飛鳥「未来を夢見て」 (31)
前回
飛鳥「仮面の下の素顔」
飛鳥「繋いだ手の温もり」
の続きみたいなもの
予め前回および前々回を読んだ方がいいかもしれません
設定は大体前と同じ
以上をご了承くださいませ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1397419446
モバP「えー、今日から俺の担当アイドルが1人増えることになった。紹介しよう。長野でスカウトしてきた浅利七海だ」
七海「浅利七海れす~。今日から本格的に活動させてもらうことになりました~。よろしくお願いします~♪」
蘭子「クク…新たに導かれし者か…我こそは魔王、神崎蘭子!(わあ、新しい仲間ですね! 私は神崎蘭子、って言います♪)」
飛鳥「ボクはアスカ。二宮飛鳥だよ。よろしく」
乃々「え、えっと…森久保、乃々です…よろしくお願いします…あ、あの、私のことはあんまり気にしなくていいですから…」
モバP「ちなみに七海は14歳だ。お前らと一緒だな!」
蘭子「…」(ジッ
乃々「…」(ジーッ
飛鳥「…」(ジトーッ
モバP「はっはっは、そんな目で見られたって俺は動じないぞー。むしろ若干興奮するな」
飛鳥「…七海さん、プロデューサーはこういう人だから何かされそうになったら躊躇せずに周りの人に助けを求めるんだ、いいね?」
七海「? はい!わかったのれす!」
モバP「おおっと今日の飛鳥は手厳しいなー。あれか? これがツンデレってやつか?」
乃々「どう考えても違うと思うんですけど…むしろプロデューサーが今日は何かおかしいんですけど…」
蘭子「…ほら乃々ちゃん、昨日…」(ヒソヒソ
乃々「…あぅ…そうでした…こんなプロデューサーにはちょっとついていけそうにないので今日はもう帰ってもいいですか…」
飛鳥「…と、乃々は言っているけど。今日はこの後何かあったかな?」
モバP「今日はお前達は七海との顔合わせだけだな。この後は特に何も入ってないぞ」
蘭子「安息の日よ…歴史は繰り返すというのか…!?(お休みですか…? 2日続けて?)」
モバP「ん…まあ仕事も色々と一段落したところだし、しばらくお前達をほったらかしにしてた分を取り返そうと思ってな。今日は七海を連れて営業先を回ることになるが…」
飛鳥「明日からはまた以前と同じように、かな?」
モバP「ああ。頼りないプロデューサーかもしれないがお前らと一緒に歩んでいこうと思ってる。4人とも、しっかりついてきてくれよな!」
蘭子「汝の望むままに!(もちろんです!)」
乃々「も、もりくぼはほどほどに頑張ります…あんまり目立たない方向で…」
七海「七海も一生懸命頑張るのれす~♪」
飛鳥「やれやれ…生憎だけどついていく、なんてボクは御免だね。ボクの居場所は…キミの隣なんだから」
モバP「お、おお…みんな聞いたか! 飛鳥がデレたぞ! ちひろさんカメラは!?」
飛鳥「ちょっ」
ちひろ「はい、いいシーンだったので回しておきましたよ♪ いい画が撮れました♪」
飛鳥「なぁっ!?」
モバP「ぃよっし! あとでコピーお願いしますね! おっとこうしちゃいられないな、七海! 仕事の時間だ、行くぞ!」(ダッ
七海「はいなのれす~♪」(タッ
飛鳥「~~っ! まったく…仕方ない。蘭子、乃々…帰ろう…」
蘭子「羽鳥よ…(飛鳥ちゃん…)」
乃々「はい…」
乃々(…あれ、いつのまにかちひろさんがいません…誰も気づかないなんて…)
ちひろ(禁則事項ですよ♪)
乃々(!?)
