上条「俺達は!」上条・一方「「負けない!!」」(1000)
このスレは、上条当麻と一方通行が
もしも一巻の時点で親友だったら、というIF設定のSSの続きです。
前スレ
上条「いくぞ、親友!」一方「おォ!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/1294925094/)
現在、三巻進行中。
一応>>1の予定上は二十二巻までやる。
最後に、新スレでもよろしくお願いします!
>>1乙
>>1乙
腹パンくゥゥゥゥゥゥン!!!
オツカレェェェェタァァァァァ!!
おちゅ。
スレタイがテイルズの戦闘後の掛け合いみたいだなww
>>5
同じくwwww
片手を一緒に突き上げながらドヤ顔をする2人の姿が浮かんだ
乙!
前スレ埋まってたけど、ついに打ち止め登場にwktkしてる!
乙乙!
木原くン「俺達は!」木原くン・テレス「「負けない!!」」
>>1乙です
グレイセス思い出した
TOD2とのクロスオーバーかと
スレタイで即堕ち2コマ的なものを想像してしまった
うわあああああああ
スレタイださすぎだろwww
スレタイワロタ
腹パンじゃねーだろと思ったら腹パンだったorz
このタイトルはテイルズだな・・・
正直前スレのタイトルも最初はちょっとなあ…と思ってた
スレタイのセンスと内容は一致するとは限らない
シャア「ク、クドふひゅう…ウヒッ、フムヒッ…」
追いついたー!
どうも、皆様。
長らくお待たせしました。
久しぶりに投下します。
それでは、どうぞ。
「まったく、とうまもあくせられーたもどこ行っちゃったんだろうね?」
「事件とかじゃないと。良いけど」
そんな事を言い合いながら、
インデックスと姫神秋沙はあるアパートに向かって歩いていた。
もう時間は夜の二十時を過ぎている。
インデックスは午後から来た姫神と一緒に猫とじゃれたりしながら、
家主である上条当麻やその隣人である一方通行を待っていた。
……待っていたのだが。
いつまで経っても、二人は帰って来なかった。
一方通行はともかく、上条まで帰って来ないというのは少し心配だ。
もしかしたら、未だに彼の担任である小萌先生と
彼女の自宅に場を移して補習でもしているのではないか。
そんな気休めな考えで、彼女達は小萌先生のアパートに戻っている。
……ただ待つだけなのは、嫌だったのだ。
「とうまもあくせられーたも、少しは人を頼るべきなんだよ。
何でもかんでも二人で解決しようとして……心配するこっちの身にもなって欲しいかも」
「それは。私も同意出来る」
インデックスと姫神は、うんうんと頷く。
何だかんだ言って、この二人は気が合うらしい。
「それでね、とうまはその時も…………」
数分後、インデックスは姫神に愚痴り始めていた。
話を聞く姫神はただ、ふんふんと頷いている。
二人はそのまま横断歩道を渡ろうとした。
と、そこへ――――
「危ない、お嬢さん達!」
青年の声が、二人の横から聞こえてきた。
「へ?」
声のした方を見たインデックスと姫神の前に、
一台の車(金持ちなどがよく乗る車種だ)が突っ込んできた。
「!?」
慌てて二人は避けようとしたがもう遅い。
キキーッ!というブレーキの音が響く中、車は見事に二人に激突した。
「あ……れ……?」
とっさに目を閉じたインデックスは不思議に思う。
いつまで経っても体に痛みや衝撃が来ないのだ。
(もしかして、私死んじゃったの?)
突然死ぬ時は痛みも無いと言う。
しかし、それは違った。
「……ふぅ。危機一髪だったな」
彼女は自分の前に誰か立っている事に気付く。
その声は、先程の青年の声だ。
インデックスはうっすらと目を開けてみる。
すると、目の前に信じられない光景が広がっていた。
何と、誰かが車を受け止めていたのだ。
その誰かは車から手を離すと、何でもなさそうに振り向く。
――おそらく先程の声の主であろうその人物は青年ではなく、少年だった。
年齢はインデックスの家主やその親友ぐらいで、
何というか、見た感じは噂に聞く日本のホストみたいだった。
「いや、失礼。大丈夫かい、君達」
少年は心配そうに聞いてきた。
インデックスは姫神の方を見る。
彼女は呆然と目の前の光景を見ていたが、特に怪我はなさそうだ。
「えっと……私は大丈夫なんだよ」
「……私も。問題無し」
インデックスが呆然としながらも言うと、姫神も同様に言った。
「そうかい?それなら良いが……」
少年は言いながら、じっと彼女達を見る。
「うん。確かにそうみたいだね。
……すまない、お嬢さん達。
今、俺達は急いでるんだ。
良ければ連絡先を教えてくれないか?後日、お詫びに行くから」
少年が申し訳なさそうに告げる。
「えっと、そんな気にしなくて良いかも。私達は無事だったんだし」
インデックスがそう言うと、姫神もコクリと頷く。
「……そうか。それじゃ、これを。
後で何か怪我がある事が分かったりしたら連絡してくれ」
インデックスは手渡されたメモ用紙を見る。
どうやら少年の連絡先が書いてあるらしい。
それじゃ、と少年は車の助手席に乗り込む。
彼を乗せて、車は去って行った。
「……何て言うか、とうまやあくせられーたとは全然違う感じだね」
「まさに。イケメン」
そんな評価を、その場にぽつんと取り残された二人は下した。
「……ったく。ちゃんと気をつけて運転しろよなー」
車の中で少年はそう言いながら、
隣で運転をしているドレス姿の少女の頭を軽く小突く。
「別に轢かなかったから良いじゃない」
ちょっぴり不機嫌そうに、彼女は答える。
「バーカ、そういう問題じゃないっての。
もし事故起こしたら免停食らうだろうがよ」
少年がそう言うと、
「あら、私が免許持ってると思う?」
少女は軽い調子で答えた。
「……今度から運転手雇うかね」
少年は割と本気の声色で呟いた。
「……まぁ、良いや。で?まだ着かねーのか?」
少年が尋ねると、少女はカーナビを見る。
「そうね……もう数分もすれば着くわよ」
「んー。そっか」
少年は大きく伸びをしながら、少女の答えに返す。
「にしても……統括理事長直々の任務なんて初めてね」
今度は少女から口を開いた。
「ま、つっても他の連中も同じだしなー」
いつもと変わんねーよ、と少年は面倒そうに返した。
「それだったら、引き受けなくても良かったんじゃないの?」
少女の質問に、少年はつまらなそうに答える。
「それもそうなんだがな。退屈してたし、
第三位の複製(コピー)ってのにもちょっと興味あるし、な」
少年はそう言って窓の外を見る。
何やら自分と同い年ぐらいの、ツンツン頭をした少年が走っているのが見えた。
そうこう言ってる内に、彼らは目的地に到着した。
「ねぇ、着いたけどどうする?
私も付いていった方が良いかしら?」
少女がそう言うと、
「いんや。俺一人でじゅーぶん」
少年は呑気な声で言いながら、外へ出た。
「そう。それじゃ、私はここで待ってるわ。
気をつけて行ってきてね、『リーダーさん』」
おー、と手をひらひらと振りながら少年は歩き出す。
少し時は戻り、ある研究所の前の道路にて。
統括理事会直属の、ある暗部組織の面々は突入準備をしていた。
彼らは皆、戦闘用の駆動鎧(パワードスーツ)を着ている。
彼らに与えられた任務は簡単。
中にいる、二万人ほどの軍用クローン達の制圧である。
彼らは特に事情など知らない。
いや、知る必要がなかった。
ただただ言われた仕事をする、それだけのはみ出し者達の部隊だったのだ。
彼らは準備を整え終えると、正門の前に集合する。
セキュリティなどは、一切無いと聞かされているからだ。
そして、彼らは無事に門をくぐる――――はずだった。
先頭の一人が門をくぐろうとした瞬間、
ガン!と鉄鍋をお玉で叩いたような音が辺りに響き、吹き飛ばされた。
「…………がはっ!?」
そいつはそのまま意識を無くしてしまったようだ。
見れば、駆動鎧に穴が空いている。
他の者達に緊張が伝わった。
慌てて門をくぐり抜けた彼らは、辺りの柱の物陰に隠れた。
セキュリティが無いはずなのに、
どこかに狙撃手がいる――そう確信した彼らはその人物を探そうとする。
しかし、次の瞬間。
青白い光線が彼らを通過し、消し去った。
「……っと。こいつで終わり?つっまんなーいにゃーん」
研究所の屋根で、女――麦野沈利がぼやくと、
「何言ってんだ、今のは前哨戦だよ」
スナイパーライフルを構えた男――木原数多が言った。
「結局、私が仕掛けた爆弾の出番はまだあるかもしれないって訳よ」
「ま、超油断は出来ないって事ですね」
フレンダと絹旗最愛は言いながら、自分の調子を確認している。
「きはら、弾込めたよ」
滝壺理后はそう言って、別のスナイパーライフルを木原に手渡す。
何故彼女達がここにいるのかと言うのを説明するには、
少しばかり時計の針を戻す必要がある。
ほんの一時間前、木原は『アイテム』のリーダーである麦野に連絡を取った。
妹達を守るために、彼女達の力を借りようと彼は考えたのだ。
事情を伝えると、彼女達は少し沈黙した後に、二つ返事で了解してくれた。
そうして木原は部下の研究者達に留守を任せて、
『アイテム』の四人と合流し、この場所の守護を始めた。
「……にしても良かったのか?
テメェらにも同じ仕事来てたんだろ?」
木原が聞くと、
「統括理事長か、第一位か。
そう聞かれたら、私は超第一位を選びます」
絹旗が言うと、残りの三人も頷く。
「結局、そっちのが面白そうって訳よ」
「私はあくせられーたを応援している」
「ま、幼なじみのよしみってヤツよ、デューク木原」
誰がデューク木原だ、と返しながら木原はスコープを見る。
何と言うか、端から見ると映画なんかに出てくる殺し屋みたいだった。
「それより、そろそろ向こうも能力者とか来るだろうし気をつけろ」
そう、今のはあくまでも小手調べだ。
そろそろ、能力者が所属する暗部組織が出てきてもおかしくはない。
……まぁ、こちらには超能力者(レベル5)の第四位である麦野や、
大能力者(レベル4)である絹旗や滝壺もいるのでそう心配する事もないかもしれないが。
そう、思っていると――――
「噂をすれば、だな」
スコープの先、研究所の前の道路に一台の車が止まった。
そこから、一人の少年が降りてくる。
見たところ一方通行と同年代ほどのそいつは、ゆっくりと研究所に歩いてくる。
木原は狙いを定め、引き金を引いた。
彼の持っているライフルは学園都市の最新兵器で、発砲音がかなり小さい。
威力についても、駆動鎧の装甲を簡単に貫く程度である。
そんな訳で、少年はどんな能力で防御しようと死んでしまう。
……はずだった。
「……なっ……!?」
確かに少年は軽く吹き飛んだが、目立った外傷は特になかった。
驚く木原や麦野達を余所に、少年はこちらを見た。
「……ッ!!マズイ、逃げるぞ!」
木原が叫びながら飛び降りると、絹旗とフレンダもそれに従い、
麦野は滝壺を抱えながら少し遅れて飛び降りた。
「……チッ!」
木原は地面に降り立った衝撃に舌打ちをする。
と、同時――――
先程まで木原達がいた場所を何かが切り裂いた。
あまりの早さに、目で見れなかったのだ。
「……よぉ。さっき人の頭撃ったヤツは誰だ?」
笑みを含んだ声が、前から聞こえる。
そっちを見ると、先程の少年が立っていた。
「テメェ……ナニモンだ」
木原が無視して聞くと、少年はどうでもよさそうに答えた。
「『スクール』って組織のリーダーだよ。
……そっちの女が『アイテム』のリーダーの麦野沈利か?」
そう言われ、麦野は、
「……だから何だっての?」
と若干イラついた声で返した。
「何、第一位様ってのはたいした人脈持ってやがるなって話だ」
少年は気楽な調子で答えた。
と、次の瞬間。
青白い光線が彼の体を包む。
麦野の能力、『原子崩し(メルトダウナー)』だ。
これで少年は跡形も無く消え去ってしまう――はずだった。
「ふん、なるほどね。これが第四位の能力か」
余裕のある表情で、少年はそこに立っていた。
「確かに中々の出力だ。第四位なだけはある」
だが、と少年は区切る。
「俺の能力の敵ではねえな」
直後、彼の背中から何かが出現した。
六本にも及ぶ真っ白なそれは、まるで神話の天使のような羽だった。
「言い忘れたが、俺の名前は垣根帝督」
少年はどこまでも余裕のある調子で喋る。
不意打ちを食らっても、問題など無いと言わんばかりに。
まるで自分の勝利は最初から揺らがないと宣告するように。
「学園都市に七人しかいない、超能力者の第二位さ」
少年――垣根帝督は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
少しは暇が潰せそうだ、といった風に。
「今の内に言っておくがな――――」
垣根はゆっくりと口を開く。
一言一言を、木原達に刻み付けるように。
「――――俺の『未元物質(ダークマター)』に常識は通用しねえ」
今、木原達の前に『圧倒的な力の差』が物質となって現れた。
今回は以上です。
後、三回で三巻も終わります。
それでは、皆様。またいつか。
1乙
ていとくん登場!胸熱展開だな!
乙!
中二の心が疼くぜェ
冷蔵庫登場記念乙!
ミ\ /彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
\ \ / /
ミ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄彡
/ ̄ ̄\|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i|/ ̄ ̄\
/ / ̄| || ̄\. \
/ / |〕 帝凍庫クン .|| ´\ \
/ │ ..| || | \
/ /│ |___________j| |\. \
彡 / │ ./..| -―- 、__, |ト、 | ´\ ミ
彡/ │ ../ | '叨¨ヽ `ー-、 || \ | \ ミ
│ / ..|〕 ` ー /叨¨) ..|| \|
r、 |/ ! ヽ, || \ \ ,、
) `ー''"´ ̄ ̄ / | `ヽ.___´, j.| ミ \  ̄` ー‐'´ (_
とニ二ゝソ____/ 彡..| `ニ´ i| ミ |\____(、,二つ
| 彡...|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i| ミ |
\彡 | .|| ミ/
|〕 常識は通用しねぇ ||
| ..||
|___________j|
>>38
おいwwww馬鹿wwwwやめろwwww
そのAAをこのスレで出すなwwwwwwww
シリアス展開が台無しになるだろうがwwww
>>38
なんだよこのAAwwwwwwww
此所で帝凍庫クンかよwwwwwwwwww
ミサカ妹のアホ毛マダー
三巻でていとくん登場とはとばしてるなぁ
<<38
なwwwwwwんwwwwwwだwwwwwwこwwwwwwれwwwwwwww
>>38
何をどうしたらこうなんたんだwwwwww
腹パンの人乙!
相変わらず先が読めないぜ!
確かに常識が通用しねぇwwwwwwww
このシリアスな展開ではさすがに貼らないだろうなーと思ってたらwwwwwwww
>>38
やwwwwめwwwwろwwwwww
知らない人は
一方通行「イヤだ」
でググれば幸せになれるよ!ちなみに第二弾も現在やってるようです
>>47
アンタのおかげで2スレ目に気が付いた
>>47
面白いスレを発見出来たありがとうww
これからシリアスに面白くなるぜってとこなのに>>38wwwwwwww
>>38
これは腹パンだわ
>>51
拳痛めるぞ
>>52
果たしてそんな常識が通用するだろうか
>>53
拳に優しい冷蔵庫か•••
おまいら仲いいなwwwwww
>>54
それを自覚してる…ゴクリ
俺の腹パンに常識は通用しねえ
そろそろベクトル腹パン準備しておくか
ベクトル腹パン~未元物質のメリケンサックを添えて~
そしてメリケンサックを座標移動で体内へ
お前らがやりすぎたから死んじゃったんじゃないのかwwww
死体だろうと関係ない
更新しないのなら塵になるまで腹パンし続けようじゃないか
塵になっちまったらどこが腹かわからなくなるんじゃね
だからギリギリ原形とどめるぐらいにしといて殺ろうぜ
なぁに、いざとなれば学園都市の技術で冷蔵庫とか洗濯機とか電子レンジとかその辺で蘇るさ
┌――――――‐─┐
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../| -、__, ..||\ わたしだ
/ l rデミー' 'ー' .|ト、 \
r、 / .!〕 ゛`ー′ /でン .|| \ \ ,、
) `ー''"´ ̄ ̄ / | 、 .ゝ ゛ || \  ̄'ー‐'´(_
とニ二ゝソノ ̄ ̄ ̄'''' .| `ヾニァ' .||  ̄ ̄'''ヽ(、,二つ
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|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`i|
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ミ\ _,,-‐'' ̄`''- 、,_ /彡
ミ \ /:::::::::::::::::__;;;;;;;;;`ヽ/ 彡
ミ \ |:::::::::/ / 彡
ミ \ |::::::::::| / 彡
ミ \ |::::::::/ / 彡
ミ \ |::::| / 彡
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ミ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ||::|| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄彡
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/ / |〕 帝凍庫クン .|| ´\ \
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\_ヽ , ::´:: ::/: :: :: \:: ヽ:: :: :: :: `::<
/:: :: :: :: :: :: ::: :: :: :: :: :: :: ::、 : 寸=一 _|_
_,ィ彡 :: :: ::′:: :: :: :: :: :: :ヽ:: :ト、:: ;ハ /|
/ : :: :: :: :;|: :: :::/|:7 .i :: :| マ:}`.V:: ::.i |
/ : :: :: :: r‐く|:: ::./ .l/__ | :: :|__N }: ト::| |
ー─一ァ:: ::{⌒)! ::/ ,ィf卞ト |/l/{灯iヽ/!:ノ リ |
厶イ人ゝj / 圦:::ツ {:::ツ }ルヘ{
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* / :||: : ': : :> ._(_ノ_,. イ } *
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, . : : /:: :: :: :: :: :: :: :: :: :;イ.: : {__
:;. 〈  ̄ ` ー- ::_;: -─‐ 寸.:/、 i i ト、 ':,':,':,
`,ー-.. .. ..____,.、ヽヽヽ}⌒ー'ーヘ′
/:; :: :: :: :/: : . . `┴┴ヘ: : : : . } ゛"
: ; : /: {:: ::_::_;:′: : : : : . }: : : : ノ 、,、, ゛"゛ .;:;:;:;.
厶:: :;イ: : : : : : : _: : : -‐: . . /: ;. <:、:、
ム: : : :Tニて:´: : 〔_
三迅 : : マニニ}: : : :マニニ__ .;:;:;.
三王存 : : : 迂迅、:、:、マ≡ニ= 凹_i_i_凹
=三王企zzzz生 企企企三二 ,、,、 ┌ヘ_}┐ )))
>>65-66
おwwwwまwwwwwwえwwwwwwwwらwwww
常識が存在しないwwwwwwww
>>68
つい今しがたまで見てたわww
あっちとこっちのレベル5の落差激しいわww
>>70
パート2もみてねっ!
>>66
頼む、ズレを直してくれ…
苦労して改変して貼った後に気づいて恥ずかしい
帝凍庫クン神出鬼没すぎる…
おもしろいのはわかるけど違うスレの話ですぎだろ・・・
常識は通用しねぇ
こんな勢いに俺達は負けない
>>1がいねェな
いいじゃねえか
来なければ来ないだけそれだけ
腹パンの数と破壊力が増すだけなんだからよ
>>1
(腹パン)
今VIPの速度を演算して腹パンの威力上げてるから待ってて
おい誰だ地パンしたの
一方さん落ち着いて
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
>>78
おいおい、地球の自転エネルギーかりるほど威力上げるなよ
と、冗談は置いといて千葉怖い、できることなら逃げ出してぇぇ!!地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
自パンやめてください
>>1いきてるかー?
宮城「俺達は!」茨城・福島「「負けない!!」」
みんな頑張って
特に燃料被覆管
おーい皆元気?
ageんなよ 地震来たらどうしてくれんだ
うん
お前に自転パンチとすごいパンチをくらわせたいぐらい元気だよ
今回の地震で自転ちょっと変わったから再計算が必要かな
50秒ぐらいかわったんだっけか
>>91
1200年後くらいに100分の1秒一日が短くなるらしい
それって大変なことなのか?
GPSとか諸々の機器を調整しなくちゃならないんでヤバいというかめんどくさい
カンペキに腹パンだわ
なぁんで来ないのかにゃーん ぶ ち こ ろ し か く て い ね
地震で………
まさかな………
自転腹パンをあれだけくらってる>>1がm9.0ごときでやられる訳がないだろう
>>97
あと1~2週間の間ぐらいに
戻らなかったらもしかするとその「まさか」かもしれない
パソコンと携帯が壊れただけという可能性も否定できないけどな
>>1「俺は!負けない!!」
たのむ・・・・生きていてくれ・・・・
ネット環境がやられただけかもしれないね
にしてもここの人も離れてっちゃって寂しい
皆・・・まだいるよな・・・!?
もちろん待ってる
>>1は来る
>>1………………!!!
>>1無事でいて・・・
か、勘違いしないでよ//
腹パンできなくて寂しいだけなんだから//
>>1の音沙汰がない
まさか・・・?
おい…
>>1どうした…。
まさか…な…
飽きたんだろ
あ~あ、最近身体が鈍ってるわ
何かいいトレーニング方法はないかな?
>>112
つ壁殴り代行
?
どうも、皆様。
何やらいらぬ心配をさせてしまったようですが、
決して自分は震災に巻き込まれた訳ではございませんのでご安心を。
来なかったのは、至極どうでもいい個人的な事情があったからです。
とにかく、今から久しぶりに投下します。
上げないでくれ
>>1が来たかと思っちゃうから
八秒差で来たwwwwww
「…………何だよ、これ」
常盤台中学の学生寮の一室で、上条は震えた声で呟いた。
時間はすでに夜の十九時ぐらいだった。
その手には、とある『実験』のレポートがある。
その中身は、信じられないモノだった。
上条は昨日の親友の様子を思い出す。
彼は嬉しそうにしていた。
もしかして、『大事な用事』とは――――?
(違う、そんなのありえない)
すぐにその可能性を否定した。
(だって……アイツは……アイツは良いヤツじゃないか)
そうだ、そうなのだ。
上条は、彼に出会ってからの数週間の事を思う。
一方通行は何も分からない自分を助けてくれた。
姫神の時だって、一緒に助けた。
それに――――インデックスも一緒に助けてくれた、らしい。
そんな彼が、こんな事をする訳がない。
…………ない、はずだ。
実を言うと上条には、正確な判断が出来ない。
何故ならば、彼は『記憶喪失』だからだ。
おっしゃああああああああ!!!
>>1キタアアアアアアアアアアアアアアアアアア
本当の事を言えば、彼は一方通行が真にどういう人間なのかを知らない。
もしかしたら、彼は自分の知らない闇(場所)で
非道な真似をする人間だったのかもしれない。
でも、上条はそれを否定したかった。
だって、そんなの残酷すぎる。
初めて会った時に自分に親切にしてくれた人が、
実は救いようのない悪党だったなど、信じたくない。
(……そうだ、ケータイで!)
確かめる方法は、上条のズボンのポケットにあった。
慌てて上条はケータイを引っ張り出すと電話帳から番号を選択する。
そのまま通話ボタンを押そうとして、指が止まる。
変な緊張が上条を襲う。
ただボタンを押すだけなのに、ひどくドキドキする。
(落ち着け……深呼吸しよう……)
ゆっくりと、息を吸う。
そしてゆっくりとそれを吐く。
その流れを繰り返すと、気分が少しだけ和らいだ。
(…………よしっ!)
決意した上条は通話ボタンを押した。
数回のコール音が、とてももどかしい。
(遅いな……)
何度かのコール音がするが、一向に繋がる気配がしない。
(頼むから出てくれよ……!!)
上条の不安は徐々に大きくなる。
(……一方通行!!)
そして――――
ガチャ、と音がする。
「あ――一方通『ただいまお客様がおかけになった番号は……』行?」
出たのは、一方通行ではなかった。
「………………」
上条は無言でケータイをしまう。
(……どうする……?)
彼を探すにも、どこにいるかなど分かる訳がない。
(そうだ、御坂に……)
このレポートは彼女の部屋から出てきたのだ。
もっと言えば、この『実験』とやらには彼女の体細胞クローンが必要とされている。
つまり、彼女の協力なしでは不可能なのだ。
となれば、美琴に聞けばすぐに分かる。
これはたちの悪い冗談なのか――本当の事なのか。
もちろん、上条は嘘である事を望む。
……たとえほんの少し、裁縫針の穴ぐらいの可能性だとしても。
とにかく、こうしてはいられない。
上条は部屋から出ようと――――
「――アンタ、そこで何してるの?」
不意に聞こえた声に、上条の肩がビクリと震える。
ゆっくりと彼は振り向いた。
そこには、声の主――御坂美琴が立っていた。
少し時は戻り、常盤台中学の学生寮の前にて、御坂美琴は立っていた。
その目には、ある一つの決意がある。
今から約一時間後に、口にするのもおぞましいある『実験』が行われる。
……それが始まる前に、同居人や世話になった人に
挨拶をしておこうと考え、彼女は今日一日を過ごしていた。
『友達』である初春飾利や佐天涙子――とにかくたくさんの人に
挨拶してきた為に、彼女は門限を過ぎて帰って来たのだ。
(…………黒子、心配してるでしょうね)
頭の中に、後輩である同居人の顔が浮かぶ。
普段の行動は何と言うかまぁ、怪しいヤツだった。
しかし、いざという時はいつも頼りになる存在だった。
(……私がいなくたって、きっと大丈夫よね)
信頼、という言葉が脳裏を掠める。
(……あの馬鹿は、どうだろうな)
もう一人、今朝会ったある少年の事を思い出す。
まるでヒーローみたいなヤツだった。
困っている人がいたら助けてくれる、変わったヤツだった。
……きっと、事情を話して助けを求めたら、彼は立ち上がってくれるだろう。
美琴には何となくそう思えた。
しかし、そんな気には全くなれなかった。
(………………)
短い人生だった、と思う。
それなりに楽しい人生だった。
……出来る事なら、これから先も生きていたかった。
そう、思えるぐらいには楽しかったのだ。
――もう、そうはいかないが。
(……きっと、これで良かったのよ)
そんな風に思いながら、美琴はそっと玄関をくぐる。
見慣れた学生寮の中を、彼女は脳裏に焼き付けながら歩く。
……絶対に忘れないようにするために。
そうして、自室の前に立った。
(………………?)
中に入ろうとして、留まった。
……中から、猫の鳴き声がする。
この寮はペット禁止になっている。
そういうルールに、同居人は細かい。
となると、誰かが部屋に侵入している事になる。
誰だろう、と思いつつ、彼女は部屋にそっと入る。
中に入ると、誰か――高校生ぐらいの少年の背中が見えた。
その人物は美琴には見覚えのある、ツンツン頭をしている。
瞬間、美琴はそいつが誰だか分かった。
そいつには会いたかったが、会いたくなかった。
矛盾しているのは分かる。
でも、そんな事を思った。
「――アンタ、そこで何してるの?」
声を掛けると、そいつはビクリと肩を震わせた。
まるで友達の秘密を偶然知ったのが見つかったような、そんな感じだった。
そいつはゆっくりと振り向く。
美琴の予想通り、そいつは『あの馬鹿』だった。
「あ…………」
美琴を見て、上条は何か言おうとした。
しかし、何の言葉も浮かばない。
彼女に聞きたい事がたくさんあるのに、何も言えない。
美琴はこちらを――正確には上条の手の中のレポートを見ている。
その表情は、固まっていた。
だが、すぐに彼女は表情を変える。
美琴の顔には、何かを諦めたような笑みが浮かんでいた。
「……アンタ、見ちゃったんだ」
ポツリ、と小さいがはっきりとした呟きが上条の耳に届く。
「……まったく、何でこんなトコに居るワケ?
私と勝負する気にでもなった?……だとしたら、タイミングは最悪ね」
彼女は続けてそう言った。
「……これはどういう事だよ」
上条はようやく喉に詰まった言葉を発せられた。
「どう、って?」
美琴は相変わらず笑みを浮かべたままだ。
「どうもこうもないでしょ?
アンタ、それが何かの冗談とでも思うの?」
上条の胸に、ずっしりとした重い衝撃が走った。
つまり、これは本当の事だったのだ。
「……ここじゃなんだから、場所を変えましょ」
付いて来て、と告げて美琴は部屋を出た。
上条は慌てて黒猫を抱えて、後に付いて行く。
「……この辺でいいでしょ」
寮を出て十分ほど歩いた先には、広々とした空き地があった。
そこで二人は対峙するように向き合う。
「なぁ、御坂」
上条は美琴より先に口を開いた。
「……何よ?」
「お前は……その……」
美琴にただ一つの事を聞くだけなのに、口が上手く動かない。
そう、たった一つ――この『実験』を、お前は笑って眺めるような人間なのか、と。
「……言っとくけど、私はこんな『実験』に進んで協力なんてしないわよ」
上条が言いたい事が分かったらしく、美琴はそう言った。
「だったらどうして……」
「どうして、ね――――」
美琴は、また笑った。
「――――一つ、昔話してあげよっか?」
そう言って、ゆっくりと美琴は口を開く。
「昔々、ある街に一人の小さな女の子がいました。
その女の子は電撃使い(エレクトロマスター)として、毎日毎日能力を磨いていました」
美琴は歌うように言葉を続ける。
「ある日、女の子を研究者達が訪れました。
その女の子に、ある事に使うための物――DNAマップの提供を求めるためです」
美琴はさらに笑って続けた。
「『どうしてそんな物を?』――女の子の質問に、彼らはこう答えました。
『――――それはね、筋ジストロフィーと呼ばれる
病気を治すのに、君のDNAがもしかしたら役に立つかもしれないからなんだよ』――と」
筋ジストロフィー――確かそれは、不治の病の一種で、
自分で思ったように筋肉が動かせなくなっていく恐ろしい病だったはずだ。
上条の頭の中の『知識』からは、そんな情報が流れてきた。
「『もしも生体電気を操る力があれば、
通常とは違う方法で、筋肉を動かせるかもしれないんだ――』。
女の子はその言葉を信じて、自分のDNAマップを快く提供しましたとさ」
おしまい、と言って美琴はそっと俯いた。
「――ねぇ、どうして……どうしてこうなっちゃったのかな」
小さな小さな声が、正確に上条の耳に届く。
「たくさんの人を助けるはずが、どうして二万人の人を殺す事になっちゃったのかな?」
「………………」
上条には、一言も答えられなかった。
かつて、幼い少女は信じていた。
自分のした事は、たくさんの見ず知らずの人達を助ける事に繋がるのだと。
でも、実際にはそうはならなかったのだ。
たくさんの人達を助けるどころか、二万人もの少女達を殺す事になってしまったのだ。
「――昨日、さ。『実験』が開始されたのをこの目で見たの。
……第一位は、一方通行は妹達を……あの子を…………ッ!!」
美琴の声には、言葉になんて出来ないほどに様々な感情が込められている。
「……御坂」
「…………何よ」
上条が呼び掛けると、美琴は顔を上げた。
その顔をじっと見て、上条はためらいがちに、こう尋ねた。
「…………一方通行は、ホントにその子を……その、殺したのか?」
「……………………え?」
美琴は思わずポカンとしてしまった。
……目の前の少年は、今何と言った?
「……一方通行は、アイツは俺の友達なんだ」
アイツがそんな事するなんて、俺には信じられない。
そんな少年の言葉を、美琴は最後まで聞いていなかった。
(とも、だち?トモダチ?)
友達――互いに心を許し合って、対等に交わっている人。
また、一緒に遊んだり喋ったりする親しい人の事。
以上、大辞泉より抜粋。
「何よ……それ?」
美琴は震えた声で上条に聞いた。
「馬鹿言わないでよ!!」
自然と、彼女は叫んでいた。
「……アイツは、あの男は確かにあの子を…………ッ!!」
そこまで言いかけて、美琴は口をつぐんだ。
あの時の状況を思い返してみる。
よくよく考えると、美琴は爆発音を聞いただけで、一方通行自身が手をかけた瞬間は見ていない。
いや、だとしても一方通行は確かに死体の近くにいた。
(そうよ、私は正しい――――いや、正しいに決まってる!!)
美琴は心の中で結論を出して、上条を見る。
美琴が正しいとすれば、この少年はきっと――――
「そもそも、アンタは一方通行の全てを知ってるって言うの?」
目の前の少年は先程、一方通行と自分は友達だと言った。
しかし、それは一方通行の本当の姿なのだろうか?
目の前の少年はただ単に騙されているのではないか?
そう、思った。
「……………………っ!」
実際、そう言われて少年は怯んだ。
美琴は少年の反応から確信を得た。
コイツは一方通行に騙された被害者だ、と。
「……まったく。何だってのよ」
美琴は呆れたように呟くと、上条に背を向ける。
「……じゃね、私忙しいから。
アンタはさっさと家にでも帰りなさい」
「待て、よ。お前、どこに……」
少年に呼び止められ、歩き出そうとした足を止めた。
「ちょろっと『実験』を止めに、ね」
言って、さらに小さく付け加えた。
「――――最期に、アンタの顔が見れてよかった」
「え………………?」
美琴は一気に走り出す。
後ろから、慌てて呼び止める少年の声がしたが、彼女はそれを無視した。
「そもそも、アンタは一方通行の全てを知ってるって言うの?」
「……………………っ!」
上条は思わず怯んだ。
その言葉は、今の彼の胸にはよく響く。
上条には、一方通行を信頼するための決定的な証拠がない。
美琴に反論が出来ないまま、上条は立ち尽くす。
すると、
「……まったく。何だってのよ」
美琴はやれやれと言わんばかりに息を吐いて、上条に背を向けた。
「……じゃね、私忙しいから。
アンタはさっさと家にでも帰りなさい」
話は終わった、とでも言うように告げられた。
「待て、よ。お前、どこに……」
「ちょろっと『実験』を止めに、ね」
上条の質問に、美琴は歌うように答えた。
美琴は立ち止まると、さらに小さく小さく付け加えた。
「――――最期に、アンタの顔が見れてよかった」
「え………………?」
上条が呆然としている内に美琴はもう、別の出口に向かって駆け出していた。
「ま、待ってくれ御坂っ!!」
上条は美琴を追い掛けようとして、彼女より遅れて足を動かそうとした。
だが、
「……………………ッ!?」
上条の行く手を阻むかのように、隣の建設途中のビルから鉄骨が降り注ぐ。
「お、わ、あぁぁぁああっ!?」
慌てて走り出した方向とは、まったく逆の方向へと上条は必死に走った。
ゴン!ガン!と鉄骨同士がぶつかり合う音が上空から連続的に響き、
地面に落ちた鉄骨はドドーン!という大きな大きな地響きを起こし、空き地の砂を巻き上げた。
鉄骨は奇跡的に上条には一つも当たらなかった。
(…………た、助かった……のか?)
腕の中で、黒猫が怯えたように暴れ出す。
運が良い事に生き残った少年は振り返って、どうなったか確認してみた。
巻き上げられた砂が失せると、上条の目の前に驚きの光景が浮かび上がった。
鉄骨は全て、美琴が消えていった別の出口を塞ぐようにそびえ立っていたのだ。
(……そうか、アイツは電気を操る能力者だったな……)
おそらくは、それの応用で磁力を操ったのだろう。
上条がまだ生きているのも、奇跡でも何でもなく、彼女のおかげかもしれない。
(クソッ!これじゃ、追い掛けようにも追い掛けられねーな……)
上条は、美琴が最後に残した一言を思い出す。
『――――最期に、アンタの顔が見れてよかった』
まるで、もう上条には会えないような言い方だった。
もっと言えば、遺言のような――そんな言い回しだった。
(一体アイツは何するつもりなんだ……?)
言われた時に何だか嫌な予感がして、
上条はとっさに美琴を引き止めようとしたのだが、それは出来なかった。
(とにかく、アイツを探そう)
そう考えて、彼は薄っぺらいカバンから地図を引っ張り出す。
御坂妹が落とした『実験』の予定地が書かれた物だ。
先程、美琴は『実験』を止めると言っていた。
もしも、本当に『実験』が今行われているとしたら、美琴は実験場に向かっているかもしれない。
特に確証なんてモノはない。
しかし、手掛かりはこれしかないのだ。
それに、今日『実験』が行われる予定に
なっている場所に美琴が居なかったとしても、
そこには一方通行がいる可能性だってある。
(………………)
上条は地図をカバンに納めて、実験場への最短ルートへと駆け出す。
――はずだった。
「…………ん?」
突如ケータイの着信音が流れて、上条は立ち止まった。
こんな時に誰だろう、と上条は思案してみる。
深く深く考え、やがて一人の人物の顔が浮かんだ。
居候の、真っ白白すけなシスターである。
(…………インデックスの事、みっちり忘れてたーっ!!)
もしかしたら、お腹を空かせて大変ご立腹かもしれない。
とりあえず小萌先生のトコに行ってもらおう、と考えながら上条はケータイを引っ張り出す。
さっさとしなきゃ、と思いながらケータイを開いた瞬間、上条の動きが止まった。
液晶画面に表示された名前を見て、彼は目を見開いた。
そこには、『一方通行』という四文字が表示されていた。
今回は以上。
後、二回で三巻編は終わります。
今月中に三巻終わらせたいなぁ……。
それでは皆様、またいつか。
乙乙
腹パンされる覚悟はできてるよなぁ?
心配させやがって
>>1が復帰したと聞いてすっ飛んできました!乙!
門限はとっくに過ぎてるぞ
罰として腹パン地獄だコノヤロー
乙でした
心配かけやがってこのやろう
宮城から更新楽しみにしてるぞ>>1乙
やっと来たか!
同じく宮城から更新楽しみにしてます!乙!
乙。今回も面白かったぜ
しかしこれだけの腹パンを受けて死なないとは…
ま、まさか!>>1の能力は「腹パン殺し」なのか!?
>>1キター
超乙!無事でよかった
よっしゃさっさと腹を出せ
服従した犬のように
ミ\ /彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
\ \ / /
ミ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄彡
/ ̄ ̄\|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i|/ ̄ ̄\
/ / ̄| || ̄\. \
/ / |〕 帰って来た .|| ´\ \
/ │ ..| 帝凍庫クン || | \
/ /│ |___________j| |\. \
彡 / │ ./..| -―- 、__, |ト、 | ´\ ミ
彡/ │ ../ | '叨¨ヽ `ー-、 || \ | \ ミ
│ / ..|〕 ` ー /叨¨) ..|| \|
r、 |/ ! ヽ, || \ \ ,、
) `ー''"´ ̄ ̄ / | `ヽ.___´, j.| ミ \  ̄` ー‐'´ (_
とニ二ゝソ____/ 彡..| `ニ´ i| ミ |\____(、,二つ
| 彡...|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i| ミ |
\彡 | .|| ミ/
|〕 俺の人生は ||
| 終わらねぇ .||
|___________j|
(腹パン)
(腹キック)
>>1よ
腹に風穴が開くぐらいの覚悟をしておけ
まってたよ
おかえり
この御坂は同情の余地はあるけどぶっ飛ばしていい
さァァァァァて腹パンの時間だぜ>>1野郎がァァァァァァァ
巻き込まれてなくてよかった心配したんだからね!
拳握って待ってたんだよ……///
>何でだよ、じゃなくて何でそうなるwwwだった
>何でだよ、じゃなくて何でそうなるwwwだった
何か口調きついように見えたらごめんなさい
>>1キテタ━━(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)━━!!!
>>150-152
言いたいことはわかったが落ち着け
待ってたぜェヒーロー…
>>1、おかえり
これはどうなることやら………
あと>>1おかえり!
おかえりなさい
>>1よ…受け取れ…っ!
これが俺の全身全霊をかけた腹パンだッッッ!
おかえり、待ってたよ!
>>1おかえりィ
さて、復帰から三日経った訳だが?
改めて禁書はとりあえず3巻まで読めとはよく言ったもんだと思った
2巻分までは正史をなぞる形にしかならないが設定上無理がある3巻で一気に世界が広がった印象だわ
とりあえずていとくんには腹パンだな
あげんな、腹パンすんぞ
揚げパン美味いよね
『腹パンする』…そんな言葉は使う必要がねーんだ。
なぜならオレやオレたちの仲間は、その言葉を頭の中に思い浮かべた時には!
実際に相手を殴っちまってもうすでに終わってるからだ!
だから使った事がねェーッ!『腹パンした』なら使ってもいいッ!
どうも、皆様。
今から投下開始します。
「………………眠れねェ」
とある研究所の一室にて、一方通行はベッドに横たわりながら一人呟いた。
とりあえず木原に言われた通りに休息を取ろうとした彼だったが、当然のように寝付けられない。
(………………)
一方通行は何の気も無しにポケットからケータイを取り出す。
ケータイは電池切れで使えなくなっていた。
「……チッ、充電しねェとな」
立ち上がると、その辺にあった充電器から、一方通行の機種に対応しているのを借りた。
プラグと充電器を接続して、ケータイの充電に取り掛かる。
「ン、これでイイな」
そのままケータイをベッドに放ると、一方通行はいかにも高級そうな椅子に腰掛ける。
(………………どれぐらい経ったンだ……?)
壁に掛けられた時計を見てみる。
木原に言われてから、まだ三十分ほどしか経っていなかった。
(…………)
一方通行はゆっくりと立ち上がって、部屋を出た。
やっぱりじっとするのは性に合わないらしい。
ズカズカと彼は研究室まで歩き、ドアを開けた。
「オイ、やっぱ俺も…………」
途中で言葉がピタリと止まった。
何故なら――――
「……親父はどこ行った?」
手伝いを申し立ててやろうとした相手、木原数多がいないからだ。
「……なるほどね……」
一方通行は納得したように呟いた。
研究者達に聞いたところ、木原は『アイテム』の連中と妹達の護衛に向かったらしい。
「ま、そういう事だ」
「木原さんと『アイテム』……想像すると、すごいチームだな」
「恐ろしさなら、世界一なんじゃない?」
「……まァ、確かにあのメンバーを敵に回したくはねェな」
自然と、木原と『アイテム』の面々の顔が脳裏に浮かんだ。
木原は昔、暗部の組織である『猟犬部隊(ハウンドドッグ)』で隊長を勤めていたらしい。
暗部の組織(しかも統括理事会直属の組織だ)で隊長を勤めたのだから、
木原本人も、それなりどころかかなりの実力者なのだろう。
そこに『アイテム』という強大な戦力が加わる。
…………心配なんて要らないだろう。
何だか嫌な予感がしたが、一方通行はそう自分に言い聞かせて不安を押し殺す。
「とにかく、そんな訳で木原さんは今いないが……どうかしたのか?」
研究者に尋ねられ、
「おォ、眠れそォにもねェから手伝いに来たンだがな」
そう答えて、一方通行は木原の机を見る。
色んなモノ(重要そうな資料、漫画雑誌や宝くじなど)が乱雑に置いてある。
その中を漁ってみると、『実験』についてまとめられたレポートがあった。
「とりあえず、『実験』の資料を全部貸してくれねェか」
時は進み、ある研究所の敷地内にて、二人の男女が走っていた。
彼らは、ある少女達が居住している建物とはまた別の、主に実験場がある建物へと向かっていた。
男の顔には大きな刺青があるものの、
白衣を纏っているせいか、一見するとただの研究者に見える。
しかし、その手には狙撃用のライフルがあり、男が一般人ではない事を示している。
もう一人、女の方は銃を持っていたり刺青をしている訳でもないが、
身に纏う雰囲気からは何だかあまり一般人には見えない。
「いつまで逃げんのよ!」
「知るか!ってかテメェこそ何一緒に逃げてんだよ!
戦えよ!テメェだって七人の超能力者の中の一人だろうが!!」
ギャーギャー言い合いながら二人は全力疾走する。
と、そこへ――
「あー、鬼ごっこはここらへんで終わりにしねーか?」
空中から呆れたような少年の声がした。
女――麦野沈利は、そちらを振り返らずに右手をかざす。
瞬間、そこから青白くスパークしている一条の光線が放たれた。
「……っとと。あっぶねーな、オイ」
言葉とは裏腹に、少年――垣根帝督は楽しそうにそれを背中から生えている白い翼で受け止めた。
『原子崩し』と呼ばれるその極めて強力な一撃をあっさり止められ、麦野は舌打ちする。
「いやはや、第四位つってもこんなもんか。
もーちょいスッゲェかと思ってたんだがなー」
地面に降り立った垣根は、ガッカリしたように告げる。
「勝手に言ってろよ。つか何だ、それ。
テメェの見た目にゃ全く似合ってねぇぞ」
振り返った白衣の男――木原数多は、目の前のメルヘン少年(ちょっとホストっぽい)に返す。
それを聞いて垣根は、
「心配すんなよ、これでも自覚はある」
それとな、と垣根は続ける。
「こっちも仕事が詰まってんだ。
そろそろさ――まぁ、死んでくれ」
六つの翼が、二人を捉えようと動き出す。
が。
次の瞬間、翼は全て垣根の元へ戻り、彼を包み込む。
何故か。
理由は簡単、垣根に向かって何かがどこかから投げられたからだ。
それは翼にぶつかった途端、大爆発を起こした。
ドォォォォン……!という爆音が辺り一帯に響く。
しかし、不意を突かれたにもかかわらず垣根は無傷だった。
「……ったく、誰だ?物騒なモンいきなり投げやがって」
不意打ちしてきた誰かに呟きながら、垣根は翼を展開して――
「ありゃ?っていねー……」
一人、愕然とした。
どうやら逃げられてしまったようだ。
「あーあ。今度はかくれんぼかよ」
面倒だなー、と思いつつ垣根は歩き出す。
と、その時。
ケータイの着信音が鳴り響いた。
相手は、同僚のドレスの少女だ。
「んー?はいよー」
『……いつまで遊んでるのかしら、「リーダーさん」?』
「……うっせーな。仕方ねぇだろ」
垣根はしかめっ面で少女に応じる。
『それはそうと、さっきの爆発は何かしら?』
「あぁ、ちょーっと向こうが派手な事してきてね」
『……やっぱりそっちに行きましょうか?』
「あん?んなモン、要らねぇよ」
垣根は、自信たっぷりに返す。
「――本気で潰すからな」
『……はぁ。最初からそうして頂戴』
へーい、と言って垣根は通話を切ってケータイをしまう。
「さってと。行きますか」
真っ白な翼を生やして、彼は飛び立った。
「どうやら超逃げ切れたみたいですね……」
「結局、時間稼ぎにしかならないって訳よ」
「いんや。時間稼ぎでもじゅーぶんよ、フレンダ」
「むぎの、きはら。血が出てる、止血しなきゃ」
「っと、すまねぇ」
爆発地点から少し離れた建物の陰に、木原と『アイテム』の四人は隠れた。
先程、フレンダの爆弾による不意打ちで一度撤退したのだ。
「……第二位、垣根帝督……。
まさか、ここまでの実力とはな」
「正直、あんなの超反則です」
絹旗が小さく呟く。
「フレンダの爆弾に私の『窒素装甲(オフェンスアーマー)』、
最終的には麦野の『原子崩し』まで防ぎきってみせるなんて……」
超ありえません、と絹旗はぼやいた。
「きはら、何か良い策はないの?」
滝壺が止血しながら木原に聞く。
木原は、学園都市第一位の一方通行を開発した研究者だ。
それはつまり、この街の中でも相当の頭脳を誇る事になる。
「そうだな……」
木原は頭の中で垣根の情報を整理する。
圧倒的な攻撃と防御を繰り出すあの六つの翼。
あれをどうにかしなければ、勝機はないだろう。
(……んー)
木原は周りをぐるりと見回す。
そうしてから、先程の垣根の様子を思い出す。
(……ヤツはさっき、不意打ちにですら対応してみせた)
もっと言えば、一番最初の木原の狙撃にも。
何故そんな事が出来たのか?
二つの不意打ちの共通点を考えてみる。
(……待てよ、確か昔見た『超電磁砲』のレポートに……)
仮説に過ぎないが、もしかしたら垣根は――?
「……よし、オマエら」
木原が口を開くと、四人はじっと彼を見る。
「何?良い作戦が思い付いた?」
「いや、良い作戦かどうかは分からねぇ」
麦野の質問に、きっぱりと答えた。
「だがまぁ、これぐらいしか思い付かない。
賭けに近いが、それでも良いなら聞いてくれ」
四人は目を見合わせると、
「もちろん、それしかないなら超聞きます」
「どっちにせよ、時間ないしね」
「私はきはらを信じてるよ」
「つーわけだからさっさと聞かせなさいよ」
木原は頷くと、
「じゃあまず――」
「んー。どこかねー」
翼をたなびかせ、垣根は空を飛んでいた。
低空飛行で辺り一帯の捜索を始めたのだが、木原達はなかなか見つからない。
(……ま、本命っつーか『依頼』の内容はアイツら殺す事じゃねぇけど)
そう、垣根の目標はあくまでも妹達という軍用クローンである。
木原達など放っておいて、そちらに向かう方が普通だろう。
だが、
(天下の第二位が、格下にあっさり逃げられるってのは屈辱だよなぁ?)
