世莉架「タクこと宮代拓留にやりたいことを与える、それが私の使命」
世莉架「私は彼に楽しんでもらいたい・・・・・・」
世莉架「でも残念ながら、あたしはあまり頭が良くないんだあ」シュン
世莉架「というわけで皆さん! タクを楽しませる手助けをお願いしますっ」
世莉架「まずは>>2でタクに楽しんでもらおっと」
CHAOS;CHILD(カオスチャイルド)の安価ssです。全年齢対象なのでそこのとこよろです。
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マッサージ
世莉架「いい案だねぇ♪ それじゃあ早速・・・・・・」
~拓留のキャンピングカー~
世莉架「タ~クっ」ガチャッ
拓留「お、尾上!! どうしたんだこんな時間に! ていうかノックとか連絡とかしろよな・・・・・・」
世莉架「えへへ、ごめんね? タク」
拓留「まったく・・・・・・それで、どうしたんだ?」
世莉架「実はね~いつもがんばってるタクにマッサージしてあげようと思って!」
拓留「尾上・・・・・・」
拓留「ありがとうな」
世莉架「ううん。いいの。タクのためだもん」
世莉架「じゃあ早速そこに横になってね♪」
拓留「ま、マッサージって全身マッサージかよ」
世莉架「部分的に解消するよりは一気に直しちゃったほうが良くない?」
拓留「まあ、それもそうか・・・・・・?」
世莉架「ほれほれ! はやく横にならんか~」
拓留「はいはい」
世莉架「おっけい。それじゃあはじめてくねっ」
拓留「頼む」
世莉架「んしょっ、んっしょっと」グイグイ
拓留(なんだ、これ。結構気持ちいいぞ)
世莉架「お客様凝ってますねえ」グイグイ
拓留「僕も忙しいからな」
世莉架「特にこの首の付け根とか」グググ
拓留「ぐっ!!」
世莉架「肩甲骨の下とか」グー
拓留「お゛お゛っ」
世莉架「肩もね♪」シアツー
拓留「あsdfghjkl;」
世莉架(本当に凝ってるなあ)
世莉架「タクは姿勢を良くしないと背中に響くよ?」グイグイ
拓留「ぜ、善処するよ・・・・・・」
三十分後
世莉架「よし! マッサージ終わり! お疲れ様~タク」
拓留「ふぅ・・・・・・かなり痛かったぞ」
拓留(あれ?)
拓留(体が・・・・・・軽い! なんだこれ! まるでとり憑かれていたものから解放されたような)
拓留(これも、尾上のおかげか)
拓留「本当に、ありがとう尾上」
世莉架「え? あ、いいよお礼なんて。あたしがしたくてしたんだし」
拓留「まあまあ、感謝するよ。尾上がいてくれて、僕は幸せだ」
世莉架「た、タク・・・・・・////」カァァァ
拓留「い、いや! その、なんだ。これで明日からの新聞部の活動にも精力的に望むことが出来るよ」
世莉架「うんっ! 一緒にがんばろうね、タク」
拓留「ああ」
世莉架(こうしてタクにマッサージをした)
世莉架(タク喜んでくれたなあ・・・・・・嬉しい)
世莉架(ありがとうね>>2さん!)
~また別の日~
世莉架「さてさて~あたしの活動はこんなもんじゃ終わらないよ~」
世莉架「なんたって存在理由だからね! まだまだ頑張らなくっちゃ」
世莉架「次はタクに>>6してあげよっと」
テレビゲームでバイオハザードをやろう
世莉架「バイオハザードかあ。タク楽しんでくれるかな♪」
世莉架「そういえばテレビはどうしよう・・・・・・あたしの家には諸事情で呼べないし」
世莉架「こんなときは華ちゃんに相談だっ」
世莉架「はーなちゃん♪」
香月「ん」
世莉架「バイオハザードやりたいんだけど、テレビがないんだあ」
世莉架「エンスー2終わってからでいいから、パソコン貸してほしいんだけど」
香月「んっ」グッ
世莉架「ありがとう華ちゃん! やっぱりもつべきは可愛い後輩だねえ」ナデナデ
香月「んー///」
伊藤「おっ、なんだこれは百合展開か?」ガタッ
拓留「馬鹿なこと言ってないで伊藤も記事のネタさがしてくれよ」ハァ
世莉架「もーまたタクはそうやって頑張ろうとする」
拓留「がんばってなにが悪いんだよ」
世莉架「あたしが心配するもん」
拓留「尾上・・・・・・」
伊藤「おーあちいあちい。なんだこれは百合展開以上に鳥肌もんだぜ」
香月「んっ!!」カベナグリッ
世莉架「あ、香月ちゃんエンスー2終わったんだね!!」
世莉架「ねえタク、記事のネタ探しもいいけど、ちょっと休憩でゲームしようよ!」
拓留「ま、まあ、尾上がそこまでいうんじゃしかたないな」ヤレヤレ
拓留「なんのゲームなんだ?」
世莉架「じゃーん。バイオハザードっ」
伊藤「おお! 面白そうじゃねえか!! 俺にもやらせ――」
世莉架「真ちゃんはあとでどうぞ?」ニッコリ
伊藤「」
香月「伊藤先輩・・・・・・お気持ちは察した、かも」ボソッ
伊藤「おい香月、いま俺のこと慰めたのか?! っていうかしゃべった?!」
香月「んっ」
伊藤「んなわけねえか」
拓留「まあ、ストレス発散という意味じゃいいチョイスかもな」
世莉架「じゃあさっそくやろやろー♪」
世莉架(こうしてタクとバイオハザードで遊んだ)
二時間後
拓留「ふああ、とりあえずこの辺で今日は終わりにしておくか」
拓留「って、げっ、もうこんな時間なのか!! 今日はほとんど活動してないな・・・・・・」
世莉架「た、タク? つまらなかったかな?」アセアセ
拓留「いや、そんなことはなかったけど。まあ、世莉架とバイオハザード・・・・・・楽しかったよ」
世莉架「ほんとう? やったー!」
拓留「そんなことでよろこぶなんて尾上はおもしろいやつだな」ハハハ
伊藤「くそぅ爆発しろお前らーーー!」
香月「伊藤先輩、かわいそう、かも」
世莉架「バイオハザードかあ。タク楽しんでくれるかな♪」
世莉架「そういえばテレビはどうしよう・・・・・・あたしの家には諸事情で呼べないし」
世莉架「こんなときは華ちゃんに相談だっ」
世莉架「はーなちゃん♪」
香月「ん」
世莉架「バイオハザードやりたいんだけど、テレビがないんだあ」
世莉架「エンスー2終わってからでいいから、パソコン貸してほしいんだけど」
香月「んっ」グッ
世莉架「ありがとう華ちゃん! やっぱりもつべきは可愛い後輩だねえ」ナデナデ
香月「んー///」
伊藤「おっ、なんだこれは百合展開か?」ガタッ
拓留「馬鹿なこと言ってないで伊藤も記事のネタさがしてくれよ」ハァ
世莉架「もーまたタクはそうやって頑張ろうとする」
拓留「がんばってなにが悪いんだよ」
世莉架「あたしが心配するもん」
拓留「尾上・・・・・・」
伊藤「おーあちいあちい。なんだこれは百合展開以上に鳥肌もんだぜ」
香月「んっ!!」カベナグリッ
世莉架「あ、香月ちゃんエンスー2終わったんだね!!」
世莉架「ねえタク、記事のネタ探しもいいけど、ちょっと休憩でゲームしようよ!」
拓留「ま、まあ、尾上がそこまでいうんじゃしかたないな」ヤレヤレ
拓留「なんのゲームなんだ?」
世莉架「じゃーん。バイオハザードっ」
伊藤「おお! 面白そうじゃねえか!! 俺にもやらせ――」
世莉架「真ちゃんはあとでどうぞ?」ニッコリ
伊藤「」
香月「伊藤先輩・・・・・・お気持ちは察した、かも」ボソッ
伊藤「おい香月、いま俺のこと慰めたのか?! っていうかしゃべった?!」
香月「んっ」
伊藤「んなわけねえか」
拓留「まあ、ストレス発散という意味じゃいいチョイスかもな」
世莉架「じゃあさっそくやろやろー♪」
世莉架(こうしてタクとバイオハザードで遊んだ)
二時間後
拓留「ふああ、とりあえずこの辺で今日は終わりにしておくか」
拓留「って、げっ、もうこんな時間なのか!! 今日はほとんど活動してないな・・・・・・」
世莉架「た、タク? つまらなかったかな?」アセアセ
拓留「いや、そんなことはなかったけど。まあ、世莉架とバイオハザード・・・・・・楽しかったよ」
世莉架「ほんとう? やったー!」
拓留「そんなことでよろこぶなんて尾上はおもしろいやつだな」ハハハ
伊藤「くそぅ爆発しろお前らーーー!」
香月「伊藤先輩、かわいそう、かも」
世莉架「またタクに楽しんでもらえた♪ よかったあ」
世莉架「>>6さんありがとう!」
世莉架「こんどはせっかくだし、複数人でタクを楽しませてあげようかな♪」
世莉架「じゃあ>>10と一緒に>>11しよう!」
乃々姉で!
お風呂入る
世莉架「の、のんちゃんとお風呂・・・・・・って! 女の子同士ならともかくタクも一緒じゃん!」
世莉架「で、でも安価は絶対だもんね! しょうがないよね///」
世莉架「がんばって全年齢版を維持する方向でやってみるよ!」ガンバルゾー
~青葉寮~
乃々「はあ・・・・・・拓留、帰ってきてくれないのかしら」
乃々「・・・・・・寂しい」
世莉架「の~んちゃん!」バッ
乃々「せ、世莉架! どうしてここに?」
世莉架「あのね、のんちゃん。今日はいいニュースがあるんだよ」
乃々「いいニュース? なにかしら、それは」
世莉架「なんと! タクがこの青葉寮に帰ってくるのでーす!!」
乃々「えっ! 拓留が!? 本当なの!?」ガバッ
世莉架(あはは、やっぱり食いついたね♪)
世莉架(タクには悪いけど、あの人の思考誘導で青葉寮に一時帰宅してもらうことにしたんだ)
世莉架(さて、本題はここからだね・・・・・・)
世莉架「それでね? のんちゃん」
乃々「」ボー
世莉架「のんちゃん?」ズイ
乃々「はっ! ごめなんさい、私としたことが。ぼーっとしていたわ」
乃々「それで、何かしら」
世莉架「うん、それでね、せっかくタクがここに帰ってくるんだし、どうせならもうずっと住んでもらいたいでしょ?」
乃々「そうね、私たちは家族だもの」
世莉架(家族、か)
世莉架「でね? タクをここに居つかせるためにはどうすればいいかってあたし考えたんだけど」
乃々 フムフム
世莉架「タクも男の子だしさ、その、ちょっとお色気というか・・・・・・」
乃々「?」
世莉架「だからね! 家族なら一緒にお風呂に入っても変じゃないじゃん?」
乃々「そうね、私たちは家族だもn――って! もう私たち高校生よ!? そんな一緒にお風呂だなんて///」
世莉架「でも、裸の付き合いって、心を開く上じゃ大事なんじゃないかなあ」
乃々「それは・・・・・・一理あるといえなくもないのかもしれないけど」
乃々「あなたはいいの? タクに・・・・・・その、裸を見られても」
世莉架「うん!」
乃々「そ、そうなのね」
乃々(世莉架は抵抗ないのね。――たしかに言われてみればこの子のいうとおりかもしれないわ)
乃々(ひねくれた弟は、お姉さんがきっちり教育するんだから)
乃々(それに・・・・・・世莉架に拓留を取られたみたいで嫌――)
乃々(――って! 私はあくまでも姉じゃない! どうするかは拓留の自由だわ)
乃々(それでも、少しでも私を見てくれたら、嬉しいかもしれないわね)
乃々「わかったわ世莉架。そうしましょう」
世莉架「ありがとうのんちゃん!」ダキッ
乃々「まったく、この子は」ウフフ
拓留「ただいま」ガチャッ
拓留(なんとなく帰ってきてしまった、ここに)
拓留「でも、合わせる顔がないよな・・・・・・」
世莉架「タ~クっ♪」ピョコッ
拓留「お、尾上!? どうしてここに?」
世莉架「まあまあ、細かいことは気にすんなー! モテないぞ~」
拓留「よ、余計なお世話だよ。というか、僕はリア充なんだから、そんなこと気にする必要はないんだよ」
世莉架「はいはいすごいね~」
拓留「ぐっ・・・・・・」
世莉架(タクがモテたら、か)
世莉架(いやだなあ)
拓留「はあ、なんだか今日は疲れたな・・・・・・まるで誰かに考えを操られたような。とにかく頭が疲れた気分だよ」
世莉架(さすがタク。するどいね)
世莉架「タクはいつもがんばってるもん。疲れちゃうのも仕方ないよ」
世莉架「疲れたときはさ、心の洗濯! すなわちお風呂だよタク!」
拓留「もう、湯は張ってあるのか?」
世莉架「うん♪ だからどうぞ~」
拓留(ひさしく風呂に浸かってなかったな。いつもシャワーだし)
拓留「じゃあ、お言葉に甘えることにするよ」
世莉架「うん♪」
世莉架「さて、タクがお風呂に来る前にスタンバっとかなきゃ!」タタタ
拓留「ふう・・・・・・さて、風呂に入るかな」ガラッ
拓留「――ッ!?」
世莉架「いらっしゃ~い、タク♪」
乃々「お、遅かったわね、た、拓留///」ボッ
拓留(あ、ありのまま今起きたことを話すぞ)
拓留(一人風呂場に行こうと思いドアを開けたら、全裸の姉(義理)と幼馴染が出迎えてくれた)
拓留(何を言っているのかわからないかもしれないが、僕にも何が起こっているのかわからなかった)
拓留(頭がどうにかなりそうだ)
世莉架「う? どうしたのタク。そんなところで突っ立っちゃってさ」
乃々(拓留の裸が目の前に!! なんかもういろいろ成長してる!!)キャー
拓留「ハッ!? ――って、なにしてるんだよ来栖!尾上!」
乃々(苗字呼びは直らないのね)ガッカリ
世莉架「なにって、お風呂だよ?」
拓留「い、いやそんなことはわかってるけど。僕が言いたいのはなんで一緒に入るんだってことだよ!」
世莉架「もう、こうやって女の子が疲れを癒してあげようっていうのに、ヘタレなタクはそれを無碍にことわろうっていうのかな?」
拓留「そ、そんなことは、な、な、ないぞ」
世莉架(焦っちゃって、可愛いなあ)
乃々(拓留はまだピュアね。良かったわ)ホッ
世莉架「とりあえず洗ってあげるから座ってね」
拓留「は、はい・・・・・・」
世莉架 ♪
世莉架「二人いるから効率よく分担していこー♪」
乃々「そ、そうね」
拓留(もう好きなようにやらせておこう)
世莉架「あたしは髪を洗おうかな!」
乃々「そ、それじゃあ、私は、か、か、体を・・・・・・////」
世莉架「タクの髪はやわらかいねえ」ワシャワシャ
乃々「お、大きくなったのね、背中がとても広いわ・・・・・・」ゴシゴシ
世莉架「えっへへ~みてみて、タク! アトム~!」
拓留「か、髪であそぶなよ!」
世莉架「あはは」
乃々(楽しそうね)
乃々(わ、私もなにかアクションを・・・・・・)
乃々(そうだわ!)
乃々「拓留、あなた、ここくすぐり弱かったわよね」コチョコチョ
拓留「く! 来栖!? や、やめてくれ、ははははは」バタバタ
乃々「乃々って読んでくれるまでやめません♪」
拓留「わ、わかったって! ははは! ひーっ! のっ! 乃々! やめてwwww」ジタバタ
乃々「もう、しょうがないんだから」
世莉架(タク楽しそう・・・・・・これはやってみて正解だったかな♪)
~風呂あがり~
拓留「はあ、なんだか騒がしい風呂だったな」ハハハ
拓留「家族、か」
拓留「人の温かみも、悪くないのかもな」
世莉架(よかったね、タク)
世莉架「タクも満足してくれたみたい! ありがとね>>10さん♪ >>11さん♪」
世莉架「さっ、次はなにしようかな~」
世莉架「じゃあ>>17で>>18と>>19してタクを楽しませよう!」
場所 >>17
一緒に楽しませるメンバー(複数可) >>18
行う内容 >>19
部室
有村雛絵
香月華
南沢泉里
ブラチュー
世莉架「雷ネットかあ、社会現象にもなってすごかったよねえ」
世莉架「場所は部室でいいよね」
世莉架「呼ぶのは、タクはもちろんだけど――雛絵ちゃんと華ちゃん、それと千里さんにしよう!」
世莉架「・・・・・・う? 千里さん? のんちゃん? まあ、細かいことはいいか!」
世莉架「おっけい! じゃあさっそくやってみよ~♪」
~新聞部部室~
拓留「雷ネット?」
世莉架「そうそう! たまにはこういう遊びもいいでしょ?」
拓留「遊びって・・・・・・ここは遊ぶところじゃないんだぞ?」
世莉架「えぇ、だって華ちゃんはいっつもあそんでるじゃん!」プンプン
拓留「あいつは、まあなんていうか」
世莉架「華ちゃんは良くてあたしはだめなの?」ウルウル
拓留「うっ、・・・・・・わかった! わかったって。やるか、雷ネット」
世莉架「タクはやさしいねぇ♪」
世莉架「あ、そうそう。他の人にも参加してもらうんだ~」
拓留「他の人? 雷ネットは1対1でやるもんなんじゃないのか?」
世莉架「まあ、それもそうなんだけど、二人一組のチームでやってもいいかなって」
拓留「つまり参加人数は4人か」
世莉架「そういうこと」
世莉架(タクと一緒にプレイできる。やったね)
数分後
世莉架(どうしてこうなった)
チームA 千里&世莉架
チームB 拓留&華
世莉架(なんでくじ引きにしちゃったのタクぅ)ガッカリ
世莉架(でも、タクが楽しんでもらえるのが、・・・・・・第一だよね!)キリッ
拓留「それじゃあはじめるか」
世莉架「チーム内での相談はあり、ということでやってくよ~。つまり一人二役ならぬ二人一役ってわけだね!」
千里「ふふっ、楽しそうね」
香月「んっ」
ゲーム開始から数分後
拓留「ぐっ、・・・・・・僕としたことが、押されているだと」
千里「あなたは甘いのよ、拓留」フフフ
世莉架「さすが千里さん! あったまいいねぇ」アハハ
拓留「屈辱だ・・・・・・」
香月 ツンツン
拓留「どうしたんだ、香月。今僕は忙しくて――」
香月「ん」
拓留「なんだよ、自分のこと指差して」
香月「ん~っ」
拓留「・・・・・・そうか。僕はワンマンプレイで自分の考えに固執しているから二人にかなわないのか」
拓留「ごめん、香月。お前のこと信じてやればよかったな」
泉理ちゃんやで
香月「先輩、ゲームはまだ終わっていない、かも」ミミウチ
拓留「お前っ、今しゃべった!?」
香月「しーっ、かも」シーッ
香月「私の友達・・・・・・といってもネットのだけど、雷ネット強い人、いる、かも」
香月「この『チェシャ猫の微笑』って言う人にアドバイスもらったから――」
香月「――この通りにやってみてほしい、かも」
拓留「ありがとう、香月」
拓留「僕は絶対に、勝つ!!」
ゲーム終了
拓留「」チーン
香月「あ、死んでる、かも」ボソッ
千里「勝ったわね! 世莉架」
世莉架「うん! 圧勝だったねぇ」
拓留「ナゼダナゼマケタンダナゼナゼ」
香月(たぶん、単純なアドバイスだけでは及ばないような何かがこの『チェシャ猫の微笑』さんにはあったの、かも)
香月(先輩ごめんなさい)シュン
香月(でも、先輩と遊べて、ちょっと楽しかった、かも//)
世莉架「はっ!!」
千里「どうしたの? 世莉架」
世莉架「タクっ!」
拓留「? なんだよ、尾上」
世莉架「その・・・・・・楽しかった?」
世莉架(ついあたしが楽しくなっちゃって忘れてたけど)
世莉架(肝心のタクがつまらなかったら意味ないじゃん!)
世莉架(これはピンチ)
拓留「まあ、どちらかといえば、楽しかったかな」
世莉架「そ、そっかあ。よかった」ホッ
拓留「なんだ? 相変わらず尾上は変わってるな」
世莉架「た、タクほどじゃないよ!」
拓留「香月のおかげでな。ありがとう」ニコッ
香月(先輩、やさしい、かも)ニコッ
世莉架「・・・・・・」
世莉架(な、なんだろう。目的は達成してるのにすっきりしない)
世莉架(やきもち、なのかなあ)
世莉架(でもやきもちばっかり焼いてたら重い女だって思われちゃうかもしれないし・・・・・・)
世莉架(はあ)
拓留「尾上?」
世莉架「なっ、なにかなっ?」アセアセ
拓留「ここ最近僕のこと気遣ってこういう遊びをやってくれているんだろう?」
世莉架「う、うん。まあね」
拓留「ありがとうな」ナデナデ
世莉架「はうう//」
すみません
千里×
泉里○
です
>>22
ご指摘ありがとうございます。すみません間に合いませんでした。今後でてきたら気をつけます
トレーラーハウスに食事持っていって夕飯からお泊まりのコンボ
世莉架「お食事とお泊り///// 安価は絶対だもんね! しかたない! しかたないなあ!!///」
世莉架「まったくもう、タクはあたしの世話がなきゃだめだもんね///」
世莉架「それにしてもお食事ってなに持っていってあげればいいんだろう」
世莉架「タクのことだから、いつもはきっとコンビに弁当とか食べてるんだろうなあ」
世莉架「せっかくだしあたしが作っていってあげようかな? 出前『おっけいさん』なんちゃって~」
世莉架「あっ・・・・・・でもあたし料理とかしたことないや」ショボン
世莉架「そうだ! のんちゃんなら料理もうまいし、きっとタクの好みだってばっちり把握してるはず!」
世莉架「そうと決まればさっそくのんちゃんのとこにれっつごー」
乃々「え? 料理を教えて欲しい?」
世莉架「うんっ、タクってあのトレーラーハウスでいっつも過ごしてるけど、不摂生な生活なんだろうなあって思って」
世莉架「だから作ってあげることにしたの!」
乃々「そ、そう・・・・・・(それ私の仕事じゃ・・・・・・)」
乃々(でも、かといってダメともいえないし)
乃々(ま、まあ、拓留を気遣ってくれる女の子がいるなんて幼馴染とはいえ幸せなことじゃない! これを断るいわれはないわね)フフフ
乃々「わかったわ、それならビシバシ鍛えていくから、覚悟なさい」ウフフ
世莉架「が、がんばるよっ」
~青葉寮~
キルトキハネコノテナノヨ ニャー
イタッ チョットダイジョウブ?! マッテナサイイマバンソウコウモッテクルカラ
フムフムタクハソウイウアジガコノミナノカー カクシアジハコレヨッ
結人「乃々姉ちゃんたち楽しそうだね」
結衣「そうだね。見ていて微笑ましいなあ」
それから何回も練習を重ね
世莉架「よ、ようやく一人で料理できるまでになったよ・・・・・・長かったなあ」トホホ
世莉架「でもこれでタクに振舞ってあげられるよっ」
世莉架「さーてと、ウチで作って持っていってあげよ♪」
~拓留のトレーラーハウス~
拓留「さて、今日もコンビニに買いに行くとするか・・・・・・」
コン、コンコン、コン(例のリズム)
拓留「ひいっ!!!」
拓留「ま、まさか・・・・・・いい、い、一体なんだって言うんだよ!!!」
世莉架(ドアの外)「あっれ~? タクぅ?」
拓留「え?」
世莉架(ドアの外)「おっかしいなあ、この時間ならいつもはいるんだけど」
拓留「って、尾上かよ。びっくりさせんな」ガチャッ
世莉架「うわっ――ってタク居るじゃん! もう~びっくりさせないでよ」
拓留「びっくりしたのはこっちのほうだよ。そのリズムは心臓に悪いんだ」
世莉架「う? ごめんね?」
拓留「ま、まあ、いいけど」
世莉架「そんなことよりね! あたしタクのためにご飯作ってきたんだ~一緒に食べよ?」
拓留「尾上が料理? お前料理なんてするのか?」
世莉架「ひっどいなあ、タク。あたしだって女の子だし料理くらいできるよ~(ちょっと嘘)」
拓留「まあ、なんだ、その・・・・・・ありがとう」
世莉架「どういたしまして♪」
拓留「悪いな、ここ狭いんだ」
拓留「ちょっと置けるように片付けるよ」
世莉架「よしっ、じゃあ食べよっか」
拓留「ああ、そうだな」
世莉架「えっへへ~じゃ~ん!」
拓留「おお、思った以上にすごいな」
拓留(うまそう)ゴクリ
拓留(尾上にこんな料理が作れるなんて・・・・・・知らなかった)グゥゥゥゥ
拓留「あ」
世莉架「もう食べていいよ♪ タク」
拓留「はは、そうするよ」
二人「いただきます」
オッウマイナンダコレメチャウマイ ホントォ?ウレシイ///
アタシハネェトクニコレヲガンバッタンダヨ ゼンブオイシイヨ、オノエ
世莉架(こうして二人で夕飯を食べた)
世莉架(手料理、喜んでもらえてよかったあ///)
世莉架(のんちゃんありがと!)
拓留(手料理って暖かいな・・・・・・)グスッ
拓留(それに味付けがどことなく来栖のに似ている・・・・・・まあそれは気のせいか)
拓留(とにかくうまかった)
二人「ごちそうさまでした」
世莉架「ふぅ~食った食ったぁ」
拓留「まったく」ヤレヤレ
世莉架「う?」
拓留「なんでもないよ」
世莉架「あ、あのね? タク」
拓留「?」
世莉架「今日、ここに泊まっていっちゃダメかな?」
拓留「なっ!!! お、尾上っ? どどど、どうして泊まるなんて・・・・・・」
世莉架「あはは、ダメ、かな?」
拓留(おおおおおお落ち着け僕!! 尾上はただの幼馴染じゃないか!! でも幼馴染とはいえ女子・・・・・・)ゴクリ
拓留(一人暮らしをしているとことに泊める――のは)
拓留(・・・・・・リア充なら当然のことだ)フッ
拓留「泊まっていけよ」イケボ
世莉架「う、うんっ、そうするね!」
拓留(引き返せない引き返せないぞ宮代拓留僕はやるんだ大人になるんだそうだそうだろう)
世莉架「?」
数十分後
シャァァァァァ(シャワー音)
世莉架(キャンピングカーのシャワーってせまいなあ)
世莉架(タクはいつもここで体洗ったりしてるんだね)
世莉架(・・・・・・)
世莉架(今このままタクのところに飛び出して行ったらタクおどろくかな)
世莉架(よろこんじゃったりして)
世莉架(よし、>>31しよう!)
拓留をシャワールームへ引きずり込む
世莉架「タクをシャワーにっ?! 参ったなあ////」
世莉架「安価は絶対・・・・・・安価は絶対・・・・・・////」
世莉架「――よし、おっけい。ここは全年齢板だからそこを承知でならできるかぎりがんばろうかな」グッ
世莉架「た、タク~?」ソロー
拓留「なんだ尾上、もう上がっていたのk――って! 待て待て待てなんで服着てないんだよ!!」ブハアッ
世莉架「う? だってまだシャワー浴びてる途中なんだもん」
拓留「だ、だったら出てくるなよ!! 何考えてるんだ!!」
世莉架「そ、その・・・・・・タクも一緒にどう?//」
拓留「なん・・・・・・だと・・・・・・」
世莉架「いや、タクの意思なんて関係ないね♪ 安価は絶対♪」クワッ
拓留「ちょ、尾上? あの、尾上さん? なんか目が怖いんですけど・・・・・・」
世莉架「覚悟ー!」ヨイデハナイカー
拓留「覚悟って!」
世莉架「よいではないか~生娘じゃああるまいし」
拓留「そりゃ僕は男だから生娘じゃないぞ!」
世莉架「大丈夫だよタク! 痛いのは最初だけだから! すぐに気持ちくなるよ!」
拓留「きゃーっ!」
世莉架「あは、タクも太すぎず細すぎず、いい体してるねぇ」
拓留「きゃーっ! きゃーっ! ぎゃーっ!」
世莉架「ちょっ、暴れすぎだよタク! パンツが脱がせにくいでしょ!」
拓留「ぎゃあああああああああああああっ!」
拓留(僕は。これから、いついかなるテンションのときに尾上を襲おうと思っても、決して劣情に負けてはならないと、そう誓った――)
世莉架がシャワー中のとき
拓留「いくぞ尾上! やるぞ尾上! もう戻れないぞ尾上ーっ!」←イメトレ中
世莉架「えっへへ、そのあと何があったかは皆さんの想像にお任せするね♪」
世莉架「でも間違いなくタクは喜んでた! これは>>32さん正解だよっ」
世莉架「さあてと! 気を取り直して次いってみよーっ」
場所 >>35
メンバー >>36
する内容 >>37
秋葉原
有村雛絵
香月華
食堂の男について調べる
世莉架「『食堂の男』、か・・・・・・しらべてみよっと」スマホポチー
世莉架「ぷっ、なんだか面白そう♪」
世莉架「新聞部の記事のネタとしてタクに提供してあげればよろこぶかも!」
世莉架「よーし、やるぞっ」
~新聞部部室~
拓留「『食堂の男』、だと?」
世莉架「うん、こんどの記事のネタにいいかなって。秋葉原とかいって実在するか否かを調査するの」
拓留(食堂の男・・・・・・情報強者かつリア充の僕はその概要についてもちろん知ってはいるが・・・・・・実在するかどうかなんていままで気にしたこともなかったな)
拓留(久々にいいものがかけるかもしれないぞ)
拓留「いい! いいよ尾上! それでいこう!」
世莉架「おっけい♪ そうと決まれば明日早速現地で調査だね」
伊藤「あ、悪ぃ、明日俺ちっとばかり用事があるんだ」
拓留「な、なんだよ、士気が下がるな」
伊藤「この通りだって、な?」
拓留「わかったよ。何も無理やり連れて行こうっていうんじゃないからさ」
伊藤「すまねえ、恩に着るぜ! この埋め合わせは必ずする」
拓留「頼んだぞ」
拓留「さて、一人欠員がでてしまったな。来栖は青葉寮の家事や買い物で忙しいから来れないにしても・・・・・・さすがに二人じゃ効率が悪い」
拓留「仕方ない、香月! お前にもお願いするよ、明日の調査」
香月「んっ」グッ
世莉架「華ちゃんも参加だね♪」
拓留「できればもう一人くらいいるといいんだが・・・・・・そうも都合よく人材なんて――」
有村「チャオっす! 新聞部の皆さん方~って、なんですかこのシリアスな感じ! らしくないっすよ~」
拓留「――いるんだな」
伊藤「有村か。どうしたんだ? こんなとこにきて」
有村「いや~いつもここにくると結構な確率で面白いことが起こるので♪ 暇なときはこうして来ることにしたんですよ」
拓留「おい、それは聞き捨てならないな。そんな暇つぶし感覚でこの新聞部の部室に足を踏み入れるのh・・・・・・」
世莉架「あ、ケーキあるんだ~食べる?」
有村「あっ、せり! 気が利くのぉ~ではいただきますかねぇ」
拓留「話を聞けっ!!」
世莉架「まあまあ、タク、そう怒んないでよお」
拓留「そうは言ってもだな・・・・・・!」
世莉架「あ、そうだ。明日の調査、雛ちゃんにも手伝ってもらおうよ!」
有村「調査? なんですかそれ面白そう!」
拓留「おいおい、おふざけ気分で参加されては困る。明日の調査は今度の記事の大事なネタになるんだ。そう簡単に・・・・・・」
世莉架「場所は秋葉原だよ」
有村「秋葉原ッ!?」ガタッ
拓留「だから話を聞けッ!!」ズコッ
有村「先輩! 私気になる本がっ!! い~っぱいあるんですけど、ひなちゃんはご覧の通り美少女なので一人で秋葉原に行くと視姦されてキモいんです!」
有村「せっかくの機会なんで一緒に行かせてください!」ズイッ
有村「お願いします!!」クワッ
拓留「あ、はい、あの、わかりました、はい、すいません」
ヤッター ヨカッタネェヒナチャン
拓留(強引に同行を決められてしまった・・・・・・)
拓留(まあ、有村なら害はないか)
~翌日――秋葉原~
世莉架「わあ、ここが秋葉原かあ。なんだか渋谷とはちがう複雑さだね」
有村「こ、ここがオタクの聖地・・・・・・」
拓留「あくまでも今日ここに来たのは調査のためだ。遊んでいるようではだめだからな」
香月「ん」
有村「わかってますって~そう心配しなさんな先輩」
世莉架「心配しなさんな~」
拓留「そういうところが心配なんだが」
拓留「ま、まあいい。早速調査をはじめよう」
拓留「二人一組で行動し、二手に分かれるのが、この場合ベストだろう」
拓留「僕は香月とペアになる。尾上は有村とペアになって調査にあたってくれ」
拓留(香月は無口だ・・・・・・だから余計な道にそれずに調査できる安心感がある)
有村「わっかりました~了解ですぜ兄貴っ!」
世莉架「おっけい」
世莉架(またタクとペアになれないのか~残念)
世莉架(あたし、もしかして避けられてるのかなあ)
世莉架(いや、でもこのまえはあんなこともあったし///)
世莉架(ま、これくらいでふてくされても仕方ないね)
拓留「事前にネットなどの口コミや@ちゃんでの情報はこの紙にまとめてあるから、これも参考にしてくれ」つファイル
拓留「それでは、調査開始だ」
十分後
拓留(しかし、事前調査にしてはやけに詳しい内容があるな、この紙)
拓留(これを作成したのは香月だけど・・・・・・情報強者の僕が遅れをとるなんて)
香月(あの紙・・・・・・エンスー2のナイトハルトにいろいろ聞いて書いた・・・・・・)
香月(スーパーハカーとか言う人がアキバにいて、その人の友達がどうもその食堂の男かもしれないという噂)
香月(この情報は尾上先輩たちのファイルには入っていない、拓留先輩が持ってる紙にだけ書いたこと)
香月(一緒のペアでよかった・・・・・・)
香月(先輩、よろこんでくれるかな)
香月「喜んでくれたら嬉しい、かも」ボソッ
拓留「か、香月がしゃべった?!」
香月「んー?」
拓留「そ、そんなわけないよな」
拓留(香月のまとめてくれた資料によると、秋葉原駅から少し歩いたところにある古い店『ブラウン管工房』のあたりで出現するという噂があるらしい)
拓留(いってみるか)
~ブラウン管工房前~
大檜山ビル
拓留「とはいえ来たはいいものの・・・・・・」
拓留「張り込む、しかないんだろうな。こればかりは」
拓留「まあまだ時間はあるし、やってみるか」
拓留「香月はそれでいいか?」
香月「んっ!」グッ
拓留「そうか、ありがとう」ハハッ
拓留「張り込みが長くなることも想定して、コンビニで食べ物を買っておくか・・・・・・」
拓留「香月もロリポップやするめばかりじゃなくて、ちゃんとしたものを食えよ?」
香月「ん」
~ロンソー秋葉原店~
拓留「大方、こんなもんだな」
拓留「レジにならぶか・・・・・・」
???「わあっ♪ ジューシーから揚げナンバーワン・・・・・・」
???「まゆしぃはお腹がぺこぺこなのです」
???「そうだ、オカリンと紅莉栖ちゃんの分も買っていってあげよーっと」
拓留「あ、あの・・・・・・」
???「えっ?」
拓留「す、すみません、あ、あの、レジに、並びたい、ん、です、けど・・・・・・」
???「ああっ、ご、ごめんなさい! お腹が減ってつい」エッヘヘー
???「すぐ退くから、ごめんねぇ」サササ
拓留「あ、行った」
拓留(かわいらしい人だったな)
拓留(胸も大きかった)
香月「んー!」ゲシッ
拓留「ぐあっ!! や、やめてくれ香月! 僕の背中は壁じゃない!」イテテ
香月「ん~」
香月「拓留先輩が他の子に鼻の下伸ばしてるの、なんだか面白くない、かも」ボソッ
~再びブラウン管工房前~
拓留「さて、気を取り直して張り込み開始だ」
拓留「長くなるかもしれないし、気合入れないとな」
拓留「んっ? 大檜山ビルに誰か向かっていっているような・・・・・・」
そこで現れた人物(シュタゲ関連限定)は>>41
久野里無理なら助手
紅莉栖「~~♪」
拓留「長髪の女性が鼻歌を歌いながら歩いている・・・・・・」
拓留「ん? 待てよ、あの人どこかで――」
拓留「――っ! ま、まさか牧瀬紅莉栖?!」
拓留「若くしてNature誌に論文が載ったことで話題になったよな・・・・・・」
拓留「そんな天才がなんでまたこんな古いビルなんかに・・・・・・」
拓留「香月、お前も今の見てたよな」
香月「zzzzzz」ウツロウツロ
拓留「って寝てるし!」
拓留「ま、まあ、いい。別に僕たちは牧瀬紅莉栖を見にここへきたわけじゃないしな」
紅莉栖「まったく、岡部ってやつは、いつまでガラクタつくりつづけてるんだか」
紅莉栖「きっと一人じゃダメになっていくタイプよね・・・・・・きっとそうだわ」
紅莉栖「そしてそれを支えるのは・・・・・・牧瀬紅莉栖こと、私」
紅莉栖「って! いわせんな恥ずかしい///」
拓留(なんだあの人、独り言がすごいぞ)
拓留(天才となんとかは紙一重っていうしな)
拓留(あまりかかわらないほうがいい人物なのかもしれない)
拓留(そして牧瀬紅莉栖は大檜山ビルの2階へと続く階段に消えていった)
拓留(うーん、今のところたいした手がかりはつかめていないよな)
フーッハッハッハ
拓留(なんだこの変な笑い声は)
岡部「俺だ。新たな野望の一歩となるキーがついに完成した。ああ、そうだ。未来ガジェットと名づけたあれのことさ」
岡部「フッ、これで我々のプロジェクトもまた一歩、完成へとコマを進めたことになる」
岡部「完成が楽しみだ」
岡部「おおっと! もっとも俺は機関に追われる身だ。慎重にならなければならないな。ああ、お前の言うとおりだ」
岡部「それではまた、今度は機関を闇へ葬ったあとでうまい酒でも飲もう」
岡部「健闘を祈る。エル・プサイ・コングルゥ」ポチッ
拓留(この口調は、まさか)
拓留(あの人が・・・・・・食堂の男?)
