長谷川千雨「鳴護アリサ、って知ってるか?」2(ネギま!×とある禁書) (582)

前スレ
長谷川千雨「鳴護アリサ、って知ってるか?」

長谷川千雨「鳴護アリサ、って知ってるか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368805523/)

「魔法先生ネギま!」と映画「エンデュミオンの奇蹟」(「とある魔術の禁書目録」)
のクロスオーバー作品2スレ目です。

多分ネギま!側がメインの展開です。
ネギま!一通りと禁書の映画、その前提となる「とある」原作見てないと厳しいと思います。

正直言って私の禁書の知識、地雷あるかも(汗
ご都合独自解釈もありますが、爆炎上げて吹っ飛んでる様でしたらどうぞお手柔らかに。

 ×     ×

前スレの粗筋(超ネタバレ)

あの夏休みが終わり、ネギ先生がプラン実現のために奔走しているある日。
俗に言うネギ・パーティー、「白き翼」メンバー長谷川千雨は、
ネット上の友人、歌手鳴護アリサが魔術絡みのトラブルに巻き込まれている事を察知。
仲間達と共に魔法禁断の地、科学の学園都市に潜入する。

アリサを巡り夜の公園で激突する、千雨チーム、
「魔術」イギリス清教の魔女狩り部隊ネセサリウス、
高音・D・グッドマン率いる「魔法」サイド麻帆良学園学園警備、
少女隊長シャットアウラ・セクウェンツィア率いる科学の学園都市私設警備部隊「黒鴉部隊」、
そして、アリサと行動を共にする“幻想殺し”上条当麻、“禁書目録”インデックス。
(本作では、おおよそ「魔法」(ネギま!)は「魔術」(禁書)の一環との位置付けになります。)

その頃、千雨達の担任にしてリーダー、魔法世界の“英雄”ネギ・スプリングフィールドは
クラスの教え子で事業上のパートナー雪広あやかと共に科学の学園都市を正式訪問していた。
科学の学園都市が完成させた宇宙エレベーター「エンデュミオン」。
火星開発を主体としたネギの魔法世界救済プランに関し、
「エンデュミオン」を完成させた科学の学園都市サイドの協力を得るべく、
ネギは雪広あやか、案内役結標淡希と共に学園都市内で行動する。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1384882889

>>1

ネセサリウスとの攻防の後、
「こちらの世界」に巻き込まれた一人の友人のために、
科学の学園都市での情報収集を行う千雨チーム。
そのドタバタに非合法な行動は、学園都市の「少女達」との衝突を引き起こす。

長谷川千雨、初春飾利、御坂美琴、電脳頂上軍団を翻弄する謎のギリシャ魔術
鳴護アリサ、そしてとある過去の周囲に蠢く得体の知れない何か。

鳴護アリサの「奇蹟の力」、そして魔術禁断の科学の学園都市で暗躍するネセサリウス。
その調査に着手した麻帆良学園学園警備と
「奇蹟の歌姫」鳴護アリサ奪取を目論むネセサリウスが科学の学園都市の裏側で繰り広げる暗闘。

諸々の事は、「魔法」の“英雄”ネギ・スプリングフィールドをも巻き込み秘かに拡大する。

「聖人」神裂火織を迎え撃つ「魔法の学園都市」麻帆良学園。
夜の学園都市を疾走する“英雄”ネギ・スプリングフィールドを待ち受ける「最強」。
科学の学園都市「暗部組織」をも巻き込んだ攻防戦の末、
「白き翼」綾瀬夕映、クラスメイトの天才科学者葉加瀬聡美らの尽力で
長谷川千雨達は「エンデュミオン」と「奇蹟の歌姫」にまつわる企てを知る。

最も頼りになるネギの不在、
イギリス清教と麻帆良学園引いては「魔法」サイドの戦争含みの政治的軋轢。
北半球全て。
諸々のリスクを呑み込み、それでも利口ではいられなかった。
長谷川千雨とその仲間達は飛び立つ。
一人の友人のために、決戦の地へ。
その隣には、最も恐ろしく、頼りになる「昨日の敵」の姿があった。

-粗筋ここまで-

今回の投下終了

っまんなぃカラゃめてぃいよ

立て乙です

乙ッ!!!

それでは今回の投下、入ります。
科学考証の類は思いきりブッチしますのでよろしく

前スレ>>973

 ×     ×

一応多足歩行汎用メカ「エカテリーナⅢ世号・改」コクピット内は、
見える者には見える青白い魔翌力で満ちていた。
コクピット内の三人、桜咲刹那、近衛木乃香、宮崎のどかは符を口に咥え、
近衛木乃香が印を組んで膨大な魔翌力を共有している。
葉加瀬聡美と繋がった携帯が予定の音を立てる。

「アデアット!!」

符をしまった刹那が、シートの固定具を外して建御雷を呼び出した。
同時に、木乃香、のどかがスイッチを押す。
木乃香、のどかがシートごとコクピットからその上空へと吹っ飛んだ。

「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……………………」

刹那の一刀がコクピットをバラバラに分解し、刹那も又成層圏に投げ出される。
そもそも、「エカテリーナⅢ世号・改」は地上で行動する事を前提としたロボットである。
従って、そもそも非常脱出装置の時点で色々おかしいのだが、
そこにパラシュートを付ける筋合いは無い。
とにもかくにも、シートの固定具を外した木乃香とのどかが落下して来る。
まだ、落下出来る高度だと言う事でもある。

「お嬢様、御免!
神鳴流奥義・斬鉄閃っ!!」

翼で飛翔した刹那の一振りが、
落下していた木乃香とのどかの軌道を落下から前進へと変える。

「んーんっ!」

口を結んだまま、のどかが熊手付の縄を放つ。
それは取っ手に引っかかり、
そこまで上ったのどかが目の前の壁にあるパネルのスイッチを押した。

>>6

ゆっくりと壁が開き、のどかはその中に滑り込む様に転がり込む。
その後から、超特急で木乃香をキャッチした刹那が滑り込む。
壁の向こうの奥で、バン、とスイッチを押す。
大音響と共に隔壁が降りて外部との出入りが遮断された。
気圧が調整され、ようやく三人は一休みする。

そこは、宇宙エレベーター「エンデュミオン」の非常出入り口の一つだった。
只でさえ人体の限界を超えた外気圧よりも更に低い気圧で中に入る者を取り込み、
隔壁を閉鎖してから気圧を調節する。
本来であれば、ここへの出入りは宇宙服を着用しての様々な準備が前提。
それを、三人は木乃香の強大な魔翌力を頼りにそれを防壁にしながら強引にやってのけた。

 ×     ×

刹那達は、アクセスポイントのドアから通路に入り、
エレベーターを昇って先へと進む。

「…これは…」
「綺麗なお庭やなぁ」
「絵本みたいです」

のんびりとした草原の風景に、三人がぽかんとした声を上げる。

「人工庭園と言うものでしょうか」

のどかな草原を見回し、刹那が言う。

「あ」

のどかが何かを見付けて歩き出す。
それは、一本の木だった。
余り背の高くない木、のどかはその下に立つ。

「これは…林檎?」
「!?宮崎さんっ!?」

のどかが背伸びした途端、青い光がのどかを貫く。
刹那が瞬動でのどかの身体をかっさらい遠ざけた。

>>7

「あやー、見事にフリージングしてるなぁー、なおれーっ」

突っ立ったままののどかの体をこんこん叩いた木乃香が、
ばさっと白い扇を一扇ぎする。

「あ、このか」
「神鳴流奥義、斬岩剣っ!!」

半ばこじつけに近い治癒効果でのどかがこちらの世界に戻って来た頃、
刹那が闘っていたのは、竜だった。
それも、胴長タイプの竜の群れ。

にわかに立ち籠め始めた霧の向こうから、
天から下に向かう様ににゅーっと首を伸ばしている。
そんな竜達が吐き出す火球と青い塊が、身を交わす刹那の周囲で交互に爆発する。

「火炎と冷気、ミイラでも作るつもりか…
神鳴流奥義・斬鉄閃っ!!」

刹那の攻撃と共に唸り声が重なり合う。

「今の反応、この竜達よもや一つの体…お嬢様っ!?」

すいっと自分の前に移動した木乃香を見て刹那が絶叫した。
木乃香は竜に向けてバッと白扇を扇ぎ、竜はきょとんとする。
木乃香はそんな竜の首の一つにすたすた近づき、頬を撫でた。

「お仕事してたんやなー、ええ子やええ子。
林檎取ったりせぇへんさかい堪忍なぁ」
「…ごめんなさいです」
「ぐるる」

てくてく動いたのどかがペコリと頭を下げ、竜はにゅーっと首を引っ込める。

「ご無事ですかお嬢様っ!?」
「ん、あっちの世界で結構見て来たからなぁ」
「肝を冷やしました。先を急ぎましょう」

>>8

 ×     ×

「ひゃあっ!」
「亜子っ!」

貯水槽を抜け、階段を上り、その先の廊下でバランスを崩した亜子をまき絵が支える。

「又あっ?やっぱりなんかおかしいよっ!」
「地震、って、ここ宇宙エレベーターだぞ」

先ほどから何度か続いた震動に裕奈が叫び、千雨が呻く。
千雨は、ノーパソ化した「力の王笏」を壁のパネルとケーブル接続していた。

「とにかく、今は進むしかない。
この倉庫を抜けたらサブコントロールはもうすぐだ、
そこでなら状況も掴めるかも知れない」

ロックが解除され、扉が開く。
その先は、山積みされた段ボールが迷路と化した倉庫だった。
千雨達は、その中を方角の見当を付けて通り抜けようとする。

「伏せるでござるっ!!」

長瀬楓の叫びと共に、一同が床にスライディングする。
緑色の光がババババッと段ボールをぶち抜き、
楓が振り返り様に巨大手裏剣を放つ。

「んー、なーんかセキュリティ抑えてみたらイレギュラーが侵入してたってね。
やっぱ監視カメラ映像使った遠距離攻撃、
なんて手抜きはいけないにゃーん」

崩壊した段ボール壁の向こうから姿を現したのは、
PDAをしまいながらにっこり笑みを浮かべる麦野沈利だった。

>>9

「亜子」
「え?」

その声を聞いた和泉亜子は息を呑む。
声の主、明石裕奈の様子は尋常ではない。
顔から血の気が引き、つーっと嫌な汗を浮かべている。

「戦闘用のドーピング、急いで」
「ゆーな…」
「急いでっ」

小声だが鋭い裕奈の声。

「ん。アデアット」
「あ?」

ぱああっと閃く白い光に一瞬麦野が顔を顰める。
その次の瞬間には、麦野はだっ、と、横に走り出していた。
そして、同じ方向に駆け出していたのは裕奈だった。

「おいっ!」

千雨が叫んだ時には、ダダダン、ドドンッと、
裕奈と麦野が光の撃ち合いの真っ最中。

「にんっ!!」

楓が×字に交差させた苦無が、パキーンと破壊される。
そして、しゅううと音を立てる勢いで、絹旗最愛が拳を突き出していた。

(速い、は速いでござるな)

絹旗から繰り出されるパンチ、キックを交わしながら楓が察知する。
ずず、っ、と絹旗が後方に足を滑らせてストップする。

>>10

「気を巻き付けていなければ拳が砕けていたでござるな。
鉄骨でも殴る様なものでござる」

絹旗と楓がじりっと対峙する。
楓の読みでは、理由は半々。
目の前の相手、つまり絹旗の格闘技能自体は、素人では無いが飛び抜けていると言う程でもない。
その一方で、何か人為的な攻撃・防御増大により、
むしろ相手に攻撃させて自爆させてカウンターをさせるのが彼女の得意手。

絹旗も又、息を呑んでいた。
恐らくこの相手は、格闘戦の世界に於ける本物だ。
窒素装甲を殴っても拳が砕けない所か僅かでも絹旗の肉体に響き退かせている。
只者である筈がない。

プロではあるが一流まではいかない、手堅い秀才の二流。
絹旗自身もそんな自分を心得ている。
ならば知恵を使うしかない。「本物」とまともにやるのは危険。

「先に進むでござる」
「分かった」

戦闘力に問題のある面子がうぞうぞいていい場所ではない。
それを察した千雨、亜子、まき絵、夏美、和美が動き出す。

「おい、っ!」

そちらに動こうとした麦野に裕奈の二挺拳銃からドドドドドッと銃撃が殺到する。

「ガキがあっ!!」

麦野からの丁重なお返しを五月雨に注がれて、
裕奈は這々の体で逃げ回る。
その間に麦野がダッと千雨の後を追ったが、その時には影も形も見えない。

「ちっ」

舌打ちした麦野が振り返り様に原子崩しを連射し、
魔法拳銃を構えようとしていた裕奈が壁の陰に転がり込む。

ダンッ、と、絹旗がロケットスタートで突っ込む。

>>11

「にんっ!」
「!?ぐっ!!」
「絹旗あっ!!」

割と意外な事態に、麦野が叫んでいた。
楓に突っ込んだ絹旗が後ろに吹っ飛ばされ、
段ボールの壁に突っ込みながらよろりと立ち上がる。
それは、只吹っ飛ばされただけでは済まない表情だ。

「浸透勁って奴かよ」

麦野が呟く。
すいと身を交わした麦野のその顔の側を光線が通り抜け、
ブチリと何かが切れた麦野の周囲からダダダダダと原資崩しが連射された。

「おおおおっ!!」

絹旗が体の前で腕を交差して飛来する巨大手裏剣を受ける。
ガガガガッと不快な震動を響かせながら、
絹旗は辛うじて手裏剣をあらぬ方向に受け流す。
その時には、目の前で何人もの長瀬楓が飛翔して拳が、脚が降り注ぐ。

「超分身ですか」

痛みこそ感じなかったが、それでも体に響くものはある。
それだけでも絹旗にとって十分脅威だった。
その道の達人であれば、
隙あらば木でも鉄でもぶち抜きかねない。
この空飛ぶノッポ、窒素装甲でも絶対ではない、そう思わせるに十分な実力だ。

「にににんっ!」

楓に向けて、フレンダが放った手投げロケット弾が次々と飛翔する。
楓は、そのロケット弾を手裏剣で撃ち落とすと共に印を組み気の防壁を張る。
爆風硝煙の最中にも、追加のロケット弾が楓を狙う。

>>12

「えっ!?」

フレンダがとっさに壁の陰に隠れる。
次の瞬間、楓が自分の前に放った符が爆発してロケット弾もその爆発に巻き込まれた。
煙が薄れる中、楓はちゃりっ、と、足を進め周囲を見回す。

「釘にパチンコ玉。
あの娘の防御力を計算、こちらのスピードを考えての選択でござるか」
「くっ!」

絹旗が、煙を突っ切る様にして突っ込んできていた。
だが、絹旗の拳がうなりを上げた、と、思った時には、
絹旗は音を立てて床に倒れ込み床に罅を入れていた。

「マジかよ」

麦野が呻く。
袖を取れない筈の窒素装甲相手に、楓は力の流れに手を添えるだけで合気道を炸裂させて見せた。
決して弱くは無い二人だが、これは足止めですら限度があるかもと麦野は腹をくくる。

「おおっ」

絹旗に一撃を入れようとした楓がざっと飛び退く。
楓の浸透勁を警戒した絹旗は、
窒素装甲の爆発で辛うじてその場から距離を取っていた。

絹旗はまともな打撃では倒れない。
そんな絹旗の防御力を信頼して、
細かい凶器が高速で多数ばらまかれる散弾炸裂弾が、
楓に防御を要求し高速移動攻撃から浸透勁へのスイッチを少しでも難しくする。

決して弱い相手ではない、そして食えない。
暗部の「強か者」が「強者」長瀬楓をじらして見せる。

今回はここまでです

いや、まあ、絹旗とフレンダが弱いとは言いませんが、
いくら何でも竜より強いって事は無いだろうと思います私も…
前スレはそろそろ依頼しときます。

続きは折を見て。

乙です

絹旗は浸透勁?で撃破で良かったと思う。
いくらなんでも窒素をに触れられるって如何なのだろうか?

楓ってある意味一番実力の判断に困るよね。
足止め目的だったとは言え、クイントゥム(人間相手なので殺さない様に手加減してる)には歯が立たないけど、白き翼ではトップ3くらい?
禁書で言うとステイル的な立ち位置だと思う(ステイルも強いのにどれくらいの強さかわかりづらい)

何でアイテムが当たり前のようにエンデュミオンの警護してるんだ?
ドサクサに紛れてイレギュラー始末しろとでも言われたのか?

禁書知らないんだが窒素装甲そのままの窒素なのかww
窒化炭素なのかと思ったわ

感想どうもです。

>>17
一応の経緯は前スレに書いたと思いますが、
又触れるかも知れませんので。

>>18
禁書の原作でボンベ持って歩いてたぐらいですから
窒素の方だと思います。

それでは今回の投下、入ります。

>>13

 ×     ×

「なるほどにゃー」

仕事に戻った土御門元春が、携帯を手に呟く。

「呪術であれ魔法であれ、昨日今日関わった訳じゃない。
ずっとそっちの仕事をして技を磨いて来た、完全にこっち側の人間。

それが、婚后のお嬢の手引きでジャッジメントまで動員して、
それで、この街の理系情報処理の演算で、
しっかりこの街の科学力の一翼を担う婚后航空の最新鋭メカで、
レベル4大能力のトンデモ発射場パワーで宇宙旅行行ってらっしゃーい。

まあ、あれだ、それを言うなら、
それで一緒について行ったのがと言うかこの街に勝手に現れたのがひい様って時点で…」

 ×     ×

「大丈夫かなぁ」

倉庫を抜け、通路を駆けるメンバーの中で和泉亜子がぽつりと言った。

「あんなゆーな見たの初めてや。
魔法の世界でも色々あったけど、さっき本当に緊張してた」
「仕方が無いよ」

佐々木まき絵が加わる。

>>19

「あの麦野って人、すっごく強かったし」
「どんぐらい強いんだよ」

長谷川千雨が尋ねた。

「えーと、さすがにネギ君とかラカンさんとかだったら勝てると思うけど」
「うん全然参考にならない意見有り難う」

まき絵の返答に千雨が即座に切り返す、が、

「と言うか、マジでその超えられない壁の少し下にいるとかって言うのか?」

千雨の問いにまき絵が頷いた。

「あの舞踏会の後のパニックぐらいなら高笑いしながらフツーに一人で突破しちゃうかな?
もしかしたらコタロー君でも危ないかも知れない」
「レベル5か」

亜子の言葉に、千雨が息を呑む。
レベル5、千雨が正確にそうだと知っているのは御坂美琴だけだが、
先日の夜に襲撃して来た白い翼のメルヘン野郎。
科学の学園都市の超能力者にレベル5よりも上が無いとして、
あのメルヘン野郎に至っては小太郎と夏美と愛衣と三人がかりで
小太郎と愛衣を病院送りにした化け物だ。

美琴は第三位と言っていた。
それより上だとするとメルヘンと麦野がトップと言う事か?
だが、考え方にもよる。

確かにあの時あのまま戦闘を続けていれば、
小太郎が本気を出せば美琴をねじ伏せるのも難しくは無かっただろう。
だが、未知の電脳魔術相手に死にかけた千雨を救出して見せたのも美琴の天才的な電子能力。
その総合力で第三位だとすると、麦野はその下の可能性もある。
だが、その場合、裏を返せば

>>20

(戦闘に特化した能力、って事なのか…)

一瞬、ぶるりと震えた千雨の足が止まった。
裕奈の戦闘力も決して低いものでは無いが、
あくまで「白き翼」の中でも成り行きで新規加入した急ごしらえ。

元々その為に、更にはその前から日々訓練を積んで来た面々と
ついこの間までは只のバスケット少女。
麻帆良のお祭り娘と言う時点で並ではない、
才能はあるらしいしあの夏の活躍も小さいとは言わないが、
当然その中では一つも二つも見劣りする。

「…行くぞっ!!…」

大きく叫び、千雨は先を急ぐ。
選択肢は他には無い。
今から自分達が引き返した所で、戦闘力ならその裕奈の足を引っ張る事しか出来ない。
楓もいる、何とかなるしそうするしかない、割り切るしかない。
今は、もうすぐ近くにあるサブ・コントロールを抑えて自分の出来る自分の役割を果たすしかない。
左折路が見えるが、行き先は真っ直ぐ。

「きゃああっ!」

その時、左折路の先から悲鳴が聞こえた。

「朝倉っ!」
「さよちゃんっ!」

千雨が叫び、朝倉和美の号令で「渡鴉の人見」相坂さよ専用機が左折路に飛んだ。

「くっ」

さよ専用機からの映像を受信するモニターを見て千雨が呻く。
画面の中では、一人の少女が大きな、鳥にしては大きな二羽の鳥に襲撃されていた。
千雨が進路を逸れて左折路に駆け込む。
当然、それを咎める者もいない、後に続く。

それでも、素人と言う訳ではない。
脇道を走っていた千雨は、びたっと曲がり角に張り付き様子をうかがった。
他の面々も追い付く。

>>21

「人面鳥?」
「ハルピュイア、かな?二羽セットだし」

亜子の呟きに夏美が言う。

「ええいっ!」

まき絵のリボンが一羽を絡め取り、
そのまま勢いでもう一羽に叩き付ける。
リボンが解けて二羽共廊下墜落し、
取り敢えずこの中では辛うじて戦闘能力を持っているまき絵を先頭に通路に躍り出た。

「生きては、いるのかな?」

墜落したハルピュイアを棍棒でつんつん突いてまき絵が言う。
その間に、千雨他の面々は
すぐ近くの部屋から机や椅子やロッカーをドカドカと運び出していた。

「目ぇ覚ましたらソッコー頼む」
「ん」
「そーらっと!」

まき絵に見張りを頼みながら、
他の面々が目を回しているハルピュイアを部屋に放り込みドアを閉めて
ノブを固定してバリケードを張った。

「えーと、怪我ないん?」
「あ、有り難うございます」

亜子に尋ねられ、少女はぺこりと頭を下げる。

>>22

「あれ?あんた?」

顔を上げた少女を見て千雨が言う。
年齢は恐らく千雨達の一つか二つ上くらい。
どこかおっとりと垂れ気味の大きな目に飾り気のない眼鏡、

お尻に届くぐらいの黒髪ロングヘアはムカデを思わせる飛びっぷりで、
その中から一房だけ束ねて垂らしている。

見たところ学校の制服にしか見えない白いブラウスにネクタイ、
膝の隠れる大人しい丈の紺色のフレアスカート。

全体に清潔な印象でほんわかしてどこか気弱な仕草の、
色んな意味でストライクにポイントの高い美少女なのだが、
文字通り最大のポイントを把握した朝倉和美が目を見張る。

(負けた?って言うか、もしかしてメートル行ってる?)

