【観覧注意】「「………」」理樹「ひっ…ひぃ!誰か…助けて…!」 (99)

(注意)このssにはグロテスクな表現や暴力的なシーン並びに多分性的な場面が存在します。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431087563



理樹(それはちょうど連休頭の夜の頃だった…)




恭介「よし、ここで俺は聖騎士伝説の終幕を発動!」

謙吾「なにィ!?」

理樹(僕らは二度目の修学旅行から帰ってきたばかりだというのに恭介達のテンションが下がる気配は見えない)

真人「おい理樹!次俺たちもやろうぜっ」

理樹「うん」

コンコン

真人「ん?」

恭介「誰だか知らんが開いてるぜ」

ガチャ

小毬「こんばんわ~」

クド「こんばんわーなのですっ」

真人「クド公に神北じゃねーか。どうしたんだ?」

理樹(この時、初めから気付くべきだったんだ…彼女らの眼光が醜く濁っていたことを……)

小毬「うんっ、ゆいちゃんが理樹くんに用事があるんだって」

理樹「えっ、僕に?なんの?」

クド「それは来ヶ谷さんが直接伝えたいことらしいのですっ」

真人「怪しいな…もしかして告白か?」

謙吾「またデリカシーがないことを言うなお前は…」

理樹(真人はスルーするにしても確かに怪しい。確か以前似たようなことがあってお泊まり会とかなんとか言って女装させられたんだよなぁ…)

恭介「どうする理樹?どうなるか分からないのにわざわざあの来ヶ谷の所へ行くのか、俺たちと楽しい楽しいサタデーナイトフィーバーをフューチャーするのか」

理樹(僕は…)



・恭介達と遊ぶ
・2人についていく

説明するのを忘れていた!
次のレスの人が2つの選択肢のうちどちらかを選んでほしい

だろうとは思った1

理樹「ごめん、今は恭介達と遊…「来るよね?」

理樹「えっ…?」

理樹(小毬さんが僕にだけ聞こえるようにボソッと言った)

小毬「ここで来た方がいいと思うなぁ…だって理樹くんが卒業出来なくなっちゃうの嫌だもん」

理樹「そ、卒業って…なにが…」

小毬「……?」

理樹(なんでそんな分かりきったことを聞くのかという様な顔で小毬さんが小首を傾げた。僕はこの時刻まれた恐怖を誰にも理解してもらえることは出来ないだろう。何故ならば、はたから見ると小毬さんは何もおかしくなく、むしろ怯えている僕の方が異常だと見受けられるからだ)

理樹(しかし普段と違う小毬さんがそこにはいた。いや、小毬さんだけじゃない。何気にこの部屋から退路を塞いでいるクドも何かがおかしかった。具体的に挙げられる所はないが、それが一層怖かった)

理樹「あ……うん。じ、じゃあ行こうかな」

真人「え~っ行っちまうのかよ理樹~」

理樹「あっ、あはは!ごめんねっ」

小毬「よぅし。そうとなればいざ女子寮へいきましょーっ」

クド「レッツゴー!」



恭介「………」

バタンッ

真人「やれやれ、理樹は相変わらずモテモテですなあ」

恭介「……おい、今のどう思う?」

謙吾「恭介も気付いていたか」

真人「えっ、なにが?」









女子寮

理樹(僕は男子寮を出た途端に目隠しをされていた。もちろん2人はまったく暴力を振るわず、いつも通りの口調で言ったんだ『目をつぶって?』…抵抗が出来ない。いくら怖いと言ってもあの小毬さんとクドだ。なにか少しでもおかしなことに気付いたら自力で逃げられる)

小毬「ふう、着いたよ理樹くん」

理樹(視覚と、2人の手によって拘束された両腕が解放された)

理樹「言っておくけど用が済んだら絶対すぐ帰…」

理樹(バチバチ。ライターの発火音にも似た『それ』がクドの小さな手に握られていた)

クド「わふー。リキには悪いのですが少し寝ててもらいますっ。ハバナイスデー!」

理樹「ぐっ…」

バタン

理樹(気絶する瞬間、克服したはずの難病、ナルコレプシーで度々訪れる暗闇を思い出した)

真人「気付いてたってなんのことだよ?」

恭介「さっきの小毬と能美…なにか普段と様子が違ってなかったか?」

謙吾「俺は……何か良くないことが理樹に襲いかかる気がする…」

真人「なんだと!?よく分からねえが理樹が大変なのかっ!」

恭介「まだそうと決まった訳じゃないが間違いではないだろう」

謙吾「様子を見に行くか?」

恭介「まてまて、もしかしたら本当にただの杞憂かも知れないだろ?だから女子寮の人間に様子を見に行ってもらおう。おそらくまた鈴の部屋に理樹はいるはずだ」

真人「誰を送る?」

恭介「そうだな…あの2人が来たってことはリトルバスターズは全員あてにならない。だからここはあまり面識はないが…」


・笹瀬川に頼もう
・二木に頼もう

今日はこれにて

二木

>>10

恭介「二木に頼もう。今は役目を終えたが風紀委員だった時のコネはまだあるはずだ」

謙吾「ああ。理樹のことは無理やり連れて行かれたとでも言っておけばなんとかなるはずだ…やむを得まい」

恭介「謙吾。お前あいつの電話番号知ってるか?確か同じ剣道部なんだろ?」

謙吾「元、剣道部だがな。あいにく持ち合わせていない」

恭介「しょうがねえ、二木はあっちの寮長と仲良かったはずだからウチの寮長経由で伝えよう」

…………
……

?階?部屋

理樹「う、うう……」

理樹(頭がチカチカする。昔見たアニメでは、よく気絶すると頭の上に星が回る描写が出てくるが、まさにそんな感じだった)

「………♪」

(声。声が聞こえる)

「…今日はくもりのちあめー…」

(単調なメロディ)

「ねこねこ、うたうー」

(けれど楽しそうに)

「のきしたはくらい、輪のしたはこわい、くさばはつめたい。ねこねこ、うたうー」

「明日はあめのちはれー…」

理樹「…り、鈴?…その声は…」

理樹(ボヤけていた視界が徐々に鮮明になっていく)

鈴「…ん?」

理樹(鈴は歌うのを止めて僕の方を見た)

鈴「起きた?」

理樹「うん…起きた…」

理樹(鈴の表情はちょうど影が差してよく分からなかった)

鈴「もしもしくるがや。理樹が起きた、オーバー」

理樹「今…なんて…?」

鈴「くるがやに見張れって言われたんだ。それから起きたら電話しろって」

理樹「そ、そうだ…僕はクド達に襲われて…!」

グンッ

理樹「なっ…」

理樹(僕は間抜けにもこの時やっと自分が置かれた状況に気付いた。四足がロープで縛られ、身動きが取れなくなっていたのだ)

鈴「あーそれな。逃げ出さないために小毬ちゃんとクドとあたしで頑張った!」

理樹(えへんと胸を張る鈴。視界は良好。やっと見えた鈴の瞳は…やはり濁っていた)

理樹「こ、ここから出してよ…なんで僕は捕まってるのさ!?」

鈴「んー?それはな、お前が…」

コンコン

『鈴ちゃーん。お客さんだよーっ』

鈴「分かった」

理樹(もう少しというところで鈴はお客さんとやらを迎えに行ってしまった)

理樹「なんだよこれ…なにがどうなってるんだっ!」

理樹(断片的にしか情報を与えられないもどかしさ。とにかく、こうなってしまったきっかけがなんであれ脱出しなければならないのは分かる。ああ…こんな時に恭介たちがいたなら!)