拓留(確かに事前調査の内容とかなりかぶる点がある)
拓留(最後の決め台詞が「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」でないのはひっかかるが)
拓留(これは調査対象にしたほうがいいに違いない)
岡部「むっ! 貴様は――」
そこで岡部の前に現れたのは>>43
澤田きゅんとダル
岡部「おお、ダルではないか! その隣にいるのは一体何者だ?」
ダル「ああ、こちらは澤田きゅんだお」
岡部「ほぅ・・・・・・貴様、只者ではないな? この鳳凰院凶真に洗いざらい吐けい!!」
ダル「ちょwwww オカリン初対面の人に厨二病前回とかwwww というか澤田きゅんはネットで知り合っただけの友達だお」
ダル「さっきまでオフ会してたもんで」
澤田(なんだこの男、するどいな)
拓留「なんか変なのが次から次へと・・・・・・埒が明かないな」
拓留「やはり食堂の男は実在していたのかもしれない」
拓留「そ、そうだ! 写真だ! 写真を撮ろう!」
拓留 パチャッパシャッ
岡部「む?」
拓留(ま、まずい! 勘付かれたか!)
岡部「ダァールよ、ちょいとばかし席をはずしてはくれまいか」
ダル「道路のど真ん中ではずす席もクソもないわけだが」
岡部「う、うるさい!! とにかく!! 機関の差し金らしき存在を俺は今垣間見た」
岡部「ここから先はプロの仕事だ。お前を巻き込みたくはない」
岡部「お前の腕は、必ずやこの世界を変えるだろう」
ダル「厨二病乙。まあメンドそうだし先にいってるわ」
岡部「ああ、無事を祈ってくれ。エル・プサイ・コングルゥ」
岡部「さて・・・・・・」
拓留(これは、まずいんじゃないのか?!)
拓留(得体の知れない男に捕まるのはごめんだぞ)
拓留(よし、ここは>>45するしかない!!)
厨二病で対抗
拓留(厨二病で対抗・・・・・・)
拓留(フッ・・・・・・情弱に合わせてやらなきゃいけないのが真のリア充の辛いところか)
拓留「ええい、ままよ!」ダッ
香月「zzzzzz・・・・・・?」
拓留「どうやら気づかれてしまったようだな! いつか来ると思っていた対峙のときがこんなにも早いとは!!」
岡部「ッ!! 貴様やはり機関の差し金かあッ!!?」
拓留「いかにも・・・・・・お前は首を突っ込みすぎたのさ!!」
岡部「俺としたことが・・・・・・機関の気配に気づくことが出来なかっただと」
岡部「・・・・・・フフ」
岡部「くく・・・・・・」
岡部「フゥーハッハッハッハッハ!!!!」
拓留「!?」
岡部「俺は、鳳凰院凶真だッ!!」
岡部「散るときは、華麗に散るのみッ!!」
岡部「いざ、尋常に勝負だッ!!」
拓留「のぞむところさ!」
ウォーー
ヒ、ヒダリウデガアアア
有村「ね、ねえ、せり」
世莉架「う?」
有村「なんかいい年こいて戦いごっこやってる男の人たちがいるけど・・・・・・」
世莉架「秋葉原だから、そういうこともあるんじゃない?」
有村「そ、そうかな・・・・・・」
有村(なんか一人は宮代先輩に見える気がするけど)
有村(関わっちゃいけない気がするし、ここは離れたほうがいいかも)
有村「あ~! お腹すいちゃった!」
有村「ご飯食べにいこ! せり」
世莉架「そうしよっか。私ね、行きたいところあるんだ~」
有村「そうなの?」
世莉架「うん!」つスマホ<サンボ
有村「」
岡部「はあっ、はあっ、ぐっ・・・・・・」
拓留「はあっ、はあっ・・・・・・」
岡部「や、やるな」
拓留「あんただって」
岡部「この俺に匹敵するやつを見たのは久しぶりだ。そう、あれは6年前の――」
天王寺「おい」
岡部「!?!?」
天王寺「店のまえでじゃれあっていられちゃあじゃまなんだよ」
天王寺「まったく、お前ってやつは迷惑ばっかりかけるなあ」
天王寺「さっさとすっこめ!! 家賃三倍にすっぞ!」
岡部「す、すみませんでしたッ!」ドゲザ
天王寺「そこの兄ちゃんも、このバカと一緒にこれ以上バカやるようなら、ただじゃおかないぜ?」ギロッ
拓留「ひ、ひっ」
拓留(こ、この殺気は只者じゃない!?)
拓留(逆らえば・・・・・・死ぬ)
拓留「す、すいませんでした・・・・・・」
岡部「お、おい、そこの・・・・・・名を何といったか」
拓留「あ、宮代です」
岡部「そ、そうか宮代か。ひとまず我々のラボに来い。ここは休戦だ」
拓留「はい」
拓留(休戦って・・・・・・続ける気じゃないだろうな)
拓留「連れがいるんで先に上がっていてください」
岡部「うむ。待っているぞ」
拓留「おい、香月」
香月「ん~?」
拓留「潜入だ。気合いれてけ」
香月「!」
香月「ん~!!」
拓留「あんまりテンション上げすぎないようにな」
~未来ガジェット研究所~
岡部「お、来たな」
拓留「お邪魔・・・・・・します」
香月「んっ」ペコッ
紅莉栖「ちょっ、岡部・・・・・・!? どうしたのよ。お客さん?」
岡部「いかにも! 激しい格闘の末築いた絆の上に成り立つ、真の好敵手だ!」
紅莉栖「はいはい、厨二病乙、と」
紅莉栖「ごめんなさいね~こんなのに絡まれちゃって、迷惑だったでしょ?」
岡部「むっ、なんだなんだその言い草は。気に入らんな!」
紅莉栖「あんたがいつもそうやって厨二病全開だからいろんな人巻き込むんでしょうが!」
岡部「世界を混沌へと導く存在だ、当然だろう」
紅莉栖「はあ、もう話が通じないわ」
岡部「貴様こそ、だれもいないラボですることといったら@ちゃんを見ることくらいだろうに」
紅莉栖「はあ!? 私は見てないわよそんな掲示板!」
岡部「@ちゃんが掲示板だとなぜ知っている」
紅莉栖「えっ! そ、それは、その・・・・・・って、@ちゃんが掲示板だってことは常識じゃないのよ! そうよ常識よ!」
岡部「ずいぶんと焦っているようだな」
紅莉栖「き、気のせいよ」
岡部「ぬるぽ」
紅莉栖「ガッ」
岡部「ダルが真剣にダイエットを計画して2日で頓挫したらしいぞ」
紅莉栖「草」
岡部「確定だな」
紅莉栖「ねえ~ちょっと待って! やりなおし! やりなおしを要求するわ!」
岡部「無駄だクリスティーナよ!! いやねらーよ!!」
紅莉栖「ティーナでもねらーでもねーから!!」
拓留(なんだこの人たちは・・・・・・ずいぶん仲がいいようだがぜんぜん話にはいっていけないな)
香月「ふふっ」
拓留「どうしたんだ? 香月」
香月「この人たちの会話・・・・・・」
香月「草」
香月「・・・・・・かも」
拓留「お前もか・・・・・・」
拓留「っていうかしゃべった?!」
香月「ん」
拓留「そんなわけないよな」ハァ
紅莉栖「はっ! そうだわ。お客さんが来ていると言うのにお茶の一つも出していなかった」
岡部「まったく、客をもてなす態度がなっていないぞ、助手よ」
紅莉栖「あんたが招いたんでしょうが!! ていうか助手じゃないわよ!」
拓留「あ、いえ、お構いなく」
紅莉栖「遠慮しなくていいのよ」
岡部「そうだ。ゆっくりしていくといい」
紅莉栖「あんたも手伝いなさいよ!」
拓留(さて・・・・・・)
拓留(いよいよ調査対象の潜伏場所らしきところへと足を踏み入れてしまったわけだが)
拓留(どうやって切り込んでいけばいいんだろう)
拓留(よし、>>51でいこう)
とりあえずお互いに自己紹介する
拓留(そうだな。まずはちゃんと自己紹介しよう)
拓留「あ、あの!」
岡部「む? どうした」
拓留「そ、その・・・・・・ぼ、僕は、み、宮代拓留といいます」
拓留「それで、こ、こっちが後輩の香月華」
香月「ん」ペコリ
岡部「そういえば自己紹介がまだだったか。フフッ、いいだろう! 我が名は鳳凰院凶m――」
紅莉栖「こいつは岡部倫太郎。厨二病のどうしようもないやつよ」
岡部「ど、どうしようもないやつとはなんだ! 第一その名は――」
紅莉栖「もういいから! 天王寺さんに相談するわよ!」
岡部「岡部倫太郎です。趣味は機械いじりです」
拓留「ど、どうも」
拓留(やはりあのガチムチは危険人物みたいだな)
紅莉栖「その・・・・・・あなたたちは秋葉原には何の用で来たの? オタカップルのデート的な?」
拓留「かっ! カップル!?」
香月「んっ!?」
拓留「ち、違いますよ! 僕たちは学校関係のことでここに来ただけで! カップルなんかじゃないですから!」
香月「ん・・・・・・」シュン
紅莉栖「ふうん」ニヤニヤ
紅莉栖「まあいいわ、それで、学校関係のことって一体?」
拓留「ぼ、僕たちは・・・・・・その、新聞部という部活に所属しているのですが」
拓留「記事を、書いていて」
拓留「次のネタは『食堂の男』が実在するか否か、という点を調査するというもので」
拓留「この秋葉原でそれらしき男が出没すると聞いて来たんです」
香月「んっ」
紅莉栖「食堂の男、か」
紅莉栖「そいつの特徴って一体どんなものなのかしら?」
拓留「えーっと、確か・・・・・・」
拓留「カノッサ機関? とりあえず機関という大きな存在を匂わせるような壮大なことを言っていて」
拓留「世界の選択がどうのこうのって」
拓留「周囲の人物を不安にさせるようなことを吹聴しているらしいです」
拓留「最後に決め台詞(?)的な感じで『ラ・ヨダソウ・スティアーナ』といって話を終わらせるみたいですね」
紅莉栖「」
紅莉栖(それって・・・・・・まるっきりこいつのことじゃない)
紅莉栖(さすがにここまで言われれば岡部も気づいて――)
岡部「ふむ、なるほど、俺以外にも機関に追われる日々を過ごすものがいるのか。興味深いな」フッハッハ
紅莉栖(――ないし)ハァ
紅莉栖(どうしたものかしら)
紅莉栖「岡部、ちょっとドクペ買ってきてくれないかしら」
岡部「なっ!! 助手の分際でこの俺をこきつかうとは、一度俺の恐ろしさを味わせたほうが――」
紅莉栖「それじゃあこっちは天王寺さんの恐ろしさで対抗するわね」
岡部「ひ、ひきょうだぞう」
紅莉栖「行くの? いかないの?」
岡部「くっ・・・・・・おぼえていろよぉ!」バッ
紅莉栖「行っちゃったわね」
拓留(一番弱いやつが言う捨て台詞を堂々と・・・・・・)
紅莉栖「さて、それじゃあ本題に入ろうかしら」
紅莉栖「あなたたちは食堂の男に関してスクープが欲しいのよね?」
拓留「そ、そうです」
紅莉栖「その食堂の男、たぶん岡部のことだわ」
拓留「そうなんですか?!」ガタッ
紅莉栖「あなたが言った特徴、あいつにぴったりあてはまるもの」
紅莉栖「最後の台詞が『ラ・ヨダソウ・スティアーナ』っていうのがひっかかるけど」
紅莉栖(別の世界線が関係あるのかしら)
紅莉栖「岡部はいつも『エル・プサイ・コングルゥ』って言ってるけど、正直覚えてる人なんてほとんどいないわ」
紅莉栖「きっと誰かが聞き間違えたかなにかよ」
紅莉栖(そうしておこう)
拓留「なるほど」
拓留「それで・・・・・・僕たちはあの人、岡部さんを記事にしてよいのでしょうか」
紅莉栖「う~ん、肖像権とかの問題からすれば危ないけど、あなたたちは別に新聞社とかではないみたいだし」
紅莉栖「プライバシーに配慮すればいいんじゃないかしら」
紅莉栖「あとはあいつの許可をとることね」
拓留「そ、それが一番、その、難しそうなんですけど」
紅莉栖「簡単よ」
紅莉栖「『世界にお前の名を轟かせたくはないか』とでも言って調子に乗らせればいいのよ」
紅莉栖「調子に乗ったあいつは判断力にかけるわ」
拓留「なんだか罪悪感がありますよ」
紅莉栖「いいのよ、減るもんじゃないし」
紅莉栖「実在した旨を伝えるだけなら特に問題はないと思うわよ」
拓留「そうですね」
拓留(こうして、食堂の男は実在したという記事を書くことになった)
拓留(帰ってきた岡部さんはよろこんで取材に応じてくれた)
拓留(はは、久々に新聞部の活動に精がでるぞ)
しばらくして
拓留「そういえばこのネタを発案してくれたのは尾上だったな」
世莉架「えへへ~そうだよ」
拓留「尾上のおかげでいい記事になりそうだ」
拓留「ありがとうな」
世莉架「そ、そんなお礼なんていいよ/// タクのためだもん」
世莉架「楽しかった?」
拓留「もちろんだ」
世莉架「良かった///」
世莉架(大成功みたいだよ! ありがとう>>35さん!>>36さん!>>37さん!)
世莉架(よーしまだまだがんばるぞ~!)
世莉架(次は>>55だ!)
スケート場で滑る
世莉架「なるほどね~スケートリンクか。てかそこってデートスポットなんじゃ///)
世莉架「どうしよう・・・・・・二人きりのほうがいいのかな。でもタクはタクでうぶだし。タクはどっちが喜ぶんだろう」
世莉架「よし! >>57でいこう!」
安価>>57
→拓留と二人きり OR だれかを連れて行ってグループで
後者の場合は呼ぶ人もおなしゃす
有村
世莉架「うん、ここは念のためひなちゃんを連れて行こう! そうすれば気まずくはならないよね」
~後日、スケートリンク~
拓留「さ、寒いな・・・・・・」
世莉架「う? そりゃスケートリンクだもん。寒いに決まってるじゃん」
有村「宮代先輩、なさけないっすねえ」ケラケラ
拓留「う、うるさい! リア充たるもの全力で楽しむさ!」
世莉架「はいはい」
有村「すごいっすねえ」
拓留(くそっ、こいつらバカにして・・・・・・みてろよ!)
拓留(僕はスケートが・・・・・・!)
安価で選択肢>>59
ポジティブ OR ネガティブ
前者はスケート上手
後者はド下手
ポジ
拓留「僕はスケートが・・・・・・上手いッ」スイー
拓留 スイー
拓留 スイィ
拓留 クルクル
世莉架「わあっ! タク上手上手! すごいねえ」
有村「え~なんかつまんないの~」
世莉架「タク! 私にも教えて!」
拓留「フッ、しょうがないな、尾上は。ほら、こっちこいよ」
世莉架「うん!//」
有村「私は空気ですか・・・・・・」
ワッ コロンジャッタァ
ホ、ホラ・・・・・・タテルカ?
ウ、ウン///
有村「はああ・・・・・・あんなの見せ付けられるなら来るんじゃなかったっすよ」
有村「やることないなあ」
拓留「うまくなってきたじゃないか、尾上」
世莉架「うんっ、タクの教え方が上手だから」
世莉架「あたしバカだけどできるようになったもん」
拓留「はは」
拓留(そう、これだよこれ!)
拓留(リア充たる者こうでなければ)
世莉架「ちょっとスピード出して滑って見ようかな?」スイー
拓留「おい、あんまり調子に乗ってると・・・・・・」
世莉架「大丈夫だっt・・・・・・わわっ?!」フラフラ
拓留「あ、あぶない」ザッ
世莉架「た、タク・・・・・・」
世莉架「――ありがとね、助けてくれて」エヘヘ
拓留「もう、あぶなっかしいやつだな」
世莉架「えっへへえ、ごめんね?」
拓留(うっ、可愛い)
拓留(これは、いい雰囲気なんじゃないか?)
拓留(今ならある程度のことは・・・・・・)
拓留(日ごろからクールキャットプレスを読んでいるんだ! 僕なら最適な答えを導き出せる!)
拓留(よし! 尾上に>>61するぞ)
壁ドン
拓留(男は黙って壁ドンだ)
拓留「尾上・・・・・・」ドンッ
世莉架「た、タクっ?!」ドキッ
世莉架(タクに壁ドンされちゃった・・・・・・)
世莉架(えへへ、もう逃げられないや//)
拓留「ぼ、僕は・・・・・・」
世莉架(か、顔が近いよぉ///)
拓留(決めろ宮代拓留!)
拓留「尾上のことが・・・・・・、あっ」ツルッ
世莉架「!」
世莉架(顔避けられないっ)
世莉架「」チュ
世莉架「」
世莉架「」
世莉架「」
拓留「」
有村「」
世莉架「は、はぁぅっ・・・・・・///」
世莉架(き、キスしちゃった///)
世莉架「た、タク? 大丈夫?」
拓留「」
世莉架「し、死んでる・・・・・・」
有村「いや、気失ってるだけっしょ」
数分後
拓留「はっ! 僕は・・・・・・」
世莉架「う?」
拓留「お、尾上・・・・・・」
世莉架「起きたんだね、タク」
世莉架「そ、その、あのことは・・・・・・、ね? その、うん////」モジモジ
拓留「そう、だな」テレテレ
世莉架「うんっ」
有村「あ~あっついなあ、スケートリンクなのに。氷溶けちまえよ」ケッ
――ブチンッ
~その夜、世莉架の家~
世莉架「~~~~~~~~!」バタバタバタバタ
世莉架(キス! 偶発的とはいえあれは紛れもないキスだよね!!)
世莉架(ついにしちゃったああああ////)バタバタバタ
世莉架「・・・・・・」
世莉架「はぅぅ」
世莉架(タクったら、途中から妄想と現実の区別がつかなくなってたよ)
世莉架(壁ドンより後は、現実だからね♪)
世莉架(今回は妄想じゃなくてよかったな! 夢オチならぬ現実オチだね!)
世莉架(明日はなにしようかな)
世莉架(>>65にしよう)
吉祥寺に行く
世莉架「吉祥寺かあ・・・・・・二人きりならデートだよね///」
世莉架「今回はどうしようかな」
安価選択肢>>67
①二人きり
②三人以上(連れて行く人も明記)
うき 結衣 結人
世莉架「今回はうきちゃん、結衣ちゃん、結人くんのカオスチャイルズも連れて行こう♪」
世莉架「二人きりのお出かけは、またいつか・・・・・・ね」
~吉祥寺~
世莉架「というわけで吉祥寺にやってまいりました~」パチパチ
拓留「今日はやけにテンションが高いな」
世莉架「だって楽しみだったし♪」
うき「あ、あの・・・・・・、今日は何をするんでしょうか・・・・・・」
結衣「うきちゃん、目的のないお出かけだってあるんだよ」
うき「そうなの・・・・・・?」キョトン
結衣「うん! 私たちは中学二年生の女の子――つまりJCなんだよ」
結衣「だからとりあえず街に出たらいろんなお店を見て回って――お腹が空いたらちょっとおしゃれなレストランに入ったりして」
結衣「退屈してきたらカラオケなんか行ったりするの!」
うき「ふふ、いいね結衣ちゃん」
結人(僕空気だ・・・・・・がんばろう)
うき「結人くん、今日は楽しもうね」
結人「ふええっ!!? あ、うん! そうだね」
結衣「結人ったらどうしたの? そんなに顔真っ赤にして驚いて。あ、もしかして・・・・・・」
結衣「うきちゃんに惚れてたり? 結人もそんな年になったのね~」
結人「もう、やめてよ・・・・・・」
うき「ゆ、結人くん? あの、・・・・・・ごめんね?」
結人「! あ、謝らなくていい、から。別に嫌とかじゃないから」
うき「うん」
世莉架「なんだか楽しそうだねえ」
拓留「はは、まったくほほえましい光景だな」
世莉架「そうだ! タク、あたし行きたいとこできたよ!」
拓留「ん? どこだ?」
世莉架「井の頭公園!」
拓留「ああ、あそこか」
拓留(デートスポットではあるが、ここで『井の頭公園でデートをすると別れる』という噂を真に受けて行くのをやめたら情弱だ)
拓留(二人でボートにのるということは吊り橋効果が働く――つまり!)
拓留(ドキドキから恋に落ちることだってあるというわけだ)
拓留(デート=彼氏彼女という認識は情弱そのものだし)
拓留(単なる都市伝説を心理学的根拠より優先するほど僕は愚かじゃない)
拓留「よし、行こうか」
~井の頭公園~
拓留(正式名称は井の頭恩賜公園だ)フッ
拓留「たまにはこういう・・・・・・自然の中を散歩するのもいいかもしれないな」
世莉架「だね~」
世莉架(それがタクと一緒だったらなおさらだよ)
結衣「あ! 拓留兄ぃ、ボートだ! ボートがあるよ!」
拓留「あ、そうだな」
結衣「『あ、そうだな』じゃないでしょう? 早く世莉架さん誘って行ってきなよ!」ヒソヒソ
拓留「! よ、余計なお世話だよ」ヒソヒソ
結衣「世莉架さんは絶対それ待ちだって! わかるもん!」ヒソヒソ
拓留「わ、わかったから! 結衣たちもボートで遊んでこいよ」
結衣「もう、しっかりしてよね」
結衣「うきちゃん! 一緒にボート乗ろ!」
うき「うん!」
結人「ぼ、僕は・・・・・・」
結衣「あら結人、女の園に入りたいの?」ケラケラ
結人「う、うるさい。いいよ、僕は」
結衣「そんなこと行ってないでくればいいのに」
結人「女の園とか恥ずかしくないのかな。乃々姉ちゃんならともかく結衣姉ちゃんなんて絶壁の癖に――」ボソッ
結衣「ナニカイッタカシラ?」ゴゴゴゴ
結人「わわっ!! なんでもないです!」
ダレガゼッペキダコラー!
タスケテー
世莉架「相変わらず仲がいいんだねえ♪」
拓留「まったくだ」フッ
拓留「それはそうと、尾上・・・・・・」
拓留「い、いい、一緒に、ぼぼぼ、ボートに、乗らないk――」
世莉架「いいよ!」
拓留「そ、即答・・・・・・」
世莉架「う?///」
ボートに乗りました♪
拓留「・・・・・・」
世莉架「・・・・・・」
拓留(乗ったはいいが無言が続いていて辛い――)
拓留(周りの景色にも飽きてきたし)
拓留(尾上でも見てるか・・・・・・)ジーッ
世莉架(タクが私のことじっと見てる)
世莉架(うう・・・・・・はずかしい//)
拓留(よく見ると、いや、よく見なくてもかわいいな)
拓留(胸も、来栖ほどじゃないにしても大きい・・・・・・)
拓留(なんだか、変な気分になってきてしまったな)
拓留(うむ)
トリガー発生>>74
ポジティブ OR ネガティブ
ネガティブ
トリガー ネガティブ
/////////TRIGGER ON///////////
拓留(そういえば尾上は幼馴染とはいえかなり距離が近い存在だよな)
拓留(これを期に距離をさらに縮めるのもありなんじゃないのか?)
拓留(胸、揉んでみるか)
拓留(僕なら許される、きっと)
拓留「なあ、尾上」
世莉架「う?」
拓留「えい」モミッ
世莉架「きゃっ」
拓留 モミモミモミ
世莉架「・・・・・・」
拓留 モミッモミッ
拓留(ああ、なんていい感触なんだ)
拓留(僕は君(胸)に出会うために生まれてきたのかもしれない)
世莉架「ねえ、タク」
拓留「なんだ?」
世莉架「この手はどういうことかな?」ガシッ
拓留「!」
拓留「え、えーっと、これは・・・・・・あのですね」
世莉架「おっぱい揉めて、満足?」
拓留「え?」
世莉架「だ・か・ら、おっぱい揉めて満足?」
拓留「ま、まあ」
世莉架「そっか~」
世莉架「じゃあもうなにもいらないよね」
拓留「えっ」
世莉架「何もいらない人間は生きてても仕方ないよね」
世莉架「だったら――」
世莉架「バイバイだねっ!」エイッ
拓留「ちょっ! そんなに押したらボートから落ちて・・・・・・」
拓留(あれ)
拓留(だめだこれ)
拓留(川に――)
ドボオォン!
拓留 ゴボゴボ
世莉架「あっはははは!! ざまあないね!! タク!!」
世莉架「お魚さんと、仲良くね?」
――ブチンッ
拓留(だめだだめだ! 劣情に動かされるな!)
拓留(そんなのはリア充のやることじゃない)
拓留(僕はあくまで、真のリア充としてクールに振舞わねばな)
世莉架(またいつもみたいに妄想で周りが見えなくなってるのかなあ)
世莉架(さすがにお互いだんまりはきついよお)
世莉架(よーし、タクに>>77しちゃえ)
耳に息を吹きかける
世莉架(タクったらまだぼーっとしてる)
世莉架(耳に息吹きかけておどろかせちゃえ!)フゥゥッ
拓留「は、はあんっ!」
世莉架「ぷぷっ、なにその声・・・・・・ってきゃっ?!」
拓留「ボートが!」グラグラ
世莉架「ふわああっ、ごめんなさい!」
拓留「ば、バランスを取るんだ!」
グラ・・・・・・グラ・・・・・・
拓留「収まったか・・・・・・」
世莉架「ご、ごめんね?」
拓留「いいよ。別に」
拓留「あ」
拓留(ボートのバランスが取れて落ち着いたら尾上を押し倒す形になってしまった)
世莉架(タクが私のうえに跨ってる!?)
世莉架(も、もしかしてタクは・・・・・・そういう気分になっちゃってたのかな?!)
世莉架(だからさっきも妙に静かで)
世莉架(タクに襲われちゃうならしょうがない、よね//)
世莉架(私のはじめてはボートの上かあ)
拓留「ご、ごめん! 悪気はなくて・・・・・・」パッ
世莉架「」
世莉架「ハァ」シュン
拓留「お、尾上?」
世莉架 プイ
拓留「どうしたんだよ、さっきから」
世莉架(それはこっちの台詞だもん・・・・・・バカ)
世莉架「そろそろ戻りたい」ボソッ
拓留「そ、そうか・・・・・・戻ろうな」
世莉架「ふんだ」
一方その頃
結衣「自然がいっぱいだあ」
うき「そうだね」
結衣「静かで、こういうのもたまにはいいよね」
うき「うん。渋谷は騒がしいから」
結人「はあっ・・・・・・はあっ・・・・・・」
結人(ちょっとくらい漕いでくれても・・・・・・)ギィコギィコ
世莉架 ブチッブチッ←草むしり
拓留「・・・・・・」
結衣「拓留兄ぃ? 世莉架さんどうしちゃったの? まさか喧嘩でもしたとか・・・・・・」
拓留「いや、そうじゃないんだけど」
拓留(なんて説明したらいいのかわからないな)
結衣「はあ、しょうがないなあ、拓留兄ぃは」
結衣「私世莉架さんのとこに言ってくるから、うきちゃんとお喋りでもしてて?」タタタ
拓留「お、おい・・・・・・」
結衣「世莉架さん♪」
世莉架 ブチッブチッ ア、タンポポヌイチャッタ
結衣(ひたすら草むしりしてる・・・・・・これは重症だね)
結衣(公園の植物をこれ以上傷つけないためにも、私が話を聞いてあげよう!)
結衣「世莉架さん、もしかして拓留兄ぃが――」
世莉架 ピクッ
世莉架「結衣ちゃああん!!!」ダキッ
結衣「ちょっ! 苦しいってば」
結衣「なにかあったの?」
世莉架「それがねっ、タクが――」
拓留「おーい、二人とも、そろそろ昼食にしないか?」
結衣「拓留兄ぃ・・・・・・」ジトー
世莉架 ブツブツ
結衣「このヘタレ!」ゲシッ
拓留「痛ッ! 脛はやめてくれ!」
結衣「世莉架さんも大変だね・・・・・・」
結衣「結人は拓留兄ぃを見習っちゃダメだからね?」
結人「(よくわからないけど)うん」
拓留「なあ、ごめんって、尾上」
世莉架 ブツブツ
拓留「尾上・・・・・・?」
世莉架「・・・・・・不能めっ」ボソッ
拓留「」
昼食後
世莉架「おいしかった~♪」
結衣「世莉架さんって結構食べてるのにスタイルいいのは何で?」
世莉架「えっへへぇ、照れちゃうなあ/// でも特になにもしてないよ?」
結衣(ずるい)
拓留(尾上の機嫌が戻ったようでよかった)
うき「あ、あの・・・・・・」
拓留「? どうした?」
うき「その・・・・・・なんていうか、その」
うき「た、楽しいですねっ」
拓留「?」
うき「あうぅ」
拓留「ははっ、そうだな」
うき「!」
うき「//」
世莉架「そうだ! 次はカラオケに行こうよ!」
結衣「行きたい行きたーい!」
世莉架「そうと決まれば善は急げだね!」
結衣「ほら、うきちゃんと拓留兄ぃ、結人も行くよ!」
拓留「お、おう」
~カラオケ~
世莉架「さーて、順番は私からでいいかな?」
拓留「いいんじゃないか?」
結衣「じゃんじゃん歌っちゃって!」
うき オロオロ
結人(歌える歌あんまりないなあ)
世莉架「よーし、そしたら>>82歌っちゃうよ!」
見上げてごらん夜の星を
「見上げてごらん夜の星を」
作詞:永六輔
作曲:いずみたく
~♪
世莉架「み~あ~げて~ごらん~♪」
世莉架「よるの~ほ~しを~♪」
世莉架「ちいさ~なほ~し~の~♪」
拓留(おお・・・・・・これは>>84)
世莉架は歌が――上手 OR 下手 >>84
上手い
中の人がカバーしてなかったっけ?
>>85
アイマスのアナスタシアで歌ってるみたいっすね。調べて知りました
拓留(う、うまいな・・・・・・)
拓留(プロも目指せるんじゃないか?)
拓留(北海道の情景が目に浮かんだのは気のせいだな。うん)
世莉架「はあっ! がんばって歌っちゃった!」
拓留「すごいな・・・・・・聞き入ったよ。本当に。上手いと思う」
世莉架「そんなに褒められると照れちゃうなー//」
結衣「世莉架さんすごいもん!」
うき「私も、あれくらい上手になりたい」
結人(落ち着いた曲でよかった)
世莉架「さあ! 次はタクの番だよ!」
拓留「えっ!? いいよ僕は」
世莉架「だーめですっ! 私はタクの歌聴きたいもんっ」
拓留「そんなこと言ってもなあ」
世莉架「結衣ちゃんたちだって聞きたいよね?」
拓留(こいつらを味方にするのは卑怯だろ)
結衣「聴きたーい! もちろん歌うよね? 拓留兄ぃ?」
拓留「うっ・・・・・・わかったよ」
拓留「それじゃ、>>89を歌うぞ」
恋(星野源)
「恋」
作詞・作曲:星野源
~(イントロ)♪
拓留(流行の歌は完璧だ。なんたって僕は情強だからな)
拓留(リア充でもある)
拓留(け、決して一人カラオケで練習したとかじゃないからな・・・・・・)
世莉架「おおっ、いいねえタク♪」
拓留「い~となみの♪」
拓留「街がくれたら~い~ろめき~♪」
拓留「風たちは、は~こぶわ~ カラスと人々の群れ♪」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
拓留「この世にい~る、だ~れ~も~ふ~た~り~から~♪」
世莉架「踊っちゃうよ!」
拓留「胸の中~にある~も~の~♪」
世莉架 チャッチャッ
拓留「いつか見え~なくな~る~も~の~♪」
世莉架 フリフリ
拓留「それはそば~にいる~こ~と~♪」
拓留「い~つ~も~おも~いだして~♪」
世莉架 クイクイ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
間奏
結衣「私マイク持っててあげるから二人で歌いなよ!」
拓留「え、いいよ。僕は」
結衣「いいからいいから♪」パッ
拓留「あっ、マイク」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
最後
拓留・世莉架「夫婦を越えてゆけ~♪」v(〝・ω・)パッv(〝・ω・)パッ
拓留・世莉架「二人を越えてゆけ~♪」(〝・ω)vv(ω・″)
拓留・世莉架「一人を越えてゆけ♪」d(〝・ω・)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
パチパチパチパチ
拓留「はあっ・・・・・・はあっ・・・・・・(つ、疲れた・・・・・・)」
世莉架(えっへへ、夫婦だって///)
結衣「二人ともすご~い! お似合いだね!」
うき「す、素敵です」
結人「かっこいいなあ」
世莉架「タク、大丈夫?」
拓留「あ、ああ、問題ないよ・・・・・・」ハアハア
世莉架「た、楽しかったら嬉しいなあ・・・・・・」ボソッ
拓留「え? ああ、まあ楽しかったよ」
世莉架「本当っ?」パァァァ
世莉架「やったー!」ピョン
結衣(世莉架さん可愛いっ)
結衣「さて、次は私たちの番だね!」
結衣「うきちゃん! 一緒に歌お!」
うき「わ、私は・・・・・・知ってる曲、ないし・・・・・・」
結衣「大丈夫だって! なんとかなるよ!」
うき「う、うんっ」
結人(僕は巻き込まれないように飲み物でも取ってこよう・・・・・・)
結衣「結人も歌うのよ?」
結人「うっ・・・・・・はい」
世莉架「仲がいいねえ♪」
結衣「よし、この曲(>>95)に決めた!」
L・O・B・M
「L・O・B・M」
作詞:mft
作曲:高田龍一
~♪
結衣「アッとね~言わせてみたい♪」
結衣「いっぱい~愛があふれる♪」
うき「う、うっとり~・・・・・・」
結衣・うき「するような~世界創ろう♪」
結衣 ニコッ
うき ホッ
結衣「ガッカリ~するのまだだよ♪」
うき「きっとね~チャンスくるから・・・・・・♪」
結衣「グッドタイミング絶対~ある~♪」
結衣・うき「かけてみようよ♪」
結人「サンッ、ニィッ、イチッ!」
うき ビクッ
拓留「」
結人「アイコ~ンタ~クト~をしよ~よ~♪」
結人「それで~伝~わる~こ~と~が~あ~るはず~さ~♪」
結衣「手~をつ~ない~で行こう~よ~♪」
結衣「それで~まい~ごに~なら~ず~に~♪」
結人・結衣「進める~ハズだ~か~ら~♪」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
結人「ゼイ・・・・・・ゼイ」
うき(ちょ、ちょっと怖いかも)
結衣「結人、やるじゃない! いつの間に練習してたの?」
結人「そ、そんな練習なんてしてないよ!」
結衣「ほんとかな~」
世莉架「三人とも可愛かったよ!」
拓留「楽しそうでなによりじゃないか」
世莉架「タクも楽しんでくれてるしね!」
拓留「ああ」ニコッ
世莉架(さて、まだ続ける? それともカラオケから出る?)→安価選択肢>>97
出る
世莉架「そろそろ出よっか」
拓留「そうだな」
結衣「もうちょっと歌いたかったな~」
外
拓留「出てきたはいいもののどこに行くかなんて考えてなくないか?」
世莉架「う?」
拓留「いや、う?、じゃないだろ」
世莉架「どうしよっか」
世莉架(今は午後4時……微妙だなあ)
世莉架(ここは安価に頼ろう!)
