歩兵「俺ってモテモテじゃね?」(43)
大将(女)「ほう?この私が居るのに浮気とは...一兵卒の癖に...!」
看護兵(女)「歩兵!こんな可愛い許嫁が居るのにこの人達は何?!」
伍長「不潔...」
歩兵「み、みんな落ち着けよ!」
少将「歩兵は誰を選ぶの?!」
「「「誰を選ぶのよ?!」
歩兵「う、ウワああああ!」
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母「おら、さっさ起きろやコラァ!」ゲシッ
歩兵「痛ってえ?!...あれ?看護兵は?!大将は?!」
母「何言ってんだこいつ?いいからさっさと飯でも食って来い!冷めちまうだろうが」
歩兵「あ、ああ...」
母「うわっ、髪ぼっさぼさじゃねえか、髪整えてから飯食えよ?じゃ、仕事行ってくるから」バタン
歩兵(何年も女に恵まれて無いから遂にこんな夢まで...)
歩兵「もうダメだなこりゃ...」
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歩兵「さァ飯食うか~...っとその前に...」
歩兵「父ちゃんおはよう」チーン...
歩兵「線香なくなっとる...母ちゃん買ってくるかな?」
歩兵「んじゃ頂きま~すっと...」
歩兵(あら?またご飯質素になってる...戦争も近いんだな~)
歩兵(俺もそろそろ招集令状来るんだろうな~)
歩兵「はぁ...父ちゃんが支那で死ななかったらなぁ...良い飯食えんだろうな~」
歩兵「まぁぼやいたってしゃあないか...ごちそうさま」
トントン...
歩兵「どうぞ~」
幼馴染「失礼しまーす」
歩兵「お?どうしたんだ?こんな早くに...ってその人誰?」
男「お、おじゃまします」
歩兵(俺よりも美形じゃねえか...幼馴染が何で?)
歩兵「あの~...お名前は...」
男「あ、すいません...まだ名前言って無かったですね...僕は男って名前です、幼馴染とは婿養子と言う関係です...」
歩兵「へぇ~...おう?!」
幼「言ってなくてごめんね?男が戦争に行くから早めに婚約しといた方が良いかなって...ね?」
男「うん、何か無理やりって感じになったけど...」
幼「私は大丈夫だから...ね?」
イチャイチャ
歩兵(な、何しに来たんだ?)
歩兵「あの~...もう良いっすかね?」
幼「あ、ごめんね、じゃあもう行くね?」
男「お邪魔しました...」
歩兵「お、おう、またな~」
ガラガラ...
歩兵「幼馴染が結婚...ねぇ...?」
歩兵「昔は「歩兵と結婚するの!」って言ってのになぁ...」ホロリ
歩兵「おっと涙が...」
歩兵「昼寝するか...」
歩兵(はぁ...俺が戦争に行っても誰が見送ってくれるんだ?...)
歩兵(母ちゃんは軍需工場で働いてるから無理だろうなぁ...)
歩兵「...」ホロリ
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母「おい、起きろ飯だぞ~」
歩兵「お...うん」
母「何だ?泣いてたのか?目真っ赤だぞ?」
歩兵「いっいや、泣いてないよ...」
母「...幼馴染ちゃんか?」
歩兵「...」
母「まぁ諦めろ、お前には高嶺の花だったんだ、ただそれだけの事だよ、さぁ早く飯を食え!」
歩兵「うん...」
母「すまんなぁこんな質素な飯で...」
歩兵「しゃあないよ...時代が時代だし...」
母「あ、そうだ...父ちゃんの骨が出てきたそうだ」
歩兵「...」
母「お前もそろそろ覚悟決めとけよ...いつ令状が来るかも分かんねえからな...」
歩兵「うん...」
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母「幼馴染の婿養子が今日出征するんだって...海軍に行くそうだ」
歩兵「そう...」
母「それと、幼馴染ちゃんも看護兵として一緒に行くんだってさ」
歩兵「え?何で?」
母「知らんよ」
歩兵「...」
母「隣の大学生の子も明日行くんだってさ...もうこの街じゃあ若いのはお前だけだよ...そろそろだな...」
歩兵「生きて帰るから大丈夫だって...」
母「ムキムキの父ちゃんも死んだんだ、お前が生きて帰れるかよ...」
歩兵「...」
母「もう寝るか...」
歩兵「風呂入ってくる...」
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オトコクン!バンザーイ!バンザーイ!
オサナナジミバンザーイ!バンザーイ!
歩兵「...もう行くのか~」チャプ...
歩兵「何処行くんだろう...」
歩兵「そろそろかぁ怖いなぁ...」
歩兵「あがろうっと...」
次の日...
