穂乃果「園田海未は勇者である」 (43)
前スレ『穂乃果「悲しみに二つの祝福を」』の番外編です
穂乃果「悲しみに二つの祝福を」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418874101/)
設定をそのまま引き継ぎますので、前スレを読んでいないと分からないと思います。
『結城友奈は勇者である』とのクロスです。11話までのネタバレがあります
前スレEpilogue手前ぐらいの時系列です
クロス、蛇足が嫌いな方はお勧めできません
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1419334303
美森「まるで地獄じゃない!」
美森(私は世界の真実を知った)
美森(命からがら結界の中へと戻った私は、嘔吐する)
美森(考えなくちゃ……)
美森(考えなくちゃ。皆を救う方法を……!)
美森(そして、私は結論を出す)
美森(──神樹を殺してしまえば良い!)
美森「え……!?」
美森(結論を出した瞬間、景色が様変わりする)
美森(バーテックスと対峙する時に世界がゆっくりと変わっていく様子とは違う。本当に一瞬だった)
美森(見たことのない風景。……ここはどこ?)
美森(こんなに賑やかな街並みを私は知らない)
美森(いや、近代的であるという点では見慣れたものではあるのだが、何と言うのか活気が違うのだ)
美森?「ここはどこ?」
美森(無意識に漏れた声は私の声に似ていたが少し違っていた。そして、何より)
美森?「足が動く!? 左耳も元に戻っている!?」
美森(何が起きたと言うの!?)
美森(身体が正常に戻った感動よりも、得体の知れない現状が恐ろしい)
美森(私の身に何かが起きている! それは間違いない。でも、一体何が……?)
絵里「あら、海未じゃない? 奇遇ね」
美森(周りを見渡す。……この人、私に話しかけているの?)
絵里「ふふっ、穂乃果のお家におまんじゅうでも買いに行くのかしら?」
美森(目の前の綺麗な女性は、どうやら私に話しかけているようだった)
美森?「あ、あの……。私に話しかけているのでしょうか?」
絵里「……海未。またあなた一人で何かを抱えているの? また穂乃果にばかって言われるわよ」
美森?「うみ……? それが私の名前ですか?」
絵里「? ……えっ!? もしかして別人!? そ、そうよね世の中に似ている人は三人居るって言うし。
で、でも、どこからどう見ても──」
美森(……私の身に不可思議なことが起こっているのは確か。そして、この人は私の知り合いらしい。
失われた記憶の中の知人? それとも……)
希「エリち、お待たせ。おや、海未ちゃん……?」
絵里「あ、希! ええとね、どうやらこの人は海未のそっくりさんみたいなのよ」
美森(駆け寄ってきたこの優しげな雰囲気の女性は、どうやら目の前の美人と知り合いらしい)
希「そっくりさん? どう見ても……なるほどねぇ」
絵里「希?」
希「ウチらはどうにも不可思議なことに縁があるようやね。この子、身体は海未ちゃんで中身は別人やで」
絵里「へ……?」
美森「……そう言うことでしたか」
希「どうやら海未ちゃんに劣らず頭は回る子のようやね」
美森(私は想像以上に厄介なことに巻き込まれてしまったようだった)
美森(落ち着いて話をするために、三人でファミリーレストランへと入ることになった)
美森(私の知っているファミリーレストランよりも随分と豪華に見えた)
希「ウチは東條希。音ノ木坂学院の三年生でその身体の子の先輩や」
美森「私は東郷美森と申します。讃州中学校の二年生です」
希「美森ちゃん、ね。讃州ってことは四国の学校かな?」
美森「? はい。音ノ木坂学院と言うのは聞いたことがないのですが、四国のどの辺りになるのでしょうか?」
希「? 四国やないで」
美森「?」
絵里「あ、あの……私だけ置いてけぼりな気がするんだけど……」エリチカサビシイ
希「ああ、そやね。エリちも自己紹介してな」
絵里「よく分からないけど、私は絢瀬絵里、希と同じく音ノ木坂学院の三年生……海未のそっくりさんなのよね、希?」
希「さっきも言ったやん。身体は海未ちゃんで中身は別人、美森ちゃんやで」
絵里「全然理解できないんだけど」
希「穂乃果ちゃんの時のような不思議な現象が起きとるんよ」
絵里「……なるほど。少しだけ理解できたわ」
希「流石はかしこいかわいいエリーチカやで」
絵里「バカにしているでしょう?」
希「ウチ他人の気持ち分からへんねん」
絵里「もうっ」
希「それじゃあ、自己紹介も済んだところでお互いの状況確認やね」
