お嬢様「ボクは君とここでお昼を食べられて」(33)

目覚ましに叩き起こされた。
うるさい。
とりあえず手探りで安眠を妨害している根元を探す。
手に触れた物は即座に叩いた。
あ、今の眼鏡だ。

中々見つからないと思いつつ指紋のついてしまった眼鏡を掛けてみると、ベッドの下で諸悪の根源は自らの存在を示すかのように音を出していた。
さっきよりクリアになった頭で冷静にアラームを止める。
「よし。5分寝る」

冷静な我が頭脳は脳内会議の結果、その結論に至った。
「アホ。目覚ましの意味ないし」
声のした部屋のドアの方に顔を向けると、妹の姿があった。
つか居たなら起こしてよ……。
「朝御飯出来たし」
それだけ言うと、そそくさとリビングに行ってしまう。

お察しの通り、うちの妹は「私の大好きなおにーちゃーん!!朝だよー起きて!!」
みたいなギャルゲ妹ではない。
まぁそんな元気ハツラツな妹より、どんな時も俺の時間を尊重して家では殆ど喋りかけてこない
シャイな妹の方がいいもんねアハハ。

虚しい強がりはさておき。

腹の虫が騒ぎ出したので、いそいそとリビングに向かう。
この時点で妹はもう食べていた。

「あ、もー食べ終わるから。
昼ごはんは作んの面倒いから自分で買ってね。あ、私の分のお金はいいよ。自分の分は昨日仕込んどいたからバッチリ」

そう早口でまくし立てると、昼代の1000円を渡される。

温かい家族愛に涙が出そうだ。

「じゃ」

泣きたいときは 空をみるよ  涙 あふれてきても 落ちないように
という、歌のフレーズに従っていると彼女は行ってしまった。
たっぷり1分は悲しみに暮れていると、唐突に我に返る。
俺もこんなバカな事してないで早く行かねば。

今日はここまで
続きは書けたら明日。

>>8

がんばれ

一応みてる

グリーン「どうだ!」

レッド「いや……普通lv100まででしょ……」

グリーン「お前は本当にポケモンの成長がlv100で止まると思っているのか?」

レッド「!?」

>>10 すまん、誤爆

だが、実は時間は余裕だ。遅刻しそうになり全力疾走して、汗だくで息を切らしながら教室に入って変な目で見られるのは嫌だからだ。
もちろん、曲がり角でパンを咥えた転校生とぶつかるなんて、ベタな事もない。

そう。
俺はあくまで普通の高校生。
説教かましながら敵を右手で殴る事もなければ、汎用ヒト型決戦兵器に乗って人類の敵と戦うなんて事もない、ただの高校生。
そんな事を考えながら我が学び舎へ。

何事も無く無事に教室に到着。
今日も法治国家日本は平和です。

「ん、おはよー。なぁ、お前っておっぱいフェチ?尻フェチ?」

前言撤回。
教室で18歳向けのいかがわしい本を読んでいる奴がいる。
読んでるだけならいい。いや良くないが。問題は場所が俺の席というポイントだ。
このままでは巻き込まれるのがオチだ。
これを非常事態と言わず何という。

「おいなにしてる。どけ、お前が俺の席でエロ本読んでるせいで、
脚フェチの俺が妙な疑い受けるだろうが」

「あ、質問には答えてくれるのね」

そこは譲れない。

「てか脚の何処がいいの?挟まれるならやっぱり二つのたわわと実ったメロンだわ」

こいつはおっぱい星人のようだ。

「いや、脚だろ。スラッとした脚なんか堪らんだろう。スカートが軽くフワッと浮き上がった時の、普段は見えない太腿部分とか良すぎるだろ。後、ニーソの絶対領域や、ガーターベルトのムチムチ感や……」

脚は素晴らしい。脚は女性の誇り。脚無しでは生きていけない。
クラスメイトからは、生ゴミを見る様な目で見られていたが関係ない。この脚に対する情熱を星人に分かってもらおうと、俺は松岡修造も暑すぎてクーラーつけるレベルで想いを語る。
が。

「へぇ。そんなに脚が好きなんだ」

後ろからの声に、俺は冷水をぶっかけられたかのようにクールダウンした。

「いやー。相変わらず物凄い変態っぷりだね。これ警察行ったら留置所いれてくれるんじゃない?」

こいつは幼馴染だ。
顔は可愛い。性格は明るく人当たりがいい。従って人気も勿論ある。足りないのは胸の脂肪くらいか。

こいつとは長い付き合いで、もう10年そこらになる。なので俺に対して遠慮が無い。

「もしかして私もそんな目で見られてるのかしらキャーッ」

「………いや、そりゃねぇわ」

さっきも言ったが、こいつとは10年の付き合いだ。昔から常に一緒で、もはや俺としては家族の様な感覚なのだ。エロい目で見れない。
しかし何がいけなかったのか。

「……へぇ。そう。私は女として見られてないっての」

とてもご立腹の様だ。何だ。エロい目で見られたいのか。痴女か。痴女なのか貴殿は。
そんな事怖くて言えないけどね。
とりあえずは適当に対応する。

「いや、女って事は分かるけどさ、こんだけ長いこと過ごせばな」

「はぁ……」

何かとても残念な感じで溜息つかれた。クラスメイトも、俺に向ける視線を生ゴミを見る目+残念な奴を見る目にシフトしていた。
俺何かしましたか。

しばらく教室全体が無言になっていると、担当の先生がビックリしながら入ってきた。そりゃそうか。

昼。
購買の争奪戦で得た戦利品を片手に、教室へは戻らず生徒会室へ。

実は私めは、生徒会副会長を務めさせて頂いてます。何か人数足りないから出てくれる?出てくれるよねいいから出ろ、と廊下で偶然出くわした生徒会顧問に目を付けられたのが運の尽きだった。
ちなみに顧問は29歳独身の女教師。最近は親に結婚の話ばかりされ、さらに同級生の結婚ラッシュで焦る毎日らしい。婚活も視野に入れているとか。

