京子「結衣ー、今日泊りに行っていい?」
結衣「またか……まあいいけどさ」
京子「今日の晩御飯は豪勢なのがいいなあ~♪」
結衣「はいはい……何か考えておくよ」
京子「ほんと?楽しみ!」
結衣「もう……京子は仕方ないなあ」
京子「えへへ」
その日、結衣は豪華な焼き肉を用意していたが京子は泊りに来なかった。
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~翌日~
~学校~
京子「それでさー、昨日見たアニメが面白くて!」
綾乃「そ、そうなの」
京子「思わず今度の同人のネタに……」
結衣「京子!」ドンッ
京子「うわっ、なにさ結衣、朝から大きな声出して」
綾乃「船見さん、おはよう」
結衣「あ、うん、綾乃おはよう」
京子「京子ちゃんにおはようの挨拶は無いのか!」
結衣「無いよ」
京子「えー……」
結衣「というかさ、京子昨日はどうしたの?ずーっと待ってたのに」
京子「え?」
結衣「携帯にも出ないしさ、来れなくなったんならちゃんと連絡してくれないと困るよ」
京子「……」
結衣「折角用意した豪華なご飯が無駄に……」
京子「……ごめん」
結衣「京子?」
京子「実はさ……昨日、家に帰ったら親戚から連絡があって……」
結衣「うん」
京子「親しくしてた親戚の伯母さんが亡くなったって……」
結衣「!!」
京子「それで、昨日は親戚の家に行ってて、携帯とか見てる余裕なかったんだ……」
結衣「そ、そうか……」
結衣「それなら仕方ないよな……ごめんね、京子の都合知らないのに厳しい事言っちゃって……」
京子「ううん、いいよ、結衣には迷惑かけたのは事実だからね……」
結衣「京子……」
京子「おっと、結衣、そろそろ授業始まるよ」
結衣「あ、うん」
京子「一時間目は……体育かあ、朝からきついなあ」
結衣(京子、親しい叔母さんが亡くなって辛いだろうに……無理してるのかな……)
結衣(けど、京子が普段通りの態度を望んでるなら、私もそれに応えないとね)
京子「さ、行くよ~結衣~」
結衣「うん、今行くよ」
~グラウンド~
教師「よーし、今から二人一組になってパスの練習ね」
「「「「はーーーい」」」
京子「よし、結衣!一緒に組もうぜ~!」
結衣「うん、いいよ」
京子「あ、ちょっと待っててね?ボール持ってくるから」
結衣「ありがとな」
京子「~♪」スキップ
綾乃「あ、と、歳納京子///」
京子「ん?どったの?綾乃」
綾乃「あ、あ、あのっ、もしよかったら私と組んでくれないかしら……」モジモジ
京子「んー……」
綾乃「……」ドキドキ
京子「いいよ~♪」ニコ
結衣「うーん、京子遅いなあ」
教師「はーい、みんなちゃんと組めた?余ってる人はいない?」
「「「はーーーい」」」
教師「じゃあ、各自練習を始めてね」
結衣「まだ戻ってこない……一体どうしたんだ」
結衣「ちょっと見に行こう……」
京子「はーい、行くよ綾乃~♪」ポーイ
綾乃「え、えいっ!」バシッ
京子「あはは、綾乃うまいうまい!」
結衣「……京子?」
京子「え?なに?どったの結衣」
結衣「……どったのって、お前何してるの」
京子「パスの練習だけど」
結衣「え、なんで?綾乃と?」
綾乃「あ、あの、どうかしたの?」
結衣「京子は私と組む約束してただろ?」
京子「え?」
綾乃「え?」
結衣「な、なに驚いてるんだよ」
綾乃「あ、ご、ごめんなさい……」
結衣「い、いや、綾乃の事じゃなくて……」
京子「やめてよ、結衣、綾乃は悪くないじゃん」
結衣「お前だよ!」
京子「え?え?どういう事?」
結衣「だから!お前と私が組む約束をしてただろ!」
綾乃「……!」ビクッ
京子「え?」
綾乃「あ、あの、歳納京子?船見さんと約束してたならそう言ってくれれば……」
京子「結衣、ちょっと我儘が過ぎるんじゃない?」
結衣「!?」
綾乃「……」
京子「綾乃は悪くないよ、ごめんね、また今度ね?」
綾乃「え、ええ」
結衣「……」
結衣「京子、どういうつもりさ」
京子「はい、結衣、パス行くよ~」
結衣「京子!」
京子「練習しないの?怒られちゃうよ?」
