【バンドリ】彩「超能力……ですか?」モブ「はい」【モブサイコ100】 (17)

モブサイコ100とバンドリのクロスです。

電車の中

霊幻新隆「モブ、今日の仕事はデカいぞ。お前にもボーナスやる」

影山茂夫(通称モブ)「あ、ほんとですか……!」

霊幻「おう、最上の時は結局報酬貰わなかったからな。今回はその時のも兼ねてな」

モブ「それで師匠、今日はどんな依頼なんですか?」

霊幻「おう、とある芸能人の護衛を頼まれてる」

モブ「芸能人の護衛? なんで僕達が?」

霊幻「ま、着いてくりゃ分かる」


深い山の中、廃病院前


霊幻「ここだな」

エクボ「け、随分とまた辺鄙な所に連れてこられたな」

モブ「あ、エクボいたんだ」

プロデューサー「あ、霊幻先生! お待ちしておりました!」

霊幻「どうも。こちらが今回の依頼主だ。前に心霊バラエティの番組に出た時お世話になった」

エクボ「霊幻が公開処刑されたアレか」

霊幻「うるせえよ」

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プロデューサー「いやぁ拝見させて頂きましたよ、先日の記者会見! アレ、霊幻先生の霊能力でしょう? 私は最初から貴方が本物だと思ってたんですよ~」

霊幻「……それで、詳しい依頼内容を聞かせていただきましょうか」

プロデューサー「あ、はい! 霊幻先生には彼女達のロケにご同行願いたいんです」

霊幻「彼女達?」

プロデューサー「はい。みなさん! こちらが今日我々を守ってくださる霊能力者の霊幻新隆さんです。自己紹介して!」

丸山彩「あ、はい! 私達、Pastel*Palettes(パステルパレット)っていうアイドルバンドやってます! ボーカルの丸山彩です。よろしくお願いします!」

霊幻(ほう、なかなか可愛いな)「どうも、世紀の霊能力者、霊幻新隆です。私がいるからには大丈夫です。あなた方を危険な目には合わせません」

白鷺千聖「ベースの白鷺千聖です。今日はよろしくお願いします」(なんだか少し胡散臭いけど、大丈夫かしら……)