町長「ごめん!歩兵は居るか!」
歩兵「はい?俺ですけど...」
町長「おお、来たなほれ令状が届いてる明後日の午後六時に出発だ...」
歩兵「やっとですか...俺もやっと...」
町長「酷いねぇ...まだ十代なのに...戦争に行くなんて...」
歩兵「いえ、大丈夫です」
町長「そうかい?私がお見送りに行こうか...」
歩兵「いえ、泣いてる所を見られたら恥ずかしいので...」
町長「すまないね...それじゃあね、体を大事にしんさいよ?」
歩兵「はい」
ガラガラ...
歩兵「来たな...遂に...」
歩兵「...遺書かいとこっと...」
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2日後...
母「おらさっさと行かんか」
歩兵「はいはい...じゃあね」
母「...生きて帰ってこいや」
歩兵「うん...」
母「じゃ、行ってくらぁ」
歩兵「うん」
ガラガラ
歩兵「んじゃあ...俺も行きますかな...」
ガラガラ
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駅...
歩兵「集合場所はここかな?」
?「あの~令状の集合場所ってここでかね?」
歩兵「え?ああ...君も令状がきたの?」
二等兵「あ...君もかい?良かった~僕は隣の市からきたんじゃけど...駅なんて初めて来たもんじゃから...」
歩兵「同じ部隊になれるといいけどな...」
二等兵「ほんとじゃね~...あ、あの人広報の人かな?」
広報官「...よっし、皆集まったな」
志那?太平洋戦争?
広報官「これからお前らには汽車に乗れ!全員が乗車出来次第今後の予定を伝える!」
広報官「貴様らの分隊はもう決まっているので勝手な行動はしないように!終わり」
ザワザワ...
分隊長「はいはい、静かに!今から君たちの入隊する部隊の書いた紙渡すから!令状に書いている番号ごとに並んで~!」
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ガッシュ!ガッシュ! ボー!
「俺のかかあがぉめぇらに柏餅さ作ってくれただよ!有難く食え!」
「じゃあ俺でっかいの貰うぞ~!」
「あっ!おい!それ俺んだぞ!」
ザワザワ...
歩兵「柏餅かぁ...母ちゃんの柏餅不味かったなぁ...」
一等兵「そうじゃけどもう、食えんから何かもう一度食いたいな~」
工兵「ほれ!おみゃあらも食え!うめぇぞ?」
一等兵「じゃあお言葉に甘えてっと、ほら」
歩兵「お、ありがっと...そいやぁ生まれはどこ?ここいらじゃあ聞かない
言葉だけど...」
工兵「わしか?わしゃぁ中部の生まれでよ、一年前にこの都市に来たんだよ」
歩兵「へえ、お?この柏餅俺ん家の母ちゃんが作る奴ヨリうまいなぁ」
工兵「実家が和菓子屋さんやっててよ、お父とかかあがやってたんじゃけんど
お父が戦争に行ってしもうて、今は、妹とかかあが経営してんだ」
歩兵「お前の父ちゃんも戦争行ったのか?俺の父ちゃんも戦争に行ったんだけど
シナで戦死したんだよ」
工兵「お互い大変だな~、まぁこの戦争で生きて帰ろうや」
「司令官のお言葉だ、総員起立!」
歩兵(司令官ってどんな人なんだ?)
一等兵(さぁ...)
工兵(柏餅うめぇ)
「女大将殿、どうぞ」
大将「うむ、ほぉ...ここはバカにむさ苦しいな」
\ドッ/
「静かに!」
大将「おお、すまんなそれでは本題に入るか」
大将「知っての通り我が帝国陸軍は君たち若い者達にまで令状を渡し戦場に
行かせでもしないと戦えな状況に陥ってる」
大将「そこの君、何か夢ややりたい事はあるか?」
「はっ!自分は実家のグラス工房を継ぐ事が夢でした!」
大将「うむ、今もそれをやりたいか?」
「いえ!自分は帝国陸軍の一兵士として、夢は捨て!家族の為に戦い、そして
死んで靖国に行くと決心しました!」
大将「そうか...しかし君、それではダメだ」
「はい?」
大将「君たちはまだ若い、もしこの戦争が無ければそこの君も、君も、
もしかしたら凄い人間になってたかもしれない、いやなれ!これは命令だ」
「「「...」」」
大将「だから、まだ死ぬのは早い、生きて帰れば母や妻に思いっきり甘えるんだ、これも命令だ!いいな!」
「「「「「はいっ!」」」」」
「ありがとうございました、それでは」
大将「うむまた、会おう」
工兵「いや~大将さんベッピンさんだったな~」
歩兵「話し聞いてたのかよ...」
一等兵「でも、帝国軍に女性が居たんじゃね、初めて知ったよ」
工兵「珍しい事か?ワシの姉も海軍の偉い人だで?」
歩兵「男の時代は終わったんだよ」
一等兵「ふーん...」
分隊長「みんな~!そろそろ練兵場に着くから支度しといてね!」
「「「はい!」」」
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いつ?
スレタイで将棋の話かと思った
第二次大戦期だろ
ただし史実よりも男女平等が早く実現した世界
練兵場...
