)

穂乃果(ことりちゃんも真姫ちゃんも酷く傷付いていたが、二人のようにはならず、ひとまず学校生活は送れている)

穂乃果(こんな最悪の時なのに、こんな最悪な時だからこそか、その機会は訪れた)




穂乃果「海未ちゃん……」

穂乃果(初めて海未ちゃんの自殺直前の状況に居合わせたのだった)




穂乃果(求め続けていたものだったはずなのに、希ちゃんと絵里ちゃんの件が後を引いて
私はその状況をほとんど覚えていない)

穂乃果(覚えているのは、海未ちゃんの後を追うように飛び降りた私の姿だけ)

穂乃果(絵里ちゃんのようだな、と他人事のように思った)


──悲しみに二つの祝福を 連鎖編 終── 4th Loop End



4th Loop終了です

真姫ちゃんがチート過ぎる

一見、2nd Loop並みに最悪の結末ですが、この周回がなければ穂乃果は真実に辿り着けていません
結果として、裏設定のHappy度に落ち着きます

さあて、次は問題の5th Loopです。穂乃果視点と海未視点で全く違う印象の物語になります
地味にことり編でもありますが、その結末は彼女にとって……
そろそろ穂乃果の精神も本格的におかしくなってくるようです

とりあえず、一旦終了です。ではでは~

乙、引き込まれるわ

>>227
ありがとうございます

5th Loop前半部分を投下しておきます

その8で一旦終了します

穂乃果『まずはことりちゃんを救って、次に希ちゃんを止める』

穂乃果『海未ちゃんはどうすれば良いのかな?』

ほのか(……)

穂乃果『今、何回目だっけ? ああ、そうそう、四回目、そう二回目だよね』

穂乃果『三回目ってなに?』

ほのか(……)

穂乃果『ああ、そうそう。今日は久しぶりに海未ちゃんとお出かけなんだった』

穂乃果『ニコちゃんたちも来れば良いのに? ……ニコちゃんって誰だっけ?』

穂乃果『そうだそうだ。明日の宿題やらなくちゃ! 中学生になったんだもん、頑張らなくちゃ!』

ほのか(誰よ、あなた?)

ほのか(勝手に穂乃果の口を使わないで)

ほのか(繰り返しているのは私よ)

ほのか(あなた本体の穂乃果よね? なんで繰り返しのことを知っているのよ?)

穂乃果『あははは』

ほのか(聞こえているわけないわよね……)

穂乃果『聞こえテいるよ』

ほのか(嘘……!?)

穂乃果『本当。そんな時期ダから』

ほのか(意味、分かんないわよ……)

穂乃果『理解しなくて良イよ』

穂乃果『これは穂乃果のサイゴの独り言だカら』

ほのか(……最後?)

穂乃果『モう、穂乃果は壊レだしている。もう六回目に塗りつぶされそうだモの』

ほのか(どういうこと? 六回目ってなによ?)

穂乃果『六回目の繰り返し。今、私は未来さンとメールのやり取りヲしているよ』

ほのか(今は中学二年で、ことりちゃんが事故に遭う前の時間でしょう? 何言っているの?)

穂乃果『どうせ忘れちゃうかラ、言ワなくてもいイんだろうけど、教えてあげるね』

穂乃果『穂乃果は六回時間を繰リ返す。でも、それが限界ナの』

穂乃果『それ以上は元の穂乃果を過去のホノカが塗りつぶしてしまう』

穂乃果『気付かなカった? 繰リ返す度に一つ前に戻っているダケだよ』

穂乃果『私が六回目だっタら、五回目の本体に。アなたが五回目だったら、四回目の本体に移っテイるだけ』

ほのか(……私の知る限り、本体の穂乃果が繰り返しに気付いていた様子はなかった、はずよ)

穂乃果『本体の穂乃果ノ意思がまだ強かっタからだよ』

穂乃果『考えテモみて? 繰リ返す前の記憶はあナたの四回全部よりハるかにマシな結果だったはずだよ?』

ほのか(愕然とする。その通りだ)

穂乃果『結局、五度目に来ルマでは全て状況を悪化さセていただけ』

穂乃果『必要なコトではアったけど』

穂乃果『今回で、アナタはヨウヤク繰リ返し前を上回れる』

穂乃果『デモ、あなタの五度目で、もう本体の意思はギリギリニなってしマった』

穂乃果『五度目はまダ本体の穂乃果が残ッている』

穂乃果『でもね』










穂乃カ『六度目デ消エタヨ』










穂乃果「うわぁっ!?」

穂乃果「……はぁはぁ、はぁ……」

穂乃果「……なんか怖い夢を見ていた気がするよ……」

穂乃果「あぅ、変な時間に目が覚めちゃった。もう一回寝なおそう」

穂乃果「おやすみなさーい」

穂乃果(……五度目の繰り返し。私は結局また過去に戻って来てしまった)

穂乃果(四度目も失敗だった。……もう、無理なんじゃないかな?)

穂乃果(四度目では大きな収穫があった。海未ちゃんのところまで辿り着けた)

穂乃果(だけど、その代償があんな結果なんて……ひどすぎるよ……)

穂乃果(今更、私が何を言っているの? と言われてしまうだろうけど、三度目でもらった強さも折れてしまった)

──『だ──、──目の穂─果が始───るよ』

穂乃果「っ!?」

穂乃果(何今の? 何か聞こえた気がした)

穂乃果(幻聴? 違う)

穂乃果(あれは確か──)

穂乃果(──思い出せない)

穂乃果(だけど、ここで私が投げ出したら、全てが終わってしまう)

穂乃果(**になってしまった_の*_にも、私は***せなければ****の_)

穂乃果(虫食いだらけの意思は、私を前進させた)

穂乃果(私ごときが*度*の_の**を*駄にさせてはならないのだっ!!)

穂乃果(進める。今度こそ、私は未来を変えてみせる! これで最後にするんだ!!)

