櫻子「そうだ、自由研究やろう」 (26)
ー大室家ー
櫻子「うーん……」
櫻子「夏休みの宿題、向日葵に直前になって慌てることにならないよう言われたから広げてはみたけど」
櫻子「なにからしていいのかさっぱりわからん」
櫻子「問題集は……難しそうだから後ででいいや」
櫻子「読者感想文は本読む気分じゃないし」
櫻子「ノート一冊分の書き取りは量が多過ぎる」
櫻子「どうしよう……」
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ガチャ
花子「ん?なにやってるの?」
櫻子「おー、花子」
櫻子「見たらわかるだろ、宿題やってんだよ」
花子「えっ!?櫻子が宿題!?」
櫻子「失礼な、私だって宿題くらいするわ!」
花子「珍しいし、頭でも打った?」
櫻子「根が真面目な櫻子様はこれが普通なんだよ」
花子「……まぁ、なんでもいいけど」
櫻子「花子も宿題するの?」
花子「うん、今日は計算ドリルやるし」
櫻子「へー、ドリルかぁ」
花子「櫻子は?」
櫻子「私はまだなにやるか決めてないよ」
花子「えっ」
櫻子「いやー、なにから手をつけていいのかわからなくてさー」アハハ
花子「やっぱり櫻子は櫻子だったし」
花子「……」カキカキ
櫻子「うーむ……」
花子「……」カキカキ
櫻子「あー……」
花子「……」カキカキ
櫻子「えー……」
花子「……さっきから全然進んでないし」
櫻子「どれから片付けてやろうか迷ってて」
花子「(悩んでる暇があるなら手を動かせばいいのに)」
櫻子「花子は宿題あとどれくらい残ってんの?」
花子「花子は、このドリルと工作と絵日記と」
花子「あと自由研究くら──」
櫻子「それだ!!」ガタッ
花子「ん!?」
櫻子「そうだ!自由研究があるじゃん!」
櫻子「自由研究ってことは自由に研究していいってこと!」
櫻子「つまり、なにを研究してもいいんだ!」
櫻子「花子ありがとう!私自由研究から始めることにする!」
櫻子「それじゃあ私向日葵の家行ってくるから!」ダッ
タッタッタッ
バタンッ
花子「……今年も最終日に地獄が見られそうだし」
ー古谷家ー
タッタッタッ
櫻子「向日葵ー!!」
向日葵「いきなりなんですの」
櫻子「自由研究はもう終わったか!?」
向日葵「まだですけど」
櫻子「よし!じゃあ私と一緒にやろう!」
向日葵「そんなこと言って、また丸写しするつもりじゃないでしょうね」
櫻子「ちげぇよ!ちゃんと私もやるわ!」
櫻子「向日葵が早くやれ早くやれ口うるさいから、簡単にできそうなやつから始めてみようと思ったんだよ」
向日葵「えっ……」
向日葵「(まさか、本当に櫻子が自発的に宿題を……?)」
櫻子「あっ、別に向日葵に言われたってだけでやるんじゃないからな!勘違いすんなよ!」
向日葵「……仕方ないですわね」
向日葵「今回だけは協力してあげますわ」
向日葵「今回だけですからね」
櫻子「おぉ、ありがとー!流石向日葵!」
櫻子「というわけでだ」
櫻子「なに研究しようか」
向日葵「あれだけ威勢良く提案しといて、結局は考えなしですか」
櫻子「いや、自由研究が一番取っつきやすいと思って」
櫻子「自由って言葉に惹かれた」
向日葵「はぁ……やっぱり櫻子ですわね」
櫻子「うるさいなぁ、だいたい自由研究ってなにすりゃいいんだよ」
櫻子「向日葵こそなにか思いつかないの?」