その清潔な白いブラウスをどぉーんっと盛り上げる存在感は余りにも圧倒的。
成人女性レベルでも十二分にグラマーで、
非常識クラス上位を張る程の朝倉和美にして、じりっと後じさりする程のド迫力だった。

 ×     ×

フェイト・パーティーと綾瀬夕映は、
一筋縄ではいかない目的地に向かう途中経過として、車線幾つ分かと言う幅の連絡通路を進む。

そこに、向こうから一人の黒い影が接近して来る。
フェイトは僅かに眉を潜める。
元々きりっとした表情からは殺気を隠しきれない、
全身黒ずくめの強化服に身を包んだ凄惨にそれでも凛としたものを持つ美少女。

「何だお前達は?」
「シャットアウラ・セクウェンツィア」

夕映が呟く。

「科学の学園都市の警備隊、
鳴護アリサをレディリーに引き渡した」

>>23

「ちっ」

拳銃を抜いたその腕に向けて、
距離と言うものを無効化する勢いのフェイトの指が払われていた。
それだけでも激痛と共に拳銃が床を滑る。

「ほう」

トドメの一撃を辛うじて交わされたフェイトが小さく呟く。
スーツの影響があるにしても、侮れないらしい。
シャットアウラがフェイトとざっと距離を取る。
フェイトの周囲にずらっと現れた石針が一斉に飛んだのと
レアアースペレットが爆発したのは、ほぼ同時の事だった。

「あっ!」
「暦っ!?」

煙の中で、暦が悲鳴を上げた。
真っ先に暦の右腕を蹴り付けたシャットアウラは、
そのまま手から落ちた得体の知れないものを蹴り飛ばす。

「にゃあああっ!!」

突っ込んだ焔とシャットアウラがぱぱぱあんと手合わせして距離を取る。

「フェイト様っ、ここは我々が」
「頼むとしよう」
「はっ!」

フェイトと夕映が壁沿いに先に進む。
それを追おうとしたシャットアウラが、ざっと飛び退いた。

「極端な壁の破損は出来ない、加減が難しいですね」

ヴァイオリンを手にした調が言う。

「くっ!」

確かに加減が難しい事もあるが、
それでも、身軽にひょいひょい衝撃波を交わしたシャットアウラが、
あっという間に調が恐怖を覚える程に肉薄する。
その二人の間に焔が飛び込み、シャットアウラが距離を取る。

>>24

「もしかして、私の弱点を狙ったのか?」

シャットアウラが口を開く。

「生憎だが、音楽と言うものは未だ理解出来ないが、
その音自体は不快ではない。当てが外れたな」

シャットアウラが言う事は調にとっては丸で意味不明だった。
取り敢えず、目の前に焔がいては攻撃は出来ない。

(地上ではない、宇宙エレベーターですからね。
ヴァイオリンしか使えないのが厳しい所です)
(…そう…そのまま…かかったっ!!…)

焔がカッと目を見開いた、
その時には、空間にぼうっと浮かんだ炎の横でシャットアウラが斜め前方に向けて
ざざっと焔との距離を縮めていた。

「く、ああっ!」

体勢を立て直すのが遅れた焔がシャットアウラの拳法に押される。

「なぜ、今、のがっ…」

ドッ、と、鳩尾への一撃を入れられ、焔が呻いた。

「発火能力か。勘だな。
恐らく本来であれば完全にバーベキューになるタイミングだったのだろう。
だが、私にはお前の目を見て何となく読めた」
「ぐ、っ、瞬時の、筈…」

シャットアウラの組まれた両手が、体を折った焔の背中を一撃した。

シャットアウラが、だっ、と身を交わしその横を衝撃波が通り抜ける。
調とシャットアウラの間で、
衝撃波と能力起爆を受けたレアアースペレットがドンドンドンと爆発し続ける。

「しま、っ!…」

爆煙の中、調が振り返ろうとしたその時には、シャットアウラの手刀が調の首筋に振り抜かれていた。

>>25

 ×     ×

科学の学園都市第七学区。

「あ、土御門さん?」

病院の待合室で、準備中を待っていた佐倉愛衣が入って来た顔見知りに声を掛ける。

「よぉー、麻帆良の可愛い子ちゃん、
眼の方はいいみたいだにゃー」

「はい、お陰様で。土御門さんは?」
「ああ、ちょーっと用事があってにゃー」

ぺこりと頭を下げる愛衣に、
腰を曲げながら入って来た土御門が唇の端を歪める。

「そうだ、桜咲さんはあれからどうしました?」
「桜咲?」

土御門がぴくりと反応する。

「はい。もしかしてそちらに向かったのではないかと」
「ああー、もしかして今頃膾斬りにされてないかとか心配してくれたのかにゃー?」
「あ、いえ、えーと」

「ああー、大丈夫大丈夫、その辺の事は、
せっちゃんは賢いぃぐぷっ」
「え?あの、大丈夫ですか?」
「いやー、全然大丈夫」

>>26

「いえ、あの、今、血を吐いてた様な…」
「んー、何の事かにゃー、
ああ、そうそう、刹那桜咲刹那ね。
うん、まぁー、流石は麻帆良学園流石は英雄の従者、って所かにゃー、
たまにはあれぐらいはっちゃけてくれた方がぁごふうううううっっっっっ!!!」

「きゃあああああっ!!誰かあああっ!!」
「ん?ああ、又来たのかね?
ふむ、今朝退院したと思ったんだがね?
これは、又突き抜けてるね?
見た所、動脈から食道を通って口まで直結で出血と言った所だね?」
「な、何かの病気かそれとも…」

「ああ、職業病って奴だね?
もちろん治すよ?僕を誰だと思っているんだい?」
「………ご、ぷっ………頑張れよ………
……裏の……ぐらい……てやる………」

今回はここまでです。

…うん、分かってる。
フェイトガールズってネギでもやや苦戦したり古菲とドツキ合い出来る文字通りの化け物軍団だから
本来レアアースペレットありでもシャットアウラにやられる筈ないんですが。
無理やり理屈付けたら初見の対処が奇跡的に間違ってたと言う事で。

続きは折を見て。

一定以上の魔翌力を使ったら学園都市に察知されると思ってセーブしてたんだよ、きっと。
まぁ、滞空回線で一から十まで全部知られてるんだが

乙です

シャットアウラがアリサの移送を指摘された瞬間頃しにかかってるけど、それを知られて困る理由なんてあったっけ?
アリサの警護と移送に関しては学園都市公認の仕事で口封じの必要はないはずだけど

まあフェイトガールズってだいたいこんな役回りだよね…
調さんはそれなりに見せ場はあったけどさ

感想どうもです。

>>30
本作のトラブルのかなりの部分がこのパターンな気がしますが、
シャットアウラは本作でも麻帆良側との接点が薄いですから、
シャットアウラから見たら初対面でアリサとレディリーの事を知っているイレギュラー。
逆に夕映・フェイトから見たらアリサをレディリーに引き渡した所で話が止まってる。
それで拳銃を抜いたと言う状況です。

映画でもこの時点のシャットアウラは既にかなりイッちゃってた筈ですし。
とは言え、原作通りならフェイトが動いた時点でシャットアウラの石像は確定な訳ですが…
本作通りでもフェイトガールズに任せるなんて手抜きしなければ、
後二、三手でシャットアウラは詰んでたでしょうね。

それでは、ご都合主義警戒ゾーン突っ切って
今回の投下、入ります。

>>27

 ×     ×

「千雨ちゃん、知り合い?(と言うかデカイ)」

ハルピュイアから救出した少女を前に、佐々木まき絵が長谷川千雨に尋ねた。

「ああ、ゲーセンで会った。
って言っても観光案内用のホログラムだけどな。
あなたがモデルでしたか
(こんな爆乳黒髪おっとり眼鏡って非実在美少女じゃなかったのかよ)」
「え?ああ、はい。
そうだ、あの時プリクラを撮った」

「ふーん、やっぱりモニター観察されてたって訳ね。
に、しても、こんな所で何してるんですか?」
「えーと、何と言いますかよく分からないと言いますか」
「やっぱりコンサートに来て迷子になったとか?」
「そうですね。いつの間にかここに来ていましたから」

和泉亜子の言葉に、少女は肯定的な返答をした。

>>32

「取り敢えず、時間がない。えーと、あー、あなた」
「風斬、風斬氷華と言います」
「風斬さん。私は長谷川って言うんだけど、
ちょっと事情があって詳しい説明は出来ない。
だけど、あんな状態なんでここに一人放り出して行く訳にもいかない。
申し訳ないが邪魔せずこっちについて来てくれませんか?」
「分かりました、そうします」

風斬は素直に千雨の言葉に従う。

「じゃあ、行くぞ」

 ×     ×

エンデュミオン中継ステーションサブコントロールルーム。
多少脇道に逸れたが、風斬氷華を加えて通路を進んでそこまで辿り着いた千雨チームは、
先にさよ専用機による偵察で無人である事を確認してから部屋に飛び込む。

「結構広いな、無人、って事は…」
「全員ごまかすのは難しいからね。
事情を知らないスタッフに妨害されない様に口実付けて先に排除した、って所かな?」

周囲を見回し無人を確認する千雨に朝倉和美が言い、
千雨はとにかく機材に向かう。

「お菓子めーっけ」

佐々木まき絵は目敏かった。

「結構緩い職場だねー。
ああ、冷蔵庫にジュースとかあるし」

和美が言う。

「でも、やっぱここまで疲れたよー」
「あー、金だけ払っときゃいいんじゃねーの」

夏美の言葉に千雨が言った。
地球の危機に臨む一応のチームリーダーとして、
この際多少のコンプライアンスより効率最優先だ。

>>33

「いっただっきまぁーっすっ」

早速反応したのはまき絵であり、和泉亜子も風斬氷華に話しかけている。

「風斬さんも食べる?
えーと、カマンベールにマスカルポーネ」
「いただきます」
「ふぅーん、やっぱりその辺に秘密が…」

そんな風斬にまき絵が相変わらず目敏さを発揮する。

「いいか、おやつ休憩は許したが、食べかすつけてこっち近づいたらぶち殺す…
なん、だこりゃ?」

口調が変わった千雨に、慌ててばんばん衣服で手を払った面々が殺到する。

「術式云々以前に、
やっぱりこのエンデュミオン自体がかなりヤバイ事に…アリサ!!」

機材に接続したノーパソ型「力の王笏」を操作し、
機材のモニター画面を図面表示からモニターに切り替える。

「アリサ、アリサは…」
「いたっ!」

和美の指摘に、千雨がモニターに画像送信するカメラを調整する。

「な、何やってんだ、アリサ?」
「歌ってる…」

千雨の疑問に、まき絵が画面の中の崩壊しようというステージでの
見たままありのままを答える。

「千雨ちゃん、ちょっとこうしてこうやって…」
「ああ」

和美の指示通りに千雨が画面を調整する。

「これって、タ○タ○ック?」

夏美が言う。
その視線の先では、モニターの中で係員の誘導を受けた一般人がぞろぞろ動いている。

>>34

「ああー、そうだな」

千雨が言う。

「何せこの船、船長からして例外なく最後に退艦する気満々だからな…
冗談じゃねぇっ!!」

ドンと機材の縁を叩いた千雨の手がノーパソに戻り、
その思考は彼女の安全のための立案、そのための把握に奔走する。

「さよちゃん?」

和美が、偵察に出たさよ専用機からの通信に気付く。

「えーと、ブロック………」

さよが、壁の表示から自分のいる区画ブロックを読み上げる。

「随分遠くまで行ったな」

千雨がそのブロックのカメラ映像を表示する。

「魔法、陣」
「又かよ」

和美の呟きに千雨が呻く。
確かに、その画面の中では、通路の行き止まりの床に書かれた魔法陣から何かが盛り上がっている。

「あれって…」
「馬?」

亜子と夏美が言葉を発する。
魔法陣からは堂々たる巨馬が姿を現し一声嘶いた。

「確か、綾瀬が言ってたな」

じわりと汗を浮かべて千雨が言う。

>>35

「ギリシャ神話の場合、常識的な肉食草食概念は通用しないと」
「うん、ギリシャから見てオリエントの異民族って事も考えると、
むしろ肉食だと考えた方がいい」

千雨の言葉に夏美がトドメを刺す。

「冗談じゃねぇ…」

ノーパソを操作した千雨がごくりと息を呑む。

「偶然別の場所に突っ込む可能性もあるが、
十回に一回それ以下の確率で避難路に突っ込むぞこれ…」
「さよちゃん、とにかくその馬、そっから動かさないでっ!!」
「了解ですっ!」

千雨の言葉に、和美がさよに指示を走らせる。

「ひぃやっはぁぁぁーーーーーーーーーっっっっっっっ!!!」
「ひいぃぃぃぃぃんんんんんんんんん!!!!!」

画面の中では、ステルス機能を解除したさよ専用機が馬の周囲を飛び回り、
その突進をギリギリで交わしながら懸命に翻弄していた。

「村上っ!」
「うんっ」
「佐々木、和泉っ!!
ここで辛うじて火力って言えるのはお前らだけだ、頼むっ!」
「分かった」

まき絵が即答する。

「とーぜん、折角のコンサートだもん。
気持ちよくお帰りいただかないとねっ!!」
「頼んだっ!!」

夏美の言葉に、千雨が機材を向いたまま縁に手をついて頭を下げていた。

>>36

 ×     ×

ネギ・スプリングフィールドは、科学の学園都市の一角で杖を前に向けていた。
その方向に存在するのは、巨大なコンクリートの塊。

「魔法世界での戦いすら遊びに思える程の、
大規模で複雑でそれでいて隠蔽された徹底した防御結界。
とても読み切れない、力ずくで迂闊に手を出したらまず無事では済まない。
その上に、科学的な何か。
僕の力を超えてる?それでも…
ラス・テル、マ・スキル………」
「何やってんのよっ!」

そこに飛び込んで来たのは、結標淡希だった。

「ああ、結標さん。
そうだ、GPSそのままでしたね」

杖を下ろしたネギがアハハと笑う。

「あれ、何だか分かってるんですかネギ先生?」

まずはその笑顔に唇を吸い尽くして、
と言う妄想を気合いでねじ伏せた結標が尋ねた。

「変わった建物ですね」

ネギがにこにこ笑って言う。
そして、ネギは真面目な顔になった。

「アポ無しで申し訳ないんですが、
今すぐあの建物の主に大至急面会しなければいけない用事がありまして。
ノックして無理ならやむを得ません」
「ストップストォーップッ!!」

完全に覚悟完了したネギの言葉に、結標が絶叫した。

「いや、それ、ノックの時点で間違いなく死ぬから」
「かも、知れませんね」
「かも知れませんって…」

詰め寄ろうとした結標は、ネギの微笑みに気勢をそがれる。

>>37

「大事な用事、なのね?」
「ええ、とても」
「命を懸けるだけの価値がある」
「僕はずっとそうして来ました」
「そうみたいね」

結標が天を仰ぐ。

「有り難う」
「え?」
「私に声を掛けないでくれて。
君はそういう性格、ずっとそうして来たんでしょうね。
その心遣いには感謝しておくわ。
君は、そうやって女の子を泣かせて行くのでしょうね」

結標の言葉に、ネギはにっこり笑って首を横に振った。

「泣く前に僕をドツキ倒してそのままついて来てしまいます」
「当然ね」

しゃがんだ結標の両手がネギの頬を挟み込む。

「君みたいないい男を手放してそっと涙を流して、
なーんて女はそんなに甘くない」

そう言って、手を離した結標は真っ直ぐネギを見る。

「まあ、何かロクでも無い事が起きてるってのは耳に入ってるし、
一つぐらい余計に命が懸かるかも知れないけどその分確実に。
どうせこれで終わりになっても、せめてご対面してからにしましょう」
「結標さん」
「さあ、行きましょうか」

>>38

 ×     ×

「ほう」
「学園都市統括理事長ですね?」

異様に非常識な姿に僅かなひるみも見せず、
ネギ・スプリングフィールドはその前で片膝を着いて一礼した。

「断りもなく罷り超したる非礼、まずはお詫び申し上げます。
敢えて肩書きも略させていただきます。
初めまして、ネギ・スプリングフィールドです」
「確かに、肩書きなどは不要だな」

統括理事長は悠然と言った。

「まずはこの始末をどうするか?
今ここに君を招いた覚えはないのだがね」
「申し訳ございません。
緊急事態に就き無理を通しました」

「彼女を制裁する、と言ったら?」
「無理に協力いただいた以上迷惑は掛けない。
そう約束した僕の顔を潰す事を意味します」
「ここへの無断侵入を実行した学園都市の生徒を見逃せと、
それが何を意味するかも理解しているかね?」

「故に、無理を通した事をお詫び申し上げます」
「世の中には頭を下げて済む事と済まない事もあるのだが、どうする?」
「申し訳ありませんが、妥協の余地はありません。
そうであるならば押し通ります」

ネギは、静かに杖を前方に向ける。

「数日間、案内とスパイに付けられた女のために、
命を懸けるのがヒーローの流儀なのかね?
これから二つの世界を救わなければならない男の」
「戯れ言、綺麗事のために命を懸けて来ました。
一人を救えぬ者に世界の何を救う事が出来ようか」

>>39

結標淡希はすとんと腰を抜かした。

(何、この格好いい生き物?もう既にぐちゃぐちゃなんだけど…)

結標から見えるネギの横顔はキリリと真剣で、
つーっとこめかみに汗が伝いそれでも杖を手にしっかと前を見据えている。
その息詰まる緊迫感は漢の最高の魅力を引き出して結標を溢れさせてやまない。

「本題に入ろう」

統括理事長が言い、一瞬だけ液体の外側の空気がほっと弛緩した。

「その無理を通して、君は何を望む?」
「僕は、僕の利害のために、この事態に介入します」
「君の利害?」

「僕自身も、麻帆良学園もウェールズも、
この北半球のちっぽけな生命に過ぎない。
確実に僕の利害関係の中にあります」
「ふむ、理屈は通っている。
であっても、ここは学園都市。私が否と言ったら?」

「僕は、僕の利害のために、この事態に介入します。
学園都市が妨げると言うなら、押し通します。
その上で、規定通りに出頭の上で各勢力に伝わる審問の場で弁明します」
「なるほど。実に不都合だ」

その口調は、特に不都合には聞こえない。
ネギの計算上では、少なくともこの世界の利害関係を理解していれば、
その事態は互いにとって大損の筈なのだが、
それを丸で退屈そうに聞いている態度ははったりには見えない。

「アレイスター=クロウリー」を名乗り、科学の頂点に立つ男。
通常の外交常識、パワーゲームが丸で通用しない。
目の前に浮かぶ水中倒立浮遊者にとって、学園都市、或いはそれ以上の事も、
何がどれだけ大事な事で、世界の全てを敵に回してどれだけの対処が出来るか、
その底が丸で見えない。

底が見えない事が分かるだけさすがはネギだと言う言い方が出来る状況で、
ネギのこめかみには嫌な汗が伝う。

>>40

「どちらにせよ、学園都市統括理事会として君の訪問を許したのは確かだ」
「有り難うございます」

「君はここで終わるつもりはない、
君にここで終わられてはこちらの顔も立たない。
仮に君達の勢力が許しても君達の属する勢力そのものにとっての絶好の口実となる」

「その通りだと思います」
「現に君は学園都市の許可を得てこの学園都市の中にいる。
その身を守るために必要な事を行う分には、それを阻む理由は無い」

「有り難うございます」

ぺこりと頭を下げ、ネギはその場を立ち去ろうとする。

「一人を救えぬ者に世界の何を救う事が出来ようか。
強き想いは幻想を打ち砕き戯れ言を現実と為すか。
それでは、私は待たせて貰おう」

その声に、立ち去ろうとしたネギが振り返る。

「君達の作る新しい世界と言うものがどういうものか、
ここで楽しみに待たせて貰うとしよう、姫の帰りたもうその世界を」

その瞬間、結標の血が凍った。
憤怒、悲しみ、悔恨、絶望、
とてつもなく熱く、冷たい。
何か桁違いの感情がエネルギーとなって部屋一杯に大爆発した、
そんな錯覚を覚える一瞬が結標の感覚を突き抜ける。