穂乃果(前回の反省を踏まえ、今回は絵里ちゃんと真姫ちゃんに協力を頼んだ)

穂乃果「それじゃ、絵里ちゃん。私、行ってくるね」

絵里「ええ。希のことお願いね」

穂乃果「うん。絶対に自殺なんてさせないから!」

絵里「もちろんよ」




穂乃果(そして、この日、私は初めて希ちゃんの自殺を食い止めることができたのだった)




穂乃果(緊張の糸が切れたのか、本体の穂乃果が眠ってしまった)

穂乃果(目の前に居ることりちゃんに安心してしまったからでもあるのだろう)

穂乃果(私たちは互いに秘密の呼び名で成功を喜び合い、今は生徒会室で授業が終わるのをゆったりと待っていた)

穂乃果(互いに疲れていたのだ。最後の授業には出るから今だけ許して欲しかった)

ことり「ええと、ほ、穂乃果さん!」

穂乃果(何となくそわそわしていたことりちゃんだったが、意を決したように口を開く)

穂乃果(互いに沈黙していたから、話のきっかけがつかめなかったのだろう)

穂乃果「なに? ことりちゃん」

穂乃果(そう思い私は優しくことりちゃんの言葉に応える)

ことり「その……海未ちゃんが自殺するのは三日後なんですよね?」

穂乃果「うん。それは今まで一度も変わったことはないよ」

穂乃果(海未ちゃんの自殺は毎回毎回几帳面に全てが同じだった)

穂乃果(笑える立場ではないが、こんなところにまで性格が出ているのが少しだけおかしかった)

ことり「そうですか。……それなら、明日私に時間をもらえませんか?」

穂乃果「うん、いいよ」

ことり「本当ですか!?」

穂乃果「買い物にでも行く?」

穂乃果(気持ちを疲弊させるくらいなら、少し休むくらいは許されるはずだった)

ことり「あ、良いですね──って違う違う」

ことり「その、明日の放課後、この生徒会室に来てください!!」

穂乃果「一緒に行けばいいんじゃないかな?」

穂乃果(別に生徒会の仕事は近日中はないのだから、わざわざ生徒会室に来る必要もないし)

ことり「違・い・ま・す! 待ち合わせです!! 明日の四時半にここに来てください!!」

穂乃果「? 別に良いけど」

穂乃果(変なことりちゃんだな。深く考えず、私はそう思った)

キリが悪いのでその9までにしました

ことりちゃんルート手前の部分までです

乙、しかし4thで希救えてないって事は>>115の穂乃果は7週目って事か
二回は希助けたみたいだし

元のやつやり始めてしまったよ

乙!
しっかしこんだけ何回も繰り返してたら耐えられないわ
でも救いなのは、結果が収束しないところだね
やり方を変えて最善の未来に向かえるのは良いと思う!

>>239~243
ありがとうございます
何故か6th Loopが書き終わったのに、5th Loopが途中という現状
続きはもう少しお待ちください

>>239
その辺は6th Loopで。深く考えるとかなり混乱する要素だったりします

>>242
本編後はもう一度スタートから始めてね
ループ全部見た後も同じだよ

>>243
穂乃果ちゃんのメンタルが作中最強な気がします
一歩一歩前進も穂乃果らしいのかな

おら頭がこんがらがってきたぞ

>>247
6th Loopが終わったら答えられますので、あとでまた聞いてください

続き投下していきます

海未「どこに行っていたんですか、あなたたちっ!!」

穂乃果「ひょえー、海未ちゃんがすっごい怒っているよぉ!?」

穂乃果(教室に戻る頃には、本体の穂乃果が目を覚ましていた)

穂乃果「ねぇー、ことりちゃん、助けて~!」

ことり「まぁまぁ、海未ちゃん。そろそろ授業も始まるし」

海未「ことりも後で説教です!」

ことり「ぴよッ!?」

穂乃果「あ、ことりちゃんが鳴いた」
穂乃果(あ、ことりちゃんが鳴いた)

穂乃果(なんか本体の穂乃果とシンクロしてしまった)

穂乃果(三日後に気の重いことが待ってはいたが、随分久しぶりに安らげた気がした)

穂乃果(放課後、本当に本体の穂乃果とことりちゃんは海未ちゃんにお説教されていた)

穂乃果(やれ弛んでいるだの、やれ自覚を持ってくださいだの、色々言われた)

穂乃果(おかげで二人とも泣き出す始末。こんどは『泣く』の方ね)

穂乃果(いくら海未ちゃんが事情を知らないとは言え、二人が可哀想だった)

穂乃果(私? もちろん、高みの見物である。なかなか良い根性だと、自分でも思う)

穂乃果(でも、こんな日常を私はずっと求め続けていた。あと一歩でそれも叶うのだ)

穂乃果(正直、前回で海未ちゃんのところまでに辿り着けはしたが、ほとんど何も覚えていない)

穂乃果(そんな状態でよく平静としていられるなと以前の私には言われそうだが、
今回はすでにできることは全て行った状態だった)

穂乃果(あとは当日の私の働きに全てが懸かっている)

穂乃果(きっと上手くいく。何故かそんな確信があった)

穂乃果(次の日の放課後。ことりちゃんとの約束通り、生徒会室を訪れていた)

穂乃果(ことりちゃんはもう先に来ていた)

穂乃果(窓辺から夕日が差し込み、その姿を綺麗な茜色に染めていた)

穂乃果「お待たせ、ことりちゃん」

ことり「……はい」

穂乃果「それで今日は何の用事なの?」

穂乃果(うつむいていることりちゃんが気になったが、いつも通り気軽に答える)

ことり「あのっ! その、ですね……」

穂乃果(勢いよくことりちゃんが顔を上げ、何故か切羽詰ったように言葉を切り出す)

ことり「その、ええと……」

穂乃果「大丈夫、落ち着いて話してみて」

穂乃果(深刻な相談かもしれない。そう思い落ち着いた口調を心掛けた)

