はたおりおさななじみ(115)

ある所にそれはそれは見事にはたをおる女の子がおりました

多い日には10ものはたをおる事もあったそうな

これはそんな女の子のある日の出来事

幼友「はー、やっと授業終わったー」

幼馴染「お疲れ様」

幼友「あんたは全然疲れて無いみたいね」

幼「授業、楽しいからね」

幼友「はぁ、楽しいと疲れませんか」

幼「そうだね。授業を疲れると思った事は無いね」

幼友「完璧超人か!」

幼「そんな事は無いよ」

幼友「生徒会の仕事は?疲れるよね?」

幼「全然」

幼「生徒会の仕事も好きでやっている事だしね」

幼友「ふーん。ま、私はあんたの傍でお手伝い出来ればそれで良いんだけど」

幼「いつも手伝ってくれてありがとう、幼友」
ニコッ

幼友「お礼とかやめてよ。私だって一応生徒会執行部の一員なんだから」

幼「ふふっ…それじゃそろそろ行こうか、幼友」

幼友「はいはーい」



生徒会長「やあ、幼さん」

幼「生徒会長、お疲れ様です」

生徒会長「はは、疲れるのは今からだけどね」

幼「今日もよろしくお願いします」

生徒会長「それはこちらの台詞だよ」

幼「皆、集まった様なので…」

生徒会長「うん、それではこれより体育祭に向けての会議を始めます」

生徒会長「副会長、進行宜しく」

幼「はい、それではまず最初の議題から…」



生徒会長「それでは今日の会議はこれで終わります」

生徒達「お疲れ様でした!」
ザワザワ

幼「…」
ガサガサ
トントン

幼「幼友、この書類を教頭先生まで届けて貰えるかな?」

幼友「任された!ダッシュで行ってくる!」

幼「廊下を走っては駄目だよ、幼友」

幼友「走らず急ぐ…ナゾナゾ?」

幼「違うよ。急がなくて良いから普通に歩いて行って」

幼友「了解!じゃ、ちょっと行ってくるね」
スタスタ

生徒会長「幼さん、お疲れ様」

幼「会長、お疲れ様でした」

生徒会長「今回の会議進行もお見事でした」

幼「いえ、そんな事は」

生徒会長「楽しい体育祭になりそうだよね」

幼「そうですね。皆で話し合って、少しずつ形になって」

幼「当日は全校生徒、皆で楽しむ」

幼「絶対、良い思い出にしたいです」

生徒会長「うん、そうだね、良い思い出にしたいね」

女子バスケ部部長「ねぇねぇ、あの2人、何の話ししてるのかな?」

女子バレー部部長「超お似合いだよねー」

女子卓球部部長「会長と副会長って、付き合ってるのかな?」

女子水泳部部長「美男美女でお似合いだよねー」

女子茶道部部長「どちらも高嶺の花という感じですものね」

女子漫研部部長「隠れて付き合ってるんじゃないかな?」

女子柔道部部長「あぁ…会長、私と付き合ってくれないかなぁ」

女子部長達「アンタじゃ無理でしょ」

女子柔道部部長「アンタら…全員投げ飛ばすわよ?」

放送部部長♀「あ!ちょっと新聞部の!あんた何か知らないの?」

新聞部部長♂「あ?まだウラ取れてないから記事には出来んけど…」

新聞部部長♂「実は会長の方から一度告ったけど、断られたらしい」

女子部長達「マジで!?」

新聞部部長♂「でも諦めてないらしいって噂ならある」

女子部長達「マジで!?」

女子バスケ部部長「でも何か解るわー」

女子バレー部部長「幼さんって、孤高の存在って感じするもんね」

女子卓球部部長「クールだよね?」

女子水泳部部長「恐れ多くて近寄りがたい感じするよね」

新聞部部長♂「でもたまに素敵な笑顔を見せるよね」

女子茶道部部長「あ!幼友さんと話してる時は、微笑んでる事が多い様な気が…」

女子漫研部部長「も、もしや、幼友さんと付き合ってるんじゃ…」

女子漫研部部長「そんな薄い本みたいなゆりゆりな展開なら…ハァハァ」

女子柔道部部長「そ、そしたら!会長は私と付き合うって事に!」

新聞部部長♂「絶対ならないでしょ」

女子柔道部部長「…」

放送部部長♀「ま、会長が誰かと付き合う事になったら」

放送部部長♀「私達、生徒会長親衛隊が黙ってないですけどねっ」

女子部長達+新聞部部長♂「そんなのあるんだ!?」

女子部長達+新聞部部長♂「でも解るわー!」

新聞部部長♂「…まぁ、幼さんが誰かと付き合う事になったら」

新聞部部長♂「俺達、幼さんファンクラブ会員一同が黙ってねーけど」

女子部長達「そんなのもあるんだ!?」

