海未「私もですよ」 (60)

ラブライブSSです

書き溜めあり
海未真姫

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1401800319


「だーいすき!!」
?
「私もですよ」
?
女の子二人を、私が遠くから眺めてる
?
あれは誰?
?
わからない
?
わからないのに
?
女の子同士なのに
?
どうしてこんなに胸が苦しいの?
?
どうしてこんなに悲しい気持ちになるの?

音楽室

「-姫、真姫!!」

「う、うぅん...」

「起きてください
そろそろ下校時刻ですよ」

そう言いながら誰かが私の肩を揺らす

「…いつの間にか寝てたのね、私」

大きなあくびが出そうになるのを堪えて、時計に目を移す
短い針が7を指している
どうやら随分と眠っていたようだ

「その、悪かったわね…」

私の記憶が正しかったら、確か海未と新しい曲について話し合っていたはずなのだけど

「いえ、気にしないでください
真姫は普段から頑張りすぎですからね
たまには力を抜くのも悪くないですよ
明日はお休みですし、ゆっくり休んでください」

そう言って海未は私に微笑みかける
怒ってくれた方が気が楽なのに
これが年上の余裕というやつなのかしら
それと、心配してくれるのはありがたいけど、海未に「頑張りすぎ」だと言われると皮肉に聞こえてしまうわ
本人にはそんなつもりは毛頭ないのだろうけどね

「…どうして起こしてくれなかったの?」

余裕を見せられたことがなんだか気に入らなくて、ついつい悪態をついちゃった
もうすぐ三年生になるのに、私は全然成長していないんだなぁって思う
海未はこんなにも大人っぽくなったのに

「ふふっ、ごめんなさい
真姫の寝顔が可愛くてつい」

「なにそれ...
意味わかんない」

大人っぽく、というのは決して軟派になった、という意味ではないんだけど...
きっと本人に自覚はないんでしょうね
けど、思い返せば昔から天然タラシの一面はあったのかもしれないわ

「冗談です
それより真姫ー」

冗談、ね
冗談でも海未にそう言われたことが恥ずかしくて
海未にそう言われたことが冗談なのが悲しくて

「…なに?」

ついぶっきらぼうに返事をしてしまう

だけど海未はそんなことを気にもとめず、真剣な眼差しで私を見つめてくる
ーやっぱり綺麗な顔してる

「なにか、つらいことでもあったのなら私が力になりますから」

「いきなりなによ…?」

「頬、涙の跡があります」

手鏡を取り出して、見慣れた自分の顔を確認する
...大した洞察力だわ、本当
周りの子たちが突っ走ってばかりいるから、周りを気にかけるようになったのかしらね
多分私も何度か海未の頭を悩ませてるんだろうけど
けど、何か理由があって涙を流したわけじゃ…、さっきの夢?
あんまりはっきりとは思い出せないけど、私にとってはつらくて悲しい夢、だったような気がする


「…あまり覚えてないわね
きっと寝起きだからだわ」

覚えていないんだからきっと大したことじゃない
そう自分に言い聞かせるようにして言葉を濁す

「しかし...」

「もう!!そんなのいいから早く帰るわよ!!」

「え?あ、待ってください、真姫!!」

話を無理やり終わらせて、音楽室を出る
怖い夢を見たから涙が出たなんて、この真姫ちゃんがそんなこと言えるはずないじゃない
それはきっと私のキャラクターではないし、そんなことを知られたくない
怖いものが苦手なのは、エリーだけで十分よ

しえん
この2人好き

通学路

二人きりの帰り道
冬の澄んだ空気が心地良い

「ねぇ、海未」

「どうしたんですか?」

「海未はどうやって歌詞を考えてるの?」

無言で帰るのもなんとなく居心地が悪いし、いずれは聞こうと思っていたことを海未に問いかけてみる
海未には作詞の才能があると私は思う
私自身、海未の作った歌詞に感動を覚えたことも少なくはないし