ことり「はい……」

穂乃果(すぅはぁとことりちゃんが深呼吸をした)










ことり「穂乃果さん! 好きですっ!!」


穂乃果「? うん、私もことりちゃんのこと好きだよ」

ことり「違うんです! ……私の好きは、友達とか、そういう好きとは違うんです……」

穂乃果(夕焼けのせいだけでなく、ことりちゃんが顔を真っ赤に染める)

穂乃果(……そっか。そういう好きか……)

ことり「……わたしは、……穂乃果さんのことを……愛、しています……」

穂乃果(同性愛がどうこう言うつもりはない。本当に好きだと言ってくれるなら嬉しいことだし、
私もその好きに応えてあげたいとも思う)

穂乃果(元々ことりちゃんのことは家族と同じくらいに好きだったから)

穂乃果(でも、駄目なんだよ。ことりちゃんの好きは私に向けられたものでしょう?)

穂乃果(本体の穂乃果に向けられたものではないんだよね?)

穂乃果(だから、応えられない)










穂乃果(だって、私は──消えてなくなるから)


穂乃果(最初の繰り返しの時からずっと分かっていた)

穂乃果(繰り返しの私は海未ちゃんを救うと消えてしまう)

穂乃果(理屈なんてない。本能的に刻まれた事実なのだ)

穂乃果(だから、私はね、ことりちゃん。あなたを幸せにはしてあげられないの)

穂乃果(今は家族に対する好きだけど、もしかしたら、いつかは私もことりちゃんと同じ好きになれるかもしれない)

穂乃果(でも、それは叶わぬ夢。時間が圧倒的に足りない)

穂乃果(悲しいことだね。でも仕方がない)

穂乃果(世界はそういう風にできているんだから)

穂乃果(だから、私の答えは決まっていた)










穂乃果「ごめんなさい。私はことりちゃんの気持ちに応えられません」


穂乃果(真摯な気持ちで私は伝えた。それがことりちゃんを傷つけることになると知っていても)

穂乃果(言い訳はしない。私が消えてしまうから応えられないというのは逃げでしかないから)

ことり「……えへへ……。……何となく分かって、いました」

ことり「穂乃果さんが、私に、そういう気持ちを向けていないことは……」

ことり「……でも、今言わないと、きっと、後悔する、……そう思ったんです……」

穂乃果(ことりちゃん……)

ことり「わたしは、穂乃果さんに、気持ちを伝えられて……嬉しかったです」

ことり「……満足です……」

穂乃果(キラキラ光る雫が見えた)

ことり「……穂乃果さん。好きだって言わなくて良いです」

ことり「ただ、ことりの最後のわがままを、聞いて、ください」

穂乃果(頷く)

ことり「わたしを、ぎゅっと……一度だけ、抱きしめて、ください……」

穂乃果(私は優しく、優しくことりちゃんを抱きしめた)

ことり「……えへへ、嬉しいなぁ……」

穂乃果(二人きりの生徒会室は物音一つしなかった)

穂乃果(運命の日。あの日のことがあっても、ことりちゃんは手伝ってくれている)

穂乃果(本当の大親友だった)


穂乃果(前回のことで思い出したことがある。今日の放課後、海未ちゃんが屋上のドアを開けて、
そこに入っていくの私は偶然目撃してしまったんだ)

穂乃果(海未ちゃんは屋上の合鍵を何故か持っていた。合鍵なんて本職に頼めば一時間もいらずに作ってしまえる)

穂乃果(おそらくは屋上練習のどこかの日で、こっそり作っていたんだと見当がついた)

穂乃果(そして、屋上は中から鍵をかけることも開けることもできるけど、外から鍵をかけることはできない)

穂乃果(だから、容易に海未ちゃんの居る屋上に入っていくことができた)

穂乃果(そこでした会話は未だに思い出せないものの、おそらくは当時の私にとって意味のないことばかり話していたんだろう)

穂乃果(分かってみれば。どうってことのないトリック)

穂乃果(五度かけてそんなことにも気付けないなんてやっぱり穂乃果は頭が悪い)

穂乃果(まぁ、そんな悪い頭でも今回は精一杯使ったよ)

穂乃果(とにかく海未ちゃんに感情をぶつけて、必要以上に私に悩みを打ち明けるように迫った)

穂乃果(結局、打ち明けてくれなかったが、海未ちゃんに私が強引であるという印象を持たせることに成功した)

穂乃果(その結果が今だ)

海未「穂乃果! やっぱり、私は学校に戻って部活に出ます!」

穂乃果「え……。海未ちゃん、私の一生のお願いも聞いてくれないの……」グスッ

海未「ぐぐぐ……」

穂乃果(もうほんと滅茶苦茶。嫌だという海未ちゃんの腕を引いて無理やり穂乃果の家に連れてきたのだ)

穂乃果(何度も一生のお願いだと言って)

海未「……穂乃果は我儘です」

穂乃果「知ってる。だから、今日は穂乃果と遊ぶの!」

海未「ううぅ……」

穂乃果「諦めて!」

海未「ぐっ……正直、穂乃果が何故そこまで執拗にするのか理解できませんが……」

海未「……分かりました。付き合います。……ほんっとうに! 嫌々ですけど……」

穂乃果「やったね! 海未ちゃん話が分かる!」

海未「はぁ……」

穂乃果(海よりも深いため息だった)

穂乃果(この日、夜遅くになるまで穂乃果は海未ちゃんと遊んだ)











穂乃果(そう。たったこれだけのことで悪夢のような繰り返しは終わったのだ)










穂乃果(一日、二日と経っていく度に私が気薄になっていくのが分かった)

穂乃果(でも、これで良い。もうあんな悲劇は起こらないのだから)

穂乃果(私の強引な振る舞いが、どういうわけか海未ちゃんの自殺を防いだ)

