老中「はるか西方の地にて魔王なる災いが再臨したとの報せを受けた」
侍「さようでございますか」
老中「すでに西方諸国では二百年前の魔王を討伐した勇者の血筋を探しだし、討伐隊を組むとの事じゃ」
侍「ははあ」
老中「されば、尚武で鳴らす我が国の事、討手の一人も出さねば面目が立たん」
老中「そこで、その方には我が国の名代として討手に加わり魔王を誅して来てもらいたい」
侍「そ、某がでございますか?」
老中「うむ、聞けばその方、我が城下でも並ぶ者の無い剣士だそうではないか」
侍「しかし、某の家はわずか二十石の下士の身、そのような大それた役を・・・・」
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老中「石高などはどうでも良い、武芸指南役をはじめ、腕に覚えのある者に聞いて回ったところ」
老中「おぬしをおいて適任は無し、と口を揃えて言いよった」
侍「さ、されど・・・・・」
老中「ごちゃごちゃぬかすな、もう執政の面々には話は通っておる、皆も文句は無いそうじゃ」
老中「近いうちに主上に上奏し、殿自らお声がかりがあるであろう」
老中「つまり、これは主命じゃ、まだ何か言う事があるか?」
侍「・・・・・ございませぬ、主命とあらば、この生命に替えましても大役果たさせていただき申す」
老中「うむ、出立はおそらく十日ほど後になろう、旅支度をしておけ」
侍「はっ」
侍「(これはまずい事になった・・・・・・)」
侍「(仮にも武家に生まれた身、魔王であろうと何であろうと恐れはせぬ)」
侍「(ましてや主命を受けての討伐隊、これほどの誉れは無い・・・)」
侍「(自慢ではないが自らの腕にもいささかの自信はある)」
侍「(一剣を恃んで恐れるところを知らず・・・と言いたいところだが・・・・)」
侍「(その一剣がこの有り様ではなあ・・・・・・)」スラリ
侍「(竹光では・・・・・・・・・・・・・・・・・)」ガックリ
侍「母上、ただいま帰りましてございまする」
母「おかえりなさい、老中様のお話とは何事でしたか?」
侍「は、かくかくしかじかで、魔王を誅する旅に出る事と相成りました」
母「なんと!それは大した誉れ、しっかり勤めあげてまいられよ」
侍「つきましては母上を一人残す事になりますのが心残りではございますが・・・」
母「後のことは心配しないでよろしい、そのような事を言われるほど母は老いてはおりませぬ」
母「そなたも武家の子ならば家の事など心配せず、勤めを果たす事をだけ考えなさい」
侍「は・・・」
母「では、旅支度をせねばなりませんね、ああ、そうそう、本家の方にも報告をしなければ」
母「そなたはお師匠様にもお話をして来なさい、きっとお喜びになるでしょう」
侍「はい・・・(いかん、どんどん大事になっておる・・・もはや後戻りはきかん)」
-- 城下町 質屋 --
侍「そこを何とか頼む、旅より戻れば必ず褒賞が出よう、その金にて元利とも返すが故」
質屋「お武家様、あたくしも何も伊達や酔狂で質屋を営んでいるわけではございません」
質屋「お殿様のために大役を果たされるのはご立派ではございますが」
質屋「商いはあくまで商いでございます。利があればこそ、あたくしたちはお金を融通するのでございます」
侍「だから、旅より戻った折には質入れした額の倍にして返す故・・・・」
質屋「そこでございますよ、お武家様」
侍「そこ、とは?」
質屋「旅より戻れば、とおっしゃいますが、聞けば西方の魔王とやらは大そう恐ろしい妖かしの類だとか」
質屋「お武家様が無事戻るとは限りますまい?」
侍「そ、それは・・・」
質屋「されば、報奨金で返すなどと申されましても、絵に描いた餅でございます」
質屋「そのような物を担保に金子を融通したなどとあってはあたくしは商人仲間の笑いものでございますよ」
質屋「さあさ、あたくしも忙しい身でございましてな、そろそろお引き取りいただけますかな?」
侍「くっ・・・」
質屋「あ、もちろん元利合わせて耳を揃えてお出でいただくならばいつでも大歓迎でございますけど」