向日葵「そりゃ自由研究と言ったら、天体観測とか植物の成長日記とか生き物の観察とか」
櫻子「よし、じゃあ虫採りに行こう」
向日葵「えぇ!?」
櫻子「虫採ってそれ観察しよう」
向日葵「いや、もっと他にもあるでしょう!」
向日葵「なんでよりにもよって虫なんかに……」
櫻子「んー?だって面白そうじゃん!」
向日葵「それにしてももっといいものが」
櫻子「はは~ん、さては向日葵虫が恐いんだなぁ」
向日葵「ぐ……あ、当たり前ですわ!」
向日葵「私はあんなものに触れませんから!」
櫻子「えー、せっかく近くに田んぼがあるんだからさぁ」
向日葵「田んぼ?」
櫻子「田んぼに住んでる生き物を研究してみようと思って」
櫻子「わざわざ森にまで行かなくてもいいし」
向日葵「えぇ……でも、結局は虫でしょう。カエルとかならまだしも……」
櫻子「カエルも虫も同じようなもんじゃん、じゃあ向日葵はカエルでもいいから」
向日葵「いえ、でもしかし……」
櫻子「もー!せっかく提案してやったのにー!」
櫻子「それでも生徒会か!」
向日葵「ぐぐ……!!」
楓「(生徒会って関係あるのかな)」
櫻子「よし、もう文句はないな」
向日葵「くっ……!」
櫻子「じゃあ決定ね」
櫻子「そうだ、あかりちゃんとちなつちゃんも誘ってみよう」
向日葵「赤座さんたちも?」
櫻子「うん、人は多いほうがいいじゃん。みんなでやると楽しいし」
向日葵「断られないかしら……」
櫻子「成せばなる!さっそく電話してみよう!」ピッ
櫻子「あっ、もしもしあかりちゃん!」
あかり『突然どうしたの?櫻子ちゃん』
櫻子「夏休みの宿題自由研究もうやった?」
あかり『んーん、まだだよぉ』
櫻子「よかった!じゃあ私たちと一緒にやらない?」
櫻子「私と向日葵とちなつちゃんも誘って4人でさ」
あかり『わぁ~、楽しそうだね』
櫻子「でしょでしょ!?だからさ、今から私の家で集まらない?」
櫻子「そこでいろいろ話し合おうよ」
あかり『うん、わかった。あかりも櫻子ちゃんのお家に行けばいいんだね』
櫻子「流石あかりちゃん!待ってるからね!」
あかり『あははっ、それじゃあまたあとでね』
櫻子「うん!バイバイ!」
ピッ
櫻子「あかりちゃんオーケーだってさ」
向日葵「いや、あなたちゃんと虫採りに行くって説明しましたか?」
櫻子「? これからそれを話し合うんじゃん」
向日葵「あぁ……もういいですわ」
櫻子「よくわからないけどもういいんだな」
櫻子「次はちなつちゃんだ、ちなつちゃんは来てくれるかな」ピッ
櫻子「あっ、もしもしちなつちゃん?──」
ー櫻子の部屋ー
櫻子「諸君、よく集まってくれた」
櫻子「それではただ今より第一回自由研究対策会議を行う!」
あかり「わー」パチパチ
向日葵「はぁ……」
ちなつ「で、自由研究やるって話だったけどなにやるの?」
櫻子「虫採ってそれを観察する予定だよ」
ちなつあかり「えっ」
櫻子「だから、これから田んぼに行って虫を採ろうって」
あかり「えぇ!?聞いてないよ!!」
ちなつ「それならそうと最初に電話で言ってよ!!」
櫻子「話し合ってから決めようと思って」
櫻子「今から虫採ろうと思ってるんだけどそれでいい?」
ちなつ「却下あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
あかり「あ、あかりもちょっと遠慮しときたいかなぁ~」
櫻子「えっ!?なんで!?」