「行きましょう、結標さん」
「え、ええ」

いつもの笑顔。
しかし、そこにはほんの僅か、だが、決して消す事の出来ない負の感情が刻み込まれていた。

>>41

 ×     ×

「もしもし?あら…」

科学の学園都市内のホテルの一室で、
雪広あやかは携帯電話の着信を受けていた。

「ネギ先生からの伝言?そのまま進めろ…
ええ、分かりました。それでは…」

あやかが電話を切る。

「任せましたわよ、ネギ先生の戦場を」

呟いて、あやかは椅子に掛けてテーブルに向かう。

「それでは、続きを致しましょうか。
それともお茶のお代わりを?」

あやかがチェスの駒を摘んで尋ねた。

「私は避難を勧めに来た筈なんだけど」
「どこに避難すると言うのですか?」
「南米にある協力機関の核シェルターにだけど」
「随分と大がかりですわね」

「学園都市の最新鋭音速機を用いれば時間と言う程の時間は不要だけど。
裏でも表に近い情報はエンデュミオンの倒壊。
既に統括理事の中にも重い体をそのまま専用機に積み込んで
いの一番にそちらに向かった者もいるんだけど。
だけど、裏の裏ではもっと危険な情報も流れているんだけど、
当然、耳には入っているんでしょう?」
「よろしい、ならば駒を進めましょう」

カチャッ

「悪い言葉で言えば火事場泥棒だけど、
あなたからはそこから生きて帰ると言う余裕しか見えないんだけど」
「最も信ずべき仲間の言葉ですから。
それに比べるならば、核シェルターの壁など春の淡雪も同じ。
あなたはいかがなさいますか?」

>>42

「………私が南米に逃げた後は、
あなたが生存つまり事も無くであれば、
あなた達に学園都市をも巻き込んだプランの主導権を大きく握られる。
あなたがここで死ぬ時は、
シェルターを出てもモヒカンバギーが奇声を放つカオスな世界からのスタート。

ここで二人無事であれば、
そちらのプランに関する学園都市側の交渉権を私のついた勢力が一手に握る。
それだけのリターンに対して、ここで負けても世界諸共あなたと心中。
その程度の賭け金なら悪く無い賭けなんだけど」

カチャッ

進んだ駒に、あやかが目を細める。

「光栄ですわ。
わたくし、性的指向は至ってノーマルと自負しておりますが、
あなたの様に聡明でお美しい先輩と信義を貫いたとあらば、
例えそれが最期までとあっても後世に誇れる事です」

カチャッ

「それはあなたも大概なんだけど。
でも、私達が勝ち取るのは未来。その筈なんだけど」

カチャッ

「無論」

カチャッ

今回はここまでです。
はい、最初にお断りした通り、
今回特に星の人の辺りがですね…気合いで突っ切った訳です。
続きは折を見て。

アレイ☆的にはテラフォーミングは自分達でもやろうとしてた事だし(つーか、既に学園都市は火星開拓し始めてるし)、ネギ達にさせてもいいんだろうけど、魔法バレは看過しなさそう。
明日菜について言及があったけど、そう言えば、最後の方の怒涛の展開で忘れられがちだけど、未来から来た明日菜は皆と再開出来たけど、本来のこの世界の明日菜は人柱やってるんだよな。
UQホルダーはまだ2080年くらいらしいから、明日菜は眠ったままだし、主人公達が不老不死な事を踏まえると明日菜かアスナの何方かの出番はありそう。

乙です

アレイ☆がネギをおちょくっててワロタ

>>46
単純火力で言っても、
仮にも右席を一蹴する実力ですからね。

まあ、作者の立場をちょっと離れる言い方をするならば、
原作とここまでの描写を見る限り、今の所は掌の上になるのは仕方がないですか。
そもそも、彼がネギを本気でどうにかするなら、
まず千雨チームの事があった筈ですし。

それでは今回の投下、入ります。

>>43

 ×     ×

「頼むぜ…」

エンデュミオン中継ステーションサブコントロールルームでは、
人食い馬?への対処に向かった面々を見送り、長谷川千雨が祈っていた。
祈るだけではない、ノーパソと化した「力の王笏」を機材に接続して、
エンデュミオン自体が危険な状況、本来の目的であるアリサの救出、
そのために必要な情報と分析を続けていた。
その最中、千雨は携帯電話を取り出す。

「葉加瀬?」

着信を確認し、電話に出た。

「もしもし、千雨さんですか?」
「ああ」
「麻帆良の電子精霊チームがレディリーの電子結界を突破しました。
軽症者複数、一時的に危険な事も発生しましたが後遺症は無いそうです」
「それは良かった」
「レディリーが隠匿していたデータ、そちらに送りますので設定お願いします」
「分かった」

千雨は、葉加瀬聡美の送信したデータを
ノーパソ型「力の王笏」が無事受信した事を確認する。

「さぁて、鬼が出るか蛇が出るか」

椅子に座りノーパソを操作する千雨の後ろに朝倉和美と風斬氷華が群がる。

>>47

(こうやって押し合いで身近で見ると、やっぱなんて迫力…)

自分自身、並の成人女性にすら同じ感想を抱かせるグラマーナイスバディである事など見事に吹っ飛んで、
朝倉和美は改めて隣に視線を走らせ息を呑んでいる訳であるが、
その間にも長谷川千雨は真剣そのものの眼差しをディスプレイに向けてノーパソを操作する。

「これって…」
「名簿、ですね」

和美の言葉に風斬が続けた。

「乗員乗客名簿、って事は、オリオン号なんだろうな」

千雨がカチカチとマウスを操作する。

「ごめん、ちょっとどいて」
「ああ」

千雨が和美と椅子を交替する。

「確か、あの時初春さんは…」

手近な所からメモとペンを調達した和美が、
暫く首を傾げながらペンを走らせ続ける。

「数が合わない」

ペンを止めた和美が、ぽつりと言った。

「確か、初春さんもそんな事言って昏倒してたな」

千雨が言う。

「うん、これ、凄く単純な話なんだ。
88の奇蹟、って事で一般には通ってるよね。
確かに、事故当時オリオン号に搭乗していたのは88人。
だけど、その88人の中に鳴護アリサが存在しない」

「なんだと?いや、あったらおかしい。
鳴護アリサの名前は事故の後に施設で付けられたものだ」

>>48

「うん、その通り。
名簿に名前があれば却っておかしい話になる。

時間が無いから手早く言うよ。
まず、搭乗当時の名簿にアンノーンは存在しない。
元々身元確認の厳格な科学の学園都市、それも宇宙シャトルなんだから当然って言えば当然。

そして、救出当時のデータに突如そのアンノーンが登場する。
情報操作で消そうとした形跡があるけど、全部は無理だった。
だから、救助作業で使用されたそのアンノーンの写真や特徴のメモが幾つも見付かった」

和美がノーパソを操作する。

「………アリサだな………」
「あのー」

風斬が口を挟む。

「何となく聞いてると、何か事故があって、
救出された時に搭乗名簿に載っていなかったアンノーンが突然現れた、
そういう事でいいんですか?」
「それで正しい」

風斬の言葉に和美が言う。

「数が合わない」

千雨が言う。

「88の奇蹟、乗員乗客88人、
搭乗時点に存在しなかったアンノーンが加わると89人になる筈だろ。
途中で一人降りたって事か?」

「いや、それはあり得ない。
進路的にもあり得ないし、人選的にもあり得ない」
「人選的にも?」

>>49

「これが搭乗時点の名簿」

和美が画面に表示する。

「救出時に確定的に存在していた者を消した場合どうなるか」

名簿の名前が見る見るマスキングされて行く。

「ディダロス=セクウェンツィア」

風斬の言葉に千雨が目を見張る、一方で千雨の頭の中で何かがカチリとはまり込む。

「オリオン号機長、だと?」
「そう、88の奇蹟なんてトンデモイベントの機長様、
その情報がふっつり消えてるんだなこれが。
で、駄目押し」

和美がマスキングを一部除外する。

「シャットアウラ・セクウェンツィア」

千雨が読み上げる。

「アリサは密航者か何かだったって事か?」
「だとしても、機長が消える理由が丸で分からない」

千雨の言葉に和美が言う。

「それに、オリオン号のセキュリティを考えてもね、
よく映画ネタとかトンデモニュースとかでやってるけど、
地球上のジャンボジェットですら変なところに潜り込んだら飛んでる間に普通に死ぬから」
「まして宇宙で、って事か」

「奇蹟の歌姫、まさに文字通りミューズが降臨した、
って言った方が説得力あったりして」
「朝倉、マジで言ってんのか?」
「今更常識を言う?私達の間で」

「墜落しそうになった宇宙旅客機に突如として降って湧いた奇蹟を届ける歌の女神、か、
半端なく厨二発想だな。
だけど、これがまだマシな説明だってぐらい意味不明だぞこりゃ」

>>50

千雨がノーパソで葉加瀬の携帯に架電して通話する。
イヤホンを二つ接続し、一つを自分の耳に、もう一つは和美に放る。

「88=89=88、麻帆良の見解は?」
「現時点では不明、調査中です。
只、相当に途方も無い仮説が出て来ています」
「ミューズ降臨か?」
「その線です」
「マジか」

「現実的な可能性を考えるならテレポーターか何かと言う事になりますが、
科学にせよ魔術にせよ、余りに意味不明に過ぎますし場所が場所です。
それであれば、科学の学園都市にいながら謎のままと言う説明も付かない。
魔術側の存在であれば、政治的に考えてネセサリウスが放置している筈が無い。

幽霊その他、そちら側の存在と仮定した場合、今度はエネルギーが強過ぎる。
実際オリオン号でも奇蹟を起こして、
イギリス清教筋の情報からもその他の情報からも、
聖人に匹敵する、しかも正確な検証が出来ない謎の力の持ち主である事は動かせない。
で、あるならば、いっそ彼女が奇蹟そのものと」

「神の子か天使様でも降臨したってのか?」
「そうなると、これは最早科学的な魔法理論の範疇ではありません。
抽象思考、高次の概念的な話になってしまいます」
「概念ねぇ、宇宙も次元も世界も超越した概念上の存在、とでも言い出すってのか」

「私達には、その様な存在を表現する一つの言葉があります」
「だが、アリサは間違いなく人間として現実に存在してる。
誰かが待ち構えて腕掴んで引きずり下ろしたとでも言うのかよ」
「あのー」

ガシガシ頭を掻く千雨に風斬が声を掛ける。

「人が突如として降って湧くと言うお話しですよね?」

>>51

 ×     ×

「くそっ!」

犬上小太郎が、だっだっだっと飛び退きながら悪態をつく。

「うらあっ!!」

そして、前方から飛んで来た光球を小太郎の気弾が相殺する。
そして、たぁーんと橋の上に着地する。
扉の向こうから、双頭の大犬と三つ頭の大犬がのしっ、のしっと前進して来る。
その後から響くのは銃声銃声銃声。

「剣の女神もいっちょうっ!!」

懸命に防護ゴーレムを展開しながら、
早乙女ハルナが攻撃ゴーレムを放つ。
そしてそれが効果を待たず銃声に崩壊する確率も決して低くはない。

橋に向けてじりじり後退するハルナの前には、
黒い装甲服姿の機関銃部隊に加えて白塗り白スーツのSMG部隊まで加わって
薄いとは言わせないとばかりの弾幕を張りまくってハルナに迫っている。

「ハィィィィィィィィィッッッッッ!!!」
「フオオォォォォォォォォォ」

その橋の先、小太郎とハルナが押しまくられてそこまで撤退して来た
貯水槽と言うか貯水池の橋の上では、
十字路を越えた辺りで古菲が振るう巨大如意棒を、
ケンタウロスを従えたミノタウロスがその腕で凌いで見せる。

「はいっはいっはいっはいっはいいいいっ!!!」

ジャンプした古菲から降り注ぐ拳と蹴りを、
牛の上半身を持つ大男ミノタウロスはぶんぶん腕を振り回して弾き返す。
その古菲の着地を狙って、角を古菲に向けた突進が来た。
ミノタウロスの顎を狙った古菲のオーバーヘッドキックが空振りし、
ざざざっと後退したミノタウロスの前で古菲は辛うじて着地する。
その時には、ミノタウロスは跳躍していた。

>>52

「おおっ!」

ぶうんっ、と、ぶっとい脚の回し蹴りを古菲は辛うじて飛び退いて交わす。

「見た目通りのパワーに猛牛の突進のスピード、
それをコントロール出来るアルか」

息が上がりつつあるのを自覚しながら古菲が瞳に闘志を燃やす。
どっぱぁーんっ!と、貯水池から巨大な水柱が上がる。
その水柱からばばばばばばっと水弾が飛び、
何羽かのセイレーンが叩き落とされる。
そして、水柱の真ん中からどぷーんと貯水池に飛び込んだ大河内アキラを
残ったセイレーンが羽音を立てて猛追する。

(やっぱり、人魚の原形…)

セイレーン達は、鳥人間ながら潜水して逃れるアキラをずぶずぶ追跡して来る。
アキラを中心に巨大な渦巻きが発生し、
アキラから引き離されたセイレーンを余所にアキラは這々の体で橋に近づく。
そのまま橋に飛び移ったアキラは、たまらず両手両膝をついて荒い息を吐く。

「!?」

そんなアキラを、ケンタウロス、ミノタウロスを辛うじてくぐり抜けた黒狗数頭が取り巻いた。
黒狗は激しく吠え立て、既に周囲を取り巻こうとしていたセイレーンと激しく威嚇し合う。

「くっ!」

だが、所詮は使役される程度のもの、それも多勢に無勢。
あっと言う間に八つ裂きにされる黒狗を尻目に、アキラは再び水に逃れた。

>>53

 ×     ×

エンデュミオン基部エリア。

高音・D・グッドマンの目の前にいるのは、
一見するとまだ少年と言ってもいい年配の気取った仕草の優男。
だが、その実、「魔法」の世界でも実力者である高音が危うく弾き飛ばされかけた。
それだけの事を簡単にこなして見せるのも、
学園都市レベル5超能力者の中でも第二位の実力を持つ垣根帝督だからこそ。

「ほぉー、今ので立ってられるってか、素人じゃねぇな。
だが、こんなモン只の小手調べだ。
だからもう一度だけ選ばせてやる、俺の敵になるかならないか。
つまり、俺の質問に答えるなら別に構わない。答えないなら敵、それだけだ。
敵だと言うなら女だろうが容赦はしない、
十倍百倍の力で爪先から切り刻まれて喋らせて下さいって泣くだけの事だ」

「どうやら、相当に能力に自信がある様ですね」

コメカミに汗を浮かべ、高音が言う。

「当然だ。学園都市レベル5第二位、
つまり、オマエの目の前にいるのは限りなく最強に近い超能力者って事だ。
少なくとも第一位を名乗ってる奴がテメェな訳がねぇからな、
ここでの無駄な抵抗が何をもたらすか、馬鹿じゃねぇ限り理解出来るだろう」
「レベル5超能力者」

確かに、これは二つの意味でまずい。
一つは実力的に。
名乗られなくても今の一撃だけでもその点で非常に危険なのは理解出来る。
そして、政治的問題。
「魔法」自体が未だ秘匿された存在であり、ましてここは魔法禁断の科学の学園都市。
そして、学園都市の能力者の中でもレベル5となるとそれ自体が政治的存在。

>>54

「ああー、最近その辺の事をよく理解してないクソボケが多くて困る。
しかも、暗部の中にもその辺の無理解に基づく妙な噂が流れてるらしいからな。
まずこのクソアマ見つけ出して八つ裂きにしてその辺の事は分からせる」

ぐしゃっ、と、聞き込みに使われた写真が握り潰された。

「で、テメェらだ。
今の所、多少の誤解はあっても敵対は留保していると解釈する。
だが俺は急いでいるから留保を認める事の出来る時間は限りなく短い。
それが分かったらとっとと教えろっ!」

「ナツメグ、行きなさい」
「え?」
「先に行って一人で任務に当たりなさい」

高音の指示を受け、夏目萌が動き出した。

「おいっ…」

追い縋ろうとした垣根の顔の前を、
ダダダッと槍の様な黒いものが突き抜けた。

「誰があの娘に手を出していいと言ったあっ!?」

それは、初見であればいかなる猛者とて無視出来ない程の大喝だった。

「アマアアッ!!」

垣根の背中から高音の体へ、
ぐあっと盛り上がり突き進んだ巨大な羽が高音の身から湧き出す黒いものにがしいっと阻まれる。

>>55

「ん、だぁ?」

阻まれた事もそうだが、それに対する高音の反応にも垣根は怪訝な顔をする。
高音は下を向き、くっくっ笑い出していた。

「おいおいおい、恐怖で頭逝っちまうのは喋ってからにしてくれよぉ」
「どうやら、私は案外単純な人間の様ですね。
これでは彼女達にお説教など出来た筋合いではありません」
「あ?」

「裏の仕事の上での事、利害を離れれば恨み言も避けるべきなのでしょうが、
あの様な目に遭わされた上にふざけた事を言われては、
それを見過ごすほど私は出来た人間ではない様です」

垣根帝督は、あんぐりと口を開けて顔を前から上に向ける。
その視線は、高音よりも後方に向けられていた。

「その上五体満足で帰れる等と思っているなら、
まずはその幻想をモトイその間違いをその身に教えて差し上げましょう!!!」
「ムカついたっ!!
その蛸人形ごと愉快なオブジェにしてやるぜえええっっっ!!!」

今回はここまでです。
続きは折を見て。

乙です


俺の記憶が確かなら第三位で聖人と拮抗できる実力を持ってたと思うが、高音って聖人クラスの実力持ってたりするのか?
これ垣根から冷静さとか能力の応用とかを引いて単純攻撃だけする馬鹿にでもしない限り勝てんだろ

高音さんはどちらかと言えば残念キャラだよ…
名前と能力は凄く厨二臭くてカッコイイんだが
ネギまで活躍した事はあんまりないな

影使いとかカッコイイんだけどねえ

美琴が拮抗出来るのは魔法名を名乗ってない(=[ピーーー]気はない)聖人。
加えて新約で戦った相手の戦法と相性が良く、地の利もあった。
禁書ギャグSSについてのインタビューでかまちーは「魔法名を名乗らず、魔術と礼装を使わない神裂と全力の美琴の強さは同じくらい。本気を出した神裂には手も足も出ない」って感じのことを言ってた(ギャグSS内で2人が戦うので答えてた)。
ちなみに少し前に出た公式本?によると美琴は自力で自分を上回る相手には勝ち目がないとの事(逆に言えば、何かしらの手段でブーストしてる相手には大体勝てるらしい)。

高音さんの能力は、攻防一体でオートガード付きと地味に強いのだが、音速移動での体当たり攻撃に反応出来るか、反応しても防げるのかは怪しい所だし、忘れがちだけど垣根も翼を出していなくても能力を使えるのか、意識外の一方通行の烈風攻撃でノーダメージになるくらいに頑丈。
少なくとも、美琴と同じくらい?な次期のネギに負けた事を考えると高音さんは敗戦濃厚。
けど、高音さんは可愛い。

相手が垣根なのは
むしろ高音さんがネギま並みの醜態さらしても
垣根相手なら仕方ないかなと思わせる為の作者の温情

感想どうもです。

>>61
鋭いw

いや、正解とは言いませんがね。
実力差で言えば厳しい対戦なのはその通りですね。

それでは今回の投下、入ります。

>>56

 ×     ×

エンデュミオン基部エリアに、
ドン!ガン!!ドン!!!と白と黒の叩き合いが響き渡る。
高音・D・グッドマンが心の中で呟き、大きな機械の上に着地した瞬間、
空中で高音が放つ黒の防壁と白の翼が空中で激突する。

ぶおんっ、と、別の翼が迂回して来た。
その時には、高音は跳躍して橋に着地していた。

吹き抜けや橋の通路、機械やパイプの上、
跳び回って攻撃を回避する高音に対して、
垣根帝督はそんな巨大な機械室と言うべきエリアを白い翼で飛び回り、
強力な攻撃を叩き付けて来る。

(………厳しいわね………さすがは第二位、ですか)

高音は実感する。科学の学園都市能力者最高峰を示すレベル5、
その中でも第二位の名乗りは決してハッタリには聞こえない。

高音も正式な魔法使い活動は卒業してから、と言う事であるが、
それでもあの夏の戦いの第一線にいた。
身近にぶっ飛び過ぎた実例があると言うだけで、
「魔法」の世界において決して侮られる実力ではない。
特に防御に於いては、桁の一つ二つぶっ飛んだスーパー兵器レベルのものを持って来ない限り
力押しで負けるものではないし、その裏をかこうと言う相手に対して知略、技術も日々精進している。

そんな高音でも、今は防戦一方と言うのが実際、
とにかく今も絶え間なく降り注ぐ垣根の攻撃はスピード、パワー共に生半可なものではない。
通常は絶対防壁を誇る高音にして、僅かでも気を抜いたらぶち抜かれると言う恐怖が汗となって背中を伝う。

>>62

垣根の攻撃を受けて、高音が立っていた橋がへし折れた。
パイプの上に飛び移った高音は、
そちらへ唸る翼の槍を防御の黒ヒレで叩き付ける様にしながら、
更に跳躍して機械の外壁の上に跳び乗る。

「ちいっ!」

そして、垣根はその顔面の遥か前の空中で、腕を振るって飛んできた電撃を払い除ける。
高音は、ついで、とばかりに跳躍した時に垣根に向かって練習杖を振るっていた。

「ちょこまかとムカつかせやがる…」
(とは言え、まだまだこんなものではない筈)

高音が思いを巡らせたあの三人、高音の妹分の佐倉愛衣は自分より年下の学生身分だが、
将来性ではジョンソン魔法学校を首席卒業したその世界の才媛。
魔法使いとしての理論値は低くないし、あの夏の戦いでも前線で地道に戦っていた。

犬上小太郎は悔しいがその愛衣の一つも二つも上、
夏にはネギ・パーティーの中核メンバーとして
桁違いの魔法拳闘やフェイト側との死闘を展開した。
そして村上夏美は抜群の補助能力を持つレアアイテムの使い手。

