オーキド「ここに3本の矢があるじゃろう?」 (112)

グリーン「なんだよ爺さん、何が言いたいんだ?」

レッド「……」

オーキド「1本ではこうじゃ。簡単に折れてしまう」ペキッ

オーキド「2本ではこうじゃ。それでも折れてしまう」グッ ペキッ

オーキド「そして3本だと……」

オーキド「こうじゃあああああああああ!!」バキバキベキッ!!

グリーン「!!」

レッド「!!!」

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オーキド「グリーン!!レッド!!今更どうしてポケモンなんぞに頼ろうか!!」

オーキド「磨き上げるは己の肉体!!最後に立っているのはトレーナー本人!!」

オーキド「さぁ戦うのじゃ!その身一つでポケモンリーグを制覇してくるのじゃ!!」

レッド「はい!!オーキド先生!!」グッ

オーキド「よう言ったレッド!!それでこそ我が門下生!!行け!未来のチャンピオン達よ!!」

グリーン「えー……」


ポケットモンスター!略してポケモン!
人と共に生き、人と共に戦う勇敢で誇り高き生物!!

これは、そのポケモンたちに我が身一つで挑まんとする少年達の物語であるッ!!

※ポケモンが好きな人は読まない方がいいです

レッド「例え日の中水の中草の中、森の中ッ!!」

グリーン「土の中雲の中あの子のスカートの中……」

レッド「ギャーッス!!どうしたグリーン。乗り気ではないな」

グリーン「当たり前だろ……こっちはポケモントレーナーやって図鑑完成させるって聞かされてたんだから」

レッド「ん?戦いながらでも図鑑は記せるではないか」

グリーン「いや、根本的におかしいって」

レッド「確かに、お前はオーキド拳法を学んでいる訳ではない。しかし、その血は確実に受け継がれている」

レッド「しばらくは俺がお手本を見せよう。順を追ってお前にも基礎から技から全て教えていこう」

グリーン「何で俺も戦う事前提なんだよ!お前一人でやってろよ!」

レッド「それではオーキド先生との約束が違うではないか」

グリーン「俺は約束してないからな!?半ば騙されてこうしてお前に連れられてるだけだからな!?」

レッド「さて、見えたぞ。トキワの森だ」

グリーン「随分早いね!?」

レッド「トキワジムが閉まっていたのだ。飛ばすほかあるまい」

グリーン「そういう事じゃなくて……ああもう会話かみ合わねぇなぁ」

―トキワの森―

グリーン「トレーナーと目があったらポケモン勝負……ってのはよく聞くけど」

レッド「我々はポケモンを使ってはいけないとのお達しを受けている。ま、俺には関係ない事だが」

レッド「さて、少し肩慣らしをしていこう」

グリーン「そこらのトレーナーにちょっかい出すとかやめろよー。あっちだってポケモンで勝負するって思って声かけるんだから」

レッド「大丈夫だ、そこまで理不尽な事はしない」

グリーン「いや、リーグ制覇するうえで人と戦わなくちゃいけないんだけどな……ん?」



ピカチュウ「ピッカァ」テクテク

グリーン「あ、可愛い。確かピカチュウだったっけな」

レッド「うむ、先生の地下闘技場で見た事があるな」

グリーン「地下闘技場!?」

レッド「そこで日夜ポケモンと門下生たちとの死闘が繰り広げられている」

グリーン「なんだよ……俺全然知らないぞそんなの」

レッド「機密だからな。ポケモンクラブとかいう愛護団体がうるさくてな……さて」

グリーン「えっと……それじゃあまさか……」



レッド「ピカチュウ!君に決めたッ!!」ダッ

ピカチュウ「ピカッ!?」

グリーン「逃げてえええええええええええ!!」

――――――
―――



―ニビシティ―

レッド「ニビについたぞ」

グリーン「ゴメンね……ゴメンね……」ポタポタ

レッド「死にはしないだろう…………運が良ければ」

レッド「落ち込んでもいられんぞ。お前はまだ戦う術さえ知らない」

レッド「どのみち、今のままでポケモンに襲われれば抵抗することも出来んのだ」

レッド「戦わなければ生き残れない、これが弱肉強食の世界だ。学べ」

グリーン「世界って理不尽だ……」

レッド「さて……」スゥ

レッド「頼もう!!」バンッ!!

タケシ「何だ!」

レッド「俺はマサラタウンのレッド!お前にポケモンバトルを挑みに来た!」

タケシ「お、ジム戦挑戦者か。いいよ、すぐにでも準備出来る。キミの使用ポケモンのレベルを見せてくれるかな?それに合わせて俺も……」

レッド「必要ない」

タケシ「え?」

レッド「戦うのはポケモンではない!この俺だッ!!」

タケシ「な、なんだってーッ!!?」

グリーン(普通こうなるよな……)

