玄「幸せ通帳」 (58)
玄「~♪」
小蒔「あ、こんにちは松実さん」
玄「む、神代さんこんにちは!決勝以来ですね!それにしてもやはりよきものをおもちでおもちもちもち」
小蒔「え、えへへ……あの、新子神社の場所を教えていただけませんか?」
玄「新子神社というと憧ちゃんのおうちだね…おまかせあれ!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400507777
玄「はい、こちらです!」
小蒔「あ、ありがとうございます!」
玄「いえいえ、なんということはありませんよ」ドヤァ
小蒔「あの、お礼と言ってはなんですが…」スッ
玄「?これは…」
小蒔「はい、これは『幸せ通帳』というものです」
玄「通帳…中は白紙ですが」パラパラ
小蒔「人間一人ひとりに定められた運の量というのは決まっています」
小蒔「しかし、その運というのは人生全体に等分して反映されるわけではないのです。絵の具を紙に塗りつけるときと同じように、ところどころムラが残ります」
小蒔「この運が『濃い』ところ、『薄い』ところ、ここの運の量の差が、俗にいう『運が良い・悪い』なんです」
小蒔「しかし、この運のムラは、自由に操れるものではありません」
小蒔「松実さんも、『これはあの時に起きてほしかった!』といったことがあると思います」
玄「確かに……」
小蒔「そのムラを自由に弄れるのが、この『幸せ通帳』なんです」
小蒔「たとえば…そうですね、今『偶然起こってほしいこと』を考え、強く念じてみてください」
玄「うーん…」
玄(ここはやはり…)
ブワッ
玄「!?」
玄(強風が…)
小蒔「きゃあっ!」グラッ
玄「わっ」バッ
モニュ
玄「!!!!!!」
小蒔「!?!?!?」
小蒔「もうっ……やめてください!///」
玄「いえ、なかなかのおもちでした」ツヤツヤ
小蒔「はぁ…通帳を見てみてください」
玄「はい」パラ
玄「!」
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幸せ通帳 | <霧島神宮>
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松実 玄 さま
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現運 | 御引出 | 詳細 | 残運 |
____|_____|____|____|__
83652 | 113 | 強風 |83539 |
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あれ?うまく貼れてないっすね
現運の下が83652、引出の下が113、詳細の下が強風、残運の下が83539です
小蒔「今、松実さんは私のむ、む……おも、おもちをもむために起こした強風により、113の運を失いました」
玄「むむむ」
小蒔「松実さんの場合は、一生で100000の運があります。残運は83652。多くもなく少なくもなくといったところです」
小蒔「この現運は、決して増えることはありません。これを使い果たした場合、今後の人生は全く平坦な退屈なものに、場合によってはもっと恐ろしいことが起こりうります」
小蒔「いいですか?『使いどころを考え、なるべく運は温存する』『いちいち通帳は確認する』そして、『このことを誰にも話さない』
…これを必ず守ってください」
玄「おまかせあれ!」
小蒔「よかったです!」ニコ
望「あ、小蒔ちゃん、来てたなら早く上がりなさい」ガチャ
小蒔「あ、はい!…それでは、本日はこの辺で」
玄「行ってらっしゃいなのです~」ノシ
玄「ふふふ…」
玄(これぞ…これこそ、私が一番待ち望んでいたもの!)
玄(温存した運をすべておもちに使い切る!おもちLIFE!)フフフ
玄「ハァーッハッハァーッ!(笑い声)」
憧(玄…大丈夫かな)
N氏の隣人かな?
翌日
ガタガタザワザワ
玄「」
玄(テスト忘れてた―――――――!)
ハイハジメー
玄「」ペラ
玄(ふむふむ…f(x)=x^n+a1x^(n-1)+…)
玄( )クラッ
玄(どうしよう…おねぇちゃ…!!)
玄(……ここは、使いどころ…だよね!)ギュッ
玄(……数学の答えを教えてくださいッッ……………!!)
玄(……!!!)
灼(……)カリカリ
玄(数学の特異な灼ちゃんの解答がそれとなく違和感なくさりげなく見える位置にっ!?)
玄(……)チラッ
玄(……)カリカリ
玄(……)チラッ
灼(……)
キーンコーンカーンコーン
玄(なんとかなった!)ドッ
玄(にしてもやっぱりすごいや…)
玄「あ、残運……」チラ
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幸せ通帳 | <霧島神宮>
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松実 玄 さま
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現運 | 御引出 | 詳細 | 残運 |
____|_____|____|____|__
83652 | 113 | 強風 |83539 |
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83539 | 152 |カンニング |83387 |
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玄「152、か…思ったより減らないね」
玄(そんなにケチケチしなくてもいいかな…)
灼「……玄?」ヒョイ
玄「うんわぁぁ!?」ビクゥ
灼「深刻な顔してどうしたの?」
玄「大丈夫大丈夫!ほら、次の授業始まっちゃうよ?」アセアセ
灼「あ、うん…」トテトテ
玄(ふぅ……ばれちゃいけないからね、気をつけなきゃ」
キーンコーンカー
赤土「時間ピッタリに来レジェンド」ガララ
赤土「はーい、みんなレジェンドアップ(スタンドアップ)」
赤土「ハロー エヴリィレジェンド」
ハローレジェンド
~放課後、部室~
玄「む」チャッ
玄(珍しくドラを全て受けた形でテンパイ…!)
