――魔王の居城
ダダダッ!
勇者「ハァ…ハァ……」
勇者「扉が、見えてきた……! 私の、ゴールが…」
勇者「ハァッ…!」
柄にも無く。私は、緊張をしていた。
自らの芯から湧き出る熱い闘志に、痺れた。
カチャッ
──そうして、紅の扉に手をかけて…。
ギィ…!
勇者「……魔王」
*「……」
そこに鎮座していたのは、紛れもない、諸悪の根源たる…。
勇者「──魔王ッッッ!」ゴォォォ
魔王「……来たか。死を受け入れに…」
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スッ…
勇者 (っく…! 立ち上がるだけでも相手を吹き飛ばすような、そんな凄まじいプレッシャー……!)
魔王「それで、貴様の仲間はどこに隠れている?」
魔王「私に闇討ちなど、蟻の目玉を探すくらいに、至極無駄な行為だぞ……!」
勇者「闇討ち? ……ふっ」
魔王「……」ギロッ
勇者「僕がそんな愚考に走るとでも? 否ッ!」
勇者「僕は光の勇者だ!」
魔王「……ほう、ほーう」
魔王「ンフッハッハッ! この私相手に単身、一人で来たのかァ、勇者!!」ドッ
勇者「だったら何がおかしいんだ!」
勇者「お前の放った五つの刺客も、僕のこの剣で切り伏せたぞ!」
魔王「笑止。人間の希望たる勇者『殿』が、まさかァ……」
魔王「くくっ…!」
魔王「『ぼっち』だったとはなァーッッッ!!」
勇者「──ひんッ!?」ビクッ
勇者「ぼぼ、ぼっちとはッ…なんだ!」アタフタ
魔王「狼狽えておるわ…くくっ」
勇者「このォ!」チャキッ
魔王「おおっと、そんな物騒なものを私に向けると……」
グニャッ
勇者「──っ!? 剣が折れた……いや!」
勇者「『歪』んだァッ!?」
魔王「……ここは魔王である私の居城」
魔王「その魔の根源たる地に、身一つで、あまつさえ何の策も無しとはな」
勇者「っく!」
魔王「死ぬがよい。阿呆な希望など、私の崇高な闇で塗り替えてくれるわッ!」
ドドドッ!
勇者 (聞いたことがある……魔王はこの世のものではない、異界の呪文で敵を塗りたくると…!)
勇者 (異界の呪文……それに対抗出来るのは、同じ異界の呪文である…この、光の呪文ッ!)
勇者 (しかしこれは使うと何が起こるか…… )
魔王「さあ、失せるがいいッ!」
勇者「……背に腹は変えられない!!」
魔王「何をしようと無駄だぞ、勇者ァ!」
魔王「我が異界呪文『デッカホンマ』は何物も打ち消す!」
勇者「じゃあやってごらんよ、へっぽこォッ!」
勇者「異界呪文『ヤネンナンデヤ』ァッッッ!」
魔王「なっ、何ッ!? 異界呪文だどォォォォーーーーッッッ!?」
勇者「ウララララァァァァーッ!!」ゴォ!
まさかの明石家大戦
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