向日葵「当たり前ですわ」
向日葵「だから言わなくていいか聞きましたのに」
ちなつ「そもそも、どうして虫なんてチョイスしちゃったのよ」
ちなつ「もっとマシなのがあったでしょ、雲の観察とか花の観察とか」
櫻子「あー、実はそれには理由があるんだよ」
向日葵「理由?」
櫻子「うん、確かこの辺に……」ゴソゴソ
櫻子「ほら、見てよ。一週間くらい前に昔買ってもらった生き物図鑑が出てきたんだ」
櫻子「これの田んぼの生き物のところ読んでたら捕まえてみたくなっちゃってさぁ~」
櫻子「宿題に自由研究があるならちょうどいいかなって」
櫻子「さっき思いついたんだよ」
あかり「わぁ~、懐かしいなぁ」
あかり「あかりも昔読んだことあるよぉ」ペラ
櫻子「あかりちゃんもか、読み返してみたら結構面白いよ」
あかり「うーん」ペラ
あかり「……ゲンゴロウはちょっと可愛いかも」
櫻子「でしょー!」
ちなつ「えっ、あかりちゃん正気?」
櫻子「ちなつちゃん」ポンッ
櫻子「水カマキリは可愛い水カマキリは可愛い水カマキリは可愛い水カマキリは可愛い」ボソボソボソボソ
ちなつ「あっ、この水カマキリってやつ可愛いかも!」
向日葵「えぇ!?」
ー田んぼー
櫻子「ということで、田んぼにやってきました~」
あかり「わぁ~」パチパチ
向日葵「はぁ……もう逃れられないんですのね」
櫻子「それじゃあ、みんなにはい」
向日葵「虫取り網……」
櫻子「家にあったから持ってきた」
櫻子「他にもバケツの中にいろいろ入れてきたから」
櫻子「ちなつちゃんにはこれっ」
ちなつ「えぇ……って、これなに」
櫻子「昔金魚飼ってたときに使ってた網」
櫻子「虫取り網一個しかなくてさぁ~」アハハ
あかり「あかりのは?」
櫻子「ん?あかりちゃんは舌で捕まえるって言ってなかったっけ?」
あかり「あかりそんなこと言ってないよ!?」
櫻子「あはは、冗談冗談」
櫻子「はい、あかりちゃんにも金魚網」
向日葵「どうして虫取り網が一つで、それが二つあるのよ」
あかり「櫻子ちゃんはどうするの?」
櫻子「ゴム手袋!」パチンッ
ちなつ「正気を疑うわ」
あかり「うーん……なかなか虫さんいないねぇ」
ちなつ「そうだね、おたまじゃくしばっかり」
あかり「……試しにおたまじゃくしさん捕まえてみよう」パシャ
おたまじゃくし「」ピタピタ
あかり「これがカエルさんになるなんて不思議だねぇ」
ちなつ「エラ呼吸から肺呼吸に変わるんだっけ」
あかり「この子はまだ足が生えてないから、カエルさんになるのはもうちょっと後になるかな」
あかり「ずっと捕まえてるのも可哀想だし、逃がしてあげよう」
あかり「おたまじゃくしさん元気でねぇ~」
おたまじゃくし「」スイースイー
水カマキリ「」ガシッ
おたまじゃくし「!?」
あかり「あぁ!?おたまじゃくしさんが捕まっちゃった!?」
ちなつ「これ水カマキリじゃない!可愛い!」
あかり「そんなこと言ってないで早く助けてあげなきゃ!」アタフタ
ちなつ「水カマキリだって生きるためにやらなきゃいけないことだと思うんだけど……」
ちなつ「まぁ、観察のために」スイッ
水カマキリ「」ノソノソ
ちなつ「水カマキリ、ゲットだわ!」
あかり「よかった……これでおたまじゃくしさんも助かっ──」
ヒル「」チュー
おたまじゃくし「」ジタ……バタ……
あかり「うひぇぇぇぇぇぇ!!!??」
──ひぇぇぇぇ!!?