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女子寮・3人の部屋――
飛鳥「……」(ボーッ
蘭子「……」(チラッ
飛鳥「……」(ニヘー
乃々「……」(チラッ
飛鳥「……」(ポーッ
乃々「…帰ってきてからずっとこんな調子ですね…」(ヒソヒソ
蘭子「…よっぽど嬉しかったんだろうね…」(ヒソヒソ
乃々「…他の人の目があるところではいつもとあまり変わらないように見えましたけど…」(ヒソヒソ
蘭子「…昨日帰ってきたときなんて…ね」(ヒソヒソ
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ガチャッ
飛鳥『……ただいま』
乃々『あっ…おかえりなさい…』
蘭子『おかえりー…あっ、飛鳥ちゃん新しい服買ったんだ! すごく似合ってるね!』
飛鳥『……』(ボフッ
蘭子『…あれ? どうしたの飛鳥ちゃん? 疲れちゃった?』
乃々『…ど、どこか具合でも…それともプロデューサーと上手くいかなかったとか…?』
飛鳥『…蘭子ぉ、乃々ぉ…』(ウルウル
蘭子『…えっ?』
乃々『…も、もしかして本当に…あわわ…』
飛鳥『グスッ…2人がいてくれて、よかった。本当に…ありがとう』(ニコッ
蘭子乃々『』(キューン
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乃々「あの上目遣いは反則です…思わずときめいてしまいました…あうぅ…」
蘭子「あの飛鳥ちゃんの表情見たらプロデューサーさんの気持ちがちょっとわかる気がしたなあ…」
乃々「…というか蘭子さんは実際にその場で抱き付いてましたよね…?」
蘭子「えへへ…」
飛鳥「…あまり人の恥ずかしい話を目の前でしないでほしいんだけど…」
乃々「あっ…戻ってきましたね…」
蘭子「おかえり、飛鳥ちゃん。今コーヒー淹れるね」
飛鳥「その反応を見るにもしかしなくてもまた浮ついてたかな…人前ではいつも通りでいようとしてるんだけど…」
乃々「…事務所ではまだ大丈夫ですけど…その…」
蘭子「飛鳥ちゃんって実は結構気持ちが顔に出るタイプだよねー。はい、コーヒー」
飛鳥「ありがとう、蘭子…でもボクはミルクは…」
蘭子「たまには気分を変えてみるのもどうかなって。ね?」
飛鳥「…そうだね。たまには甘いコーヒーで一服、なんてのも悪くないか…」
ガチャッ
ちひろ「こんばんは。みなさんいらっしゃいますか?」
七海「えっとぉ…」(キョロキョロ
蘭子「真なる影…そして大海の主か…闇に飲まれよ!(ちひろさんと…七海ちゃん? お疲れ様です!)」
飛鳥「どうしたんだい? 何か用事かな」
ちひろ「いえ、用事というわけではなくてですね。今日から七海ちゃんが飛鳥ちゃんたちと同じプロデューサーさんの担当になったでしょう?」
乃々「…あっ、もしかして…」
ちひろ「それで今日からこの部屋に七海ちゃんも入ることになったの。ちょうど4人部屋を3人で使ってたところですし」
七海「今日からお世話になるのれす♪ よろしくなのれす~♪」
蘭子「大海の主よ…今が創世の時!(七海ちゃん、よろしくね♪)」
乃々「よ、よろしくお願いします…あの、もりくぼのベッドは下の段でいいので…」
飛鳥「よろしくね、七海さん。あとちひろさんはちょっと話が」
ちひろ「私はまだ仕事があるのでこれで失礼しますね!」(ダッ
飛鳥「あっ、ちょっと! さっきのカメラを渡してもらうまでは逃がさないよ!」(ダッ
蘭子「羽鳥よ…荒ぶる魂の持ち主か…(飛鳥ちゃん…頑張って…)」
乃々「……(あれ、これはもしかして私が蘭子さんの言葉を翻訳することになるんじゃ…)」
七海「ところで蘭子さんの言葉ってなんて言ってるんれすか? 初めて聞く喋り方れすね」
蘭子「クク…我が言霊を解さんと求めるか…? なれば妖精よ! 汝の力をここに!(私の言葉ですか…? じゃあ乃々ちゃん、ちょっと手伝ってください!)」
乃々「あうぅ…やっぱり…こんなのむーりぃ…」
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―――
ガチャッ
モバP「あ、お疲れ様ですちひろさん。すみませんね、七海の案内任せちゃって」カタカタ
モバP「思ったより早く今日の分終わったんで、勝手ですけどちひろさんの分少しやっておきましたよ」カタカタ