345555⑤⑤⑥⑦⑧五五東
玄(リーチしたいけど…怖いなぁ)チラ
宥「~♪」アッタカーイ
玄(お姉ちゃんも張ってそうだし…)
玄(……使ってみようかな)ギュッ
玄(……振り込まずにリーチしたうえ、一発ツモ…!!!)
玄「………リーチ!」ダン
宥「!?」タン
灼「玄がリーチなんて珍し…」タン
憧「ふーん…」タン
玄「……!!」ギュゥ
玄「ツモ!」ダン
「「「!!」」」
玄「リーチ一発ツモタンヤオドラ8……6000・12000!」ゴッ
宥「うわぁ…」
憧「ふっふーん、玄もなかなかやるじゃない」
灼「すご…」
玄(麻雀にも使えるんだ…)
玄(もうちょっと使っても………いいよね)ギュッ
玄「ダブリーですのだ!」カッ
憧「えっ」
灼「意味が分からな…」
玄「……一発ツモ!」ゴッ
赤土「 ッヒィ~」
玄(すごい…すごいよ!!!)
玄「ツモ!国士無双!」ズドン
玄「ロン!大三元!」
玄(チンイチ、大三元、国士無双……こんなのあがれるなんて思ったこともなかったのに…)
玄「ロン!32000!」
玄( 楽 し い ! ! ! )
~帰宅路~
玄「今日は楽しかったな~」
玄(あ…そういえば通帳…)
ズワ
玄「!!!」
玄(確かに私は感じました)
玄(通帳の圧倒的な重みを。私が今日一日の部活で使い果たした運がいかに多かったかを、開かずに知るには十分でした)
玄(私は……開くのをやめました)
玄「……大丈夫!あと80000以上あったんだもん……そんなにすぐなくなりはしないよ!」ウン!
玄「……!」ヒョイ
玄(封筒……?)
諭吉「おまたせ」
玄「!!!」
玄(誰かが落としたんだ……)
玄「」キョロキョロ
玄「」バッ
玄(……見られてないよね)
玄(……ゴクリ……)
玄(……)ギュッ
フワリ
玄「封筒……」
玄「……また封筒…」ニヤ
玄「また封筒…また……」ニヤニヤ
玄「あは…あは、あははははは!」
~週末、松実館~
玄「さあさあ!存分に楽しんでください!」
憧「うわぁ…こんなに食べちゃっていいの?」
灼「にしてもおいしそ…」
玄「さあさあ!ご存分にめしあがれ!」
穏乃「いただきます!」ガツガツモグモグ
憧「このお肉すごくおいしい…」
穏乃「憧ダイエット中じゃ……」
憧「い、今は休憩よ!」モグモグ
灼「野菜おいし…」モグモグ
玄「あー焼肉おいしい~」ハフハフ
松実父「……玄のやつ、どうやってあんな大金……お前があげたのか?」
宥「いや…私はなにもしてないよ…?最近になってからなんかお金の巡りがいいみたい」フルフル
松実父「ふむ…」
松実父(大丈夫だろうか…盗みに手を染めてなければいいが)
玄「あははー!それじゃあ、かんぱーい!!」カーン
「「「かんぱーい!」」」カーン
穏乃「ゴクゴクゴク…あーおいしぃ!」プハア
玄「でしょでしょ?さぁ飲んでのん…」
ゴツン
玄(唐突に頭に衝撃が走りました。さっきまでの浮かれた、華やかな気分はとうに消え、虚しさだけが残りました)
玄(まるで『幸せ』という感覚が消えたようでした)
憧「…どうしたの?玄」
玄「あ、ああ!なんでもないよ」ニコ
憧「ならいいけど…」
穏乃「はーい!高鴨二等兵!ソーラン節です!」
灼「よっ!日本一!」
穏乃「はぁどっこいしょぉ、どっこいしょぉ!」
アソーランソーラン!
イイゾーシズノォ!
玄(…)
玄(………)
玄( )
~深夜、玄部屋~
宥(ふう…宿題おしまい)
宥(もう寝よっと)カチ
宥(……)トテトテ
タリナイ・・・・・・・・・・・
宥(?)
