P「トランプで遊ぶ」 (56)
このSSはそこそこ有名なものからマイナーなものまでのトランプゲーム紹介SSです。
アイマス要素は薄めです。
また>>1の経験や話の都合などで本来のルールから簡略化・改変されている部分もあります。
ご了承願います。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1394104457
亜美「むー」
真美「うー」
P「……あいつら、何コタツで唸ってるんだ」
律子「その前に、何で事務所にコタツがあるんですかね」
P「それは今更だろ。別にいいんだよ、ここは765プロだぜ?」
律子「言ってる意味がわかりませんが」
P「ほらほら、話を戻して。何であいつら唸ってるんだ」
小鳥「今日は大雨で外に出れないじゃないですか」
P「なるほど、暇なのか」
小鳥「さっきまではトランプで遊んでたようですけど飽きちゃったみたいですね」
律子「まぁ、12人で延々とババ抜きっていうのも流石に……」
P「……ふむ」
小鳥「プロデューサーさん?」
P「律子、たまには皆で親睦を深めるのも悪くないよな?」
律子「……まーた何か企んでるんですか」
P「ご明察。……というわけで、みんなー遊ぼうぜー」
千早「いきなり何言ってるんですか」
伊織「っていうか、アンタ仕事中じゃないの?」
春香「それを言うなら私たちも事務所で何してるんだって事になるんだけど」
真「まぁ、天気に文句言っても仕方ないし」
雪歩「プロデューサー、お茶をどうぞ」
P「サンキュ。まぁ、仕事はあれだ、多分大丈夫だ」
律子「そこはせめて絶対と言って下さい」
美希「ハニー! 遊ぶって何するの? 美希とお昼寝?」
P「何で寝るんだよ。……お前ら、トランプやってたんだろ」
響「さっきまではババ抜きやってたぞ」
亜美「でももう飽きたよー」
真美「飽き飽きだよー」
あずさ「20回はやったかしら~」
貴音「正確には24回ですね」
やよい「とっても楽しかったですよー」
春香「プロデューサーさん、それで何で遊ぶんですか?」
P「そうだな……たまには少し変わったルールのトランプをしないか」
千早「変わったルール……ですか」
雪歩「ルールを覚えるのが大変そうですぅ」
美希「めんどくさいのはイヤって思うな」
P「まぁまぁ。どうせこんな天気だ」
P「こういう日くらいババ抜きだけじゃなくて、頭使うようなゲームもいいんじゃないか」
伊織「ふぅん。いいんじゃない。少なくともババ抜き続けるよりは」
春香「私、他のゲームって七並べとか大富豪、ぶたのしっぽくらいしか思いつかないんですけど」
千早「スピードとか神経衰弱忘れてない?」
あずさ「他にはブラックジャックやポーカーかしら~」
貴音「随分色々出揃ったようですが」
響「プロデューサーはどんなゲームをするつもりなんだ?」
P「うーん、その中に俺の紹介したいゲームはないな。もうちょっとマイナー所だ」
P「でも、そろそろ出てきそうだからゲーム名羅列はやめてくれ」
亜美「ねぇねぇ。せっかくだし、罰ゲームつけようよー」
真美「もしくは賞品とか」
小鳥「なるほど。面白いわね」キラン
律子「あまり悪乗りしないで下さいよ……」
P「いいけど、賞品なんて用意してないぞ」
春香「私のクッキーで良ければありますけど」
千早「クッキーね、いいんじゃない?」
響「自分も異論ないぞ」
P「じゃ、決定で」
小鳥「それじゃ、そろそろ紹介どうぞー」
P「うむ。最初は比較的有名なゲームでいこうか。『51』だ」
小鳥「あ、それは私も知ってます」
あずさ「私も知ってますよ~」
律子「51……私は知りませんね」
千早「知らないですね」
貴音「どのようなげぇむなのですか」
P「ほほぅ、ちょうど俺含めて三人知ってる人間がいるか」
P「このゲームの適正人数は大体5人くらいだから、三グループに分けよう」
亜美「亜美たちは」
真美「にーちゃんとだね」
やよい「伊織ちゃん、頑張ろうね!」
伊織「やるからには勝つわ」
