法務大臣

冷徹な鴉

はさみ

黄泉寺

トーマス

忠

安め

悪人のみ

エピソード１ 鴉

蜘蛛&蟷螂『新人の補助？』


この世で最も卑しい仕事、殺し屋。


その殺し屋である、蜘蛛と蟷螂は素っ頓狂な声を出していた。

宮内啓「そうだ。新人の補助だ」

蜘蛛「新人、ですか。どんな人ですか?」

蜘蛛、否、今は一応志賀了として居る殺し屋は問う。

宮内啓「うん、恐らく二人とも、『知っている』人間だ」


蟷螂「？」

宮内啓「ま、行ってみたらわかる」



職業殺し屋のオーナー、宮内啓のこの言葉から、蜘蛛と蟷螂は鴉と関わる事となるのだった。

蟷螂「……って、何で私らはこんな状況になってんだ！」


新人の殺し屋の所に行く道中、ついに蟷螂は耐えきれず叫んだ。



犬飼「まぁ、それは……」

戌亥「オレ達も色々有るんだ」


車の中には、職業殺し屋の蜘蛛と蟷螂、御犬番の犬飼美智代、公安の戌亥がいたからだ。

蜘蛛「今回の依頼主はもしかして、御犬番と公安？」

戌亥「ってわけじゃねぇ。寧ろ、俺らの上がてめぇら側で、悲しい事に俺ら下っ端何だよ」


蜘蛛「お前等が下っ端？」

蟷螂「新人ってどんなんだろうね」


蟷螂は少しばかり興奮していた。


未だ見ぬ新人、底は知れない。

ついたのは浜辺の倉庫

倉庫の中に入った蟷螂と蜘蛛は息を呑む。


黄泉寺トーマス「はじめまして、イカレた銀髪の蜘蛛に蟷螂、私が冷徹な鴉……黄泉寺トーマスだ」


そこに居たのは、黒い髪に赤い目をした大男。


蜘蛛「ちっ、まさか現役法務大臣が職業殺し屋とはな……」


蜘蛛が苦虫を噛み潰したように言う。


黄泉寺トーマス「あははっ！ まぁ、驚くか！」


黄泉寺トーマスはからからと笑う。

黄泉寺トーマス




日本人の父親とイギリス人の母親から生まれたハーフ。

両親は幼い頃虐殺され、天涯孤独。



しかし、皮肉にもその事件が彼の『異常』を露わにした。



正義固執



黄泉寺トーマスはあまりにも異常に正義という概念に固執する。

悪人を正しく裁く


常軌を逸した正義が、黄泉寺トーマスを政治家にし、殺し屋にした。



だが、それを蜘蛛と蟷螂は知らない。

黄泉寺トーマス「御犬番に公安よ、我が同僚の送迎御苦労！ 謝礼は後、御犬番と公安に贈ろう！」



犬飼「はっ」

戌亥「おう」

犬飼と戌亥は去って行く。


黄泉寺トーマス「さて、蜘蛛に蟷螂。これから私が『法を超えた』正義を執行するのを見て欲しい！」

蟷螂「お……おう」


蜘蛛「あ……ああ」


歴戦の殺し屋である蟷螂と蜘蛛は少し戸惑っていた。


いきなり『法を超えた正義』などと現役法務大臣から言われたら、それは誰だって戸惑うだろう。


黄泉寺トーマス「さて、それでは法の弊害を正そうか」


黄泉寺トーマスは嬉しそうに歩む。


物語は動く


軋みながら

黄泉寺トーマス「さて、これからターゲットの所まで行くが、後ろに乗ってくれ。あ、あと私ハンドル握ったら若干正確変わるから注意してくれ！」

蟷螂「ふぅん、スピード狂いかい？」

黄泉寺トーマス「近いな」

黄泉寺が乗り込むのはメルセデス。

蜘蛛と蟷螂は乗り込んだ。


ﾋﾞｭﾝ

蜘蛛「」


蟷螂「」


黄泉寺トーマス「ヒャッハー！ しっかり捕まってなぁっ！ 今から腐れ野郎の所まで一直線だぁ！」


蜘蛛は先ほどまでの黄泉寺の人格が、ハンドルを握っただけで此処まで変わるとは思わなかった。