安価>>99
帰る OR どこかに寄る(どこかも)
ウッドベリーズ
世莉架「ウッドベリーズに行きたい」
拓留「なんだ? それは」
世莉架「おっ、タクでも知らないことがあるんだね~。私が一席ぶっちゃおうか?」
拓留「なッ!? (しまった……)」
拓留(僕としたことが……)ガックシ
世莉架「う?」
結衣「ねえ世莉架さん。それってどんなお店なの?」
世莉架「この辺にあるスイーツのお店だよ~。フローズンヨーグルトの!」
結衣「なにそれ行ってみたい! ね、行こうようきちゃん!」
うき「うん!」
結人(つ、ついていけない)
拓留(右に同じく)
~ウッドベリーズ~
結衣「これが生フローズンヨーグルトかあ」キラキラ
世莉架「味はどれにする?」
結衣「私はサンふじ――りんごにする!」
うき「わ、私は桃で……」
世莉架「じゃあ私はいちごにしようかな!」
世莉架「タクたちはどうするの?」キョトン
拓留「そ、そうだな……僕はギリシャヨーグルトにしよう」
結人「(面倒くさいから)僕も」
世莉架「お願いしまーす」
世莉架「ん~~~~!」
世莉架「おいしい!」
拓留「第一声がそれかよ。もう少し気の利いたコメントをだな……」
世莉架「う?」
拓留「いや、なんでもない」
結衣「リンゴの新鮮なシャリシャリ感がもう~~~」
結衣「シャーベットみたいな食感とすごくあう!」
うき「桃もおいしいですよっ」
結人「うまいね」キリッ
拓留「ああ、まったくだ」キリッ
世莉架「タクだって気の利いたコメントでてないじゃん」プッ
世莉架「それだけおいしかったのかな?」
世莉架(それならうれしいけどねっ)
世莉架「さて、もう遅いしかえろっか~」
拓留「ああ、そうだな」
世莉架(今日はすっごく楽しかった!)
~世莉架の家~
世莉架「ただいま~(誰もいないけど)」
世莉架「おおっ、ベッド発見!」
世莉架「とりゃっ」ボスッ
世莉架「~~~~///!」ゴロゴロ
世莉架「すっごく疲れたけどその分楽しかったなあ」
世莉架「タク……」
世莉架(ヘタレちゃったのは悲しいけど、でも一緒に過ごせたな……)
世莉架(明日はどうしよう)
世莉架(久々に計画練ってみようかな!)
世莉架(というわけで安価です!)
どこで>>104
だれと>>105
なにをするか>>106
科学シリーズからゲスト出演するキャラ(5名まで)>>107
久野里さんのアパート
有村
香月
生渋谷にうずを聴きながらパーティ
助手 セナしゃん
世莉架「ねえタクっ」
拓留「ん? どうした尾上」
世莉架「渋谷にうずってあるでしょ?」
世莉架「あの声やってるケイさんの正体、私知ってるよ!」
拓留「なにっ?!」
拓留(いや、情強であるこの僕が知らない情報を尾上が知っているだと……)ガクッ
世莉架「知りたい? ねえねえ知りたい?」ニヤニヤ
拓留「ぐっ……!」
世莉架「私は別に教えなくてもいいんだけどね? まあタクは知りたいかなーって」
世莉架「あ、そっか! タクは情強()だからもう知ってるんだよね!」
拓留「ぐぬぬぬぬ」
拓留「――さい」
世莉架「う?」
拓留「教えてください……」
世莉架「素直でよろしいっ」ナデナデ
拓留(なんという屈辱だ……)
世莉架「なんとね~あのケイさんの中の人――正体はずばり久野里澪さんなのでしたー!」
拓留「な、なんだってー!」
拓留「……ともかく、それは聞き捨てならんな」
世莉架「でねでね、私考えたんだけど」
世莉架「もうこの際だから久野里さんちに押しかけて生渋谷にうず付きのパーティーでもどうかなって」
拓留「僕たちはともかく久野差とさんが怒るだろう」
世莉架「大丈夫だってー」
拓留「その自信はどこからくるんだよ……」
世莉架(そのうちわかるよ♪)
世莉架「とにかく、雛ちゃんと華ちゃんに声かけてあるし、決定事項だからね!」
拓留「わかったよ」
世莉架「えへへ」
~久野里家(ボロアパート)~
久野里「はあ……」
久野里「一人、だな」
久野里「……」
久野里 グスン
コンコン
久野里「!」
紅莉栖「ハロー。来たわよー開けてちょうだい」
久野里「Chris!?!」ガバッ
久野里「Welcome to my……」ガチャ
紅莉栖「ああ、英語はいいわよ。日本人同士なんだし、日本語で仲良くやりましょ」
久野里「あ、はい」
久野里「とりあえず……あがって、どうぞ」
紅莉栖「†悔い改めて†」
久野里「!!」
紅莉栖「あ、いやこれは違うのよ! まったく日本語っていうのは難しいわねー!」アセアセ
久野里「でもなんでまたこんなとこに」
紅莉栖「今日本に来ていてね、5年前に秋葉原でいろいろあったんだけど、そのときの連中のところに顔出してるのよ」
紅莉栖「あなたのことも向こうでは聞いていたから、一度ちゃんとお話してみたいと思っていたの」
久野里「私と、ですか」
紅莉栖「だってあなたほど優秀な人が借り出される事件があるだなんて、こういってはなんだけど、私としては興味深いの」
久野里「あなたに比べれば私の知能なんて劣るなんてものじゃないですよ」
久野里「私は秀才かもしれませんが、あなたは天才ですし」
久野里「憧れでも、ありますから」
紅莉栖「ふふっ、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
~アパート付近~
世莉架「あっ、見えてきた。あそこが久野里さんの住まいだよ」
拓留「お、おお……」
有村「これは……」
香月「ん……」
有村「まれに見るボロアパートっすね」
拓留「オブラートに包めよ」
世莉架「あはは、確かに女の子が住むところじゃないかもしれないね」
拓留「お前もなあ」
香月「んっ」
???「なんだお前たちは、アパートの前に立ちふさがれては迷惑だ」
世莉架「あっ、ごめんなさい」
有村(感じ悪ぅ)
世莉架「私たち、その――久野里澪さんの家に用があって」
???「なんだと?」
有村「あのーいきなりなんですけど、誰ですか?」
???「ああ、私は――」
セナ「蒼井セナだ」
セナ「私もここに用があるんでな」
世莉架「あっ、そうだったんですか~」
世莉架(なんちゃって。牧瀬紅莉栖と蒼井セナがココに来るよう仕向けたのは私なのでした)
世莉架(思考誘導って便利だなあ)
世莉架(楽しいパーティーにしなくちゃね)
世莉架「せっかくだから一緒に入りませんか?」
セナ「まあ、それもそうだな」
有村(話が通じるぶん久野里さんよりマシか)
拓留(さっきから僕が全然しゃべれてないのは僕がコミュ障だからじゃないぞ……)
世莉架「とりあえずドアノックしてみようかな」
コン、コンコン、コン
拓留(だからそのリズムやめろよ!)
世莉架「すみませーん、久野里さーん」ガチャッ
有村「挨拶しながら容赦なくあけるとか……」
セナ(なんなんだこいつらは)
久野里「お、お前ッ、せっかくいいところだったのにいきなり入ってくるやつがあるか!」キィッ
世莉架「わわっ、ごめんなさい」
有村「いいところ?」
久野里「なんでもないっ!」
紅莉栖「あ、この前取材に来てた――」
拓留「あっ」
紅莉栖「もしかしてあなたもパーティーに呼ばれていたのかしら?」
久野里「パーティー? なんですそれは」
紅莉栖「? 私はあなたの家でパーティーがあるって言うから来たのよ。言うまでもないと思っていたけど」
久野里「??」
世莉架「とりあえず、お邪魔します?」
久野里「お邪魔するな! 本当に邪魔だ!」
セナ「そういう態度はないんじゃないのか?」
久野里「! あなたは、」
セナ「とりあえずあげてくれてもいいだろう」
久野里「くっ……もう勝手にしろ!」
世莉架「えへへ、お邪魔します♪」
ゾロゾロ
久野里(なんでこんな狭いところに7人もいるんだ!)
久野里「渋谷にうずを聞きながらパーティー……」
紅莉栖「楽しみねえ」
セナ「ふっ、同じレベルの話が出来る人間がいて今日は楽しくなりそうだ」
紅莉栖「にしてもあなたネットラジオなんてやっていたのね。意外だわ」
久野里「忘れてください……」
セナ「そうだ、そういえば>>116」
お前、見えるのか?
セナ「そうだ、そういえばお前――見えるのか?」
久野里「見える、とは――」
久野里(ま、まさかこれのことか!?)
セナ(アレは私のディソードに良く似ている……どういうことだ?)
久野里「これは、単なる物干し竿だ。もともとは開発途中のデバイスだったが、今となっては価値がない」
セナ「そんなことが……」
セナ(人工の――ディソード?)
セナ「エラーを自ら作り出そうというのか」
紅莉栖(さっきから聞いてるとこの人も岡部よりの人間なんじゃないかしらって思えてくるわね)
紅莉栖(違うのは学力くらいか)
紅莉栖(そう思うと少し可愛いかも)
紅莉栖(って! それだと私があのバカを可愛いと思ってるみたいじゃない! 今のは撤回よ!)
久野里「はあ……(今日はすごく疲れる日だ)」
世莉架「やったー! 私が大富豪だねっ! 雛ちゃん大貧民~」
有村「やられたー! くっ、いつかあなたをこの地獄に引き摺り下ろしてあげるわよ、せり」
香月「んっ」
拓留(僕たちは安定の平民だ)
拓留(なに、僕に限って楽しんでいるなんて事はない。尾上に合わせてあげているだけだ)
拓留(うん、そうだ)
世莉架「やーい、ざまー、べろべろー」
拓留「子供か!!」
久野里「うるさいぞお前たち!」
ギャー ギャー
紅莉栖「まったくどっちがうるさいんだかわからないわね」フフフ
セナ(この光景を見ていると、私が高校生だった頃を思い出すな)
セナ(拓巳――元気にしているか)
セナ(私は、元気だ)
紅莉栖「そろそろ退屈してきたわね」
紅莉栖「>>123でもしましょ」
紅莉栖「あっ――安価使えるのはねらーだからとかじゃないからな!」
エンスー2
紅莉栖「エンスー2でもしましょ」
香月「ん!!」フリフリ
紅莉栖「あら、どうしたのあなた」
拓留「そいつはエンスー2プレイヤーなんですよ。学園の部室でもやるくらいの筋金入りのプレイヤーです」
紅莉栖「そうなのね」
香月「んっ」グッ
世莉架「PCはそれでいいんじゃない?」
久野里「おいお前たち!! 人の家のものを勝手にいじるな。第一そのパソコンがないと放送ができないんだぞ」
紅莉栖「いいじゃない、放送の5分前にはやめるわ、ね? いいでしょ?」ウワメヅカイ
久野里(うっ……)
久野里「か、勝手にしてください!!」フンッ
紅莉栖「それじゃあ勝手にしましょうか♪ ありがとね」
紅莉栖「えっと、あなたの名前は……」
香月「んっ」クイクイ
紅莉栖「えっ? 耳打ち?」スッ
香月「私の名前は、香月華――かも」ボソッ
紅莉栖「? 華、でいいのかしら?」
香月 コクコク
紅莉栖「OK.それじゃあはじめましょうか」
香月 ニコッ
セナ(はあ、私は>>126でもしてるか)
買ってきたガリガリくんを食べながら物干し竿にツッコむ
セナ(買ってきたガルガリ君でも食べながらあのディソードらしきものについて追求してみるか)
セナ「久野里、澪――といったか」
久野里「? そうだが」
セナ(口の利き方がなっていないな……まあ気にしないでおこう)
セナ「さっきから気になっていたんだが、お前の持っている物干し竿に興味がある」
久野里「!」
セナ「とても見覚えがあるんだ」
セナ「いや、その言い方は正しくない――か」
セナ「ディソードを知っているか?」
久野里「……知っていたらどうする」
セナ「どうもしない。質問に答えろ」
久野里「知って……>>129」
安価選択肢>>129
①知っている
②知らない
③そんなことより表で出ろ
3
この二人が喧嘩しても久野里さんが勝ってる姿しか想像できないのは何故だろう
久野里「知って……いや、それ以上はなす必要はない」
セナ「何?」
久野里「表へ出ろ」
セナ「……そうか」
セナ「わかった」
~アパート前~
セナ「お前が私のことをどう思おうと勝手だが、外に呼び出して何をする気だ?」
久野里「――お前にはカオスチャイルド症候群者が見る剣が見えるのか?」
セナ「ああ。私はギガロマニアックスだ」
セナ「だがカオスチャイルド症候群者と私――厳密に言えば私たちの間には違いがある」
セナ「症候群者の場合にはその能力――つまりエラーを生み出す能力が中途半端な形で現れるが」
セナ「私や他の本物のギガロマニアックスは完全な形で妄想を具現化できる」
セナ「人一人を生み出すことさえもな」
久野里「くっ……委員会が真に狙っているのはこれか!」
セナ「私一人をどうしたところで情強はさして変わらないと思うぞ」
セナ「委員会、と言ったな。それは300人委員会のことか?」
久野里「!」
セナ「そのようだな」
セナ「西條拓巳を知っているか」
久野里「6年前の渋谷でニュージェネの犯人に仕立て上げられた男だな」
セナ「そうだ」
セナ「あいつは今委員会に近い立場にある。かつて最強のギガロマニアックスだった男だ」
久野里「なに!」
セナ「私とあいつにはつながりがある。私がお前の思うところについて知っていることは多くはないが少なくもない」
セナ「碧朋学園。あれは学校などではないだろう」
久野里「ああ――あそこは収容施設だ」
セナ「エラーに迷える羊か」
セナ「あそこには委員会の人間がいる。それも低くない序列の人間が」
久野里「それは誰だ!! 教えろ!!」
セナ「教える義理はない」
久野里「貴様ァッ!!」ダッ
セナ つディソード
久野里「」ガクッ
セナ「お前は今聞いた話を忘れる」
セナ「生きるのに知ってはならない情報だからな」
セナ「数分後には目が覚めてきれいさっぱり忘れているだろう」
セナ「……」
セナ「さて、こいつを抱えて戻るか」
1時間後
久野里「ぅぅ……」ムク
セナ「よほど疲れていたのか。眠ってしまっていたぞ」
久野里「? そうか――すまない」
紅莉栖「あ。あと10分くらいで日付変更ね」
久野里「! 放送の準備があるからゲームは――」
紅莉栖「5分前まであと5分だから! ね?」
久野里「――ぐっ。わかりました」
香月「ん! ん!!」
紅莉栖「け、ケツァルコアトルス!? きたわね」
久野里「はぁ」
世莉架「zzz」
有村「zzz」
久野里「勝手に押しかけてこいつらは寝るのか……くそ、なんて自由なやつらだ」
拓留「す、すみません」
久野里「ふん」
久野里(仕方ない、今日の放送の内容でも考えるか)
久野里(今日の放送は>>133をメインにしよう)
ニュージェネ事件と西條拓巳
久野里(そうだな)
久野里「今日の放送はニュージェネ事件と西條拓巳についてメインにとりあげよう」ボソッ
拓留(西條……拓巳……だと?)
セナ(記憶が残っている? そんなはずは――偶然か)
紅莉栖「あら、そろそろ放送かしらね。華、一旦休戦としましょ」
香月「ん」
久野里(一旦ってまだつづけるの?)
久野里「おほん。それでは準備するから、機材には触らないようにしてくれ」
久野里「午前0時になりました。こんばんわ。ケイさんです。」
紅莉栖「へぇ、ああやって放送してるのね」ヒソヒソ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
久野里「今回は、ニュージェネ事件と西條拓巳をメインに進行しようと思います」
久野里「6年前――渋谷を襲った大災害、通称渋谷地震は都市機能を大きく低下させ人々を混乱させました。被害者の数も甚大であったのは皆さんも記憶していることと思います」
久野里「さて、そのような状況下で、皆さんは覚えているでしょうか。――西條拓巳という男を」
久野里「この男はニュージェネ事件の犯人として晒されるも無実が証明された人物です」
セナ(懐かしいな……)
久野里「しかし、考えると妙ではないでしょうか。なぜあのような猟奇的殺人事件の犯人に仕立てたげられたのか……冤罪が判明したという点もなにやらひっかかるものがあります」
久野里「一説によると、あの一連の事件にはとある大企業が関与していたという情報もあります」
セナ(希グループか……)
久野里「西條拓巳の通う学園――翠明学園は、希グループという大企業の傘下にありました」
久野里「この奇妙な一致をどのように捕らえるかは、リスナーの皆さんにお任せします」
久野里「それでは本日はこの辺で、さようなら」
セナ「……」
世莉架「ふわぁぁぁぁ……あれ? タクは?」
拓留「ここだよ」
世莉架「あっれー? 私、寝ちゃってたんだ~」
拓留「自由だな、尾上は」
世莉架「ここは久野里さんの家でいいんだよね?」
拓留「ああ」
世莉架「あれ? でも他にもいろんな人がいたような」
拓留「牧瀬さんと蒼井さんはもう帰ったよ。香月も牧瀬さんに送られてな」
世莉架「そうだったんだ~」
世莉架「ねえタク、今日は楽しかった? ごめんね、私寝ちゃってたけど」
拓留「まあ、楽しかったんじゃないか? ニュージェネ事件に対するケイさんの意見を聞いて僕もいろいろ考えさせられたし」ニコッ
世莉架「そっか~よかった」
有村「zzzzzz」
久野里「お前らいつまで居座る気だ……! この金髪に限ってはまだ寝ているぞ!」
拓留「すみません。有村は僕が担いでいくので」
世莉架「タクにそんな筋力があったとは知らなかったなあ(羨ましいなあ)」
拓留「ば、バカにするなよ……」
ポケモンGO
香月
結衣
結人
うき
綯さん
まゆしぃ
世莉架「ねえタク! 一緒にポケモンGOやろうよ!」
世莉架「華ちゃんと青葉寮の子たちにも声かけたからさっ」
拓留「僕は遠慮するよ。あんなのは情弱のやることだ」
拓留「一席ぶってやろう……ポケモンGOをプレイしていることによる交通事故の発生件数は――」
世莉架(うわぁ始まっちゃった!)
世莉架(どうしよう……このままだとタクがやってくれない……)
世莉架(タクをやる気にさせる一言をお願い! >>145さん!)
実際に一度もやらずにネットの情報だけ見て知ったつもりになって批判するのは情弱じゃないの?
世莉架「でもタク」
世莉架「実際に一度もやらずにネットの情報だけ見て知ったつもりになって批判するのは情弱じゃないの?」
拓留「……」
拓留「……」
拓留「……」
拓留 ダッ
世莉架「ああっ! 逃げた!!」
世莉架(そうだ! 今回のことには結衣ちゃんたちを誘ってるから、思考誘導で青葉寮に向かってもらおう!)
世莉架(そうすれば逃げられないよね)エヘヘ
~青葉寮~
拓留「はあっ……はあっ……あれ、何で僕はここに来たんだろう」
拓留「のどが渇いたな」
拓留「マウンテンビューはないかもしれないけど、お茶ぐらいはあるか」
結衣「あっ! 拓留兄ぃ! 帰ってたんだ!」
拓留「あ、結衣」
結人「おかえりなさい、拓留兄ぃ」
うき「お、おかえりなさい」
結衣「世莉架さんから話は聞いてるよ? もう、ダメダメだなぁ拓留兄ぃは」
拓留「お前何言って――」
結衣「正座!」
拓留「?」
結衣「せ・い・ざ――拓留兄ぃは正座の意味もわからないのかな?」
拓留「そ、それくらい知ってるさ」
結衣「じゃあわかるでしょ? ほら正座して?」
拓留(なんで来栖の強い部分を受け継いでるんだこいつは)
拓留 セイザ
結衣 ガミガミ
拓留(中学2年生に説教されるとはな)
拓留(く……今回ばかりは認めざるをえないか――はぁ)
結衣「聞いてるの?! 拓留兄ぃ」
拓留「はいっ」
結衣「もう……」
世莉架「おじゃましまーす」ガチャ
結衣「あっ、世莉架さん!」
世莉架「こんにちは。あ、タクいるじゃん」
拓留「尾上……!」
世莉架「もういいから、今日は皆であそぼ? ね?」
拓留「わ、わかったよ」
結衣「まったく拓留兄ぃは>>151」
私がいないと本当にダメなんだから
結衣「拓留兄ぃは私がいないと本当にダメなんだから」
拓留「?」
世莉架「えっ」
結衣「そんなしょうがない拓留兄ぃのために今日は私が一緒にいてあげる! ね?」
拓留「な、なんだよ……中学生にかまってもらうほど僕は――」
結衣「その中学生に説教されてたのは誰?」
拓留「……僕、です」
結衣「素直でよろしいっ。じゃ、行こ? 拓留兄ぃ」ガシッ
拓留「お、おい――腕に抱きつくなよ、窮屈だから」
結衣「まあまあそう言わずに、ね」
チョ、イタイッテ ユイ
世莉架「」
結人「せ、世莉架――さん?」
うき「あの、その……」
世莉架「私たちも行こっか」
うき・結人「はい」
拓留「あ、そういえばまだポケモンGOをダウンロードしてなかったな」
拓留(厳密にはインストールも)
結衣「あっ、拓留兄ぃはそれやんなくていいよ」
拓留「どういうことだ?」
結衣「私のスマホに入れてあるから、一緒にやろうよ」
拓留「……」
結衣「どうしたの拓留兄ぃ」
拓留「いや、その――恥ずかしい、だろ、それ」
結衣「はぁ……拓留兄ぃは高校2年生にもなってそんなことを恥ずかしがってるの? だから彼女できないんだよ?」
拓留「なっ――僕はリア充だぞ。彼女の一人や二人……」
結衣「そういう反応こそが裏付けてるよ。ていうか二人以上いたらどんびきだよ拓留兄ぃ」
拓留「むっ……」
結衣「まぁ、拓留兄ぃに彼女ができなくても、私が面倒見てあげるから、それでいいでしょ?」
拓留「なんだよそれ」
結衣「乃々姉ぇにいろいろ教わってこれでも結構女子力高いんだよ? あ、あと主婦力も」
結衣「学校の勉強だってがんばれば将来的に拓留兄ぃを養うことだって可能だし」
結衣「そのときは青葉寮から一緒に出て賃貸に住んで、マイホームを夢見るの」
結衣「よくない? これ」
拓留「は、はは……楽しそうだな」
結衣「でしょ? えへへ」
拓留「結衣……」
拓留(結衣ってこんなに可愛かったか?)
拓留(僕が青葉寮にいない間に、いろいろ変わってるな――人もモノも)
結衣「あっ、プリン発見!」
結衣「ほらほら見て! 可愛いねプリン」ギュウ
拓留(ま、また僕の腕に抱きついて――)
結衣「どうしたの拓留兄ぃ。ぼーっとして」キョトン
拓留「な、なんでもない」
結衣「捕まえちゃおーっと」ポチッ
拓留(結衣――いい匂いだ)
拓留(もっと嗅いでいたい……)スンスン
結衣「うわぁっ! ちょっと拓留兄ぃなにしてんの」
拓留「!! ご、ごめん!! いい匂いだったからつい」
結衣「いい匂いって――もう変なこと言っちゃだめなんだからね///」
結衣「鼻息でバレバレだよ。気づかれないようにしなよ、もう」
拓留(気づかれなければいいのか?)
結衣(久しぶりに拓留兄ぃと二人きりだけど、全然変わってないなあ)
結衣(子供っぽいところは特に。これじゃあどっちが年上かわかんないよ)
結衣(そういうところも可愛いけど)
結衣(よし、拓留兄ぃに>>156してみよっと)
腕をギューッとして甘えてみる
結衣(私は妹だもん。甘えたっていいよね)
結衣「ねえ拓留兄ぃ――ううん、お兄ちゃん」ギュゥゥ
拓留「?!?!」
結衣「結衣お腹空いちゃった」
結衣「だから、お兄ちゃんとお茶しながら休憩したいなぁ」ウワメヅカイ
拓留「え、ええと、その――」
結衣「だ め ?」ウルウル
拓留「だめ……ってことないぞ、うん、そうしよう」
結衣「やった! お兄ちゃん大好き!」
拓留(あっかーん!!)
拓留(お兄ちゃん呼びは、あっかーん!!!!)
拓留(もしかして……結衣は僕のことが――)
拓留(ためしに>>159してみよう)
壁ドンからの顎クイ
拓留(よし……! 壁ドンからの顎クイだ!)
拓留「結衣ッ」
結衣「ん? どうしたの拓留兄――」
ドンッ
拓留「結衣……」
結衣「た、拓留兄ぃ/// どうしたのいきなり壁ドンなんてっ」プイッ
拓留「こっち、むけよ」
結衣「はうっ」クイッ
拓留「……」
結衣「……///」
拓留「……」ジィーッ
結衣「そ、そんなに見つめないで……///」
拓留(キス――していいよな、もう)
チュ
結衣「~~~~~~??!??!?!」
結衣「ぷはあっ、ちょ、ちょっと拓留兄ぃ!!」バシン
拓留「あ痛てっ」
結衣「私のファーストキスが……」
拓留「ご、ごめん!! いやだったよな」
結衣「ん――ううん、嫌……ではないよ」
拓留「そう、なのか?」
結衣「うん。でも――」
チュッ
結衣「不意打ちはダメなんだからね//// もうっ」
拓留 ポカーン
結衣「か、帰ろっか。拓留兄ぃ」
拓留「そ、そうだな……」
スタスタ
結衣「……」
拓留「? なんで歩かないんだよ、結衣」
結衣「やっぱ足りない」
拓留「え?」
結衣「拓留兄ぃ――覚悟っ!!」ダダダダッ
結衣「えいっ」ピョン
チュウッ
結衣「んんんん~~~~!」ギュウウウ
拓留(キスからのハグって!! というか結衣の力が結構強い……)
結衣「拓留兄ぃ!」
拓留「は、はい!!」
結衣「今日は楽しかったよ!! だからね、最後にギュってして!!」
拓留「――ああ」ギュッ
結衣「ふふっ」ギュウウ
拓留(結衣が泣いているように見えたのは、気のせいだったのだろうか)
~青葉寮~
世莉架「あ、おかえり~」ポー
拓留「た、ただいま……」
結衣「ただいまっ」
拓留「尾上、なんだか意気消沈してないか?」
結人「うん、なんか言いだしっぺなのに終日こんな感じだったよ」
結人「結局その辺をちょっと散歩するだけで帰ってきちゃった」
うき「そ、それで、世莉架さんずっとこんな感じなんです」
世莉架「(・д・)……」ポー
拓留「そ、そうなのか」
結衣「……」
うき「世莉架さん、どうしちゃんたんですか? 元気出してくださいっ」
世莉架「(・д・)プー」
世莉架「タクっ」
拓留「な、なんだ?」
世莉架「今日は楽しかった?」
拓留「ま、まあ、そうかもな」
世莉架「そっかぁ、それならよかったぁ」
世莉架「じゃ、おやすみ、タク」スタスタ
拓留「おやすみって、まだ夕方だぞ」
うき「あ、帰っちゃいました」
結人「僕たちが何か怒らせるようなことしたのかな?」
うき「そうじゃないといいんですけどね」
結衣「ね、ねえ、拓留兄ぃ」
拓留「どうした?」
結衣「今日はうちに泊まっていくの?」
拓留「どうしようか……」
バタフライ効果による世界線分岐発動
安価>>165から>>169までの多数決で、二者一択の選択肢。
青葉寮に泊まる OR キャンピングカーに帰る
結果によりルートが分岐します。
青葉寮に泊まる
泊まる
世界線変動率1.031415%
――分岐。
拓留「今日は、青葉寮に泊まっていくよ」
結衣「本当っ?!」パァァ
うき「ふふ、結衣ちゃん嬉しそう」
結人「拓留兄ぃとここで過ごすなんて久しぶりだなぁ」
拓留「ははは、そうだな」
結衣「もうすぐしたら乃々姉ぇも帰ってくるから、今日はお料理がんばっちゃうね!」
拓留「ああ、楽しみにしてるよ」
拓留(尾上――大丈夫かな)
拓留「……」
拓留(まあ、あいつなら大丈夫だろう)
日常パートは終了です。
ここからはストーリーメインに書いていくので安価も抑えていきます。
がんばって書きます。
来栖「ただいま――って拓留!? どうしてここに!」
拓留「どうしてっていうことはないだろう。ここは僕の家なんだから」
拓留「な? 乃々」
来栖「あなた今名前で……」
拓留「どうしたんだ?」
来栖「い、いえ……なんでも、ないの」ポロポロ
拓留「おい! どうして泣くんだよ……心配するだろ」
来栖「本当に、なんでも……ないの」
来栖「よかった……拓留が帰ってきてくれて」
拓留「ああ、僕は帰ってきたよ」サスサス
拓留(そうだ。これでいいんだ)
拓留(青葉寮が僕の家で――)
拓留(ここに住んでる人たちが僕の家族だ)
拓留(僕はもとあった日常に戻っただけなんだ)
拓留(――それだけだ)
数日後
拓留(僕はリア充を気取るのも情強と言い張るのもやめた)
拓留(ごく普通の日常が良いと思えたんだ)
拓留(新聞部の記事も校内のゴシップに的を絞って大衆化した)
拓留(おかげで新聞部の人気も出た)
拓留(楽しい。毎日が楽しい)
拓留(一つ気になることは――尾上がここ数日学校に来ていない)
拓留(和久井先生の話では、尾上は今音信不通だとか)
拓留(本来なら僕も首を突っ込むところなんだけど)
拓留(余計な詮索はしないことにした)
拓留(今は日常を大切にしたいから)
拓留(僕は――情弱で非リアな、一般人だから)
ちょっと前に安価で飛び入り参加キャラ募ってたのでどっかでだします。
日曜日
拓留「乃々! 今日は出かけてくる!」
来栖「あら、拓留。もしかして……また妙な事件を追っているんじゃないでしょうね」
拓留「違うって。僕はそういうのにかかわるのはやめたんだ。黒歴史なんだよ」
来栖「ふふふ。ようやくわかってくれたのかしら。私は嬉しいわ」
拓留「なんだよ、もう。とりあえず行ってくる!」
来栖「気をつけていってらっしゃい!」
結衣「おはよ……って拓留兄ぃこんな早くにどこいくの?」
拓留「ちょっと、秋葉原にな」
結衣「ええっ!? 拓留兄ぃオタクさんになっちゃったの?!」
拓留「悪いかよ」
結衣「いや、悪くはないけど……まあ、趣味を否定してちゃ喧嘩になっちゃうもんね」ボソボソ
拓留「?」
結衣「ううん、こっちの話。気をつけてね」
拓留「ああ」
結衣「あっ、その……」
拓留「っと――なんだ?」
結衣「今日の夜も……お願い、ね」
拓留「あ、ああ。あれか」
結衣「拓留兄ぃとじゃないとだめなの」
拓留「はあ……なんでここにきて一人で眠れないんだよ。結人だって一人で寝てるじゃないか」
結衣「なんでも! とにかく、ね///」
拓留「わかったよ。今度こそ行ってきます」ガチャ
拓留(あれ以来――結衣が妙に僕にべったりになった気がする。結構な頻度で一緒に寝るようせがまれる)
拓留(結衣の体も結構成長をはじめてるから……僕としてはどうしていいのかわからない)
拓留(これも、今までと違う日常の点だ)
拓留(尾上と結衣――なにをきっかけにかはわからないけど、今までとどこかちがっている)
拓留(でも僕は気にしないことにした)
~山手線車内~
ガタンゴトン
拓留(秋葉原に行くのはとあるところに行くのが目的だ)
拓留(――『未来ガジェット研究所』)
拓留(この前の取材以来、あそこの人たちとは仲良くさせてもらっている)
拓留(橋田さんは変態だけどコンピュータの知識がすごい)
拓留(紅莉栖さんは理論に関して右に出るものはいない)
拓留(まゆりさんは可愛い)
拓留(岡部さんは……うん、なんというか、うん)
拓留(だけど一緒にいて飽きない人たちだ)
拓留(彼らのおかげで、平凡な日常にスパイスが効いてる)
~未来ガジェット研究所~
拓留「こんにちは」
まゆり「あっ、タッくんだ~トゥットゥルー♪」
岡部「おお! 宮代よ! よく来たな」
紅莉栖「あら、いらっしゃい。コーヒー淹れるわね」
拓留「今日はお三方なんですね」
岡部「いかにも。マイフェイバリットアームは現在出張中でな」
拓留(橋田さんのことか)
拓留(この未来ガジェット研究所は数年前に法人化されていて、今では橋田さんや紅莉栖さんを戦力に利益をあげているらしい)
岡部「そうだ宮代、新たな未来ガジェットを俺は開発したのだ!!」
岡部「その名も>>180!! >>181することが可能だ!!」
電話レンジ(真)
携帯電話で遠隔操作
岡部「その名も電話レンジ(真)!! 携帯電話で遠隔操作することが可能だ!!」
ダル「ちょ、それ昔作った電話レンジ(仮)のまんまじゃん。というかあれはオカリンが自分から破棄した件について」
紅莉栖「まーたガラクタ作りおってからに。こいつは」
岡部「が、ガラクタなどではない!! 遠隔操作ができるという手軽さは大事だ!」
拓留「はは……」
岡部(タイムマシンでないだけマシだ――とは言うまい)
岡部(この世界線ではラウンダーに終われることも、誰かが死ぬこともない)
ダル「そういえば宮代氏は今度大学受験なん?」
拓留「あ、はい。そうです。理系で受験しようと考えています」
ダル「なつかしいお……。正直僕とオカリンは勉強あんまり得意ではなかったお。でもまあ仲良く東京電機大学にいったわけで」
岡部「スーパーハカーでありマイフェイバリットアームのダルが違う進路など考えられなかったからなあ!」
ダル「オカリンは変わらないお。まあ、僕たちも学歴とか気にする人間じゃないから後悔はしてないけどね。宮代氏は頭いいほうだと思うしもっと上目指せると思われ」
拓留「はは……浪人覚悟でがんばります」
紅莉栖「わからなかったらなんでも聞いてね」
ダル「うは、これは百人力!」
拓留「ありがとうございます」
まゆり「タッくんも大学生か~。大学生になってもラボには顔出してね~」
岡部「うむ。まゆりの言うとおりだ。なにせ宮代はラボメンナンバー010だからな!」
拓留「はい」
拓留(ここの人たちは良い人ばかりだ)
拓留(僕が望んでいたのはこういう人の輪なのかもしれない)
>>182の冒頭に
ダル「ひー。今日は早めに仕事終わったお」ガチャ
を追加でお願いします。
~青葉寮~
夜
拓留「ふぁぁ……熱力学が苦手だな、僕は」
拓留「そろそろ寝るか……」
コンコン
拓留「はい」
結衣「拓留兄ぃ?」ガチャ
拓留「あ、結衣か」
結衣「うん。そろそろ拓留兄ぃ寝る頃かなって思って」
拓留「ああ、そうだよ(なんでわかったんだろう)」
結衣「迷惑じゃなかったらさ、今日もお願いしたいな……」
拓留「一緒に寝るのか?」
結衣「うん」
拓留「まあ、いいけど」
拓留(ちょっと悲しそうな顔で言われるから断れるわけがない)
結衣「んんっ。拓留兄ぃの体あったかーい」サスサス
拓留「お、おい。やめろって」
結衣「え、だめー?」
拓留「ダメって言うか……その――」
拓留「ああ、もう! 結衣はもう少し――自分の体の形を理解したほうがいい……」
結衣「?」
結衣「あ、もしかして興奮したの?」
拓留「……」
結衣「拓留兄ぃってばエッチなんだ」
拓留「……うるさい」
結衣「いいよ――私のこと襲っても」
拓留「え、え?!」
結衣「って、拓留兄ぃには無理か。チキンだもんね」
拓留「ば、バカにするなよ! 僕だって――」
結衣「僕だって、何?」
拓留「……」
結衣「ふふ、おやすみ、拓留兄ぃ」
拓留「ったく」
結衣「襲っていいっていうのは本当だからね」ミミウチ
拓留「!」
結衣「zzzzzz」スゥスゥ
拓留「……」
拓留「結衣か……」
<●> <●>
拓留「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」ガバァッ
拓留「はあっ……はあっ……」
拓留(な、なんだ今の!!)