そんな訳で、垣根は敢えて木原達を探している。
ただ、己の『プライド』のために。
とりあえず今度は向こうかね、と思いつつ垣根は方向転換しようとした。
そこへ――
「……こんばんは、死ね!!」
という叫びが聞こえたと思った途端、垣根に向かって光が飛んできた。
「よっと」
慌てる事なく、彼は翼でそれを受け止める。
「いやはや、わざわざそっちから来てくれるとはな」
垣根は真っ直ぐに光の来た方向を見る。
その視線の先には、絹旗、フレンダ、そして――麦野がいた。
「よー。テメェら五人いたはずだけど、後二人はどうした?」
「……ハッ、テメェみたいなヤツとやり合うには足手まといだから置いてきただけよ」
あっそ、と垣根はどうでもよさそうに言う。
「どうせ三人でやっても勝てっこねーんだから、
五人掛かりで捨て身の攻撃した方が良いと思うがね」
「……超上等です。その自信、打ち砕いてやりますよ」
「やれるんなら、な!」
六つの翼が別れ、三人へと襲い掛かる。
麦野は『原子崩し』で機動力を上げて横に大きく跳び、それを避けてみせた。
フレンダは爆弾を目の前で爆発させ、爆風で吹き飛ぶ事で避けた。
しかし、絹旗だけは回避に間に合わない。
「……くっ!」
とっさに自分の能力である『窒素装甲』を使って、
両手に窒素の壁を作り上げて受け止めようとした。
だが。
「ぐうっ!?あ、がぁぁぁああ!!」
一対の翼は、その壁ごと無理矢理絹旗を吹き飛ばす。
勢いよく飛んだ彼女は建物の一つに衝突し、大きな穴を壁に空けた。
「――まずは一人」
垣根はつまらなそうにカウントする。
「絹旗ぁ!」
そして、今度は叫びを上げた少女――フレンダを見た。
「――二人」
言うと同時、六つの翼全てがそちらへと殺到する。
一瞬、注意が絹旗に飛んでしまったために、フレンダは反応出来なかった。
その目は恐怖に染まっていた。
しかし――
横から誰かが飛んできて、彼女を引っ張っていく。
「へ?」
間抜けな声を上げ、その人物と共に五メートル離れた地点に倒れ込む。
瞬間、先程までフレンダが立っていた場所に翼が叩き付けられた。
ズゥゥゥゥン……!!という衝撃が辺りに響く。
フレンダはただ呆然とそれを眺めていた。
「………………ッ!!大丈夫、フレンダ!?」
「あ――む、麦野」
フレンダは、自分を引っ張った人物――麦野を見て、正気に返った。
「ふーん。そんなヤツ庇う意味あんのか?」
上から響いた声に、慌てて二人は立ち上がる。
声のした方を見れば垣根が、絹旗が吹き飛ばされた方向とは反対にある、
五階建ての建物――検体調整器保管所とか入口に書いてある――の屋上から見下ろしていた。
「……どういう意味よ」
麦野が聞くと、
「いやさ、そいつだけ妙に足手まといじゃねーか。
戦ってる最中によそ見してさ。わざわざ助ける必要あんのか?」
垣根が言い終えると同時に、麦野が『原子崩し』を放つ。
これまでで一番大きな一撃だった。
「オイオイ、そんなに怒るか普通?
人がせっかくアドバイスしてんのにさー」
あっさりとそれを防いだ垣根は、未だに余裕のある表情をしている。
「ご忠告どうも。でも生憎だけど、ここは私の組織だ。
仲間を決めるのも、使えるかどうか判断するのも、全て私が決める」
そう言って、麦野は手をかざす。
「つーわけで――くたばれ、クソ野郎!!」
瞬間、どこまでも青白い光が伸びた。
「……ひっでぇな」
垣根は呆れたように呟く。
そして彼は笑うと、
「…………すっげぇムカついたわ」
冷酷な声で告げ、翼を全て真下に叩き付ける。
それらは光線を弾き、真っ直ぐに麦野へと向かう。
そうして、二人まとめて捻り潰される。
――そのはずだった。
「………………がっ!?」
胸に鋭い衝撃が走った、と感じた途端に垣根は後ろに大きく吹き飛んだ。
垣根が後ろに吹き飛んだのを見て、麦野はやれやれと首を振る。
「おっそいのよ、まったく」
そう呟いた彼女は、遥か後方――七百メートル先にある、
『簡易実験場』という、七階建ての建物の屋上を見る。
ここからでは見えないが、そこには狙撃用ライフルを構えた木原数多と滝壺理后がいる。
木原の考えはこうだった。
垣根を倒すにはまず、あの翼をどうにかしなければならない。
しかしながら、あの攻防一体の翼は木原達の持つ力では破れない。
ならば、考えを変えればいい。
翼を破るのではなく、翼による防御をさせなければいい。
つまりはこういう事だ。
誰かが囮になり、垣根にわざと六つの翼全てで攻撃させるのだ。
その間、彼の防御に僅かな隙が生まれる。
後は木原の精密な狙撃で垣根を叩けばいい。
『ちょっと待った』
そこまで説明を受けたフレンダが疑問を口にした。
『アイツ、さっき私の不意打ちに対応してたじゃん』
それに最初のそっちの狙撃にだって、と付け加える。
そう、垣根は不意打ちにだって対応していた。
仮に隙を生み出せても、瞬時に翼を引き戻して防御するのではないか?
そう、『アイテム』の誰もが思った。
『あー、それなんだがな』
木原はあっさりと告げた。
『かなりの遠距離からなら、ヤツは気付かねぇと思う』
『どうして?』
滝壺が首を傾げると、
『こいつは仮説なんだが……ヤツはおそらく、能力をレーダーみたいに使ってるんだと思う』
例えば、『超電磁砲』と呼ばれる、発電系では最高峰の能力者がいる。
彼女は確か特殊な電磁波を放つ事で、ソナーのように障害物の位置を特定する事が出来たはずだ。
それと似たようなモンじゃねぇか、と木原は告げた。
『もしヤツが広範囲にそんなモノが使えるなら、とっくの昔に俺達の所に来るはずだろ?』
そこまで言うと、木原は一呼吸して、
『まぁ、あくまで仮説だ。
もしかしたら、全然見当違いなのかもしれねぇ』
どっちかっつーとそっちの可能性が高いがな、と木原は付け加えた。
『で、どうする?やっぱ止めとくか?』
四人は顔を見合わせる。
もう、答えは決まっていた。
「……まったく、運が良いっていうか何て言うか」
「超ラッキーとしか言えませんね」
「結局、ヒヤヒヤしたけどね」
何とか生きていた絹旗と共に、麦野達は木原達と合流すべく歩き出す。
「でもまぁ、これでもう大丈夫じゃない?」
第二位、垣根帝督。
おそらくは、統括理事会の最終兵器。
それを撃破したとなると、向こうもそう簡単に新手は送らないだろう。
「つまりは……」
「私達の超大勝利、ですね」
やったね!と絹旗とフレンダは喜び合っている。
「コラコラ、油断しない。――特にフレンダ!」
え、私!と言った顔でフレンダは自分を指差す。
「ま、そりゃそうですよ」
「絹旗までーっ!?」
ガーン、という擬音が似合いそうなポーズを取ったフレンダを見て、麦野は苦笑いする。
「皆、無事?」
「よー、生きてっかー?」
前方から聞こえた声に、
「わーん、滝壺ーっ!麦野達がいじめるー!!」
あからさまな嘘泣きをしながら、フレンダが滝壺に抱き着く。
「大丈夫、私はそんなフレンダを応援している」
そんな事を言いながら、滝壺が頭を撫でる。
「よう、お疲れさん」
そう言った木原を見て、麦野は笑顔で――
「今度こんな仕事持ってきたら、ぶっ飛ばす」
木原に軽く、ボディーブローをかました。
「……そもそもよォ、俺がこうしてシナリオの裏を
全部知っちまえば『実験』は成り立たねェンじゃねェか?」
たくさんのレポートを眺めながら、一方通行はうんざりしたように言った。
彼は今、『実験』に関するレポートを全て読み切ったところだった。
一番基本的な、『実験』の概要が記してあるレポート読んでみると、
割り当てられた二万通りの戦闘を、
シナリオ通りに片付ける事によって伸びる能力の、その成長方向を操る事で、
一方通行を超能力者から絶対能力者(レベル6)へと進化させる、とある。
つまり、彼が『実験』の事を完璧に知れば、そもそも『実験』は成り立たなくなるのだ。
しかし――
「あー、その可能性も考えたんだがな……」
「あの統括理事会の事だ。
そうなったら多分、お前の脳からその記憶をまるごと消すと思うんだよな……」
学園都市には、学習装置(テスタメント)と呼ばれる機械がある。
脳の電気信号を直接操る事で『洗脳』する機械だ。
そういう技術がたくさんある学園都市には、
人の『記憶』を操る機械だってある、との事だった。
「……チッ」
一方通行は舌打ちして、もう一度レポートを漁る。
どれを読んでも、非の打ち所のない。
『樹形図の設計者』の演算は、完璧そのものだった。
どうすりゃイイ……?と呆然と考えていると、一つのレポートが目に留まった。
それには、そもそも何故『実験』を行うのかが書かれていた。
『現在、学園都市にいる七人の超能力者の内、
まだ見ぬ絶対能力へ到達可能とされているのは、
「学園都市最強」の第一位、一方通行である。
統括理事会からのオーダーより、私はその方法を調べ上げ…………』
そこまで読んで、一方通行はさっさと別のレポートを読もうとして――ふと、その手を止めた。
一方通行はもう一度さっきのレポートを引っ張り出し、読み返す。
(……待て。今俺は何に引っ掛かった?)
とにかく最初からレポートを読み返す。
「……………………ッ!!」
そして、気付いた。
この『実験』を止めるための方法に。
ガタ、と彼は椅子から慌てて立ち上がる。
「どうかしたのか?」
驚いて尋ねてきた研究者を見て、
「イイ方法が思い付いた」
そう言って、一方通行は周りの研究者達に告げた。
逆転の方法を。
「そんなの無理だ!」
「そうよ、そんな条件を満たせる人間がいる訳ないじゃない!」
それを聞き終えた途端、研究者達は皆口々に否定した。
当然だ、とは思う。
常識的に考えたら、ありえない話だろう。
しかし、
「……ま、任せろよ」
そう言って、一方通行はさっさと部屋を出た。
そのまま、ケータイを置いてきた部屋へと入る。
ケータイの充電はとっくに終わっていた。
手に取り、電話帳からある番号を選択して通話ボタンを押そうとして、指が止まる。
(………………)
一方通行は迷った。
本当に良いのか?
こんな事に、アイツを巻き込んでしまっても良いのか?
そう考えた彼の脳裏に、昨日の死体が思い浮かんだ。
(……もォ決めたじゃねェか)
何を犠牲に払っても、必ず妹達を助けると。
ならば、迷ってはならない。
一方通行はゆっくりと通話ボタンを親指の腹で押した。
今回は以上!
次回で三巻編終了予定です!
それでは皆様、またいつか。
乙乙
そして上条さんに電話か
ドキドキしすぎて濡れてきた
乙
木原パパも腹パンの犠牲者になったか……
乙乙
原子崩し腹パンとな…ゴクリ
上条さんに負けるという展開か?
>>189
予想はよそうぜ!
>>190
よそうだけによそうとな?
>>191
くだらないうえにageやがって…
アイテムのキャッキャウフフがていとくン復活フラグにしか見えない
>>193
予想はよそうぜ!
>>194
くだらないうえにageやがって…
あげぽよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
あげwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwあげwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
暇人乙
よく飽きもせずご苦労様です
これだからAUは
構ってる時点でなぁ……
そろそろだろうか
待ち続けるぜ
待ってるぜい
まだかー
待ってんぜー
無意味に上げるマヌケのおかげでこの作品を知ったわけだが、これは感謝すべきなのだろうか。
>>208
「感謝するぜ、このSSと出会えたこれまでの全てに」
>>209
ネテロさんじゃないすか
ネテロさんの腹パンほ、ちっとばっか響き過ぎでんなぁ。
スレを上げられたら他のスレをまるごと全部上げればいいじゃない!!
やぁ、皆様。お久しぶりでございます。
まずはご報告。ごめんなさい、三巻編の最後の書き溜めが消えちゃいました。
で、ちょっと現実逃避してました。
とりあえず、少ないですが書き直せた分だけ投下します。
『こちら絹旗。超特に異常無しです、どうぞ』
「……そりゃ良かったわね、どうぞ」
ある研究所の敷地内にて、麦野は退屈そうにトランシーバーに向かって声を出す。
あの後、予想通り敵の増援もなくなったので木原は帰ってしまった。
麦野達も帰ろうかと思ったが、一応朝まで残る事になった。
で、手分けして警備に当たっている訳だが。
「……暇すぎるわ」
正直言って、徹夜するのは辛かった。
あれだけ能力をバシバシ使ったせいもあって、酷く睡魔が押し寄せている。
(…………ダメよ、麦野沈利。寝たら死ぬわよ)
麦野は慌てて首を振る。
(垣根が一人、垣根が二人、垣根が三人、垣根が……やべ、殺意が湧いてきた)
とりあえず頭の中で百人の垣根に『原子崩し』を放つ。
「……はぁー」
ため息が小さな唇から零れ出た。
「……ねぇー。暇なんだけどー、どうぞ」
適当にトランシーバーで連絡を取る。
が。
「あれ? ちょっと絹旗ー、フレンダー? 聞いてんだろー?」
再度呼び掛けるが、一切返事が無い。
(…………)
何だか、嫌な予感がした。
そして――それは的中してしまった。
『ハハッ。ご機嫌よう第四位、どうぞ?』
その声には、聞き覚えがあった。
機械越しでもはっきりと分かる。
「……垣根、帝督…………ッ!?」
そんな、どうして、ありえない。
瞬時に様々な思考が脳に生まれる。
しかし、そんな暇はなかった。
『いやー、さっきはよくもやってくれたよなー? 俺もちょっぴりビビったぜ?』
「何故生きている……ッ!!」
犬歯を剥き出しにしながら、麦野はトランシーバーに怒鳴りつけるように叫んだ。
『何でって言われてもな。俺がテメェらごときに
あっさりやられると思うか? いやいや、そりゃねーよ』
垣根は笑って答えた。
どこか、馬鹿にしたように。
『……っと、それよりさー。テメェの大事な大事な仲間だけど――』
垣根は何か言おうとした。
が、麦野は無視して走り出した。
絹旗とフレンダがいる方角に向かって。
『――――殺しちまっても良いよなぁ?』
グシャリ、とトランシーバーを握り潰した。
「……どうして……」
暗い倉庫の中で、御坂美琴は一人呟いた。
その目は、驚きに揺れていた。
「――どうして誰も居ないのよ!?」
そう、倉庫には美琴以外には誰一人して居なかったのだ。
そんな事、ありえる訳がなかった。
もう一度、記憶を揺り起こす。
確かに時間も合っているし、場所も間違えていないはずだ。
あと数分で、悪魔のような『実験』が始まるはずなのに――被験者ですら居なかった。
(…………一体、何がどうなってるの……?)
まるで自分だけ蚊帳の外のようだ。
『実験』の一番深い部分に関わっているというのに、だ。
訳も分からず、美琴はただ呆然とそこに突っ立ていた。
――明日は晴れだろうか。
月明かりの下、少年はぼんやりとそんな事を思いながら夜空を眺めていた。
街のネオンからそれなりに離れているためか、美しく輝く星がよく見えた。
昔から星は好きだった。
いつかこの手に全て納めたい、などと幼い頃には思ったものだった。
ここは、とある学区にある操車場だ。
昨日はここで、残虐かつ非人道的な『実験』が行われた。
その『実験』の被験者である少年―― 一方通行は思う。
全てをここで終わらせる――いや、終わらせてみせる、と。
それこそ、全てを失ってもだ。
自分には、そうしなければならない義務がある。
いや。そうでなかったとしても、そうするだろう。
そんな事を深く考えていると。
「……よう」
背後から、聞き覚えのある声がした。
それは、彼の『親友』のものだった。
「…………来たか」
一方通行はそっと振り返った。
走って来たのだろうか、目の前の少年は随分と疲れた様子だった。
「……悪かったな、こンな所に呼んで」
「……」
上条は黙っていた。
何も言わずに、ただ一方通行を見ていた。
その事をおかしく思いつつも、一方通行は重々しく口を開く。
「……オマエを呼ンだのには、訳があって「前置きなんか要らねぇ」
一方通行の言葉を遮り、上条はカバンから紙束を取り出して、こちらに投げた。
それを見て、一方通行は驚いた。
何故ならそれは、『実験』に関して記述されたレポートだったからだ。
「……全部、御坂から聞いたよ。『実験』の事も、昨日の事だって」
だからさ、と上条はまっすぐに一方通行の目を見る。
「何があったか教えてくれよ、一方通行。お前がこんな事を進んでする訳がない」
「………………」
一方通行は、じっと上条を見る。
そして、彼は目を伏せた。
「……俺は…………を、……ったンだよ」
「……え?」
小さく小さく、彼は何かを呟いた。
上条に聞き取れないほどにだ。
その様子を確認して、一方通行はもう一度言った。
「――――俺は、オマエらを守りたかったンだ」
「………………それは、どういう意味だ?」
上条が聞くと、一方通行はゆっくりと語りだす。
「オマエがどォして『記憶』を無くしたか……言ったよな?」
「あぁ……インデックスを庇ったんだよな?」
「………………そォだ」
一方通行は瞼を閉じた。
あの日の事は、今でも鮮明に覚えている。
きっと自分は、一生忘れられないだろう。
「オマエは、自分かあのガキのどちらを助けるかで――あのガキを選ンだ。そして、『記憶』を失った」
でもよ、と一方通行は区切る。
「ホントにどちらかしか助からなかったのか? ……そォ、今でも思うンだよ」
あの時の事を思い浮かべてみる。
上条当麻とインデックスに降り注いだ無数の羽。
一方通行が必死に風を操っても、あれらは何の影響も受けなかった。
あの無数の羽は、既存の物理現象の影響など一切受け付けない『魔術(異能)』だった。
だから、『科学』の結晶である一方通行にはあれらに干渉するのは不可能である。
なるほど、確かにその通りだ。
普通に考えれば、誰でも分かる話だろう。
しかし、それは本当だろうか?
もっとよく、あの日の事を考えてみるべきだ。
一方通行には、神裂火織の『魔術』が操れたではないか。
確かに、『魔力』という要素を解析しなければ操れないが、
彼はその『最強』の能力によって、全くの未知ですら支配してみせたではないか。
『最強』だから、そうする事が出来た。
――――ならば、『無敵』だったら?
もしも一方通行が『最強』などではなく、唯一無二の『無敵』だったら?
あの日、一方通行は『上条当麻』を助ける事が出来たかもしれない。
もちろん、『無敵』になったところで時は戻る訳では無い。
その力で上条当麻の記憶が戻る訳でも無いだろう。
だから、自己満足。
この先、同じような事が起きないようにするために。
目の前で、大切な人達を失わないように。
少しでも――――本当にわずかでも良いから――――力が、欲しかった。
大事な人達を守れる力が。
「――これが、俺が『無敵』を求めた理由だ」
上条は、ただ黙って聞いていた。
何も言わず、何の感情も顔に浮かべずに――ただただ、聞いていた。
「そして昨日、俺は『実験』の話を聞いてこの場所に来た。
…………一体何をするのかも全く知らねェのに、
馬鹿面下げて、ホイホイと来ちまったンだ。
……自分がしたかった事と、おもいっきり正反対の事をさせられるハメになるって言うのによ」
一方通行は力無く笑った。
「……ホント、馬鹿だよなァ。
戻れるモンなら、戻って全部止めてェよ」
一方通行は、まっすぐに上条を見た。
「……オマエに、頼みがある。
妹達を、アイツらを助けるのを手伝ってくれ。
こンな事に何の関係もねェオマエに頼むなンて、
ふざけた話だって事は分かってる。
でも、頼む! 俺は、俺はアイツらに生きて欲しいンだ!!」
一方通行は深く深く、頭を下げた。
今この場に彼を知る者がいれば、ひっくり返っている事だろう。
言い過ぎかもしれないが、それぐらいの事だった。
「……お前、今関係ないって言ったよな?」
上条はゆっくりと、確認するように尋ねた。
そして――
「――この、大馬鹿野郎!!」
大きな叫び声が、辺りの暗闇に響く。
「何が関係ないだよ! 何が守りたいだよ!!
何でもかんでも一人で背負った気になりやがって!!」
上条は一気にまくし立てた。
徐々に語気が強くなっていっている。
「辛いなら辛いって言えよ! 困ってたならすぐに言ってくれよ!!
確かにお前からすりゃ、俺なんてただの無能力者の、頼りない奴かもしれねぇよ!!」
だけどな! と上条は区切る。
「――――俺はお前の『友達』だろうが!!」
「――――ッ!!」
思わず、息を呑んだ。
「お前が俺を助けてくれたように、俺だってお前の力になりてぇんだよ!」
だから、と上条はじっと強く一方通行を見た。
「手伝わせろよ。関係ねぇとか言わないで、『友達』としてさ」
「……………………」
一方通行は、何も言えなくなってしまった。
彼は何かを考え、そして――
「……ありがとよ、『親友』」
小さな声で、礼を言った。
つー訳で今回は以上!
遅れといてこの短さはないですね、すみませんでした。
とりあえず、次でちゃんと三巻終わらします。
今度は早く来れると思います。
それでは、またいつか。
以下、どうでもいい報告。
今から電磁通行でスレ立ててきます。
昨日、一昨日と総合に暇つぶしに投下してたんで、見た人もいるかもしれません。
よければ、見てやってくださいね。
こっちのスレ優先で書きますが。
リアルタイム乙
久々にきたと思えば書き為が消えてたのか
それはご愁傷様です……
電磁通行とな?ぜひぜひ楽しみにさせていただきます
乙です。
電磁通行もこのスレも楽しみにしています。
乙
美琴蚊帳の外過ぎる……抱き締めたくなるぐらい哀れだ
という訳でポツンとしてる美琴は貰っていく
総合の電磁通行って言うともしかしてアレか
総合投下分も一緒に投下した方が良いかもな
まってたぜ!乙!
電磁通行の方もwwktk
助けられる側の視点から見ると上条さんかっこよすぎるな
こりゃフラグ建ちまくってもしょうがないわ
電磁通行の題名求める!!
上条かっこいいな 一方通行も…
>>227
どうぞどうぞ、御坂さんはあげますけど一方×上条さんは貰っていきますね!さてn・・・・・・ゲフンゲフン友達もそれがいいって言ってますし!
>>1乙!
あれ?
じゃあ、このSSも電磁通行になるんかね?
立てたらこっちにもリンク貼ってくれよ!
絶対行くから!
つ
美琴「ねぇ……いつになったら、アンタは許されてくれるの?」 一方通行「…………」
こっちも待ってる
皆様、どうもお久しぶり。
まだ、終わらない三巻編。
とりあえず、最終回前編をどうぞ。
「それで――俺はどうすりゃ良いんだ?」
暗闇の中でも目立つ、真っ白な少年に上条は質問する。
具体的に、自分に何が出来るのか。
自分は無能力者(レベル0)の、一方通行よりも無力な存在だ。
闇の世界に詳しい訳でもない、そんな自分に一体何が出来るのか。
その一点がとにかく気になっていたのだ。
「あァ……。いや、そォ難しい話じゃねェ。
オマエにとっちゃ日常茶飯事な事をしてもらうだけだからよ」
一方通行は軽く答えた。
「……日常茶飯事?」
はて? と上条は不思議がる。
まだ数週間分程度しかない『記憶』を揺り起こす。
思い浮かんだのは、不幸や補習などだけだ。
(…………いや、ないない)
そんな事、この局面で役立つ訳がない。
じゃあ何だ? と必死に考えていると。
「……何、話は至ってシンプルだ」
上条の思考を見透かしたように、一方通行は小さく笑った。
「――――俺と、ケンカしろ」
「………………………………え?」
思わぬ言葉に、間抜けな声を出してしまった。
「……だから、ケンカだよ、ケンカ」
呆然としている上条に、一方通行はもう一度告げた。
「ケンカって……あのケンカ、だよな?」
「他に何がある」
上条の確認に対して、彼は何の迷いもなしに即答した。
「…………何で「そォなるンだ、だろ?」
上条が言い切る前に、予想でもしたかのように、一方通行はタイミング良く先を言った。
「まァ、理由を言わなきゃ分かンねェよな」
そう言って、一方通行は真上を見上げた。
「……『樹形図の設計者』、は知ってるよな?」
「……あぁ。この『実験』の予測演算をしたスパコン――いや、今は人工衛星だったか」
「……そォだ。そいつがそもそも『実験』が成功するなンて言わなきゃ、こうはなってなかった」
一方通行は、残念そうに呟いた。
「……で、その元凶がどうかしたのか?」
上条が聞くと、
「今からほンの一ヶ月前ぐれェに撃ち落とされたンだよ、それ」
とてもあっさりと、軽い口調で告げられた。
「撃ち落とされた、って……」
思わず、驚いた。
何せ、この街の最高峰の技術をもってして作られた機械が、破壊されたと言うのだ。
それも、宇宙を漂っている、だ。
それなりに驚かずにはいられなかった。
「ま、ンなこたァどォでもイイ。
……とにかく、どっかの誰かさンのおかげで、活路が見出だせたンだ」
本当にどうでもよさそうに、一方通行は言った。
「……『実験』は、『樹形図の設計者』の予測演算によって成功すると言われた。
……じゃあ、もしもその演算に一つでも欠点があったら? 何か一つ、致命的なミスがあったらどうなる?」
上条は一方通行の質問の意味をじっくりと考えて、
「……『実験』は、失敗するかもしれない……?」
ゆっくりと、考えを確認するように呟く。
複雑な方程式などを解く時を思い浮かべれば良い。
たった一つでも計算を間違えれば、答えは違ったモノになる。
それと似たような事だろう。
そうなれば、『実験』をしたい人間は、どうせざるを得ない?
(……ミスを直すために、『実験』を中止するしかない!!)
だから『樹形図の設計者』が壊れて活路が見出だせたのか、と上条は納得した。
『樹形図の設計者』はその演算能力に任せて、とてつもない量の複雑な計算を行う。
人間だけの手でミスを直すには、かなりの時間を要する。
「……どういう事か、分かったか?」
上条の顔色から推測したのか、一方通行が尋ねてきた。
「……まぁ、大体。つまり、俺がお前とケンカするのがミスに繋がるんだな?」
何故そうなるかは分からないが、とにかくそういう事なのだろう。
「……あァ、そうだ」
事実、一方通行は肯定した。
「簡単に説明するとよ、俺とオマエがケンカして、俺が負けりゃイインだ」
「……お前が負ける?」
その言葉の意味を、上条はよく考えてみる。
一方通行は『学園都市最強』だ。
それが、『学園都市最弱』の自分に負ける。
つまり、
「お前が、実は『最強』じゃないって証明するって事か?」
そう言ってから、上条はさらに考える。
仮にそうなったら、一体何が欠陥になるのか。
(――――あ、そうか)
とても簡単に納得した。
考えてみれば、単純な話だった。
この『実験』は、一方通行が『最強』だからこそ行われるのだ。
七人の超能力者の中でも、唯一の可能性を秘めた者。
では、そうではなかったら?
一番底辺の、本当に何の能力もない無能力者に負けたら?
それはつまり、『実験』の大前提が崩れさる事になる。
(なるほどな……)
だから、上条を呼んだのだ。
わずかながらに、何かの能力を使う事も出来ない。
一番簡単な、スプーン曲げですら出来ない。
そんな人間は、この街の学生では上条当麻しかいない。
「……さて、分かったならなによりだ。
……早速、始めちまっても構わねェか?」
そう言って、一方通行は上条を見た。
「……あぁ、こっちはいつでも構わねぇよ」
上条は右手を握り、一方通行を見る。
「言っとくが……手加減なンざしねェぞ。
本気でオマエを倒しにいって負けねェと意味がねェからな」
油断していたから負けてしまったのでは、などと言われる可能性もある、との事だ。
「ハッ、上等だ」
不敵に笑って、上条は身構える。
「行くぞ『最強』!!」
「来やがれ『最弱』!!」
今、確かに戦いの火蓋が切って落とされた。
操車場のレールの上にて、最強と最弱は睨み合う。
互いの距離はたったの五メートルだ。
上条なら、二秒もあれば距離を詰めて、殴り掛かる事が出来るだろう。
「――――お、おおおぉぉぉっっっっ!!」
叫ぶと同時、上条が駆け出す。
その勢いのまま拳を握り締め、突き出す。
が。
一方通行は冷静に地面を踏むと、
その『衝撃』のベクトルを操り、砂利を上条に向けて放ち迎撃する。
このままでは、上条は勢いよく吹き飛ぶだろう。
「……くっ!!」
しかし、上条はそれを予想していたようにピタリと拳を止め、横に軽く跳ぶ。
わずかに砂利が頬を掠め傷を作るが、どうにか避けられた。
上条はさらに接近しようとしたが、その前に一方通行が脚力のベクトルを操って後方へと跳んだ。
この勝負、はっきり言ってどちらにも勝機があった。
二人は互いに相手の手の内を知っている。
上条は、一方通行がどのように能力を使うのか、大体は見知っていたし、
一方通行は、上条の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』の
弱点――異能の力を打ち消せても、それによって生まれた二次的事象は打ち消せない――を知っていた。
そんな訳で、二人は互いの弱点を攻めて戦う。
上条は接近戦を、一方通行は遠距離戦を。
正反対の戦法で、二人は激突していた。
「――――ッ!!」
一方通行が放った、小さな風の散弾をギリギリで回避して、上条は突っ込む。
今度は目の前で、砂利を巻き込んだ複数の竜巻が起こる。
それらの微かな隙間をくぐり抜けて、上条は走る。
そうして射程範囲に入った一方通行に拳を叩き付けようとするが、すぐに彼は後ろに下がる。
先程から、ずっとこの繰り返しだった。
このままでは埒が明かない。
いや。それどころか、どんどん上条が劣勢になっていく。
上条の体力が限界に近付きつつあるのだ。
上条と一方通行では、運動の量が違う。
一方通行はその能力によって、最低限の力で動いている。
対する上条は、一方通行の猛攻を必死にかわしながら、全力で走っている。
体力は上条の方があるのだが、その消費も上条が上なのだ。
確かに上条には、『幻想殺し』がある。
一方通行の絶対的な『反射』を破る、奇跡の右手が。
しかしそれも、相手に接近しなければ何の意味も無い。
(…………クソッ、どうにかしねぇと……!!)
とにかく、一発でも殴れれば上条に勝機が見える。
一方通行は打たれ弱い。
たったの一撃だけで、簡単に怯む。
そうなれば、一気に攻めるのもたやすい。
ただ、
(……どうしろってんだよ!?)
その方法が思い付かない。
一方通行には何千通りの攻撃手段があるが、上条には右手一本しかないのだ。
そんな状況では、どうにもなる訳が無い。
(と、うぉっ、おおぉっ!?)
そう考えている内に、大量のレールが頭上から降り注いだ。
今日はどうやら、鉄関係の物体がよく降る日らしい。
直撃は避けられたが、レールが落ちた際に巻き起こった突風に吹き飛ばされた。
「ぐっ、あ、は……ッ!?」
辺りに積み上げられていた、物資の入ったコンテナに勢いよく衝突した。
(……う、ぁ)
意識を朦朧とさせながらも、上条は必死に立ち上がる。
と、そこへ――――
(……っ、おいおい嘘だろ?)
真上から、コンテナの山が落ちてくる。
どうやら、先程叩き付けられた際に、衝撃で崩れてしまったようだ。
「――――あぁあああっ!!」
力の限り叫び、彼は走る。
一方通行のいる位置とは正反対の、最初に会話した所へ。
辺り一帯に、轟音が炸裂する。
「…………く、ぉ」
上条はまたも強風に吹き飛ばされるが、どうにか生き延びる事が出来た。
何と言うか、珍しく幸運だ。
しかしながら上条には、今そんな事を考える余裕が無い。
(……何か考えねぇと)
コンテナのおかげで、一方通行の猛攻から一時は逃れられた。
ちょうど二人に割って入るように落ちたので、分断されたのだ。
となれば、今が唯一逆転の手立てを考えるチャンスだ。
そう思っていると、
「けほっ、こほっ……?」
辺りに何か、細かな粒が舞っているのに気付いた。
(これって……小麦粉、か?)
おそらくは、目の前にあるコンテナの中身だろう。
(……この状況なら、闇討ち出来るかもな)
もう少しすれば、この辺りは全て白い粉まみれだろう。
そうなれば、当然視界が悪くなる。
(……いや、それだけじゃダメだ)
上条の頭には、ある一つの予感があった。
(となると、だ)
上条は歩き出す。
その眼には、何の迷いも諦めも無い。
(…………)
一方通行は目の前を見た。
そこには、大量のコンテナが彼の行く手を阻むように転がっていた。
もっとも、彼にとってこのコンテナの大群は脅威にはならないが。
一方通行は勢いよく正面に向かって突進する。
一方通行の体は鉄の塊にぶつかるが、彼は無傷のままだった。
それどころか、逆にコンテナの方が一部凹み、ひしゃげ、吹き飛ばされてしまった。
と、同時に。
「…………ッ!?」
一方通行の視界が、白一色に染まる。
(……コイツは……)
真っ白な景色に立った、真っ白な少年は冷静に状況を把握する。
どうやら、自分の視界を彩っているのは小麦粉らしい。
(…………ふン)
普通ならば、ここで奇襲の可能性を考えてどう動くか迷うものだが、一方通行は違った。
(――――大気の流れを演算、風の当たった位置を逆算)
一方通行は風を操り、小麦粉を全て消し飛ばす。
さらに、辺り一面に突風を吹かせる。
そうする事で、風の流れが阻まれたポイントを探す。
その中でも、ちょうど人の形をしている障害物を特定する。
(……見ィつけたァ!)
一方通行は即座に側面を見る。
そこには、
「――――おおおおぉぉぁぁあああっ!!」
上条が、拳を振り上げて迫っているのが見えた。
一方通行は大地を踏み、大量の砂利でボディーブローを上条にお見舞いする。
両者の距離は、もうニメートルもないだろう。
この至近距離、奇襲に対する虚を付く迎撃。
これではさすがの上条も回避は不可能だ。
事実、散弾は見事に上条の胴を捉えた。
彼の胸の辺りから、ミシリ……ッ! と何かが軋む音と、
ガシャッ! という、何か石同士が勢いよく衝突したような音が聞こえる。
そこまで見て、一方通行はおかしいと思った。
上条が散弾に衝突した時の音もそうだが、違う。
もっと、ありえない事が目の前で起きていた。
「――――お、らぁああああっっ!!!」
上条が失速せずに、歯を食いしばって変わらずに右拳を振り上げていたのだ。
(…………な……)
一方通行は言葉を失い、回避を忘れてしまった。
そして――――
ガンッ! という強烈な音が響き、一方通行が後ろによろめく。
上条の拳が、初めて一方通行に届いた。
この時より、上条当麻の逆転劇が始まろうとしていた。
「――――しっ!!」
一方通行が痛みに怯んでいる間に、上条はさらに距離を詰めた。
「くっ――」
一方通行は慌てて、最強の能力によって後方に下がろうとした。
しかし、
バギン! という音と共に、一方通行は変わってしまった。
『学園都市最強』から、『学園都市最弱』へと。
一方通行が下がる前に、上条が右手の爪で一方通行に触れたのだ。
その結果、一方通行はほんの一メートルほどしか、上条と距離を開けられなかった。
「――――がっ!!」
驚く間も無く、一方通行はもう一度殴られた。
それだけで、一方通行はフラフラになってしまう。
「…………ゥ、く」
一方通行は必死に朦朧とした意識を覚醒させようとする。
そこへ、
左肩を、突如掴まれた。
そうしてがっしりと固定された一方通行の顔面に、上条の『左手』が決まる。
それだけでは終わらず、二度三度と拳は一方通行に沈み、最後に頭突きをもらった。
「――が、ふ」
頭突きを食らい、肩を固定する『右手』が離され、能力が戻る。
一方通行はよろよろと膝を突く。
ここで気絶しても、何もおかしくはない。
なのに、それでも、一方通行は立ち上がろうとしていた。
必死に、右拳を握り締める。
「…………」
上条も、同じように右拳を握る。
そして――――
「歯を食いしばれよ、最強(最弱)」
上条は、堂々と宣言する。
そうしてから、拳を振り上げた。
「――俺の最弱(最強)は、ちっとばっか響くぞ」
二人は、同時に拳を相手に叩き付ける。
あらゆるベクトルを操る『必殺』の拳が上条に、
強い意志の篭った一撃が、一方通行の顔面に吸い込まれるように決まった。
(――――あ)
ぼんやりと、一方通行は何かを思った。
今度こそ彼はそのまま吹き飛び、先程破壊したコンテナに衝突する。
衝突した時の衝撃を『反射』出来ず、一方通行は大ダメージを受けた。
ズルズルとコンテナに背を預け、彼は目の前を見つめる。
そこには、一方通行と同様に、コンテナに背を預けて座る『親友』がいた。
だが一方通行と違い、彼はゆっくりと――静かに体を動かしていた。
彼は、立ち上がった。
(……はは…………)
一方通行は朧げなはずの意識で、明確に思う。
(……オマエ、スゲェよ)
やはり、自分の考えに間違いなどなかった。
彼を、信頼して良かった。
「――オマエが、『友達』で良かった」
最後の思考だけ、口から出てしまった。
これで良い。
そう思いながら、一方通行は意識を深い闇へと投げ出した。
何故だか、とても温かいモノを感じながら。
「……ン」
一方通行は、そっと目を開けた。
目の前には、真っ白な天井がある。
(…………ここは……)
体を起こしてみると、何とも見覚えのある部屋がある。
そう、ほんの数週間前に、誰かがいたような部屋。
と、そこへ――
「……やぁ、お目覚めかい?」
ガチャリと入口のドアが開き、これまた見覚えのあるカエル顔の人物が現れた。
「おはよう、一方通行。良く寝ていたね」
そんな事を言いながら、彼――冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)はベッドの近くにある椅子に腰掛けた。
「……何で俺はオマエの病院に居る?」
そう聞くと、
「うん? それは君が一応怪我人だからだね」
笑顔で答えて、冥土帰しは立ち上がる。
「まぁ、君のお友達が救急車を呼んだんだけどね?
どうせだからここに運ぶようにって、
これまた君のお知り合いが言ったものだからね。あとは、そっちに任せるよ」
僕は別の患者がいるから、と言って冥土帰しは部屋を出た。
「…………」
壁に掛けてある時計を見る。
もう、午前十時を軽く過ぎたところだった。
とりあえずベッドから出るか、と考えた彼は立ち上がろうとした。
すると、
「おはよう、一方通行」
またドアが開き、見覚えのある顔が出て来た。
「……芳川、か」
その人物――芳川桔梗はゆっくりと近付いて来て、先程冥土帰しが座っていた椅子に着いた。
「目覚めたと聞いたものだから、木原の代わりに色々と報告しようと思ってね」
「……っ!そうだ、妹達(シスターズ)……アイツらはどうなった!?」
「まぁ、落ち着きなさいな」
落ち着いた様子で芳川はなだめると、
「まず、『実験』だけど……君と君のお友達の行動によって中止になったわ」
そう言うと芳川は書類を差し出した。
統括理事会の正式なモノらしいそれに目を通すと、確かにそんな事が書いてある。
「……で、あくまで『中止』だから妹達の廃棄処分もなし。まぁ、上手くは行ったわよ」
ただし、と芳川は付け加える。
「『実験』の研究権は理事会が持っていったわ。
もしかしたら、別の研究所がまた再開のために無駄なハッスルをするかもしれない」
ま、万に一つも無いでしょうけど、とさらに加えた。
「……妹達自体は、どォなる?」
残り一つの心配事を消化しようと、一方通行は口を開く。
「……そっちは問題無しよ。主に、冥土帰しのおかげでね」
芳川は昨日、冥土帰しの元を訪れていた。
冥土帰しに、学園都市外部の信頼出来る機関を紹介してもらうためだったらしい。
彼は、学園都市の中でも古参の人間らしく、世界中に個人的なネットワークを形成している、との事だ。
「とにかくそんな訳で、今は研究所の皆でそれら一つ一つに連絡を取ってるわ。
じきに、妹達の体を『調整』してくれて、預かってくれる場所も決まるでしょう」
つまり、それは、
「……良かった」
一方通行は、嬉しそうに小さく呟く。
「……ふふ、それじゃあね一方通行。私も手伝わなくちゃいけないから」
微笑みながら芳川は立ち上がると、部屋を出ていく。
「……」
一方通行は無言でベッドに寝転がった。
何だか安心した途端に、眠くなってきた。
そこへ――――
「―― 一方ちゃん!」
妙に甘ったるい女の子の声がした。
見れば、入口のドアが開いていて、誰かがいた。
その人物は、
「……ンだよ、チビ教師か」
一方通行と上条のクラスの担任、月詠小萌先生がいた。
「ンだよ、ではないのですよー!! まったく、心配したんですよ!?」
何やらお怒りの様子で、彼女は近付いてきた。
「……それで? どうしてまた、上条ちゃんと魂のぶつけ合いなんかしたんですか?」
夏休みなんだから、もっと学生らしい青春の仕方をしろ、だとか説教を食らった一方通行は、解答に困る。
目を軽く逸らして、じっと見つめる視線を頑張って回避する。
「…………まったく」
そんな感じにごまかすと、小萌先生はため息を吐く。
「先生も大人です。話したくないなら、構いません」
でもですね、と彼女は区切る。
「先生は……先生は、一方ちゃんの味方なのです。
……だから、今度何か困った事があったら、先生に話してください。
先生には、確かに何も出来ないかもしれません。
でもでも、話を聞く事も、一緒に考える事だって出来るんですよ?」
だから、一人で抱えないでくださいね? と言って、小萌先生は出口へ歩き出す。
「先生は、上条ちゃんの所に行ってきます。
……お大事に、一方ちゃん。二学期に、また会いましょう」
「………………あァ、分かったよ『先生』」
それを聞いた小萌先生は、慈しむように笑って部屋を出た。
「……」
一方通行は、じっと小萌先生が閉めたドアを見つめる。
「…………敵わねェ、な」
一人、呟いた。
やれやれ、と一方通行は今度こそ寝転がろうと――――
「……。元気?」
またもドアが開き、見覚えのある巫女服を着た少女が現れた。
「これ。食べる?」
ゆったりとした動作で椅子に腰掛けた姫神は、どこからかリンゴを取り出した。
疲れた時には甘い物、との事だった。
無言で頷くと、彼女はこれまたどこからか取り出した果物ナイフを使い、器用に剥いた。
そうして、リンゴの身に刃を入れる。
あっという間に、白いお皿の上にうさぎさんリンゴ軍団が出て来た。
「……ありがとよ」
彼は珍しく素直に礼を言って、リンゴを取ろうと――
「……何のつもりだ、そりゃ」
呆然と一方通行は目の前を見る。
そこには、リンゴを手に取った姫神がいる。
「あーん」
「あン?」
訳が分からない、と言った顔で彼女を見る。
「だから。あーん。して」
「……こォ、か?」
口を開くと、中に白い身が突っ込まれる。
それをゆっくりと噛むと、シャリッと音がして口一杯に甘い味が広がる。
「美味しい?」
姫神がいつも通りの、何を考えているか分からない表情で尋ねてくる。
「……おォ」
とりあえず答えると、彼女はさらにもう一つうさぎを手に取る。
「もっと食べる?」
「……いや、イイ」
「……。そう」
姫神は、特に何も言わずにリンゴを皿に戻す。
「聞かねェのか?」
「何を?」
不思議そうな顔で、逆に聞き返された。
「俺がどォしてケンカしたのか」
てっきり、このリンゴで聞きやすい雰囲気にするのか
と思っていたのだが、姫神は一切何も聞いてこない。
姫神は、あぁ、と合点が行ったような顔をすると、
「……。君は。聞いて欲しい?」
「…………」
一方通行には、答えられなかった。
「私も。人には言えない秘密がある。君にも。そう」
一方通行は、目の前の少女を見る。
『吸血殺し(ディープブラッド)』。
多くの人を不幸に導く、そんな能力を持ってしまった、不幸な少女。
その事を知られまいと、彼女も必死だったのだろうか。
「だから。私は気にしない。君や上条君が。何の意味もなく戦う訳が無いと思うから」
ただ、真っ直ぐに一方通行を見て、姫神は告げた。
「…………そォか」
一方通行も真っ直ぐに姫神を見る。
「リンゴありがとよ、姫神」
うん、と姫神は満足したように、微かに笑った。
今回は以上です。
次回、次回こそ三巻編終了です。
それじゃ、またいつか。
乙~
ゆっくりまってるぜ
乙です!
人望のある一方さんカッコイイ
乙!のんびり歓迎
>>264
オマエそれはネタでやってるのか?
まぁとにかくいちおつ!
ひろし達はどうなったんだ!? 待ってるぞ
GJ
よく考えたら姫神って料理できておっぱいでかくて黒髪ロングってかなり上玉だよな
乙!
御坂は置いてけぼりなんだっけ?
>>266
一瞬[?]ってなったが中の人つながりか
>>269
倉庫で体育座り中
吸血通行、、、考えてみるか
吸血通行ってしらない人が聞いたらまじでやべえよw
吸血しつつ通行してるからなjk しかし上条さん… 姫神とのフラグを忘れていないか?
>>273
我スルーされる、故に我あり
追いついたとか言ったら「どうでもいいわそんな事」って言われるかもしれんが追いついた。
いやあ 上条「いくぞ、親友!」一方「おォ!!」 から見て、やっと来たけど面白いね。
それにしても腹パンワロタwwwwww
どうもお久しぶりです。
三巻編最終回。早速投下していきます。
「それじゃあ。またね」
「あァ、じゃあな」
しばらくして、姫神は部屋を出て行った。
今日から、新しい学校を決めるために色々とある、との事だ。
早く決まるとイイな、と一方通行は姫神を見送った。
「……甘ェ」
ベッドに座り、リンゴを一つ手に取ってかじる。
甘いのは正直苦手だったが、剥いてくれた姫神に悪い。
それに何と言うか、もう寝る気にもなれなかった。
(……)
一方通行は少し何かを考えて、ドアを見る。
「……で、いつになったらオマエらは入ってくるンだ?」
すると、待ってました、とばかりにドアが開く。
「……超疑問ですが、いつから分かってました?」
「そォだなァ、だいたい数分前か」
そこから現れた連中を見て、一方通行は眉をひそめる。
そこに立っていたのは、一人を除いて、包帯などで怪我の痕が見えている『アイテム』の面々だった。
「昨日は助かった。アイツらを守ってくれて」
昨夜、彼女達は妹達の護衛をしてくれたらしい。
それこそ、統括理事会の息の根がかかった連中から命懸けで。
一方通行としては、彼女達には感謝の気持ちで一杯だった。
「何言ってんだか。私達は統括理事会に従うのが面倒だっただけよ」
そっけない態度で、麦野は返す。
「…………そォか、ありがとよ」
一方通行が笑うと、
「あ、あの一方通行が超笑顔です……ッ!!」
「こ、これはなかなかビックリする訳よ」
「あくせられーた、笑顔似合ってるよ」
「……っつーか、礼なんて言われる覚えは無いってば」
四者四様のリアクションに、一方通行はさらに笑った。
「……っとと」
突如、白い部屋で流行りのポップスが流れた。
何だ? と思っていると、麦野がケータイを引っ張り出して、液晶画面を見た。
どうやら、麦野のケータイの着信音らしい。
(……ケータイって使ってイイのかァ?)
病院ではペースメーカーなどの機械の故障を防ぐために、
ケータイのような電子機器の使用は禁止されているはずだ。
(……いや、そォか)
そこまで考えて、自分がいる病棟では一応ケータイの使用が認められている事を思い出した。
「……うっわ」
とても嫌いな奴に偶然会ってしまったような声を出して、
スピーカー部分を耳に当てようとせずに、彼女は大儀そうに通話ボタンを押した。
すると――――
『こいつと来たらーーーっ!!!!』
先程流れた歌より、さらに大きな声が部屋中に響いた。
途端に、滝壺以外の『アイテム』の三人が嫌そうな顔をした。
麦野は無言で部屋の出口へと歩き出す。
その間も、何やら電話の声がわめいている。
ドアの前に立ち、麦野は振り返った。
バイバイ、と手を振って、彼女は部屋を出た。
「……ウチの上司です」
訳が分からない、といった顔をしている一方通行に、絹旗がため息混じりに説明した。
おそらくは命令違反へのお咎めだろう、との事だった。
「大丈夫、なのか?」
命令違反という事はすなわち、統括理事会へと喧嘩を売ったも同然である。
正直言って、安全だとは言えないだろう。
ところが、
「何、私達は超優秀ですから」
「結局、仕事が増えるだけって訳よ」
「うん、大丈夫だよ」
まったく問題なさそうに、彼女達はあっけらかんとした調子で答えた。
「…………なら、イイがな」
一応納得したように言うと、彼女達は笑った。
「――さて。それじゃ、超お大事に、一方通行」
「またねー」
「元気でね。あくせられーた」
三人とも、麦野を追って部屋を出て行った。
「……ホント、相変わらずだな、アイツら」
誰もいない部屋で、一方通行は呟いた。
ほんのちょっぴり、笑みを浮かべながら。
『まったくもう! ホント何やらかしてんのアンタらはーっ!』
「だーかーらー。悪かったってば」
非常に面倒そうに、麦野は上司である『電話の声』に応対する。
さっきからこんな会話がずっとループしている気がする。
「……で? ペナルティは?」
いい加減に飽きて来たので、本題に入る事にした。
『あぁ、あぁ、そうですかそうですか!
人が頑張って色々と後始末したげたのにそんな態度で来る訳!
まったくもーっ!! もうちょっと上司に対して敬意は払えないのかしら、こいつと来たらー!!』
「うるせぇ。ちょっとは真面目な口調で喋れるようになったら、
敬意でも何でも好きなだけ払ってやるから黙って報告しろよ、馬鹿」
ぬぐぐ……ッ!! と何やら悔しそうにしている『電話の声』だったが、
すぐにこうしている時間が惜しい事に気付いたらしく、さっさとペナルティの報告だけして通話を切った。
「……」
やれやれ、といった感じにケータイをしまう。
そこへ、ちょうど絹旗達が一方通行の病室から出て来た。
「あぁ、麦野。向こうは何て?」
「んー、仕事増やすんだってさ。早速今日から大忙しよ」
とりあえず移動開始ー、とやる気のない声で告げて麦野は率先して歩く。
(……垣根帝督、か)
病院の玄関口で下部組織からの迎えを待ちながら、ぼんやりとその名を思い出す。
昨日の夜、自分達をたった一人で圧倒した男。
己と同じとは思えない、超能力者の第二位。
麦野はゆったりとした動作で仲間を見る。
非戦闘員である滝壺を除く皆――麦野も含む三人は、目には見えないが、それなりに怪我を負っていた。
(……クソッタレが)
彼女は空を見上げて、昨日の事を考えてみた。
とある研究所の敷地内に、三人の少女がいた。
そのうち二人は地面に倒れ伏せて、残り一人は膝を突いている。
「ハァ、ハァ……ッ!!」
膝を突く少女――麦野沈利は肩で息をしながら、上空を見上げる。
そこには、
「――あー、もう終わりで良いか?」
圧倒的で絶望的な力を振るう、天使の翼を持つ悪魔がいた。
悪魔――垣根帝督はにこやかに告げる。
「いやはや、あんま手間取らすなよな。
テメェらなんざあくまでオマケなんだから」
まるで彼女達の事など眼中にないように言った。
いや、実際眼中になどないのだろう。
麦野達『アイテム』は、この街では上位に君臨する暗部組織だ。
だと言うのに、この男の前ではまったく意味を成さない。
もはや、存在する世界が違うのだ。
麦野には、目の前の男と自分が同じ超能力者だなんて、全く思えなかった。
「じゃな、第四位。仲間と一緒に華々しく散らせてやる」
垣根が六つの羽の内、四つを展開させる。
そうして、それらを勢いよく振りかぶった。
麦野はギュッと目を閉じる。
これから来るであろう痛みを予想して、彼女は『原子崩し』を撃つ準備をする。
この男に殺されるぐらいなら、自殺を選んだ方がマシだと思ったのだ。
(……ゴメン、一方通行)
脳裏に浮かんだ『友達』に謝った。
それが、麦野沈利の最期の言葉になる。
――はずだった。
「……え……?」
突如、闇夜に似つかわしくない明るい音が響いた。
何事か、と麦野はそっと目を開く。
すると、垣根が面倒そうに何か――おそらくはケータイだ――を取り出しているのが見えた。
「……何だよ、もうちょいで終わるトコなのに」
彼はケータイを操作して、誰かととても余裕のある様子で話していた。
それがまた屈辱的だったが、麦野には何も出来なかった。
「――はぁ!? んだそりゃ!!」
少しして、垣根はケータイに向かって怒鳴り付けた。
何かトラブルでも起きたのだろうか。
「いやいや待て待て! マジかよ、おい!