それが、三人がかりで命からがら、重傷者を出して辛うじて退けた相手。
本来であればこんなものではない筈、と高音は見当を付ける。

「おおおっ!!」

高音が腕を振り、巨大な影人形が一瞬の隙を突いて空中の垣根を捕らえ、
触手に呑み込もうとする。

「らああああっ!!」
「ちっ!」

一瞬で触手が弾け飛び、術者への反動で高音の体が揺らぐ。

>>63

「(又だ、今の触手も力押しでぶっ千切ったが、
後一歩の所で素粒子変化が出来なかった。
あの蛸人形にあの女をガードしてる黒い物体、あれが能力ならとっくに俺の掌中。
あのクソアマの炎もそうだった。俺とは違う未元物質?)
そんなモンがああああっっっ!!!」

体勢を立て直そうとする高音に突っ込む翼の槍、
跳躍した高音は半ば破壊され辛うじて途中で支えられた橋に飛び移った。

(だとすると、今でも決して優位とは言えない。
流石にこの場所で大規模な破壊攻撃は避けていると言う事。
あの男がこのフィールドに慣れる前になんとかしないと…)

今でも劣勢なのは間違いない。
それでも、今の内になんとかしないとクロコダイルはドラゴンになる。
慣れない事をしたばかりに、と、高音のコメカミがキリキリ響く。

 ×     ×

「ああ、何か今の所はな」

風斬氷華の問いに長谷川千雨が答えた。

「少し、詳しく聞かせていただけますか?」

風斬の言葉に、朝倉和美が色々端折って歌手としてのアリサの事、
オリオン号事件の事、一連の抗争を抜いてアリサに就いて分かっている大まかな事を説明する。

「………むか………さんば………」
「え?」

風斬の呟く言葉に千雨が聞き返した。

「あなた達、見た所外の人ですよね?
ここが科学により開発された能力の街だと言う事は理解していますか?」
「ええ」

「学園都市には多種多様な能力者がいます。
その能力者達が放出している様々な能力、
炎であったり電気であったり物質を作り出したり人間の精神に関わるものも。
それらが一つに集まった場合、一人の人間が形成されると言う事も…」

>>64

「あり得ますね」

電話越しに風斬の言葉を聞いた葉加瀬聡美が言い、千雨はノーパソからイヤホンを抜いた。

「それは、AIM拡散力場の事ですね」
「えーあい…?」

葉加瀬の言葉に和美が聞き返す。

「科学の学園都市の能力者は、意図しなくても常に微弱な能力を放出していると言う」
「そうなのか?」

葉加瀬が説明し、千雨の問いに風斬が頷いた。

「理論的にはあり得ます。
AIM拡散力場は科学の学園都市の能力開発に於ける基本にして中核、
重要な機密としてこちらで分かる事は限られていますが、
基礎理論を発展させてシミュレーションした場合、
理論値として人間が一人出来上がる。その可能性は決して否定できない」
「そういうもんなのか?」

葉加瀬の言葉に千雨が尋ねる。

「はい。
分かっている事が限られていますので細部に於いて正確性の保障できない抽象的な説明になりますが、
科学の学園都市の能力と言うものはつまり能力者自身の作り出すものです。
故に、能力者自身の思考が色濃く反映されるメンタルの産物と言う一面がある筈です。

そして、人間の創り出す能力は人間そのものの如く多種多様、ありとあらゆる要素に及ぶものです。
それが一定量集約した場合、人間一人分の材料が揃うと言う事も、
理論上は否定する程に突飛な内容ではありません」

「材料が揃う、ってな、マッチや石鹸から人間を作ろうって話になるぞ」

葉加瀬の弁舌に千雨が口を挟んだ

>>65

「ええ、それだけでしたら只の人形です。
だから、能力、人の創りしもの、なんです。
例えば、人間の脳によって直接制御出来る電気を究めたならば、
人間の脳と言う科学者の遠く及ばぬ超高性能コンピューター、
その下位互換に過ぎない科学的なコンピューターの電気信号など自在に制御出来る。
その事を千雨さんも目にした筈です」

「ああ」

その通り、恐らく魔法の世界でも指折り、なのかも知れない電子精霊使いの自分を、
そんな自分が死にかけた修羅場から自らの電気使いで生へと引っ張り上げた超能力者がいた。

「エネルギーを含めた人間の構成要素が集まっただけの物理的集合体。
それだけなら、それは脳も含めて只の人形、
プログラムを入力していないハードウェアです。

しかし、科学の学園都市の能力、AIM拡散力場は、
物理的な物体やエネルギーであると共にその発生は能力者本人の思考と密接に関わっている。

従って、科学的に言えば思考データが圧縮された電気信号、
オカルティックに言えば残留思念。
そう言ったものが、無意識の内に放出される物理的な能力に付随して
その人形に取り込まれる事になるとしたら」

「無意識の中で意思を持って放出された能力の集合体、って事?」
「そうです」

朝倉和美の問いに葉加瀬が答えた。

「純粋に科学者がプログラミングする事で人形を人間にする事は不可能。
ゼロか1か、答えはゼロ、
少なくとも現時点では那由他不可思議の彼方まで演算を重ねてもその結論は覆らない。

しかし、それが元々人間由来の成分であるとするならば、
物理的存在と共に集結する能力者達の膨大かつ多種多様な電気信号は、
魂と呼ぶに値するのかも知れません」

「魂、それがソフトウェア」
「はい」

千雨の言葉に葉加瀬が同意する。

>>66

「科学の学園都市に於ける能力開発は人間の脳神経に深く関わるものである、
あの街の科学者の中でも最も危険な領域に在る者達は、
能力と精神、脳の構造研究に決して触れてはならない領域を
百も千も踏み越えた研究開発に勤しんでいる、
との科学者の極めて深い辺りの裏情報も聞こえて来ています。

科学の学園都市の能力がそうした人の思考、精神、医学的な脳の研究、
そうしたものに強く依拠したものである事はどうやら確かなものの様です。
その様にして開発されて来た能力者達、彼らが無意識に放出するAIM拡散力場。

多種多様な能力の残滓が一つに集結して、
それが人の思念と言う複雑な電気信号を伴うものであるならば、
脳細胞も含めたハードが一揃え作り上げられた、
能力で出来た人形に魂が吹き込まれて人間としての条件が揃う。

そもそも、無限に等しい組み合わせの材料を一人の人間として過不足無く整頓する。
その時点で、材料そのものに人としての思念が付随して調整されている。
そういう仮説も決して絵空事に終わりません」

「………葉加瀬、自重しろ」

チラッと横に視線を走らせ、青ざめた顔を見た千雨が言った。

「ああ、申し訳ありません。ついつい熱が入ってしまって。
確かに、これでは一歩間違えると
闇医者の助手やフランケンシュタインの製造過程です。
しかし、本当に能力の集合体と考えるならば、
奇蹟に就いても一定の説明が出来るかも知れません。

彼女が能力そのものの存在であれば、特に場所が科学の学園都市です。
無意識の内に他人の無意識の能力も含めて都合良く共鳴、誘導して
自然と奇蹟の様なシチュエーションを作り上げてしまう。
そういう可能性も十分考えられます」

「どうでしょうか?」

そこに風斬が、ここの面々から見て初めて否定的な発言をした。

「奇蹟、と言うものがどの程度のものか詳しい事は分かりかねますが、
この街の能力と言うものは高位になればなる程、非常に凄いものです。
逆に、微弱な能力の共鳴だけで、
運命に横車を押す様な奇蹟的な現象を引き起こすと言うのは難しいのではないかと」

>>67

「何かを動かす物理的エネルギーの絶対量が不足してる、ですか」

葉加瀬はあっさり認める。その辺の柔軟さは持ち合わせている。

「前例はあるの?」
「外の人に詳しい話をするのは難しいです」

全くの詐欺師でなければ、風斬の性格からして肯定と受け取るべき、
質問した和美はそう判断する。

「AIM拡散力場か…」

千雨が呟く。この訳の分からなさは、
訳が分からない概念で説明するしかないのかも知れない。

「鳴護アリサさんは、その事故の頃から記憶が無い、そう伺いました」
「それも状況証拠になるって事だね。
能力の集まりだって事は、宇宙で墜落する危機的状況だったら、
みんなの感情が高ぶる分可能性はより高くなるのかも知れない」

風斬の言葉に、それを説明した和美が言う。

「それに、奇蹟の歌と言うのも気になります。
先ほどもモニター越しに聞きましたが、あの歌は何かがあります。
多分、能力じゃない。でも何かがある」

「奇跡的に集まった能力の集合体、
奇蹟の歌声はそこから生ずる複雑な反応。
それで説明出来るかも知れないけど、そんな生易しいものでも無い様な」

千雨が少々不満げに言う。

「私もそう思います。それで説明出来る様な歌ではないと、
上手く説明は出来ませんが私もそう思います。

そして今夜はコンサート、大勢の人達、
それも能力者も多く含む学園都市の生徒がこのエンデュミオンに集まっています。
奇蹟の歌声を芯にして人々、特に能力者の心が一つになったとしたら」

「人間の一人ぐらい新たに生み出されても不思議じゃない、か」

風斬の言葉に千雨が天を仰いだ。

>>68

 ×     ×

「くっ!」

段ボールの壁に一瞬だけ爪先を突き刺しながら、
明石裕奈は倉庫の壁から壁へと飛び回り、
床に立つ麦野沈利を魔法拳銃で銃撃しようとする。

だが、麦野はそこから動く事無く、裕奈が僅かでも攻撃のモーションを見せると
その瞬間にドドドッとばかりにビーム攻撃原子崩しを放って来る。
結果として、裕奈はひたすらに段ボールの壁から壁へと飛び回って逃げ回る事しか出来ていない。

ダンターンッと壁から壁へと飛び移った裕奈は、
鋭い動きでそんな壁の向こう側へと滑り込む。
一息ついて体勢を立て直そうとしたその矢先、
壁がそのまま爆発し崩壊し、間一髪下敷きを免れた裕奈が
ドカドカと撃ち込まれるビームの雨あられからしゃかしゃかと這々の体で逃走した。

(まずい、いい加減ドーピングも切れる。
今でもこの状態、
このまま時間切れいったら命どころか死体も残らないよねこれ、っ!?)

自分を隠す壁が爆発し、
裕奈は床を転がりダンダンダンと発砲しながら次の壁の向こうへと転がり込む。

(跳んでも駄目、走っても駄目、狙っても駄目、止まったら死ぬ、
やっぱあの女無茶苦茶強い…
泣き言言ってらんない。
強い、そうだよ。ネギ君とは無茶苦茶凄いけど、
楽な戦いなんてなかった、筈っ!)

裕奈が素早く周囲に視線を走らせる。

「ひゃー、ブチギレてるねー麦野ー、
でもあれじゃあ鼠が猫をいたぶってる所か、なっ!!」

同じ倉庫の一角で、フレンダがさっと身を交わし、
間一髪で拳を交わされた長瀬楓がスタンと着地する。
絹旗最愛がざざざっとそんな楓の前に回り、じりじり牽制する。

>>69

(やっぱ凄いよあのノッポ、間一髪って訳よ)

フレンダの背筋に恐怖の汗が迸る。
一般的な世界で言えばフレンダの格闘技術も暗部で磨いた実力者の域に達している。
それでも、あのノッポとまともに殴り合ったら
フル稼動に卑怯な手段を使っても秒の世界で負けるのは見ていてよく分かる。

「まずいでござるな…」

楓が呟く。
裕奈と距離が空きすぎた。
そして、あの麦野沈利は尋常ではない実力者。

恐らく今の裕奈では勝ち目は無い。
麦野は能力が高い上に実戦慣れしている、
裕奈が知恵と勇気と奇策でカバー出来る範囲を超えている。

楓が相手をしている二人も、恐らくそれを分かっていて楓の足止めに徹している。
一人危険を避けているだけの滝壺理后は、
楓から見ると隠し球なのか荒事には向かないのか、油断は出来ない。
麦野が早々に裕奈を仕留めて、滝壺を除いても三対一、と言う事になれば、
楓でもかなり厳しい戦いになる。それ以前にそうなっては裕奈が危ない。

今回はここまでです。
続きは折を見て。

乙です

穴もあれば間違いも多いとはいえ能力者の存在からよくまあそこまで何の根拠もデータも無くそこまで真実に迫った仮定が出来たもんだ
ネギが反射見抜いたときも思ったがネギま勢力は直感力が神懸かってんな

ただ葉加瀬はもうそろそろ取り返しのつかないところまで踏み込んでるような気がしてならないな
☆のプランってここまで魔術サイドの人間に肉薄されても問題無いものなのか?

感想どうもです。
これより震え声タイム入ります

>>72
ネギに関しては、原作でもこの手の鋭さと応用力に長けたキャラクターですから。
葉加瀬は科学と魔法のトンデモシティーである麻帆良でもトップクラスの科学者ですからね。
今回は当の本人wが言った答えを検算したみたいなものですし。

色んな意味でヤバそうではありますが…

それでは今回の投下、入ります。

>>70

 ×     ×

「おらおらおらぁガキがあっ汚ねぇケツ振って逃げてんじゃねぇぞっ
パリィパリィパリィパリィってかあああああっっっっっ!!!!!」

倉庫の中を、段ボールの壁の陰から別の壁へと逃げ回る裕奈を麦野の原子崩しが執拗に追撃し、
間一髪の所で次々と壁が爆発しその向こうから裕奈が飛び出して逃走する。

「………一周りして戻って?………」

麦野がざっと振り返る。
壁の陰から赤い金属の塊が飛び出して来ていた。

「小賢しいっ!………」

宙を舞った消火器が銃撃を受けて爆発する。
次の瞬間、麦野の左手に一瞬だけ人の気配がよぎった

「!?」

麦野の背後で彼女に銃口を向けた裕奈が、
次の瞬間その感覚一杯に星を感じた。

「あ、っ………ぐふっ!…………」

気が付くと、麦野の左手が裕奈の右手をがっしり掴み、
麦野の右の拳が裕奈の鳩尾に突き刺さっていた。

>>73

「ぐ、あっ!」

麦野の指の動きと共に、
裕奈の右腕に握力の維持を不可能にする激痛が走り拳銃が落ちる。

「バスケ上がりか、それがテメェの固有のスキルって奴かぁ?
チャカの距離感も三動作にかかる時間も知らねぇガキがよおっ!!!」

裕奈に頭突きした頭を反らした麦野が、
ドカン、と、裕奈の腹に膝を叩き込む。

「しっ!」

跳ね上げられた麦野の爪先が、
銃口を前に向けた裕奈の左の腕に下から撃ち込まれる。
続く手刀を受けて、拳銃が床を滑った。

「か、はっ!」

麦野の回し蹴りが横一線に裕奈の胸を直撃し、
窒息を感じた裕奈の背中が近くの段ボールの壁に叩き付けられた。

(や、ばい。素手攻撃でこのダメージ、
魔法強化でこれって生身だったら確実に死んでる)
「らあああっ!!」

飛び込んで来た麦野の脚が段ボールに埋まり、
裕奈は最後の力を振り絞って床を蛙跳びした。

「いっ!」
「オムツも取れねぇガキにはちょーっと早すぎるオモチャじゃないのかにゃーん」

ずぼっと段ボールから脚引き抜かれた麦野の足は、
床に這って拳銃に届こうとしていた裕奈の右手をしっかり踏みにじっていた。

「今の状況分かってるのかにゃーん?
私がちょーっと脳味噌に入力するだけで、
テメェの脳味噌がこの世から無くなるって」

それは、丸で止める理由を探していたかの如く、
裕奈の体からくたっと力が抜けた。

>>74

「い、っ」

麦野が、裕奈の胸を掴んでその身を引き起こした。

「ガキが発育だけは一丁前かよ。
このまま裸に剥いて暗部のクソ野郎共ん中に放り込んだらどういう事になるのかしらね」
「あ、いっ」

ぎゅうっと握り潰す勢いで掴み起こし、ぐわんと揺さぶって見せる。

「あっれー、もしかして震えてるのかにゃーんこの子猫ちゃん?
やーっと誰に喧嘩売ったのか分かったのかにゃーん?
これ、見逃してやるって言ったら靴ぐらい舐めてくれるんじゃないの?」

嘲笑されても今の裕奈には視線を外す事しか出来ない。

「ここでマッパで土下座で靴舐めて大股開きでオナニーして
いい感じによがり泣いてアヘ顔ダブルピース写真撮影してから
知ってる事ぜぇーんぶ喋る、
って言うんなら他人の振りしてテキトーな所に放り出してやってもいいんだけど?
イッツ・ショータァーイムッいってみるぅ?」

裕奈の今までの常識で言えば非常識極まりない言葉だが、
そんな裕奈にも分かるのは、これは冗談でもなんでもない。もし断ったら、

「もしかして断ったら殺してくれるとか私ってそんな菩薩様マリア様に見えたのかにゃーん?
別にいいのよ、私らが損する訳じゃないから。

このまま無駄に発育のいいあんたの全身45分45分ロスタイム1時間サッカーボール扱いで
腕も脚も指も爪もぐちゃぐちゃにされてどうぞ喋らせて下さいお願いしますって懇願してから、
ああ、多分歯医者は定番コースだから喋るの無理か。

暗部で変態野郎共の玩具になるかマッドサイエンティストのモルモットになるか、
殺して下さいって祈りながら残りの人生過ごす事になる訳だけどさぁ。
ま、狂って楽になるまでの辛抱じゃないの?」

当たり前の世間話の様に喋った麦野が裕奈の目を見る。
見開かれた目の元々は大きな瞳は確かに口ほどに物を言っている。

>>75

「すくすく健康的に育ちやがったんだ、いい加減オイタもこの辺でいいんじゃないの?
ちょーっと高い授業料になるけど、
くっだらねぇ意地か感傷で人生丸ごと身ぐるみ剥がれないと分かんねぇぐらい幸せな馬鹿ってか?」

その通り、理屈はその通り。
元々単純な性格の裕奈の詰まらない演技が通じる相手ではない。
ここで屈して掛け替えのない仲間を売ったら、らもう後戻りは出来ない。
例え許されても自分の心が顔向けできない。
それでも、現実は只只圧倒的過ぎる。
一時の青春と友情のために、そのままの意味で人生の全てを捨てる。
流石にその現実が分からない程馬鹿でも幼稚でもない。

(…これが、心が折れる、って言うのかな…)
「ガキが…」

吐き捨てる様に言いかけた麦野が硬直した。

「手を離して下さい、今すぐに」

麦野は、即座に従った。
裕奈の体がその場に頽れる。

麦野に言わせればこちらも甘ちゃんのヒヨッコだが、
それでも、麦野が僅かでも違う素振りを見せたら
刃を僅かに右側に動かして赤い噴水ショーを躊躇無く開幕していた筈。
丁重かつ簡潔な警告にはそれだけの重みがあった。

そこが、この馬鹿ガキとの違いだ。
このヒヨッコ、欠片かも知れないが、間違いなく闇と言うものを知っている。

「(て言うか、私が気づけなかっただと?)おい」

麦野が、背後に立つ桜咲刹那に声を掛ける。
刹那はその右手に握る白き翼の剣の切っ先近くを、
麦野の左側から首筋に向けていた。

>>76

「こいつ、テメェの仲間か?」
「ええ」
「じゃあ、テメェは私の敵って事でいいんだな?」
「事情を説明していただけますか?」

声が僅かに引きつっている事を自覚しながらの、
それでも低い迫力に満ちた麦野の質問にも、
刹那は丁重かつ芯の強い態度を崩さない。
先の騒動で互いの実力はある程度知っている筈だが。

「!?」

気が付いた時には、刹那は麦野と真正面から相対していた。

「チェックメイトだな。
この程度の痛みなら、テメェの首一つ分ぐらいの演算には十分だ」
「私の首がついていると言う事はまだ交渉の余地はあるのですね」

麦野の左手に握られた刹那の剣から粘っこく赤い液体が滴り、
カッと目を見開いた麦野の周囲に緑色の光球が浮遊する。

「他人が飯食ってるテーブルにチャカぶち込んどいて事情もクソもあるかよ」
「あ、ぐっ、それは、流れ弾が…」
「あ゛?」

身を起こそうとした裕奈が口を開き、
麦野がギロッと殺意の視線をそちらに向ける。

「おっ!?」

刹那の背後の物陰から刹那と麦野の間へと、
刹那の驚愕を跳ね返す様にしてするりと現れたのは、
宮崎のどかから耳打ちを受けた近衛木乃香だった。

「そちらさん、その手、離して貰えますやろか?
うちがここにいれば十分ですやろ。
それ見ながら話続けるのきつうおす」

木乃香の言葉に、麦野は握った左手を自分の側に引き戻す。

>>77

(射線に、わざわざ人質になりにだ?
なんなんだこのお嬢?)
「この度は、こちらの身内の不始末で
そちらさんにはえらい迷惑をおかけいたしました。
申し訳ございません」

深く頭を下げて丁寧に一礼し、頭を上げて真っ直ぐ前を見た木乃香の姿に、
麦野は毒気を抜かれていた。

「つまり、そもそもの事の起こりは

食い物を粗末にするんじゃねぇ

[ピーーー]ぞ

と言う事で」

「ああ…」

「こちらからの始まりで大変恐縮ですが、
こちらも非常に重要な問題で先を急いでいます。

こちらの不始末でお腹立ちはごもっともですが、
別の用件の中で起きてしまったまことに申し訳のない間違い。
私どもにはそちらさんに含む所も、互いに益のある争いとも思えまへん。
ここはこちらが頭を下げて弁償すると言う事で収めていただけませんですやろか?」