拓留(視線――だけどとんでもないプレッシャーだった)
拓留(どこから見られているかもわからない)
拓留(どこからでも見られているように感じた)
拓留「ヒィッ…… ヒィッ……」
拓留(過呼吸気味になってる。やばい、やばい)
結衣「た、拓留兄ぃ?」ボケー
拓留「あ、ごめん。起こしちゃったよな」
結衣「ううん。いいよ。拓留兄ぃいやな夢でも見たの?」
拓留「夢――ならいいんだけど」
結衣「?」
拓留「いや、心配しないでくれ」
結衣「拓留兄ぃ」
拓留「どうしたんだ」
結衣「私の胸に顔埋めて」
拓留「と、突然どうしたんだよ」
結衣「拓留兄ぃは疲れてるんだよ」
結衣「だからギュってしてあげる」
結衣「おいで」
拓留「……」
拓留 ポスッ
結衣「よしよし」ナデナデ
拓留(結衣の胸……膨らみがある。もう結構成長しているのかもしれない)
拓留(やわらかい。このままこうしていたい)
拓留(……)
拓留「zzzzzz」
翌日
~碧朋学園・新聞部部室~
有村「はぁ、今日はヒマっすねぇ」
拓留「有村はそもそも新聞部の部員じゃないだろう」
有村「こまけぇこたぁいいんだよ、ってね。まあいいじゃないですか宮代先輩」
有村「それより、せり――どうしちゃったんでしょうかね」
拓留「尾上のことか?」
有村「はい。あんな元気な子が突然音信普通って絶対おかしいと思うんですけど」
拓留「まあ、確かにな」
有村「なんか、あんまり気にしてなさそうですね、先輩」
拓留「え?」
有村「私、せりと先輩は付き合ってるものだと思ってましたから」
有村「もしそうだったらその反応はいくらなんでも冷たすぎっすから」
拓留「僕と尾上は――」
――付き合ってないよ。
有村「そうすかー残念だなー良い子だと思うんすけどね」
拓留「まるで僕がダメな子みたいだな」
有村「あれ、気づいてないんすか?」
拓留「お前な……」
拓留「あ、そういえばさ」
拓留「自分が誰かに見られてるんじゃないかって思うことってあるか?」
有村「いやーどうですかね」
有村「私には人の嘘がわかるだけなんで――見られているかどうかってことに気を配ったことはないかもしれないです」
拓留「そうか」
有村「先輩はそういうことあるんですね?」
拓留「ああ、昨日あった」
有村「失礼かもしれないっすけど、統合失調症とか疑ってみてもいいんじゃないんすかね」
拓留「確かにここ最近どこかで精神的に疲弊してる感じがする」
有村「あんまり無理しないでくださいよ」
拓留「ああ、わかった」
有村「今日って華もいないですけど――他の部員はどうしたんすか?」
拓留「伊藤はファンタズムの新しいCD買いに行って、香月は課題が終わらなくて居残り。来栖は生徒会の打ち上げだな」
拓留(尾上は行方不明――とは言わない)
有村「じゃあ私たちふたりきりっすね」
拓留「み、妙なこと言うなよ」
有村「あれ~? もしかしてビビッてたり?!」
拓留「ぐっ……」
有村「もう、可愛いっすなあ宮代先輩は」
有村「あ、それじゃあこれから二人で行きません? カフェLAX」
拓留「そうだな。今日は暇だしな」
有村「それじゃれっつご~」
~カフェLAX~
エリン「おぬしらか。今日は二人かえ?」
有村「そうでーっす!」
拓留「ああ、そうだ」
エリン「ふむ。今日はあの元気っ娘はおらんようじゃな」
拓留「まあ、ちょっとありまして」
エリン「ほほ~う。これは痴情のもつれか――」
拓留「違います」
エリン「つまらんのぅ」
エリン「今日は空いておる。好きなところに座るがいいわ」
拓留「ったく。あの店員は相変わらずだな」
有村「私は結構好きですけどね。可愛いじゃないですか!」
拓留「そうだな」
有村「あー、どうでもよさげっすか」
拓留「ああ、今となっては僕の中では力士シールくらいどうでもいい」
有村「? 変な例えっすね」
拓留「そうか? 力士シールくらいは知ってるだろう」
有村「また『一席ぶつ』とかなにかですか? 最近やってなかったのに」
拓留「あれは黒歴史なんだよ。いや、ていうか本当に知らないのか? 力士シール」
有村「しつこいですよ先輩。そんなもの知りませんって」
拓留(どういうことだ)
拓留「そ、それじゃあ、ニュージェネレーションの狂気の再来って知ってるよな?」
有村「ニュージェネって……六年前の猟奇的なアレっすか」
拓留「いや、今年もあっただろ。その再来とかで大騒ぎになったって。前の僕ならすぐ飛びつくような――」
有村「いつもの妄想っすか? 宮代先輩は変なところで頭が回ってるんですね」
拓留「……」
拓留(なにかがおかしい)
拓留(有村の口ぶりは、そんなものは見たことも聞いたこともないというようなものだった)
拓留(ニュージェネ狂気の再来と力士シールは、誰だって知っているはずなのに……)
拓留(ためしにスマホで調べてみたら、ニュージェネに関しては六年前の事件しか出てこず――)
拓留(力士シールにいたっては検索ヒット件数0件だった)
有村「あ、そうそう。先輩、>>190って知ってますか?」
東日本大震災
有村「東日本大震災って知ってますか?」
拓留「あ、ああ……2011年のな」
有村「そうです。阪神淡路大震災以来久しぶりに震度7を観測したっていう」
拓留「待て待て待て!! その後に渋谷地震があっただろう?!」
有村「はえ?」
有村「もしかして……新しい妄想ですか?」
拓留「何を言って……2009年に僕たちは渋谷で被災した――そうだろう?」
有村「もう私、宮代先輩が何を言っているのかわからなくなってきました」
有村「いいですか? 私たちが小学生のときに渋谷で大地震なんて起きてません」
拓留「な……」
拓留(一体――どうなってるんだ)
拓留(力士シールは存在せず、渋谷地震やニュージェネ狂気の再来も起きていないなんて)
拓留(夢でも見てるみたいだ)
拓留(ためしにアレについても聞いてみるか)
拓留「それじゃあ、一応聞くけどさ」
拓留「カオスチャイルド症候群って知ってるか?」
夜
~青葉寮~
拓留「電磁気は面白いな……見えない世界にロマンを感じるよ」
拓留「ふぅ」
拓留「……」
拓留(結局、有村に期待した答えは一切返ってこなかった)
拓留(カオスチャイルド症候群という言葉すらこの世界にはない)
拓留(僕の生きてきた世界は幻だっていうのか?)
結衣「拓留兄ぃ」ギィッ
拓留「あ、結衣」
結衣「もう寝る?」
拓留「そう……だな」
拓留(なんで毎日タイミングがちょうどいいんだろう)
拓留(ちょうど良すぎる)
結衣「いい、でしょ?」
拓留「あ、ああ……」
結衣「んっ……」ギュゥゥ
拓留「結衣、暑い」
結衣「えぇ」
拓留「この部屋暖房つけてるんだよ」
結衣「きればいいじゃん」プクー
拓留「そもそもここは一人部屋なんだよ……」
結衣「私が暖房代わりになってあげるから、ね?」スリスリ
拓留「……」
結衣「ねえ」
結衣「胸とか、触ってみる?」
拓留「なっ! お前何言って――」
結衣「拓留兄ぃは童貞さんだから、まだ知らないんじゃない?」
拓留(一度、尾上が僕のとこに泊まりにきたことがあったな……)
拓留(あのときはどうだったっけ)
拓留は童貞か否か>>196
童貞
拓留(結局一線は越えてないんだよな……)
結衣「あ……もしかして怒ってる?」
拓留「別に」
結衣「よかった」
結衣「ねえ。拓留兄ぃは童貞捨てたいと思うの?」
拓留「結衣、お前今日ちょっとおかしいんじゃないのか?」
結衣「質問に質問で返さないで」
拓留「……」
結衣「私じゃ、ダメかな」
結衣「私は、いいよ。拓留兄ぃなら」
結衣「拓留兄ぃは家族だけど、血は繋がってないし」
結衣「私知ってるんだよ、そういうの、近親相姦にはならないんだよね」
結衣「ねえ、答えてよ」
結衣「ねえ」
拓留「……」
……
…………
……………………
<●><●>
拓留「ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!!」ガバァッ
拓留「はぁっ……はぁっ……」
拓留「ふぅっ……」
拓留(まただ。また前身を隈なくにらまれたような感覚)
拓留(どこから見られているのかわからない)
拓留(どこからでも見られているみたいだ)
結衣「拓留兄ぃ……」ウーン
拓留「はは、ごめんな。また、起こしちゃったよな」
結衣「拓留兄ぃ、――……ほらぁ、こっちにおいでぇ」ムニャムニャ
拓留「なんだ、寝ぼけてるだけか」
拓留(この悪夢のような体験、続いてるな……)
拓留(思い出しただけで――)
<●><●>
拓留「うぅっ!!」グラッ
<○><○>
拓留「ぅぁっ……」
<◎><◎>
拓留「あsdfghjkl……」
拓留「かはっ……、だめだ……またこの感覚」
拓留「僕、死ぬんじゃないだろうな……」
結衣「拓留兄ぃ……私は拓留兄ぃのこといっつも見てるよぉ……」ムニャムニャ
拓留「ははは、……正体が結衣だったらいいのにな」
拓留(結衣は今僕のそばで寝ている)
拓留(あのあと――僕はなし崩し的に結衣を抱いてしまった)
拓留(避妊もしていない)
拓留(すごく、まずいかもしれない)
拓留(でもそれが不思議とどうでもいいと思えてしまった)
拓留(そう、どうでも――)
拓留「zzzzzz」
……。
~碧朋学園~
伊藤「え? 2009年の秋ごろはどこでなにしてたかって?」
拓留「ああ。なにかこう、変わったことと言うか……やばいな――っていうことあったか?」
伊藤「事件とか災害的な?」
拓留「ずばりそうだ」
伊藤「うーむ。……いや、悪いな宮代。俺の小学生時代はいたって平和だった」
拓留「そうか」
伊藤「あ、女子のスカートめくりならしてたかもな! ははは」
世莉架「あっ、もうー真ちゃんてばエッチ~」
拓留「尾上!?!?!」
伊藤「?! って、どうしたよ宮代。尾上はたしか、行方不明なんだろ?」
拓留「えっ? 今たしかに尾上の声が……」
伊藤「してねえって。お前いくら尾上のこと好きだからってそれは病的だぜ」
拓留「そんなんじゃなくて――」
拓留「ゴホン……幼馴染を心配するのは、ダメなことか?」
伊藤「そりゃあ、ダメなんてことはないけどな。っていうか、幼馴染? 尾上はお前の幼馴染なのか?」
拓留「そうだよ。言ってなかったか?」
伊藤「いや、聞いたことないな」
拓留(僕の記憶だと伊藤は把握してた気がする……確信はないけど)
拓留(またひとつ、世界との齟齬を感じているみたいだ)
拓留(尾上――)
拓留(そういえば、尾上とはいつからの付き合いだったっけ)
拓留(……)
拓留(思い出せない……おかしいな。確かに尾上は僕の幼馴染で――)
拓留(僕に幼馴染なんていたか?)
拓留(僕の出した結論は――)
――宮代拓留に幼馴染はいない――
拓留(――だった)
拓留(第一に、僕は尾上の家に行ったことがない)
拓留(僕の記憶では尾上本人とはかなり深い付き合いがあったはずだが、僕はあいつの家のことを一切知らない)
拓留(だけど知らないと記憶に齟齬が生じる。家庭環境の不和を理解しあって共感したからこその絆――のはずだったから。よってこの記憶は嘘)
拓留(そして、これはあのあと橋田さんにお願いして(有料)調べたことだが……)
拓留(僕の知る尾上世莉架と言う人間は、データとしてこの世界には存在していなかった)
拓留(碧朋学園への登録を除いて、だが)
拓留(AH東京総合病院にすらなかった。そういえば渋谷地震は存在していないからか)
拓留(一緒に、病院に向かったはずだったんだけどな)
拓留(その記憶も嘘か)
拓留(結局、尾上世莉架とはなんだったんだろう)
拓留(僕は確かに、彼女と日々を過ごした)
拓留(でも彼女は確かに存在しない)
拓留(それどころか不確かすぎる)
拓留「はぁ……」
拓留「こんなこと、誰に相談すれば――」
拓留「――そうだ! あの人がいるじゃないか」
相談する人>>204
久野里澪 OR 蒼井セナ
セナ
~渋谷区内某所~
拓留「すみません、遅れてしまって」
セナ「5分か……まあいい」
拓留(僕はあの後、今巻き込まれている状況に対して相談すべく、蒼井さんと待ち合わせしたのだ)
拓留(事前に用件はメールで伝えてある)
拓留(自分の記憶と周囲の記憶との間に齟齬が生じていること)
拓留(尾上が行方不明になっていること)
拓留(視線を――感じること)
拓留(全部、だ)
セナ「……」
セナ「まず、お前の言うニュージェネ狂気の再来事件についてだが」
セナ「お前の記憶では、6年前の事件の模倣と思しき事件が確かに起こっていたんだな?」
拓留「はい。でもその言い方からすると、蒼井さんの記憶にも今年の事件はないんですね」
セナ「ああ、すまないがそうだ」
拓留「渋谷地震――も」
セナ「そちらについても、発生した事実はないといっていい」
拓留「ふと気になったんですけど、6年前の事件の真相って一体なんだったんでしょうか」
拓留「僕の記憶だと、
猟奇的殺人事件→渋谷地震
という流れで――」
拓留(ええと、少なくとも僕の記憶で久野里さんの放送を生で聞いたときには……)
拓留「一連の事件の犯人は西條拓巳という高校生である――と話題になって、でもそれは後で冤罪だと発覚して……」
拓留「それと同時に、彼の通う翠明学園は希グループという大企業の傘下にあったという事実もあって」
拓留「渋谷地震にはある大企業がかかわっている……一説ではそれが希グループであるとも言われている……」
拓留「という話がありました。まとまりがなくてすみません」
セナ「……いいや、そんなことは、……ない」
拓留(蒼井さんはなにやら深く考え込んでいるようだ)
セナ「……宮代」
拓留「は、はい……」
セナ「お前は、ギガロマニアックスというものを知っているか」
拓留「いえ、知りません」
セナ「ギガロマニアックスとは、妄想を具現化できる能力を持つ人間のことだ。ディラックの海に干渉し、粒子と反粒子を形成し、その粒子を妄想として周囲の人間に認識させる。周囲共通認識となった妄想は現実として成立する――原理はこうだが、要するに」
――妄想を具現化させる。
セナ「これがギガロマニアックスだ。世の中にはそういう人間が存在する」
拓留「な、なるほど……」
セナ「ところで、だ」
セナ「そういった能力と同等の機械があれば――と考えるやつが、当然出てきてもおかしくはないと思わないか?」
拓留「それは――思います」
セナ「それを作ろうとしたのが希グループだ」
拓留「!!」
セナ「翠明学園は、希グループのギガロマニアックスを集めようという思惑のもとに成り立っていた」
拓留(徐々に、何かが繋がっていく気がした)
セナ「だが、希グループもとい希テクノロジーの開発した機械――ノアⅡの最終実験は行われることはなかった」
拓留「なんでですか?」
セナ「消滅したからだ」
拓留「なっ……」
セナ「西條拓巳を、お前は知っていたな」
セナ「私も知っている。だがそれはテレビに出て話題になったからではない」
セナ「私と西條拓巳は――……いわば知り合いだ」
拓留「そうだったんですか?!」
セナ「西條拓巳は強力な力を持ったギガロマニアックスだった」
セナ「あいつは、ニュージェネ事件の最後――DQNパズルのあとに、すべての力を使って希グループとプロジェクトの一切を虚構へと押し込んでしまった」
セナ(覚醒は思ったより早かった……オリジナルの力までも使って巨大な周囲共通認識を生み出すとはな)
セナ「西條拓巳は急速に事故崩壊し、ノアⅡなどとともに消滅した」
セナ「希テクノロジーの所業は他の記憶から完全に消せてはいないが、少なくともその存在自体は確かに消えたよ」
かつてあったがもうない。
セナ(私が西條を記憶できているのは……あいつなりになにか施したからだったりするのだろうか)
セナ(何でもは……知らないな、私は)
セナ「災厄は事前に防がれたといっていいだろう」
拓留「それじゃあ、僕の記憶にある渋谷地震って言うのは、ノアⅡがなんらかの形で動いた――と考えていいと」
セナ「そう考えるのが妥当だな」
拓留「……」
セナ「碧朋学園にいるんだったな、お前は」
拓留「あ、はい。そうです」
セナ「そうか……」
セナ「お前には――伝えておこう」
セナ「碧朋学園はギガロマニアックスの収容所のようなものだ」
拓留「なっ……!」
拓留(収容所、だって?)
セナ「さっき、希テクノロジーとその思惑の一切は、存在は消えても記憶からは完全に消えてはいないといっただろう」
セナ「おそらくは記憶している人間が、……ふたたびギガロマニアックスに関する計画を立ち上げた可能性がある」
セナ「私も研究の傍ら探ってはいるが……それでも限度があって知っていることは多くはないがな」
拓留「それじゃあ僕も、妄想を具現化できるということですか?」
セナ「そのはずだ。最も覚醒していれば、だが」
拓留「覚醒?」
セナ「ああ。これは推測だが……ギガロマニアックスを意図的に覚醒させる施設が碧朋学園なのではないだろうか」
セナ「より純度と能力の高いギガロマニアックスの育成――それが行えれば貴重なデータが多く取れる」
セナ「噂ではアメリカのヴィクトルコンドリア大学も関与しているとも聞いている」
拓留(まさか、……あの人か!?)
セナ「少々私が語りすぎてしまったな。今日は宮代の相談だと言うのに」
セナ「だがこれで記憶の齟齬はかなり片付いたな」
拓留(僕の過去については――自分で調べるほかないよな……)
セナ「尾上世莉架――というお前の知人についてだが」
セナ「碧朋学園にいたということは、そいつもギガロマニアックスである可能性がかなり高い――というより確信を持ってもいいだろう」
セナ「行方をくらました理由については推測するしかないが……」
セナ「記憶の齟齬の内容はこれまでだが、その原因を考えてみよう」
セナ「推測――もっといえば考察であるという前提で聞いてくれ」
セナ「世界線という考え方を知っているか?」
拓留「零次元幾何をもつ点粒子の時空上の軌跡のことを意味する場合と」
拓留「架空かもしれませんが、ジョン・タイターの概念を意味する場合があります」
セナ「……驚いたな。それなら説明は早い。これからする話は後者の解釈で頼む」
セナ「世界は、パラレルワールドのように無数の可能性としての世界が存在し、そのうちの一つを私たちは生きている」
セナ「それらを各々世界線と呼ぶこととする」
セナ「例えば、今私たちが生きている世界をε世界線としよう」
セナ「仮に、私が過去へタイムスリップして大きな事件を起こしたとする」
セナ「その事件がその後の世界全体の未来を変えうるものであれば、世界線はもとのε世界線からさらに別の世界線へと変動するといえる」
セナ「そしてその影響の大きさによって、世界の変わりようは左右される。これを便宜的に世界線変動率と呼ぶこととする」
セナ「バタフライエフェクトという言葉を知っているか?」
拓留「はい。北京で蝶が羽ばたけば、ニューヨークをハリケーンが襲う――のような」
セナ「その解釈で十分だ」
セナ「ほんの少しの過去改変でも、どれほど世界を変えうるかは想像がつかない。世界線変動率は単純な関数としては定義できないんだ」
セナ「そしてここからが本題なのだが……」
セナ「もし仮に、世界線が変動したことを認知し記憶を継承できる人間がいて、さらにそれが宮代拓留だったとしたら……」
セナ「お前は、世界線変動に巻き込まれたのかもしれない」
拓留「っ!」
拓留「でも、僕はタイムスリップで過去改変だなんて、していませんが……」
セナ「ああ。この命題を成立させるには必要な条件が多すぎる。しかもそのすべてが推測の域を出ない」
セナ「しかし、私にはある仮説がある」
セナ「ここまでに仮定した多くの無謀な条件は――」
――ギガロマニアックスとしての能力としてつじつまを合わせることができるのではないか。
セナ「世界の変動そのものはエラーや負のエネルギー、ましてや反粒子などが直接的にかかわっているとは考えづらい」
セナ「世界を人間の意識の集合として考えれば、ギガロマニアックスによる意識への干渉を自分の記憶のバックアップとして応用できないかと、私は考えている。」
拓留「ちょっと待ってください! 蒼井さんの話を聞いている限りだと、……ギガロマニアックスは他者の存在ありきの能力じゃないですか」
拓留「僕の記憶は誰とも一致しない……。ましてや蒼井さんの仮説は僕が僕に能力を働きかけて自分のなかにバックアップをとる必要がある! それは矛盾すると思いますが……」
セナ「誰とも、か……本当にそうか?」
拓留「ど、どういうことですか」
拓留「あ、確かにこの世の全員とコンタクトを取ったわけじゃないですよ、はは……。でもネットにも一切ないですし。だから確かにだれかの記憶と意識に干渉してバックアップだなんて――」
拓留「――」
セナ「いるじゃないか」
セナ「お前が今探している少女がそうでない可能性を捨てるのは早計だと思わないか?」
~青葉寮~
拓留「……」
拓留(今日は勉強を一切出来ていない……受験生なんだけどな、一応)
拓留(そもそも僕は卒業できるのか? あそこがそんな施設だなんて)
拓留(蒼井さんとの話で多くの謎は解決したが、それと同等の難易度の悩みがふたたび浮上した)
拓留(もちろん尾上のことだ)
拓留(尾上もギガロマニアックスだとすれば、――僕が尾上の記憶に自分の記憶を維持させるよう働きかけてバックアップとして使う、という相互作用的なこともできるのだろうか)
拓留(蒼井さんの仮説には疑問点が多くある。だが、一つ彼女に断られたのは……)
セナ「解明されていることがすべてではない。無責任なことをいうようだが、私は私の仮説を証明できる自信はない。自分から言い出したバックアップの原理にだって疑問点は山ほどある。だがもしそれが成功していれば……」
拓留(すべての辻褄は、合う)
拓留(そういうことなんだよな)
拓留(原理もそうだが、僕はそれ以上に僕の置かれている状況が気になって仕方がなかった)
拓留(それに僕の過去も、だ)
拓留「視線のことは……わからずじまいか」
拓留(蒼井さんが推測するには、ギガロマニアックスから干渉されている可能性がある――とのことだった)
拓留(もしそれが尾上なら――という可能性について僕は口を開けなかった)
拓留(今日は疲れた……もう休みたい)
結衣「拓留兄ぃ……」ガチャ
拓留(相変わらずタイミングが良い)
結衣「ねえ、拓留兄ぃ……>>212」
最近私が誰かに殺される夢を見るの
>>210
ちょっと日本語がおかしいんで
×→セナ「お前が今探している少女がそうでない可能性を捨てるのは早計だと思わないか?」
○→セナ「お前が今探している少女がそうだという可能性を捨てるのは早計だと思わないか?」
に修正してください。
ではつづき
結衣「最近私が誰かに殺される夢を見るの」
拓留「何ッ?!」
結衣「あ、そんなに怖い顔しないでよぉ。……でも、確かにちょっとやだなとは思うよ」
拓留「僕と一緒に寝てるのはそれが理由なのか?」
結衣「えっ? あっ、う――うん。まあ、そうかな?」
拓留「それは……つらかったよな」
結衣「うん。一人で寝るのは心細いよ」
結衣「でもいいの。拓留兄ぃが一緒に寝てくれればそれで」
結衣「うん、それで……いいの……」ボロボロ
拓留「な、なんで泣いてるんだよ……大丈夫か?」
結衣「だ、大丈夫だよ。あれ、おかしいな……涙が止まらない」ボロボロ
拓留「結衣っ」ギュッ
結衣「あ―― 拓留兄ぃ//」
拓留「お前には僕がついてるから。安心して、いいから」
結衣「ありがと。嬉しいな拓留兄ぃ」
結衣「私ね、悩んでたんだ」
結衣「この前……拓留兄ぃに抱いてもらったときのこと」
結衣「私の勝手であんなことして、ひょっとしたら嫌われちゃったんじゃないかって……」
結衣「拓留兄ぃはその場の気分でそんなことする人じゃないのに、私ったら……」
拓留「もう気にするなって! いやなんかじゃないよ、僕は。結衣だったら――むしろ嬉しいくらいだよ」
結衣「ほ、本当?」
拓留「ああ」ギュッ
結衣「嬉しい……嬉しいよ拓留兄ぃ」ボロボロ
拓留「とりあえず涙と鼻水ふけよ」ハハ
結衣「あっ――もう、恥ずかしいから見ないでっ」
拓留「ティッシュはそこにあるからさ」
結衣「うん。ちょっと待っててね」
結衣「……はい。お騒がせしました」ペコッ
拓留「ははは、本当だよ」
結衣「もー」プクーッ
結衣「あのさ、拓留兄ぃ」
拓留「?」
結衣「拓留兄ぃも、何か悩み事あるんじゃないの?」
拓留「っ……どうしてそう思うんだ?」
結衣「見ればわかるもん。拓留兄ぃ何かに怯えてるみたい」
結衣「本当に大丈夫?」
拓留「……ああ」
結衣「私に出来ることなら力になるからね」
拓留「ありがとうな、結衣」
結衣「うんっ」
結衣「それで、さ……」
結衣「私、>>217してほしいなあ」
頭撫でてほしい
結衣「頭、撫でて欲しいなあ」
拓留「そんなことでいいのか?」
結衣「そんなことじゃないもん……お願い」
拓留「あ、ああ……」ナデナデ
結衣「えへへ///」
拓留(可愛い)
拓留(愛おしいともいえるのかもしれない)
拓留(結衣の体は暖かかった)
翌日
拓留(僕は僕とその周囲の変遷を調べることにした)
拓留(僕の記憶の世界では、渋谷地震のせいで僕や来栖、そして結衣たちが青葉寮に引き取られ)
拓留(今年になって、ニュージェネ狂気の再来事件を追う中で、AH東京総合病院の地下から保護した山添うきも青葉寮で引き取ることになった――)
拓留(――ということになっていた)
拓留(この世界ではどうなんだろう)
拓留(それを検証しなければ)
佐久間「ああ? お前たちを引き取った理由?」
拓留「ふと思ってさ。自分の過去について」
佐久間「なんだか妙な思いつきだな。まあいいけどよ。あんなことを忘れちまったなんてなあ」
拓留「あんなこと?」
佐久間「って、覚えてないって言うのが前提の話だったな。お前たちは、その――大きな声では言えないんだけどな」
佐久間「他言無用ってやつだ」
佐久間「都内某所の地下で行われていた人体実験の被験者だったんだよ
拓留「なんだって……!」
佐久間「俺は医者という立場上、そいつらのやっていることを見過ごせなくなってな」
佐久間「まあその、拉致ったわけよ。って言い方が悪ぃな」
佐久間「でもまああいつらも非合法的な実験をやってたわけだから、追ってきたりはしなかったみたいだけどな」
佐久間「そんで、俺の病院で預かることにした」
佐久間「それがちょうど6年前くらいだったはずだ」
拓留「……」
拓留(地下の人体実験……もしかしてAH東京総合病院か?)
拓留(父さんの医者という立場なら、関連はありそうだ)
拓留(そうか……父さんはそのために僕たちを)
佐久間「これでいいか?」
拓留「あと一つ……山添のこと」
佐久間「それはお前のほうが詳しいはずだろ? おいおい、痴呆は勘弁してくれよな。高校生なんだからよ」
佐久間「あの子はお前たちが家出少女を引きとってもいいか~なんて俺に頼んできたんじゃないか」
佐久間「まあ、家族が増えるのはいいことだしな。部屋も余ってたし」
佐久間「家族にまた一人加わったら面白ぇじゃねえか」ハッハ
拓留「山添が……家出……」
拓留(本当に家出なのだろうか。家出とは名ばかりのもっと違った理由があるとか……)
佐久間「あと、これはお前の問題だが――」
佐久間「――あの子のこと、名前で呼んでやったらどうだ?」
佐久間「家族、だろ?」
拓留「あ、ああ。そうだな。そうするよ」
佐久間「よしっ。そんじゃ勉強がんばれよ。俺はちょっくら出かけてくる」
拓留「いってらっしゃい、父さん」
拓留(そうして父さんを見送った)
拓留(蒼井さんにメールしてみるか)
拓留(AH東京総合病院の内情もまた、僕の記憶と違っている部分があるかもしれないし)
拓留(『AH東京総合病院の地下で人体実験などが行われていた過去はありましたか? もしあれば出来る限り詳しく教えてください』)
拓留「送信、っと」ポチッ
ピロンッ
拓留「早っ」
セナ
『なぜお前がその事実を知っているのか疑問だが、そこについて問いただす必要はないので本題に入る。確かにAH東京総合病院の地下でそのような実験が行われていたという話がある。ギガロマニアックスに関するものらしい。だが私も詳細を知っているわけではない。すまない。ギガロマニアックスに関連する組織のデータベースをハッキングないしはクラッキングでもすれば情報が手に入る可能性はある』
拓留「ハッキング、か」
拓留「あの人しかいないじゃないか」
~未来ガジェット研究所~
拓留「橋田さんにしか頼めない仕事なんです」
ダル「うーん、どれほどのセキュリティかわからんけど、難易度によるから成功報酬ってことでおk?」
拓留「あ、はい」
ダル「まあ宮代氏にはすこしまけておくお。身内のよしみってやつなのだぜ」グッ
拓留「ありがとうございます!」
ダル「えっへん。なんたって僕はあのSERNをもクラッキングしたスーパーハッカーだからね」
拓留(あのSERNをだって? さすがに、いつもの冗談だろ)
拓留(でも橋田さんの力はすごい。きっとやってくれるはずだ)
ダル「とりあえず明後日までには終わらせるから、そんときにまたラボに来て欲しいお」
拓留「わかりました。お願いします」
拓留「良い人たちばかりだな……ここは」ガラッ
綯「……」
拓留(ブラウン管工房の前に立ち尽くしているのは……たしか天王寺さんの娘)
綯「……」ジーッ
拓留(もしかして僕のことを見ている?)
拓留(な、なんだろう。妙なプレッシャーがあるな)
拓留(碧朋学園にいてもおかしくない年齢だよな。まあ違う学校なんだろうけど)
拓留(まあ、帰るか)スタスタ
綯「……」
~青葉寮~
拓留「ただいま」
うき「あっ、おかえりなさい」
拓留「あれ、今は山z……うき一人だけか」
うき「! はいっ」
うき「……」
拓留「どうかしたのか?」
うき「いえ、拓留さん、初めて私のこと名前で呼んでくれましたから」
うき「私のこと、家族だと思ってくれたんだなって」
拓留「ああ、なんていうか、家族だと思ってなかったんじゃなくて、単に照れくさかったんだよ」
うき「拓留さんにもそういうとこがあるんですね」クスクス
うき「優しい人です、拓留さんは」
拓留「よしてくれよ。この前までリア充を気取ってた痛いやつなんだからさ」ハハ
うき「拓留さんは、その……十分リア充だと思いますよ」
拓留「えっ、何を根拠にそんなことを」
うき「一昨日の夜中、目が覚めちゃってトイレにいったんですけど」
うき「拓留さんの部屋から変な声が聞こえてきて」
うき「ドアがちゃんと閉まってなかったので覗いちゃって……」
拓留「なっ!」
うき「ごめんなさい/// 盗み見るかたちになっちゃいましたよね」
うき「でもああいうことしてる拓留さんは、結衣ちゃんとまとめてリア充ですっ」
拓留「もうこの話は終わりにしないか……」
うき「ふふふっ、ごめんなさい」
うき「あ、夕飯なんですけど、もう少しで結衣ちゃんも帰ってくるので、待っててくださいね」
拓留「そうか……」
拓留(そういえば、これまでうきとはあまり接点がなかったよな)
拓留(うきと時間を過ごしてみよう)
拓留「僕が手伝うよ」
うき「えっ!? そ、そんな。拓留さんに手伝ってもらうなんて」
拓留「早いほうがいいだろ? 僕じゃだめか?」
うき「はぅぅ、だめってことは全然ないですけど、申し訳なくて……」
拓留「家族なんだから、助け合わないと、だろ?」
うき「そっ、そうですよね///」
うき「それじゃあ、お願いします、拓留さん」
うき「拓留さんって器用なんですね」
拓留「まあ、人並みにはな」
うき「手伝ってくれてありがとうございますっ」ニコッ
拓留「どういたしまして」
拓留(さて、どんな話題ならうきは楽しんでくれるんだろう)
拓留「なあ、うき。>>225」
うきは僕にしてほしいこととかないか?
うき「えっ、して欲しいこと――ですか?」
拓留「ああ。僕はうきの兄だから、なんでもいってくれよ」
うき「それじゃあ……>>227」
甘えさせてください
うき「それじゃあ……甘えさせてくださいっ」ピョコ
うき「ここに――青葉寮に来てから家族というものに触れて、兄弟というものを知って……」
うき「乃々さんは優しいお姉さんで……でもあの人を見ていると自分もしっかりしなきゃって意気込んじゃうんです」
うき「だから、年上で甘えられる家族に憧れてて」
うき「最近の拓留さんは優しいですし、私にとって優しいお兄ちゃんだったらって思うんです//」
拓留「うき……」
拓留「わかったよ。僕には、思い切り甘えていいよ、うき」
うき「ほ、本当ですかっ?!」
拓留「ああ。僕に出来ることなら力になるよ」ギュゥ
うき「あっ// だ、だめです拓留さんっ。私のこと抱きしめたら結衣ちゃんに怒られちゃいますよ」グイッ
拓留「あ……」
拓留(というより無意識にうきを抱きしめようとしてた)
拓留(どうかしてるんじゃないか、僕)
拓留(家族に優しく……ちょっと間違った方向に進みかけてるのかな)
うき「まあでも……今は結衣ちゃんいないですよね」ボソッ
拓留「?」
うき「いえっ、なんでもありません。でも、拓留さんがせっかく甘えていいって言ってくれたのに、どう甘えたらいいのか……」
拓留「そんな考え込むことでもないんじゃないか? 寂しくなったり、辛いことがあったら、僕に相談するなりしてくれればいいよ」ハハハ
うき「わかりました。そうしますね」
拓留(そのときに僕は思った)
拓留(今まで毛嫌いしていたこういう家族の関係が、今では心地いいと思えている)
拓留(世界が変わったあの日から――僕は幸せな生活へとシフトしているんじゃないだろうか)
拓留(情強だのリア充だのと神経を張っているのよりはるかに楽じゃないか)
拓留(僕はずっと、こうしていたかったのかもしれないな……)
<●><●>
Ⅴ ふふっ
拓留「?!?!?!?!?!」
拓留「ど、どこだ!?」クワッ
うき「ひっ! ……た、拓留さん?」
拓留「あ、あれ……」
拓留(今確かに、視線を感じた!)