女子部長達「でも解るわー!」


生徒会長「…あのね、君達」

部長達「!?」

生徒会長「そういった話しはさ」

生徒会長「当人達には聞こえない様にするものじゃないかな?」

生徒会長「さすがの僕も傷つくよ…はぁ…」

部長達「すみませんでしたっ!」

生徒会長「さ、会議は終わったんだから、全員会議室から出てくれないかな?」

部長達「は、はいっ!」
バタバタバタ


幼「…」

生徒会長「まぁ、大体事実なんだけどね」

幼「会長、すみません」

生徒会長「はは、良いんだよ。幼さんが謝る事じゃないさ」

生徒会長「…でも良い機会かもしれないな」ボソッ

幼「?」

生徒会長「僕が幼さんに一目惚れしたのは、今から468日前、君の入学式の時」

生徒会長「新入生代表挨拶をする君の姿に見惚れてしまった」

生徒会長「告白をしたのは丁度263日前だったよね」

幼「…」

生徒会長「……あの時は断られてしまったけど」

生徒会長「君は生徒会に来てくれた」

生徒会長「それってやっぱり、僕の事が好きになってしまったって事だよね」

幼「あの…会長?」

生徒会長「そうだよね?」

幼「…」

生徒会長「だからもう一度、告白しても良いかな?」

生徒会長「幼さん、僕と真剣に交際して貰えないだろうか?」

幼「すみません、それは出来ません」

生徒会長「…何故だい?」

幼「前にもお話ししましたが、それだけは誰にも言えないんです」

幼「本当にごめんなさい」

生徒会長「僕の事が好きになったから、生徒会に入ったんじゃないのかい?」

幼「…違います」

生徒会長「嘘だっ!」

幼「!?」

生徒会長「…何故君は嘘を吐くんだい?」

幼「嘘じゃありません、本当に会長とは…」

生徒会長「あんまり強情な様なら…」

生徒会長「君が正直になるように、その身体に教えてあげようかな」

幼「…どうするおつもりですか?」

生徒会長「ふふふ…きっと君は僕の事が大好きになるよ…」

幼「例え…」

生徒会長「んん?抵抗しても無駄だと思うよ?」

幼「例え会長がどんな事をしても、私は会長とはお付き合い出来ません」

生徒会長「やってみないと解らないさ…」

幼「無駄です」

生徒会長「……こんなに格好良くて、皆の人望も厚い生徒会長で、実家は金持ちの」

生徒会長「この僕の一体どこが気に入らないんだい?」

幼「私は、自分の事を『格好良い』と言い切る様な人間を…」

幼「好きになる事は絶対にありませんよ、会長」

生徒会長「…そこまで僕は駄目かい?」

幼「生徒会長として、日々学園を良くしようと努力している会長の事は尊敬しています」

幼「ですが、今の様な脅し文句を言い放つ会長の事は軽蔑に値すると思います」

幼「そんな会長の事を異性として好きにはなれません、絶対に」

生徒会長「幼さん…君は…」

ガラッ
幼友「お待たせーっ!幼、帰ろー…って」

幼友「あれ?何か立て込んでましたか?」

生徒会長「い、いや、何でも無いよ」

幼「会長、今のお話しは聞かなかった事にしますので」

生徒会長「う、うん。それじゃ2人とも気をつけて帰ってね」

幼・幼友「はい」


生徒会長「はぁ…2回もフラレた…」ブツブツ

生徒会長「何故この気持ちが伝わらないんだ…」ブツブツ



見た目そこそこ、中身残念な生徒会長とのはたを1折り



幼友「本当に良かったの?」

幼「あぁ、問題ないよ」

幼友「生徒会長、ちょっと怖い顔してたけど?」

幼「本当に何も問題はないよ、幼友」

幼友「…ま、幼がそう言うなら良いけどさー」

気の弱そうな男子生徒「あ、あの…副会長!」

幼「ん?何かな?」

弱夫「ちょっとお話しがあるんですけど…いいですか?」

幼「うん、構わないけども?」

弱夫「あの…ここではちょっと…」

幼友「あー、そう言う事ね。幼、話し聞いてあげなよ」

弱夫「…ちょっとついて来てもらえますか?」

幼「解った。幼友、すまないが先に帰っていてくれ」

幼友「はいはーい」



幼「…どこまで行くのかな?」

弱夫「あの…もうすぐです」

幼「…」

弱夫「ご、ご面倒をおかけします」

幼「もしかして体育館裏に向かっているのかな?」

弱夫「そ、そうです…」

幼「君は、誰かに頼まれて私を呼びに来たのかな?」

弱夫「…あの!幼先輩っ!」

幼「何だろう」

弱夫「す、すぐに逃げて下さい!」

幼「…」

