穂乃果「生前葬」 (16)
ある日の音ノ木坂
海未「穂乃果~。待ちなさい!」
穂乃果「無理だよぉ。勘弁してよぉ」
海未「穂乃果ーーー!!?」
真姫「穂乃果も懲りないわね」
にこ「ほんとっよく飽きないわ。ずっと一緒に居ることりは見飽きたでしょ?」
ことり「ん~私は穂乃果ちゃんと海未ちゃんのやりとりを見るのが好きだから」
にこ「あんたも変わってるわ」
ことり「うふふ」
海未「待ちなさいーーー!!」
穂乃果「よっと。こっちだよぉ…って…っとっとっと……うわぁぁぁぁ」
真姫「え?ちょ、ちょっと…」
海未「ほ、穂乃果ーーーっ!!?」
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~病院~
穂乃果「いや~良かった良かった」
雪穂「良かったじゃないよ。全く。心配したんだから」
穂乃果ママ「はあ。こっちの心臓が止まりそうだったわ。お父さんなんて大変だったんだから」
穂乃果「えへへ~」
雪穂「でも階段から転げ落ちて何もないって…お姉ちゃんの体凄いね。何で出来てるの?」
穂乃果「超合金かな?気絶はしてるけどね」
雪穂「それですんで良かったよ」
穂乃果ママ「取り敢えずお母さん達は一度家に帰るから。今日一日は安静にしてなさい」
穂乃果「え~もう帰っちゃうの?」
穂乃果ママ「仕方ないでしょ。慌ててたからお店をそのままにして来ちゃったんだから!!」
穂乃果「ふ~ん」
雪穂「あっ、そう言えば海未ちゃんもまたこっちに向かってるって」
穂乃果「また?」
雪穂「うん。取り敢えず来るってさ。ちゃんと謝りなよ」
穂乃果「うん」
穂乃果ママ「じゃあ行くからね?後で着替えを持って来るから」
穂乃果「は~い。あと何か食べ物も!」
穂乃果ママ「調子に乗らない」
シーン
穂乃果「ふぁ~。それにしても入院って暇だなぁ。安静にしてろって言われてもねぇ。暇だ…」
穂乃果「だいたい海未ちゃんが私のパンを取り上げようとするからああなったんだよ。この後来るって言ってたし…ちょいとイタズラしちゃおうかな…。このタオルを…こう顔に掛けて…いや…流石に不謹慎だし…絶対に怒ら…」
ガチャ
海未「穂乃果…」
穂乃果(う、海未ちゃん?)
海未「そんな…こんな事って…」
穂乃果(し、しまった…やってしまった…ど、どうしよう…怒られるかな)
30分後
穂乃果(海未ちゃん…あれから30分も椅子に座ったまま…)
海未「……」
穂乃果(くっ。もう我慢出来ない。絶対怒られるけど…)
ガチャ
花陽「穂乃果ちゃん!!」
凛「穂乃果ちゃん!!!!」
海未「花陽…凛…」
花陽「う、海未ちゃん…嘘…だよね」
海未「……」
花陽「うぅ…そんな…」
穂乃果(あれ?なんか…え?どうしよう…この空気でイタズラでしたなんて言いづらい)
凛「穂乃果ちゃん。ねえ、まだ夜じゃないよ?外…天気が良いよ。バドミントン…外で一緒にバドミントンして遊ぼうよ!ねえってば。寝たふりなんでしょ?」
穂乃果(凛ちゃん…あの…)
凛「穂乃果ちゃん起きるにゃ。早く…グスッ…はやぐ外に行こうよ。ねえ…起きてよ…うぅ…起きてって…」
花陽「穂乃果ちゃん…穂乃果ちゃん…」
凛「起きてよ。穂乃果ちゃん起きてよ」
穂乃果(起きてるよ)
海未「凛…穂乃果はもう…」
凛「もう?もう何なの?穂乃果ちゃんはただ寝てるだけたんだよ?海未ちゃんだって知ってるでしょ?穂乃果ちゃんは寝坊助だって…だから…」
海未「凛…」
凛「なんとか言ってよ」
ガチャ
にこ「……」
凛「にごちゃん…」
穂乃果(にこちゃん?)