侍「(やはり・・・・・だめか・・・・・・・)
-- 殿中 謁見の間 --
筆頭老中「以上の如く、侍に魔王討伐の任を命ずるものとする」
侍「ははっ!!」
殿「というわけじゃ、励めよ」
侍「ありがたきお言葉!!」
殿「要るものがあれば城の者に言うが良い」
侍「(刀が欲しい・・・と言いたいところだが・・・)」
侍「(主上より刀を賜るなど、武家の誉れの最たるところ)」
侍「(何ひとつ功を成したわけでもないのにそのような事口にできるわけも無い・・・)」
殿「路銀は勘定方に申し付けてある、あとはそこの老中とよきに計らえ」
侍「ははっ!!」
殿「では、余はもう下がる、その方のはたらき、楽しみにしておるぞ」
老中「では侍よ、ご苦労だがひとつ頼むぞ」
侍「お・・・お任せ下され・・・」
老中「そうそう、路銀の方はこの札を持って勘定方に行くが良い」
老中「一両日中には手形とともに手配も済んでいよう」
侍「はっ(そうか!路銀!!)」
侍「(西方までの路銀ともあればそれなりの額のはず・・・)」
侍「(それで先に刀を買い戻して、道々ではなにがしかの方法で残りの路銀を稼げば・・・)」
老中「しかしな・・・」
侍「?」
老中「近頃はわが国も財政が火の車でな」
侍「(何やら嫌な予感が・・・・)」
老中「国を代表して往くおぬしには申し訳ないが、隣国までの路銀しか用意してやれぬ」
老中「それもかつかつの額になってしまうが、悪く思うな」
老中「まあお主もそれだけの腕があればそこから先は自らの才覚でなんとかなろう」
老中「そのような次第じゃから、まあ、ナニじゃ、すまぬがよろしく頼む」ソソクサー
侍「・・・・・・・・・・・・・・・」アゼン
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-- 隣国 港町 --
侍「さて、ここまでは来たものの、これで路銀も尽きた」
侍「文無しに加えて腰の物は竹光ときた、進退極まったの」
侍「とはいえ主命とあれば役目を果たさねば戻れん」
侍「仕方あるまい、まずは勇者どの一行についてなにがしか噂でも無いものか聞いて回ろう」
侍「これこれ、そこの娘御や、ちくと聞きたい事がある」
町娘「アイヤー、変な格好してるアルな、どこから来たアルか?」
侍「某は隣の国からやってきた者じゃ、ちと訳あって西方の勇者どのをお訪ねしたい」
侍「おぬし、何か噂など聞いておらぬか?」
町娘「アイヤー、勇者の話は聞いた事あるアルよ、確か南の砂漠の国に向かってるらしいアル」
侍「ふむ・・・砂漠とな・・・話には聞いた事があるが、えらく遠いところだとか」
町娘「そうアルね、ここからだと4つぐらい国を越えた先アルよ」
侍「なんと・・・・・・そんな遠いところまで一体いかに辿り着いたものか・・・」
町娘「陸路で行くなら西の大山脈を越えて三月ぐらいアルねー、海だったら船で行けるからもっと早いアル」
侍「船か・・・いや、文無しでは船になど乗れるハズもなし、これは参った」
侍「いや、娘御、これは世話になった、済まぬが先を急ぐ旅でな、これにて失礼する」
町娘「変なヤツアルね」
侍「それにしても、腹が減ったの・・・しかし文無しでは飯屋にも入れん」
侍「仕方ない、街の外にでも出て獣でも狩るか・・・」テクテク
侍「この小柄一本でどの程度の獲物が仕留められるかのう」
侍「まったく、こんな事は修行時代に山ごもりして以来じゃ」
侍「さてと、あの辺りの林にでも入ってみるか、兎でも居ると良いが」
アイヤー
侍「む?悲鳴が聞こえてきたようだが・・・」
タスケテアルー
侍「野盗でも出おったかの?」スタタタ
侍「それにしても、腹が減ったの・・・しかし文無しでは飯屋にも入れん」
侍「仕方ない、街の外にでも出て獣でも狩るか・・・」テクテク
侍「この小柄一本でどの程度の獲物が仕留められるかのう」
侍「まったく、こんな事は修行時代に山ごもりして以来じゃ」
侍「さてと、あの辺りの林にでも入ってみるか、兎でも居ると良いが」
アイヤー
侍「む?悲鳴が聞こえてきたようだが・・・」