弱夫「あの…体育館の裏には不良達が居るんです!」

弱夫「僕、あいつらに脅されて…すみません!」

弱夫「今、あそこに行ったら、きっと酷い事されると思います…」

幼「でも私が行かなければ、貴方が酷い目に合うかもしれないよ?」

弱夫「いいんです!幼先輩が…酷い目にあわされる位なら…」

弱夫「ぼ、僕が代わりに!」

幼「気持ちはとてもありがたいのだが」

幼「私はちゃんと体育館裏に行くよ」

弱夫「でもっ!」

幼「大丈夫、弱夫君の思っている様な事にはならないよ」

弱夫「せ、先輩、何故僕の名前を?」

幼「一応、全学年全生徒の名前と顔は覚えているからね」

幼「貴方は1年B組、出席番号35番の弱夫君だよね?」

弱夫「は、はい…先輩ってやっぱり凄いですね」

幼「私は別に凄くないよ」

弱夫「凄いですよ…」

幼「ここからは私一人で行くから、弱夫君はもう下校してくれ」

弱夫「出来ませんよ、そんな事っ!」

幼「何故?」

弱夫「好きな人が酷い目にあうのを、黙って見てるなんて出来ないです!」

幼「ん?好き?」

弱夫「ぼ、僕、実は幼先輩の事、前からす、好きで!」

弱夫「あの…入学式に見た時から、ずっと好きで!」

弱夫「だ、だから…だからっ!」

幼「…その好意はとても嬉しいのだけれども」

幼「私はその気持ちに応える事は出来ない」

弱夫「だ、誰か好きな人…付き合ってる人が、い、居るんですか?」

弱夫「せ、生徒会長先輩とか?」

幼「違う」

弱夫「それじゃ…僕が弱い人間だからですか?」

弱夫「不良達に脅されて、好きな人を危ない場所に案内する様な…」

幼「それは全然違う、的外れだよ、弱夫君。君は弱くない」

幼「私が危機に陥るかも知れないと言う事を、ちゃんと教えてくれたじゃないか」

弱夫「じゃあなんで…」

幼「私が貴方の好意に応えられないのは、全然違う理由なんだ」

幼「その理由を貴方に話さない事は、不誠実な事なのだけれども」

幼「これは私だけの秘密なのでね」

幼「だから、ごめんなさい」
ペコッ

弱夫「い、いえ…突然すみませんでした」

幼「それじゃ、私は体育館裏に行ってくる」

幼「弱夫君、気をつけて下校してね」

弱夫「ほ、本当に一人で行くんですか?」

幼「うん。本当に大丈夫だから」

弱夫「解りました…気をつけて…下さいね」

幼「ありがとう。それじゃまたね、弱夫君」
ニコッ
スタスタ

弱夫「はぁ…やっぱ駄目だったかぁ…初恋だったのになぁ…」

弱夫「普段凛々しい先輩がたまに見せる笑顔が好きでした…」

弱夫「どうか、何事もおきませんように…」





弱夫君とのはたを1折り

かわりに不穏なはたが1本立ちました



体育館の裏

不良A「おっ…来たぜ」

不良B「よう、副会長様よぉ、遅かったじゃねえか」

不良C「あいつどうした?モヤシみてーな一年坊」

幼「私に用があるのなら、君達が直接来れば良いと思う」

不良A「俺達こう見えても忙しくてよぉ」

不良B「そうそう、そうだぜ」

不良C「手が離せなかったんだぜ」

幼「弱夫君が怯えていた。金輪際こんな事はしないで欲しい」

不良A「おーおー、いつもながら強気だねぇ」

不良B「けど、その強気がいつまで持つかなぁ?」

不良C「まったくだぜぇ…ケッケッケ」

幼「…それで、私に用と言うのは何かな?」

幼「そろそろ下校時刻だけれども、それまでに済む用なのかな?」

不良A「それはアンタ次第だろうぜぇ」

不良B「まずはアッチの花壇を見てみろよ」

幼「花壇?」

不良C「アンタが昼休み、一人で手入れしてる花壇の事さ」

幼「……」

幼「…君達は、この花壇を荒らしたのが誰なのかを知っているのかな?」

不良A「へっへっへ…実は俺ら犯人を捕まえてよぉ」

不良B「そうそう。それで俺ら忙しかったんだぜ」

不良C「古い方の体育倉庫に閉じ込めてあるんだけどよぉ」

不良A「見るか?犯人のツラ」

幼「…是非見てみたいね」

幼「でも、体育倉庫には鍵がかかっているはずだけれども」

幼「君達はどうやって開けたのかな?」

不良A「へっ!あの鍵、随分前から壊れてたんだぜ?」

不良B「勘違いすんなよ?俺たちが壊した訳じゃないぜ?」

不良C「そうそう。もう半年位前から壊れてっから」

幼「そう言う事は先生か、生徒会まで報告をして貰いたい」