……………
……




佳奈多、クド部屋

佳奈多「それにしてもクドリャフカったら遅いわね…出かけてくるだなんて言ってからずいぶん経つじゃない」

コンコン

佳奈多「噂をすれば…」

ガチャ

佳奈多「こんな時間にどこをほっつき歩…」

寮長「あら、能美さんかと思った?私もまだまだ若いってことかしら…」

佳奈多「あ、あーちゃん先輩?」

寮長「突然だけどあなたに棗くんから電話よ。なんでも急な用事なんですって。あとで私にも用件教えてねん」

佳奈多「棗先輩が…?」

ピッ

恭介『もしもし?』

佳奈多「いったいどうされたんですか?」

恭介『理樹の身が危ないかもしれない』

佳奈多「は?」





恭介『~~という訳なんだ』

佳奈多「はぁ…あきれた。そんなくだらないことに付き合わせないでください」

恭介『まあそう言わないでくれ。ほら、いつか理樹を手伝いに向かわせたことがあっただろ?その時の恩返しにちょっと様子を見るだけでいい』

佳奈多「それはそれ、これはこれです!まったく、バカバカしい……」

恭介『どうしても行かないんだな?』

佳奈多「本当に居たとしてもどうせ直枝には何も出来ないでしょうし泊まるわけじゃないなら…」

恭介『理樹はロリだ』

佳奈多「行ってきます」

3階廊下

佳奈多「まさかとは思うけどもしクドリャフカに何かあったら…!」

ドンッ

佳奈多「きゃっ」

クド「わふっ」

小毬「あれぇ、どうしたのクーちゃん?」

佳奈多「…ってクドリャフカと神北さんじゃない!…よかった、直枝に襲われてないのね」

クド「わふー?リキがどうかしましたか?」

佳奈多「ええ。さっき棗先輩から聞いたんだけど~~」




あーちゃん先輩部屋

あーちゃん「さっきはすんごい形相で携帯帰されたけど何かあったのかしら?…にゅふふ、面白そうな匂いがするわね!」

コンコン

あーちゃん「はーい?」

ガチャ



来ヶ谷「や、どうも」



あーちゃん「!?」

…………
……





佳奈多「~~なんて言われてね。もちろんあなたたちがおかしくなったなんて信じてなかったけど彼がこの寮にいるのが本当なら放置しておけないわ。今から確かめに…」

クド「わふー…そのまま大人しく帰ってくれればそこまで手荒な真似はしなくて済んだのですが…リキに近付くなら仕方がありませんね」

佳奈多「えっ?」

クルッ

クド「ごめんなさい、佳奈多さん」

バチバチッ

理樹(鈴が戻ってきた。ズルズルと何かを引きずる音が聞こえる)

鈴「こいつ重いな…よいしょ」

バタンッ

佳奈多「………」

理樹「ふっ、二木さん!?」

理樹(哀れにも二木さんがパジャマ姿で僕の横に置かれた。どうやら彼女も僕と同じ方法で気絶させられたようだ)

鈴「なんでもこいつはお前を帰らせようとしたらしいからな。邪魔になるから気絶させたらしい」

理樹「どうしてそんなことを!」

プルルルル

理樹(質問には答えず、鈴はまた電話を取った)

鈴「もしもし…ああ、くるがやか。…うん、さっき変な奴が来たから今から縛っておくところ…うん?……分かった」

理樹「く、来ヶ谷さんはなんて?」

鈴「悪いが理樹、お前にはまだ構ってやれない。来ヶ谷がさっさと仕掛けを手伝ってほしいらしいからな」

理樹「仕掛けって?」

鈴「よーさいの」

理樹「よーさい?」

理樹(聞き直そうと思ったが鈴は既に部屋を出て行ってしまった)

理樹「本当…わけが分からないよ……恭介…真人…謙吾……助けてっ!」

理樹、真人部屋

真人「聞こえる…俺には理樹が助けを呼ぶ声が聞こえるぞ!」

謙吾「テレパシーでも受け取ったのか?」

真人「いいや、そんな不可思議なもんじゃねえ。筋肉の鼓動だ」

謙吾「それの上をいく不可思議な物なぞあってたまるか」

恭介「……それにしても二木からの連絡が来ないな…」

謙吾「ああ、もう15分は経っている…異常だ」

真人「行くしかねぇ!理樹を奪還しに行こうぜっっ!!」

恭介「ああ。無謀だがそれしかないらしいな……だが危険だぜ?」

謙吾・真人「「危険なんか!」」

恭介「よく言った。よし、善は急げだ…早速向かいに行くぞ!」



男子寮玄関

ダダダッ!

バイオ田中「あ、おい棗!ちょっと待ってくれ!」

恭介「なんだ?これから俺たちは忙しいんだ」

バイオ田中「聞いてくれ!実は私のバイオクッキーが無くなっていて…」

恭介「んなもんこいつが解決したら片付けてやるから待ってろ!」

バイオ田中「そ、そんな!……くっ、この薄情者ーっ!」

ダダダッ!

カチ…カチ…

理樹(あれからどれほど経ったんだろう…鈴が出て行ってから、助けがくるどころか部屋の前を誰も通る気配がしない。このままだといったい何をされるのか…)

佳奈多「うっ……」

理樹「ふ、二木さん!よかった…意識を取り戻したんだねっ」

佳奈多「その声は…直枝…?」

理樹「うんっ、二木さんもクド達に!?」

佳奈多「……認めたくはないけれどその通りよ…まさかあの子が…」

理樹「今は誰も信じられないよ…立てる?」

佳奈多「え、ええ…なんとか」

理樹(二木さんのダメージは思ったより浅そうだったので安心した)

佳奈多「それにしてもまさか棗先輩の言うことが本当だったなんて…」

理樹「えっ?」

佳奈多「あの人たち見越してたのよ。神北さん達の様子が変であなたが危険かもしれないって」

理樹「恭介たちが…」

佳奈多「あれから一度も連絡してないからあの様子だと多分自分たちで乗り込んでくるわよ」

理樹「そうなら安心なんだけど…」

佳奈多「いいえ、そうも言ってられないわ。もしかしたらまたあの子達がきて私たちを縛って助けもこないような所へ移動させるかも…待ってて、とにかく今この紐をといてあげる」



ファサ

佳奈多「はい」

理樹「ありがとう、助かったよ」

理樹(今は僕が知ってる鈴たちじゃないことは明らかだ。ならば何をしてくるか分からない…だけど変に動いて恭介たちとすれ違いになるのも危険な気がする。僕はどうしよう?)


・ここに残る
・部屋を出る

出る

理樹「二木さんの言う通りここから出た方が良さそうだね。その前に、二木さんは携帯か何か持ってきてない?僕は取られちゃったんだけど外の人にこの状況を知らせられたら…」

佳奈多「こんな格好でそんなもの持ってきてると思う?探しに行くだけでもちょっと恥ずかしかったのにっ」

理樹「あ…」

佳奈多「とにかく行きましょう」

理樹「そ、そうだね…」

理樹(と、ドアを開けたその時だった)

バンッ

佳奈多「キャッ!?」

理樹「うわっ」

理樹(明かりが消えた。部屋の中だけじゃない、廊下中…いや、この様子だと寮全体の電灯が消えたようだ)

佳奈多「消灯にはまだ早い…まさか停電!?」

ピンポンパンポーン

来ヶ谷『ごほん…みんな聞こえているかね?』

理樹「この声は……!!」

【プロローグ終了】

ピンポンパンポーン

来ヶ谷『ごほん…みんな聞こえているかね?』

理樹「この声は……!!」

来ヶ谷『突然の停電にびっくりしたかな?まあ心配しないでくれ、これは私が故意にしたことだ。落ち着いて慌てずゆっくり寝たまえ』

佳奈多「これ…すべての部屋に放送してるようね」

来ヶ谷『なに、眠れない?はっはっはっ。残念だが君達には寝てもらうしかないのだよ、何故なら君らのドアはすべて既に開かないよう細工してあるはずだからな』

理樹(隣の部屋のドアを手探りで触ってみると確かに何か金属のプレートをドライバーでがっちりと締めていた)

ガンガンッ

『これはどういうことよっ!』

『誰か開けてー!』

理樹(そこらからドアを叩く音が聞こえる…)

来ヶ谷『何故こうしたのか。理由を教えてやろう……我々はこの女子寮を占拠する!』

理樹「なっ…」

来ヶ谷『いいや、占拠した。と言った方が正しいかな?まあ潜伏期間はそう長くない、私たちはあるものの為にここをユートピアとするのだ。それらを完全なものにするため、君らにはしばらく人質となってもらう』

佳奈多「人質…ですって…?」

来ヶ谷『君らに伝えることは以上だ。近々おって指示を与える』

ブツッ

理樹「占領だなんて…そんなの出来っこないよ!」

佳奈多「いいえ、多分もう来ヶ谷さんたちの計画はほぼ完成しているわ。何故なら今、寮の放送室を占領出来ているということは鍵を持っている寮母さんが彼女らの支配下にあるということだから」

理樹「そんな…でも警察や学校の先生が来たら……はっ!」



鈴『悪いが理樹、お前にはまだ構ってやれない。来ヶ谷がさっさと仕掛けを手伝ってほしいらしいからな』

理樹『仕掛けって?』

鈴『よーさいの』

理樹『よーさい?』


理樹(そうか…あの時言っていたのは『要塞』だったのか!)

