幼馴染「どうしてこんな事に…」男「…」(45)

幼「嫌だよ、男!死んじゃヤダ!」

男「…」

幼「ねぇ、返事してよ、男!」

男「…」

幼「目を開けてよ、男!」

看護師「あの…ちょっとすみません」

幼「な、何ですか?」

看護師「病室ではお静かに願います」

幼「で、でも!男が!男が目を覚まさないんですよ?」

男「…」

看護師「て言うか、あの…お見舞いは明日にしてもらえますか?」

看護師「もう面会時間過ぎてますし…」

幼「そ、そんな…」

幼「イヤです!私、男が目覚めるまで、ここに居ます!」

看護師「あの、男さんは大丈夫ですから…」

幼「で、でも!」

看護師「麻酔で寝てるので、今は起きませんから…」

看護師「それに…」

幼「もう、ちょう…なんでしょう?」

幼「さっき、廊下で看護師さん達が話してるの、聞きました!」

看護師「は、はい、盲腸ですよ」

幼「…それは」

幼「もう、ちょうやばいって事なんでしょう?」

看護師「はいぃ?」

幼「男!起きてよ、男!私、男の返事をまだ返事を聞いてないよっ!」
ユサユサ

看護師「あ!あの!そんなに乱暴に揺らすと、手術痕が!」

幼「うわーーーん!男ー!」

看護師「け、警備員さーん!ちょっと来てくださーい!」



警備員「あのーお嬢さん?ちょーっとこっちに来てもらえるかな?」

ガシッ
幼「イヤ!離してっ!男っ!」

幼「イヤーーー!」


看護師「あの子、男君と同い年くらいに見えたけど…」

看護師「盲腸も知らないのかしら…?」

看護師「まさかね?」




男「あ、幼。久しぶり1週間ぶりくらい?」

幼「…」

男「すぐ見舞いに来るかなーと思ったけど」

幼「…」

幼(入院した日に騒ぎすぎて)

幼(1週間、出禁食らってたなんて、言えない…)

