泉の精「お前が落としたのはこの金の斧か?」 俺きこり「えっ?!」 (18)

俺きこり(以下、俺)「えーと・・・」


泉の精「では、この古臭い鉄の斧か?」


俺「そ、それです。その鉄の斧です!(古臭くて悪かったな!)」


泉の精「正直者でよろしい。褒美にこの金の斧を受け取るがよい」


俺「やったあ!」

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次の日、森の中。

俺「よお、みんな聞いてくれ。昨日かくかくしかじかな事があってね」

若いきこり「へぇ、金の斧ッスか。すげーっすね」

中年のきこり「どれ、ちょっと見せてみ?」

俺「金ぴかできれいだろう」ドヤァ

中年のきこり「おいお前、これ金じゃねーよ。ただの金メッキだよ。
中身はただの鉄で」

俺「えっ」

中年のきこり「金の比重は19.3もあるんだ。そんな斧、軽々と持ち歩ける
わけねぇだろうが。少しは考えろよ、このゆとり」

若いきこり「俺さんって、一応大学出てんっすよね?ww そんなことも
知らなかったんスか?wwww」

俺「ぐぬぬぬぬぬ」

翌日、森に通じる道。

俺「くっそ。昨日はとんだ恥をかいた。あの泉の精、俺を騙しやがって。
呼び出して抗議してやる」

泉の前。

俺「やっと着いた。腹が減ったな。まずは昼飯にしよう。あっ!」

ころころ~(昼飯用のおにぎりをうっかり落としてしまう)

ちゃぽん!

俺「あちゃー、唯一の昼飯が・・・」

泉の精「・・・・・・」ザバァ

俺「あ、てめぇ、昨日はよくパチモンを・・・」

泉の精「お前が落としたのはこの小さなお握りか? それともこっちの
特選デラックス牛肉弁当か?」

俺「え・・・・・・」

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泉の精「さぁ、どっちだ?」

俺「・・・・・・」(頭を働かせている)

泉の精「?」

俺「・・・小さなお握りの方です」

泉の精「お前は正直でよろしい。褒美にこちらの特選デラックス牛肉弁当をやろう」

俺「いやっほう!(要領が分かってきたぞ)」

翌日、泉の前。

俺「今日は試しに、この安物の時計を入れてみるか。それっ」ポチャン

ザバァ

泉の精「お前が落としたのは、この得体の知れないメーカーの安時計か?
それとも、こちらの最新式ロレックスか?」

俺「安い方です! 怪しげな露天商から1000円で買ったショボイやつです!」

泉の精「お前は実に正直者だ。褒美にこのロレックスを受け取るが良い」

俺「ありがとうございますwwwwww」フヒヒ

泉の精「・・・・・・・・・」イラッ

俺はこの調子で家電や衣服も次々と新しいものに変えていった。
最新式のPC、スマートフォン、バイク、発売前のエロ本、最高級ダッチワイフ
など。

そして別の日、泉の前。

俺「今日はこの中古車を泉にぶち込んでやる。おりゃああああ!!」ドボーン!

ザバァ! 

泉の精「お、お前が落としたのはこの型落ち中古アルトか? それとも
こちらの日産スカイラインか?」

俺「は? レクサスじゃねぇの? もしくはベンツ」

泉の精「・・・・・・・・・」

俺「かーらーのー?」

泉の精「・・・お前が落としたのはこの型落ちした中古アルトか? それとも
こちらのレクサスNX200tか?」

俺「俺としては300hの方が好みなんだけど。まっ、いーや。もらっといて
やんよ」フヒヒ

俺(次は今のボロアパートの賃貸契約書でも放り込んでみるか。ハズレ馬券とか
も近々試してみよう)


数日後。きこりが集う喫茶店。

若いきこり「俺さん、なんか最近マジで羽振りいいッスね」

俺「あん? まぁな。俺には金儲けの才能があんだよ」

中年のきこり「怪しげな商売には手を出すんじゃねぇぞ?」

俺「こう見えて慎重にやってますから大丈夫ですよ。いきなり古銭とか
ハズレクジとか放り込んだりしてませんから」

中年のきこり「古銭? クジ?」

俺「いやいや、こっちの話ww」

若いきこり「あ、ところで話変わるッスけど、俺、来月結婚するんッスよ!」

俺「おっ! マジかよ。おめでとう」

中年のきこり「相手は誰だ?」

若いきこり「商店街のたまこさんッス」///

俺(何ッ?!)汗

中年のきこり「商店街のたまこって、あの餅屋の?! すっげぇ別嬪じゃねぇか!」

若いきこり「めっちゃ可愛いっすよ」///

俺「・・・・・・・・・・・・」ワナワナブルブル

若いきこり「あれ? 俺さんどーしたんスか? 急に黙りこんで」

中年のきこり「ははは。おめーもたまこを狙ってたのか? こいつに
先を越されちまったな!wwwwww」

俺「そ、そんなことないですよ?」ニコー(冷や汗)

若いきこり「俺さんは仕事が恋人なんッスよねww」

中年のきこり「もしくは現ナマが恋人」

俺「ははは。そう、俺は女より仕事をとるよ・・・・・・男は仕事だ!」冷や汗

俺の内心(くっそおおおおおおおお!!!! 泉の精に夢中で、たまこへの
アプローチがおろそかになってしまった。こうなる前にデートに
誘っておけばよかった!)