理樹「ということは、なおさら今のうちに奪取しないと危ない…異変に気付いた人たちがここへ近付いて犠牲になるかもしれないよ!」

佳奈多「……分かった、ちょっと待ってて」

理樹(そう言って二木さんは部屋に戻ると何かを持って帰ってきた)

理樹「それは?」

カチッ

理樹「わっ」

佳奈多「ライトよ。各部屋には一人につき1つはあるの。今回は残念ながら一人部屋だったからこれしかないけどね」

理樹「へえ、なんでも知ってるんだねえ」

コツ…コツ…

佳奈多「シッ!誰か来たわ、隠れるわよっ」

コツ…コツ…

小毬「理樹くーん…かなちゃーん……あれ、ドアが開いてる………あっ。いない」

理樹(僕らは近くのトイレへ避難した。ここからではライトをこちらに向かって照らさない限り見つからないだろう)

プルルルル

小毬「あっ、もしもしゆいちゃん?……えへへ。………うん、なんかねえ、二人とも脱走しちゃったみたいなの。ごめんなさい、爪が甘かったみたいなのです…うん、これから探すよ~」

佳奈多「……どうする?神北さんぐらいならこちらから出向かうのもアリよ」

理樹(確かに少し乱暴かもしれないけど小毬さんを捕まえたら来ヶ谷さん達の目的や情報が聞けるかもしれない。…しかし安全を取ってここでスルーしておくのも手かもしれない)


・手を出さずに放っておく
・捕まえて情報を聞き出す

放っておく

理樹「……いや、止めておこう…ここは一刻も早く帰ることが先決だ。多分来ヶ谷さん達の狙いは僕だ、ここから脱出さえ出来れば彼女らの計画は失敗するだろうし」

佳奈多「なるほどね…分かったわ。神北さんが行ったら正面玄関に行ってみましょう」


…………
……



数十分前

ピンポンパンポーン

来ヶ谷『ごほん…みんな聞こえているかね?』

恭介「今度はなんだ…停電したかと思ったら来ヶ谷の声だぜ?」

来ヶ谷『~~~』

真人「はっ!乗っ取るだって?頭がいっちまったか…そんなもん無理に決まって…」

ブーブー

恭介「メールだ。……おお!」

謙吾「どうした、理樹からか?」

恭介「ああ、さっき理樹に近況報告をするようメールをしておいたんだが今さっき『なんとか来ヶ谷さん達から逃げ出した。もしいるなら正面玄関に来られたし』と届いた!」

謙吾「よし!早速行こう!」





正面玄関

恭介「気をつけろ…もしかしたらまだ近くに来ヶ谷達がいるかもしれねえ」

謙吾「ああ…」

ブーブー

真人「おっ、今度はなんだって?」

恭介「えーっと…『うしろにいる』……?」

来ヶ谷「………」

ガンッ


……
…………

佳奈多「行ったわ、反対側の階段から行きましょう」

理樹「うん…」




1F廊下

理樹(昔、本でこんなことを書いてあった気がする。『生き物というのは正体不明のものに心底怯えるのだ。すなわち闇夜に恐怖心を覚えるのはそこから来ているのである』と。僕らはまさにそれに近かった。ライトを付けて分かるのはその部分だけ。もし人が10m先に居たとしても僕らは気付くことが出来なかった)

佳奈多「……一寸先は闇とはまさにこのことね。音に注意しましょう…」

理樹「分かってる…」

理樹(そして正面玄関にたどり着くと何か3つの物が立ってあった)

理樹「……?」

理樹(人ならば少しぐらいは動いてもおかしくない。というか僕らを探す人なら捜索に向かうはずだから微動だにしないのはおかしい…僕は二木さんに了解を取ってから恐る恐るライトを向けた)

ピカッ

理樹「う、うわぁぁあああーーーっっ!!」

理樹(僕らが見た物…それは……)



恭介「………」

真人「………」

謙吾「………」


理樹(まるで協会に飾ってあるようなキリスト像のようにドアに磔にされてあった幼馴染みの3人の姿だった。彼らは僕にとっていつも希望で、親友で、ヒーローだった。その3人がボロボロになって目の前で見せしめのような姿に成り果てている…とても冷静ではいられなかった)

理樹「謙吾!真人!恭介!」

佳奈多「バカ!見つかるわよっ!」

「獲物がかかったぞ!」

理樹(どこからともなく声が聞こえた。その声の主はもちろん…)

来ヶ谷「逃がさんよ」

佳奈多「階段から追ってくるわ!逃げるわよ直枝っ!」

理樹「うぐっ……!」




【ミッションスタート!】

来ヶ谷から逃げ切って下さい
(次のレスのコンマが50以上で成功)

どうなる

a

ダメか…

ダダダッ

理樹「あ…あぁ…!」

理樹(一心不乱に逃げ出した。今、来ヶ谷さんから逃げられるならこれから一週間足が使えなくなってもいい。足の限界は振り切った、速さに関しては人生で一番だろう)




理樹「はあ…はあ……っ!」

理樹「なんとか…逃げ切った……」

シーン

理樹「二木……さん…?」

ガサッ

理樹(うしろから物音がした)

理樹「なんだ二木さん、そこにいるなら…」

葉留佳「おやまあ、こんなところに理樹くんハッケーン」

鈴「手間取らせたな…今楽にしてやる」

理樹「なぁ……っ」

「「………」」

ズイッ…

理樹「ひっ…ひぃ!誰か…助けて…!」





【ゲームオーバー】

時風「まったくとんだ余興だ…」

時風「そう。ゲームみたいなものだ」

時風「……分かった、ゲームスタートといこう」

時風「だがお前にとっては過酷な世界だ」

時風「去りたくなくなったら、迷わず目を背けるがいい」






理樹「謙吾!真人!恭介!」

佳奈多「バカ!見つかるわよっ!」

「獲物がかかったぞ!」

理樹(どこからともなく声が聞こえた。その声の主はもちろん…)

来ヶ谷「逃がさんよ」

佳奈多「階段から追ってくるわ!逃げるわよ直枝っ!」

理樹「うぐっ……!」




【ミッションスタート!】

来ヶ谷から逃げ切って下さい
(次のレスのコンマが50以上で成功)

おりゃ

そらあ

やるなお前さんら

お前さんもじゃ

理樹「二木さん、手を!」

佳奈多「う、うんっ!」






理樹(僕らは真っ直ぐ走らず、冷静にあらゆる曲がり角を出来るだけ蛇のように移動し、3Fまで来てしまったがなんとか振り切った)

佳奈多「はぁ…はぁ……」

理樹「疲れた…と、とりあえずもう大丈夫なはず……」

佳奈多「……うぁ……な、直枝…」

理樹「…?」

理樹(二木さんが何かマズイことをやってしまったというような顔をしている。疑問に思い、目線の先を見て僕も納得した。なるほど、僕の手と二木さんの手が握手をしていたから恥ずかしいんだろう)

佳奈多「ち、ちょっと…いつまで握っているの!」

理樹「ごめん!」

【チャプター1クリア!】

明日に続く

(このssと時風は何の関係もありません)

