メイド「ご主人様がこんなドMだったなんて…軽蔑します…」(11)

みんなでげんきよくid腹筋をしよう

だと思ったよ!!
思ったけど開いてしまうんだよちくしょうが!!

わかってたよ!
ああ、わかってたさ!!

主「待ちたまえ。私は断じてマゾヒストなどではな…」

メイド「お黙り遊ばせ」ピシッ!

主「痛ったぁ!?」

メイド「ムチを振るわれて跳び上がるほどお喜びになられるなんて…まったく嘆かわしいことでございます」

主「激痛で跳び上がっているのだよ!?主にムチを振るうメイドがどこに…」

メイド「まだ足りませんか?…仕方ありませんね。ではもう一度…」

主「…けっこうだ。話を続けてくれたまえ」

メイド「………」ピシッ!

主「ぐああぁ!?」

主「けっこうだと言ったではないか!?」

メイド「それはけっこうなことだ、是非頼む。…という意味では?」

主「…前後から考えてそれはないだろう」

メイド「何か?」

主「いや、なんでもない」

メイド「…ご安心下さいませ」

主「何をだ?」

メイド「どのような趣向をお持ちであろうとも、私は主様を見捨てたりはいたしません」

メイド「今後も誠心誠意、お仕えする所存でございます」

主「…誠心誠意、とな…それはどういう意味…」

メイド「…さぁ、まずは溜まっている貴族様方からのお手紙の処理をお願いします。…今すぐに」ニッコリ

主「わ、わかった。やる。やるからそのムチは仕舞ってくれたまえ…」

メイド「…まったく話になりませんね」ビリッ

主「あ!?私がせっかく書いた手紙を…!」

メイド「誤字脱字だらけで内容も支離滅裂でございます。これでは返書としてお出しするわけにはまいりません。もう一度お書き下さいませ」

主「たかが手紙だろうに…だいたいそう言うならばメイドが書けば良いではないか…」

メイド「………」ピシッ!

主「うぐぁ!?」

メイド「このような程度の低い書簡で済ませようとは…主様は家名に泥を塗るおつもりですか?」

主「む…」

メイド「…もっとも既にこれ以上、泥を塗る場所もないほど名声は失墜しておりますが」

主「…うぬぬ…!」

メイド「主様が他家から嘲笑を受け、悶えたいと言うならば、私が代わりにして差し上げます」

メイド「ですからこれ以上、家の名を落としめるようなことはなさらないようお願いいたします」

主「くっ…!書けば良いのだろう!書けば!」

メイド「出来上がりましたらお呼びくださいませ」

主「わかっている!」

メイド「………」ペラッ…

主「………」

メイド「……信愛なる?」

主「な、何か間違いでもあったかな…?」

メイド「親愛とは親しく愛すると書くのでございます。…文面上は」

主「…そ、そうであったか?つまらぬミスを…」

メイド「主様」

主「う、うむ?」

メイド「手紙の書き出し部分など子供でも間違えたりはいたしませんよ?」

メイド「ひょっとして…わざとミスをして罵られたかったのですか?見上げたマゾヒスト魂でございますねぇ…」

主「…いやぁー…まぁ、確かにちょっと魔がさしたというか…刺激が欲しくなったというか」

メイド「でございますよねぇ?まさか本当に…いえ、さすがにそのようなことは…ございませんよね?」

主「あ、あぁ…ははは…まぁ、な…」

主「………」ズーン

主「ぐー…むにゃ…」

メイド「おはようございます、主様。朝でございますよ」

主「ん…」

メイド「………」

主「ふぁあ…ん?…なんだ、まだ6時ではないか。7時にまた起こしてくれ、私はまだ眠…」

メイド「………」ピシッ!

主「いっだぁ!?」

メイド「お は よ う ございます」

主「お、おはよう…」

メイド「食事が出来ております。暖かいうちにどうぞ」

主「…はぁ…」

主「………」ムグムグ

メイド「お茶のお代わりは?」

主「もらおう。しかし…」

メイド「はい」

主「質素な食事だな…私も貴族である以上もっとこう、エレガントな朝食を…ほら、このトーストにキャビアを乗せるだけでもずいぶん…」

メイド「そのような余裕はございません」

主「まったく…金の管理はどうなっているのだ。食事が終わったら執事を呼べ。問いただす必要がある」

メイド「執事様は先週、ご隠居なさったはずでは?」

主「なに!?」

メイド「ご報告をお受けになられなかったのですか?」

主「いや、確かに隠居するとは言っていたが冗談だとばかり…まさか本当だったとは…」

メイド「………」

主「…じぃめ、私を見捨てるとはなんと冷たい…」

メイド「許可をなさったのは主様では?」

主「そ、それはそうだが…」

メイド「ならば自業自得でございましょう」

主「ぐっ…!」

メイド「しかし、主様の右腕とも呼べる執事様をお切り捨てになられるとは…」

主「そこから先は言わせんぞ!私は断じてマゾヒストなどではない!それに切りたくて切ったわけでは…」

メイド「…家中の会計はどなたがなさるのでしょうか…」

主「え?…そ、それは…メイド!お前が出来るのではないか?」

メイド「まさか。私にそのような専門的な知識はございません」

主「………」

メイド「………」

主「…ど、どうすればよいのだ?」

メイド「どうと言われましても…」

主「何か…何かあるだろう?…よい考えが!?」

メイド「はあ、よい考え……あ」

主「なんだ!?何か思い付いたのか!?」

メイド「…お茶を注ぐのを忘れておりました。申し訳ございません」トポトポ…

主「…メイド、茶は後で良い。まずは…」

メイド「しかし、これが私の仕事で……あ」

主「な、なんだ!?今度こそ何か…!」

メイド「…注いだお湯が冷めておりました」

主「…おい」

メイド「少々お待ちくださいませ。すぐに沸かして参ります」カチャカチャ…

主「え!?ま、待て、メイド!まだ…」

メイド「失礼いたします」ペコッ

主「…メイドぉ!」

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