幼「後、鍵が壊れているなら、犯人は容易く逃げ出せるのでは?」

不良A「そりゃあ大丈夫だ。アイツにあの重い扉を開けるなんて、無理だからな!」

不良B「さぁ、犯人の奴をメチャクチャにしちまえよ、副会長様よー」

不良C「犯人の顔を見た時のアンタがどんな顔するのか…見ものだぜぇ」

不良A「さぁ、その扉を開きなよ、ゆっくりとなぁ」

幼「…」
ギギギギ

幼「…暗くて良く見えないな」

不良A「へっへっへ…」
ギギギギ…ガタン

幼「…扉を閉めてしまったら、余計見えにくいのだけど?」

不良B「逃げられたら困るからよぉ…ケッケッケ」

ガサゴソ

幼「そこに…居るのかな?」

不良C「そう、その跳び箱の後ろに居るはずさ」

不良A「さぁ、奥に行って、ツラ拝んできなよ」
パチッ

幼「おや、電気はちゃんとつくのだね」

不良B「言っちまえばここは、俺らのオアシスだからよぅ」

不良C「その蛍光灯、自腹で替えたんだぜ?」

不良A「そんな事より、これで犯人のツラ見えるだろ?」

不良C「早く奥に行きなよ、副会長さんよぉ」

幼「あぁ、そうしよう」

幼「…私が手入れをしていた花壇を荒らしたのは誰だ?」
サッ

幼「…なっ!?こ、これは…!」

不良A「驚いたか?驚いたよなぁ!」

不良B「そのツラが見たかったんだよ!」

不良C「良いねぇ…最っ高の顔だぜ、副会長さんよぉ!」



幼「あぁ、これは…もう…もうっ!」
ナデナデナデ

ナデナデ
猫「にゃーお」ゴロゴロ

不良A「…おい、副会長さんよぉ」

不良A「下校の鐘が鳴ってるぜ?」

不良B「猫好きなの知ってて、こんな事した俺らが悪かったからよ…」

不良C「もう帰ろうぜ!なぁ!」

幼「はっ!?だ、だがしかし…このままここに放置して帰る訳にも…」
ナデナデサワサワ

不良A「じゃあ連れて帰れば良いじゃねぇか」

幼「私の家はマンションなので…連れて帰る訳には…」

不良A「だーっ!じゃあ俺が連れて帰る!」

不良B「あぁ、おめーんち、猫屋敷だもんな。10匹くらい居たよな?」

不良A「14匹だ!そんでこいつが15匹目の家族って訳だぜ」
ヒョイッ

猫「にゃ~お?」

不良C「おーおー。お優しいこって」

不良A「つー訳だ、副会長」

幼「あ、う…うむ。その…可愛がってやってくれ」

幼「あとくれぐれも躾はキチンとな?」

不良A「おうよ、どこに出しても恥ずかしくない美猫にしてやんよ!」

不良B「そんじゃ帰るべ!俺、腹減ったぜ」

不良C「副会長、あの花壇の手入れ、俺らも手伝うからよぉ」

幼「ありがとう、3人とも」

不良達「へっ!俺らは校内一のワル集団だぜ?礼なんて言うな!」

幼「それでも、ありがとう」
ニコッ

不良達(副会長マジ天使だろ)

不良A「副会長!よ、良ければ、俺が家まで送って行こうか?」

不良B「オメー、家の方向が違うべ?ここは俺が…」

不良C「テメーも別方向だろが」

幼「気遣いありがとう。でも私はこれから職員室に行かなければ」

不良A「う…まさか?」

幼「倉庫の鍵が壊れている事を先生に報告しなければ、ね」

不良達「ここ以外に授業サボる場所がねーんだ…」

不良達「俺達のオアシスを奪わないでくれぇ…」

幼「これを機に授業をサボるのを止めて、真面目に勉学に勤しんではどうだろうか?」

不良A「んな事言っても…俺らバカだからなぁ」

不良B「そうそう、センコー共も汚物を見る様な目で見やがるしよぉ」

不良C「今さら勉強とか、マジ無意味だぜぇ」

幼「そんな事は無いよ」

幼「確かに今は周囲からの視線も冷たい物かも知れない」

幼「けれど私は知っている」

不良A「な、何をだよ」

幼「貴方達が、落ちているゴミを見かけたら、必ず拾ってゴミ箱に捨てている事を」

不良B「う…見られてたのかよっ」

幼「貴方達が、他校の生徒に絡まれている生徒を助けている事を」

不良C「し、知ってたのかよ?」

幼「貴方達は本当は優しい人だと、私は知っている」

不良達「…」

幼「勉強する気になってくれたなら、今までの分、私が教えよう」

不良A「でも…俺ら相当バカだぜ?」

幼「やる気さえあれば、大丈夫だよ」

幼「3人が理解するまで、いくらでも付き合うよ」

幼「だから考えてみてね?」
ニコッ

不良達「お、おぅ…」

幼「それでは、またね」
スタスタ

不良達(マジ天使過ぎるだろ…俺と付き合ってくれねーかな…)



