哀しい魔物(39)

遠い遠い世界の話。

あるところに悲しい世界がありました。

その世界では悲しいことがたくさんあって

人々は毎日悲しく過ごしていました。


そんな悲しい思いから魔物が一匹生まれました。

魔物はとても小さくて弱くて、

思い出の国の姫様は魔物のことをそれは優しく見守っていました。

魔物は悲しい思い出が大好きで、

悲しい思いをたくさん食べてどんどん大きくなりました。

やがて世界は少し悲しくなくなりました。

それは魔物が思い出をたくさん食べたからなのか、世界が少し落ち着いたからなのか、

わかりません。

世界中の人々も、思い出の国の姫様もみんなみんな喜びました。

魔物以外は。


「おなかがすいた」

だから魔物はもういちど世界を悲しくしようとしました。

姫様は言いました。「ラモエ、そんなことをしてはいけません。あなたはそのために生まれてきたのではありません。」

魔物は言います。「ミオ様、おなかがすいたのです。どうしてもおなかがすいたのです。」

姫様は必死に止めようとしましたが、

魔物はもう大きくて強くて、止めることができません。

魔物は悲しい思い出からたくさんのマモノをつくり、世界中にばらまきました。

やがて世界は前よりも、もっと悲しくなりました。


そうやって、哀しい魔物になりなした。




                  水泡の部屋 ラモエの追憶

固有名詞は必要だったのだろうか?

とにかく続けて(゚ω゚)

姫様は今も待っています。

魔物はそれからもどんどん強く大きくなって、

食べてはいけない思い出まで食べるようになりました。

姫様は今も待っています。

優しく強い思い出が、哀しい魔物を止めてくれることを。



                       水泡の部屋 ミオの回想

もう誰も見ていないでしょうが、idかわりましたがid:bxcwjuc6です。

スレを立てるのも、お話を作るのも初めてなもので不器用だったりしています。

独りよがりで中身のない文章ですが、見ている人がいればおつきあいください。

幸せの話



悲しい世界のお話です。

あるところに悲しい兵士がおりました。

その兵士は目の前で仲間の頭が爆ぜ、自分も四肢がちぎれていました。

兵士は目を閉じるとき、ふっと微笑んでから最後の眠りにつきました。

幸せの話



悲しい世界のお話です。

あるところに悲しい兵士がおりました。

その兵士は目の前で仲間の頭が爆ぜ、自分も四肢がちぎれていました。

兵士は目を閉じるとき、ふっと微笑んでから最後の眠りにつきました。

「ミオ様、なにをしているの。」

思い出の国で、魔物は世界を見ていた姫様に聞きました。

「あの人に思い出を少し返したの。」

「なんでそんなことするの。おなかがすくじゃない。」

「あの人からはたくさん幸せな思い出をもらったから、お礼をしたの。」

「ふーん、ぼくもやってみたい。」

「やってごらんなさい。」

あるところに老人がおりました。

老人は寝たきりで、たくさんの子供や孫にかこまれていました。

けれども最後にうめき声をあげ、見たこともない表情で事切れていきました。

「ミオ様、僕もやってみたけどミオ様のようにならなかった。」

思い出の国で、世界を見ていた魔物は姫様に聞きました。

「それはね、最後にあげるのは楽しい思い出や幸せな思い出じゃないと、笑って死んでいけないの。」

魔物はまだ楽しい思い出も幸せ思い出も、それほど持っていなかったのです。

「でもミオ様、楽しい思い出は美味しくないしなくなったら悲しくなるよ。悲しい思い出はなくなったらみんな喜ぶよ。」

「ラモエは優しいのね。でも悲しい思い出も幸せな思い出と同じくらい大切なの。幸せな思い出だけじゃ世界は前を向けないの。」

「へんなの。」

「とにかく、好き嫌いはダメってこと。楽しい思い出や幸せな思い出も食べなきゃダメってこと。」

「えー」

思い出の国には優しい時間が流れていきます。

支援

あ、続ききてた(゚ω゚)