モバP「それにしてもあれですね…俺達プロデューサー側がちゃんと休み取ったら今度はちひろさんがぶっ倒れるんじゃないですか?」カチッ、カタカタ
モバP「やっぱりここは社長に掛け合って事務員を…ってこの話もう何ヶ月もしてますよね…はは」カタカタ、ッターン
飛鳥「…なるほど? いつ見てもちひろさんしか居ないとは思ってたけど…どうして事務員を増やさないのかな?」
ちひろ「それはまあ…やんごとなき事情と言いますか…はは…」
モバP「うおおっ!? どうして飛鳥がここに…」
飛鳥「どうして、じゃないだろう。今朝の映像を渡してもらおうと思ってね」
モバP「今朝の…って何だっけ?」
飛鳥「今朝ちひろさんがいつの間にか撮ってた映像だよ。もうコピーしてあるんだろう?」
ちひろ「プロデューサーさん、すみません…もうバレちゃいまして…」
モバP「…! いやー、どんな映像だったか覚えてないなー。内容言ってくれれば思い出すかもしれないんだけどなー(棒)」
飛鳥「」
ちひろ(…! 今がチャンス…)(コソコソ
モバP「飛鳥は映像の内容知ってるんだろー? 教えてくれないかなー(棒)」
飛鳥「くっ…だ、だからその…」
モバP「んー?」(ニヤニヤ
飛鳥「…はぁ。分かったよ、ボクの負けだ。件の映像はキミの好きにするといいさ」
モバP「…えっ」
ちひろ「えっ」
飛鳥「おや、どうしたんだい2人とも。意外そうだね」
飛鳥「ボクとしては一番危険なちひろさんから元データを回収した時点で十分と言えるしなにもおかしくはないだろう?」
モバP「いや、それは…」
飛鳥「…それとも、今ちひろさんが隠し持ってるICレコーダーが何か関係するのかな?」
ちひろ「バレてる!?」
モバP「しまっ…!」
飛鳥「やれやれ…流石にそう何度も同じ手は食わないさ。今までボクが何度そうやってからかわれたことか」
モバP「両手の指で足りますっけ?」
ちひろ「今回を除いてもギリギリ足りないですね」
飛鳥「…まあそれだけ回数を重ねてようやく、というのも不甲斐ない話だけど…そういうわけだから今回は諦めるよ」
モバP「ふむ…残念だな。今回もうまくいくと思ったんだが…」
ちひろ「仕方ないですね…飛鳥ちゃんをからかうのもこれっきりと思うと寂しいですけど…」
飛鳥「そこはもう少し早く卒業してほしかったかな」
モバP(しかし音声入り映像と映像なしの音声とじゃ重みが違うと思うんだが…)
ちひろ(回数に気が回ってて中身の方に注意がいってないみたいですね…そんな飛鳥ちゃんもかわいらしいですけど)
モバP(こいつ…直接脳内に!?)
ちひろ「…あ、そうだ。プロデューサーさん。今日は友人に食事に誘われたので早めに上がらせてもらおうと思ってたんですけど…」
モバP「構いませんよ。こっちも適当なところで切り上げて帰りますんで」
ちひろ「本当ですか? それじゃ後のことはよろしくお願いしますね♪」
モバP「え、今からですか…ってもう居ない。たまにあの人忍者かなにかかと思う動きするよな」
飛鳥「そうだね。ところでプロデューサー」
モバP「なんだ?」
飛鳥「ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
モバP「おう、いいぞ。何だ? 今後のスケジュールのことなら…」
飛鳥「いや、それは把握してるよ。そうじゃなくてね、どうして七海さんを担当しようと思ったんだい?」
モバP「七海か…どうしてと言われるとまあお前と似たような理由だよ。直接スカウトした子だからってだけだ」
飛鳥「……」(ジッ
モバP「はっはっは、そんな熱い目で見つめるなよ本当のことだぞ」
飛鳥「ふーん…まあそういうことにしておこうかな」
モバP「しておくって…我ながら信用無いなあ」
飛鳥「日頃の行いってやつだよ。まさか心当たりがないとは言えないだろう?」(ギュッ
モバP「飛鳥さん当たって」
飛鳥「おや、嫌だったかな?」
モバP「まさか」
飛鳥「…そこだよ、そこ。担当アイドルが全員14歳なんて確実にキミの趣味じゃないか…」
モバP「それには反論があるぞ飛鳥。俺は下は12、上は15までを基準にスカウトしている」
飛鳥「なおさら性質が悪いよ、まったく…こっちの気も知らないで…」
モバP「…ははぁん? さては飛鳥…七海に嫉妬してたな?」
飛鳥「なっ…ち、違!」(カァァ
モバP「長野出張から今までずっとついてたからなぁ。それに相手が自分と同い年。そりゃ不安にもなるよな」
飛鳥「…そうだね、キミは中学生に欲情する変態だから」