櫻子「あかりちゃんの悲鳴が聞こえる」
向日葵「一体なにがあったんでしょう……」
櫻子「それより!さっきから向日葵全然捕まえてないじゃん!」
櫻子「やる気あんの!?」
向日葵「だって……」
櫻子「せっかく虫捕り網貸してあげたのになんだその体たらくは」
向日葵「カエルもいませんし、
虫はちょっと……」
櫻子「カエルなら探せばいると思うけど」
櫻子「あっ、そうだ」
向日葵「?」
櫻子「これならどう?」ズイッ
タニシ「」ウネウネ
向日葵「きゃぁ!!?」
櫻子「タニシなら虫でもないし、カタツムリみたいなもんだからいけるだろ!」
向日葵「早く捨ててきなさい!!」
櫻子「えっ、なんで?」
向日葵「そんなもの触るくらいなら虫のほうがまだマシですわ!!」
櫻子「ほんっとにわがままだなー」ポイッ
向日葵「フゥー……」
向日葵「……あなたはあれを手で触って平気ですの?」
櫻子「うん、ゴム手袋してるしね」
向日葵「……私にはどう考えても不可能ですわ」ハァ
櫻子「フッ」
櫻子「まぁ、向日葵はか弱い乙女だもんね~」
向日葵「」ムッ
櫻子「仕方ないよね、櫻子様に度胸でも運動でも一度も勝てたことないし」
櫻子「ビビりの向日葵はそこで私ががっぽがっぽと虫を捕まえるのを指を咥えて眺めてるといいよ」
櫻子「あっはっはっはっはっ!!」
向日葵「ぐぬぬぬぬ……!!」
ブチッ
向日葵「──負けませんわ!!」
櫻子「うわ、なんだ!?」
向日葵「私が櫻子に負けるなんてありえませんわ!」
向日葵「絶対に私のほうが櫻子よりもたくさん捕まえてみせますから!」
向日葵「勝負ですわ!」
櫻子「むっ、言ったな!?よし、受けて立つ!」
櫻子「向日葵が気を失うくらいいっぱい捕まえてやるからな!」
向日葵「やれるものならやってみなさい!!」
櫻子「じゃあ今からスタート!」
向日葵「10分間でより多く虫を捕まえたほうの勝ちですからね!」
櫻子「望むところだ!」
向日葵「負けられませんわ」
向日葵「なにか触れそうな虫……」キョロキョロ
おたまじゃくし「」スイースイー
ヒル「」ニュロロロロ
タニシ「」ウネウネ
向日葵「ロクな生き物がいない!!」
向日葵「そもそも、虫自体数が多くないじゃありませんの!」
向日葵「櫻子は……」チラッ
櫻子「よっしゃあ!カブトエビゲットォ!」
向日葵「なにかグロテスクな生き物を捕まえてますわ……」
向日葵「くっ……!私もなにか捕まえなくては!」
アメンボ「」スイスイ
向日葵「……」
向日葵「アメンボ……」
向日葵「えいっ」パシャ
向日葵「やった!捕まえましたわ!」
向日葵「まずは一匹目!これをバケツに移して次を」
向日葵「バケツに……どうやって?」
向日葵「アメンボは小さいから網をバケツの上で振っても落ちない……」
向日葵「えっ、どうしろと?」
向日葵「とりあえず振ってみましょう」ブンブン
アメンボ「……」
向日葵「……全然落ちない」ブンブン
向日葵「そうだ、網をバケツに被せていれば自然とバケツの中に入っていくはず」
向日葵「よし、セット完了。あとはこのまま放置すれば終わりですわ」
向日葵「……」
向日葵「櫻子はどうしてるかしら……網も使えないし、見に行ってみましょう」
櫻子「……」ジー
向日葵「あっ、いた」
向日葵「あんな真剣な顔した櫻子久しぶりに見ましたわ」
櫻子「……!これは!!」パシャ
櫻子「おぉ!!すげぇ!!」
向日葵「? どうしましたの?」
櫻子「あっ、向日葵」
櫻子「ほら、タガメ見つけた」
タガメ「」ノソノソ