魔物は悲しい思い出以外も食べるんだね


付き合いいただきありがとうございます。

支援うれしいですけど、思いつきで書いているのでそれほどネタがあるわけではありません。

では、短いですが次の話もよければおつきあいください。

なりたいもの



二人だけの思い出の国。そこで魔物はひとりでしくしく泣いていました。

「ラモエどうしたの。」

姫様は聞きました。すると魔物は答えます。

「カーバンクルたちにいじめられた。」

カーバンクルは額に赤い"かけら”をもつ大きな魔物です。

彼らは姫様が生まれる前から思い出の国に仕えていて、世界と思い出の国を結んでいました。

「カーバンクルが?」

「ぼく、カーバンクルになんで悲しい思いがおいしいのって聞いたの。そしたらカーバンクルは”世界がそう望まれたからです。”って。

 だからミオ様はなんで悲しい思いがおいしくないのって聞いたの。そしたら”それも世界がそう望まれたからです。”って。

 ねえ、なんで僕は悲しい思いがおいしくてミオ様はおいしくないの?」

「ラモエはどうして楽しい思い出や幸せな思い出がおいしくないの?」

「楽しい思い出はポカポカしててべたべたしてしてて、あとね、ふわふわしてたりするからきらい。

 悲しい思い出はね、ひんやりしてヒリヒリしてるからすき。」

「私もね、悲しい思い出も苦しい思い出も好きなのよ。

 ラモエみたいに強すぎる思い出はダメだけど小さくてきれいな思い出は好き、って思うの。

 ラモエも幸せな思い出を好きって思ったことない?」

「わかんない。」

「じゃあ、前に食べた思い出は?」

「あれね、すっごくおいしかった。つめたくてね、すっごくヒリヒリしてピリピリしてね、ぎゅりぎゅりしてたんだけど、

 まんなかはね、まだ少しだけね、あったかくてベタベタしてたの。あれならまた食べたい。」

「ほら、ラモエも幸せな思い出がおいしいと思ったでしょ。」

「あれがそうなの?」

「あれはね、絶望の中に残っていた幸福なの。もう消えかけていたけどとても強い幸せの思い出なのよ。」

「じゃあ、ぜつぼうしたらおいしくなるの?」

「それはダメ。絶望するにはまず幸福でないといけないの。絶望ばかりしてたら幸福が生まれなくなってしまうでしょ。

 そうしたら新しい思い出が生まれまくなってしまうの。」

「じゃあどうしたらいの?」

「自然に待ってればいいの。ああいう思いでは、たまにだからおいしいって思えるの。

 それに楽しい思い出や幸せな思い出を食べれるようになれば、おいしいって思える思い出がたくさんふえるわ。」

「えー、でもきらい。」

「まずは少しずつ試してみなくちゃ。」
(世界がそう望んでも、あなたはそうある必要はないの。)

ふたりぼっちの世界。世界がまだ悲しいころのお話です。

世界のすみっこでの話




”姫、それを生かしてはいけません。”

”姫、それはいずれ災いになります。”

”姫、それは世界の憎しみです。”

”姫、それは世界の絶望です。”

”姫、それは世界を滅ぼします。いずれは世界を壊します。”

二人にふえた思い出の国。カーバンクルたちは口々に言いました。

「この子が世界を壊すというなら、この子で世界が終るというなら、それも世界の意思でしょう。

 私もこの子と同じ世界の意思から生まれたはずです。」

”姫、それはちがいます。”

”姫、それは人の思いから生まれたものです。”

”姫、それは世界からこぼれたものです。”

”姫、それと姫とはちがいます。”

”姫、姫は世界の意志から成りました。”

”姫、姫は世界の望んだものです。”

だから、

”姫、それは世界の魔物です。”

”姫、それは世界が望みません。”

”姫、それを世界から消しましょう。

ff?

思い出の国のひとりぼっちだった姫様は言いました。

「たとえ世界が望まなくても、この子も世界の一つです。

 優しさや癒しが必要なように、悲しみや絶望もなくてはいけないと、なかったことにできないとあなたたちなら知っているでしょう。

 ならばこの子も私も同じです。この子を消してしまうなら私もともに消えましょう。」

カーバンクルたちはほとほと困ってしまいました。

”姫、お気持ちはよくわかります。”

”姫、それを消せば姫が一人になることも。”

”姫、その時間が世界の寿命と同じことも。”

”姫、それを消すことが世界の我が儘で、それを残すことが姫の我が儘だということも。”

”姫、我らは自身がどれほど残酷かわかっています。”

”姫、ですが我らは世界の僕なのです。”

”姫、我らは世界を生かさなくてはならないのです。”

”姫、どうかご容赦ください。”

ffcc覚えてくれてる方がいたら嬉しいです。
その中のラスボスを題材にして中二病をこじらせながら、創作でつらつらと書いています。

それでも姫様は言いました。

「ならこの子が世界を壊さないならどうでしょう。

 この子が世界を壊すなら、その時は私がこの子を壊します。

 だからどうか、私を一人にしないでください。」

カーバンクルたちはさらに困ってしまいました。

姫様は世界に必ず必要ですし、これほど強く自分の思いを言ったことがなかったからです。

それに”それ”はまだまだ小さく弱かったからです。

”姫、わかりました。我らはしばらく見守りましょう。”

”姫、ですがそれは世界の憎しみです。それは世界の悲しみです。”

”姫、たとえそれが世界を壊さないにしてもその本質は変わりません。”

”姫、それは哀しい魔物です。”
「それは違う。

 この子は哀しくなんかない。

 たとえ世界がこの子を望まなくても、悲しい思いから生まれてきても、この子は哀しくなんかない。

 これから幸せの思い出を知ることもできるし、楽しい思い出も幸福な思い出も手にすることもできる。

 笑うことも泣くことも、この子はまだ何も知らない。

 この子はまだ何者でもない。哀しくなんて私がさせない。」


呆れてしまったカーバンクルは、諦めたように言いました。

”姫、我らが間違っていました。”