穂乃果(単純なこと。だけど、積極性が足りなかったから今までは起こらなかったこと)

穂乃果(少しずつ、海未ちゃんも自分から解放されているようである)

穂乃果(部活の朝練は毎日ではなくなった。アイドル活動も休養している)

穂乃果(園田家のことも何となく前よりは気負わなくなったように見えた)

穂乃果(全てが順調だった。これまでの苦労が報われた瞬間だった)

穂乃果(そして、数年ぶり、私にとっては二十年ぶり近くになる、に海未ちゃんの家で遊んでいる)

穂乃果(海未ちゃんの家には遊具がほとんどなかったけど、μ'sの歌を聞いたり、次の歌詞を考えたりして遊び続けた)

海未「もう、穂乃果はいつも変なことばかり言うんですから」

穂乃果「いい加減慣れようよ。海未ちゃん」

穂乃果(穏やかな時間。きっとそれはいつまでも続く)

穂乃果(できることなら私も見届けたかったけど、時間のようだ)

穂乃果(もう一人の穂乃果、幸せに)

海未(海未ちゃんを支えてあげて。……ことりちゃんのこともお願いね)

穂乃果(私は満足だった。そして、消えていく)

穂乃果(ああ……辛かったけど、本当に良かった……)










海未「──あ、穂乃果だ!」


穂乃果「? 当たり前でしょ、私は穂乃果だよ?」

海未「あはっ、天国でも会えました。きっと、運命ですね、これは!」

穂乃果「何言っているの海未ちゃん……?」

海未「あ、駄目じゃないですか、穂乃果ぁ」

海未「──あなた、まだ生きているじゃないですかぁ」

穂乃果「な、何を言っているの……海未ちゃ──」

海未「えい♪」

穂乃果「──え……?」

海未「良かったです。手元に脇差がありました。初めて使いましたけど良い切れ味です」

穂乃果(灼熱のように私の腹部が熱を発する。そして、強まっていく痛み)

穂乃果(それは消える寸前だった私の意識すら覚醒させるほどで)

グサッグサッ

海未「うん、名刀ですね」

グチュグチュ

海未「わぁ、穂乃果。これで一緒ですよ。天国で幸せに暮らしましょう?」

穂乃果(私の意識も本体の穂乃果の意識も暗く沈んでいく)

海未「──えっ……!?」

海未「な、なんですか……この光景……」

海未「嘘だっ! 嘘だっ!! うそだぁーーーーーーーっ!!!」

海未「何をやっているんですかっ!! 私!!」

海未「何がどうして……」

海未「──ほのかっ! 穂乃果!! 死なないでください!!」

海未「あなたに死なれたら私はっ!! 私はぁ!!!」

海未「いやぁーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

穂乃果(薄れゆく意識の中で私はただ、海未ちゃんが生きていてくれて良かったと、そう思った)


──悲しみに二つの祝福を 泡沫の夢 終── 5th Loop End


読み始めた
これ>>1のあらすじゆゆゆか?ww

5th Loop終了です
穂乃果にとっては海未が生き残ったのである意味でHappy End
ただ、残された海未ちゃんやことりちゃんがどうするかは想像に容易いですよね

これが海未の最初のループにして、最悪の思い出
7th Loopで海未があんなことを言っていたのはそれが原因です

園田は古い家柄なので脇差は鑑賞用に飾っていますが本物です(国に所有許可はもらっているはず)

あと、この辺みもりさん繋がりです。何となく

次は6th Loopです。正直時系列がかなり難しくなります。
分からない人用に答えは一つ用意してありますので、分からない時は聞いてください

>>262
あらすじどころか着信音やズッ友、脇差もそうですね

あと他の作品の要素もちょこちょこ仕込んでいます

穂乃カ『だから、六度目の穂乃果が始めに戻るよ』

ほのか(そう言った瞬間、六度目と名乗る穂乃果から聞こえていた不協和音が止む)

穂乃カ『全ての繰り返しは二回起こる。一度目も二回、二度目も二回、三度目以降もそう』

穂乃カ『難しいことを言っているよね? あはは、私も本当はよく分かっていないんだ』

穂乃カ『何となく分かるのは、二回のうちの一回はほとんど記憶に残らないことくらい』

穂乃カ『だから、私の記憶の主観では六回しか繰り返していない』

穂乃カ『でも、忘れてしまったもう一回も今の穂乃果に影響を与えている』

穂乃カ『正しくは穂乃果は元の身体の穂乃果にかな? だっていつも同期してしまうのはこの子だから』

穂乃カ『そのことに何故私が気付けたのかも本当はよく分かっていない』

穂乃カ『ううん、きっと記憶に残らない方の穂乃果だから知っているんだね』

ほのか(……六度目の穂乃果が何を言っているのか全く理解できない)

ほのか(ただ分かるのは、この穂乃果が只ならぬ覚悟をもって私に教えてくれていることだけ)

ほのか(だから、私はただ、受け入れよう)

穂乃カ『さあて、穂乃果の独り言はこれでおしまい』

穂乃カ『きっとあなたは六度目に辿り着く。だけど、今の私とは違う穂乃果になる』

穂乃カ『何でって? 最初に言ったでしょう? 私が始めに戻るって』

穂乃カ『一回目から六回目までの記憶をまっさらにして、私が元々の穂乃果になる』

穂乃カ『そんなことができるのかって? できないと穂乃果は完全に壊れちゃうよ』

穂乃カ『できなくてもやるんだよ』

穂乃カ『幸いにもチリくらいには元々の穂乃果が残っている』

穂乃カ『全てを忘れたつもりで、何も知らなかった穂乃果を演じ続ける』

穂乃カ『それできっと私は繰り返し前に戻れる』

穂乃カ『希ちゃんが言っていたでしょう? 真似っ子って極めると、本物に近づけるって』

ほのか(……でも、決して本物にはなれないとも言っていたよ)

穂乃カ『うふふ、何言っているの? 最初から穂乃果は本物でしょう?』

穂乃カ『記憶が違うだけで、穂乃果は穂乃果』

穂乃カ『真似っ子を極めて、本物になれない道理はないんだよ』

穂乃カ『それじゃあね、五回目の穂乃果』

穂乃カ『可能性はゼロに近いけど、海未ちゃんを救えること祈っている』




穂乃果『──あっ、変な時間に目を覚ましっちゃった。もう一回寝よう」




ほのか(……)

穂のか(……)

穂乃か(……)

穂乃果(……ありがとう、六回目の私。私に時間をくれて)

穂乃果(よしっ!)