レッド「お前の持つ最強のポケモンを出せ。イワークなんていう見かけ倒しを出そうものならこの拳で砕ききるッ!」

タケシ(こ、こいつッ!イワークの攻撃種族値を把握しているのか……並のトレーナーじゃない!)ゴクリッ

グリーン「何で緊迫してるのさ」

タケシ「分かった。アンタを満足させられるかどうかは分からんが、俺も最強のポケモンで挑ませてもらおう」

レッド「ああ、来い!ジムリーダーよ!!」

グリーン「あーあー了承しちゃったよこの戦い」

タケシ「行けッ!レジロック!!」

レジロック「グオオオオオオオ」

グリーン「ちょっと待てよ!?しょっぱなのジムから種族値の暴力だよ!?」

レッド「案ずるな。過去に一度だけ先生が戦いを見せてくれたことがある」

レッド「確かに奴は堅い……だが!この俺の拳の前にはあぁぁ……」

レッド「無力ッ!!」バッ

タケシ「レジロック!!受け止めろ!!」

レジロック「グオオオオオ!!」ガッ

グリーン「凄い!止めた!」

レッド「チィッ!!」

タケシ「続けてストーンエッジ!!」

レジロック「ウガアアアア!!」ジャキン

レッド「なんの!!」

グリーン「両手で受け止めた!?」

タケシ「白羽取りか……やるな!」

グリーン「何で白熱してるの!?人間だよ相手!?」

レッド「驚くのはまだ早い!!」バッ

レジロック「グオ!?」

タケシ「しまった足払いか!?立て直せレジロック!」

レッド「その体重では素早くそれを行うことも出来んだろう!」

レッド「コオオオオオオオオ……」

タケシ「こ、これは……不味い!ばかぢからで反撃だ!」

レッド「遅い!!」



                          き あ い パ ン チ

――――――
―――


タケシ「参った……降参だ」

レッド「いやしかし、見事であった。お前のレジロック」

グリーン「種族値とか関係なかった」

タケシ「……行くのか、リーグへ」

レッド「ああ、それが俺に課せられた使命だからな」

グリーン「なんでそこまで話が重くなってるんだよ」

タケシ「まだ集めなければならないバッジは7つ。この先、そのままの戦い方では……死ぬぞ」

レッド「大丈夫だ。旅の中で強くなっていくんだ……俺も、コイツも」

グリーン「えっ」

タケシ「ともかく、これがグレーバッジだ。それと、友情の証として『がまん』の技マシンを持って行ってくれ」

グリーン「あ、はい」

レッド「タケシ……お前もまた、好敵手(とも)だった」

――――――
―――


―フレンドリィショップ―

レッド「あ、この技マシン売りたいんですけど。はい、はい、じゃあこれで」チャリン


ウィーン


レッド「グリーン、しばらくの食事代、なんとかなりそうだ」

グリーン「好敵手とは何だったのか」

――――――
―――




―お月見山―

レッド「ここにはピッピというとても珍しいポケモンがいるそうだな」

グリーン「月のポケモンなんて言われてるね。某有名な漫画の汚いイメージが先行しているけど」

ガサガサ

グリーン「ん?」


ピッピ「ピィッピ!」ヒョコ


レッド「……」

グリーン「……わーかわいーなー」

レッド「……」ニィッ

グリーン「逃げてええええええええええええええ!!」

――――――
―――



―ハナダシティ―

レッド「逃がしてしまったではないか」

グリーン「これでよかったんだ……これで……」

レッド「この町のジムリーダーはカスミという少女らしいな」

グリーン「女の子かぁ。まさか女の子の使うポケモンに乱暴とかはしないよな?」

レッド「俺もそれは避けたいが……では」スゥ

レッド「頼もう!!」バンッ!!

カスミ「だ、誰!?」

レッド「マサラタウンのレッドと言うものだ。バッジをかけてポケモンバトルを申し込みたい」

カスミ「あ、ああトレーナーね……」

カスミ(何コイツ、滅茶苦茶筋肉モリモリなんだけど……そして上半身裸だし)

グリーン「すみませんすみません」ペコペコ

カスミ「と、とりあえずついてきて。リングはこっちよ」

グリーン「はい」

レッド「うむ」

カスミ「……」テクテク

グリーン「……」テトテト

レッド「……」ドスドス

カスミ「……つかぬ事聞くけど……貴方、歳はいくつ?」

レッド「今年で10になったばかりだ」

カスミ「!?」

レッド「ああ、よく驚かれるよ。身長は既に195センチはある」

グリーン(正直並んで歩きたくないんだよなぁ)

カスミ「え、えっと。とりあえず、フィールドはここよ」

レッド「プール……水の上か」

グリーン「カスミは確か水タイプのポケモンを使うらしい。いくらなんでも水中じゃあレッドも……」

レッド「構わん、このまま行く」

カスミ「え?」

レッド「対戦相手はこの俺自身だ。さぁ、お前の最強のポケモンを出すがいい」

カスミ「ちょっとゴメン、何冗談を……」

レッド「俺は本気だッ!!」

カスミ「ひっ!?」ビクッ

グリーン「レッド!!相手は女の子だぞ!」

レッド「む、すまない……どうも熱くなりやすくてな……」

レッド「では改めて。なに、人間がポケモンに挑む、ただそれだけのことだ。さっさと始めよう」スッ

カスミ「ああもうわけわかんない!!どうなっても知らないからね!行きなさいスターミー!!」

スターミー「フゥッ!!」

グリーン「良かった、普通のポケモンだ」

レッド「明らかに序盤の敵ではないがな」

カスミ「スターミー!ハイドロポンプ!!」

スターミー「フフゥッ!!」ボジューンッ!!

レッド「グゥ!?」

グリーン「ぷ、プールの中に落とされた!?」

カスミ「アンタが例え腕に自信があろうとポケモンにかなう訳がないんだから!そのまま追撃して少し痛い目を合わせなさい!」

スターミー「フゥ!!」

レッド「むんっ!!」ガシッ

スターミー「フッ!?」

カスミ「なッ!」

グリーン「ああっ!スターミーの独壇場かと思われたがレッドが捕えた!!」

レッド(ふふふ……確かに、中々のパワーとスピードだ)

レッド(このレッドが拳法を始めたころには、まだそのような動きは出来なかった)

レッド(しかしッ!!)カッ!!


ザッパァッ!!