モバP「ははっ、久しぶりに聞いた気がするなそれ。いや、それだけ長い間ほったらかしにしてたってことか」
飛鳥「そうだよ。時間としてはおよそ一ヵ月…キミにとっては短かったかもしれない。けどボクにとってはとても長い時間のように感じられたね」
モバP「そうだな。その件に関しては本当にすまなかった」
飛鳥「もう気にしてないよ。キミの想いは伝わったからね。ただ…」
モバP「ただ?」
飛鳥「…出来ることなら、今度こそキミの言葉を聞きたい。他の邪魔が入らないうちに、ね」
モバP「あー…そうか。一回目はちひろさんが現れて…」
飛鳥「昨日は周りの人にボクが気づかれてしまったからね。でも今はどっちの心配もない」
モバP「…突然他のアイドルがやってきた! なんてことになるかも?」
飛鳥「フフ、そうなった時は仕方ないね。また次の機会までお預けさ」
モバP「あー…その、なんだ。改まって言葉にしようとするとかなり緊張するな、これ」
モバP「…よし、邪魔が入らないうちに、だからな。一度しか言わないぞ?」
飛鳥「…うん」
モバP「俺が好きなのは飛鳥だけだよ。無論、プロデューサーとしてではなく、な」
飛鳥「……」
モバP「……」
飛鳥「……」
モバP「…飛鳥?」
飛鳥「……っ」(ポロポロ
モバP「んなっ!? おおお落ち着け飛鳥! どうした!? なんか間違えたか俺!?」
飛鳥「ううん…違うんだ、ただ…やっとキミの言葉を受け取ることが出来て…嬉しいんだ…」
飛鳥「気持ちが通じ合っていれば言葉なんていらない…そう思ってたけど…それでも…」
飛鳥「ずっと…ずっと、待ってたから…ごめんね、泣くつもりなんかじゃなかったのに…」
飛鳥「止まらないんだ…涙。ヘンだよね、ボクの心はこんなにも満たされているのにさ」(クスッ
モバP「…飛鳥、ちょっとこっち向いてくれ」
飛鳥「…え? あ…」
飛鳥(促されて見上げた先にはいつになく真剣な表情のプロデューサーの顔があった)
飛鳥(―――20センチ。近いようで遠く、遠いようで近い距離)
飛鳥(そんな格好いい顔ができるなら普段からしてほしいな、とも思うけどね)
飛鳥(―――15センチ。時間の流れがゆっくりになったように、意識するその光景がスローに感じる)
飛鳥(でも…プロデューサーがこんな表情が見られるのはきっとボクだけだろうな)
飛鳥(―――10センチ。「この先」を理解し、爪先を伸ばして彼との距離を自ら縮める)
飛鳥(これもまた1つの「2人だけの秘密」になるのかな、なんてね。らしくないか)
飛鳥(―――5センチ。瞳を閉じる。頬が熱を持ち、心臓の鼓動が速まるのを感じる)
飛鳥(そして―――)
飛鳥(唇が―――)
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―――
モバP「おはようございまーす」
ちひろ「おはようございます、プロデューサーさん。なんだかお疲れみたいですね? そんな時にはこれ!」
モバP「スタドリは間に合ってますよ…だからと言ってエナドリ出さなくてもいいですから!」
ちひろ「最近ちょっと無理してないですか? 今なら2本セットでお安くしておきますよ?」
モバP「2本セットて誰が得するんですか…あ、ちひろさんか」
ちひろ「ちょっと」
モバP「冗談ですって…でも今はしばらく貯蓄しようかなと思いまして」
ちひろ「あら。それはまた突然ですね。どうしたんです?」
モバP「いやまあその…」
モバP「将来のために備えとこうかと思いまして、ね」
飛鳥(それから、の話は…どうだろうね)
飛鳥(未来は誰にも予想できない不確定要素の塊だ。今を生きる者が勝手に決めつけて語ることなんてできるはずもない)
飛鳥(でも…そうだね、明日を夢見るくらいならボク達にだって許されるんじゃないかな?)
飛鳥(キミとボクの2人で作る輝きに満ちた世界…そんな未来を夢見て…)
飛鳥「―――さぁ、始めようか」
おしまい
これにてこの一連の物語は終わりです
「中二病で斜に構えた風だけど本当は年相応に乙女なんだよ」
って感じの飛鳥ちゃんを描こうとしてみました。実現できたかは今でもわからん
それではここまで読んでくださった皆様、ご愛読ありがとうございました
二宮飛鳥ちゃんに清き一票をお願いします!
最後に酉テストだけ…
出来てたら次何か書くことがあれば使います
蘭子メインで書いて欲しいです
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