花陽「にこちゃん…。穂乃果ちゃんが…穂乃果ちゃんがぁ」
にこ「……ふん。ふざけて階段から転げ落ちて死ぬなんて穂乃果らしいバカでマヌケな最期ね」
穂乃果(面目無いです)
花陽「に、にこちゃん?」
凛「にこちゃん…なんで…なんでそんな事言うの?なんでそんな酷い事…いくらにこちゃんでも許せない」
花陽「凛ちゃん!」
にこ「だって本当の事じゃない。いつもいつもふざけてばっかりいるからこうなるのよ。何か間違った事言ってる?」
凛「やめてよ」ガシッ
花陽「凛ちゃん!!」
にこ「くっ、何よ。離しなさいよ」
凛「謝ってよ。穂乃果ちゃんに謝ってよ」
にこ「離せって言ってんのよ」
海未「凛っ!?やめなさい」
凛「海未ちゃん…どうして…」
海未「……」
にこ「穂乃果…あんたは最低だわ。知ってるでしょ?私がスクールアイドルを始めた時の事。私は…私は二度と仲間が私の元から居なくなる悲しみを味わいたくなかったのよ。なのに…人の気も知らないで。ふざけんじゃないわよ…ふざけんじゃないわよ!!!」
花陽「にこちゃん…」
にこ「アイドルが大好きって言ったじゃない。人の事を誘っておいて何勝手にやめてんのよ。そんなの許せるわけないじゃない。グスッ…バカ…」
穂乃果(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい)
凛「にこちゃん…ごべん…うぁぁぁぁぁぁ」
花陽「穂乃果ちゃぁぁぁぁぁぁん」
ガチャ
真姫「はあ…はあ…はあ…穂乃果っ!」
花陽「真姫ちゃん…穂乃果ちゃんがぁ」
真姫「花陽…」
海未「真姫」
真姫「穂乃果は?」
海未「……」
真姫「何やってるのよ…バカ…」
穂乃果(真姫ちゃん…確かお医者さん志望だよね?)
真姫「どうせ寝たふりなんでしょ?ねえ?何とか言いなさいよ!」
穂乃果(なんか言ったら絶対に怒るでしょ?みんな)
真姫「ねえ?こんな最後ってないじゃない。ねえ覚えてる?初めて会った時の事。私のピアノを上手だって褒めてくれたじゃない」
穂乃果(あぁ…音楽室でね)
真姫「また穂乃果に褒めて欲しいの。ねえ?何か言ってよ。上手だってまた褒めてよ。ほのかぁぁ。ねぇ…一生のお願いだから。もう一度…」
海未「にこ。一度一年生を…」
にこ「そうね。一度外の空気を…」
凛「やだ。ここにいる。穂乃果ちゃんと一緒にいる。絶対に離れないもん。うわぁぁぁぁん」
海未「凛。それではあなたの体が持ちません。穂乃果も大事ですが…今は生きているあなた達の方が大事です…だから…」
凛「でも…」
にこ「凛…行くわよ」
凛「だって…」
花陽「凛ちゃん。グスッ…行こ…」
凛「うん…」
にこ「海未。あんたもあまり無理すんじゃないわよ?」
海未「はい」
穂乃果(ぬ~…罪悪感で押し潰されそうだ)
海未「穂乃果…。あなたは幸せ者ですね。こうして…」
ガチャ
絵里「穂乃果っ!!」
希「穂乃果ちゃん!!」
海未「絵里、希…」
希「海未ちゃん…そう言う…事なんやね」
海未「……」
希「なんだか…信じられないな。だって…こんなに綺麗な顔して…死んでしまったのが嘘みたいに…」
穂乃果(ごめんなさい。嘘なんです)
希「穂乃果ちゃん達と一緒にいていつも思ってたんだ。ウチは一人っ子やからね。もしも妹が居たら…きっとこんな感じなのかなって。穂乃果ちゃんはいつも元気だったから…今にも起き上がって来そうやけど…………ごめん………グスッ……ダメやね。こんなに堪える事はないね」
穂乃果(いっその事希ちゃんの涙で奇跡が起きたって事にしようか)
絵里「穂乃果…。ごめんなさい…こんな時…どうすればいいのか分からなくて。話を聞いた時も信じられなくって。現実味が無くて…けど…今、横たわる穂乃果を見て…本当なんだって…」
希「えりち…」
絵里「朝会った時…あんなに元気だったのに…。グスッ。ごめんなさい。もっと、しっかりしないといけないのに…もう…二度と…あなたの笑顔を見れないと思うと…」
穂乃果(やめて。本当にやめて下さい)
ガチャ
ことり「穂乃果ちゃん!!!!」
絵里「グスッ…ことり…」
ことり「海未ちゃん…?」
海未「……」
ことり「嘘…だよね?」
海未「……」
ことり「そんな……」ふらっ
バタッ
海未「ことり!?」
希「ことりちゃん!!?」
絵里「ことり!?」
穂乃果(え?なに?ことりちゃんに何かあったの?)