タスケテアルー
侍「野盗でも出おったかの?」スタタタ
行商人「ひいいいいっ!!!」ドタドタ
魔物A「ガウガウ」
魔物B「ギャオギャオ」
侍「何事じゃ!!」ザッ
行商人「ひいっ!!誰だか知らないけど助けてアル!!」
侍「む、魔の者でござるか、助太刀いたすぞ!!」
魔物A,B「ギャウ?」
侍「ふむ・・・(ジーッ)大した強さではないな、一太刀で済む相手じゃ」
侍「うむ、いざ参る!!・・・・・・・・・・・・ハッ」
侍「(いかん、忘れておった、腰の物は竹光じゃった)」
行商人「早く助けてアル!剣を抜くアル!!」
侍「」ダラダラ
侍「(まずい、これはまずい・・・)」
魔物A,B「グルルル・・・」ジリジリ
行商人「ひいいいいいいい」ズザザザ
侍「(ええい、ままよ、侍たるもの武芸百般に秀でてこそ、無手でなんとかしてくれよう!)」
侍「ふ、ふん、お主らごとき、刀の錆にするまでもない、かかって来るが良い」
魔物A,B「ギャオーッ」
侍「フンッ!!」ボッ
魔物A「たわばっ」ブシャアア
侍「ハァッ!!」ヒュボッ
魔物B「ひでぶっ」グシャアア
侍「・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」
侍「なんと・・・張りあいの無い・・・・」
行商人「アイヤー!!凄いアル!アンタ滅茶苦茶強いアル!!」
侍「いや、さほどの事はござらん、あの魔物どもが見かけだおしだっただけじゃ」
行商人「そんな事無いアル!あの魔物はさんざんこのところ街の衛士も手こずってたタチの悪い魔物アルよ!!」
行商人「もう助からないと思ったアル!!アンタは命の恩人アルよ!!」
侍「いやいや、人々を守るは武家の勤め、お気になさるな」
行商人「またまたご謙遜アルね!それにしてもなんで剣を抜かなかったアルか?」
侍「あ、いや、その、ええ、あの程度の相手に刀を抜いては・・・と思って、その、な」
行商人「流石アル!!きっとその腰のモノ、さぞかし名のある名刀アルね!!」
行商人「きっとその名刀に相応しい相手にしか剣を抜かないアルね?ワタシ商人アルから目利きは確かアルよ!」
侍「え、あ、その、そうだな・・・・・・・・(竹光なんじゃが・・・)」
行商人「とにかくアンタは命の恩人アル!!家に来るアル!!せめてものお礼に一食ごちそうするヨ!」
侍「あ、いや、そこまでしていただいては・・・いや、せっかくのご好意を無にするのも無礼じゃの、お供つかまつろう」イソイソ
行商人「そうアルか!よし、善は急げアル!こっちアルよ」テクテク
侍「む、む、さようか」ギュルルルル
テクテクテク
行商人「さあさあついたアル、むさ苦しいところアルが入ってくれアル」バーン
侍「な・・・ご主人、この立派な邸宅が・・・・?」
行商人「いやいや、ただのあばらやアルよ、ささ、そんな所で突っ立ってないでさっさと入るアルよ」
侍「いや、これほどの豪邸の主とは、さぞかし名のある商人に違いあるまい・・・かたじけない、お邪魔いたす」
行商人「褒めても何も出ないアルよ、いや、もちろんお礼は出るアルけど。おーい、娘や、帰ったアルね!」
町娘「とーちゃんお帰りアルって・・アイヤー!?」
侍「む?これは聞き覚えのある声・・・」
町娘「さっきの変なおっさんアル!!」
行商人「あ、こちらワタシの娘アルね」
侍「お、先刻の娘御ではないか」
行商人「あれ、顔見知りアルか?」
侍「うむ、先刻ちと物を尋ねた折にな」
町娘「とーちゃん、なんかこの人勇者の所に行きたいらしいのコト」
行商人「なるほど、しかし勇者どのは確か砂漠の国に今居るとか聞いたアルね」
侍「そのようでござるな、えらく遠いと聞いて難儀しておるのだ」
行商人「確かに遠いアルね、陸路で行ったら三月はかかるアル」
侍「さよう、先刻娘御にもそう聞いた」
侍「三月もかけていては勇者どのはまたどこに行ってしまうとも知れぬ」
侍「それどころか、下手をすれば魔王を討ち果たしてしまうやも分からぬでの」
行商人「そうアルねー、それなら船で行くヨロシ、一月ぐらいで着くアル」