グリーン「上がった!!」

カスミ「水中からあの跳躍!?」

レッド「今の俺には何の問題もなああああああああああい!!」グッ


グリーン「こ、拳に力を!!」

カスミ「や、やめてええええええええええええええ!!」


スターミー「フ!?フ!?フゥウウウウウウウ!?」

レッド「他愛なし!!」



                          か み な り パ ン チ

――――――
―――


カスミ「う……ぐすっ……」ポロポロ

スターミー「フゥ……フゥ……」

グリーン「ああ、中央の水晶がバラバラに……」

レッド「このジムバッジは貰っていくぞ」

カスミ「もう……勝手にしなさいよ……ぐすっ」

グリーン「ああもう、だから言っただろ!女の子のポケモンにこんなひどい事を……」

レッド「う、うむ……女、お前のポケモン、中々に手強かった。しかし、そいつが弱かったのではない、俺が強かっただけで……」

カスミ「出てってよ!!もう二度と来ないで!!」

――――――
―――


レッド「慰めたつもりであったが、女とは解せんな」

グリーン「解せんのはお前の存在だよ」


―クチバシティ―


グリーン「パンフレットによると大きい港町だってさ。今、サントアンヌ号っていう船があるんだって」

レッド「関係ないな。早くジムへ向かおう」

グリーン「色々過程素っ飛ばしてるなぁ……」

レッド「む!」

グリーン「あー、なんか木が生えてて邪魔だね」

レッド「それこそ関係のない話だッ!!」スパンッ

グリーン「……」

レッド「ゆくぞ」

グリーン「……結構な太さの木だったんだけどなぁ……手刀かぁ……」

レッド「では……」スゥ

レッド「頼もう!!」バンッ!!

グリーン「あれ?誰もいない……」

レッド「ッ!!下がれグリーン!!既に戦いは始まっている!!」ザクッ

レッド「ウッ!!」

グリーン「れ、レッド!!」

「オオーっと!思わぬ収穫ネ!」

レッド「ぬ!お前は!!」

マチス「ワタシ、クチバのジムリーダーマチス!お前の噂は聞いてマースレッド!」

レッド「フ……そうして扉にトラップか。姑息な手を……」

マチス「ソーリー。こちらも自分のポケモンは守りたくてネ」

マチス「このくらいならば避けられると思いいくつか他に用意してたのデスが……そこのボウヤを庇ってくれたおかげで楽出来そうデース」

グリーン「そ、そんな……」

レッド「案ずるな。俺は負けない、負ける訳にはいかないんだ!!」

グリーン「いや、そっちじゃなくて。もしレッドが割り込まなかったらその短剣が俺の頭に突き刺さってたなーって」

マチス「あっ!」

グリーン「……」

マチス「……」

マチス「ゴーファイ!!」ダッ

レッド「望むところ!!」バッ

グリーン「おーい……」


マチス「HAHAHA!レッドとやら!ワタシ、軍人ね!それも現役の!」

マチス「アマチュアの貴方が勝てる相手じゃない、とっととウチへ帰りなサーイ!」

レッド「お前も自らの肉体で戦うか……ッ!面白い!」

マチス「ハッ!手負いのままで何が出来ますか!」ジャキン!!

レッド「銃か!?クソッ!!」バッ

グリーン「あの……ポケモンバトル……」



マチス「ゲームオーバーネ!!」

レッド「それはこっちのセリフだあああああ!!」スパンッ!!

マチス「オウ!?」

レッド「お前がワザワザ俺にくれたこのナイフ……有効利用させてもらったよ」

マチス「そんな!引き抜いて使ったというのか!!」

レッド「その手じゃあもう銃は使えないなぁ!!ええ!!」

レッド「拳法を極めんとする俺に得物なんぞ使わせやがって……」

レッド「これでゲームオーバーだ ド外道ーーーッ!!! 」



                             ば く れ つ パ ン チ

――――――
―――



レッド「ふんっ!アマでも年季が違うんだよ、お前とはな」

グリーン「お前、10歳だよな……」

レッド「さ、オレンジバッジも手に入ったことだ。先を急ぐぞ」ドスドス

グリーン「……」

マチス「オウ……ノゥ……」ドサッ

グリーン「お、お大事にッ!!」ピュー!!