……あーそうかよ。分かった、分かったよ!」
チッ、と舌打ちしてから、垣根はケータイを仕舞って麦野達を見下ろす。
何も出来ずに、麦野はただただ垣根を睨み付ける。
すると、垣根は疲れたように告げた。
「……運が良かったな、第四位。今日は見逃してやるよ」
「………………な」
思わぬ言葉に呆然としてしまった。
「…………じゃあな、あばよ」
麦野が何か言う前に、垣根はさっさと飛び去って行った。
「な、待ちやがれ、テメェ!!」
慌てて走りだした麦野だったが、あまりの速さに追いかける事も出来なかった。
(…………)
思い返すだけで、怒りが沸き上がる。
あの時、自分のプライドは見事にボロボロにされた気がした。
(……もっと強くなってやる)
あの男を、殺してやりたい。
(『スクール』の垣根帝督……この屈辱は忘れねぇぞ)
確かな決意を、心に強く刻み付ける。
とそこへ、クラクションを鳴らしながら青のワゴン車がやって来た。
おそらくは、下部組織の迎えだろう。
「……さ、行きましょうか」
そう言って、絹旗から車に乗り込む。
麦野はそれをぼんやりと見ていた。
「……むぎの、来たよ?」
車に乗らない彼女に、滝壺が後ろから声を掛ける。
「……へ? あぁ、ゴメンゴメン」
謝りながら、麦野は車に乗り込んだ。
「………………むぎの?」
そんな彼女の背中を、滝壺は不安げに見つめていた。
「……ふわァァあああ」
一方通行は大きく伸びをした。
麦野達が出ていって、かれこれ数十分は経った。
もうそろそろ、昼食を取る平均的な時間――正午だった。
(……上条ントコ行くか)
礼を言うついでに昼食にでも誘うか、などと考えながら、一方通行は起き上がる。
そこへ――――
「あン?」
コン、コン、と控え目なノックの音がドアの向こうからした。
「……はい? 開いてますよォ」
誰だ? と疑問に思いながらも、ドアの向こうの人物に声を掛ける。
ガチャリ、とゆっくりとドアが開かれる。
「……ッ!! オマエは……」
そこにいた人物に、思わず目を見開く。
名門常盤台中学の制服に身を包んだ彼女の名は、御坂美琴。
通称、『超電磁砲(レールガン)』。
妹達を生み出すのに必要なDNAの提供主である、超能力者の第三位だ。
「…………」
「…………」
嫌な沈黙が場を支配している。
一方通行も御坂も、ただ黙って立っていた。
突然の訪問者にどう対処すれば良いのか、一方通行には分からない。
何か言わなくては。しかし何を?
――どうしてここに来たのか。
――そもそも何故ここに自分が居るのを知っているのか。
様々な疑問が、浮かび上がっては消えていく。
そして――――
「……あ、あの」
御坂がこちらをじっと見て、小さく口を動かそうとしていた。
一方通行は、内心身構える。
自分は彼女にあまり良い感情を持たれていない、と思う。
普通に考えたら分かる話だ。
何せ、ほんの二日前に彼女の目の前で、彼女と同じ顔をした人間を――殺してしまったのだ。
おまけにあの様子から考えるに、彼女は『実験』の全容を知っていたのだろう。
それであの場にいたという事はつまり、彼女は『実験』を止めるつもりだったのだ。
そんな彼女からすれば、自分は憎むべき悪魔のような存在に違いない。
ある程度覚悟を決めて、一方通行は彼女の言葉を待った。
やがて御坂は、何かを決意したような表情をすると、
「――――ごめんなさい!!」
思いきり、頭を下げた。
「……全部、芳川って人から聞いたわ。
あなたが騙されてたって事とか……あの子達を守るために戦ってくれたって事も……」
目の前の少女は、本当に申し訳なさそうに謝ってきた。
「……なのに、私は勝手に一人で勘違いしちゃって……。私、あなたに酷い事しちゃったわ」
ポツポツと言葉を紡ぐ彼女に、一方通行は何も言わない。
黙って、御坂を見た。
彼女が本気で謝っている事は見ていて分かる。
一方通行は瞳を閉じた。
思い浮かんだのは数日前の、ある公園での出来事だった。
そこにあった確かな『日常』。一方通行も御坂もいた、平凡な日々。
(…………)
彼は何かを考え、
「……頭、上げてくれ」
ポツリ、と呟くように告げた。
「…………オマエは何も悪かねェよ。
オマエがどォしてDNAを提供したかなンて俺は知らねェ。
……だけどよ、少なくともオマエが『実験』に協力したくて提供した訳じゃねェ事は分かる」
だからよ、と一方通行は未だに頭を上げようとしない御坂を見る。
「……謝らねェでくれよ。俺はオマエにそうして欲しかったからアイツらを守ろォとしたンじゃねェ。
……オマエやアイツらに、もっと普通の――ホントに、くだらねェって笑い飛ばせるぐらいの――『日常』を過ごして欲しいンだ」
そう、一方通行の望みはたったそれだけだった。
こんなくだらない事で、『非日常』に立たされる事になった連中。
そんな人々を、元の場所に戻したかった。
かつて自分に、光ある世界に戻るきっかけを作ってくれた温かい人々のように。
何となく思い出したのは、そんな人々の中心に居た『彼』の姿。
あァ、そうか、と彼は突然納得した。
きっと自分は、あの背中をいつの間にか目標にしていたのだ、と。
「……とにかく、だ」
一方通行は御坂を見る。
彼女は、ようやく頭を上げてくれた。
「……頼むから、そンな顔すンなよ。
ンなツラされると、俺もダチも何のために頑張ったか分からなくなっちまう」
「………………」
御坂は俯くと、
「……あり、がとう。一方通行」
ただ、一言だけ告げた。
溜まった監視中のSS見てから寝ようと思ってたらリアルタイム遭遇だなんて
「…………」
一方通行は椅子に座り込んでいた。
御坂は、もうここにはいない。
(……守った、ねェ)
ぼんやりと、彼は壁を見つめる。
どこまでも真っ白な部屋で、少年は思う。
(…………この大嘘つき)
確かに自分は、妹達を二万人は守ったかもしれない。
だが、それは二万一人ではないのだ。
一人だけ、一方通行が殺してしまったのだから。
理由はどうあれ、そのたった一人を死なせてしまったのは、心の弱い自分だ。
そう思うと、胸が締め付けられるような苦しい痛みが走る。
……おそらくこの痛みは、自分が一生背負わなくてはならないモノだろう。
(……今さら何だよ)
この痛みだって、背負いきってみせると決めたではないか。
まったく情けねェな、と思っていると。
「……何をそんなにぼーっとしているのでしょうか、とミサカはボケた老人のような一方通行に声を掛けます」
突然の声に、一方通行は驚いた。
誰かが背後に立っていた。
一方通行は振り向いて、誰なのか確認する。
「――――」
その姿に、一方通行は見覚えがあった。
御坂美琴と同じ背格好と顔立ち。
唯一違うのは、おでこに引っ掛けた軍用ゴーグルぐらいだ。
『彼女』の呼び名を、一方通行は知っていた。
――妹達。御坂美琴の軍用クローンだ。
一方通行は、彼女をじっと見つめる。
対する彼女は、一礼してから一方通行に視線を合わせた。
「……昨日はどうも一方通行、とミサカは挨拶します。
ミサカの検体番号(シリアルナンバー)は07777号です、とミサカはあなたが覚えてくれているか確認します」
「……あァ、ファミレスに居た奴だろ」
第一位などと呼ばれているだけあって、一方通行は記憶力も良かった。
「ええ、その通りです、とミサカは簡単に肯定します」
彼女は相変わらずの無表情で答えて、一方通行をまっすぐに見る。
「……何しに来た」
とりあえず尋ねると、彼女はスカートのポケットに手をやる。
「調整が始まる前にお返ししなければ
と思いまして、とミサカはなかなか出てこないブツに若干苛立ちます。えいっ、そりゃ」
そうして御坂妹(面倒だからこの呼びで固定)は何やら取り出すと、手を差し出した。
そこには、昨日渡したクレジットカードがあった。
「……ったく、ンなモンあとで良かったっての」
言いながら一方通行はそれを受け取り、財布にしまっておく。
よくよく考えてみれば、彼女も『調整』のためにどこか外国に行くのだろうか。
「……っつーか、オマエってドコの国に行くンだ?」
聞いてみると、
「ミサカは学園都市に残って『調整』を受けます、とミサカは報告します」
何でも、彼女と他数人ほどはこの病院で『調整』を受けるらしい。
冥土帰しがせっかく乗り掛かった船だからと、引き受けてくれたそうだ。
「……ところで」
御坂妹は一方通行を見据える。
「……何だ?」
とりあえず無難に聞いてみると、
「他のミサカ達があなたに聞きたい事があるとの事です、とミサカはメッセンジャーとして仕事します」
「…………聞きたい事、か?」
ええ、と彼女は頷くと、こう告げた。
「――何故ミサカ達を『実験』から開放したのでしょうか? とミサカは他のミサカからの疑問をぶつけます」
「……疑問、ねェ……」
一方通行が数秒ほど黙ってようやく口にしたのは、それだけだった。
「はい、とミサカは肯定しつつ答えを待ちます」
「…………どォしてそンな事を聞く?」
答える前に聞いてみると、
「ミサカ達は『実験』のために生まれましたが、それが中止になってしまい、
己の存在理由が無くなってしまったと、一部のミサカ達が戸惑っているのです、とミサカは報告します」
「…………そォかい」
一方通行は少し口を閉じてから、御坂妹を見返す。
「……昨日言ったかもしれねェがな、オマエは世界にたった一人しかいねェ。
分かるか? 替えなンざ利かねェンだよ。だから、存在理由はちゃンとある。
オマエが死ンで、悲しむ奴がいねェなンて思うな。――少なくともここに一人、居るンだからな」
そう伝えといてくれ、とだけ言った。
「……分かりました、とミサカはネットワークで他の個体に送信します」
妹達は互いの脳波をリンクさせる事で、
独自の情報ネットワークを形成している、と昨日天井のレポートで見た覚えがある。
どうやらそれを使って、早速伝えてくれたらしい。
「――送信完了です……どうやら同じ事を少し前にご友人がおっしゃられたようですが、とミサカは事務的に報告します」
「あン?」
友人? と一方通行は考えて――
「……上条、か?」
「はい、そうです。何でも10032号が上条当麻に同様の質問をしたところ、
怒った彼にげんこつを頂きながら言われたそうです、とミサカは補足します」
アイツらしいな、と内心思う。
「……それでは、ミサカはそろそろ『調整』がありますので、とミサカは――」
御坂妹は部屋を出ようとして、ピタリとドアに向かう足取りを止める。
どうしたのだろうかと思っていると、彼女は振り返った。
「……一方通行。ミサカの『調整』が一通り済んで、外出許可を冥土帰しから得られたら――」
「……得られたら?」
「――――ミサカと一緒に、今度こそ食事していただけませんか? とミサカはお願いします」
それを聞いて一方通行は、
「そンなの、いくらでも付き合ってやる。
ずっと覚えててやるから――どンなに時間が掛かっても、ちゃンと治せよ」
彼女の目を見て、しっかりと告げた。
「はい。……『約束』ですよ、とミサカは立ち去ります」
そう言って、御坂妹は消えた。
「何だよ、アイツ――――」
一方通行は、一人笑う。
「――――あンな顔も出来ンじゃねェかよ」
最後の最後に、御坂妹はかすかにだが、笑っていた。
「……さて、と」
一方通行はゆっくりと立ち上がる。
窓から外を見れば、気持ちの良い青空が広がっている。
行くか、と一方通行は部屋から出ようとして――――
「あくせられーた!!」
勢い良くドアが開き、懐かしの銀髪シスターが現れた。
驚いているうちに、さらに後から遅れて、ツンツン頭の少年がやってきた。
「……よっ」
「……おォ」
二人は『いつも通り』に言葉を交わす。
「……まったくもう、二人ともまた勝手に突っ走るんだから。
ちょっとは心配させられる人の気持ちとかを考えてみて欲しいかも」
その後、何やらお怒りのインデックスに色々と言われた。
どうやら、相当心配してくれたらしい。
「……返す言葉もございません」
「……悪かった」
その事を嬉しく思いつつ、上条と一方通行は謝る。
「……分かってくれたなら良いんだよ。それよりもうお昼だし、ご飯にしよ?」
特に事情を説明しようとしない二人に、インデックスは笑って告げてくれた。
「あァ、そォだな。行くか」
「うんっ!」
言うや否や、インデックスは駆け出す。
……どうやらかなりお腹が空いていたらしい。
「……上条」
「何だ?」
インデックスを追って部屋を出ようとした上条は立ち止まり、こっちを見る。
「……ありがとよ」
改めて礼を言った。
短いが、気持ちは充分に伝わる一言だった。
すると――――
「だーかーらー、言ったろ? 俺はお前の『友達』なんだから気にすんなよ」
笑って、彼は返す。
本当にどうでもよさそうに。
「……あ、でもさ。出来れば新しいカバン買ってくんねーかな」
「は? カバン?」
思わず聞き返した。
「あぁ、ボロボロになっちまってさ」
上条が言うには、昨日の喧嘩の時に砂利の散弾の衝撃を少しでも防ぐために、
カバンの中に鉄板を入れて防弾チョッキのようにしたところ、
衝撃を緩和したのは良いが、カバンが本来の機能を無くしてしまったとの事だった。
「いやー、もうちょっとで二学期だろ? さすがに困るからさ」
あ、良かったらでいいけど、と上条は付け加える。
「……いや、構わねェよ」
「ホントか? じゃあ頼むよ」
そう言って、上条は部屋から出ようとして――――
「あ、あともう一つ」
またも立ち止まって、一方通行を見る。
「――今度からは一人で抱えようとすんなよ。
俺じゃそんなに手助け出来る事なんてないかもしれないけどさ」
「……あァ」
一方通行はコクリと頷く。
それを見た上条は満足そうに笑って、よろしい、と言った。
「どうしたの二人とも。何かあったの?」
ひょこっとインデックスがドアから顔を出して、部屋に入ってきた。
「何でもねェよ、インデックス」
「もう! だから私にはインデックスって名前が……あ、あくせられーた今何て……?」
「あン? どォかしたか、クソガキ」
ニヤニヤと意地悪な笑顔を浮かべて、一方通行は外へ出た。
「あ、ちょっとー!?」
慌てて彼を追うインデックスの後ろから、上条が苦笑しながら歩き出した。
そうして、自分を待っていた『日常(世界)』に、一方通行はまた帰って来た――――
そんな訳で三巻編でした!長かった! そして疲れた!
シリアスな空気って難しいと思い知らされました。
正直言ってシリアスなバトルより、もっと青春なバトルが書きたいです。
……早く大覇星祭にならねーかな。
それでは次回は、3.5巻編、久々の日常編です!
乙!
長く待ってた甲斐があったぜい!
上条さんと一通さんの友情がいいねェ!
しかも、上条さんにとっての「御坂妹(10032号)」と一通さんにとっての「御坂妹(07777号)」がいるわけか。
いいですなぁ!
次も楽しみにしてるぜ!
乙乙!!
アイテムがなにやらフラグを立てているな…15巻はいったいどうなるのか……
上条さんの男女平等パンチがミサカに炸裂したのか
乙!
すっきり解決したのが意外だった
読んでて一番どうなるかわからなかった3巻が終わったか
ドロドロな後味を残して終了ってならなくてホント良かった
追い付いた!
支援だぜ…乙!
どこのクーガーさんだよwwwww
乙乙ー
5巻がどういう展開になるのか今から楽しみじゃ
幸せそうなあの人に喜びながらミサカの存在と扱いはどうなっちゃうんだろう?
ってミサカはミサカはちょっぴり気になってみたり乙
乙
四巻、どうなるんだろう
乙であります
佐天さんキボンヌ
グッジョブですとミサカは惜しみない賞賛を贈ります(AAry
この一方さんだとMNW内では一方さん派の方が多そうだな
というか、この話の妹達の中に上条派っているのか?
まぁ、上条さんもなんだかんだで体張ってるし、少しくらいはいるんじゃね?
どうも、皆様。
久しぶりに投下開始。
今回は3.5巻編です。
「……だぁー。つーかーれーたー」
「よ、ようやく涼しいところに来れたんだよ……」
「……ったく。こォいう日だけ仕事してンじゃねェよ、クソ太陽がァ」
まだまだ日差しが厳しい、ある夏の日。
学園都市の第七学区にある、とあるファミレスにて。
冷房でむしろ凍えるほどに冷えた店内の席(壁側にソファーが設置されているタイプ)で、
汗だくになった二人の少年と少女が、ぐったりとテーブルに突っ伏している。
少年の内、一人の名は上条当麻。
ごく平凡(ただし少しだけ不幸だ)な男子高校生である。
少女の名はインデックス。
とりあえず、イギリス清教でシスターさんをしている。
そして、もう一人の少年の名は一方通行(アクセラレータ)。
学園都市最強(ただし今は元が付く)の超能力者(レベル5)だ。
今日、三人は『セブンスミスト』まで、ちょっとしたお買い物に行く予定だった。
何を買いに行くのかと言えば、銀髪真っ白シスターさんこと、インデックスの水着である。
今から二、三日後に、上条とインデックスは学園都市の『外』の海に行く予定なのだ。
どうして『外』に行くのかと言うと、これにはそれはそれは深い訳があった。
ほんの少し前、上条と一方通行はとある事情で喧嘩した。
結果は上条の勝利だった訳だが、それが全ての発端となってしまった。
上条が『学園都市最強』に勝利した、という噂が、その翌日に凄まじいスピードで広まったのだ。
それを聞き付けた街中の不良達は、上条を倒せば『最強』になれる、などと勘違いしたらしく、
最近になって、大規模な人間狩り(サバイバルゲーム)を始めてしまった。
それによる騒ぎに頭を抱えた学園都市上層部は、
一時的に事の原因である上条を『外』に追い出しておいて、
得意の情報操作でどうにかこの件を治めるつもりらしい。
そんな訳で、わずかな間だが上条とその居候のインデックスは、半ば命令されるような形で海に行く事となった。
ちなみに、先程もそんな連中に出くわして、彼らはたっぷり小一時間ほどは追いかけ回された。
普通ならばここで、相手がどれほどの数だろうと一方通行が返り討ちにするのでは、と考えるところだろう。
別に一方通行は、あの科学的には『最強』の能力を失った訳ではないのだから。
事実、彼自身もそうするつもりだった。
時は、少し前に戻る。
『ひゃはははっ!! 今日は運が良いなァ、オイ!!』
一方通行はけだるそうに目の前を見た。
そこには、さっきから馬鹿笑いをしているアホが何人かいる。
『セブンスミスト』に向かっていた一方通行達だったのだが、
運が悪い事に自分達を狙う連中に出くわしてしまったのだ。
『へへへ……。テメェにゃ仲間が世話になった事があってよ……』
『その礼も出来て、「最強」にもなれると来た。こりゃ運が良すぎるぜ』
やれやれ、と思う。
こういった奴らに会うのは、久しぶりだった。
『……すぐに黙らしてやるよ雑魚共が』
軽い運動だ、と一方通行はさっさと片を付けようと前に出る。
だが、
『…………うおっ!?』
急に、一方通行は逆方向に引きずられた。
さっきからこの様子を黙って見ていた上条が、
いきなり一方通行を『右手』で引っ張り、
インデックスを引き連れて後ろに向かって走り出したのだ。
『な、オイ、離せこの馬鹿!』
『良いから行くぞ! 必殺、真夏の青春☆マラソン大作戦!』
いや、離せよ三下ァァァァあああっ!! という一方通行の叫びが辺りに響く。
まるで、陸上競技のスタートの合図のように。
とまぁ、こんな感じの事があって、
とにかくしつこく追って来た不良達をやり過ごした訳なのだが、
この炎天下+全力疾走で、三人はたっぷりと体力を削られてしまった。
それで、昼食も兼ねてファミレスに逃げ込み、現在に至るという訳だ。
ちなみに、どうして逃げたのかと後で上条に聞いたところ、
「いや、相手が三人以上いるケンカじゃ基本逃げてたから。つい、癖で」
との事だった。
それを聞いて、一方通行どころかインデックスまで呆れたのは、言うまでもない。
「……まだ外に居るよな?」
それなりに落ち着いてきたところで、上条は窓からキョロキョロと外を見る。
「馬鹿、そンな風にしてたら見つかるだろォが」
言いながら、一方通行は自然な様子で外を見る。
外には、しかめっ面で路地を歩く学生達だけが居た。
やがて彼らも、上条達のようにファミレスに入ったり、自販機で水分補給したりして、暑さから逃れている。
……どうやら、追っ手達からは完全に逃げ切ったようだ。
「……さ、メシにするとしますかね」
店内に視線を戻すと、上条とインデックス、彼女の懐で惰眠をむさぼっていた
三毛猫のスフィンクスが起きて、一緒にメニューを見ていた。
「とうまとうま、私はこれが良いな」
インデックスはメニューを指差す。
そこには、『夏限定! ゴージャスジャンボ定食!』と書いてあり、どう見ても大人数向けの料理の写真が載っている。
良く見れば、お値段も大人数(ファミリー)向けだ。
「……よーし、それじゃこのご飯(小)にしようか」
とうまーっ!? と抗議するインデックスに、上条はお得意のお説教をかます。
猫は猫で、『なぁ、お魚ないのかよー!』と元気よく猫パンチをメニューにしている。
元気なヤツらだ、と呆れながらも一方通行は適当に注文しようとして――――
「あれ、アンタ……」
聞き慣れた、声がした。
ん? と上条とインデックスが声のした方を見る。
インデックスは、あ! と声を上げると、親しげにそこにいた人物に声をかける。
「――――みこと!」
そこにいたのは、上条や一方通行にとって、とても縁のある少女――御坂美琴だった。
日本調子のんなアメリカ様に何逆らってんだよ敗戦国
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「……アンタの知り合いでもあったのね、その子」
上条達の隣の席のソファーに座ると、御坂は開口一番にそう言った。
「んー、まぁな」
適当に答えつつ、上条はメニューを見て唸る。
これの方が安いけど、いやでも十円ぐらいならなぁ、と貧乏学生は真剣にお悩み中だった。
「ねぇねぇ、みことってとうまの友達だったの?」
特にする事がないインデックスは、三毛猫とじゃれつつ御坂に話しかける。
「へ? いやいや、違う違う。ただの――――」
慌てて何か言おうとした御坂だったが、言葉が詰まる。
「ただの?」
インデックスは不思議そうに御坂を見る。
「あー、わ、私の事はともかくとして! あ、アンタはコイツらとはどういう関係よ!!」
苦し紛れに、彼女は話題を逸らした。
それに対してインデックスは、何でもなさそうに答えた。
「うん? 私はとうまの居候だけど?」
――――瞬間、上条と一方通行の動きがピタリと止まる。
日本調子のんなアメリカ様に何逆らってんだよ敗戦国
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「ぶっ!?!? い、いいいい、いそうろうですって!? そ、そそそれってつまり、……ど、ど」
「???」
あわわわ、と何やら逆にダメージを受けている御坂に、インデックスは首を傾げた。
「……ち、ちょっと! アンタもしかして、拉致かん「いや、上条さんにはそんな趣味ないからな!?」
じゃーこれはどういう事よ! と何やら顔を真っ赤にしながら
ビリビリする少女に、いや、だからだな!? と上条は必死に右手で応対する。
……何と言うか、酷く馬鹿馬鹿しい絵だ。
「……私、まずい事しちゃった?」
三毛猫に『おいおい、やっちまったな』と非難めいた目で見られ、
自分に視線を移してくるインデックスに、一方通行はため息を吐く。
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「つまり、アンタはこの子に関して事件に首を突っ込んじゃって現在に至る、と」
だいぶ落ち着いてきた御坂は、上条からの大まかな説明に一応納得する事にしたらしい。
まぁ、それでもだいぶ不服そうだったが。
「……あー、まァ、何だ。あンまコイツの事は探らねェでくれ。色々とあるからよ」
とりあえず余計な事態を防ぐために、一方通行が口を出す。
すると御坂は、
「う、うん……」
少しだけ、どこか他人行儀に返した。
「…………」
一方通行と御坂は、数日前のある『事件』以来、少しばかりお互いに気まずいところがあるのだ。
これもまた自分が背負うものなのだろうな、と一方通行は思う。
「……何か、二人ともおかしいかも」
一方通行は、こういう時のインデックスの鋭さを驚嘆に値すると思う。
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「……ンなこたァねェよ。なァ?」
「…………うん、そうよ?」
そう言った二人だったが、やっぱりどこかぎこちない。
まるで、左右で大きさが全く違う箸を使うように、しっくりとこないのだ。
今なら誰にでも簡単に見破れるかもしれない、と思う。
しかし、
「………………うん。そうみたい」
インデックスはそれだけ言うと、上条とメニューをまた見始めた。
(……ありがとよ)
一方通行は、この少女の優しさに感謝する事にした。
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「……そういや、御坂はここで何してんだ?」
結局一番安い料理を注文した上条は、料理が来るまでの間、
ドリンクバーのみを注文した御坂とトークする事にしたようだ。
「私は待ち合わせよ。友達と四人で映画見に行くの」
ほらこれ、と御坂はチケットを見せてきた。
何ともまぁ、いかにも中高生向けっぽそうな恋愛映画のタイトルが、紙幣サイズの紙に書いてある。
「……ま、二人は風紀委員(ジャッジメント)で忙しいし、
もう一人の子も用事で遅れちゃうらしいし、まだまだ待つ事に――――」
と、そこで御坂の話は強制的に止められる事になった。
何故ならば、突如として彼女の隣に誰かが現れて抱き着いたからだ。
「――――お・姉・様ァーーーっ!!!!」
その誰かは、まだ中学生ほどの少女だった。
その少女は、御坂と同じ常盤台中学の制服に身を包み、長い髪をツインテールにしている。
肩には、風紀委員――簡単に言えば学生による治安部隊だ――の腕章をしていた。
いきなり何もない場所から現れたところから察するに、
この街でも少数しかいない空間移動系の能力者だろう。
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「どわっ!?」
上条はとてつもない間抜け顔で驚く。
インデックスも『わわっ!?』と、
思わず手に持っていた水(上条はドリンクバーなど注文させなかった)の入ったコップを落としてしまった。
唯一、三毛猫とじゃれていた一方通行が、特に驚かずに謎の少女を見つめる。
「えぇーい! 毎度毎度黒子、アンタってヤツはーっ!!」
そんな三人を尻目に、御坂はビリビリとその少女に放電する。
「ああぁぁぁああっっっ!! お姉様、愛が激しすぎますわーっ!!」
結構強力そうな電流を浴びているというのに、少女の顔は悦楽に染まっていた。
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「……ねー、あくせられーた。どうして私の目と耳を塞ぐの?」
「……世の中にはな、クソガキ。知らなくてイイ事もあンだよ」
御坂が雷撃を放つ前に、一方通行はさっさとインデックスに何の情報も入らないようにした。
理由は、言うまでもない。
「もー白井さん。その馬鹿な癖はどうにかした方が良いですよー」
と、入口の方から、電流を浴びてる変態のような少女と同い年ぐらいの、セーラー服の少女がやってきた。
そちらも風紀委員の腕章をしている。
こっちのヤツは普通だ、と一瞬思った一方通行だったが、すぐにその思考を改めた。
その少女はその少女で、頭に花畑なんてモノがあったのだ。
「……何だってンだ、一体」
ここは変人が集まるファミレスなのだろうか、と一方通行は思う。
その中でも、一番自分が見た目的に変わっているという事に気がつかないで。
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さて、しばらくして。
ようやく、インデックスに周りの状況が見せられるようになった。
先程の変態少女もいくらか落ち着いたらしく、御坂の隣に冷静な様子で座っている。
花畑少女も、やれやれとその隣に座った。
「よう、白井……だったよな」
上条は変態少女に話しかけた。
どうやら、顔見知りらしい。
「……おや、貴方は……。覚えていただいているようで何よりですわ、上条さん」
……何と言うか、さっきとは随分様子が違う。
いやに礼儀正しいし、一挙一動に上品な雰囲気が纏わり付いている。
どっかのお嬢様なのかね、と一方通行は適当に推測する。
「御坂さん達のお知り合いなんですか?」
興味津々な様子で、花畑少女が尋ねる。
こちらの方は、頭を除けば一方通行達の高校にだっていそうな、ごく普通な感じの少女だ。
「いいえ、私はこの殿方しか知りませんが……」
「えっと、まぁ三人とも私の知り合いよ」
そう言うと御坂は、わざわざ彼女達について一方通行達に紹介してくれた。
変態お嬢様少女の名は、白井黒子。
花畑以外平凡少女の方は、初春飾利というらしい。
一方通行達の事も、御坂は適当に紹介してくれた。
「へぇー。第一位さんなんですかー」
紹介を終えて、まず一番に白井と初春の注目がいったのは、自分だった。
「……初めてお会いしましたが……想像していたより、何と言うかその」
白井は何やら、言い淀んでいる。
何だよ? と一方通行が聞こうとすると、
「悪(チンピラ)っぽい、だろ?」
先に上条はそう言うと、手を横に振る。
「でもな、意外にコイツって良いヤツだぞ。
……まぁ、見た目がちょっと怖いのかもしれないけ、どぉぉぉおおおっ!?」
「……オーケー、上条。そンなに愉快な死体(オブジェ)になりたきゃ、立派なのにしてやる」
「ち、ちょっと? 一方通行さん? 風の弾を撃って喜ばれましても、上条さんは困るだけなんですけどーっ!?」
「うるせェよ、馬鹿」
な、何か理不尽だー! と叫ぶ上条を無視して、
白井と初春は何やら話し始めて、
インデックスと御坂はお互いのケータイの番号を交換していた。
スフィンクスはスフィンクスで、先に届いた
自分の料理(この店ではペット同伴がOKで、専用のメニューもある)にがっついている。
「……初春」
「何です?」
どうせだからパフェでも食べようかな、と悩む少女に、白井は話しかける。
「……あの外見的特徴……佐天さんの話を思い出しませんか?」
そう言って、白井は一方通行を見る。
「あ! そういえばそうですねー!」
上条を散弾地獄から開放した一方通行は、その視線に気付くと、
「……何だ、どォかしたのか?」
とりあえず聞いてみると、初春はこちらを見て、
「あのう、差し支えなければお伺いしたいんですけど……」
「あァ、何だ?」
「一方通行さん、少し前に路地裏で女の子を助けたりしませんでしたか?」
は? と一方通行は思いながらも、記憶を探ってみる。
やがて、ほんの少し前の女子中学生の事を思い出す。
「……あァ、そンな事は確かにあったが……それがどォかしたか?」
すると彼女達は目を見合わせて、
「白井さん、もしかしなくても……」
「……見つけました、わね」
一方通行の質問を無視して、少女達は何だか知らないが二人だけで納得している。
「いやー、偶然ってすごいんですね」
「まさかお姉様のお知り合いでしたとは……」
うんうん、と勝手に話を終了させている少女達に、一方通行は若干苛立った。
「いや、だから何なンだよ」
もう一度尋ねると、初春は笑って、
「いえいえ、すぐに一方通行さんにも分かると思いますよ」
とだけ、言った。
何なンだ……? と不思議に思う一方通行だったが、その疑問は本当にすぐさま解決する事となった。
数分ほど経って、インデックスは完全に白井や初春と打ち解けていた。
「にしても、シスターさんなんて初めて見ましたけど……何だか上流階級な雰囲気がしますねー」
「そうかな? これはあくまでも主の加護を視覚化したものだし、
そういうのだったら、城住まいのメイドとかの方がそれっぽいんじゃないかな」
と、一緒に巨大パフェを突っつきながら、初春とインデックスは上流階級談議をしている。
また、別の方を見れば、
「……まったく、やっぱりあの方がお姉様の話に出てくる殿方だったんですのね」
「い、いや、だから黒子。アイツは別に……」
とか、よくは聞こえないが何か話をしている御坂と白井がいる。
「……なぁ、俺達浮いてねーか?」
運ばれた料理を食べ終わり、上条は一方通行に声を掛ける。
「……別に。しょうがねェだろ」
そう言って、一方通行はコーヒーをすする。
三毛猫の方は満腹になったらしく、ソファーの上でおやすみモードに入っていた。
やれやれ、と一方通行が思ったその時――――
「あ、佐天さーん、こっちですよー!」
と、初春が誰かに手を振った。
御坂が言っていた、例の最後の一人だろうか?
すぐにその誰かは、まっすぐにこちらに向かって来た。
「いやー、すみません遅れちゃいまし……あぁーーーっっっ!?!?!?」
それなりに騒がしかった店内に、一際大きな声が響いた。
何だァ? と一方通行は声の発生源を見て、驚いた。
「ン……オマエ、は……」
そこにいたのは、いつぞや路地裏でチンピラから助けた少女だった。
「え、えーっとその……この前はお世話になりました」
佐天涙子、と一方通行達に名乗ったその少女は一方通行の隣に座ると、またお礼を言ってきた。
「……ンな事、いつまでも気にすンなよ」
確かに一方通行はこの少女を助けたが、それはもう一方通行にとってかなり前の話だ。
いつまでも昔の事などを気にされても困る。
「気にしますよ。あなたは恩人ですから」
恩人、と呼ばれる事に一方通行は少し抵抗を感じたが、黙っておく。
わざわざ相手の気を悪くする必要などない。
「にしても……すごい偶然ですねぇ……。
まさか、お互い共通の知り合いが居たなんて」
本当に驚いた、といった様子で佐天は呟いた。
「確かにまァ、すごいとしか言えねェな」
一方通行もその点に関しては同意だった。
世の中というのは、存外狭いモノだ。
「それにしても第一位さんだったなんて……憧れちゃいます」
羨望の篭った声で、佐天は言った。
「オマエは何かの能力者なのか?」
とりあえず一方通行は、この街ではありふれた質問をしてみる。
「はい。能力者(レベル1)です」
淀みなく、すらすらと彼女は答えた。
「ふーン。まァ、別にイインじゃねェのか?
低いレベルだろうと、頑張りゃいつかは超能力者だって目指せるモンなンだから」
一方通行はある人物を指差す。
そこには、親友と一緒に例の変態少女に尋問されている、『実例』がいた。
「……そう、ですね。頑張れば、いつかはそれが実りますよね」
眩しそうに目を細めて、佐天は御坂を見た。
その顔には、小さな笑みが浮かんでいた。
「……『幻想御手(レベルアッパー)』、って知ってます?」
「あァ、使ったヤツのレベルを上げるっていう……」
聞いた事がある単語だ、と一方通行は情報を引っ張り出す。
『幻想御手』――それは、使えばたちまち使用者の能力レベルを
上げてくれるとかいう、アラジンだってビックリの魔法の道具、らしい。
一方通行も細かい事は知らない。
これはあくまでも、彼のクラスメートの吹寄制理が、
彼と軽い世間話をしていた際に、馬鹿馬鹿しい噂話として話していたからだ。
「……あたし、それを使った事があるんです」
「…………」
いきなりの告白に、一方通行は面食らう。
佐天は、そんな一方通行の様子を無視して、ゆっくりと思い出話を語るかのように喋り出した。
「……その時、あたしは無能力者(レベル0)でした。
少しでも、ほんのちょっとでも力が欲しくて……。
いつまでも努力したって能力が手に入らなかった事もあって、あたしは誘惑に負けたんです」
ポツポツと、彼女は口を動かす。
一方通行は、ただ黙って話を聞く事にした。
何だか、人事じゃない気がして。
「……結局、そのせいでたくさんの人に――御坂さんや白井さん、それに初春にも迷惑をかけちゃって」
佐天の声色には、深い悔恨があった。
「でもその後、ようやく分かったんです。
大事なのは能力なんかじゃない、それよりもっと大事なものがたくさんあるんだ、って事を」
恥ずかしそうに、彼女は笑った。
「――――それから、あたしは頑張って頑張って頑張って。この前、初めて能力を使えるようになったんです」
その顔は、確かに嬉しそうだった。
「まぁ、そうは言っても、結局そこから先には頑張っても全然進めないんですけどね」
大変です、と佐天は苦笑すると、
「あ、ははは。何であたし、こんな話してるんですかね?
すみません。こんなの、聞かされたって一方通行さんが困るだけなのに」
佐天はドリンクバーから持ってきたコーラをゴクゴクと飲む。
やっと普通に戻ったか
(……力を求めて、か)
何となく脳裏に浮かんだのは、数日前の事件だった。
自分のくだらないわがままのせいで、起きてしまった事件。
……もっとも、この少女と自分とでは、迷惑の規模が違いすぎるとは思うが。
(………………)
一方通行はじっと佐天の横顔を見ると、
「…………オマエ、何の能力使うンだ?」
「え? か、風です。風力使い(エアロハンド)」
唐突な質問に、佐天は驚きつつも答えた。
少しの間、一方通行は何かを考えると、
「なるほどな。ちょっと使ってみてくれねェか?」
「は? ……わ、分かりました」
佐天は、一体どうしたんだろう? と思いつつも、一方通行が目の前に置いた伝票に、手をかざす。
瞬間、そよそよとした微風が起きて、伝票を軽く飛ばす。
あまりにも微風すぎたらしく、伝票はテーブルから落ちずに済んだ。
「あァ、もうイイ」
一方通行がそう告げると、佐天はかざした手を下ろす。
「……ちょっと見てろよ」
次に一方通行は自分の指を軽く振った。
そして、そこから起きた風や冷房からの冷風のベクトルを操り、小さな小さな竜巻を作って伝票を浮かせる。
佐天はそれを見て、素直にビックリしていた。
「俺も能力の一環で風を使うンだがな……。
もしかしたら、オマエのレベルが上がるアドバイスぐらいは出来るかもな」
「……へ? あ、あのもしかして……?」
しばし、竜巻に目を奪われていた佐天がこっちを見る。
「……どうだ? 何の役にも立たねェかもしれねェが、俺がオマエを特訓するってのは?」
佐天は数秒ほどポカンと固まって、
「…………………………え、えぇぇぇえええっっ!?」
大声で、叫んだ。
「で、でも……良いん、ですか?」
恐る恐る尋ねてきた彼女に、一方通行はきっぱりとした口調で、
「最近はする事が無くて暇でよ。
オマエもレベルを上げる努力がしたいンだろ?
ここでまた会ったのも何かの縁、ってヤツだ。それに…………」
オマエを見てると、昔を思い出すからな、と一方通行は聞こえないように小さく呟き、彼女を見る。
「……ま、余計なお世話だったか?」
考えてみれば、結構いきなりすぎる気もした。
「い、いえいえ! とんでもないです! その……ぜひお願いします!!」
佐天は両手をぶんぶんと振って、頭を下げた。
「……そうか」
一方通行は軽く笑って、
「じゃ、よろしくな」
と、手を差し出した。
「……はいっ! こちらこそ!」
佐天はニッコリと笑ってその手を握る。
これまで見た事もないような光を感じる、太陽のような笑顔に、一方通行はわずかながら目を奪われた。
と、その時。
「むっきぃぃぃいいい!! もう行きますわよ、お姉様!! こんな類人猿の近くに居たら、お姉様が汚れますわ!」
「ちょ、ちょっと黒……」
何だ? と見てみると、さっきまでいたはずのビリビリ娘と変態お嬢様がいない。
何故か、少しボロボロになった上条しかいなかった。
「あー、行っちゃいましたね」
無駄にゆったりとした動作で初春は立ち上がると、
「それでは、上条さんにインデックスさん、それに一方通行さん。失礼します」
「じゃあね、かざり!」
インデックスは立ち去る花畑少女に手を振りながら、パフェにがっつく。
「……えっと、じゃ、私も失礼します」
「ン」
一方通行は立ち上がる少女に、じゃあな、と告げる。
「あ、一方通行さん。連絡先交換しときましょう」
忘れてた忘れてた、と佐天はケータイを取り出した。
「おォ、分かった」
赤外線を使って、二人はお互いのケータイに連絡先を登録する。
「じゃ、細かい日時とかは後でメールしますね」
「佐天さーん、行きますよー!」
「分かってるよ、初春! それじゃ一方通行さんに上条さんにインデックスさん! さようならー!」
ぴゅー、という擬音が似合いそうな速さで、佐天は店を出ていった。
「……へっ」
一方通行は何となく、小さく笑う。
と、不意に視線を感じた。
視線の元を辿ると、上条とインデックスが何やらニヤニヤと笑っていた。
ついでに言えば、三毛猫が『アンタもスミに置けねぇな、旦那』と一方通行を見上げていた。
「何だよ、オマエら。そンなに笑って、何かあったのか?」
「いーや。『あーくん』はモテモテだな、って話だ」
ピクリ、と一方通行の肩が震える。
「そうだね。どこかの誰かさんと違って、フラフラしそうにないだけ、『あーくん』の方がマシかも」
え? それ誰? といった表情で、上条はむすっとしている銀髪シスターを見る。
「…………よし、オマエら。歯を食いしばれ」
その後、彼らがギャーギャー騒ぎまくったのは言うまでもない。
「佐天さん、随分と機嫌が良いですね」
隣で鼻歌を歌っている親友に、初春は声を掛ける。
目の前では、
『だーかーらー! アイツはそんなんじゃないっつーの!』
『あー、お姉様ーっ!』
などと、相変わらず楽しくビリビリやってる人達がいたりする。
「んふふー。まぁねー」
本当にこれ以上嬉しそうな笑顔はないんじゃないか、といった感じに彼女は笑っている。
「今日はスカートめくりも無しみたいで私も嬉しいです」
ホッと慎ましい胸を、彼女は撫で下ろす。
初春は、親友のそういった行為にわりと本気で困っていた。
「んー? 何だ、期待してたのかね? じゃあ期待に答えなきゃねー」
悪意のない(いや、実際はちょっぴりあるけど)笑みを浮かべて、佐天は初春に迫る。
「へ? い、いえけっこ……ひゃああああっ!?」
バッサァァァァアアッ!! と、布が風になびく音が今日も通りに響く。
レベルが上がればスカートめくりほうだいだね!
はい、っつー訳で3.5巻編でした!
ここで皆様にご連絡。
おまけ程度にしか考えていないカップリング要素ですが……
こちらとしては、二つのルートを考えております。
①佐天通行ルート
(一応正規。かつ一方通行に優しい展開)
②座標通行ルート
(①が終わって、余裕があったらやります。こっちは逆に一方通行をイジメ倒すぐらいの展開にしようと考え中)
とは言っても、まだまだ分岐点ですら来ていないのでお気になさらず。
とりあえず、またいつか。
それでは、長文で失礼致します。
乙!!ルート来たああああああああああああああああああああ!!!!!
しかしこの一方通行はむぎのんさらに下手したら絹旗ともフラグ建ててそうで素直に佐天通行応援できない……
乙。
途中、変なのが割り込んだが、気にせずよくやってくれた。
相変わらず、面白い。
しかも、佐天通行とか、いいねぇ……
さて、4巻、『御使堕し』はどうなるのか……
なるべく早く来てくれ!
更新、楽しみにしてる。
乙!佐天さんと一方さんは対照的で相性いいと思うんだ!おれだけじゃないはず!
超乙です!!
一方さんと佐天さんお似合いだと思ってる俺得だ!!
乙。
一方座標に最近ハマった俺としてはそっちを見たいけどそこは>>1に任せた。
上条さんはカップリングあるの?
ageてしまった……ごめんなさい。
まあ福岡だから気にするな
ホント、これだから千b…福岡なんだよ
まあ福岡だから気にするな
ホント、これだから千b…福岡なんだよ
今、ずっと前のスレから読んでました。
面白い!
キレイな一方さんもいいけど、垣根さんも貫禄たっぷりの悪役だね!
この2人が対決する時が今から楽しみなんだよ!
乙!
今回も最高だった。
両方
俺的には、座標通行ルートなんだけどなまあ期待してる
1位の一方通行と無能力の佐天さんは何気に面白い組み合わせだな
伸びてると思ったら荒らしも来てたのか
福岡県民裁定だな
佐天通行とか胸熱
欠陥通行の可能性は無いのでしょうかと、ミサカは(ry
わたしはもちろん座標通行ですねー
むしろハーレムで
よし!!ここでデカイ釣り針を仕掛けるぜ!!!!!
佐天通行いらないってか佐天のよさがわからない、これなら欠陥通行のほうがいいような……
バーカ、そんな釣り針引っかかるかよ
俺×一方さんこそ至高
佐天通行いらないってか佐天のよさがわからない、これなら座標通行のほうがいいような……
ふむ……俺と同じ考えの人はいっぱいいるんだな
そして>>414のIDエロス
レベル5とレベル0。
暗部と一般人。
的なところがいい。
原作読んだこと無くアニメしか見てないから座標ってのがなんなのかさっぱり分からん
一方通行に男女平等拳食らったテレポーター
アニメにも出たよ
音声だけであのムチャクチャな当て字を分かれって方が
ですよねー
>>418
なら座標通行は
レベル5とレベル5
暗部と暗部
てきな感じか・・・
住む世界が、同じか違うかなのか・・・
佐天さんは何故か萌えない
好きだけど
賛否あるみたいだけど作者はあまり読者の意見に振り回されず書きたいものを
書いた方がいい
読者のわがままに振り回されてエターはマジ勘弁だから
>>425
俺もそう思う
作者頑張ってくれ
佐天さんは化学サイドでは貴重なおっぱい
これは8巻、13巻、15巻の内容も期待できるな
>>427
その話はもうやめとこうぜ 作者にまかせるんた
佐天さんヒロイン超期待
どうも、皆様。
久しぶりに投下開始。
今回からは四巻編です。
――――どこからか、物音がした。
「………………ン」
朝、というには少し遅い――しかし昼というにも少し早い――そんな時間に、少年は目を覚ました。
ぼんやりとした頭で、彼は起き上がって周りを見た。
先程の物音は何だろうか?
そう思いながら、少年はベッドから床に足を着ける。
この部屋には他に誰もいないはずだ。
しかし決して小さくはない音は、確かに少年のいるこの部屋からした。
(……まさか、泥棒か?)