結衣「くっ……」
結衣(何なんだ京子のヤツ)
結衣(訳が判らない)
~教室~
京子「あー、体育疲れたー……もうご飯食べたい……」
綾乃「もう、まだ3時限目よ?」
結衣「……」
京子「うー……あ、そういえば宿題出てたんだっけ」
綾乃「ちゃんとやってきたの?歳納京子」
京子「えへへ、忘れた……」
結衣「……貸さないからな」
京子「そ、そんな!酷いよ結衣にゃん!どうしてそんな酷い事言うの!?」
結衣「自分の胸に手を当てて考えてみろ」
京子「結衣、お願い!すぐ返すから宿題見せて!」
結衣「駄目」
京子「昨日は色々あったから時間なかったの!一生のお願いだから!」
結衣「……」
結衣(そっか、昨日は親戚の伯母さんが亡くなったんだった)
結衣(体育の時間に様子が変だったのも、そのせいかな……)
結衣(だめだな、私は、ちゃんと京子の事を支えてあげないと行けない時期なのに)
結衣「……仕方ないな、今回だけだぞ?」
京子「マジ?やりい♪」
結衣「私はちょっとトイレに行ってくるから、その間にノート写して机に戻しておいてね」
京子「おう!」
カキカキカキカキ
京子「出来たー」
京子「さて、あとは結衣のノートの宿題が載ってるページを、と」ビリビリ
京子「こうして、破って丸めて……」グリグリ
京子「ゴミ箱へ、どーーーーん!!!」ドカンッ
結衣「ふう……」スタスタ
京子「……」
結衣「お、ノート戻ってきてるな……ちゃんと写し終えた?」
京子「うん」
結衣「そっか、よかった」
京子「あ、先生が来たよ~」
教師「さて、では先日出した宿題を回収します」
教師「各自、ノートを持ってきてください」
教師「では確認しますね」
教師「……」ペラペラ
教師「……」ペラペラ
教師「船見さん?」
結衣「はい?」
教師「貴方だけ宿題が出てないようだけど」
結衣「え、ちゃんとノート出しましたよ?」
教師「ノートはありますが、宿題が解かれたページは無いようですよ」
結衣「え?」
京子「……」
結衣「え?」
教師「珍しいですね、船見さんが宿題を忘れるなんて」
結衣「そ、そんなはずは……」
京子「……」
結衣「……京子?」
~休み時間~
結衣「……京子、ちょっと話があるんだけど」
京子「え?」
結衣「さっき、私のノートを課したよね?」
京子「うん、借りたね」
結衣「あの時、私のノートに宿題の回答載ってたよね?」
京子「うんうん」
結衣「けど、私が提出したノートには宿題の回答載って無かったんだよ」
京子「マジで~?」
結衣「……」
結衣「京子、私のノートに何かした?」
京子「え、してないけど」
結衣「本当に?」
京子「私が何したって言うの?」
結衣「何したって言うかさ……ノートのページが破られた跡が残ってるんだけど」
京子「え?それを私がやったって言うの?」
結衣「そ、それは」
京子「私がそんな事して何の得があるの?」
結衣「わ、判んないけど、けど京子以外に考えられないだろ」
京子「……」
結衣「どうしてこんなことするの?私何か悪いことしたかな」
京子「……」
結衣「京子?」
京子「……ごめん」
結衣「……やっぱり京子がノート破ったの?」
京子「ごめん……」
結衣「い、いや、ほんとにやったの?」
京子「……」
結衣「なんで?なんでそんなこと!」
京子「……」
結衣「私怒られたんだよ!?先生に!」
京子「……」
結衣「悪ふざけもいい加減に!」
京子「……」グスッ
結衣「……!」
京子「ご、ごめんね、結衣、ごめん……私も判んないんだよ」グスッ
結衣「京子……」
京子「昨日色々あって、頭の整理が上手く出来なくて……自分でも何やってるんだか、判んないんだ……」ヒック
結衣「……そ、そうだったのか」
京子「ごめん、ほんとにごめん……」グスン
結衣「いや……こちらこそごめん……京子がそんなに弱ってたなんて気付かなくて……」
京子「……」グスン
結衣「今日はもう授業ないし、もう帰る?」
京子「……」コクン
結衣「そっか、じゃあ送ったげるよ」
京子「……おこってないの?」
結衣「そりゃあ怒ってるけど……それ以上に心配だからね、京子の事」