――――――
―――



―イワヤマトンネル前―

グリーン「ちょっとレッド!足早すぎだって!もう少しゆっくりでも……」

レッド「クチバにはポケモンクラブ本社がある。あまり居座りたくはない」

グリーン「そんな指名手配されてたりする訳じゃないんだからさ」

レッド「…………ああ」

グリーン「なにその間は!?冗談だよね!?」

レッド「過去に……ちょっとな」

グリーン「嘘だと言ってよレッド」

レッド「このトンネルを抜けて次の目的地へ行くワケだが」

グリーン「んー……真っ暗で何も見えないな。気合いで押しとおる!とか言わないよね?」

レッド「流石にそれは危ない。まだ体の出来ていないお前が暗闇の中四方から襲い掛かられては対処も出来んだろう」

グリーン「だからどうしてそう殺気立つのさ」

レッド「ともかくまだお前には早い。登るぞ」

グリーン「へ?」

レッド「このトンネルを登ると言っているのだ。さあ行くぞ」グイッ

グリーン「ちょ!?ふざけんなよおまッ!?あー……」

――――――
―――


2日後

―シオンタウン―


レッド「いかん、時間をかけすぎたな」

グリーン「」ゼーハーゼーハー

レッド「もっと俺のように体を鍛えろ。この程度でへばっていてはこの先持たんぞ」

グリーン「人間やめてるお前を基準にするな……」ゼーハーゼーハー

グリーン「まぁともかく……ここシオンタウンはジムは無いけど、ポケモンタワーっていうポケモンの墓の……」

レッド「行くぞ」

グリーン「行くって……え?もう次へ行くのか?1日くらいこの町で休んでいったっていいだろう?」

レッド「知らん、ジムが無いのなら興味は無い。早くしろ!!」

グリーン「……あー、まさか」

レッド「な、何だ」

グリーン「レッドってひょっとして、お化けとか怖い……」

レッド「言うな!!それ以上言えばこの丸太のような太い足でお前の股間を蹴り上げるぞ!!」

グリーン「OKストップだ、俺が悪かった」

レッド「ふん、そんな非科学的なもの、怖がるわけがないだろう!!」

グリーン「うん、お前自体が常軌を逸しているからね。それはそれ、これはこれ」

グリーン「せっかく来たんだし、登っていこうよ。解放されてるんだからさ」

レッド「だがここにはジムは無い!!」

グリーン「強敵がいるかもしれない場所をみすみす見逃すのか?レッドともあろうものが?」

レッド「ぬぅ!!」

グリーン(普段から理不尽に付き合わされてる仕返しだーっての)

――――――
―――


―ポケモンタワー―


グリーン「何だ、入ってみればただの合同墓地じゃん」

レッド「墓が一つ……墓が二つ……」

グリーン「レッド……ぴったり俺の背中にくっ付いて歩かないでくれるか?」

グリーン「おっと、ここが最上部かな……?いや、向こうに階段があるな」

レッド「もういい!!もうたくさんだ!!」

グリーン「レッドまって!あそこに何かいる!!」

レッド「!!?」

幽霊「タチサレ……タチサレ……」

グリーン「ゴース……?いや違う。図鑑も反応しない……アレはなんだ?」

レッド「ぐぅ……ッ!!」

グリーン「どうした!!いつもみたいに立ち向かっていけよ!!」

レッド「む、無理なのだ……!!」

グリーン「どうして!!」

レッド「敵の正体が……分からないッ!!」

グリーン「え、そこ?」

レッド「引くぞグリーン!」ガッ

グリーン「あ、ちょっと!そんな小脇に抱えて……あー……」

レッド「まったく不可解だ!!非科学的だ!!俺は何も知らない!何も見ていない!!」ダダダッ

グリーン「ここまで怯えるなんて、お前ちょっと怖がりすぎじゃ……あ!!危ない!!」

ゴース(`・ω・´)「ごー!」

レッド「どけぃッ!!」ザシュッ!!

ゴース(;ω;`)「ゴー……」ドサッ

レッド「お前のようなポケモンに構っている暇などない!!」ダダダッ

グリーン「……さっきのと何が違うんだろう……」

――――――
―――


―タマムシシティ―


レッド「ふむ、ここまで走り切ってしまったな」

グリーン「アンタ凄いよ……」

レッド「して、グリーン。ここのジムは……」

グリーン「あの端っこにあるやつだな。草タイプを使うエリカって女の人」

レッド「聞いたことがある。和を重んじるとても強かな女性と名高い」

グリーン「女の人だから前みたいには……」

レッド「ん、気を付けよう」

レッド「ふぅ……」スッ

レッド「頼もう!!」バンッ!!

