「あんただってそのガタイなら仕事には困らんだろう。なあに少し船に乗ってもらえればそれでいいんだよ」
孤児院に訪れた借金取りは、神父の太ましい肩を叩きながら言った。
「し、しかしそれでは子どもたちが……」
神父は後ろを振り返りながら、自分の境遇もわからず燥ぐ子供に思いを馳せている。
「心配はいらねえよ。俺だって鬼じゃねえ。金が足りなくなったら一人ずつ売り飛ばしながら面倒みてやるよ」
借金取りの目は、年端もいかぬ子供たちの中から女児を見つけ出そうと品定めを始めている。
うちの一人は不穏な空気を察したのか、立ち止まって神父の背中を見つめていた。
「そんなッ! それでは何のために借金を返すのかわからなくなってしまうッ!」
神父の声が響き渡り、その数は二人、三人と……。
「あ? 踏み倒そうってのか?」
「いや……しかし……」
萬田「じゃまするで~」
神父「ま、萬田はん…」
「俺達の世界じゃ約束を反故にしたら、この世で最も辛い罰を受ける決まりなんだ……。
お前がいくら偽善者でも、借りたカネは返さなきゃならねえことくらい分かるよな?」
「ぐうっ」
「……が、お前には交渉の余地がある」
借金取りは子供を品定めする目を神父に戻した。
彼らだけは守らねばと肩を強ばらせる神父だったが、借金取りは見透かしたように唇、首、胸元、胸筋へと視線を絡ませていく。
やがて股間の中心部に到達する頃には、借金取りは自らの手で神父の厚みを確かめ始めていた。
「はうあっ」
「俺はシャバじゃ古物商でね、転がしが本業なんだが……良い品が入ってるじゃねえか」
「あなたは……っ」
聖職者である神父に最も屈辱を与える方法を借金取りは知っている。
ホモは最も禁じられた行為だが、
自分を慰み物にしたところで彼の懐が潤うわけではないのに何故、と神父は困惑した。
「はじめから返せる算段など無かったのだろう?
それでも子供を守るためと後先考えず殊勝な神父よ、男だからとタカをくくったか。
しかしお前は自分の身体そのものが売り物になることに気づいていなかった……。
俺がとりっぱぐれそうな相手にカネを貸すわけがねえんだ」
借金取りの酒臭い吐息が神父に届く。
同時、股間を握りしめる力が強まった。
「ぐああっ」
「船が嫌なら、ひとつしかないが」
「……っ」
神父は首を縦にも横にも振ることなく、目を閉じて神に懺悔した。
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