美森「……そうですね。何か根本的なところからズレているような気がします」
美森(他人の身体に私が入ってしまっているという状況に疑問はもちろんあるが、話が始まらないのでひとまず置いておく)
希「同意や」
美森(東條さんはおそらく私の立てたある仮説に辿り着いているのだろう。理解の色が見える)
希「まずは、穂乃果ちゃんの事例を参考に日付の確認やね。美森ちゃん、今はいつ? できれば正確に」
美森「はい。今は神世紀三百年×月○日です」
絵里「新世紀? えヴぁんげりおん?」
希「あちゃー。西暦ですらないんか。日付も滅茶苦茶やし」
美森「せ、西暦!? 今は西暦なんですかっ!?」
美森(西暦とは遥か昔に使われていた年号。東條さんの反応を見る限りここは西暦なの!?)
希「西暦は知っとるん?」
美森「はい。西暦は神世紀の前に使われていた年号です」
希「西暦と神世紀との大きな違いは?」
美森「私の知る限りですが、最大の違いは四国以外の国が全滅していることです」
絵里「全滅!?」
希「……なるほどね」
希「美森ちゃん。今は西暦二千×年○月△日。そして、ここは東京や」
美森「東京っ!?」
美森(歴史でしか知らない地名。私はそこに居る!? 夢でも見ているのかしら……)
希「タイムスリップ、ある意味で穂乃果ちゃんと同じやね」
絵里「で、でも希。海未がストレスでおかしくなっている可能性もあるんじゃない?」
希「確かに、海未ちゃんの過去を考えるとありえない話ではないんやけど……」
希「美森ちゃん。穂乃果ちゃんって知ってる?」
美森「いえ、全く面識のない方かと思われます」
美森(先ほどから話の所々で現れる穂乃果という人物。目の前の二人がこの不可思議なことに適応しているのは
その人が影響しているようだった)
希「確定やね」
絵里「……そうね。正直受け入れがたいけど、海未が穂乃果のことを忘れるなんて天地がなくなってもありえないわね」
希「他人が理解できないウチですら理解できる道理やね」
美森(……穂乃果さんって私にとっての友奈ちゃんみたいな人なのかしら)
絵里「はぁ。つくづく不思議なことが起こるわね」
希「最初にウチが言ったセリフやん」
絵里「私もようやう理解したと言いたいのよ」
希「それじゃ、後はエリちに任せるで」
絵里「? あなたが今まで仕切っていたんだから、そのままで良いんじゃない?」
希「ウチは合理的に考えるのは得意やけど、感情的なものが混じってくると無能やん?」
絵里「はいはい、分かりました」
絵里「ええと、東郷さん? 私たちとあなたのその身体の海未って子とはね、学年こそ違うけど親友と言っても良い間柄よ」
絵里「不安とか分からないことばかりだと思うけど、あなたの知っていること、そうね、あなたの半生を
私たちに教えてもらえるかしら」
絵里「きっとこの不可思議な現象への解決の糸口になるはずよ」
美森「……分かりました」
美森(信じられない話かもしれませんが、と私は前置きを置いて知る限りのことを語る)
美森(絢瀬さんは一言ごとに驚きを、勇者に関する話の時は感傷を見せはしたものの口をはさむことはなかった)
美森(反対に東條さんは相槌を打つのみで機械的だった。この人はもしかして……)
美森(そして、話は佳境に入り、私が神樹を殺そうと決心したことを話した)
美森「──以上です」
絵里「……あの、なんて言ったら良いのか……」
美森「大丈夫です。突飛な話であることは理解しています」
絵里「いえ、それは何となくだけど受け入れるわ。それ以上にあなたたちが……その不憫で……」
美森(真意は分からない。それでもこの人が私に同情してくれているのは理解できた)
美森(たったそれだけのことが何故か嬉しかった)
絵里「今度は私たちの番ね」ポチポチ
美森(そう言って絢瀬さんは語りだす。西暦の世界の常識、交友関係、μ'sというアイドルグループの結成、
そして、穂乃果さんを中心とした繰り返しの話)
美森「……」
美森(そうか、この人たちはその繰り返しをした人を知っているからこそ、この不可思議を受け入れている)
美森(それは私も同じなのかもしれない。勇者、そして世界の真の姿)
希「さて、お互いに状況は掴めたわけやけど、これからどうするか、やね」
絵里「私の家に穂乃果たちを呼んでおいたわ。まずはうちに向かいましょう」
希「話しながら妙に携帯をいじっているとは思っていたんやけど、皆を呼んでいたん?」
絵里「そうよ。穂乃果のした失敗は繰り返さない。それに、元々希は私の家に来る予定だったでしょう?」
希「そやったね。すっかり忘れてしまっていたわ」
美森「え、あの……」
美森(絢瀬さんの家に行く? 私も着いて行って良いのかしら?)