エリカ「フフ、いらっしゃい。待っていましたわ」ニコッ

グリーン「わあ、すっごい綺麗な人」

レッド「お前がエリカ嬢か」

エリカ「ええ、レッド様。話は聞いておりますわ」

レッド「では早速……」

エリカ「ですが」

レッド「?」

エリカ「私もマチスさんと同様にあなたのような規格外の方にポケモンを戦わせたくはありません」

レッド「……自分のポケモンに自信がないと?」

エリカ「いいえ、とても信頼しているからこそ、です」

エリカ「ポケモンバトルはあくまでルールに則ったもの。残虐ファイトを繰り広げるあなたとは私は戦えません」

エリカ「タケシさんのようにそれを許容する方もいるでしょうが、私はそうは行きません」

レッド「そ、それではバッジは!臆したかエリカ嬢!!」

エリカ「恥を知りなさい!私と戦いたいのなら信頼するポケモンを連れてきなさい!」

レッド「ッ!!」

エリカ「戦う事ばかりが強さではないのですよ、レッド様」

レッド「……分かっている、そんなこと!だが、それでは」

エリカ「しかし、ポケモンリーグに挑むトレーナーの熱い思いを無下には出来ません」

レッド「……」

エリカ「バッジはこのまま差し上げましょう、ですが条件があります」

レッド「……飲もう」

エリカ「フフ、良い返事ですね」

グリーン「れ、レッド。条件の内容も聞かずにそんな返事をしちゃっていいのか?」

レッド「彼女の信念を曲げる事は俺には出来そうにない……どんな無理難題を投げかけられても首を縦に振り膝をついてやり過ごすしかないだろう」

グリーン「膝つく意味まったく無いよな?」

エリカ「レッド様、あなたにはこの町に巣食う悪魔を排除していただきたいのです」

レッド「悪魔……?」

エリカ「その名はロケット団。ポケモンを悪事に使い私腹を肥やす者達」

エリカ「カジノに拠点を置く大組織……残念ながら、私一人の力ではどうすることも出来ません。ですから……」

レッド「俺が直接乗り込んで、人間たちだけでも蹴散らしてこいと?」

エリカ「……危険ですが、それくらいしか」

レッド「……エリカ嬢、優しい人だ。一喝した俺に対してもそのような目を向けるのだな」

エリカ「……自分から持ち掛けておいてこういうのも変ですが……断ってもいいのですよ」

エリカ「あなたがポケモンさえ用意してくるのなら、ちゃんとした形でバッジをお渡しすることも出来るのですから」

レッド「それは無理な相談だ。俺はオーキド先生との約束と、俺自身の信念があるからな……任せろ」

エリカ「……はい!お願いします!」パアァ



グリーン「なんだこの茶番」

レッド「グリーン、相手は人間だ。お前が付き合う必要は無い。ここに残っていろ」

グリーン「うん、出来ればウチに帰りたいけどね」

エリカ「レッド様、グリーン様は私の方で預からせていただきます。ご安心を」

レッド「ああ、それでは……行ってくる」

グリーン「あの……ッ!気を付けて……な。これでも親友なんだから、お前が死んだりしたら……」

レッド「……お前の口からその言葉が聞けて嬉しいよ……では!」バッ


グリーン「……行っちゃった」

エリカ「フフ、とても強い方なのですね。あの方は」

グリーン「あ、それじゃあ俺はポケモンセンターで待機してますよ。何だかんだ言って邪魔になりそうですし」

ガチャッ

グリーン「アレ?」

エリカ「フフフ……グリーン様、やっと二人っきりになれましたね」

グリーン「え、ちょ、えー……」

エリカ「私、あなたみたいな小さい子、大好きなんですよ」ジリジリ

グリーン「うん、自覚はしてるよ?同年代と比べてちっちゃいよ俺、でもさ、それはちょーっと違うと思うんだけどさ?」

エリカ「フフフ、さぁお姉さんと楽しみましょう!ウバッシャアアアアアアアアアアア!!」

グリーン「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

――――――
―――


レッド「帰ったぞグリーン。案外楽なものだったな」

エリカ「フフ、お帰りなさいレッド様」ツヤツヤ

グリーン「」

レッド「ん?どうしたグリーン、体中ムチで叩かれたような痕があるぞ?」

エリカ「私のモジャンボにいたく気に入られてしまったようで」

レッド「そうか、相手の攻撃を受けることもまた修行の一環だ。いい経験が出来たな」

グリーン「お姉さん怖い……怖い……」

――――――
―――


―サイクリングロード―


レッド「うおおおおおおおおおおおおおお!!」ドドドドド

グリーン「」



                           こ う そ く い ど う

――――――
―――


―セキチクシティ―

レッド「着いたぞ!!」

グリーン「帰りたい……もう帰りたい……」

レッド「ホームシックになるのは早いぞようやく折り返し地点だというのに」

グリーン「もういい加減にしてくれよッ!!」

レッド「ぬ!?」

グリーン「爺さんとお前の変な無茶に付き合わされて!俺は普通にポケモントレーナーしたかっただけなのに!!」

グリーン「もうワケわかんないよ……」

レッド「そんな迷い!オーキド拳法を学べば全て解決する!さぁお前もこれから……」

グリーン「ほっといてくれよ!」ダッ

レッド「まてグリーン!!……行ってしまった……仕方がない」

――――――
―――


ザザーン


グリーン「ぐすっ……あんまりだよ」

グリーン「まだ10歳だよ俺……」

グリーン「この歳で描写省いてるけど毎日滅茶苦茶な筋トレさせられたり野生のポケモンの残酷な〆方を目の前で直視させられたり」

グリーン「年上のお姉さんにトラウマを植え付けられたり……何だろう、俺の人生って」


「そこの少年!何を落ち込んでいる!」


グリーン「!?」

オーキド仮面「そんな顔をしていては、幸せの神様は逃げてしまうぞ?」

グリーン「……」

オーキド仮面「少年よ、立ち上がるんだ」

グリーン「爺さん……なにしてんだ?」

オーキド仮面「私は爺さんではない!!ユキナリという名前があるんだ!!」

グリーン「ウチのジジイじゃねーか!?いい年こいてそんな変な被りもん被ってんじゃねーよ恥ずかしい!!」

オーキド仮面「う、うるさい!!お前には関係ないじゃろう!!」

グリーン「で、なんだよ一体」

オーキド「ふむ、レッドから連絡が入ってな。元気づけてやってほしいと。まったく友達思いの奴よのう」

グリーン「本当に友達思いなら俺をこんな旅の道連れにしない」

オーキド「グリーン、我が孫よ」スッ

グリーン「これは……」

オーキド「ここに、矢があるじゃろう?」

グリーン「うん、冒頭で見た」

オーキド「折ってみぃ」

グリーン「ん?うん……」ペキッ

オーキド「2本ではどうじゃ?」

グリーン「ン……しょ!」ベキッ

オーキド「そして3本では……」

グリーン「こうだあああああああああああああああ!!!」メリメリッバキッ!!

グリーン「す、凄い!俺にいつの間にこんな力が……ッ!!」

オーキド「それがこの旅の成果じゃ!」

グリーン「爺さん、俺……ッ!!」

オーキド「行け、レッドがジム戦で苦戦しておる」

グリーン「何ッ!?そいつは放ってはおけない!!悪いな爺さん!」ダッ


オーキド「……強くなるのじゃぞ!」

――――――
―――


キョウ「ふぁっふぁっふぁ」シャキンシャキン

マタドガス「ドギャース」ブワァ

レッド「グッ……二人で攻めるとは卑怯な!!」

キョウ「ふぁっふぁっふぁ。常に1対1で考えているお主が甘いのだ!」

キョウ「マタドガスの毒と私の忍術……この二つの対策もしないで何がジム戦よ!何がポケモンバトルよ!!」

レッド「ここまでか……!!」



グリーン「まだ俺がいるぞ!!」バンッ!!


キョウ「何奴!?」

レッド「グリーンお前……」

グリーン「聞いてくれ!俺にも出来たんだ……3本の矢が折れたんだ!!」

レッド「やったのか……ついに!!」

グリーン「レッド、目が覚めたよ……俺も戦う!お前と戦う!!」

レッド「そうだ……それでこそ、あの人の孫ッ!!」

グリーン「そっちが二人係なんだ!こっちが二人でも文句は無いだろう!」

キョウ「ハッ!ヒヨッコめ!来るなら来い!ヘドロばくだんの猛攻を恐れぬのなら!!」

マタドガス「マタドギャース!」

グリーン「コイツをくらえ!!」バッ!

