新西暦195年
……
飛鳥「……ぅ……ここは」
女博士「おや、目が覚めたようだな」
飛鳥「……キミは……いや、それより、ボクは……?」
女博士「私はドクターA。ロボット工学の天才博士だ。君は機動兵器に追われているところを助けられ、ここへ来た」
飛鳥「……ボクは、追われていたのか?」
女博士「覚えていないのか?」
飛鳥「……あぁ、……何も分からない」
女博士「記憶喪失というやつか……」
飛鳥「ボクは、いったい誰なんだ。なぜ……」
女博士「君が乗っていた機動兵器は、二宮飛鳥という人物以外操縦できないように登録されていた。つまり君は」
飛鳥「ボクは……アスカ。二宮……飛鳥」
女博士「それ以上のことは、こちらも知らない。私が記憶取戻しマッスィーンを作ってもいいのだが、なにぶん今は時間がなくてな」
飛鳥「……どういうことだい」
女博士「今、我々はある任務を遂行中だ。君を助けたのも、敵との交戦中だった。……だからもしや、君も我々と目的を同じくする者で、協力し合えるのでは……と、目覚めるのを待っていたのだが。……記憶がないのでは」
飛鳥「……」
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ピピッ……プシュー
菜々「失礼しまーすっ」
女博士「あぁ菜々か。いいところに来た」
菜々「いいところに……? あ! 目が覚めたんですね! 私は安部菜々です! ウサミン星から来たラブリー十七歳! キャハッ!」
飛鳥(……なんだこの一見してイタい人は)
女博士「彼女が君を助けたんだよ」
飛鳥「フ……そうだったのか。ボク自身ですら誰とも知れぬ存在とはいえ……その命を救われたのならば、当然、礼は述べておくべきだろうね……」
飛鳥「例えそれがどのような結果を引き連れようとも……今は、キミの奇特な行動に、感謝を」
菜々「は、はぁ(……なんだかちょっとイタい人ですね)」
女博士「もうすぐデビルウサミンに追いつく。すぐに準備をしてくれ」
菜々「はいっ! メルヘンパワーでどかんと一発やっつけちゃいますよーっ」
飛鳥(デビルウサミン……?)
飛鳥「うっ……! あ、頭が……なん、だ?」
菜々「どうしたんですか? 邪気眼が疼きますか?」
女博士「……!」
飛鳥「分からない……デビルウサミンという言葉を聞いた途端、頭が、割れるように……」
女博士「やはり……君はアレと深い関わりがあるのかもしれないな」
菜々「デビルウサミンとこの子がですか?」
飛鳥「デビル、ウサミンとはいったい……」
女博士「デビルウサミン……本来の名を、アルティメットウサミンロボ」
飛鳥「アルティメット……」
女博士「自己矛盾、自己弁護、自己爆発。ウサミン三大理論を搭載した、究極の機動兵器……だが使い方によっては、神にも悪魔にもなりうる」
飛鳥(自己爆発……?)
菜々「それが何者かによって奪われてしまい、地球に向かっているんです」
女博士「止めなくては、大変なことになる……かもしれん」
菜々「はい……このままでは地球の環境は改造されて」
女博士「菜々、相手の目的はまだ不明だから」
菜々「はっ! い、いえ、これはただのナナの予想ですから! はい!」
飛鳥「……」
菜々「で、では出撃しまーすっ」
飛鳥「待ってくれ」
菜々「!」
飛鳥「……ボクの乗っていた機動兵器があるのだろう。……ボクにも、協力させてくれないか」
女博士「しかし素性の知れぬ君を」
飛鳥「素性も知れぬからこそ、……手伝いたい。頭の中に引っかかったデビルウサミンという言葉。それと相対すれば、ボク自身のことを、何か掴めるかもしれない」
飛鳥「知りたいんだ……自分のことを」
飛鳥「フ……まぁ、自分が何者か、なんて、本当に解っているやつなんて、いないのかもしれないけどね。そういう意味では、ボクも同じ年頃の少女と変わらない、自分探しに逃げ込むモラトリアムな」
女博士「よぅしなら二人とも出撃だ!」
菜々「はいっ!」
飛鳥「…………フッ」
……
飛鳥「……これがボクの……分かる。分かるぞ。知らないはずなのに、こいつを動かすことができる……!」
飛鳥「二宮飛鳥、アールガン……発進する!」
ゴォウッ
菜々「ナナ、行っきまーすっ!」
ゴォオッ
飛鳥「見えた……! あれか!」
デビウサ「ミミミンミミミン」
菜々「ウサミンビーッム!」
チュドーン
デビウサ「ミミミンミミミン」
飛鳥「効いていないっ!?」
デビウサ「ウーサーミーン」
バキューン! バキューン! バキューン!
飛鳥「くっ……なんて威力だ、近づけないっ」
菜々「ならナナが!」
ギュウン
ガシッ
デビウサ「ミミミン……?」
菜々「自爆ショーをお見せします!」
飛鳥「!?」
デビウサ「!!」
カチッ
飛鳥「よせっ!」
菜々「命なんて安いものです。特にウサミン星人のは」
ボカァアアアアアアアアン!!
飛鳥「バカな……」
デビウサ「ミミミンミミミン」
飛鳥「……あの爆発でも、止まらないのかっ」
ゴォオオオ
飛鳥「だがっ……諦めはしない!」
デビウサ「ミミミン……?」
飛鳥「ナナが隙を作ってくれたから接近できた! ならばっ」
ガシィッ
飛鳥「たかがウサミン1つ! アールガンで押し出してやる!!」
ゴォオオオオオオオ
飛鳥(くっ……一機の推力では、やはり……!)
デビウサ「ミミミン……ミミミン……」
飛鳥(っ! 地球に…………墜ちる!!)
シュゴォオオオオオオオオオオオオオ……
……
……
セイセイセイバー ヒーロファイッ
セイセイセイバー ヒーロファイッ
飛鳥「Super Hero Operation……cross Idol Master Cinderella Girls」
……
新西暦155年
飛鳥「っ…………ここは、地球……?」
ドガァン!
飛鳥「なんだ!?」
怪獣「がおー」ドカァン
飛鳥「! あの巨大な生物は……怪獣というやつか!? そしてそれと戦う飛行機は」
ビビビビビ
怪獣「うわーいてーでごぜーますよ」
ビビビビ……
怪獣「そうなんどもやられねーですよ! がおー」
ボッガァン!!
飛鳥「! 飛行機がやられた……!」
怪獣「がおー! 怪獣の気持ちになるでごぜーます。こわしたいこわしたい。全て破壊し尽くさねーと気がすまねーですよ……!」
バキューン
怪獣「うおおー」
飛鳥「本来、ボクには関わりのないことだが……」
飛鳥「これ以上目の前で、地球を破壊されるのも……あまりいい気分ではないのでね。ここからはボクが相手になる!」
怪獣「そんなポンコツじゃーとめられねーですよ、がおー」
ズガァン
飛鳥「くっ……! 機体が思うように動かないっ……デビルウサミンに受けたダメージか、地球へと落下した時の衝撃……いや、その両方だろうな」
怪獣「これでしめーでごぜーます!」
グォオッ
バシィン!!
怪獣「むっ、とめられた……?」
巨人「にょわー!」
飛鳥「!! 光の巨人!?」
怪獣「邪魔しやがるなら容赦しねーですよ」
巨人「きらりもー怪獣さんが暴れるんだったらぁ、はっぴはっぴしちゃうにぃ」
ズガァン! ボガァン!!
巨人「きらりーん☆ぱわー!!」
ガシッ
ブォオオン!!
怪獣「うわー」
巨人「よぅし! とどめぇっ……はぴはぴ☆しゃわー!!」
ビィイイイイイ!!
怪獣「ぎゃー! やられたー! で、ごぜーま」
ボッガァアアアアン……!
飛鳥「……強い。光の巨人……!」
ピカァアン
きらり「ふぅ! つかれたにぃ」
飛鳥「! キミが……!」
きらり「あっ! 怪獣を食い止めてくれた人だよね? ありがとう! とーってもうれすぃー」
飛鳥「キミは……いったい」
きらり「きらりは、地球を守る科学特捜隊のメンバーなんだ。良かったら一緒に来ない? きーっと、みんなも喜ぶゆ?」
飛鳥(デビルウサミンの行方も知れない……ここは、頼るしかなさそうだな)
飛鳥「……ボクは、二宮飛鳥。よろしく」
きらり「うきゃー! 諸星きらり、よろしくおにゃーしゃー!」
……
きらり「……とゆーわけでぇ、きらり達の新しい仲間になった、飛鳥ちゃんだゆ。みーんな、仲良くしてね?」
飛鳥(仲間になるとまでは言っていないのだが……)
光「おぉ! アタシは南条光! ヒーローに憧れてこの科学特捜隊に入ったんだ。これからよろしくな!」
ありす「橘ありすです。橘と呼んで下さい」
菜々「ラブリー十七歳! ウサミン星から来た安部菜々でーすっ! キャハッ!」
飛鳥「!?」ガタガタッ
光「? どうしたんだ?」
飛鳥「い、生きていたのか……?」
菜々「?? あのーなんのことだか分からないんですけど……ナナと飛鳥さんは、初対面ですよね?」
飛鳥(……!? どういうことだ……目の前にいるのは、どう見ても)
「なんだ、騒がしいな。私は新兵器の開発で忙しいんだぞ。お遊戯会の招待ならまたの機会にして」
飛鳥「……っ!?」
晶葉「ん? あぁなんだ、また新メンバーか。よろしく、私は池袋晶葉。天才博士だ」
飛鳥(面影がある……確かに。血縁者……孫、か?)