P「それじゃ、ルールを説明するぞ。まずは一人につき五枚ずつ手札を配る」
P「次に、山札から五枚のカードを表向きで場に並べる。これが場札だ」
伊織「これ、ウノみたいに手札を減らすゲームなの?」
P「いいや、点を取るゲームだ」
P「具体的には、同じスート(マーク)で揃える。他のスートが交じってたら0点」
亜美「つまりハートとダイヤモンドが一緒だとダメなんだね」
P「J~Kは10点、Aは11点、ジョーカーは10点か11点の好きなほうになる」
真美「おお、さすがジョーカー」
P「つまり最大の点数は10~KとAの五枚で51点というわけだ」
やよい「数字が大きいほうが勝ちなんですねー」
P「ゲームは順番に場札とカードを交換していくんだ。例えば、俺はスペード6をハート10と交換する」
亜美「んじゃ次は亜美だね。えーと、クラブの4をダイヤの8と交換~」
真美「真美の番か。にーちゃん、これって絶対交換しないとダメなの?」
P「ああ。このゲームにパスはない。代わりに、場のカードを流す事ができる」
P「新たに山札から五枚引いて元あった場札と入れ替えられるんだ」
P「もちろん、自分の番に一回だけな。そして、場を流した後は手札と交換必須だ」
伊織「新しい場のカードに欲しいスートがなかったら困るわけね」
P「そう。そして、自分の手札が同じスートで固まったらいつでも『ストップ』と宣言できる」
P「その時、一番得点が高い人が勝ちだ」
やよい「うー、少し難しいです」
伊織「大丈夫よ。私がいるし」
小鳥「ちなみにプロデューサーさん、全換えはアリですか?」
P「あー、そこら辺は地域ルールなんでどっちでもいいですよ。個人的にはアリです」
亜美「全換えってなに?」
P「手札と場のカードを全部丸ごと交換できるってルール。で、真美はどうする?」
真美「もち、流すよ。……うぅ、全部低い数字ばっかじゃん」
伊織「それでも交換しないとダメなんでしょ」
真美「むむむ……ダイヤの5をハートの5と交換で」
やよい「うっうー! 私の番ですー!」
やよい「まずは流して……ハートのJをスペードの8と交換しますー」
P「おっ」
伊織「……なるほど」
やよい「伊織ちゃん、何か気付いたの?」
伊織「ええ。私もまずは場を流すわ」
P「げっ」
亜美「ほほぅ、いおりんはしゃくしですな~」
伊織「それを言うなら策士でしょ!」
やよい「う? えーっと」
真美「やよいっち、にーちゃんは最初ハートの10取ってたでしょ。つまりハートを揃えようとしてるって事」
伊織「だから、私が場にあるハートのJを流せばプロデューサーの高得点を阻止できるってワケ」
伊織「ついでに言えば、それは真美も同じよね。アンタもハート交換してたでしょ」
真美「うぐっ」
やよい「なるほどー」
P「……皆、飲み込みが早いじゃないか」
P「俺は場を流して……よし、ダイヤの7をハートの9と交換だ」
亜美「ふっふーん、亜美はそのダイヤの7もらっちゃうよ。スペードの4と交換で」
真美「真美は場を流して……スペードのQをハートの3と交換」
真美「……ところで、にーちゃん」
P「ん?」
真美「これって、ストップを言うタイミングっていつ? カード交換する前? 後?」
P「交換した後だけど……まさか!?」
真美「ふふふふ、ストップー!!」
亜美「な、なんだってー!?」
伊織「ちょ、早くない!?」
P「くっ、点数を気にしない速攻勝負を決めてきたか!」
真美「ぬっふっふ、真美はハートの2と3と5と6とQで26点だよー」
真美「さぁさぁ、皆の点数はいくつかなー?」
亜美「まだダイヤ揃ってないよー! 0点!」
伊織「くっ……0点よ」
P「俺も0点だ」
真美「この勝負、真美の勝ちだね!」
やよい「ねぇねぇ、伊織ちゃんこれって何点かな」
伊織「へ? JとKが10点ずつだから……って、スート揃ってる!?」
真美「えっ!?」
伊織「残りは8と4と3……35点ね」
亜美「つまり?」
真美「ま、真美の負け……?」
やよい「わ、勝っちゃいましたー!」