キョウ「何ッ!?」




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                              ´
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                           だ   い   ば   く   は   つ


レッド「」

キョウ「」


グリーン「マタドガスのガスに引火させた……少しは頭を使え、レッド」

レッド「……見事だ」

グリーン「お前が頭を使わん分、俺が何とかしよう……改めて」ガシッ

レッド「おかえり、友よ」ガシッ

キョウ「……バッジやるから帰ってくれ」

――――――
―――


―ヤマブキシティ―

レッド「着いたな」

グリーン「ああ、以前は封鎖されて通れなかったからな」

レッド「……」

グリーン「どうしたレッド」

レッド「喋り方が変わったな。それに身体つきも」

グリーン「貴様と同門なのだ、こうなって当然だろう」

レッド「そうか、では行くぞ」

ロケット団1「おっと待ちな!!」

ロケット団2「この町は今俺たちが占拠グヘァ!?」

ロケット団3「!?」

レッド「邪魔だ」

グリーン「シルフカンパニーと言ったか。あのビルは……」

レッド「関係ない」

グリーン「そうだな」

レッド「だが」


レッド・グリーン「「目障りだ」」

――――――
―――


ロケット団4「ぼ、ボス!!大変です!!」

サカキ「何だこんな忙しい時に!騒がしいぞ!」

ロケット団4「奴です!!レッドと……そしてその仲間の……うぐっ……ぐえっ!」

サカキ「ど、どうした!おい!」

ロケット団4「うわらば!!」ブシャーッ!!

サカキ「ぬぅ!?血を吹きだした!?し、死んではいないが、これは……ッ!!」


レッド「ほぅ、サカキか。カジノで会ったきりだな」

グリーン「コイツがロケット団のボス……そしてトキワジムのリーダーか……」

サカキ「ば、バカデカイガキが増えやがった!!」

レッド「ポケモンを使って悪事を働くなぞ笑止千万ッ!!」

グリーン「そして人様に迷惑をかけようなどとは……恥を知れい!!」ザッ

サカキ「ぐっ!お、お前のとこのオーキドだってポケモン虐待でポケモンクラブから訴えられているではないか!!」

レッド「それはそれ!!」

グリーン「これはこれ!!」

サカキ「ふざけてんのか!?」

レッド「覚悟ッ!」

サカキ「フン!だがこれならどうかな?」ピッ ウィーン

グリーン「何だ?」


ナツメ「フフフ……」


レッド「アレは確か……」

グリーン「俺たちが向かうはずだったヤマブキジムのリーダーのナツメ……だったな」

サカキ「コイツは今深い催眠状態に入っている、言わば俺の操り人形だ」

レッド「それで?」

サカキ「コイツをお前たちと戦わせる!!」

グリーン「女を盾にするか……外道め」

サカキ「お前らにだけは言われたくないからな!?」


ナツメ「さぁいらっしゃいボウヤ達……私が相手になるわ」


レッド「さて、どうする」

グリーン「安心しろ、手加減はしてやる」


サカキ「その余裕!いつまで続くかな!!」

サカキ「行け!!ナツメ!!サイコキネシス!!」


ナツメ「フンッ!!」バッ

グリーン「ヌゥッ!!?」ズガンッ


レッド「ぐ、グリーン!!」

グリーン「カハッ……何という威力……ッ!!」


サカキ「ナツメは生粋のサイキッカーだ。そして今俺の洗脳下にある中で最大限にその力が生かせるように強化ほ施したのだ!!」

レッド「人間にまでそのような非道を働くとは……ッ!!」

グリーン「どこまでも堕ちるつもりかッ!!」

サカキ(何だろう、凄い腹立つ)

ナツメ「お次はどう!?」

サカキ「じんつうりき!!」


レッド「ぐううう!!」ビリッ!!

グリーン「レッド!!」

ナツメ「フフ、抗えないでしょうね。貴方たちでは」

グリーン「何故こうも我々に対して強い……俺はともかくレッドは長年修練を積んできた肉体であるにも関わらず……ハッ!!」

レッド「何か分かったのか!」

グリーン「そんな……まさか……」

グリーン「 タ イ プ 相 性 だ 」

レッド「なん……だと……?」

サカキ「ふふふ、その通りだ。ご明察だ、グリーン君」

レッド「おかしい!俺たちはポケモンではない!ポケモンのタイプに当てめるのなら確かに格闘タイプだ!だがこれはあくまでポケモンたちの理にすぎん!!」

グリーン「だからこそ……だ、レッド」

レッド「なに?」

グリーン「ポケモンの理に当てはまらないのであれば……人間の理に当てはめればいいのだ……ッ!!」

レッド「ハッ!!」

サカキ「あーっはっはっは!!そう!!相手が同じ人間ならばそのタイプ相性も合致したも同然!!」

サカキ「その為にワザワザ彼女を連れてきたのだよ」

ナツメ「フフ、楽しいわ!本当に楽しい!!」

レッド「何ということだ……ッ!!」

グリーン「諦めるのはまだ早いぞ!」

レッド「見出したのか……この状況を打破する方法を!!」

グリーン「ああ、レッド。耳を貸せ」

レッド「……!!お前!!」

グリーン「勝負は一瞬だ!!」

レッド「フン、狡賢く生きなければならんとは……」

グリーン「後でふしぎなあめを奢ってやる、それで我慢しろ」


サカキ「さぁて、地獄へ旅立つ準備は出来たかね?」


レッド「3……」

グリーン「2……」

サカキ「ん?」

レッド「1!!」ダッ!!