侍「そ、それがな・・・・その、少々困った事に手元が不如意でな・・・・」
町娘「手元がふにょふにょ?このおっさん変な言葉を使うアル、頭悪いアル」
行商人「こら、ワタシの命の恩人に何て事を言うアルか!手元が不如意というのは、金が無いという意味アル」
町娘「なーんだ、そうアルか、おっさん頭が悪いんじゃなくて貧乏なだけアルな」
侍「ぐぬぬ」
行商人「アイヤー、それなら良い考えがアルね」
侍「む、まことか、ご主人」
行商人「ワタシこれから仕入れた商品を売りに内海の国に行くヨロシ」
行商人「内海の国は砂漠の国の隣アルから、そこまでワタシと一緒に来たら問題解決アルね!」
侍「なんと!し、しかし、それではお主に大きな借りを・・・」
行商人「何を言っているアル、命の恩人なんだからこのぐらい当然アルよ!」
行商人「それに、最近魔物も増えて物騒だからどうせ道中の用心棒も雇うつもりだったアル」
行商人「だからアンタには用心棒という事で一緒に来てもらうアル、これは正しい取引アルね!」
侍「む・・・そういう事であれば・・・承知した、ご主人の命、この身に替えてでもお守りつかまつる」
行商人「なんとも堅苦しい人アル、商人は愛嬌が大事のコトヨロシ」
侍「さ、さようか・・・」
--------------
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-- 定期船 甲板 --
行商人「やっと嵐も止んだアルな、いい天気アル」
侍「そうじゃの、昨日まではずいぶんと酷く揺れたからの」
行商人「あと2週間ぐらいで内海の国に着くアルね、ちょうど今は半分ぐらいアル」
侍「ふむふむ、この辺りの地図は我が国ではあまり詳しくなくての」
侍「よければご主人、少しこの辺りの地理を教えてはくれまいか」
行商人「良いアルよ、まず、ワタシたちが出発した絹の国の港町がこの辺りアルね」
侍「なるほど」
行商人「そこからぐ~っと南に回って来て、今居るのはこの沢山の島がある辺り、ここは海の国アルね」
行商人「この後、この大陸の下の端っこににある川の国の南を通って、この細長い内海に入るアル」
侍「ふむふむ」
行商人「で、この内海の一番奥にあるのが内海の国で、そのまた向こうにあるのが砂漠の国アルね」
侍「なんとも気が遠くなる旅路じゃの・・・」
行商人「だから昔は西方との交易も大変だったらしいアル」
行商人「ワタシの国と西方の間には治安の悪い国も多く、野盗にあう事も多かったそうアル」
侍「さようか、それは難儀したであろう、船に乗れたのは僥倖でござったな」
行商人「もっとも、船も油断はできないアル」
侍「と申すと?」
行商人「海は海で恐ろしい魔物が居る上に、このあたりは海賊も出るという噂アル」
侍「なんと」
行商人「もっとも、陸路に比べればよっぽど安全なのは変わらないアルけどね」
行商人「ここ最近は海賊に遭ったなんて話もあまり聞かないアル、のんびりしているヨロs(ジャーンジャーン)」
侍「む、この半鐘は?」
行商人「げえっ!!噂をすればなんとやらアル!!海賊の襲撃アルよ!!」
侍「一難去ってまた一難でござるな、ツイているのやらツイていないのやら(嘆息」
船員「だめです!船長!向こうのが船足がはええ!!」
船長「くそう、なんとか追いつかれるのを引き延ばせ!!」
船長「あと今のうちに乗客を下に避難させな!!」
船員「アイアイサー!!(汗」
侍「ふむ海賊でござるか」
船長「おい、客人あぶねえぞ!おめえ海賊どもの怖さを知らねぇのか!」
侍「追いつかれたらどこに居ても同じでござろう」
船長「そりゃそうだが、もうすぐこの甲板には矢が雨あられと降ってくんだ」
船長「そんなモンに刺さって死にたかねぇだろ!!ってあぶねっ」ヒュッ カカッ
侍「そのようじゃな、と、船長そっちは危ないぞ」ヒョイッ
船長「ひいっ」ビィィィン
侍「よ、はっ、と」パシッパシッ
船長「うへえ、素手で矢を・・・アンタ一体・・・」
侍「懐かしいの、昔はよく稽古中に師匠に矢を射掛けられたものじゃ」
ドーン!!