P「まさか二順目にして決着がつくとは……ぐぬぬ、もう一回だ!」
真美「うぐぐ、今度は負けないかんねー!」
亜美「それは亜美のセリフだー!」
………………
P「と、いう事を何度か繰り返した結果だが」
やよい「春香さんのクッキーおいしいですー」サクサク
伊織「さすが、お菓子作りの腕前は確かよね」サクサク
亜美「ううぅ、なぜだ」
真美「どうして真美たちが……」
P「小鳥さん、あずささん、そっちはどうでした?」
小鳥「ぐぬぬ、まさか貴音ちゃんがあんなに強いとは……」
響「一人勝ち状態だったぞ……」
貴音「真、春香のお菓子は美味ですね」モグモグ
雪歩「でも楽しかったですぅ」
真「ちょっと難しかったけどね」
春香「こっちは普通だったね」
千早「ええ。いい勝負だったわ」
あずさ「皆覚えるのが早いものね~」
美希「あふぅ。まぁまぁだったの」
律子「意外と戦略性がありましたね」
亜美「にーちゃん、次は!?」
真美「まさか今のゲームで終わりじゃないよね?」
P「燃えてるなお前ら……もちろん、まだまだ面白いゲームはあるぞ」
春香「あ、でもクッキーがもうないんですけど」
貴音「なんと!」
響「貴音、食べすぎだぞ……」
真「なら、次は雪歩が淹れたお茶でどうかな?」
小鳥「甘いものの後にあっつ~いお茶……いいわね。私、クッキー食べれてないけど」
律子「雪歩がそれでいいなら。どう、頼める?」
雪歩「は、はいぃ。頑張りますぅ!」
P「賞品は決まったな。なら、次は『殺しの七並べ』なんてどうだ?」
春香「こ、殺し!?」
伊織「随分と物騒な名前ね……」
P「名称はともかく、ゲーム内容は面白いんだぞ」
P「ちなみに、知ってる人は?」
小鳥「名前くらいは聞いたことありますけど具体的なやり方までは」
律子「知りませんね」
P「それじゃ、とりあえず説明がてら一戦やるか……小鳥さんと律子、後はあずささんお願いできますか」
小鳥「やるからには負けませんよ!」
あずさ「はい~」
P「ちなみに、七並べは皆知ってるよな?」
律子「えぇ、知ってます」
P「これもスタートは一緒だ。全員に札を配って、7を場に出して……お、ダイヤ出したから律子からスタートだな」
律子「これは普通にプレイすればいいんですか?」
P「基本はな。ちなみに、パスは出せるカードがなければありだ。ペナルティはない」
律子「では、ダイヤの6を出します」
小鳥「次は私ですね」
P「ここでルール説明。クラブの6の位置を見てくれ。壁、クラブの7、ダイヤの6で三方向が囲まれてるだろ」
あずさ「壁というのは、カードを置く場所以外の部分の事ですよね」
P「そうです。そして、三方向を囲まれた場合、残る一箇所にカードが置けます。この場合、クラブの6を飛ばして5が置けるわけです」
小鳥「あ、ちょうどあります。クラブの5」
P「では小鳥さん、クラブの5を出してください」
小鳥「はい。すると、どうなるんです?」
P「クラブの6が囲まれたので『殺され』ます。ちなみに俺の手札です」
P「殺されたカードは自分の前に置いておきます」
律子「殺された数が多い人が負けなんですね」
P「その通り。そして、囲めるのは一度に一枚ではなく、四角形になるなら何枚でも囲めるんだ」
P「今の例でいうと、クラブの6が殺される前にダイヤの5が置かれていた場合、クラブの4を置く事でクラブの5と6がまとめて殺される」
あずさ「複数のスートを跨ってもいいんですか? 例えば他のスートは出さずにクラブを1まで敷き詰めたらクラブと7の列で囲めますよね?」
P「カードを置いた時、四角形に囲めていたなら全部殺せます。ただし、その例だと自分の手札も巻き込む可能性がありますけど」
律子「あ、やっぱり自滅もあるんですね」
P「もちろん。それで全員の手札がなくなったら終了だ」
あずさ「分かりました~。では、私はスペードの6を出しますね~」
P「では俺がハートの5でハートの6を殺しましょう」
小鳥「ぐっ、プロデューサーさんに私のハートが討たれました」