ちひろ「最後は私ですね。みなさんのアシスタントを務めさせていただいてます。千川ちひろです。よろしくお願いします」
飛鳥「…………あぁ、みんな、よろしく。ボクは二宮飛鳥……なくした記憶と、自分自身の存在理由を探している。……だから正義感とか使命とか、そういうのはピンと来ないけれど……まぁ、地球を守りながらの自分探しも、やぶさかではないかな」
菜々(うわぁ)
ありす(この人……)
晶葉「イタいやつだな」
飛鳥「……言われるとは思ったよ」
光「そうか? かっこいいと思うけど。クールでいいじゃん」
飛鳥「フフ……有難う。そう言ってもらえると、ボクの抱えた、えも言われぬ不安と孤独も」
ピヨピヨピヨピヨ
晶葉「む! レーダーに怪獣反応!」
ちひろ「各機の整備は完了しています!」
光「よぅし行くぞ! きらり! アスカ!」
きらり「よーぅし! 早速飛鳥ちゃんと出撃だにぃ」
飛鳥「……フッ」
……
光「ワンダバダバダバ、ワンダバダバダバ」
飛鳥「怪獣はどこだ……?」
きらり「んーとぉ、晶葉ちゃんのレーダーによるとぉ、この辺りのぉ」
光「いたっ! あれじゃないか!?」
飛鳥「! ……あれは」
杏「ぐごぉー……むにゃむにゃ……」
きらり「うきゃー! かわうぃー怪獣さんだにぃ」
飛鳥「見たところ、破壊活動はしていないようだけど……」
光「でもあのイビキ、すごい音だ。あれじゃ周囲の人達に迷惑をかけちゃうよ」
きらり「きらりがぁ、なんとかしてみるね」
光「あぁ、ここは任せた!」
きらり「にょわっ!」
ピカァアアア!
キラリ「とーう」
ドシーン
杏「んぅ……なんだぁ?」
キラリ「怪獣さん、起きてー」
杏「うるさいなぁ、杏は今怠けるのに忙しいんだよ」
キラリ「でもでもぉ、ここにいたら、みーんなが、困っちゃうにぃ。だからきらりと一緒に来て欲しいんだぁ」
杏「……そのアメくれたらいいよ」
キラリ「にょわっ!? こ、これはアメじゃなくってぇ、きらりが地球上で活動するためのぉ」
杏「くれないならやだ。……ぐごぉー、ぐーぐー」
キラリ「杏ちゃぁん!」
飛鳥「……力づくで動かしたほうがいいんじゃないか?」
光「いや! 待つんだ。きらりが諦めていないなら、きらりを信じよう!」
キラリ「こんなところで寝てたら、風邪引いちゃうゆ? だからぁ」
杏「ほっといてよ……あんずはただここで……ん?」
飛鳥「なんだ……子供達が、怪獣の方へ?」
光「キミ達! 危ないから離れるんだ!」
「殺さないでくれぇー!」
キラリ「にょわっ!?」
「やめてくれー!」「ひどいことしないでー!」「殺さないでー」
飛鳥「これはいったい……」
杏「……杏はね、あの子供達の落書から生まれたんだ」
キラリ「落書から……?」
杏「そ。だから杏はあの子らと一緒にいるよ。あの子達がそう望んでくれる限りは」
キラリ「……みんな聞いてぇ! きらりはぁ、杏ちゃんを殺したりしないゆ。ただ」
ノッシ、ノッシ
「うわぁこっちきた!」「殺されるぞー!」
「逃げろー」
「つぶされるぞー!」
キラリ「…………」
杏「……あ、あー…………まぁ、元気出しなよ?」
キラリ「杏ちゃんはやさすぃーにぃ」
杏「べつにそんなんじゃ」
キラリ「でも、みんなの為にも、ここから離れた方がいいゆ? このままじゃあ、きらり達以外の軍隊さんとかが動いて、ほんとーに危ないことになっちゃうかも……」
杏「……そっか」
キラリ「寂すぃけど、お別れしよ? また会いに来ればいいんだから、ね?」
杏「分かった。……けど、めんどくさいから、きらりが連れてってよね。はいおんぶ」
キラリ「おっけぃ! 杏ちゃんを乗せてぇ……にょわっち!」
ビュンッ
「やめろー!」「どうする気だー」「殺さないでー!」
杏「……ばいばい、みんな。またきっと、会えるから……」
……
「なぁ、今度はもっとせくちーなねーちゃんにしよーぜ」
「んっふっふー、ぼんきゅっぼんな、パツキンのねーちゃんですな?」
「にひひっなら髪の毛もふっさふさにしてやるんだから!」
「あっそれ多すぎるよー」
「しかもとげとげしすぎだよー」
「うるさいわねっいいのよこのぐらいでっ! だいたいねぇ」
「でもでも~」
ワイワイ
ヤイノヤイノ
……
怪獣「ぐごぉー……すぴー…………」
怪獣「……おにぎりの具は……」
怪獣「…………いちごババロア……なの」
怪獣「ぐごぉー…………zzZ」
飛鳥「…………」
飛鳥「……フッ」
……
飛鳥(アールガン内にあるデータと、科学特捜隊基地にある資料を照らし合わせた結果……ここが、ボクが目覚めた時代から……四十年も過去であることが判明した)
飛鳥(にわかには信じ難いことだけど……それならば、あの池袋晶葉……ドクターAが少女の姿なことにも納得がいく)
飛鳥(しかしだとすれば、安部菜々の若さはなんだ? 見た目上は、今も四十年後も全く変わらなく思える……中身も、そう変わらないな)
飛鳥「ウサミン星人……地球人とは色々と異なる点があるのかもしれない」
ピヨピヨピヨ
飛鳥「! レーダーに反応か!」
……
飛鳥「……反応はこの洞窟からか」
菜々「そのようですね。さぁ行きましょう!」
飛鳥「しかしこんな狭い洞窟では、アールガンのような機動兵器で侵入することは不可能だ。きらりも変身することができないだろう」
菜々「そもそも、きらりさんやみんなは別任務ですけどね。とにかく大丈夫です! ナナにお任せ下さい!」
飛鳥「……あぁ、分かったよ。キミのそのどこから来たか不明瞭な自信をあてにしよう。ボク自身とて、どこから来てどこへ行くのかなど、分かりはしないのだか」
菜々「さぁさぁ早く行きましょうね!!」グイグイ
飛鳥「分かったから引っ張らないで!」
ピニャー
飛鳥「! なんだ今の」
菜々「怪人の声です!」
飛鳥「怪人?」
菜々「出ました! あれです!」
飛鳥「!!」
怪人「ぴにゃー」
飛鳥(……ちょっと可愛い?)
菜々「あのブサイクなのが怪人です!」
飛鳥「……」
菜々「……どうしたんですか?」
飛鳥「人の価値観とは多様なもの。その瞳に映るモノの色ですら、本当に同じなのか確かめるすべは」
ドカーン!
菜々「仕掛けてきた!」
飛鳥「っ! どうするんだい」
菜々「……ふふ、こんなこともあろうかと」
菜々「横着(メルヘンチェンジ)!!」
シュバァッ!
ウサミン「宇宙刑事……ウサミン!! メルヘンパワーで加齢に惨状! キャハッ!」
「ウサミンがコンバットスーツへの着替えを横着するタイムは、わずか0、05秒にすぎない。ではその横着プロセスをもう一度見てみよう」
菜々「コンバットスーツは服の中に着てきたんです。ですから上に着てる服を脱ぎ捨てるだけでぇ~……」
バサッ
ウサミン「一瞬で宇宙刑事ウサミンになれるんですっ!」
飛鳥「なるほど」
怪人「ぴにゃー」
ウサミン「メルヘンレーザーブレード!!」ジャキン
ウサミン「ぐさぁーーー!!」グサァー!
怪人「ぴにゃあああああ!」
飛鳥「あぁっ……」
「ぴにゃー空間へ引きずり込め!!」
グニャアアアン……
飛鳥「っ……なんだ!? 景色が歪んで……!」
ウサミン「ぴにゃー空間に引き込まれたんです! ここでは敵の強さが三倍に跳ね上がります!」
飛鳥「なんだって……! か、壁紙も小物も全部あの怪人デザインの部屋だ……!!」
怪人「ぴにゃっはっはっは」
ウサミン「ウサミンダイナミック!!」ババッ
グサァアアーー!!