京子「ありがと……」
結衣「ほら、じゃあ荷物持ったげるから、帰ろう?」
京子「うん……あ、ごめん、ちょっとだけトイレ」
結衣「ん、じゃあトイレの前で待ってるから」
京子「うん」
~30分後~
結衣「……いくらなんでも遅すぎないか、京子」
結衣「おーい、大丈夫ー?」
シーーーーン
結衣「京子?」コンッコンッ
キィィィィ
結衣「あ、あれ、扉あいてる」
結衣「……」
結衣「……」
結衣「京子?」ソッ
結衣「誰もいない?」
結衣「あ、窓があいてる」
結衣「……」
結衣「……」
結衣「まさか……」
~ごらく部~
京子「ちなちゅ~♪」
ちなつ「ちょっと京子先輩ヤメテクダサイ!」
あかり「あはは、京子ちゃんは今日も元気だねえ」
京子「そりゃあそうよ!元気なだけが取り柄だしね!」
結衣「京子!」バンッ
京子「……!」ビクッ
ちなつ「……!」ビクッ
あかり「……!」ビクッ
あかり「ゆ、結衣ちゃんか、凄い勢いで襖開けるからびっくりしちゃったよお」
ちなつ「結衣先輩、こんにちは、どうかしたんですか?血相変えて」
京子「よー、結衣どったの」
結衣「どったのじゃねえ!!」ガンッ
京子「痛っ」
あかり「ゆ、結衣ちゃん!?」
ちなつ「結衣先輩、ど、どうしたんですかいきなり」
京子「……」
結衣「京子、私さっき言ったよね?一緒に帰ろうって」
京子「……はい」
結衣「どうして部室にいるの?」
京子「ごめんなさい……」ビクッ
結衣「どうしてって聞いてるんだけど」
京子「ごめんなさい……もう殴らないでください……」ビクビク
結衣「京子、私は京子の事を心配して……!」
京子「ごめんなさい、ごめんなさい、結衣の言うとおりです……」ビクビク
ちなつ「あ、あの、結衣先輩?その辺で……」
京子「私が悪いの、全部私が、だから殴らないで……」ビクビク
結衣「こ、この……なんで被害者ぶってるんだよっ!」
京子「ひっ……」
あかり「やめてよ結衣ちゃん」ガシッ
結衣「あ、あかり離して!」
あかり「離さないよ、だって結衣ちゃんはまた京子ちゃんを殴ろうとしてたよね?」
結衣「そ、それは、理由があって……」
あかり「理由があったら人を殴っていいの?それに京子ちゃんもこんなに謝ってるんだよ?」
ちなつ「そ、そうですよ、何があったかは知りませんけど、こんな京子先輩ははじめてみますし……」
京子「ごめんなさい、ごめんなさい、もう殴らないで……」ビクビク
あかり「大丈夫だよお、京子ちゃん、あかりが守ってあげるから、ね?」
京子「……」プルプル
結衣「な、なんだよそれ……」
あかり「結衣ちゃん、ごめんね、今日は帰ってくれるかな」
結衣「な、なんでさ」
あかり「だって京子ちゃんこんなに怯えてるし、ちゃんとお話しできないよね」
結衣「そ、それは……」
あかり「だから、ね?今日は帰って?」
結衣「……」
ちなつ「あ、あの、京子先輩が落ち着けばきっと仲直りできますよ」
結衣「……それじゃあ、まるで私が悪いみたいじゃないか」
あかり「そんな事は言ってないよお」
ちなつ「そ、そうですよ」
結衣「……」
京子「……」プルプル
結衣「……判った、今日は帰るよ」
あかり「良かったよお」
ちなつ「……」ホッ
~結衣宅~
結衣(なんだよ、あかりもちなつちゃんも……)
結衣(京子の肩ばかり持って……)
結衣(……)
結衣(……)
結衣(けど、確かに厳しく言い過ぎたかな)
結衣(京子が精神的に不安定なのは判ってたんだから、もっと優しくしてあげても良かったのかも)
結衣(けど、いつもの態度が態度だから、何かイタズラされてるイメージがあるんだよな)
結衣(そんな固定観念は捨てないと……駄目だよね……)
~♪
結衣「あ、メールだ……誰からだろ」
結衣「京子からだ……えっと……」
「今日はごめん」
「私、やっぱりもう駄目みたい」
「自分がおかしくなってるの自覚できるの」
「きっとこれからも皆に迷惑かけ続けると思う」
「そうなるのは嫌だから、もうこれで終わらせるね」
「いままでありがとう、結衣」
「ばいばい」
結衣「……え、これって」
結衣(う、嘘、まさか京子、自殺を?)