不良達に乱暴されるかもという旗を1折り

代わりに、不良達に懐かれるという旗が立ちました



太った化学教師「そうか、報告ありがとう」

幼「いえ、それでは私はこれで失礼します」
ペコッ

太った教師「あぁ…幼さん、ちょっと良いかな?」

幼「なんでしょう?」

太った教師「り、理科準備室まで付き合って貰えるかな?ドュフフ…」

幼「…またですか、先生」

太った教師「ドュフフ、すまんね、他の生徒には頼めなくてね」

太った教師「それに断ったら…解ってるだろう?」

幼「…解りました」



理科準備室

太った教師「ドュフフ…いつもすまないねぇ」

幼「取り敢えず、鍵をかけて貰えますか?」

太った教師「あぁ」
カチッ

幼「他の生徒に見られると面倒なので」

太った教師「そうだなぁ」

幼「それでは、素早く済ませてしまいましょう」

太った教師「あぁ、それじゃ頼むよ…」
ジジーッ……
ゴソゴソ

幼「…はい」



30分後

幼「先生、資料の整理、終わりました」

幼「ノートパソコン、カバンの中に戻しておきますから」
ゴソゴソ
ジジーッ……

太った教師「ドゥフフ…ありがとう。どうにもパソコンは苦手でねぇ」

幼「後でちゃんとチェックして下さい」

太った教師「本当にありがとう、幼ちゃん」

幼「はぁ…叔父さん、校内ではちゃん付けで呼ぶのは止めて頂きたいです」

太った教師「ドゥフフ…そうは言ってもね」

幼「あと、そのドゥフフって笑い方も生徒に評判悪いですよ」

幼「直した方が良いと思います」

太った教師「幼ちゃんは厳しいなぁ」

幼「叔父さんがだらしないからですよ」

幼「母も心配しています」

太った教師「ね、姉さんが?うー…またお説教されるかなぁ」

幼「もう少ししっかりして下さい、叔父さん」

太った教師「は、はっはっは、こりゃまいったなぁ」

太った教師「あ!そ、そうだ!帰り、車で送って行こうか?」

太った教師「もう下校時刻過ぎてるし…」

幼「帰りに買い物を頼まれているので、結構です」

幼「それに叔父さんにはまだ仕事が残っているのでは?」

太った教師「そ、それもそうか。そうだね、ドゥフフ」

幼「それでは、タンシオちゃん(スコティッシュフォールド3歳♀)を…」

太った教師「解ってるって。今度ちゃんとタンシオ連れて、幼ちゃんの家に遊びに行くから」

幼「お願いします」

太った教師「そ、それじゃ、気をつけて帰ってね」

幼「はい、それでは失礼します」
ペコッ
ガラッ
ピシャッ

太った教師「はぁ…綺麗になったよなぁ…」

太った教師「そりゃ僕らは血縁関係だし」

太った教師「僕はこんなに醜く太ってるけど」

太った教師「少しくらい夢見たっていいじゃんか…」

太った教師「はぁ…さっさと仕事片付けて、家帰って、タンシオと戯れるかな…」



脂ぎった中年教師にいかがわしい事をされるかもという旗を1折り

代わりにスコティッシュフォールドを
思う存分可愛がれる旗が立ちました(この旗は多分折れません)



幼友「あ!やっと来た。おーい、幼ー!」

幼「ん?幼友?先に帰ってくれと言ったのに」

幼友「私が待ちたかったんだよー」

幼友「一緒に帰ろっ!」

幼「待っていてくれて、ありがとう」
ニコッ

幼友「えへへ、私たち親友でしょ!」

幼「それじゃ、帰ろうか」

幼友「帰りに何か食べて行く?」

幼「今日は帰りに買い物を頼まれていてね」

幼「それに、母の帰りが遅いので、私が食事を作らなければいけないんだ」

幼友「そっかー。じゃ、買い物付き合うよ!」

幼「いや、只食材を買って帰るだけだし…」

幼友「もー!そんなつれない事言うなよぅ」
ギュッ

幼「!?ちょっと、幼友…」

幼友「あ!そんじゃ、私、幼の家にお泊りしたい!」

幼「む…それはまた急な話だな…」

幼友「明日休みなんだし!いいじゃん!」

幼「むぅ…それでは幼友のご両親の了解が得られれば…」

幼友「ソッコーで!」
ピッピッ

幼友「あ、もしもしお母さん?今日、私、幼の家に泊まるから!」

幼友「心配ご無用!じゃーね!」
ピッ

幼友「オッケーだって!」

幼「…それでは、大したもてなしも出来ないが」

幼友「やったー!ひょっとして幼の手料理が食べられるかも?」

幼「あぁ、うん。口に合うかは解らないが、食べてみて欲しい」

幼友「テンション上がるー!」

幼「ではスーパーに寄って帰ろう」

幼「何かリクエストはあるかな?」

幼友「私は幼が作ったものなら何でも!」

幼「む…何でも良いのか…どうしたものか…」

幼友「私的には出来れば幼を……」

幼「ん?何か言ったかな?」

幼友「何でもなーい!幼が作りたい料理で良いよ!」

幼「そうか…なら…」



幼「どうぞ」
コトッ

幼友「うわぁ…あんた本当に凄いね」

幼「私は凄くないよ」

幼友「いやいやいやー」

幼友「容姿端麗、文武両道、その上、料理まで…」

幼友「完璧超人か!」

幼「そんな事は無いよ、幼友」

幼友「こんな時、普通は肉じゃがとかじゃない?」

幼「そういう物だろうか?」

幼友「なんで前菜から始まるイタリア料理のフルコースなん?」

幼友「ねぇ、なんでなん?」

幼友「私の親友はイタリア人なん?」

幼「今、練習中なんだ。味見はしたが、幼友の口にあえば良いのだけど」

幼友「それでは頂戴いたします」

幼「召し上がれ」



幼友「同じクラスになって、生徒会で一緒になって」

幼友「幼と友達になって、まだ3ヶ月しかたってないんだけどさー」

幼「うん?」

幼友「幼と友達になれて良かったよ」

幼「急にどうしたんだい?」

幼友「もっともっと幼の事知りたいよ」

幼「あぁ、これからも仲良くしてくれると嬉しい」

幼友「するする!超仲良くするね!」

幼友「しっかし何だろうね、この差は」

幼「ん?差?」

幼友「同い年なのに…」

幼友「料理人でも無いのに、この美味さ」

幼友「あんた、本当に凄いねぇ」

幼「何度も言うが、私は凄く無いよ、幼友」

幼「勉強も、生徒会も、料理も」

幼「全て好きでやっている事だよ」

幼友「…この料理を誰かに振舞う予定があるとか?」

幼「ふふっ、そんな予定があったら良いのだけどね」

幼「今の所、その予定は無いよ」

幼友「幼の手料理を食べたのって、家族以外では私が初?」

幼「そうだね。今日の料理に関しては、幼友だけだね」

幼友「幼っ!愛してるぜ!結婚してください!」

幼「ふふっ、幼友でもそう言う冗談を言うのだね」

幼友(軽く流された…まぁ、当然か…)



幼友「いやー、満足満腹!」

幼友「幼、超美味しかったよ!ご馳走様でした!」

幼「お粗末様でした。お口にあって良かったよ」
ニコッ

幼友「是非また食べさせて下さい」
ペコッ

幼「お安いご用だよ。いつでも言ってくれ」

幼友「ホント?じゃあ明日の朝もお願いします!?」

幼「泊まるのだから、もちろん朝食は出すよ」

幼「朝は和食にするつもりなのだけど、構わないかな?」

幼友「幼の手料理なら、なんでも!」

幼「ふふっ、作りがいがあるよ」

幼友「あー、そろそろいい時間だし、お風呂入りたいかも!」

幼「そうだね、今お湯を張って来よう」

幼友(ウェヒヒ…一緒にお風呂…一緒にお風呂…)

幼友(背中の流しっこ…もちろん前の方も…)

幼友(うはー!興奮する!)