怪人「ぴにゃあああああ!!」
飛鳥「ぁ、あぁ……」
グニャアン……
菜々「ふぅ、戻ってこれましたね」
飛鳥「あぁ……しかし宇宙刑事って、キミはいったい」
菜々「ナナは科学特捜隊の一員であると同時に、ウサミン星銀河連邦警察から派遣された宇宙刑事でもあるんです」
飛鳥「そうだったのか……」
菜々「別に秘密にしているわけでもないんですけどね。さぁ! 帰っておやつでも食べましょう! カステラ一番電話は二番~三時のおやつは~♪」
飛鳥「……?」
……
ピヨヨヨヨヨヨ
晶葉「む、これは異星人の反応」
飛鳥「出動するのかい?」
晶葉「必ずしも敵性体とは限らないが……その存在を確かめる必要はある。ただし下手に刺激するなよ。様子を見るんだ」
飛鳥「そうだね……希望的観測で、異星人との友好を築けると信じるのも愚行かもしれないが……初めから戦うしかないと諦めてしまうのもまた」
晶葉「ハイハイ出撃出撃ィー!!」
光「ワンダバダバダバ、ワンダバダバダバ」
……
飛鳥「……こんな森の中に異星人の隠れ家が……」
光「よしっ! ごめんくださームガッ!?」
飛鳥「なに真正面からノックしようとしてるんだキミは!」
光「人の家に入るときはまずノックしてもしもーし! チャイムもないみたいだし、当然だろ?」
飛鳥「こちらの存在に気づかれたら、悪事を隠されてしまうかもしれない。まずは身を隠して」
光「アタシは最初から疑ってかかるの、好きじゃないんだ」
飛鳥「……だとしても、今回はボクに従ってくれ。いいね」
光「……分かった。アスカのことも、信じてるから、アスカのやり方に任せるよ」
飛鳥「……こそばゆいね」
コソッ……コソッ
飛鳥(……ここから、中を覗き見れるか?)
異星人「さぁ……地球を自分にあげますって言うさー」
ヂュイッ
異星人「よーしよしいい子だハム蔵。これでハムスターの代表との交渉は済んだ。次は……」
バウワウ
異星人「よーしよしいぬ美、地球を自分にあげますって」
飛鳥(……なにしてるんだ?)
異星人「よーし次は……」
光「そこまでだ!!」ドアバーン!!
飛鳥(キミもなにしてんだ!?)
異星人「……地球人か」
光「いったいなにをしている! 地球をあげますってどういうことだ!!」
敵の強さが三倍になるとはなんだったのか
異星人「簡単なことさー。地球を征服するのに武力なんていらない。……地球に住む者達と交渉して、平和的に地球を手に入れる……それが自分のやり方だぞ」
光「ハムスターや犬と、交渉……?」
異星人「フッ……フフフフフ……ガナーハッハッハハハ! これだから地球人は愚かなんだ」
光「なにっ!」
異星人「地球が、人間だけのものだとでも思っているのか?」
光「!」
異星人「この星には、お前達以外にもたくさんの生命体が存在する……そしてその全てに、この星で生きる権利があるはずさー」
光「それは……そうだ!」
異星人「だから自分は、地球上に住むありとあらゆる生物と交渉し、味方につける……。そしてお前達人間が気づくときにはもう遅い! 地球の自然全てが、お前達の永住権を認めず、我々を新たに受け入れる!! 完璧な作戦さー!」
光「そ、そんなことがっ」
異星人「できる。自分……完璧だからな。」
シュタッ
飛鳥「だが、その完璧な作戦とやらも、ここで人間に知れてしまったのだから……もう崩壊したも同然だね」
異星人「そんなことはないぞ。…………お前達を、ここで始末すればいいんだからなぁ!」
ズガァアアッ!
光「うわぁああ!!」
飛鳥「くっ……来い! アールガン!!」
異星人「ハハハ! 無駄さぁー!!」
ズガァーン! ドガァーン!
飛鳥「ライフル、ダブルファイヤ!」バキュンバキューン!!
異星人「はぁっ!!」ビシュンビシューン!!
飛鳥「っ! こちらの銃撃に合わせた!?」
異星人「ふんっ!」ビュッ
ドガァアアン!
飛鳥「ぐぁあっ!」
光「アスカぁ!! くそっ、どうしてだ! 地球に住みたいなら、そんなこそこそとせず……地球人とも交渉したらいいじゃないか!」
異星人「……ふん。地球人との交渉なんて、それこそ無意味さー」
光「どうしてっ」
異星人「今の地球を見れば分かる」
光「っ!」
異星人「さぁ……お前もすぐに」
「にょわぁー!!」
バキィッ
異星人「あがぁっ! ……光の巨人!!」
キラリ「光ちゃん! 飛鳥ちゃん! だいじょうぶぅ!?」
光「う、うん」
飛鳥「……どうにか、生きてるよ」
異星人「ふっ……地球人の味方をするか」
キラリ「きらりはぁ、宇宙のみーんなの、味方だよ。だから誰かを傷つける子はぁ……はぴはぴしちゃうにぃ」
異星人「完璧な自分には通用しないさぁ」
ドガッ! バキッ!!
ズドドォーン! パパウパウパウ!
ダゾー! ニョワー!!
飛鳥「す、すごい戦いだ……」
光「くそぉ……どうして、こうなるんだっ! 戦いなんてっ……」
キラリ「きらりぃん☆ぱわぁーー!!」ギュイィン!
バシィイ!
キラリ「にょわっ!?」
異星人「ダンスをやっていた自分に、きらりんぱわーは通じないさー」
キラリ「うにゅうぅ……」
異星人「……どうやら、このまま続けても決着はつかなそうだな」
キラリ「! だったら」
異星人「今回は、出直させてもらう。どうせまた、地球をものにするチャンスはいくらでもあるからな」
キラリ「……今度は、侵略じゃなくて……観光で来てほすぃーな。地球のぉ……人間のいいところをいーっぱい知って、はぴはぴするにぃ」
異星人「……あぁ、今回、一つだけ……いいところも見つけたさー」チラッ
光「……?」
異星人「さらばだ……愚かな地球人どもと、光の巨人よ!」
シュゥウウン……
飛鳥「消えた……」
光「……信じてるからな。…………今度は、友達として会えるって……!」
きらり「にょわ…………」
……
ちひろ「お疲れ様です、飛鳥さん」
飛鳥「あぁ……」
ちひろ「……本当にだいぶお疲れのようですね。気力体力の回復に特製ドリンクはいかがですか?」
飛鳥「すまない……もらおう」
ゴクッ……ゴクッ
飛鳥(独特な味だな……)
ちひろ「代金はお給料から差っ引いておきますね」
飛鳥「」ブフゥーッ!!
ちひろ「あぁっ噴き出すなんてもったいない!」
飛鳥「お金、とるのか……」
ちひろ「もちろんですよ。基地のみなさん、ちゃんと購入して飲用してますよ」
飛鳥「基地内……これはそんなに浸透しているのかい?」
ちひろ「はいっ大好評です」
飛鳥「ふぅん……」ゴクッ
飛鳥(……確かに、ほんの少し飲んだだけで、一気に体が軽くなったような)
ちひろ「いずれは貯めたお金で、世界中にドリンクの雨を降らせようと!」
飛鳥「」ダバー
ちひろ「あぁっこぼれてますよ!!」
飛鳥「ドリンクの……アメ?」
ちひろ「雨です。特製ドリンクの原液を打ち上げて、世界中に降らせるんです」
飛鳥「それに、なんの意味が……」
ちひろ「このドリンクは皮膚に付着しても、そこから染み込んで効果を発揮するんです。つまり雨にして降らせれば、世界中の人々の疲労はたちどころに解消され、健やかな休日が過ごせるようになるんです!」
飛鳥「そ、そう……」
ちひろ「みんなが健康に休めるようになれば、みんな笑顔になって満たされれば、きっと人間同士の争いも、悪事を働人も」
ドッガァアーン!!
飛鳥「! なんだっ! レーダーに反応はなかったぞ!」
ちひろ「つまり……」
……
ドガァーン! ボガァーン!
麗奈「アーッハッハッハッハ!! 音に聞こえし科特隊の基地も、このレイナサマにかかればこんなもんね~」
光「やめろ! なにをしてるんだ!」
麗奈「見て分からないかしら。破壊してるのよ! アンタたちの基地を!」
麗奈「このレイナサマスペシャルバズーカでね!!」
ドッガァーン!
光「やめてくれ! こんなことをしてなんになるんだ! 科学特捜隊は、地球を、みんなを守ってるんだ! どうして地球人がそれを攻撃するんだ!!」
麗奈「……あきれた甘ちゃんね」
光「な、なにっ」
麗奈「いい? どんなに怪獣や怪人、異星人が現れてもね、……最も多くの地球人を殺し、人間にとって最大の脅威は…………人間よ」
光「!!」
麗奈「アンタたちの過ぎた力を、疎ましく思う人間もいれば、手に入れたいと願う人間もいる。アタシはそれが面白いから、ちょーっと手を貸してやってるだけよ!」
光「そんなっ」
麗奈「だいたいアンタたち、光の巨人や宇宙刑事に頼ってばかりで、つまりそれって、結局のとこ宇宙人に守ってもらってるだけじゃないの! それで自分がヒーローになったつもりなんて、お笑いぐさね!」
光「うっ……」
麗奈「その宇宙人どもだって、今はいい顔してすり寄ってきてるけど……ある日いきなり地球人を支配し始めるかもしれないわよ?」
光「きらりやナナはそんなことしない!!」
麗奈「どーぉかしらねぇ? 初めから侵略が目的で、正義の味方のふりして支持を得てるのかもよ。そうでなくとも…………地球が故郷でない宇宙人なんて、いつアタシたちを見限って敵になるか、分からないでしょ。だったら、その宇宙人どもの持つ力は、地球人が奪っておいたほうがいいじゃない」
光「アタシはみんなを、仲間達を信じてる! そして、地球の人類も、そこまで愚かではないと信じているんだ!」
麗奈「……分からないやつね」ジャコン
光「っ!」
麗奈「アタシも人間なのよ。アンタが思うより、ずっと愚かなね!!」
バキュンバキューン
麗奈「っ! 誰よ! このレイナサマの邪魔をっ」
飛鳥「光! 下がるんだ!!」バキューン!