結衣(いやいや、そんなのありえないよね、あの京子が自殺だなんて)
結衣(……けど、京子も昔は繊細な女の子だったし)
結衣(もしかしたら、もしかしたら本当に……?)
結衣「た、大変だ!京子の家に電話しないと!」
ピッピッピッ
トゥルルルルー
ルスバンデンワサービスデス
結衣「だ、駄目だ繋がらない……」
結衣(仕方ない、直接京子の家に行って……!)ガサゴソ
結衣「はぁ、はぁ……着いた……」
結衣「けど、京子の家、電気全部消えてる……」
結衣「ま、まさか、もう遅かったの?」
結衣「京子!京子!」ガンガンッ
結衣(駄目だ、返事が無い……鍵もかかってるし……)
結衣(く、くそ、どうしよう、こうしてる間に京子が死んだらどうしよう)
結衣「そうだ、非常事態なんだからガラスを割ろう!」
結衣「えっと、この辺の石で……てやっ!」ポイッ
パリーン
結衣「割れた!これで鍵が開けられる!」
結衣(待ってて、京子!)
~歳納自宅付近~
歳納母「あー美味しかった、たまには町に出て外食するのもいいものよねえ」テクテク
京子「そうだねえ」テクテク
歳納母「京子が突然外食したいって言いだしたときはちょっとびっくりしたけどね」テクテク
京子「たまにはいいでしょ~」テクテク
パリーン
歳納母「あら、ガラスの割れる音が……」
京子「うちの家の方じゃなかった?」
歳納母「うちの方?」
京子「うん、もしかしたら泥棒かもね」
歳納母「あら怖い」
京子「どうする?警察に電話する?」
歳納母「そうね、怖いし、電話しようかしら」ピッピッピッ
トゥルルルルー
歳納母「あ、すみません、2丁目の歳納ですけど、家の窓ガラスを割って侵入してる人がいるみたいで……」
警察「家宅侵入者を捕まえました、本人は歳納京子さんの友達だと主張してるのですが」
京子「そうなんですかー」
警察「船見結衣さんをご存じで?」
京子「あ、はい、同級生です」
京子「何か最近1人暮らしをはじめたって聞きました」
京子「そのせいでお金のやりくりに苦労してるって話もちらほら」
警察「ふむふむ」
京子「彼女、どうなるんです?」
警察「歳納さんが被害届を出さなければ厳重注意で済みます」
京子「あ、じゃあ届はだしません、級友ですし」
京子「ただ、厳重に注意するようにしてくださいね」
警察「……その携帯は?」
京子「あ、さっき拾った……あ、いえ、私のでーす」
警察「そうですか……では、私はこれで」
京子「おつかれさま~」
京子「さて、結衣の携帯に残ってたメールを削除して……と」ピッピッ
結衣はその後、両親に引き取られてこっぴどく怒られたらしい。
学校へも連絡が行ったようで、しばらくの間、停学処分を受ける事になったようだ。
当然、1人暮らしも取りやめになった。
そして数週間後。
結衣に、いったいなんの恨みが……
京子に報復がなければ駄作だな
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・) バンバンバンバン゙ン
_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
\/___/ ̄
バン はよ
バン(∩`・д・) バン はよ
/ ミつ/ ̄ ̄ ̄/
 ̄~\/___/
; ' ;
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(;; (´・:;⌒)/
(;. (´⌒` ,;) ) ’
( ´・ω((´:,(’ ,; ;'),`
( ⊃ ⊃ / ̄ ̄ ̄/__
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∴\/./
_, ,_゜∵ |/
(ノ゜Д゜)ノ
/ /
ポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチ
ポチ ポチポチポチポチポチポチ
ポチ(∩`・ω・) ポチポチポチポチポチ
_/_ミつ/ ̄/_
/_/
~学校~
~屋上~
京子「いやあ、今日もいい天気だねえ~♪」
結衣「……」
京子「あれ、結衣、学校来てたんだ」
結衣「……」
京子「この手紙で呼び出したのは、結衣なの?」
結衣「……」
京子「えーと、なになに……『大事な用事がある、1人で屋上まで来て』かぁ」
結衣「……」
京子「大事な用事って、なに?」
結衣「……あれから、私がどんな目に会ったか知ってる?」
京子「え?」
結衣「家では、お父さんにぶたれたよ」
結衣「はじめての経験だった」
結衣「けどね、私がショックだったのは、お父さんが泣いてた事なんだ」
結衣「何でそんな事したんだって言いながら、泣いてたんだ」
結衣「どうして泣くんだろうね」
結衣「自分の娘が信じられないのかな」
結衣「その事が凄く嫌だった」
キター!