向日葵「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!???」
向日葵「なななんですのそれは!!」
櫻子「タガメっていう虫だよ。すげぇ、初めて見た」
向日葵「虫の癖にデカ過ぎません!?」
櫻子「それがこいつの魅力だよ、かっこよくない?」
向日葵「おぞましい!!」
櫻子「酷いこと言うな」
櫻子「てゆーか、向日葵は虫捕まえなくていいの?」
櫻子「もうすぐ10分経つよ」
向日葵「私は一匹捕まえましたから」
櫻子「一匹だけ?私はもう五匹捕まえたけど」
向日葵「なんですって!?」
櫻子「ふふん、どうやらこの勝負は私の勝ちになりそうだな」
向日葵「アメンボが早く網から出てくれさえすれば……!」ギリッ
櫻子「?」
向日葵「多分もうそろそろバケツの中に入る頃ですわ、早く向かわなくては!」スタスタ
櫻子「タガメ入れなきゃいけないし、私も行こ」トコトコ
向日葵「よし!もう網にはいませんわ!」
櫻子「なぁ、さっきからなにしてんの?」
向日葵「なにって」
向日葵「こういう風に網をバケツに被せて、捕まえたアメンボが網からバケツの中に降りるのを待っていたに決まってるじゃありませんの」
櫻子「えっ、普通に手で落とせばいいじゃん」
向日葵「?」
櫻子「?じゃなくて」
向日葵「虫を、手で落とすってなに?」
櫻子「あぁ……」
向日葵「ふふっ、おかしな櫻子」
向日葵「さぁ、これから追い上げますわよ!」ガバッ
向日葵「……あら?」
櫻子「今度はどうした」
向日葵「アメンボが……」
櫻子「んー?」
櫻子「なにこれ、なんにも入ってないじゃん」
向日葵「そ、そんな……バカな……」
櫻子「網から逃げちゃったんじゃないの、この網バケツよりも大きいし」
向日葵「あんなに苦労して捕まえたのに……」ガクッ
櫻子「あっ、もう10分経った」
櫻子「これで私の勝ち決定だな!」ドヤ
向日葵「屈辱ですわ……」
あかり「あっ、櫻子ちゃん向日葵ちゃん」
ちなつ「バケツの前でなにしてるの?」
櫻子「私は勝利の余韻に浸ってる」
櫻子「向日葵は、敗北の味を噛み締めてるところ」
向日葵「」ボー
あかりちなつ「?」
櫻子「そうだ、あかりちゃんとちなつちゃんはなにか捕まえられた?」
ちなつ「うん、私は水カマキリ捕まえたよ」
あかり「あかりは水面を逆さに泳ぐ虫さん捕まえたよぉ」
櫻子「おぉ、マツモムシじゃん」
櫻子「こいつ面白いよねぇ」
あかり「なんだか忍って感じでかっこよかったから捕まえちゃった」エヘヘ
櫻子「二人とも研究する虫確保できてよかったね」
あかり「結局ゲンゴロウさんはいなかったけどね」
櫻子「ゲンゴロウは難しいんじゃないかなぁ」
櫻子「前テレビで絶滅危惧種に指定されたって言ってたし」
あかり「そっかぁ……」
ちなつ「櫻子ちゃんはなに捕まえたの?」
櫻子「フフン、私はこれだけ捕まえたよ!」
あかり「わぁ~、いっぱいだねぇ」
ちなつ「すごい、なんかデカイやつもいる」
あかり「これタガメだよぉ」
あかり「これもすっごく珍しいんじゃない?」
櫻子「あっはっはっ、まぁね」
櫻子「絶滅危惧種だって私にかかればちょろいもんよ!」
あかり「櫻子ちゃんはすごいなぁ~」
ちなつ「このタガメってやつかっこいい!」
向日葵「(二人ともおかしくなってきてますわ……)」
ちなつ「向日葵ちゃんはなに捕まえたの?」
向日葵「私は……水中に潜む微生物を」
櫻子「なにも捕まえられなかったってさ」
ちなつ「ド、ドンマイ!次があるよ!」
向日葵「次なんてまっぴらごめんですわ……」
あかり「あかりたちも手伝うから、ね?」