小隊長「貴様らか...長旅で疲れたろう、今日は休んで、明日からの訓練
に備えてくれ、以上」
歩兵「何か厳しそうな人だったな~」
一等兵「う、うん...一カ月も持つかのぅ...」
工兵「まぁ今日はさっさと寝ようや」
兵舎
歩兵「ここかな?」
工兵「なんじゃ、バカにボロイんじゃのう」
一等兵「うわ...ギシギシいってる...」
老兵「いやあ~すまんね~兵舎まで直す金が無くて...」
歩兵「え?あ、どうも...」
老兵「ああ、名乗るのが遅れましたな、私は此処で兵の訓練を指揮する
老兵と言います」
一等兵「え?じゃあ上官って事ですか?」
老兵「まあそうなりますな、さぁ!訓練は明日から始まりますぞ、今日は寝なさい」
工兵「はいよ~」
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練兵場
隊長「おし!工兵隊の奴は右!歩兵隊は左に「整列しろ!」
工兵「んじゃ、後でな~」
歩兵「おう」
一等「急がないと、隊長にどやされるよ?」
歩兵「はいはい」
隊長「はいはい急げよ~」
夜... 食堂
工兵「いやぁ...疲れたぁ」
歩兵「一日中、銃持って的撃つのは結構くるなぁ...」
工兵「ワシなんか火焔放射機持って走って焼いての繰り返しだよ...」
一等兵「これを一カ月もするんか~体持つかのう...」
老兵「何か心配でもあるのかね?」
歩兵「じょ...上官...」
老兵「まぁ直ぐ慣れるさ、たったの一カ月だ」
一等「この訓練が終わったら何処に配属させられるんですか?」
老兵「さぁな...もしかしたら激戦地に送られるかもな...この訓練も配属待ちのヒマつぶし
みたいなもんだ」
歩兵「激戦...」
老兵「さあ...もう寝なさい、明日も訓練が待ってるぞ...」
歩兵「はい」
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深夜...
工兵「ん~...便所っと...」
ガチャ
工兵「まだ春だってのに...ちょいと蒸し暑いな...」
「いけません!まだ早すぎます!」
「これは大本営からの命令です明後日の0:30までに集合を掛けて下さい、では」
ガチャ
工兵(おっと~...)
ササッ...
伝令兵「...ん?気のせいか...」
工兵(...ふぅ、あぶねぇ...)
老兵「まだ訓練もままならないと言うに...」
伍長「しかし大本営の命令ですからね...逆らえません...」
老兵「戦争は若い奴から死んでいく...」
工兵(とうとう来たのか...)
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翌朝...
工兵「...だってよ」
歩兵「...」
一等「まだ訓練も終わって無いのに...」
歩兵「招集は何時なんだ?」
工兵「明日だ」
歩兵「またそりゃあ急ぎ足だな、よっぽど戦局はヤバいんだな...」
『ウ~、ウ~、ウ~』
歩兵「お?何だ、何だ?」
一等「集合かな?外出てみよっか」
工兵「お、おう」
上官「並べ!急げ!」
上官「...よし...どうぞ」
老兵「ん...さっそく本題に入ろう」
老兵「君たちに招集が掛かった、場所は言えない出発は明日の1:00だ、以上」
「敬礼!」
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「おい、まだ的の中心にも当たってねえんだぞ...」
「場所も言えないって事はよっぽどの激戦になるのかな...?」
工兵「あらら...みんな不安なんだなぁ」
歩兵「当り前だろ、初めての戦闘だ不安にもなるわ」
伍長「すまんが...ここに工兵と言う奴はいるかな?」
工兵「はっ!自分であります!」
伍長「ちょっと来てくれるかな?」
工兵「はい」
歩兵「工兵の野郎何したんだ?」
一等「さぁ...」
兵舎裏
伍長「君は昨日の深夜、何処に居たんだい?」
工兵「へ?いっいやぁ...」
伍長「...聞いていたのか?大本営の命令を...」
工兵「いっいやそんな事は...無いです...聞いてないです」
伍長「...まぁ良い、もう戻って良いぞ」
工兵「はっはい!」
伍長「...」
歩兵「工兵、なんの話してたんだ?」
工兵「いやぁ...何でもねぇ、それよりも今日は休みだしどっか行こうや?」
一等「う、うん」
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保守
続き気になるな
この世界でだーれも、見たことがないものがあんねん。
それは優しくてめっちゃ甘いねん。
多分、見ることができたなら、みんなそれを欲しがるはずや。
せやから、誰もそれを見たことがないねん。
そう簡単には手に入れないように、世界はそれを隠したんや。
だけどいつかは、誰かが見つけんねん。
手に入れるべきだった一人が、ちゃんとそれを見つけられるんや。
そういうふうになってんねん。
このSSまとめへのコメント
面白い!!続き楽しみです
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