幼友(しーかーもー!替えの下着なんて持ってないから)

幼友(幼の下着を借りざるを得ないっ!)

幼友(幸せ過ぎる!)

幼「幼友、お先にどうぞ」

幼友「え?一緒に入ろうよ!」

幼「いや、家のお風呂は狭くてね」

幼「2人は入れないんだ」

幼「お客様なのだから、幼友からお先にどうぞ」

幼友(ちぃっ…マンションだから狭いのは仕方無い…か)

幼友「あ、あー、そう言えば、下着も着替えも無いやー」

幼友「幼、貸してくれる?」

幼「あぁ、準備しておくよ」

幼友(お風呂で洗いっこは無理だったが…まだまだぁ!)

幼友(幼の下着を!合法的にっ!入手出来るっ!)



幼友(…と、ヌカ喜びさせておいて、こう落とす訳ですね)

幼友「ねー!幼ー!この下着ってさぁ」

幼「あぁ、まだ使っていない新品の下着だから、遠慮なく」

幼友(チクショー!)

幼「それでは私もお風呂に入って来る」

幼「居間に飲み物を用意してあるから、寛いでいてくれ」

幼友「ありがとー」

幼「では」
パタパタ

幼友(これはチャンス?覗くか!?いや、でももしバレたら……)

幼友(いや、夜は同じ部屋で寝るんだし…)

幼友(夜は長いんだ…ここはじっくり…)

幼友(今夜、私は狼になる!)

幼友(一緒の布団で寝る!)

幼友(そしてあんな事やこんな事も…ウェヘヘ…楽しみっ!)



幼「ふぅ…良い湯だった」

幼友「……」
スヤスヤ

幼「おや?幼友…寝てしまったのか…」

幼「幼友、肩を貸すから少し歩いてくれ」

幼「こんな所で寝てしまっては、風邪を引いてしまう」

幼友「…んゃぁ、幼ぁ…」

幼「ベッドまで何とか、頑張ってくれ」

幼友「…パラダイスがぁ…あるんだよねぇ」

幼「ふふっ…寝ぼけているのか」



トサッ
幼友「幼ぁ…あいしてるぜぇ…」
スースー

幼「完全に寝てしまったな」

幼「ふむ…少し早いが私も寝るかな」
パチッ

幼「お休み、幼友」

幼友「むにゃむにゃ…そこはらめぇ…」

ゆりゆりした女友達との怪しげな展開への旗を1折り

今日は5本の旗を折りました



翌朝

幼友「ん…なんか、いーにおいがするー」
ボケー

幼友「そと、あかるいー」
ボケー

幼友「ていうか、ここどこー?」
ボケー

幼友「…」

幼友「はっ!?」

幼友「あ、朝っ!?」
キョロキョロ

幼友「お、幼は?」

ガチャッ

幼「あ、起きていたんだね」

幼「お早う、幼友」
ニコッ

幼友「お、お早う…てか、昨晩の記憶が無いんだけど…」

幼「あぁ、私がお風呂に入っている間に、幼友は寝てしまっていたので」

幼「私のベッドまで歩いてもらったんだが…覚えていないかな?」

幼「まぁ、随分と眠そうだったしね」

幼友「そ、そんな馬鹿な…あんなにテンション上がってたのに!」

幼友「寝ちゃうなんてありえない!」

幼「あぁ、私がちょっと長風呂でね」

幼「きっと待ち疲れて、寝てしまったんだと思う」

幼友「長風呂って、どれくらい?」

幼「昨日は2時間位かな」

幼友「2時間!?長すぎるでしょ!」

幼「実は私は、ぬるま湯に浸かりながら、本を読むのが好きなんだ」

幼「幼友が待っているのに時を忘れて、つい読み耽ってしまって…」

幼「折角泊まってくれたのに、退屈させてしまって申し訳無い…」

幼友「いや、退屈とかは全然良いけど…」

幼友「良いんだけど…」

幼友(うぁぁぁぁぁ!千載一遇のチャンスがっ!)

幼「あぁ、朝ごはんが出来ているよ、食べるかい?」

幼友「お!食べたい食べたい!」

幼友「あ!そう言えば私ってば、幼のご両親に挨拶もしてない!」

幼「あいにく、両親とも既に仕事に出掛けてしまってね」

幼友「それじゃ、この家には今、私たち2人だけ?」

幼「そうだよ。だから遠慮なく、ね?」

幼友(まだだ!まだチャンスは…あるっ!)