光「アスカっ!」
麗奈「チッ……まぁいいわ。基地の防衛能力は把握できた。今日のところは、これで引き揚げね」
タッタッタッタ……
飛鳥「……行ったか」
光「ごめん……アタシ」
飛鳥「光が引きつけてくれていたから、被害が最小限で済んだ。キミはちゃんと守ってるんだよ、みんなを」
光「でも……っ」ダッ
タッタッタッタッタ……
飛鳥「……光」
……
シュタッ
飛鳥「……SOSが発信されたのは、この近くのはずだけど」
……
晶葉『この科学特捜隊への、緊急救難信号をキャッチした。ただし、そのエリアに怪人や怪獣の反応はない。正式な出動が必要か否か、確かめてきてくれるか』
……
飛鳥「とはいえ……発見した集落は、電気もガスもない、土壁の家が並ぶ非文明的なもの……こんなところで本当に……」
エスオーエースキーコエターヤットアナターニ
飛鳥「! 誰だ!!」
「ようこそーお待ちしておりましたー」
飛鳥「キミは……?」
巫女「この地の、巫女をしておりましてー」
飛鳥「ボクらに助けを求めたのはキミか」
巫女「はいー。であればーこちらへ付いてきていただけると有難くー」
飛鳥「……分かった。案内してくれ」
スタスタスタ……
……
飛鳥「ここは……神殿、か……?」
巫女「そのようなものでしてーこちらをご覧いただきましょー」
スゥー……
飛鳥「これはっ……!?」
巫女「この地の神を祀った像でしてー」
飛鳥「……光の巨人!!」
飛鳥(きらりとは違いクールビューティーな雰囲気だが、間違いなく、光の巨人だ)
巫女「のあの神といいましてーその右手にはー」
飛鳥「青い……石?」
巫女「不思議な力を秘めたものですわーこれをお渡ししたくー」
飛鳥「神様の像が握っているものだぞ。大事なものではないのかい?」
巫女「これを狙って賊が現れますゆえー」
飛鳥「それがSOSの理由……しかし」
巫女「これは必ずやーそなたらの役に立つ日が来るのでしてーどうしてもこれを託したくー」
飛鳥「……分かった。この青い石は、ボクが責任を持ってあずかろう」
飛鳥(光の巨人……きらりが関係しているのなら、この人の言うこともあながちデタラメではあるまい。それに…………ボクの記憶に、かすかに、デジャビュする感覚がある。なにか……ボクの過去の手がかりに……)
巫女「感謝いたしますわー」
キャー! ウワー!
飛鳥「なんだっ」
巫女「……賊が来たようでー」
飛鳥「っ……!」
リボン女「ハハハハハ! 跪きなさい! そして私にエネルギーコアを差し出すのよ!!」
飛鳥(……エネルギーコア? この青い石のことなのか?)
「だめですじゃ……」「それはできませんのじゃ……」
リボン女「この私の命令が聞けないっていうの!? 私に服従なさいよ!」ピシャーン
「ぅおっふ、巫女様に背くことはできないのですじゃ……」
「巫女様が絶対ですじゃ……」
リボン女「ロリコンか!! みんなしてロリコンかここの住人は!!」
「巫女様はああ見えて貴方とそう変わらぬお年で……」
リボン女「口答えするなっ!」ピシャーンピシャーン
「おうっふ」「うっありがたやありがたや……」
リボン女「この可愛い私がこれだけ躾けても言うことを聞かないなんて……」
「確かに、あなたはカワイイですね」
リボン女「そうでしょう! 私は美少女ですよ! 美少女!!」
「けど、日本じゃあ二番目ですね」
リボン女「なんですって!? なら一番は誰!! っていうかここ日本じゃないですし!!」
チッチッチ……
幸子「そう、ボクです」
リボン女「誰だよ!!」
飛鳥(誰だ……?)
幸子「ボクとカワイさで勝負しましょう。あなたが負けたら、おとなしく引き下がって下さい」
リボン女「……いいわ。その勝負うけてあげる」
幸子「勝負の方法は……」
リボン女「アツアツおでん早食い競争でどうかしら?」
幸子「……へ?」
リボン女「お鍋ならすでに、グツグツに煮え立ってるわ」
グツグツ
幸子「いえちょっと待って下さいカワイさ勝負ですよね!? なんでアツアツおでん!? それに準備良すぎですよ! 何を思ってお鍋をグツグツにしておいたんですか!!」
リボン女「っ……初っ端から、やるわね」
幸子「だからなんの勝負してるんですかっ!!」
リボン女「さぁではこのアツアツおでんの入ったグツグツお鍋を……っきゃあ!!」
ドンガラガッシャーン!!
リボン女(ふふ、これぞ私の天性の才能!! このドジっ子属性にかなう者などっ)
バッシャアーン
幸子「あ゛っつ゛い゛!!!!」
リボン女「!?」
幸子「うあああああ!! あづい!! おでんの汁が!! ああ!! 背中に! 背中にこんにゃくが入って!! はんぺんが張り付いて!! 服がびしゃびしゃで何よりあっづい!!!」ジタバタジタバタ
飛鳥「キミっ大丈夫かっ!!」ダダッ
幸子「み゛す゛!!」
巫女「身を清めましょー」ザバァー!
幸子「つ゛め゛た゛い゛!!」
幸子「どぼして氷水なんですかっ! ふつっ普通の温度でいいんですよ!!」
巫女「冷水のほうがーお清めの効果がー」
幸子「そ、そうですか……はは、ありがとうございます」
リボン女「…………私の負け、ね」
幸子「なんで!!??」
リボン女「こんなカワイイ子がいるなんて、世界は広いということね……また一から出直すわ……世界征服の夢のために……」
幸子「それは助かりますけど……何か全く釈然としないんですが」
リボン女「水も滴る、いい女ってね……まさか全身でおでんを食べにくるとは……」トボトボ
幸子「あっ! 待って! 待って下さい!!」
リボン女「……?」
幸子「一つ聞きそびれたことがありました」
リボン女「いいわ……なに?」
幸子「……二月二日。……二宮飛鳥を殺したのは、あなたですか?」
リボン女「……知らない。私じゃないわ」
飛鳥(というかボク生きてるんだけど)
幸子「……そうですか。失礼しました」
リボン女「いえいえ……あっ」
ドンガラガッシャーン
飛鳥「……キミ、二宮飛鳥、と言っていたね」
幸子「はい、ボクは飛鳥さんを殺した犯人を探し……あっあああ飛鳥さん!?」
飛鳥「!! やはり、キミはボクを知っているのか。しかし……殺されたとは、いったい」
幸子「あ、あわわわ! お、おばけっ……」ガクッ
飛鳥「えっ……気を失っている。仕方ない。このまま基地まで連れて帰るか……」
……
幸子「……なるほど、記憶喪失、ですか」
飛鳥「あぁ……」
飛鳥(未来から来たかもしれない、ということは……伏せておいたほうがいいだろう。余計に混乱させてしまうだけだ)
幸子「確かに、私自身が死体を確認したわけではないので……飛鳥さんが生きている……その可能性もゼロではないでしょうね」
飛鳥「信じられないかい?」
幸子「判断しかねます。飛鳥さんが生きていたなら、ボクとしては嬉しい限りですが、なにぶん分からないことが多すぎるので」
飛鳥「だろうね。懸命だ。鵜呑みにできるほど、単純な状況じゃない」
幸子「ではボクは、また旅に出ます」
飛鳥「なんのために?」
幸子「二宮飛鳥が、本当に死んだのか否か、そして死んでいないとすれば、いったい何がその身n起こったのか。……ボクなりに調べてみます」
飛鳥「そうか……助かるよ」
幸子「いえ、これはボク自身の望みですので」
飛鳥「それなら……これも」
幸子「? なんですか? データディスク?」
飛鳥「それに、デビルウサミンという機動兵器の情報が記録されている。……ボクの記憶の手がかりになるかもしれないんだ」
幸子「分かりました。これも調べておきます」
飛鳥「あぁ……しかしキミは何故ボクの……二宮飛鳥の死を追っていたんだい? ボクとキミは、いったい」
幸子「やめてください!」
飛鳥「!」
幸子「…………同じ顔、同じ声で……他人のように扱われるのは、つらいんです」
飛鳥「っ……すまない、ボクは」
幸子「……アナタが悪いわけじゃない。分かっています。……こちらこそ、ごめんなさいっ」ダダッ
飛鳥「幸子っ……」
飛鳥(…………アールガンに記録されていたボクのパーソナルデータには、その出生した日付は二月三日と記されている……そして、この時代に転移した日付も……二月三日)
飛鳥(何者かが、本物の二宮飛鳥を殺し……ボクをこの時代へと意図的に転移させたとでもいうのか……?)