海未「絵里、希!!すいませんがことりを」
希「うん…グスッ…」
海未「お願いします」
絵里「海未…ごめんなさい。本当はあなただって辛いはずなのに…。あなたは強いわね…」
海未「……今は私の事はいいですから。ことりを」
絵里「ええ…」
穂乃果(えっ!?ことりちゃん大丈夫なの?)
海未「……皆んな行ってしまいましたね」
穂乃果(私は冷や汗が止まらない)
海未「知ってますか?人が人を忘れる時…声から忘れていくんですって。声から忘れて…顔を忘れて…最後に思い出を忘れるんです。そうしないと…人間は生きていけないから」
穂乃果(海未ちゃん…)
海未「さっき絵里が私の事を強いと言いましたが。そうじゃないんです。あなたが死んでしまった事を受け入れたくなくて。泣いてしまうとあなたが死んでしまった事を受け入れなくてはいけないじゃないですか」
海未「散々聞いたあなたの声も…今となっては名残惜しいですね……………穂乃果……もう一度…もう一度笑って下さい。もう一度歌って下さい。私はあなたの事を忘れたくありません」
穂乃果(海未ちゃん…)
海未「ずっと三人で一緒だったじゃないですか。なのに…。まだやりたい事だって沢山あったでしょう?私はありました!あなたと一緒にしたい事。まだまだあったんです。もっと一緒に笑い合いたかった。喧嘩もしたかった。まだまだこれからだったんですよ?なのに…穂乃果…ほのかぁぁぁぁぁぁ」
穂乃果「うわぁぁぁぁん」
海未「えっ!?」
穂乃果「ずっと…ずっと一緒だよぉぉ。海未ちゃぁぁぁん」
海未「な、な、なぁ!?」
穂乃果「本当にごめんなさい」
にこ「ごめんなさいじゃないわよ!馬鹿!縁起でもない」
絵里「本当よ。今回ばかりは私も大目には見れないわよ」
穂乃果「あぁ…だよね」
真姫「当たり前でしょ!やっていい事と悪い事があるんだから!!!グスッ…本当にもう。一生許さないから」
凛「とか言って本当は嬉しいくせに」
真姫「はあ?」
凛「凛はまた穂乃果ちゃんと遊べるのが嬉しいもん。少し怒ってるけどね。ね?」
花陽「うん。私ももう穂乃果ちゃんと二度とお話し出来ないと思ったから…安心したら…」ぐぅ~
にこ「マイペースね…あんた…」
希「穂乃果ちゃん。こう言うイタズラはもう二度としたらあかんよ?」
穂乃果「うん。あの…ことりちゃん…海未ちゃん…」
ことり「海未ちゃん。もう許してあげよう?それに…ほら?穂乃果ちゃんの事が大好きって事も再確認出来たし」
穂乃果「ことりちゃぁん」
海未「…そうですね!私は穂乃果の事が大好きですから!そんな穂乃果の為に地獄の特訓メニューを考えて来ました!」
穂乃果「へ?」
海未「さあ!先ずは校庭10周から行って来なさい!」
穂乃果「あの…これでも病み上がりなんだけど」
海未「さっさと走る!」
穂乃果「うぇ~。踏んだり蹴ったりだぁ」
にこ「自業自得でしょ」
真姫「そうよ」
海未「まあ。大好きと言うのは……嘘ではないですけど」
完
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