穂乃果(犠牲になってしまった私のためにも、私は成功させなければならないのだ)

穂乃果(私ごときが六度目の私の覚悟を無駄にさせてはならないのだっ!!)

穂乃果(六度目。……前回はあれはあれで成功だったのではないのだろうか?)

穂乃果(目的は達成したと思ったけど、私の犠牲じゃ、それは叶っていないのか)

穂乃果(でも、道筋はできた。この六度目でようやく成功にまで辿り着ける)

穂乃果(さあて、穂乃果。ここが最後の頑張りどころだよ)




穂乃果(全てが思い通りに進んだ)

穂乃果(そして、運命の時間)

穂乃果(私と海未ちゃんはそこで向かい合っていた)

穂乃果(私は支離滅裂で汚い言葉を感情のままに叫んだ)

穂乃果(そして、私はゆっくりと進み、海未ちゃんとの距離を少しずつ詰めていく)

穂乃果「……う、みちゃん……」

穂乃果(ぐしゃぐしゃな顔でささやいたその声は海未ちゃんに届いただろうか)

穂乃果(あと一歩、あと一歩で届く)

穂乃果(六度繰り返した、この悪夢のような日々が終わる)

穂乃果(そう確信した)










海未「ごめんなさい、穂乃果。さようなら」


穂乃果(耳を疑った)

穂乃果(それを理解する前に、私があと一歩足りないことを知った)

穂乃果(海未ちゃんが離れていく。遠い遠い場所に行こうとしている)

穂乃果(足りない。たった一歩なのに)

穂乃果(あと一歩踏み出すだけで、海未ちゃんを抱きしめてあげることだってできたはずなのに)

穂乃果(届かない届かない)

穂乃果(何で気付かなかったんだろう。何で今気付くんだろう)

穂乃果(屋上の柵が一本折られている)

穂乃果(海未ちゃんくらいなら通り抜けられるように)

穂乃果(海未ちゃんに気を取られ過ぎていた)

穂乃果(希ちゃんの時に異常がなかったから安心していた)

穂乃果(馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ)

穂乃果(なんで海未ちゃんがこんな早くに、屋上に居ることを深く考えておくべきだった)

穂乃果(六度の繰り返しの中で一度もその方向に飛び降りた海未ちゃんが居なかったことに慢心していた)

穂乃果(馬鹿な穂乃果が招いたこと)

穂乃果(届かず、絶望して、この六度目も終わる)










海未「あなたを殺してしまった私は生きていてはならないのです」










穂乃果(ああ、そうか。海未ちゃんも繰り返していたのか)

穂乃果(こうして六度目の私は終わった)


穂乃果(飛び降りよう。そして、七度目を始めよう)

穂乃果(次は絶対に成功させるから)

穂乃果(──それなのに、ここで飛び降りたら私は本当に死んでしまう、そんな突拍子もない考えを抱いてしまった)

穂乃果(今まで繰り返してきたから今回だって大丈夫なのはずなのに)

穂乃果(どうしてか、次がないようにしか思えない)

穂乃果(六度の繰り返しで麻痺していた死への恐怖が何故かよみがえってくる)

穂乃果(無理なの……?)

穂乃果(……なんで……?)

穂乃果(……どう、して……?)

穂乃果(初めて、屋上から飛び降りることを躊躇した)

穂乃果(怖い……どうしようもなく怖い……)

穂乃果(自殺するのはもう感覚が麻痺していたはずなのに……)

穂乃果(──ああ、そうだ。初めて気付いた……)

穂乃果(死ぬって言うのは、完全にここから消えてしまって、なくなるってことなんだ、ね……)

穂乃果(ただ嗚咽している私がそこに居た)

穂乃果(繰り返しさえしていなければ知っていた当然のことに、私は泣いたのだ)










穂乃カ『──大丈夫、あと一回だけなら私が頑張るから』

穂乃果「……えっ?」


穂乃果(分からない。分からないけど……)

穂乃果(今なら飛べる気がする)

穂乃果(そして、ふつふつと湧き上がってくる、次は成功させるという絶対的な意思!)

穂乃果(この六度で皆からもらってきたもの全てが心に宿る)

穂乃果(そうか穂乃果は──)










穂乃果(悲しみだけだと思っていたけど、違ったんだね)


穂乃果(一つは、友達というかけがえのない優しさ)

穂乃果(一つは、繰り返しという奇天烈な現象)

穂乃果(この二つがあったから私は進める。進んでこれた)

穂乃果(──そう、これはそういうことなんだ)

穂乃果(私は最期に一つだけ、次の穂乃果へと、万感の願いを込めて呟く)




穂乃果「悲しみに二つの祝福を」




穂乃果(──と)


──悲しみに二つの祝福を 伝わる想い編 終── 6th Loop End


6th Loop終了です
タイトル回収編。一番頑張ったのは6thさんですね

残りはあと一つ。もう少しだけお付き合いください

一旦終了します

ラスト少しだけ(2レス)だけ投下しておきます


【True End Epilogue】


ことり(穂乃果さんは消えてしまったらしい)

ことり(何となく覚悟はしていたから、立ち直れない程のショックはなかったけど、心にぽっかり穴が開いてしまったようだった)

ことり(でも、なんでそれを穂乃果ちゃんが知っているのだろうと疑問を抱き、聞いてみると)

穂乃果『私は二回目の六度目だからね』

ことり(と言う返答が帰ってきた。意味が分からずどういうこと? とわたしは言ってみた)

穂乃果『穂乃果さんでも穂乃果ちゃんでもある、ただそれだけだよ』

ことり(……その答えにわたしは満足した)

ことり(よくは分からないけど、穂乃果さんは穂乃果ちゃんなんだ。その事実に涙が出るほど嬉しかった)










ことり(ねぇ、穂乃果さん)

ことり(私が好きって言ったら、あなたはどう答えてくれますか?)


