ヒストリアとクリスタ 消えたアルミン (11)

原作最新巻までのネタバレあり


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―――訓練生に入って2年目の事

みんないい人で僕やエレンやミカサも仲間たちと仲良くやっていた。


ある日、男子で「次の立体機動の試験でビリだったら罰ゲームでクリスタの格好をする」という話が出たんだ。

もちろんただ笑いを取るためだった。

しかし、そんな些細な事がきっかけで大きな事件に発展するとは誰も思いもしなかっただろう……

―――

…結局負けたのは僕だった。

アルミン「…はあ…なんで僕がこんな格好を……」

コニー「ははは、負けちまったなアルミン!」

エレン「悪いな、アルミン…俺も手を抜く訳にはいかなかったから」

アルミン「いいよ、この際これで皆の前に出て笑いを取ってやるさ」

エレン「ははは、言うようになったな!」

ライナー「いや、しかしクリスタの格好、似合ってるぞ意外と。あはは!」

ジャン「ライナーが言うと変な意味に聞こえるからやめてくれ…」

―――食堂

アルミン「…やっぱり恥ずかしいな…」

ジャン「おいおい、これで皆の前に出てやるって言ったのはお前だろ」

アルミン「そうだけど、実際するとなるとやっぱ…」

エレン「嫌ならやめてもいいだろ。無理にする必要は…」

コニー「いいじゃねぇか、アルミンあんま目立って無いんだからこの際笑いを取って人気者になろうぜ!」グイッ

アルミン「わっ、ちょっと!!」

エレン「おいおい…」


ミカサ「あ、エレン、アルミン………ぶふっ!!?」

アルミン「……」

ミカサ「…」

ミカサ「アルミン、私はあなたの親友。だからあなたにどんな趣味があろうと気にはしな…」

アルミン「いや、ここは笑ってよミカサ!!」

サシャ「あ…アルミン…なんですかその格好…」プルプル

コニー「おう、実はな…」

ミカサ「サシャ、笑ってはいけない」

アルミン「いや、僕は笑いを取りたいんだよミカサ」

エレン「なんか可哀想になってきたな…もうよそうぜ」

ライナー「まあ待て。クリスタ本人のリアクションも見てみたいと思わんか?」

エレン「…まあ確かに気にはなるが」

アルミン「これでクリスタにまで同情みたいな事されたら泣くよ僕」

ユミル「今日も疲れたなクリスタ~」

クリスタ「そんなひっついたら熱いよユミル…」

ライナー「お、来たぞ」

アルミン「ええい、こうなったらヤケだ!!」

ミカサ「あの目は…アルミンが本気を出した時の漢の目!!」

アルミン「クリスタ、こんばんは!」

クリスタ「あ、アルミ……んんっ!?」ビクッ

ユミル「…」

アルミン「は、あはは…」

クリスタ「ななな、なんでそんな格好してるの!?」

コニー「あんな動揺してるクリスタ初めて見たぞ」

ユミル「喧嘩売ってんのかテメェコラ」

アルミン「ちょっ…ユミル落ち着いて…」

エレン「男子でのお遊びでな、罰ゲームでアルミンがクリスタの格好する事になったんだよ」

クリスタ「罰ゲームでって…でも可哀想だよ、こんなの」

アルミン「いいよいいよ、どうせただのおふざけだし」

ミカサ「あ、おふざけだったの…ごめんなさい、アルミン。私はてっきり…」

アルミン「気にしないでいいよ、ミカサ」

コニー「なあ、クリスタもアルミンの格好したら意外と似合うんじゃないかな?」

アルミン「は!?」

クリスタ「なに言ってるのコニー!?」

サシャ「ちょっと見てみたいですね」

ユミル「馬鹿言ってんじゃねぇよ、んなの私が許すか…」

エレン「あはは、面白いなそれ」

エレン「アルミンとクリスタで入れ替わってみたらいいんじゃないか?」

ビリビリビリッ…

アルミン「!」ピリッ
クリスタ「!」ピリッ

エレン「なんてな、冗談だ!」

ドサッ ドサッ

エレン「え?」

アルミン「…」

クリスタ「…」

ライナー「アルミンとクリスタが倒れたぞ!?」

エレン「おい、どうした!?」

―――男子寮


………

ん…

アルミン「…」

アルミン「あれ、私……」

エレン「お、アルミン起きたか!」

アルミン「…え?私はクリスタ…」

エレン「おいおい、こんなときまでクリスタのフリすんなよ」

アルミン「え?」

(あ……私、アルミンの体になってる?)