さささ「わたくしの出番…」

時風『前回までのリトルバスターズ!』


小毬「こんばんわ~」

クド「こんばんわーなのですっ」


時風『突然の来訪者に驚く理樹。しかしその二人はいつもと様子がおかしかった!』


理樹「ごめん、今は恭介達と遊…「来るよね?」

理樹「えっ…?」


バチバチッ

理樹「ぐっ……」


時風『予想通り囚われた理樹。一方、恭介たち3人は嫌な予感がして二木を送り出すも返り討ちにあってしまう』


佳奈多「えっ?」

クド「ごめんなさい、佳奈多さん」

バチバチッ


時風『なんとか理樹と二木は部屋から抜け出し、帰ろうとするもその先には助けにきた3人の哀れな姿が…』


恭介「………」

真人「………」

謙吾「………」

理樹「う、うわぁぁあああーーーっっ!!」


時風『もはや女子寮は来ヶ谷達のものとなってしまった。さあどうする直枝理樹!』

佳奈多「とにかく!ここから脱出するには別のルートを探さないと行けないわ!」

理樹(恥ずかしさを無理やり押し切るように大声を出す二木さん)

ドンドンドンッ

『そこに誰かいるの!?お願い開けて!』

理樹(隣の部屋から声がした)

佳奈多「ごめんなさい、実は堅牢な仕掛けだから私たちにも開けることができないの…」

理樹「そ、そうだ!携帯を持ってない?警察に電話を…」

『それが…電波が繋がらないの。どうやっても圏外だわ』

理樹「そんな…」

佳奈多「どうしてもここから逃がさないつもりね…。外部からの連絡が通らなくても朝になれば他の人間が異変に気付く。逆に言えば来ヶ谷さん達は今日のうちに警察にさえ対抗出来る仕掛けを施すつもりよ」

理樹「信じられないけどそれが一番有力な説だね」


「きぃーっ!これはいったいどういう事ですの!?」


理樹「この声は…!」

笹瀬川「神北さんは遅いしお手洗いに出かけたかと思えば停電…その上、来ヶ谷さんが変な事を放送してらっしゃいますしとどめに部屋のドアが塞がれていて八方ふさがりとはまさにこの事ですわっ!」

理樹(階段を降りると笹瀬川さんがドアの前で叫んでいた)

佳奈多「よかった…まだ無事な生徒がいたようね。協力を仰ぎましょう」

理樹「…!いや待って二木さん!」



カランカラン

鈴「お?お前は…ささささささみ」

笹瀬川「何度も言わせないでくださる!?さ・さ・せ・が・わ・さ・さ・みですわ!」

鈴「どうしてこんなところにいるんだ?」

笹瀬川「ここは女子寮だからですわ!ともかくこの停電はなんですの!?まさかあなたもこの悪ふざけに関わってるんじゃないでしょうね?」

鈴「悪ふざけか知らんが関わってる」

笹瀬川「なんですってぇ!?これは立派な犯罪行為でしてよっ!?あなた自分が何を……はっ」

理樹(笹瀬川さんは急に口を止めた。……なんと鈴は手に鈍器を持っていたのである。これが何に使うのか僕には理解出来た……脱走者狩りだ)

笹瀬川「あなた…私をどうするつもりでして?」

鈴「お前の墓場はここだ」

理樹(噛み合ってるような噛み合ってないような返事をする鈴。そしてその鈍器は笹瀬川さんに差し向けられた。)

笹瀬川「ふんっ…そんな物を使えば私に敵うとでも?……いいでしょう。受けて立ちますわ」

笹瀬川佐々美vs棗鈴

鈴「これを使ってみよう」

鈴はバールのようなものを使った!腕力が大幅に上がった!

バトルスタート!

理樹「まずい…あんなの使ったら勝てる訳がない!」


笹瀬川「やあ!」

笹瀬川佐々美の攻撃!しかしヒラリとかわされてしまった!

鈴「えいや!」

ゴンッ

棗鈴の攻撃!笹瀬川佐々美は倒れた!

バタン

笹瀬川「うぐっ…」

鈴「ふんっ…悪は滅びた」

理樹「ああ…そんな!」

鈴「さらばだ」

笹瀬川「ま、待ちなさい…」

鈴「ん?」

笹瀬川「な、何故こんなことを…」

鈴「決まってるだろ。理樹をここでずっと飼うためだ」

理樹「!?」

ゾクゾクッ

笹瀬川「貴方は何を言って……」

ガクリ

鈴「……」

理樹(鈴は一瞥すると元来た道へ戻っていった。すかさず二木さんが笹瀬川さんの元へ)

佳奈多「……大丈夫、気絶してるだけだわ」

理樹「ほっ…」

佳奈多「やはりあの時危険を冒してでも彼女を止めるべきだったんだわ…かわいそうに……ごめんなさい」

理樹「いいや、あれは仕方がないよ…あんなの使われたら僕ら全員がここで倒れていたかもしれない」

佳奈多「……そう…かしら」

理樹「それより重要なのはこれからだよ。どうしようか」

佳奈多「そうね…笹瀬川さんには悪いけど彼女はここで置いていくわ。一応仰向けに寝かしておくけど少しはマシなはず。私たちはこれから…そうね、確か1Fの最奥にここから出られる裏口があったはずだわ。そこを目指しましょう」

理樹(ここは2F。このまま階段で降りてもいいけど階段はマークされている気もする。さっき鈴が引き返した左の道か、その反対の右の道を行ってもいい。どうしよつか)


・階段を降りる
・左の道へ進む
・右の道へ進む

理樹(鈴が引き返したということは逆戻りしない限り安全なはずだ。へたに他の道を取ると他のメンバーと鉢合わせするかもしれない)

トコトコ

佳奈多「……」

理樹「……」

ガサッ

佳奈多「……っ!?」

理樹「風が吹いてただけだね」

佳奈多「………怖くなんかないから!」

理樹「なんの話!?」




理樹(そのまま進んで行くと非常階段を見つけた)

佳奈多「よし。遠回りだったけどこれで安全に下に降りることが出来るはずだわ。直枝、念のため貴方が開けなさい」

理樹「はいはい…」

理樹(どうやら非常階段は見落としていたらしい。ドアは固定されていなかった)

佳奈多「一応ドアの前で待っておくわ。ちょうど隠れる隙間もあるし先に安全かどうか調査してきてちょうだい」

理樹「人使いが荒いなぁ…」

理樹(ドアを開けた。中はコンクリートがむき出しで塗装もされていなかった。音を立てないようにゆっくり閉め、下に降りていった)


………


1F非常階段

理樹「よし、誰もいない…」

「わふー。やっぱり来ましたねリキっ」

理樹「なっ!?」

クド「来ヶ谷さんの言う通りでした。さぁー観念してくださいっ」

バチバチバチッ

理樹(口調こそ昨日となんら変わらないが、今の印象は手に持っているスタンガンのおかげで180度変わってしまった。コペルニクス的転回とはこのことを言うのかもしれない)

クド「わふー!かたじけのうござる!」

理樹(スタンガンを持ってる相手は逃げるのが一番だ。しかしさっきは不意を突かれてまともにくらってしまったけど今なら……?)

・クドを押し倒す
・逃げる

押し倒す

理樹「甘い!」

ガンッ

クド「わふっ!?」

理樹(スタンガンを弾き飛ばし、クドは勝ち目がないと見てドアに手を掛けた)

理樹「させないよ」

ガシッ

クド「ん……う……っ!」

理樹(両手を掴み寸でのところで抑えたが抵抗を続けてくる)

理樹「逃がさないよクド…っ!」


コンマ30以下で取り逃がす
コンマ31以上で成功
コンマ70以上でEXシーン

失敗

ゲシッゲシッ

理樹「痛ッ…!」

クド「リキ…ごめんなさい!」

理樹(謝るぐらいなら蹴らないでほしい。しかしその矛盾した行動によってクドは僕の腕を振り切り、逃げ出してしまった)

理樹「しまった!」

バタンッ

理樹「……」




キィ…

佳奈多「どうだった?」

理樹「…うん、誰もいなかったよ」

佳奈多「……それは…スタンガン?」

理樹「あ、うん!階段に落ちてたんだ!もしかしたらここを通ったあとだったのかもしれないね」

理樹(本当のことを言おう物ならなんと言われるか分かったもんじゃない)

1F

佳奈多「ここは給湯室の近くね。一応怪しい人がいないか見てから行きましょう」

理樹「もしもいたら?」

佳奈多「あなた男の子でしょう?」

理樹「えぇー…」




理樹(左手には確かに給湯室の表記があった。僕らは恐る恐る近づいてみた)

