アルミン「変わらないモノ」(15)
「ほら、アルミン。行くぞ」
エレンは変わらない
自分の気持ちに素直で、ちょっと喧嘩っ早くて、諦めることが嫌いで、僕の道標となってくれる存在
昔から何一つ変わらない、僕の親友
「アルミン、あまり無茶はしないでついてきて」
ミカサも変わらない
優しくて、常に僕達を守ってくれて、強い…たまに暴走しちゃうとこも変わってないけど
あっ、でも変わったところもある
とっても綺麗になった
「…おい、ミカサ。手を抜かずに先に行けよ」
「手を抜いてるつもりはない。エレンと違ってちゃんとペース配分を考えてる」
「なっ!俺だってそれぐらい考えて走ってるよ!!」
そうそう、エレンは鈍感なところもまったく変わってない
でも…それ以上に変わってないモノがある
「はぁ…はぁ…」
…僕は変わらず弱いままだ
「アルミン、大丈夫か?」
「だ…大丈夫だから先に行ってて…」
「…わかった。エレン、行きましょう」
「おう。無茶だけはすんなよ」
「うん……」
そう…僕達の関係は何一つ変わってない
エレンはひたすら前に進む
ミカサはエレンの横を並んで進む
そして僕は…後ろから二人の背中を追いかける
変えたくても変えられない…僕も君達と並んで進みたいのに…
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「なぁ、アルミン。お前…兵団の希望はどうするんだ?」
「……僕は調査兵団に入る!」
「本気で言ってんのか?」
僕が劣等生なのは重々わかってる
エレンの言うとおり、技巧科に進んだほうがいいのもわかってる
でも…それでも僕は…君の、君達の後ろを追いかけたいんだ
三人で同じ道を進みたいんだ
だから…
「…死んでも足手まといにはならないよ!」
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「アルミン、ちょっとここで休んでろ。俺はジャンと話してくる」
死んでも足手まといにならない…そう決意したのに…僕は何一つ変えることが出来なかった
足手まとい…役立たず…エレンにとって僕は、守られる存在でしかなかった
僕が弱いから…僕が臆病者だったから…エレンが…エレンが!!
僕がエレンの代わりに死ねば良かったんだ!!
「アルミン…ケガは無い?大丈夫なの?」
ミカサ……
僕は君に優しくされる価値なんて無い…
「エレンはどこ?」
言わなくちゃ…
僕がエレンを…ミカサの生きる理由を、灯火を、消してしまったって…
「僕達…訓練兵34班……トーマス・ワグナー、ナック・ティアス、ミリウス・ゼルムスキー、ミーナ・カロライナ、エレン・イェーガー…以上5名は自分の使命を全うし…壮絶な戦死を遂げました…」
僕が変わらなかったから…
「ごめんミカサ……エレンは僕の身代わりに…」
変わらずに弱いままだったから…
「僕は…何も……出来なかった」
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巨人が巨人を殺した!?あの巨人は一体…
「とにかく本部に急ぐぞ!みんなが戦ってる!!」
「待ってくれ!ミカサのガスが空っぽなんだ!!」
「オイ!マジかよ!?どうすんだお前がいなくて!?」
……やることは決まってるよ
「急いでこれと交換するんだ!」
「アルミン!?」
みんなを助ける為には僕なんかよりもミカサの力が必要なんだ
それに…エレン、君みたいにカッコよく守れないけど…僕の命に代えても君の家族だけは守ってみせるよ
「よし!機動装置はまだ行けるぞ!!刃も全部足した!!ただ…これだけはここに置いてってくれ…やっぱり生きたまま食われることだけは避けたいんだ」
エレン…もうすぐ僕もそっちに行くよ…
え?刃を捨てられちゃった…
「アルミン!ここに置いていったりはしない」
やめてくれ…僕はこれ以上、友達を死なせたくないんだ…
エレン…どうすればいい?
……そうだね、君がこの場面でどうするかはわからないけど、一つだけわかることがある
君は絶対に僕みたいに諦めたりはしない
僕もそうするよ、エレン…
絶対に諦めない…ミカサ達を死なせない!
「き…聞いてくれ!!提案があるんだ!!」
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「…ありがとな、アルミン。お前の説得のおかげでまたこうして生き延びることが出来た」
「礼を言うのは僕の方だよ、エレン…」
ずっと変わろうと思ってた
少しでも君達に追いつこうとしていた
でも…僕が間違ってた
『俺はどっちでもお前の意見を尊重する』
『アルミン…考えがあるのなら私もそれを信じる』
僕を信頼してくれた…僕も一緒に並んで進んでいると気づかせてくれた
「エレン…僕はもう諦めたりしない」
「ああ…」
「僕はエレンやミカサをいっぱい頼るから、エレン達も僕を頼ってくれ」
「ああ、昔も今も変わらず頼りにしてるぞ」
そう…もう僕は変わらない
変わりやすい残酷なこの世界であっても、僕達の関係は変わらせない
どんなことがあっても、ずっとこのまま…
この変わらないモノを守り続ける
Fin
乙!
乙
乙 まあまあだったよ
最近こういう読みやすい短編も減ってきたよな
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