エレン「アルミン…大丈夫か?急に倒れたんだぞお前」

アルミン「……」

―――ヒストリア、私の事は忘れてね

アルミン「!」

―――凄いよヒストリア、もうこんなに読めるようになったんだ

アルミン「…お姉ちゃんの…記憶…」

エレン「ん?なんだって?」

アルミン(そうだ……今、思い出した……お姉ちゃんとの記憶を…)

アルミン(でも、どうして今思い出したの?今まで忘れてたのに…アルミンの体になってから…)

―――女子寮

クリスタ「…う…」

ユミル「よう、起きたか。大丈夫か?クリスタ」

クリスタ「…なに言ってるの。僕はアルミン…」

ユミル「は?」

アルミン「え?」

ミカサ「クリスタ…無事で良かった」

クリスタ(…あれ、これは僕の体じゃない…)

クリスタ(あれ?そもそもここはどこだ?僕は何をしていたんだ?)

クリスタ(それに…)チラッ

ユミル「…」

ミカサ「…」

クリスタ「あなたたちは誰ですか?」

ミカサ「え?」

ユミル「おい、何言ってんだお前…」

クリスタ「あれ…あれ?何も思い出せない……思い出そうとすると…」

ズキンッ

クリスタ「頭が痛い…」

ミカサ「クリスタ!?…何かあったのだろうか?」

クリスタ「だれ?僕はだれ?」


ユミル「まあ落ち着け。お前の名前は…クリスタ・レンズ。兵士になるために訓練生に入ってる女だ…まだ思い出せないか?」

クリスタ「ごめんなさい…思い出せない……けど…」

クリスタ「…私は…クリスタ・レンズなんだね?」

ミカサ「そう…貴女はクリスタ」

サシャ「大丈夫ですか、クリスタ!?どこも痛くないですか!?」

クリスタ「大丈夫だよ、…何も思い出せないけど。貴女の名前は?」

サシャ「え!?サシャ…です。本当に忘れてしまったんですか!?」

クリスタ「ごめんね、サシャ」

クリスタ「……ねえ、クリスタってどんな娘だったの?」

サシャ「そうですねぇ、とても優しいですよ!!まるで神様のようです、笑顔も癒されますね!!」

クリスタ「…わかった、ありがとう」

クリスタ(じゃあ、いいことをして……常に笑顔で居なきゃダメだな)

クリスタ(私はクリスタ・レンズ…優しい良い子なんだから)

―――男子寮

アルミン「…」

アルミン(どうしよう、どうしよう…なんで私とアルミンの意識が入れ替わってしまったんだろう…)

ライナー「見ろ皆!俺の筋肉を!!」

コニー「カッコいいぜ!!」

アルミン「ちょっと裸にならないでよ恥ずかしい!!」

ライナー「え?」

エレン「え?」

アルミン「あ、いや…何でもないよ気にしないで…はは…」

アルミン(…どうやって戻ろう…)

アルミン(…しかし皮肉な事に…アルミンと入れ替わってから急にお姉ちゃんの記憶が戻ったし……そのおかげで、クリスタの時の心のモヤモヤも小さくなった気がする。何だか気が楽だ)

ジャン「てかよ、お前いつまでクリスタの格好してんだ?」

アルミン「…」


アルミン「罰ゲームでしょ?もう少しこのままでいいよ」

(…やっぱり男の格好じゃ違和感あるしね)

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