佳奈多「……電気、付けるわよ」

理樹「う、うん…」

理樹(本当はこういう役目は僕なんだろうけど、彼女の方が勇ましいのは今更なことだったのでお互い何も言わなかった)

佳奈多「……1…2…3」

パチッ

佳奈多「………いないわね」

理樹「ほっ…」


小毬「みーつけた♪」


佳奈多・理樹「ッ!?」

理樹(甘かった。考えてみたら当然のことだ、人が警戒するようなところで待ち伏せしていてもあまり効果はない。ならば入っていく背中を取ればいくら男子と女子の力の差があったとしても確実に倒せるのだから)

理樹「ま、間に合わな…」

理樹(小毬さんは金属バットを重たそうに振り下ろした)

グシャッ



小毬「………」

バタン

理樹「………?」

佳奈多「な、直枝!?」

理樹「いや…大丈夫……」

理樹(幸い、普段扱わない重さにコントロールがずれたのか紙一重でバッドは避けることが出来た。それより疑問なのは二木さんはもちろん、僕も反撃を加えていないというのに何故か小毬さんがバッドと同時に倒れたことだ)

「……本でこういう使い方をしたくはなかったのですが…仕方がありませんね」

理樹「その声は…」

西園「カッコよかったですか?」

理樹(西園さん…一瞬身構えてしまったがどうやら彼女はまともらしい)

佳奈多「あなた確か西園さんよね?あなたもリトルバスターズに入っていたんじゃ…」

西園「まあ落ち着いてください。全てをお話ししましょう…何故こうなったのかを」

給湯室

理樹(僕らはみんなを警戒し、電気を消して奥の方で身を寄せた。そして西園さんの話が始まった)

西園「事の発端はそう…私のせいなのです」



数時間前

裏庭

ピロン

西園「……メール…これは三枝さんからですね」

『やはー!今日はリトルバスターズの女の子だけでお泊まり会をやりましょー!部屋はもちろん鈴ちゃんの部屋で!みんなお菓子とかパーティーグッズあったら持ってきて~!>ヮ<』

西園「お泊まり会…」

西園(その時、私はメールの返信の仕方にまだ慣れていなかったので結局、打つのを諦め、メンバーの誰かに会って代わりに同意の旨を伝えてもらおうと学校を散策しました)

マッド鈴木「やあ西園君!」

西園「あなたは…」

西園(そして彼に会ったのです。もしもこんな事になるなら私は素通りした事でしょう。しかしまだまだ時間に余裕はあったので止せばいいのに受け答えをしてしまいました)

化学室

マッド鈴木「……というわけで君にはこの新しいNYP兵器を試してもらいたいのだ!」

西園「嫌です」

マッド「ま、またしても振られてしまった…だ、だが諦めんぞ!化学の進歩のために、いつか必ず協力してもらうぞぉーっ!」

西園「……」

マッド「うん?……どうした、何を見ているんだい?」

西園「いえ、このクッキーは?」

西園(テーブルには質素な包装がされたクッキーが置いてありました。おそらく手作りです。…失礼な気もしますが、彼らがお菓子作りに励むようなところは想像出来なかったのでなんとなく注目してしまいました)

マッド「ああそれか。私も知らないが気が付けばそこに置いてあったんだ。おーいみんな、このクッキーは誰のだ?」

科学部部隊「「「知らないっす!」」」

マッド「おいおい…ならば誰がここに置いていったというんだ…この神聖なる化学の祭壇にてオカルティックな現象は認めんぞ?」

西園「それでは私はこれで」

マッド「あっ、待ちたまえ。せっかくだからこのクッキーは君にあげよう。誰のものでもないのなら女の子が食べた方がいい。私達はクッキーよりもカロリーメイトな人間なんでね」

西園「意味が分かりません。それに得体の知れない手作りクッキーなど食べる気には…」

マッド「まあ、とにかく持っていってくれ、どうしてもというなら捨ててしまっても構わないから」

西園「はあ…」

西園(結局押し切られた形でポケットにクッキーをしまい込みました。そして私はやっと本来の目的を思い出したのですが、もう時間は夜に差し掛かる頃。仕方がないのでその足で鈴さんの部屋に向かいました)

鈴部屋

葉留佳「チキチキ!第二回リトルバスターズお泊まり会を開催しまーす!」

クド「わふー!」

小毬「いえ~いっ」

西園(お泊まり会はとても愉快な物でした。小毬さんが半ベソで来ヶ谷さんになされるがままにされたりクドリャフカさんが一升瓶を……すいません、話が逸れました)

西園(とにかく楽しんだのですが、ジュースを取りに行こうとした時、ふと三枝さんにぶつかってしまいました)

シャクッ

西園「あ…ごめんなさい三枝さん」

葉留佳「んーんー!全然大丈夫ですヨ!……おや?美魚ちん美魚ちん、そのポケットのはナニ?」

西園「これは…すっかり捨てるのを忘れていましたね。一応クッキーですが…」

葉留佳「ええーっ!なんで捨てるのぉ?もったいないジャン」

西園「ですが得体の知れないものですし…」

葉留佳「大丈夫!ちゃんと美味しそうだしお腹壊すことはないって!捨てる気だったんならくれない?」

西園「いつか毒キノコを食べて死にそうですね」

葉留佳「ムキー!それはどういうことなんだよー!」

ボリボリ

西園(彼女はそう怒りながらも食べました)

葉留佳「……こ、これは…美味しい!!」

西園「……はい?」

訂正

鈴部屋

葉留佳「チキチキ!第二回リトルバスターズお泊まり会を開催しまーす!」

クド「わふー!」

小毬「いえ~いっ」

西園(お泊まり会はとても愉快な物でした。小毬さんが半ベソで来ヶ谷さんになされるがままにされたり能美さんが一升瓶を……すいません、話が逸れました)

西園(とにかく楽しんだのですが、ジュースを取りに行こうとした時、ふと三枝さんにぶつかってしまいました)

シャクッ

西園「あ…ごめんなさい三枝さん」

葉留佳「んーんー!全然大丈夫ですヨ!……おや?美魚ちん美魚ちん、そのポケットのはナニ?」

西園「これは…すっかり捨てるのを忘れていましたね。一応クッキーですが…」

葉留佳「ええーっ!なんで捨てるのぉ?もったいないジャン」

西園「ですが得体の知れないものですし…」

葉留佳「大丈夫!ちゃんと美味しそうだしお腹壊すことはないって!捨てる気だったんならくれない?」

西園「いつか毒キノコを食べて死にそうですね」

葉留佳「ムキー!それはどういうことなんだよー!」

ボリボリ

西園(彼女はそう怒りながらも食べました)

葉留佳「……こ、これは…美味しい!!」

西園「……はい?」

葉留佳「ねーねー姉御ー!このクッキー食べてみてー!」

来ヶ谷「葉留佳君から先に食べてみてくれ」

葉留佳「いやいや、別に毒とか入ってませんヨ…とにかく食べてみてくだせえ、凄く美味しいから!」

来ヶ谷「まあ、君がそこまで勧めるなら一つもらおうか」

パクッ

来ヶ谷「…うん。なかなか美味だ」

能美「わふー?クッキーですか!?」

葉留佳「うんっ、クド公も食べる?」

クド「はい!ありがとうございます!」

パクッ

クド「ん~!イッツヤミーなのですっ」

西園(それから葉留佳さんは小毬さん、鈴さんにも同様にあげてしまいました)

葉留佳「ねぇ美魚っちも食べなよ!美味しいよ?」

西園「いえ、遠慮しておきます」

葉留佳「うーん困ったなーそれじゃ一個余っちゃいますヨ」

西園「ではもう一つ貰えばよろしいかと」

コンコン

佳奈多「あなた達、また楽しむのもいいけどそろそろ夜だし静かにしなさいよ?」

葉留佳「あっ、お姉ちゃん!」

トテトテ





佳奈多「思い出したわ…なるほど、あの後クドリャフカが帰ってこなかったのはお泊まりだったからなのね。あの中にいたとは気付かなかったわ…それにしても泊まるならそう言えばいいのに」

