響「親子ってなんだろう?」 (22)
響「(私は艦娘として、この世に第二の生を受けた)」
響「(元は駆逐艦、人間ではない、艦だ)」
響「(あの頃は戦争の兵器として、戦うことしかわからなかった)」
響「(見たものは波止場、そして海ばかり)」
響「(今は人間と同じ体を持ち、そして人間と同じように生活ができる)」
響「(今は深海棲艦との戦争が続いているが)」
響「(それでも平和な日々を過ごすことができていた)」
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※艦これSSです
雷「はいあなた、あーん」スッ
提督「あむ」パク
暁「もぅ! そうやって雷はいつも司令官を甘やかすんだから!」
電「まぁまぁ、仲が良くて良いことなのです」
響「・・・・・・」
響「(最近、ふと気になることがある)」
響「(私には暁、雷、電と、家族がいる)」
響「(みんな大切な姉妹だ)」
響「(しかし、両親はいない)」
響「(艦だった頃では、人間の手によって私は作られた)」
響「(艦娘になった私は、工廠で建造されて生まれた)」
響「(では、私の両親は資材なのか?)」
響「(そうは・・・思いたくない)」
響「(では、司令官が私の親なのか?)」
響「(父親? いや、司令官は司令官だ)」
響「(私達を勝利に導いてくれる、優秀な指揮官だ)」
響「・・・・・・」
響「(私には姉妹はいる)」
響「(しかし、両親がいない)」
響「(親子とは、どんなものなのだろうか?)」
響「」ペラ
本『』
響「・・・・・・」
響「(・・・中々難しい内容だ)」
響「(文として説明されたとしても、いまいちよくわからない)」
響「(血が繋がっていれば親子なのか、そうでなくても親子なのか)」
響「・・・・・・」
響「(さらに興味深いのが)」
響「(人間は母親から生まれてくるらしい)」
響「(母親が妊娠し、胎内で子供が成長し、やがて出産する)」
響「(そして、これが誕生するということらしい)」
響「(胎内・・・お腹の中のことか)」
響「(そこはどんなところなのだろうか?)」
響「(一体そこでどんなことを感じて、何をして過ごすのだろうか?)」
響「(本だけではわからない)」
響「(わからない)」
響「(わからない・・・)」
提督「」カキカキ
響「」カキカキ
提督「おっと・・・ここは・・・」カキカキ
響「」カキカキ
響「・・・・・・」
響「・・・司令官」
提督「ん? なんだ?」
響「親子って・・・どんなものなのかな?」
提督「え? 親子? いきなりどうしたんだ?」
響「いや・・・私には父親と母親というものがいないから」
響「どんなものなのかな・・・と」
提督「うーん・・・親子ねぇ・・・」
響「・・・・・・」
提督「そうだねぇ・・・強い絆で結ばれている」
提督「始まりから終わりまで、ずっと一緒にいる存在・・・かな?」
響「・・・? よく意味がわからないんだが・・・」
提督「すまんな、上手く伝えられないな」
提督「まぁ、大切な人であることは変わりないよ」
提督「俺のことを生んで、今まで大切に育ててきてくれた存在だからな」
響「ふーん・・・」
提督「傍から見れば、俺と響は親子に見られるかもしれないな」
響「そうなのかい?」
提督「顔は似ていないけどな、ははは!」
響「・・・・・・」
響「(私を育ててくれる存在・・・それが親なのか?)」
響「(では、今まで私の面倒を見てきてくれた司令官こそが)」
響「(私の親なのだろうか?)」
響「(でも血は繋がっていない、それどころか)」
響「(司令官は人間で、私は艦娘だ)」
響「(母親は? そもそも親というのは)」
響「(父親と母親が揃っていなければいけないのだろうか?)」
響「(・・・・・・)」
響「(私は人間として、この世に生まれてきてはいない)」
響「(だからわからない)」
響「(一体何が親子なのか)」
響「(親子は必ず仲が良いものなのか)」
響「(絶対に守るべき、大切な存在なのか)」
響「(どんなことを感じ、どんなことをして)」
響「(そしてどんな過程で育ち、私は成長していくのか)」
響「(わからない)」
響「(わからない)」
響「(わからない・・・)」
響「(・・・・・・)」
暁「響?」
響「?」
暁「大丈夫? 最近、なんだか難しい顔をしていることが多いけど」
響「あぁ・・・大丈夫だよ」
響「ちょっと気になることがあるだけだよ」
暁「そう・・・本当に大丈夫?」
響「うん、平気だよ」
暁「なら良いんだけど・・・」
響「暁は優しいね、私に気を遣ってくれて」
暁「あ、当り前よ! 暁はみんなのお姉さんなんだから!///」
響「ふふ・・・」ニコ
響「(・・・・・・)」
響「(気になる)」
響「(気になる)」
響「(どうしても気になってしまう)」
響「(段々自分がわからなくなってきた)」
響「(私は一体何者なのだろうか?)」
響「(艦娘はどうやって生まれるのだろうか?)」
響「(わからない・・・記憶がない・・・)」
響「(・・・・・・)」
響「(・・・頭が痛くなってきた)」
響「(・・・・・・)」
響「(・・・・・・・・・)」
見てます
支援
響ちゃんのキャビン吸ってきます
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ゴホ・・・・・・ プクプク・・・・・・
響「・・・・・・」
響「(あぁ・・・私は沈んでしまったんだ・・・)」
響「(結局、気になっていたこともわからないまま)」
響「(沈んでしまった・・・)」
響「(暁、雷、電、司令官・・・)」
響「(もう・・・会えないんだね・・・)」
響「(さようなら・・・)」
響「(・・・・・・)」
響「(このまま私は)」
響「(暗く、そして冷たい海の底へ)」
響「(沈んでいくのだろうか・・・?)」
響「(・・・・・・)」
響「(・・・?)」
響「(確かに・・・暗い)」
響「(でも、何故か悪くない)」
響「(とても落ち着く)」
響「(冷たい・・・? いや、冷たくない)」
響「(寧ろ温かい)」
響「(とても心地が良い・・・)」
響「(どうしてだろうか?)」
響「(私はこれから沈む・・・人間で言えば)」
響「(死ぬというのに・・・)」
響「(どうしてこんなに冷静でいられるのか)」
響「(どうしてこんなに落ち着くのか・・・)」
響「(なんだろう・・・)」
響「(この・・・全身が優しい何かで包み込まれるような感覚は・・・)」
響「(こんな感覚・・・初めてだ・・・)」
響「(あぁ・・・あぁ・・・良い・・・良い・・・とても気持ちが良い・・・)」
響「(・・・・・・)」
響「(・・・・・・・・・)」
響「(・・・・・・そうか)」
響「(やっとわかった・・・)」
響「(これがお腹の中なんだ・・・)」
響「(心地よい温かさの羊水に包み込まれ)」
響「(不思議にも落ち着く暗さの中に)」
響「(私はいるんだ・・・)」
響「(私は・・・これから生まれる・・・?)」
響「(何に生まれ変わるのだろうか・・・?)」
響「(・・・・・・)」
響「(・・・・・・・・・)」
響「(この青く、広い海は・・・)」
ヒビキ「(私の母だったんだ・・・・・・)」
『Abyssal Fleet ( 深海棲艦 ) END : 母なる海』
姉さんかな?
乙です
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