船員「だめだぁ~~!!接舷されたぞー!」
船長「畜生!これまでか、おい客人、アンタがどんだけ強いか知らんがこれまでだ!」
船長「なんとか積み荷を渡して見逃してもらえるよう交渉するから余計なコトするんじゃねえぞ!」ダダッ
侍「ふむ、あれが海賊どもか・・・船長はああ言っておったが、そう易易と見逃してもらえるものかのう」
侍「大した使い手はおらぬようだが、何分凶悪そうな面構えをしておる、そう簡単には収まらぬだろうなあ」
侍「致し方あるまい、ここで船に止まられては主命が果たせぬ」
侍「刀無しでどこまでやれるか分からぬが、ひと働きしてみるかの」
侍「ははあ、あの鈎つきの縄で船を引き寄せておるわけか・・・」
海賊頭「あぁん?積み荷を渡すから船を見逃せだぁ?」
船長「そ、そうだ、アンタたちの目当ては荷だろう?それは渡す!金も全て渡すから船は助けてくれ!!」
海賊頭「いやあ、おめぇ、なかなか度胸あんな」
海賊頭「おめぇの度胸に免じてここはまあ見逃してやってもいいぜ?」
船長「ほ、本当か!!」
海賊頭「なぁんて、言うと思ったのかコノヤロウ!!!」
海賊頭「泣く子も黙る南海の海賊様を前によくそんだけ舐めた口をきけたモンだな!!」
海賊頭「おい!!てめぇら!!!このボケナス、マストから吊るしちまえ!!」
海賊A「へい!!お頭!!」
船長「うひいいいいいいいいいいいいいい」
海賊頭「そいつを吊るしたら船倉にお邪魔して乗客どもをぶっ[ピーーー]ぞ!」
海賊頭「そっから先は競争だ!おめぇら!自分の食い扶持は自分で稼げよ!」ニヤリ
海賊「「「「「へい!!」」」」」
侍「あいや待たれよ!」
sagaをメール欄に入れると一部のワードの規制が解けるよ
なんてこった、コロヌはNGワードだったのか・・・
すみませんが脳内補完してください
>>41
そういえばそんな機能がありました、すっかり忘れてた、ありがとう!
海賊頭「あぁん?誰だ?どこから聞こえた?」
海賊A「お頭!あれ!うちらの船の方に!!」
海賊頭「あのヤロウ、いつの間に俺の船に乗り移りやがった」
侍「船長を吊るすのは少々待ってもらおうか」
海賊B「何寝ぼけた事言ってやがるんでしょうね、アイツ?」
海賊頭「それよりもウチのバカどもだ、何をやってやがる、留守番ども!そのネズミさっさと畳んじまえ!」
侍「それは無理だの、こっちの船に居る連中はみなすっかりノビておる」
海賊頭「なんだとぉ!?」
侍「さてと、某は少々先を急ぐ旅でな、ここでおぬしらに関わっている暇は無い」
侍「このまま大人しくこちらに戻り引き返すというならばおぬしらの事は見逃そうではないか」
海賊頭「んだぁ?バカ言ってんじゃねえぞコラ!」
侍「それが嫌と申すならば某はこの船に火をかけて自沈いたすが、いかがか?」
海賊頭「てめぇ・・・・」ギリギリ
侍「さあ!返答やいかに!!」
海賊頭「ぐぬぬ・・・・」
海賊頭「(なんてこった、美味しいカモだと思って襲ったらとんでもねえのが乗ってやがった)」
海賊頭「(しかしこのまま諦めたら俺の面子が立たねぇ、ただでさえ最近副長が調子乗ってやがるし)」
海賊頭「(このまま引いたら後で弱腰だなんだと面倒くせえ噂を立てられる)」
海賊頭「(とはいえ相手はウチの猛者どもを一人で叩きのめした化け物だ、どうしたもんか・・・)」
海賊頭「(そうだ!!!)」ニヤリ
侍「どうやら船には未練が無いようじゃな、よしよし、火をおこすとするかの」ゴソゴソ
海賊頭「ま、待てい!!!わ、わかった!!!」
海賊頭「俺も海賊とはいえ船乗りだ!船を焼かれるとあっちゃあ仕方ねぇ、言うとおりにしようじゃねえか」
海賊頭「と言いたいところだが、俺もこんだけの部下の前でそう簡単に引き下がるってワケにゃあいかねえのよ」
侍「さればどうする?」
海賊頭「てめぇ、俺と決闘しろ!」
侍「なんと!?」
海賊頭「おめぇが勝ったら俺達は引き下がる、だが俺が勝ったら船の荷は俺がもらう!」
海賊頭「どっちにしても船と命は保証してやるってんだ、悪い条件じゃねーだろう?」ニヤリ
侍「(決闘か・・・参ったのう・・・まあ仕方ない、無手でなんとかなろう)」
侍「よかろう、では受けて立とうではないか」スクッ
海賊頭「おっと、待ちな!決闘ってぇからには舞台が大事だ、そこで止まりな」
侍「む」
海賊頭「おい!板持ってこい!!!」
海賊B「へい!!」
侍「どうすると言うのだ?」
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