「ふ、っ、ざけてんじゃないって訳よっ!!」

叫んだのは、近くの壁の上からすとーんと着地したフレンダ=セイヴェルンだった。

「あんた、アイテムに喧嘩売っといてそんなんで済むとでも…」

まくし立てながら、
背後でにこにこ微笑むノッポの気配にフレンダの顔から血の気が引く。

「よろしい」

返答を始めた木乃香はフレンダから半身をずらし、
典雅な笑みを白扇で隠す。

「ならば…」

前レスミスった、すまんもう一回
>>77

(射線に、わざわざ人質になりにだ?
なんなんだこのお嬢?)
「この度は、こちらの身内の不始末で
そちらさんにはえらい迷惑をおかけいたしました。
申し訳ございません」

深く頭を下げて丁寧に一礼し、頭を上げて真っ直ぐ前を見た木乃香の姿に、
麦野は毒気を抜かれていた。

「つまり、そもそもの事の起こりは

食い物を粗末にするんじゃねぇ

殺すぞ

と言う事で」

「ああ…」

「こちらからの始まりで大変恐縮ですが、
こちらも非常に重要な問題で先を急いでいます。

こちらの不始末でお腹立ちはごもっともですが、
別の用件の中で起きてしまったまことに申し訳のない間違い。
私どもにはそちらさんに含む所も、互いに益のある争いとも思えまへん。
ここはこちらが頭を下げて弁償すると言う事で収めていただけませんですやろか?」

「ふ、っ、ざけてんじゃないって訳よっ!!」

叫んだのは、近くの壁の上からすとーんと着地したフレンダ=セイヴェルンだった。

「あんた、アイテムに喧嘩売っといてそんなんで済むとでも…」

まくし立てながら、
背後でにこにこ微笑むノッポの気配にフレンダの顔から血の気が引く。

「よろしい」

返答を始めた木乃香はフレンダから半身をずらし、
典雅な笑みを白扇で隠す。

「ならば…」

>>79

「あー、分かった分かった」

パンパンと手を叩こうとした麦野が顔を顰めながら割って入った。

「そっちのサムライ女に半端モンのガンクレイジー、
あっちにいるサイコメトラーにここにはいないのか発火能力者、
腹ん中が真っ黒なのか真っ白なのか分からねぇお嬢様。
この分じゃあ他にもいるんだろうよ。
手札が丸で見えないとあっちゃあね」

そこらの猛者でもチビる眼力でギロッと睨み付けた麦野を、
木乃香はにっこり受け流す。

(本物の馬鹿か心臓に剛毛が生えてるのか)

しかし麦野には分かっていた。
麦野自身、上流世界と無縁ではない。
今がどうしてこうなったのかはとにかく、育ちも教養も持ち合わせている。

だから分かる。京人形の様に一見か細く脆い、
そんな少女の所作、雰囲気、その全てが「本物」。
それもその辺の成金には及びもつかぬ飛び抜けたレベルの上玉。
「王の資質」すら秘めていると言う事。

そして、血で血を洗う暗部の実力者の感覚は、確定的な確率で警告している。
その正真正銘のお嬢様に指一本触れた瞬間、
ここに転がるのは自分の首、それは刺し違えてでも実行されると言う事を。

「勘違いするなよ。
これは仕事じゃないからな、そっちが筋を通すって言うんなら、
ガキの遊びに付き合ってる程こっちは暇じゃねぇって事だ。
これが仕事なら今頃テメェら全員灰も残しちゃいねぇ所だ」

「賢明な判断、感謝します」
「ああ」
「では、口座番号を。食事代にお店の方も…」

「あー、それはいい。
ド素人のクソガキ相手にさんざ追いかけ回した挙げ句捕り逃がしたなんてのはこっちの落ち度だ。
飯代だけ貰っとくよ」

>>80

「おおきに」

そう言って、木乃香はすっと麦野に近づく。
白く、柔らかな掌が麦野の左手を包んだ。
無論、暗部の殺し屋の性として抵抗する事も考えたが、やめた。
持ち替えたバカデカイ日本刀の鯉口が切られた感覚と言う現実的な理由が一つ。
目の前の濁り一つ無いふうわりとした微笑みがもう一つ。

「おおきに」

木乃香が、ぺこりと頭を下げて麦野から離れた。

「…再生能力者?それも、とびっきりの…」
「つっ…」

そこに、裕奈がふらりと現れて大きく体を折る。

「全部、私が悪かった、です。ごめんなさい」

「あー、もういいわ。
世の中謝って済む事と済まない事あるから、
今更テメェに汚ねぇ頭下げられたって一文にもなりゃしねぇ。
バックフィーバーにトリガーハッピーなガキの遊びにかかずり合ってる程こっちは暇じゃねぇ、
殺る価値もないってだけの話だ」

麦野がうるさそうに手を払って動き出す。
麦野の背中を見送り、佇んでいた裕奈の体が吹っ飛び床を滑った。

「大概にして下さい」

刹那は床に片膝を着いて、
拳を裕奈の頬に思い切りぶち当てた右手で裕奈の胸倉を掴み静かに口を開いた。

「私達が剣を抜くと言う事は命のやり取り、
まして、私事でそれをするのは腹を切るのと隣り合わせ」
「うん」
「お嬢様は友の命が掛かればいかなる対価も厭わなかったでしょう。
その内容次第では、私があなたを斬って腹を切っていました」
「本当に、ごめん」

裕奈は、素直に頭を下げた。

>>81

「私、何やってんだろ?」

裕奈が、小さく乾いた笑いを見せる。

「思い出しただけで震えが来てる。
自分のした事の始末も出来ない。
この様でネギ君やお母さんの後に続こうとかってさ」

もう一発、がこんと裕奈の頭に拳が振り下ろされた。

「痛みも恐れも間違いも知らない者など、
この世界では周りを巻き込んで自滅するだけです。
どこまでが自分で出来て、そして仲間と、組織とどう繋がって責任を分担するか。
それを見極めるのも仕事の内です」

「うん」
「こちらは慢性人手不足です。
こちらに来ると言うのなら使い物になるまでしごきますよ」
「…よろしく、先輩」

今回はここまでです。

今回に限っては、元々の原因に就いては麦野以下アイテムの面々は見事にとばっちりですね。
難を言えば、あの状況で麦野なら誤射かどうかぐらい分かりそうなものですが、
誤射でも許せる程寛容じゃ無さそうですね。少なくともこの時点では。

裕奈も確かにこういうマイナスの素質はあるけどここまでは、とも思うけど、
あの時は状況も状況だったし、原子崩しぶっ放してパリィして来られて、
倉庫での決戦も含めて言われた通りかなり心理的に追い込まれてたって事も。
まあ、場所があのファミレスだから関係者を暴走させる何かが裕奈にも…

はい、この時点の麦野相手にここまではっちゃけた時点で
本来はどう考えても裕奈の肉片も残ってる筈が無いって訳よ。
新約のフレンダオヤジ扱いで神に感謝するレベル。

その他幾つかの点に関しては
…やってみたかった、反省はしている(土下座

続きは折を見て。

乙です

て言うか、暗部が悪く書かれてる様に見えても、先に仕掛けて来たのは麻帆良なんだよな、この場合。

基本的にこのSSにおける麻帆良勢力は善良とは程遠いからな
不法侵入するわ、人払いもせずに戦闘開始して周囲を巻き込むわ、ハッキングしまくるわで学園都市にとっては疫病神以外の何物でもない

ネギ「不法侵入したり、ハッキングに誘拐、暴行事件にテロ未遂したけど、正式な使者じゃないし、英雄のぼくが頭下げるんで許してwwwwwwあっ今後も利用させて貰いますからwwwww」
☆「まぁ、別にいいけど……それより、親が命掛けて守ったパートナー人柱にしておいて世界を救うwwwwwwwねぇ、どんな気持ち?どんな気持ち?それ、楽しみにしててやるよwwwww」
だもんな。

んな皮肉一つでこの損害に目をつむるほど阿呆じゃないはずだけどなぁ
むしろ相手の気持ちとか事情とかどうでもよくて、とにかく効率的に合理的に立ってるモノは人間でも人外でも自分の目的の達成ために利用し尽くすのが☆の流儀

既に虚数学区を拡大して麻帆良を征圧吸収するプランが始動していて、今回何も対処しなかったのは麻帆良勢力のデータ収集に努めるため、みたいな事になっててもおかしくない
まあ、この作者の場合は本当に☆が何も考えずに目をつむったって事になってそうだが

と言うか、アレイ☆的にはアスナ以外は麻帆良勢に興味ないだろ。
他の奴等はなんか特別な訳でもないし、特別っぽいのは禁書で似た様なの発見済みで強い奴等も作中最速と思われる雷天ネギ、パワー最強のラカンを見る限り、アレイ☆どころか白翼一方通行で完封出来るし。
しかも、火星開発も既に学園都市がし始めてる

感想どうもです。

>>86
ワロタwwwwwwwwwwwwwwwwww
大きく外れてないから困るwwwwwwwwwwwwwwwwww

>>88
プラン修正の鍵は新たなる古の能力「魔法無効化」だった。

プランとプランを巡り、
異能の街と異能の街、世界と世界の新たなる争奪戦が、今始まる………………

……………無理無理無理無理絶対無理、思い切り我が手に余り過ぎですから。

それでは今回の投下、入ります。

>>82

 ×     ×

立ち上がろうとした明石裕奈が、携帯を取り出した。

「もしもし?」
「明石か?そっちに桜咲のチームも合流してるな?
サブコンからカメラで把握してる。みんな集めてよく聞いてくれ」
「分かった」

長谷川千雨からの依頼に声に力が戻った裕奈が立ち上がり、頷いた刹那が皆を集める。
携帯をスピーカーにして耳を傾ける。

「最初に言う。このエンデュミオン、落ちるぞ」
「落ちる、って?」
「そのままの意味だ。こっちで何か事故があったらしい。
建物のバランスが保たない。
宇宙に届くバベルの塔がそのまま地球にぶっ倒れてわははーいって話なんだよ」

裕奈の問いに千雨が答えた。

>>89

「話は最後まで聞け。
色々調べた結果、下の方で関係者が動き出してる。
多分、そいつらが考えてるのは下にある爆砕ボルトを手動点火して、
倒れる前に建物を切り離して宇宙側に放り出す。
確かに他に方法が無い。この状況なら私でもそうする。
だけど、このやり方には穴がある」

「駄目なの?」
「ああ」

裕奈の質問に千雨が返答する。

「簡単に言えば、このエンデュミオン最終段階で色々と増築されて強化一体化されてる。
その際に取り付けられた安全装置の事がこの作戦だと計算に入ってない。
そいつを止めない事には成功しても不完全、もっとまずい状況になる」
「それは、どうすれば止まるんですか?」

桜咲刹那が尋ねた。

「現実的な方法は一つだけだ。
その倉庫から、今から長瀬に地図送信するエリアに入って、
安全装置に繋がるケーブルを切断する。

問題は幾つかある。
ケーブルはそのエリアの五本の柱の中を通っているんだけど、
その柱、壊れない、壊してはならない事を前提に作られた宇宙素材だ。

で、その柱を全部へし折った場合、
一刻も早くエリアを出て非常用隔壁を下ろしてエリアごと捨てないと、
エリアごとぶっ潰れてこのステーションと宇宙が筒抜けのオワタ状態に突入する。
そうなったら元も子もない。結論として桜咲」

「はい」

刹那の返答はしっかりしている。
既に、刹那は呈示された材料から結果を算出しているのかも知れない。

>>90

「可能性があるとするなら、
お前が行って柱ぜんぶぶった斬ってダッシュで戻って隔壁を下ろす。以上だ。

一応言っておくがな、隔壁遮断のスイッチは内側と外側、
もっと言うと捨てる側のエリアにも幾つか設置されてるが、
間違ってもそんなモン使うんじゃねぇぞ。
時限爆弾でもありゃあ良かったんだけどなぁ…

無理なら無理だと今言ってくれ、
仕方がない、作戦中止で総員撤退の指示を出す」

「いえ、私がやります」
「分かった。それが終わったら貯水槽に回ってくれ。
レディリーがモンスターの大量召還かけやがった。
小太郎達が抑えてるが押されてる。押し切られたら大変な事になる」
「分かりました…」
「…おいっ!」

刹那がざっと振り返ったのと電話の向こうの千雨が叫んだのはほぼ同時だった。

「フレェーンダ」
「はいよ、麦野」
「聞いての通りだ、ここがぶっ倒れたら元も子も無い」
「オッケー、麦野」

「滝壺もフレンダについて、そのまま出口探して下に戻ってろ。
どの道能力を検索してどうこうって状況じゃないみたいだし、
この際身軽に行くから」
「わかった」

「彼女に宇宙素材の柱五本、これを破壊して戻って来る事が出来ると言うのですか?」
「なーんかそれ、岩ぐらいなら斬れそうって訳だけど、
餅は餅屋って訳よ」

刹那の質問にフレンダが応じた。

>>91

「それでは、フレンダ殿滝壺殿に拙者が付いていこう」
「は?」

長瀬楓の言葉にフレンダが聞き返す。

「どうも、この建物の中、色々な意味で危険な様でござる。
そこもとらが足止めを食ってしまえば我ら全員巻き込まれる。
そちらのお二人と別行動と言うのなら、いかがでござるかな?」

「いいんじゃねぇの?今だけは対立する理由が無い。なら確実にやればいい」
「有り難いでござる」

麦野沈利と楓の間で合意が成立する。
フレンダは「邪魔するなよって訳よ」と毒づいているが、
内心では楓の実力を身に染みて理解している。
フレンダとしては少々不快だが、
全員巻き込まれる運命を背負う以上お目付役を付けられても仕方がない状況でもある。

「あなた達は?」
「ケリ、付けてくるよ」

刹那に聞かれ、麦野が言う。

「少なくとも今ん所、あんたらのイレギュラーが私らに含む所が無いってのは了解したけど、
別筋で巻き込まれちまったからねぇ。
まあ、仕事になりそうって威力偵察したらがっつり呑み込まれてこの様な訳だけど、
それでもアヤ付けられちまった以上、
こうなったらヒュドラの頭捕まえてケリ付けるしかないって事さ」

「そうですか」

刹那はそれ以上言わない。
下手をすると同じ方向の仲間とかち合う危険性があるが、
止めて止まる相手ではない、ここで再び戦端を開くには危険過ぎる相手だ。
知っている限り、直接かち合うのがあの面子ならアイテム相手でも何とかなるだろう。

「それでは、私達は貯水槽に向かいます」

麦野の背中を見送り、刹那が言った。

>>92

 ×     ×

「あ?」

行き先に繋がる扉から倉庫を出ようとしていた麦野と絹旗最愛が気配に振り返る。

「何やってんだテメェは?」
「私の行き先、こっちだから」

未だ裕奈がチビりそうな眼力を向けた麦野に裕奈が答える。

「行き先が、なんだって?」
「レディリー=タングルロードはテロリスト、
このエンデュミオンを使って本気で地球規模の大規模な破壊工作を企んでる。
嘘みたいな話だけどこれ、本当だから。だから私はそれを止めに行く」

「ガキが、正義の味方の魔法少女です、とでも言うのかテメェは?」
「それも、否定はしない。大雑把に言ってそんなモンだから」
「へぇー、偉いでしゅねー。テメェに何が出来る?」

「仲間がそっちに先行してる。
頭は冷えた。私は、私に出来る事をする」
「言ったよな、ガキの遊びにかまってる暇はねぇって。
だから今構う暇はねぇ。目障りだったら物理的に視界から消す」

麦野は、返事を待たず扉の向こうの通路をスタスタと先に進んだ。

>>93

 ×     ×

「麦野沈利の仲間か…」

サブ・コントロールで通信を受けた長谷川千雨が呻く。

「聞いてる限り、腕利きのプロ。
利害関係が一致している限りでは信用してもいい、するしかないんじゃない?」

朝倉和美が言った。

「ここで出来る事はもう無い、肝心のアリサがあのままだ。
そろそろ行くぞ」

千雨の言葉に和美が頷く。

「あの…」

風斬氷華が口を挟む。

「見たところ、今アリサさんの所に向かうのは危険な事ですよね?」
「だな、エンデュミオンのバランス失調の影響で建物自体がヤバイ事になってる。
ここからあそこに行き着くまででも建物の損傷が出て来てる。風斬さんは…」
「アリサさんは長谷川さんのお友達なんですか?」

千雨の言葉を遮って風斬が尋ねた。

「え、ええ」
「先ほどの話、もしかしたらアリサさんはその、能力の集合体、
そうでなくても、墜落寸前のシャトルに突然降って湧いた存在、
そういう話をしていたんですよね?」

「ええ」
「私の事をどう思っても構いません、現実的な質問をさせて下さい。
それを踏まえてでも、命の危険がある中でもあそこまで助けに行くお友達、
鳴護アリサさんはあなたにとってそういう存在なんですか?」

風斬の問いに、千雨と和美は顔を見合わせる。
そして、吹き出し、揃って笑い出していた。

>>94

「あ、あの…」
「あ、ああ、すいません。
うん、言いたい事は分かる、現実的なリスクから心配してくれてるって。
でもまあ、何て言うか、アリサが何で出来ているかとか、
そういうの今更って言うか」
「だよね」

もう一度くっくっ笑った千雨に、和美もキツネ目を見せて応じる。
そして、千雨は、両手を頭の後ろで組んで身を反らした。

「考えて見りゃあ、アリサと顔を合わせたのなんて数える程しか無いんだな。
面と向かって言葉を交わしたのはあの公園の一回だけか。
後は電話で上等、留守電とかメールとか」
「私はそれすらないね」
「それすらない、って」

「昔のテレビ番組にこういうのあったって?
考えてみれば友達の友達って状態。
但し、その元の友達が戦友みたいなモンだってのと
私自身の実利的な問題がちょっと絡んでるって事で」

眼鏡の向こうで目を見開いた風斬に、和美はキツネ目で笑う。

「だけどまぁ、どう考えてもアリサは私の友達なんだわ」

千雨が嘆息しそうな口調で言った。

「アリサが何であろうが何で出来ていようが、
ホントにキザったらしくて厨二病で口に出すのもやになんだけどさ、
私のここがそう言ってるんだからどうにもならない。
そうじゃなきゃ頭だけじゃあここまで来てないし」
「同感」

自分の胸を掴んだ千雨に和美も応じる。

「ここ…」

風斬が呟き、試してみる。
風斬の白いブラウスの上でぐにゅっと力を加えながら直接掌サイズと比較されると、
ついついまじまじと眺めてしまうぐらいのボリュームが改めて強調される。
だが、少なくとも外見上人より分厚いその奥底から沸き立つ思いは、

>>95

「風斬さんは、何とか避難路か安全な所を見付けたらそこで、
とにかく、私達はこれからアリサを助けに行く」
「あ、あの、私は…」
「動くな」

風斬が言いかけた時、全く異質な声に一同が入口を見る。
そこには、拳銃を構えたシャットアウラ・セクウェンツィアが剥き出しの殺気と共に立っていた。

「させない」
「何?」
「貴様、確か公園の事件で見かけたな、
あの時の、学ラン少年の一味か。
アリサを助けに行く?そんな事はさせない」
「どうして?」

そのブツブツに切れた口調が精神的な危険を感じさせる、
そんなシャットアウラの言葉に和美が尋ねた。

「説明している暇はない、これよりお前達を拘束する。
どういう類のイレギュラーかは分からないが、
可能な限り危害は避けたい。だが、邪魔をするなら命は無い、これは本気だ」
「シャットアウラ・セクウェンツィア」

千雨の声に、シャットアウラは反応する。
千雨と和美が目で言葉を交わす。元来、それはこっちの役割である、と。

「シャットアウラ・セクウェンツィアさんですね?」

和美の問いは硬いがインタビューの如くしっかりしていた。

「あなたの父親は、オリオン号のパイロット、機長だった。
88の奇蹟、鳴護アリサ」
「言え、何を知っている!?」

危険な感情の振り幅と共に、シャットアウラは和美に銃口を向けた。

>>96

「分からない」

和美が言う。

「分かっているのは分からないと言う事。
その様子ではあんたも同じなんじゃないの?
88の奇蹟がアリサを生んだ…」

次の瞬間、和美の体は床を滑り、
裏拳で頬を打たれた和美が唇の端から血を垂らす。

「!?」

千雨が目を見張る。
目の前では、風斬の跳び蹴りを受けたシャットアウラが床を滑っていた。

「風斬さんっ!」

千雨と和美が同時に叫ぶ。
風斬が掴み掛かろうとした所で、シャットアウラの拳銃が火を噴いていた。

「くっ!」

動き出そうとした千雨の前方で、
立ち上がったシャットアウラが引き金を引き銃弾が床に突き刺さる。
次の瞬間、風斬がシャットアウラに飛び付いていた。

「は、離せっ!」

右手に銃を握ったシャットアウラの右腕が風斬に掴まれ、揺れ動く。

「かっ!?」

千雨が絶句する。
ここにいる全員の聴覚がまともであるならば、
揉み合いながら風斬に向けられた拳銃が銃声を上げたのを把握した筈だ。

>>97

「このおっ!」

シャットアウラが風斬を振り解いた瞬間、和美が床からシャットアウラに体当たりするが、
シャットアウラの小柄だが道具と鍛錬で強化された体は小揺るぎしかしない。
ばあんと二発目の裏拳を食らい、和美の体は吹っ飛んだ。
その間にシャットアウラは拳銃のマガジンを交換する。

「朝倉さんっ!」

和美の前で、風斬が大の字に立った。
そちらに吸い寄せられる様に動いていた拳銃が立て続けに銃声を上げる。
風斬がダッシュでシャットアウラに組み付き、
風斬の体に押し付けられた拳銃が更にくぐもった音を立てる。
その時には千雨は椅子を手にしていたが、今度は風斬が邪魔で手が出せない。

「行って下さいっ!」

風斬が叫ぶ。

「え?」
「先に行って下さいっ!」
「いや、ちょっと待て、風斬さんが…」
「私は大丈夫ですっ、そういう能力者ですから。
だから、だから早くお友達をっ!!」
「分かったっ!」

立ち上がり叫んだ和美が千雨に目配せし、千雨も頷いて走り出した。

「邪魔するなああっ!!」

揉み合いの中、シャットアウラは風斬の太股目がけて引き金を引く。
それでも、シャットアウラの腕を掴む風斬の力はさ程緩まない。
気が付いた時には、銃口は彼女の眼鏡の、右のレンズの真ん前で、
それも二度、三度と火を噴いていた。
ようやく、バッとその腕を振り払ったシャットアウラの顔は蒼白だった。

>>98

「な、なんだ、それは?」
「いいですよ、何と言って下さっても。
だけど、ここは通しませんっ!!」
「ちっ………おおぉぉーーーーーっっっっっ!!!」

引き金が乾いた音を立てた拳銃をしまったシャットアウラは、
その脛で、丁度がら空きで特に女性の痛覚神経が集中している、
そして彼女の見た目は体質的に非常にそれがきつそうな胸部を思い切り薙ぎ払った。
そして、そのままドンドンッ、と、ボディー、リバーに拳を突き刺す。
そのまま入口に走ろうとしたシャットアウラが、背中にぶにゅっと迫力ある弾力を察知する。

「ああああっ!!」

シャットアウラが叫び風斬おんぶおばけ氷華を振り払い、
その隙に風斬はシャットアウラの進路を塞ぐ。

さっきので一度膝を屈した以上ノーダメージと言う事は無さそうだが、
格闘家でもまずダウン、病院送りの攻撃だった筈。
もっとも、それを言うならそれ以前の段階で生きてる方がおかしい。

風斬も必死に抵抗する、そして身体能力も想像以上に高い。
だが、所詮は素人、はっきり言ってシャットアウラにボコボコにされながら懸命に食らい付いてくる。

「おあおぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!!」
「ごふっ!!」

風斬の体に、千雨が放り出して行った椅子が横殴りに叩き付けられる。

「まっ、て…」

それでも追い縋って来る風斬を振り切る様にシャットアウラは入口に走り、
そして、振り返り様にレアアースパレットを放り込んだ。

「お、友達、を…クス…ちゃ…」

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です


天使自覚した風斬って6巻の時点でも人外レベルの力を振るってなかったっけ?
単純に不死再生とかじゃなく弾丸じみた速度で走ったり、ゴーレムを吹っ飛ばしたり…
只の人間の力じゃ一度掴まれたら振り払うなんて出来なくね?