「私は...、その、海未の書く歌詞、好きだから...」

「ふふっ、真姫に褒められてしまいました」

やっぱり言わなきゃ良かったかしら...
なんて思いながらも海未の声に耳を傾ける

「なんというか、ですね
μ'sのみんなのことを考えていると、自然と歌詞が出てくるんです
ありのままのμ'sを書けば、詩になって現れるんです」

海未は語る

「それでも、十分すごいわよ…
その…、これでも感謝してるんだからね?」

「わかっていますよ
ありがとうございます」

そう言って海未は私に笑顔を見せる

「真姫もいつも素敵な曲をありがとうございます
私の書いた詩に初めて曲がつけられた時は感動しました」

「それ、今は感動してないってこと?」

今度は私が海未をからかう番なんだから
海未が見せる笑顔とは違う、いたずらっ子のような笑みを浮かべる私

「あ、いえ…、決してそういうわけでは!!」

まったくもって想像通りの反応をしてくれるわね
普段は凛としてるのに、たまに見せる可愛いところが人気の秘訣なのかしら

「冗談よ
感謝の気持ち、伝わってるわ」

「もう…、真姫は意地悪です…」

海未は少し拗ねた表情をする
...可愛い
初めて会ったときは大和撫子タイプの美人だと思ってたけど、可愛いところも多いのよね...
こういうのがギャップ萌えって言うのかしら?
よくわからないわ

・・・

少しの沈黙のあと

「-ねえ、海未」

先ほどとは打って変わって、真面目な表情をする

「どうしたのですか?」

「海未は…、その…、えっと…」

言いたいことは頭に浮かんでる
けどどうしても言葉にできない
口にしてしまったら、きっと実感してしまうから

「真姫の考えていること、なんとなく分かりました」

海未はそう言うと私の両の手を包む

「一年前、にこ達もこんな気分だったのでしょうね
私だってできれば卒業なんてしたくないです
けど、卒業しないわけにもいきませんから」

「でも…!!」

「卒業なんてただの通過点ですよ
私たちが少し、大人になるだけなんです
それに、会えなくなるわけではないでしょう?」

そこで微笑んでいたのはスクールアイドルの園田海未ではなく
音乃木坂学院の三年生としての園田海未だった

「ほら真姫、涙を拭いてください」

海未は私にハンカチを差し出す

「卒業までまだまだ時間はありますよ
悔いのないように、精一杯今を生きましょう」

その言葉に私は思わず吹き出してしまう

「生きましょうって…、海未、話が壮大すぎよ」

突っ込まれたのが恥ずかしかったのか、海未の顔が段々赤くなっていく

「な…、励まそうとしたのに…
真姫なんて知りません!!」

こういうところはあの頃からずっと変わってないわね
エリー、希、にこちゃんが卒業してからみんな先輩らしくなって...一部を覗いてだけど
でもね、根元の部分は変わってないのよね
私の大好きなμ'sのみんなのまま

「ごめんなさい
でもおかげで元気出たわ、ありがと」

私は今、どんな顔をしているのかな?
きっと今にも泣き出しそうな笑顔なんだろうな
だけど、こうして無意味に過ごす時間が今はすごく愛おしい
こんな楽しい時間がずっと続けばいいのに

真姫の自室

卒業までまだまだ、なんて海未は言ってたけど、もう日にちがないことくらいわかってる
楽しい時間が一瞬ってことも
残りはちょうど1ヶ月
あと少しで穂乃果、ことり、海未は音乃木坂学院からいなくなってしまう
そんなこと、エリー達が卒業した時点で覚悟してたことなんじゃないの?
頭ではわかってる
なのにこんな悲しい気持ちになるのはなんで?

卒業してほしくないよ

誰に?

穂乃果たち3人に決まってるじゃない

もっと一緒にいたいよ

誰と?

そんなの決まってるわ
ことりたち3人と

ずっと一緒にいたいよ

誰と?