あまり考えられない可能性だ、と思う。
何せ自分の住むこの『街』の住民の八割近くは、学生なのだから。
じゃ、何だ? と少年は唸りながらも歩き始め――――
「…………ンだよ、オマエかよ」
直後、犯人を見つけた。
その視線の先には、一匹の三毛猫が居た。
その側で、立てて置いておいた掃除機が倒れているところから見るに、
先程の音の正体はこの猫が掃除機を倒したものか何かだろう。
そいつは少年の姿を見た途端に、『旦那ァ! メシはまだですかい!』と元気な様子で跳ねてきた。
少年はそんな猫に笑いかけると、
「オマエは朝から元気だなァ、スフィンクス」
スフィンクスと呼ばれた三毛猫は、『そりゃあもう!! だからメシを!』とでも言いたげに擦り寄る。
少年―――― 一方通行(アクセラレータ)は、そんな三毛猫のお腹の事情を知ってか知らずか、
「ま、イイ目覚ましにゃなったがな」
と言って、台所に自分と猫の食事を用意しに向かう。
八月二十八日。
この日から三日間、一方通行は隣人の上条当麻から先程の猫――スフィンクスを預かる事になっていた。
正確には、前日の二十七日からなのだが、まぁ細かい話は止しとしよう。
学園都市。
昨日まで上条とその居候が居た場所であり、一方通行と三毛猫が現在居る場所でもある。
東京都の一部をくり抜いたように存在するこの街に、普段彼らは住んでいる。
一度住むとそう簡単にはこの街から出られないものなのだが、
たまに例外的に『外』に出してもらえる事もある。
そんな例外として、上条と居候のインデックスは昨日から海に行っている。
どういう事情で行ったのかは、語れば長い事間違いなしなので省くとしよう。
とにかくまぁ、海に行く事になった上条達だったのだが、
ペットは連れていけないとの事で、一方通行はこの猫の世話を頼まれた訳である。
「にしてもまァ」
一方通行はグルリと部屋を見回す。
何の変哲もない(しかし彼にとってはそれが良い)、この街には良くあるタイプの寮の室内だ。
下の方に目を遣ると、三毛猫が『ヤバッ、うま、うますぎますよ旦那ーっ!』と大変嬉しそうに缶詰をいただいている。
猫が食している缶詰は確か、一個何千円ぐらいはした記憶がある。
上条辺りが聞けば卒倒するような値段だが、一方通行からすればお安いものだった。
「…………暇なモンだな」
しばしの間、幸せそうな猫を見ていた彼はぼやくように呟くと、床に座る。
とその時、彼は一瞬顔をしかめた。
何故かは分からないが、胸に少し圧力を感じたのだ。
(……疲れてンのかね)
よく考えてみればこの一ヶ月ほどの間、色々な事がありすぎた。
その間に溜まった疲労が一気に押し寄せたのかもしれない。
ついでに言えば暇だと強く思うのも、久しぶりに何もない時間が来て、余計に気になってしまうからだろうか。
「………………」
一方通行は何の気も無しにテレビのリモコンを手に取る。
たいした暇つぶしにはならねェだろォな、と彼はあまり期待しないで電源と書いてあるボタンを押す。
しかしその瞬間、彼は前言撤回をせざるを得ない、予想外の物を見る事となった。
「――――なっ」
一方通行は思わず固まってしまった。
『どうした旦那?』と三毛猫が食事を中断して一方通行を見るが、彼はそちらを見ない。
ただただ、テレビの液晶画面を見ていた。
テレビではニュース番組をやっていて、
火野神作とかいう死刑囚が脱獄したとか報道していたが、今そんな事はどうでもいい。
それよりも、もっと大事なのは。
――――何故ニュース原稿を、一方通行のクラスの担任である月詠小萌先生が読んでいるのか、という事だ。
「………………何だよ、これ」
たっぷり五分ほど黙っていた一方通行の口を突いて出たのは、そんな疑問だった。
見た目十二歳の女教師は、そこに居るのが当然といった顔でニュース原稿を読んでいる。
彼は黙って手の中のリモコンを操作した。
それに従ってチャンネルは変わっていく。
バラエティー、ニュース、子供向けの教育番組にアニメ。
それら全てに、一方通行は違和感を感じさせられた。
マイナス十度の氷水に突き落とされる若者向けのファッションをしたおじいさんや、
百メートルを世界記録で走っている見た目六歳くらいの子供。
幼稚園児の恰好をした高校生ぐらいの少女や
三十代ほどの男達の周りで楽しそうに踊る、体操のお兄さんのような総理大臣。
アニメなどに至っては、女キャラクターが老人の声でかわいらしく振る舞っていて、吐き気を覚えた。
とにかく、何かがおかしかった。
画面の向こうの人々が、全体的にちぐはぐな感じなのだ。
まるで、人と人とが入れ替わったような。
一体どうなっているのだろうか。
軽いイタズラ――にしては手が込んでいる。
……まぁ、木原とかだったらやりそうな気はしなくもないが。
(……他のヤツはどうなンだろうな)
一方通行はテレビの電源を切ると、玄関に向かった。
三毛猫が『あれ? 旦那、どこ行くんだい?』と鳴いてきたが、無視する。
(……とりあえず土御門の所にでも行くか)
隣人の上条は居ないので、そのまた隣の土御門元春の部屋に行く事にする。
他の人間の家のテレビを見れば、これが何かの冗談なのかどうかも分かるだろう。
夢とかじゃねェよなァ、と一方通行は淡い期待を抱きつつ、外に出た。
扉を開けた一方通行の目の前には、いつも通りの景色が広がっていた。
上空を翔ける航空機。周りにたくさんある、ここと似たような学生寮。
廊下の手摺りから下を見てみるが、誰もいない。
おそらくは、皆もう出かけて夏休みを満喫しているのだろう。
つーか俺は寝過ぎなンだよなァ、と一方通行は普段の生活をちょっぴり直そうかと考える。
(いや、今はンな事どうでもイイな)
一方通行はさっさと土御門の部屋まで歩き出そうとして――――
「おー。一方通行、おそようさんだぞー」
ン? と一方通行は声のした方向を見て、
「…………ッ!?」
目を見開いた。
またも信じられない光景が彼の目に飛び込んだのだ。
一方通行は、『それ』を下から見上げていく。
まず視界に入るのは、この街では全然珍しくもないドラム缶のような清掃ロボット。
AI操作のそれは、何故か前進せずにその場をくるくると回っている。
考えてみると不思議な事だが、そこはまぁ問題無い。
この街で生きる以上、そうびっくりするモノでもないのだ。
実際たかがロボットぐらいでは、一方通行も驚かない。
問題はそこから先だ。
一方通行はさらに上を見る。
その視線の先には、清掃ロボットの上に乗って一緒に回っている、メイド服の西洋人の女がいた。
「んー? どうかしたのかー」
平坦な口調で、彼女は親しげに声を掛けてきたが、一方通行にはこんな西洋人の知り合いなどいない。
というか、
(……コイツ、何かで見たよォな……?)
一方通行はくるくる回る女の顔を頑張って見てみようとする。
女は随分と整った顔立ちをしていた。
その顔は貴族のような優雅さを感じさせるが、どちらかというと攻撃的な感じがする。
何で見たンだっけ? と一方通行は思考する。
女が何か言ったが、集中した彼には何も聞こえなかった。
しばらくして、
(……そうだ、『軍事』のキャーリサだ!)
一方通行は一人の人物の名を思い出す。
その女は少し前にニュースで見た顔だった。
確か、英国の第二王女だとか報道されていた気がする。
と、そこまで思い出したところで、
「おーい。一方通行ー?」
キャーリサの声が、耳に届く。
「……あー、何か?」
普段の口調でいけば確実に不敬罪だろうから、とりあえず適当な口調で言ってみる。
すると彼女は、
「んー? どうして声を高くしてるんだー?」
とか、訳の分からない事を言ってきた。
声を高く……? とどういう意味か少し考えてみた一方通行だったが、
そっちより気になる事がたくさんある事に気付くと、すぐにそれをほっぽり出す。
「……何でここにいるンですか?」
そう、そこが一番の疑問だった。
キャーリサは英国に居るはずだ。
なのに何故、圧倒的に距離がある日本――それも学園都市――に居るのだろうか。
それを聞いた彼女は首を傾げて、
「……一方通行ってそんな声だったかー?
まぁ良いや。私はなー、兄貴の部屋に掃除に来たんだぞー」
兄貴? と一方通行まで首を傾げてしまう。
現在の英国に王子など居ただろうか。
まさか、隠し子か何かがこの街に住んでいるとか――――
(いや、ありえねェ)
この学生寮には、一般的な日本人しかいないはずだ。
では何故ここに?
訳が分からない、と一方通行は一人唸る。
「悩み事かー? 何か分からないけど、私はもう行くぞー? あでゅー」
そんな彼を置いて、キャーリサはくるくると回りながら土御門元春の部屋に消え――――
(………………ン!?)
思わず、一方通行は混乱して目を見張る。
待て。土御門?
何故キャーリサは、普通に合鍵を使って土御門の部屋に入った?
(……まさか、土御門妹?)
一方通行はキャーリサとはまた別の人物の顔を思い浮かべた。
土御門舞夏。
土御門元春の義妹であり、メイドさん見習いをしている少女だ。
時々兄の土御門元春に会いに来るので、一方通行も何度となく会った事はある。
彼女はたまに、シチューだとかパスタだとかを余らせておすそ分けに来てくれる。
そんな彼女の顔を、一方通行は忘れる訳もない。
そして一方通行の知る土御門舞夏は、あんな顔立ちはしていない。
確かに彼女も整った顔立ちはしているが、それは東洋人のものだ。
(……まさか、な)
一方通行はすぐさま部屋に戻る。
部屋に入れば、スフィンクスが『おぉ旦那。戻ったかい』と食い終わった缶の処理を求めてきた。
一方通行はさっさと缶を処理すると、
「スフィンクス、ちょっと空中散歩してくる」
とだけ言って、『え? あ、あれ? 旦那ー!?』と鳴く三毛猫の声を背に、外へともう一度出る。
彼は廊下の手摺りの上に立ち、文字通り飛んでいった。
「…………マジかよ」
それから数十分後、一方通行は高層ビルの屋上に立っていた。
ある程度の空中散歩をしてきた彼の顔には、戸惑いがあった。
何故かと言われれば、
「皆しておかしくなってやがる……」
一方通行は真下を見る。
そこには、テレビで見たのと同様に、色々とちぐはぐな人々が居た。
誰も彼もが、当然といった顔で交差点を歩いている。
ちぐはぐな恰好もそうだが、それが一番一方通行には異様だった。
まるでこの世に、一人だけ取り残されたような――――複雑な気持ちだった。
これからどォするかね、と一方通行は選択肢を考える。
自分が疲れているせいだと夢の中に逃げるか、何かが起きていると調べるか。
それとも…………?
「あン?」
懐のケータイから着信音が鳴り響く。
こンな時に……と思いながらも、相手は誰だろうかと確認してみる。
「…………」
一方通行は小さな画面を見つめると、黙って通話ボタンを押した。
すると、
『えっと……一方通行、か?』
スピーカーから、昨日一時的に別れた友人の声がした。
「……上条、か?」
その名は上条当麻。
学園都市の『外』にいる、三毛猫の飼い主である。
『あ、一方通行か!? (おい二人とも。一方通行は入れ替わってねぇみてーだぞ)』
彼は自分が出てきた事に安堵したように、何か言っていた。
「……そこに誰か居ンのか?」
とりあえず質問してみると、
『あぁ、今こっちに――え? あ、おい!』
「上条?」
いきなり音が途切れてしまった。
少しだけだが、波の音が耳を打ってくる。
今、彼は浜辺にでもいるのだろうか。
そんな、至極どうでもいい事を考えていると――――
『――お久しぶりです、一方通行』
突如として、どこかで聞いた事のある、凜とした雰囲気のする女の声がした。
何だか、喋っているだけで力強さを感じられるような――――
そんな、とても聞き覚えのあるその声をどこで聞いたのか、一方通行は思い出そうとした。
(……どこだ? 思い出せよ一方通行)
必死に記憶の底の底をさらってみる。
そうして、彼は思い出した。
一度見れば忘れない、あの外見を。
「神裂……か?」
そう、その人物の名は神裂火織。
およそ一ヶ月前に上条や一方通行と間違いで争った、魔術師だ。
『……覚えてもらっているようで何よりです』
わずかに黙って、神裂はそう言った。
何でオマエがそこに居る。
上条はどうした。
色々と聞きたい事が思い浮かび、さてどれから聞こうかと一方通行は考える。
しかし疑問をぶつける前に、すみませんが、と神裂は一方通行を先制すると、
『……貴方は今、自分の周囲の状況を理解していますか?』
その口調は、前会った時――インデックスの件で色々あった時よりも、どこか深刻だった。
「……それって、皆がおかしくなっちまってる事か?」
とりあえず確認のために尋ねてみた。
周囲の状況と言われて、真っ先に思い付いたのはそれだった。
『分かっているようなら結構です』
神裂はきっぱりとした調子で言った。
「……オマエ、何か知ってるのか?」
通話先の女は、この良く分からない事態について詳しい事情を知っているのかもしれない。
こんな質問をしてくるのだ。
少なくとも、一方通行よりは何か知っているに違いない。
そして――――
『……そうですね。私は、貴方よりは事態を把握していますよ』
一方通行の推測は大当りだった。
「……だったら教えろ。一体何が起きてる?」
質問してから、一方通行はさらなる推測を始める。
今話している相手は、自分とは違う『非科学(オカルト)』の住人だ。
そんな人間が、貴方よりは事情を知っていると言ってきた。
それは、つまり。
『……端的に言いますと、現在、世界中で大規模な「魔術」が発動されています」
だいたいは思っていた通りだったが、『世界中』という言葉から鑑みるに、
事態は一方通行が想像していたよりもずっと大変な事になっているようだ。
『……以上が、現在の状況です』
神裂の話は、予想以上にとんでもないモノだった。
その内容をまとめると、これまで一切の前例の無い、とてつもない魔術が発動した、との事だ。
暫定的に名付けられたその魔術の名は、『御使堕し(エンゼルフォール)』。
その『副作用』によって、一部を除く世界中の人々は文字通り入れ替わってしまったらしい。
『副作用』でこれだけの事態だ。
これの本来の作用はもっととんでもないものであろう事は、想像に難くない。
ただ、そのとんでもなさが一方通行には理解出来ない。
「……天使、ねェ」
一言、確認するように呟いた。
「俺にはそれが良く分からねェンだが……ニュアンス的には核兵器みてェな扱いでイイのか?」
『御使堕し』――その作用は、天使を人間の世界に引きずり落とす、らしい。
天使、と言われても一方通行にはその凄さが分からない。
そもそも存在が信じられないのだが、まぁ『居る』と思わなくては話が進みそうにもないし黙っておく。
とにかく、人間よりも格上の超絶的存在だと思えば良いらしい。
件の魔術では、その格を強制的に変動させたらしい。
その結果として、上の位――天使とかいう、凄まじい力の持ち主の一席と、
下の位――人間側の誰かの持つ一席が入れ替わってしまった、という話だった。
『……まぁ、それで構いませんが』
そう言った神裂は、どこか不服そうだった。
もしかしたら、自分の『魔術(世界)』の言葉を
こっちの『科学(世界)』の言葉で表したのが少しだけ気に入らなかったのかもしれない。
『とにかく』
神裂は気を取り直すように告げた。
『……どうにもそれを行使した術者が上条当麻の近くにいるようでして「そいつの近くに来た、と」
なるほど、と一方通行は納得する。
神裂の話を聞いて、だいたいの疑問は払拭出来た。
それならば、自分がこうして違和感を感じられる理由も分かる。
一方通行は『魔術』を成り立たせる特異な物理公式を知っている。
おそらくは術が発動した時に、無意識にそれを使って中途半端に『反射』したのだろう。
その事を伝えると、
『……どうにか術の威力を半減させたとしても、それでも入れ替わった人々からはそう見えるでしょうね』
一部の魔術師は魔術で自分を守ったらしいが、それでも入れ替わっては見えてしまうらしい。
おそらくそこは同じだろう、と神裂は言った。
いわく、上条のように完全に術から逃れたのは術者だけ、らしい。
(……ン?)
はて、と一方通行は考える。
そういえば、
「……なァ」
『何か?』
「……この『御使堕し』ってなァ、強制的に姿を入れ替えさせるンだよな」
『副作用ですがね』
当然、といった調子で神裂は答えた。
そうか、じゃあよ、と一方通行は前置きすると、
「それってよ……性別もなのか?」
『は?』
神裂はあの容姿には似合わなさそうな、間抜けな声を上げた。
「性別だけ変わるってのはあンのか、って聞いてンだよ」
一方通行はそう言って、先程のキャーリサ(たぶん中身は土御門舞夏)との会話を思い出す。
彼女からすれば、自分は入れ替わって見えるはずだ。
なのに、舞夏は確かに自分を識別した。
ただ、声が高いとか言っていただけだ。
まさかとは思うが、自分は今、性別が入れ替わって見えるのかもしれない。
『……すみません、我々も良く分かっていないんです』
神裂は申し訳なさそうに告げた。
前例が無い魔術なので効果を完全に理解している訳ではない、との事だった。
「いや、イイ」
気にすンな、と一方通行は返し、
「俺に手伝える事とかはあるか?」
一応、聞いておいた。
『……いえ。今回は「魔術師(我々)」の仕事です。
貴方はとりあえず、術が止まるまで自宅に待機しておいた方がよろしいかと』
そうか、とだけ言った。
当たり前だろうなと思う。
自分はあくまでも科学方面にしか詳しくない。
インデックスの時と違って、事件解決の手助けにはなれないだろう。
「……気をつけろよ」
『……お心づかい、痛み入ります』
最後に、二人はそれだけ言って通話を終えた。
「……ただいまァ」
その後、一方通行は寄り道せずにさっさと部屋に戻った。
今日はもう、これ以上外の空気を吸いたくなかったのだ。
靴を脱いで中に入れば、三毛猫が人のベッドでグースカ寝ていた。
……こっちの苦労も知らないでイイご身分だ、とだけ思う。
「……ふわァァああ」
何だか見ていると眠くなった。
寝よ、と一方通行はベッドに倒れ込む。
そのまま瞳を閉じて、猫とお昼寝に入ろうとして――――
(……待てよ)
ふと、彼は何かを思い出す。
ゆったりとした動作で、彼はケータイを引っ張り出して何やら操作する。
「……やっぱりそうだったか」
一方通行は起き上がって時間を確認すると、はァ、とため息を吐いた。
そんな訳で四巻編『御使堕し』です。
今回はシリアスはあんまなしな感じです。
というか、この先話の都合上シリアスなしの巻とか出てくる事もあります。
その時は平凡に生きる一方通行の姿に和める話を頑張って書きますので、どうぞよろしく。
それでは、またいつか。
ライブ遭遇キター!
乙です!
乙
まさか百合子になるとはw
百合子ちゃんに入れ替わり中だということか?
乙乙
百合子ちゃんなのか
乙!
相変わらず面白い。
次も楽しみにしてる。
反射が妙な具合にかかって架空の人物「鈴科百合子」になっている……のか?
「鈴科百合子」が実在しているなら是非とも会ってるところが見たいww
疑問なんだが
御使堕しを防ぐと外見だけが変わって、神裂とかは困ってたよな。
という事は一般の人は中身じゃなくて、外面でその人を判断してるはず。
なのになんで防げずに外面が入れ替わってる奴はなんの問題もないんだろうな?
あとミーシャの中身が堕ちてきて椅子取りゲームやってるのなら朝起きたら外面が変わるんじゃなくて、朝起きたら知らない体で知らない所にいるはずなのに問題起きてないのはなんでだろう?
誰か知ってたら教えて下さい
>>460
こっちで聞け
それか禁書wikiで調べろ
http://www12.atwiki.jp/index-index/pages/106.html
この作品のアレやコレを真面目に考えたら負け
>>460
結局考察スレでもよく分からないって結論が出てる
あれはまあ・・・ミスだろうな
乙!
平和な一方さん楽しみにしてます!
一方さんのスフィンクスとのやりとりとか、舞夏とのご近所付合いとかめっちゃ和む
どうも皆様。
久しぶりに投下開始します。
さて。お昼が少し過ぎて、午後と呼ばれる時間帯が始まり。
「…………暑いなぁ」
呟き、少女は唸りを上げた。
コンクリートの道路には日の光による熱が溜まり、本来の気温以上の暑さを演出している。
それでも少女は木陰に入ったりはせずに、ただただ一人で、ある公園の自販機の前に立っていた。
今日は少女にとって、それなりに重要な日だったのだ。
「…………遅いなぁ」
うがぁー、と少女はだれつつも手持ちのケータイを見る。
時計を見ればちょうど今、待ち合わせ時間になったところだった。
(………………早く来過ぎた、のかなぁ)
ちょっとだけ、反省しておく。
「……っていうか、何勝手に緊張しちゃってんのかね、あたし」
まだ来ない相手に、少女は色々と考えてみる。
相手からすれば、これはちょっとした暇つぶしなのだ。
それに対して、自分は真剣になりすぎたのかもしれない。
(……いやいや、それで手を抜いちゃダメでしょ)
今日の事は全て自分のためだ。
その自分が一番気合いを入れなくてどうする。
そうだそうだ、と少女は改める。
と、そこへ――――
「あ、一方通行さーんっ!!」
少女――佐天涙子は、待ち合わせ相手の少年が来るのを見つけた。
その少年―― 一方通行はこっちを見ると、ちょっぴり急ぎ足で来てくれた。
「よォ、待たせちまったか?」
「いえいえ、そんなには待ってないですよ」
申し訳なさげな少年の様子を嬉しく思いながら、佐天は明るい調子で返した。
「……そうか。じゃ、早速始めるとするか」
場所を変えるぞ、と一方通行は木陰にあるベンチまで歩き出す。
これ以上話していてはせっかくの時間が無駄になってしまうと言わんばかりの歩調で。
佐天も、若干ワクワクしながら彼の後から遅れて付いて行く。
教室への移動も終わり、第一位による特別授業がいよいよ始まった。
「さて、と。何からやるか……」
先生側―― 一方通行はほんの数秒だけ思考する。
生徒側――佐天涙子は、そんな先生をじっと見ていた。
(……ったく、どォして知ってるヤツに入れ替わっちまうかね)
様々な事を同時に考えながら、一方通行はチラリと生徒を見る。
どうでもいい話だが、現在一方通行からすると、佐天涙子はある人物に入れ替わって見える。
それも、知らない誰かとではなく、完璧な知り合いとだった。
その名は『黄泉川愛穂』。
一方通行の高校で体育教師をしている女性だ。
一方通行にとって、黄泉川はそれなりに付き合いのある知り合いだ。
彼女は、これまた彼の古い知り合いの芳川桔梗の友達で、何度か学校外で会った事もある。
普段は緑色のジャージを着ている黄泉川なのだが、
現在は佐天が中身のために、簡単には拝めないであろう恰好をしている。
ただ、あくまで中身は十代の少女なのだ。
はっきり言って二十代の黄泉川の身体には似合わない。
というか、色んな部分がほぼ丸出しに近くて、まるで痴女のようだ。
「……よし、ンじゃまずは基本から行くとするか」
さっさと頭を切り替えて、一方通行は佐天を見る。
直視してしまうと色々な部分が見えてしまうが、気にしないでおく。
「……基本、ですか?」
「おォ。何でもそォだがな、基本(当たり前)が押さえられなきゃ応用になンざ進めねェよ」
当然といった調子で、積み重ねずに一気に頂点に達した天才(少年)は答える。
「……超能力を成り立たせる上で一番大事にされてるのは
『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』、ってなァさンざン言われてるだろォからまァ良しとする」
『自分だけの現実』とは、簡単に言えば超能力の土台となる物だ。
魔術で例えるなら、ステイルのルーンのような物だろうか。
どういう物か具体的に説明すれば長くなってしまうが、
単純に言ってしまうと、要するに『信じる事』である。
自分にはある条件が揃えば、普通ならありえない事が起こせる。
そう強く思う事で、初めて超能力者は能力を使えるようになる。
そしてそういった自信を作り上げるのが、学園都市で行われている能力開発だ。
薬物や暗示などでまともな現実から切り離す事で、普通の人間とは違う感覚を手に入れさせる。
それが能力開発の正体であり、柱である。
「今日はそれを強化する特訓をやる。
うまくいきゃあ、短い期間で異能力者(レベル2)ぐれェにはなれるかもな」
「ほ、ホントですか!?」
信じられない、といった目で見てくる彼女に、一方通行は簡単に頷く。
それほどまでに、『自分だけの現実』という物は能力に重要なのだ。
「じゃ、始めるが……その前に質問するから答えろ。
オマエは、どォすれば『自分だけの現実』を強化出来ると思う?」
「…………………え、っと。やっぱり、投薬しまくったりとか、電極刺したりとか…………?」
突然の質問に困ったらしく、佐天の口調は随分としどろもどろだった。
そんな彼女の答えに、一方通行は軽く首を横に振る。
「間違っちゃいねェがな。オマエが今からする事はもっとシンプルだ」
「……というと?」
「イメージ力の強化だ」
一方通行はそう言うと、具体的に説明しだした。
「能力を強くするには、これだけの事が出来るっつーイメージをさらに強くしなきゃならねェ。
レベルってなァ、要するに思い込む力の度合いを表してるモンだと思えばイイ。
オマエ、自分が軽く指振っただけであそこの自販機からたくさン缶ジュースを引っ張り出せると思うか?」
そう言って、一方通行は先程の待ち合わせ場所の自販機を指差す。
「えっと、確かにあの自販機はちょっと強く蹴れば中身出しますけど……いくらなんでもここからじゃ無理ですよ」
佐天は、それが当たり前のように答えた。
「……ま、『外』の人間も含めて普通はそう言うよな」
一方通行はつまらなそうに呟くと、指を軽く振った。
瞬間。
辺りから――正確には自販機から――ゴン! ガン! と冷えた金属にお湯をかけて、凹んだ時のような音がした。
そして、
ガラガラガラ――!! と自販機から溢れるほどに缶ジュースが出てきた。
唖然とした様子で、佐天はその光景を見ていた。
「……あァー、しまったな。出し過ぎしちまった」
一方通行はそんな彼女を放っておいて自販機の元に向かう。
たっぷりと転がってしまった缶を、彼は全て手元に引き寄せ(これも少し指を振っただけで引っ張ってみせた)、
それらを適当に置いてから財布を取り出して一万円札を自販機に突っ込んだ。
そのままたくさんの缶を両手に何本も積み上げて(何故か缶はバランスを崩して落ちたりしない)、
ゆったりとした足取りで何事も無かったかのようにベンチに戻ってきた。
「……俺は今、風の塊みたいなのをあれにぶつけた。
その結果、こォして軽く指を振っただけで缶ジュースを引っ張り出した」
言いながら、一方通行は缶を周りに積み直す。
佐天はただの一言も発せず、それを見ていた。
「オマエと同じ『風』を使った。なのにオマエには出来ねェ。どォしてか分かるか?」
「………………レベルが、違うからですか?」
そう言った佐天の顔には、ちょっとだけ自嘲の笑みが若干浮かんでいた。
「違う」
一方通行はきっぱりと、優しさを感じる声色で告げた。
「オマエには想像力が足りてねェンだ。
頭の中で、実際のイメージがまだ出来てねェンだよ」
一方通行が言いたい事は簡単だ。
能力を使う際、能力者は頭の中でどういった事が起きるかイメージをする。
こんな感じの強風が起きるとか、これだけの電圧の雷が起こせるだとか、
そういったイメージの強さが、言わばレベルの強さだ。
「こンな風が起こせる、の『こンな』の部分が今のオマエに足りてねェモノだ」
一方通行は缶を積み終えると、
「だから、今からそれをオマエに叩き込む」
振り向いて、互いに向き合う形になった。
「は、はぁ……。どうすれば良いんですか?」
「まずは普通に能力を使ってくれ」
言われて、佐天は手を前にかざして能力を使い始めた。
ほんの少しの風が、彼女の正面の一方通行に当たる。
「……よし、そのままの状態を保てよ。
次は俺がこれより少し強い風をオマエに当てるから、
オマエはその風を強くイメージしながら能力を使ってみろ」
一方通行はそう告げると、何かのメーターと風車が繋がっている機械を取り出した。
「それ、何ですか?」
「風速計だ。知り合いの研究者から借りてきた」
適当に答えて、一方通行は風速計をベンチに置く。
「今度は俺じゃなくてこっちの風車に風を当ててろ」
「は、はい」
言われた通りに、彼女は風車に手をかざす。
メーターを見れば、やはり風速はかなり弱かった。
「……じゃ、いくぞ」
一方通行は風車に風が当たらないように演算を開始する。
それに従い、佐天だけに向かって軽い突風が吹き続ける。
「ん~~~~…………」
彼女は目を閉じて、何やら唸り始めた。
そうして、微風を出し続ける事二十分。
メーターの数値は、簡単には変わりはしなかった。
「……や、やっぱりそんなあっさりとは……」
メーターを見て、佐天は少しだけ気落ちしてしまったようだ。
「集中を切らすな。とにかく想像しろ」
一方通行もすぐに効果が出るとは思っていない。
それでも、続ければ必ず上手くいくはずだと信じている。
「俺は、必ず約束は守る」
だから安心して信じろ、と一方通行は告げる。
「……分かりました」
佐天は、諦めずにもう一度挑戦し始めた。
「……よし、一旦休憩だ」
十五本目の缶コーヒーを飲み終え、一方通行は告げた。
あれから、かれこれ一時間ほどは経っただろうか。
まだまだ、日は暮れない。
二人はベンチに座り込んだ。
周りには、大量の缶ジュースが未だに積み上がっている。
「……ふぅ。ど、どうでした? 少しは上がったりとか……」
妙にそわそわした様子で、佐天が聞いてくる。
あれから、メーターの数値でいちいち一喜一憂されても困るので、彼女には見えないようにしておいたのだ。
「ま、確かに上がりはしたが……。それでもほンの僅か、まだまだ能力者(レベル1)クラスだな」
そう言われて、佐天は少しだけ残念そうにした。
一方通行はため息を吐くと、
「ンな簡単にレベルが上がるなら、誰でも苦労しねェよ。
大事なのはな、努力から逃げ出さねェ事だ。
……オマエにはまだたっぷりと時間がある。今は少しずつでも、上がった事を喜ぼォじゃねェか」
やっぱ俺らしくねェな、と一方通行は思いながらも言った。
何となく、目の前の少女(外見は妙齢の女性だが)が悲しげな顔をしているのが嫌だったのだ。
「そう、ですよね。失礼しました。せっかく一方通行さんが教えてくれてるのに」
「そォ言って欲しくて俺はオマエを手伝ってる訳じゃねェよ。
っつーか、俺はただ単に暇すぎて困ってたからオマエを手伝ってンだ。気にすンなよ」
グビリ、と一方通行は少し急いだ様子で十六本目の缶コーヒーに手をつける。
途端、佐天はクスリと笑った。
「一方通行さんって……すごく良い人なんですね」
その言葉は、辺りでけたたましく鳴き声を上げていたセミに掻き消されて、消えた。
はい、少ないですが今回は以上です。
それでは皆様。またいつか。
なんだこのイケメソ…
乙!
リアルタイムおつ
セーラー黄泉川か……
ちょっとトイレいってくる
乙
ああ、いいなぁ、この佐天通行……
次も期待!
いい!いいよぉ!!最高だよォ!
いい話なんだがサイズが小さいセーラー服を着た黄泉川先生だって事を思い浮かべると……
……ハァハァ、ウッ……フゥ
セーラー黄泉川がどうしても想像できない
俺のレベルが低いからか……
>>484
集中を切らすな。とにかく想像しろ
うおおお、俺に勝手なイメージを押しつけるなッ!
今日一日想像してたけどどうしても想像できない
髪をおろしてるのかじゃん?
乙ッッ
でも缶コーヒー十何本も飲んで一方さんの腹は大丈夫なのか・・・?
乙ッッ
でも缶コーヒー十何本も飲んで一方さんの腹は大丈夫なのか・・・?
>>490
ドンマイw
セーラー黄泉川に百合子ちゃんか
胸が大きくなったな
なんというか・・・
股間が熱くなるな・・・
ちょっとまって佐天さん(外側:黄泉川)はセーラー服なのか?
それともキャミでフリフリがついててカプリパンツみたいなの穿いててサンダルなのか?
…ふぅ
いいかどっちでも
>>494
そんな事より重要なのは
百合子ちゃんの下着が普段のまま、即ちノーブラトランクスである可能性が非常に高い事だ
>>495
ふぅ ここは賢者が多そうだな
で、結局髪は下げてるのかじゃん!
結んでるのかじゃん!
お前ら落ち着けw
「…………たまには、な」
「ミサカはそれなりに来るからね! ってミサカはミサカは安心の言葉を伝えてみる!」
「ま、このミサカはもう来ないかも……はいはい、そんな睨まないでよ親御さん」
そんな三人に、黄泉川は安心したように息を吐いた。
そんな黄泉川を見て、芳川はクスリと笑い、
「……それじゃ、またいつか会えたら会いましょう」
「……おォ。無茶すンなよ」
「あなたに言われたくはないわね」
「そうだよ、ってミサカはミサカはヨシカワに賛同してみる」
「……無自覚で無茶するってのも重症だよねぇ」
「ンだよ、そりゃ」
彼らは、実に普段通りの調子で語らう。
それを見て、黄泉川は笑った。
ただ、楽しげに。慈しむように。
そして、
「――――じゃ、お別れじゃん」
すんません、誤爆した。
おう、向こうも見てるからな
腹パンの人の別スレどこですか?
見たいのでどうか教えろください
>>503
おお、すまん
ありがとう!
こっちも更新されないかな……
このスレは見捨てられたのか…?
……どうも、皆様。
大変お待たせしました。
今から投下開始します。
「……今日はこれぐれェで終いにするか」
一方通行が言ったと同時、佐天の肩から力が抜けた。
もう、完全下校時刻が間近だった。
一方通行は空に目をやる。
世界がこんなにもおかしくなっているのに、夕日はいつも通りに輝いていた。
……いや、それは人間だけの視点だからか。
事実、人間以外の動物は特に入れ替わっていない。
それに入れ替わったとしても、誰もが―― 一方通行のように逃れた者を除くが――『いつも通り』に生きている。
考えてみると、やはり恐ろしい。
一人だけ、世界から取り残された感覚がしてくる。
それはとても嫌な感覚だった。
蒸し暑い夏の日に、四十度のサウナに一日取り残されるような。
いや、取り残された訳ではないか。
改めて考え直す。
別に自分と同じ人間は他にもいるのだ。
それに、自分がこの環境に慣れてしまえば良いだけの話だろう。
そんな風にポジティブに思考していると、
「――――レータさん! 一方通行さん!」
はっ、と自分を呼ぶ声に気付く。
「ン。悪いな、ちょっとぼーっとしてた」
むぅ、と自分を呼んだ少女――佐天がむくれた。
いつもの姿の彼女だったら、それはそれは愛らしい仕種なのかもしれない。
が、今は生憎といい年した大人の女にしか見えないので、正直ぞっとしてしまった。
やれやれ、と佐天は首を振ると、
「ま、良いですけど。それより、どうでした?」
何がどォなンだ? と聞こうとして、やめる。
彼は質問の意図をすぐに理解すると、
「……ま、そォ簡単にゃ行かねェよな」
言った途端に、彼女は肩を落とす。
ガクッ、というような効果音が似合いそうだ。
……ちょっとだけ、いたたまれない。
「ま、早くレベルを上げたきゃ、今日やった事を帰ってから反復練習するこったな」
言いながら、周りに積み上がっている缶ジュースを何本か渡す。
「持ってけ。俺一人じゃ処理出来ねェ」
「あ、どうも」
それらを抱えてから佐天は、
「残りはどうするんです?」
と首を傾げる。
「そォだなァ…………」
一方通行は少し考え込む。
缶ジュースはまだまだたっぷりとある。
佐天にいくらかは渡したが、一人ではまだ厳しいだろう。
だからといって、捨てるのもあまり好ましくない。
うーン、と一方通行は悩む。
佐天も、うーん、と一緒に唸る。
(木原達にでも……いや、今忙しいから会えないかもしれねェか)
これは一体どうしたものか、と少年は悩み――――
「…………ン?」
ふと、気付く。
ベンチから離れた、自販機の近く。
そこの草むらでガサガサと動きがある事に。
「………………」
一方通行は無言で能力を使う。
ちょっとした微風を草むらに向かって当てて、その流れを観測する。
すると、ちょうど人間サイズの障害物が三つほど草むらにある事を把握する。
「どうかしました?」
「ン。ちょっとな」
何も知らない佐天に一方通行は適当に答えつつ、豆粒程度の大きさの小石を拾う。
そして――――
「――――そら、よォ!」
軽く、放り投げた。
僅かにベクトルを操られたそれは、綺麗な放物線を描き、草むらに入る。
途端、
「あたーーーっ!?」
随分とコミカルな雰囲気の女性の声が公園に響く。
「…………へ?」
佐天は目を丸くして、そちらを見る。
一方通行は若干呆れた様子で草むらを睨むと、
「……オラ、とっとと出てこい」
「え? え?」
未だ状況が理解出来ないらしい。
佐天は草むらと一方通行を交互に見る。
そして――――
「えっと……いつから分かってました?」
ゆったりとした動きで、三人の人間が出てきた。
当然のように、一方通行が知っている人物は一人も――いや、一人いた。
が、残り二人は誰か知らない。
服装で大体の中身の予想がついてはいるが。
「う、初春!? 何で白井さんや御坂さんまで!?」
隣で素っ頓狂な声を上げる佐天に、三人は気まずそうに適当に笑う。
そう。そこにいたのは、佐天の友人である初春飾利、白井黒子、御坂美琴だった。
「………………それで? 何でここにいるのかなー、初春。
今日は風紀委員(ジャッジメント)で超絶的に忙しいんじゃなかったー?」
佐天はにこやかに笑って三人に質問する。
言葉上は穏やかだが、その声は何故か少し震えている。
「……いやー、つい佐天さんが気になっちゃって」
あはは、と頭に花を載せたセーラー服の外国人女性が笑う。
中身は『初春飾利』であろうその女性に、一方通行は見覚えがある。
(……今日はイギリス関連ばっかだ)
朝に見た英国の第二王女、キャーリサ(中身『土御門舞夏』)。
その妹である第三王女、ヴィリアン。
それが、現在の『初春飾利』の姿である。
「……パトロール中に無理矢理連れられてきましたの」
常盤台中学の制服に風紀委員の腕章をしている女性が、頭を撫でながら言う。
たぶん、こっちは白井黒子だ。
こちらも外国人だが、一方通行には特に見覚えはない。
一応、その女性の外見的特徴を上げるとすれば、
まるで雪のように白く、そしてみずみずしい肌をしているところだろうか。
そこから考えるに、あまり日が射さないロシア辺りの出身なのかもしれない。
まるで、童話に出てくるヒロインを絵に描いたような風貌だ。
「あー、私は黒子達に付いてきて……」
問題はこいつだ、と一方通行は彼女を見る。
御坂美琴。
数日前に、ちょっとしたいざこざがあった少女。
現在、『御使堕し』によって例外なく姿が入れ替わっているはずなのだが……。
(何で入れ替わってねェンだ?)
何故か、彼女は何も変わらずにそこに立っていた。
訳が分からない。
まさか、彼女が術者とやらである訳ではないし。
そもそも、超能力者には魔術が使えないとかインデックスに聞いた事がある。
じゃあ、一体――――?
と、そこまで考えて気付いた。
(………………あァ、そォだよなァ)
思い浮かんだのは一つの可能性。
確率としては、かなりの奇跡に分類されそうだ。
(同じツラが二万ぐれェもいりゃあ、一人ぐらいは被るよなァ)
そう、御坂美琴はちゃんと入れ替わっている。
自分の軍用クローンとして生み出された二万人の人間――――妹達と。
ありえなくはない事だろう。
世界人口と妹達の人数を考えれば、相当の低確率だが。
いやどンだけの偶然だよ、と一人でツッコミを入れておく。
「…………ま、何でもイイけどよ」
適当に思考を切り替えて、一方通行は缶タワーを指差す。
「これ、適当に持ってってくれ。俺一人じゃどォにもなりそうになくてな」
「あぁ、それじゃ」
「……いただきます」
「そ、それじゃいくつか……」
三人はそれぞれ何本か缶を選んで取っていく。
初春は『いちごおでん』とかいう奴のほか、見たかぎり危なそうな物を。
白井は比較的普通の物(紅茶とかコーヒーだ)を。
御坂は、『あっ、これは…………』とか呟きながら、同じ種類の缶を何本も取った。
何かと思えば、いつぞやスフィンクスと名付けられた猫を軽く酔わせたジュースだった。
そンな大事そうに持つかねェ……と思いながらも、一方通行は閉口しておく。
よほど猫が好きなんだろうな、と簡単に推測出来たからだ。
「……いつから、見てたの?」
おほん、と随分とわざとらしい咳をして、佐天は奇っ怪なジュースを飲む花頭を見た。
「実質的にはほんのちょっとだけですよ。だいたい三十分前くらいです」
うまー、と缶から口を離す少女に、
「まったく……もう少しでお姉様と間接キッス出来たというのに…………」
ツインテールお嬢様が何やら恨めしげにぶつぶつ文句を言っている。
「……ホント、こう言っちゃなんだけど助かったわ」
かなり引き気味に安堵する御坂を見て、オマエの日常ってとンでもねェな、と言おうとして止める。
これで結構楽しんでるに違いない。
「で、どうです?」
少し時間が経ち、とある公園のごみ箱の前にて。
佐天は突然の質問に、親友を見る。
空き缶を捨てに行く、という初春に引っ張られて来たのだが、どうやら用件はそれだけではなかったらしい。
何が、とは聞く必要はない。
たぶん、能力の話だ。
「……見てたんでしょ」
ちょっぴりブルーな気持ちで、佐天は憮然と答える。
親友のこういった意地悪なところは嫌いではなかったが、今は少しだけ響くものがある。
しかし初春は笑うと、
「いえいえ、そういう話じゃなくてですね」
ずい、と突如花が目前に迫り、佐天は少し体を引いた。
とっさに、これホントどうなってんだろ? などと佐天はどうでもいい事を考えて――――
「(ちょっとは何かアピール出来ました? って聞いてるんです)」
思考が、止まる。
「んな…………っ!? な、何言って」
いきなりの言葉に、佐天は慌ててある方向に視線を移す。
視界の先には、三人の人間がいる。
その内の一人である白髪の少年を注視する。
少年は、奇妙そうに二人の人物を見ていた。
ただしそれは佐天達ではなく、それはそれは変わった、名門中学のお嬢様達だった。
……よかった。何も聞かれてない。
佐天はホッと胸を撫で下ろす。
初春はそんな彼女の様子を知ってか知らずか、
「やだなー。分かってますよー?
例の件で一方通行さんに一目惚「うーいーはーる」いひゃひゃひゃっ!?
ひょ、ひょっとちゅねりゃにゃいでくだしゃいよ! ひょっぺたみょげみゃしゅってば!!」
ギュー、と佐天はよく伸びる親友の頬でたっぷりと遊び始めた。
その顔にはステキな笑顔が張り付いているが、目はさっぱり笑っていない。
ギャーギャーと騒ぐ少女達を、一方通行は不思議そうに見る。
騒いでいるのは、名門常盤台中学のちょっとヘンテコなお嬢様二人だ。
「お姉様ーっ!! 今度こそ黒子と間接キッ……」
「ええーい、近寄んな!」
いつもの事、と言わんばかりに暴れる二人を、一方通行はじっと見る。
今、変態の方は姿が変わっている。
こういった馬鹿馬鹿しい事には無縁そうな、見た目麗しい外国人女性に。
だというのに、そこには何の違和感もない。
とても不可思議だった。
変態には外見など関係ないのかもしれない。
青髪ピアスと仲良くなれそォだな、と思う。
……いや、願わくば出会って欲しくはないが。
「……ン?」
ふと、視界の端に別の少女達が写る。
さっきまで能力を鍛えるのを手伝っていた佐天と、その親友だという初春だ。
初春はニコニコと笑って、佐天の耳に口を寄せていた。
そうして何事か囁いた途端に、佐天は顔を真っ赤にして何やら喚く。
と思った瞬間、彼女は初春のほっぺをつねっていた。
「…………どォしたンだろうな、あれ」
こっそりと御坂に近付いて尋ねてみる。
「んー?」
彼女は纏わり付く後輩をうっとうしげに電撃で吹っ飛ばす。
そうして、佐天達と一方通行を交互に見てため息を吐くと、
「……アンタってアイツに負けず劣らずよね」
「は?」
はい、以上です。
>>506
どれだけ間が開こうと完結まで終わらせません。見捨ててたまるかよ状態です。
それでは、またいつか。
黒子の中身はあれか、国境を越えた変態同士のシンパシーか。
今までの話を忘れたからだれか産業で
>>520
まとめとか
ログとかで
読んで来い
>>509
むくれた黄泉川
悪くないじゃん
GJ
>>522
鉄装さんが呼んでたんで早く仕事に戻って下さい
御坂が妹と入れ替わりって面白いな。
普通にしてるのにレイプ目か
白井はワシリーサか?
えぐざくとりぃ?
支援
>>527
布束さん?
>>528
ジョジョネタじゃねーのか
どうも、お久しぶりです。
では、早速投下開始。
「……じゃあな、俺はこっちだ」
「ご機嫌よう、一方通行さん」
「さようならー」
「じゃね、アイツらによろしく言っといて」
「今日はどうもありがとうございました! またお願いしますねー!!」
そう言って、夕暮れの街に消えていく佐天達の背中を、一方通行は最後まで見届けた。
あの後、完全下校時刻となり、奇妙な集団は一度解散する事となったのだ。
そんな訳で、残念ながら帰り道が一人だけ違った一方通行は、さっさと寮に向かい始める。
(……疲れた)
ゆっくりとした歩調で、一方通行はけだるそうに歩道を進む。
周りには、自分と同じように寮へと急ぐ学生(だ思われる)がいた。
入れ替わった連中に普段通りに振る舞うのは、想像以上に気力を使う事となった。
相手は入れ替わりに気付いていないために普段通りに振る舞うのだが、
気付いている側としては、初見では普段通りの対応を見せるという訳にもいかない。
状況を理解し、相手に変人呼ばわりされそうな対応をしないようにするには、頭をかなり使う。
とっとと帰って休もう、と少年は急ぎ足で進もうと――――
「おー、一方。奇遇やね」
と、いきなり誰かが横合いから飛び出してきて、一方通行の足は自然と止まる。
このうさん臭い口調には、一人しか覚えがない。
ゆっくりと、とてつもなく面倒そうに一方通行はそいつを見ると、
「……今日は厄日か」
ポツリ、と呟いた。
「何や、冷たいなー。むしろ幸運やって」
そいつ――中身『青髪ピアス』は、手をひらひらと振りながら笑う。
すげェなコイツ、と一方通行は久しぶりの友人を見た瞬間、率直に思った。
全然違う人物に入れ替わっているというのに、いつも通りの怪しさが目に見えるぐらいに感じられる。
そう、超絶真面目な『吹寄制理』に入れ替わっているというのに。
もはや、一つの才能だと断言しても良い。
「いーや、ぜってェ違う。……つーか、何だその浮輪」
よく見ると、変態は胴に浮輪を通していた。
それに、少しだけ髪が水で濡れているようだ。
「ん? 今日は暑いからなー、プール行ってきたんよ。
まったくもー、一方もーちょい早起きしたほうがええよ?
人が誘いに来たゆうのにグースカ寝とったようやし。
カミやんは海行ってしもたし、土御門はんは連絡取れへんしで、しゃーないから他の連中と行ってきたんやけどな」
話を聞く限り、どうやら朝に誘いに来てくれたらしい。
ほらほら、日焼けしとる? 今度はワイルドな感じ目指しとるんよー、とか抜かす馬鹿。
オマエはまずその青髪をどォにかしろ。
全然ワイルドじゃねェ、っつーか笑いを誘っているとしか思えねェよ。
と、まぁそんな思考は放っておいて。
「……そりゃ悪かったな。で、どォだった」
悪い事したな、と結構真剣に思いながら、一方通行は青髪ピアスと歩道を歩く。
周りにいた学生達も、いつの間にかほぼ消えていた。
「ぐふふ。これがまたエライ人が多くてな? 涼むどころか暑苦しいくらいだったわー」
そう言った彼の顔は、ちっとも嫌そうじゃない。
むしろ、今にも笑い出しそうなのを堪えて、ニヤニヤしているように見える。
「……大損だな」
とりあえず適当に返すと、彼は実に予想通りの事を言った。
「いやいや、水着姿のお姉さんお嬢ちゃんたっくさん見れたからええんや」
へへー、と無邪気に笑う変態。
やっぱり、変態というものはすごい。
いや、全然褒められた事ではないが。
一方通行はうんざりしたような顔をして、
「……オマエはいつでもオマエだな」
軽く呆れたように、そして少しだけ安堵したように告げた。
結局、一方通行が寮に着いた頃には、もう日は完全に落ちていた。
他の学生達はすでに帰って来たらしく、僅かに夕飯の匂いが辺りから漂ってくる。
夕飯作るの面倒だな、などと考えつつ、一方通行は部屋に入る。
玄関で靴を後ろに蹴り飛ばすように脱ぎ、進む。
「よォ。オマエは気楽でイイよな」
一方通行の視線はベッドの枕元に向いていた。
そこには、人の家でゴロゴロとぐーたらしている猫がいる。
昼に出かける際に、一応舞夏に世話を頼んでおいたので、ハプニングが起きたりはしていないようだ。
「っと、こいつは……」
次に目が行ったのは、食事に使う大きめのテーブルだ。
そこには、一枚のメモ用紙があった。
近付いてみると、何か書いてある事に気付く。
とりあえず、手に取って読んでみる。
そこには、
『どうせだから夕飯作っといたぞー。冷蔵庫に入れといたから食べると良いー』
とだけ、あった。
……面倒な夕飯作りはしなくて良さそうだ。
「……」
一方通行はテレビの前に置いてあるサイドテーブルの前に座り込み、何となくテレビの電源を点けてみた。
相変わらず、誰も彼もがいびつなままだ。
早いトコ解決しろよ、と思いながら番組を適当に変えまくる。
もはや八つ当たりに近いそれを、一方通行は軽く五分ほど続ける。
と、ある番組で指が止まる。
それは、旅番組だった。
どこかの国の海岸を旅しているらしく、画面いっぱいに青い海が広がる。
「……あァ、クソ。海行きてェな」
ここはイタリアのどこどこだ、といったナレーションを聞き流しながら、一方通行は一人呟く。
友人達とプールぐらいになら行った事はあったが、生まれてこのかた海には行った事がない。
実を言えば、当初一方通行は上条達と一緒に海に行く予定だった。
だが、第一位というだけで色々と制約が付いてしまい、結局『外』に出してもらえなかったのだ。
ふン、と一方通行はベッドに寝転がり、仰向けになる。
別に、もう慣れていた。
このような事は何度も何度もあったのだ。
第一位、という肩書きはどこまでも枷となる。
こんな時だけ能力がなくなれば良いのにと何度思ったか分からない。
……海、行きてェな、と少年はもう一度、小さく呟いた。
(いっその事こっそり出てくか)
天井を見上げて数分、一方通行はそんな事を考え始めていた。
それはイイ、と思う。
表のやり方で出られないなら、裏のやり方で行けば良いのだから。
適当に事件解決の手伝いだ、とか言って合流してやろう。
そォと決まったらそうしよう。うン、そォしよう。
一方通行は勢いよく起き上がった。
その反動でベッドのスプリングが、傍で寝ていた猫を軽く飛ばす。
『な、何!? 何事ーっ!?』と慌てた様子で猫は華麗に着地するが、一方通行はそちらは見ない。
彼はボールペンと適当な紙(夏休み中の校外での過ごし方とか書いてあるヤツ)をその辺から引っ張り出す。
ボールペンを手の中で数回ほど回すと、少年は紙の裏の白紙部分に何かを書いていく。
そうして、完成した。
――――学園都市の、かなり精密な地図が。
(外周の壁を跳び越える……はダメだな。監視カメラはともかく、人工衛星が邪魔だ)
まずは一番簡単な策。
ぐるぐると外周部を線で囲んで、バツマークを一つ。
次に二番目。
(航空機にでも張り付いて……いや、見つからずにってのは無理だ)
これも駄目。
ペン先でコツコツと叩かれている地点は、学園都市の中でも警備が厳しい。
誰にも気付かれず、というのは不可能だろう。
またもバツマークが紙の上に追加される。
(モグラみてェに穴でも掘るか?)
幸いな事に、第二十一学区には木々が生い茂っている山々などがある。
そこでなら、穴でも掘って地下から街を出たとしても、
木々によって穴を掘っている所を人工衛星に見られたりはしないだろう。
だが、
(……地下の電気配線ケーブル切ったらどォする)
頭の中でシュミレートしてみる。
学園都市は電力に大概の技術を委ねている。
もしも、どこかの軍事研究所の電力供給を断ってしまって、実験兵器が暴発したら?
もしも、どこかの病院の電気機器を停止させて、誰か死んでしまったら?