理樹「その時は葉留佳さんどうだった?」

佳奈多「別になんともなかったわ」

西園「続きます」




西園(そして夜になって、事態は急変しました。葉留佳さんが倒れたのです)

葉留佳「……」

鈴「葉留佳!大丈夫か葉留佳!?」

来ヶ谷「これは……っ」

バタン

小毬「ほ、ほわぁ~!ゆゆゆゆいちゃん!?」

西園(続くように来ヶ谷さんが倒れ、次に能美さん、小毬さん、鈴さんと私以外の人間が糸が切れた操り人形のようにうんとも言わなくなったのです。この時は流石に私も驚きました。しかし寮母さんに電話する直前で三枝さんが起きたのです」

葉留佳「うーん…」

西園「三枝さん!?」

葉留佳「うん?どうしたの美魚ちん?」

西園「顔色は…普通ですね」

葉留佳「だからどうしたの?」

西園(さっきまで倒れていたとは思えないほど三枝さんの意識ははっきりとしていました)

来ヶ谷「………」

西園「来ヶ谷さんっ」

来ヶ谷「…どうした、西園くん?」

クド「わふー…」

西園(その後、どんどん皆さんが起き上がりました。それも全員三枝さんと同じように何事もなかったかのような感じでした。しかし倒れる前と起きた後でなにかが変わっているような気がしたのです)

西園「……本当に…大丈夫なんですか皆さん?」

葉留佳「もー。だから大丈夫って言ってるじゃん」

西園「……」

西園(恥ずかしながら私は怖くてたまりませんでした。ホラー小説もいくつか読んだことはありますがそれで恐怖自体に耐性が付くことはないのですから。恐怖とは未知なるところから湧き出る物。わたしには彼女らにいつもの親近感がまったく湧かなかったのです)

クド「わふー。私はお腹が空いてしまったのです」

小毬「あ、うん。それならパンケーキを持ってきたからクーちゃん食べる?」

来ヶ谷「ところで諸君、そろそろまた理樹君を呼びないかね?」

西園「………」

西園(はたから見ると微笑ましい作戦ですが、私はそうは考えられなくなってしまいました)

西園「すいません…あの…少し気分が悪くなってきたので夜風に当たってきてよろしいでしょうか?」

来ヶ谷「うん。もちろん構わないよ。お大事に」

西園(私はドアを閉めると、心を落ち着けるためにこっそり持ってきた詩集を抱え、卑怯にも一目散に逃げてしまいました。しかしあのまま部屋に残っていれば私もどうなったか分かりません。ただ分かるのは、彼女らがおかしくなったのは明らかにクッキーを食べてしまってからなのです)



理樹「……そんな…」

西園「全ては私が悪いんです。こんなことになるなら食べるのを止めておけば…」

佳奈多「……誰も先のことは読めないわ。それにまだ終わった訳じゃない。直枝、西園さん。今からでも遅くないわ。来ヶ谷さん達の陰謀を暴いてなんとか脱出しましょう!」

理樹「うん!」

西園「二木さん…二人ともありがとうございます」

【チャプター2クリア!】

明日に続く


楽しみにしてるよ

古式さんのお墓にもお供えしてあげよう

時風『前回までのリトルバスターズ!』

『それが…電波が繋がらないの。どうやっても圏外だわ』


笹瀬川「あなた…私をどうするつもりでして?」

鈴「お前の墓場はここだ」


時風『生存者狩りに回っている女子メンバーに迂闊に動けない2人』

佳奈多「よし。遠回りだったけどこれで安全に下に降りることが出来るはずだわ」


理樹「痛ッ…!」

クド「リキ…ごめんなさい!」



佳奈多「どうだった?」

理樹「…うん、誰もいなかったよ」


時風『能美を逃し、小毬に襲われかけた理樹。しかしそこに西園が現れる』


西園「まあ落ち着いてください。全てをお話ししましょう…何故こうなったのかを」


時風『ついに事件の全貌が見え始めた!さあ理樹の運命はいかに!』



コツコツ…

佳奈多「このままいけば抜け穴にたどり着けるはずよ」

理樹「うん」

理樹(小毬さんは可哀想だけど給湯室に縛って物置に隠しておいた。あれでは当分の間起きることはないはずだけど今回に関して言えば慎重になり過ぎるということはない)




佳奈多「ああ…嘘!」

理樹「どうしたの?」

西園「見てください直枝さん」

理樹(西園さんは自分のライトをつけた)

理樹「…そんな!」

理樹(行き止まりになっていた。誰かが緊急用のシャッターを作動させてしまったんだろう。とても堅牢で壊せそうもなかった)

佳奈多「当然…電源にも鍵がかかっているようね」

西園「確かこの手のマスターキーは放送室に保管されていると聞きましたが…」

佳奈多「来ヶ谷さんが別のところにいることを祈るしかないようね」

理樹(と、肩をすくめる二木さん)

理樹「それじゃあ引き返そうか…」


「やーはははー!」

理樹「こ、今度は君か…」

葉留佳「三人ともこんな所でどうしたんですカ?」

佳奈多「葉留佳…」

西園「気をつけて、彼女も例のクッキーを」

理樹「うん…分かってる」

理樹(後ろはシャッターで逃げられない…どうしよう?)


・立ち向かう(スタンガン装備中)
・説得を試みる

立ち向かう

理樹「2人ともさがってて」

西園「お気をつけて」

佳奈多「お願い!今、葉留佳はちょっとおかしくなってるだけだから…!」

理樹「うん、分かってる」

理樹(出来るだけ傷付けずに無力化する。普通なら難しいだろうけど今はこれがある)

葉留佳「理樹くーん!ちょっと痛いかもしれないけど我慢してねー!」

理樹(葉留佳さんはどこから持ってきたのかビンを片手に迫ってきた!)

理樹「許して葉留佳さん!」

バチバチッ

葉留佳「がっ…!?」

バタン

理樹「はぁ…はぁ…はぁ」

佳奈多「葉留佳!」

理樹(葉留佳さんが倒れ、すぐさま二木さんが寄り添った)

佳奈多「ごめんなさい…」

理樹(僕らは葉留佳さんを給湯室まで移動させると、小毬さんと同じように物置へ押し込んだ)



放送室前

理樹「中から聞こえる?」

西園「…いえ」

佳奈多「一応入る前に辺りを調べておきましょう。給湯室の二の舞はごめんだわ」

理樹(どこを調べよう?)

・掲示板周辺
・女子トイレ
・階段

階段

理樹「じゃあ階段を調べてくるよ」

佳奈多「私は掲示板の辺りを」

西園「なら女子トイレを見てきます。お互い危ない目にあえばすぐ声を出してください」

佳奈多「ええ」



階段前

理樹(階段を調べた。誰もいないようだ)

トコトコ

理樹「!」

理樹(上から誰かが降りてくる気配がした)

・スタンガンを浴びせる
・様子を見る
・羽交い締めにする

様子を見る

理樹(様子を見よう。いざとなれば逃げればいい)

鈴「こちら~一階の階段~一階の階段~異常なーし」

理樹(謎の人物は鈴だった。手にバールを持っている)

コツコツ

理樹(まずい…あの方向は女子トイレ…西園さんの方だ!)




女子トイレ

西園「誰もいませんでしたか…しかしドライバーがあったのは収穫です」

鈴「おーそこにいたのか美魚」

西園「…鈴さん」

鈴「ちょっと一緒に理樹を捜してくれないか?」

西園「どういう意味でしょう」

鈴「理樹を捜してくれないか?」

西園「………大丈夫ですか?」

鈴「なにがだ?」

西園「どうやら時間が経つほど思考も落ちているらしいですね」

鈴「よく分からんが協力してくれないのか?…なら仕方がない」

スッ

西園「いいえ、もう協力する意味がないんですよ」

鈴「?」

西園「分からないですか?直枝さんなら探すまでもなく…そこにいます」

鈴「っ!?」

クルッ

理樹「はっ!」

バチッ

鈴「う…っ……な、何すんじゃボケ!」

ゲシッ!