そんなの…、海未とに決まってるわ

うみまきとか好きすぎる
期待

…どうしてだろう
さっきから海未のことばかり考えてる
なんで?
それは…、きっと曲作りの話し合いでずっと海未といるからだわ

…いや、それだけじゃないわよね
…きっと心の中ではわかってる
だけど、気付かないフリして
臆病な自分を隠し続けてる
それに女の子同士だから
そうやって自分に言い聞かせて、気持ちを押し込める
仕方がない、しょうがないと思って自分の気持ちに蓋をするのには子供の頃から慣れてる
だから、今度もそうすればいいのよ
なのにどうして?
涙が止まらないよ

もっと海未のことを知りたいよ
もっと海未に触れたいよ
もっと海未ど一緒にいたいよ

「これが恋なの?」

訂正

>>16
もっと海未ど一緒にいたいよ → もっと海未と一緒にいたいよ

翌日

真姫の家

演奏を終え、鍵盤に蓋をする
μ'sに入ってからというものの、ピアノに触れている時間も増えてきたわね
そんな時間も嫌いではないんだけど
高校に入ってからは自分の家では二度と鍵盤に触れることはないと思っていたから

「まさか、こんなことになるなんて、ね」

この部屋から見る外の景色はとても綺麗で、私の心配事なんか吹き飛ばしてくれるような空だった
けど、こんな空を見てると泣き出したくなる
もうすぐお別れの時が迫っていると告げられている気がして

ううん、弱気になっちゃダメ
せっかく最高の曲ができたんだから、笑顔で送り出してあげなくちゃ
きっと家にこもりきりでネガティブになってるだけよ
そう自分に言い聞かせ、私は外に出るための身支度を始めた

外に出たは良いけれど、何をしたらいいんだろう
入学してすぐに穂乃果に付きまとわれていたし、そのあと結局μ'sに入れられて-、なんて考えてたら随分歩いてたみたい
どうせやることもないし、散歩するのも悪くないかな

特に目的もないまま歩いていると、よく知っている後ろ姿を見かけた
あれって...

「あ、真姫ちゃん!!」

やっぱり

「ちょっ、穂乃果!!
危ないから!!」

穂乃果はかまわず突進してくる
本当に人懐っこい子ね
だけど、こういうところが人の目を惹きつけて離さないのかしら

凹んでいた私が少しバカみたいだわ
まさかそれに気づいてて、なんてことないわよね

乙女な真姫ちゃん

「えへへー、ごめんごめん
まさか真姫ちゃんがいるとは思わなくて」

「私はただの暇つぶしよ
せっかくのお休みだし、外に出た方がいいかなと思って
穂乃果は?」

「そうなんだー
あのね、今日は私は...、ふふっ、ふふふふ」

なんだかいつもと様子が違うわね...
なんというか、テンションが高すぎるというか...
良いことでもあったのかしら
きっと穂乃果のことだから-

「お待たせしました、穂乃果」

振り返ると

海未
ああ、そういうことか

「真姫、ごきげんよう」

海未がこちらに気付いて、軽く会釈をする

「あ、海未ちゃん遅ーい!!
罰として海未ちゃんにはあーんしてもらおうかなっ?」

「いっ、いつもは穂乃果の方が遅れてくるじゃありませんか!!」

「それはそれ!!これはこれなの!!」

なんでだろ、胸がチクチクする…

ああ、そっか...
私は何を勘違いしていたんだろ
海未は先輩としてあるべき姿を見せるべく、行動していたのね
海未はきっと何も変わってなんてない
変わったのは海未を見ている私の目だったのね
恋は盲目とはよく言ったものだわ

「まったくもう…、穂乃果ったら…
それにしても真姫がこんなところに来ているとは珍しいですね」

「ま、まぁね」

うまく声が出せない
涙、うまく隠せてるかしら

「良かったら真姫ちゃんもどう?」

私は首を横に振ってその場を走って立ち去る
後ろから呼びかける声に応えず、私は走り続けた
泣いてるところなんて、見られたくないから
私は一人で平気だから

真姫の自室

穂乃果はズルい
ズルいズルいズルいズルいズルい
私と会う前から海未と会ってて、私と会う前から海未と友達で
そんなの敵うわけないじゃない
何をしたって穂乃果に勝てるわけがないじゃない
海未は、きっと穂乃果に惹かれているのよね
穂乃果に向ける笑顔、怒った顔、呆れた顔…、全部楽しそうなんだもの

