エレン「喧嘩真っ最中」(19)
ライナー「…おはよう」
エレン「おはよう」
ベルトルト「…」
アルミン「…」
コニー「…」
マルコ「…」
ジャン「…」
ジャン(気まずいな…くそ)
アルミン「ごちそうさま」
ベルトルト「…早いね」
アルミン「体が弱いと夢を目指すことすら許されないみたいだから。だからちょっと鍛えてみようかなって」
エレン「…ちっ」
マルコ「…コニー、食べないと」
コニー「ああ…」
ライナー「…」
ジャン「…」
ジャン(あの能天気なコニーすら静かになっちまってるしよ…)
サシャ「まだ喧嘩中ですか?」
ミカサ「真っ最中」
ユミル「あんな空気重そうな場所でよく飯食えんな」
サシャ「この雰囲気じゃ食べ物貰いにいけませんし…」
アニ「…バカか」
ミカサ「…私も手を焼いている」
クリスタ「ミカサも…ちょっと機嫌悪いような…」
アニ「…早くなんとかしてくれるとありがたいんだけど」
ミカサ「…あなたに言われなくてもやってる」
アニ「せめて成果を出しなよ」
ミカサ「…ぐ」
サシャ「どこもかしこもギスギスしてますねぇ…」
訓練中
ジャン「!巨人模型だ!」
マルコ「!」すっ
ジャン「…!?」
ジャン(あいつ…俺に模型を譲りやがったな…)
マルコ(僕は向こうに行こう…ここはジャンがやってくれるだろう)
ジャン(…)
訓練中
兵站行進
ベルトルト「…ライナー」
ベルトルト(また他の人の荷物を持ってる…言っとこうかな)
ベルトルト「…ライナー。そんな人達はほっといていいよ。君が遅れる」
ライナー「…は?こいつらを見捨てろって言ってるのか?」
ベルトルト「そうだけど」
ライナー「…そんなことするわけねえだろう。お前は先行け」
ベルトルト「…ライナー!」
ライナー「いいから行け!」
ベルトルト(…くそっ)
昼休憩
サシャ「コニー…貰いますよ」
コニー「…やらねえよバカ」
サシャ「なんとコニーまで私をバカ呼ばわりですか…コニーにだけは言われたくなかった…」
コニー「うるせえな、俺だってバカを抜け出すために努力してんだよ」
サシャ「コニーがですか?まさか…」
コニー「俺だってそんぐれえやるよ!お前は努力もしてねえだろ!俺はもうバカ呼ばわりされたくねえんだよ!」
サシャ「む…私が努力してないとか勝手に決めつけないでくださいよ!コニーに私の何がわかるんですか!」
コニー「そっくりそのまま返す!お前こそ俺がどんなに努力してんのか知らねえだろ!」
サシャ(…頭来ますねぇ…コニー)
座学
クリスタ「ほら、寝ちゃダメだよ」
「…あ、クリスタ…寝てたか。ありがとう」
クリスタ「どういたしまして」
ユミル「…あのなぁ、そいつ寝かせたままの方が良かっただろ」
クリスタ「なんで?」
ユミル「そいつは寝てる分だけ点数が落ちて、逆にちゃんと座学受けてるお前は点数上がるだろ」
クリスタ「…私は上位目指してるわけじゃないから」
ユミル「本当かよ。それだと私にとって不都合なんだがな…いいから他人は無視してお前はお前のことをやれ」
クリスタ「…ユミル酷いよ。他人と一緒に頑張りあって成長することだってあるんだから」
ユミル「そんなの綺麗事だろ。人は結局は自分優位に立ちたがるから頑張りあうなんて成立しねえよ」
クリスタ「…ユミルのバカ!」
ユミル「なんだよ、正論しか言ってねえぞ私は」
対人格闘
ミカサ「…」
アニ「…早くしてくれない?」
ミカサ「…エレンが」
アニ「またエレンのことか。あんた二言目にはいつもエレンだ」
ミカサ「…家族だから心配なだけ。悪いことではない」
アニ「家族なんだかどうだかしらないけど、執着し過ぎだよあんた。あいつはそう簡単にボロボロになったりしないと思うけど」
ミカサ「…いえ、エレンは無茶な行動をたまにとる。その時のために私はいないといけない」
アニ「…」
ミカサ「…その無茶な行動の一つにアニとの対人格闘も入っている。あなたはエレンを傷つけすぎだ」
アニ「あいつが向かってくるからだ。何かあるなら私じゃなくあいつに言いな」
ミカサ「…エレンに言うのではなく、あなたが自制すればいいだけのこと。違う?」
アニ「私が自制する必要はないね。エレンが勝手に向こうから挑んできているんだから、まずエレンが私のところに来るところから指摘しなよ。私に言うのは間違ってる」
ミカサ「…話にならない」
アニ「同じく」
馬術
エレン「よし、大分馬を乗りこなせるようになったな」
アルミン「うわ…っ!」 どすん
アルミン「いてて…」
エレン「…そんなんで壁外に行くなんて笑える話をする奴がいるなんてな」
アルミン「だから練習してるじゃないか。余計な口を挟まないでくれるかい?」
エレン「馬を乗りこなせるようになったらやめてやるよ」
アルミン「へえ。自分が完璧に乗りこなしたわけでもないのによくそんな上から言えるね。クリスタとかと比べれば、まだまだ全然なのに」
エレン「…絶えない減らず口だな」
アルミン「褒め言葉として受け取っておくよ。さあ、そこどいてよ。邪魔になるからさ」
エレン「どいてやるから早く乗りこなせよ」
アルミン「…」
訓練終了後
ジャン「おいマルコ。お前、立体機動の時、俺に模型を譲ったろ」
マルコ「そうなのかな?」
ジャン「とぼけんじゃねえよ。お前本当に憲兵団入りたいと思ってんのかよ」
マルコ「もちろん。王に仕えたいからね」
ジャン「ならその余計な優しさを消せ。はっきり言ってお前の優しさは目障りだ」
マルコ「…」
ジャン「俺には人に獲物を譲っている奴が憲兵団に入りたいとか言ってるなんて信じらんねえ。本当は憲兵団に入りたいなんて気持ちないんじゃないのか?」
マルコ「…好き勝手言ってくれるね。僕は僕自身でやってるつもりなんだ。もちろん憲兵団も狙ってる。わかったような口をしないでくれ」
ジャン「…けっ」
マルコ「…」
次の日
アルミン「…」
アルミン(…あれ?)