飛鳥(……ボクは…………いったい)
……
ピヨヨヨヨヨヨ
光「これはっ……」
ありす「異星人の反応ですね。すぐに出撃して下さい」
光「敵とは限らないじゃっ」
ありす「味方とも限らないでしょう!」
きらり「けんかはよくないゆ、みんな、なっかよっくしよう?」
菜々「出撃の必要はありませんよ、みなさん」
ありす「安部さんまでっ」
菜々「向こうから、コンタクトがありましたから」
光「!」
飛鳥「……友好的な異星人、ということか?」
菜々「そこまでは……まだ。とにかく、まず会って話してみましょう。ついてきて下さい」
……
ガチャ……バタン
光「おじゃましまーす! へぇーここがナナのうちかぁ!」
飛鳥「こじんまりとして、いいところだね。少々レトロな雰囲気が、味があってなんとも」
菜々「ナナの家のことはいーんですよっ」
「みなさま……お邪魔しております」
飛鳥「! ……キミが、異星人か?」
銀髪の女「はい。わたくしは、代表としてこの星へやってまいりました。ヤーネフェルト……こちらでいう、王女とでも思っていただければ」
光「じゃあお姫様なのか!? すっごいなぁ」
飛鳥「確かに、神秘的なものを感じるね」
王女「ふふ、褒めて下さったのですか? ありがとうございます」
飛鳥「あぁ……」
菜々「今お茶をお出ししますからーちょっと待ってて下さいねー」
飛鳥(ちゃぶ台に、畳、座布団……このミスマッチがなければな)
王女「あの……」
菜々「? どうしました?」
王女「わたくしには、またあの……かっぷらぁめんとやらを、いただけると嬉しいのですが」
菜々「ここに来てからもう十個目ですよ!? ナナの食事がなくなっちゃいますよ!」
光「いつもカップ麺なのか? 健康に悪いぞ?」
飛鳥「いいからみんな、本題に入ろう」
菜々「そうですね……お茶も用意できましたし」コトッ
飛鳥「……」ズズゥー
光「……」フーフー……ズズッ
王女「……」ゴクッゴクッ
飛鳥「いやキミは話せよ」
王女「なんと」
菜々「……まず、どうして地球へ来たんですか?」
王女「…………新天地を求めて」
光「新天地……?」
王女「わたくしたちの母星は……ある理由で、滅んでしまったのです」
飛鳥「……そうだったのか」
王女「生き残った民達は、新たに永住可能な、安息の地を求めて広大な宇宙を彷徨いました……そして」
菜々「この地球を見つけたんですね……」
王女「どうか、わたくしたちを、この星に受け入れてはくれないでしょうか……?」
光「……うん! いいよ!」
飛鳥「光っ……」
菜々「その……何人ぐらいですか? 生き残った人達は」
王女「そうですね……二十億と、三千余りでしょうか」
菜々「にじゅっ……!?」
王女「今は、月面のこの地点にて、宇宙船を停泊させております」
飛鳥「……無理だな」
光「ど、どうしてだ? これから、話し合い次第で」
飛鳥「地球に訪れてから、この短時間でカップ麺十個もたいらげる異星人が、二十億……地球の限られた資源が、もつわけもない」
菜々「文化も思考も異なるであろう異星人を、いきなり二十億人もは……地球人側も混乱するでしょうし、権利や義務を、どこまで適用するのか。そもそも、地球人以上の科学力をもった異星人がそれだけの数住まえば、いったいどちらが地球の持ち主かすら……」
ダンッ!!
光「なんだよ……なんだよみんなっ」
飛鳥「光……」
光「どうして仲良くできないんだよ!! みんなのばかぁあ!!」ダッ
菜々「……光さん」
王女「……交渉決裂、ということでしょうか」
菜々「すみません。少なくとも、今すぐというわけには……」
王女「ならば、致し方ありませんね」
ビカッ
菜々「!? 危ないっ!!」
飛鳥「うわっ!」
ドガァアアン!!
飛鳥「な、なにをっ」
王女「……民達は、もう限界なのです。これ以上放浪し続けるだけの気力は残されていない…………ならば、わたくしは……民の期待を背負ったわたくしはっ」
ズガァアアン!
王女「力づくでも! この星を手に入れなくてはならないのです!!」
飛鳥「くっ……やるしかないのか!」
菜々「横着(メルヘンチェンジ)! 宇宙刑事ウサミン!!」
飛鳥「来い! アールガン!!」
王女「わたくしに、この星をあけ渡しなさい!」ビカッ
チュドォーン!
飛鳥「そうはさせない!」バキューン!
ウサミン「メルヘンビーム!」ビビィー!
シュオンッ
飛鳥「消えたっ!?」
王女「こちらですよ」
飛鳥「なっ……ぐああ!」
ドガァン!
ウサミン「飛鳥さん!」
ブブブゥン……
ウサミン「なっ……分身した!?」
王女「「わたくしは、負けられないのです」」シッジョッジョッジョッジョッジョ
ウサミン「一体ずつ攻撃していけば! メルヘンレーザーブレード!」
スカッ
ウサミン「外したっ……」
ボガァアン!
ウサミン「きゃぁああ!!」
王女「「地球の戦士など、この程度ですか。ならばっ」」
キラリ「にょわぁー!」ビュンッ
王女「なにやつ!?」バシィッ
キラリ「させないゆ!」
王女「光の巨人……! わたくしの邪魔をするのですか。同じ異星人でありながら!」
キラリ「きらりはね、宇宙に住むみーんなが、おんなじだと思ってるから……」
王女「ならば……地球人だけをひいきするのは、おやめなさい!」ドガァッ
キラリ「っ……そんなつもりじゃ」
王女「ならばなぜ無関係な争いに介入するのですか! これはわたくしと地球人との争いです……そして、戦いに勝利したものが利を得る。宇宙の摂理でしょう! それをなぜ!」
ドガッ、バキッ
キラリ「傷つけあっても、なんにも楽しくないでしょ……だから」
光「一方的に……どうして戦わないんだ、きらり。」
飛鳥「キミこそっ……なにをしているんだ!」
光「アスカっ」
飛鳥「仲間が……傷ついているのを、見ているだけか!」
光「っ!! で、でも……アタシは」
飛鳥「……アールガン……メタルジェノサイダーモード」ジャキン
光「!? なにをっ」
飛鳥「デッドエンドシュート!!」
ズギュゥウウウウン!!
王女「はっ! しまっ」
ドガァアアアアアアアン!!
光「あ……ぁあ」
きらり「……うっ」ドサッ
光「きらり? きらり! しっかりしろ!」
……
晶葉「……それで、からくも一人目を倒したわけか」
飛鳥「きらりと菜々は、休ませている」
ありす「すぐに月面の宇宙船を攻撃しましょう」
光「なっ……なに言ってるんだ!」
ありす「一体ずつの戦いは厳しくても、宇宙船をまるごと破壊してしまえば容易に殲滅可能なはず。今しかありません。」
光「二十億の異星人を虐殺するのか!? 無抵抗の相手を!!」
ありす「移民を拒否され、王女を殺され、……もう相手も、交渉する気はないでしょう」
光「だからって……!」
晶葉「……超兵器の使用を申請してみよう」
光「博士までっ!!」
晶葉「光、……彼らは人類の、地球の敵だ」
光「宇宙全てのために戦うべきじゃないのか!?」
ありす「なら、代わりに私達が滅びますか? 彼らの侵略を受け入れて、支配され、奴隷になるんですか?」
光「っ……」
晶葉「……許可が下り次第、敵を倒しに行け」
光「ぐ、ぅっ…………くそぉお!」ダダッ
飛鳥「……了解」
……
きらり「……どうして、こうなっちゃうんだろぅ」
杏「……きらり、こっちきなよ」
きらり「ゆ……?」
杏「はい、しゃがんで。届かないから」
きらり「??」
杏「よしよし……きらりは頑張ってるよ」ナデナデ
きらり「杏ちゃん……」
杏「大変だよねー正義の味方ってのもさー」ナデナデ
杏「たまにはサボったっていーんだよ?」ナデナデ
きらり「うんっ……でも、大丈夫。杏ちゃんがぁ、いーっぱい、はぴはぴをくれたからぁ」グスッ
杏「そう言わずにもうちょっと休んできなよ」グイッナデナデ
きらり「ほんとに、やさすぃーにぃ……」
杏「そんなことないよ……だって」
ガシッ
きらり「うゆ?」
ブチィイイイ!!
きらり「!!?? ぁ、うああ??」
杏「このアメが、杏の狙いだったんだからね」
きらり「ぁっ……あぁ……ちから、が」
プシュー
ヘナヘナヘナ……
杏「うわっ、ぺちゃんこになっちゃった……ま、まぁ、戻せば復活するよね。うん。……じゃあしばらく休んでなよ。じゃーねー」
きらり「あん、ず……ちゃ……」
……
ピヨピヨピヨ!