サカキ「何ッ!?こっちへまっすぐ向かってくるだと!?ええい直接俺を狙いに来たか!!」

こいつらそのうち波紋使いそうだな

レッド「捕まえた!!」

サカキ「クソッ!!話せ!!」

レッド「ああ、話してやろう!!」パッ

サカキ「な、なんだ!?」


ナツメ「キャアッ!!」

グリーン「変なところを触るが、許せよ女」ガシッ


サカキ「一体何を!?」


レッド「さらばだサカキ。最強の好敵手よ」

グリーン「生きていたらまた会おう」


レッド「飛び降りるぞ!!」




        \  さいごのガラスをぶち破れ~   /

          \ 乱れた景色を蹴散らして~  /
     ( \/ /_∧   <./|   /|       /\___
     ヽ/ /Д`/⌒ヽ  / .| / /     /    //
      / /\/ ,ヘ  i   ̄ > \_/   /____//
      し' \_/    i  />      ̄ ̄ ̄ ̄
         i⌒ヽ  ./   ̄>__         .|| |::
     /⌒ヽ i  i  \(    .|/  / /\    .|| |::
     i    | /ヽ   ヽ  ∠__/   ̄       .|| |::
     ヽ ヽ| |、 \_ノ  >   <>       || |::
       \|  )  ̄  ./V       ___    ..|| |::
____  .ノ ./⌒)∧ /  ...____[__||__]___||___
     / し'.ヽ ( .∨    /\________|__|

    //    し'  / /\   ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



グリーン「ぽちっとな」










                               ヽ`
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                        シ ル フ 本 社 だ い ば く は つ

――――――
―――


グリーン「さて、皆無事だな」

ナツメ「」グッタリ

レッド「気絶したか、無理もない。まだ年端もいかぬ少女、この体験はとてもショックなものだったろう」

グリーン「常に最悪のケースは考えておくべきだ。キョウからドガースをくすねておかなければどうなっていたことか」

レッド「各所に設置していたのか、抜け目のない奴」

グリーン「首尾は?」

レッド「上場だ」キランッ

グリーン「グリーンバッジ……俺の手で取るべきだったかな。失礼」ゴソゴソ

グリーン「そしてこのゴールドバッジ」

レッド「残るバッジは後一つだな」

グリーン「ああ、行くぞ。グレン島へッ!!」

――――――
―――


―グレン島―


[今期のポケモンリーグが終了するまで休業します。バッジはご自由にお取りください]

レッド「張り合いのない……」

グリーン「逃げたか。休業の後ろに薄ら避難と書かれた跡がある」

レッド「まぁいい、これで」

レッド・グリーン「「高みへ行ける」」

―――――
―――



―チャンピオンロード―

レッド「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」ドドドドドドドドドド

グリーン「シルバースプレーを忘れるなレッド!!戦闘は避けて体力を温存しろ!!」ドドドドドドドドドド

レッド「それではダメだッ!!生きるとは常に修練!!妥協など一切許されない!!」

グリーン「ふっ……そうだったな。前方ににらみつけているポケモン!!気を付けろ!!」

レッド「どけい!!邪魔だ!!」ザシュッ!!


ファイヤー「」

――――――
―――



―ポケモンリーグ―

レッド「ついに……」

グリーン「カントーにおける最高峰……」

レッド「トレーナーが一度は夢見る最大の舞台」

レッド・グリーン「「ポケモンリーグッ!!」」

グリーン「ここまで俺たちは二人で進んできた」

レッド「だが、チャンピオンの座はただ一つ」

グリーン「……」

レッド「ここで一旦お別れだ」

グリーン「ああ……」



            「「決勝で会おう」」

――――――
―――


数時間後


レッド「激しい死闘だった……」

レッド「女、老人は道をあけ、シバという男はそれはもう強かった……奴だけに数時間費やしてしまうほどに」

ワタル「待て待て待て!?降参だ!!っていうか何でキミたちはトレーナーを狙うんだ!!反則だぞ!!」

レッド「ポケモンがトレーナーを狙うのは規約違反だ」

レッド「しかし、トレーナーがトレーナーを狙ってはいけないなどという記述はどこにもないッ!!」ズガァン!!

ワタル「」

レッド「通してもらおう……"キミたち"という事は、すでにグリーンは来ているのだろう」

ワタル「もう好きにして……」

レッド(言われてみれば、最後に戦ったポケモンは……キョウのマタドガスしか記憶がないな)





ファイヤー「」

レッド(この時をどれだけ待ちわびた事か……)

レッド(グリーンは、始めは"ダサい"と言い、オーキド拳法を学ばなかった。あの方の孫であるにも関わらず)

レッド(羨ましかった。あの方の愛情を受けて育ったお前が)

レッド(それと同時に憎んだ!!才能も環境も恵まれているお前が!!そのオーキド拳法を学ばなかったからだ!!)

レッド(だが……お前は進んだ、俺と同じ道を)

レッド(あの方と同じ道をッ!!こんなにうれしい事は無い!!)

レッド「ああ、この扉の先にお前がいるのか……」

レッド「すぅ……ふぅ」スゥ

レッド「頼もう!!」バンッ!!