ベルトルト「…」
ライナー「…なんだよ」
ベルトルト「…」
ライナー「…」
エレン「…」
エレン(…なんだこれ?)
ジャン「また余計な優しさを見せるのか?」
マルコ「僕はこの君が言う優しさを変えるつもりはない。仲間と憲兵団を目指す、いいことじゃないか」
ジャン「…勝手にしろよ」
マルコ「言われなくても」
コニー「来んなよ」
サシャ「そちらに行った覚えはないですが」
コニー「…ちっ」
サシャ「…ふん」
ユミル「あんくらいのことで怒ってんのか。甘ちゃんだな、クリスタはよ」
クリスタ「私にとってはあんくらいのことじゃないの!仲間なんだよ!一緒に頑張ることの何が悪いの!」
ユミル「他人なんか知ったこっちゃないだろ」
クリスタ「ーーーー!バカッ!」
アニ「どいて、邪魔」
ミカサ「同じく。私の行く前に重なって現れて何が楽しいのか私にはわからない」
アニ「あんたとたまたま行動が同じだっただけだろ。いちいちそんなことで気にする方がおかしいから」
ミカサ「…今すぐにでもあなたを切り刻みたい衝動に駆られている」
アニ「奇遇だね、私もだ」
エレン「な、なんだこれ…なんでみんな喧嘩を…」
アルミン「い、いつの間に…」
エレンアルミン「…」
エレン「俺らが原因か?」
アルミン「もしかしたら…僕たちの喧嘩が反響を呼んだのかも…」
エレン「…雰囲気悪いとなんか気が重いな」
アルミン「ボクら皆に迷惑かけてたみたいだね…」
エレン「アルミン、言い争いは一旦中止だ。皆がこうなっちまった原因として早く解決しねえと」
アルミン「仕方ないね。一旦中止。許したわけじゃないから」
エレン「こっちこそ。許すつもりもないがな」
アルミン「…」
エレン「…まず様子を見るか。誰が誰と喧嘩してるとか」
アルミン「うん」
エレン「別に意識的に様子を見ようとしなくても、誰が誰と喧嘩してるのかすぐ分かったな」
アルミン「一目瞭然だったね」
エレン「ジャン、マルコ。
ミカサ、アニ。
ライナー、ベルトルト。
ユミル、クリスタ。
サシャ、コニー。」
アルミン「…どうしたものかね」
エレン「どうすんだよ。次は対人格闘だぜ。そろそろ始まるぞ」
アルミン「ああ…うん」
エレン「なんだその微妙そうな顔」
アルミン(どうせこの時間もライナーが空を飛ぶんだろうな…エレンが鈍感なせいで)
アルミン(元はと言えばエレンが鈍感だったせいでこんなに大人数を巻き込んだ喧嘩になったのに!)
アルミン「…とりあえずエレンは訓練してて。ボクなりに対策を講じてみる」
エレン「ああ。俺も何かしらやるつもりだがな」
アルミン「…ぜっったいに変な行動をとらないで。アニとミカサに」
エレン「お、おう?」
ミカサ「…あの女狐…」
ライナー「…」
アニ「よっ」
エレン「うおっ…!」
アニ「…なんかいつもより弱くない?なんか野暮なことでも企ててるの?」
エレン「ま、まさか」
ミカサ「…エレン。傷つけられて可哀想に」
ライナー「…おいミカサ。エレンのことが大事なのも分かるが、教官がすぐそばにいるんだ。真面目にやってくれ」
ミカサ「うるさい」
どごっ
アルミン(…やっぱりライナーが舞ってる。でも今回はエレンとアニの元に飛ばさなかったんだな…)
ライナー「…」
アルミン「ライナー…またいつもの災難だね。痛くない?」
ライナー「……って」
アルミン「うん?何て言ったの?」
ライナー「……が図に乗りやがって…!」
アルミン(!)
ライナー「…痛い目みせてやらんと治んないだろうな」
アルミン「ラ、ライナー?」
教官「訓練終了!」
ライナー「…間が悪いな」
アルミン「…」
アルミン「ライナー…怖いなぁ」
アニ「結局何企んでたのさ」
エレン「な、なんも企んでねえよ」
エレン(本当はさりげなくアニとミカサを対面させて謝り合って欲しかったんだが…無理だった)
ジャン「腹立つな…」
ベルトルト「どうしたの」
ジャン「あのマルコの余計な優しさに腹立ってんだよ。下の奴なんかほっとけっての…」
ベルトルト「わかる」
ジャン「ん?」
ベルトルト「わかる、わかるよジャン。下の人の手助けなんかしてたら自分の順位が危うくなるもんね。それなのにライナーはいつもいつも手助けばかりで。本当に上位になる気あるのかな。こんな場所に滞在してる時間さえ惜しいのにこれで上位になれなかったらどう責任とるつもりだよ」
ジャン「ああ…お前もか」
ベルトルト「同じ考えだよ。どうして下位の人の手助けなんかするんだろうね」
ジャン「だよな。それこそ余計な優しさなのによ」
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