ありす「こんなときに怪獣!?」
晶葉「これは……きらりんルームからだ!」
飛鳥「怪獣の飼育場になっている場所か……! ならば脱走!?」
晶葉「……反応が、大気圏を抜ける!」
飛鳥「なにっ」
晶葉「!! 目標地点は……月だ!!」
……
杏「ふぅ……宇宙船、あれか……さすがにでっかいなー。……ま、これのパワーがあれば、杏でも壊せるよね……」
ギュイイイン
杏「……恨みはないけど、消えてもらうよ」
ビカァアアアアアア
杏(あの子達の、平穏な日々のために……)
ズガァアアアアアアドッガァアアァアアアアアアアン!!!!
……
晶葉「…………月面の宇宙船、消失確認」
飛鳥「まさか……怪獣が、地球を守った……?」
ありす「ともあれ、これで一安心ですね」
飛鳥「……」
晶葉「……あとは怪獣が、素直に戻ってきてくれればいいが」
飛鳥(…………本当に、これで良かったのか……?)
……
菜々「……分かりました。はい。交信終了します」
光「? あれは……ナナ?」
菜々「はぁ……」
光「どうしたんだ?」
菜々「光さん……実は、……銀河連邦警察は、地球の防衛を放棄するそうです」
光「えっ……そんな、なんで」
菜々「異星人を、利己的な理由で大量に殺害したため……」
光「っ!!」
菜々「……分かってます。仕方なかったんです。こうしなければ、地球は……」
光「……仕方なくなんてない」
菜々「光さん……?」
光「仕方なくなんて、あるもんか! きっと、他の方法だってあったはずだ!! なのに……アタシに、もっと力があれば……!」
菜々「……光さん。力に、呑まれないでくださいね」
光「力に、呑まれる……?」
菜々「はい。……強い力があれば、何かの結果を、無理矢理捻じ曲げることも可能かもしれません。けど……」
菜々「迷い、悩む心をなくして、力を振るうなら、それはヒーローじゃないんです」
光「ヒーローじゃ、ない……」
菜々「ただの独善…………悪です」
光「!!」
菜々「今回の結果だって……みんな、悩み、迷いました……決して、これが最善だなんて思ってはないはずです。それでも…………苦しみながら、進んでいかなければならないんです。だから……」
光「迷い悩むのが……ヒーロー。迷いをなくしたら…………ヒーローじゃない」
菜々「光さんなら、きっと、ヒーローになれますよ。みんなを守る。優しいヒーローに」
光「! まさか、ナナも行っちゃうのか!? 宇宙刑事としても仕事は、もう地球を守ることじゃなくなったから……」
菜々「ナナは……いますよ。ここに。みなさんと一緒に」
光「! でもそれって」
菜々「はい。命令違反です! ナナやっちゃいました! テヘッ!」
光「どうして……」
菜々「ナナも……迷い、悩んだんです。でも……光さんを見たら、決心がつきました」
光「アタシを……?」
菜々「この決断が正しいかどうか、ナナにも分かりません。けど! 私は守りたいんです! 仕事だからじゃない……自分の意志で、この星を」
菜々「そして…………みんなと、一緒にいたいから」
光「ナナ……!」ダキッ
菜々「わっ……ふふ、よしよし。これからも、一緒に頑張りましょうっ!」
光「……うんっ!!」
……
杏「あー……疲れた……いくらきらりん☆ぱわーを借りたとはいえ、お腹も減ったしすっごい眠いし……かなり消耗しちゃったや……」
杏「早く戻らないと……」
「ヒーローってのは大変よねぇ。そうやって、孤独でなくっちゃいけないんだから」
杏「……私はヒーローじゃないけど。誰?」
麗奈「みんなを守るためには、時としてみんなの代わりに罪を背負わねばならない」
麗奈「自分一人でやったことだ。自分自身の心で、意志でやったことだ。と……そうすることで、みんなにまで罪を負わせることを防ぐ。……だからヒーローは孤独」
杏「知らないよ。なんの話さ」
麗奈「くだらない。下らない自己犠牲。……そんなこと、アタシがやめさせてやる!」
杏「なにを……うわっ!」
麗奈「アーッハッハッハッハ! 奪ってやったわ! 光の巨人の、エネルギーコアを!」
杏「か、返せっ! それはきらりの!」
麗奈「返せと言われて返すバカはいないわよ! じゃあね~」
杏「待てぇ! ぅ……だめだ……もう、充電切れ……」バタッ
アーッハッハッハッハッハグェッ……ゲホッゲホ
……
杏「きらり! しっかりしてよ! ねぇ!」
ぺちゃんこきらり「」
飛鳥「これは……っ! なんだ、青い石が、光って……!!」
パァアアアア……
ムクムクムクムク
きらり「……にょわー……」
杏「きらり!」
飛鳥「青い石が……きらりの胸部に」
きらり「ん……うーん! よく寝たぁ……杏ちゃん、飛鳥ちゃん。おっすおっす!」
杏「ごめんね……ごめんねきらり、私が勝手なことしたからっ」
きらり「大丈夫だにぃ、こーしてちゃーんと元に戻れたしぃ、杏ちゃんも無事だったならそれでばっちし!」
飛鳥(あの巫女は、こうなることを予期していたのか? いやそれより、神として祀られていたのは……やはり光の巨人だった。そして光の巨人が地球で活動するための、莫大なエネルギーを秘めたコア……それを使って、敵はいったい何を)
ピピピピ
幸子『飛鳥さん聞こえますか?』
飛鳥「幸子か、どうした?」
幸子『デビルウサミンを発見しました。ポイントを転送します』
飛鳥「! ありがとう、すぐに向かう」
幸子『フフーン! まぁボクにかかればこんなもんですね。なにしろボクは日本い』
ピッ
きらり「飛鳥ちゃん、どこか行くの?」
飛鳥「……この星を壊しかねない、危険な兵器を止めに行く」
きらり「じゃあ、きらりも一緒に行くゆ」
飛鳥「……頼む」
シュタッ
光「アタシも行く!」
飛鳥「光……」
光「もう、みんなだけに……つらい役目や、重い使命を負わせたりしない……アタシもみんなと一緒に戦う!」
晶葉「私もその危険な兵器とやらが気になるな。今回は同行させてもらうぞ」
菜々「もちろんナナもいますよ! アハッ!」
飛鳥「みんな……よし、行こう!」
……
ゴォオオオ……
飛鳥「見えた……! あれだ!」
デビウサ「ミミミンミミミン」
光「お、おおきい……」
晶葉「ほぅ、あれが……面白い! どうにかサンプルを持ち帰りたいところだ!」
菜々「言ってる場合じゃないですよ! 見て下さい!!」
デビウサ「ウーサーミーン」
ドグシャアア……
飛鳥「!? 町が……崩壊した!?」
きらり「ただ近づいただけに見えたゆ……」
「そう! あれこそがデビルウサミンの真の力よ!!」
飛鳥「何者だっ!」
光「し、師匠!」
飛鳥「……師匠?」
師匠「ふふふ……久しいな光よ。そう、我こそは棟方不パイ……! お前の師匠よ!」
きらり「とうほう……ふぱい?」
菜々「聞いたことがあります。なんでもあらゆる女性の胸を揉んで百戦錬磨。オッパイなくしてこの人なし、故についた名前が……」
晶葉「棟方不パイ、か。なるほどな」
飛鳥(何がなるほどなんだ……?)
光「師匠! どういうことですか! なぜあなたがここに!!」
飛鳥(そしてキミはなんて人に弟子入りしてるんだ……)
師匠「教えてやろう……あのデビルウサミンは、うわべの取り繕いを破壊することができる。……この地球の、人工物のみを破壊することができるのだ」
晶葉「人工物のみを……!」
菜々「そ、それってつまり……」
師匠「そう……つまり」
師匠「この世のあらゆる偽乳を抹殺できるのよ!!」
飛鳥「……?」
菜々「なななななんてことを!」
光「どうしてそんな……」
師匠「自然に育った、ありのままのオッパイこそ至高……だのに人は、つまらない虚栄心のため、無理にサイズの合わないブラをつけたり、パッド入りブラだの、シリコンだ豊胸だの…………実に嘆かわしい!! きちんと試着をし! 自分のサイズや形にあったものを選ばなければオッパイに悪影響だというのに!」
晶葉「……その不自然をなくすために、全ての人工物を消し去るというのか」
師匠「その通り! みながありのままのオッパイを取り戻せば、柔らかオッパイ揉み放題!!」
光「……間違ってる」
師匠「なにぃ?」
光「棟方不パイ! あんたは間違っている!!」
飛鳥(そりゃそうだ)
光「なぜなら! あんたが滅ぼそうとしているニセパイも……オッパイが欲しいという欲求から生まれたもの! いわばオッパイの一部!!」
光「オッパイの小さい者の心を支え続けるニセパイを抹殺しての理想郷など、愚の骨頂!!」
飛鳥(……先ほどの同意は取り消そう)
師匠「ふぅん! ならばワシが正しいか貴様が正しいか……決着をつけてくれるわぁ!」
光「みんなは手を出さないでくれ……これはアタシと、師匠の戦いだ」
菜々「はいっ!」
きらり「うきゃー! 光ちゃんふぁいとー!」
師匠「ゆくぞぉっ……ダァークネスッフィンガー!!」
モミモミモミモミ
光「んっ……く…………負けないっ」
師匠「うわははは! 健やかに育っているようで何よりだ! 背の方と違ってなぁ」モミモミ
光「っ……背のことはっ言うな……! うぉお! ライトニングゥフィンガー!!」
コチョコチョコチョ
師匠「うひっうひひっ! ひぁっぬぅうやりおるっひひ!」モミモミ
光「んぅっ……ふっ、ぁ……うぉおお!」コチョコチョ
飛鳥(……なんだこれ)
菜々「ナナ達は今のうちにデビルウサミンを!」
飛鳥「あ、うん……そうだね」
デビウサ「ミミミンミミミン」
晶葉「しかし、接近するだけで人工物が崩壊するなら、きらり以外は戦えないぞ!」
きらり「……きらり、頑張ゆねっ!」
菜々「きらりさん一人では行かせません!」
飛鳥「あぁ……ボク達も一緒だ」
きらり「みんな……ありがとにぃ!」
ピカァアアアアア!