拓留(一体なんなんだ……)
うき「あの……大丈夫ですか?」
拓留「あ、ああ。ごめんな、うき。ちょっと疲れてるみたいだ」
うき「受験勉強もがんばってるんですよね。疲れてるなら部屋で休んでてください」
拓留「悪い、手伝おうとしたのに」
うき「いいんですよ、そんな怖い顔されてたら私甘えるのも怖くなっちゃいます」
拓留「はは、そうだな。じゃあ後はよろしくな」
うき「はいっ」
~拓留の部屋(青葉寮)~
拓留(またあの視線……)
拓留(原因は一体なんなんだ)
拓留「……」
拓留(僕はその正体が尾上なんじゃないかと思っていた)
拓留(でも証拠がない……)
拓留(尾上がギガロマニアックスでそういうプレッシャーを与える力があるとすれば、合点がいく)
拓留「それなら僕は、どうしたらいいんだろうな」
後日
~未来ガジェット研究所~
ダル「お、宮代氏、オッスオッス」
拓留「こんにちは。今日は橋田さんだけなんですね」
ダル「まあね」
ダル「早速だけど、宮代氏の依頼してくれた仕事について結果報告といくお」
拓留「おねがいします」
ダル「まず碧朋学園なんだけど、それはひょっとしてギャグで言ってるのか? てくらいにびっくりな内容だったお」
拓留「どういうことですか?」
ダル「ええと、なんかギガロマニアックスとかいう超能力者的な? 人たちの収容施設だって」
ダル「まあ収容施設っていっても、家には帰しているから完全な収容ではないわけだが」
拓留(蒼井さんの言うとおりだ)
ダル「あれ、あんまり驚いてないかんじ?」
拓留「すみません、実はその情報は噂としてですけど聞いていました」
拓留「でもそれが確証となったので、ダルさんの仕事はありがたいです」
ダル「了解だお。そんじゃギガロマニアックスについての説明は省略するお」
ダル「まず、この碧朋学園を立ち上げたやつらってのが、6年前に消滅した希テクノロジーのプロジェクトの生き残りらしくて」
ダル「それまで行っていたギガロマニアックスに関する研究を陰で続行するための施設として碧朋学園が作られたんだってさ」
ダル「学校という形でギガロマニアックスを集めることで、さまざまな能力値を集計して、プロジェクトを進行させてる」
ダル「ただ、気になるのが、この碧朋学園を取り巻く組織は希テクノロジーだけじゃないってとこ」
拓留「他にも?」
ダル「それが……アメリカのヴィクトルコンドリア大学だお」
拓留(やっぱり! これも蒼井さんのいってたとおりだ)
拓留(僕の懸念は……久野里さんの存在だけど)
拓留「そういえば……牧瀬さんもそこで研究をしていますよね」
ダル「そうだお。でもこのことはまだ牧瀬氏には言ってない。できれば黙ってて欲しいお」
ダル「牧瀬氏の所属グループにも近いとこだし、情報がいきわたってることがばれたらみんなの身があぶなくなるかもしれんからさ」
拓留「わかりました。他言無用ということで」
ダル「おk。ここまでで質問はある?」
拓留「調べていくなかで、ギガロマニアックスの覚醒について言及しているデータはありましたか?」
ダル「ギガロマニアックスの覚醒……ちょっと漁ってみるお。あ、データはあとでまとめてUSBメモリで渡すお。いざと言うときのための自動消去プログラムつき」
拓留「はは、さすがです」
ダル「まあね」
ダル「さすが宮代氏だお……いっぱい文書がでてきた」
ダル「とりま足がつかないようにしてダウンロードっと」カタッ
ダル「よし、そんじゃ、いくつか重要印が押されてるやつを開いてみるから、一緒に読んでみて」
拓留「はい」
拓留「これは……『ギガロマニアックス予備軍者の覚醒について』だって……?」カチッ
ダル「やばそうな香りがプンプンだお」
拓留「ええと、『ギガロマニアックス予備軍者新設研究室東京支部――以下、碧朋学園とよぶ』」
拓留(なんて呼び名なんだ……学校とは名ばかりなのか?)
拓留「『碧朋学園では、ギガロマニアックスとして覚醒する可能性があり、
かつ精神の崩壊によって覚醒しやすい思春期の子どもたちを管理し、中等教育学校という体で調査を行うこととする。
なお、当施設は旧希テクノロジーのノアⅡに携わり消滅を免れた幹部数名と、ヴィクトルコンドリア大学脳科学研究所ならびに
精神生理学研究所とが共同で立ち上げたものである』」
拓留「『300人委員会が極秘裏に想定したサードメルト時の影響では、
ノアⅡのある渋谷において不完全な状態のギガロマニアックス――委員会はカオスチャイルド症候群者という仮称を設定していた
――が生まれることが懸念されていたが、ノアⅡが起動しなかったことは不幸中の幸いか、そのような子供たちはうまれなかった。
また、ギガロマニアックスであるか否かの判定は、末端組織とAH東京総合病院との共同研究による基礎データを用いた』」
拓留「AH東京総合病院だって?!」
拓留(蒼井さんと父さんが言ってた人体実験のことか?!)
ダル「あ……そこに書いてあるならAH東京総合病院についても説明したほうがよかったかも」
拓留「とりあえず他のも読んでからにします」
ダル「おk」
ダル(なかなかやばい領域に足を踏み入れてるよな僕ら)
拓留(もう引き返せない……)
拓留「これは……『実験・調査レポート』」ゴクリ
拓留「ひ、開くぞ……」カチッ
拓留「『第1回レポート。碧朋学園の新入生として多くのギガロマニアックス予備軍の子供たちを向かいいれてから三ヶ月が経過した。
彼らは今のところ、何の変哲もない少年少女のようにみえる。身体能力も学習能力も一般的なそれである』」
拓留「第1回から第7回レポートまでは同じような内容だ……」
拓留「うまくいってなかったのか?」
ダル「そう願うお」
拓留「『第8回レポート。ついに強硬手段を決行した。
進路相談などでチェックした精神的に不安定な生徒数名を地下に連れて行き、精神の崩壊を試みた。
予想通り彼らはディソードを発現し、覚醒した。実験は成功だ。
これからは同様の手段をもって強制的に覚醒させることができると考えられるため、今回覚醒した彼らは廃棄前提として複数の実験を試みた。
感覚の遮断およびブースト。リアルブートの強制。これらを行った結果、覚醒して間もない彼らは老人のような姿へと変貌してしまった。
委員会の想定したカオスチャイルド症候群者に類似している。以降は経過を見守るため、AH東京総合病院のデッドスポットにある部屋に
収容する。』」
拓留「」
ダル「」
拓留「ん? レポートの右下、そういえばすべて同じ署名がされているな……すごく小さいけど何か書いてある」
ダル「あ、ちょいまち。いま解析して拡大するお」
ダル「ええと、署名には――」
『――実験担当:和久井修一』
拓留「和久井修一って……!」
ダル「え、何。宮代氏の知り合い?」
拓留「知り合いも何も、この人は僕の部活の顧問です……」
ダル「な、なんだってー」
ダル「あ、いや、僕は至って真面目だお」
ダル「そういやさ、宮代氏も碧朋学園に通ってるってことは、こうなる可能性があったってことかお?」
拓留「そう、なりますね」
ダル「」
拓留(和久井先生……あなたは陰でこんなに非人道的なことを……)
拓留「レポートは、先月にアップロードされてる第11回が最後みたいですね」カチッ
拓留「『第11回レポート。すでに三年生は五分の一が覚醒を終えている。彼らには特別な進学先として
ヴィクトルコンドリア大学のファウンデーションコースを設けた。これで、向こうには留学という形で
サンプルを送ることが出来る。そして、現時点でまだ覚醒していない生徒の中に面白い被験者を見つけた。
第9回レポートにおいて私が報告したとおり、ギガロマニアックスには各々ことなる波動のパターンを
持っており、それが一致することはないと、独自の調査で結論付けた。今では委員会の認証待ちであるが。
さて、件の面白い被験者だが、ありえないことに、各々で異なるはずの波動パターンが一致する二者を発見した。
私の打ち出した仮説では、このようなことは、一方が他方をリアルブートした場合でないと起こりえないといえる。
ギガロマニアックスがギガロマニアックスをリアルブートしたとなれば、これ以上のサンプルはない。この二人が卒業
するまでにはアクションを起こさねばならないだろう』」
拓留「ギガロマニアックスがギガロマニアックスを生み出す、てことか?」
ダル「そのギガロマニアックスの原理についてはお手上げなんだけど、妄想を現実にできるってことはわかったお」
ダル「妄想が現実になれば……それはそれは気持ちのいいことなのよ? 碇君」
拓留「はあ、自重してください」
ダル「サーセン」
拓留「和久井はこのレポートを出してから近いうちに行動を起こすってことか」
拓留「もう行動に移っている可能性もあるな……」
拓留「橋田さん、ありがとうございました。碧朋学園に関する残りのデータは持ち帰ることにします」
ダル「了解だお。そんじゃ、次は例のAH東京総合病院についてだお」
拓留「……」
ダル「ほい。古いデータが多かったから、変換には骨が折れたけど、容量はたかがしれてたんで全部ダウンロードしておいたお」
拓留「ありがとうございます」
ダル「そんじゃ、好きなだけ見るといいお」スッ
拓留「……」カチッ
拓留「『本件は秘密裏に行われるものであり、一切の情報の漏洩は許されない』」
拓留「『この文書では、2009年9月現在までに行われた実験についてまとめている』」
拓留「『概要:ギガロマニアックス研究をAH東京総合病院の地下において行う。…』」
拓留「『…かねてより宗教団体を通じて被験者を集めていたが、長い間期待通りの結果は得られなかった。…』」
拓留「『…およそ人道的とはいえない内容のため、その詳細は別紙を参照のこと。…』」
拓留「『…あるとき、独自に描いたロールシャッハテスト用の画像を被験者に見せたところ、通常の人間では得られない反応を得た。…』」
拓留「『…精神的嫌悪感をその画像に対して抱くというものだ。…』」
拓留「『…これを11番目のロールシャッハとし、以降の実験でもたびたび用いた。…』」
拓留「『…外部でも使用できるよう加工が出来ればよかったのだが、モデルが見つからないため断念した。…』」
拓留「もしかして……力士シールのことか?」
拓留「この世界には力士シールがないんだったな」
ダル「なんだかオカリンみたいなこと言うのな宮代氏」
拓留「岡部さんみたいなこと?」
ダル「オカリンも時々世界がどうたらこうたらとか言ってるお。いつもの厨二病とは違う雰囲気で」
拓留「そうなんですか」
拓留(岡部さんにも世界変動と同時に記憶を維持する能力があるのだろうか)
拓留(……まさかな。いつもあんな調子の人だし)
拓留「一応、AH東京総合病院が地下で人体実験を行っていることはわかった」
拓留「それがギガロマニアックスに関することだということも」
拓留「まだ続きがあるな……」
拓留「『被験者の一覧は以下の通りである』」
拓留「これだけの人が実験されていたのか……」
拓留(そうだ、僕の名前もあるはずだ)
5102番:宮代拓留
5103番:橘結衣
5104番:橘結人
拓留「これか……」
拓留「あ、乃々の名前だ……」
5172番:来栖乃々(死去)
拓留「」
拓留(どういうことだどういうことだ)
拓留(乃々が死んだだって? しかも日付が2009年だ……)
拓留(そんなはずはない。乃々は今でも青葉寮で生活しているのに)
拓留(何かの間違いだ)
ダル「だ、大丈夫? 顔色悪いお」
拓留「大丈夫です……」
拓留(乃々についてリンク先がある……先のページに進むのか)
拓留(……押すぞ)カチッ
実験における逝去者
……
5172番:来栖乃々
はじめに、5172番に関しては、死因と実験は無関係であることを断っておく。
5172番は実験によって両親(3021番および3022番)を亡くしているため天涯孤独であった。
そのため、AH東京総合病院の地下に住んでいた。
ところが、第97回目の実験を前にして、何者かに頭部を殴打され死亡しているところを発見された。
凶器は発見されておらず、またこの研究は完全極秘であるため、捜査はされず、遺体は秘密裏に火葬され、共同墓地に埋葬された。
……
拓留「……」
拓留(何がなんだかわからなかった)
拓留(乃々が死んだのに生きている。僕は青葉寮で亡霊にでも会っているというのか?)
拓留(全身の力が抜ける感覚に陥った)
ダル「お、おい! しっかりしろ!」
拓留「あ、あれ……」
ダル「もう今日はやめといたほうが……」
拓留「せめてこの文書を読み終わるまでは……帰りたくありません……」
ダル「……無理はすんなお」ポンポン
拓留「はい」
拓留(僕たちに関するデータについてもう少し掘り下げられないかな……)
拓留(名前で検索してみよう)
検索結果:3件
・5102番 宮代拓留
・未覚醒リスト ……5102番宮代拓留
・脱走(?) ※権限者以外読み込めません。
拓留「脱走……父さんの言ってたことか」
拓留「橋田さん、このデータ、ロックがかかってるんですけど、解除できますか?」
ダル「んーちょいまち」
ダル「うん、これならいけそうだお。まったく僕の手にかかればお茶の子さいさいなんだから」
拓留「頼りになります」
ダル「一応ロックは解除したお。ほれ」
拓留「はい……」
脱走(?)
※このファイルは権限コードによって開かれています。
2009年10月某日
5102番宮代拓留、5103番橘結衣、5104番橘結人の3名が何者かによって拉致された。
外部に情報が漏れることは許されないため、捜索に踏み切ることが打診されたが、委員会の通達により捜索は断念した。
彼らには簡易的な実験しか行っていなかったため、情報漏洩の可能性が低いと判断されたものと思われる。
また、特被験者6711番南沢泉理が外部の研究員と接触中に逃走したが、特被験者に関しては、催眠によって実験に関する一切を外部の人間に打ち明けることができなくなっている。これは内部のものでなければ解くことができない。
よって、6711番に関しては放置しても支障はないとした。
拓留「父さん……僕たちを助けてくれたんだな」
拓留「……」
ダル「もうやめるお。これ以上読み進めたら宮代氏が壊れるだけだって」
ダル「データはあげるから、おとなしく僕の言うことに従ったほうがいいお」
拓留「はい……もうかえって休みます」
ダル「気をつけてな」
~青葉寮~
拓留「……」
拓留(もう何も考えたくない)
拓留(今日一日で得た情報は、一日の許容限界をはるかに上回っていた)
拓留「以前の僕なら……情強を気取って舞い上がっていたのかもしれないな」
拓留(もう寝よう)
拓留(疲れた)
拓留「zzzzzz」
<●><●>おやすみなさい。
翌日
拓留(僕は体調不良を理由に学校を休むことにした)
拓留(もっとも、昨日の一件以来あの学園の正体を知ってしまって怖気づいているというのもある)
うき「拓留さん、入りますね」ガラッ
うき「朝ごはん作ってきました。私も学校行っちゃうので、一人になってしまいますがごめんなさい」
拓留「いや、いいんだ。そもそも今日休むのだって僕のわがままだし」
うき「体調、大丈夫ですか?」
拓留「あ、ああ……まあまあかな」
うき「結衣ちゃん心配してましたよ」
拓留「ここには来てくれてないけどな……」ハハ
うき「照れてるんですよ、きっと」
うき「それじゃ、私も行ってきますね」
拓留「ああ、いってらっしゃい」
……
…………
……………………
拓留「暇だ」
なにをする?
選択肢 >>243
①受験勉強をする
②エンスー2であそぶ
③他の人の部屋を漁る
ポジティブ OR ネガティブ >>244
3
ポジティブ
結衣、うき、佐久間
拓留「よし、結衣とうきと父さんの部屋にでも行ってみるか」
~結衣の部屋~
拓留「そういえば結衣の部屋に入るなんていままでなかったかもな」
拓留「……」
拓留「いい匂いがする」
拓留「結衣の匂いだ」
拓留「……ってなんだか僕が変態みたいじゃないか」
拓留(でも、今この部屋でなにをしても咎められないんだよな)
トリガー ネガティブ
/////////TRIGGER ON/////////
拓留「はあ」
結衣「拓留兄ぃ?」
拓留「うわぁあっ!!」ドタッ
結衣「だ、大丈夫?」
拓留「ななな、なんでここに?!」
結衣「それは私の台詞だよ、拓留兄ぃ」
拓留(あ、そっか)
拓留(いや、つーかお前学校は)
結衣「そ・れ・で、拓留兄ぃは私の部屋で何してたのかな?」
拓留「えっ、なにも……してないよ」
結衣「怪しいな~」
拓留「ほ、本当だって!」
結衣「ふふっ、慌てちゃって、可愛い♪」
拓留「な、なんだよ……」
結衣「ねえ拓留兄ぃ」
結衣「ここは私の部屋なわけじゃん?」
結衣「だから私のほうが偉いの。質問に答えてね?」
結衣「『いい匂いがするなあ』とか思った?」
拓留「ぐっ……!?」
拓留(なんてことだ!)
拓留(図星じゃないか!)
結衣「ここには私がいつもはいてる下着とかお洋服があるからね~。拓留兄ぃてばホントスケベなんだから」
拓留「もうやめてくれ……」
結衣「いいよ、別に拓留兄ぃをいじめたいわけじゃないし」
結衣「むしろプレゼントをあげようかなっ」
拓留「なん……だと……」
結衣「ちょっと目つぶってて」
拓留「わ、わかった」
拓留「……」
結衣「もういいよ~」パサッ
拓留「ん? なんかいま僕の頭に乗せただろ」
結衣「それはね……」
結衣「私が今脱いだぱんつなのでした!」
拓留「な、なんだってーー!!!!」
――ブチンッ
拓留「……はっ……!」
拓留(なにを考えてるんだ僕は!)
拓留(だいたい結衣は学校に行ってるだろ……)
拓留(結衣がそんなことするわけないよな)
拓留「……」
拓留(……僕はがっかりなんてしてないからな)
拓留「さすがに衣装箪笥は触らないでおこう……」
拓留「これは、写真か」
拓留(特に特筆すべき点はないよな)
拓留(結衣の部屋は、あえて言うなら普通の女の子の部屋だった)
拓留(あとは……>>252を確認して次に行こう)
ベッドの下
拓留(女の子はベッドの下になにを隠すんだろう)
拓留(そういえば最近ゲンさんにも会ってないし、クールキャットプレスも読んでないな)
拓留(とりあえず結衣のベッドのしたは――っと)ノゾキ
拓留「なんだこれ……ノート?」
拓留(しかも味気ない大学ノートだ。結衣がこんなもの使うなんてな)
拓留「ひ、開いてもいいのか……」
拓留「開けるぞっ」ペラッ
拓留「……これは――漫画?」
拓留(しかも手書きだな、これ)
拓留(でも漫画にしてはおかしい。台詞がない)
拓留(イラスト、だろうか)
拓留「それになんだか――」ペラッ
拓留(――いかがわしいシーンが多い気がする)
拓留(純愛モノの同人誌みたいな)
拓留(でも普通の絵もあるんだよな)ペラッ
拓留(これは……ボートに乗ってる男の子と女の子、かな?)
拓留(でも――)
拓留(――なんで女の子の顔に×印がつけられてるんだ……)
拓留(結衣はああ見えても脆い精神のはずだ)
拓留(僕の知らないところで病んでしまっているのかも)
拓留(そこからページを捲っていくと、いくつか×印のつけられた女の子の絵が見受けられた)
拓留(もっと結衣にやさしくしてあげなきゃな……)
拓留(ノートは元の場所に戻しておこう)サッ
拓留「さて、次はうきの部屋に行くか」
~うきの部屋~
拓留(乃々とか結衣が飾りつけたのか、ずいぶんと可愛らしい部屋だな)
拓留(ここでうきが生活してるんだよな……)
トリガー ネガティブ
/////////TRIGGER ON/////////
拓留「さて、どこから見て回ろうか――」
ゴンッ
拓留「え?」
拓留(あれ、意識が――)
拓留 ドタッ
拓留 ウーン
拓留「あれ……僕、なにしてたんだっけ」
拓留「そうだ、うきの部屋で――」
うき「――探索、ですか?」
拓留「うわあっ!」
拓留「どどどど、どうしてうきが?!」
うき「いえ、それは私の台詞ですっ」
拓留(それもそうだな――ってデジャブな気がする)
うき「もう、女の子の部屋を探索なんてダメなんですよ? 拓留さん」
拓留「ううっ、ごめん……」
うき「ふふっ、素直な拓留さんは許してあげますっ」
拓留「悪気はなかったんだって。ただ、その……」
うき「言い訳ですか?」
拓留「なんでもありません」
拓留「ところで、さ」
拓留「どうして僕は手錠でベッドにつながれているんだ?」
うき「ふしんしゃだと思ったからです」
拓留「うっ」グサッ
拓留(いやいや、普通か弱い女の子は不審者をスタンさせて拘束しないだろ)
うき「そ・れ・で」
うき「私の部屋にわざわざくるなんて、拓留さんは欲求不満なんですか? ロリコンさんなんですか?」
拓留「ろりっ……そんなわけないだろ!」
うき「結衣ちゃんとあんなことしてたのに?」
拓留「いや、それは……」
うき「素直にロリコンだと認めたら、拓留さんにイイコトしてあげますよ」
拓留「なん……だと……」
拓留(待て待て、ここで認めたらいろいろ終わってしまう気がするぞ)
拓留(でもイイコトってなんだろう、気になるな……)
うき「拓留さんのためなら……私一肌脱いじゃうかも……」
拓留「僕はロリコンです!!!!」
うき「素直でよろしい、ですっ。それじゃあ拓留さんのして欲しいことしてあげますよ」
拓留「>>259してくれ全力で!!!」
お風呂
申し訳ない。お風呂でどうするのか安価出させてくれ
お風呂で>>262する
洗いっこ
拓留「お風呂で洗いっこを……!」
うき「きゃー拓留さんエッチです///」
うき「でも約束だし守らなきゃ、ですよね」
うき「い、行きましょ? 拓留さん……」
拓留(もう引き返せないぞうき!)
行くぞ山添!やるぞ山添!もう戻れないぞ山添!
~風呂場(青葉寮)~
うき「そ、それじゃっ、最初は私が……」
拓留「おおおおおおおおおお願いします」
うき「背中、流しますね」ザバーッ
うき「んしょ、っんしょ」ゴシゴシ
拓留(くっ……うきの声しか聞こえないがなんていい空間なんだ!)
うき「きもちっ、いいっ、ですかっ?」ゴシゴシ
拓留「! ……あ、ああ、気持ちいいよ」
拓留(へ、変な気を起こしそうだ)
うき「そそ、そうでした、洗いっこだから……拓留さんもしてくれなきゃだめですっ」
拓留「え?」
うき「私の背中も洗ってください」
拓留「」
拓留 ゴシゴシ
うき「っ、ちょっと痛いです、拓留さん」
拓留「あ、ああ、ごめん」
拓留(なんだこれ)
拓留(うきの背中――なんて小さいんだ)
拓留(後ろを向いてるから前は――見えないよな)
拓留(……)
拓留(……いけるか? 触っちゃうか?)
拓留(ええい、ままよ! 行くんだ宮代拓留!)バッ
うき「えっ?」
拓留 フニッ
うき「は、はわわわわわ……!」
拓留「ふっ」
拓留「宮代、最高――――ッ!!!」ドッカーン
イメージ:https://www.youtube.com/watch?v=huOVgE5Q5tM
イメージ動画はhttp://www.youtube.com/watch?v=ExTfvBBsEPgでもいいです。
>>264それ使えばよかったorz
個人的な都合で明日から5日くらいネットが使えません。お待ちください。
再開します。
――ブチンッ
拓留「……はっ……!」
拓留「……」
拓留(今のは――犯罪だな)
拓留(さて、部屋を見て回ろう)
拓留「……これは、写真だな」
拓留「結衣と結人に、それからうきか」
拓留「仲良く、やってるんだな」
拓留(もう僕たちは家族になれてると考えていいのだろうか)
拓留「うーん、見た感じ表面上は特に変なものとかはないよな……」
拓留「とりあえず>>272でも見てみるか」
本棚
拓留(本棚があるな……結衣たちが買ってきたのか)
拓留(少女マンガがあるな)
拓留(あとは問題集、か)
拓留(もう少し良く見てみよう)ゴソゴソ
拓留(あ、何冊かノートがあるな)
拓留(結衣の部屋にあったノートは――なんだか病んでいるようなオーラを纏っていたけど)
拓留(……あけてみるか)ゴクリ
パサッ
『日記帳 山添うき』
1日目:
今日から日記をつけようと思います。青葉寮で家族に囲まれて私は幸せです。
2日目:
今日は新しい料理に挑戦してみました。口に合うかわからなくて不安だったけど、みんなおいしいと言ってくれたのでうれしかったです。
3日目:
昨日は怖い夢を見てしまいました(><)小さい頃いた病院みたいなところで、お父さんと一緒にいました。あ、お父さんって言うのは、いま青葉寮でお世話になってる熊みたいなおじさんのことです。あー怖かった。夢でよかったなあ。
4日目:
どうしましょう。私は今慌てています。心臓がドキドキしてます。夜中にトイレに行ったら、拓留さんのお部屋から変な声が聞こえて、悪いことだと思ったけど覗いちゃいました。そこでは結衣ちゃんと拓留さんが――って、恥ずかしくて日記にはかけません。結衣ちゃんと拓留さんは付き合っているのかな。でも血がつながっていないとはいえ兄弟です。いいのかな。私にはよくわかりません。今日は眠れなさそう……。
拓留(見た感じ普通の日記だよな……)
拓留(結衣とのこともばれてるけど)
拓留(もう少し読み進めてみるか)
19日目:
拓留さんが顔色を悪くして帰ってきました。すごく心配です。これから受験なのに変なストレスをかけないように私も気をつけなくっちゃ。拓留さんは頭がいいんだと思います。私の知らないことをいっぱい知ってるし。それに最近は優しいお兄さんって感じで、一緒にいると安心します。私が拓留さんのためにできることってなんだろう。
20日目:
拓留(今日の分は、まだみたいだな。そりゃそうか)
拓留(僕のことを気遣っていてくれてるんだな)
拓留(結衣といいうきといい、僕は幸せ者だ)
拓留(……そういえば、うきはギガロマニアックスだったりするのだろうか)
拓留(でも確かめる手段はないよな)
拓留(――いや、碧朋の中等部かどうかを聞けばいいんだ)
拓留(あいつが帰ってきたら聞いてみよう)
拓留(もしうきがギガロマニアックスなら、この家は父さん以外全員じゃないか)
拓留「……」
安価選択肢>>275
うきの部屋の物色を続ける OR 次に行く
続ける
拓留「もう少し続けてみよう」
拓留(本棚を入念に……)ガサゴソ
拓留(ん? なんだこれ)ゴソゴソ
『南沢泉理』
拓留「ID……カード?」
拓留「南沢泉理――どこかで見た名前な気がする」
拓留「南沢……泉理……」
拓留「……!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――南沢泉理が外部の研究員と接触中に逃走したが、特被験者に関しては、催眠によって実験に関する一切を外部の人間に打ち明けることができなくなっている。これは内部のものでなければ解くことができない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
拓留「この前の資料にあった名前だ……!」
拓留「で、でも、なんでこんなところに……」
拓留「このカードは恐らくうきのものじゃない。だとすると――」
拓留「だれかがここに置いた、もしくは忘れていった――」
拓留「でもそんな……」
拓留(それじゃあこの家に第三者が侵入したってことじゃないか!)
拓留「……」
拓留「このカードは回収しておこう」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
5172番:来栖乃々
はじめに、5172番に関しては、死因と実験は無関係であることを断っておく。
5172番は実験によって両親(3021番および3022番)を亡くしているため天涯孤独であった。
そのため、AH東京総合病院の地下に住んでいた。
ところが、第97回目の実験を前にして、何者かに頭部を殴打され死亡しているところを発見された。
凶器は発見されておらず、またこの研究は完全極秘であるため、捜査はされず、遺体は秘密裏に火葬され、共同墓地に埋葬された。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
拓留「ッ!!!」
拓留(思い出してしまった……ずっと目を逸らそうとしてたのに)
拓留(乃々が死んだって――そんなわけないじゃないか)
拓留(ここで暮らしているんだぞ?)
拓留(一体どういうことなんだろう)
~佐久間の部屋~
拓留(とうとう来てしまった……)
拓留(父さんの部屋――案外すんなり入れたけど中身についてはこれからだな)
拓留(興味本位で入ったけど、極秘資料とかあったりするんだろうか)
拓留「……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ダル「もうやめるお。これ以上読み進めたら宮代氏が壊れるだけだって」
ダル「データはあげるから、おとなしく僕の言うことに従ったほうがいいお」
拓留「はい……もうかえって休みます」
ダル「気をつけてな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
拓留「はは、いや、まさか、な」
妄想トリガー発動
ポジティブ OR ネガティブ >>280
ネガティブ
トリガー ネガティブ
/////////TRIGGER ON/////////
拓留「と、取り合えず書類を片っ端から漁るか……」
拓留 ペラッ ペラッ
拓留(この辺は医学関連だな。大学に関するものらしいけど、もしかして父さんは大学で研究してたりしたのだろうか)
拓留(医学、か)
拓留(ギガロマニアックス研究は病院の地下で行われていた。そこには医学に従事する人間だって多くいたはずだ)
拓留(父さんはそこから僕たちを連れ出してくれたんだよな)
拓留(この段は全部医学の――といってもギガロマニアックスとは関係ない小児科か何かの資料だな)
拓留(次の段にいってみるか)ゴソゴソ
拓留「これは……タイトルがない資料? 何かのリストみたいだけど」ペラッ
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
拓留「これって……! は?」
被験者 宮代拓留 死亡 200X/XX/XX
拓留「ぼ、僕が死んだって……そんなのは嘘だ! 現に僕はこうして生きて――」
世莉架「タクは死んでるよ♪ とっくにね」
拓留「尾上?! お前いつ戻ってきたんだよ!」
世莉架「タクったらひどいんだもん。私のこと置き去りにして遠くに行っちゃうんだからさ」
拓留「何を言って……」
世莉架「そのせいで死んじゃった♪ でもタクが悪いんだよ? だからタクも死んだの。因果応報ってやつ?」
拓留「嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ! 嘘だといってくれ!!」
世莉架「もう、甘えちゃだーめ」
世莉架「タクはこれから死ぬよりも辛い地獄を味わうんだよ……」
拓留「うわああああああああああああああああああああああああ」
――ブチンッ
拓留「かはあっ……。い、いつもの、か」
拓留(どうしようもない癖、だな)
拓留(あんなのはめちゃくちゃだ)
拓留「……」
拓留(乃々が死んでいるって言うのは一体どういうことだったんだろう。未だに僕はその情報で混乱しているのかもしれない)
拓留(父さんの部屋の物色を続けよう)
安価選択肢>>283
佐久間の書斎のセキュリティは
①甘い
②手ごわい
2
拓留「あれ……」
拓留(机の下の奥に引き出しがあるな)
ガチャッ ガチャッ
拓留「開かない……」
拓留(開いてくれ、頼む!)
ガチャン ガラララ
拓留「あ、開いた」
拓留(これも、ギガロマニアックスの力なのか?)
拓留(いや、待てよ)
拓留(そもそもこの能力って第三者がいないと発動できないよな)
拓留「……」
妄想トリガー発動>>286
ポジティブ OR ネガティブ
ボジティブ西條拓巳×岸本あやせ編開始
ネガティブ
>>287採用していきますね。
トリガー ネガティブ
/////////TRIGGER ON/////////
拓留(誰かが、いる……?)
<●><●>
拓留「ひぃっ!!」
ガツンッ
拓留(あ、足をかけられた……!? まずい、倒れる)
拓留「くぅっ」バタッ
拓留「一体何が――」
??? ガシッ
拓留(く、首絞めかっ)
拓留「かはぁっ!」
??? ググググ
拓留(眼鏡がどっかいったせいで、相手の顔がわからない!)
拓留(目が慣れるのを待つしかないのか!)
拓留「だ……れ、だ」
???「……クの、せ……だ」
拓留「ぇ?」
拓留(意識が――)
???「タクが全部悪いんだ」<●><●>
拓留(もう、だめだ……)
拓留(そうして僕は深く永い眠りへとつくのだった)
――ブチンッ
拓留(お、尾上がいたりするのか?)
拓留(後ろに誰か――)
???「こんなとこでなにしてんの?」
拓留「うわああああああああああああああああっ!!」
???「ひぇっ!? た、拓留兄ちゃん!?」ビクッ
拓留「え? あれ?」
拓留「な、なんだ結人か。脅かすなよ」
結人「拓留兄ちゃんこそ。というか僕怖かったんだからね。家に帰ってきたらお父さんの部屋から物音がするから泥棒かと思ったんだよ?」
拓留「そ……そうだったのか」
拓留(というより、もうそんな時間だったんだな)
拓留(能力は結人がいることで発動したのか)
結人「こんなとこで、何か探しもの?」
拓留「え? あ、いや、その……」
拓留(誤魔化すしかないよな)
拓留「そうなんだよ。父さんに探すよう言われた書類があってさ。それで」
結人「ふーん。そうなんだ」
結人「それじゃあ僕は部屋に戻るね」
拓留「ああ」
拓留「死ぬかと思った……」
拓留(そもそもあの視線の正体は一体なんだろう)
拓留(尾上が正体だって言うのは、実は僕の勝手な思い込みだったりするんだよな)
拓留(本当、どこいったんだよあいつは)
拓留「さて、結衣たちまで帰ってくるとやっかいだから物色を急ごう」
拓留(はは、なんて日本語だよ)
拓留「さっき開いた引き出しの中に資料らしき書類がたくさんあったな」ガサゴソ
拓留(父さんはなんで僕たちのことを気にかけてくれたんだろう。他にも実験の被験者はたくさんいるはずなのに)
拓留「鍵をかけてあるくらいだからもしかしたらとは思ったけど……、これって大学の講義とかで配られる紙なんじゃないのか? 変色がすごいし、父さんの学生時代のものかな」
拓留「こんなものを取っておくなんて、父さんにもそういう面があるのか」ハハ
拓留「まあ、やっぱり怪しい資料なんて、ない――」
拓留(いや)
拓留(いま資料の間を掻き分けて、僕の視界が何かを捉えた)
拓留「……」ガサゴソ
拓留「これは……」
拓留(明らかにおかしいほどホチキス――本来はステープラーというのが正しい――で封、というより封印されたようなファイルがある……)
拓留(なんだこれ。ホチキスってこういう使い方はしないだろう)
拓留「くっ……!」
拓留(これを開いてはいけないと、脳が訴えている気がする)
拓留(でも、僕は――)
バリバリ
『<極秘> ギガロマニアックス研究 研究者手引』
拓留「……」
拓留(一見ふざけているのかと思うようなタイトルではあるが、それを<極秘>という妙にインクのにじんだ印字が奇妙なものへと変貌させている)
拓留「……」ペラッ
拓留(冒頭は研究の概要について書かれているな。この辺は橋田さんと見た内容と同じみたいだ)
拓留(すくなくともこれで、父さんはこの研究になんらかのかたちで関与していたということになる)
拓留(……)
拓留(なんだよ、なんなんだよ、これ。僕にもよくわからないけど、何か胸騒ぎがする)
『~研究者一覧~』
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
…………佐久間恒
拓留「……くそっ!!」ダンッ
拓留(どうして!! どうしてこうもひどい現実が僕を待ち構えているんだ!!)