男「ん?何で何も言わないんだ?」

幼「うぅ…」

男「ん?泣いてるの?」

男「もしかして俺が死ぬかと思ったとか?まさかな」

幼「思ったよ!バカッ!」

男「何で泣きながら怒鳴るんだよ、幼」

男「え?だって盲腸だよ?」

幼「そ、そうだよね。盲腸だよね…」

幼「急性虫垂炎の事だよね」

男「あ、あぁ、そうだな」

幼「最近は手術しなくても良い場合もあるんだってね」

男「あぁ、炎症が軽度なら、抗生物質で何とかなる場合もあるんだってな」

幼「…なら、何で男は緊急手術だったの?」

男「…えー言わなきゃ駄目?」

幼「言って!」

男「絶対怒らない?」

幼「怒られるような事なの?」

男「うーん。幼は怒りそう」

幼「怒らない!絶対怒らないから、言ってみて!」

男「既に怒ってるじゃん…」

幼「怒ってない!」

男「ほら、大きい声出さないでよ」

男「病院ではお静かに?」

幼「怒ってないのに、怒ってるとか言うからでしょ!」

幼「ほら、早く言って!」

男「落ち着いてよ、幼。手術痕がまだ痛いんだ」

幼「あ、ご、ごめん…」

男「それじゃあ、正直に話すけどさ…」

幼「うん」

男「落ち着いて聞いてよ?」

幼「わかった」

男「実は倒れる4日前くらいからさー」

男「結構お腹痛かったんだけど」

男「幼とのおでかけが楽しみすぎてさー」

男「ちょっと我慢してたんだよね」

幼「…」

男「それで一週間前…」



幼「ねぇ、男!最初はあれに乗ろうよ!」

男「お、おう。観覧車か…」

男「俺、高い所苦手なんだけどなー」

幼「知ってるよっ!」

男「知ってて、あれを選ぶかー」

幼「選ぶよっ!」

男「普通、最後に乗るもんじゃね?」

幼「私は普通なんて言葉に縛られないよ!」

男「最初からクライマックスだな…」

幼「期末テストで勝負しようって言ったの、男じゃん!」

幼「私が勝ったんだから、今日は男に拒否権ないよ?」

男「わかってるよー」

幼「さぁ、テンション上げて行こうっ!」

男「お、おぅ…」

幼「なーんか、若干テンション低くない?」

男「そ、そんな事、ないぞ?」

幼「なーんか、顔色悪くない?」

男「まぁ、今から強制で高い所に上るんだからな」

男「顔色も悪くなるってもんよ」

幼「でも乗るけどね?」

男「ですよねー」

幼「さぁ!行こう!あの大空の彼方へ!」

男「別に空は飛ばないからね?」

男「一定の高さまでゆっくり上がって、ゆっくり下がるだけだからね?」



係員「さぁ、どうぞ。可愛らしいカップルさん」

幼「いやぁ、カップルだなんて、照れてしまいますな?」

男「お、おぅ…」

係員「か、彼氏さん、大丈夫ですか?顔が青いですよ?」

男「おぉふ。高い所、若干苦手なんですけど…」

男「男の子なんで、頑張ります!」

幼「頑張らせます!」

係員「そ、そうですか、それじゃ、ごゆっくり?」



幼「観覧車なんて、いつ以来だろうね?」

男「多分、幼稚園の時に乗った時以来じゃないかな…」

男「あの時、幼がてっぺん近くで大はしゃぎしたから」

男「ゴンドラが揺れて、大変だったじゃん」

幼「そんな事あったっけ?」

男「俺が高所恐怖症になったのは、多分その時だからな…」

幼「へー」

男「軽いリアクションありがとうございます」

幼「上がってきた!ね、上がってきたよ!」

男「そりゃあ、上がるだろうさ」

幼「わぁ…高いね!男!」

男「高いなぁ…」

幼「そろそろてっぺんだよ、男!」

男「…おぅ。目も回る高さだな…」

幼「それを言うなら、目もくらむ高さ、でしょ?」

男「そうか、目もくらむ高さ…か」

幼「…」

男「…」

幼「…ね、男」

男「…ん?な、何だ?」

幼「私、男に伝えたい事があるんだ…」

男「…ン」

幼「…」

幼「わ、私ね…小さな頃から男の事が…」

男「…」

幼「す、好き…なの」

男「…」

幼「お、男は私の事、どう思ってる?」

男「…」

幼「…ね、ねぇ男、聞いてる?」

男「…」

幼「ちょっと、男、寝てるの?」
ユサユサ

幼「男?どうしたの?」

男「…ィ…」

幼「え?何?」

男「…」
グッタリ

幼「男!男っ!」

幼「下ろしてー!誰か!助けて!男が死んじゃう!」
ガタガタ



係員「さ、さっきの可愛らしいカップルさんが乗ったゴンドラが…」

ユサユサガンガン

係員「めっちゃ揺れてる叩いてる!!!!」

幼「開けてー!早く下ろしてー!」

係員「そしてめっちゃ叫んでる!?」



係員「ど、どうしたんですか?」

幼「早く下ろしてって言ったのに!」