穂乃果なんて消えちゃえばいい
そんなことを考えてしまう自分が大嫌い

「どうして私じゃないの…?」

うみまきとか珍しいが最高にいいな!期待

にこまきに隠れてるけどこの二人もいい組み合わせだよね

それでは再開いたします

最後に軽い安価がありますので、よろしくお願いします

音楽室

あれから海未のことばかり考えてて、授業が全然身に入らなかった
花陽や凛は心配してくれたけど、こんな相談、誰にもできないから
海未のことを考えると頭がポーッとする
泣き出したくなる、なんて言えないから

今日はどうにも集中できない
このまま帰っちゃおうかな
...ううん、ダメ
これは私だけの問題じゃないんだから
6人の最後のライブなんだから、わがままを言っている場合じゃない

「最近の私、ダメダメね」

なんて自嘲して、気を紛らわすために鍵盤に向かう

一曲終わっちゃった...
けど、海未が来る気配がない
少しは気分が晴れたから、結果的には良かったのかもしれないけど
今頃海未は穂乃果に足止めでも喰らってるのかな
…、いや、穂乃果のことを考えるのはやめよう
惨めになるだけだもん...
などと思考を巡らせていたらドアが開き、拍手を浴びせられた

「やはり私は真姫のピアノと歌は素晴らしいですね」

「…いつから聴いてたの?」

「ピアノの伴奏が始まった直後でしょうか」

呆れた…、などと呟いてみせるが、顔がほころんでしまってどうしようもできない
前日のことを思い出すと胸が痛む
が、今は海未と二人きりなのだ
他には誰もいない、誰もいらない
私は海未といられるのなら、友達のままだって...

「すごく良かったですよ」

そう言って海未は微笑む
海未が私のピアノと歌を褒めてくれた
普段は軽口の一つや二つくらい叩いてみせる
が、意識すると急に恥ずかしくなってくる
こういう時は

「急に立ち上がってどうしたのですか?」

「ちょっと待ってて!!」

逃げるに限る

「大丈夫ですか?」

音楽室に戻ると海未が心配そうな顔をしていた

「ええ、別に大したことないわ」

私はため息をつきながら、ピアノの前の椅子に座る
海未の一言で悲しさなんか吹き飛んじゃった
私は案外単純なのかもしれない

「なら良いのですが...
その、真姫、昨日は大丈夫でしたか?」

「え?ああ…、平気よ
ちょっと用事を思い出して」

「そう、ですか...」

納得いかない表情を浮かべる海未
けど、海未は人の事情について首を突っ込んでくるタイプじゃないもの
なにを言えば追求されないか、なんとなくわかるのよ

海未はしょんぼりした顔をしてる
私が見たいのはそんな顔じゃないのに...
けど、きっと私のせいよね...

重苦しい空気を変えるべく、新曲の話を切り出す

「これ、完成したから」

「あ、はい...
ありがとうございます」

「ほら、いつまでもそんな顔してないの
いい加減怒るわよ?」

なんて冗談めかして言ってみる

「気を遣ってくださってありがとうございます」

まったく、そうやって笑ってればいいのよ

「少し待ってください
目を通しますので」

海未は視線を楽譜に落とす
するとしばらくしてから

「真姫、少し質問が」

「なにかしら?」

「ここのところなんですが…」

そう言って海未は私の後ろからピアノに立て掛けてある楽譜の一部を指差した
海未の髪の毛が私の頬に触れる
海未の吐息の音が聞こえて、長くて綺麗な髪の毛の香りが私の鼻腔をくすぐる
甘くていい香り…、なんだか心地良い
この私が好きになった女の子
凛とした表情
キリッとした眉
そして、艶やかな唇
やはりとても綺麗な顔をしている
…今ならキスできそう、かも