グリーン「ぐ……うう……!!」

エリカ「グリーン様!!グリーン様しっかり!!」

レッド「ぐ、グリーンッ!?エリカ嬢!!これは一体!?」

エリカ「グリーン様の応援にきたら、こんな変わり果てた姿に……ッ!!ああ元の可愛い姿に戻ってくださいまし!!」

レッド「そっちじゃない!!チィッ!!誰がこうもグリーンを痛めつけた!!」

「よう、遅かったじゃないか」


レッド「誰だ!!」


「俺だよ、覚えてないかい?」


レッド「姿を見せろ!!お前がやったのか!!」


「そうだよ……」



ピカチュウ「俺がやったんだよ」


レッド「!!?」

レッド「ピカ……チュウ?」

ピカチュウ「おやおや、天下のレッド様は俺の同種を何匹も倒しているから俺がどのピカチュウだか分からないかな?」

レッド「俺が……倒した個体は……一匹しかいない……」

ピカチュウ「そう、俺は……」

レッド「トキワの!!」

ピカチュウ「お前に無残にもズタズタにされたあのピカチュウだあああああああああ!!」

ピカチュウ「辛かったさ、怖かったさ。痛かったさ、苦しかったさ」

ピカチュウ「何も知らない俺を、ただ無力だった俺をお前は叩きのめした!!」

ピカチュウ「ただの腕慣らしの為だけに!!」

レッド「それが自然の摂理!それが生けるものの営み!!親友の手前、生かしてやっただけでもありがたいと思え、害獣め!!」

ピカチュウ「害獣ぅ?ふざけた事言ってんじゃあねぇ!!俺がどれだけ皆に愛されているのかわかってないのぁ?」

ピカチュウ「赤いほっぺ、黄色のシャツ、ギザギザ模様の僕のベストフレンドと言ったらこの俺のことよ!!」

ピカチュウ「世界一で2番目に有名なネズミの!!ゲーム界で有数のマスコットの俺を!!害獣だぁ!?」

レッド「生憎」

ピカチュウ「ああ?」

レッド「ネズミのキャラクターはソニックと某世界一有名アレしか知らないのでな」                        ハハッ

ピカチュウ「キッ……」

ピカチュウ「貴様あああああああああ!!」バッ!!

レッド「ウグッ!!」ガッ

ピカチュウ「つええだろ!?強くなったんだよ!!」

ピカチュウ「誰にも負けないように!!誰かを守れるように!!」

ピカチュウ「己のその愛くるしさを捨て!!ぷにっとしたあの身体を捨て!!」

ピカチュウ「毎日走り込みの日々だ!!筋トレは勿論食事にも気を使った!!」

ピカチュウ「三食はもっぱらドーピングアイテムよ!!タウリン1000mg配合のリポビタンだ!!」バキッ

レッド「う!!」

ピカチュウ「今じゃベンチプレス200キロも軽々よぉ!!最近趣味でボディービルの大会にだって出たりしている!!」

ピカチュウ「そんな俺を害獣だというか!!ええ!!」


レッド(何という執念!!何という孤独……ッ!!俺を倒すためだけにここまで鍛えたというのか!!)

ピカチュウ「しかも俺はでんきだまを持っている!!」

レッド「旧作からの通信かッ!!」

ピカチュウ「その俺の攻撃力は実に2倍ッ!!そこから繰り出されるこの技……耐えられるかあああああああああ!!?」

レッド「ッ!!まずい!!」


ピカチュウ「ボル……テッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


レッド「ぐあああああああああああああああああああ!!」

ピカチュウ「フッ、いくらレッドと言えど、この至近距離からのボルテッカーではひとたまりも……なにっ!?」

レッド「……」ガラガラ

ピカチュウ「まさかっ!!」

レッド「お前はすげぇよ、よく頑張った……たった一人で」

ピカチュウ「あ……ああ……ッ!!」

レッド「今度はいいトレーナーを見つけて来いよ、ポケモンバトルで勝負してぇ。待ってるからな、俺ももっともっと腕を上げて……」

レッド「またな!」

ピカチュウ「うおああああああああああああああああああ!!」





                          き あ い だ ま

――――――
―――


あの戦いから3年の月日が流れた……

―マサラタウン―


グリーン「ハンカチ」

レッド「もった」

グリーン「パジャマ」

レッド「持った」

グリーン「ふしぎなあめ」

レッド「口の中だ」

グリーン「行くのか、レッド」

レッド「ああ、それが新たに課せられた俺の宿命だ」

グリーン「うん、俺はついていけないけど。お前ならやれるよ、ジョウトリーグ制覇」

レッド「ああ……」

レッド(グリーン、あの時のケガさえなければ……ッ!!)

エリカ「グリーン様は私がついていますのでご安心ください」ニコニコ

レッド「頼むぞ、エリカ嬢」

グリーン「鍛錬をやめた瞬間元の身体に戻ってこれである」

エリカ「性格も元に戻りましたね」

レッド「年上嫌いは直ったのか?」

グリーン「3年間ずっとリハビリに付き合ってもらったからな、もう慣れたよ」

レッド「フッ、突っ込み不在はちと辛かったからな、お前はそれでいい」

オーキド「レッド!」

レッド「先生!」

オーキド「またしばしの別れじゃ、これを」スッ

レッド「これは……ッ!」

オーキド「1本ではこうじゃ」ペキッ

グリーン「2本ではこうだ」バキッ

レッド「3本だと……こうだああああああああああああああ!!」メキメキッバキッ!!

オーキド「うむ、レッドよ。武を極めるものはまたその心も極まる」

レッド「はい、オーキド先生。例え地方が変わったとしても、あなたの教えは忘れません」

オーキド「ジョウトにはウツギの奴が鍛えたとんでもない逸材もおる……気を引き締めろよ」

レッド「はい!!」



こうして、レッドはジョウトリーグ制覇に向けて新たなる旅立ちへ足を運んだッ!!

全国制覇を夢見て!!


END

終わった
煮詰めたSSよりこういう勢いだけのやつの方が面白いから書いてる側としては困る

もしお付き合いしていただいた方がいましたら、どうもありがとうございました

過去作
http://blog.livedoor.jp/innocentmuseum/

妖精「騙されてゴリラを買わされ
た……」ゴリラ「ウホッ」の人だったのか

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