律子「……うーん、ここはダイヤの8を出しておきます」
あずさ「じゃぁ、ダイヤの9で~」
………………
P「という感じで皆にやってもらったわけだが」
美希「あふぅ」
響「うがぁ」
春香「のワの」
千早「くっ」
亜美「」チーン
真美「」チーン
小鳥「ズズズ……見事に死屍累々って感じね」
真「あ、はは……伊織も貴音も本気だったから」ズズズ
やよい「雪歩さんのお茶すごくおいしいですー」ズズズ
伊織「寒い日には最高ね」ズズズ
貴音「萩原雪歩のお茶は心も身体も温まりますね」ズズズ
雪歩「四条さん、お代わりありますよ」
P「律子は善戦してたが、惜しかったな」
律子「最後にまとめて殺されたのが決め手でした。……っていうかこれ、かなり言葉悪いですよね」
P「まぁ、そういうゲームだし」
亜美「ぐぐぐ……つ、次こそオメイバンカイするんだかんね!」
真美「それを言うならメイヨヘンジョーじゃない?」
律子「今の常識だとどっちも不正解よ。特に真美」
貴音「さて、貴方様次の賞品は何です?」
P「あー、連続でお茶はないか。他に何かあったかな?」
美希「どうせならもっとすっごいやる気が出るのがいいの。ハニーとか」
P「蜂蜜? 甘いもの食いたいのか」
美希「ミキが言ってるハニーはハチミツじゃなくてハニーの事なの!」
小鳥「た、確かにそれは盛り上がるかも……っ!」
律子「いや、ダメでしょ。ていうかダメです」
P「うーん、甘いものか……」
響「プロデューサー、何か真剣に考えてるぞ」
真「考える方向が明後日向いてるけどね」
P「あ、今度営業でちょっと遠出するんだが、何かお土産見繕ってくるってのはどうだ?」
美希「却下なの」
P「即答?!」
美希「春香も雪歩も自分の腕をかけたものを出してるのに、ハニーだけ買ってきたものじゃ不公平でしょ」
春香「その理論だとプロデューサーさんの手料理が妥当という事に……」
千早「いいわね」
P「は!? 俺の手料理?!」
真美「真美もそれでいいと思うよ」
亜美「でも、にーちゃん料理できたっけ?」
P「一応一人暮らしだから……って、そうじゃなくて!」
美希「ハニーの愛情がつまってればミキは何だって美味しいよ?」
小鳥「これはもう決まりね! ささ、プロデューサーさん、運命のゲームの発表をどうぞ!」
P「マジか……話が予想外の方向に……」
P「しょうがない。それじゃ、トーナメントでいくぞ。ゲーム名は『カルク』だ」
春香「カルク……ですか?」
P「もしくは『カルキュレーション・マジック』ともいう」
亜美「なんだかゲームの必殺技みたいな名前だね」
真美「全く聞いた事ないゲームだね」
律子「小鳥さん知ってます?」
小鳥「全く聞いた事のないゲームです」
あずさ「ホントに誰も知らないゲームなのね~」
P「よし、取り合えずやるぞ。プレイ人数は2~4人だから……四グループかな」
真「プロデューサーと対決か……」
雪歩「真ちゃん、一緒に頑張ろう!」
響「相手が誰でも絶対に勝つぞ!」
P「それじゃ、ルール説明がてら練習試合といこう」
P「まずは各プレイヤーにカードを7枚ずつ配る。……本来は5枚だが、今回は7枚だ」
P「これが手札な。そして山札の一番上のカードを場札として場に出す」
P「これで準備完了。勝敗はシンプルに手札を最初になくしたものが勝ちだ」
真「ここまではよくある形式だね」
P「うむ。だが、カードの出し方、これがポイントだ」
P「今場にある数字は8。そして俺は6と2のカードを場に出す」
響「二枚同時に出せるのか?」
真「というか、その二枚の法則が分からないんですけど」
P「簡単だよ。6+2=8だろ?」
雪歩「あっ、そういう事ですか」
P「そう。このゲームは場の数字が答えになる式を出していくゲームなんだ」
真「それなら次は、2が一番上にあるから2が答えになるように式を作ればいいんですね」
P「その通り。足し算だけじゃなく、引き算、掛け算、割り算全部オーケーだ」
真「じゃぁ、KとJで13-11=2!」