絵里「──凄いわよ。私たちの仲間は。きっとこの不可思議な現象にも答えを出せるはずよ」
美森(理由はない。心強い、ただそう思った)
美森(絢瀬さんの家は私の家とは反対で洋風のオシャレな家だった)
美森(家に入ると、絢瀬さんの妹さんがすでに他の全員が集まっていると教えてくれた)
美森(東條さんは勝手知ったる我が家のような足取りで、私は絢瀬さんの後ろを着いて行く)
美森(彼女の部屋にはすでに六人の女性が集まっており、まずは絢瀬さんから軽く事情の説明があり、
それぞれが自己紹介を行っていく)
美森(皆、戸惑いはあったが、絢瀬さんの言うことを真剣に聞いていたことから互いの信頼関係が伺われる)
美森(そして、自己紹介は最後の一人となる。ツーテールのその姿は誰かに似ていた)
美森(私の自己紹介の時に妙な反応を示したのも彼女だった)
にこ「東郷、美森ね」
美森(え? この人は……!?)
にこ「まさかこんなところで会うとは思わなかったわ」
美森(うそ……。でも、まさかっ……!)
にこ「久しぶりね、東郷」
にこ「私は矢澤にこ。かつて、三好夏凜と呼ばれていた勇──いえ、あんたの友達よ」
ごめんなさい、書かないと言っていながらアイデアが止まらなくて新スレを立ててしまいました
蛇足感ただよっているかもしれませんが、付き合える方はお付きあいください
ゆゆゆの最終回前までには終わらせる予定です
前のSSから読んでたよー
期待
>>13
どうもです
一気に最後までいきます
美森「夏凛ちゃん、なの……?」
にこ「はぁ、どうやらそのようね」
美森(どこか他人事な矢澤さんと名乗った夏凛ちゃんの声。本当に夏凛ちゃんなの?)
絵里「えっ!? ニコまでタイムスリップしていたの?」
凛「穂乃果ちゃんのこと、水臭いって言って怒っていたのに、それはないんじゃないかにゃ?」
ことり「わたし全然気付かなかったよ……」
穂乃果「……ニコちゃん。たぶん、理由があるよね?」
美森(……この人が穂乃果さん。この中で明らかに一人だけ雰囲気が違う)
美森(一言発しただけなのに、私は一瞬動揺を忘れ、他の人たちも理解の色を示す)
美森(友奈ちゃんも成長したらこの人のようになるのだろうか?)