考えれば考えるほど、欠点が浮き彫りになる。
「………………チッ。やっぱ無理か」
一方通行は床に倒れ伏す。
まぁ、分かっていた。
誰にもばれることなく、かつ迷惑もかけず、だなんて無理に決まっている。
こんな事を考えたのは、ただ単なる退屈しのぎだ。
一気に無気力になった彼は部屋を見回した。
あまり物は置かない主義の少年の部屋は、舞夏の掃除のおかげでもあるのか、こざっぱりとしている。
ふと、棚の上に飾ってある一枚の写真が視界に入る。
それは、今年の入学式の時に撮った写真だった。
写っているのは、一方通行と養父――のはずの人物だ。
懐かしいものだ、と思う。
『いやはや、図体ばっかでかくなりやがって』
とある高校の校門にて。
申し訳程度に舞い散る桜の花びらを目で追いながら呟いたのは、養父の木原数多だ。
その顔にはどこか感慨深いモノがある。
『ンだよ。俺だって立派な大人だっつーの』
木原の隣、学生服を着込んだ白い少年が不機嫌そうに言った。
辺りには、少年と同じように学生服の人間がたくさんいる。
今日は少年―― 一方通行の、高校の入学式だ。
もっとも、もう肝心の式は終わっているが。
今は、記念に写真を撮ろうという話になったところだった。
『は? 大人? どこどこ?』
木原は手を額に当てて辺りを見回す。
わざと下を見ないのがミソだったりする。
『……上等だ、馬鹿親父』
『冗談だよ、分かってねぇなオマエ』
低く唸る息子に対して、木原は軽く笑う。
少年は、学園都市第一位の怪物という結構(というかかなり)怖い呼び名がある訳なのだが、木原は一切気にしない。
いや、まぁ、怯える彼の姿なんて想像もつかないが。
『もう良いかしら? 撮るわよ』
木原の同僚の呆れたような声がして、二人はさっさとたたずまいを正す。
『あぁ、はいはい。よろしく頼むわ』
木原の言葉に、少年はぼんやりと、面倒そうにカメラを見る。
正直こういうのは苦手だった。
何と言うか、その、親と撮るというところに気恥ずかしいモノがある。
視界の端でニヤニヤしている友人(馬鹿)どもはとりあえず後でぶっ飛ばす。
なんて事を考えていると、
『オイ、一方通行』
『……何だよ』
一方通行は、珍しく真面目な口調の木原を、怪訝そうに見る。
ポンッ、と軽い音がした。
肩に手を置かれたのだ。
と思った瞬間、引き寄せられた。
途端にアップになった木原の顔には、何が嬉しいのか笑顔があった。
『――入学おめでとう!』
あ、と思った時にはもう遅い。
すでにフラッシュは焚かれていた。
(……まだほンの少し前の話じゃねェか)
気付けば、写真立てを手に取り、じっと四角い枠の中を眺めていた。
養父であろう誰か――何かどこと無く養父に雰囲気が似ている老人だ――と、その人物に肩を抱かれている自分。
記念写真としては残念な出来だ、と思う。
引き寄せられた際に、驚いて木原に注目してしまったために、自分の顔が写らなかったのだ。
しかもよく見れば、友人(馬鹿)どもが写真の端に写り込んでいる(ピースとかしてるから確信犯なのは間違いない)。
くっだらねェ、と一方通行は写真立てを元の場所に戻す。
写真が飾ってあるのは、ただ単に現像した時に養父が勝手にそうしたからだ。
それを動かすのが面倒だっただけだ、と思う。
「……くっだらねェ」
もう一度だけ、言った。
何だか色々と馬鹿馬鹿しくなってきた彼は、地図をくしゃくしゃに丸めてごみ箱に捨てようと――――
(……待てよ)
ふと、箱の中に紙を投げようとした手が止まる。
彼は写真にもう一度目をやった。
(今、何を思い出しかけた?)
一方通行はまじまじと写真と地図を見る。
何か、以前にもこのような事があったような――――?
(そォだ、確かあれは中二の時――――)
一方通行はゆっくりと記憶の糸を辿る。
じっくりと、慎重に記憶を再生する。
どれほど考えていたか分からない。
一分、十分、あるいは一時間か?
とにかく立ち尽くしたまま、記憶を呼び覚まし続け――――
そして、思い出した。
たった一つだけ、退屈しのぎが上手く行きそうな可能性を。
(……手札は揃ってる。あとは――――)
「準備するか」
愉快そうに笑い、地図を手に動き出す。
そこにいたのは、『第一位』だとか『最強』だとか、そんな特別な人間ではなく、
初めての『外出』に今から心を弾ませている、どこにでもいる年頃の少年だった――――
はい、以上です。
そんな訳で次回は『外出』編となります。
それでは、またいつか。
>>1乙
フムフム、楽しみにしているのだよ。
乙
アクセラさんプールに行ってれば海パンはいた吹寄が見れたのか・・・・・・
あれ入れ替わったままプール行ってたんだよなまさかトップレス吹寄か!?
乙
青ピならブーメランをはくって信じてる
ここの一方さんが年相応すぎて
うれしさで涙出てきた
みんな同じこと考えてて笑ったw
>>548
いやさすがに年の割には若干
でも一方さんろくにそういう悪戯とかする機会なかったんだろうな
>>550
うちの高校、偏差値は高かったけど
いたずらに全力投球する奴ばっかだったぞ
高校生なんてそんなもんじゃね?
パチンコ屋の新装開店と葬式の花輪をすり替えるとか
誰かが天井を歩いたみたいな足跡偽装したりとか
校内の掲示(煙草の害とかそういうの)を「足が伸びる!」とかのあやしい通販のチラシに貼り替えるとか
教室のチョークをコーティングして書けなくするとか
図書室の本に暗号文挟んであったりした
http://i.imgur.com/GYtBj.jpg
平均偏差値60以上
天才じゃねえか
>>552
そこに気付くとは……こいつらかなりのキレ者……!
追いついちゃったじゃねぇか
私怨
>>550
悪戯と聞いて何故か一方さんの枕元にエロ本仕込む木原くンが浮かんだ
ここは月に一回更新なの?
そんなもん>>1の気分次第さ
でも最近遅い原因の一つは紛れも無く腹パン不足
ただ俺の拳ではまだ無理だ
誰か頼む
感謝の腹パン
労いの腹パン
激励の腹パン
期待の腹パン
必殺の腹パン
幻想の腹パン
静寂の腹パン
疾風の腹パン
根性の腹パン
そして・・・・・・・・っ!
フランスパン
【審議中】
∧,,∧ ∧,,∧
∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
| U ( ´・) (・` ) と ノ
u-u (l ) ( ノu-u
`u-u'. `u-u'
【審議拡大中】
∧,,∧ ∧,,∧ ∧,,∧ ∧,,∧
∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧ ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
| U ( ´・) (・` ) と ノ | U ( ´・) (・` ) と ノ
u-u (l ∧,,∧ ∧,,∧ u-u (l ) (∧,,∧ /⌒ヽ
`u-∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧`u-∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
u-u (l ) ( ノu-u u-u (l ) ( ノu-u
`u-u'. `u-u' `u-u'. `u-u'
フイタwwwwwなんだよその一体感w
判決は以下に
r-、 , -──‐‐-、 r、________,.へ
_ノ ノ ,.へ / ,-─==-‐‐、\ | r--、 r--、 r--、 r'′
lニニニ''' ムニニニニ---ゝ / ,,---、 ,,,---、ヽ | |__| |__| |__| |
フ ∠____,へ、 i ''"フ-ァ'ハ ,r‐< i し'─ r-z r-z ─‐-'
ノ ┌───l | | '`ー゚ 」 L`゚‐'^ | lニニニニニ | | ニニニニ'^ゝ
ノノ| L___.| | __| ,,、--└Li┘---、 |___ | | | |
_ノ-" | |ー──‐-、 | { ti/ /\ \iァ } .lニニニニ | | ニニ'^ゝ
| Lニニニニ. | Y ./´ ̄`\ Y´ r-、__,. -''~ j. | |
| | | | ノ ∠__/\_ヾ、 ヽ ゝ、,. -''~フノ | ニニニ'^ゝ
| | _| | / / / i ヽ ヽ \ ノ " | |
ー´ `ゝ、.ノ i / ,' i ヽ ヽ ! -''~ ー
| i i i i } }
,.、-‐‐┤ : ! ! } ! ノ ノ‐--、,_
,、-''" ヽ ヽ ヽ丶 ! ノ ノ / `‐-、,_
,、-'" \ \ ヽヽ ! / // `'‐、,_
/ \ヽ、,,__ ヽ、,, i/ // / \
/ \ ヽ `r-、, _/ / / / i
くっそwwwwwこの流れなんだよwwwwww
なんかえらく進んでると思ったらお前らwwwwwwwwww
てか今更なんだけど、
中の人ネタだったのね
>>574
もしや、腹パンの刑を言い渡すのか?
>>1よ腹パンのやられ過ぎで下痢にでもなったか?
どうも、一ヶ月ぶりですね。
久しぶりに投下します。
翌日の早朝、四時。
「……ここも久しぶりだな」
学園都市の第二十二学区。
そこの地下街の入口に、一方通行はいた。
第二十二学区は地下街がメインとなる学区で、
地上には街を回していくための、風力発電に使われるプロペラが大量に設置されている。
一見すると、それはまるでジャングルジムのようだ。
「さて、と」
左肩のスポーツバッグを担ぎ直してゲートをくぐり、一方通行は地下に入る。
地下は全部で十の層に分けられていて、各層への移動には螺旋型の通用トンネルを使う。
トンネルのオレンジの光の中を、少年はとんでもない速度で駆けていく。
早朝なだけあって、誰もトンネルの中を進んでいなかった。
ふと、右手にある紙に視線を移す。
小さな紙には、『ヒント一覧』と一番上に下手な字で書いてあり、いくつかの文字の羅列が箇条書きされている。
(……ホントに大丈夫なンだろォな)
下へ下へと進みながら、一方通行はぼんやりとこの紙をもらった時の事を思った。
「は? アイツが部屋から出てこない?」
とある研究所。
そこの一室で、キーボードを打つ手を止めて、木原数多は同僚の芳川桔梗を見る。
「ええ。何かあったのかしらね」
何でも夕飯に呼びに行ったところ、拒否されたらしい。
ふむ、と木原は少し考え込む。
夏休みになって、久しぶりに中学二年生の息子が訪ねてきた訳なのだが、確かにどこか元気がなかったとは思う。
どうかしたのだろうか。
まさか、夏バテという訳ではないだろうし。
「んー。まぁ、あれよ。こっちが対応しとくから、オマエはアイツらんトコ行ってろ」
少しだけ気になったので、直接話す事にした。
分かったわ、と言って芳川はさっさと部屋から出て行った。
その後ろ姿を見送り、パソコンをシャットダウンさせる。
いつの間にやら、窓からはオレンジ色の光が差し込んでいた。
(あー、働いたー)
机の上にあったコーヒーを啜る。
口一杯に広がる苦味を堪能しながら、木原はぼんやりと物思いに耽る。
『オイ、木原くン』
『だからー、その呼び方やめろって。どうせなら、父さんとかにしろよ』
『馬鹿か。オマエなンざ「くン」で充分だ』
『このガキ……。またぶん殴ってやろうか?』
『はン。あンなモンに頼らなきゃガキ一人殴れねェ奴に、間違えても父さンなンて言わねェよ』
『あ、オマエ今「父さん」って言った』
『それカウントしてンじゃねェ! ぶっ飛ばすぞ!!』
『おぉ? ヤルかァ?』
『……貴方達、外で騒いできなさいな』
(うわ、俺ってばガキっぽかったなー)
今もそう大して変わらないのだが、本人は特に気が付かない。
背もたれに体重を預け、重みに椅子が軋む音を聞きながら、上を見上げた。
誰も居ない部屋の中、煙草の煙を吐き出すように息を吐く。
最近、息子に構う時間がなかったかもしれない。
それで少しばかり拗ねている、という可能性は考えられなくはなかった。
んー、面倒だなー、と大きく伸びをした。
(……ま、どんな理由でもする事は変わんねぇけど)
木原数多は、自分本位の身勝手な男だ。
彼が行動する理由は、いつでも単純で馬鹿馬鹿しい。
面白い、という考えだけが彼を動かす。
同じく、とある研究所。
そこの、『所長室』と呼ばれる部屋にて。
ある少年が、仮眠用に使われているベッドで寝転がっていた。
彼は今、とてもとても不機嫌だった。
例えるならば、破裂する寸前の風船のような。
ちょっと突けば、すぐにでも爆発しそうな状態だった。
「よ! 何だよ、一方通行くーん? メシだっつーのに」
そんな少年に、声を掛ける影が一つ。
誰か、など少年には確認する必要も無い。
「…………別に。ちょっと腹減ってねェだけだ」
少年―― 一方通行は背を向けて、適当に養父に答える。
どうせ芳川桔梗辺りに言われて来たのだろう。
真面目に応対する気になれなかった。
「嘘はいただけねぇ。さっきからその腹が主張してる」
「何言って……」
起き上がって反論しかけたその時。
くー、と小さく乾いた音が部屋に響く。
発信元は、どう考えても一方通行のお腹の辺りだった。
二人は黙り込み、お互いに見合う。
そうして数秒後、何事もなかったかのように、
「で? ホントは何だ? 反抗期とか?」
ほれほれ、言ってみ? とうるさい養父に、一方通行は投げやりな気持ちで答える。
「……チカラってなァ、邪魔なモンだな」
「あ?」
いきなり何言ってんのコイツ? といった様子で見てくる木原。
「この街はケチ臭ェな、って話だ」
ただそれだけ言って、少年はまた寝転がる。
何だそりゃ、と聞いてくる木原を無視して一方通行は瞳を閉じた。
何だか疲れた。
「って、寝るなよ!」
頭上からの大声に、少しだけ眉間にしわを寄せた。
うるさい雑音だ、と思う。
そういった物は『反射』してしまおう。
と、もうほぼ眠りに落ちながら能力を行使しようとして、
「………………はっはーん。オマエ、拗ねてんだー?」
は? と答えなくても良いのに、つい目を開けてしまった。
見上げてみると、合点が行きました、というような顔で木原が笑っていた。
ひらひらと、一枚の用紙をこちらに見せながら。
それは、その辺にあるコピー用紙とは違い、随分と上等そうな紙質で、一番上には『外出許可証』と書いてある。
ついでに言えば、紙の下には自分と木原の名前が書いてあり、
その上に重ねるように『不可』という赤い文字が、判を押したようにあった。
「……………………悪い、かよ」
枕に顔を埋めながら、呟く。
木原の言う通り、少年は拗ねていた。
原因は単純だ。
夏休みに入る数日前の事。
今年の夏に一度実家に帰る、という友人に、『どうせならお前も来ないか』と誘われた。
一度たりとも『外』に出た事の無い一方通行にとって、それは嬉しい申し出だった。
もちろん、一方通行の答えはYESの一言。
その後、木原や友人の両親からも了承してもらい、後は街に届けを出すだけとなった。
――――そこで、問題は発生した。
外出許可が取れなかったのだ。
何故許可してもらえないのか、という質問に対する答えは簡素だった。
――学園都市第一位は、我々の技術の結晶とも言える。
そんな存在を『外』に出して、万が一の事があっては困る。
学園都市の上層部は、そう結論を下した。
そして、夏休みになり。
結局、友人だけが『外』に出てしまった。
そこまで思い出して、一方通行は顔を上げて枕にあごを乗せる。
まともな人生になりつつある、と思っていた。
自分の意思で生きていける、と。
しかしながら、そんな事は無い。
結局、第一位という肩書きがある以上は、ある程度この街に自由を奪われるのだ。
「……ま、しょうがねーさ」
そう言うと、木原は自分の机の前にある椅子に腰掛けた。
しばらく、沈黙が場を制す。
お互い、何も話せなくなった。
特に見る物がない一方通行は、何となく視線を木原に移す。
養父は、何か考え込んでいる様子で壁を見ていた。
どォかしたのか? と一方通行は聞こうとしたが、その前に木原が口を開いた。
「良い事、教えてやろうか?」
「はァ?」
何だいきなり、と木原を怪訝そうな目で見る。
「ふふん。しゃあねぇ、ちょっとしたヒントをくれてやろう」
得意げな顔で笑うと、昔話でもする調子で木原は語り出した。
「むかーし、昔。まだ俺がクズ共と働いてた時の話」
「ありゃあ、月がきれーに輝いてた夜――とかじゃない、フッツーの夜だった」
クズ共、というのは例の『猟犬部隊(ハウンドドッグ)』とかいう部隊の事だろうか。
珍しい。
養父は、こういった過去の話は一切しない。
興味本位で聞いても、いつもはぐらかすのだ。
一方通行は黙って続きを聞く事にした。
「俺はある筋の野郎から仕事を受けた。どんな仕事かっつーのはまぁ置いとく。
とにかく、その仕事が厄介極まりなくてよー? 俺は急遽『外』に出る事になっちまった」
そこで木原は懐かしそうに目を細め、
「ただし、通用門からは出るなっつーお触れ書き付きでな?」
それを聞いて、一方通行は眉をひそめる。
まだ話の途中のようだが、迷わず横槍を入れる。
「ンなの無理に「決まってる、か?」
木原はあらかじめ予想していたのか、一方通行の言葉を遮るように言った。
「いくつか抜け道があんだよ、この街には。裏のとても深い場所にな」
つまらなそうに、木原は告げる。
「今言ったヤツを使えば、誰も街から出る人間には気付かないかもな」
その仕事の後、新しい道が出来て使われなくなったらしいし、と木原は付け加える。
「……」
一方通行は何も言わず、木原の言葉を頭の中で整理する。
もしも、もしもの話だ。
その、抜け道とやらが今も使えるとしたら。
街をこっそりと出られるのなら、一方通行にはまだチャンスがあるという事になる。
希望は、潰えていないのかもしれない。
そう思っていると、
「ま、直接場所は教えないけど」
養父の声が聞こえ、一方通行はそちらに意識をやる。
「何でだよ」
言うだけ言っておいて、どういうつもりだ。
思わず尋ねると、木原はピースするかのように指を二本立てる。
「一つ、その方が俺的におもしれー。二つ、これは一応超能力者脱走の手助けになる」
……一つ目の理由はともかく、二つ目については納得出来た。
そう、一方通行は第一位の能力者だ。
ともすれば、この街にとって重要な存在になるのは当然である。
そんな人間を、ちゃんと本人に戻ってくる意思があるとはいえ、街から出してしまうのは問題行為になる。
つまり、木原数多が具体的に場所を教える訳にはいかない。
話せば、下手をすると『反逆者』扱いされて始末される可能性だってある。
木原は当然、一方通行だってそんな事は望んでいない。
あくまで間接的に、ほぼ冗談ぐらいになるレベルでしか教えられないのだ。
仕方ない、と一方通行は自分を納得させる。
「……ちゃンと今も使えるのか、そこ」
とりあえず、聞いても問題無い事だけは知っておくべきだ。
「いやー、その仕事以来結構使ってんだよそこ」
「そォなのか?」
にゃははは、と笑う木原を気味悪く思いながら、一方通行は目を丸くした。
「『外』にはこの街には無いモンがたくさんあるかんなー。例えばキャバクラとか」
「きゃばくら?」
何だそれ? と首を傾げる一般的な世間を知らない少年。
「あっといけね。ガキにはまだ早いな」
何となく気に入らない言い方だが、確かに知らない方が良さそうだ、と直感的に思う。
ごほん、と木原はわざとらしすぎる咳ばらいをすると、
「……ま、探せるなら探してみ? どーせ無理だろうけど」
ニヤリ、と口元を歪ませて少年を見る。
対する少年は、睨み付けるぐらいの目で養父を見る。
「上等だ、一日で見つけてやる」
「はっはっは。威勢の良い小僧だ」
そら立てよ、と言われて一方通行は渋々とベッドから離れる。
木原はうんうんと頷き、
「じゃ、まずはメシにするか」
笑って、告げた。
(二年前の事だし、あンま期待出来ねェが)
街中を走りながら、一方通行はメモを見る。
(無いよりはマシ、だな)
その後、ヒントを頼りに街を出る方法を夏休み中探したのだが、結局養父の言っていた場所は見つかる事がなかった。
その頃の自分には、一切の手掛かりも見つけられなかったのだ。
そしてまぁ、最終的には諦めて、メモを適当な場所に放っておいてしまったのだが。
昨日、その存在を思い出した一方通行は必死にメモを探し出した。
で、ボロボロになったそれを昨日から一睡もせずに解読して、可能性のある場所を全てリストアップした。
そうしてそれら全部を回るだけ回り、四番目に、この第二十二学区に来た訳である。
「……ここか」
一方通行の足があるビルの前で止まる。
少しばかりの時間を使って、彼は第七階層に来ていた。
目の前のビルは、この区画の一番端にある、もう使用されていない場所だった。
そう言った場所は、本来スキルアウト辺りがたまり場にするのだが、ここはそうでもないらしい。
ここ数年、一切人の立ち入りが無いと言ってもいいほどに何の気配もしなかった。
とりあえず、玄関口まで向かってみる。
そう期待せずに、閉まっていたドアを押す。
鍵が掛かっていたら、仕方がないが、無理矢理ドアを壊して入るつもりだった。
しかし、事は一方通行が思っていたよりあっさりと進んだ。
キィ……と少し軋んだ音を立てながら、ドアは簡単に開いてしまった。
(……大丈夫、なのか?)
あまりにも、簡単すぎる。
何も知らない一般人が入ってくる可能性を考えていないのだろうか。
何か釈然としないものを感じたが、一方通行は中に入る。
何も物が無い空間を少し進むと、軽い広間のような場所に出た。
ここまで来て、おかしいと思った。
一階に階段やエレベーターが無いのだ。
上の層に進むための、道が無い。
入口からここまで一本道だったし、この先に道がある訳でもない。
だからと言って、場所が間違えている訳でもない。
ヒントに該当する場所は、第二十二学区ではここ以外には考えられなかった。
となると――――
「なるほどな」
適当に呟いて、彼は近くの壁を叩き始めた。
コンコン、と軽くノックするように叩き、部屋を一周するように歩く。
ここまで来て、帰るというのは嫌だった。
どうせなら、考えられる可能性を全て潰した方が良い。
そして、
(当たり、か?)
三十分ほどして、手足が止まる。
目の前には、見た目は他とまったく変わらないただの壁がある。
一見すると、だ。
(……よっ)
一方通行はしばし考え、手で壁を軽く押した。
瞬間、強烈な音が閉めきられた部屋に響く。
ザザザ……ッ!! と壁が地面を擦る音を出しながら、開いた。
階層の一番端に存在するこのビルの奥にある壁は、本来ならば土と街の外壁を仕切るはずだ。
しかし。
そこには、通路があった。
壁は、これのためのカモフラージュらしい。
一方通行は通路の先へと歩きだす。
そこは薄暗かったが、足元に申し訳程度には照明があった。
木原の話からもう二年は経つのだが、まだ利用する事は出来るのかもしれない。
時に上や下、あるいは右や左に進み、一方通行は先を急ぐ。
思ったよりも、道は長い。
どれほどの距離を歩いただろうか。
一方通行の足が、止まる。
終着点に着いた、という訳じゃない。
しかし、止まらざるを得なかった。
道が途絶えていたのだ。
彼の目の前には、どこまであるか分からない暗闇があった。
足元が途中から無くなり、ただ広い空間が広がっている。
能力を使って飛ぼうか、とも思ったが止めておく。
何が起きるか分からない。
手順通りに進まないと、見つかるように何かしら罠が仕掛けられている可能性もある。
一方通行は道のギリギリまで歩き、横の壁を見る。
そこには、何かの操作盤が埋め込まれていた。
どうやら、暗証番号か何かを打ち込むようだ。
これをどうにかすれば、道が開けるのだろう。
一方通行はメモを引っ張り出す。
ちょうどそのような番号が、確かヒントにあったはずだ。
メモを見て何度も確認しながら、一方通行はテンポ良く数字を四つ打ち込む。
後は、番号が変わってない事を祈るだけだ。
番号の確認に掛かる僅かな時間。
一方通行は認証モニターを凝視する。
そうして数秒後――――
ピーッ! と簡素な電子音が鳴り、モニターが緑に光る。
と、同時にゴウン……ッ! と何かの機械が稼動したような音が奥から届く。
何が起きるのか、と待った彼の元に来たそれは、大きなリフトだった。
よく見ると、側面にステッカーが貼ってある。
それには、これを作った会社名らしいカタカナや重量制限やらが書いてあった。
「最大ニトン……何をそンな運ぶンだか」
呟き、少年はリフトに乗り込む。
乗り込んだ先には、レバーがあった。
迷わず、それを引く。
すると、先程と同じようにゴウン……ッ! と機械が稼動する音がする。
リフトが、荷物を載せて動きだす。
何となく、一方通行は振り向いた。
だんだんと、さっきまで近くにあった操作盤が小さくなっていくのが分かる。
「……へっ」
気付けば、自然と笑っていた。
(……っと、着いたか)
いつの間にか、リフトは止まっていた。
一方通行は前を見る。
そこにあったのは、少し前に見た物と同じ操作盤、そして暗い通路だった。
またか、と少しうんざりした顔で彼はリフトから降りる。
途端、ピーッ! とさっきも聞いた簡素な電子音が鳴り、操作盤のモニターが赤に光る。
まさか、と一方通行は振り返る。
予想通り、と言うべきか。
ゴウン……ッ! とリフトが動き出していた。
ただし、今度は奥まで行かず、僅かに距離を取っただけだった。
正確には分からないが、おそらくはここにある操作盤と向こうにある操作盤との距離のちょうど真ん中だろう。
どうやら、帰りにまた操作盤に暗証番号を打ち込まなければならないらしい。
一方通行は呆れたようにリフトと操作盤を交互に見て、
「……面倒だな、オイ」
一言だけ、漏らした。
さて、しばらくして。
一方通行は通路から無事に出られた。
目の前に広がるのは、何も無い広い部屋。
スタート地点と違うのは、窓から朝日が差し込んでいるところぐらいだろうか。
とりあえず、窓まで歩く。
内鍵を開けて、窓から顔を出してみる。
見た事の無い町並みが、眼前に広がっていた。
一方通行はケータイを取り出して、GPS機能で現在地を確認する。
画面に表示されていたのは、学園都市外周部から二、三キロメートル離れたビルだった。
「……確かに、出れたみてェだな」
何だか、あまり実感が湧いてこない。
念のため、ビルの中を見てみる。
入口は中から厳重にロックされていて、一階にはスタート地点と同様、二階へと続く道はなかった。
(このためだけに、こンな場所を用意する)
酔狂な街だ、と感想を漏らす。
まぁ、ありがたく使わせてもらうが。
周りに人っ子一人居ない事を確認し、バッグを担ぎ直して、一方通行は窓から外へ出る。
もちろん、忘れずにきっちりと窓を閉めておく。
どうもこのビルはずっと施錠されているようだったし、偶然誰かが入ると厄介だろうと考えたのだ。
窓枠を軽く叩き、その衝撃を利用して内鍵まで掛けた。
さて、と一方通行は改めて周りを見回す。
時間を確認すると、午前六時だった。
そろそろ人が出てくる時間帯だろう。
「行くか」
あまり目立つ訳にも行かない。
さっさと移動した方が良い。
向かう場所は分かっている。
後は、進むだけだ。
以上で、今回は終了です。
皆様、だいぶお待たせして申し訳ありません。
宣言はしませんが、次は一週間以内には来れるようにします。
それでは、またいつか。
乙
木原くんいい父親だな
今まで舞ってたぜ!
乙!
/:/ : : : :/: : :/: :|: : : : : : |: : : : ヾ: : : : :彡
/:イ : /: : :/:.: : :|: :.:|: : : : : : |: : : :|: : : : : :l : :ト、
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ゝ ::ム: :人 __ /''7:.:|:/:.: : :|
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/ヽ γ⌒V )i γ ノγ⌒ヾ  ̄:ヽ
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/| γ''`ー彡'′ `=ミー' ) :
/: | :/ く_) イ┌┬─‐┐ ┌┬──┐し (_〉 ヽ:|、
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′: : :::::::| し ` ー──‐/)──‐一 ´ _,ノ j: : : \ ヾ、
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. |: : :::::::::{/} / :::: イУ  ̄ ¨二ニ⊃入:::::::j /\_}:.:.: : : : :\
なんか一方と一緒に俺もワクワクしながら読んだわ。続き楽しみにしてる
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
待ってたよ!
どうも皆様。
今日も投下開始。
「お客さーん、着きましたよ」
そんな声が前からして、一方通行は目を覚ました。
一方通行は今、黄色いタクシーに乗っていた。
能力を使った方が確実に早く目的地に辿り着けるのだが、目立ってしまうのはまずい。
まぁ、そんな訳で東京都から神奈川県までタクシーでやって来たのだ。
「ン。悪かったな、無茶言って」
「いやいや、大丈夫。学生さんだろ? 良いねー、海。楽しんでくるといい」
「あァ、ありがとう」
車を降りて、ドアを閉める。
すると、エンジン音を出しながら、車が走りだす。
去っていく車を少しだけ見送って、一方通行は振り返った。
目の前には、結構な年季が入っていそうな家があった。
聞いた話によると、ここは『わだつみ』という民宿らしい。
上条からは、ここに泊まると聞いていた。
とりあえず、客に上条達が居るのか確認しよう。
そう考えて、一方通行は中に入ろうとスライド式の玄関の扉を開け――――
「あ、あくせられーた!?」
開けた途端、聞き覚えのある男の声が、聞き覚えのある少女の口調でした。
一方通行はゆっくりと声の発信元である前方を見据える。
玄関の先、二階へと続くであろう階段。
そこに、そいつは立っていた。
「よォ、クソ、ガ……キ」
言いかけて、言葉に詰まる。
これは、とてもとても予想外だ。
そいつは、とても見覚えのある白い修道服を着て、とても見覚えのある青い髪をしていた。
そう、そいつは――――
青髪ピアス、その人だった。
「えっと、どうしてここに!?」
「あァ、いや、うン。あれだ、あれ」
ずい、と近付いてくる大男を前にどもりながら、一方通行は口をパクパクさせる。
どうにもこうにも、理解が追い付かない。
これは本気で驚いてしまった。
と、そこへ――――
「おや、君は……」
「あらあら、一方通行君じゃない」
更なる混乱の種が二階からやって来た。
「あ……」
見覚えがある三人の人物が、青髪ピアス(中身『インデックス』)の後ろの階段に立っていた。
それぞれの外見の説明をすると、左から、
どっかのお嬢様みたいな恰好をした銀髪の少女、
不精髭を生やした精悍な雰囲気を漂わせる中年男性、
中学生ほどの茶髪の少女、といったメンバーだった。
さっき掛けられた言葉から、一方通行は彼らの内二人の中身を予測すると――
「えっと、お、お久しぶり、です。おじさン、おばさン」
普段の彼ならありえない口調の言葉を発した。
ポカン、と見た目変態の修道女がこっちを見てくる。
茶髪中学生の方は、一方通行の知り合いではないらしく、ただこの場を静観していた。
中年と銀髪少女は、あぁ、久しぶりだね、と穏やかに笑って彼に告げた。
中年は外見上条刀夜、中身も『上条刀夜』。
銀髪の少女の方は、外見インデックス、中身は『上条詩菜』。
名前から察する通り、上条当麻の両親である。
と、そこまで考えて、一方通行はン? と思った。
自分の考察がおかしい事に気付く。
だって今は――――
「? どうかしたのかい?」
「……いや、何でもないです」
外資系の企業に勤めるエリートサラリーマンだという上条家の大黒柱に、一方通行は答える。
実際は何でもあるのだが、まぁ今は良い。
「当麻さんからは来れない、って聞いたのだけれど……良かった、許可がもらえたのかしら?」
「あ、まァそンなもンです」
見た目インデックスの人物に答えながら、やはり自分の解釈では外見がおかしいと思った。
「ねぇ、この人誰ー? お兄ちゃんの知り合い?」
その声を聞いて、一方通行は内心驚いていた。
今の声は間違いなく茶髪中学生の者だが、
一方通行のその人物に抱くイメージが、一気に崩れるかもしれないくらいの衝撃だった。
「当麻のお友達だよ、乙姫ちゃん。一方通行君、この子は当麻の従姉妹で……」
「竜神乙姫です、よろしく」
「あァ」
従姉妹か、と思いながら一方通行は目の前の少女――外見、御坂美琴と握手した。
「ところで、上条の奴は?」
ここで、この場に居ない友人の事を聞いてみた。
すると、インデックスが不機嫌そうに二階を見る。
「とうまなら、ナツバテー、とか言う病気で休んでるだって」
「……そりゃまた珍しい」
上条は、色んなトラブルのおかげで体力だけなら誇りを持っていいほど有り余っている男だ。
その上条が、まさか夏バテとは。
「はは、まぁ連日の猛暑じゃ仕方ないさ。……っと、一方通行君」
ちょっとちょっと、と上条刀夜に二階へと手招きされる。
何だろう? と思いながらも、とりあえず靴を脱ぎ、スポーツバッグを担いで二階へと上がる。
上条刀夜は、そのまま一方通行を上がってすぐの部屋の前に連れてくると、
「(……あの子、誰だか君は知らないかい?)」
あの子? と少し首を傾げる。
この場合、子と表現される人物はさっき会った乙姫とかいう少女と――――
「(……いや、さっぱり)」
誰の事か分かり、一方通行は首を横に振る。
本当のところ、かなり深い部分まで知っているが、話す訳にはいかない。
事情を細かく話せば、友人との『約束』が破られる事になってしまう。
そもそも、『魔術』が何だのと話しても信じてもらえるとは思えないが。
「(そうか……いや、当麻に聞こうとしてもはぐらかされてしまうものだからね。
あの子の友達の君なら、何かを知っているんじゃないか、と思っていたんだが……)」
上条刀夜は心配そうに腕を組んだ。
上条がインデックスを助けて入院した際、上条夫婦は特別に街への入場許可をもらってお見舞いに来ていた。
その時、上条の意思で二人には怪我の原因などがよく伝わっていなかった。
それでも、上条が何か厄介事に巻き込まれたのは分かったらしく、とても不安そうにしていたのを一方通行は覚えている。
上条刀夜としては、今度はあの修道女について、
何か息子に大変な事があったのではないか、と心配で心配で仕方がないのだろう。
二度三度しか会った事が無いが、一方通行には分かる。
上条の両親は、息子をいつでも大事に思ってくれる優しい人達だと。
「(……まァ、大丈夫ですよ。アイツ、昔から何かと世話好きだし。時が来ればアイツから話しますよ、きっと)」
この問題は、一方通行が口を出す物じゃない。
上条がいつか、自分の事と向き合って解決する物だ。
「……そうだと、良いが」
父親は、疲れた顔で大きく息を吐いた。
それを見て、一方通行は息が詰まるような錯覚に襲われた。
僅かに気まずい空気が流れた。
しかし、それも一瞬の事だ。
「……ありがとう、一方通行君。君のような子が当麻の友達でいてくれて私はうれしい」
何事も無かったかのような笑顔で、上条刀夜は言った。
無理をしているのは、何となく分かる。
この空気をどうにかしようとしているのだ。
だから一方通行は何も言わず、笑い返す。
「俺も、あなたがアイツの父さンで良かったって思います」
そう言われて、上条刀夜は面食らったようにキョトンとする。
と、次には照れ臭そうに笑った。
「ありがとう、そう言ってもらえるとうれしいよ」
空気が変わる。
何だか、少し気恥ずかしい物に。
「刀夜さん、行きましょう」
遠くから呼ぶ声がして、二人の意識が方向を変える。
「あぁ、分かったよ母さん!」
叫ぶように返しながら、上条刀夜は階段に向かう。
そのまま一階へと歩こうとして、止まった。
彼は振り返ると、
「そうそう、当麻のお見舞いをしてやってくれるかな?
あの子、君が来たと知ったらきっとすごく喜ぶだろうから」
奥の部屋で寝てるよ、と付け加える。
「はい、そォします」
当然、とでも言うように、一方通行はきっぱりと告げた。
上条刀夜はそれを聞いて、どこか嬉しそうに下りていった。
「よォ、元気してるか馬鹿」
途中、海の男みたいな豪快な口調の魔術師ステイル=マグヌスと、
さっぱりした口調の御坂美琴(たぶん妹達)とすれ違いながら、一方通行は目的の部屋に入る。
和室のような畳の部屋では、ツンツン頭の親友が布団でだるそうに寝ていた。
彼はスポーツバッグを適当な場所に置いた一方通行を見ると、不思議そうな顔をした。
「あ、あれ? おかしいな、俺マジでやばいのかな?
一方通行の幻影が見えるなんて……あ、そっか幻なら消せるよな。
そうか消そうすぐ消そう……まずは、その幻想をぶち殺「うるせェよ、病人」なばなっ!?」
軽くバッグの中身を放り投げると、上条は奇怪な声を上げる。
ちなみに投げられた物は三毛猫で、名をスフィンクスという。
実を言えば、この猫は土御門舞夏辺りに預かってもらおうと思っていた。
が、生憎と舞夏は今日からメイド見習いのお仕事再開という事で断られてしまった。
次に、猫好きらしい御坂美琴を頼ってみたが、こちらは寮の事情で駄目となった。
最後に思い浮かんだのは、担任のチビ教師こと月詠小萌先生だったのだが、こちらも駄目。
彼女の性格を考えたら快諾してくれるのは間違いないのだが、十中八九理由を聞かれてしまう。
そして真面目なあの教師なら、理由を聞けば確実に一方通行を引き止める。
ので、まぁ、こちらは会う以前の問題である。
さて、そうなると三毛猫を預けられる人がいなくなってしまった。
困った、と一方通行はそれなりに悩み――ならもういっそ連れていくか、と結論を出した。
というような経緯の元、三毛猫は現在上条の顔面で
『おーっ! 暗かったのが晴れたと思ったら今度はご主人だー!?』とはしゃいでいる。
「ったく、オマエ夏バテのわりに随分と元気そォだな」
座布団を押し入れから引っ張って、一方通行は上条の近くに座る。
上条は『ええい、離れろ馬鹿猫ーっ!』と少々興奮気味の猫を引き離すと、
「いや、まぁ夏バテだけどさ……疲れてんのかな、変なテンションになっちまった」
うーあー、と上条は大きく伸びる。
「で? どうしてここに来た訳? 許可、もらえたのか?」
あ、水取ってくれるか? と言われて、一方通行はちゃぶ台にあったペットボトルを手に取り、
「あァ、脱走してきた」
と、軽い調子で言いつつ、上条に差し出す。
が、上条はそれを受け取らない。
ただ、呆然と一方通行に視線を向けている。
「………………は? あれ、やっぱ俺疲れてんのか? ごめん、一方通行もう一回言ってくれ」
「だから、こっそり、脱走してきた」
言われた通り、一方通行は繰り返した。
今度はかなりゆっくりだ。
言い切ると同時、上条はガバーッ!! と勢いよく起き上がる。
「いやいやいやいや!? 待てよ待ちなさい待ちやがれ三段活用! 何こっそりとか言ってんだよ!」
「大丈夫だよ、明日までに戻ればバレねェ」
「そ、そういう問題かそれーっ!?」
「そォいう問題」
いや、絶対違うよ! と喚く上条を無視して、一方通行は部屋の中を見回す。
「……そォいや、神裂の奴が見当たらねェが……どっか行ったのか?」
昨日話をした魔術師が見当たらない事を、一方通行は疑問に思う。
例の魔術の犯人は、上条の近くにいるのではなかったのだろうか。
質問に上条は喚くのを止めると、何か言いかける。
しかし、
「私はここですが」
それよりも早く、一ヶ月前ほどに聞いた女の声が部屋の入口から聞こえた。
一方通行はそっと振り返る。
「……よォ、久しぶ……り……」
挨拶の言葉が、止まった。
「よー、久しぶりじゃねーけど久しぶりだにゃー、一方」
相変わらず露出度の高い服の魔術師の隣に、彼はいた。
たくさんのアクセサリーを首に掛け、緑色のアロハシャツを着ている。
そんな彼の名を、一方通行は思わず呟いた。
「土、御門……?」
土御門元春。
土御門舞夏の義兄であり、一方通行と上条のクラスメート。
いや、彼じゃない。
一方通行は首を僅かに振った。
あれはおそらく、入れ替わった魔術師か何かだ。
んー? と不思議そうにサングラスをかけた魔術師は一方通行を見る。
と、次には思いついたようにそいつは手を叩いた。
「あ、もしかしてオレの事どっかの魔術師だとか思ってるかにゃー?」
いやいや、とそいつはニヤリと笑うと、
「正真正銘、オレは土御門元春さんだよ」
と、今回は以上です。
では、宣言じゃないですが、一週間以内に来れるようにします。
それでは、またいつか。
乙乙
昨日の腹パンが効いたのかな?
乙パン
蒸しパン
餡パン
揚げパン
短パン
縞パン
フランスパン
/ // _ N\jヽ}V ∨1ノノイ 〃 / /
lil l!l! ' 〃//ヽ\ ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::≦二 ' /
lili l!l!l! l! z―ゝ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::< -――
i! 斗‐ :.: ̄:.: ̄:.: ̄\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::< ノ
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>>629
てめぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
>>629
てめぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ちなみにフランスパンと二回書き込んだのは同一人物だぜ
/ l , 、 l |
/ l i /| i ! !ヽ l |
/ / l i /! _ム イ | i `iヽ、 ト、 . l |
/ / l _|,. ィイ´/ | |ヽ | ハ | ヘ` i‐- __i l |
/ / l | / |/ |i ヽ |! i| ヽ| ヽ | l |
// l l |/ ,,jニ二ミ ヽ | 二ニニ..,,_ ヽ| l|
レ l i l |,ィ彳::::o::::リ ヽ | i::::::o::::气、 | l|
l i l ヘ ヾとつ二ノ ヽ! 弋二_ノっソi / l|
| ハ l ヽ ヽ / / l |
| ! | l \ヽ i / / l |
リ | l iヾ、 / イ / /.|
| l i 、ヽ / ヽ /,イ / /|
| l i l \ i ! // イ / ト
ハ l ! l,.イ `i 、 ゝ.ノ イ i / |/ | ヽ
/ l !ヽ l l i イ !| l / ヽ
/ _,.| H|:ヘ l l ` ´ l l /::|ヽ _ ヽ
// |! |::iヘ l lー- 、 , -―l l /|::| `ヽ ヽ
// ヽ |::| ヘ l l,. -く ヽ ハ ,.ム l / .|::| / ヘ ヽ
/ l ヽ. |::| ヾ. r ´ V i/ \ レ |::| l ヽ
/ | ヽ |::| | -─‐- 、i i r ─‐- i |::| / | ヽ
某お笑い芸人引退したけど腹パンしていいかなぁ?
>>635
もちろんだ!
では一発
残パン
暴力団と関わってる某野球選手にも引退して欲しいでつ
ここの木原&一方が青エクの奥村と藤本に見える
あっちも養父だったし
腹パンの人来ないね
突然で悪いんだけど、これの前のスレを教えて欲しい
遅いなぁ自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
腹パンする人はいるのにされる人がいない……
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
まさかこの世にいないとか…それだけは止めてくれ自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
これ専ブラでどうやって見るの?
スレタイ検索しても出てこない・・・自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
アドレス打ち込めば?自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
>>646
ボード一覧取得URL書き換えたらできたわ自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
一週間って何日だっけ自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
>>648
18日以上なのは確かだな
海王星から書いてんのかよ
もうすぐ?
madaka
sage繧耕s
おぉ、怒りのあまり天使化してたわ
何で来ないの?腹パンされるの嫌になったの?
もしそうなら撫でるから。なでなでしてあげるから早く来て。
よぉーっし、お腹ペロペロしちゃうぞー
油断したところを腹パン
さらにもう一発、腹パン
じゃあ、俺はペロペロかな?
なんだこの飴と鞭
いや鞭と鞭か
華麗なる腹ペロパンですね
メロンパンみたいでおいしそうですねペロペロ
どう考えても腹パンは飴ですよ
何で来ないのよ
なあに、ゆっくり気長に自分の腹でもパンパンして待てばいい
ポンポンをパンパンする舞ってる
生存報告とかに来てくれよ腹パン!
エターなんて御免だぜ
これはもうあれだな、太ももキックをするしかないな
あんまり焦らせるのもアレだと思う
ただ、2週間に一回は生存報告くれるとありがたいな
>>668
では自分はその太ももをペロペロしますね
お久しぶりです。だいぶ遅れました。
これより、投下します。
お久しぶりです。だいぶ遅れました。
これより、投下します。
「オマエが、魔術師……?」
一方通行の口から、間抜けな声が出た。
顔も随分と間抜けな事になってるかもしれない。
それぐらい、今目の前にいる少年の言葉はショックだった。
対してその少年――土御門元春は、イタズラがバレて怒られたイタズラ小僧みたいに頭を掻きながら、
「まぁ、そーいう事ですたい」
それは、あまりにもあっさりとした調子だった。
本当は冗談か何かじゃないか、と思わせるほどに。
一方通行は土御門を真剣な目で見る。
視線を動かす事が出来なかった。
すると、そんな一方通行に呆れたように、土御門は肩を竦ませて軽く笑みを浮かべると、
「おいおい、そんな驚く事じゃないだろ? 考えてもみろよ、一方。
この世界に存在する二つの勢力――科学サイドと魔術サイド、確かに、両者は互いの存在は認め合っているさ」
土御門は気軽な調子で、いつものように口を動かす。
それが土御門に抱いていたイメージを壊していきそうで、一方通行は恐ろしく思えた。
「――ただし、それは表面上の話だ」
土御門はさらに続ける。
「実際のところは、神様の教えを否定するような科学サイドを、魔術サイドは快く思っちゃいない。逆もまただ」
水と油みたいな物なんだよ、と付け加える。
異能を扱うという点や裏で外道な真似をしている事は同じでも、必ず交わらないのだと言った。
「裏側じゃ、いつも腹の探り合い。上手く潰して世界の利権を奪い取るのに必死なのさ」
少し間を置き、くだらなそうに土御門は続ける。
「当然、その一環として諜報員なんてモノを紛れ込ませる事だってある」
そうして彼は自分の顔を指差すと、
「……で、その探り合いの道具として土御門さんみたいなのが働いてるって訳」
分かってくれたかにゃー? と土御門は首を傾げて一方通行を見返す。
一方通行は腕を組み、今の話を纏める。
つまり、魔術サイドの道具として、土御門は学園都市に居る。
役は諜報員――ようするにスパイだ。
僅かな間を置き、いや、と彼は首を横に振った。
何ともまた驚かされる話だが、今の話には一つ気になる点があった。
「まさか、舞夏もそォなのか……?」
そう、土御門舞夏である。
今聞いた事が全て事実だとしたら、舞夏は?