雪歩「これ、カードを出す順番は決まってるんですか?」
P「基本的に引かれる数、割られる数を先に出す。足し算掛け算ならどっちでも問題ない」
P「それから四則演算を混ぜなければ何枚でも出していい」
響「3+3+5=11はいいけど11-3+3=11はダメって事だな」
P「イエス。後、忘れがちだが11=11という式も成り立つので、同じ数字一枚でも出せるぞ」
雪歩「うーんと、今は場札が11だから……7と4を出しますぅ」
響「自分は4か……なら5-1で4だ!」
P「場は1だな。では俺は10-5-4としよう」
真「また4か……これ、結構頭使うなぁ」
P「だろ? 本当はもっと細かいルールがあるんだが、今回はシンプルにやろう。ジョーカーもなしだ」
真「ちなみに、手札が出せない場合はパスですか?」
P「いや、パスはいつでも大丈夫だ。その代わり山札から一枚手札に加えなければならない」
真「じゃあ、パスします」
P「加えたカードで出せる札があったら出してもいいぞ」
真「あ、なら1+3で出します」
雪歩「場は3だから……パスで一枚引いて……12-9で出しますぅ」
響「3×3で9だぞ!」
P「3か……悪いな、6÷2で手札0枚。俺の勝ちだ」
P「……とまぁ、こんな感じのゲームだ」
P「取り合えず練習してみてどうだった?」
響「すっごく難しいぞ」
真「今更ですけど、出せる組み合わせが結構あった事に気付きました」
P「意外と掛け算や割り算は忘れがちだよな」
雪歩「KとかJが使いにくいですぅ」
P「そうだな。どちらかといえば小さい数字が使いやすいゲームでもある」
P「さて、これでルールも分かってもらえただろうし、トーナメント一回戦といこうか」
………………
P「で、トーナメント一回戦の結果発表~」
律子「かなり飛ばしてません?」
P「気にするな。決勝にコマを進めたのは美希、貴音、千早、そして俺~!!」ドンドンパフパフ
響「うぐぐ、負けちゃったぞ」
雪歩「強かったね、プロデューサー」
真「初めてのゲームだし、しょうがないよ。……次は負けないけど」
美希「ま、ミキが勝つのはとーぜんだって思うな」
貴音「貴方様お手製のらぁめんを思えば、負けるわけにはいきません」
千早「私はラーメンでもなんでもいいですけれど」
小鳥「それで、次も『カルク』で戦うんですか?」
P「いえ。申し訳ありませんが、そもそもの本題はトランプゲームの紹介……ここはもう一つのゲームで対戦させてもらいます」
P「その名も『アドバンスド・カルク』!!」
律子「アドバンスド……もしかしなくても、カルクの発展型みたいなゲームですか?」
P「そう。例によって細かいルールは省略した簡易版で行うが、これは『カルキュレーション・マジック』のアドバンスドルール版だ」
美希「どんなゲームでもハニーのためならミキが勝つの」
千早「散っていった春香の為にも勝つわ」
貴音「……貴方様、るぅるの説明を」
P「いいだろう。基本的なルールは先ほどのと変わらん。手札を7枚ずつ配り、場札を出す」
千早「!? 場札が……2枚?」
貴音「これがあどばんすどるぅるというものですか」
P「見ての通りだ。アドバンスド版は場札が2枚……いや、無限に場札が増えていくゲームなんだ!」
美希「どういう事なの?」
P「今の場札は3と4だな。この2枚を掛けてみるとどうなる?」
千早「12ですね」
P「手札にQがあった場合、この二つの場札の間にQを置く事ができるんだ」
P「つまり、答えに合わせて式を作る事の逆で、式の答えを場札として追加できるんだよ」
千早「これも四則演算で答えができればいいんですか?」
P「本来は掛け算か割り算のみだ。ついでに言えば、通常ルールで掛け算割り算が使えるのはラスト2枚の時だけなんだ」
P「が、今回は全部ありとする。足し算だろうが引き算だろうが、とにかく式が出来ればオーケー」
貴音「それでよろしいので?」
P「色んなゲームに触れてもらうのが目的だからな。あまり難しくはしない」