にこ「正解。正直、ニコも東郷美森なんて名前を聞くまで夢のようにしか思っていなかったわけだし」
花陽「夢、ですか……?」
にこ「そう夢。あんた達は前世の記憶ってある?」
真姫「……ある人の方が稀だろうし、前世自体存在があやふやなものよ」
にこ「そう、真姫ちゃんの言う通り。ニコはどっちかって言うと前世否定派」
にこ「だから、生まれた時からあった勇者の記憶を夢としか思っていなかったのよ」
にこ「だってそうでしょう? 勇者? バーテックス? 四国以外が全滅している? フィクションの中の世界じゃない?」
穂乃果「……私も一回目の繰り返しの時はそう思ったよ」
にこ「でしょ?」
にこ「そんなわけで一瞬前まではフィクションとか夢でしかなかったのよ」
にこ「……でも、海未ちゃんは東郷と名乗った。絵里がした説明も異常なまでにニコの夢と一致している」
にこ「観念するしかないじゃない。ニコが三好夏凜だったって、ね」
美森「……それじゃ、夏凛ちゃんは生まれた時からこの過去の世界に居たのね……」
にこ「そういうこと。ただ、たぶん、あんたが居た時よりも少し後から夏凛は来ている」
にこ「ねぇ、東郷。あんた、神樹様を殺そうと考えているでしょう?」
美森「!?」
にこ「正解ね。ニコはね、あんたが結界の壁を壊して、神樹様を殺そうとしているところを見ているのよ」
美森(それは、つまり……夏凛ちゃんはあの世界の結果を知っている!?)
にこ「残念。未来がどうなったかニコが知っていると思ったんでしょうが、知らないわよ」
にこ「……夏凛は満開を四度し、まぁ、色々持ってかれて、最後に友奈と思われる人に言葉をかけて、そこで夏凛の記憶はお終い」
美森「え……? それは……」
美森(勇者は決して死ぬことはないはずだ。度重なる試行でそれは判明している)
にこ「いや、あんたね、演技でもないこと考えてんじゃないわよ!」
にこ「たぶん、夏凛は死んでいない。だけど、ニコはそこまでの記憶しか持っていない。ただそれだけよ」
にこ「あ、ちなみに夏凛の経験から言うとね、あんた馬鹿なことは考えない方が良いわよ?」
にこ「讃州中学勇者部全員であんたを止めることになるから」
美森(──っ!?)
美森「そ、それじゃあ、どうすれば皆を救えるっていうの!?」
にこ「……分かんない。でも、あんたのやり方じゃ、友奈も死ぬわよ」
美森「でも、それが救いに──」
穂乃果「死は救いじゃないよ」
美森「……え?」
穂乃果「死はね、時には甘美で、時には地獄。本人にとっては救いとなりえるかもしれない。でもね──」
穂乃果「残された人には悲しみしか残らないの」
美森「……それじゃ、どうすれ、ば……良いって、言うの……」
穂乃果「ごめんなさい、私はあなたの世界の人ではないから本当の意味であなたに助言を与えることはできないの」
穂乃果「でもね、これでも私は精神的にはアラサーなんだ。少しくらい良いことは言えるよ」
美森(……アラサーってなに……?)
穂乃果「仲間に、友達に相談しなさい。それが一つの真理だよ!」
美森(……友達に、相談……?)
にこ「東郷! 勇者部五箇条! ひとぉーつ!」
美森(言いなさいと夏凛ちゃんは目で言っている)
美森「……挨拶は、きちんと」
にこ「ひとーつっ!」
美森「なるべく、諦め、ない……」
にこ「あんた諦めてんじゃないの! 失格! 次!」
美森「よく寝て、……よく食べる……」
にこ「もひとっつ!」
美森「なやんだら……そう……だ、ん……!?」
にこ「あんた夏凛よりも勇者部長いんでしょ? 忘れてんじゃないわよ!」
にこ「そして、大抵なんとかなる! んだから!」
穂乃果「良い五箇条だね」
にこ「あったりまえよ! 私が居た勇者部よ?」
穂乃果「納得だね。……それじゃあ、ニコちゃん、美森ちゃん。まずは私たちに話せる限り説明をしてみて」
穂乃果「悩んだら相談だよ!」
美森(私は情けないほど涙を流しながら、時折夏凛ちゃんが補足をして、長い、長い時間私たち勇者部の現状を話していた)