京子好きだけどボッコボコにして欲しい
結衣「学校の先生も、警察の人も同じ」
結衣「私の言う事を一つも信じてくれなかった」
京子「ふーん」
結衣「……引っ越す事にね、なったよ」
京子「え?何処に?」
結衣「……知らないよそんな事は」
京子「えー、寂しくなるなあ」
結衣「……」
京子「私、手紙書くね?」
結衣「……嘘だ」
京子「ん?」
結衣「京子は、絶対に私に手紙なんて書かない」
京子「えー、寂しい事言わないでよ、書くに決まってるじゃん」
結衣「……私の家に泊まるって言った時も、約束を破った」
結衣「体育の時も、宿題の時も、一緒に帰るって言った時も」
結衣「全部、全部約束を破ったじゃないか」
京子「そだったっけ?」
結衣「そんな京子が、手紙をする約束をして、守るはずがない……」
京子「ちゃんと送りますって♪」
結衣「……京子」
京子「なにさ」
結衣「……どうして、こんな事をしたの?」
京子「こんなことって?」
結衣「どうして、私との約束を、色々な大切な約束を、守ろうとしないの?」
京子「……」
結衣「どうして?」
京子「……面白いから」
結衣「は?」
京子「あのね、約束を破られた結衣が、それでも私を信じてくれるのが、楽しいから」
結衣「……なに、言ってるの」
京子「昨日した約束を破っても、また今日の約束をしてくれるでしょ?」
結衣「……」
京子「まるで人懐っこくて馬鹿な犬みたいに」
結衣「……おま、え」
京子「ねえ、結衣は何時まで私を信じてくれるの?」
京子「約束を何度も何度も破り続けたら、私の事を信じなくなるの?」
京子「それとも自分が破滅するまでずっと信じ続けてくれるの?」
京子「それがね、ずっと気になってた」
京子「子供の頃からずっと」
結衣「……」
京子「だからね、試してみたの」
結衣「……」
京子「ねえ、結衣、私と次の約束、してくれる?」
結衣「……」ドンッ
京子「痛っ……もう、押さないでよ」
結衣「私はもう、京子を信じない」
京子「本当かなあ?」
結衣「約束もしない」
京子「本当かなあ?」
結衣「転校するから、きっともう会う事も無い」
京子「本当かなあ?」
結衣「……京子」
京子「んー?」
結衣「さよなら」
京子「……」
結衣「……」
京子「よっと」ヒョイ
結衣「!?」
結衣「京子、何やってるの」
京子「手すりを、乗り越えてみただけだって」
結衣「……危ないだろ」
京子「結衣さ、私がここから飛び降りるって言ったら、助けてくれる?」
結衣「……」
京子「ん?」
結衣「……いいや、そんな約束はできない」
結衣「きっと私はお前を見捨てるよ」
京子「ありゃりゃー、こりゃ本当に嫌われちゃったみたいだねえ」
結衣「……」
京子「まあ、あんな事されてまーだ相手を信じて約束をしようなんて人はいるはずないよね~」
結衣「……ああ」
京子「さてと、話も終わったようだし、さっさと校舎の中に戻って部活にでも……」
ツルッ
京子「え……」
結衣「……!」
よし[ピーーー]
京子「う、うわぁっ!」
結衣「京子!」
京子が足を滑らせて落ちる瞬間、思わず結衣は手を伸ばしていた
そして落下しつつあった京子の手を掴む
結衣「くっ……!」
京子「ゆ、ゆい……」
結衣「お前……馬鹿かっ……」ググッ
京子「……助けてくれるの?」
結衣「くっ……」グググッ
京子「私の事、嫌いになったんじゃなかったの……?」
結衣「……嫌いになんて……なるはずないだろ!」
京子「……!」
結衣「何度騙されても、約束を破られても!」
結衣「お前は私にとって大切な幼馴染で、親友で……!」
京子「結衣……」
結衣「……ずっと好きだった子なんだから!」