P「それに、基本ルールを押さえれば十分楽しいゲームだから問題ないさ」
P「他に質問はないか?」
美希「さっきの例でQが追加されたけど、その後に3と4で組み合わせて場を増やす事は出来るの?」
P「隣り合ってないから出来ない。この場合、組み合わせの例は3と12、もしくは4と12だな」
貴音「場札は増えるとどんどん横に伸びていくのですか?」
P「増え方のパターンはライン、リング、スター型とあるが、今回はシンプルにライン型でいく。つまり横に伸びる」
千早「大体分かりました。大丈夫です」
美希「さっさと終わらせてハニーのおにぎり頂くの」
貴音「さ、貴方様。どうぞ、始めてください」
P「いいだろう。いくぞ!」
場 3 4
P 3 5 5 7 8 J Q
美 1 2 8 8 9 10 K
貴 1 1 4 6 6 8 Q
千 2 2 7 7 9 9 K
P「まずは手堅く12-8で4といこう」
美希「ならミキは13-8-2で3なの」
貴音「では8から6を引かせて2とさせて頂きます」
千早「13-7=6で」
場 7 8
P 3 5 5 7 J
美 1 8 9 10
貴 1 1 4 6 Q
千 2 2 7 9 9
律子「……まずは一巡したわね」
やよい「伊織ちゃん、だれも場札を増やさないね」
伊織「場を増やす時は1枚しか出せないから仕方ないわよ」
響「あ、そうか。一度に減らせないんだな」
真「現状は美希が一歩リードか」
雪歩「でも、手札が減ると式が作り難くなるから」
亜美「手札が少ないから有利ってわけじゃないんだね」
真美「しかもミキミキは使いやすい2の札使っちゃったからね」
春香「2ってどの式にも使えるから便利だし」
小鳥「そう考えると、全員使いにくい数字を真っ先に減らしているわね」
あずさ「10を越える数字のカードですね~」
P(まずいな。出せる組み合わせが3と5で8、もしくは7単体のみ)
P(ここで3を切ると組み合わせの制限が強くなる。やはり7か……)
美希「? ハニーの番だよ」
P「くっ、7=7だ」
美希(1枚だけ……ハニー、手札が悪いのかな)
美希(ううん、今はハニーを心配してる場合じゃないの。勝つ事だけを考えないと)
美希(8、9、10と揃ってるのが痛いけど、ここで減らせるのは8か9)
美希「8×1は8!」
美希(これは賭けなの……もし次の番まで1が残ってれば、ミキの勝ちだよ)
貴音「さて」
貴音(先ほどの美希の番、声に気迫がありました。つまり、次の番で勝利する布石がある可能性が高い)
貴音(場の札は7と1。美希の手札が2枚ある以上、このどちらかを導き出す答えになっているのは想像に難くありません)
貴音(問題は今しがたの手札の出し方。8から1を引き算しなかった理由)
貴音(これはつまり、7が美希にとって望ましい答えという事……?)
貴音「では、私は1足す6で7とします」
美希(セーフ!)
貴音(!? 今、わずかに笑みを……という事は……)
千早(大丈夫ですよ四条さん)
千早(美希、四条さんの番に表情を見せたあなたが負けよ)
千早「私は9÷9=1で出します」
美希(!! し、しまったぁぁぁ……なの!)
貴音(如月千早、流石です)
場 6 9
P 3 5 5 J
美 9 10
貴 1 4 Q
千 2 2 7
亜美「なんか、さっきより随分長くない?」
真美「ちょっとピリピリしてきたよー」
春香「こう殺気みたいのが見え隠れしてるような」
小鳥「そりゃまぁ、賞品が賞品だもの」
真「ボクもあの場にいたら同じ感じになるだろうなぁ」
P(……まずい展開だ。いや、美希が勝ちそうとかそういう話じゃなく)
P(このままでは『アドバンスド・カルク』のアドバンスド的な部分が出せずに終わってしまう)
P(だがしかし、だがしかし! ここで手を抜くのは俺の矜持に反する……それに罰ゲームが)
P(どうする俺、どうする俺!? ……いや、どの道今の手札では……)
P「……俺は9-6=3、という事で場を増やす!!」
千早(ここで場を増やした!?)