真姫「……なるほどね。最悪の状況なわけね」
絵里「穂乃果の言葉を否定したくはないけど、確かに死が救いになる考えも分からなくないわ」
花陽「そんな、……あんまりです……」
ことり「……ひどい……」
穂乃果「……真姫ちゃん、解決策はありそう?」
美森(私の話に悲壮漂う中、穂乃果さんだけは落ち着きを崩さない)
真姫「……そうね。凛ちゃん、ことりちゃん、花陽ちゃん、あなた達はどうすれば良いと思う?」
凛「たらい回しだにゃ!」
真姫「良いから答えなさい」
凛「むー、ばーなんとかを全滅させれば解決だにゃ」
花陽「私はその……バーテックスさんと話し合いで解決はできないの、かなって思うんだけど」
ことり「わたしも花陽ちゃんの意見に賛成、かな」
真姫「良い? 東郷さん。これがバカと優しい人の回答よ」
凛「誰がバカだにゃ!」
真姫「にゃーにゃーうるさい奴よ」
凛「ひどいにゃ!」
花陽「あはは……」
真姫「希ちゃんはどうすれば良いと思う?」
希「ウチ? ウチかぁ……。神樹って言うのが今一つよう分からんけど、いっそ壊して自分が神樹にでもなったらええんちゃう?」
真姫「これが他人のことをよく分かっていない人の答え」
希「良い考えだと思うんやけどな」
真姫「絵里ちゃんは?」
絵里「私? 真姫と同じ答えよ」
真姫「穂乃果ちゃんは?」
穂乃果「私も真姫ちゃんと同じ考え」
凛「真姫ちゃん、自分の考えを言っていないよ?」
絵里「それ以外の回答を皆が出してくれたから、消去法なのよ」
穂乃果「そうだね。消去法」
花陽「?」
真姫「まず大前提として、その大赦っていう人たちはあなたが言うほど信じられないものなの?」
美森「……大赦は私たちを騙して、供物にしました。信じられるはずがありません」
真姫「ニコちゃんは?」
にこ「……あー、東郷の気持ちも分かるんだけど、夏凛としては信じたい気持ちはあるのよね」
にこ「確かに夏凛は道具として使われた。それは変わらない。でも、世界を四国を守るっていう点で言えばとても誠実だったのよ」
美森「私たちを供物にして良い理由にはなりません!」
にこ「それも分かるわよ! ……でも、秘密にしていたのは勇者になれなくなると困るからだったようにも思うの」
にこ「実際、友奈は気持ちが揺らいだせいで変身できなくなっていたみたいだし」
絵里「あと、私の勝手な推論だけど、本当に失った身体の機能は戻ってこないの?」
絵里「大赦はいずれ治るって返答していたんでしょう?」
美森「……乃木園子は、先代の勇者は身体がボロボロでした……あれを見て、大赦のそんな言葉を信じられるはずが、ありません」
穂乃果「その結果、美森ちゃんは神樹様を破壊しようとしたんだね?」
美森「……はい」
穂乃果「美森ちゃん、甘いね」
美森「え……?」
穂乃果「一手足りないよ?」
真姫「そうね、一手忘れているわよ」
絵里「私も東郷さんの立場だったら、同じことをしていたかもしれない。でもね、下準備はするわよ?」
美森(え? この人たちは何を言いたいの? 分からない)
穂乃果「私だったら壊す前に大赦の人たちを脅すかな?」
絵里「そうね。真実を教えてください。教えないと神樹様を殺します。こんなところかしらね?」
真姫「つまりはね、情報があまりにも公平じゃないのよ」
真姫「東郷さんは大赦を信用できなくなっている。それは何故?」
美森「大赦が、真実を隠しているからです」
真姫「正解。だから、疑心暗鬼になって最悪の手段を選ぼうとする」
絵里「それならいっそのこと、本気で神樹様を殺すつもりで大赦に脅しをかけなさい」
絵里「それでも、だんまりを決めるようであれば東郷さんの好きなようにすればいい」
穂乃果「もっとも、勇者部の皆に相談してからだけどね」
美森(穂乃果さんの微笑みが私の心の闇を照らす)
美森(ああ、そうか。私は、私はこの答えを得るためにここに来たんだ……)
美森(どうしてか、それを理解した)
海未(それではお別れですね)
美森(あなたは?)