氷川日菜「はいはーい! 次アタシ! ギターの氷川日菜だよ! たしか霊幻さんって『調味市の兄』とか、『第二の最上啓示』とか言われてるすごい人だよね~」

若宮イヴ「キーボードの若宮イヴです! 霊能力者……陰陽師ですね! ブシドーを感じます! 正々堂々よろしくお願いします!」

大和麻弥「イヴさん、正々堂々の使い方間違ってますよ。あ、ジブンはドラムの大和麻弥です。どうもよろしくお願いします」

霊幻「さて、それでは……今日行くのはあの廃病院ですか?」

プロデューサー「そうなんですよ! バラエティの心霊スポット調査ロケなんですけどね、元々ここは戦時中に軍が運営してた病院で、黒い噂が耐えない場所なんですよ」

霊幻「どうだ、モブ」

モブ「そうですね、微かに感じますけど、悪霊ではなさそうです」

千聖「あら、そちらの方は?」

霊幻「ああ、こいつは弟子のモブです」

モブ「どうも」

千聖「そうですか、どうも」

エクボ「おいシゲオ、あっちの嬢ちゃんなかなかいいケツしてんじゃねーか。ツボミちゃんとどっちがかわいいよ?」

モブ「えっ………………」

モブ「……………………」ゴクリッ

エクボ「いや、そんな真剣に悩むなよ……」

プロデューサー「それじゃあ、そろそろ行きましょうか!」

霊幻「おう、行くぞモブ」

モブ「あ、はい……」


廃病院内

彩「なんだか昼間なのに薄暗くて怖いな……」

イヴ「心頭滅却すれば南無阿弥陀仏です!」

麻弥「やっぱり、廃墟なだけあって荒れ放題ですね」

日菜「なんだかるんってしたきたね~☆ ん? 千聖ちゃん大丈夫? 顔色悪いよ?」

千聖「え、ええ……」

プロデューサー「ここが治療室ですね。噂だと凄惨な人体実験が行われていたとか……」

霊幻「なるほどな……モブ、さっきと比べてどうだ?」

モブ「……なんだか、すごく不気味な気配を感じます。それも、病院内に入った時から」

霊幻「まあ、これだけ噂に尾ひれががついてたらそれだけでも力が集まってくるのかもな。おひきさんの時もそうだったろ」

彩「あの……霊幻さん?」

霊幻「どうしました?」

彩「なんだかさっきから千聖ちゃんの様子が変で……」

霊幻「様子が変……?」

千聖「ううっ……」ガクガク

イヴ「チサトさん、体が震えてますけど大丈夫でしょうか……?」

麻弥「歩くの大変だったら肩貸しますよ、無理しないでください」

千聖「ええ、大丈夫よ。ごめんなさい……」

エクボ「……この女、ここから遠ざけねーとやべえぞ」

霊幻「どういうことだ? エクボ」

エクボ「体内に霊素が吸い込まれてやがる。そういう体質なのかは知らねーが、このままじゃ悪霊に取り憑かれやすく……」

千聖「……くく、くけけ」

霊幻「ん?」

彩「千聖ちゃん? どうしたの?」

千聖?「今更気づいてももう遅い……この女は私が乗っ取らせてもらった!」バッ

イヴ「きゃあっ!」

日菜「ち、千聖ちゃん……?」

霊幻「モブ!」

モブ「はい!」ピカッ

千聖?「っ!? ……ほう? なかなか強い念動力じゃないか。だが私には通用しない!」バァッ!

モブ「あっ、まずい……」

千聖?「ふふふ……この女に霊素を取り込ませて私との順応を高めておいた。もう易々と手出しはできんぞ!」

霊幻「プロデューサー、全員を建物の外へ避難させてください。あとは俺とモブで何とかします」

プロデューサー「は、はい! 分かりました!」

彩「あのっ! 私は残ります!」

霊幻「ダメだ、危険すぎる。仮に悪霊を彼女から追い出したとして、今度はアンタに憑依するかもしれないぞ」

彩「でも……!」

霊幻「大丈夫だ。ウチの弟子は優秀でな、必ず彼女を元に戻す」



彩「……分かりました。信じてます」タッタッ


霊幻「……さて、どうするか」

モブ「最上さんの時みたいに、融合しようとしてますね。これは外から除霊するのは難しいかもしれないです」

霊幻「ということは……幽体離脱してアイツを中から引っ張り出すしかないのか?」

モブ「そうなりますね……。最上さんの時に1回やってますし、要領は心得てます。エクボ、またこの身体、預けてもいいかな」

エクボ「まあ、それしかねえよな……分かったよ」

モブ「ありがとう」フッ

霊幻(すまないな、モブ。お前にこんなことを2度もさせちまって)

モブ爆発まで、70%

白鷺千聖、精神世界

モブ「ふぅ……」

??「ほう、精神世界に侵入してくるか。キミも私と同じで、正気でないな」

モブ「ごめんなさい、急いでるんでこの身体から出ていってください」ピカッ

??「おっと。まあそう焦るなよ。私は悪霊だ。生前は軍医をやっていて、この病院に勤務していたんだ」

悪霊「この土地は遡れば江戸時代、差別身分の人間達がひっそりと暮らしていてね。そこに軍が精神病院の隔離病棟を作ったのが始まりだった。」

モブ「そんな話に付き合ってる時間は……!」

悪霊「落ち着けと言っているだろう!」バッ

モブ「うわっ!」ドシャッ

悪霊「……だが、それは表向きの話だ。本当は精神病に陥った患者を実験台にしていたんだ。なんの実験かわかるかな?」

モブ「超能力が……使えない!」

悪霊「少し君の力を奪ったよ、まあ危害を加えるつもりは無いがね。それで、なんの実験をしていたかと言うとだ。……君のような超能力者を人工的に生み出す実験だよ。私は医師であると同時にそこの主任研究員だった」

