女「よっしゃ行くで! うちのジャイロボール!」 勇者「よし、こい!」 (4)



――魔王の居城


ダダダッ!


勇者「ハァ…ハァ……」

勇者「扉が、見えてきた……! 私の、ゴールが…」

勇者「ハァッ…!」


柄にも無く。私は、緊張をしていた。

自らの芯から湧き出る熱い闘志に、痺れた。

カチャッ

──そうして、紅の扉に手をかけて…。


ギィ…!


勇者「……魔王」

*「……」

そこに鎮座していたのは、紛れもない、諸悪の根源たる…。


勇者「──魔王ッッッ!」ゴォォォ


魔王「……来たか。死を受け入れに…」




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スッ…


勇者 (っく…! 立ち上がるだけでも相手を吹き飛ばすような、そんな凄まじいプレッシャー……!)

魔王「それで、貴様の仲間はどこに隠れている?」

魔王「私に闇討ちなど、蟻の目玉を探すくらいに、至極無駄な行為だぞ……!」

勇者「闇討ち? ……ふっ」

魔王「……」ギロッ

勇者「僕がそんな愚考に走るとでも? 否ッ!」

勇者「僕は光の勇者だ!」


魔王「……ほう、ほーう」


魔王「ンフッハッハッ! この私相手に単身、一人で来たのかァ、勇者!!」ドッ


勇者「だったら何がおかしいんだ!」

勇者「お前の放った五つの刺客も、僕のこの剣で切り伏せたぞ!」


魔王「笑止。人間の希望たる勇者『殿』が、まさかァ……」


魔王「くくっ…!」



魔王「『ぼっち』だったとはなァーッッッ!!」

勇者「──ひんッ!?」ビクッ

勇者「ぼぼ、ぼっちとはッ…なんだ!」アタフタ

魔王「狼狽えておるわ…くくっ」

勇者「このォ!」チャキッ

魔王「おおっと、そんな物騒なものを私に向けると……」

グニャッ

勇者「──っ!? 剣が折れた……いや!」

勇者「『歪』んだァッ!?」

魔王「……ここは魔王である私の居城」

魔王「その魔の根源たる地に、身一つで、あまつさえ何の策も無しとはな」

勇者「っく!」


魔王「死ぬがよい。阿呆な希望など、私の崇高な闇で塗り替えてくれるわッ!」


ドドドッ!


勇者 (聞いたことがある……魔王はこの世のものではない、異界の呪文で敵を塗りたくると…!)

勇者 (異界の呪文……それに対抗出来るのは、同じ異界の呪文である…この、光の呪文ッ!)

勇者 (しかしこれは使うと何が起こるか…… )


魔王「さあ、失せるがいいッ!」


勇者「……背に腹は変えられない!!」


魔王「何をしようと無駄だぞ、勇者ァ!」

魔王「我が異界呪文『デッカホンマ』は何物も打ち消す!」

勇者「じゃあやってごらんよ、へっぽこォッ!」


勇者「異界呪文『ヤネンナンデヤ』ァッッッ!」


魔王「なっ、何ッ!? 異界呪文だどォォォォーーーーッッッ!?」


勇者「ウララララァァァァーッ!!」ゴォ!

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