貴音(これは流れが変わる予感が……)
美希(ハニーの戦術? ……ううん、アドバンスド感を出したかっただけかも)
美希(ミキの番……出せる札は9のみ。でも、ここは)
美希「パス。山札から一枚引くね」
貴音「美希、私の番でよろしいですか?」
美希「待った! まだミキの番は終わってないの!」
美希「引いたカードで出せる式があるならカードは出せる……ミキは13-10=3で出すの!」
貴音「なんと!」
美希(これでミキの手札は9だけ。でも、場札に9があるから望みは十分なの)
貴音(やはり美希は侮れませんね。後一歩で、私の勝利が遠のきました)
貴音(現状で出せる札は1を場札にする方法のみ……ならば)
貴音「私もぱすを……ふむ」
貴音「12引く6で6とします」
千早(……場札の数字は6、10、9。私の手札は2が2枚と7)
千早(勝利の方程式はある……けれど……この数字は……)
千早(いえ、今目先の事にこだわるべきではないわ……)
千早「……7+2=9」
P「なっ!?」
美希「!!??」
やよい「?? 伊織ちゃん、今のそんなにすごい手なの?」
伊織「別に気にしなくていいわよ。察しがいい人……もとい数字に過敏な人が過剰な反応してるだけだから」
亜美「でもミキミキは別の反応っぽいよー?」
真美「あー、これはゼツミョウに足を引っ張りあってますなー」
雪歩「そこは駆け引きと言ったほうがいいような……」
あずさ「皆だいぶ手札が減ったわね~」
響「今のところ、危ないのはプロデューサーだな」
場 6 10 2
P 5 5 J
美 9
貴 1 4
千 2
P(場が増えたことで選択肢が増えた)
P(5+5、もしくは11-5。定石を踏むなら11-5で次の番に5を出す流れ)
P(だが、懸念すべきは他3人の動向だ。下手をしたらこのターンで勝敗が決する可能性がある)
P(いや待て。確率的に考えても11-5で場の中央を10のままにする方が可能性があるか)
P「よし、11-5=6だ!」
P(これで次の番まで耐えられれば勝てる!)
美希(……今の場札じゃパスしかない)
美希(でもまだチャンスはある。ミキの手札は9だから、1、4、7が出れば勝てるの)
美希「ミキはパスだよ。一枚引くね」
美希(これが運命の……)
美希「…………」
貴音「美希、私の番でよろしいですか?」
美希「……10=10で出すの」
貴音「では、1足す4は5で私の勝ちですね」
P「へっ」
千早「そんな」
美希「終わった……の?」
律子「こういう決着って、意外とあっさりつくのよね」
響「あー、やっぱり貴音の勝ちかー」
亜美「お姫ちん、今日ずっと一人勝ちだよね」
真美「強すぎるYOー」
P「くっ、あそこで俺がパスしていれば……」
千早「後少し早ければ……」
貴音「貴方様、らぁめんを楽しみにしています」
P「俺、ラーメンの作り方なんて知らんぞ」
小鳥「そんなプロデューサーさんにレシピをプレゼントです」
P「はぁぁ……よりによって貴音だったかぁ……材料費幾らかかるんだこれ」
春香「あのープロデューサーさん」
P「……ん、どうした春香?」
美希「次のゲームはまだなの? 早くするの!」
伊織「ま、まぁアンタがどうしてもっていうならしょうがないわねっ」
P「……俺別に何も言ってないけど。ていうかイヤにやる気あるね皆」
春香「そりゃぁ、プロデューサーさんの手料r……いえ何でも」
P「そっちかよ!」
雪歩「それだけじゃないですよぉ」
P「取り合えず今日はもうヤメ。次は賞品のアテができたらな」
やよい「終わっちゃうんですかー。すっごく楽しかったからちょっと残念です」
P「……む。そうか?」
亜美「負けばっかだったけど」
真美「たまには変わったルールもいいよね」
真「賞品うんぬんは置いておいて、結構楽しんだし」
あずさ「トランプって本当に色々できるのね~」
P「……まだまだ紹介してないゲームはいっぱいありますよ、あずささん」
響「どんなゲームでも、次こそ勝つぞ!」
P「ふふふ、そうかそうか。よし、じゃもうちょっと遊ぶか!」
P以外「おーっ!」
終わり
乙
面白かった
最近、周りにトランプ付き合ってくれる相手がいないのでムシャクシャして書いた。
後悔はしてないが一抹の寂しさが残る。
読んでくれた方、ありがとうございます。
念のため各ゲームごとに補足。
51は結構有名だから知ってる人も多いのではないでしょうか。
>>1の周りではストップ宣言後、最後のチャンスでもう一週回せるルールがベターでした。
殺しの七並べは一枚ずつしか殺せない場合が多いみたいです。
カルキュレーションマジックはガチで面白いゲームなんで、機会がありましたら是非体験してもらいたいです。
SS内で紹介したルールは簡略化したアレンジになってますが、オリジナルはもっと面白いゲームなので。
面白そうだがやる相手がいなかった
乙
乙 面白そうだから機会があったらやってみよう
面白いそうだな
乙
乙です。
前にインディアンポーカーのがあったな。
俺も何か書いてみようかな。
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