「どうしたんですか?
人の顔を見て固まって…」

ダメ、それ以上近づかないで
そんなことしたら私は抑えられないから

「顔、赤いです
少し失礼しますね」

私と海未のおでこが合わさる

その時

1.海未にキスをした
2.海未を抱きしめた

安価下

2

2.海未を抱きしめた

鼓動が落ち着かない
抱きしめるくらいなら…、きっと海未も許してくれる

「海未ぃ…」

自分でも驚くくらい甘い声が出る

「なっ!?まっ、真姫!!」

一度アクセルを踏んでしまったらなかなか止まれない
私の悪い癖だわ
だけどもうそんなことは関係ないの

「あのね、私、今すごくドキドキしてる」

「はい…?」

海未は目をパチクリさせる

「ね、海未、私の胸に手を当ててみて」

そう言って海未の手を私の胸に運ばせる
もちろん拒否権なんてない

うみまきいいね

「んっ…、ねぇ、海未…
私、すごくドキドキしてるのわかるでしょ?」

「え、ええ…
鼓動がすごく早いです…」

「全部海未のせいなんだから…」

「えっ、私のせいなんですか!?」

「だって私は海未のこと…」

1.好きなの!!!
2.想いを伝えない

2です

1

2.想いを伝えない

「海未のこと…」

勢いに任せて伝えてしまって良いのだろうか
そう考えると次の言葉が出てこない
今のままの関係で十分幸せではないのか
このまま関係が崩れてしまうくらいなら私は-

「大切な友達だと思ってるから…」

「真姫がそんなことを言ってくれるなんて、明日は雪でも降るのでしょうか」

そう言って海未は笑う

「そんなこと言わなくてもいいじゃない!!」

なんだか、いつもの私たちらしくなってきた

「ふふっ、すみません
私も真姫のこと、大切な友達だと思っていますよ
いいえ、それ以上に…」

「μ'sのかけがえのない仲間、よね」

「…はい」

海未が少し残念そうな顔をした気がする
だけど、きっと気のせいだろう
これまでの関係性を壊してしまうくらいなら、私は自分を閉じ込めることを選ぶ
私は女の子で、海未も女の子
きっとこれは、憧れの感情なの
胸の痛みだって、きっと寂しいから
これでいい、きっとこれでいいんだ

「さ、みんなを呼んで新曲を聴いてもらいましょ
私が呼んでくるわ」

「はい、分かりました
よろしくお願いします」

そうして音楽室を後にした
海未の気持ちはわからない
けど、これでよかったのよ
だって、私では海未の全てを支えきれないから
男性と恋をして、男性と結婚して、そうして幸せな家庭を築いてほしい
だからこの想いは伝えないまま、胸に秘めていよう
そう誓った
音楽室から出る時、海未が何かを呟いた気がしたけど、私は振り返らなかった

「真姫…、愛しています」

おわり

悲恋になってしまってた……

乙!もちろん分岐スタートはやるんですよね?

ありがとうございました

安価をしましたが、一応他の分岐についても書きたいと思います

>>34からの分岐

1.海未にキスをした

その時、私の理性が音を立てて崩壊した
私とおでこを合わせている海未の肩を掴んで無理やり唇を奪う

「んっ…」

海未から吐息が漏れる

どれくらい時間が経ったのかな
数秒のような気もするし、数分のような気もする
海未は全然抵抗する素振りを見せない
なら、良い、わよね...?
そう思って唇を離し、海未に目をやる

「わ、私は…!!
私は…、海未のことが好きなのよ!!
あんなことされたら…、抑えられるわけないじゃない!!」

ピアノの影に隠れ、何度も唇を重ねる
まるで狼のように
もっと海未が欲しい
もっと海未を感じたい
そして、胸に手を伸ばそうと-

「真姫」

海未は人差し指を私の唇に当てる

「私たち二人の間には…、何もありませんでした
真姫はピアノを弾いていて、私は今音楽室に入ってきたところです」

唇に当てられてる人差し指が震えてる

「そんなの嫌...!!
ずっと抑えてきたのに、なんでそんなこと言うの!?
私の気持ちに応えてよ!!
しっかり口に出してよ!!!」

「...わかりました」

海未は深呼吸をすると

「あなたがそんな人だとは思いませんでした...」

泣きそうな声でそう言った

「わ、私はただ!!」

必死に反論しようとする、けど

「真姫の言いたいことはわかります...
抵抗しなかったから…、ですよね?
いきなりあんなことをされてとても怖かったんです!!
今だって...!」

そう言って海未は涙をこぼす
事の重大さに気付くのが遅すぎた
いきなりあんなことされたら、私だってきっと...
涙が勝手に溢れてくる
私はなんて馬鹿なことをしちゃったんだろう

「ごめんなさい…、ごめんなさい…」

声にならない謝罪の言葉を述べる

「いえ、もういいんです...
私たちはμ'sに所属している園田海未と西木野真姫、ただそれだけですから
さて、皆を呼んで曲を聴いてもらいましょうか」

事務的にそう言い放ち海未は音楽室を出て行く

「だーいすき!!」

「私もですよ」

女の子二人を、私が遠くから眺めてる

あれは誰?