にこ(まったく、困った後輩よね)

にこ(ニコのこと一生のお願いとか言ってこき使ったくせに、今もまた困らせてくる)

穂乃果「ニコちゃーん……。うえーん……」グスグス

にこ(今日は楽しいニコたちの卒業式よ。そんな風に泣かれると……ニコも泣きたくなっちゃうでしょ! ばか……)

にこ(あーあ、本当に困った後輩で、大切な友達だこと……)

にこ(ニコたちが卒業した後は、あんたが皆を今以上に引っ張っていかないといけないのよ。その辺分かってる?)

ことり・花陽・凛・真姫「ニコちゃーん!」ウエーン

にこ(あ、困った後輩が増えた。って真姫ちゃんもっ!?)

にこ(あんたクールなキャラでしょうよ! どうしちゃったのよ?)

にこ(くっ……あんたたちがそんな顔してると、嫌でもこの三年間を、特に思い出深かった一年間を思い出しちゃうでしょうに!!)

穂乃果「ぐすっ……あ、ニコちゃんも泣いてる……」

にこ「うっさい!」グスッ

にこ(……はぁ、卒業してもμ'sの皆とは縁を切りたくても切れないんでしょうね)

真姫「あ、ニコちゃんが笑ったにゃ」

にこ「だから、真姫ちゃん! あんたそんなキャラじゃないでしょうに!」

乙!
もうちょいで終わっちゃうのか・・・

めちゃくちゃ面白いな

またなんか書いて欲しいな元ネタ有りでも良いから

>>279
ありがとう

>>280
本当にもうちょっとです

>>281
光栄です。たぶんこれ以外は書かないです

他作品だけどボツネタ一覧
・モバマス×G線上の魔王
菜々「あなたね……?」
モバP「……お前だな?
菜々「私が、ナナよ」
モバP「ウサミーーンッ!!」
参考:ttps://www.youtube.com/watch?v=mYnGLhA9vAI
・六畳間の侵略者
17巻時点の主人公が1巻へタイムスリップ
アニメを見た人は絶対に7巻、7.5巻、8.5巻を読むべき(ステマ)
・ラブライブ!×ゆゆゆ
東郷さんが海未ちゃんの身体に憑依
・ラブライブ!
賢すぎる穂乃果ちゃん。全てを計算して動かす

……ボツネタは書かないですよ?

最後みちゃみたい

ゆゆゆは設定が重すぎるからなぁ、クロス書きづらいかもな

>>283
全能力値カンストの穂乃果ちゃんだったが、ある日のんたんにバレてしまう!
のんたんは言う。穂乃果ちゃん、あなたは何者、って。
そして、穂乃果ちゃんは──。
……いや、書きませんよ。

>>284
ゆゆゆはハッピーエンドだって信じている


1レスだけ投下しますね

真姫「あ、ニコちゃんが笑ったにゃ」

真姫(ほんと、私らしくない言葉よね)

真姫(でもね、ニコちゃん。そういう私も良いんじゃないのかしらって最近思うのよ)

真姫(きっかけは穂乃果ちゃんの例の件に関する暴露話から)

穂乃果『うん、それでね。メールのアイデアは四回目の時に真姫ちゃん出してくれて、
しかも、希ちゃんや海未ちゃんのことまで言い当てちゃったんだよ!』

真姫(ふーん、流石私ね。違う未来の私でも納得できる方法を用意してくれていたのね)

穂乃果『あ、でも、凛ちゃんがにゃーにゃー言うのが理解できないとも言っていたね』

凛『ひどいにゃ、真姫ちゃん』

真姫(確かに私だったら言うわね。でも──)

真姫『私はそんなこと言わないわ』

真姫(だって、悔しいじゃない。別の私の手のひらの上で踊るなんて)

真姫(それに別の私? あなたより私は他の皆のことを理解しているつもりよ。ねぇ、悔しいでしょう?)

真姫(だから、いつか機会があったら言ってみよう。凛みたいに『にゃ』ってね)

にこ「だから、真姫ちゃん! あんたそんなキャラじゃないでしょうに!」

花陽「お腹痛いの……? 真姫ちゃん?」

真姫(まったく失礼ね! 二人とも。あ、穂乃果ちゃん、ことりちゃん! 変に優しい瞳を私に向けないでっ!!)