ここのところ更新が続いてて嬉しい限り
完結まで頑張ってくれ

>>101
風斬は事情をある程度、把握してるっぽいから、何方かと言えば被害者側であるシャットアウラに、そうでなくても人相手には加減しないと危ないし。
作中で風斬は被害者、善人に対しては暴走状態でも攻撃してないからな

ここは通さない、とか言っときながら手加減した挙句通しちまったのかよ…
そも意味不明に飛び膝蹴りしたり手加減してせっかく取り押さえたのを振りほどかれる位なら速攻で気絶させた方がよほど良かったろうに

感想どうもです
と言うかフォローどうもです。
アア、ウン、チャントカンガエテルヨ………(目、見て話そうかニッコリ)………

冗談はさておき
それでは今回の投下、入ります。

>>99

 ×     ×

「忘れなさぁい、そして、行きなさぁい」
「ヒャッハwwwwwwwwwwwwwwwww」

全裸の男が国道へとダッシュするのを尻目に、食蜂操祈は歩き出す。
堤防上を行く食蜂の手にはUSBメモリが握られている。

「確かにピンポイントでいい線を辿ってると思いますよ」

食蜂が足を止める。

「だけど、そのやり方だと本命に辿り着くまで最低でも三日、
そこから突破するのに一日以上。それまでには知らない所で全部終わってるでしょうね」
「何の事かしらぁ坊や?」

一見すると無邪気な笑みを浮かべ、食蜂が振り返った。
そして、木陰から現れた小さな人影に照準を合わせる。

「つっ!」

食蜂が顔を顰める。

>>105

「非常に繊細な技術力みたいですから、
こちらの出力が大きくても慎重にやれば隙間を抜けるかも知れませんが、続けますか?」
「確かに、出力だけなら御坂さん以上ねぇ。
しかも、私達が知っている組み合わせとはどこか違っている。
うっかり手を突っ込んだら全身呑み込まれそうねぇ」

「それじゃあ、お互い安全に譲歩すると言う事で、
腹を探り合うスタンダードな手段、お茶に致しましょうか」
「こんな可愛い英国紳士の坊やにご馳走いただけるの、楽しみだわぁ」

「(防御成功率99.9%以上、それでもゼロには出来なかった)
こちらこそこんな魅力的な、それも常盤台のお嬢様へのお誘いは緊張します」
「お上手ねぇ、どこで覚えたのかしらぁ?
魅力的な影は大量なぐらいによぎりまくりみたいだけどぉ」

 ×     ×

そこは、これから中身を充実させる予定だった、
今は只、規模だけは体育館を思わせるガランとした通路だった。

「キタキタキタキタ―――――――――――ッッッッッ!!!」

フレンダが叫ぶが、一般的な用法とは違い余り歓迎すべき状況ではない。
殺到する警備ロボの群れの中で、フレンダが放ったロケット弾が次々と爆発する。

「ニンッ!」

巨大手裏剣が一直線に警備ロボを薙ぎ払う。

「ニンニンニンニンニン♪」
「便利ーっ!」

長瀬楓が更に押し寄せるロボを苦無で弾き飛ばしている中、
フレンダ、滝壺理后を含む三人が駆け抜ける。

「目印も何も無い、位置関係から割り出すしか無いって訳よ」

その先のスペースで、立ち並ぶ大量の柱を前にフレンダが言う。
その前後から警備ロボが殺到し、楓が苦無を振るって奮戦する。

>>106

「!?」

立て続けの銃声に、三人が一斉に飛び退いた。
そちらを見ると、象か麒麟かと言う大型サイズの多足歩行ロボットが機関銃をぶっ放して来ていた。

「くっ!」

フレンダが放ったロケット弾が大型ロボに撃ち落とされて空中爆発する。

「反応はしている様でござるな」
「多分いくつかのセンサー、温度センサーや動作センサーから警備ロボを除外してるって所かな?
そんなに難しいものじゃないって訳よ」
「にんっ!」

発砲が始まり、楓の糸車手裏剣が盾となる。

「フレンダ殿、柱の破壊はそこもとに任せて大丈夫でござるかな?」
「あんたが背中を守ってくれるってんならそれが私の仕事って訳よ。
麦野は宇宙の果てに放り出しても泳いで戻って来そうだからね。
ここで尻尾巻いたらそっちの方が洒落にならないって訳よっ!」
「了解したでござる」

その間、滝壺理后は柱の陰で携帯電話を使っていた。

 ×     ×

エンデュミオンシティーとある隠しラボの一室。

「は?いや、警備ロボならなんとかなるだろうって、
いや、いきなりそんな訳の分からない事言われても」

「わかった。
そんなことできるわけないだろくそぼけ
常識で考えろJK
byメガネーズ
責任を持って私からむぎのに伝えておく」

「「「「「粉骨砕身誠心誠意身命を賭して天地神明に誓って
喜んでやらせていただきますやらせて下さいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
ワハハァァァァァwwwwwwwwwwwイwwwwwwwwwwwwwwwww!!!!!」」」」」

>>107

 ×     ×

「もしもし、千雨ちゃん?」

エンデュミオン内の通路で、近衛木乃香が携帯電話に出た。

「もしもし、そっちは桜咲と宮崎のチームで合ってるか?」
「うん」
「じゃあ、取り敢えずその三人でこの電話聞いてくれ。
近衛と宮崎は大至急引っ返してサブコントロールに向かってくれ」

確かに、大至急と言うべき切迫した声だった。

「シャットアウラ=セクウェンツィアが拳銃持って暴れてる。
そいつを鎮圧して風斬氷華を救出してくれ」
「かざ、きり?」
「こっちで遭遇した協力者だ。私達を逃がしてシャットアウラとやり合ってる」
「ちょっと待って下さい、今拳銃を持って暴れていると言いましたよね?」

刹那が割り込んだ。

「ああその通りだよっ。
何だか知らないがシャットアウラは明らかにテンパッてる。
風斬は自分は能力者だから大丈夫だと言ってたけど、
何発も撃ち込まれてどうなってるか分からないっ!

シャットアウラは能力者で警備のプロ、だけど魔法には疎い筈だ。
近衛と宮崎の初歩的な攻撃魔法でも初見なら勝ち目はある、
逆にそれを逃せばかなり危ない。
桜咲、そういう事で二人を向かわせて大丈夫か?」

「うちはそのつもりやけど」
「私もです」
「私は大丈夫です、一人で貯水槽に向かいます」

>>108

「悪い。シャットアウラはライダースーツみたいな黒い繋ぎ、
多分科学の学園都市の強化服かなんかだ、
訓練してるって言っても身体能力が尋常じゃなかった。
若干ちっこいけどいかにも堅物の女戦士って感じのがヤンデレのデレ抜きいっちまってる。

軍隊系の攻撃は一通りこなすらしい、さっきは拳銃で前にはナイフも格闘技も使ってたけど、
多分能力で起爆させてるワイヤー爆弾がマジでヤバイ。
それが来る前に一気に決めろ」

「風斬さんは?」

のどかが尋ねる。

「ああ、見た目女子高校生。黒髪ロングヘアに眼鏡、
白いブラウスの制服で多分那波よりデカイ。
風斬さんの能力がどういうものか分からないけど、
普通に考えたら命が危ないレベルの銃撃を受けてる。
取り敢えず重傷には見えなかったけどそういう事だ、近衛」

「分かった」
「頼むっ!」

 ×     ×

エンデュミオン基部エリア。

「何?」

仲間と共に先を急いでいたメアリエが、
ざざざぁーっと波の様な得体の知れない音を聞いて呟く。

「くっ!」

ステイルが素早くルーンを発動し、
地面を這ってこちらに押し寄せた黒い波を炎剣で断ち割った。
更にこちらに向かって来るものを、ジェーンが突風で吹き散らす。

>>109

「蛇?」
「魔力を感じる、魔獣だ」

確かに、よく見るとそれは腕や脚ほどもある蛇の大群だった。
中には頭が二股三つ叉房状になっているものすらいる。
メアリエが近くの消火栓を暴走させ、それぞれの魔術で蛇の大群を蹴散らしていたが、
その内、四人を囲んだ蛇の目が光り出した。
その四人を、大規模な水流が取り囲む。
その水流が消えた時には、蛇のかなりの数がその形のまま石像と化していた。

「これは…」
「間に合いました」

そこに現れたのは、箒に跨ったナツメグこと夏目萌だった。

「銀粉入りの水魔法です」
「ヒュドラの次は、やはりメデューサの類と言う事か?」
「はい」

ステイルとナツメグが言葉を交わし、
動き出した生き残りの蛇が火炎波に蹴散らされる。

「レディリーの召還魔術が暴走してここに迄及んでいます。
科学サイドへの漏洩を防ぐために、
おおよそエンデュミオンの下のエリアに関しては
こちら側への魔獣誘導術式を展開しています」

ナツメグが説明する。

「完全に形振り構っていませんね。
蛇はギリシャ神話の中でも最もポピュラーな邪悪の象徴。
それらをこった混ぜにして劣化コピーした出来損ないと言った所でしょうか」

そう言ったのは、箒に跨ってこちらに飛んで来た佐倉愛衣だった。

「あくまで戦力になるのかどうかを尋ねるが、体の方はどうなんだ?」

ステイルが尋ねた。

>>110

「ししょーって、」
「かーわいい…」
「完全な治療は後で、
箒から降りる事は出来ませんが魔法の使用に支障はありません」

次の瞬間、愛衣が放った火炎弾が得体の知れない大きな鳥を撃ち落とす。

「ここは私達が引き受けます、そちらはそちらでお願いします」
「分かった」

ステイルと愛衣の間で即時に合意が成立し、ステイル達は先を急いだ。

「もしもし」

その背中を見送り、愛衣がイヤホンマイクの携帯を使う。

「ステイル達でした」
「やはりでしたか」

電話の向こうで葉加瀬聡美が言う。

「エンデュミオンの倒壊を回避するためのパージ作戦。
その方法は爆砕ボルト三本を手動で点火する事。
科学の学園都市が既にその実行に着手している事までは掴んでいましたが、
駒が一つ欠けていました。
或いは科学の学園都市側でも把握していない者が動いているのではないかと」

「秘密裡にネセサリウスが協力していた。
彼らと科学の学園都市との裏の協力関係を考えるならあり得る話です。
取り敢えず、こちらで魔獣を抑えたら、ステイル達なら実行出来る筈です」
「そうですか、分かりました」

電話が切れる。

「ステイルと学園都市…十中八九あの男の仕掛けですね」

軽薄にニヤケていながら真剣な仕事師。
愛衣はそんなアロハなグラサン野郎を思い浮かべる。

>>111

「来ますよ」
「分かりました」

ざざざざざと床から押し寄せる黒い波音に、
二人はぎゅっと前方を見た。

「邪魔だァ」

魔女見習い二人の背後から、カツン、と、床を叩く音が聞こえた。
次の瞬間、何かがぶわっと二人を通り過ぎ、気が付いた時には
蛇の大群は細切れ肉の海と化していた。

「おィ」
「はい」
「第一ボルトってのはこの道でいいのかァ?」
「いえ、このルートは第二の筈ですから、
えーと、あの橋に合流する道を探して…」
「そうかァ」

返事が聞こえるが早いか、その気配が消えるのと入れ替わる様に、
遠くに景色として見える橋にびょーんと何かが飛び移っていた。

「これは…何かが蛇を誘導する魔力を伝う様にして、
召還術式の仕掛けごと破壊されたみたいですね物理的に。
只、ここはこれでいいとして、別に仕掛けがあれば…」

状態を調べたナツメグが言う。

「で、箒で浮いてる所見られて大丈夫なの?」
「ええ、大した事ではないと思います」

額に親指を当ててとおーくを眺めていた愛衣が言った。

>>112

 ×     ×

「やっぱり落ちるぞ、ここ」
「何だよそれ、どうすんだよ」

エンデュミオン中継ステーションの一角で、
PDAや携帯を覗きながら、
一見特殊部隊風の黒ずくめの一団が青い顔で話を交わしている。
とても、エリアを同じくするコンサート会場から伝わってくる音楽を楽しむ所の話ではない。

「避難路を探して脱出…」
「だが、まだ何も掴めていないぞ」
「ああ、このまま宇宙の藻屑になるって事は、詰まり死ぬだけだ。
だが、もしここで何の成果も無しに無断で降りた事が逆鱗に触れたならば…」

「指示を仰いで…」
「だから、どう言う訳かさっきから連絡が付かない。どうなってやがる…」

「うるさいんだ…」

一団は、一瞬空耳かと思った。

「うるさい…うるさいんだ…この…」

確かに、その声は聞こえて来ていた。
そちらを見ると、一人の少女がふらふらとこちらに向かってきていた。
少女も又黒ずくめ、明らかに体調が悪い様子で壁を伝う様にして歩いている。

>>113

「おい、あれって?」
「ああ」

かなり広い意味での同業者として、知らない相手では無かった。

「おい…」

一団の一人が声を掛けようとしたが、邪険に振り払われる。

「まあ、待てって」
「…うるさい…」

それは、相手に言っている様な口調ではなかった。

「ほら、待てって」
「どうせここは落ちるんだからよー」

いかにもまだ知らないだろう、としか思えない堅物で戦闘力が高くて、
しかも見た目そのものはきりっとした結構な美少女。
であればこそ、逞しくなるのが妄想と言うもの。

プロの警備屋として鍛えている能力者とは言っても所詮は小柄な少女一人、
しかも凄惨な魅力を醸し出すほどにかなりの体調不良。

こちらは仮にも暗部の男が複数。
そして何よりも屑である事には定評のある一団。
とあっては、墜落するジャンボ機内が如き状況でやるべき事は決まっていた。

「ヒャッハwwwwwwwwwwwwwwwww」

>>114

 ×     ×

「ドラグノフか………」

一旦空き部屋を出たシャットアウラ=セクウェンツィアは、
そこでのゴミ掃除のついでに手に入ったご褒美を確かめていた。
取り敢えず、通路から空き部屋に一発撃ち込む。

「支障はないな」

その成果から微調整を行い、紐で背負い込む。
それから、その空き部屋に戻る。
壁の一角をガン、ガンと殴り付けると、
打撃の隣辺りの壁が小さく開いてパネルが現れる。
パネルに指紋認証とパスワードを入力すると、パネルの横で壁が大きく開く。

「変更されていなかったか」

特別警備用の設備の起動にシャットアウラは安堵する。
開いた壁の中は、武装テロ事件発生を想定して用意された、
シャットアウラの能力使用装備を含む武力鎮圧用各種装備だった。

「うあああああっ!!!」

一繋がりになっているエリアからの耐え難いノイズに、
シャットアウラの右手がいつもは艶やかな黒髪をかきむしるが頭痛は酷くなるばかりだ。
大幅に余裕が出来たマガジンを拳銃に装填し、
全弾撃ち尽くして僅かばかりの気休めにする。

今回はここまでです。
続きは折を見て。

乙です

それでは今回の投下、入ります。

>>115

 ×     ×

「酷い」

サブコントロールルームに到着した宮崎のどかが呟いた。
その中は、実際そうだった訳だが爆弾を投げ込んだ後、としか言い様のない惨状だった。

「風斬さんいてはりますかっ!?」

同行した近衛木乃香が叫ぶ。

「風斬さんっ!」

のどかが叫ぶ。本当にここにいて今気配が無い。
それだけでも吐き気がこみ上げそうになるが、逃げる訳にはいかない。

「風斬さん…」
「はい」
「?」

木乃香とのどかが振り返る。
そこには、一人の女性が立っていた。
見た目は女子高校生、黒髪ロングヘアに眼鏡、白いブラウスの制服姿。
一見すると、些かふっくらして弱気にも見える、
垂れ気味の大きな目に掛けた飾り気のない眼鏡も相まっておっとり大人しそうな美少女。

「えーと、風斬氷華さん、ですかー?」

木乃香と一緒に上から下まで観察し、
もう一度改めて顎から下に、お腹から上に視線を向けて、そこだけはとても些かふっくらどころではない、
類似品にはそうそうお目にかかれないレベルで千雨の言う通りの相手と確信したのどかが尋ねる。

「はい。あなた達は?」
「それは…」
「千雨…ここで一緒だった子、分かる?眼鏡で多分パソコン持った」

言いかけてごくりと息を呑んだのどかの横で木乃香が説明する。

>>118

「長谷川さんですか」
「そう。うちらその長谷川さんの友達で風斬さんを助けて欲しい言われて、
それで、なんか大ケガしてるて聞いたんやけど」
「ああ、それは大丈夫です」

「そうですか。それで、シャットアウラ=セクウェンツィアは?」
「すいません、逃げられました」
「い、いえ、なんか風斬さんが大変な事になっていると聞いていましたので、
無事で良かったですー」

やや青白い顔色ののどかが言った。

「それで、ここで一緒だった人達は?」

木乃香が尋ねた。

「長谷川さんと朝倉さんはアリサさんを助けに行くと。
他の人達は馬がどうとかで」
「その二人の後をシャットアウラさんが追い掛けた、そういう事ですよね?」
「はい」

のどかの質問に風斬が頷く。

「このか」
「ん」
「シャットアウラさんの様子は?やはり危険ですか?」
「ええ、精神的に追い詰められている様子でした」
「拳銃とか爆弾は?」
「両方持っています」

風斬がのどかの質問に答え、のどかと木乃香が頷き合う。

「私達が追い掛けます」

のどかが言った。

「危険ですよ。今も言った通り…」
「だとすると、先に行った二人はもっと危険や。
うちら二人が合流したらまだ見込みがある」

>>119

「分かりました。それでは私も行きます」
「風斬はん…」
「分かりました」

言いかけた木乃香の側でのどかが了承した。

「無理はしないで下さいね。自分の安全を第一に」
「分かりました」

のどかの要請に風斬が頷いた。

 ×     ×

「フハ、フハハ、フハハハハハハハハァァァァーーーーーーーーーッッッッッ!!!」
「やれやれ、女一人だと言うのにかしましい事だね」

エンデュミオンの言わば「ラスボスの間」で、
レディリー=タングルロードはハッと振り返った。

「これは…」
「実に悪趣味だね」

部屋の様子に目を見張る綾瀬夕映の横で、フェイト・アーウェルンクスは鼻で笑う。

「動かない方がいい。
更なる永久の時間をロビーに飾られて過ごしたくなければ」

石針を浮かせてフェイトが警告する。
その間にも、夕映は部屋の中の装置を観察し汗を浮かべる。
そこは広い展望室、である以上、
分厚い宇宙的強化硝子越しに素晴らしい満天の星空を眺める事が出来る。

だが、その星空も今は禍々しい紅色の光に染まろうとしている。
そしてこの部屋の中、床にも空中にも夥しい数の魔法陣が刻まれ、
数々の機器と共に部屋の中枢に儀式の支柱が設置されている。

「石の魔法ね。高位のギリシャ語系魔法、それも熟練の域に達している」
「光栄、と言っていいのかな?」
「フェイト・アーウェルンクス。何故、お前がここまで来て私の邪魔をする?
ネギ・スプリングフィールドに協力するためか?」