係員「そう言われても、スピードを変えるとか無理なんで…」

幼「早く下ろしてくれないから、お、男が!死んじゃった!」

男「…シ…ィ」

幼「え?男?大丈夫?今、何て言ったの?」

男「…シンデ…ナイ…」

幼「しっかりして!腹の底から声出して!」

男「…ハラ…イタイ…」
ガクッ

幼「男が…し、死んだ!?」

係員「い、いや、確かに気を失ったみたいですけど」

係員「死んではいないと思います!」

幼「早く199番を!」

係員「お、落ち着いて下さい!それ、ギリシャの消防の番号ですから!」

幼「この際、消防でも何でも良いよ!早く呼んで!」

係員「すぐ119番通報して、救急車呼びますから!」

幼「男!しっかりして!」




男「まぁ、そしたらさ」

男「盲腸だったんだけど」

男「こじらせて、腹膜炎になっちゃってたって訳なのさ」

幼「ふくまくえん?」

男「おう。すげー痛いんだぜ?」

男「今ももう、超ヤバいくらい痛いぜ?」

幼「…」

男「手術して一週間にもなるのにさー」

男「身体起こすのが嫌になるくらい痛いんぜ」

幼「私のせい…だよね?」

男「え?」

幼「私が、遊園地なんかに誘ったから…」

男「いや、腹が痛いのを我慢してた俺が悪いだろ」

幼「わ、私が…私が男を、こんな風に…」

男「こんな風って…大丈夫、2週間もすれば退院だから」

幼「私が男を不幸に…しちゃった」

男「ちょっと、聞いてる、幼?」

幼「ご、ごめんね、男。もう私、男に近付かないから…」
ガタッ

タタッ

男「は?幼、待って!」
ガタタッ

男「ふがっ!痛ってぇぇえ!」

男「こんちくしょうがあぁぁぁ」

タタタッ

男「幼!ちょっと、待って!待って下さい!」

幼「…」

ダダダッ
男「がぁぁ!待てって言ってんでしょうがぁぁあ!」
ガシッ

幼「!」

男「話しを…最後まで…ちゃんと…聞け、幼…」

幼「男、顔色が…」

男「いいから聞いてくれ!」

幼「う、うん」

男「俺の病気は別に不治の病って訳じゃくて」

男「たまたまそうなっただけだからさ」

男「幼が遊園地に誘ってくれた事とは関係ねぇからさ」

男「お前が…幼が居なくなったら、それこそ俺は不幸になっちまうよ」

男「俺の前から居なくなるとか、そんな事言わないでくれよ」

幼「わ、わかった…」

男「俺も、幼の事が、昔から好きだったんだぜ…」

幼「え?」

男「い、今のが…」

男「か、観覧車で言えなかった、俺の…返事…」

幼「ほ、本当に?」

男「ホ…ン…ト…」
ガクッ

幼「男?大丈夫?ねぇ?」

男「…」

幼「だ、誰か!誰か助けて下さい!」

看護師「ど、どうしたんですか?」

幼「い、急いで911番に通報してください!」

幼「お、男を病院に連れていかなくちゃ!」

看護師「ちょ、ちょっと落ち着いて下さい!」

看護師「911番はアメリカの緊急通報番号ですから!」

看護師「それにここが病院ですから!」




幼「うぅ…」

男「退院、延びちまったなー」

男「すげー無理して走っちゃったから」

幼「ご、ごめんね、男」

男「いや、まあ、アレだよ」

幼「なに?」

男「再手術にはなっちゃったし、退院も延びたけど」

男「俺の気持ち、伝えられて良かったよ」

幼「あ、あの…」

男「昔からの癖だけどさ」

幼「え?癖?」

男「学校の成績は良いのに」

男「たまにとんでもない勘違いして暴走する癖の事だよ」

男「これからはあんまり暴走するなよ?」

幼「ぼ、暴走なんてしてないし!」

男「ほら、病室ではお静かに?」

幼「…」

男「俺は大丈夫だから」

幼「あ、うん…」

男「退院したらさ」

幼「うん…」

男「また遊園地行こうな?」

幼「う、うん!」

男「観覧車は最後な?」

幼「えー?」

男「いっぱい遊んで、楽しんで、笑ってさ」

幼「うん?」

男「最後に、また改めて俺の気持ちを伝えるから」

男「…それでいいかな?」

幼「…うんっ!」

幼「男っ!大好きっ!」

男「ま、待て!幼!今抱きつかれたら、また…」

ガバッ!

男「ギャーーーーーー!」



おわり

おつ!

これで終わりです
読んでくれた人が居たら嬉しいです

次スレは
男「騙された!」幼馴染「騙してない!」
ってスレタイで立てると思います

見かけたら読んでくれると嬉しいです

では。

乙でござる

乙!

大義であった

いつもの楽しみですo(^▽^)o

乙!

おつおつ

うぉっつー

乙です

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