彼女も、また魔術師だったというのだろうか。
しかし、質問に対して土御門は首を横に何度も振ると、
「人の妹の事名前で呼ぶの止めろ、って言いたいがまぁ良い。
……舞夏は、違うぜい。アイツは、科学も魔術も関係ない、一般人さ」
「……」
何か言おうとして、一方通行は黙って下を向いた。
彼の脳裏を、普段から見てきた土御門の姿が過ぎる。
土御門は義妹にいつもいつもべったりしていて、何かと一方通行や上条に相談してきたり、
痴話喧嘩(というよりも、舞夏による一方的な暴力)の仲裁を求めてきた事もあった。
クラスにいる時は、上条と青髪ピアスと一緒に馬鹿ばかりやっていたおかげで、
クラスの三バカ(デルタフォース)なんて呼ばれて、学校の皆と楽しくやっていた。
………………やはり、信じられない。
義妹好きのメイド好きでどうしようもない土御門が、そんな暗い世界で生きているなんて。
と、そこへ――
「土御門、一方通行。そろそろ本題に入っても?」
すみませんがその事よりも優先せねばなりません、と神裂に話し掛けられ、思考が強制的に中断される。
土御門はへらへらと笑うと、
「おー、構わないぜい」
「……あァ」
一方通行も不本意ながらそう言った。
魔術師の言葉には、確かに一理あった。
土御門の事はいくらでも聞く機会はある。
少なくとも、事件よりは余裕があるだろう。
この件については、後にすべきだ。
では、と神裂は軽く前置きすると、
「来なくても良い、と告げたはずですが……何故この場に?」
その一言で、一方通行に全員が注目する。
三つの視線を感じながら、彼はゆっくりと口を開いた。
当然ここに来る以上、聞かれるとは思っていた。
なので、一応の建前ぐらいは考えてある。
「最初は来ないつもりだった。
ただ、近くでこンな危なそォな事件が起きたら、誰だって不安だろォが。
役には立たねェかもしれねェが、だからって足手まといにはならねェようにする」
……と、まぁこれが考えていた建前。
建前と言っても、結構真剣に考えていた。
遠くで事態を理解していない魔術師よりは、近くで事態を理解している超能力者だ。
どうだ……? と一方通行は三人の様子を窺う。
上条は『まー、良いんじゃねぇか?』と言って気軽そうに笑った。
まぁ、彼にはこの理屈が通る事は分かっていたし良い。
さて、残る二人はどうだろうか。
土御門は『しょうがねーにゃー』とでも言いたそうにこっちを見ていた。
どうやら、土御門も問題無しのようだ。
残るは神裂。
この中では一番お堅いであろう彼女は、目を細めていた。
……通らないか? と一瞬体を強張らせたが、すぐにそれも解除された。
彼女のその行為は、怒っているというよりは呆れている、といった意味合いが強そうだった。
やがて、彼女は深いため息を吐くと、
「まぁ、来てしまった以上は仕方ありませんね」
「だにゃー。どうせ言っても聞いちゃくれねぇだろうし」
神裂と土御門は目を合わせるて、頷く。
「手伝うのは構いませんが、貴方はあくまでも一般人。常に戦いからは下がっていただきます」
俺より弱いくせに、と口から出そうになったが押し止めた。
魔術に関して、自分に口が出せるような事は無い。
「……ま、それでイイ。で、犯人の手掛かりとかは見つかってンのか?」
昨日の時点ではまだ何も見つかっていないらしいが、捜査に何か進展はあったのだろうか。
質問に対して上条が頭を掻くと、
「目星っつーか、ほぼ分かってるっつーか」
チラリと上条は神裂を見る。
視線を受けて、神裂は淡々とした調子で口を動かす。
「火野神作、という人物に覚えはありますか?」
火野……? と一方通行は僅かの間、記憶と言葉を照らし合わせて、
「おォ、昨日ニュースで見た。脱走中の連続殺人鬼だったか」
火野神作。
二十八人もの人を無差別に殺してきた男で、死刑を言い渡されている脱獄犯だ。
……という話を昨日のニュースでやっていた。
それを聞いて、土御門はしきりに頷く。
「そーそー。そんで今回の事件の『容疑者』でもある」
一方通行は土御門の言葉を受けて、
「……その火野っつーのは何か、魔術サイドでも有名人とかなのか?」
容疑者、と呼ばれる所以として考えられる可能性を一つ出してみる。
というか、そうでもないとこんな大事は起こせないだろう。
「いや?」
「まったくの無名ですが」
が、プロ二人は簡単に否定した。
あン? と一方通行は思わず面食らう。
違うのならば、何故『容疑者』なのだろうか。
それを聞くと、予想外の返答が来た。
「……昨日の話です。細かい説明は省きますが、その火野神作がこの場所に現れて……」
「下の階に居た俺が襲われたんだ」
「………………訳が分からねェが、とりあえず言おうか。良く生きてたな、オマエ」
脱獄中の男が来た事にも驚きだが、そんなのに襲われた上条にはもっと驚きだ。
確かに、上条には『幻想殺し(イマジンブレイカー)』などという異能専門の強力な武器がある。
しかし、あくまでそれは異能専門。
上条自体に、殺人鬼と戦える力があるとは到底思えない。
……いや、上条なら限界の一つや二つぐらい超えてしまいそうだが。
「いんや、カミやんは特に何もしてない」
と、『上条人間卒業説』に土御門が異論を唱えた。
じゃ、オマエらが? と尋ねると、神裂が首を横に振る。
「ロシア成教、という組織からの魔術師が割り込んで助けてくれたのです」
ロシア成教、という言葉には少しだけ聞き覚えがあった。
まだ記憶喪失の原因を知らなかった時のインデックスに、上条と事情を聞いた時に出てきた言葉だったと思う。
魔術サイドの巨大組織の一つだったか。
「そいつが見当たらねェが」
一方通行は部屋のドアを見る。
少なくとも、この部屋に来るまでの道にはいなかったはずだ。
すると、
「今はちょっと出てるんだぜい」
と、土御門に気にするなとでも言うように告げられた。
言われてみると、確かに大事なのは、何故火野が容疑者にされているのか、という点だ。
知りもしない魔術師の事など、今はどうでもいいだろう。
そう結論を出し、一方通行は納得することにした。
「ふーン。それで、続きはあるのか?」
あまり気のない返しをして、続きを促す。
もちろん、と神裂が答え、
「実は、偶然一般人が居合わせて火野を見たのですが……」
「そいつから見て、火野神作は入れ替わって見えなかったんだ」
「……なるほどな」
今回の『魔術』は、ある程度効果から逃れた人間から、逃れていない人間を見ると入れ替わって見えてしまう。
逃れていない人間から逃れた人間を見ると、そちらが入れ替わって見える。
なので、火野を火野だと上条達が認識して、なおかつその一般人までもが同じように認識した、
という事はつまり、火野神作は事件の『犯人』の条件を満たしている事になる。
となると、火野神作が容疑者にされるのもおかしくはない。
神裂は一方通行の顔色から、理解したと判断したのか、更に語り出した。
「話によると、火野は撃退した際に『エンゼルさま』と何度も言っていたそうです」
「『エンゼルさま』?」
簡単に言っちゃうと『お告げ』だにゃー、と土御門が教えてくれた。
何でも、超常的な物からの意思を様々な形で受け取る、という伝承に基づくタイプの、立派な『魔術』らしい。
「仮に『エンゼルさま』とやらが火野を動かして二十八人の『儀式殺人』をさせたなら、そいつは何の儀式かって話だにゃー」
つまり、火野神作は『エンゼルさま』――天使からの声とやらを聞き、
今回の魔術のための用意として殺人をした、という話になるのだ。
「だがまぁ、火野が『御使堕し』を引き起こしたとしたら目的が掴めないんだぜい」
「? 天使とやらが命令したンだろ?」
「んー、説明が面倒ですたい」
一方通行の質問に対し、土御門はサングラスをくい、と上げると、大儀そうに答えた。
いわく、天使というのは異能の力――魔力よりも上の『天使の力(テレズマ)』というらしい――の塊のようなモノで、
何の心も持たない、ただただ神様に使われるだけの存在なのだ、とのことだった。
天使と言われると、ラッパなんかを吹いて飛んでいるイメージしか
なかった一方通行にとって、土御門の説明はだいぶ違和感があった。
だがまぁ、正直な話、宗教について一方通行はそう詳しくないし、専門家が言うのだからそういうことなのだろう。
「そういった事情は、本人から聞けばよろしいかと」
神裂の一言に、一方通行の意識が戻る。
そうだった、今は火野の話だ。
「だな。で、その火野がドコにいるのか分かってンのか?」
思考を入れ替え、一方通行は肝心の事を尋ねる。
「まぁ、まだ不明だぜい。ついでに言えば向こうの戦力もな」
「堕ちた『天使』を火野が手に入れているか、ですね。あと、仲間などの有無も」
土御門の返答に神裂が付け加えて説明してくれた。
これだけの規模の事件を水面下で行ったのだ。
神裂達プロでも見逃すような、とんでもないバックアップがある可能性も考えられる。
しかし、それに対し土御門は難色を示した。
「火野が『エンゼルさま』の指示で襲撃したなら、一人で来るのはおかしい。
たぶん、そっちの線は薄い。……と言っても、何か別行動でもしてる可能性もあるけど。
『天使』の方は……昨日の時点じゃ使ってこなかったが、その辺は一応色んな可能性全部を考えておいた方が良いな」
それだけ言うと、土御門はけだるそうに窓の外を見て、
「ま、何はともあれ、まずは火野を見つけないと話が始まらないぜよ」
「ですね。さて、問題はどのように探すか、ですが」
「こォいう時のための、これだろ」
一方通行はちゃぶ台にあったリモコンを掴み、奥にあった古い型のテレビに向ける。
そうして電源ボタンを押すと、ちょうどニュースがやっていた。
どうやら、火野神作の特集か何からしい。
評論家らしい男が物知り顔で、火野は多重人格で医師から診断書を書かれていた、とかいう話をしている。
少しはあてになるかと思い、四人で画面をしばらく見ていたが、肝心の火野の情報はないようだ。
火野の精神の話という、どうでもいい知識が流れていくだけだ。
消すか、と一方通行は三人の了承を取るべく、目で語り掛ける。
これなら、自分達で探しに行った方が良さそうだ。
上条も土御門も神裂も、『そうしよう』と頷いた。
(がむしゃらに探すにしても、骨が折れそォだな)
いや、そちらの方が自分の能力を発揮出来るか。
そんな事を考えながら、一方通行は電源ボタンに指を乗せ――――
『えー、火野神作脱獄事件の続報が入りました!』
ピタリ、と一方通行の指と部屋にいた全員の動きが止まる。
「……ナイスタイミング、ですね」
ほぼ膝立ちの状態に近かった神裂が、言いながら座り直す。
まったくだ、と一方通行も口には出さないが思った。
とんでもなく幸運な人間でもこの場にいたのかもしれない。
……少なくとも、上条以外で。
しばらくして、何やら慌ただしかった様子のスタジオの画面が切り替わる。
それは数分程度のニュースでよく見る、
後ろでスタッフが忙しそうに動いている前で、
アナウンサーが原稿を読むタイプのものだった。
アナウンサー役のチビ教師が原稿らしい物を持って座っている。
何とも言えない光景だな、と感想を呟く。
足は地に付いていないし、椅子の高さが足りていないのか、
机から目から上だけがぴょこんと出ていて、あまり緊迫した空気がしなかった。
『現在火野は神奈川県内の民家に立て篭っていて、機動隊が包囲しているとの事です! 現場の釘宮さーん』
テレビから届いた声はちょっとだけ上擦っていたが、やはり全く緊張が伝わってこない。
「ふーむ。困った事になったぜい。火野を警察に引き取られたら、『御使堕し』の解除も何もない。やー、困った困った」
さっぱり困っていなさそうに言って、土御門は顎の辺りをさすった。
確かに、警察に火野が捕まれば、表的に自分達が出ていく訳にはいかないだろう。
それでは事件解決が不可能になってしまう。
「人質はいないようですが……現場を探した方が良さそうでしょうか」
「神奈川県内ってだけじゃ、捜索範囲が広すぎンだろ」
映し出されたのは、上空から見た一軒の家だった。
その周りにはこれといって目立つ物は無く、ただ似たような家があるだけだった。
たったこれだけの情報で、特に土地勘もない自分達が正確な場所を見つけられるとは思えない。
「どォすンだ? 見つけるにも、これじゃ……」
「分かっています。何か手段を考えなくてはいけませんね」
「つってもにゃー。探査系の術を使おうにも、火野本人にゆかりのある品がある訳じゃないし」
ならば、こういうのはどうでしょうか。
いやいや、それだと……。
と、魔術師二人は何やら一方通行には理解し得ない言葉で話し合い始めた。
完全に自分と上条は置いていかれている。
(……ま、そりゃそォだよな)
もとより、上条と自分は専門が違うのだ。
こうして『魔術』の存在を知るだけでも、充分異例だろう。
と、思っていると。
「うーん……?」
ふと、後ろの布団の方から声がした。
体をそちらに向けて座り直すと、上条が何やら唸ってテレビを睨んでいた。
まるで、何かを思い出そうとしているように見える。
「どォした?」
とりあえず声を掛けたが、あー、とかえーっと、とか気のない返事が返ってくるだけだった。
何だ……? と一方通行は奇妙そうに親友を見る。
後ろでは、魔術師達があーでもないこーでもないと議論を続けている。
どうやら、自分は前にも後ろにも置いていかれているようだ。
そう考えてから、僅か数秒後。
「…………あ!」
突如、上条がポンと手を叩いた。
どこの喜劇役者だオマエは、というツッコミを入れたい気持ちを一方通行は抑える。
上条は振り向くと、一方通行の背後で変わらず議論しているプロ二人に、あのう、と控え目に声を掛けた。
「どーした?」
「いかがしましたか?」
二人は言葉の応酬を止めて、同時に彼を向く。
一方通行も同じようにした。
三つの視線を受けて、ツンツン頭の少年はそっと口を開いた。
「……これって、もしかしなくても俺の家みてーなんだけど」
「ほら、これが細かい場所」
そう言って、上条は手に持ったケータイを土御門に渡す。
先程の爆弾発言で火野の居場所が分かり、土御門が細かい位置を教えるように頼んだのだ。
本当は上条も実家の場所は知らないはずなのだが、
手書きでは分かりにくいから、とケータイのGPS機能で上手くごまかしたようだ。
「なるほどなるほど。完璧に理解したぜい」
うんうん、と頷き、土御門はケータイを返した。
そのタイミングで、一方通行はもう一度確認した。
「本当にイイのかよ、手伝わなくて」
そう。プロ二人は火野の居場所が判明した途端、後は自分達だけで良い、と告げたのだ。
だからこうして、わざわざ上条に細かい位置を尋ねた訳である。
「そもそも、貴方達は科学サイドの人間です。正反対の『魔術』に関わるのがおかしいんですよ」
と、神裂が淡々と正論を唱える。
そうして、もう話す事はないと言わんばかりに立ち上がった。
事務的なヤツ、と思ったが、言われてしまえばその通りだ。
自分も上条も、あくまでも立ち位置は科学サイドにある。
プロの魔術師二人からすれば、残念だがいい足手まといなのだろう。
なので一方通行も、でも、だとか食い下がるつもりはない。
しかし――――
「なァ、一つ聞きたいンだが」
まだ、解決されていない謎があった。
「……何か?」
呼び止める声に、魔術師は背を向けたまま、応えた。
彼女はもう、部屋の入口のドアノブに手を掛けていた。
上条と土御門は、黙って事の成り行きを見守っている。
一方通行は続ける。
「……『御使堕し』で完全に入れ替わっていないのは上条と犯人だけ、なンだよな?」
「そうですが……何か?」
今更何を、といった調子で神裂は答えた。
もっと言えば、言いたい事があるなら早くしろ、と急かしているようにも聞こえた。
分かっている、と一方通行は返す代わりに、躊躇いがちに口を開いた。
「上条刀夜、なンだがな」
「…………父さん?」
突拍子のない単語だと思ったのか、突然身内の人間が出てきて驚いたか、とにかく、上条は呆然と呟いた。
一方通行は、そんな親友を横目で一瞬だけ見て、ゆっくりと続けた。
「入れ替わって、ねェンだよ」
「……………………あ、れ?」
「な……それは本当ですか!?」
言葉に、上条は理解が追い付かないのか、目を見開いている。
神裂は、思わぬ情報に驚いた様子で振り向いた。
どうやら神裂は入れ替わった世界でしか、上条刀夜を見ていなかったらしい。
となると、気付ける訳もない。
一方通行はそんな彼らを見据えて、
「だから聞いてンだよ」
上条刀夜――彼は入れ替わっていない。
間違いないと思う。
二、三回しか会ったことはないが、友達の親の顔を一方通行は忘れていない。
だが、そうなると上条刀夜も『容疑者』という事になる。
火野神作と上条刀夜に接点があるとも思えないし、おかしな話になってしまう。
それで、これはどォいう事なンだ? と一方通行は付け加える。
すると、
「……確かに、上条刀夜も上条当麻の近くにいた」
さほど驚いた様子でもなかった土御門が、冷静に答えた。
「考えられなくはない、かもな」
五%ぐらいで、とも彼は言った。
どこまでも、冷めた調子で。
内心、一方通行は戸惑いを感じていた。
ここにいるのは、ただの魔術師だという事に。
と、そこへ――――
「そんな訳……そんな訳ないだろ!」
ようやく思考が戻ったのか、上条が慌てたように土御門に食ってかかる。
その必死さは、何となく一方通行にも理解出来た。
当然だろう。
自分の肉親が、こんな訳の分からない事件の『容疑者』にされてしまったら。
土御門はサングラスの奥の瞳をギラリと輝かせ、あくまでも淡々とした口調で返す。
「しかし、現にカミやんからも入れ替わって見えないんだろう。オレ達は生憎と分からないが」
「それは……」
土御門の言葉に、上条は何も言い返さず、ただ俯いた。
「考えられる可能性は全部潰す必要がある」
どんなにありえなさそうなモノでもな、と土御門は立ち上がり、上から言葉を投げ掛けた。
一方通行は情報を整理しながら、ただこの場を静観していた。
そして、
「……だったら」
ゆっくりと、上条が土御門を見上げながら立った。
その目には、確かな光が宿っている。
「だったら、俺に聞かせてくれ。その間に、土御門達が火野の方に行けば良い」
どうせ低い可能性なんだろ? と上条はまっすぐに土御門を睨む。
身内の事は身内で片付ける。
それが、上条当麻という人間だった。
「馬鹿か、オマエは」
そんな上条の言葉に、一方通行は呆れたように告げる。
冷たい言葉を。
「オマエ一人で行ったって、誰が信用するンだよ」
そう、何も知らない人間からすれば、上条が父親を庇う可能性を考えるだろう。
例えば、件のロシア成教の魔術師だ。
「そんな、俺はただ……!!」
一方通行の言いたい事が分かったのか、上条はこちらを向く。
すぐにでも異論を唱えようと、彼は口を開き、
「だから」
その前に、一方通行は先手を打つ。
上条が何か言う前に、自分の意思を告げた。
「俺も付き合ってやる」
短い台詞だった。
単純明快な分かりやすい意思を伝えるそれで、長い沈黙が流れる。
「……一方通行、お前」
「どォせする事がねェンだ。だったらまァ、ちょっとは働かせてもらおうじゃねェか」
第三者として、な。
呟き、彼は魔術師二人を見る。
第三者として、一方通行が上条刀夜の尋問に付き合えば、理屈としてはちゃんと通るはずだ。
プロ二人の内一人――土御門はそんな彼らを品定めするように眺め、微かに笑った。
「ま、たかだか五%の可能性。全員で行く必要は無いか」
そう呟き、土御門は右手の人差し指を自分の目の前で立てると、
「こうしよう。カミやんと一方で刀夜の尋問、オレとねーちん、それにもう一人が火野の方」
それで良いな、と土御門は全員に確認した。
「……そちらの方が効率的、でしょうか」
構いません、と神裂は短く答える。
彼女としては、火野の方が怪しいと睨んでいるのだ。
上条刀夜の容疑は、ほぼないものと考えているのだろう。
そう思いながら、一方通行は上条に視線を移す。
上条も一方通行を見る。
二人は顔を見合わせ、同時に頷いた。
さて、互いに何か分かったら連絡するように約束し、一方通行達は行動開始しようとしていたのだが……。
「じゃ、土御門さんは失礼するぜい」
「……何でそっちからなンだ?」
土御門だけ、何故か窓から外に出ようとしていた。
正面から出れば良いものを、と思う。
質問に、土御門は窓枠から離れてニヤリと笑った。
「いやー、実は今オレ外見『一一一(ひとついはじめ)』なもんだからにゃー? 目立つと困るんですたい」
そう言った土御門の態度は、言葉とは裏腹に楽しんでいるように見えた。
一一一、というのは確か、現在スキャンダル中の人気アイドルだったか。
知り合いがファンだった気がする。
人気アイドル(スキャンダル中)が窓から落ちてくる様は中々笑えそうだな、と感想を抱いた。
と、そこへ。
「そういやお前は誰と入れ替わって見えるんだ?」
上条が、実に厄介な事を聞いてきた。
場を少しは和ませようとした発言なのだろうが、大きく逆効果だ。
思わず、一方通行は閉口した。
そのまま、数秒黙り込む。
ついでに、部屋にいた他の三人も。
あ、あれ? 俺地雷踏んだ? と上条が少し慌て始めた頃に、彼はようやく答えた。
「……女だよ」
「へ? おんな? ……って、女の子?」
しつこく確認するな、と言いたいところだが、まぁ仕方ない。
誰だって予想外な事を言われたら、こうなる。
「他の連中とは別のやり方で逃れたせいだと思うがな。……チッ、何が悲しくてンな事にならなきゃならねェンだ」
おかげで大変だ、と一方通行はぼやく。
少年としては、実は私女の子ですの、とか衝撃の告白で通したくはなかったので、色々と頑張ってきたのだ。
例えば、声。
女性になっているので、入れ替わった人間には若干声が高く聞こえるらしい。
だから、そういう人間にはわざわざトーンを低くして話している。
これはだいぶ喉が疲れる。
胸については……まぁ、慎ましいモノだったようで、ごまかしは効いているのだが。
よく考えたら、海に来たものの、一方通行は泳げない気がする。
何せ、大勢の人間からすれば自分は女性だ。
水着は男物しかない。
どう考えても、駄目だ。
あれ、じゃあ俺は何のために来たンだ? と一方通行は今更な事を考え始める。
と、そんな少年に陽気な調子の声が一つ。
「まーまー、ねーちんよりはマシだぜい。鈴科百合子ちゃん?」
声の発信源――物凄く意地の悪い笑顔の土御門元春に、一方通行の眉がピクリと反応する。
今、とても忌ま忌ましい名前が聞こえた。
「鈴科百合子……?」
とんと覚えがない名前に、上条が首を傾げた。
実際は彼も聞いた事のある名前だが、色々あってその『記憶』がないのだ。
よって。
「にゃー、カミやん忘れたのか? ほら、青髪ピアスがさー」
「黙れシスコン軍曹」
「な、キサマ、その呼び方はヤメロ!」
思い出話をしようとする土御門を、一方通行は上手に引き止めた。
覚えていないのだから、わざわざ思い出させる必要などないのだ。
ちなみに鈴科百合子というのは、一方通行の本名……とかではなく、青髪ピアスが作り上げた妄想の産物である。
数カ月前、とある高校にて。
それは、午前の授業の終了を知らせるチャイムが鳴った直後の出来事。
「おー、描けた」
授業終了の礼が終わって、学級委員の青髪ピアスは、立ったまま大きく伸びをした。
目の前の机には、一冊のノートがある。
何も表に書かれていないそれは、授業用に使われるモノとは別に見えた。
そんな大男に近付く影が一つ。
「何がだ?」
「あー、カミやんそれ聞いてまう? 聞いてまう?」
影――上条当麻の方を向きながら、青髪ピアスはニヤニヤと笑って座る。
いつもより変な友人に、上条は若干引き気味になる。
「な、何だよ」
「ふふふ……」
上条が畏怖の念を抱いているのに気付いていないのか、青髪ピアスは変わらず笑顔でいた。
すると、そこへ。
「にゃー、どうしたんだぜい?」
「何やってンだ?」
さらに二つの影――土御門元春と一方通行がやってきた。
青髪ピアスは彼らを視界に捉えると、
「おっと、土御門はんに一方も。ええタイミングやね」
「……?」
何言ってんだ、こいつ? と三人は同時に思い――
「ふっふっふ……。じゃ、じゃーんっ!!」
次の瞬間、驚愕した。
青髪ピアスが、机に置いたノートを思いきり広げたせいで。
「こ、これは……」
「ほう……」
「…………な」
目の前のノートに、三人はそれぞれ全く違うリアクションをした。
ノートに書かれていた――いや、描かれていたのは―― 一つのイラストだった。
どこかのアルビノ少年にそっくりな、美少女と言って問題ない、セーラー服の少女。
そしてその下には、『一方通行=女の子=鈴科百合子?』と訳の分からない式と、いっちょ前にサインが書いてあった。
「どー、我ながらこれ傑作や思うねんけど」
いやに厚い胸板を突き出して、青髪ピアスは誇らしげにする。
それから、何か意見ある? と三人にニコニコ笑い掛けた。
「にゃー、これにメイド服着せてやってくれるとさらに良いと思うぜい」
「はー、さすが土御門はん。それ採用」
メイド服っと、と青髪ピアスはノートを机に置き、適当な字でメモ――
「……オイ」
頭上から、低く唸るような声がした。
普通の人間ならそれだけで気絶してしまいそうなほどのそれに、
青髪ピアスは気分が高揚していたのか、変わらず笑顔のまま顔を上げ、
「お、何や一方。あまりの出来の良さに感動「ンな訳あるかァ!! すぐ消せ、削除しろ!」
あっ、と言う間もなく。
机に置かれたノートが一方通行に奪い取られる。
少年は、そのままイラストのあるページだけ破り取って、ノートを机に放る。
そして――――
ビリビリビリビリーッ!! と小気味良い音を出して、イラストが縦に割れた。
と、認識した瞬間には細切れになっていた。
「……な、何するんやーっ!? ボクの百合子ちゃんがー!」
見事な細切れになった鈴科百合子を呆然と眺めてから、勢いよく青髪ピアスは立ち上がった。
悲痛な声で叫んだ彼の顔はちょっぴり半泣きで、正直かなり怖い。
とりあえず、一方通行はそう思った。
「そンなヤツはいねェよ! 少なくとも今消した!!」
「おのれ、一方ーっ! 午前の授業の時間全部使った結晶やったのに!!」
「いや、そんな事に授業の時間無駄にすんなよ!?」
と、そこで炸裂する上条のツッコミ。
「小萌先生の授業以外は重要やないわボケェ!」
「な、ボケとは何だこのロリコン野郎!」
「ロリコ……ロリだけちゃうわ!」
売り言葉に買い言葉で、四人(主に土御門を除く三人)は周りの目を一切気にせず、激しい口論を開始した。
――その後、結構な乱闘の末、小萌先生に四人全員さんざん叱られたのはまた別の話。
馬鹿馬鹿しい記憶に、一方通行は内心大きなため息を吐く。
青髪ピアスが悪いヤツじゃないのは知っているが、あの性格は少しぐらい改善すべきだと思う。
「……いい加減にしてください」
と、この中で唯一の女性である、神裂(良識派)の諌めるような声に、意識が戻る。
そうだった、このような事をしている場合じゃない。
神裂のおかげで周りの空気がまたさっきのような緊張感に包まれようと――
「はっはっは、まぁそんなお堅い事言うなよー。ステイル」
――訂正、戻らなかった。
軽い調子の土御門の一言で、何か別の意味で緊迫した空気が部屋に漂い始める。
蛇に睨まれた蛙のように、上条の動きが止まった。
一方通行も、何だか動けなくなってしまった。
土御門は、変わらずヘラヘラしている。
そして――
「土御門。中々良い覚悟ですね」
と、そんな一本調子の声を発したのは、神裂だった。
そちらを見ると、彼女は俯きながら、ゆらりと立ち上がっていた。
何が起きているかはさっぱりだが、とても危ない雰囲気がするのは分かった。
主に神裂の持つ刀から。
そんな、今にも刀を抜きそうな神裂の視線の先にいる、土御門の取った行動は。
「ふふん。三十六計逃げるに如かず、だぜいっ!!」
とても、無駄のない行動だった。
彼は瞬時に窓枠に足を掛け、二階から消えた。
「――逃がしませんっ!」
しかし、神裂も速かった。
彼女も、迷わずに窓から飛び降りたのだ。
窓から流れた潮風が、カーテンをゆらゆらと宙に漂わせる。
魔術師二人がいなくなって、上条と一方通行はぽつんと取り残されてしまった。
二人の間に僅かな沈黙が流れる。
「……行くか」
「……あァ」
眠ってしまった三毛猫を置いて、二人は普通に入口から部屋を出た。
ちなみに、これは上条に後で教えてもらった事だが。
神裂は、現在魔術師『ステイル=マグヌス』に見えるとの事だった。
場所は変わり、民宿『わだつみ』の近くにある浜辺にて。
「……ふぅ」
白いビーチパラソルの下、上条刀夜は大きく伸びをした。
先程まで遊んでいたのだが、いかんせん煙草や酒のおかげで体力がない。
早々にバテてしまった。
刀夜は何となく、周辺を見回す。
クラゲの被害か、周りには全くといっていいほどに客がいなかった。
貸し切りみたいなモノだ、と思う。
遠くの波打ち際からは、妻や姪、それに息子が連れてきた少女の、楽しそうな声が届いてきた。
そちらを見れば、やはり楽しそうに遊んでいる妻達がいる。
刀夜はそれをほほえましく思いながら、残念にも思った。
ここにいない、息子の事を考えてしまったのだ。
せっかく海に来たというのに、夏バテで遊べないなんて。
これも、『不幸』なのだろうか。
上条刀夜は水平線を睨んだ。
息子は、生まれた時から『不幸』な人間だった。
最初は、そんな事もあるだろうと、一切気にしていなかった。
しかし、ある時からその事を、上条刀夜は恨めしいと感じ始める。
発端は実に馬鹿馬鹿しい事だった。
幼稚園の頃、上条当麻はその体質故に『疫病神』と呼ばれていた。
周りの子供から、だけではない。
大人達まで、そう呼んだのだ。
直接的な原因もなく、ただ人よりも運が悪いだけで。
石を投げられ、罵倒され、嘲笑われた。
そこまでなら、まだ刀夜は怒りを抑えられた。
怒ったって、息子の立場がますます悪くなるだけだ。
だから、必死に庇い続けた。
投げ付けられる石から、一方的な罵りから、痛みから。
――しかし、限界はすぐにやってきた。
事件が、起きたのだ。
今もなお、細かい事を覚えている。
ある日の事だ。
借金を抱えた男に、息子が追い掛けられて包丁で刺されてしまった。
ただ、『不幸』にも。
しかも、事件はそこで終わりじゃなかった。
その話を聞きつけたテレビ局の人間が、くだらない霊能番組の視聴率のために息子を晒し者にしたのだ。
おかげで、息子に対する世間の態度はますます酷くなった。
もはや、庇いきれないほどに。
そして、刀夜は一つの決断を下した。
学園都市――『幸運』だとか『運命』などといった、オカルトを信じない科学の街。
そこに息子を預けた。
家族一緒にいられなくても、結果的に我が子を守れるならば。
刀夜に迷いはなかった。
あのままでは息子は殺されてしまうと、そう思えたから。
だが――
(……結局、意味はなかったか)
上条刀夜は、ビーチパラソルによって日の当たらない、薄暗い砂に視線を落とす。
息子が頭部に大怪我を負った、という連絡が学園都市から来たのは、一ヶ月ほど前の事だった。
「――この階だね」
学園都市の第七学区にある、大きな病院のある病棟。
そこに、上条夫妻はやってきていた。
本来、学園都市に児童の保護者が来れるのは、
毎年行われる『大覇星祭』と『一端覧祭』、それに『入学式』などの特殊な行事の時だけである。
今回、彼らが来たのには大きな訳があった。
一人息子が大怪我を負ったという連絡が届いたのだ。
これは一大事だと、普段使わない有給休暇を取り、上条刀夜は妻と共に街に入った訳である。
「当麻さん、大丈夫かしら」
長い廊下を歩きながら、隣で妻が頬に手を当てて呟く。
話では、一時は怪我のショックで混乱状態に陥っていたが、今は落ち着いているという事だった。
どちらにせよ、刀夜としても心配だった。
一瞬、ある言葉が脳裏を過ぎったが、すぐに刀夜はそれを振り払う。
馬鹿馬鹿しい、この科学の街でそんなオカルトは出てこない。
そう考えて歩くうちに、病室が近付いてきていた。
と、そこで。
「……あら?」
妻が不思議そうに首を傾げた。
「どうした、母さん?」
「あぁ、いえ。刀夜さん、随分と楽しそうな声が聞こえませんか?」
言われて、刀夜は耳を澄ませてみる。
確かに、何か、前方から声が聞こえた。
あの辺りには、息子以外入院していないと聞いているが。
上条夫妻はまた歩きだす。
少しずつ、声がクリアになっていく。
『だから、落ち着いて食えってインデックス。リンゴならまだあるんだから』
『う……わ、分かってるけど、つい慌てちゃうんだよ』
『あァあァ、ほら、口の周り食べカス付いてンじゃねェか、ったく』
『あ、ご、ごめんねあくせられーた』
『そォ思うならゆっくり食え』
『あー、悪いな、なんつーかさ』
『気にすンなよ。……っつーかイイのか? これオマエの見舞品に俺達が買ってきたのに』
『良いんだよ。どうせなら、美味そうに食うヤツに食ってもらった方がリンゴ冥利に尽きるってもんだ』
『そォいうモンかね……』
『そういうモンだよ』
と、そこで息子の病室に着いた。
刀夜はゆっくりとドアをノックしてみる。
途端、声がピタリと止み、病室の気配が変わった。
何か、緊張したモノに。
『……は、はい? どちら様でしょ?』
ややあって、中から息子の声がした。
「私だ、当麻。入るぞ?」
『あ、あーうん! ど、どうぞ!』
慌てたような声が返ってきて、刀夜はそっとドアノブを回して部屋に入る。
久しぶりに見る息子は、相変わらずのツンツン頭だった。
彼はどこか曖昧な笑みを浮かべると、
「ひ、久しぶり」
とだけ言った。
ベッドの周りには椅子が二つあって、楊枝に刺されたリンゴが、
机代わりにベッドに設置されたボードの上に置いてあったが、誰もいない。
窓が大きく開け放されていたが、まさかそこから誰かが飛んでいった訳ではないだろう。
刀夜は眉をひそめると、
「お前一人か? 廊下から声が聞こえたが」
言いながら、椅子に妻と座る。
すると、息子は慌てふためいた様子で、
「へ? あ、あー、あれだよあれあれ。上の階だよたぶん。ほら、何かいつも大声で騒いでんだよ」
「屋上でか?」
刀夜は息子を不思議そうに見た。
何だか大きな違和感があった。
どこか、よそよそしい雰囲気がしたのだ。
混乱している、という訳じゃなさそうだった。
もっと根本的な部分に違和感があった。
「――ちょっと混乱が抜けてないンですよ」
と、後ろから声がした。
振り向くと、そこには息子の友人が立っていた。
確か、名前は――――
「一方通行君」
「どうも」
名を呼ばれ、少年は簡単に挨拶すると、夫妻を手招きする。
チラリと息子を見て、刀夜は椅子から立つ。
妻を残し、部屋から出た。
「何があったのか、君は知っているのかい?」
病室から出て少し歩き、エレベーター近くの休憩所のソファに座るやいなや、刀夜はまずそう言った。
まるで全てを知るかのように現れた少年は、躊躇いがちに首を振る。
「誰も、何があったかは分からないです」
発見された時には既に倒れていたのだ、と説明してくれた。
それから缶コーヒーを一口飲み、本人も何が起きたかは覚えていないそうだとも言った。
「……そうか」
それだけ言って、父親は肩を落とす。
命に別状はないとは言われたが、それでも悲しかった。
誰かに襲われたか、はたまた事故か。
何にせよ、息子はまた『不幸』にも酷い目に遭ったのだから。
その後、学園都市を出てから毎日、上条刀夜は考えた。
どうすれば、息子に『幸せ』を与えられるのか、と。
どうすれば、息子に『普通』の人生を送らせてやれるのか、と。
学園都市に、科学に任せても、息子の『不幸』はどうにもならない事が分かってしまった。
もはや、何か別の道を見つけるしかない。
そうして――
――――上条刀夜は、オカルトに出会った。
「……」
刀夜は、そっと傍らにあるトートバッグの中を見た。
ビーチボールなどを持ってくるために使ったそれの中には、
変哲な人形――イタリアで、ある親切な人々からもらったオカルトの物品の一つだ。
馬鹿馬鹿しいと、分かっている。
こんな、どうしようもない事をしても、意味がない事は。
しかし、それでも。
上条刀夜という、一人の父親は縋りたかった。
息子を救うかもしれない、ある可能性に。
そのためには、何を犠牲にしても構わないと考えていた。
「………………」
男は、また地平線に視線を移す。
――――『絶望』からの救いは、まだ遠い。
さて。時が進み、民宿の玄関前。
そこで、二階から降りてきた上条と一方通行を待っていたのは――
「問一、この人物は誰か?」
またまた変な恰好の魔術師だった。
ノコギリやハンマーを携えているそいつは、まだ小さな少女だったが、神裂のように大胆な露出をしている。
そんな彼女に、先に下に来ていた土御門が簡潔に紹介する。
「何の関係もない一般人。ちょいと協力してもらったりするけど」
「こちら、ミーシャ=クロイツェフです」
例のロシア成教です、と神裂に言われ、一方通行はとりあえず手を差し出す。
「……一方通行だ」
「……」
小柄な少女はコクリと小さく頷き、差し出された手を握り返す。
とても小さな手だった。
本当に、殺人犯を撃退したのかと思わせるほどに。
そうして握手が終わると、神裂が小さく咳ばらいをした。
「さて、クロイツェフ。例の火野ですが、細かい居場所が判明しました。よろしければ、同行を願いたいのですが」
手を離し、自分への声にミーシャは振り向くと、
「問一、情報の信憑性は確かか?」
それは、一方通行の知る年頃の少女らしさのない、無感情な声だった。
「もちろん。説明は道中でさせてもらうにゃー」
「……解一、ならば同行する」
土御門は軽く頷き、
「んじゃ、タクシーを近くに待たしてあるから、そっちに」
コクン、とミーシャは頷き返して黙々と歩きだす。
土御門と神裂はチラリとこっちに目をやると、
「じゃな、カミやん、一方」
「それでは」
そうして、魔術師三人はぞろぞろと戦場へと向かう。
「気をつけてな。あ、あと家壊すなよな!」
彼らの背中を、一方通行達は最後まで見送った。
「……さて」
上条が呟き、こちらを向く。
ゆったりとした調子で、彼は確認した。
「父さん、浜辺だよな」
「……だろォな」
答えると、上条は父親がいるであろう方へ首を動かす。
今彼はどんな表情なのか、一方通行には分からない。
「さっさと行って、無実を証明してやろう」
若干ながら急ぎ足で、上条は海へと進んだ。
「……あァ」
力ある声に、一方通行も強い口調で返し、遅れて歩き始めた。
事件解決のため、能力者と魔術師は、それぞれの道を進み出した。
以上で、今回は終了します。
とりあえず、生存報告はちゃんとさせていただきます。
だいぶ遅れてすみませんでした。それでは、またいつか。
>>1乙
>>1乙パァアアアンッ!!
>>1乙!
鈴科百合子wwwデルタ+1のシーンはなんかなごむ
ここのKJさんって記憶残ってたっけ?なくなってる?
今回の話読めば無くなってるってすぐ分かるだろ……
>>1乙腹パンペロペロ
刀夜さんいい親父過ぎて切ない
腹パンの文章読みやすくて好き
すごーい乙
腹パンさんのssはレベル高いからな。頑張って続けて欲しいぜ。
少なくとも2巻までの時点では出来事的にはほぼ原作通りだったはず
3巻から木原くンとアイテムが味方だったり冷蔵庫が出たりとかだいぶ原作と違う展開になった
その件に関して「一方さんがいる意味がない」ってケチつけてた人がいたが
「原作で上条さんが独り占めしてた主人公補正を二人で半分こしたらこうなった」って聞いて納得してしまった
え?別場所でも書いてるのか?
>>726
別スレで電磁通行書いてる
スレタイkwsk
>>728
美琴「ねぇ……いつになったら、アンタは許されてくれるの?」 一方通行「…………」
腹パンさんのssはレベル高いからな。頑張って続けて欲しいぜ。
SSは2つまでにして濃密なSSを書いてくれれば文句言わねぇ!
ところで、腹パンしたいんだけど出遅れた
誰に腹パンすればいいんだ俺は
俺にしろよ
全部受け止めてやる
俺にしろよ
全部受け止めてやる
「木ぃ原くううぅううん!」が早くも楽しみ
ただあの展開どうなるんだろ
おいおい>>1よ…
そろそろ腹パンが必要か?
待ち遠しい…
来ないかな~
期待
舞ってる
たまに腹パン
刀夜さん視点から見たら上条さんがものすごく可哀想に見える。
親からしてみれば息子がこんな事になってたら、スゲー辛いよな。
期待
>>1乙
黒パン食べながら舞っている…
黒(子の)パン(ツ)食べながら舞っている
来て
腹パンしないの?
腹パンダ
そして誰もいなくなった
そろそろ 2ヶ月たつな
これはもうテレズマ使った腹パンしかないな
これはもうパンダメントですの
全力でブチかますぞ…
オラァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
真っ直ぐ行って腹パン
右ストレートで腹パン
保守パンツ
そろそろやばくね?
片方落としてるしね
こわいなー
せ、生存報告……。
だいぶお久しぶりです。
電磁さんを落としてしまいました。
そしてこっちもまったく来れませんでした。
今日も投下出来ません故、今週のどこかで再開いたします。
待たせてすみません。
パンツ脱いだ
>>755
取り敢えず腹にファルコンパンチしときますね^^
お祝いの腹パンが必要だ
年末の楽しみが増えたぜ
とりあえずシャドーしとくか
>>1に、あけましておめでとう、そして、年賀の
つ黒パン
とりあえず腹パン代行業に依頼した
「任せるのである」
楽しみに待ってる
待ってるぞ
今やっと追いついた
面白いです
続き待ってる
大丈夫か? 何かあったか>>1
何か問題が発生したなら出来ればアナウンスが欲しい
長い今週ですね
お前らが腹パンばっかするから……
そろそろテイクダウンしてパウンドにするべきか
まだなのか
今週ってのは…思ってたより長いぜ…
お前らが腹パン腹パン言うからだろ
と言う冗談は置いといて
本気で>>1が心配だな
生存報告すらできない状況なんだろうか?
あれ、そろそろヤバイんじゃね?
12月から生存報告無いのはもう諦めた方がいいのかもね
面白くなかったし割とどうでもいいや
>>775
早く書けよカス
……お久しぶりです。
本当にお久しぶりです。
正直に言いましょう、全く書けていません。
この数カ月、頭の中だけで物語は進んでいました。
とりあえず、少しだけ書けた分を投下いたします。
どうぞ。
「えんぜるふぉーる? 何だ、それは」
神奈川県のとある閑散とした浜辺にて。
ストレートに聞いた質問にあっさりと答えると、上条刀夜は不思議そうな顔で息子とその友人を見た。
本当に、意味が分からないと言いたげに。
それに対し、息子――上条当麻は厳しい顔つきを変えず、もう一度口を開いた。
「……ホントに、知らないんだな?」
夏バテから復活した息子の睨むような目に、刀夜は困ったような顔で、
「だから何だと聞いているんだが……流行語か何かなのか?」
そう言って、彼はチラリと一方通行を見た。
息子はどうしたんだ、と尋ねるように。
助けに出る代わりに、一方通行は一つの質問をする。
「……おじさン、おばさンは今どこにいますか?」
質問の意味が分からないのか、ますます不思議そうに刀夜は首を傾げながら、
「あそこで遊んでいるじゃないか」
と、波打ち際を指差す。
そこにあったのは、インデックスの姿だった。
青髪ピアスではなかった。
その挙動には、何の迷いもない。
どうやら、本気で『インデックス』を『上条詩菜』だと思っているようだ。
少なくとも、一方通行はそう感じた。
一方通行はそっと右隣りの上条を見る。
視線に気付いたらしく、上条も目を合わせた。
それから、二人は刀夜に気付かれないように頷き合う。
そうして、さっさと民宿へと足を向けた。
と、そこで刀夜が二人の方を向き直る。
「まったく、いきなりどうしたん……ん? おい当麻、一方通行君! どこへ……」
水着に着替えてくる、とだけ言い、呼び止める声を無視して上条と一方通行は浜辺を去った。
「……どう、思う?」
「……そォだな」
恐る恐る、といった感じの上条の言葉に、一方通行は腕を組む。
二人は今、海の家の、上条が休んでいた部屋に居た。
一度戻って考えを纏めよう、という話になったのだ。
瞳を閉じて、一方通行は深く思考を開始する。
周りからの音が消えていき、暗闇だけが一方通行を取り巻く。
そして、闇の中に文字が様々な列をなして浮かんだ。
(……今回の『魔術』の効果。それを使ったヤツ、つまり『犯人』に出る特徴。そして、さっきのおじさンの反応)
一方通行は、先程の尋問の結果、それに事件の概要を照らし合わせた『結論』を告げる。
「シロ、じゃねェか?」
それはとてもシンプルで、ほぼ当然の答えだった。
『御使堕し』を使った人間は、どんな状況にある人間から見ても入れ替わっていない。
そういう観点からすれば、上条刀夜は『犯人』になる。
しかし、仮に彼が犯人だとするとおかしな点がある。
まず第一に、二人が初めに上条刀夜にした質問――『「御使堕し」を知っているか』に対する答えだ。
彼は間髪入れずに、『それは何だ』と言った。
ここで、上条刀夜が『犯人』だとすると彼は『魔術師』という事になる、という事を確認しておく。
そういう、『仮定』の話をさらに進める。
その事に気付いた魔術師は誰もいない。
『犯人』を捕らえる側が、その『犯人』が分からないのだ。
こうなると、刀夜は安心するだろう。
まぁ、上条当麻の近くに魔術師が来ていることを知っていなければ、だが。
とにかく、様々な仮定の下で話を進める。
さて、自分が容疑者にされないと十割確信している『犯人』がここにいる。
そいつに対して、いきなり『お前は「犯人」か』というような質問をしたらどう反応するだろうか。
表面上は、『知らない』と答えるかもしれない。
だが、それでもどこかしら怪しい挙動を取るはずだ。
本当に小さなモノでも。
しかし、上条刀夜はそういった『怪しさ』を一切出さなかった。
全く分からない、と素の反応で質問に答えたのだ。
これがおかしな点の一つ。
次に、というか最後に。
そもそも、上条刀夜には『インデックス』が自分の妻に見えている。
妻はどこにいる、という一方通行の質問に対して、彼はあっさりと浜辺にいたインデックスを指差したのだ。
誰か別の人間に対してではない。
その時、外見『青髪ピアス』のインデックスと
外見『御坂美琴』の上条の従姉妹は、海の家に飲み物を取りに行っていたのだ。
浜辺にいたのは、外見『インデックス』の上条詩菜だけだ。
つまり、上条刀夜は術の影響を確かに受けていることになる。
これらのことから、一方通行は上条刀夜の無実を確信した。
ただ、状況証拠しかないのだから確実性はない。
なので、最終的に刀夜の事を判断する神裂達に任せようと思う。
「そっか、そうだよな……」
そう告げると、上条は一方通行の見解で父親の無実が確定したかのように、安堵の息を吐いた。
そうして彼はケータイを取り出すと、
「土御門の方に……いや、電話じゃまずいか。メールで送るよ」
と言いつつ、操作しだした。
特にすることもないので、一方通行は寝転がって眠っている三毛猫を観察し始めた。
カチカチ、と文字を打つ音だけが小さな部屋に流れる。
「……あっちは大丈夫かね」
ポツリと、上条が唐突に呟く。
猫の腹の辺りを撫で回しながら、一方通行は上条を見ずに答える。
「さァ? とりあえず神裂は心配いらなそォだが」
どちらかといえば、上条は実家の無事を心配すべきだと思う。
神裂だったら、地図の上から上条家を消し飛ばすことだって出来そうだ。
そんな事を考えているうちに、上条がケータイをしまっていた。
報告書代わりのメールを送り終えたようだ。
「……これからどうする?」
猫から声のした方に視線を移すと、上条が窓枠に座って海を眺めていた。
その先に何かあったのか、少しだけ慈しむような笑顔を浮かべた。
「とりあえず向こうからの連絡があるまで待つのがイインじゃねェの」
適当な答えを返して、一方通行は視線をまた猫に戻した。
土御門や神裂からは邪魔になると明言されているし、事実、自分達に出来る事はないだろう。
結局、待機しているのがベストなのだ。
「んー、じゃあさ、海で適当に遊んで……あ、外見がダメか」
ドコ見て言ってンだこの野郎、と視界にいない上条に言いかけて、一方通行は別の言葉を発する。
「ま、泳ぐのは無理だな」
現在外見可憐な女の子(上条以外にはそう見える)な少年は、生憎と水着は男物しか用意していない。
ついでに言えば、女物を着るつもりもない。
……本当に、自分は何のために来たんだろう。
せっかくの機会だというのに、見事な失敗である。
一方通行は無言でツンツンツンツンと三毛猫を指で突き回す。
『ちょ、ストップストップ!!』とでも言いたいのか、指ツボマッサージから逃れようとスフィンクスが暴れ始めた。
それでも一方通行は指を止めない。
ちょっとした悔しさを猫にぶつける少年であった。
そんな彼に、一つの提案の声が掛けられる。
「じゃ、砂浜で適当に何か作ろうぜ」
ピタ、と一方通行の指が止まる。
「そりゃあ、海に来たんだから泳ぐのも良いかもしんねーけど、他にも色々あるだろ?」
だからそいつを開放してやれ、と上条は言った。
が、一方通行には聞こえていなかった。
彼は『泳ぐ』以外の楽しみについて深く考えていた。
なるほど、砂か。
確かに、世の中にはサンドアートとかいうモノがあるというのを聞いたことがある。
それはそれで、海に来たと感じるには良いかもしれない。
『泳ぐ』以外の選択肢を出せなかった自分を、一方通行はちょっとだけ残念に思った。
ついでに、イイ考えだ、と内心上条を労ったりもした。
そうして少しの間を置き、彼は三毛猫を解放した。
「……まァ、それでイイか」
一言呟き、少年は立ち上がる。
すべき事が決まったならば、即座に行動だ。
およそ二時間後。
「……完成だな」
民宿前の砂浜で久々に流れた汗を拭い、一方通行は呟く。
まるで一つの作品を完成させた職人のような振る舞いだ。
そんな彼の後ろには、三つの影が立っている。
「な、なんつーか、その……」
「す、すごーい! 何これ大きい!!」
「あくせられーたは城作りの天才かも!」
ある者は呆然と、ある者は驚愕し、ある者は目を輝かせて、自分の前にある物体を見た。
それは、だいたい五メートルほどの高さを誇り、奥行きがニメートルほどはある『城』だった。
城といっても、ただの城じゃない。
一方通行が浜辺の砂と海水を能力で練り上げて作った、特製の砂の城だ。
製作時間に反比例してとんでもない出来映えになったそれを、一方通行は眺め回す。
(丁寧すぎたか……?)
西洋にある、名前は忘れたが大きな城を参考にして作ってみたのだが、少しやりすぎたのかもしれない。
手伝ってくれた上条達が、どうせならもっともっと、とせがんだ事もあるが、それにしても頑張りすぎてしまった。
期限一日前とか見苦しい……完結出来ないならもう依頼出しとけよ。
他人が口出しすることじゃないな
……投下終了してるか?
マジ乙、っかお疲れさまです
落とさないでくれて嬉しい
隔月連載だろうと何だろうと、自分はこのSS読み続けたいよ
ついでに腹パン
マジ乙 この作品のメンツ好きだー
「あらあら。これはまた立派ねぇ」
ふと、背後から声がした。
一方通行が振り返ると、ニコニコと笑みを浮かべる友人の母親とスイカを持った友人の父親が、
少し離れた、民宿への入口に立っているのが確認出来た。
「ずいぶんと大きいなぁ」
こちらに歩み寄りながら、上条刀夜が珍しげに砂城を仰ぎ見た。
やはり世間一般的な視点からすると、これはやりすぎなようだ。
「へへ、すごいでしょ! 私やお兄ちゃんも手伝ったんだよ!」
「私が一番手伝ったかも!」
「はいはい、よく分からんところで張り合うなよな」
褒めて褒めてー、とばかりに大人二人に笑う少女達(一人は外見大男だが)に呆れたように上条が笑う。
彼はそのまま砂の芸術を見上げると、
「だいたい、半分以上は一方通行が作ったんだろうが」
な? と上条は同じように城を見上げていた親友に向き直る。
「あらあらすごいのね、一方通行君」
それを聞いて、詩菜は飾り気のない笑みで嬉しそうに一方通行を見る。
「……そォ、ですか?」
何となくまっすぐに彼女を見れなくなって、一方通行は少し目を反らした。
詩菜はその事に気付いていないのか、ただ微笑んでいた。
「そうよ、立派なんだもの。胸張って良いんじゃないかしら」
「うんうん、すごいよねー!」
「ねー!」
「そうそう、俺達も頑張った意味があったってもんだよ」
ニッ、と上条が笑った。
ただただ、純粋に楽しそうに。
「……そォか」
少年は、誰も気付けないほどに小さく笑う。
こういう時、ちょっとだけ、一方通行は自分の能力の存在を嬉しく思えた。
こんな人殺しに役立つような能力でも、使い方を間違わなければ誰かの喜びを作れる、という事を味わえるのだから。
「さ、皆。スイカを用意したんだ。あっちで食べるとしよう」
城を眺めながらね、と付け加えた上条刀夜の一言に全員が頷き、歩き出す。
「ねー、せっかくのスイカなんだしスイカ割りしようよ」
「スイカ割り? って料理か何か?」
「インデックスさん。何でも食べ物に結び付けるんじゃありません。……いや、これ食べ物だけど」
首を傾げる野太い声の主に、上条がなるべく普段のように(ただし顔は引きつっている)返す。
あくまで中身はインデックスだと分かっていても、青髪ピアスという外見は上条にとんでもないダメージを与えるらしい。
ついでに言うと、上条のその表情にインデックスも少しだけ傷ついているらしい。
『……いつものとうまと何か違う』と彼女が小さく呟いていたのを、一方通行だけ聞いていた。
恐るべし、青髪ピアス。
そんな事を、一方通行はこっそりと思いながら最後尾で笑った。
これにて投下終了します。
待たせるだけ待たせてこれだけですみません。
>>785さんがおっしゃる通りです。
悪あがきのような真似をして申し訳ないです。
しかし、それでも自分はこれを完結させたいんです。
再構成、というよりも原作そのままのような駄作ですが、読んでくださる方がいらっしゃるならば、ありがとうございます。
そして、すみません。一年前のように、せめて三日に一回は来れるように努力します。
それでは。
待ってたぜ
GJ
待ってた。
更新が嬉し過ぎて泣いた
>>1乙
乙、ずっとお気に入りに登録しつづけてた俺みたいな奴もいるんだぜ。自分のペースで頑張れ!