理樹「げほっ…!?」

理樹(耐えた!?…そ、そうかスタンガンの電池切れか…)

鈴「やはり理樹にはお仕置きだな…」

理樹(まずい…やられる……)

ボスッ

鈴「?」

西園「直枝さん…!」

ボスッ

鈴「…トイレットペーパーを投げたところで何になる」

西園「今…ここで直枝さんがやられる訳にはいかないんです」

鈴「……そーかならお望み通りお前からやってやろう」

理樹「に…しぞの……さん…!ダメだ…っ!」

西園「……直枝さん…幸運を」

ガンッ

鈴「他愛なし」

西園「……」

鈴「さて、次はり…っ!」

理樹「西園さん!君の犠牲は無駄にはしない!」

ググッ…

鈴「かはっ…!理樹…やめ……」

理樹「大丈夫だよ鈴…失神させるだけだ……大丈夫」

鈴「ん…あっ……」

バタン

理樹「西園さん!」

理樹(西園さんの元へ駆け寄った)

佳奈多「どうしたの!?……ハッ」

西園「直枝さん…ですか?」

理樹「そうだよ、僕だ…もう鈴は大丈夫だよ」

西園「そうですか…よかったです」

佳奈多「西園さん….」

西園「奇妙な安らぎを感じます…さあ行ってください…来ヶ谷さんの脅威から逃れるのです。…直枝さん、二木さん、私はまるで親友と息子を同時に持ったような気持ちです、そして私はこれからあなたの中で生きるのです……」

西園「そしてこのドライバーに刻んであるこの言葉を捧げます『LUCK(幸運を)』」

理樹(そういうと西園さんはドライバーを僕に手渡した)

西園「そしてあなたの未来にこれを持って行ってください」

理樹(西園さんは空でPと描いた。多分『PLUCK(勇気を)』と言いたいんだろう)

西園「それでは…私は少し眠くなってきました……」

ガクッ…

理樹「に、西園さんー!!」

西園「……」スヤァ

佳奈多「……本当に寝てるわ」

放送室

キィ

理樹「よかった…誰もいないや」

佳奈多「……よし、鍵があったわ!」

理樹「行こう」




シャッター前

カチッ

ガガガ…

理樹「開いた!」

佳奈多「さあ走りましょう!今の音で来ヶ谷さんは気づいているはずよ!」

ザッ


「うむ。残念だったな。もう少し早ければそのまま逃げ果せていただろうに」


理樹(振り向きたくなかった。出来ればこのまま出会わずにいたかった…しかしこの声はどう考えても例の人に決まっている)

来ヶ谷「理樹くん。私が短い人生で学んだことはな…人間は策を弄すれば弄するほど予期せぬ事態で策がくずされるということだ。無駄なあがきはよした方がいいんじゃないか?」

佳奈多「くっ…こんな時に…」

続く

今日こそ再開する!

理樹「く…来ヶ谷さん…」

来ヶ谷「良い子はおねんねの時間だ」

佳奈多「来ヶ谷さん!申し訳ないですが、どうやら今日は優等生ではいられないようです」

来ヶ谷「ほう」

理樹「ふっ、二木さん?」

理樹(二木さんは声を潜めて呟いた)

佳奈多「…大丈夫よ直枝、いくら来ヶ谷さんと言えど私達ふたりを同時に捕まえることが出来るほどではない。ここからは別方向に逃げましょう」

理樹「えっ、でも僕その抜け穴知らないんだけど…」

理樹(そういうと二木さんは来ヶ谷さんからは見えない角度で紙切れを僕に渡した)

佳奈多「万が一のことがあると思って書き記しておいたわ。そこに抜け穴までのルートが書いてある」

理樹「分かった…」

来ヶ谷「話は終わったか?私も時間がない。ここに来るまでに私の仲間がほとんど犠牲になったようだからな……まあ、それはそれで好都合でもあるが…」

来ヶ谷「こちらから仕掛けさせてもらう!」

佳奈多「直枝っ!」

理樹「うん!」

理樹(僕はまっすぐ、二木さんはシャッターを渡ってすぐ右の通路に回った。たとえば僕が捕まったとしても二木さんが逃げ延びれば要塞を完成させられる前に助けが来る方が早いだろうし、二木さんが捕まったとしても僕が脱出してしまったんじゃ、そもそも来ヶ谷さんの作戦は破綻する)

来ヶ谷「ふふっ、そんなことだろうと思ったよ。どこへ逃げるのかは知らないがそんな甘い考えが通るとは思わないことだ。…クドリャフカ君!」

クド「わふー!」

理樹「なっ…!?」

来ヶ谷「聞け、クドリャフカ君…佳奈多君を……そしてそのルートの端を抑えろ」

クド「わふー!あいきゃんどぅーいっと、なのですー!」

佳奈多「わ、忘れてた…クドリャフカがまだ残ってたわ!直枝逃げて!」

理樹(これで形勢は対等となった。2対2。どっちが来る…!?)

来ヶ谷「この来ヶ谷唯湖、容赦せんよ!」

理樹(僕を追ってきたのは来ヶ谷さんだった)

理樹「な、なんだ?」

理樹(僕と来ヶ谷さんの距離は何故か縮まらない。ほとんど一定を保ったままだ…。てっきりすぐに捕まるものかと思ったけどこれなら道を間違えない限り振り切れるんじゃないか?)




キュッ!

理樹(廊下にゴム靴とワックスが激しく擦れる音が響く。注意すればだいたいどこで曲がると距離を引き離せるのかが分かってきた。来ヶ谷さんをあと少しで撒くことが出来る!)



理樹「はっ!はっ!」

理樹(ここだ!ここを曲がればやり過ごせる!)

クルッ…

佳奈多「えっ!?」

理樹「ハッ!」

ドンッ

理樹「痛つつ…」

理樹(曲がり角で何故かいるはずのない二木さんが飛び出してきた。突然のことなので避けようもなくお互いの頭が盛大にぶつかってしまった)

佳奈多「こ…この!」

理樹「わっ、待って!」

佳奈多「どうしてこんなところへ来たの。あなたもっと左側だったはずじゃ…」

理樹(怒りに震えながらもなんとか振り上げた拳を下げさせることには成功した)

理樹「それはこっちのセリフだよ!二木さんだって右に進んでたんじゃなかったの?」

佳奈多「だってクドリャフカを振り切る為には……あっ!」

来ヶ谷「青ざめたな…勘のいい佳奈多君は悟ったようだな…」

佳奈多「そんな…なんてことを思いつくの…こんな短時間で…!」

来ヶ谷「ふふっ!逃れることは出来なかったな!諸君らはチェスや将棋でいう『詰み(チェック・メイト)』にはまったんだ!」

クド「リキ、佳奈多さん、おとなしく観念するのです!」

佳奈多「そう…最初から私達を捕まえる気はなかったのよ…クドリャフカも来ヶ谷さんも……全てはこのため、散らばった2人を集めて確実に始末するためだったの!」

理樹「………あ…」

理樹(そうか、そういうことだったのか!テレビで見たことがある。羊を集めるために『あえて』噛みつかない凶暴な犬達を!僕らは言わば羊だった。来ヶ谷さんという放牧犬に泳がされ、誘導されてまんまと一網打尽の機会を与えてしまったんだ)

来ヶ谷「知恵比べで私に勝とうなんて10年は早いよ…さあ、お待ちかねのお仕置きターイムだ」

理樹「ひっ…ひぃ!」

理樹(囲まれた。クドを突破することは出来ないことはないがそんな隙を見せられるほど来ヶ谷さんは甘くないだろう)

来ヶ谷「情けない声を出すな…そう、嘔吐するほど怖がらなくてもいいだろう…元より君を傷つけようなんて考えてないんだ…ただ君は私の言う通りにすればいい」

理樹(認めたくはないけど僕はこの言葉に安心感を覚えてしまった。この子供をあやすような声が僕を丸め込むためのものだったと分かっていても…)

佳奈多「な、直枝…」

理樹(しかし僕にはまだ策がない訳ではない…どうか間に合ってくれ……僕の切り札…!)


