ゴキブリ「ニンゲンはかくも恐ろしい」 (14)

ゴキブリ「ニンゲンはかくも恐ろしい」

子ゴキブリ「フンッ、くだらねぇ!人間ごときノロマな生き物に何をびびってやがる!」

ゴキブリ「若きゴキブリよ、汝にニンゲンの恐ろしさがわかるか」

子ゴキブリ「ケッ、仰々しく言いやがって!俺は人間みてぇなでかいだけで馬鹿な奴らには負けねぇぜ」

ゴキブリ「ニンゲンは恐ろしい。未来あるゴキブリよ、汝にニンゲンの恐ろしさを見せてやろう」

子ゴキブリ「よけいなお世話だね、お、あんたところに旨そうな団子があるじゃねぇか」

ゴキブリ「小さきゴキブリよ、汝がそれを口にしたら汝は死ぬ」

子ゴキブリ「な、何を馬鹿な!」

ゴキブリ「それはニンゲンが設置した毒団子。汝のみならず汝の糞を食す者まで死に至らしめる猛毒」

子ゴキブリ「な、なんだと・・・」

若きなのか小さきなのか

嫌われものでよかったですわ~

ゴキブリ「ニンゲンはかくも恐ろしい。我々ゴキブリの数を減らすためなら悪魔にも魂を売り渡す」

子ゴキブリ「何も知らずに口にしていたら俺は今頃・・・」

ゴキブリ「汝は死に絶え、汝を喰らうゴキブリもまた死に絶えた。死の連鎖は甚大な被害をもたらした」

子ゴキブリ「あ、危なかった。だが、毒団子にさえ気をつければいいんだろ。人間なんて楽勝だぜ」

ゴキブリ「ニンゲンはどこまでも残酷になれる。我々ゴキブリには」

子ゴキブリ「お、あんなところに住むのに快適そうな箱があるじゃねぇか」

ゴキブリ「それに足を踏み入れたら汝は死ぬ」

子ゴキブリ「な、なに!足を踏み入れただけで!?」

ゴキブリ「それはニンゲンが仕掛けた罠。床は強力な接着剤になっている。踏み入れたが最後、動けなくなって餓死か生きたまま火葬される」

子ゴキブリ「ば、馬鹿な!何をそこまで!」

真に恐ろしいのはその罠ですら耐性を付け突破してくる貴様らだ

ゴキブリ「ニンゲンは知能が高い。だが、我々の痛みや苦しみを理解する知能は皆無に等しい」

子ゴキブリ「それにしたって残酷すぎる!我々を食すわけでもないのにむやみやたらと殺害するなど!しかも残酷なやり方で!」

ゴキブリ「若者よ、少しはニンゲンを理解し始めたようだな」

子ゴキブリ「くっ、悔しいがアンタの言うことは一理あるようだ」

ゴキブリ「若者よ、私の話したことではニンゲンの悪について一理すら伝わっていない」

子ゴキブリ「!?」

ゴキブリ「ニンゲンは我々の想像をはるかに凌駕する悪そのものなのだ」

子ゴキブリ「と、とにかく、毒団子や罠に気をつければいいんだろ、ら、楽勝、さ・・・」

ゴキブリ「ニンゲンは毒ガスを散布する。我々は一呼吸で死ぬ」

子ゴキブリ「な、なに!?」

俺「うわ…」スプレーブシュー

ゴキブリ「見よ、あの白いガスを、死の煙を」

子ゴキブリ「あ、あれは・・・」

ゴキブリ「あれこそ『バルサン』。ニンゲンが編み出した究極の大量破壊兵器」

子ゴキブリ「バルサン!?」

ゴキブリ「そう、バルサンだ。別名『白い死神』。数多くの我々のコロニーを全滅させてきた」

子ゴキブリ「へ、部屋が毒ガスに満たされていく・・・」

ゴキブリ「死んだ、死んだぞ、一匹、二匹、また死んだ」

子ゴキブリ「や、やめろ!なんでこんなことをするんだ!」

ゴキブリ「年寄りが死んだ、大人が死んだ、子供も死んだ、赤ん坊も・・・死んだ!!!」

子ゴキブリ「う、うわあああああああああ!!!」

ゴキブリ「目を背けてはならぬ!ニンゲンの、鬼畜の所業を見よ。その眼(まなこ)に焼き付けよ!!」

この二匹のゴキブリはどこにいる設定よ
同室ならこの二匹もバルサにやられるんじゃ

子ゴキブリ「はぁ、はぁ、はぁ、人間は、人間はなんて残酷なんだ」

ゴキブリ「世界平和、幸福、夢。そんな綺麗事を並べニンゲンは科学技術を発達させた。だが、発達した科学技術は我々を殺害するために転用されているのだ」

子ゴキブリ「まだ生まれたばかりの赤ん坊まであんな無惨な姿に」

