幼馴染「もうちょい奥まで入ると思ったんだけどな―」
男「…え?」
幼馴染「というか男って童貞なんだね、全然腰使いなって無いじゃん」
男「…お前も、そうなんだろ…?」
幼馴染「…え?私、初めてだなんて言ったっけ?」
男「…い、いや…する前…」
幼馴染「あー、キスは初めてだよ、キスは」
男「…え?」
幼馴染「ていうか、高校生で童貞ってどうなの、今まで何して生きてきたの?」
男「……」
幼馴染「あーあ、男ってこういうの一杯やってそうだから、シてやろうかなって思ったのに」
幼馴染「外見の割には純愛派なんだ、つまんない」
男「……っ…」
幼馴染「あ、もう出ちゃうんだぁ…早いなぁ……。全然気持ちよくなれなかった……。」
幼馴染「じゃあ私、援交の予定あるから出かけるね」
幼馴染「あ……帰る時はちゃんと部屋掃除してね」
男「……」
幼馴染「それと、もう男とはエッチしないからね」
幼馴染「私、気持ち良くしてくれない男の人とはそういうの無理だから。じゃあね。」
男「……」
男は、拭いた。必死に拭いた。自分の精液を。愛した女の愛液を。
カーペットにひどく染み付いたその液体を拭いた。最後に彼が拭いたのは
自分の、涙だった。
男「……ゥァァァアアアアアアアアッッ!!!」
男「アアアアアアアアアアッッ!!!アアアアッッ!!」
何度も何度も布団を殴る、手が痛くなっても殴り続ける。
その光景は、ひどく痛々しく虚しい物だった。
男「ウアアアアアアアアッッッ!!!!!」
叫んでも、叫んでも、答えは帰ってこない。
自分が愛した彼女は、もう居ないのだ。
幼少の頃、膝を切ってしまった自分を、笑ってあやしてくれた彼女。
小学校の頃、友達と喧嘩をし、一人孤独になった自分を励ましてくれた彼女。
中学校の頃、同じ高校に行く為、笑顔で自分に勉強を教えてくれた彼女。
その全てが、もう遠い存在な気がして、ひどく悲しくなってしまう。
最後に、あの時の彼女と話したのは何時だろう。何時からああなってしまったのだろう。
考えても答えがでない問に、一人泣いた。
男「…あのさ」
友「何だよ」
男「……」
男「幼馴染と、」
幼馴染「ねー、友くん!」
友「何だよ、幼馴染。」
幼馴染「今日、友くんの家、行っていい?」
友「…あー、今日はやめとくわ。今日は彼女と約束してるし」
幼馴染「えー…」
友「まぁ、また今度な、また今度」
男「……ッ」
男「お前ッッ!!!どういうつもりだよッッ!!」
気付けば友人の襟を掴む自分が居た。
男「何時からだよッッ!!!何時からお前はッッ!!!!」
教室に響く自分の声、クラスメイトの話し声が消え、視線が自分に集まる。
友「お…お前急にどうした、落ち着け。」
男「ふざけんなッッ!!!」
友人の体をそのまま壁に叩き付ける。
男「俺が今までどういう思いで生きてきたと思ってんだ!!それをッ!!お前がッッ!!お前がッッ!!」
何度も何度も声に合わせて叩き付ける。俺自身、何故自分がここまで必死なのか理解できなかった。
生徒「おい、どうしたんだよ。男 離れろ!」
何人かが止めに入る。俺自身気が気じゃない。余計に腹が立った。
生徒「おい、友。お前なんかしたのかよ!」
友「し、知らねえよ…コイツが勝手に…」
次第に目からは涙が流れた。涙を流しながら、必死に自分を抑える手を振り解こうとした。
幼馴染「友くん、大丈夫? 血、でてるよ?」
幼馴染の自分を獣の様に自分を見る目を見て、俺の力はやっと抜けた。
男「……。」
一人で弁当を食べる。恥ずかしいから、こっそり校舎裏で食べる事にした。
こんな風に食べるのは、何年ぶりだろうか……。
本当に自分が惨めで仕方ない。ごく少ない友人と好きな女性を一気に失った。
明日はどんな風に休もうか、そんな事を考えてる内に、また泣きたくなった。
「ねえ、今日、何があったの?」
不意に声がした。見ると、うちのクラスの委員長だった。
男「…何もない。」
委員長「嘘付かないでよ、男くんが友くんと喧嘩するなんて滅多にないじゃない。」