作者が臭いのが残念

最後の読ませてくれないと暴れます

>>287
ごめん。読んでもらえると嬉しいからはっちゃけちゃうんだ
2chの書き込みほとんどしたことがなかったし

>>288
……分かりました。また別の機会があれば


また、1レスだけ投下します
残りは本当少しなのでゆっくりいっています

希「……ニコっちは人気者やね」

絵里「私たちもさっきまで、もみくちゃにされていたじゃない」

希「ウチはそんな資格ないのにな……」

絵里「怒るわよ?」

海未「……そうですね、資格のありなしは自分ではなく、他人が決めるものです」

希「エリち……海未ちゃん」

絵里「あら、海未はあっちに加わらなくて良いのかしら?」

海未「なかなか自分の業は深いようで、まだ難しいですね」

絵里「そう。それじゃ行ってきなさい!」

海未「ちょ、ちょっと! え、絵里! 私の話を聞いていましたか? 何で背中を押すんです!?」

絵里「あなたは頭でっかちなだけなのよ。良いから、飛び込んできなさい!」

海未「わっ、わ」


凛『海未ちゃんも飛び入りにゃ』

ことり『わあ、海未ちゃん♪』

にこ『まったく、ニコニーの人気も罪深いわね』


絵里「はぁ、全く最後まで手間をかけさせる子なんだから」

希「せやね。……なあ、エリち」

絵里「なあに?」

希「そろそろ恋人繋ぎやめてくれへん?」

絵里「嫌よ」

希「恥ずかしいんよ」

絵里「だーめ。私が捕まえていないとあなた逃げちゃうでしょう?」

海未「絵里のせいで酷い目にあいました……」

絵里「あら、おかえりなさい。もう良いの?」

海未「十分です! それよりも、絵里のこと、ニコが呼んでいましたよ」

絵里「そうなの。それじゃ、希を捕まえておいてね」

海未「責任重大ですね」

希「ウチは猛犬か何かなん?」

絵里「じゃあ、ちょっと行ってくるわ」

希「……はぁ、ようやく放してもらえた……」

海未「愛されている証拠ですね」

希「分からんよ。ウチにはそういうの……」

海未「ふむ。希、私はこれから本来なら私がいう資格のないことを話します」

希「……よく分からへんけど、ウチは資格があると思うで」

海未「ありがとうございます」

海未「では──」

海未『私は穂乃果の言っていた前回から来た海未です。本当はとっくに消えていなければならないのですが、
少しだけ我儘を言いました』

海未『我儘なんてかつては考えられませんでしたが、私も変わったのでしょうか?』

海未『私と希は似ています。他人を考えず、自分本位の行動をしてしまう。なんて馬鹿なんだろうと未だに思います』

海未『そんな私からですが、一つ教えてあげましょう』

海未『絵里を大切にしてください』

海未『私はかつて穂乃果を殺めてしまいました。その時の私は私ではなかったかもしれません。でも、決して許されない罪』

海未『それを私は一生背負っていかなければなりません』

海未『……残していく海未にそれを強要してしまうことになります』

海未『それは希も一緒です。絵里を道連れにしたのはあなたではないかもしれません。でもそれもまた東條希です』

海未『あなたはその生涯を懸けて罪を償わなければなりません』

海未『他人が分からないなら、それはそれで良いです。大切なのは、絵里があなたにとって特別であること』

海未『私にとって穂乃果がそうであるように』

海未『あるいは死んだ方が楽だと思うこともあるかもしれません。でも、それを私たちは互いの特別な人に止められています』

海未『良いですか? 絵里を大切にするんです。それであなたは変わっていけるはずだから』

海未『さて、そろそろ時間です。願わくば、あなたが幸せで居続けることを──』


海未(さようなら、もう一人の私)

希「……もしかして、ウチとんでもない難問を残していかれた?」

海未「私もです」

希「あちゃー、互いに大変やね」

海未「……良いんじゃないですか? 結局、私たちは大変でないと、ついつい甘い死に逃げてしまいますから」

希「……せやね」

海未「希もだんだん他人のことが分かってきたんじゃありませんか?」

希「分からんのよ」

海未「そうですか。……それなら、とりあえず私たちは幸せだと思っていましょう」

希「きっと、いつか本物になるから?」

海未「やっぱり私と希は似ています」

希「……エリちだけはどうしても、拒絶できへんのよ」

海未「それはきっと恋ですね」

希「ぶっ!? う、海未ちゃん、真顔でそないなこと……」

海未「私はそうですから」

希「え……?」

海未「さあて、私たちもあっちに行きましょう。今日はパーティだそうですよ?」

希「え、……え?」

希(海未ちゃんに引っ張られていく。──きっとウチはこの先ずっとエリちにも同じことをされるのだろう)

希(そう思うと、少しだけ心があったかかった)

次で本当に最後になります

あとほんのちょっとだけお付き合いください

穂乃果(私たちは三年生になった。本当に長い長い間二年生をやっていたから、ちょっと実感が湧かない)

穂乃果(ニコちゃんたちとは卒業後も度々会っている。大学は高校と全然違っていて別の楽しさがあるんだそうだ)

穂乃果(絵里ちゃんはすっかり希ちゃんの女房役が板についてきている)

穂乃果(かつてはμ'sの母と呼ばれた希ちゃんは今やただの駄目夫である)

穂乃果(……お幸せに)


穂乃果(七度目の穂乃果は、海未ちゃんを助けるとすぐに消えてしまった)

穂乃果(彼女はそれが逃れられない運命だったのだと語る)

穂乃果(では私は六度目の私なのか? 実はよく分かっていない)

穂乃果(ただの穂乃果の記憶があれば、他の繰り返しの記憶もある。もちろん七度目も残っている)

穂乃果(だから本当に消えたのは六度目の私なのかもしれない)

穂乃果(それが正解なのか見当はずれなのか未だに答えは出ていない)

穂乃果(出なくても良い。これからの人生で少しずつ考えていくから)


ことり「穂乃果ちゃーん」

海未「穂乃果ー」


穂乃果(大切な親友が私を呼んでいる)

穂乃果(──今日も祝福に包まれた、幸せな一日が始まる)


──悲しみに二つの祝福を 終── May you be always surrounded with happy smiles!

これにて『穂乃果「悲しみに二つの祝福を」』は終了です

拙いことばかりでしたが、お付き合いいただき本当にありがとうございました

後でhtml化依頼を出しておきます

感想などいただけますと幸いです

それではまた機会がありましたら

乙です!
時の旅人といいループ物は面白いな
元ネタの方も気になって始めてみたよ

心残りでループした結果があれか
皮肉というかなんというか…巡り合わせが悪すぎたな

>>308
時の旅人とは随分と懐かしいゲームを
難易度は高かったですが、クリアした時の達成感は良かったですよね

>>309
本当にそうですね
それさえなければ5th Loopで終わっていたはずですからね


以下は蛇足と言う名の番外編です

*本編の設定をそのまま継承しています。Epilogue手前ぐらいの時系列です
*『結城友奈は勇者である』とのクロスです。11話までのネタバレがあります

クロス、蛇足が嫌いな方はここでスレを閉じることを推奨します

美森「まるで地獄じゃない!」

美森(私は世界の真実を知った)

美森(命からがら結界の中へと戻った私は、嘔吐する)

美森(考えなくちゃ……)

美森(考えなくちゃ。皆を救う方法を……!)