悪霊「だが、思ったように実験は進まなくてね。精神的に強い負荷をかけ、ストレスによる能力の覚醒という理論にたどり着いたまでは良かったんだが……私はこの土地にいたありったけの住人を実験材料にして徹底的に試し尽くし、己の理論が間違っていなかったということを証明したかった」

モブ「なんで……人を救うのが医者じゃないのか……?」

悪霊「まあ、たしかに初めは良心の呵責もあったな。だが次第にそんなことも忘れたよ。単純に実験が楽しくなってしまってな、アハハハハハ!」

モブ「そんな……」

悪霊「私に狂っているは褒め言葉だよ。超能力者の少年。そして、思わぬ成果を上げられぬまま、私は住人の逆襲に遭いそのまま死んでしまった。……しかし、天は私を見放さなかった。死後にこうして悪霊として現世に残ることが出来たのだからな」

悪霊「それから私自身、霊力を高めて面白半分でこの場に来る人間に取り憑き、内側から精神的ショックを与えることによって能力者を生み出そうとしたのさ。結果は芳しく無かったがね」

悪霊「同時に気付いたことがあった。取り憑いた人間が持つ元々の負の感情を肥大化させれば、より大きい負の感情を生み出すことが出来るとね。そして私は好機をうかがった。そして今日、ついてその日が来たのだ!」

モブ「どういう、ことですか……?」

悪霊「彼女の記憶を少し覗いたが、芸能界で随分揉まれたんだろう。彼女の負の感情は今まで見てきた中で1番大きい。様々な感情が渦巻いていて、少し私が手を加えれば一気に爆発してしまうだろう。そしてもうひとつ、君の存在だ」

モブ「僕が……」

悪霊「そう。君のその有り余る力を奪えば私の力が増幅され、今までで最高の力を振るえるのさ。そして私はこいつの身体と人生を乗っ取り、現世に降臨した最強の超能力者として、その力を存分に振るう。私の理論が認められ、この国を、いや、世界を私のものに出来るのだよ! どうだ少年、素晴らしいと思わんかね?」

モブ「いや、全然」

悪霊「っ……! まあいい、ガキには分からんだろう。そういうことだ。君の力、奪わせてもらおう!」バッ

モブ(あ、超能力が戻った。今なら……)「ふっ……!」ピカッ!

悪霊「ぐぐっ……その力こそ私が求めていたものだよ。まったく羨ましくて憎たらしいな」

モブ「白鷺さんの身体から出ていけっ!」ピカッ!

悪霊「おおっと、いくら力が強いからと言って、当たらなければどうということは無い。私は正面から戦うのが得意ではないからな。君には彼女より一足先に地獄を見てもらおう」バッ

モブ「うっ……ぐあっ! 何を……」

悪霊「彼女が抱えている負の感情を私が増幅させ、君の精神に送り込んだのさ。恨み、嫉み、憎しみ、悲しみ、それらの感情が膨れ上がってキミの中を駆け巡る! そのまま精神を崩壊させろ! キミはもうキミに戻ることは出来ない!」

モブ「やめろ……僕の中に、入ってくるな!!」

千聖「私は成功に最も近い道を選びたい、それだけよ」

~~

モブ(これは、白鷺さんの記憶……)

~~

千聖(あんな失敗をしたら、もうこのバンドに未来はない。それだけじゃない。私の名前にも泥を塗られた)

~~

千聖(私は失敗しない道を選ぶ、ただそれだけ……)

~~

千聖(見込みがないものに対して、時間を費やしても無駄なだけ。それなら私は、同じ時間をかけてより確実なものを手に入れる……)

~~

千聖「努力は結構、夢を見るのも結構だけど……努力が必ず夢を叶えてくれるわけじゃないのよ」

~~

千聖「私がなんでも出来るなんて思わないでよ!!」


モブ(すごい、感情だ……こんな過酷な世界で……)