晶葉「これはっ……きらりの胸の石が、輝いて……!」
菜々「わわっ……ナナ達を包んでいきます!」
飛鳥「守ってくれているのか……? この光が」
菜々「横着!!」
飛鳥「いくぞアールガン!」
キラリ「にょわー!!」
バギューン!! ドガァーン!
バババババ! グサァー!
ビィーッ!
ドサァッ
師匠「ぅ……ワシの、負けだ」
光「師匠!」
師匠「光……まだワシを師匠と」
光「アタシは今になって、初めて師匠の悲しみを知った! なのにアタシは、師匠の話を聞こうともしなかった!」
師匠「ワシこそ……光には教えられたよ。偽乳もまた、オッパイの一部。それを抹殺するなどオッパイを破壊するも同じ……ワシはまた、過ちを繰り返すことろだった」
光「……師匠」
師匠「ふふ……柔らかいな」モミッ
光「んっ……でも揉むのはやめてくれるか?」
師匠「……しょんな殺生な……」
デビウサ「ウーサーミーン」
飛鳥「くそっ……なんて強さだ」
ウサミン「これだけ攻撃して、倒れないなんて!」
キラリ「きらり、疲れてきたゆ……」
飛鳥(未来で戦ったときよりも、確実にパワーを増している……! っ! あの胸の青い光……まさか奪われたエネルギーコアを……!!)
デビウサ「ミミミンミミミン……ウサミーーン!」ギュォオオオ
ウサミン「なっなんですか!?」
飛鳥「これはっ……まさかまた!」
晶葉「みんな! そいつから離れろ! 次元境界線が著しく歪んでいる! なにが起きるかっ……うっ!」
ビカァアアアアアア!!
シュゥウウン……
飛鳥「……デビルウサミンが、消えた?」
きらり「うにぃ……大丈夫?」
菜々「ナナは、平気ですっ」
光「おーいみんなー!」
飛鳥「全員無事…………いや、博士はどこだ!?」
光「ほんとうだ! 池袋博士がいない!!」
菜々「はかせぇー!」
きらり「晶葉ちゃーん!!」
……
ありす「……いいんですか? みんないないときに」
ちひろ「はい! 今この基地の責任を預かっているのは私ですから!」
ありす「打ち上げ準備……完了しました」
ちひろ「ふふ……これで、地球は救われるわ。ドリンクの力で、人々は健全な心を取り戻して、争いのない、豊かで平和な世界に……」
ありす「カウントダウン、開始。10、9、8……」
ちひろ「……これで、この星も」
ありす「2、1、清浄化ドリンク、発射!!」
シュボォオッ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
パァアアアアアアアアアア……
ちひろ「やった……やったわ!」
ありす「すごい……身体に、活力がみなぎってくる」
ちひろ「成功ね……良かった」
ピピピピ
ちひろ「どうしました?」
『た、大変です!』
ちひろ「? なにかあったんで」
『世界中の……争いや、戦闘が拡大!』
ちひろ「…………え?」
『あちこちで暴動が起き、各都市は混乱! 地球上の多くの防衛機能がマヒ状態です!』
ちひろ「な、なんで……どうしてっ」
ドアバーン!
菜々「ちひろさんっ!」
ちひろ「ナナさん……いったいなにが」
菜々「……気力を回復させる作用が、安らぎを与えるのではなく、かえって闘争本能を呼び覚まし、それに支配されてしまったのでしょう」
ちひろ「そ、そんなっ」
光「ちひろさん! どうしてこんな勝手なことを!」
ちひろ「私は……欲望に操られ、争い、いさかい続ける人類に……平和をもたらそうと…………欲望の媒介であるお金を回収し、平和のために」
飛鳥「……それが勝手だと言うんだ」
ちひろ「どうしてですか! 人間は! お金を持っていたってろくなことに使わないじゃないですか! だったら私がそれを集めて、より良いことに使ってあげるんです!!」
飛鳥「その結果がこれだろう」
ちひろ「私はっ……このドリンクで多くの星を救ってきたのよ!!」
光「なにっ!?」
ちひろ「おかしいのは地球人よ!」
飛鳥「……キミも、異星人だったのか」
菜々「そうです。ちひろさんは……ナナと同じ。ちひろさん、その星の生物によって、成分の細かな調整が必要だと言っていたのはちひろさんじゃないですか! なぜ急いでしまったんですか!」
ちひろ「……この星は、もう限界なのよ。これから先、宇宙からの侵略を食い止めるには、今団結しなければ……!!」
ピヨピヨピヨピヨピヨピヨ!
ピヨヨヨヨヨヨ!
飛鳥「……早速その侵略者さんのお出ましか」
ありす「現在、各地の防衛機能はマヒしています。このままでは……」
光「……みんな行くぞ! この星を守るんだ!」
飛鳥「あぁ……!」
菜々「はいっ! 博士の捜索に残っていたきらりさんにもすぐに連絡を!」
光「総員……出動!!」
「「了解(ラジャー)!!」」
……
異星人「さぁ、怪獣どもよ! 破壊しろ! この星の全てを!!」
きらり「やめて!!」
異星人「……光の巨人か」
きらり「どうしてこんなことすゆの!? きらりはお友達になれると、思って」
異星人「……自分も、少しそう期待してたさー」
きらり「ならっ」
異星人「ヤーネフェルトを殺した!!」
きらり「っ!!」
異星人「自分……友達だったさ……この星を手に入れるのは……ヤーネフェルトのためでもあったんだぞ。なのにっ」
きらり「それは……でも、でも……侵略してくる宇宙人とは戦わないと……」
異星人「お前達が追いつめるからじゃないか!!」
きらり「!!」
異星人「他の宇宙人が支配していた縄張りに攻め込んで、この地球まで追い込んだのはお前達光の巨人や、銀河連邦警察だ」
きらり「だって……多種族を滅ぼしたり、迫害して、支配してたから……」
異星人「弱肉強食は自然の摂理だ! お前達は自分の思う価値観で宇宙を染め上げないと気が済まないのか!?」
きらり「きらりは……ただ、みーんなと仲良く……」
異星人「それが価値観の押しつけだって言うんだ。正義以外の全てを排除して平和をつくるっていうならっ……」
異星人「自分はそれをぶち壊す『悪』になってやる!!」
……
麗奈「さぁ行きなさい! 怪人軍団!!」
光「やめるんだ! レイナ!」
麗奈「来たわね……ヒーローごっこ」
光「なぜ地球人同士で戦おうとする!?」
麗奈「……アタシはただ、アンタ達が気に食わないだけよ!」
光「なにっ……?」
麗奈「いつでも自分達が正しいですって……正義の味方づらしてっ……でもね、アンタ達が救えなかった人達や、アンタ達のせいで苦しいんでる人達だって世界にはたくさんいる! だからアタシは正義にケンカを売るのよ!!」
光「……分かった。レイナの主張はちゃんと聞く。気に食わないなら、アタシをやればいい」
麗奈「なんですって……!」
光「ただし、関係ない人達を脅かすのはやめろ! アタシ達が嫌いなら、直接来るんだ!」
麗奈「ナメたことをっ……またそうやって、自分だけ正しいふりをっ」
光「正しいだなんて思ってないよ」
麗奈「……!」
光「いっつも、迷って……間違ってばかりだ。今だって……本当に、アタシの判断が正しいかどうかなんて、全然分からない」
麗奈「なら、どうして……」
光「けど……それでも決めなくちゃ進めないから! 正しくないかもしれない……ずっとそう考え続けなくちゃいけないんだ……!」
麗奈「アンタ……」
光「頼むレイナ! 今は地球全体がピンチなんだ!! 必ずレイナとちゃんと向き合う! だから今はっ」
麗奈「…………」
……
杏「やぁー!!」
杏「はぁ……はぁ……あの子達だけでも…………杏が守ってみせる」
師匠「とぁーっ!」
師匠「この星の柔らかな宝を、もぎ取らせはしなーい!」
幸子「ひぃっ、み、みなさん随分強そうですが……まぁ、カワイさではボクに敵う人はいなそうですね!」フフーン
幸子「あっこっち来ないでください! ボクは戦闘要員じゃないんですってばぁ!!」
……
ちひろ「……状況は?」
ありす「依然不利ですが……怪人軍団と、怪獣の群れが、互いに戦っているようで」
ちひろ「え……?」
ありす「うまく同士討ちしてくれれば……それと、各地の防衛機能も徐々に回復しつつあるようです!」
ちひろ「……よかった……私のせいで…………いえ、私は、悪くないわ……私は正しいことをしようとしたんですもの……私は間違ってない、私は正しい……」
ありす「……」
「そうだ、君は間違ってなどいない」
ありす「!? 誰ですか!!」
女博士「……私は……ドクターA。またの名を……」
……
ピピピピ