マダタリナイ・・・・・・・・・・・・
宥(玄ちゃんの部屋から……)ブルッ
宥「…………」チラ
宥「……!!」
クロチャー……
玄「足りない…幸せじゃない…幸せになりたい…」バサバサバサ
玄「こんなにお金はあるのに……嬉しくない、楽しくない、幸せじゃない」バラバラ
玄「もっと……もっと………」ギュッ
バッサバッサ
バサバサ
宥「 」ゾワッ
宥「っ……」ダッ
玄「タリナイ…タリナイ…」
~翌朝~
玄(バスの時間に遅れちゃった、けど……)ギュッ
玄(……バスがここにたまたま遅れて来る……)
玄(よしこれで…)キョロキョロ
玄(……)
玄(…………?)
玄「……来ない?」
玄(……バスがここに今たまたま来るように……!!)
ブロロロロロロ……
玄「おかしい……」
玄「………走ろ」ダッ
~放課後、下校中「~
玄(変だ……)
玄(学校でも何も起きなかった……願っても、思っても、祈っても)
玄(人の回答も見えないし、駄菓子も当らないし、小銭も落ちてないし、麻雀も勝てない)
玄(どういうこと……)
小蒔「……」
玄「あ、神代さん!」ダッ
小蒔「…………松実さん」
玄「どういうことですか?なにも起きないのですけど」
玄「どんなに強く思っても、何も起きません…」
小蒔「……通帳、暫く見ていませんでしたね」
小蒔「……見てみてください」
玄「………」ペラ
玄「!!!!!」
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幸せ通帳 | <霧島神宮>
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松実 玄 さま
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現運 | 御引出 | 詳細 | 残運 |
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-381952 | 9124 |紙幣召喚|-391076 |
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-391076 | 8924 |紙幣召喚|-400000 |
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玄「……っま、ま……まいなす……!?」
小蒔「……運にも限度があります。運が良い、幸運、それでは説明のつかないこと……」
小蒔「俗にそれらは『奇跡』とも呼ばれます」
小蒔「……部屋に紙幣が湧くなんて、ありえませんよね?……あなたは、奇跡を起こしすぎたんです」
玄「ってことは……私は、この先ずっと『幸せ』のない人生を送るってことですか……?」
小蒔「……あなただけで済んだら、よかったんですがね」
小蒔「-400000…この意味がわかりませんか?」
小蒔「あなたは………親友四人の運をも担保として回し、それすらも使い切ってしまったんです」
玄「………あ……………」
小蒔「運の取り立てがあるので、松実さん……あなたは死にません。けれど、その四人は……」
玄「……………ああああ………………」
小蒔「……二つ向こうの通りです」
玄「……」ダッ
小蒔「………松実さんには、渡すべきではありませんでしたね………申し訳ないことをしました」
玄「はぁ・・・はぁ・・・」ダッダッ
玄「おねぇちゃっ……」
ザワザワザワ
宥「」
玄(私の眼の前には、無残なお姉ちゃんの姿がありました)
玄(綺麗な髪は血に塗れ、体からは内臓が飛び出し、見るに堪えない惨状でした)
警察「……すまない。君のお姉ちゃんは運が悪すぎた……
『たまたま』信号が壊れて青と青が交錯する状態になり、
『たまたま』むこうから車が曲がってきて、
『たまたま』そこのカーブミラーが直前に
『たまたま』飛んできた石で割れてしまっていて、そしてお姉ちゃんがいたのは
『たまたま』車の内輪差の中…死角だったんだ」
玄(運が……悪すぎた……)ガタガタガタ
警察「……すまない。君のお姉ちゃんは運が悪すぎた……
『たまたま』信号が壊れて青と青が交錯する状態になり、
『たまたま』むこうから車が曲がってきて、
『たまたま』そこのカーブミラーが直前に
『たまたま』飛んできた石で割れてしまっていて、そしてお姉ちゃんがいたのは
『たまたま』車の内輪差の中…死角だったんだ」
玄(運が……悪すぎた……)ガタガタガタ
玄「あああ……」ガクガクガク
警察「……すまない」
憧「宥姉!」タッタッタッ
穏乃「宥さんっ……!」ダッ
玄「あっ……」
玄(憧ちゃんの頭上には、『たまたま』工事中の高層ビルから落ちてきた鉄柱が、無情な円を描きながら降ってきていました)
カン!
久しぶりに書いたので細かいミスは見逃してください……
話は全部自作……のはずです。
ありがとうございました。
池田ハ神聖ニシテ侵スベカラズ
>>10
N氏とネタかぶりとかそんなん考慮しとらんよ……
乙乙
乙 クロチャー…
藤子F先生の短編のような話だった。乙でした
Y氏の隣人思い出した
救いはないんですか?
自分は死なないなら、さらに他人を担保にして遊べるね
自作かおもろいな乙
けいおんの老紳士シリーズ思い出した
乙
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