俺の内心(いや、そんなにたまこが大好きだった訳じゃないよ? 
ちょっといいなって思う程度でさ! でもいざその子と他人が結婚するとか
聞かされたらめっちゃ微妙な気分じゃん? わかるかなぁ! この複雑な気持ち!)


俺はあることを思いついた。

夕方、森を下った商店街。

俺「ごめんください」

肉屋の主人「らっしゃい、きこりさん。今日は鶏肉が安いよ!」

俺「いえ、買い物じゃなくて。今、トンコさんいますか?」

肉屋の主人「ああ、トンコ? ちょうど配達から帰ってきたところだ。出すよ」

トンコ(肉屋の一人娘)「冴えないきこりがこのアタシに何の用?」

俺(いつ見てもぶっさいくな奴だなぁ・・・。鼻の穴でかいし・・・)

トンコ「何黙ってんの?」

俺「久しぶりに今から森へ散歩しないか?」

トンコ「えっ!? 何で?」

俺「お前とデートしたいんだよ」

トンコ「ええぇっ! ///」

俺「幼馴染だと思って油断してたら、俺の方から惚れちまったぜ」

トンコ「ぶっ! キュ~。支度してくりゅうう」/// パタパタ

俺(ブスはチョロいな。あとはコイツを泉に放り込むだけだ。
とびっきりの美人と交換してやる)

森の泉。

トンコ「こんなところにキレイな泉があるわ?」

俺(よーし。コイツが後ろを向いている今がチャンスだ!)

俺「とりゃあ!」ドン!

トンコ「きゃあ! 何突き飛ばそうとしてんのよ! 危ない!」

俺(踏ん張ってやがる! なんて脚力だ! こいつは相撲取りか?!)

トンコ「さてはアタシを泉に突き落として溺死させるつもり?」

俺「ま、まさか・・・。ちょっと驚かせようとしただけで(マズいな・・・)」

トンコ「嘘おっしゃい。明らかな殺意を感じたわ?」

俺「大げさな」

トンコ「最初から怪しいと思ってた。きこりの分際で、このアタシにデートの
誘いを申し込むなんて」

俺「ムカつく言い草だな。調子に乗るな、このブサイク」

トンコ「うっさい。糞きこり」

俺「きこり舐めんな!」

トンコ「ブサイク舐めんな! このぉ! えいっ!」(背負い投げ)

俺「うあああああああああああああああああああああ」ドッボーン!

トンコ「泉で溺れて頭を冷やすがいいわ! あら?」

ザバァ・・・

トンコ「きゃっ!」

泉の精「あなたが落としたのはこの人間のクズのきこりか? それとも
こちらの性格の良いイケメンか?」

俺「助けてくれえええええええええええええええ」

イケメン「・・・・・・・・・」ニコニコキラキラ☆

トンコ「・・・・・・・・・」

泉の精「さぁ、どっちだ?」

俺「俺を助けてくれえええええええええええええ!!!」

トンコ「・・・もちろん、そっちのイケメンの方ですっ! きこりなんて大嫌いだし!」

俺(やった! 助かる! トンコグッジョブ!!)

泉の精「正直でよろしい。お望み通り、そちらのイケメンをやろう。
こちらのクズのきこりは適当に沈めておく」

トンコ「お願いします!」

俺「なぜだああああああああああああああああああああ!!!」ブクブクブク・・・


 その後、俺は二度と日の目を見ることは無かった。

エピローグ。

きこりが集う喫茶店。

中年のきこり「昨日、俺君が肉屋のトンコに告白してたってな」

若いきこり「マジッスか」

中年のきこり「うん。意外だな。あんなブスを誘うなんて。
あいつって色物好きだったのか」

若いきこり「アレじゃないッスか? 見た目より内面が大事とか・・・そういう的な?」

中年のきこり「かもな。ところで、たまこちゃんとは上手くいってるの?」

若いきこり「超仲イイッスよ。毎日ヤりまくってるッス!wwwwww」

中年のきこり「いいなぁ。お、もうこんな時間だ。そろそろ仕事に戻るぞ」

若いきこり「そうッスね。俺さんも言ってたけど、男は仕事ッスよね!」


 そして二人は森へ戻った。


おわり。

イイハナシダナー



面白いし上手くまとまってるな


絵本にしよう

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