ゴキブリ「神はなぜ人を許すのか。我々に神はいないのか」

子ゴキブリ「あんまりだ!こんな、こんなことが許されていいのか!」

ゴキブリ「まだだ。まだ終わらぬ。ニンゲンの、外道の心は、もっともっと残酷なのだ」

子ゴキブリ「い、嫌だ!もうたくさんだ!俺は人間のいない所で生きていく!」

ゴキブリ「逃げられはしない。少年よ、汝の精神が破壊されようとも、汝はニンゲンの深淵(アビス)を知らねばならぬ」

子ゴキブリ「ゆ、許してくれ、俺は若かった、青かったんだ。もうこれ以上は・・・!!」

ゴキブリ「刮目せよ!ニンゲンが我々の遺体をどう扱うのか!」

子ゴキブリ「に、人間が我々の遺体をゴミのように扱っている!」
ゴキブリ「ゴミのような、ではない。ゴミなのだ」

子ゴキブリ「な、なんと!」

ゴキブリ「ニンゲンは『命には尊厳がある』『命には重みがある』とのたまう。だが、我々の命はニンゲンにとってゴミでしかない」

子ゴキブリ「馬鹿な!命ある者ならば死を理解できるはずではないのか!」

ゴキブリ「ニンゲンは残酷だ。口では命の温もり、命は大切だ、一人に一つずつ大切な命などと言いながら我々を殺す。まるで息をするように」

子ゴキブリ「や、奴らはいったい・・・」

ゴキブリ「ニンゲンは凄まじい。我々を殺すのになんの躊躇もない。悔いもない。我々を殺すニンゲンはニンゲンの世界で英雄になれる」

子ゴキブリ「英雄だと!」

ゴキブリ「そう、英雄だ。ニンゲンは他者の命を奪い英雄になれる種族。食すわけでもないのに殺して英雄になれる生命体なのだ」

子ゴキブリ「そんな、奴らにとって命とはなんなんだ!」

ゴキブリ「サメは他者を殺す。ライオンも他者を殺す。それら全て自分が生きるためだ。ニンゲンは我々を殺す。生きるためではない。ただ不快だからという理由なのだ」

子ゴキブリ「ふざけるな!不快だからという理由で命の灯を消していいというのか!」

ゴキブリ「命・・・未来・・・生物・・・ニンゲンにとって最優先されるべきは快楽なのだ。快楽の邪魔をする存在にはあらゆる理屈や価値観は存在しない。全身全霊をかけて抹消するのみ」

子ゴキブリ「なんというエゴイスト、なんという残忍さ・・・」

ゴキブリ「あれを見よ、ニンゲンの子供が蟻を殺害している」

子ゴキブリ「あれは・・・」

ゴキブリ「ニンゲンは子供の頃から命を奪うことなどなんとも思っておらぬ。蟻を踏み潰し、巣に小便をかけている」

子ゴキブリ「狂っている。なぜだ、なぜそんなことができる、なぜそんなことをするように思考が働く!」

ゴキブリ「面白いから」

子ゴキブリ「え・・・」

ゴキブリ「面白いからという理由でニンゲンは自分より弱い生命体を殺すのだ」

子ゴキブリ「面白いからだと!そんな理由であんな殺戮が許されるのか!しかも子供が!」

ゴキブリ「ニンゲンはあのような行動を許す。蟻を、小さな生命を踏みにじろうと大人は咎めない。もしも咎められるとしたらそれは死骸で手が汚れたという理由による」

子ゴキブリ「恐ろしい・・・殺戮を楽しむ、面白いと感じる生き物が存在するなんて」

犬「私は」

子ゴキブリ「!?」

犬「私は生きたままライオンの檻に放たれた」

子ゴキブリ「なんだと!」

犬「ライオンが運動不足だから、ライオンの狩りの本能を刺激するために、動物園という監獄をより見世物として高みに上がるために。そんな理由のために私はライオンに食い殺された。生きたまま」

子ゴキブリ「ば、馬鹿な・・・なぜ、なぜそんなことのために命を・・・」

犬「ニンゲンは面白ければ構わない。痛みも恐怖も。自分にそれが降りかからなければニンゲンは何も感じない。かわいそうだとか言いながらも決して救いはしないのだ。己の偽善に酔いしれているだけ」

ゴキブリに関しては面白い感情より先に もいうか感情云々が起こる前に無意識てきに殺虫してると思いましたまる

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