櫻子「……しょうがないなぁ」
櫻子「ほら、あげる」
向日葵「? これは?」
櫻子「カブトエビ、なにも捕まえられなかったの向日葵だけだし、くれてやるよ」
向日葵「櫻子……」
向日葵「遠慮しときます」
櫻子「なんでだよ!!」
結局向日葵ちゃんは一人で雑草の観察記録をまとめて提出しました
完
ーあかりちゃんがマツモムシと出会うまで編ー
あかり「うぅ……おたまじゃくしさんが……」
ちなつ「あかりちゃん、元気出して」
ちなつ「これは食物連鎖ってやつで、生き物ならみんなやってることだから。あかりちゃんも牛とか豚に同じことやってるし」
あかり「仕方ないことなんだね……」グスッ
ちなつ「そうだよ!気を取り直してまた捕まえよう!」
あかり「うん……」
ちなつ「あかりちゃんが欲しいのってゲンゴロウだっけ?」
あかり「そうだよぉ」
あかり「でも、ゲンゴロウさんって珍しいみたいだから、捕まえるのは難しいかも」
ちなつ「大事なのは欲しいっていう気持ちだよ、私だって水カマキリ捕まえられたんだし」
あかり「うん……?(水カマキリって学校のプールにもたまにいるし、そこまで珍しくはないんじゃないかな)」
ちなつ「ファイト!」
あかり「よーし、あかりも頑張るよぉ」
あかり「絶対にゲンゴロウさん捕まえちゃうんだから!」
ちなつ「その息だよ、あかりちゃん」
あかり「隅から隅まで観察して見逃さないようにしなきゃね」キョロキョロ
ちなつ「私も手伝うよ」
あかり「ありがとう、ちなつちゃん」
ー10分後ー
あかり「み、見つからない……」
ちなつ「それっぽいのいないね、水カマキリならもう一匹いたけど」
あかり「やっぱりこの辺にはいないのかなぁ……」
ちなつ「諦めちゃ駄目だよ、頑張ろ」
あかり「そうだね」
ちなつ「──あっ、これは!?」
パシャ
ちなつ「あかりちゃん!ゲンゴロウ捕まえたよ!」
あかり「本当!?」
ちなつ「うん、ほら!」
あかり「わぁ~♪……ん?」
ガムシ「」ノソノソ
あかり「これは……ゲンゴロウさんじゃないかも?」
ちなつ「えっ、そうなの?」
あかり「うん、多分だけど」
ちなつ「そっかぁ……ごめんね」
あかり「あ、謝ることないよぉ!あかりちなつちゃんが頑張ってくれてすごく嬉しかったんだから!」
ちなつ「ふふ、ありがとう」
ちなつ「それじゃあ、この子どうしようか。ゲンゴロウじゃないなら逃がしちゃう?」
あかり「うーん」ジー
ガムシ「」バタバタ
あかり「せっかくだけど……」
ちなつ「そう……」
ちなつ「じゃあね、ゲンゴロウみたいな虫」
ガムシ「」パシャパシャ
ちなつ「なんか必死に泳ぐ虫だなぁ」
乙っす
向日葵かわいい
あかり「あっ、これなんだろう」
ちなつ「ん?どれ?」
あかり「ほら、このアメンボさんみたいなの」
ちなつ「んー?」
マツモムシ「」スイスイ
ちなつ「これ確かにアメンボっぽいけど、水の中泳いでない?」
あかり「だよねぇ、しかも逆さまになって泳いでるよ」
あかり「……」ジー
あかり「えいっ」パシャ
あかり「やったっ♪」
ちなつ「それ観察するの?」
あかり「うん、なんだかすごい虫さんだなぁって」
ちなつ「そっか、よかったね!」
あかり「うん!」
こうしてあかりちゃんはフェイバリットを見つけた
完
乙
面白い
おっつりん
乙
ほのぼのした
乙!!!
ゲンゴロウも小型のゲンゴロウ(≠コガタノゲンゴロウ)とかだと都会にもわりといるんやで……
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