海未(私の名前は園田海未。この身体の持ち主……とは少し違いますね)
美森(?)
海未(あなたが理解する必要はありません。この世界で得た答えを持って帰ってくれさえすれば良いのです)
美森(……ありがとうございました)
海未(……ふふっ、あなたと私は似ていますね)
美森(え……?)
海未(親友は末永く大切にしてください。かけがえのない宝物ですから)
美森(……はい)
海未(それでは、あなたに幸せが待っていますように)
美森(意識が急激に遠くなっていく。刹那に見たのは夢か幻か)
美森(いえ、夢でも幻でも構わないわ。あの世界の方々には多謝を)
美森(友奈ちゃん)
美森(まずはあなたに相談するね)
美森(そして、私は私の世界へと帰ったのだった)
海未「──はて?」
穂乃果「どうしたの? 東郷さん?」
海未「……ああ、なるほど。理解しました」
絵里「もしかして、元の海未?」
海未「はい」
にこ「はぁ、東郷の奴、夏凛を置いていっちゃってまぁ」
真姫「ニコちゃんはニコちゃんでしょう?」
にこ「……分かってるじゃない、真姫ちゃん」
凛「よく分からないけどハッピーエンドだにゃ」
花陽「私、話についていけてませんでした……」
ことり「わたしもだよ……」
希「結果がどうなるか分からんけど、きっと上手くいくんやろな」
穂乃果「おかえり、海未ちゃん」
海未「ただいま、穂乃果」
海未「そうそう、あっちの世界で一つ良い言葉を学んできました」
穂乃果「たぶん、分かるよ」
海未「本当ですか?」
穂乃果「うん」
穂乃果・海未『悩んだら相談!』
穂乃果(海未ちゃんはきっとあっちの世界じゃ、こう言われていたんだろうな)
穂乃果「園田海未は勇者である」
穂乃果(てね)
──園田海未は勇者である 終──
これにて番外編終了です
にこ=夏凛は本編の段階で構想していました。3rd Loopでのセリフは夏凛ぽさが加わっています
なお、ラブライブ!の呼称に関してはwikiを見ながら書いていたのですが、見る度に変わっている
と言うか違うところを見ていたのかかなりバラバラになってしまいました
アニメとの違和感をずっと抱いてはいたのですが、今更の話です
ゆゆゆの悩んだら相談は本当に人生の真理だと思います
ゆゆゆはハッピーエンドを迎えると信じて、これにて終了いたします
では機会があれば、賢い穂乃果編でお会いしましょう
眠れないのでちょっと投下
凛「凛もかしこくなりたいにゃ!」
ことり「え、ええと……」
花陽「凛ちゃん、どういうこと?」
凛「……南ことりさん、小泉花陽さん、二人を呼んだのはええと……アレにゃ!」
花陽「意味が分からないよ、凛ちゃん」
ことり「なんでフルネーム?」
凛「μ'sは今危機を迎えているの!」
花陽「え、大変だよ!?」
ことり「……花陽ちゃん、素直過ぎるよ……」
ことり「ええと、凛ちゃん。危機ってどういうこと?」
凛「よくぞ聞いてくれたにゃ」
凛「かしこい組の勢力が大きくなっているにゃ!」デデーン
ことり・花陽「?」
花陽「賢い組って何?」
凛「決まってるにゃ。真姫ちゃん、穂乃果ちゃん、絵里ちゃんにゃ!」
ことり「? 確かに皆賢いけど、勢力って何だろう?」
凛「この三人は確かにかしこい! それは凛も認めるにゃ」
凛「でも、かしこくない組がもうこの三人しかいないのが問題なの!」
ことり(え? わたし賢くない組なの!?)
花陽(凛ちゃんの言っていることが理解できる自分が悲しいよぅ……)
凛「まず一人一人言っていくにゃ」
ことり(そう言えば、真姫ちゃんが凛ちゃんのことにゃーにゃー言っていて賢くないって言ってたような)
凛「真姫ちゃん。超かしこい。終わり」
花陽「凛ちゃん、その説明が賢くないよう!」
凛「あとがつっかえているので良いにゃ。次、穂乃果ちゃん」
凛「精神年齢アラフォー。だからかしこい。以上」
花陽(この間、穂乃果ちゃんアラサーだって言っていたよね?)