”姫、仰るとおり本質とその者とは決して同じではないようです。”

”姫、あなた様は世界を癒すために成りました。世界を守るために成りました。”

”姫、ですがあなた様も世界を滅ぼす魔物です。”

ffccだったのか、やった事がないから気づかんかった(・ω・)

一日たって目が覚めたら、どれほど自分が痛いかわかりました。
でもここまでやったなら、一応は責任もって終わらせましょう。

ffccのサントラでラスボス戦のタイトルが”哀しい魔物”でした。そこからとっています。
ニコニコなどでもサントラはupされてます。ffccを知らなくても作業用bgmとしても優秀です。

それからカーバンクルたちは世界に触れるのをやめました。

彼らは世界の隅っこでゆっくりゆったり眠りながら、時折思い出の国を訪れたり、他の世界を覗いたり、

世界を守るはずの姫様と無垢な魔物を見張りながら静かにのんびり過ごしました。

カーバンクルたちは姫様に折々にわたってに警告します。

”姫、いずれはその魔は力を持ちます。我らよりも大きくなります。”

”姫、我らもあなた様も抑えるができなくなります。”

”姫、魔の本質は変わりません。”

”姫、どうかご決断を。”

そのたびに姫様は悲しそうに言いました。

「どうかもう少し待ってください。

 あの子の心が大きくなるまで。」



「おなかがすいた」


姫様は言いました。願うように。嘆くように。

「ラモエ、そんなことをしてはいけません。あなたはそのために生まれてきたのではありません。」

魔物は言います。喜ぶように。泣き出すように。

「ミオ様、おなかがすいたのです。どうしてもおなかがすいたのです。」

二人ぼっちの思い出の国で一人になった姫様に、カーバンクルは言いました。

”姫、我らは眠りにつきます。長い長い眠りです。

 世界が終る頃に、またお供いたします。”

一匹だけのカーバイクルに姫様は聞きました。

「他のみんなはどうしたの?」

”姫、他の者は先に眠りにつきました。”

二人ぼっちの思い出の国。最後に残ったカーバンクルに姫様は言いました。

「ごめんなさい。」


”姫、謝ることではありません。哀しむことでもありません。

 世界がそう望んだだけです。”

姫様は今も待っています。

魔物はそれからもどんどん強く大きくなって、

食べてはいけない思い出まで食べるようになりました。


姫様は今も待っています。

優しく強い思い出が、哀しい魔物を止めてくれることを。



                           水泡の部屋 ミオの回想

そこはおとぎ話の中の村。世界から無かったことにされた村。

”姫はなぜ、魔を消してしまわなかったのか。”

”姫は思いを糧とするもの。我ら以上に魔のことをわかっていた。”

”どれほどあの魔が危ういものかも、どれほど望みが儚いのかも。”

”それでも、なぜ姫は魔を生かし続けたのか。”


”それは姫が優しすぎたからだろう。あの方はあまりに優しくて、あまりに脆かった。”

”けれど魔も言いつけを守った。”

”それと気づいていないだろうが。”

”魔は世界に希望を残した。わずかな幸福も残した。”

”世界は壊れたが、滅んでしまったわけではない。”

”今はまだそれで良いとしよう。”

「もし、もし。」

何百年か何千年か、時を忘れてしまったころに外から声が聞こえます。

何百回かの後悔を終え、カーバンクルは起きました。

「んぁ、だれ?」

「もしやあなたは思い出の番人ですか?するとこの村は、まさか!マグ・メルですか!」

「んや、違うよ。それは姫様で僕らは、従者かな。この場所は、そう、そんなふうに呼んでたこともあったかな。んで、きみだれ?」

「あぁ!やはり実在したんだ!おとぎ話は本当で僕の仮説は正しかったんだ。

 おおーい。エズラ、こっちだ!きてくれ!」

どうやら久々に会った人間は、ちっとも人の話を聞かないようです。

寝ぼけた頭でカーバンクルはよくよくこの人間を見てみました。

真っ白な服にくるくる頭。見た目だけでは悪い人間ではないようです。

もう一人は真っ黒な甲冑に大きな槍。なんだかとっても強そうです。

真っ白服は呼んでも来ない真っ黒甲冑を引きずってまたこっちにやってきました。

「んで、君たちは誰?」

「あぁ、これは失礼。私はハーディ、旅の伝道師です。こっちはエズラ、旅の武芸者でボディーガードです。」

ようやっと、くるくる頭は人の話が聞こえたようです。

「して、姫とは誰でしょうか?そしてあなた方は何者ですか?」

「姫様は君の言ったとおり。この世界を守っているよ。ぼくらはカーバンクル。昔は君たちの前にも出でてきたことがあったんだけどな。」

「ああ、あなた方は伝説の獣でしたか。それとひとつ、聞きたいことがあるのですが。」

さっきからずっと話してる真っ白服は、なんだかとっても知ってそうです。

さっきたらずっと黙っている真っ黒甲冑は、なんだかとっても暇そうです。

ため息交じりの溜息一つ、今更ながらカーバンクルは言いました。

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