>>120

「うむ、まあ色々あるが、
契約上課外授業の引率中に生徒を危険に晒す訳にはいかないからね。
この馬鹿げた術式を見る限り、ここで今僕が見ている存在はどう見てもそのルールに反する」
「ふうん」

そう言って、レディリーは嗜虐的な笑みを浮かべる。

「よく出来てるわね」
「ふうん」

レディリーの言葉にフェイトが応じる。

「興味深いわね。私も多少は使う方だけど」

フェイトをまじまじと眺めたレディリーがパチンと指を鳴らす。

「ふうん」

フェイトが声を発した次の瞬間には、何かが弾き飛ばされて床に転がっていた。
それは、人間大の人形だった。
四体の人形は、破損した光学迷彩の隙間から中途半端にその姿を現し、
今はぴくりとも動こうとはしない。

「一応、切り札のつもりだったんだけど」
「動力は二つが魔法、二つが科学」
「確かに、並以上の術者でも一瞬で引き裂かれるレベルの不意打ちでしたね」

フェイトに続いて夕映が言う。
もっとも、夕映に言わせれば、ネギと漢と漢の殴り合いの限りを尽くしたフェイトを相手に
不意打ちの暴力でどうこうしようと言う時点でアホの極みと言うものだ。

「そうね、こんなガラクタでどうこうしようなんて、失礼極まる話よね。
作り物と言っても格が違い過ぎる」

それは、血の紅の似合うレディリーの笑みだった。

>>121

「…動き出した際の合図はあくまで只の合図。
機械はもちろん魔法の人形も事前に用意が為されていて、
動きを止める最低限の措置が為されていた様ですね。
なるほど、やはりそういう事でしたか」
「何か面白いものでも見えたのかしらお嬢さん?」

何か納得したかの様な夕映にレディリーが尋ねた。
夕映は、レディリーに向けていた魔法レンズをしまい込む。

「わざわざカルト組織を作って、
科学の学園都市の能力者と言う決定的に不向きな者を含む雑多な人間に魔術を使わせた。
もちろん、多方面でテロ事件を起こすために人数が必要だったと言う事情もあったのでしょうが、
これ程の術式に精通したあなたがほぼ全てに於いてそのやり方を貫いた」

相変わらず凄惨な笑みを浮かべ、レディリーは夕映の言葉を聞いていた。

「あなたの術式、推定される年代を考えるならば、
何を使ったのか、その結果どういう変化、異常が発生するのか、
その辺りの事は大凡の見当が付くです。

少なくとも、魔術に於いて留まり続けるという事の意味は。
それが、即席の魔術師を使い捨てる様にして発動せざるを得なかった理由ですね」

「ふうん、それが麻帆良の魔法使いの知力、あの夏の戦いをくぐり抜けた。
そんな私がここまでしている」

レディリーは、バッと腕で部屋中を示す。

「何故こうなっているのか、それに就いても理解出来ているのかしら?」
「大凡の推定は出来ています。
大概の社会規範から見て、あなたの行いは悪でしょう。
超弩級の無差別大量殺人以外の何物でも無いのですから当然です」

その答えに、レディリーはニッと唇を歪める。

「あの夏私達も、フェイト先生も、自分の守るべきもの、守るべき世界のために闘いました。
正義とか善とか悪とか、それ以前に理由があります。
大概の人達と違い、あなた自身にとってはそれこそが喜びであったとしても、
今、私達が譲ると言うのは無理な相談です」

>>122

「その土塊に宿りし生まれたての魂は、
まだまだ見たいもの感じたいものが数多あると言う事か、
フェイト・アーウェルンクス?」

「少なくとももう少し味わいたいとは思っている。
今のこの状況で君に慮る事が出来たなら、
僕も彼女達も、わざわざあの夏に命懸けで雌雄を決してはいない」
「出来るか?その戦いの果てに見出したものを、
私が凍て付いた時の中で培ったものを打ち破ってでも貫く事が?」

「確かに、これは力ずくでどうにかしようとするならば、
火力だけなら僕の力であっても、
中途半端な破壊による誤作動一つで大陸規模の被害が生ずる、
よくぞここまで馬鹿げて大規模に複雑な術式を組み上げたものだ。
綾瀬夕映」

フェイトの呼びかけに夕映が小さく頷く。

「アデアット」

夕映が「魔法図絵」を召還し、支柱の一つに手を差し伸べる。

「フォア・ゾ・クラティカ・ソクラティカ…」

その姿を、レディリーはにやにや笑って眺めている。
それこそ石像の様に硬直した夕映の顔に、
つーっと汗だけが立て続けに伝い落ちる。

 ×     ×

エンデュミオンコンサートホール貴賓室。

「うるさい、うるさいんだ、このノイズは…」

バルコニーからドラグノフのスコープを覗いていたシャットアウラ=セクウェンツィアは、
引き金を引く寸前に思わずスコープから離れる。

「つっ!」

スコープを黄色いものが塞いだ、と、思ったら、
シャットアウラの体に何か刺す様な不快感が走る。

>>123

「なんだっ!?」

小さな黄色い光が幾つも、ふわふわと浮かんでシャットアウラを妨げている。

「ああああああっ!!!」

シャットアウラは絶叫し、両手持ちのドラグノフを振り回して
黄色いものを追い払おうとした。

「おぉーりゃあぁーっ!!!」
「!?」

だが、そこは玄人、シャットアウラがドラグノフを振り回しながらバルコニーから貴賓室に躍り込んだ所で、
不意にシャットアウラを殴り付けて来た椅子はスカッと交わされ空を切った。

「あああああっ!!」
「くあっ!!」

千雨の頭に、ぐわあんっと衝撃が響き渡る。
ドラグノフの銃身を横殴りに叩き付けられ、千雨の体は床を滑る。
シャットアウラはドラグノフを放り出し拳銃を抜いた。
変な衝撃を与えた銃など使いたくないし、どうせこのノイズのただ中では狙撃銃は不向きだ。

(ち、くしょう、仮契約発動してなきゃこんだけで死んでた、なっ…)

まだぐわんぐわんと頭が響く、その事を感じていられる事に感謝しつつ、
千雨は喉から心臓がせり出しそうになりながら床を転がって銃撃を交わした。

「シャットアウラっ!」

ソファーの陰から千雨が叫んだ。

「どうしてアリサを殺す!?
あんたがレディリーにアリサを引き渡した、
レディリーはアリサの奇蹟の歌を必要としていた筈だ。
レディリーの計画だと今更アリサの口封じも糞も無い。
なんなんだよ一体っ!?」

軍用の拳銃弾は当然の如くソファーを貫き、千雨は懸命に床を転がる。

>>124

「だからだ」
「は?」
「奇蹟など、歌など、奇蹟の歌など、認めない、
私は認めない、そんなものがあるから、
奇蹟が殺した、殺されてなおも殺された」
(本格的に電波か?いや、シャットアウラとレディリーに利害の相違?)

「とにかく、アリサを殺すのはやめろ。
あー、何か色々よく分からないけど、
とにかく好き好んで一般人殺すキャラには絶対見えない」

「オマエも、邪魔をするのか?」
「仕方が無いだろっ、アリサは私の友達だっ!!」

千雨が立ち上がり、叫ぶ。
額の左側からだらだらと流血して立ち上がる千雨に、
シャットアウラは静かに拳銃を向ける。

「うああああっ!!!」

歌がサビに入る。シャットアウラが体を折って絶叫する。
テーブルの上にあったノーパソがミニステッキに変容する。

(くそっ、左目がよく見えねぇ)
「おおおおっ!!」
「くっ!?」

シャットアウラが慌てて拳銃を構え直したその時、
ミニステッキが力一杯シャットアウラの右腕に叩き付けられた。

「このおおおおっ!!」

ミニステッキの底がシャットアウラの額を一撃する。

>>125

(トドメ、出力最大、
ネット支配用の電源でもフルブーストでスタンガン程度には…)

ミニステッキを振りかぶった千雨の体が硬直した。

「…あ…」

シャットアウラが、千雨の左の腿からナイフを引き抜く。

「…待、て…」

シャットアウラを追って這いずった千雨の周辺の床に、
立て続けに銃弾が突き刺さる。

(血の気が引く、って言うのか?
頭と、脚からこれ、止まらない半端ねぇ。
私が、私みたいのが、友達のために…ぬのか…
ナイフ一本で、あいつらの戦い、いつも、こんなのと隣り合わせ…
私、なんかが…)

今回はここまでです。続きは折を見て。


あくまで夕映の能力だけで解呪ってのはやっぱ厳しいよな
レディリーの知識が古過ぎるってのもあるが、まほネットには原典クラスの知識は一切載って無いだろうし、知識が足りたとしても夕映自身にノタリコンみたいな超高度技術は扱えない
どちらかと言うとそちらが専門のネギでも無理だろうし

こりゃようやくインなんとかさんの出番が来そうだな

乙です

感想どうもです。

>>127

ネギま!と禁書がクロス世界だとして、
まほネットに原典が本格的に掲載されてたら
まほネットが即効性貞子状態になると気付いて吹いた。

ある程度は出来るだろうけど、
毒抜きして大した効果の無い知識だけ掲載してるか、
もしかしたら最深部情報として見る側への警告付きで何らかの方法で掲載されてるかもね。

>>123訂正
「魔法図絵」ではなく「世界図絵」でした。

それでは今回の投下、入ります。

>>126


 ×     ×

「………め…ちゃ………めちゃん………」
「ん………」

長谷川千雨は、目を開く。
その顔を、黒曜石の様に澄んだ黒い瞳が覗き込んでいる。
床に向けてぞろりと垂れた長い黒髪はそれでも見事だった。

「わた、しは…」
「良かったぁ。この子らが慌てて飛び回ってたから。
急いで大きな傷は治しといたえ」
「あ、ああ、助かったんだな私」
「うん」
「サンキューな」

千雨が微笑み、目の前で電子精霊を引き連れた近衛木乃香もにっこり微笑む。

そして、床に倒れ込んでいた千雨が身を起こす。

>>129

「宮崎…風斬さんは?風斬さんはどうだった?」
「大丈夫、無事やった。途中で右と左に分かれたさかい」
「じゃあ、朝倉と合流してるかな」

「でも、どうしたんその怪我?」
「シャットアウラだ。あいつ、マジでアリサを殺す気だ。
そのために邪魔になる者も容赦しない、完全にブチギレてやがる」
「どうするん?」

木乃香の言葉に、千雨は額を抑える。

「正直ヤバイ、あっちの世界覗いて帰って来たばかりだからな」
「怖い?」

「ああ。地下で幻の魔獣に踏まれて科学の学園都市じゃあ超能力者に殺され掛けて、
しまいに私の実力じゃ警備員一人にも簡単に殺られちまう、死んだらしまいだってさ。
私みたいな小利口なインドア人間が友達のためとか何やってんだかな…
みんなが何と言おうが、今更私が退く訳にもいかない、それは流石に気が咎める。
私自身の問題としてそれも無いではない。それより何より」

よいしょと千雨が立ち上がる。

「あのシャットアウラの有様だと、アリサ出会い頭に蜂の巣最悪挽肉だ。
確実にアリサ死亡か、死人が更に増えるって賭け金積んでみんな笑ってハッピーエンドに賭けるか。
問題なのは、賭けるのが他でも無い私達の命だって事だ。
さっきも言った通り、私と、多少の火力にはなる近衛とで当たって初見で攻め込めば、
確率は五分五分かそれ以下。向こうは能力はとにかくプロの武闘派が完全に殺す気で動いてるからな。
手伝ってくれるか?」

「うん」

「やっぱ、可能性があるんならハッピーエンドを諦められねぇや。
ずっと、そうやって小さい可能性ぶち当ててきたから中毒だな、こりゃ。
もっと都合のいい事言うと、シャットアウラ自身もただ事じゃない、悪役になっちまってるだけに見える。
けど、ハッキリ言うけどこの二人の力量じゃあ、
シャットアウラにぶつかったら殺す気で行くぐらいで丁度いい。
じゃないと私達もアリサもあの世行きだ」

「分かった」
「じゃあ、行こうか」

>>130

 ×     ×

「うわぁ」

先頭を走っていた朝倉和美が絶句する。
その先に展開しているのは、要は瓦礫の山だった。

「やっぱ無理かぁ、こっからコンサートホールに行ける予定だったんだけど」

和美の言葉を聞きながら、宮崎のどかと風斬氷華も立ち止まる。

「一応こんな感じなのはアーティファクトで偵察したけど、やっぱこれ無理だわ」
「別の道を探すか長谷川さん達と合流するか…」

のどかが言いかけて嫌な地鳴りに身構える。

「やばっ!」
「ふんっ!!!」
「せぇいぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっ!!!」

天井から落下して来た大きな梁の一つが空中で静止し、もう一つが吹っ飛ばされる。

「大丈夫ですかっ!?」

飛び蹴りからスタンと着地した風斬氷華が叫ぶ。

「わ、私は大丈夫、って!?」
「大丈夫ですかっ!?」
「ふんっ!!!」

和美とのどかの叫びの中、漢は重量挙げよろしく支えていた梁を放り出した。

>>131

「おうっ、大丈夫かっ!?」
「は、はいっ、有り難うございましたっ!!」

飛び退いて腰を抜かしていた和美と後じさりしていたのどかが、
目の前の日章旗Tシャツの鉢巻き男にぺこぺこ頭を下げる。

「す、凄いですね…あなたは一体…」

風斬が尋ねた。


「うむ、俺は削板軍覇、学園都市レベル5第七位ナンバーセブン。
だが、それは大した事ではない」
「大した事じゃない、って」

和美が言う。

「根性だ。コンサート会場から避難していたが、
お前達の声が聞こえたからな。
である以上、根性入れて助けに戻るのも当然だろう。
しかし、お前の蹴りも根性入ってたな」
「は、はい」

削板を除く総員、呆れ返っていると言うのが実際だった。
最も、風斬自身呆れ返っているのだが、それを見ている方はと言えば、

「ねえ、本屋」
「はい」
「いやいやいやいや、今の飛び蹴りってもう、くーちゃんにも負けないって言うか、
なんか一瞬見間違うぐらいだったんだけど。
本格的に何者あの人」
「そ、そうですねー…」

「よし、ここを出て避難誘導に合流するぞ」
「え?」
「見ての通り、この辺りは根性無しだな、構造的な損傷が特に酷いらしい。
こちらを抜ければ避難路に合流出来る」
「こちらを、って、壁ですよね…」

のどかが削板の真正面に就いて見たままありのままを質問した。

>>132

「すごいパーンチッ!!」
(突っ込む気にもなれない…)

「よしっ!!」

和美の心の呟きが示す通り、それは大成功だった。


「急げっ!!」

削板が叫ぶ。

「逃げ道を確保すると同時に、このエリアには致命的なダメージが発生した。
根性入れて走らないとまとめて潰れるぞっ!!」

 ×     ×

「と、言う訳で、朝倉和美宮崎のどか風斬氷華強制離脱、
と、メールが届きましたちう様」
「分かった、こっちの事は気にするな絶対生きて脱出しろ!
そう伝えろっ!!」
「ラジャーちう様っ!!」

走りながら角を曲がった所で、千雨と木乃香は足を止める。
そこには、壁に背を預けて座り込む女性の姿があった。

「どうしました?…おいっ!近衛っ!!」
「うんっ!」

脚を投げ出して座り込んでいたのは、高校生ぐらいの女性だった。
ロングヘアの髪型で、いかにもコンサートに来たと言った服装。
但し、ジャケットとシャツが真っ赤に染まっている。

「腕章?あんたジャッジメントか?」
「ん…鞄の、次はポケットに入れっ放し、ってね。
逃げ遅れ、一応確認してたら、黒い女、血の付いたナイフ持って走って来て」

>>133

「分かった、だから…」

「あー、あ、折角、休みとれたのに、
休暇で管轄外でジャッジメントですの、で大ケガとか、
適任者他に、いるだろ、って…
…これ…私…ぬの…殉職、とか、っちゃうのかな?」
「生憎、こいつとかち合った以上二階級特進は諦めてくれ」

水滴の盛り上がった瞼を見ながら、千雨は力強い表情の木乃香に視線を向ける。

「私は先に逃げてる、ここは…この人の事、頼む」

千雨が木乃香に向けて右目を閉じ、木乃香が頷く。


「気を付けて」
「ああ、私は小利口で小賢しいんだ」
「あ、あなた、も早くここから、助けを呼んで、ここは危ない」
「うん、分かってる。終わったらすぐに行くさかい」

 ×     ×

「くっ!」

通路を進み、コンサートホール専用口の一つの扉に銃口を向けていたシャットアウラが、
刺さる様な不快感を感じて腕を振る。

「何だお前はぁぁぁーっ!?」

立て続けの発砲に、千雨はとっさに水飲み場のある通路の窪みに逃げ込む。

「それはこっちの台詞だっ!!」

そこで千雨は絶叫した。

「何?」
「無関係な人まで殺しに掛けて、
何考えてやがるどこの無差別通り魔なんだよテメェはっ!?」
「秩序を取り戻す」
「は?」

>>134

「奇蹟、奇蹟だと、怠惰な人間が生み出した都合のいい、只の確率、
私は認めない、そんなものがあるから、そんなものが」
「それがアリサを殺す理由、とか言い出すつもりじゃないだろうな?」

「アリサが、アリサの歌がレディリーの計画を生み出した。
レディリー、アリサ、私は許さない…
私は、私はアリサを、奇蹟の歌を否定する、レディリーの計画を破壊する…」
「お、落ち着け、レディリーと敵対しているのはこっちも同じだ。
だからあぁぁぁぁぁっっっ!!!」

立て続けに拳銃が引き金を引かれる一瞬前に、
千雨は通路の窪みを蛙跳びに逃げ出していた。

「うああああああっ!!!」

未だ聞こえる千雨にとっては耳に心地よい歌声をぐちゃぐちゃにかき乱す銃声。
だが、柄にもない、と思い身の縮む思いの中でも、
千雨はそれを何か悲しい咆哮とも感じていた。
果たして、その銃声は正しく乱射だった。
左手で頭を抑えたシャットアウラは、文字通り滅茶苦茶に拳銃を乱射している、それだけだ。

(ワンチャン………頼む………)

カチッ、と、乾いた引き金の音と共に、七部衆がシャットアウラに総攻撃を掛けた。

「(今度こそ、スタンスティック…)
ごふっ!!」
「ちう様っ!?」

突進し、電流を溜めたステッキ型「力の王笏」を振りかぶった千雨は、
すいっと半身を交わしたシャットアウラの腿の一撃をまともに食らい体を折った。

「あっ!」

更に、コメカミに銃把の一撃を受け、体を床に滑らせる。

「かはっ!」

拳銃をしまったシャットアウラの足の甲が千雨の胸と腹を一撃した。

>>135

「ぐ、っ…」

ぎりぎり、開いている目でシャットアウラを見上げる。
普段はきっちり艶やかな黒髪は乱れ果て、
尋常ではない汗を浮かべ隈も見える。
それは酷い面相である一方で、凄絶な美の側面すら表出していた。

「立つな」

シャットアウラが口を開く。

「多少は体力、身体能力に秀でている様だが、
動きがずぶの素人だ。
私は秩序が好きだ、私は秩序が好きだ。
好き好んで無関係の通り魔をするつもりはない。
理解したなら無駄な事はやめろ」

「友達を、殺すって、止めるのが無駄なのかよ?」
「選択肢の無い状況で死体が一つと二つ、どちらがいい?
それだけの話だ」
「ち、くしょう…」

千雨が床を這いずるが、さすがはプロ、全ての打撃が的確だったらしい。

「待て、よ…」

長谷川千雨が立ち上がる。
黙って振り返ったシャットアウラ=セクウェンツィアは拳銃を千雨に向けた。
千雨の膝がガクッと力を失う。

「それでいい、それで正解だ。それは、当たり前の反応だ」
「待ってくれ」

今の千雨は、肉体的に声を出すのも辛かった。

「頼む、殺さないでくれ、私の友達を。
ああ、それが第一だ。だけど、第二にあんたに人殺しをさせたくない。
意味が分からない。秩序のためにアリサを殺す?
そんな事をしても誰も、何の秩序が生まれる?
あんた自身だって何の得がある?何が救われる?」

>>136

「救われる事など何もない、最初からな。
只、ふざけた、ルールをねじ曲げ踏み潰す奇蹟の芽を一つ潰すだけだ。
理解は求めない、妨げるならば力ずくで排除する」

「待てっ!あんたは、アリサを…私の…」

「この後の結果は全て私への怨み私の責任私の罪だ、
お前は鳴護アリサの友人として為し得る全てを行った。
一人の人間として誇るに値するんだろう。
オモチャのステッキを振り回す子どもがお姫様を救う、
そんな奇蹟も魔法じみた英雄も現実には存在しない、してはならない。
奇蹟も、魔法もないんだよ」

「待ってくれ」

背を向けたシャットアウラに、千雨は尚も呼びかける。

「一つだけ教えて欲しい」

シャットアウラは歩き続ける。

「ディダロス=セクウェンツィア」

シャットアウラの歩みが止まった。

「オリオン号の機長。死んだ、のか?オリオン号で?」
「…そうだ…」
「そうか」
「…ここから逃げろ、僅かな可能性でも」

千雨の体が今度こそ脱力し、シャットアウラの足が歩みを再開する。

>>137

「ちく、しょう…!?」

千雨が異変に気付く。
通路の壁がバババババッと一斉に光り出した。
その赤い光は、大量の魔法陣を刻んでいる。

「これ、や、ばい…」
「何だっ!?」

シャットアウラが叫ぶ。
魔法陣からは、何か気体とも液体とも固体ともつかない、
とにかく得体の知れない黒いものがぐにょぐにょふよふよと止め処なく溢れ出していた。
銃声が響く中、千雨は、それが何であるか、何となく理解しつつあった。