幼友「お、幼!今日一緒にお出掛けを…」
ピリリリリ ピリリリリ

幼「電話が鳴っているよ、幼友」

幼友「う、うん、そんな事はどうでも良いからお出掛け…」
ピリリリリ ピリリリリ

幼「いやいや、ちゃんと出た方が良いよ」

幼友「うん…」
ピリリリリ ピッ

幼友「もしもし?お母さん?何?」

幼友「え?いや、でも…今ちょっと…」

幼友「いや、それはあたしじゃないし…え?そうなの?」

幼友「……んぁー!解った!お昼までには帰るから!」
ピッ

幼友「……」

幼「遊びに行くのはいつでも行けるから、ね?」

幼友「うん…」

幼「幼友さえ良ければ、また泊まりにも来て欲しい」

幼友「え?マジで?絶対だよ?」

幼「うん。是非来て欲しい」

幼友「じゃあ来週!来週末にでも!」

幼「解ったよ、幼友」

幼「取り敢えず、朝ごはんを食べよう?」

幼友「うん!」



来週末に変なイベントの旗が1本立ちました

こんな感じで、無意識に旗を立てては折り、立てては折り……

そんな日々を過ごす女の子ですが

1本だけ大切にしている旗がありました



ガパッ
幼「ふむ…冷蔵庫の中身を見るに…」

幼「今日の夕食は久しぶりに肉じゃがを作ってみようかな」
パタン

幼「あ…そう言えばみりんと醤油が切れそうだな」

幼「昨日買っておくべきだった」

幼「やはり今日も買い物に行かなければ…」



近所のスーパー

幼「ふむふむ…今日は人参が安いな、買っておこう」

幼「後は…」

?「お?幼ー!おーい!」
ブンブン

幼「!?」

?「お前もお遣いか?」

幼「お、おお、男っ…ひ、久しぶりっ」

男「ん?久しぶり?一昨日も会ったろ?」

幼「そ、そうだったかな?そ、そうだったね、あはは」

男「お前はいつもあわあわしてるなぁ」

幼「そ、そうかな?ぜ、全然っそんな事無いと思うけど?」

男「そんなあわあわして、生徒会ちゃんと務まってるのか?」

幼「も、もちろん!あ、いや、色んな人に助けられて、何とか務まってる」

男「そっか。何かあったら手伝うから、言えよ?」

幼「う、うん…何かあったら、い、言うよ」

男「で?幼の家の今日の晩御飯は何だ?」
ヒョイッ

幼「あ、あわわ…あの…」

男「ふーむ…みりんと人参、玉ねぎに牛乳か…」

男「ズバリ、カレーと見た!」

幼「い、いやその…肉じゃがでも作ろうかと思っているのだけど…」

男「へ?作ろうと思ってる?幼が作るの?おばさんじゃなくて?」

幼「う、うん。私、今、料理の、れ、練習中で」

男「へぇ、そうなのか」

男「ま、お前は昔から何でも出来る優等生だもんな」

男「幼馴染として、お隣りさんとして、俺も鼻が高いぜ!」

幼「そ、そんな事、全然無いよ、えへへ…」

幼「お、男は?晩御飯のお遣いなのかな?」

男「おー、実は今、俺ん家誰も居なくてさー」

幼「え?」

男「父ちゃんと母ちゃん、3泊4日の旅行でさ」

幼「そ、そうなんだ?そ、そうか、そうなのか」

男「ま、ピザでも取ろうと思ってたんだけどさ」

男「母ちゃんが自炊しろってうるさくてなー」

男「食費も自炊するギリのラインしか置いていかなかったんだよ」

男「小遣いから飯代出すのも癪だしな」

男「だからまぁ、安く済ませる為に、もやしでも買おうかと思ってなー」

男「俺、もやし炒めだけは上手に作れるからな、ははっ」

幼(こ、これはっ!)

幼(ありそうで無かった、千載一遇のチャンスなのでは!?)

幼(専業主婦のおばさんが家に居る時は不可能だった…)

幼(私の手料理を振舞うチャンス!)

男「んじゃ、俺もやし取ってくるわ」

幼(今こそ修行を積んだ料理の腕を振るう時!)

幼(頑張れ、私っ!)

幼「あ、あのっ!も、もし良ければっ!」

男「んっ?何だよ急に。大きい声だして」

幼「私が、ば、晩御飯を作ろうか?」

男「え?良いの?マジで?」

幼「お、男さえ良ければ…その…味は保証出来ないけども」

男「ははっ、そこは保証してくれよ」

男「てか、幼の事だから、すっげー美味い物食べさせてくれるんだろ?」

幼「誠心誠意、努力しましゅ……す」

男「じゃあ、材料費出すから、宜しく!」

幼「それじゃあ、私は別の買い物があるから、先に帰っていて」

男「荷物持ちくらいするよ」

幼「だ、大丈夫だから!夕方、男の家に行くね」

男「そうか?解った。んじゃ待ってるから」

幼「そ、それじゃ、また、後で、ね」

幼(やったっ!やったっ!!)

幼(これで、美味しい手料理を食べて貰えれば…)

幼(男も私の事を女の子として見てくれるかも!)

幼(こ、恋人同士に、なれるかも…)

幼(……)

幼「!?」

幼(いかんいかん、気を引き締めねば!)

幼(ウチの晩御飯は肉じゃがを作っておいて……男には…)



幼「さぁ、ど、どうぞ。お口に合うと、良いのだけど」
コトッ

男「……」

男「あのさ、幼」

幼「な、何かな?」

男「食べる前に一つ聞きたい」

幼「う、うん。何でも聞いて」

男「これさ……」

幼「あ、あの…味見はしたが、男の口に合うかどうか…」

男「いや、すげー美味しそうなのは、見ただけで解るんだけどさ」

男「これ、材料費いくらかかってんの?」

幼「そ、そこは気にしなくて良いから」

男「いやいやいや、て言うか、一般家庭の晩御飯に」

男「フランス料理のフルコース?」

男「なんで?」

幼「あ、あぁ。たまたま練習中だったんだ」

男「たまたま?フランス料理を?」

男「俺の幼馴染は実はフランス人だった?」

幼「そ、その…和洋折衷、何でも作れる様になりたくて、ね」

男「いやいやいや。さっきのスーパーでの会話の流れならさ」

男「肉じゃが出てくると思うじゃん!」

幼「そ、そうか?…そうか…男は肉じゃがの方が良かったか?」
ショボン

男「そんな事は無いけど…ビックリしたって事だよ」

幼「う…申し訳ない」
ショボボン

男「そんなにしょんぼりするなよ、責めてる訳じゃないし、な?」
ナデナデ

幼「!う、うん…」

幼(頭ナデナデされた…久しぶりだ…嬉しいっ!)

