「心配はいらねえよ。俺だって鬼じゃねえ。金が足りなくなったら一人ずつ売り飛ばしながら面倒みてやるよ」

　借金取りの目は、年端もいかぬ子供たちの中から女児を見つけ出そうと品定めを始めている。
　うちの一人は不穏な空気を察したのか、立ち止まって神父の背中を見つめていた。



「そんなッ！　それでは何のために借金を返すのかわからなくなってしまうッ！」

　神父の声が響き渡り、その数は二人、三人と……。

「あ？　踏み倒そうってのか？」

「いや……しかし……」

萬田「じゃまするで～」

神父「ま、萬田はん…」

「俺達の世界じゃ約束を反故にしたら、この世で最も辛い罰を受ける決まりなんだ……。
お前がいくら偽善者でも、借りたカネは返さなきゃならねえことくらい分かるよな？」

「ぐうっ」

「……が、お前には交渉の余地がある」

　借金取りは子供を品定めする目を神父に戻した。
　彼らだけは守らねばと肩を強ばらせる神父だったが、借金取りは見透かしたように唇、首、胸元、胸筋へと視線を絡ませていく。
　やがて股間の中心部に到達する頃には、借金取りは自らの手で神父の厚みを確かめ始めていた。

「はうあっ」

ホモ

やっぱかww

・・・ほう

「俺はシャバじゃ古物商でね、転がしが本業なんだが……良い品が入ってるじゃねえか」


「あなたは……っ」

　聖職者である神父に最も屈辱を与える方法を借金取りは知っている。
　ホモは最も禁じられた行為だが、
　自分を慰み物にしたところで彼の懐が潤うわけではないのに何故、と神父は困惑した。
　

「はじめから返せる算段など無かったのだろう？
　それでも子供を守るためと後先考えず殊勝な神父よ、男だからとタカをくくったか。

　しかしお前は自分の身体そのものが売り物になることに気づいていなかった……。
　俺がとりっぱぐれそうな相手にカネを貸すわけがねえんだ」


　借金取りの酒臭い吐息が神父に届く。
　同時、股間を握りしめる力が強まった。

「ぐああっ」

「船が嫌なら、ひとつしかないが」

「……っ」

　神父は首を縦にも横にも振ることなく、目を閉じて神に懺悔した。


　――――――

　――――

　――

続きないの？

波ぁっ！

寺生まれって凄い！

またか

　借金取りが馬車の荷台からおろして見せたのは、三角木馬。
　中心部に異様な突起物がそそり立つ禍々しい様相だ。

「これに乗って街を行脚せよと仰るのですか？！」

「その通りだ神父。たったそれだけで孤児院を5年は続けられるカネになるのだから、悪い話ではなかろう」

　　


　神父は戸惑っていた。
　このような破廉恥な行いをさせられるだけで、名状しがたい辱めを受けるというのに、
　民衆に見せびらかすなど気の違えた者の所業に他ならない……。

　この提案を飲めなければ、すべての子供達を守れないことになる。

「どうした。聖職者として選ぶ道はひとつしかないのだろう？」

「わかっている……しかし……本当にそれで大金が得られるとはどうしても……」
　
　知らなければもっともなことだ、と借金取りは頷いた。

「世の中、綺麗なものばかりじゃないってことさ。いや、違うな。
　何を綺麗と思うか、何を欲するかは誰にも決められないってことだわな。

　


　――ときに神父よ、お前さん聖職者の戒律でなぜホモが禁じられてるか知ってるか？」


「なっ？！」

　借金取りの口からその問いかけが出てくるとは思わず、
　神父は受け答えが回らず硬直してしまう。

　　


「疑いもせず神とやらを信仰する神父は考えたこともないだろう。
　ホモが禁じられるってことはな、する奴が居たってことなんだよ。
　それも禁じなければならないほど魅力的に、退廃的に」

　ドブを掬ったような借金取りの目が神父を覗きこんだ。

「おっと勘違いするなよ、お前に大金を出すのは俺じゃねぇ。
　世の中には居るのさ、ホモを隠さなければならず、
　欲求が満たされないまま性の亡者となる連中がね」


　借金取りは慣れた手付きで神父に縄をかけ始める。
　神父はその特殊な縛りに心まで絡め取られたように錯覚しながら、
　地獄の沙汰に身を任せることを決意するのだった……。

借金取りを俺っ娘と思えば余裕

>>21
上等な料理にハチミツをブチまけるかの如き思想ッッッ！！！！

ホモォ…