拓留(父さんはギガロマニアックスの研究にたずさわっている人物だった)
拓留(それだけでなく、どのような実験を行い、どれほどの人間を壊してきたかまで僕は知った)
拓留(知りたくなかった)
拓留(父さんは、恐らく僕たちを助けるために研究から引き離したんじゃない……)
拓留(この青葉寮の人間は父さん以外全員ギガロマニアックスじゃないか)
拓留(結論付けたくない。最早家族として機能しない、いや、最初から機能なんてしてなかったことを知った今、父さんの真の目的なんて考えたくない)
拓留(この部屋を片付けなきゃ)
拓留(父さんの部屋を物色して真実を知った僕は殺されるのか?)
拓留(いやだ、死にたくない)
拓留(――なんで死にたくないんだ? 僕は)
拓留(いっそここで――)
拓留(……)
拓留(僕は取り出した資料等を戻すだけの復元をし、父さんの部屋を出た)
拓留(気づけば自分の部屋に戻っていた)
拓留「もう、寝よう」バタッ
拓留「おやすみなさい」
拓留(僕がふたたび目覚めることはあるのか?)
拓留(もう考えたくもないや)
拓留「……zzzZZZ」
「……きて! ……お……て!」
――なんだよ、うるさいな。
「……おき……く……」
――もう少し、いや、ずっと寝かせてくれよ。
「……起きて! 起きなさい拓留!」
拓留「……なんだよ」
来栖「やっと起きたわね、拓留。さっきから何回起こしたかわかってるの?」
拓留「……知らないよ。大体、僕を無理やり起こす理由なんてないだろ」
来栖「落ち着いて聞いてちょうだい……」
拓留(僕の言うことはスルーか)
拓留(それになんだよ、急に。乃々らしくもない)
来栖「父さんが……死んだわ」
拓留(乃々はただ、父さんが死んだという事実を僕に聞かせた)
拓留(結衣たちも相当なショックを受けていて、詳しく聞こうとしてもなにもわからなかった)
拓留(乃々にしつこく聞いたら――)
来栖「事件、らしいの」
拓留(――そうボソッと言ったっきりふらふらと結衣たちのもとへ歩いていってしまった)
拓留(……)
拓留(一体僕の周りで何が起きている?)
拓留(世界が再構成されてから、僕は平和な世界を生きていけるもんだとどこかで思っていた)
拓留(でも現実は結局誰かを殺さなきゃ気がすまないらしい)
拓留(青葉寮は長い時間、沈黙が守られた)
拓留(そんな状況を打破したのは久野里さんからの電話だった。僕のスマホにだ)
拓留「もしもし」
久野里「私だ。事件についてはもう聞いているか?」
拓留「いえ、なにも。乃々は話してくれませんし」
久野里「そうか。お前は動揺していないように感じられるが?」
拓留「そうですかね」
久野里「……まあいい。じきに神成さんがそちらに着く。そこで詳しく聞いてくれ」
拓留「わかりました」
ブツッ プーッ プーッ
拓留「……」
神成「その……身近な――いや、ご家族のことで詳細を伝えられるのは辛いかもしれないが、聞いてくれるね?」
拓留「はい」
拓留(父さんが死んだ――殺されたっていうのに、僕は全然悲しんでいない。父さんの残酷な真実を知ったからだろうか)
拓留(それでも、家族として過ごした時間は確かにあったはず……)
拓留(今となっては父さんの真意を知ることはできない)
神成「青葉医院の佐久間恒医師は、今日の昼過ぎに遺体として発見された。場所は渋谷駅からすこしはなれた路地だ」
神成「死亡推定時刻は今日の午前十時から十一時の間だ。そして、肝心な遺体の状態なんだが……」
拓留「神成さん……」
神成「死因は失血死だ。結論を言えば佐久間医師は殺された。その方法が、――」
神成「腹を裂かれるというものだったんだ……」
拓留「……!」
神成「そして、もう一つ、事件の残虐性を知らしめる事実がある」
神成「佐久間医師の裂かれた腹の中には、胎児が入れられていたんだ」
拓留(まさか?!)
拓留「それって、もしかして6年前のニュージェネの妊娠男のようなものですか?」
神成「あ、ああ。不謹慎だが似ていると言えるかもしれないな。もっとも、今回は丁寧に縫合なんてされていないし、我々警察から見ると、雑な殺し方のように感じられる」
神成「恐らく初犯なのではと思う。力もそこまでない、人間なんてものを刃物でどうこうするなんて本来できもしないような人間が起こしたのでは、と勝手な推測は立てている」
神成「警察は今全力で捜査を進めてはいるんだが……なにせ証拠といえるものが全然ないんだ」
拓留「荒々しい手口にもかかわらず、ですか?」
神成「ああ、そうだ。まるで現場の証拠を綺麗さっぱり持ち去ったか、あるいは――」
神成「――消し去ってしまった、とか。僕の単純な脳ではそうとしか考えられなくてな」
拓留「そうですか……」
拓留(証拠隠滅を現場に接触しないで消す方法なんてあるのだろうか)
拓留(どうにもひっかかるものがあるような、そんな気分だ)
神成「そろそろ僕は戻ることにする。また詳細がわかれば、君には伝えよう」
拓留「わかりました」
神成「佐久間医師のご冥福をお祈りするよ」
拓留「……」
拓留(父さん……いや、佐久間の葬儀は青葉寮の面子だけでひそかに行った)
拓留(来栖はひたすら泣きじゃくっていて、結人も一緒だった)
拓留(結衣は悲しそうな顔はしていたものの、泣いてはいなかった。いつの間にか強くなっていたらしい)
拓留(うきは今にも泣きそうなのを必死でこらえていた)
拓留(そして僕は……無感情にそのときを過ごした)
後日
~新聞部部室~
拓留「……」
有村「あ~あ、ここ最近新聞部って新聞だしてなくないっすか? これじゃあただのたまり場ですよ、宮代先輩」
拓留「そうはいってもな……」
有村「いえ、ごめんなさい。宮代先輩の家は今大変でしたね」
拓留「気にしないでくれ。まあ、新聞部に関しては、もう僕ら3年生の役目は終わりってことでいいとも思ってるんだよな」
伊藤「俺らも引退かー。でも宮代、引き継ぐ後輩なんているのか?」
伊藤「香月はまだ1年生だし、出来ればそういうのって2年生にしたいよな」
香月「ん」
拓留「新聞部の2年生、ね」
拓留(本来なら尾上の役割なんだ、それは)
伊藤「って、そうか。尾上は、今いないんだもんな。悪い」
有村「なんかこう、どよーんとした感じで嫌です、最近は。誰も悪くないのに」
拓留(誰も悪くない、か)
伊藤「しっかし、尾上のやつ、そろそろでてこいよなー。案外あるとき突然ひょっこり顔だしたりしてな」
有村「そしたら思いっきり飛びついてスリスリしてやろっと」
拓留「はは……」
コンコン
拓留「ん? 誰だろう」
拓留「どうぞ」
ガチャ
神成「宮代君。先日の事件のことで話があるんだ、ちょっといいかい?」
拓留「それでしたら、青葉寮でゆっくり話を聞かせてください」
神成「わかった。車で送ろう」
拓留「みんな、今日は解散ということにしてくれ」
有村「おっすー」
伊藤「りょーかい」
香月「ん」
~青葉寮~
神成「遺体に胎児が入れられていたことはこの前話しただろう? その件で妙なことがあるんだ」
拓留「どういうことですか?」
神成「胎児の身元を、出来る限り手を尽くして見つけようとしたんだが」
神成「DNA鑑定を用いることになってな、両親として考えうる遺伝子を探せないかと考えたんだ」
神成「最初、我々はだめもとで警察の把握するデータと照合した。すると、だ」
神成「なんと一致するデータが見つかったんだ」
拓留「それじゃあ、その胎児の親が見つかるかもしれないんですね」
神成「あ、ああ……」
拓留(その話をなぜ僕にするんだろう)
拓留(胸騒ぎがする。神成さんはなんでこんなに苦虫を噛み潰したような顔をしているんだ)
神成「その、胎児の親と思しきDNAなんだが――」
神成「父親は宮代拓留君、君なんだ」
神成「最初は目を疑ったが、どう考えても科学的には君以外ありえないのだそうだ」
神成「母親のDNAについては未だわからずじまいだ。一致するデータが見つかっていなくてな」
神成「だが君は違った。宮代君は渋谷地震の際になくなった両親の身元特定のために警察にDNA情報を登録していたんだ」
神成「そして、その情報と胎児のものが重なったということなんだ」
拓留「……」
拓留(僕に……子どもだって? そんなバカな)
拓留「ありえませんよ。僕は誰かと子どもをもうけたりしてません」
神成「そういうと思っていたよ。だから我々も理解できないんだ」
神成「いるはずのない君の子どもが実際に存在していた。ということになる」
神成「僕としても、どうしたらいいのか……」
拓留(子作りをしていないのに生み出すなんて不可能だ。生物学的にも)
拓留(そう、原因なしに結果は存在しないから)
拓留(もし神成さんたちが調べた結果が事実なら、必ず原因があるはずだ)
拓留(考えろ……宮代拓留)
神成「今日君に伝えたかったのはこの件だけだ。あまり思い出させても辛いだろうし、僕は帰るとするよ」
拓留(できるはずのない赤ん坊を生み出す……。くそっ、想像つかないぞそんなこと!)
拓留(いくら思い描いたって――)
拓留(――!)
拓留「神成さん!!」
神成「お、ああ、宮代君か。どうしたんだい」
拓留「すみません、久野里さんに会わせてください!」
~フリージア~
拓留(ふたたび神成さんに車を出してもらってここにきた)
拓留(ある仮説を検証するために)
拓留(それにはどうしても久野里さんの頭脳が必要なんだ)
久野里「どうした、お前から私を訪ねてくるなんてな」
拓留「ええ、久野里さんに検証してもらいたいことがあるんです」
久野里「ほう……なかなか面白い提案じゃないか。ここ最近身の回りで事件が起こっているというのに、頭は錯乱せずにいるみたいだな」
拓留「おかげさまで」
拓留「検証してもらう前に、一つ導入なんですが、先日青葉医院の――佐久間恒が殺害された事件をご存知ですか」
久野里「ああ、知っている。渋谷における情報を欠かすわけにはいかないのでな」
久野里「ましてやあれほどの猟奇的な事件であれば、私にとって知らないでいろと言うほうが難しい」
拓留「それなら話は早いです。その事件において、佐久間の遺体には第三者の胎児が入れられていたのですが」
拓留「その胎児についてDNAをもとに調査したところ、父親は特定できたそうなんです」
久野里「ほう、そうなのか。それほどの警察の内部情報はまだ入っていないな。もっとも、時間の問題だろうが」
拓留(神成さんは真っ先に僕に教えてくれたというわけか)
拓留「それで、その胎児の父親なのですが」
拓留「それが僕だったんです」
久野里「……それは冗談か?」
拓留「真実です。さっき神成さんに教えてもらったんですよ」
久野里「……」
久野里「わかった、それについては信じよう」
拓留「ありがとうございます」
久野里「お前がいつのまにか女と子作りをしていたとはな、意外というかなんというか」
拓留「それに関してもおいおいわかります。それで、ここからが本題なんですが」
拓留「胎児をリアルブートすることは可能ですか?」
ちょっと寝ぼけてて設定が頭から抜けてた。
世界は再構成されているので、
>>302の
神成「だが君は違った。宮代君は渋谷地震の際になくなった両親の身元特定のために警察にDNA情報を登録していたんだ」
を
神成「だが君は違った。宮代君はかつて殺害された両親の身元特定のために警察にDNA情報を登録していたんだ」
に変更でお願いします。
久野里「胎児をリアルブート、……だと?」
拓留「はい」
久野里「……」
拓留「……」
久野里「つまりこう言いたいわけか」
久野里「先の事件で佐久間の腹に入れられていた胎児は、ギガロマニアックスによる仕業で――」
久野里「――リアルブートされたものが使われた、と」
拓留「……そういうことになります」
久野里「ふむ……」
久野里「結論から言えば、リアルブートするという点においては可能であるといえる」
拓留「!」
久野里「理論上は、ギガロマニアックスは人間をリアルブートすることができる」
久野里「ただし、それを行えば当事者にかなりの負荷がかかることになる。それに、人一人を生み出してしまうほどの周囲共通認識というと」
久野里「そいつは相当心が壊れているといっていいだろうな」
拓留「なるほど。わかりました。とにかく、ギガロマニアックスであれば可能ということですね」
久野里「簡単なことではないがな。まあそういうことになる」
久野里「……で? いきなりそんなことを私に尋ねるということは、事件に関して仮説があるということなのだろう?」
拓留「仮説と言えるほどのものでは……ないですが」
拓留「漠然と考えているのは、ギガロマニアックスとしての能力をもつ何者かが、佐久間恒殺害に関与しているということです」
久野里「まあ、その胎児の父親がお前というんだから、それにお前がそういう関係をどっかの女と持っていないのなら、まあそういうことになるだろうな」
拓留「……。今日はもう帰ります。ありがとうございました」
久野里「そうか。帰り道には気をつけることだな」
拓留「もしかして……心配してくれているんですか?」
久野里「なっ、……そうではない。身の回りで事件が多発しているようだから気になっただけだ」
拓留(そういうのを心配するっていうんじゃないだろうか)
久野里「これは私の勝手な考えだが、どうにもお前は事件に付きまとわれているような気がするな」
拓留「そうですかね?」
久野里「気にするな。私の戯言だ」
久野里「それと、宮代」
拓留「……?」
久野里「尾上は、いったいどうしているんだ?」
拓留「……」
拓留「僕が知りたいくらいですよ」
~青葉寮~
拓留「ただいま」
…………。
拓留(静か、だな)
拓留(そりゃそうか。父さん――いや、佐久間が死んだんだから)
拓留(乃々は立ち直れるだろうか)
拓留(結衣も、結人も、うきも)
拓留(真相は僕だけが知っている)
拓留(情報強者としてじゃなく、この情報は僕が独占しなければいけない)
拓留(そう思う)
結衣「あ、拓留兄ぃ帰ってたんだ」トテトテ
拓留「結衣、ただいま」
結衣「おかえりなさい。って拓留兄ぃ大丈夫? なんだかとても疲れてるみたい」
拓留「え? あ、ああ。大丈夫だって。いつもこんな感じだろ?」ハハハ
結衣「――違うもん」ボソッ
拓留「?」
結衣「いや、ううん。なんでもない。とにかく拓留兄ぃは疲れてるの! だから休まなきゃダメ」
拓留「いいって、勉強もあるしさ。休まなくても平気だから」
結衣「そんなこといって~もう、知らないんだから」
拓留「はは、まあ、心配してくれてありがとうな」ナデナデ
結衣「そんなことしたって……ダメだもん//」
拓留「夕飯はもうできてるのか?」
結衣「うん。今日は私が作ったんだ。うきちゃんと一緒にね」
結衣「乃々姉はまだ塞ぎこんでて……ぜんぜん何も食べないの」
拓留「なんだよそれ……まずいじゃないか」
結衣「うん、でも私のいうことに聞く耳持たないんだ」
結衣「結人はね、だいぶ落ち着いてきてるよ。乃々姉より早く回復するなんて、乃々姉も子どもみたい」
拓留「そういってやるなって。佐久間――いや、父さんが死んだのは、みんな悲しいだろ?」
結衣「…………うん」
拓留「まあ、こればかりは時間が解決することを願うしかないだろ。とりあえず夕飯をいただこうかな」
結衣「わかった! 準備するから待っててね」
拓留「ああ」
~拓留の部屋~
拓留「ふぅ……今日はここまでにするか」
拓留(なんだろう、ここ最近勉強がはかどらない)
拓留(事件のことや尾上のこともあるけど、それ以上に何か、重大なことがあるような気がする)
拓留(何かを忘れてないか? 僕)
拓留(……)
拓留「ここ最近、いろんなことが起きすぎて……」
拓留(突然の世界の再構成)
拓留(結衣の急接近)
拓留(ギガロマニアックスの真相)
拓留(何者かの視線)
拓留(佐久間の所業、と殺害……)
拓留(僕の遺伝子を持つ胎児、妊娠男の模倣)
拓留(これらに共通して関与していることなんてあるのだろうか)
拓留(久野里さん……教えてくださいよ)
拓留(なんてな)
~~~~~~~~~~~~~~~
久野里「これは私の勝手な考えだが、どうにもお前は事件に付きまとわれているような気がするな」
~~~~~~~~~~~~~~~
拓留(事件に付きまとわれている、か)
拓留(情報強者とリア充を自称していた以前の僕なら、きっと飛びついていたんだろうな)
拓留(……)
~~~~~~~~~~~~~~~
久野里「理論上は、ギガロマニアックスは人間をリアルブートすることができる」
久野里「ただし、それを行えば当事者にかなりの負荷がかかることになる。それに、人一人を生み出してしまうほどの周囲共通認識というと」
久野里「そいつは相当心が壊れているといっていいだろうな」
~~~~~~~~~~~~~~~
拓留(胎児のリアルブート――ギガロマニアックスによる所業……)
拓留(碧朋学園に犯人がいるのか? その可能性はあるよな)
拓留(なんたって収容所だから)
拓留(伊藤か? 有村か? 香月か? ……いいや、ありえない。確証があるわけじゃないけど)
拓留(まさか、尾上?)
拓留(尾上なのか?)
拓留(でも僕は尾上と肉体関係はもっていない……)
拓留(いやまて、リアルブートならそういう生物学上の考えはスルーできるじゃないか)
拓留(尾上が僕との子どもをリアルブートして事件で見せしめにすることへのメリットなんてあるのか?)
~~~~~~~~~~~~~~~
「タクが全部悪いんだ」<●><●>
~~~~~~~~~~~~~~~
拓留(ま、まさか、現実にそんなことが?!)
拓留(あれは僕の妄想だったはずだろ!)
拓留(……なにがなんだか、わからない)
だれかが拓留の部屋を訪ねる
だれが来た?(青葉寮の住人限定)>311
何回か
来栖「(セリフ)」
って書いちゃってたけど、前半では
乃々「(セリフ)」
になってるので、乃々で統一することにしました。
コンコン
乃々「拓留? 入っていいかしら」
拓留「ん? あ、ああ、いいよ」
ガチャッ
乃々「……」
拓留「……どうしたんだよ、こんな時間に」
乃々「ご、ごめんなさい、寝るところ、だったわよね」
拓留「まあ、大丈夫だけどさ」
拓留「それよりも、乃々は大丈夫なのか? その……父さんがあんなことになって、結衣はお前がふさぎ込んでるって僕に教えてくれたぞ」
乃々「それについては心配いらないわ。もう、大丈夫だから」
拓留(本当にそうなのかな。泣きはらしたあとが顔に残ってるけど)
拓留「でも何の用もなく僕の部屋に来たりはしないだろ。乃々らしくもない」
乃々「……いいえ、特に理由があってきたわけではないの」
拓留「?」
乃々「あなたの顔が……見たかったから」ボソッ
拓留「何言ってるのかよく聞こえないんだけど……」
乃々「っ、な、なんでもないわ」
拓留(様子がおかしいな)
拓留(しかし、乃々といえばかねてより気になっていたことがある)
拓留(橋田さんとみた資料には、来栖乃々という人間はすでに死んでいると書かれていた)
拓留(顔写真があったから、同姓同名の人間ということはないといえる)
拓留(それに南沢泉理という少女の存在もチラついている)
拓留(もう今聞いてしまうしかないんじゃないか?)
拓留「なあ、乃々」
乃々「な、なに?」
拓留「AH東京総合病院、覚えてるか?」
乃々「っ!? お、覚えているって、そ、そりゃあ有名な病院だもの。知っているわ」
拓留「乃々。僕は知っているか、じゃなくて、覚えているかって聞いたんだ」
乃々「……あなたが何を言っているのか私にはわからないわ」
拓留「説明不足すぎたかも。AH東京総合病院の“地下”って言えばいいか?」
乃々「……」
拓留「乃々。これは父さんも関与していた重大な事実なんだ。どうか本当のことを教えてくれ。知っているなら」
拓留「まず、乃々は“南沢泉理”っていう女の子を知ってるか?」
乃々「――、知っているわ」
乃々「泉理は、私の小学生時代の友達よ」
拓留「どんな人だった?」
乃々「暗くて、運動が苦手で、周囲になじめていない感じだったかしら」
拓留「それでも、乃々はその南沢泉理と仲良くしていたのか」
乃々「そうよ。私たち仲良しだったもの」
乃々「泉理はよく、私みたいになりたいって言ってくれていたわ」
乃々「私はそんな彼女のことが――」
乃々「……」
拓留「も、もういい。わかった」
拓留「それじゃあ話を病院に戻すんだけど、あの病院の地下では6年ほど前まである実験が行われていたらしい」
拓留「それも人体実験。かなり大規模なものだったみたいだ」
拓留(すくなくともこの世界線ではそういう事実が残っている。僕の記憶にはないけど、僕も実験の被験者だったと資料にはあった)
拓留「それで、南沢泉理はその実験の中でもいろんな実験に使われた被験者だったみたいなんだ」
乃々「……」
拓留「もしかしたら、さっき乃々が言った南沢泉理の体の不自由は、そういったところからきているのかもしれない」
拓留「もっとも、乃々は南沢泉理が実験を理由に体を壊していることは知らないはずだ。なぜなら被験者としての位置づけが少し違ったから」
拓留「僕や結衣たち、それに乃々はそれほどショックの大きな実験にはまわされずにいた」
拓留「そうだよな」
乃々「……ええ。もっとも、私たちはみな天涯孤独だったから、世間一般の小学生とはどこか違っていたかもしれないけど」
拓留「そう、かもな」
拓留(そろそろ、だろうか)
拓留「……」
拓留「――単刀直入に聞くよ」
拓留「お前、来栖乃々じゃないな?」
乃々「た、く……る?」
乃々「いきなり何を言い出すのよ。私は来栖乃々よ。父さんがあの地下から連れ帰ったあなたと結衣と結人の世話をしてきた来栖乃々よ!」
拓留「そう。僕たちは父さんに連れ出されてここにきた」
拓留「それじゃあさ、乃々――いや、君はどうしてここにきたの?」
乃々「!?」
拓留「僕はこう考えてる。父さんがAH東京総合病院から直接拉致したのは僕と、結衣と、結人の3人だと」
拓留「なぜそう考えるのかというと」
拓留「その時点ですでに来栖乃々はこの世にいないから」
乃々「ッ!」
乃々「はぅっ……ううっ……」ポロポロ
拓留「その代わり、別の人間が今度は自力であの地下を抜け出しているんだ」
拓留「それが南沢泉理、その人だ」
拓留「これは本物の資料をみたから間違いのない情報だよ」
乃々「もぅ……もう言わないで! やめて……ちょう、だい――」
拓留(ごめんな)
拓留(僕は自分の仮説を証明したい)
拓留「南沢泉理には地下の人体実験で実験を行う側の人間にしか解くことの出来ない暗示がかかっていたんだ」
拓留「機密保持のために」
拓留「でもそれを解ける人物を僕は一人知っている」
拓留「ギガロマニアックスがすがりついてくれば飛び上がって喜ぶような、そんなやつを」
拓留「青葉寮で僕たちの親代わりをしてくれていた、そんな人間を」
乃々「ぅぅ……」
拓留「まさか、佐久間と共謀だったなんてな」
拓留「“南沢泉理”」
拓留「来栖乃々は何者かによって撲殺されている」
拓留「天涯孤独だった来栖乃々にとって、戸籍ある子どもとして国から目をつけられないように通わされていた学校で見かけた南沢泉理という子は、みていてどこか放っておけない存在だったんだと思う」
拓留「さっき、二人は仲が良かったと言ったけど、それについては僕は信じている」
拓留「南沢泉理の側からすれば、来栖乃々は自分に優しくて、見た目もよくて、輝いている存在に映ったにちがいない」
拓留「でも来栖乃々は南沢泉理が地下の実験の被害者であることを知りはしない」
拓留「地下では、二人の間には隔たりがあるから」
拓留「だから二人が通じるのは、外の世界だけ」
拓留「しかし、もし南沢泉理が少しひねくれていて、こう考えたらどうなるのかと僕は思ったんだ」
拓留「――実は来栖乃々は自分を憐れんでいる、心の中では蔑んでいるのではないか、と」
乃々「っ」
拓留「南沢泉理は君が言ったとおり、明るい子ではなかった。そして、そのような子どもはひねくれた思考をもつようになるといっても過言ではない」
拓留(僕もその一員だけど、な)
拓留「子どもなりにいろいろ考えたんじゃないか? でもついには憎くて憎くて仕方がなくなってもしょうがないかもしれないよな」
拓留「それが、ましてや来栖乃々が同じ地下の実験の被験者だと知れた日には」
拓留「いつも自分より明るくて、可愛くて、実験もたいしたことはされていないのに、その陰で自分はいつも辛い思いをしている」
拓留「そう考えたら苦しくてたまらないかもしれないな」
乃々「……なにが、いいたいのよ……」
拓留「……」
拓留「来栖乃々を殺したのは南沢泉理だ」
乃々「……」
拓留「否定は、しないんだな」
乃々「……しても、仕方がないもの」
拓留「それじゃあ肯定と受け取る」
拓留「南沢泉理は来栖乃々を殺害した後、地下を脱出した」
拓留(もしかしたら、殺人のショックでギガロマニアックスとして覚醒したのかもしれないな)
拓留「ここから先は詳しくはわからないんだけど、南沢泉理は紆余曲折あった末に佐久間の下にたどりついた」
拓留「佐久間にこういわれたんじゃないのか? “人殺しだってことをばらされたくなきゃあ、ちょいとばかし俺の考えに力を貸してくれねぇか”とか」
乃々「……思考盗撮でもしたの?」
拓留「ああ、ごめん」
拓留(この世界じゃ、碧朋に通う人間は覚醒していればまごうことなきギガロマニアックスだから)
拓留「思考誘導で、佐久間と家族同然のようにすごしてこれたんじゃないのか?」
乃々「答えたくないわ」
拓留「そう、か。まあ、なんにせよ、佐久間と共謀して僕たちに家族としての絆をもたせ、いつかそれを壊してギガロマニアックスとしての実験をひそかに進めようとしていたんだろ」
乃々「まあ、そんなところかしら、ね」
拓留「もう隠そうとはしないんだな」
乃々「さっきもいったでしょ。そんなことしても無駄なの」
乃々「もう私は、ダメなのよ。なにをしても」
乃々「この姿も、やめるしかないわね」
泉理「……」
拓留「……っ」
泉理「これで満足? これが私の本当のすがた」
泉理「がっかりしたでしょ。貧相な体で、根暗そうな見た目で」
拓留「いや、それは……」
泉理「……」
拓留(乃々……この世界ではこんなにも悲しい運命のなかで生きているのか)
拓留(もしかしたら、再構成される前の世界のほうが、乃々にとっては幸せだったのかもしれないな)
泉理「……フフッ」
拓留「な、なんだよ」
泉理「もう、どうしていいかわからなくって、とたんに笑いがこみ上げてきたわ。それに私の道化っぷりにも」
泉理「本当、私の人生ってなんだったのかしら」
泉理「なにもかもバカみたい――」つディソード
拓留「っ!?」
泉理「さよなら、拓留」
泉理「私は、あなたのことが――」
拓留「よ、よせっ!!!!」
泉理 バタッ
拓留「乃々ッ!!!」
???「死んでないよ」
拓留「……え?」
???「気絶しただけ。私が、気絶させただけ」
拓留「お、お前は……」
拓留「なんで――」
結衣「それ以上はお口をチャック♪ だよっ」
まだ終わってないです。まだつづきます。
結衣「本当、自殺って無責任だと思わない? 悲劇のヒロインだなんて笑っちゃうよ。ねえ? 拓留兄ぃ」
拓留「結衣……お前、なんで?!」
結衣「それは何に対する“なんで?”なのかな」
拓留「そ、それは……」
拓留(なんだろう……僕は結衣に聞きたいことがあるような気がする)
拓留(突然のことでうまく考えがまとまらないぞ……どうする、僕)
結衣「ふふっ、拓留兄ぃったら慌てちゃって――かわいいなぁ」
結衣「でもそんなとこも……」ゴニョゴニョ
拓留「なんだよ……」
結衣「う、ううん、なんでもないっ」
拓留「乃々の……あ、いや、泉理が死のうとしていたのを止めてくれたのは、感謝するよ」
結衣「別にそんなことで感謝されても私は嬉しくないけど」
結衣「ただこの無責任で自分勝手な女に対してもどかしい気持ちになっただけ」
拓留「女って――たとえ正体がなんであれ姉に対してそんな言い方は」
結衣「知ってるもん」
拓留「え?」
結衣「私、知ってるんだからね」
結衣「いまここで倒れてるこの女は、劣等感に苛まれたあげくに人を殺して、私たちのことをずっとだまし続けて生きてきたってこと」
拓留「!!」
結衣「かなしいなあ。でも大丈夫。私には拓留兄ぃがいるから」
結衣「“お姉ちゃん”なんていなくたって、何よりも大切なお兄ちゃんがいてくれれば、それで」
拓留「結衣……」
結衣「えへへ、拓留兄ぃは私のこと愛してくれたもんね」
結衣「何度も」
結衣「何度も何度も何度も何度も」
結衣「……」
結衣「私ね、乃々姉の真実しってから心が壊れちゃったみたいで」
結衣「もう誰に頼っていいかわからなくなっちゃったの」
結衣「でもね、ちょうど拓留兄ぃが帰ってきてくれたから」
結衣「私は救われてるんだよ」
結衣「ありがと、拓留兄ぃ」
拓留「あ、ああ……」
拓留(結衣はさっきから何を言っているんだろう。結衣は僕に何を伝えようとしているのか――)
結衣「そういえばさ」
結衣「死んじゃったよね、お父さん」
拓留「っ……ああ、そうだな」
結衣「拓留兄ぃは、悲しくなんてなかったでしょ」
結衣「だってお父さん悪い人だったもんね」
拓留「お前っ、なんでそれを――」
結衣「嘘泣き、結構難しいんだね。悲しそうな顔くらいで終わっちゃった。えへ」
拓留「……」
結衣「私は悲しくもなんともなかったよ」
結衣「もう拓留兄ぃのことしか考えてないから」
結衣「拓留兄ぃ拓留兄ぃ拓留兄ぃ……」
結衣「また、結衣を愛してくれるよね」スルッ
拓留「お前、何脱いで……」
結衣「……」
結衣「私、欲しいなあ」
結衣「二人目の赤ちゃんが」<●><●>
拓留「ふ、二人目……」
拓留「二人目って一人目は――」
拓留(――まさか!)
結衣「一人目の子はね、残念ながら死んじゃったんだ」
結衣「だからお父さんにプレゼントしてあげたんだ」
結衣「……」
拓留(佐久間の腹にあった胎児は僕と結衣のこどもだったのか……)
拓留(でもおかしい。確かに僕と結衣との間には肉体関係があったけど)
拓留(まだ数ヶ月くらいしかたっていないぞ)
拓留(すくなくとも産んだってことはないだろう)
拓留(どういうことだ?)
結衣「中学の保健体育で赤ちゃんの作り方を教わって、拓留兄ぃとしてみようと思ったの」
結衣「それでね、実際に何回かしたでしょ」
結衣「そしたら、ときどき体調が悪くなったりして、絶対つわりだなって思った」
結衣「でも誰にも相談できないから、しばらく我慢してた」
結衣「同時に嬉しかったんだけどね。だって拓留兄ぃが私を愛してくれた証拠だから」
結衣「……けど、おかしかったの」
結衣「お腹が大きくならなくて」
結衣「どうしてどうして、って思って。目をつぶってお祈りしてみるとね」
結衣「気づいたら目の前に赤ちゃんがいたんだよ」
結衣「不思議だよね」
拓留「……」
拓留(それは恐らくリアルブートだ)
拓留(結衣はさっき心を壊したと言っていた。恐らくそのときにギガロマニアックスとして覚醒したんだ)
拓留(だから、その胎児も結衣がリアルブートしたものに違いない)
拓留(それと、これは僕の予想だが――)
拓留(結衣の妊娠は、たぶん想像妊娠に過ぎなかったんじゃないだろうか)
拓留(僕に愛して欲しいという強い欲求と、好奇心で)
拓留(それがさらにリアルブートにつながったと、そういうことなのだろうか)
拓留「結衣、聞いてもいいか」
結衣「なあに? 拓留兄ぃ」
拓留「佐久間を殺したのはお前か?」
結衣「うん、だって悪い人だもん。乃々姉だって悪い人。どいつもこいつも――」
拓留「結衣……?」
結衣「お父さんが悪いんだ! だって私たちにうそついてたから! あれ、嘘ついてたのは乃々姉――」
結衣「乃々姉、そうだ、この女だ。こいつが悪いんだよ! 拓留兄ぃ!」
拓留(まずいかもしれない。様子がおかしいぞ)
結衣「うううっ!!!!??」グラッ
拓留「結衣ッ!」
結衣「痛い! 痛いよお、拓留兄ぃ……。痛い……」
結衣「頭が、いたいの……!」
拓留「結衣、しっかりしろ! 結衣!」
結衣「がぁあぁっ、いたい、いたいいたいいたいよぉ!」
結衣「拓留兄ぃ、ねえ拓留兄ぃ、……」ビクッ
拓留「なんだ、結衣!?」
結衣「拓留兄ぃ、は……私の、こと、――」
結衣 クタッ
拓留「結衣ッ!!!!」
数日後
拓留(結衣はあのあと救急で病院に搬送された。今は入院している。命に別状はないようだ)
拓留(乃々――いや、泉理はあのあと来栖乃々の姿に戻って、普段どおり結人やうきと接している)
拓留(それでも僕に対してはどこかよそよそしい)
拓留(僕は結局、かつて住んでいたトレーラーハウスに戻っていた)
拓留(すくなくとも今の青葉寮は、僕にとって居心地がいいわけじゃなかったから)
拓留(埃とカビが充満していたトレーラーハウスを一日かけて清掃し、僕はかつてのような暮らしを始めた)
拓留「結衣……」
拓留(結衣はいったいどうしたのだろう)
拓留(真実をかなり晒してくれてはいたが、最後の症状が気になる)
拓留(激しい頭痛に苦しんでいるようだったな……)
拓留「……」
拓留「さて、これからどうしようか」
安価 >>329
とりあえず誰と何をするか
久野里さんと尾上を探す
拓留「そうだ、久野里さんと尾上を探そう」
拓留(はっきりとした確証はない。けど、尾上が真相に関わっていると、なぜかそう思えて仕方がない)
拓留(それに僕ひとりの知恵では無理だ。ここは久野里さんの力を借りよう)
拓留「尾上……」
拓留(世界が再構成されて尾上はどこかへ行ってしまった……)
拓留(久野里さんに話さなければ……すべてを)
拓留(僕は久野里さんにすべてを話した)
久野里「……」
拓留「その、信じられないとは思いますが」
久野里「いや、私が信じる信じないは今関係ない。事実として起こったことに目を向けるだけだ」
拓留「はい……」
久野里「それで? 尾上を探したいのか」
拓留「はい。僕が平凡な日常――終わりなき日常に戻ると決めたときに世界は再構成され、尾上はどこかへ行ってしまいました」
拓留「僕の保護者は殺され、殺した義理の妹は脳へのショックで入院中です」
拓留「僕はこのまま現状を受け入れるだけで終わりなき日常を生きつづけたいとは思いません」
拓留「かならず、決着をつけたいと、そう思います」
久野里「なるほどな」
久野里(橘結衣の倒れる寸前の挙動――なにかがあるとしか思えないのも事実だ)
久野里「今回の件、私はギガロマニアックスの存在がすべてを掌握していると主張しよう」
久野里「そして、私の研究としてもこの件には決着をつけなければならないと感じた」
久野里「だから宮代、私はお前に協力しよう」
拓留「……ありがとうございます」
久野里「まず、記録として“尾上世莉架”が存在しないという事実の意味を考えるべきだろうな」
拓留「僕と新聞部の連中の記憶の中には確かに存在していました」
久野里「それが気がかりだ……。お前が蒼井セナから聴いた記憶のバックアップの仮説が、しいて言えば有力、か」
拓留「ギガロマニアックスの能力としては、僕としてもアリなんじゃないかと思います」
久野里「ふむ――」
拓留(なにか……、なにか手がかりはないのか!?)