閑話休題。

ここに来たのは、別にクラスメイトからの残念視線に耐えられなかったからでは、決してない。本当だよ?
昼休みは用事が無ければここでとる。それに、一人ではないから、寂しくないし。
鍵は開いていたので、生徒会室の扉を開く。すると、中から声がした。

「やぁ。例によってボクが先だね。」

この人は、この学校の生徒会長。
そして、某企業の社長令嬢、つまりお嬢様だ。美人でスタイルもいいし、スポーツも勉強もできる完璧超人。もしかしたらペルソナも使えるんじゃないか、という疑問が俺の中を駆け巡っている。
だが、その超高ステータスは、他人を近寄らせない。
なので、彼女に事務的な内容以外の事で喋る人は俺以外にはいない。
………考えたらコレ、結構いいポジションにいるな。俺って。

今日はここまで
お休み

なんかssとかじゃなくて普通の携帯小説読んでる気分

四円

「そう言えば」

会長は思い出した様に言った。

「君は脚フェチらしいね」

「ふぇ!?」

突然の爆弾発言に、俺は頭から考えていた事を吹き飛ばされた。ついでに口の中の弁当が吹き飛びかけた。

「な、なんでその事を……」

不思議だ。レントンの声がホランドになったのと同じくらい不思議だ。

「いや、偶然耳にしたんだよ。
君が教室で女性の脚の素晴らしさについて熱く語っているとね」

もう広まっているのか。
田舎のネットワークみたいだな。
やたらと噂が広まるのが早い。

「そうだなぁ……とりあえずは、ボクにその脚の魅力を語ってくれないかい?」

「え!?何でですか!?」

なぜとりあえずで俺の性癖を晒さねばならないのか、意味が分からない。教室で大演説した奴が言える事ではないが。
いや、それでもだ。
アレは男が相手だったから、まぁいい。なぜこんな美人の前で語らにゃならんのか。恥ずかしいっ。

「なに。部下の事を知るのが、上司であるボクの役目だと思ってね」

「だからって、別に性癖まで把握しなくても。役に立たないでしょうに……」

役に立つとしても言いたくないが。

「ん?意外と役に立つかもしれないよ?例えば、君が脚を追う行動パターンを解析する事によって脚を好むストーカーなどの犯罪を未然に防ぐ事ができるかもしれない」

「俺、完全に犯罪者扱いですね!」

そこまで酷くない………と思う。

ーーーーーーーーーーーーー

「さて、お昼も一段落した所で」

「あ、はい。やりますか」

別にココへは遊びに来ているだけではない。
昼を食べ終えれば、余った時間で
雑務をこなしている。

そもそも俺がここへ来る様になったキッカケはこれなのだ。

偶然生徒会室に忘れ物をした俺は、昼休みを利用して取りに来た所、会長が1人で雑務をしているのを目撃したのだ。その時彼女は、イタズラが見つかった子供の様な顔をしながら
『だって、皆の負担を少しでも減らすのが全生徒の長であるボクの仕事でもあるからね。それに、こんな事を他の人に知られたくないしね。恥ずかしいから。』と言ったのをおぼえている。通りで仕事が少ないと思った。
そしてその後、俺は彼女を手伝う事にした。知ってしまったからには、1人でやらせるなんて出来ない。

……お?今の俺イケメンだったな。
俺が女なら確実に抱かれてたね。嘘だけど。

「…………」

「…………」

この時間帯は基本無言になる。
別に話しかけても問題はないのだが、自動的にお互い黙りになる。
本当に日本人よね俺たち。

だが、今日の俺は、何か違った。
ふと思った疑問をぶつける。

「会長って、昼を過ごす相手が俺でいいんですか?」

「………ん?」

突然の問いに、少し驚いている様だ。まぁ当然か。いつもなら昼が終わるギリギリまで喋らないからな。

でも。

「何を言ってるんだい、君は?」

でも、会長はちゃんと答えてくれた。

「ボクは君とここでお昼を食べられて、一緒に雑務をして、お喋りをして、とても楽しいよ?」

ニコッと。
そんな言葉と共に、そんな笑顔を向けられたら、誰だってドキリとする訳で。

思わず赤くなった顔を会長から背ける。
何でこんな事平然と言ってのけるかな……。

就寝。

見てるよ支援

「ん?どうかしたんだい?」

本人は無自覚な様だ。
こちらの顔を覗き込んで来る。
近いです。

「い、いや何でもありませんっ」

「しかし顔が赤い様だが……
まさか、熱があるのか?」

そう言って、俺のデコに会長のデコを引っ付けようとする。
一度はされてみたい行為なのだが
これは童貞の俺には刺激が強すぎた。

「ん?何故顔を背ける?熱が測れないじゃないか」

「これはマズイですって!!」

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