男「あー、勿体ないから、早く食べようぜ!」

幼「そ、そうだね」

男「それじゃ、取り敢えず一口、頂きます!」

幼「ど、どうぞ召し上がれっ」

パクッ
モグモグ

幼(…ドキドキする)

男「んがっ!!超うめぇ!!!」

幼「ほ、本当に?」

男「おう!なんだこれ、めちゃくちゃ美味い!変な声出るくらい美味い!」

幼「よ、良かったよ」

男「で、幼の分は?」

幼「え?」

男「久しぶりに一緒に御飯食べようぜ?」

幼「あ、あわわ、そ、その…い、良いの?」

男「当たり前だろ?一人分しか用意してないって言ったら怒るぞ?」

幼「う、うん、一応二人分作ってあるんだけど…」

男「じゃあ、一緒に食べようぜ」

幼「うんっ!」

幼(夢、叶ったり!)

幼(男に手料理を食べて貰えた)

幼(男に美味しいって言って貰えた)

幼(二人っきりで、一緒に御飯を食べられるっ!)

幼(夢でも良いけど、まだしばらく覚めないで…」


男「何が冷めないんだ?」

幼「はわわっ!?い、今の、声に出てた?」

男「しばらく冷めないでって、口に出してたぞ?」

幼「う、うん。前菜の次は、ス、スープだからね」

幼「で、でも、冷静に考えれば、温め直せば良いもんね?」

男「ん、そうだな。取り敢えずさ、なんか落ち着けよ、幼」

幼「わ、私は落ち着いているよ、割と」

男「そうか?何かまたあわあわしてるぞ?」

幼「だ、大丈夫だよ、男。それじゃ、自分の分を運んでくる」

男「ん。待ってる」
ニコッ

幼(あぁ、ここが天国なのか…)

幼(千葉県船橋市の築20年のマンションの502号室に、天国はあったんだ…)

男「おーい…また何か考え事か?」

幼「な、何でも無い!」



男「ふぅ…満腹だー。ご馳走様でした!」

幼「お、お粗末様でした」

幼「こ、後学の為に、感想を聞いても、良いかな?」

男「文句のつけ所が見つからねーよ」

男「本場のフランス料理なんて、知らないけどさ」

男「幼が作ってくれた、今日の晩飯は最っ高に美味かったぜ!」

幼「そ、そんなに褒められると、照れてしまうな、あ、あはは…」

幼(男に食べて貰う為に、一所懸命練習したんだよ)

男「そうだ!忘れる前に、材料費出すから、レシートくれよ」

幼「ん?い、いや…あの材料は元々ウチにあったんだ」

幼「だから気にしなくて良いよ」

男「そう言う訳にはいかんだろ」

男「最低でも半分、幼の手間も考えたら全額ウチ負担でも良いくらいだ」

幼「あぅ、あの…レシート無い…もう捨てちゃってて…」

男「じゃあ、大体で良いから、いくら位かかったんだ?」

幼「お、覚えて無い…申し訳ない…」

男「むー、それじゃいくら払えば良いんだ?」

幼「そ、それじゃあ……一つお願いがあるのだけれど」

男「ん?聞ける範囲なら何でも聞くぞ」

幼「な、何でも?そ、それなら…」

幼「お、お金は要らないから…」

幼「またっ!私の手料理を食べて欲しいっ!」

幼(ついに言った……言ってしまったー…)

幼(流石の男でも気付く…だろうか……)

幼(私の気持ちに……)

男「ん?あぁ!料理の練習台って事か?それなら大歓迎だぜ」

幼「……」

男「ん?違うのか?」

幼「…あ、あぁ、そうそう。料理の練習中だからね、私は」

幼「時には失敗してしまうかもしれないけれども」

幼「それでも、たまに、私の作った料理を…食べてみて欲しい」

男「大歓迎だけど、その時はちゃんとレシート取っておいてくれよ?」

男「こんな美味い物食べて、一円も払わないなんて、ありえねーからな?」

幼「ふふっ、次からは料金を頂く事にするよ」

男「ははっ、適正価格で頼むぜ」

幼(やっぱり気付いては貰えない…か)

幼(でも私は決して諦めない!)

幼(男が私の事を女の子として、見てくれるその日まで!)



この旗はしょっちゅう折れそうになりますが、
何とか踏みとどまっています

女の子は必死なのです

あるところにそれはそれは見事に(主に恋愛関係の)フラグを折る女の子が居りました

多い日には10もの(主に恋愛関係の)フラグを折る事もあったそうな

そんな女の子が好意を寄せている

幼馴染の男の子もまた(主に恋愛関係の)フラグをへし折る名人だったのでした


お互いのフラグが折れずに
想いがかさなるのは、また別のお話し……


はたおりおさななじみ

おしまい

これで終わりです
読んでくれた人が居たら嬉しいです

次スレは
幼馴染「あの窓が開けば、また」
ってタイトルで立てると思います
地の文ありって言うか、全部地の文です

では。

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