京子「……!」
京子「……結衣、ごめん、ごめんなさいっ」グスッ
結衣「い、いいから!絶対に手を離すなよ!」
京子「……」
結衣「今、引き上げてやるから!」
京子「……」
結衣「きょ、京子?」
京子「……うん」
京子「約束するよ、この手は絶対に離さない」
嘘だろ……
アカン
そう言いながら、京子は手を離した
私の手を離れ、京子は落下していく
地面へ向けて、真っ逆さまに
彼女はこちらを見ていた
私の顔を見ていた
私の反応を見ていた
そして、私が絶望しているのを見て取ると
面白そうに、楽しそうに、ニコリと笑った
そうして京子の身体は地面に叩きつけられ
真っ赤な血が華のように広がった
酷い騒ぎになった。
また警察や学校関係者、両親から疑われるかなとも思ったが、そんな事はなかった。
京子が全ての証拠を残していたからだ。
私との約束を破り陥れる事について、倒錯的な快感を感じる旨の証言を音声と動画で残していたのだ。
だから、私が疑われる事はなかった。
きっと、これは全て京子の計算通りだったのだと思う。
自分の命がかかったほどの状況で、私がちゃんと約束をしてくれるのか、試したかったのだろう。
そうしてその約束が破られた時、どんな顔をするのかを、知りたかったのだろう。
そして自分の死後に私に罪が降りかからないよう、証拠を残しておいてくれたのだろう。
私は今、京子のお墓の前にいる。
結衣「……京子、お花を持って来たよ」
結衣「……」
結衣「……」
結衣「……」
結衣「流石の私も、今回の事は呆れたよ」
結衣「長い付き合いだったのに、私はお前の事を何も判って無かったんだな」
京子は何も言わない。
当然だろう、彼女はもう火葬されてお墓の下にいるのだから。
もう二度と会う事も喋る事も出来ない。
けれど、私は思うのだ。
彼女は私との約束を破る事に命をかけた。
それなら。
それならば……。
結衣「京子を失って、辛いけど……何時までも引きずってちゃ駄目だよね……」
結衣「そんなんじゃ、京子に怒られちゃうよね……」
結衣「……だから、だからね」
結衣「もう、お墓参りに来るのはこれで最後にしようと思う」
結衣「大丈夫、私は京子が居なくても、1人でも生きていけるから」
結衣「だから、あの世から見守って居てね」
結衣「約束、だよ……」
その後、私は1人で家に帰った。
冷凍庫を開けてみると、買っておいたはずのアイスが半分無くなっていた。
ゲームを起動させると、進めた記憶のないセーブデータが残されていた。
寝ていると、胸の上に誰かが乗っている気配がした。
そう、きっと彼女は戻ってきたのだろう。
私との約束を破る為に。
こうして、私は姿の見えない彼女と同棲生活をしている。
時々彼女がクスクス笑う声が聞こえるから、またきっと何かを企んでいるのだろう。
また何か約束をさせられて、裏切られるのかもしれない。
けど、彼女と共に過ごせるのならば、それでもいいかなと、想う。
こんな私はきっと「約束を破られること」が癖になってしまっているのだろうなあ……。
おわり
イライラしつつも気になって読んじゃうんだよなぁこういうの……
最後もちょっと不気味で良い感じだし……くそう
こりゃ二次創作にしておくには惜しい…いや、このキャラ達だったから思い付いた話だったのかもしれない
ウソエイトオーオーかな?
素晴らしかった
思ったより短いな
無視し続けたらシリーズ思い出したわ乙
>>手に汗握ったわ
今回のSSも素晴らしかったが
かかえるものも大きい結京
このSSまとめへのコメント
結衣気の毒だけどパリーンして警察に厳重注意はわろた