ドンッッ


来ヶ谷「こ、この音は…?」

クド「わ、わふ………」

来ヶ谷「クドリャフカ君っ?」

理樹「よ、よかった…間に合った!」

「………」

佳奈多「う、うそ…」

来ヶ谷「馬鹿な…私が倒したはずの…再起不能にしたはずのあなたが何故ここに?」

「さて、どうしてでしょう?」

次回最終回のはず

ドルジ「ぬおーんっ」

クド「来ヶ谷さん…う、動けません!」

来ヶ谷「くっ…佳奈多君、君がやったのか?」

理樹「いいや、僕だよ………寮長さんをここに呼んだのは!」

あーちゃん「にゅふふ!ありがとね理樹君~やる時はやってくれる子だと思ってたわ~!」


理樹(時は数十分前にさかのぼる…)


……
…………

シャッター前

佳奈多「えっと、シャッターの鍵は…」

理樹(僕は二木さんがシャッターを開ける前に向かいの部屋の表札に目をつけた)

『あーちゃんの部屋!』

理樹「あの人らしい表札だなぁ…あっ、そうだ」

理樹(西園さんは僕にドライバーを託してくれた。さっきまではドアが固定されていたけどこれを使えば…)

ガチャリ

キィ…

理樹「よしっ」

理樹(二木さんはまだ時間がかかる様子だったから中へ入って寮長さんに助けを求めようと思った)

理樹「う…」

あーちゃん「……」

理樹(やはりというか、来ヶ谷さん達は寮長を警戒したのか気絶させられ、更にロープで縛られていた)

理樹「期待してなかったけどやっぱり窓は外側から固定されてるなぁ…」

理樹(とにかく寮長のロープを解いて目を覚ませようとしたけど起こすのに時間がかかりそうだったから置き手紙だけ残してその場を後にしたんだ)




……
…………


理樹「二木さんに知らせるのを忘れていたけど結果的にはこうして助かったというわけさ」

来ヶ谷「なるほど…そして寮長は危険を悟りそこの猫を連れてここまで来たというわけか」

あーちゃん「ふっふっふっ…ドアを開けるなり酷いことしてくれたわね、来ヶ谷さん!」

理樹「観念するんだ来ヶ谷さん!負けを認め、ここでおとなしく寮の仕掛けを解いてみんなに謝るなら不問にしてもいい」

佳奈多「ちょっ、直枝…っ!?」

来ヶ谷「負けを認めるだと…フフフ……おとなしくか…」

来ヶ谷「断る!ここで野望が果たせないならせめて少年と共に散る道を選ぶ!」

ダダッ

あーちゃん「ドルジ!」

ドルジ「ぬおーん!」

理樹(クドを下敷きにしていたドルジがすかさず僕の前に滑り込んでくれた)

ドガッ

来ヶ谷「あうっ」

理樹(ドルジに勢いよくぶつかった来ヶ谷さんは壁に叩きつけられた。強く頭を打ったのか起き上がる素振りを見せない)

来ヶ谷「うぐ……」

理樹「来ヶ谷さん…どうしてあんなことを?」

来ヶ谷「ふふ…理由など……私は前から君のことを独占したいと思っていたのさ…そして考えついたのが『理樹君を拉致してムヒョッス最高なユートピアだぜ!』作戦だ」

理樹(来ヶ谷さんの話によるとクッキーを食べてから急に僕をそばに置いておきたくなったらしく、その想いは一部を除いてリトルバスターズの女の子たちみんなが一致したらしい。そこで、女子寮をジャックし、僕を拉致し、ゆくゆくは寮内の人質とヘリを交換してスイス辺りにでも亡命しようとしたらしい。何を持って亡命するのかは分からないけど)

佳奈多「そんなの無謀だと思わなかったんですか?いくら貴方でもそんなの…」

来ヶ谷「ああ…理樹君を想うあまり気持ちが先走ったな。頭を打って今やっと冷静になれたよ」

あーちゃん「とにかくこれで一件落着かな?」

理樹「そうなりますね」

あーちゃん「じゃあ、私はあっちに吊られてあった男三人を助けてくるから、かなちゃんは理樹君を男子寮に連れてってくれないかしら?」

佳奈多「分かりました」

あーちゃん「あー、それと、このことは全部いたずらってことに出来るかしら…」

来ヶ谷「なに…?」

あーちゃん「確かにちょっと怒ってるけどそれもみんなそのクッキーのせいでおかしくなってたんだって言うなら罰するのはちとかわいそうよねえ」

佳奈多「まあ、やれないこともないかと思いますが…」

来ヶ谷「私は…許されるのか?」

理樹「来ヶ谷さん、そんなの当たり前じゃないか。だって僕ら仲間だろ?」

来ヶ谷「少年…」

あーちゃん「さっ!とりあえず頼んだわよかなちゃん」

佳奈多「はい、分かりました。さあ行きましょう直枝」

理樹「うん」

来ヶ谷「…では、私も仕掛けを解除して回ろうかな」

理樹(危機は去った。クッキーを食べた人はみんな一度でも気絶すると元に戻るらしい。寮から出る途中で起きた葉留佳さんが僕らの姿を見ると慌てて謝ってきた)

2003UB313ライン前

理樹「それじゃあ、ありがとう二木さん」

佳奈多「いいえ、念のために男子寮のところまで送って行くわ」

理樹(そういう二木さんの目は暗くてよく見えなかった)

理樹「えっ、別にいいよ。僕だって男なんだから逆に二木さんが危ないかもしれないってのに」

佳奈多「あら、少なくとも貴方よりナヨナヨしてないわよ?いいから人の好意は素直に受け取りなさい」

理樹「う、うん…」

同時刻

男子寮

恭介「ふう…酷い目にあっちまったな」

謙吾「ああ、まさか来ヶ谷一人にここまで歯が立たないとは…」

真人「そういや肝心の理樹はどうしたんだ?」

恭介「寮長によると二木が送ってるんだとよ。じきに部屋に戻ってくるさ」

ドタドタ

バイオ田中「あっ!見つけたぞ棗!」

恭介「おお、お前はバイオ田中じゃねえか。そうそう、行くまえに何か言ってたな?」

バイオ田中「ああそうなんだよ、実は私のバイオクッキーmk.2が消えてしまったんだ!」

恭介「マーク2だと?」

バイオ田中「ああ。バイオクッキーmk.2とは食べた動物の本能を最大限にまで高めるものだ。例えば腹が減ったなら食物を手に入れるためには何でもするし戦闘に入ると何が何でも相手に勝つ」

恭介「なんだそれ怖っ!」

謙吾「いつか愛護団体に訴えられるぞ…」

田中「効力を試そうと机の上に置いてあったんだが気付けば無くなっていた…もしあれを人間が食べたらものすごいことになる……たとえば好きな異性がいればその人間を独り占めにするって具合に」

恭介「確かに本当ならヤバい話だが今日のところは勘弁してくれ、俺たちは今、睡魔に駆られまくってるんでな」

田中「あ、ああ…じゃあ明日一緒に探してくれないか?」

恭介「あた坊よ」

中庭

理樹(男子寮が見えてきた)

理樹「ありがとう二木さん。本当にここまででいいよ」


佳奈多「いいえ、そういう訳には行かないわ」


カシャンッ

理樹「カシャン?」

佳奈多「ずっとこうなるまで待ってた…本当に二人っきりでいられる機会を」

理樹「いったい何を言って………ま、まさか!」


葉留佳『うーん困ったなーそれじゃ一個余っちゃいますヨ』

佳奈多『あなた達、また楽しむのもいいけどそろそろ夜だし静かにしなさいよ?』

葉留佳『あっ、お姉ちゃん!』

トテトテ


佳奈多「来ヶ谷さん達も馬鹿よね。理樹君を独占するなら他の人は邪魔なだけなのに」

理樹「き、君も…」

佳奈多「そう。気付くのが遅すぎたわね直枝理樹。……私もあのクッキーを食べたの」

理樹(月光に晒され、二木さんの目を見ることが出来た。彼女の目は淀んでいた)

佳奈多「さ、これで助けは来ないし、手錠のせいで逃げることも出来ない。今日は朝まで返さないわ…直枝っ」

理樹「あ…ああ……」

佳奈多「………」

理樹「ひっ…ひぃ!誰か…助け…」





終わり

乙。

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