拓留(状況を整理することはそこまで難しいことじゃない。大事なのは、そして難しいのは、そこに埋もれたヒントを見つけ出すことなんだ)
拓留(思い出せ……。一連の流れをもう一度整理しよう)
拓留(来栖乃々の死――南沢泉理、そして僕ら兄弟のルーツ……)
拓留(それを知ったのは、確か――)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
拓留「これは……『実験・調査レポート』」ゴクリ
拓留「ひ、開くぞ……」カチッ
拓留「『第1回レポート。碧朋学園の新入生として多くのギガロマニアックス予備軍の子供たちを向かいいれてから三ヶ月が経過した。
彼らは今のところ、何の変哲もない少年少女のようにみえる。身体能力も学習能力も一般的なそれである』」
拓留「第1回から第7回レポートまでは同じような内容だ……」
拓留「うまくいってなかったのか?」
ダル「そう願うお」
拓留「『第8回レポート。ついに強硬手段を決行した。
進路相談などでチェックした精神的に不安定な生徒数名を地下に連れて行き、精神の崩壊を試みた。
予想通り彼らはディソードを発現し、覚醒した。実験は成功だ。
これからは同様の手段をもって強制的に覚醒させることができると考えられるため、今回覚醒した彼らは廃棄前提として複数の実験を試みた。
感覚の遮断およびブースト。リアルブートの強制。これらを行った結果、覚醒して間もない彼らは老人のような姿へと変貌してしまった。
委員会の想定したカオスチャイルド症候群者に類似している。以降は経過を見守るため、AH東京総合病院のデッドスポットにある部屋に
収容する。』」
拓留「」
ダル「」
拓留「ん? レポートの右下、そういえばすべて同じ署名がされているな……すごく小さいけど何か書いてある」
ダル「あ、ちょいまち。いま解析して拡大するお」
ダル「ええと、署名には――」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
拓留「……そうだ」
拓留「和久井だ」
拓留「ギガロマニアックスについていろいろ調べていて……、橋田さんに仕事を依頼して一緒に機密書類を見ていたときだ」
拓留「実験レポートと称された書類には同じ署名があった」
拓留「それが、――それが和久井修一だったんだ」
久野里「……そうか、アイツがか」
拓留「碧朋学園の生徒を使ったギガロマニアックスの覚醒実験――それを担当していたのは和久井だ!」
拓留「そうだ、確か最近のレポートにはこんなことも……!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『第11回レポート。すでに三年生は五分の一が覚醒を終えている。彼らには特別な進学先として
ヴィクトルコンドリア大学のファウンデーションコースを設けた。これで、向こうには留学という形で
サンプルを送ることが出来る。そして、現時点でまだ覚醒していない生徒の中に面白い被験者を見つけた。
第9回レポートにおいて私が報告したとおり、ギガロマニアックスには各々ことなる波動のパターンを
持っており、それが一致することはないと、独自の調査で結論付けた。今では委員会の認証待ちであるが。
さて、件の面白い被験者だが、ありえないことに、各々で異なるはずの波動パターンが一致する二者を発見した。
私の打ち出した仮説では、このようなことは、一方が他方をリアルブートした場合でないと起こりえないといえる。
ギガロマニアックスがギガロマニアックスをリアルブートしたとなれば、これ以上のサンプルはない。この二人が卒業
するまでにはアクションを起こさねばならないだろう』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
拓留「和久井はアクションを起こすと言及していたんです! まさか、一連の流れすべては――」
拓留「――僕たちは手のひらで踊らされていたのか……?」
久野里「ちっ。だとしたら不愉快極まりない話だな」
拓留「クソっ! なぜ僕は――なにか、なにかできたかもしれないのに!」
拓留「乃々の正体を暴いて突きつけてる暇なんてなかったんだ!」
拓留「結衣がああなったことも未然に防げたかも知れなかったのか……?!」
拓留「僕は……僕は……」
拓留「そういえばこのネタを発案してくれたのは尾上だったな」
世莉架「えへへ~そうだよ」
拓留「尾上のおかげでいい記事になりそうだ」
拓留「ありがとうな」
世莉架「そ、そんなお礼なんていいよ/// タクのためだもん」
世莉架「楽しかった?」
拓留「もちろんだ」
世莉架「良かった///」
世莉架「タクを楽しませることが、私の存在意義――」
世莉架「――それ以外には、なにもないの」
拓留「うっ、うぅっ……」ポロポロ
拓留(そうだよ、はじめからわかってたことじゃないか)
拓留(尾上が――世莉架が何よりも、僕にとっては大切で)
拓留(世界が再構成されたとき――それは僕が尾上を見限ったときなんじゃないか?)
拓留(すくなくともそう観測されたはずだ)
拓留「ぉっ、……おのぇぇ」
ギュッ
拓留「っ?!」
久野里「らしくないことをするからだ」
久野里「お前は、情報強者でリア充なんだろ?」
久野里「なのに平凡な生徒に戻るって、それ自体おかしな話だ」
久野里「まだ勝機はあるはずだ。科学でも、取り返しのつかないようにみえることはアプローチのしがいがあるってものなのだぞ」
久野里「尾上を、みつけよう」
久野里「お前だって決着をつけずにはいられないだろう?」
拓留「くの、さと、さん……」
拓留「……ありがとうございます」
拓留「決着を、つけましょう」
拓留「この世界は間違っている」
拓留「不合理でも尾上世莉架と過ごす世界を取り戻します……!」
久野里「ああ、それでこそ、だ」
拓留「はい」
拓留「ところで久野里さん」
久野里「ん? なんだ?」
拓留「久野里さんは包容力のある人なんですね」ムギュ
久野里「」
拓留「知っていますか久野里さん」
久野里「なにがだ」
拓留「ビンタって最悪鼓膜が破れるそうですよ」
久野里「私をナメているのか? それぐらい知っている」
拓留「まだ痛いんだけど……」ボソッ
久野里「何か言ったか?」ギロッ
拓留「なんでもありません」
久野里「こうなった以上、こちらから和久井にアプローチを仕掛けるのが賢明かと思う」
拓留「レポートの内容から察するに、研究の拠点になっているのはやはり碧朋学園ですかね」
久野里「そう考えるのが妥当だろうな。だが、一筋縄ではいかないだろう。きっと研究室にたどり着くにはなんらかの細工を突破しなければならないはずだ」
久野里「ノーガードだとは考えにくいしな」
拓留「しかし、細工といってもどのような……」
拓留「あ」
久野里「ああ」
久野里「やつがギガロマニアックスならば、おおよそ答えは見えたようなものだ」
久野里「和久井はおそらくギガロマニアックスの能力を駆使して入り口を隠しているはずだ」
久野里「我々のデッドスポットに恐らく突破口がある」
拓留「ディソードを使うしかないか」
拓留「僕たちの盲点に、入り口があるはずだ……」つディソード
久野里「……デッドスポット、か」ボソッ
拓留「壁にディソードを這わせてみます。それで感触がなくなったところが、きっと」ツー
拓留「……」
ガコッ
拓留(来たッ)コツコツ
拓留「ここには入り口がある、という妄想をリアルブートできれば」カッ カッ
拓留 スタスタ
拓留(そして、妄想シンクロだ。久野里さんに)
久野里「……入り口が、見えた」
拓留「ここから降りていきましょう。この先は、何があるかわかりません。正直、ここで引き返したほうが身のためかもしれない。……やっぱり、久野里さんは、帰ってもいいですよ」
久野里「何をバカなことを言っている。ここまできて引き返すわけがないだろう」
久野里「さっさと進め。こうしている間にも和久井が何かよからぬことを推し進めているかもしれないんだぞ」
拓留「はは、そうですね。すみません。じゃあ、行きましょうか」
久野里「ああ」
久野里(大丈夫だ……大丈夫)
~地下、研究室~
拓留「誰も……いない?」
久野里「そのようだな。まあ、いつアイツが戻ってくるかもわからん。とりあえず調べられることは調べよう」
拓留「そうですね」
拓留(はぁ、心臓が張り裂けるかと思った。冷や汗をかいたぞ)
久野里(別に緊張していたわけじゃない……そうだろ)
久野里「今すべてのPCを起動させた。ここからわかる情報を引っ張り出そう」カタカタ
拓留「僕は何をすればいいですか?」
久野里「お前が、か」
久野里「……」
久野里「ディソードを構えておいてくれ。和久井が戻ってきたら穏便に済むとは考えないほうがいいだろう」
拓留「ッ、そうですね、わかりました」
拓留「……」つディソード
久野里「……」カタカタ
久野里「……これは」
拓留「何か、見つかりました?」
久野里「いいや、そうじゃない。強いて言えば、何も見つからない」
拓留「何……も?」
久野里「脳科学に関する論文やレポートなど、いわゆる研究者のデータベースであることは、同じ立場である私からすればわかる。だが、この中にはそれ以外のものは何もない。ギガロマニアックスに関する記述なんて一ミリもない……」
拓留「そんな……和久井の研究は、この碧朋学園の地下で行われているはずです! 何もないなんて、そんなことがあるの……か?」
久野里「まだ全データの100%をハックしたわけではない。もう少し探してみる」
拓留(僕らは何のためにここに来たんだ?)
久野里「……クソッ! 全然見つからない!!」
拓留「そんな……」
久野里「くっ、これが最後のフォルダだ。これを開けても何もなければ、無駄足だったということになる」
久野里 カタカタ
拓留(頼む……!)
久野里「……」
拓留「……」
拓留(だ、ダメだったか?!)
久野里「ふっ、ようやく見つかった」
久野里「あったよ、宮代」
久野里「ギガロマニアックス実験の資料だ」
>>1です。気づけばあと何ヶ月かでスレ立ててから1年経ってしまいますが、どうぞ長い目で見守ってくれればと思います。本業のほうが忙しく、更新が遅いことをご了承いただけるとありがたいです。また、時間を見つけたら更新しますので、お待ちください……。
世莉架はどこへ行ったのか……?
久野里「これは、第11回レポートと書いてあるな。和久井の署名がある」
久野里「本来異なるはずのギガロマニアックスの波動が一致するケースを発見、だと?」
拓留(それって、この前橋田さんと見たやつ、だよな……)
拓留「久野里さんはそれ、どのように考えますか」
久野里「普通に考えれば、ありえないことだ。ここで和久井が書いているようにな」
久野里「だが、今お前と話しながら、私の脳内にはある仮説が思い浮かんでいる」
久野里「前に、橘結衣が胎児をリアルブートしたことがあっただろう?」
拓留「……ありましたね」
拓留(とたんに、結衣の顔が思い浮かぶ)
拓留(佐久間を殺した僕の「妹」は、明らかに異常だった)
拓留(なんらかの外的要因があって、行動を起こしていたような、そんな感じだ)
久野里「仮説を述べよう」
久野里「あるギガロマニアックスがいて、そのギガロマニアックスがリアルブートした人間もまたギガロマニアックスであるとき、両者は同じ波動パターンを示す。これは事実だ。証明をしている時間は、今はないがな」
久野里「これをもとに考えると、碧朋学園にいる生徒がリアルブートしたギガロマニアックスがいて、そいつもまた碧朋学園の生徒として生活しているとすれば」
久野里「和久井が発見したのはそれであるとほぼ断定していい」
拓留「リアルブートしたのが人間ってだけでなくて、ギガロマニアックスですか? そんなことがありえるんでしょうか」
久野里「だから仮説だと言っている。だが、碧朋学園のようなギガロマニアックスの収容施設であれば、ありえないと断定するほうが野暮だ」
久野里「まずいな……和久井はこの件に関して本腰を入れて研究に着手しようとしているらしい。もし対象が高3生なら、もう和久井が動いていてもおかしくないぞ……!」
拓留「そうでない可能性に、かけるしかないですね」
久野里「くっ……」カタカタ
久野里「これは……11番目のロールシャッハだと?」
久野里「AH東京総合病院の地下で行われていた実験か」
久野里「およそ人道的とはいえない内容、か」
久野里「他には……」
拓留(なんだろう、こののんびりとした感じ)
拓留(なんで、危機感が薄れてきているんだ?)
拓留(確かに僕らはシリアスな状況にあるし、何が待ち受けているかわからないから怖くて仕方ない)
拓留(なのに、妙に落ち着いた気分だ)
久野里「うむ……、ターミナルを開いてファイルを解析していくか」
久野里「鍵となる情報を知る最短ルートがわかればいいんだがな」
拓留「鍵……ですか?」
久野里「私たちの目標は、尾上世莉架の探索だろう? まあ、個人的には碧朋学園や委員会の研究を暴くという目標もあるが、尾上の件はそれに内包されている」
久野里「ま、まあ、私を頼ってくれれば、いいってこと、だ」
拓留「ハハ……ありがとうございます」
久野里「ん?」カタカタ
久野里(これは、無名のファイルだ……)
久野里(開くべきだろうか)
安価>>373
開く OR 開かない
開く
久野里(開こう)
久野里(このまま放置しても後味が悪いからな……)カタカタッ
『HEKIHO Lab』
久野里「これは……」
拓留「何かあったんですか?」
久野里「無名のファイルがあって、気になったから開いてみたんだ」
久野里「工夫しないと開けられないような特殊な細工がほどこされていてな。まあ、それ自体に手こずることはなかったんだが」
久野里「開いたら新しいウィンドウが出てきた。この碧朋学園があたかも実験施設だと言わんばかりのな」
拓留「ギガロマニアックスの研究、ですよね」
久野里「そう思ってまず間違いないだろう」
久野里(いくつか項目があるな……)
・担当者について
・現段階までの研究報告
・今後の展望
久野里(不思議だ……)
久野里(個人サイトのような見た目で、フェイクやダミーの可能性も示唆できるが……)
安価>>377
どの項目を開く? 一つ選択。
・担当者について
・現段階までの研究報告
・今後の展望
現段階までの研究報告
久野里「現段階までの研究報告、か」
久野里「最新の情報が見られるというわけだな」
拓留「そこに、和久井の真意が見つかるんですかね」
久野里「……いずれにせよ、いやな予感がするけどな」
―研究報告(The Latest)―
まずは近況をお伝えしよう。過去に、AH東京総合病院の地下にあった研究施設でギガロマニアックスの研究にたずさわっていた研究員のうちの一人が死亡した。より詳細に言えば、殺害された。ここまでの内容だけでは報告することはない殺人事件のように思えるが、より詳細をお伝えすれば私の真意を汲み取っていただけるだろう。
まず、その殺害された研究員の死に様は異常である。殺害の方法は恐らく鈍器などによる暴行だが、その後、腹を裂かれて胎児をねじ込まれ縫合されていた。すなわち、猟奇的殺人事件である。このような異常なケースは、実はこの件が初ではなく、2009年のニュージェネレーションの狂気と呼ばれる一連の事件でも同様のパターンが見受けられる。私は、ふと、今回の事件にはギガロマニアックスがかかわっているのではないかという興味本位で、少々調べてみたところ、驚くべき事実を知った。
被害者研究員の腹部に入れられていた胎児からは、微弱ながらギガロマニアックスの波動が検出されたのである。それだけではなく、それと同様の波動パターンが渋谷近辺で検出されたのだ。これは本来ありえないことだ。しかし、次の仮説を認めれば、ありえる。「ギガロマニアックスがギガロマニアックスをリアルブートした場合」という話である。もしこれが本当ならば、第11回レポートに記述した件を裏付けることにもなる。
早急に調査・研究に取り掛かる。次の報告では結果がお伝えできるだろう。
久野里「研究報告、というよりは事実の確認と報告のような内容だな」
拓留「それだけ、和久井の研究は行き詰っていたということですか」
久野里「そうかもしれない……が、事態はあまりいい方向には進んでいないかもしれないな」
拓留「?」
久野里「和久井は自分の大きな研究テーマ、私も思いついた例の仮説を裏付けようと、ついに研究のための重要な一歩を踏み出している」
久野里「加えて、この報告が更新された日付を確認すると、しばらく間が空いている」
久野里「くそっ、手遅れになっていなければいいが……!」
拓留「手遅れって、何がですか」
久野里「わからない……しかし、私にはわかる。非常にまずい状況に置かれているであろうことは」
久野里(どうする……いやな予感はより強く訴えかけてくる)
安価>>382
項目を開く?開かない? 開くならば一つ選択。
・担当者について
・今後の展望
今後の展望
―今後の展望―
尾上世莉架を分解する。
久野里「……、は?」
久野里(なんだ……なんなんだ! それだけ、か?)
久野里(分解、だと? どういう意味なんだそれは!)
久野里「くっ……」
拓留「ど、どうしたんですか久野里さん」スッ
久野里「来るな!」
拓留 ビクッ
久野里「いいから、そこに立っていろ……」
久野里「……」
久野里(正直、何がなんだかさっぱりだ)
久野里(研究報告のページだってそうだ。報告だぞ? あまりに短くなかったか)
久野里(特に、今後の展望は短いなんてものではない)
久野里(既に和久井が手を染めていることは尋常ではないということはわかっている)
久野里(だからと言って、なんで尾上が、しかも分解とは……)
久野里(くそっ! 結局ここに来てもまともに得られたものなんて全然ないじゃないか!)
久野里(残されたリンクは一つ)
・担当者について
久野里「これを押すしかないということか」
久野里 カチッ
ターミナル『』
久野里「なぜターミナルが起動するんだ?」
ターミナル『私は委員会の一員だ』
ターミナル『来るべき次の世界でよい人生を送るために、委員会へ献身している』
ターミナル『特に、私の行っていることは、ギガロマニアックスの研究だ』
ターミナル『ギガロマニアックスというのは稀有で特殊な存在だ。妄想を具現化し、世界を変えることができる』
ターミナル『私もそのギガロマニアックスの一人だ』
ターミナル『なぜ、私がギガロマニアックスの研究をしているのか』
ターミナル『その答えとしては、「自分自身を理解する」というものがあると思っている』
ターミナル『世界を変えうる我々ギガロマニアックスこそが、次の世界で生きるにふさわしいと考えれば、それを曖昧にしておくことはリスクが大きい』
ターミナル『傲慢だと思うかな。傲慢なのだ。私は』
ターミナル『そう、ギガロマニアックスこそ次の世界にふさわしい進化した人類だ』
ターミナル『だが、どうだろう。そうすると、ある問題が浮上する』
ターミナル『誰が統制するのか、だ』
ターミナル『もちろん、委員会には他にもギガロマニアックスの人間はいる。しかし、ギガロマニアックスに最も精通している人間は一人しか存在し得ない』
ターミナル『ここまで私の無駄話を聞けば理解しただろうか。そうだ』
ターミナル『私が最もギガロマニアックスについて理解していれば、私は次の世界の頂点に立てる』
ターミナル『そのためにも、今の研究があるのだ』
ターミナル『そう、思うよね』
和久井「お二人さん」
久野里「なっ、いつの間に!」
和久井「おいおいいやだなぁ、その台詞は少々間抜けじゃないかな久野里君」
和久井「僕がギガロマニアックスだって知っていただろう?」
拓留「僕だって、ギガロマニアックスですよ」
和久井「……はぁ」
和久井「かなしいなぁ。いや、かなしいよ。僕は教師として十分な教育を施せていなかったんだね」
和久井「僕は教師で、君は生徒だ」
和久井「僕は大人で、君は子どもだ」
和久井「どちらが上位かは言うまでもないだろう」
和久井「おっと、安直な論理展開だという文句は却下させてもらおう。なんたって、二人がギガロマニアックスであるという前提の議論だからね」
和久井「僕よりもギガロマニアックスというものに精通していると豪語するのであれば、ぜひ一度語り明かしたいものだがね」
和久井「さてと、だ」
和久井「君たち随分と人のテリトリー……ラボを嗅ぎまわってくれたみたいだが」
和久井「何か進展はあったかな?」ニコッ
久野里「くっ……!」
拓留「僕らは真相を追っているんです。尾上だってその真相のうちの一つだ。何も言わずに消えるようなやつじゃない」
和久井「ふむ……なんだか以前の君を見ているようで感慨深いね」
拓留「そういうのはいいです」
和久井「おっと、これは手厳しい」
久野里「答えろ」
和久井「こっちもきついね」
久野里「分解、とはどういう意味だ」
和久井「んー?」
久野里「とぼけるな! この無名のファイルを開いたところにある、「今後の展望」に書いてあることだ!」
久野里(宮代に説明する時間がなかったが、こうなってしまってはその余裕はない!)
和久井「ああ、それのことね」
和久井「文字通りの意味さ」
和久井「君たちは第11回レポートを既に読んでしまっているね? おっと、言い訳は無用だ。僕はすべて知っているからね」
和久井「まあ、それは問題ではない」
和久井「同じ波動を生み出すギガロマニアックスが二人いるんだよ。本来ありえないことだが」
和久井「それは、誰だと思うかい? 宮代君」
拓留「……」
拓留「……尾上」
和久井「ビンゴだ。やはり君は優秀だね」
和久井「そう。碧朋学園にいるとある生徒と彼女は同じ波動を発している」
和久井「君たちも知ってのとおり、ここ碧朋学園はギガロマニアックスを研究するための収容施設のようなものだ。もちろん、学校としての機能も有しているがね」
和久井「だがね。僕とて、自分のすべての研究をおおっぴらにしたくはないんだよ」
和久井「独占したいものだってあるんだ」
和久井「とりわけ、尾上世莉架の事例の詳細はね」
和久井「だから、消したんだよ」
和久井「尾上世莉架という存在を、認識上ね。それが僕にはできる」
和久井「僕はギガロマニアックスだから。自分で言うのはなんだが、これでもかなり強いんだよ? 僕は」
和久井「これが、「尾上世莉架が存在しない」という君たちの認識に対する真相だ」
和久井「ここまでで、何か、僕に聞きたいことはあるかな?」
安価>>387 聞きたい内容を入力
拓留「尾上は……今どこにいるんだ。無事、なんだろうな」
和久井「なんだ、そんなことでいいのかい?」
和久井「ああ、彼女なら無事だ。何事もないよ」
和久井「そうそう、今どこにいるのか、だったっけ」
和久井「よし、こっちに来てもらおう。ほら」
拓留「……」
久野里「宮代、とりあえず、ここは行くしかないと思うぞ」
拓留(和久井に連れて行かれた先は、まるで手術室と宇宙船を足して2で割ったかのような、そんな場所だった)
拓留(なぜ宇宙船なのかと言うと、室内の見た目は基本的に手術室なのだが、ところどころSF映画で見るようなカプセルや椅子が設置されているからだ)
久野里「ここは一体……」
和久井「僕が実際に実験している場所さ。まあ、僕は頭脳を使うことのほうが多いんだが、実験だってもちろんやる」
和久井「特に、対象がギガロマニアックスとあっては、実験は避けては通れないだろう」
和久井「僕の実験レポートは、もう既に読んでいるのだろう?」
拓留「……」
和久井「さて、君たちが探している尾上世莉架だが」
和久井「まあ、君たちは彼女の友人であるわけだし、感動の再会くらいは容認してあげようか」カタカタ ポチッ
ウィーン
拓留「……ッ!」
久野里「これは……」
和久井「ご対面だ。彼女の麗しき姿を是非ともごらんあれ」
世莉架「」
和久井「まあ、もう頭部と脊椎と心臓、あと最低限の内臓が残っているだけだがね!」
和久井「彼女は生きている。ほら、無事と言えば無事だろう?」
拓留「……貴様ッ、何をふざけたことを!!」
和久井「おやおや、その口の利き方はいただけないね」ブンッ
拓留「!」
拓留「ぐぁっ! いてぇぇぇぇ」
和久井「ちょっとディソートで切り傷をつけさせてもらったよ。次は腕ごともらう」
久野里「お前、何をしたかわかっているのか?」
和久井「何をしたか? そんなことわかっている。わかりすぎるほどにわかっているとも」
和久井「僕は次の世界で最上位の存在として生きるために、この少ない犠牲を払っているんだよ」
和久井「おっと、もしかして、僕が彼女を扱う上で卑猥なことをしたと思っているのかな?」
和久井「安心したまえ。あくまでも、死ぬ直前まで眠らせた上で、体のパーツを機械的に一つずついただいているだけだ」
和久井「性的な目的なんてないよ」
和久井「彼女は僕の研究の柱ともいえる存在だ!」
和久井「彼女の体中のありとあらゆるデータを元に、ギガロマニアックスのクローン化さえも可能にするほどのデータを収集する!」
和久井「そうすることで僕はギガロマニアックスを支配するさらに上の存在へと成り上がることができるんだ」
和久井「君たちは非常にタイミングがいいね。ちょうど今日に彼女の脳を取り出して最終段階へと移行しようと思っていたところなんだ」
和久井「歴史の目撃者になれるんだよ」
拓留「ぐぅっ!! 許さない……僕はお前を、絶ッ対に許さない!!」
和久井「許す許さないの話じゃないんだよ。するかしないか、それだけなんだ」
拓留「くっ」ディソードリアルブート
和久井「僕と戦うつもりかね?」
拓留「僕は死んでも構わない。……けどお前は殺す! 絶対にだ!」
拓留「うぁぁぁぁっ!!」ブンッ
和久井「おぉっと」キィン
バチバチバチ
和久井「力任せにディソードを振って僕に勝てると思っているのかい? だとしたら、随分と僕も舐められたものだね」
拓留「くぅぅっ」
和久井「……僕にはわからないね」ドンッ
拓留「うぁっ」
和久井「なぜ、もう原型をとどめていない彼女に対してそこまでするのかが」
和久井「君が僕を殺したとして、彼女が元に戻るとでも?」
和久井「確かに君はギガロマニアックスだ。その力がないわけではないのだろう」
和久井「だがね、世の中には残酷な真実と言うものがあるんだ」
和久井「さっき、僕は、尾上世莉架はあるギガロマニアックスと同じ波動を生み出していると言ったね」
和久井「その、「あるギガロマニアックス」っていうのはね」
和久井「宮代君、君なんだよ」
拓留「えっ……?」
和久井「僕も正直最初は驚いたんだ。なぜ、宮代君と尾上君がギガロマニアックスとして同じ波動を生み出すのか」
和久井「解せなかったよ」
和久井「でも、ある仮説があった。君と尾上君はとても仲が良かっただろう? それも、ただの友人同士という関係以上には」
和久井「そうすると、だ。一つ思い浮かんだのは、バカらしいとは思ったが……」
和久井「ひょっとしたら、君が尾上君をリアルブートしたんじゃないか、ってね」
和久井「ただ、僕も何の裏づけもなしにこんなこと言っているんじゃあないさ」
和久井「AH東京総合病院、そこに君はいたよね。宮代君」
和久井「君に関するカルテや報告書を見せてもらった。宮代君、君はイマジナリーフレンドって知っているかい?」
拓留「空想の友人ってやつだろ、それがどうしたって言うんだ」
和久井「鈍いなぁ、新聞部ならもう少し頭を働かせて推理してみせたまえよ」
和久井「宮代君はさ、幼い頃イマジナリーフレンドをその頭の中に有していたんだよ」
拓留「……な、なんだって?」
和久井「きっと両親からの愛を感じずに成長してしまったんだろう。かなり強固なイメージとして君の中に存在していたみたいだ」
和久井「彼女、は」
拓留「彼女……だって?」
拓留(なんだこの胸騒ぎ)
和久井「そうそう、その子はあくまでも想像上の人物だったらしいが」
拓留「……やめろ」
和久井「名前があったそうだよ? 知りたいかい?」
拓留「やめろぉっ! 言うな!」
和久井「いや、厳密には、君が知らないわけはないんだがね。恐らく認識のうちでは、「イマジナリーフレンドとしては」忘れてしまっているだろう」
和久井「教えてあげよう、その友人とやらの名前をね」
拓留「……やめろぉぉぉっ!!!!」キィンッ!!
和久井「その子は……」ギギギギギ
和久井「尾上、世莉架、と言った名前らしいよ」
和久井「ここまで言えば宮代君もすべてを理解してくれるよね!」バッ
拓留「ぐぁあっ」バタッ
和久井「もっとも……そこのお嬢さんは早々に真相を推理して当てていたみたいだがね」
久野里「くっ……」
和久井「なにがトリガーになったんだろうねぇ。人一人リアルブートしてしまうほどのショックだからね。まあ、そういうわけで僕はだいぶ前から君たちに目をつけていたのだよ」
拓留(じゃあ、今までのは……踊らされていただけだっていうのか!)
拓留「くぅ」
拓留(ん……本当にそれだけか?)
拓留(何かを忘れているような……)
拓留(でも……)
拓留(もう、助からない……)
拓留(久野里さんだってさっきから意気消沈気味だ。きっと打つ手がないんだろう)
拓留(尾上、ごめん……)
拓留(お前を見つけたけど、それだけで終わってしまう)
和久井「さて、と。せっかく実験の被検体と優秀な研究者様が自ら来てくれているんだから、僕も自分の研究を進めないとね」
和久井「おおっと、久野里君、逃げるのかい?」
久野里「……」
和久井「まあ、君には眠っていてもらおう。騒がれては困るが、君は使える」パチン
久野里 バタン
和久井「宮代君は……そこにいる、君の大切な友人と同じようにまずは分析しないとね」ジャキッ
和久井「おやすみ、宮代君」バッ
――――タク?
――――タクってば! 寝ぼけてるの?
――――もう、しょうがないなぁ。
――――タクを楽しませるために何でもしてきたつもりなのに、こうなっちゃさすがに、ね。
拓留「…………尾上?」
世莉架「そうだよっ。久しぶりだね、タク」
拓留「なんだよ。お前、和久井のやつに捕まって変なカプセルに入れられて眠ってたんじゃなかったのかよ」
世莉架「あっ、もしかしてタク、私の裸見たの?!」
拓留「なんでそうなるんだよ」
世莉架「うーん、カプセルの中で眠らされてる女の子っていったら、まあそういうもんかなって」
拓留「なんだそりゃ。というか、和久井に閉じ込められてるお前は、なんというか、人体模型みたいだったぞ」
世莉架「うげぇ! なにそれショック! 私が目を覚ましたらタダじゃおかないんだから!」
拓留「はは……」
拓留(懐かしい、で合ってるのかな。尾上とこうして話すのはどれくらいぶりなんだろう)
拓留(本当に色々なことがあった)
拓留(尾上には再開できたし、これでも十分ハッピーエンド、なのだろうか)
世莉架「ちょっとタク? 何ぼーっとしてんのさ」
世莉架「ていうか、泣いてる!?」
拓留「え?」ツー
拓留「あはっ、はははは……おかしい、涙が止まらないよ、尾上」ポロポロ
世莉架「もう、タクはしょうがないなぁ」ギュッ
拓留「っ!」
世莉架「今回ばかりは、私が悪いよ」
世莉架「タク、全然楽しめてなかった。ううん、それどころか、辛い目にあってばかり」
世莉架「ごめんね。ごめんね。タク」ナデナデ
拓留「う……あ……」ポロポロ
世莉架「でもね、こうしてあげられる時間は限られてるんだ」
世莉架「まずは、タクの生きたい世界を取り戻さなきゃ」
世莉架「私は私の指名を果たすために、和久井修一にこのままやられてしまう宮代拓留を、看過することはできないから」
世莉架「だからお願い。立ち上がって、タク」
世莉架「今度こそ、タクが楽しめるように……」
世莉架 チュッ
拓留 バッ
和久井「ん?」キィィィンッ
拓留「はぁ……はぁ……」
和久井「おおっと。まだ僕に立ち向かう気かな? 無謀なことはしないほうがいいと思うんだがね。どうだい」
拓留「僕は、このまま実験台になってやってもいいなんて思わない」
拓留「僕は、僕が生きたい世界を生きる」
和久井「はっ! 言ってることだけなら僕の主張となんら変わらないだろうね! もっとも、実現する確率は雲泥の差だが」
和久井「いいだろう。来い。宮代君。僕は穏便に済ませればいいと思っているが、勝つことが嫌なわけじゃないんだよ」
拓留(このまま正面から斬りあってもいつかは負ける。打開策を考えなければ)
拓留(尾上……あんな見るも無残な姿に……)
拓留(……あれ?)
拓留(尾上が動いている?)
世莉架「」モゾモゾ
拓留(四肢こそないが、何かをしようともがいているように見える)
世莉架「」モゾモゾ
<●><○> タクぅ?
拓留「うっ!」
拓留(尾上に……にらまれた!?)
拓留(なんだか……頭痛がっ)
和久井「あれあれ、自ら立ち上がって立ち向かおうとしていたのに、もう力尽きたのかい?」
和久井「せめて勝ち応えのある戦いにしたいんだが、まあ、仕方ないか」
拓留(なんだ、これ……)
拓留(頭が割れるように痛い!!)
拓留(別の人間の脳が自分の脳内に入り込んできているような、そんな感覚だ……!)
拓留「ぐっ……これは?」
拓留(気づけば、僕は、いつの間にか)
拓留「ディソードが……2つ?!」
拓留(自分のと、もう一つ見たこともないような、流線型の緋色に輝くディソードを手にしていた)
和久井「そんな……馬鹿な! ありえない!」
和久井「尾上世莉架が宮代君にリアルブートについて干渉を……?! そんなことがっ」
和久井「これは……ははっ、これは大きな発見だ! 今すぐにでも書き留めたいくらいの!」
拓留(和久井が何かを言っているが、既に僕の体の制御は僕の支配下になかった)
拓留(勝手に体が動いて、両手にこさえた別々のディソードを構えている)
和久井「面白い!! 面白いよ宮代君!!!! 君は最高だ!」
和久井「僕は!! 次の世界で……ぐうっ!!?!?」
和久井「ぐっ……こ、これは……」
拓留(な、なんだ? って、体が!)バッ
バサッ
和久井 ドタッ
拓留(あ……あ)
拓留(和久井は既に息絶えていた……僕は一部始終を見ていたが)
拓留(和久井は勝手に動き出した僕によって斬られ、息絶えていた)
拓留(何が起こったのかわからぬまま……)
僕は意識を失った。
世莉架「……」
>>1です。ここから完結に向かいます。よろしくお願いします。
~拓留のキャンピングカー内~
ピピピピッピピピピッ
拓留「ん……」
拓留「うるさいな……」ポチッ
拓留「……」
拓留 スクッ
拓留「顔洗わなきゃ……蛇口は……」
拓留 バシャッ
拓留「朝食は、いいか。着替えよう」
拓留「制服、どこにしまったかな」
世莉架「今日は祝日だよっ。タク」
拓留「そうだったのか? ありがとう尾上、ここ最近曜日の感覚がなくて――」
拓留「――尾上?」
世莉架「う? どうしたの、タク、変な顔~」
拓留「い、いや、なんでもない」
拓留「……ってなんでもないわけあるか!」
世莉架「おお、ノリツッコミ」
拓留「お前どうしてここに?! 和久井に連れ去られてたんじゃなかったのか?! それも、あんな姿になって……」
世莉架「あ~う~、肩ゆすらないでぇ」ユサユサ
拓留「あ、悪い……」
拓留(目の前には尾上がいる。五体満足だ)
拓留(碧朋学園の和久井のラボのカプセルにいたときのように、体がそぎ落とされていることもない)
拓留(そういえば……和久井は)
拓留「……」
拓留(あの時、何が起こったんだ)
世莉架「もう、なんだか今日のタクってば変だよ? 悪い夢でも見たの?」
拓留「はは……夢、ならいいんだけどな」
世莉架「う?」
拓留「そういえば、尾上はなんでここにいるんだ?」
世莉架「べっつにー、タクの顔が見たかったから、なんてね」
拓留「そ、そうか……」
世莉架「あ、もしかして照れてたり?」
拓留「そんなわけ……」
拓留(……ある)
トリガー発生>>421
ポジティブ OR ネガティブ
ポジティブ
トリガー ポジティブ
/////////TRIGGER ON///////////
拓留「ぼぼぼ、僕の顔が見たくてわざわざここに来たってことは、さ……」
拓留「お、尾上は、僕のことが……」
拓留(何を言っているんだ僕は)
拓留(これじゃあまるで自分に対する好意があると思ってる自意識過剰なヤツみたいじゃないか)
世莉架「そうだよっ」
拓留「ごめん尾上、やっぱ忘れt……」
拓留「えっ?」
世莉架「私は、タクのことが、好きだもん」
世莉架「いままでもさ、タクと一緒にいようと色々なことしてきたんだよ?」
世莉架「タクは、それには気づいてないかもしれないけど」
拓留「尾上……」
世莉架「今日は祝日だし、学校もないんだよ? だからさ、タク」
世莉架「私は、今日一日タクとずっと一緒にいたいな……」
拓留「尾上っ……!」
世莉架「ねえ、ギュってして?」
拓留「それって」
世莉架「はやく、ねっ?」
拓留 ギュッ
世莉架「嬉しいな……」スリスリ
世莉架「タク、なんだかいい匂いするね」
拓留「尾上こそ、いい匂いだ」
世莉架「照れちゃうなあ」
世莉架「ねえ、もっと強く抱きしめて」
拓留 ギュゥッ
世莉架「はあっ///」
世莉架「じゃあさ、次はねっ」
世莉架「キス、しよ」
拓留「き、キスだと?!」
世莉架「だめ?」ウワメヅカイ
拓留「だめな、わけ、ない」
世莉架「私、初めてで、ちゃんとできるかわからないけどっ」
世莉架「好きな人と、キスしたいから」
世莉架「お願い、タク」ンー
拓留(これはもういくしかない)
チュッ
世莉架「ぷぁっ///」
世莉架「キス、しちゃったね」
世莉架「ちゃんと責任、とってね? タク」
世莉架「あ、そうだ」
世莉架「子どもは何人欲しい?」
拓留「いやそのりくつはおかしい」
――ブチンッ
拓留(キスで妊娠すると思ってるとかどんだけピュアなんだ)
拓留(まあ、本物の尾上がそう思ってるのかは知らないけど)
拓留(和久井との対決のとき、イメージで尾上に会ったな)
拓留(そのときも、き、キス、したな)
拓留(というかいまさらなにを戸惑っているんだ僕は)
拓留(結衣と、そういうこと、もっとすごいことも、一応してるだろ……)
拓留(結衣……大丈夫かな)
世莉架「タク、どうしたの?」
拓留「うぁぁっ」
世莉架「だ、大丈夫?」
拓留「大丈夫だ」
拓留(尾上が僕の前にいまいること――それは妄想なんかじゃない)
拓留(はっきりと、存在している)
拓留(尾上は、和久井の能力によって存在しないことにされていた)
拓留(和久井が死んだ今、尾上の存在を封じるものはいないってことか)
拓留(あれ? それじゃあ僕の目的はもう果たされたのか?)
