【DQⅠ~】姫「ねぇ、その仮面とってよ」仮面の者「……だが断る」 (13)


姫「なんで」

仮面の者「何でもだ」

姫「いーじゃん、減るものではないのだから」

仮面の者「色々減るから駄目だ」

姫「そう」

仮面の者「それより姫」

姫「何かしら」

仮面の者「大事な話があったんじゃないのか」



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姫「そうなのよね」

仮面の者「……」

姫「近々、私に一目惚れしたらしい男が見合いに来るそうなの」

仮面の者「興味があるのか」

姫「それはもう」

姫「この国が出来て以来、未だかつてないレベルで素行不良の私を嫁にしたいだなんて」

姫「どんなオジサマが来て下さるのかしら」

仮面の者「案外若者かもしれないが」

姫「ならいいけど」

仮面の者「いいのか」

姫「ただのボンボンなら私でも蹴散らせそうだもの」

仮面の者「……」


仮面の者「素行不良か」

姫「?」

仮面の者「この間、君が言っていただろう」

姫「ああ、それがどうかしたの?」

仮面の者「君の護衛兼話し相手になっているが、それほど悪いとは思えなくてな」

姫「王族だもの」

仮面の者「王族か、平民の出の俺からは想像も出来ないな」

姫「ふーん」

仮面の者「……」

姫「貴族じゃないのね」ボソッ

仮面の者「ん?」

姫「別に」


どの辺がDQ1?あとスレタイの発言に「だが断る」っておかしくね?

Ⅰ~Ⅱ間の物語ってことじゃね?


姫「それにね、私以外の兄や姉はもっと優秀だもの」

仮面の者「らしいが……それで君が不良にはならないだろ」

姫「1週間しか私の護衛してないと分からないのよ」

姫「話し方もそうだと思うでしょ」

仮面の者「それはまぁそうだが」

姫「魔法の才能も無いしね、私」

仮面の者「俺も無いぞ」

姫「私はムーンブルク王族だもの」


仮面の者「……そういうものか」





国王「仮面の者よ、我が娘はどうだね」

仮面の者「噂程では」

国王「ほう」

仮面の者「本人と会話している限りではそれほど悪い娘には思えません」

国王「その仮面を外したのか」

仮面の者「仮面を着けさせて欲しいと頼んだのは私ですが、何故そんなことを?」

国王「いや……あのうつけ娘め、顔が良い男を見ると本性を隠すのだ」

仮面の者「……」

国王「引き続き監視を頼むぞ」

国王「半年して、それでも貴公があれを……」

仮面の者「その話は一対一の際に」


仮面の者「先程からこちらの話に興味深く思う者がいるようですので」


国王「!」


国王「何をしているのだ、公爵!」


< カツッ

公爵「……いえ、最近見ない者が彷徨いていると聞いたので」


仮面の者「彼は?」

国王「ムーンブルク王家に代々『呪文』を伝えてくれている、書記官の役目もな」

仮面の者「国王の補佐、とは違いますか……他の国と違い、変わってますね」

国王「かつての古代呪文を事細かに伝えているのは我が国だけだ」

国王「今より約100年前、アレフガルドに現れた魔王……竜王の存在が、それの必要性を高めたのだ」

仮面の者「……」

国王「公爵の非礼は詫びよう、引き続き頼むぞ」

仮面の者「……」コクン


公爵「……」


仮面の者(ほぼ全ての魔法を習得している、ということか……)

仮面の者(なるほどな)


姫「私は貴方との勝負に勝ったわ」

姫「敗北は死に等しい、しかし慈悲深い私は貴方の命を救いましょう」

姫「悪い話ではないわよね?」

仮面の者「まぁ……そうだな」

姫「破格の条件として……そうね」




姫「その仮面とってよ」

仮面の者「……だが断る」





姫「ポーカーに勝ったのは私よ」

仮面の者「断る」

姫「何でよ、減るものではないのだからいいでしょう」

仮面の者「そもそも、イカサマを駆使して勝ったのは分かってるぞ」

姫「何のことかしら」

仮面の者「ジョーカーが十枚もあるのはどういう事だ」



姫「暇ねー」

仮面の者「暇……?」

姫「何よその顔は」

仮面の者「いや、今日も午前から夕方にかけて君は茶会に出席していたろう」

姫「それも含めて退屈よ」

仮面の者「楽しそうにしていたじゃないか」

姫「楽しんでると思う?」

仮面の者「……」

仮面の者「楽しそうだったが」

姫「分からないわよね、私の退屈なんて」


仮面の者「しかしもうすぐ晩餐だ、ラダトーム領の辺境伯が来る」

姫「あー、暇ね」

仮面の者「ラダトーム王家の『彼』も来るらしい」

仮面の者「『彼』とは何者なのか知らないが、知っているか?」

姫「!」

仮面の者(ん…?)


姫「スラリンじゃない! あの子が来るのね!?」ガタッ


仮面の者「す、スラリ…?」


姫「そこに座ってなさい! ほら、これよこれ……」ゴソゴソ…

仮面の者(本棚から何を……絵本…?)

姫「ロトの勇者と共に戦った英雄、スライムのスラリンよ!」

仮面の者(ロト伝説の……)

仮面の者「しかしその絵本は百年前の『竜王』と戦った勇者を元にしているんじゃなかったか」

仮面の者「詳しい事はまだわかってはいないものの、スライムの寿命ではもう生きてない筈だが」

姫「知らないのね、まぁこうして時々交流の機会がある時でしか姿を表さないから当然かしら」

仮面の者「本当にそのスライムなのか?」


姫「でなきゃ17年間もファンやってないわよ!」


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