穂乃果と海未

どうしてこんなに胸が苦しいの?

どうしてこんなに悲しい気持ちになるの?

…ああ、あの夢はそういうことだったのか

私はその場で呆然と立ち尽くすしかなかった

「どこで…、間違えちゃったのかな…」

おわり

>>38からの分岐

1.好きなの!!!

「海未のこと…、好きなの!!!」

「私も真姫のこと、好きですよ?」

海未はきっと分かってない
私が海未のことを好きなんじゃなくて、愛してるってことを

「違うの、そういう好きじゃなくて、愛してるの!!」

「なっ…!?」

海未の顔が真っ赤になる
こっちだって恥ずかしいんだからおあいこよ!

「面と向かって言われると、照れますね…」

「海未が私でドキドキしてくれてるの、すごく嬉しい」

「これは…、緊張してるだけです!!
それより真姫…、あなたどうしたんですか?
おかしいですよ」

おかしいのは自分でも分かっている
だけど、一度走り出したら止まらない
いや、止まれない

「私ね、昨日穂乃果と海未を見たときに嫉妬したの
どうして海未は穂乃果にだけ、あんな笑顔を見せるんだろうって
どうして私には見せてくれないんだろうって」

「そっ、それは…」

「言わなくていいわ
海未はきっと穂乃果が好きなのよね」

「それは違います!!!」

さっきまでの海未とは違う、強い声
思わずビクッとしてしまった

「好きな人の前では、格好つけたいじゃないですか…」

イマイチ理解が追いつかない…
つまり海未は…

「ねぇ海未、今なんて」

「だから!!!私が好きなのは真姫だと言うことです!!」

「えっ、あの、そんな…」

気が動転しすぎてうまく言葉が出てこない
こういう時、いつもの私ならなんて言うのかな

「でも、この前の穂乃果との...」

「卒業後、ことりが海外に行くことは知っているでしょう?
だから、離れても近くに感じて欲しいからプレゼントを、と思って...」

「じゃあ穂乃果が楽しそうにしてたのは...!!」

「空元気、ですよ、きっと
みんなとは笑顔でお別れしたいからって」

...
そう、そういうことだったのね
私が一人で空回りしてただけだったのね

「私は真姫が頑張っていることを知っています
作曲をしながらも、皆に遅れを取るまいと昼休みに屋上でこっそり練習していることも、
ダンスのステップがうまくいかないからと何度も練習をしていることも…、全部見てました
思えばそういう一生懸命な姿に惹かれていたのかもしれないですね」

海未はつらつらと私について述べる
恥ずかしい…、けれど今はそんなことどうでも良くなるくらいに嬉しい

「ところで真姫…、その、そろそろ離していただけるとありがたいのですが…」

「仕方ないわね…」

ため息をつきながら余裕ぶって見せる
本当は嬉しくて嬉しくてたまらないくせに
本当は泣き出したいくせに

「その代わり、キス、して」

「キ、キキキキキ、キス、キスですか!?
そういうのは高校を卒業してから…!!」

「はぁ…、相変わらずお堅いのね…」

けど、そんなところも大好き

「ですが…、私と恋仲になっていただけるのであれば...、その...」

そんなの決まってる
私の答えはーーー

「だーいすき」

「...私もですよ」

おわり

乙です!ハッピーエンドがあって良かった
うみまきSSが流行るといいなー


sidに強力なエピソードあるのにあんま流行ってないよねえ

なんせ真姫パパのお気に入りだもんな海未ちゃんは

分岐ものは先にバッド全て消化してからハッピーをみたいよね

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