現実、廃病院内

霊幻「……」

エクボ「シゲオのやつ、遅すぎる……最上ほどの悪霊じゃないにしろ、やつはなかなか危険だ」

霊幻「……いざとなったら、俺達がモブを助けに行くぞ」

エクボ「どうすんだよ、お前幽体離脱なんて出来んのか?」

霊幻「……」

エクボ「け、お前らしくもねえな」

霊幻「モブにこんなことを強いるなんて、俺は師匠失格かもな」

モブ(白鷺さんの、負の感情……)

モブ(僕は、彼女を、助、け…………)

……。

モブ(……? これは……)


悪霊「ふん、彼の精神も音を上げる頃だろう。さて、その力、奪って」

ピカッ

悪霊「っ!? なんだこれ!?」

モブ「戻ってきたよ……」

悪霊「お前……あの感情の波を耐えきったというのか!?」

モブ「正直、僕だけの力じゃ戻って来られなかった。白鷺さんのおかげだよ」

悪霊「なんだと……? こんな負の感情しかない女のどこに助けられたと言うんだ?」

モブ「そんなことない」ピカッ

悪霊「なっ……これは!?」

~~

千聖・彩「どうか、私たちの歌を聞いてください!」

~~

千聖「薫といるとね、Pastel*Palettesにいる私じゃない、私になれるの」

~~

千聖「あの時は本当に嬉しかったわ。友達になってくれてありがとう、花音」

~~

悪霊「こ、この力は!?」

モブ「白鷺さんの人との関わりあいの記憶……」

モブ「彼女も僕と同じ、彼女の周りにいる人達のおかげで、前よりも強い白鷺さんになれたんだ」

モブ「アンタなんかに、この力は超えられない。僕も逃げないよ!」

モブ、勇気100%

廃病院内

モブ「ん……」

霊幻「モブ……戻ったか」

モブ「師匠……そうだ、白鷺さんは」

エクボ「そこで寝てるよ。お前が目覚める前、中から悪霊が飛び出て行った」

モブ「そっか……」

千聖「ん、ここは……」

霊幻「意識が……」

千聖「……影山くん、よね? 私を助けてくれたのは」

モブ「あ、はい……」

千聖「ありがとう。本当に。ずっとあなたの声が聞こえていたわ」

モブ「いえ、僕こそ。白鷺さんのおかげで除霊することが出来ました。僕一人だったら正直、危なかったです」

霊幻「……さて、戻るぞ」


病院前

彩「千聖ちゃーん! 心配したんだよー!?」ベソベソ

千聖「ほら、彩ちゃん泣かないの」

日菜「いやー一時はどうなるかと思ったね~!」

イヴ「本当によかったです! 陰陽師の皆さん! 感謝カンゲキ雨アラレです!」

麻弥「本当にありがとうございます」

プロデューサー「いや、本当によかった! さすが霊幻先生!」

…………。

後日、霊とか相談所

霊幻「ほらモブ、ボーナスだ。受け取れ」

モブ「3万円も……いいんですか?」

霊幻「ああ。最上の時といい、今回といい、俺は何も出来なかったからな。それでオシャレな服でも買ってこい」

モブ「あ……ありがとうございます」

霊幻「そうだ、これから除霊の依頼があるんだが、終わったらラーメン食ってくか?」

モブ「奢りですか?」

霊幻「……チャーシュー2枚までな」

後日、羽沢珈琲店

羽沢つぐみ「へぇ、そんなことが……大変でしたね」

千聖「ええ、私も最近疲れてたから、それのせいもあるかもしれないわね」

松原花音「千聖ちゃん、最近仕事詰めで忙しかったもんね……もう身体はなんともないの?」

千聖「ええ、大丈夫よ。ただ……」

花音「ただ……?」

千聖「もう少し、みんなとの時間を大切にしようかなって、そう思ったの」

花音「そうなんだ……ふふ」

千聖「どうしたの? 花音」

花音「なんだか、千聖ちゃんも変わったなって」

千聖「ああ……ふふ、そうかもしれないわね」

おわり
拙くて、すみませんでした

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