飛鳥「なんだっ……こんなときにっ」バキュンバキューン
ありす『大変です! 基地にっデビルウサミンがっ……あぁあ!!』
飛鳥「なんだって……!? おい! 橘! 橘ァ!!」
飛鳥「……行くしかない、か」
ゴォオウッ
……
デビウサ「ミミミーン」
女博士「フフフ……これで全ての条件が揃った。あとは……」
キィーン……ガシュゥン
飛鳥「あなたはっ……ドクターA!!」
女博士「待っていたよ……二宮飛鳥、いや……」
飛鳥「なぜこの時代に……、そうか、つまり」
女博士「私の、コピー人形」
飛鳥「オリジナルの二宮飛鳥か!」
女博士「……気付いたか。さすが私のコピーだ」
飛鳥「おかしいとは思っていた。偶然にしては、全てが作為的すぎる……そしてこの状況を都合よく仕組めるとしたら」
女博士「事の発端であるこの私、か」
飛鳥「そして、二宮飛鳥が死んだとされる新西暦155年二月二日の翌日……二月三日にボクを送り込んだ理由……それは自分の代わりに、二宮飛鳥の役目を果たさせるため」
飛鳥「さらに、池袋博士をこの時代から連れ去り……自分が池袋晶葉に成り代わろうとした!」
女博士「ご名答。博士を195年に招待した理由は、それだけだはないがね」
飛鳥「……デビルウサミン完成のためか」
女博士「……」
飛鳥「デビルウサミンは、暴走などしていなかった……初めから、あなたの指示通りに動いていたんだ」
飛鳥「そのデビルウサミンと敵対した状態でボクを過去に送り込み、光の巨人や宇宙刑事と協力して戦わせることで、……エネルギーコアを奪う隙と、博士を連れ去るチャンスを狙っていた!」
飛鳥「ドクターA……二宮飛鳥!! お前はデビルウサミンを完成させ、いったい何をするつもりなんだ!!」
女博士「……フフ、知れたこと」
女博士「それは…………因果律の操作!」
飛鳥「因果律……!?」
女博士「あらゆる確率を、自由に操ることができるようになる」
飛鳥「つまり……!」
女博士「そう…………あらゆる当たり外れに苦しむこともなくなる。光の巨人のエネルギーコア、池袋晶葉と、ウサミン星の科学力。そして千川ちひろのドリンク! これらによって完成されたデビルウサミンで……」
女博士「私は、……神となるのだ!!!」
飛鳥「……させない」
女博士「なに……?」
飛鳥「世界を…………誰か一人の思い通りになど、していいはずがない!」
飛鳥「ボクはっ、デビルウサミンを破壊する!!」
女博士「ハハハハハハ! 君一人で何ができる!」
「一人じゃない!!」
女博士「なにっ!?」
光「アスカは決して、一人なんかじゃない!!」
ウサミン「その通りです! ナナがついてます!」
飛鳥「光……! ナナ!」
ウサミン「お待たせしました。今度こそ、あの化物をメルヘンパワーで退治しましょうっ!」
飛鳥「そうか……キミは」
キラリ「にょわっち! きらりもぉ、みんなと一緒に戦うにぃ」
飛鳥「……さぁ、ここで終わりにしよう! ボクとお前の因果を!!」
女博士「小賢しいっ……やれ! デビルウサミン!!」
デビウサ「ミミミンミミミンウーサーミーン」
ドガァーン! ボガァア――ン!!
キラリ「きらりーん☆ぱわぁーーー!!」
ウサミン「ウサミンダイナミック!!」
光「基地防衛機能、集中砲火!!」
バキューンバキューン!! ダダダダダダ!
グサァアアーー!! ビビビビィイーー!
女博士「なぜだ……なぜこんな力が……」
飛鳥「分からないか……? これが、迷い進む人間の、意志の力だ!」
女博士「迷いだと……くだらない! 私は、因果律を支配する……迷いのない世界を創り出すのだ! みなが、自分を確信し……後悔せずに生きられる世界をっ」
飛鳥「……やはり、そうか」
女博士「……!」
飛鳥「お前は……科学特捜隊として、ボクと同じように、仲間と共に地球を守っていた……平行世界の、ボク」
飛鳥「戦いながら……迷い、悩み……そして自らの決断を悔やんだお前は、過去に介入する技術を作り上げ、この世界の自分自身を殺した。そして因果律が狂わぬよう、ボクを送り込んだ」
女博士「そうだ…………そこまで分かっているなら、分かるだろう! お前は私と近い経験を経た! 迷いや悩みを消し去ろうとする私の気持ちが!!」
飛鳥「……確かに、地球を守るための戦いは……苦しい選択の連続だった。けれど!」
飛鳥「その迷いをなくしてしまったら、ヒーローの資格はない!!」
女博士「ヒーローだとぉ……そんなものっ私は神だっ神になるんだ!! ヒーローなんぞにぃいい!!」
ズガァアアン!
ドゴォオオオオオオン!!
菜々「今です!」
光「いっけぇ! アスカ!!」
キラリ「勝ってはぴはぴするにぃ!」
飛鳥「あぁ……これで決める!」
ガシャコン
飛鳥「メタルジェノサイダー……起動!」
女博士「やめろっ、やめろぉお!」
飛鳥「時を遡り……お前は無に帰するのだ……!」
飛鳥「デットエンドシュート!!!」
ギュガァアアアアアアアアアア!!
デビウサ「ミミミ……ン……ミ」
ドガゴァアアアアアアアアアアン!!
光「や、やったか……!?」
女博士「う……ぅう」
飛鳥「ここまでだ……二宮飛鳥。その亡霊よ」
女博士「亡霊…………フフフ、ハハハハハ……そうかもしれんな」
女博士「本当の二宮飛鳥は……40年前に死んだ……私も……その邪念に縛られた偽りの存在に過ぎないのかもしれん」
女博士「……いや、今や偽物だったはずのお前こそ…………本物の飛鳥だ」
飛鳥「!!」
女博士「思い出したよ……私も、お前達のように……あの美しい星を……そこに住まう人々を、愛していた……」
光「ならっ……ならどうして!」
女博士「私も所詮……愚かな人間に過ぎなかった……そして、それを嫌悪し、神になろうとした……だが」
女博士「飛鳥、君の言う通り……神など…………絶対の答えなど、不要なのだな」
飛鳥「……そうだ」
飛鳥「ボク達は、この宇宙に生きる者はみな……弱い存在なんだ」
飛鳥「そしてその弱さに負け、迷いや悩みを捨てた者が……悪に染まる」
飛鳥「戦いは他者とするものではない。自分と……自分自身の心とするものだ」
女博士「私は……君がうらやましい……ヒーローになれた……君が」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
光「な、なんだっ」
飛鳥「次元が揺らいでいる……! 因果律を乱していた大元が消えたことにより、世界が修正されようとしているんだ」
菜々「お別れ、なんですね」
きらり「大丈夫! きーっと、また会えるゆ」
光「……あぁ、世界が変わっても……きっとまた!」
飛鳥「フッ……そうだね。ボクらは……世界の因果よりも、ずっと強いもので結びついているはずだ」
光「じゃあ、また!」
コツンッ
菜々「はいっお元気で!」
フリフリ
きらり「絶対一緒に、はっぴはっぴしようにぃ!」
ギュッ
飛鳥「みんな、ありがとう…………きっとまた……どこかで」
飛鳥「さらばだ! 地球を守る…………ヒーロー達」
飛鳥「ボクの大切な仲間達よ……!」
END
しえん
おつ!
次はスパロボ次元で再会だな!
読んで下さった方は本当に有難うございます。
一応前作
南条光「改造手術には勝てなかったよ……」
乙ンジェノサイダー
???「それもフェイフェイダヨー」
<次回予告(嘘)>
「バーニングPT全国大会! 優勝者は……三好紗南さん!」
「『はい』ではない!! 今日からは『ラジャー』だ!!」
「……と私は、ひとつになるの。真っ白に……とろけるの……」
「地を裂き! 海を割り! 全てを生み出すこの拳ぃ! ビックプロデューサーッパーンチ!!」
「ヤック・デ・カルチャー!」
「にゃあんてこったぁああ!!」
飛鳥「フッ……スーパーロボット大戦CGもよろしく」
飛鳥「なんて、ね」
乙
純粋におもしろかった。絵も上手い
だがこの後αで……
乙
キカイダーやメタルダー枠が居ないのが残念
というかSRXチームが居ないからα次元に行くか微妙
嘘予告ではリュウセイポジは紗南のようだけど、嘘だからどうかな…(プリキュアの時から嘘予告ほぼ本当にやってるけど)
本来なら光がキカイダー、レイナサマがハカイダーポジなんだろうけど、他のヒーローと違う人間としての苦悩を優先って感じかね。
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