男「……。」
男「何で委員長がここに居るんだよ。委員長、いつもは教室で食べてるだろ…。」
委員長「わざわざ男くんを追ってきたのに、それはないんじゃない?」
委員長「で、何があったの?」
委員長「ふーん…。そういう事かー。」
男「…誰にも言うなよ。」
男「アイツがビッチだったなんて、誰にも知られたくない…。」
委員長「え?男くん知らなかったの?」
男「…え?」
委員長「結構有名な話よ?幼馴染さんがそういう人だって言うのは。」
男「…は?」
委員長「友くんどころか、うちのクラスの男子のほとんどとはヤッてると思うわよ…?」
委員長「あの子、人懐っこいから余計ね。」
男「…い、いや…。な、何言ってんだよ、委員長。アイツが…そんなはずは…。」
委員長「そう思ってるの、男くんだけだと思うわよ?」
男「……。」
委員長「ま、こういう事もあるわよ。一々悩んでたら霧がないと思うなぁ。」
信じれない一言に俺は、この時だけは、逃げたいと思った。
現実がこんなならもういい、死んでもいいとも思った。
委員長「ちょっと、何処行くの?お弁当、残ってるわよ?」
男「…俺の事は、早退したって言っててくれ。」
委員長「……。」
委員長「…じゃあ、もう一つ。ある女の子の秘密、教えてあげよっか?」
男「…今はそういう気分じゃ」
振り返ろうと思った。確かに、俺は振り返った。振り返ったが
俺の唇には委員長の唇が重ねられた。
男「……っ」
委員長「ずっと、好きだった…。付き合お…?ね…?」
男「…っ……」
委員長「正直、言ってね…。私、嬉しかったんだ。幼馴染さんがああいう人だって知った時…。」
委員長「私だったら、男くんの事裏切ったりしないわよ?」
委員長「他の男と体だけの関係を築く事もないし、あなたの事を捨てたりもしないわよ?」
男「…好い加減にしてくれ…」
委員長「…え?」
男「お前が俺の事好きなのも嘘なんだろ……?」
男「全部全部嘘なんだろ…?なぁ……」
男「そうなんだろッッ!!」
委員長「…っ…お、男くん…?」
男「もういいんだよ……そういうのは、やめてくれよ…。本当に……。」
委員長「わ、私はそういうつもりじゃ…!!」
男「本当に…もう…いいんだよ……。」
色んな思い出が走馬灯の様に俺の脳裏をくるくる回る。
でもその思い出は、全てが一人の少女の思い出だった……。
泣いたり、笑ったり、喜んだり、悲しんだり、怒ったり、拗ねたり。
全部全部、一人の少女の思い出だった。
確か、今日はそんな彼女の誕生日だったはずだ。
学校を辞めてから何ヶ月だっただろう。家族の前に姿を現さなくなって何年たった…。
そんな毎日からもお別れだ。
楽しかったような、そうでもなかったような。辛かったような、そうでもなかったような。
不思議な毎日だった。毎日毎日、寝る事はできるものの、食べる事ができなかった。
体は見る見る内に細くなり、依然の健康的な肉体等見る陰も無くなった。
ふと、これからの彼女の事を考える。
これから彼女は、良い人と付き合い、良い思い出を作り、良い家庭をつくるのだろうか。
そんな彼女の中に、自分という人間は居るのだろうか……。
俺が居なくなったら、悲しんでくれるんだろうか……それとも……。
考えてて、嫌になった。終わる時はさっぱり、それが信条だ。
輝かしい過去に別れを告げながら…俺の意識は途絶え始めた。
おしまい
鬱系とか本当に書いてて辛いわ、最初はこういうSSを書くつもりはなかったのにいいいいいい!!!
どうしてこうなったあああああああ!!! どうしてこうなったあああああああ!!!
おやすみなさーい
だってこれ何処に転んでもアレじゃないですかあああああ!!!
どうしようもないじゃないですかああああああああああ!!!
お前ら、ビッチ連呼するしー!
今更純愛しても主人公が好きな女がビッチなのは変わらないわけで
どう転んでも主人公的にはバッドな訳で
微かな救いとして
このSSまとめへのコメント
男が馬鹿過ぎて鈍過ぎて鬱になんないwww