美森(そして、私は結論を出す)


美森(──神樹を殺してしまえば良い!)


美森「え……!?」

美森(結論を出した瞬間、景色が様変わりする)

美森(バーテックスと対峙する時に世界がゆっくりと変わっていく様子とは違う。本当に一瞬だった)

美森(見たことのない風景。……ここはどこ?)

美森(こんなに賑やかな街並みを私は知らない)

美森(いや、近代的であるという点では見慣れたものではあるのだが、何と言うのか活気が違うのだ)

美森?「ここはどこ?」

美森(無意識に漏れた声は私の声に似ていたが少し違っていた。そして、何より)

美森?「足が動く!? 左耳も元に戻っている!?」

美森(何が起きたと言うの!?)

美森(身体が正常に戻った感動よりも、得体の知れない現状が恐ろしい)

美森(私の身に何かが起きている! それは間違いない。でも、一体何が……?)

絵里「あら、海未じゃない? 奇遇ね」

美森(周りを見渡す。……この人、私に話しかけているの?)

絵里「ふふっ、穂乃果のお家におまんじゅうでも買いに行くのかしら?」

美森(目の前の綺麗な女性は、どうやら私に話しかけているようだった)

美森?「あ、あの……。私に話しかけているのでしょうか?」

絵里「……海未。またあなた一人で何かを抱えているの? また穂乃果にばかって言われるわよ」

美森?「うみ……? それが私の名前ですか?」

絵里「? ……えっ!? もしかして別人!? そ、そうよね世の中に似ている人は三人居るって言うし。
で、でも、どこからどう見ても──」

美森(……私の身に不可思議なことが起こっているのは確か。そして、この人は私の知り合いらしい。
失われた記憶の中の知人? それとも……)

希「エリち、お待たせ。おや、海未ちゃん……?」

絵里「あ、希! ええとね、どうやらこの人は海未のそっくりさんみたいなのよ」

美森(駆け寄ってきたこの優しげな雰囲気の女性は、どうやら目の前の美人と知り合いらしい)

希「そっくりさん? どう見ても……なるほどねぇ」

絵里「希?」

希「ウチらはどうにも不可思議なことに縁があるようやね。この子、身体は海未ちゃんで中身は別人やで」

絵里「へ……?」

美森「……そう言うことでしたか」

希「どうやら海未ちゃんに劣らず頭は回る子のようやね」

美森(私は想像以上に厄介なことに巻き込まれてしまったようだった)

美森(落ち着いて話をするために、三人でファミリーレストランへと入ることになった)

美森(私の知っているファミリーレストランよりも随分と豪華に見えた)

希「ウチは東條希。音ノ木坂学院の三年生でその身体の子の先輩や」

美森「私は東郷美森と申します。讃州中学校の二年生です」

希「美森ちゃん、ね。讃州ってことは四国の学校かな?」

美森「? はい。音ノ木坂学院と言うのは聞いたことがないのですが、四国のどの辺りになるのでしょうか?」

希「? 四国やないで」

美森「?」

絵里「あ、あの……私だけ置いてけぼりな気がするんだけど……」エリチカサビシイ

希「ああ、そやね。エリちも自己紹介してな」

絵里「よく分からないけど、私は絢瀬絵里、希と同じく音ノ木坂学院の三年生……海未のそっくりさんなのよね、希?」

希「さっきも言ったやん。身体は海未ちゃんで中身は別人、美森ちゃんやで」

絵里「全然理解できないんだけど」

希「穂乃果ちゃんの時のような不思議な現象が起きとるんよ」

絵里「……なるほど。少しだけ理解できたわ」

希「流石はかしこいかわいいエリーチカやで」

絵里「バカにしているでしょう?」

希「ウチ他人の気持ち分からへんねん」

絵里「もうっ」

書き続けるならHTML化依頼取り消すか新スレにしたほうがいいんじゃないの?

希「それじゃあ、自己紹介も済んだところでお互いの状況確認やね」

美森「……そうですね。何か根本的なところからズレているような気がします」

美森(他人の身体に私が入ってしまっているという状況に疑問はもちろんあるが、話が始まらないのでひとまず置いておく)

希「同意や」

美森(東條さんはおそらく私の立てたある仮説に辿り着いているのだろう。理解の色が見える)

希「まずは、穂乃果ちゃんの事例を参考に日付の確認やね。美森ちゃん、今はいつ? できれば正確に」

美森「はい。今は神世紀三百年×月○日です」

絵里「新世紀? えヴぁんげりおん?」

希「あちゃー。西暦ですらないんか。日付も滅茶苦茶やし」

美森「せ、西暦!? 今は西暦なんですかっ!?」

美森(西暦とは遥か昔に使われていた年号。東條さんの反応を見る限りここは西暦なの!?)

希「西暦は知っとるん?」

美森「はい。西暦は神世紀の前に使われていた年号です」

希「西暦と神世紀との大きな違いは?」

美森「私の知る限りですが、最大の違いは四国以外の国が全滅していることです」

絵里「全滅!?」

希「……なるほどね」

希「美森ちゃん。今は西暦二千×年○月△日。そして、ここは東京や」

美森「東京っ!?」

>>315
なるほど。そういうものが必要なんですね

新スレを立ててみます


穂乃果「園田海未は勇者である」
穂乃果「園田海未は勇者である」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419334303/)

上は番外編のスレになります

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