拓留(本当に?)
拓留(何かを忘れている気がして、変な汗が出る)
世莉架「う~、タク、顔色悪いよ? もしかして、せっかくの休日に私がお邪魔したからかなぁ?」
拓留「い、いや、尾上は悪くない、ぞ……」
拓留(これからどうしていこう)
拓留(結衣は大丈夫なのかな)
拓留(尾上には悪いけど、個人的に考えたい時間が欲しい)
拓留「今日は、さ」
拓留「どうしたんだ? いきなりここに来たりして」
世莉架「う? なんでタクのとこに来たかってこと?」
拓留「あ、ああ……」
世莉架「それはね」
世莉架「なんでだと思う?」<●><●>
拓留「ひっ……」
拓留(こ、この目……!!)
拓留(何度か記憶にある……。僕にプレッシャーをかけるように現れてきた目……)
拓留(逃げなきゃ……)
拓留(なぜかそうしなきゃいけない気がする!)
世莉架「ねえねえ、どうしちゃったの? タク」
世莉架「そんな顔されて後ずさりされたら、さすがにショックかなぁ」
拓留(こいつはひょっとしたら尾上じゃない何かなのかもしれないし)
拓留(今はとりあえずそう思って逃げよう)
拓留(出口に近いのは尾上のほうだ)
拓留(どうすれば突破できるんだ……)
拓留(……)
拓留(そうだ、僕だってギガロマニアックスだ)
拓留(相手の脳内にイメージを流し込んで混乱させることだって、不可能じゃないはず……だ)
拓留(やるしかない!)
拓留 ディソード
拓留(尾上、お前が見ているのは僕じゃない、ただの壁だ。ただの壁を僕だと思い込んでいるだけだ……)
拓留「今のうちに!」ダッ
世莉架「何が今のうちなの……って」
世莉架「ぐっ」
世莉架「あれぇ、いない」
拓留(やった!)トビラツカム
ガラララ
拓留(ここから全力疾走……)
ガシッ
世莉架「タクぅ、逃げちゃやだぁ」<●><●>
拓留(う、腕をつかまれた?!)
拓留(しかもやたら強い!)グイグイ
拓留「くそぉ……っ、いまは放してくれ尾上……!」
世莉架「やだもん!」グイッ
拓留「ぐぁっ」ドタッ
拓留(まずい。バランスを崩して倒れてしまった)
世莉架「もう……」ギギギギ
拓留「ぐっ!」
拓留(く、組み伏せてきた?!)
拓留(尾上はこんなことするような子じゃないだろ)
拓留(今、何が起こってるんだ?)
世莉架「えっへへ、確保っ」<●><●>
世莉架「もう、だめだよ、タク。私だって女の子だもん。女の子を悲しませちゃ、だめ」
世莉架「そんなタクにはおしおきだね」
世莉架「ん、モゴモゴ……」
世莉架「だぁ……」ヨダレダラー
拓留「ひぃ!」
拓留(尾上の唾液が耳に注がれてる!!)
拓留(だんだん耳が遠くなって……)
拓留 ズキッ
拓留「ぐぁぁぁぁぁ」
拓留(ず、頭痛が!!)
拓留(イメージが頭の中に流れ込んでくるみたいだ……!)
楽しかった? 楽し楽しか楽しかった? 楽楽しカッタ? たのシかっタ?
世莉架「耳って脳みそに近いところにあるよねっ♪」
拓留(もう尾上が何を言ってるのかもわからない)
拓留(僕は、死ぬのか?)
拓留(これが、結末なのか?)
拓留「……」
久野里「宮代っ!」
拓留(く、久野……里、さん?)
世莉架「う?」
久野里「そいつから離れろっ!」ドンッ
世莉架「う゛っ」ヨロッ
久野里「い、今のうちに逃げるぞ! 宮代!」
久野里「肩を貸してやるから、はやく!!」
拓留「うぅ……」
スタスタスタスタ
世莉架「逃げられちゃった……」ペロッ
拓留「ぅ……」
拓留「こ、ここは……?」スクッ
久野里「目を覚ましたか」
拓留「久野里、さん」
久野里「意識は確かか?」
拓留「え、ええ……だいぶはっきりしています」
久野里「あのままでは……最悪自我を失っていたかもしれないな」ボソッ
拓留「そ、そうだ。あのあと……和久井と対峙したあと、久野里さんはどうしたんですか?」
久野里「和久井に眠らされていて、一体お前があの後どうなったのか、詳しくは知らない」
久野里「私が目を覚ましたときには、和久井は死んでいた」
久野里「そして、気を失ったお前が倒れていた」
久野里「私は、すぐに秘密裏にと神成さんに連絡を取った」
拓留「でも……事情が事情なだけに、刑事事件にできたんですか?」
久野里「刑事事件には、まだなってはいない。だが、なんとか神成さんと話し合って、和久井の遺体を分析できないか検討した」
久野里「理想としては、解剖ができればよかったんだがな」
拓留(自分の手でやりかねないような……)
久野里「最終的に、司法解剖は実現の確率が低いだけでなく、実現したとしてもそれまでにかかる時間が長いと予想されたから」
久野里「CTスキャンにかけることになった」
久野里「私はギガロマニアックスの研究に携わっていた……その一環で、なんとか和久井を分析できたんだ」
久野里「もともと、ただのギガロマニアックスの分析をするつもりだった」
久野里「特に、脳について」
久野里「だが、萎縮されては困るから、急いででもCTにまわした」
久野里「その結果。驚くべきことがわかったんだ」
拓留「な、何がわかったんですか?」
久野里「脳が異常なほど肥大化していたんだよ」
拓留「の、脳が……」
久野里「ああ。それだけじゃない」
久野里「橘結衣、いるだろ」
久野里「橘結衣も、検査の過程で脳をスキャンしているが」
久野里「搬送されてすぐの彼女の脳もまた、肥大化していた」
拓留「結衣と和久井が、脳の肥大化で共通している……それは、2人ともギガロマニアックスだからですか?」
久野里「それは私も思った。だが、それだけでは何の根拠にもならないだろう?」
拓留「それは、確かに」
久野里「だが、今、私は、脳の肥大化の理由を知っている。確信を得ている」
久野里「お前だよ、宮代」
拓留「僕が?」
久野里「実は、和久井との対峙のあと、もう一人脳が肥大化した人間がいてな」
久野里「わずかではあったが」
久野里「それが宮代だった」
久野里「私は、目覚めてから一通りの作業ののち、和久井のラボのデータをすべてバックアップにとってから、ラボのあらゆるものを破壊した」
久野里「そして、目を覚まさなかったお前を、最終的にはキャンピングカーまで運んだ」
拓留「あ、ありがとうございます」
久野里「お前は眠りながらも終始うなされていたよ」
久野里「まあ、それだけなら夢を見ていると考えるのが妥当だが」
久野里「どうやら、お前の寝言は、私が眠っている間の出来事を丁寧に反芻していたようでな」
久野里「まるで、物語を語るがごとく、詳細をしゃべっていた」
久野里「ふと変に思ったことがあった」
久野里「自分のではないディソードを手にしていたと、お前は口にしていた」
久野里「それは、ありえるとしたら、他のギガロマニアックスの干渉を受けるほかにないんだ」
久野里「だから、その仕組みの研究と言う意味でも、お前をキャンピングカーに戻す前に、お前の脳を調べた」
久野里「結果、肥大化していたというわけだ」
久野里「すなわち、こういうことになる」
久野里「他のギガロマニアックスに干渉されて行動するならば、脳は肥大化する」
久野里「特に、脳に負担が大きいのは、思考誘導させられるときだろう。脳が肥大化するといっても、逆に言えば思考誘導でないならば対したことにはならない。肥大化してないと近似的に言ってもなんら問題はないくらいだ」
拓留「ということは」
拓留「結衣と和久井は、何者かに思考誘導を強いられていた?」
久野里「そう結論付けられる」
拓留(つまり、まだ終わっていない)
拓留(一連の出来事は、和久井がすべての根源だと思っていたけど)
拓留(和久井はただ操られていただけ……)
拓留「そういえば、尾上……尾上ですよ!」
拓留「さっきの尾上は尋常じゃなかった」
拓留「あれも、思考誘導をかけられていて……」
久野里「一つ、まだお前に言っていないことがある」
久野里「宮代拓留と尾上世莉架という2人の人物、この2人は創造した者とされた者という関係にある」
拓留「それは僕だって知っていますよ。もともとは……」
拓留「尾上は、僕のイマジナリーフレンドだったんです。想像上の人物だったんだ」
拓留「でも、僕がギガロマニアックスだから。ついに能力を使って具現化させてしまった……」
拓留「和久井から、すべてを知らされました」
久野里「ふむ」
久野里「そうだな」
久野里「宮代。お前は……思考誘導によって和久井が虚言を発していたという可能性は考えないのか?」
拓留「――えっ?」
久野里「思考誘導では、操る相手に嘘をつかせることだって可能だ」
久野里「和久井が思考誘導されているとわかった今、和久井の言うことをすべて鵜呑みにするのはあまり賢いとはいえないぞ」
拓留「……確かに」
久野里「お前をキャンピングカーにかえしたあと、私は自分の手でギガロマニアックス研究の過去を洗おうと思った」
久野里「真実を知りたくてな」
久野里「特に、AH東京総合病院とその地下に関することを調べた」
久野里「……」
拓留「どうしたんですか?」
久野里「い、いや」
久野里「言おう」
久野里「AH東京総合病院におけるギガロマニアックス研究の中に、『宮代拓留』という人物は一切登場しない」
久野里「それだけじゃない。思い出せる限り、宮代拓留の経歴をあたって名前の存在を確認しようとした」
久野里「だが、2009年以前には見つけられなかった」
久野里「なんども調べた! 秋葉原にいるハッカーに依頼してまでも宮代拓留の足跡を探った!」
久野里「……しかし、見つからなかった」
拓留「ど、どういうこと、ですか」
拓留「だって、そんな……僕がいた形跡がまるごと消された?」
拓留「これも、黒幕の仕業なんですか……?」
久野里「そう、思うのか」
久野里「代わりに見つけてしまったものもある」
久野里「宮代拓留、とあるべきデータは、特に2009年以前、すべて尾上世莉架となっていた」
久野里「AH東京総合病院の地下で行われていたギガロマニアックス研究――そこには、尾上世莉架という少女がいたそうだ」
久野里「IDは5102番。途中で抜け出したらしく、記録は途切れているがな」
久野里「そしてカルテには――」
~翌朝、某所~
プルルルルルルルル
世莉架「あ、電話だ」
世莉架「もしもし」
拓留『僕だ』
世莉架「タク」
拓留『尾上、お前、僕のこと好きか?』
世莉架「……」
世莉架「うん、大好き」
拓留『今日、学校あるけどさ』
拓留『学校さぼってデートしよう』
世莉架「うんっ」
拓留『じゃあ、今からシアターキューブに向かってくれ』
~シアターキューブ~
拓留「……」スタスタ
拓留「…………」
拓留「………………」
<●><●>ふふっ
拓留「待たせたな、尾上」
世莉架「全然待ってないよ♪」
拓留「まわりに全然人がいないんだけど」
世莉架「……気にしなくていいと思うな」
拓留「そうか」
拓留「そこのカフェにでも入ろうか」
世莉架「うんっ」
拓留「新聞部、覚えてるか?」
世莉架「突然どうしちゃったのタク、忘れるわけないじゃん」
拓留「はは、それもそうだよな」
世莉架「新聞部で活躍(笑)してたときのタク、なんか色々格好つけてたよね」
拓留「(笑)とか言うなって、まあ、あのときの僕は、今の僕にとってみれば黒歴史みたいなもんだよ」
世莉架「そっか」
世莉架「私、いっぱい思い出あるよ」
世莉架「新聞部もそうだし、それ以外で、タクと一緒に過ごしたことも」
世莉架「タクにマッサージしてあげたり、華ちゃんも交えて一緒にバイオハザードで遊んだり」
世莉架「い、一緒にお風呂入ったことも、あったよね///」
拓留「あ、あったな……」
世莉架「料理作ってあげたりもした」
拓留「うまかった」
世莉架「えっへへぇ」
世莉架「あっ、あと久野里さんの家に押しかけたり!」
拓留「申し訳ないことをしたよな」
世莉架「あ、その前に吉祥寺に行ったりも」
世莉架「結衣ちゃんと結人くんも、一緒に」
拓留「そうだ」
拓留「でも、ある日を境に世界は変わってしまった」
拓留「再構築されたがごとく」
世莉架「……」
拓留「なあ、尾上」
拓留「教えてくれよ」
拓留「6年前、なんで僕をリアルブートしたんだ?」
世莉架「……」
世莉架「な、何を言ってるの? タク」
世莉架「タクが、私をリアルブートしたんだよ?」
世莉架「タクの、願いを、かなえるために……」
拓留「僕の記録なんて、どこにも存在しない、それが事実だ」
世莉架「っ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
久野里「尾上世莉架は、重度の統合失調症患者だ」
久野里「AH東京総合病院のカルテにはそうある」
久野里「幼馴染で1つ年上の男の子がいるとずっと主張していたそうだ」
久野里「名前はミヤシロタクルといって、彼女はタクと呼んでいたらしい」
久野里「イマジナリーフレンドで済めばよかったが、そうでもなかったようだ」
久野里「『タクの願いをかなえなきゃいけない』『タクを楽しませなきゃいけない』『本当の私は冷淡で冷たい女、タクがそう望んでる』などという強迫観念に常日頃からとらわれていたと記録されている」
久野里「また、病的なまでにその『タク』を愛していたそうだ」
久野里「『タク』を愛するために体液交換しなければと震えたり、などなど」
久野里「カルテを書いた者は、このままではいつか精神が崩壊してもおかしくないと思ったんだろう」
久野里「また、ギガロマニアックス研究としての側面から書かれた記録もある」
久野里「彼女は、遅くとも研究対象となったときから、小規模なレベルでのリアルブートを容易にこなしていたという」
久野里「そして、精神的に不安定かつ妄想の巨大さからして」
久野里「本格的に能力が発現した場合、いままでに存在してきたあらゆるギガロマニアックスよりも能力が高くなることが懸念された」
久野里「世界線に干渉するのではないか、という仮説を立ててレポートを書いたものもいたらしい」
久野里「いずれにせよ、尾上世莉架に関する情報は、和久井の死後に続々と発見できた。おそらく思考誘導にかけられた和久井が隠していたんだろう」
久野里「単純なことだった」
久野里「世界改変と記憶の継承」
久野里「一つの仮説として、蒼井セナのバックアップ説はあるだろうが」
久野里「もう一つ」
久野里「単純に、世界線に干渉できてしまえば、世界の改変は行える。ましてや最強のギガロマニアックスだ。科学ではお手上げな位のチート能力者なら」
久野里「特定の人物が都合よく記憶を維持する世界線、なんてもの容易なんじゃないのか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
拓留「僕の願いをかなえる、楽しませる、そういったお前の妄想が僕という存在を具現化させた」
世莉架「……」
世莉架「……ぁぁぁぁ」
世莉架「ふふふふっ」
世莉架「ははっ、ひひひひ」
世莉架「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」
世莉架「最高!! 最高!!」
世莉架「タクってば、本当に!!」
世莉架「本当に……私の理想!!!」
世莉架「ああぁぁ愛おしいよタクぅっっ!!!!」
世莉架「だって!! だってだよ!!?!?!?」
世莉架「私が願ったとおりに、その通りに……」
世莉架「私の欲を満たしてくれるんだから!!!!!ぁぁぁぁはははは」
世莉架「そうだよ! タクの言ってることは本当」
世莉架「タクなんてもともと実際には存在しなかった」
世莉架「正確には、お医者さんにそういわれただけだけど」
世莉架「タクという存在はね、私に生きる意味を与えてくれるの」
世莉架「天涯孤独で施設にいた私にとって、誰かの役に立てるのは希望だった」
世莉架「あんまり覚えてないけど、あるときから病院の地下で実験とかいうのを手伝わされたこともあったね」
世莉架「研究してる人たちは私を見て驚いてた。昔はなんで驚いてたのかわからなかったけど」
世莉架「でも、そんなのはどうでもいいの」
世莉架「タクがいればいいの」
世莉架「タクにいて欲しかったの」
世莉架「こんな地下なんかじゃなく、もっと普通の、やさしいお家で一緒に暮らしたい」
世莉架「ずっとそう思い続けてた」
世莉架「そうしたらね。やっぱりタクはいたんだよ」
世莉架「それが6年前」
世莉架「極限まで追い込まれた私を、タクは優しく抱きしめてくれた」
世莉架「そうそう。タクも地下にいてね、一緒にいた結衣ちゃんと結人くんも、佐久間って先生が連れ出したんだよ」
世莉架「それで、私も一緒に地下から抜け出したんだ」
世莉架「そうなの」
拓留(ひょっとしたら、僕がリアルブートされたあとだから……地下から抜け出すくだりからして、尾上が作り出して現実にした世界なのか?)
拓留(今の尾上には……いや、ひょっとしたら永遠に答えはわからないかもしれない)
世莉架「世界は私の思い通りに形作られてく」
世莉架「神様は優しかったんだ」
世莉架「私が思えば、その通りになったんだから」
世莉架「でも」
世莉架「まさか、タクが結衣ちゃんに傾倒するとは思わなかった」
世莉架「結衣ちゃんはね、本当はタクのことが好きで、タクを好きな私のことを複雑に思ってた」
世莉架「こんなはずないって思った」
世莉架「タクが私を見限るわけないって」
世莉架「だからね、今度はタクを振り向かせなきゃって」
世莉架「今までは、私が望んだから、タクは私の望むとおりに反応してくれた」
世莉架「今度は……私の力で、ね」
世莉架「だから、タクが私の元に自分から来ようと、歩み寄ろうとするようにがんばったんだよ!」
世莉架「結衣ちゃんはね、きっとのんちゃんが嫌いだったんだよ」
世莉架「私はずっとそう思ってたし」
世莉架「そしたら、案の定、だったねっ」
世莉架「それからそれから、ね」
世莉架「和久井先生! 前から胡散臭いと思ってたんだぁ。悪いことしてるって、絶対」
世莉架「きっと私も和久井先生にひどいことされちゃうーって思わざるを得なかったな」
世莉架「事実そうなったし」
拓留(そうさせた……の間違いだ。すべては)
世莉架「はぁっ。ちょっとしゃべりつかれちゃった♪ 休憩とっても、おっけい? いいよねっ。うん、わかった!」
世莉架「ふぅ」
拓留「じゃあ、僕は自分から尾上のもとに来たから、思い通りになったってことか」
世莉架「うん……っていうか、物理的にもそうだし、精神的にも、ね」
世莉架「だって学校さぼってデートだよっ! ちょっと憧れもあったから、タクとそうやって過ごせて幸せ」
拓留「そうか」
拓留(この世界はきっと、尾上が願ったとおりに何度も改変されてきたんだ)
拓留(久野里さんの話から察するに、それは観測上改変されたように見えるのであって、きっと本質的には多世界解釈と考えていいのだろう)
拓留(……このままでいいのだろうか?)
拓留(リアルブートされた存在とはいえ、僕は――少なくとも今の僕は望んで尾上に従ってるわけじゃない)
拓留(尾上にとっての僕の存在意義は彼女の望むとおりの人間だろうけど)
拓留(僕にだって意思はある)
拓留(例えば、そう、尾上が消えれば――僕は)
拓留「……」
ルート分岐安価>>454
1:僕は、尾上世莉架を消して自分の意思で生きる。
2:僕は、尾上世莉架に付き従う存在として生きる。
すみません安価失敗しました
>>456
2
拓留(……僕は、尾上のために生きよう)
拓留(こんな可愛い幼馴染に、この世界よりも大事にされて、僕は嬉しいはずだ。そうだろ?)
拓留(歪んだ愛情を注がれているのかもしれない。でも、だから何だって言うんだ)
拓留(僕がいいならいいじゃないか。誰にも迷惑はかけてないんだから)
拓留(僕は、尾上を満たすための存在なんだ。それ以上でも以下でもない)
世莉架「……う? タク? どうしちゃったの、そんな難しい顔して」
拓留「えっ、……ああ、なんでもないよ」
世莉架「もう、あんまり見つめられちゃうと照れちゃうんだから、ね」
拓留「悪かったって」
世莉架「別に嫌じゃないけどさ」ボソッ
拓留「ははは……」
拓留「なあ、尾上」
世莉架「?」
拓留「僕のこと、好きか?」
世莉架「ぶっ! ちょ、ちょっと、タク、いいい、いきなり何言い出すの///」
拓留「どうなんだ?」
世莉架「そ、それは、嫌いじゃ、ないよ? 全然」
拓留「好きじゃないってことか?」
世莉架「そんなこと! ……言ってないじゃん。もう」
拓留「直接、面と向かって言ってくれよ」
世莉架「ううう……、わかった、わかりましたよー」
世莉架「おほん」
世莉架「……私は、タクのことが大好き――
――誰よりも、何よりも愛してる。世界よりも」
~2016年のゴールデンウィーク、渋谷ハチ公前~
世莉架 スマホポチー
世莉架「……」
世莉架「…………」
世莉架「………………」
世莉架「――――おそい」
拓留「はぁっ、はぁっ、ご、ごめん尾上。遅れちゃって」
世莉架「もうっ、遅いよタク!」プンプン
拓留「大学のレポートを夜遅くまで書いていたら寝坊しちゃったんだ。ごめん」
世莉架「デートの前に夜更かししないでよっ」
拓留「提出期限が今日だったんだ。許してくれ、尾上」
世莉架「ふん」
拓留「……?」
世莉架「……名前」
世莉架「……名前で呼んでくれなきゃ、やーだ」
拓留「――ははっ」
世莉架「もう、何がおかしいのっ」
拓留「なんでもないよ」
拓留「じゃあ行こうか、世莉架――」
拓留(僕は世莉架のために生きる人生を選択した)
拓留(なんとか東京の某私立大に受かることができた僕は、大学生になってからは特に目立つことのない普通の学生として細々と生活している)
拓留(尾上――いや、世莉架とは、今は恋人同士という関係にある。結婚するのも時間の問題かもしれない)
拓留(僕の通う大学は女子が多い学校だった。だから、世莉架はよく心配してくる。浮気をするつもりなんてないけど)
拓留(たまに仲のいい女友達ができると、その子が失踪したりすることがある。まあ、理由は考えないようにしている)
拓留(別にいいんだ。僕には世莉架がいるから)
――これが、僕の選択だから。
ANOTHER GOD'S SKY END.
次は、>>454の選択肢で1が選ばれた場合のルートを書いていきます。
拓留(……僕は、尾上を――消す)
拓留(別に彼女が嫌いだとか、憎いだとか、そういうんじゃない)
拓留(これは、僕が尾上世莉架という女の子のためにしてあげられることなんだ)
拓留(宮代拓留という人間に翻弄されなければならない人生しか歩めない尾上を、彼女が納得できる形で浄化してあげられるのは――)
拓留(――僕しかいないはずだ )
拓留「……尾上」
世莉架「う? なに?」
拓留「僕は、尾上のこと――世莉架のこと、愛してるぞ」
世莉架「ふぇぇっ?// どうしたのいきなり////」
拓留「本心を言っただけだよ」
世莉架「なんかタクがキザな男になっちゃったよ~」
世莉架「はぅ」
世莉架「……でも、うれしい」
世莉架「タクからそういってもらえて、私、幸せだな」
世莉架「私もね――タクのこと、愛してるよ」
世莉架「好き、とか、大好き、とか、そういうんじゃ収まらないくらい」
拓留「ああ」
拓留「そうだ、少し二人で歩かないか? 散歩っていうかさ」
世莉架「うんっ、いいよ。そうしたい」
拓留「……って言っても、どこにいくかなんて、決めてないんだけどな」
世莉架「どこでもいいよ。タクが行きたいところ――ううん、タクがいるところに、私がいられれば」
拓留「そうか……じゃあ、代々木公園まで歩いてみるか。少しかかるけど」
世莉架「おっけい!」
拓留「渋谷の街って、どうしてこんなに物が密集しているんだろうな……」
世莉架「せまっくるしー感じだよね。あはは……」
世莉架「でも、私、この街嫌いじゃないよ?」
世莉架「なんだかね、複雑な気持ちを抱え続けてるんだけど、必死になって生きてる感じがして」
世莉架「自分が辛くなったら、この街のことを思うと、不思議と楽になれることって、あるんだ~」
拓留「はは、そうかもしれないな」
拓留(尾上は、世莉架は、一体今までどれほどの苦悩を抱えてきたんだろう)
拓留(この街の複雑さをはるかにこえる、複雑怪奇なものを抱えてきたのだろうか)
拓留(それも、僕が終わらせてあげるからな)
拓留「お、原宿が見えてきたかな」
世莉架「竹下通りだねっ。ねえ、タク。私いろいろ見て回りたいなぁ」
拓留「じゃあ、そうしようか」
世莉架「うんっ」
世莉架「ねえみてみて、このクレープすごくおいしそう!」
拓留(なんだか吉祥寺に行ったときを思い出すな)
拓留「よし、じゃあ二人分買おう」
拓留「僕のおごりだ」
世莉架「タクったら男前~」
拓留「か、からかうなよ……」
世莉架「あっ、見てみて、これめっちゃ変な色~」
拓留「これは、食べ物、なんだよな……?」
拓留「食べたいのか?」
世莉架「うーん、いいかな、別に」
拓留「そうか(助かった)」
拓留(その後も、しばらくは尾上と原宿を散策した)
拓留(ようはデートなのだが、これはデート以上の意味がこめられた二人の時間だ)
拓留(尾上世莉架という世界を捻じ曲げることのできる存在の終局へ向かう道のりだ)
拓留「それじゃあ、そろそろ代々木公園に行こうか」
世莉架「おっけい。れっつごー」
~代々木公園~
世莉架「うわ~広いねぇ、タク。こんなにたくさんの自然に囲まれたの、私はじめてかも」
拓留「すごいよな。大都会の中にこんな場所があるなんてさ」
拓留(世莉架は世界の広さを知らない。知る由もなかったというほうが正しい。それだけ、彼女の人生は悲劇的だ)
拓留(普段は明るく振舞っているけれども、実際は深い闇を抱えている。ただ、それを隠しているだけだ)
拓留(その闇は、まるで大都会東京23区に存在するこの森林のような)
世莉架「なんだかね、さっきまでの原宿もわーわーって感じでそれはそれで楽しかったんだけど、こういう自然に囲まれるのってなにもしなくても心地いいんだって、思った」
拓留「ああ。人が集まる場所には、それぞれ良さがあって、けれど相容れないところがあるな」
拓留「この辺に座ろうか、さっきレジャーシート買っておいたんだ」
世莉架「うんっ」
拓留「よいしょ」
世莉架「ふう」
拓留「……」
世莉架「――」
風を感じる。その風は、どこか悪戯心の感じられるもので――
頬を撫でておちょくってきているんじゃないかと思えた。
世莉架――。
拓留(僕は、尾上世莉架を、消す)
拓留(この世界から消すんだ)
拓留(それは、彼女のため、僕のため、そして世界のため)
拓留(終局に向かわせることができるのは、彼女を除けば僕一人だから)
拓留「なあ、もうちょっと……こっちに来いよ」
世莉架「……! う、うんっ」
ススッ
世莉架「こう、かな」
拓留「……もう、ちょっと」
世莉架「……こう?」スススッ
拓留「あ、ああ」
拓留(片方の肩が当たるくらい僕たちは近くで座っている。世莉架が僕に寄り添うような形だ)
拓留「――いい匂いがする」
世莉架「ふぇぇっ?! た、タクぅ。言ってることが変態さんみたいだよぉ」
拓留「ご、ごめん。いや、こんなに近くに世莉架を感じたの、久しぶr――はじめてだったからさ」
世莉架「そっか……そうだよね」
世莉架「私は、タクのそばにこうしていられて、結構嬉しい気持ちになってたり」
拓留「僕も、世莉架がこうしてそばにいると安心する」
拓留「なあ、世莉架――」
世莉架「う? って――」
拓留(僕は世莉架の肩をつかんで押し倒した。抵抗はない。僕が彼女に跨る形になる)
拓留(彼女は頬を紅潮させながらも僕のことをじっと見つめていて……)
拓留(鼓動がわかるんじゃないかっていうくらいに胸を上下させている)
世莉架「――ハァッ、わ、私……こんなお外でタクに襲われちゃうのかな?」
世莉架「タクも男の子だもんね……」
拓留「世莉架、僕の目を見てくれ」
拓留(世莉架と目が合う。そのとき、僕はまるで自分自身の目とにらみ合っているかのような錯覚に陥った)
拓留(これは世莉架の目なのか? 本当に?)
拓留(その目……だれの目?)
世莉架「神の目、じゃないかな」
拓留「!」
世莉架「私は神様なんていないと思ってた。でもね、それはちょっと違っていて……」
世莉架「私には力があるから、私が神様になればいいやって、そう思ったの」
世莉架「だから今タクが見てるのは、神様の目かもね、って……」
拓留「……世莉架は、世莉架だ。僕の幼馴染の、僕の好きな……世莉架だ
」
拓留「世莉架、世界は君のエゴで何度も大きく改変させられている。世莉架は僕を好きといっても、なにをしようとも、究極的には君の行動は自己愛にすぎないんだ」
拓留「僕は世莉架が好きだ、愛している。だからこそ、終わらせないといけない」
拓留「全能である苦しみから、解放したい」
世莉架「それがタクの選択?」
拓留「ああ、もう、決めたことだから」
世莉架「そっか」
拓留(これから僕たちはどのように対峙するのか。殺し合いだろうか)
拓留(いまはこうして僕が馬乗りになっているが、対した効果はない。ただ、このような体勢でいることが許容されているに過ぎない)
世莉架「おっけい。タク……」ズイッ
拓留(レジャーシートに仰向けになっていた世莉架が上半身を起こしてくる。逃げるべきだろうか? そう思った瞬間――)
世莉架「っちゅ」
拓留(僕は世莉架にキスされた)
世莉架「んちゅ、んっ、れろっ」
拓留(舌を絡ませるようなキス。世莉架が唾液を注いでくる)
拓留(あれ、なんだか頭が……)
拓留(……駄目だ! 前にも世莉架に唾液を入れられておかしくなりそうになったことがあったじゃないか!)
拓留(仕返すしかないっ)モミッ
世莉架「っ!」
拓留(意識が朦朧とする中、僕は世莉架の胸を愛撫するように揉みしだいた)
世莉架「んあっ、た、タクのすけべっ」パッ
拓留「やられてばかりじゃ、ないからな」
世莉架「も、もうっ。あーあ、私のキスでふらふらーってなったところを殺してあげようと思ったのに」
世莉架「逆らっちゃ、めっ、だよ」
世莉架「タクが私を消す気なら、私が先にタクを殺して、身体が腐ってグズグズになるまでずーっと愛してあげるよ」
拓留「それじゃ駄目なんだ。僕は君のわがままを永久にできなくしなきゃいけないんだから」
世莉架「うぅ、タクのいじわるぅ」
世莉架「……」
世莉架「なーんてね」
世莉架「私ね、気づいてたんだ。タクを楽しませるってこと、それは世界線を越えようと何があろうと変わらないんだけど、結局は私の自己満足で楽しませた気になってたのかもって」
世莉架「もちろん、タクも楽しんでくれたことはあるだろうけど、結局楽しんでたのは私」
世莉架「そう思うとね、タクに愛されながら、タクに殺されるのって、悪くないんじゃないかなって思ったんだ」
世莉架「タクの愛以外、私にはいらないってことに、気づいちゃった」
拓留「僕は世莉架を愛しているよ」
拓留「それは変わらない。今までも、そうだ」
世莉架「そっか、そうだったんだ。私、いろんな迷惑かけちゃったなぁ」
世莉架「いーっぱい改竄して、いーっぱい殺しちゃった」
世莉架「それでも、タクは愛してくれてるんだもん」
世莉架「もう、することってないや」
世莉架「でもまたタクが取られると私が思えば、私はきっと同じ事を繰り返しちゃう。使える力があるなら、人間の本性として欲にしたがっちゃうもん」
拓留(世莉架は静かに涙を流している。その涙にはきっと、数え切れない感情と記憶と思いがこめられているんだろう)
世莉架「ぐすっ、えへへ、せっかくタクとこうして幸せな時間を過ごせてるのに、ないてたら顔くしゃくしゃになっちゃったかも」
世莉架「ねえ、タク」
世莉架「私を抱きしめて」
世莉架「私はタクに愛されてるんだって、実感させて」
拓留「世莉架」
拓留(僕は世莉架を抱きしめた。強く、痛いんじゃないかってくらいに強く)
拓留(世莉架の体温と鼓動が伝わってくる。それが妙に心地よく感じる)
拓留(世莉架を抱きしめながら、僕は頭にイメージを思い浮かべる。妄想をする)
拓留(ディソードが……、リアルブートされる。世莉架を背後から一突きで殺すように刃が向いている)
拓留(世莉架と抱き合ってる僕も間違いなく死ぬだろう。もしかしたら、こうなることも彼女の力による必然だったのかもしれない)
拓留(でもいいんだ。これですべて終わる)
宮代拓留と尾上世莉架は、互いに愛し合いながら世界を捻じ曲げる力を封印する。
ディソードが尾上世莉架と宮代拓留の身体を貫く。二つの命が散る。
抱き合いながら幸せそうに赤い花を咲かせる姿があるのみである。
??「やばい、遅刻だ! 昨日夜更かししてまで事件を追うんじゃなかった! くそっ」タタタタッ
???「ひゃっ」ドカッ
??「うわっ!」
??「いててて……あ、すみません! 怪我とか、してないですか?」
???「だ、だいじょうぶれす~」フラフラ
??「いやいや大丈夫そうじゃないだろ」
???「う? あの、あなた、どこかであったことがあるような?」
??「――!」
??「……」
??「……ははっ」
??「きっと知らないですよ、お互いに」
GENERATING SKY END
以上になります。1年以上も長々とお付き合いいただきありがとうございました。カオチャのアニメと同時進行くらいだったのに、気づけばシュタゲゼロの放送に追いついてしまいました。
安価で協力してくれた方々、更新を待っていてくれた方々、感謝いたします。
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