ことり(昔の穂乃果ちゃんを二人に見せてあげたいな)
凛「次。絵里ちゃん。元生徒会長、成績も優秀。うらやましいにゃ!」
花陽(分かります)
ことり(ちーずけーきもりのなか♪)
凛「次は準かしこい組にゃ」
花陽「え、誰?」
凛「海未ちゃんと希ちゃんにゃ!」
ことり(それは分かる気がする。ある意味怖い二人組だしね)
凛「なんか頭が良いような気がするにゃ」
花陽「言いたいことは分かるけど、それじゃあ、凛ちゃんがかしこく見えないよぅ」
凛「悪巧みしてそうにゃ。怒らせると怖いにゃ。ぶっちゃけ、いつも怖いにゃ」
ことり(賢いとはもう別の話だよね)
ことり「あれ? ニコちゃんは?」
凛「……ああ、矢澤さんね」
花陽「さん付け!?」
凛「実は矢澤さんもこの会合に誘ったにゃ」
ことり(これ会合だったんだね)
花陽(なんか頭がよさそうに聞こえるから会合って使ったんだね)
凛「矢澤さんは言いました。『良い? 凛。賢いとか賢くないとかニコはどうでも良いと思うわ。
大事なのは、自分らしくあって、他人に迷惑をかけないこと。それが本当の賢さなんじゃないの?』と」
花陽(ニコちゃん、大人だね……)
ことり(やっぱり天使だったんだ)
──その頃、賢い組はと言うと
絵里「穂乃果、本当に三百年後の未来は四国以外に全滅しているのかしら」
穂乃果「肯定材料は多いからね。海未ちゃんは見てきたんだよね? どうだった?」
海未「そうですね……結界の中は私たちの日常とそれほど変わりありません。ただ、結界を出ると地獄がありました」
にこ「バーテックスの大群と、何か炎みたいに燃え盛る天地ね」
絵里「太陽になる寸前みたいな光景ね」
海未「実際そうなのかもしれません。星の寿命というやつですね」
穂乃果「そうなった原因は分かるの?」
にこ「公ではウイルスということになっていたけど、実際はバーテックスが原因よね」
海未「バーテックスはどうも神と呼ばれる存在が作ったものらしいです」
絵里「……神様の使い、ね。人はバベルの塔でも築いたのかしら?」
にこ「確か天にも届く塔を作っていたんだけど、神の怒りをかって言葉が互いに通じなくなるやつだっけ?」
希「そうやね。ニコっちの考え方で大体あっとる」
穂乃果「バベルの塔……」
海未「今の私たちで想像がつくとすれば、核戦争でも起きたのでしょう」
絵里「生態系が大きく狂い、人は神の怒りを買った。ありえそうね」
穂乃果「私たち個人でできることはたぶんほとんどない。けれど、そんな未来にはさせないという意思をもつことはできる」
にこ「そうね。千里の道も一歩から。なせば大抵何とかなるんだから!」
──戻って、かしこくない組
凛「そんなわけで気付くと、かしこくない組は三人に激減してしまったにゃ!」
凛「思えば『海未ちゃんが東郷さんになっちゃったよ事件』の話に取り残されていたのもこの三人にゃ」
ことり(うっ、それを言われると……)
花陽(私、賢くなかったんだ……)
凛「そんなわけで、かしこい人を呼んだにゃ。入るにゃ!」
ドア「……」
凛「あれ? 真姫ちゃん? かむひやー」
花陽「ドアを開けたら、手紙があったよ」
ことり「ええと……『付き合いきれないわ。真姫』」
凛「にゃっにゃー!? あっちょんぶりけ!」
ことり・花陽(あ、この凛ちゃんは賢くない)
真姫(はぁ、ことりちゃんと花陽ちゃんはともかく、凛ちゃんが賢くなる日は遠いわね)
──凛もかしこくなりたいにゃ! 終──
一応、アフターフォローな話です
あと、りんぱなの出番が少ないので
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