>>1乙
べっべつにお気に入りに入れて毎日更新があったか確認になんか来てなかったんだからね!!
乙!
完結してくれるまでいつまでも待つさ!
約半年ぶりの更新か
どんな多忙な仕事してるの気になる
絶対公務員じゃないはず
なんか来てたんだけど
なんか来てるんだけどおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
乙
>>798
腹パン代行
最近忙しくて作品を更新出来ない!
そんなアナタの代わりに読者から腹パンを受けに行きます!
熟練された受け、鍛えられた腹筋、自身も受けてきた事による慣れ…全て兼ね揃えたベテランスタッフが、お電話一つでアナタの代わりに腹パンを受け止めに!
なお、腹パン以外は対象外となります(対象業者のご紹介は致します)
多分こういう仕事を始めたんじゃね?
過去に自転腹パンも受けたベテランだし
依頼出す準備してたけど戻ったのか。
放置するなら次からはちゃんと生存報告してくれ
>>801
生存報告もできないぐらい忙しい仕事ってなんだろうな
1がもう来ないかと
ガチで心配した
んだぞ俺らは
ばかの一つ覚えか
って位に毎日見にき
てさそしたら1が来て
くれてるじゃん
だから嬉しかった
さけどな皆がどんなに
いっしょうけんめい
応援してくれたんだ
えきやバスそして家
ん中でもみんな1を
しんじて待ってい
てなそしたらなんと
いちが来ている
まぁこんなにも
すごい事はないだ
から皆か
らの腹パンを受けてね
さすがにきもい。
うん、ここまでキモい縦読みははじめて見た
というか縦読みって言っていいのかこれ?w
これはキモい
小学生が頑張って作った縦読みでもマシなものになるはずなのに
>>803は救いようが無い
ねこかわいいで締めるべきだった
俺は待つぜ
もう一年も経ってるんだな
待ってる
大変だろうけど、頑張ってほしい
なんせこの不況じゃなぁ…漫画とかの世界でのんびり暮らしたいぜ
追いついた…
この>>1の前のスレ名はなんだい?
ageんなサル
>>1も読めねえのか
大丈夫、ばすたーどに比べたら更新ペースが早いはらぱんを私は応援している
まあ、黙って待つさ
早く生存報告にこい、やり遂げたいならな
The HARAPAN
待ってるぞー
更新か生存報告マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
<(^o^)> とうまとうまー
( )
\\
..三 <(^o^)> とうまー
三 ( )
三 //
. <(^o^)> 三 ねーとうまー
( ) 三
\\ 三
もう3ヶ月たつな・・・
ま、まだか…
腹パンは犠牲になったンだろうな・・・
腹パンに終わらせて欲しかったけど、そろそろ依頼出さないといけなくなるのかな?
生存報告。
すみませんがまだ投下は出来そうにないです。
期待しないでお待ちください。
期待して舞ってる
生存報告だ!!
待つよ!待つよ!
舞ってる
俟ってる
まだかなーwktk
腹パン殴られ屋代行なんてやってるから忙しいんだな
は
ら
ぱ
腹パンには悪いけど、早く完結させて欲しい
依頼して腹パン代行に専念するか、隔週ぐらかいで更新するかしてくれないかな?
腹パン
もう一ヶ月か・・・
気長に待つさ
1よどうした終わりなわけはなかろうに…
>>893
sageなしのコテハン、新参か? 力抜けよ(意味深)
いい父さんだなぁ( ; ω ; ` )
別に待ってるんじゃないんだかねっ
ずっと舞ってるからね!
夏
>>844 sageろ糞野郎
魔術が効いた人にはいつもどうりに見えるんだよな?なら一方通行は上条にだけ女の子に見えるんじゃ?的外れな質問してたらすまん。
>>845
sageろクズ
間違えた>>846
sageろクズ
>>848うるせーな、悪かったよ!てめーはいちいち暴言吐かねえとなにもできねえのか?
お前等、喧嘩はするなよ。
ほ
仲悪いなお前らwww。もっとびっくりするほどユートピアしようぜ?
お久しぶりです。
復活しました。
少ないけど書いてきます。
同時刻、神奈川県のある住宅街では。
上条達科学サイドとは違う、魔術サイドの面々が事件解決のために行動していた。
「警察もこういう時はきっちりしてるぜい」
三人の魔術師の一人、土御門元春は周りに視線を送りながら誰かの家の庭を駆けていた。
目的地である上条家の周辺にある全ての道路は、機動隊などがしっかりと封鎖して監視している。
見つかると少しばかり厄介なので、こうして家と家の垣根、あるいは屋根までもを越えて進んでいるのだ。
「凶悪殺人犯、ともなると本腰を入れない訳にもいかないのでしょうね」
土御門の後を追い、屋根から庭に最低限の音を立てて着地した神裂火織が答える。
ニメートルもの刀身を誇る日本刀を持つというのに、彼女は何の問題も無しに素手の土御門と同じ速度で付いてきていた。
『聖人』という特殊な体質を抱く彼女にとって、この程度はなんでもないのだ。
時に止まり、時に素早く動き、彼らは目的地まで最短のルートで向かう。
「……時にねーちん」
最後尾にいるミーシャと名乗ったロシアの魔術師をチラリと窺って壁の上を跳び移りながら、土御門は神裂に声を掛けた。
「? 何でしょう?」
答えながら、土御門と位置を入れ代わった神裂は跳び移ったと同時に壁の上から中庭に入る。
そのまま一気に正面を走り、また別の壁で一度止まる。
監視の目がちょうど外れるタイミングを待つためだ。
位置を代えたのは、最も五感が優れている彼女に判断を任せるべきだと考えたからである。
そこで、土御門は改めて神裂を見る。
真剣な面持ちの魔術師もまた、土御門に向き直る。
彼は青いサングラスを直すと、
「恩返しの仕方は決まったか?」
ただ一言、真剣な口調で告げた。
瞬間、神裂は無表情で土御門を一瞥して、青空へと向き直る。
無表情ではあるが、彼女の独特な緊張感のある雰囲気は失せて、やれやれとでも言いたげなモノに変化していた。
「……言っておきますが、メイドはしませんよ」
呆れたように神裂はため息を吐く。
土御門の言う恩返し、というのはある少女を救った二人の少年達に対するお礼のことだ。
色々なごたごたの末、神裂ともう一人(おそらくこちらの方にはそんな考えは無いが)はまだ礼の一つも伝えていなかった。
その分も含めて、と何故か関係ない土御門が提案したのが『メイドモードでご奉仕作戦だにゃー!』、だった訳である。
……もちろん、彼女は全力で拒否したが。
「えー。一方の反応とかきっと見物だと思うんだがにゃー」
つまんねーのー、と土御門が先程の真面目な表情はどこへやら、緩みきった顔で呟く。
「彼の性格上、何も言わないで無視する可能性の方が高いでしょう。
……というか、貴方やっぱり私で遊ぶつもりだったんですか。とても良い度胸です……」
ゆっくりと神裂が刀の柄に手を掛けたところで、土御門は慌てた様子で両手を広げて横に振る。
「お、オーケーオーケー。落ち着くんだぜいねーちん。ここで見つかりゃアウトですたい」
「……」
諌めるような正論に納得したのか、ちょっとした冗談(ツッコミ)のつもりだったのか、神裂はあっさり引き下がった。
変な汗が全身を流れるのを感じながら、土御門はとりあえず曖昧に笑っておく。
少しやりすぎたか、と反省する。
からかった相手が相手なので、正直なところ、ツッコミ一つでもそれなりに危険なモノがある。
今度からはちょっと気をつけておこう。
……少なくとも、このネタを使う時は。
「……問一、そちらは本当に火野を捕まえるつもりがあるのか」
一人だけ、真面目に仕事をしに来ているロシアの少女が冷ややかな目で土御門達を見る。
それを合図に、軽いおふざけは終了し、空気が真面目なモノに切り替わる。
ちょうど監視のタイミングも切り替わり、神裂とミーシャが同時に跳んだ。
(……謝る、ね)
ぼんやりと前を行く魔術師二人の背を見ながら、土御門は先程の神裂に対する話題を思った。
彼にもまた、一つ友人に謝っておきたい事があったのだ。
「――さて、報告は以上だ」
八月十九日、学園都市第七学区の『窓のないビル』。
土御門元春はそこに来ていた。
学園都市での、ちょっとした仕事の報告のためである。
普段とは違う淡々とした事務的な調子で話す彼の姿は、彼を知る者が見れば違和感を持つことだろう。
もっとも、土御門にはそんな姿を見せるつもりはそうそうないが。
『ふむ、ご苦労だったな』
あまり気の入っていない労いの言葉に、土御門は前を見る。
そこには、仕事の依頼主――学園都市統括理事長であるアレイスターが居た。
ただの『人間』は、魔術師の客として来ようと仕事の話をしに来ようと、いつも変わらずビーカーの中だ。
最初は内心奇しく思っていたが、学園都市に転居して数年で、その奇妙な光景に土御門もだいぶ慣れた。
土御門は青のサングラスを適当に掛け直すと、背を向けて歩きだす。
正直な話、この場所には用が無い限りは一マイルだって近寄りたくない。
仕事が終わった以上、さっさと『案内人』に連れていって欲しいところだ。
ちなみに『案内人』というのは、このビルに入るための空間移動能力者の事だ。
『窓のないビル』には入口が無い。
なので、そういった能力を使う人間が代わりに使われているのだ。
まぁどうでもいい事だ、と土御門はそれを思考から削除する。
とにかく、帰ってゆっくり義妹の料理に舌鼓でも打つとしよう。
たまにはあの友人達に少しぐらい分けてやろうか。
もちろん、拝み倒させてから。
そんな『日常』に思いを馳せながら、土御門はいつになく現れるのが遅い『案内人』を待つ。
――――だが、
『あぁ、待ちたまえ』
そういった期待は、一度止められてしまうこととなった。
心の中で舌打ちしながら、土御門は振り返る。
「……何だ? 仕事の依頼か?」
『いや? そういう事ではない』
何故か笑みを浮かべながら、アレイスターは告げる。
その笑顔にうすら寒い何かを抱きながら、土御門はアレイスターの言葉を待つ。
刺すような視線に、アレイスターは表情を崩さずに言葉を紡ぐ。
まるで十八番の歌をたくさんのファンの前で歌う歌手のように、楽しそうだった。
何なんだ、と土御門は身構え――
『今日は泊まっていきたまえ』
肩の力が、抜けた。
「……そいつは何かの冗談か? 言っておくが、オレはこれでも大忙しだ。貴様の冗談にまでは付き合わんぞ」
実のところ、土御門はイギリス清教だけでなく、学園都市やその他多くの組織でスパイ稼業をしている。
所謂、多角スパイという訳だ。
この後も、夕食を取ってから別口の仕事がある。
アレイスターの話し相手をやっている暇など、こちらにはない。
来てる……だと!?>>1お帰りなさい!
『まぁそう言うな。それに、これも遊びではなく立派な仕事さ』
言葉と同時、土御門の目の前に文字が浮かぶ。
ホログラムでも使っているんだろう、と自らを納得させ、彼は目を細めながら文字の列を目で軽く追う。
「これは?」
まだ一文も読めていないが、見たところ何かの資料のようだ。
『「絶対能力者計画(レベル6シフト)」』
「…………何だと?」
『君の友人が今夜行う「実験」の資料さ』
「………………」
友人、と言われて思い浮かんだ人物に嫌な予感がした。
素早く、黙々と土御門は文字を追っていく。
そして、
「っ!? アレイスター、貴様……ッ!」
『ふふふ。そう睨むな土御門』
「ふざけるな! 貴様今すぐここから出せ!! 何ならその機械を破壊しても構わないんだぞ」
叫びながら、土御門はアレイスターの生命維持装置らしき物体に
近付き、彼の入っているビーカーに繋がるチューブに手を掛ける。
『それはそれは。お好きにどうぞ』
「………………」
余裕のある調子で返すアレイスターを睨みつつ、土御門はそっと手を離す。
おそらく、いや、何となく分かってはいたが、このビーカーに繋がっているチューブなどは全てダミーなのだろう。
自らの弱点を敢えて晒す理由など無いのだ。
『ま、もう遅いさ。「被験者」はもう「実験場」に到着したようだからね』
余裕のある声と共に、土御門の目の前のモニターが切り替わる。
どこかの操車場で、何も知らないであろう友人が、まさに最悪の一日の始まりに足を突っ込もうとしているところに。
『やぁ、垣根帝督』
『あん? どちら様だ?』
『君が今一番話したがっている人間さ』
『ほー、そりゃまたありがたやありがたや。……で? 何の用だ、統括理事長さんよ』
『手短に言う。作戦は中止だ、撤退したまえ』
『――はぁ!? んだそりゃ!!』
『ふむ。伝わらなかったかね? 撤退したまえ、と言ったんだ』
『いやいや待て待て! マジかよ、おい!』
『私はいたって真剣だ。撤退したまえ』
『……あーそうかよ。分かった、分かったよ!』
チッ、とあからさまな舌打ちと共に通信が切れた。
「……これが狙いか?」
土御門はそう言って、二つのモニターに目をやる。
一方に映っているのは、今まさに六つの翼をたなびかせて、ある研究所の敷地を飛び去る超能力者の第二位。
もう一方には、まるでテレビ中継のように土御門の友人二人が映っていた。
その内の一人である『最強』は気絶しているようだ。
先程まで、彼らは文字通り『激闘』を繰り広げていた。
その様を、土御門はさんざん見せられていた。
それを共に見届けた逆さまの黒幕(アレイスター)は小さな笑みを作る。
『全てはプラン通りさ』
『プラン』――その言葉に、土御門は眉をひそめる。
それは、遥か昔――学園都市創設期からアレイスターが進めていたらしい、ある計画を指す。
土御門もその詳細を知らない。
ただ分かるのは、それがろくでもないモノだということ。
そして――それの根幹部分に彼の『表』の友人達が深く関係している、ということだ。
たったそれだけ。
土御門には、何も出来ない。
アレイスターの手の上で踊らされるだけだ。
それだけの事実に、土御門は。
「……オレは帰るぞ」
ここを去ることしか、出来なかった。
あぁどうぞ、という声をもう一度背にして、土御門は帰路に――――
「――アレイスター、一つ教えてやる」
立ち止まり、振り返らずに口を動かす。
きっと後ろを向けば、アレイスターはあの気に食わない顔で笑っているだろう。
だから、振り返らない。
『何かね?』
どこか小馬鹿にした調子で――まるで、王に抗うことも出来ない愚かな奴隷に語りかけるように――科学の王は応えた。
奴隷は、強く、王の道具(オモチャ)への期待を込めながら告げた。
「あの二人を、あまり舐めるな」
敗者――いや、勝負ですらしていないが――の言葉に、王は何も言わない。
言う必要もないほどに、馬鹿馬鹿しい忠告だと思ったのかもしれない。
事実、その通りだ。
くだらない『実験』を止めることは、アレイスターの企みを潰すどころか、成功させてしまったようだ。
結局、友人達は何一つ勝っていない。
ただ、利用されただけだ。
しかし、それでも、と土御門は思う。
今はまだ、友人達は自分のように駒なのかもしれない。
だが、いつかきっと、
「制御を誤れば、アイツらはお前のプランなど握り潰すぞ」
そう、彼らならば。
彼らならば、王を刺す奴隷になるかもしれない。
自分とはまた違う、彼らならば。
『それはそれは。肝に銘じておこう』
あくまでも余裕を崩さない王を、奴隷は内心で笑う。
近いうちに、必ず顔を真っ青にしてやろうと誓いながら。
(……謝る、か)
自分がもっと情報を手早く拾えば、友人達に手間を掛けさせずに済んだ……かもしれない。
人を殺し、その事に苦悩を抱かずに済んだ……かもしれない。
だが、どちらにせよ土御門は動けなかっただろう。
どこの世界に自らの正体を暴くスパイがいるだろうか。
軽い調子で明かしたが、今回の事は事態が事態だったからである。
結局、何よりも彼は自分の大切な物へのリスクを優先した訳だ。
謝ったところで何の意味もない。
それで死人が蘇る事がないのは、彼はよく知っている。
それでも、そんな事を考えたのはきっと、彼が一方通行を――
「土御門、どうかしましたか?」
呼びかける声に、土御門は意識を戻す。
しまったな、と彼は苦笑いを浮かべる。
(……仕事中に何やってんだオレは)
他の事に意識を集中させるなど、プロとしてあるまじき事だ。
こういった世界で生きる以上、覚悟を完全に決めている彼なのだが、やはりまだまだという事なのかもしれない。
「いんや、何も」
何でもないように返して、土御門は気を取り直して前を見る。
全ては、後回しだ。
「……クソッ」
とある民家のリビングにて、男――火野神作は苛立ちを感じながら、その辺にあった棚を蹴る。
ゴン、と衝撃音がして、棚の上にあった家族写真らしき物が落ちるが、彼は気にしない。
昨夜、必死の逃亡の末に見つけた無人の民家に無理矢理忍び込み隠れているのだが、いい加減限界を感じていた。
謎の少女に負わされた怪我についても、出血などは手当出来たが、骨折については別だ。
おまけにどこから嗅ぎ付けたのか、機動隊が辺りを包囲しているようだ。
このままでは、再逮捕は当然だろう。
「……ぐ、うぅぅう、え、エンジェル様」
折れた腕が痛むのを無視して、火野は折れてない片腕を凝視する。
ただし、実際に火野が見ているのは手首の先の指に握られたナイフだ。
先程から、火野の手中のそれはガリガリと、彼の意思とは無関係に同じ文字を何度も壁紙や床に刻んでいた。
Give up(諦めろ)、と。
「……う、エンジェル様ぁ、エン、ジェル……」
祈るように火野は手首を握りしめる。
まるでそれは、神託を待つ預言者のようであった。
しかし、祈りは届かない。
「ふざけるな……エンジェル様だろ、エンジェル様なんだろぉぉぉぉおっ!!」
狂ったように叫び、火野は近くのサイドテーブルにあったガラスの灰皿を手に取る。
折れた痛みなど、完全に忘れていた。
そうして、それを何度も何度も指に向かってたたき付ける。
ミシリ、ボキリ、ゴキン。
様々な破壊音が広い部屋に響く。
何度も何度も、火野は骨が砕けるまで灰皿を振りかざした。
「ハァー……ハァー……」
完全に使えなくなった指を尻目に、火野は息を深く吐いた。
力が抜け、その場に座り込む。
憑き物でも落ちたかのような表情で、彼は呆然と天井を仰いだ。
「…………エンジェル様」
掠れた声で名を呼ぶ。
しかし、何も起こらない。
何も――
「――やぁ、どうも」
いや、何かが起きた。
火野は前へと顔を動かす。
誰かが、そこにいた。
誰かは分からない。
逆光で、シルエットしか分からないのだ。
ただ、警官には見えなかった。
「エンジェル、様……?」
呆然と、呟く。
ひたすら執着していたそれの名を。
「いいえ」
影は短く答える。
「そんなもの、居ませんよ」
断言するように自らの信じる物を否定する声に、しかし火野は、壊れたようにただ小さな微笑を浮かべた。
神奈川県のとある浜辺――
「そら、よぉ!」
「ハッ、そンなアタック決まるかっつーのォ!」
「ぬおぉぉおお!?」
――この瞬間、最も熱い戦いがそこで繰り広げられていた。
観光客がさっぱりいない浜辺で、少年、上条当麻はうなだれていた。
空も海も清々しいほどに青く、足の裏の砂浜からはかなりの熱と、柔らかな感触を得ていた。
周りにいる人が、両親と居候、それに謎の妹キャラ(一応従姉妹)しかいない事を除けば、
誰でも暗い気分なんて宇宙の彼方にだって吹き飛ばせそうな状況だ。
しかしながら、上条はそんな気持ちにはなれなかった。
原因は単純明快だ。
ゆっくりと、彼はツンツン頭を上げた。
そこには、ニヤニヤと人の悪い笑顔を浮かべた親友(原因)が立っている。
両親が持ってきたらしい、ビーチバレーに使うボールを手に持って。
小一時間ほど前、せっかくだから一対一でビーチバレーのような事をしよう、という話になった。
結果については、言わずもがなだ。
いつぞやに不良と楽しく街中を駆け回った時よりも疲れたように、上条は口を開く。
「……なー、能力使いまくるのって卑怯じゃねぇか?」
「ほー。『お前貧弱だし能力使うぐらい上条さんは構いませんよ、はっはっはーのはー』……って言ったのはオマエだろ」
どうしてかは分からないが、神裂のように淡々とした調子で一方通行は返す。
あー、そんな事言ったけー、と上条は軽い気持ちで口にするんじゃなかったと後悔してみる。
一応、確認のために聞いておく。
「………………もしかしなくても『貧弱』って言ったの、結構怒ってる?」
「さ、俺のサーブからもう一戦やろォぜ」
「やっぱ怒ってんだろ!?」
思わず頭を抱える上条だったが、全て遅かった。
彼に足りないモノ、それは速さだったのかもしれない。
「お兄ちゃーん、がーんばっ、てーっ!!」
「とうま、根性なんだよ!」
少し離れた場所から、試合観戦者の声がする。
もういっそ、彼らに援軍を頼んで五対一にするぐらいしないと勝てない気がした。
「超能力ってすごいんだなぁ」
「本当。いい歳して私ったら、ワクワクしちゃったわ」
「何だ、母さん。まだまだ母さんは若いじゃないか」
「あらあら。刀夜さんったら、お世辞が上手なんだから」
「ええいそこ! 少しは年齢を考えろ、年齢を!」
いい年していちゃついている両親に呆れながら、上条はもう一度戦場へと向かう。
暑い中での白熱ビーチバレー、その結果はもちろん……。
「あー、もうダメだ」
おんぼろな個室シャワーから出てきた上条は、肩を落とした状態で夕暮れの空を仰ぎ見る。
結局、勝負には負けた。
一対一どころか、最終的には両親にインデックスや従姉妹を加えた五人がかりで挑んだ。
それなのに、負けた。
くっそー、と上条はちょっとした悔しさを胸に秘める。
「オイオイ、体力だけは一級品だろ?」
出てきた上条に気付いた親友が、浜辺から来る。
余程珍しいのか、彼は勝負が終わってからずっと海を眺めていたらしい。
能力のおかげで、汗一つ流していない。
「悪かったな体力馬鹿で。もう二度とお前とビーチバレーしねぇ」
適当に返しながら、上条は海の家へと歩く。
「……褒めてるつもりなンだがな」
何か呟きを残して、一方通行も後を付いてくる。
早く夕飯にしたいな、と湧いてきた食欲を感じながら、上条は海の家に入る。
中に入ってすぐにある食堂には、もう全員が――
「あれ、親父達は?」
と思っていたが、父親と母親がいなかったことに上条はすぐに気付く。
「あー、おじさんは何か電話に出てどっか行っちゃったよ」
おばさんは夕食作り手伝いに行っちゃった、とそばのテーブルにもたれている御坂もどきがけだるそうに答える。
彼女はあまり運動の出来るタイプじゃなかったようだ。
いや、単純に一方通行が強すぎただけかもしれないが。
同じく、インデックスという名の大男に至っては、疲労のためか別のテーブルに突っ伏して眠っている。
「えへへ……とーまぁ、あくせられーたー」
心地良さそうに出てくる寝言に、いつの間にか上条はちょっとだけ背筋を凍らせていた。
普段通りの少女だったら、まだ嬉しい。
が、今の彼女はとてつもなく低音な声色だ。
つまり、まぁ。
正直、嫌な絵面しか思い浮かばない訳だ。
例えば、砂浜で追いかけっこしあう野郎共とか。
……想像するんじゃなかった、と上条は少女達とは違うテーブルに座った一方通行を見る。
彼は寝言を特に気にしていないらしく、昼寝から目覚めたばかりの三毛猫を眠る主人の代わりに相手していた。
意外と学園都市最強はこういうペットの世話が得意だったりするのかもしれない。
楽しそうにしている猫を見ていると、そんな気がしてきた。
「……何かお前の方が飼い主っぽいな」
適当に思った事を言いながら、上条は隣に座る。
「……主人と遊び相手の区別がついてるだけだろ」
上条の方を見ずに、一方通行が猫を撫でながら答える。
……まんざらでもないくせに、と言いかけて止める。
何となく、面倒そうな予感がした。
ん、と上条は背伸びをする。
それから、今日の事を思う。
何だかんだ言って、事件の事を考えなければ、今回は良い外出だった。
これも、数少ない『思い出』の一つに加えていいぐらいには。
(……またいつか、今度は三人だけで外に出たいな)
染みだらけの天井を眺めながら、そんな事を上条は心に浮かべていた。
何も無い自分には、そうやって新しい『思い出』を作るしかないのだから。
そう、所詮は借り物の――
(……ちょっと暗かったな)
やめやめ、と少年は余計な想いを振り払う。
純粋に楽しんだ方が、何となく自分らしい。
それだけは、自信を持って言えた。
「ん?」
ふと、親友のケータイの着信音がするのが聞こえた。
音源を見れば、彼がケータイの画面を見て、無言で首を振っていた。
外に、という合図だ。
「出てくる」
短く言って、一方通行はまた砂浜の方に向かう。
「あ、俺も忘れ物してきたみたいだから、ちょっと」
適当な事を言って、はいはーい、という従姉妹の声を背に、上条も後を追う。
何故か分からないが、僅かに不安を感じながら。
『……よー』
「……土御門か」
海の家からだいぶ離れた波打ち際にて。
スピーカーフォンに切り替えたケータイからした、何時間ぶりかの友人の声に一方通行が答える。
土御門の声は、僅かに暗い。
『悪いニュースだ、火野は犯人じゃなかった』
単刀直入な報告に、上条が驚きを顔に表す。
一方通行はただ眉根を寄せた。
『振り出し、かもにゃー』
あくまで余裕を崩さない土御門の声に、一方通行も冷静に返す。
「何でそンな事が分かる?」
当然の疑問をぶつける。
火野は刀夜と違い、一番怪しい存在だったはずだ。
まさか、自分達と同じように『質問』程度で済ませた訳ではないだろう。
そして、そんな一方通行の疑問に、土御門はシンプルな結論を提示する。
『――火野が死んだ。なのに術が解除されてない』
「し、死んだ、って……」
思わぬ答えに、上条は完全に動揺していた。
聞いた一方通行も、静かに驚いていた。
あまりにも意外すぎたのだ。
土御門達はプロだ。
みすみす容疑者を死なせるような事はしないだろう――そう思っていたのだ。
『オレらじゃねーぜい?』
取り繕うように土御門が言う。
自分だって予想外だ、とでも言いたげに。
『ただ、カミやんの家の中に入ってすぐにな、死体があったんだ』
いわく、土御門達が三方向から上条の家に侵入しようとした時、玄関から入った土御門が見つけたらしい。
死体は魔術などではなく、刃物で何度も刺されていたらしい。
土御門は更に告げる。
『こうなっちまうと、上条刀夜が怪しくなる訳さ』
それは……そうだろう。
一方通行はすぐに納得した。
火野は、上条の家で死体となっていたのだ。
偶然というよりは誰かが彼を誘導した、と考えた方が理に合っている。
例えば、主犯が協力者の口封じを狙ったとか。
(……ッ、アホか俺は)
自然と浮かんだ仮説を、一方通行は消し去る。
冗談じゃない。
あの人は、あの人はそんな人間ではない。
「でも、父さんは魔術なんて……!」
ちょうど同じような事を考えていたのか、上条が必死な顔で土御門の言葉を否定をしようとする。
そんな上条に、土御門は淡々と返す。
『それは分かってる。上条刀夜の経歴を調べられるだけ調べたが、全く怪しい所が無かったからな』
「ならやっぱり……」
『ただし』
勢い込んで言葉を出そうとする上条を土御門は途中で遮る。
彼なりに上条を落ち着かせようとしているように聞こえた。
『やはり、可能性は追うべきだ』
諭すような声に、上条は俯くと、
「……どうするんだ? もしも拷問なんてするつもりなら」
『それは大丈夫です』
言い切る前に、神裂の声がする。
穏やかな声色だった。
これまで聞いてきた中では一番自然な調子で、慈愛に満ちていた。
刀夜を強く心配する上条を、少しでも安心させようとしているのかもしれない。
そうしてそれに繋げるように、土御門は言った。
『なーに、本人の記憶を見るだけさ』
以上で打ち止め。
余裕も出来たので、これからはペースを上げようかと思います。
来れなかった分、二、三スレ埋まるぐらい書き溜めたかったな……。
とにかく、また会いましょう。
PS、最近になって腹パンの意味を知りました。
乙
溜まってるぜェ腹ぱンがよォ
( ´・ω)
γ/ γ⌒ヽ (´;ω;`)>>1 ウッ…
/ | 、 イ(⌒ ⌒ヽ
.l | l } )ヽ 、_、_, \ \
{ | l、 ´⌒ヽ-'巛( / /
.\ | T ''' ――‐‐'^ (、_ノ
| | / // /
きてたあああああああああああああ!
リアルタイム乙!
正直、ここまでのあらすじが欲しいぐらいだが、来てくれてありがとう。
うわあぁぁぁ乙!!!
大分原作と展開が違って先が読めないわー
乙!
ずっと待ってました!
スレタイがパイレーツーワールドを思い出させておセンチ気分に
今からよむわ
夢じゃ……ない!!
乙!!
おかえり!!
乙!
よっしゃああ!
ずっと待ってた乙
とりあえず腹パンしとくか
縺・s
お帰りの腹パン!
どうも、また続きを投げていくます。
「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」
民宿『わだつみ』の一階。
そこの食堂で、一方通行達は夕食を食べ終えていた。
ちなみに魔術師達はいない。
彼らとは、『準備が終わるまでは自由にしてろ』と言われ、一度別れた。
「とうまー、トランプやろ、トランプ」
食器を下げたインデックスが上条に微笑む。
「あー、いや、俺先に風呂入ってくるから」
悪いな、と上条はいつものように笑う。
いい加減、変化には慣れたらしい。
「……そう」
少しだけ残念そうにしていたが、インデックスは引き下がった。
仕方ない、と一応納得はしたのだろう。
「おにーちゃんは放っといて、私とやろっか?」
「うん、リベンジするかも!」
そうして、代わりに上条の従姉妹と遊ぶことにしたようだ。
二人はさっさと二階に消えてしまった。
「……ちゃンと埋め合わせしてやれよ」
「分かってるよ」
そのまま浴場へと向かう上条に、一応忠告しておく。
まぁ、彼には余裕がないのだからそう強くは言わないが。
(……どォするか)
上条もインデックス達も去り、この場には誰もいない。
刀夜については、話があると言って詩菜を連れていってしまった。
もしかしなくても、火野の件が警察から刀夜に知らされたのだろう。
夕方の電話はおそらくそういう事だ。
そちらについては、一方通行には関係ない事だが。
とにかく、どうしようか。
まだ風呂という気分でもなかった。
(……ちょっと外に行くか)
考えた末、自分は自分で持て余した時間を外で潰すことにした。
結局、一方通行はまた砂浜に出た。
たいした理由はない。
単に近くにある見応えのあるモノが海ぐらいだったからだ。
海の家の入口前から見える濃紺の水溜まりは、実に広々として、月光に照らされていた。
とりあえず、波打ち際まで歩くことにした。
ザザーン……ザザーン……。
波が砂浜を滑る音は、心地良い。
そんな事をぼんやりと思いながら歩みを進める。
(おじさンが、もしも、犯人だったら)
どんどん近くなっていく青を眺めながら、一方通行は刀夜の事を考えていた。
ありえない、と否定していたが、そもそも『ありえない』という事がありえないのだ。
オカルトな魔術しかり、超能力しかり。
だから、考える。
考えたくない未来を。
(……アイツは、どォすンだろォな)
刀夜の息子である親友は、そうなったらどうするんだろうか。
深くそれを思考しようとしたが、すぐさま止めた。
(いや、決まってるな)
結論は出すまでもない。
刀夜を止めようとするに違いない。
そんな事、分かりきっていた。
(……なら、俺は)
一方通行は自分の両手を見る。
人を殺し、後に生かすために使おうとしてきた能力の宿る手を。
決意と共にそれらを強く握る。
戦おう。
上条のためにも、刀夜のためにも。
そんな事はない、とも思いながら。
そうしているうちに、目的地まで着いた。
「……オマエは確か」
「解一。ミーシャ=クロイツェフ」
そこには、この穏やかな景色には合わない鮮やかな赤の先客がいた。
下手すればインデックスくらいに見える少女はそれだけ答えると、視線を前に戻す。
それはあまりにも機械的な動きだった。
プロというのは皆こんなものなのだろうか、と一方通行は神裂の事を思い浮かべた。
「何してンだ?」
とりあえず気になった事を聞いてみる。
ちょっとでも話題の種が作れれば良い、という考えの下の行動だ。
「解二。辺りを警戒している」
短い答えが返ってくる。
今度はこちらを見もしなかった。
警戒しているのだから当然といえば当然だが。
「……そォか」
どうにも仕事の邪魔のようだし、これ以上は何も言わないことにした
ただ並んで、暗い海を眺める。
昼の時に感じた明るい印象は、今は微塵もない。
しかし、だからといってその暗さに一方通行は嫌な感情を抱かなかった。
暗い雰囲気は逆に気持ちを落ち着かせて、彼に安心感を与えてくれた。
……『本物』の海というのは、実に素晴らしい。
そんな当たり前の感動が、一方通行の心を満たす気がした。
そうしているうちに、彼は違和感を抱いた。
ふと、視線が自分に注がれていることに気付く。
「……何だ?」
視線の先にいるのは、赤い魔術師。
じっと、彼女はただ一方通行を見つめている。
「問一、貴方は人間か?」
いきなりの質問に、顔には出さないが内心面食らった。
それからすぐに納得した。
自分の見た目は『普通』とは違うという事に。
しかし彼はそれを一蹴するように不敵な笑みを浮かべた。
「……見ての通り、ちっとばかし強ェだけの人間だよ」
その顔には自信が表れていて、学園都市最強の『怪物』には全く見えないほどに『平凡』だった。
ミーシャは無言でそんな彼を数秒ほど見つめて、
「解三、なかなかの依代になりそうだ」
小さく笑みを浮かべた。
それは、無表情でしかいなかった魔術師の、初めて見た年相応のモノだった。
「依代?」
聞き返す一方通行だったが、その前に彼女は歩き始めてしまった。
「オイ、どこ行く」
「解四、歩哨」
僅かな単語で返して、少女はその場から消えた。
すぐに何事もなかったかのように辺りが静まる。
「……何なンだよ」
それだけ呟いて、一方通行は海をもう一度視界に納める。
まぁいい。
今はもっと別の事だ。
改めて決意を胸に、一方通行は海に背を向ける。
そして、迷いない足取りで戻っていった。
『わだつみ』の二階、上条の部屋。
一方通行達は集まっていた。
時間は深夜一時になったところだ。
明かりを消し、月のみを光源としている部屋は、どこか神秘的な雰囲気だ。
月明かりの差し込む窓側に、土御門が水の張った桶を、ちょうどその光が当たるように置く。
桶の裏には、何か書いてある符が張り付いていた。
「人の意識に干渉する魔術はどこの国にもある」
説明しながら、土御門は準備を済ませようとしている。
「そうだな、ステイルの使った『人払い』なんかはまさにその典型だと思うんだが」
言われて、この場にはいないルーンの魔術師を思い出す。
確かに彼は大勢の人間を辺りから追い出す魔術を使っていたし、インデックスは魔術で記憶を何度か失っている。
だが、
「それがどォした」
知っている事を説明されても、困るだけだ。
土御門は何が言いたいのだろうか。
そんな一方通行の考えが分かってか、土御門は苦笑いをした。
「まぁ急かすなよ。とにかく、人の意識や記憶は魔術的な干渉が案外簡単に出来るって話なんだが」
言いながら、今度は何やら白い粉を桶に振り撒く。
「こいつは、夢みたいな記憶の整理時にも言えるのさ」
一説には、夢とは脳が睡眠中に様々な記憶を整理している時に起こるモノであり、それ故に突拍子もない内容を見る。
記憶を整理する脳の『意識』。
だから魔術による干渉は可能なんだぜい、と土御門は説明してくれた。
「今からするのは、特定の人が見る夢を水面に映像化する術です」
桶の裏の符と対象の枕の中に仕込んでおいた符が水面と刀夜の掛橋になって、映像化してくれる。
神裂はそう説明すると、両手で桶の縁を掴んだ。
「水面に対象の夢を映して、こちら側が相手の記憶から適当にワード検索して引っ掛かった記憶を夢に見させるって寸法だ」
まぁ言うなればネットの検索エンジンだな、と土御門は付け加えた。
なるほど、と一方通行は『御使堕し』というワードでネット検索するような絵を想像する。
科学と魔術、どちらにも関わる土御門の例えは中々に分かりやすい。
ついでに、だからこんな真夜中を選んだのか、とも納得した。
「……そんなの上手くいくのか?」
先程からずっと黙っていた上条が口を開く。
その声は迷いはあったが、芯のあるモノだった。
「上手くいかなきゃ刀夜の無実は確定するぜい」
それだけ言って口角を上げて、土御門は神裂を見た。
視線を受けて、彼女は頷く。
「……では、始めましょう」
神裂の言葉と同時、水面が月光を受けて揺れる。
闇と小さな光のみを写していたそこに、ゆっくりと何かが写ろうとして――
「……ふむ」
「……出て、こないな」
数秒、数分と待っても、何も起こらない。
ただ、真っ白な光が水面を照らすだけである。
「うーむ。まぁそうなるか」
まぁ分かってたけどにゃー、と土御門が目を桶から離す。
元々そう期待していた訳でもないらしい。
特に気にした様子もなかった。
しかし、
「……あれ?」
上条が声を上げる。
それにつられて、一方通行も桶を見た。
(……水の色が)
突如として、水が多彩な色を浮かべ始めた。
それはまるで感光し始めた写真のようだ。
ゆっくりと色が変わり、水鏡が揺れる。
そして。
『そら、行くぞ当麻ー!』
どこかの、滑り台やブランコなどのありふれた遊具が設置された、ありふれた公園。
よっ、と掛け声を出して男が小さなボールを投げた。
綺麗な放物線を描き、ボールは男の正面に立っている小さな子供の頭の辺りに落ちていく。
子供はそれを受け取ろうとしたが、手が間に合わず、見事に顔面に当たった。
『わっ、あ、わわっ!?』
『あらあら大丈夫かしら当麻さん?』
『あぁ、すまない当麻! 大丈夫か?』
慌てた様子で、父親らしき男はツンツン頭の子供に近寄る。
一方、鼻の辺りを撫でながら子供はニコリと快活に笑う。
『うんっ!』
どこにでもある、ありふれた『幸せ』に生きる、ありふれた家族がそこにいた。
『そら、行くぞ当麻ー!』
どこかの、滑り台やブランコなどのありふれた遊具が設置された、ありふれた公園。
よっ、と掛け声を出して男が小さなボールを投げた。
綺麗な放物線を描き、ボールは男の正面に立っている小さな子供の頭の辺りに落ちていく。
子供はそれを受け取ろうとしたが、手が間に合わず、見事に顔面に当たった。
『わっ、あ、わわっ!?』
『あらあら大丈夫かしら当麻ちゃん?』
『あぁ、すまない当麻! 大丈夫か?』
慌てた様子で、父親らしき男はツンツン頭の子供に近寄る。
一方、鼻の辺りを撫でながら子供はニコリと快活に笑う。
『うんっ!』
どこにでもある、ありふれた『幸せ』に生きる、ありふれた家族がそこにいた。
「……あ」
上条が目を丸くしていた。
あれは、どうみても。
「……カミやんにもあんな時代があったんだにゃー」
どうして今はこんな風に、とどこから出したのか分からないハンカチで土御門が目元を拭っている。
古風すぎンだろ、と言いたいのを一方通行は抑えた。
「……うるせい」
照れたような顔で、上条は土御門を睨む。
「土御門、少しは真面目にしなさい」
呆れたように神裂が告げる。
そうしているうちに、水面がまた揺れた。
『……』
厳しい顔で、男はアスファルトの道の上、自分の家の前に立っていた。
周りには似たような家が何軒もあった。
そんな中、男は『それ』を見ていた。
そこへ、家の玄関から出てきた妻である女性が近付く。
いつまでも家に入らない夫が気になったのだろう。
『刀夜さん、どうかし……ッ』
じっと壁を見つめている夫を不思議に思ったらしい彼女は、その先にあるモノを見て、全てを理解した。
男は彼女の方を向かずに告げた。
『……母さん、水とモップを取ってきてくれないかな』
『……はい』
夫の頼みに、パタパタと急いだように妻は家の中に消えた。
それを見送って、男は深くため息を出した。
『……どうして』
それから消え入りそうな声で呟く。
『どうして、こうなるんだろうなぁ』
男は改めて、正面を注視する。
そこには、無茶苦茶に落書きされた家の壁があった。
ある幼稚園に、父親は来ていた。
もちろん、目的は息子のお迎えである。
小さな門をくぐり、中に入る。
周りには自分と同じ目的の人々がいて、皆彼を見ては何事かを語り合っていた。
それを無視して、父親は進む。
駆け寄ってきた園の先生に挨拶し、息子の居場所を確認してから、また歩きだす。
『とーさんがいってた! あいつのせいでうちのくいぶちーがへったんだって!』
『うちもうちもー!』
道中で聞こえてくる純粋な悪意のある声に、父親に出来るのは聞こえないふりぐらいだった。
たいした距離ではない道を数時間歩いたような気持ちで、彼は呼びかける。
『……帰ろう、当麻』
声をかけると、砂場に一人いた子供は俯き加減に立ち上がって近寄る。
『……うん』
園の先生達への挨拶もそこそこに、二人は手を繋いで歩き出す。
逃げるように、素早く。
『それでね、そのこねこさんがこーんなにおっきなきでふるえててね、いそいでおれがたすけにいったの』
手を広げながらジェスチャーして、頑張って状況を説明しようとする子供に父親は微笑む。
『そうか、子猫さんは助けられたか?』
『うん! もーのぼっちゃだめだよってちゅーいした!』
びしっ! と子供は人差し指を前に向けた。
それがまた何だかおかしくて、父親は笑みを崩さなかった。
『そうか、偉いぞ』
わしわし、と頭を撫でてやる。
それだけで、子供は嬉しそうにした。
本当に、輝かしい笑顔だった。
が、すぐに彼は暗い色を表情に出した。
『でも、ね』
『うん?』
『ほかのこにすごくおこられちゃった』
しんみりした調子の言葉に、少しだけ息が詰まった。
『……なんて?』
とりあえず、聞き返す。
子供は黙ってしまった。
言いにくそうに、口だけを小さく動かす。
どうしたんだ? と父親が声をかけると、やがて、躊躇いがちに音が出た。
『……おまえがたすけたらこねこさんがふこーになるだろ、って』
『ッ!!』
息を、呑んだ。
信じられないほど残酷な言葉に。
そこに込められた感情に。
父親は、何も言えなかった。
『…………とーさん、おれってうまれちゃいけないこだったのかな』
やめろ、と父親は思わず声を上げたくなった。
しかし、子供は続ける。
『たーくんのおとーさんとおかーさんがりこんをしたのも、
ありさちゃんのおとーさんのおしごとがなくなっちゃったのも、
せんせいのおとーさんとおかーさんがいっしょにしんじゃったのも』
一言一言が父親の心を傷付けるのに気付かずに、子供はさらに告げる。
『おれの、せいなのかな?』
その顔には、年頃の子供には似合わない、深い心労が表れている。
『おれが、みんなにあっちゃったからなのかな?』
子供がまだ話そうとしているのが分かり、父親は言葉を出そうとする。
いけない、その先を言ってはいけない。
……言わないでくれ!
『おれが……やくびょーがみだから、とーさんやかーさんがときどきさみしそうにするのかな?』
なんという寸止め
いったんおつ
幼い子供にこんなこと言わしちゃうんだもんな。なにかに縋りたくなる刀夜さんの気持ちもよくわかる
うるっときた
こんなスピードで投下して大丈夫なのか
言い終えると同時、父親は何も言わずにしゃがんで子供を抱きしめた。
突然の事に子供は驚いたようだが、関係ない。
『そんな、そんな事!!』
父親は叫ぶ。
全てを振り払うように、願いを込めて。
自然と力が入る。
子供は少し苦しそうにしていたが、彼は気付いていない。
頭の中には、ただ子供を取り巻く世界の事しかなかった。
『――ある、もんか……ッ!!』
何故だ、何故この子がこんな事を考えなければならないのだ。
優しく育ったこの子が、何故そんな『不幸』とかいう訳の分からないモノに苦しまないとならないのか。
しばらくして父親は立ち上がり、子供の頭を撫でた。
無言のまま、ひたすら手を動かす。
子供はずっと俯いている。
父親は自らの無力さを呪い、世界を呪った。
そしてその呪いは急速に戻り、彼らに牙を剥く。
『……がっ!』
いきなり頭に鋭い痛みが走る。
キン、と金属音がしたのを知覚したのは、痛みの後だった。
『え?』
崩れ落ち始めた父親を、子供は呆然と見ていた。
『ハァ……ハァ……』
倒れかけた父親が横目で確認出来たのは、息を荒くした、恐ろしい形相の男。
その手には、出刃包丁が一本。
そして足元には、自分の頭を直撃したのであろう折れ曲がった鉄パイプ。
そこまで確認して、父親は地面に伏せた。
『ひっ、あっ……』
何が起きたのか理解したのか、子供はたじろぎながらも、その場を離れない。
恐怖のためか、それとも父親を置いていけなかったのか。
父親は叫ぼうとした。
逃げろ、逃げろ、逃げろ。
しかし、殴られた部分が激しく痛み、言葉が出ない。
『う、おぉぉぉぉっ!!』
まず聞こえたのは、不安定な一つの叫び。
誰かがコンクリートの上を走る足音。
次に聞こえたのは――
『わ、ああぁぁぁあああ!?』
高く耳をつんざくような、独特な子供の悲鳴。
『…………ッ!』
後頭部を襲う痛みを味わいながらも、父親は顔を上げる。
その、目の前には。
『当……麻……?』
瞬間、もはや痛みなどどうでもよくなった。
必死に駆け寄り、仰向けに倒れたそれに縋り付く。
青ざめた顔で、子供は震えていた。
その下腹部からは鮮やかな赤が服に染みはじめていて、酷く汚れていく。
慌てて父親はその辺りを止血しようと抑える。
しかしそうしたところで、出血は止まらない。
何も、戻りはしない。
『――当麻ァァァァああっ!!』
悲しみのこもった叫び声、それだけが響いた。
『上条さん、いるんでしょう!』
『息子さんを助けたくないんですか!』
『うちの息子は君達の商売道具なんかじゃない! 帰ってくれ!』
玄関を取り囲む無数のカメラと人に、外へ出てから男はひたすら大声を上げる。
それから、家の中に引っ込み鍵をかけた。
そこでようやく一息ついたように、男はドアに背を預けて座り込んだ。
通り魔的に刺された『不幸』な息子をネタにしようと、連日マスコミが家を訪れるようになったのだ。
息子の怪我はもう治ったが、おかげでこちらの精神は擦り減るばかりである。
数秒してから、男はまた立ち上がる。
休んでいる時間はない。
さっさとリビングに戻った。
『刀夜さん……』
入るとすぐに、近くの食卓にある椅子に座っていた妻がこちらへ向いた。
その顔は、心労に憔悴しきっていた。
『当麻は?』
質問に、彼女はふるふると首を振る。
『寝かせて、きました』
『そうか』
それだけ言うと、男は隣の椅子に座った。
妻は、焦点の合わない、隈だらけの目元を悲しみで滲ませている。
『……あの子、ずっと「ごめんなさい」って、私に謝ったんです』
しばらくの沈黙の後、彼女はゆっくりと喋る。
思い出すように、もう一度それを心に刻むように。
『……そうか』
男は相槌を打つ。
彼には、それしか出来ない。
『謝るのは、私達なのに。ずっとずっとひたすら』
『もういい』
思わず、ヒステリックな声を上げてしまう。
それほどまでに、男は疲れていた。
しかし、彼は弱音を吐かない。
吐く訳には、いかなかった。
『母さんも疲れただろう。ゆっくり……は出来ないかもしれないが、休むと良い』
こくり、と妻は頷くと二階へとふらついた足取りで向かっていく。
その場にただ一人残された男は、ソファに座り込むと何度目か分からないため息を吐いた。
何故だ、何故こんな事に――
『いやっ、撮らないで!』
しかし、考える暇もなく、事態は進行する。
疲労困憊の体に鞭をうち、男は全力で階段を駆け上がる。
廊下を走り、一気に音のした部屋――息子の寝室のドアを押し開けた。
『くっ、何をしている!』
目の前には、窓から部屋の中を撮影するテレビカメラとマイクを持った人間。
必死に布団を被せて息子の姿を映すまいとする、妻の姿だった。
相手は二階へと無理矢理梯子か何かで登ったらしい。
……油断していた。
『テレビの前の皆さん、ご覧ください! あれが噂の呪われた少年です! 江原さん、いかがでしょうか?』
カメラはひたすら、震えている布団の中身に向かっていた。
瞬間、男は怒りに心を支配された。
『――いい加減にしろ! 警察を呼ぶぞ!!』
叫びを上げると、カメラはあっさり引っ込んだ。
警察、という言葉が男の使える唯一の手段だった。
あっさりと静寂の戻った部屋には、荒い息を整える男の呼吸音、そして妻の泣き声だけが残った。
布団から、窺うように子供が現れた。
彼の目は赤く腫れていたが、涙はなかった。
もう、そんなモノは出尽くしていた。
『……ごめん、なさい』
一言、搾り出すように彼は謝った。
その行動に意味がないのは、知っているはずだ。
だが、彼にはこれしか出来なかった。
男は苦しかった。
悔しかった。
何も出来ない事が、息子を苦しませた事が。
そんな、締め付けられるような痛みに、刀夜は。
『……とにかく、寝なさい。ほら、母さんも』
促すと、涙を拭った妻は息子と同じベッドに入る。
当分は、息子を一人で寝させないように決めていた。
すぐに二人は目を閉じた。
疲労が溜まっていたのだろう、二人はあっさりと眠った。
完全な睡眠を確認して、男は部屋を出た。
それから、しゃがみ込む。
下まで戻る元気はなかった。
明かりを消した天井を見上げる。
『――本当に、どうすれば良いんだ』
誰もその疑問には答えない。
ただのひとりごとは、虚しく空気に溶けた。
「……もう、良いだろ」
光が消えて暗くなった桶を見つめて、上条が疲れたように呟く。
「……すみません」
神裂が、一言謝る。
その一言だけが、余計に彼女の謝罪の意思を感じさせた。
土御門は無言で桶から目を離した。
上条が首を横に振る。
「良いから、もう止めようぜ。俺だって、こんなの覚えてなかったし」
それは、事実。
彼には、こんな『他人』の記憶などない。
きっと、見せられたところで無意味なモノに違いない。
それよりは、いつまでも刀夜に辛い夢を味あわせない方が良いということなのだろう。
自分もそうしたい、と思いながら、一方通行は確認のためにもう一度桶を見る。
水鏡には何も映って――
「……!」
そこで、一方通行は気付く。
まだ、映像が終わっていないことに。
そして、それが新たな事実を示すことに。
「? どうした、一方通行」
そんな彼の様子にただならぬモノを感じたのか、土御門が尋ねてくる。
「……見ろ」
答える代わりに首を動かし、全員の視線を水面に促す。
途端、水は揺れ、色を増して光る。
『やぁ、あなたが上条刀夜さん?』
妻に頼まれた夕飯の材料の買い出しの帰り道、上条刀夜は突然掛けられた声に振り向く。
そこには、この暑い真夏に白いコートを羽織った若い白人男性が立っていた。
ニコリ、と柔和な笑顔の男の短く刈りたてた金の髪が、夕日を受けて光っている。
『どなたですか?』
奇怪な光景に警戒しながらも、刀夜は素直な応対をする。
彼は仕事のために海外出張をしている。
もしかしたら、取引先の人間の一人が偶然旅行に来ていて、出会ったから話しかけたという事も考えられた。
しかし、その予想を裏切る答えが返ってくる。
『あなたの願いを叶える者ですよ』
『……?』
訳の分からない返事に、刀夜は首を傾げる。
とりあえず、刀夜には男の顔に覚えはない。
人違いでは? と返すほかない。
そうしようと彼は口を開きかけ――
『おや、お忘れですか? ほら、例の息子さんですよ』
さっ、と閉口した。
『……生憎だが、息子は君達の商売道具ではない』
淡々と告げて、刀夜は振り向く。
あれから数年経って、もう息子の事は忘れられていたと思っていた刀夜だが、そんな事はなかったらしい。
冗談じゃない、と思う。
ただでさえ、最近事故で息子は入院したというのに。
『あぁ、私はテレビ屋さんじゃありませんよ』
慌てる様子もない呼び止める声に、刀夜は振り返らない。
『じゃあ、何ですか』
さようなら、と最後に苛立ちを込めた一言を残して、彼はその場を離れようとした。
だが、
『――しがない、魔術師です』
『なっ――』
驚愕に、刀夜は立ち止まる。
目の前に、後ろにいたはずの男が立っていた。
混乱する彼に、変わらずニコリと男は笑った。
その笑顔には、恐ろしいほどの善意が満ちていて。
青い目が、全てを見透かすように刀夜を捉えていた。
「………………………………え」
突然すぎる展開に、上条は間抜けに口を開けている。
思考と感情が追い付かないようだ。
一方通行も、同じように動揺していた。
魔術師二人は、油断なく目を水鏡に集中させている。
そして、その視線に応えるように。
真相は明かされる。
八月二十七日。
とある廃屋の和室に、刀夜は一人で来ていた。
そこにはすでに待ち人がいた。
最近出会った、『魔術師』だ。
彼は刀夜を見て、その手荷物を眺めてから、置くように促す。
『これで、全部です』
ガサリ、と音を立てて刀夜は両手に抱えたビニール袋を指示されたように畳に置く。
袋の口からは、金メッキの亀の置物やデフォルメされた虎などの、いわば『オカルト』なおみやげが覗いていた。
それらを確認し、白人の男は微笑む。
『よろしい、では並べましょうか』
この通りに、と男は何かメモを刀夜に手渡す。
彼はそれを受け取ると、おみやげと交互に見比べながら、その一つ一つを一メートル四方の正方形の紙の上に載せる。
正方形の紙は何枚も部屋中に敷かれており、それら全てに似たような魔法陣が描かれている。
『本当に、息子は救われるんですよね』
淡々とした作業をこなしながら、刀夜は『約束』を再確認する。
魔術師は彼の目を見て、またニコリと笑った。
『何を今更。あとはあなたが息子さんに会えば、全て完璧ですよ』
自信に溢れて落ち着いた声に、刀夜は安心させられるような気がした。
『そう、ですか』
ほう、と息を吐いて背を伸ばす。
まるで重い荷が取れたような、安堵した表情をしていた。
魔術師は頷き返すと、
『ええ、ではまたその時に』
空気に溶けるように、その場を瞬時に立ち去っていった。
それを見送り、刀夜も出ていく。
誰も答えなかった疑問が解決されたような、晴れやかな気持ちで。
映像が完全に消えて、水鏡が月光のみを反射する。
誰も、動かない。
沈黙してしまった。
「なるほど、分かってみれば単純な事だったな」
やれやれ、と土御門は静寂を破ると立ち上がった。
「どう、なって……」
座布団の上に座る上条が、呆然と呟く。
流れた絵は彼にとってショックが大きいらしく、理解が追い付かないようだ。
……いや、そんなのは当然だろう。
いきなりこんな事実を、安心しきっていたところにぶつけられたのだ。
覚悟していたとはいえ、辛いモノは辛い。
そんな彼に、土御門は淡々と事実を理解出来るように突き付ける。
「どうもこうも。上条刀夜はクロって話だ」
たった、それだけ。
簡単すぎる真実。
一方通行はそれをあっさり認めている自分に気付き、苛立ちを覚えた。
自然と拳に力が入る。
「そん、なの……」
顔を上げて、土御門の言葉に上条は噛み付こうとして、止めた。
否定する材料が、彼には無かった。
何も言えない上条に、土御門はもう一度告げる。
「どう見たって確定的だ」
それで終わりと言いたげな言葉に、何も上条は返さずに顔を下げた。
「一体どうして魔術師は刀夜氏を使ったのでしょうか」
そんな彼を見ずに、神裂は次の疑問を出す。
ただの素人の刀夜に何故魔術師は近付き、魔術(おそらくは例の御使堕しだ)を手伝わせたのか。
刀夜の方に何か理由があるのは、先程の会話から予想はつくが。
「さぁ? その辺は本人に聞きに行くしかないな。……ま、大方は見えるが」
それだけ答えると、土御門は黙った。
次の行動を考えているようだ。
神裂は神裂で、術の後片付けを始めている。
一度、一方通行は大きな息を吐いた。
何だか、どっと疲れた気がした。
「……動けるか」
そっと、下を向いた彼の隣に座り込む。
彼は動かないで、俯く。
「……悪い」
親友はそれだけ言って、口を閉じてしまった。
放っておいてくれ、と暗に言っている訳である。
「……あァ」
一方通行も短く返すと、立って窓の方に座った。
真っ暗な外を観察しながら、彼は何もしない。
いや、何も出来なかった。
ただ、波の音を聞いて、月を見ていた。
そして、ある変化に気付く。
「あれは……」
波を眺めているその視界の先に、誰かがいた。
誰なのか分からない事はなかった。
だって、さっき散々見た姿だったのだから。
「こんな時間にどこに行くのやら。深夜の散歩だとしたら、刀夜は随分とロマンチストだな」
一方通行の声に反応して後ろから来た、土御門が言う。
一気にカタが付くな、と彼は笑う。
こんな事はさっさと終わらせるに限る、とでも言いたいように。
「追いますか?」
後片付けの終わった神裂が、刀を手に立ち上がる。
「もちろん」
土御門と神裂は下に降りようと窓に乗り出す。
そして一息に跳ぼうと、
「――待てよ」
背後からの声に、二人が止まる。
一方通行は振り返った。
その先には、躊躇いがちに佇む親友がいる。
彼はゆっくりと深呼吸すると、迷いのない表情を見せた。
「……俺も、連れてけ」
決意に満ちた言葉だった。
彼が何を考えているのか、すぐに分かる。
それぐらい真っ直ぐな言葉だった。
「……好きにするといいぜよ」
ニヤリ、と挑発するように土御門が笑う。
一方通行には、彼がその言葉を待っていたようにも見えた。
「土御門、何を言っているのですか」
神裂が諌めるように仲間に噛み付く。
土御門はそれを流すように笑う。
「別に。ま、付いてきたい理由も分かるしにゃー」
それだけ言うと、こちらから話す事はない、と彼はそっぽを向いた。
「しかし……!」
神裂は引き下がろうとはしない。
彼女からすれば、上条は守るべき一般人である。
また、彼は犯人の身内だ。
これからの展開は、彼の精神には辛いモノになるだろう。
神裂がそういう気遣いをするタイプだというのは一方通行にも分かるし、上条にも分かっているはずだ。
だから、彼がすべき事は。
「頼む、神裂!」
言葉と共に、上条は手と頭を地に着ける。
所謂、土下座だった。
驚く神裂が彼を止めようとする前に、大声で上条は意思を表明する。
「見届けたいし、知りたいんだよ。親父が何を思ってこんな事したのか」
素直な想いを、彼はひたすらに出す。
自らの覚悟を、優しい魔術師に直接伝えようとしていた。
「――止めたいんだ。それは、俺がやらなくちゃならない事だから」
顔を上げて、彼は真剣な瞳で神裂を射抜く。
彼女もまた、上条を射抜く。
ふるいにかけるような眼光に、しかし上条は目を逸らさない。
それは、長い間続いたように感じられた。
そして、
「……分かりました。ですが、無茶はしないでください」
神裂は、上条の覚悟を認めた。
ありがとう、と彼は感謝の意を伝えて立ち上がる。
そうしてから、上条は一方通行を見た。
一方通行もまた上条を見返す。
それから、小さく笑う。
上条の言いたい事は、一方通行にとって言う必要もない事だった。
「俺も行く。最後まで手伝うと決めちまったからな」
彼の助けになる、それが一方通行の決意だ。
「……」
神裂は何も言わずに、窓から降りた。
一方通行の実力を知っているから止めなかったのか、それとも。
「好きにしろ、だとさ」
土御門が大きな両手を広げて、何故か意地悪な笑みを浮かべた。
「ねーちんはあーいうヤツだからなぁ」
それだけ言うと、土御門もまた、窓から消えた。
残された上条と一方通行は、お互いを確認する。
するべき事、出来る事はとうに分かっている。
「……行こう」
「……あァ」
短い応答をして、上条は部屋を扉から出て、一方通行は窓から跳ぶ。
全ては、終局に近付いていた。
あはは、>>1がまた遅くなってから帰ってくると思った?
これまで絶望的に遅かったもんね。でも大丈夫! 最後には希望が勝つんだからさ!
……まぁ何が言いたいのかっていうと、これぐらいのペースで復活するんですって話です。
それと一つ言い忘れてましたけど、一話限定の使い捨てオリキャラみたいのは結構この先出ます。
苦手な人はごめんなさい。自分の力じゃ既存キャラのみとか書けそうになくて。
長くなりましたが、それでは。
乙!
待ってた甲斐があった
乙
復帰おめ!
再開されてうれしいな。
楽しみにしてるよ。
乙
個人的な感想だけど、オリキャラには固有名つけないで今回でた『金髪の男』みたいな表記の方が読みやすいかも
復ッ活ッ!腹パンの人復活ッッ!腹パンの人復活ッッ!腹パンの人復活ッッ!腹パン(ry
1の書く上条と一方さんはカッコよくて好きだったからまた再開してくれて嬉しいぜ。」
クソったれがァァァァァァァァ!!
長期バイトで確認を怠ってる間に更新されてンじゃねェかよォ!
とりあえずこれだけは言っておくぜ
>>1乙ゥゥゥゥゥ!!
おかえり腹パンッ!!!!
どうも、ちょっと遅れました。
今から始めようと思います。
民宿『わだつみ』から遠く離れた海岸を、上条刀夜は急ぐように歩いていた。
その顔にはあからさまな疲れが出ていた。
その疲れには二つの原因がある。
夕方、突如警察から刀夜の携帯電話に連絡があった。
何でも、刑務所からの脱走犯が刀夜の自宅に逃げ込んだ末に死んだ、とのことだった。
その死体の調査をするついでに、掃除をこちらでしておくので、安心してほしいとも言っていたが。
そちらの事は正直驚いた話であって、刀夜にとっては他人事のような感覚ではあった。
突拍子もない事態に動揺した分、彼は早くに眠った。
その先、つまりは夢の世界で更なる疲労の原因に出くわした。
――家族の夢だった。
初めは、単に幸せなだけの、面白みのない普通の夢だった。
それが、次第に崩れていく。
血に染まる息子の身体。
日に日に弱っていく妻。
その中で、何も出来ずに過ごした自分。
勝手な判断で、一人違う場所に息子を『隔離』した事。
ひたすら、不快なだけの過去(思い出)を刀夜に思い出させた。
そして、最後に見たのは。
「おや、上条さん。いかがしました?」
自分に気付いた人間の声に、刀夜は目線を上げる。
その先には、暑い夏の夜には合わない白いコートで全身を包む『魔術師』がいた。
夢から覚めた刀夜は、まず民宿を出てから男を探していた。
当分はこの近くにいる、とだけ聞かされていたので、少しばかり手間が掛かったが。
「……」
男の質問には答えず、刀夜は男の目をじっと見た。
何も答えない刀夜の行動に、男は柔和な笑みを崩さずに冗談めいた動きで手を横に広げた。
「だんまりですか?」
男の新たな質問に、刀夜は視線を移動させずに、
「いつに……ら……は……かるんですか?」
小さく、何かを口にする。
「ん? 何と?」
不思議そうな顔で、男は尋ね返す。
男からすれば単に聞こえなかっただけだろうが、それが刀夜の感情を逆なでする。
刀夜はもう一度、若干の焦りの混じった声で告げた。
「――いつになったら、息子は助かるんですか。そう聞いているんです」
今度はちゃんと言いたい事が伝わったのか、魔術師は首を僅かに傾げた後、
「あぁ、あぁ」
思い出したように、ゆっくりと首を数回縦に振った。
そうして、今度は刀夜に向かってニコリと笑いかける。
その笑顔には、不思議な安らぎを与えられた。
「はは。何かと思えば、そんな事でしたか」
「……あなたにとってはそんな事かもしれないが、私にとっては大事な事です」
小さすぎて忘れていた、というような調子の魔術師の言葉に、静かに食い下がる。
刀夜にとっての目的は、そこにしかないのだから。
「ふふ、ご心配なく。ちゃんとお願いは叶えますよ――」
言いながら男は海へと視線をやって、また刀夜を見る。
それから、魔術師はもったいぶったように口を開いた。
「――そこの彼らをどうにかしてからね」
刀夜はその言葉を聞いてから、ようやく魔術師が自分を見ていないことに気付く。
どうやら、彼は自分の背後に視線を集中させているらしい。
何があるのか確認しようと、刀夜は振り向く。
その先には虚空しかない。
そう認識していたが、暗闇にいくつかの点が少しずつ現れてきた。
浮かんできたそれらは、何だか光にでも包まれている気がするぐらい、はっきりとした輪郭を示している。
そうして数秒ほど後ろの空間を眺めて、彼はそれらが何かを理解して動きを止めた。
「……当、麻?」
震えた声で、呟く。
自分の眼前にいた、守りたい存在に向かって。
目標を見つけた上条達は、その数歩前で立ち止まる。
静かに波が音を立てる以外には何の音もなかった世界に、彼らはいた。
その内の一人、父親は突然の人物達に驚いているらしく、口を開けて突っ立っている。
その後ろにいるのは――
「……テメェか、今回の犯人は」
父親以外のとある人間を見据えて、上条は唸るような声を出す。
その先にいた男――『魔術師』は、
「おぉ、怖い目で睨まないでくださいな」
上条の威嚇を流すように笑顔を見せた。
その行為は上条を小馬鹿にしているように感じた。
何やら訳の分からない黒い文字を所々に刻んだ白いコートをたなびかせて、
短く刈り立てた金髪の西洋人の姿は、初めて見た映像と何ら変わりなかった。
と、そこで状況をようやく把握したのか、初めて刀夜が口を動かす。
慌てたように、拙い調子で。
「と、当麻、それに一方通行君。こんな所で何を――」
「それはこっちのセリフだろうがっ!!」
刀夜の言葉を遮るように、上条は力強く叫ぶ。
気付いたら、自然と荒い口調になってしまった。
それに気圧されたのか、刀夜は最後まで言い切れずに黙った。
上条は続ける。
知りたい事がたくさんあったから。
信じたくない現実を、確認したかったから。
「何……してんだよ、アンタは。母さんにも黙って、そんな、怪しい魔術師なんかと」
改めて、問い質す。
何をしているんだ。
こんなろくでもない世界に何故踏み入った。
それだけを、知りたかった。
「それは……」
一言だけ呟いて、刀夜は答えない。
いたずらが見つかって叱られている子供のように、沈黙を決め込んだ。
「ずいぶんな口ぶりですねぇ。私は別に君や君の父上に何かした訳ではないのに」
刀夜の後ろ、奥から魔術師が代わりに口を出す。
テメェは黙ってろ、と上条は余計な男に叫び返そうとした。
しかし、
「確かに、上条当麻や刀夜氏どころの被害ではないですね」
「何せ世界中だもんにゃー?」
その前に、自分の背後でずっとこの場を静観していた魔術師二人が前に出た。
男は彼らに気付くと、歓迎するように人当たりの良さそうな笑みを浮かべる。
「やぁ、どうも。わざわざそちらの方から来ていただいてすみませんねぇ」
男は、遠くから来た友人を労うように言葉を出す。
自らの立場を忘れているように。
そんな魔術師の態度に、土御門は気軽な調子で返す。
「はっはっは。口上は結構ですたい。それより――」
「――十数えます。それまでにこの術を解きなさい。さもなくば――」
「さもなくば?」
冷たく響く、神裂の声に魔術師は震え一つ起こさない。
それどころか、やはり小馬鹿にしたようにオウム返しする。
そんな男に、彼女は呆れたように告げる。
「あなたを倒すのみ、です」
じり……と神裂はいつでも刀を抜けるような身構えをする。
それだけで、上条は何か強力な重圧が自らに掛かっているような錯覚をした。
その正体は、おそらくは言うなれば、『闘気』というモノだろう。
自分に向けられていないというのに、この感触。
上条は目の前の男を確認した。
これを向けられたら、さすがに余裕を失っているはずだ。
そう、思っていたのだが。
「ふふふ、そうですか」
魔術師は笑っただけだった。
自らの安全を確信しているかのように、曇らない笑顔を見せている。
「いやぁ、困りましたねぇ」
言葉とは裏腹に、男は微塵もそんな雰囲気を感じさせない。
笑みを浮かべたまま、彼はすぐ前にいる男の背中を見た。
「どうします、上条さん? もし彼らが言う通りに『おまじない』を解いたら、全ては無に帰しますよ」
その一言に、刀夜の体が僅かに跳ねた。
その言葉が、まるで刀夜の全てであるかのように。
そうして、彼は。
「……お願いだ、このまま見逃してください」
深々と、頭を下げた。
魔術師を庇うように、神裂の前に立ち塞がって。
思わぬ行動に、上条は目を見開く。
「何、言ってンですか、おじさン」
動揺したように、一方通行が言う。
上条も、困惑を振り払うように叫ぶ。
まだ、刀夜が脅しでもされている、と彼は心のどこかで願っていたのかもしれない。
「ふざけんなよ! 自分が何してんのかアンタ分かってないだろ!」
「――――分かっているッ!!」
ビリビリと身体の芯まで伝わってくるようなそれに、上条達の動きが止まる。
それほどに大きな声だった訳ではない。
ただ、それには強い意思と多くの感情が、重しのように詰まっている気がした。
叫んだ勢いのせいか、刀夜は呼吸を整えている。
「……何だか知らないが、とんでもない事になっているらしいのは、分かっている」
それから、吐き捨てるように刀夜は呟く。
その顔は、実年齢よりも、普段よりもっと老けて見えた。
「だが、少しで良いから時間をくれ」
刀夜が弱々しい表情で、上条を見つめた。
慈しむように、安堵させるように。
そして、
「――当麻、お前を治すためにも」
上条の呼吸が瞬間的に止まる。
それは、彼にとって意外すぎて。
何よりも、訳の分からない言葉だった。
「何、言ってんだよ」
ようやく口に出来たのは、それだけだった。
理解出来なかった。
自分を『治す』という事の意味が。
いや、一つだけ心当たりならあった。
だが、それは。
(……まさ、か)
上条の視界が動揺に揺れる。
知られてしまったのか、『記憶喪失』が。
知られてしまったのか、自分が赤の他人だという事を。
知られて、しまったのか?
必死にその恐怖を表には出さないようにする。
どちらかと言うと、あまりにも驚いて出せなかっただけだが。
しかし、刀夜の言いたい事は違ったという事を、すぐに上条は知る。
疲れ切った様子で、刀夜が続けたからだ。
「……お前は昔から『不幸』だと呼ばれていたな。近所の人からも、同じ幼稚園の子供からも」
予想とは違う言葉に、上条は一瞬安心した。
が、次にはまた違う感情を抱いた。
刀夜の言った事を、先程の映像を思い出していた。
誰だか覚えていない人達に、不快に扱われていた昔の『上条当麻』の姿を。
「皆してお前を忌み嫌い、そして差別した。
……覚えているか? いつかはテレビまでやって来るようにまでなったんだぞ?」
刀夜は笑った。
ただし、それには正の感情は一つもない。
負の感情のみに溢れた、悲しい笑顔だった。
「それで結局、私はお前を学園都市に送った。あの科学の街なら、平穏に暮らせると、そう信じていた」
静かな声を響かせ、刀夜は俯いた。
その行動は、自らの後悔を懺悔でもしているように上条は感じた。
「ところがどうだ? 結局お前は『不幸』に苦しめられている。どこへ行っても、何をしても」
上条は、自然と拳を握る自分に気付いた。
刀夜の言っているのは、一ヶ月前の『事故』の事だろうか。
それとも、もしかしたら『上条当麻』がそういった経験を報告していたのかもしれない。
どちらにせよ、刀夜は息子の事を、ずっと。
「だから、待っていろ。私が、お前を……お前を……」
震える声で、刀夜は続きを言うのを止めた。
それから、また笑った。
さっき見せたモノとは違う。
今度は、上条を安心させようとしているように思えるぐらい、柔和な笑顔だった。
でも、それは。
「もういい、黙ってくれ」
息子は父親を真っ直ぐに視界に捉える。
これ以上聞いていられない、と言うように。
それから、右手の人差し指をそっと立てた。
「まず一つ。色々と訂正したい事が山ほどあるから、聞け」
そう言ってから、上条は深く息を吸う。
覚悟を決めるように、刀夜の想いに答えるために。
一言、告げた。
「『不幸』って、何だよ」
言うと同時、刀夜の笑顔が固まる。
深いショックを受けたように、目を見開いていた。
「……何、だって?」
そんな刀夜に上条は一瞬躊躇ったが、続ける。
「誰が、いつ、どこで、アンタに助けてくれって言ったんだよ!」
「な」
面食らったように刀夜は体を震わせた。
上条はそのままさらに続ける。
これ以上刀夜が苦痛を味わうような事がないように。
「良いか! 確かに俺はとんでもない目に会ってきたさ。でもな、それは全部俺がそうなりたかったからだ!」
そうだ、と上条は思う。
人生が始まってからこれまで、たったの一ヶ月の夏休みの間、確かに上条は『不幸』にも事件に巻き込まれた。
しかし、それは彼の意思によるモノだ。
彼はそれらのきっかけに『不幸』にも出くわしただけで、回避しようとすれば、避けられたはずなのだから。
だが、上条はそうしない。
出来るはずもなかった。
「俺が少しでも、誰かの『不幸』を引き受けたかったからだ! 力になりたかったからだ!」
そう、上条が巻き込まれようとしたから。
ある少女は、自らの能力に向き合う事を決意した。
勝手に生み出されたある少女達は、自らの生を肯定し始めた。
その少女達と瓜二つのある少女は、過去への罪悪感から救われた。
――大事な友達を助けることが出来た。
そして、そして。
『上条当麻』は、自分の意思である少女を助ける代わりに全てを失った。
いや、そうじゃない。
そうやって、今度は自分に意志を託してくれた。
だから、上条は。
「……心配かけたのは謝るよ。ホントにごめん。でも、これだけは言わせてくれ」
頭を下げて、謝る。
心配してくれる人間の想いを考えていなかったことを。
そして、伝える。
その想いに応えるために。
一番その人が聞きたかったであろう、その言葉を。
「俺は『幸せ』だ。この場所にいられて、この時を生きてて」
一度区切り、はっきりと聞こえるように心から叫んだ。
「――アンタの息子で良かったってくらい、全力で『幸せ』に生きてるんだ!」
「……!」
その言葉に、刀夜は息を呑んだようだ。
それを見逃さず、上条は自らの願いを声にする。
「俺から『不幸』を取らないでくれ。これがあるから、俺は俺でいられるんだ」
これまでもこれからも、上条はこの『不幸』と共に生きていく決意をとうにしていた。
だから、頼む。
だから、願う。
アンタまでこんな事に首を突っ込まないでくれ、と。
母親といちゃつきっぱなしの、どこか頼りない『いつも』の父親であってくれ、と。
ツ、と上条の頬を何か熱いモノが伝っていることに、ふと、気付いた。
それを流したのは、誰だったのだろう。
『彼』の心の残滓が、上条にそうさせたのかもしれない。
そこまで考えてから、彼はさっとそれを拭い去った。
「……当麻。一つ、教えてくれるか」
数秒ほど黙って、刀夜は真っ直ぐに上条をその目で捉える。
その瞳は揺れていて、不安定だった。
「お前は、本当に……『幸せ』、なのか……?」
確かめるような言葉に対して、上条は最良の行動で答えた。
つまり、自信に満ちた表情で頷き返してやることを。
「当たり前だ。俺には、最高の友達がいる。そして――」
一瞬、親友に目配せした。
彼は僅かに笑って、上条に応えてくれた。
それから上条は前へと視線を向かせる。
その先にいる、『上条当麻』の支えに。
「――俺を心配してくれた両親がいる」
目の前の心配性を安堵させるように、笑って言ってやった。
そこには、偽証も打算もない。
心の底から出てきた想いだけを伝えた。
そして、刀夜は。
「……はは」
乾いた笑みを浮かべた。
馬鹿みたいだ、と自嘲するように。
そうして、今度は実にすっきりとした笑顔で、彼は上条を見た。
「……そうか、なら良いんだ」
それだけ言うと、刀夜は魔術師に振り向く。
「すみませんが、私は降りますよ」
後ろを向いているので、上条には刀夜の表情は分からない。
だが、その言葉はどこか吹っ切れたようだった。
父親を、止められた。
間違いを侵しかけている、大切な存在を。
この手で、止められたのだ。
そんな事実に、上条は沸々と喜びが湧いてくるのを感じた。
「そうですか。まぁ、そうなるとは思っていましたよ」
あっさりと、魔術師は諦めたように言う。
こうなってはどうにもならないと自覚しているのかもしれない。
「申し訳ないです」
こんな状況だというのに、礼儀正しく刀夜は頭を下げた。
こんな時まで社会人モードかよ、と上条は苦笑いする。
魔術師は、そんな彼の行為におかしそうに笑う。
そして、
「――いえいえ、こっちも最初からこうするつもりでしたから」
ドスッ! と何かが勢いよく刺さるような音がした。
それは、そう、弓で的を射たような鋭いモノで。
上条の前から、聞こえた。
「……え」
深々と、刀夜の身体を何かが貫通している。
それは翼の形をしており、傍から見ると刀夜の背中に羽が生えたように思えるだろう。
「父、さん?」
あまりにも突飛な光景に、上条は呆然としてしまった。
そして、刀夜から翼が抜けた瞬間。
全てを理解した。
「父さんッ!!」
悲痛な叫びを上げ、上条は走る。
駆け寄る間に、刀夜を中心に広がろうとする赤い水が、砂に吸われていく。
狭い範囲とはいえ、赤く染まる砂浜は、恐ろしく気味が悪かった。
上条が刀夜の元にたどり着く前に、親友が一足先に刀夜の身体を起こす。
途端に血の流れが止まる。
彼が能力で出血を抑えているのだ。
一方通行は刀夜を肩に担いで、次の瞬間には上条の元に戻っていた。
間近で見ると、痛みのショックで気絶したらしく、刀夜は目を閉じている。
汗がマグマのように吹き出すのを、上条は感じていた。
「……大丈夫だ、内臓とか骨に異常は無ェ。ただ、傷口と出血が多すぎるだけだ」
能力で調べるだけ調べたのか、それだけ告げると、一方通行は片手を離さないようにしてから、上条に刀夜を預ける。
右手で刀夜の身体に触れないように、上条は注意深く彼を支える。
それから、一方通行は刀夜のシャツを破いて傷口をさらけ出させた。
胸から腹まで、無数の刺し傷が確認出来た。
「こいつを使え! 止血くらいは出来る」
どこから取り出したのか、土御門が包帯を一方通行に手渡す。
それを受け取って、彼は能力で布を綺麗に必要な長さに切り取り、刀夜の身体に巻いていく。
「……チッ、止血が出来ても血が出過ぎてる。すぐに病院に連れてかねェとダメだ」
そう言うと、一方通行は強い視線を上条の後ろに送る。
それにつられて、上条もそちらを見る。
そこには、表情の変わらない魔術師ともう一つの影があった。
「……クロイツェフ」
『それ』を視認した、神裂の声が聞こえる。
そこにいたのは、ロシアから来たというただの魔術師の少女だった。
彼女は無言でこちらを向いている。
すぐ近くにいる、『犯人』を見ずに。
「まさか、貴方が……ッ!」
神裂の言葉に答えるように、ロシアの魔術師から水晶のような透明な翼が広がる。
それが、全てだった。
彼女――いや、あれこそが。
今回の話の中心、『天使』なのだと。
「水の属性――なるほど、『神の力(ガブリエル)』か」
旧約においては火の矢を用いて都市一つを焼き払い、新約においては聖母に神の子の受胎を告知した者。
そんな超常的な存在が、目の前にいる。
土御門は落ち着いて状況を完全に把握する。
『仕事』をする時、彼の精神は完璧なバランスを保っている。
目の前の天使の存在も、簡単に受け入れてしまった。
「最初から刀夜は殺す気だったのか」
土御門は冷静に魔術師を見据える。
それに応えるように彼は微笑む。
「ふふ、まぁ、彼には半分主導権がありましたから」
「……主導権?」
「ええ、そうです」
土御門の疑問に魔術師は頷き返すと、両手を開いて前に掲げた。
生き生きとしたように、嬉しそうに、彼は語る。
「私の一族は天使全般の事を研究していました。天使の力(テレズマ)の扱い方や関連の霊装。それに――」
区切りを入れて、魔術師は言葉に間を持たせる。
長く、長く、溜めて。
そこに彼のこだわりがあるように、ようやく続きを口にした。
「――大天使そのものを呼ぶ魔術などをね」
男は、そこで初めて表情を変えた。
何物も包むような笑顔から、一抹の虚しさを感じさせるような、無表情に。
が、それもまた僅かな間の事。
すぐにまた、彼は顔を元に戻していた。
「まぁ、そんな事は出来るはずもなく、私の代までそれは放っておかれていましたよ」
当然だ、と土御門は思った。
魔術世界において、大天使の片鱗――つまり、『天使の力』を扱うのは、そう珍しくはない。
だが、実際にそれそのものを呼び出すなど、少なくとも一介の魔術師に出来るはずもない。
相手はあくまで、神のモノなのだから。
「ところが最近になって、彼を知りました」
魔術師が、上条達に担がれた上条刀夜を一瞥した。
実に羨むような目で。
「刀夜さんは実に素晴らしい才能をお持ちらしい。
彼は一つは一つはくだらないおみやげレベルのオカルトグッズを積みに積み、とうとう自宅に神殿を作っていた」
神殿――それは儀式魔術を行う上で、最も大事な要素となる。
風水術、と呼ばれるその手の魔術を得意とする土御門にも、
先程の映像の端々で刀夜がそれに近いモノを作りかけていたのは分かっていた。
そして、土御門よりもその事を一足先に知ったのが、
「……なるほど、それが」
「そう。今回の魔術です」
ニコリ、と魔術師は笑う。
この答え合わせを、心底楽しんでいるらしい。
「私はすぐに彼と交渉しましたよ。彼の望みを叶える代わりに、術の再構築を手伝うようにね」
男の台詞に、土御門はさらに解答を得る。
それがさっきの魔術で覗いた最後の映像の正体、という訳か。
「自動で起きるのではなく、遠隔操作で起こせる魔術にした訳です」
一度手本を見ていれば、それを再現するのも、改造するのも、魔術師には出来て当然の事だ。
それを承知の上で、土御門は僅かながらの賞賛を目の前の敵に心中で贈った。
何せ、術の規模が規模だ。
それだけの事をただ一人でこなすのは、それなりの努力が必要になる。
「まぁ、堕ちた天使を今の今まで見つけられなかったんですがね」
言いながら、男は大儀そうに天使の方に振り返る。
「……」
天使は、何も返さない。
感情を持たぬ本分(道具)に自らを戻しているらしい。
そんな天使に、男はつまらなそうに視線を戻し、話を続けた。
「あの火野とかいう男は実に役立ちました。見抜く時間をくれましたからね」
(……火野だと?)
突然の名前に、土御門は眉をひそめる。
やはり、奴も今回の件に関係があるというのか。
「……どォいう意味だ」
同じように考えたらしい一方通行が聞く。
「ふふ、何、そんなに深い事じゃありませんよ」
一方通行の言葉の意味を理解しているのか、魔術師はくだらなそうに一笑する。
「あの男、二重人格でしてね。彼の姿が変わっていないのは、もう一人の人格と入れ替わっただけの事なんですよ」
「……何だと」
思いもしなかった解答に、土御門は一瞬理解が追い付かなかった。
確かに、火野がそういう病である事は今日のニュースで見た覚えはあった。
しかし、もう一人の人格と入れ替わるなど、そう簡単に起きるはずがない。
そう考える土御門の様子を見て、魔術師は実に同情するような笑みを返す。
「まぁ、そういう反応をするでしょうね。いやぁ、私も知った時は驚きましたよ」
魔術師は何度も頷く。
一切の緊張感を遮断するような動きだった。
「案外、刀夜さんが幸運にもそうさせたのかもしれませんね。火野が彼の家の方へ向かったのも運が良い」
始末しやすいですから――そう言って、魔術師は笑った。
「……下手人はオマエか」
凄みのある低い声で、一方通行が唸るように聞く。
魔術師はそんな彼を視界にも入れずに答えた。
「ええ、用済みでしたからね」
あっさりと、実に冷めた声色で彼は言う。
そこに、魔術師の本性がある気がした。
「火野を犯人と勘違いした貴方達のおかげで、私は当たりを付ける時間が取れましたよ」
なるほど、と土御門は理解する。
こいつは遠くから、堕とされた天使が上条の近くにやってくるのを監視していたのだ。
上条の近くに来る人間が、ただ入れ替えの被害を受けた魔術師か、本命かを見極めようとしていたのだろう。
ただし、上条刀夜の事に上条が気付くまでには時間はそう掛からない、という懸念もあったはずだ。
そこに、火野という時間稼ぎが現れた訳だ。
火野の一件はあくまでも偶然の産物。
逆に利用して、手中に納める相手が来ているかを調べていたということか。
そして、天使は狙い通り見つかったという訳だ。
「馬鹿な事を」
ずっと黙っていた神裂が、男を否定するような言葉を吐き捨てた。
「天使を人間が操れるはずがありません。彼らはあくまでも神の下僕(道具)。人間など、簡単に捩伏せるでしょう」
「何、利害の一致ってヤツですよ。それに、貴方の言うように天使はあくまでも力ですから」
神裂の言葉に、男は余裕めいた調子で反論する。
それから、土御門は魔術師の言うことを理解した。
神裂の言う通り、天使は上位の存在だ。
人間ごときに、足で使われるはずもない。
もっと言えば、天界に帰るために魔術師の首をはねていてもおかしくない。
なのに、天使はそうしようとはしない。
それはつまり、男は天使を力として利用するための材料を持っている、という事だろう。
それこそ、一族で積んできた研究の成果として。
理解は進み、事態も進む。
一つ一つ、事件は解決(ゴール)への通過点を通っていた。
犯人の説明を、上条は何も言わずに聞いていた。
どういう事を言っているのかは分からない。
土御門や神裂は納得したようだが、魔術師が何を言っているのかなど素人に分かるはずもない。
ただ、一つだけ分かった事がある。
「おっと、一応私の名誉にかけて言いますがね、ちゃんと約束は叶えて差し上げるつもりでしたよ」
説明をし終えてから、慌てたように魔術師は両手を振る。
まぁ、と付け足した。
「――といっても、刀夜さんの命の保証はしませんが」
男は笑った。
その顔は先程と何一つ変わらない。
ただの『魔術師』として、笑っていた。
「て、メェ…………ッ!!」
ギリギリと歯ぎしりを起こしながら、上条は魔術師を凝視する。
頭に血が凄まじい速度で昇るのを、感じていた。
許せなかった。
『上条当麻』を想い、一人で悩んできた刀夜を利用するだけして利用して、切り捨てるこの男が。
刀夜の愛した『上条当麻』はもういない。
だからこそ、彼は許せなかった。
刀夜の全てを否定されたような気がして。
「おやおや、怖い怖い」
上条の鋭い眼光に、魔術師はおどけたように言う。
「これでも感謝してるんですよ? 何せ、彼の『犠牲』のおかげで悲願が達成出来たのですから」
「――ふざけるなぁっ!」
「落ち着け、馬鹿」
挑発するような言葉に激昂している上条の肩を、土御門が右手で押さえ付ける。
万力のように固定され、上条は動けなくなった。
完全に上条の動きを封じつつ、土御門は魔術師を注意深く見る。
「そんなモンで何をする? まさか本気で世界転覆なんかするのか?」
厳格な声色で話す土御門の声に、上条はふと思い出した。
そういえばまだ、魔術師の目的を聞いていなかった。
刀夜を巻き込んでまでしたかった事を。
男にここまでの事をさせた、その理由(原動力)を。
上条は暴れるのを止めて、土御門と同じように魔術師に集中する。
「いえいえ、世界転覆だなんて。私がするのはですね」
土御門の質問に、魔術師は滅相もないとでも言うように首を横に振った。
ニコリ、と今ではもう怪しさしかない笑みで、彼は言った。
「――宗教革命、ってところですかね」
あまりのくだらなさに、上条は言葉を失う。
そんな彼の考えなど知らずに、魔術師は演説でもするかのように堂々とした調子で語る。
「現在の世界は実に情けない。手段に過ぎない『科学』にパワーバランスを取られて、揚げ句には折り合っている」
魔術師の言葉に、上条は初めて土御門の正体を知った時に、彼が言っていた事を思い出した。
世界は現在、魔術サイドと対になる科学サイドに支配されている、と。
そして、最近になって急に台頭してきた『科学』を気に入らない奴らもいる、とも言っていた。
この男も、その類の人間だというのか。
男は気軽な声で続けた。
「何が原因か、色々と考えましてね。まぁ一番手っ取り早いのは『科学』に遅れを取るような連中を消すことかな、と」
「……そこで天使のご登場って話か」
つまり、男の狙いは一つだけ。
現在の魔術サイドを掌握する、三大宗派。
それら全てを消し去ることだった。
「はは、ご理解が早くて助かります」
素直に土御門を賞賛すると、魔術師は付け加えた。
「もちろん、表の意味では消し去りませんよ。大混乱が起きますから」
突然全ての宗派が消えるような事があれば、きっと何も知らない一般の信者は混乱するだけだ。
だから、男は。
「一つ、私が裏で天下を頂こうかな、という訳です」
男は笑顔で言った。
言葉とは裏腹に純粋だったそれは、ある種の狂気を感じさせた。
全てを手に入れるために。
たった、それだけのために。
魔術師は行動していたのだ。
「……させませんよ」
砂を踏み、神裂が前に一歩出る。
先程以上の『闘気』を漲らせて、彼女は立っていた。
「でしょうね」
しかし、それを向けられてなお、魔術師はまったく態度を変えない。
むしろ、さらに楽しんでいるように見えた。
「どうぞ来て下さい。何、加減ぐらいはしてもらいますから」
そう言った直後、魔術師の後ろの、天使の翼が増える。
戦闘準備は向こうも出来ているらしい。
「……」
神裂は天使に視線を送る。
相手は何の感情も顔に浮かべていない。
ただ命令をこなすだけの、操り人形だ。
彼女は躊躇いがちに刀の柄を握り、天使を視野から取り除いた。
彼女の倒すべき敵は、ただ一人だ。
それは、不運にも堕とされた天使(被害者)ではない。
「……土御門、彼らを頼みます」
ここから先は、まさしく自分の出番だ。
目の前の悪を捕まえ、事件を解決させる。
そんな時代劇の捕物のような、神裂向けの状況。
上条刀夜の怪我の治療のためにも、戦いに巻き込まないためにも、土御門に避難を任せることにした。
それを短く伝え、神裂は前へと進もうと――
「……いや、神裂。そうもいかないらしい」
足を止め、振り返る。
そこにいる同僚の、意味の分からない言葉を尋ねるために。
「何を――っ!?」
そこで、気付いた。
背後には、仕方ないな、と笑う土御門と、そんな彼がしっかりと抱えている上条刀夜しかいないことに。
自分よりも先を進んでいた、素人二人の存在に。
「な、二人とも、下がって……」
神裂の制止する声を背に、一方通行と上条は一歩ずつ魔術師に向かって進む。
そんな彼らを、男は心底愉しそうに眺めていた。
少年達は互いに言葉を交わさない。
何も語る必要がなかったからだ。
そんな彼らの様子を理解して、ニコリ、と挑発するように魔術師は笑って告げた。
「――どちらから平伏しますかね?」
対して、少年達の答えは単純。
「「――お前(オマエ)だッ!」」
叫びと共に、二人は同時に砂を巻き上げ、突進する。
足の裏に加わる力のベクトルを反対にして、とんでもない速度を生み出すと、一方通行は一気に男に肉薄する。
それでも余裕でいる魔術師を睨みながら、一方通行は手を振り上げ、ベクトルを集中させる。
そうして魔術師に全力の拳をたたき付けようと、
「……っ!」
身体全体を刺すような危険な予感に、一方通行は一連の動作を止めて飛び上がる。
次の瞬間、背中に竜巻を数本接続して飛ぶ彼のいた場所に、何本もの巨大な水の槍が突き刺さる。
その槍の元にいたのは、背中に翼を持つ天使だ。
自らを守った存在を確認して、魔術師はやはり優越感に浸るような笑みを向けた。
「……チッ」
厄介な存在に、一方通行は舌打ちする。
本来完全な防御をする彼の能力も、魔術というイレギュラーの前では話が別だ。
たいしたレベルではないモノぐらいなら防御も出来るかもしれない。
が、相手は大天使とかいう神裂よりも遥かに格上の存在だ。
初めて受けた神裂の魔術でかなりのダメージを負った事を考えると、大天使のそれは食らえば即アウトの可能性がある。
迂闊に攻めて、リタイアする訳にはいかない。
空に逃げた一方通行の元に、蛇のように動き回る槍が何十本と隙間を消すように迫り来る。
それに対し、槍の動く勢いで変わる風の流れから、彼は槍の微妙な隙間を読み切る。
そして、自らの身体に掛かる力のベクトルを変更して、隙間を完全に縫っていく。
迫る槍はコンマ数秒以下の速度だったが、一方通行の能力の対応速度はそれを僅差ながらも上回っている。
槍と槍がぶつかり合い、互いを消し去る。
それから、一方通行は魔術師に向かって走る上条を確認する。
まともに戦えない以上、今一方通行に出来る最良の行動は、上条のアシストだ。
風を掴む。
そこから大量の計算をこなし、風の凶器を生み出す。
ビュオオオッ……! と大気が唸りを上げた。
そうして生み出されるのは、風速120メートル、並のハリケーンなど越えた暴風の槍。
「……援護する、行け!」
声と共に、それを上条を狙う水の槍の横っ腹に次々とぶつける。
当然、風で上条が飛ばないように先端からは離れた部分を狙ってだが。
一発一発、正確に当たるたびに大砲を撃ったような轟音が静かな海岸に響く。
狙いの逸れた槍は上条の横ギリギリを突き刺さっていく。
障害を必死に避け、上条は突き進む。
そして、
「お、らぁあああっ!」
掛け声を出しながら、一気に魔術師との距離を詰めた。
射程範囲に敵を捉え、気合いを入れた上条が拳を振りかぶる。
変わらず無防備な魔術師を倒すそれは、勢いよく――
「……ッ、ぐぁっ!?」
たたき付けられる直前、上条の足元、砂の下から水の槍が現れる。
無数の槍の中から一本だけ、砂の下に隠していたのだ。
とっさに右手で防御したが、槍は打ち消されずに上条を十五メートルほど上空へ吹き飛ばす。
「上条!」
まずい、と一方通行は空を飛び、そのまま落下しようとしている親友の元へ急ぐ。
下は砂浜だが、あの高さから落ちたら大怪我どころか死の可能性が大いにある。
しかし、それがいけなかった。
回避を忘れた一方通行へ、一気に四方八方から水の槍が迫る。
逃げ場が消えてしまった。
(……ッ!)
しまった、と認識した瞬間にはもう遅い。
鋭い槍が学園都市最強を無惨な死体に変える。
――はずだった。
「――Salvere000!」
凜と澄んだ声がするやいなや、一方通行を囲む槍が切り裂かれて勢いを失う。
裂かれたそれは瞬時にただの水に戻り、地面に落ちた。
後に残った一方通行の視線の先には。
「……これは」
月光を受けて光る、ニメートルほどの刀だった。
そして、その刃の元に。
上条を抱えて地面に降り立ちながら、それを鞘に納める神裂火織が立っていた。
神裂に抱えられて、上条は地面にもう一度無事に足を付けた。
その近くに一方通行も着陸する。
彼は上条が無傷であると分かると、安心したような顔をした。
上条も一方通行が無事であることを確認して、神裂の方を向く。
彼女は無言で上条を見つめていた。
その目を何となく直視出来なくて、上条は目を逸らす。
それから、助けてもらった礼を言おうと口を開く。
「……神裂」
助かった、と上条が言う前に。
パン、と張り詰めた音が鳴り、神裂の平手打ちが彼の頬を当たっていた。
頭の芯まで響くような衝撃に、上条は体をふらつかせた。
「あ――」
思わず頬に手を寄せた上条を、神裂はきっ、と睨み据える。
そして、
「――貴方達は馬鹿ですか!」
大声で叱り付けられた。
「相手をよく見なさい! 真っ向勝負なんて考えて! 刀夜氏の想いを無駄にする気ですか!」
彼女は怒っていた。
勝手な行動をする彼らを、その行動原理を知っているからこそ、余計に怒っていた。
それは当然の怒りだろう、と上条はすぐに神裂を肯定した。
彼女はよく知っている、と一方通行に聞いていた。
失う苦しみを、見過ごしてしまう苦しみを。
「だけど……ッ」
引き下がれない、と言わんばかりに上条が顔を上げる。
その目は、彼がどれほど必死になっているかを伝えている。
それを知った上で、神裂は続ける。
「分が悪いとか、そういった言葉で括れる相手じゃありません」
だから無理をしないでください、と諭すように告げる。
慈愛の目で、彼女は父親のために逸る少年を納得させようとした。
上条にはそんな目を、そんな感情を押し退けられない。
「………………悪、かった」
俯いて、一言搾り出した。
自らを恥じる気持ちと共に。
神裂はそれに対して何も言わない。
代わりに、上条の望む結果を生むための考えを述べた。
「……おそらくは大天使を操作するだけの材料を彼自体が所持しています。ですから――」
「直接野郎をぶっ叩く」
後を次ぐ一方通行に、神裂は頷き返す。
「上条当麻。貴方ならすぐに術を解除出来るはずです」
そう言って、神裂は視線を少年の右手にやる。
どんな原理で作られていようと、あらゆる奇跡を瞬時に破壊するその能力に。
「……分かった、やってみる」
一瞬右手に顔を向けて、彼はすぐに前を見た。
迷いなどその目にはなかった。
ふ、と神裂は珍しく満足げに微笑んだ。
彼女はすぐにそれを引っ込め、真剣な色を瞳に宿した。
ザッ、と一方通行と神裂が一歩前に行こうとする上条の前に立つ。
その先には、魔術師を守るように立つ『大天使』がいる。
「――アイツは俺達で引き付けてやる」
「……もちろん。ただし、無茶はいけません」
さらに一歩、二人は進む。
それに応えるように、天使は翼を拡散させる。
規格外の人間の力と人外の力が、まさに今、ぶつかり合おうとしていた。
一旦区切っておきます。
次スレ立ててきますのでお待ちあれ。
おつ
次スレも楽しみにしてる
立ちました。
こちらへどうぞ。
スレタイも書いといた方がいいな
上条「二学期になっても不幸だ……」一方「いつものことだろ」
リアルタイム乙&スレたて乙!
乙です!
面白い!2学期はどうなるか、姫神の出番はありますか?
乙
乙ー!
展開熱いな!!たまに読み返してるし次スレうれしい
乙
乙
うめ
乙うめー
うめ
うめる
うめろ
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