「まさか、魔、素?嘘、だろ…」

逃げないと、だが、体が言う事をきかない。
なけなしの電気を乗せて、武器としては大した出力も無いステッキを振り回すのがやっとだ。
周囲には霧ともアメーバーともつかぬものがそこら中に溢れ、
しまいに、耳をつんざく爆発音と辛うじて聞こえる足音が響く。

「良かった、のかな?逃げられた?…」

その時には、外部から見えないぐらい千雨は魔素に取り巻かれていた。

「う、えええっ」

物凄い不快感。取り囲まれ、取り憑かれ、浸食が始まったらしい。

>>138

「ち、く、しょう…シャットアウラにも、こんな化け物、にも…
私、は…アリサ…」

負けた、身も心も。
千雨の指示が正しく通っていれば、木乃香はあのジャッジメントと共に避難している筈、それでいい。
仮に木乃香一人がここに来てもかなりの確率で共倒れだ。

そして今、自分はこうして為す術を持たない。
そして今、指一本動かすのもだるくて仕方がない有様。
それでも、千雨の目は異変に気付く。
もはや視界すら失いつつあったどす黒い魔素が、瞬時にまとめて消滅していた。

「え?…」

ガシッ、と、肩に力強く掴まれる感触が伝わる。
その瞬間に、千雨の全身から耐え難いだるさ、不快感が消滅した。

 ×     ×

エンデュミオンラスボスの間
綾瀬夕映は押し黙って支柱に手を差し伸べ、部屋全体もしんと静まり返っている。
夕映の顔にだらだらと溢れる汗は粘っこさすら感じられるものとなり、
その身の小刻みな震えも呼吸も今は目に見える程に大きくなる。

夕映の目がカッと見開かれ、
我が身を抱いて座り込んだ夕映は小刻みすぎる呼吸の後、
右手で口を塞ぎこみ上げるものを懸命にこらえていた。
終始嘲笑を浮かべていたレディリーの表情は退屈そうなものとなり、
フェイトの目尻も僅かに動作する。

>>139

無理も無い、とフェイトも思う。
確かに、アーティファクト込みの夕映の技量は決して低いものではない。
あの夏に相対する立場となった時にも、
夕映は高度に繊細で複雑な封印術式を命懸けで解除して見せた事もある。

だが、今回は余りにも常軌を逸している。
レディリーが使っている術式、その知識自体が伝わっていない程に古典的と言う問題もあるが、
言ってみれば、必要がないから最初から非常ロックすら取り付けていない水爆の起爆装置みたいなものだ。
余りにも馬鹿げた規模で爆破させるためだけに特化している。

まだ右手で口を押さえながらも、夕映は左手を挙げて立ち上がろうとする。
だが、その膝はすぐに砕けた。
退屈そうなレディリーを見て、フェイトはほんの僅かに、
その場で石像にしてやる衝動に駆られる。
一瞬だけ、レディリーがニッと凄惨な笑みを返して来た。

さてどうする?フェイト自身は、魔法使いと言う意味では、綾瀬夕映の遥か高位の実力者だ。
それは最初から専門の別を凌駕している。
別に勿体ぶっていたつもりは無いが、そして、フェイトですら理論的可能性が危ういトンデモ術式であるが、
困難など今更と言う話だ。

「今は、いんたーねっとっていうんだね」

動こうとしたフェイトの足が止まる。

「居ながらにして全てを知る事が出来る。
例え、それが完璧に正しい知識だったとしても、
私でも知っている科学の原子爆弾を解体する事が出来るかな?」

今回はここまでです。続きは折を見て。


ふむ、どう考えても☆の目を盗んでレディリーが核の使用権を握るのは不可能だと思うが
ただのブラフか学園都市がいつでも停止できるよう仕組んだ上でワザと渡したのか、☆以上の魔術師が手引きしてるのか…

まあ普通にただのミスかな?

前から思ってたが、ここのシャットアウラは麻帆良側の肯定の為に秩序コンプレックスじゃなくてただのキチガイと化してる気がする。
シャットアウラがアリサを狙ったのは、レディリーの計画を妨害する為なのに

乙です

感想どうもです。

>>142
間違いかどうかはおいといて、確かに酷い事になってます。

本作に於けるエンデュミオン以降のシャットアウラの行動と言えば、

フェイトガールズ突破はいいとして
風斬氷華を爆殺(未遂)
千雨の頭を殺す勢いでライフルでぶん殴り腿にナイフ
殺す勢いでジャッジメントをナイフで
もっぺん千雨の前で拳銃乱射してボコボコ

ですから
見た目化け物(酷い)や敵対したイレギュラーはまだいいとして
避難確認中のジャッジメントは洒落にならんでしょう。
この時点で余所のSSみたいに何となく学園都市で社会復帰ルートはパー。
仮に何かの都合で上が揉み消しても、刺した相手が相手ですから、
いっちゃんタチが悪いレールガン軍団が草の根分けても血眼で全力で追い込み掛けて来るでしょうし…

さて、そろそろトンデモ展開弾装填

一応盾とヘルメットは用意しましたがどうか投石は程々にと早めに…

それでは今回の投下、入ります。

>>140

 ×     ×

「チャンスは一回」
「オッケー」

エンデュミオン中継ステーションの一角。
通路の角で、「孤独な黒子」に隠れた面々が頷き合う。

「いっくよぉーっ!!」
「ぶひぃぃぃっ!!!」

十字路に飛び出した佐々木まき絵にどっかの傾き者でも乗っていそうな巨馬が突進して来る。

>>144

「そぉーれぇーっ!!」

天井のパイプに絡んだリボンをまき絵が思い切り引き、その勢いで跳躍する。

「わっ、た、っとおおっ!!」

馬の背中に飛び移ったまき絵が馬の鬣を掴み懸命に縋り付く。

「ちょぉーっとだけ大人しくしてよおっ!
暴れるってんならとことん付き合うよぉーっ!!」

まき絵の並外れた身体能力平衡感覚だけが頼りの凶悪なロデオ。
それは、唐突に終了を告げる。

「ぶひっ?」

ギリギリの距離で夏美から外れ、間一髪蹴り飛ばされる直前に、
白衣姿の亜子が巨大な注射器を馬の尻に突き刺していた。

「ぶるるるる」
「よしよし」

まき絵に頬を撫でられ、馬は気持ちよさそうだ。

「うん。呪いの毒は抜けたみたいやなぁ」

 ×     ×

「又かっ、きりがない…こいつかっ!!」

更に、魔法陣がざああああっと片っ端から消滅していく。

「大丈夫かっ!?」
「ああ、お陰さん、で」

立ち上がろうとした千雨だが膝が言う事を聞かず、
逞しい腕に支えられていた。

シャットアウラは劇場版の後はアリサみたいに何処かで路上ライブしてるんだけど、アレイスターさえ動向が追えてないんだよな。
まぁ、追う理由もないからだろうけど。

特定のキャラをsageずにクロス作品のキャラをageる……難しい様だがやらなければアンチと呼ばれてしまうのがクロス作品の悲しい所さ。
まぁ、此処のシャットアウラのsageられ様は異常だけど

>>145

「元のダメージまでは無理か」
「悪いな、再生能力とかじゃないから」
「アリサ…」
「アリサ!?」
「ああ、シャットアウラ、あいつアリサを殺す気だ。
あいつ、このまま行ったらアリサが殺される。
今、真っ直ぐアリサの所に向かった、行かないと…」

そう言いながらも、体が動かない。
支えられたままの状態で抜け出す事すら出来ない。

「分かった、俺が行くからオマエは休んでろ。
その怪我じゃ無理…いや、足手まといだ」
「あ、うん…」

腕が離れ、千雨は座り込んだ。

「助けて…」

小さい呟きだったが、それは確実に届いていた。

「アリサ…私の友達…それに、シャットアウラ。
あれは普通じゃなかった。何かがある筈なんだ。
何があった?オリオン号の呪い、解いてくれ…」

「ああ、そんなモンこの右手がぶち殺してやるよ。
必ず助ける、アリサも、シャットアウラも、オマエも。
有り難うな、アリサのために、俺の友達のために頑張ってくれて」
「ああ」

もう、何を見ているのかもよく分からない有様で、
千雨は脱力した。
そして一人ほくそ笑み、うつらうつら呟く。

「友達、ね。馬鹿野郎。
どいつもこいつも、ヒーローってのは朴念仁って相場が決まってんのかね。
アリサ頑張れよ…そーゆーニブチンはだ…一発…その一発じゃねーぞ…」

核爆弾の時点でご都合どころじゃない設定破壊だと思うんだけど…これ以上何をするってんですかね…

>>148

 ×     ×

「そもそも、君はなんなのかな?」

ラスボスの間にズカズカ入って来たインデックスがフェイトの前に立って言った。

「あちらの世界の技術みたいだね。
只、すごーく大雑把に言えば高位ギリシャ魔術のゴーレムだと言う事は理解出来るんだよ。
それが本当に人間そのもの、物凄い精密さなんだよ。
古典ギリシャ語、人形遣い、君もここの術者の仲間なのかな?」
「いえ、その心配はありません」

綾瀬夕映が口を挟む。

「彼、フェイト・アーウェルンクスはレディリーとは無関係。
今までそんな暇はなかった筈ですし元々利害も対立していますし現在麻帆良学園の教師、
その身元は麻帆良学園が確かに保証しています。
そして彼もその契約を違えるつもりはありません」
「分かったんだよ」

インデックスが了解し、レディリーに視線を向ける。

「驚いた。こんな無茶な術式は初めて見たよ、地球を壊しちゃう気?
魔力を精製する回路が乱れているどころじゃないよ」
「禁書目録、聞いた事があるわ。
十万三千冊の魔道書を記憶させられた人間図書館。
あなたなら解るでしょう、魔術によって呪われた者の気持ちが。
ようやく抜け出せるの、この地獄から!」
「無理だよ。それをやってもあなたは死ねない」

静かに、そして確信を持って告げたインデックスは、
歯がみするレディリーを残し、
黙って見守る事しか出来ず立ち尽くしていた夕映に歩み寄る。

>>150

「ゆえは下がってて、後は私が引き受けるんだよ」

「そう、ですね。術式のセキュリティーに引っ掛かるまでもなく、
精神的疲労だけでこの有様です。
流石に、科学で言う原子爆弾水素爆弾にも匹敵する高度大規模術式。
マニュアル片手の駆け出しでは役者が不足しているです」

「貶めるつもりはないんだよ。
アーティファクトの助力を差し引いても、
ゆえの技量は年齢を考えると高い水準にあるんだよ。
後、一万回も高度術式を解除すればゆえにも出来る様になるんだよ」

「あなたにそう言ってもらえるのならば何よりの名誉です」
「これは、忌まわしい呪いの術式を解くのは、
私の役目なんだよ」

その宣言は決して勇ましくも誇らしくも見えない、
只、厳かに、格の違い等と言う言葉も下衆な何かを夕映に知らしめる。
次の瞬間、室内の床に空中に展開されていた魔法陣の多くが、
一斉に赤い光を放ち始めた。

「これはっ!?」
「何、これ?起爆ではないけど物凄く禍々しい魔力なんだよっ!」

レディリーがさっとフェイトの射線から逃走し、
フェイトの周辺で大量の何かが灰色の塊となって砕け散る。

「白き雷っ!」

夕映が練習杖を使って対処を開始する。
起動した魔法陣からは、次々と何かが姿を現す。
それは、人とも獣ともつかぬ骸骨が黒い何かをまとって。

「くくっ、ふふふ、アハハハハハハハハハハ」

フェイトの監視を外れたレディリーの高笑いが響く。

>>151

「どうやら、奇蹟の力は念のためにおまけにつけておいた術式が
発動するぐらいのハイパワーだったみたいね。
或いは、この塔の中でイレギュラーに満ち溢れた魔力でも取り込んだのかしら?」

「これは…人形?影?違う、どちらでもありどちらでもない…
禍々しきものを形作る要素そのもの、それが寄り集まり形になって動いてる?」

「驚きました、正解です。
我々はあちらの世界で一度経験しているのですが。
しかし、これはあくまで影であり人形。
コントロールが必要な筈なのですが、それもこれだけの数をレディリーに…」

「召還魔術に命令文が付与されているんだよ。
それ自体非常に高度な事で、簡単な書き込みしか出来ないけど、
敵しかいない状況で見付け次第アタックぐらいなら予め自動的に設定出来るんだよ」

「術式の知識は超一流、ですか」
「私のスペル・インターセプトなら現出してるものは一掃できると思うけど」
「いえ、時間が足りません。
ここは我々に任せて地球破壊術式の解体に集中して下さいです」
「分かったんだよ」
「インデックスさんには指一本触れさせないですっ!」

一方で、フェイトは次々に現れる魔素人形を軽々とぶちのめし、石に変えていく。

「ふうん」
「強力な魔力であればこそ強力なものが引き付けられるみたいね」

実に楽しそうなレディリーの言葉通り、
ちょっとした怪獣と言うべき魔素人形がわらわらとフェイトに群がる。
流石にフェイトも一蹴とまではいかず、ボコボコにぶちのめしていく。

>>152

「ひゃー、これってあれなの?」
「!?ゆーなさんっ、見ての通りですっ!!」
「オッケェーッ!!つうっ!」

悲鳴を上げる筋骨も心地よいとばかりに、
二挺拳銃を携えた明石裕奈が入口から魔素人形の群れのまっただ中へと突入した。

「こーゆーのひぃっさしぶりだにゃーっ!!」

一見スリップした様にごろりと転がりながらも、
裕奈は流れる様な銃さばきで料理していく。

「なんだぁ…水を得た魚かよ」
「…超少なくとも、人ではない様ですね」

麦野の前で、拳の突き抜けた土手っ腹に風穴を空けて消滅する魔素人形を前に絹旗が言う。

「きぃぬはたあっ!」
「アイサーッ!超窒素パァーンチッ!!」
「ばぁけものどもおっ!
テメェら全員ぶち殺し確定だああああっっっっっ!!!」

今回はここまでです。

なんか、過去最大規模?の途中書き込み。感想有り難うございます。

続きは折を見て。

乙です

劇場版後のシャットアウラはアレイスターとローラにも行方がわからなくなってるけど、学園都市の何処かで路上ライブをしてるって電プレでかまちーが言ってたな。
ちなみにシャットアウラの胸はアリサ並になってるらしい。

インデックスたんのアリサ可愛かった。
三下は完全アドリブらしい

今でも色々アレだけど、刻一刻と審判の時が近づいているやうな…
それでは今回の投下、入ります。

>>153

 ×     ×

土御門元春はガバリと跳ね起きて荒い息を吐く。
全身衣服を絞れる程に汗まみれだ。

「目が覚めた様だね?」

声を聞き、周囲を見回す。
どうやら病院の様だ。

「病み上がりに無理をするものだね?
倒れている所を担ぎ込まれて来たよ」
「ああ、そうかい。面倒かけたぜい」

土御門が頭を下げ、ふーっと息を吐いて独りごちる。

「いくら何でも、超能力者と魔術兵器が真正面からガチバトル、
なーんてある訳ないよにゃー。
疲れてると夢見も悪いモンだぜぃ…」

 ×     ×

エンデュミオン基部エリア。

「かはっ!!」

巨大な翼の突きを受け、高音・D・グッドマンの背中が壁に叩き付けられる。

「ぐ、っ」
「どうしたぁクソボケ…っ!?」

複数の光の矢が空中の垣根帝督に向けて螺旋を描き、
垣根はそれらをさっさと翼で弾き飛ばす。
僅かに緩んだ一瞬の隙に、高音は翼の圧迫を逃れる。

>>157

(辛うじて仕込んでおいたデイレイ・スペル。次は無い…)
「クソボケェッ!!」
「とっ!」

間一髪、高音が翼の一撃を避けて高音のいた吹き抜けの通路が破壊される。

「ぐ、っ」
「アバラでもイッたかぁ」

当たらずとも遠からじ。

(まずい、ですね。罅の一つも入ったか
まさか影の鎧越しにここまで肉体に響くとは、
人の身でどれだけ規格外の破壊力を…)

「手間ぁかかったが、その妙な物質の解析も随分進んでるからなぁ、
時間の問題だぜ」
「では、その残り時間を不要とすればいい訳ですね」
「つまり、こっから俺がテメェを瞬殺するって事でいいんだなっ!?」

大剣の如く突っ込んで来た翼を交わし、
着地した高音が怪訝な顔をする。
そして、視線をチラと上に向ける。

(銀色の光?確かに魔力を感じた…)
「何よそ見してやがるこのクソボケがあああっ!!!」

 ×     ×

「はか、せか?」

エンデュミオン中継ステーション通路。
座り込んでいた長谷川千雨が、携帯電話を取り出して呟く。

「もしもし、千雨さんですか?」
「ああ」
「今、いいですか?」
「ああ、頭ぐらいしか使えねぇからな」

>>158

「判明した事実から改めて情報の検索を行いました。
オリオン号墜落の当日、魔法協会、イギリス清教、そして科学の学園都市は、
短時間に巨大な謎のエネルギーを観測しています」
「謎の巨大エネルギー?」

「はい。位置はエンジントラブル時点のオリオン号と見てまず間違いありません。
エネルギーの性質は不明、魔術とも科学とも確定できず。

場所が科学の学園都市上空、それも宇宙と言う事で、
短期間に消失したエネルギー体を魔術サイドが直接調査を行えなかったと言う事情もありますが、
それでも魔術サイドが僅かな観測データを残していたのは
魔術的な特殊流星を疑わせるエネルギーを観測していたからです。

科学の学園都市側にも、詳しい調査データは残されていません。
本当に深い所にはあるのかも知れませんが、今はそこまで踏み込む時間がありませんでした」

「やっぱりオリオン号には何か、
そいつが奇蹟のエネルギーだったって事か」
「そう考えるのが自然です。
そして、もう一つ出て来た情報があります」
「なんだ?」

「シャットアウラ=セクウェンツィア」
「シャットアウラ!?」
「はい、オリオン号事件で情報が消失した機長ディダロス=セクウェンツィアの娘です。
ディダロスの情報がガード又は抹消されていたためにその事自体確認に一苦労でしたが。
彼女に就いて、興味深いデータが入手出来ました」

「なんだ?」
「確か千雨さんは以前シャットアウラと顔を合わせたと言っていましたね」
「ついさっきまで殺し合いしてたよ」
「彼女に何か変わった点は?」

「変わった点しか無かったな。
最初会った時は冷徹な鉄の女に近かったけど
さっきのは半分発狂してブチ殺しに来てやがった」
「そこは、コンサート会場の近くですか?」
「ああ」

>>159

「なるほど。彼女はオリオン号の事故後、音感に障害を負っています」
「音感?」
「シャットアウラは音楽のリズムを感知出来ない障害を負っているんです。
だから、今の彼女にとって、リズム感のある音楽を聴き続ける事は
耐え難い不快なノイズの中に身を置く事になります」

「あー、納得した。それだけでもなさそうだけどな」
「当時の主治医の医療機関は事故による脳障害の後遺症と診断しています。
しかし、どの様に脳が損傷したのか、そのデータが存在しません。
しかも、内部ではストレス障害説が根強く主張された形跡もある」
「根拠が無いって事か?」

「そうです。これは非常におかしい事です。
シャットアウラは科学の学園都市でも上位である強能力者、
しかもアースパレットと言うレアに属する能力者です。

科学の学園都市の能力開発は、人体の中でも脳とDNAが決定的と言える程に重視されています。
にも関わらず、脳障害を有力説とする明確な障害に対して
原因となる損傷が特定どころか情報すらまともに存在しない。
そのDNAに関しても気になる事がありますけど」

「シャットアウラのか?」

「鳴護アリサです。
ご存じの通り、鳴護アリサは結論として突如としてオリオン号に現れた謎のアンノーンです。
科学の学園都市ではその性質上、少なくとも能力者に関してはDNAデータが非常に重視されています。
ですから、我々外部の人間が科学の学園都市の能力者のDNAサンプルを入手するのは不可能に近い」

「DNAサンプルって、血液とか唾液とか…」
「能力者のDNAサンプルとなり得るものは、
髪の毛の欠片一つに至るまで徹底管理されています」
「マジか?」

「マジです。
中にはその詐取を専門とする裏の交渉人もいると聞きますが、正に命懸けです。
科学の学園都市では暗示、催眠、薬物投与に電気ショックその他諸々の方法で
脳を開発する事で能力を開発している、と言う概要は把握していますが、
ここまでDNAを重視している事、その他の状況証拠から考えて、
先天的な決定要素が大きいと考えるべきでしょうね」

>>160

「生まれながらの超能力者、って事か」
「能力を発現させるための技術があるとしても、
元々の能力の存在それ自体はそう、先天的なものと考えるべきなのでしょうね。
魔法の世界でもネギ先生や近衛さんの様なイレギュラーがいるぐらいですから、
その逆の先天的体質も存在する訳ですし」
「そう考えると、最高位のレベル5が第何位って数えられる程度ってのもいい所か」

「ええ。能力発現の高い低いが先天的要素であり、
そのDNAが徹底して管理されているとすると、
次に考えるのは、超能力者と呼ばれるレベル5のDNAの螺旋構造のどこにそのファクターがあるのか、
それを突き止めて人為的な遺伝子操作による超能力者を作り出す」
「行き着く先は宇宙を巻き込んだ青く清浄なる種族間戦争か?」

「或いは、現在の超能力者そのものを量産する」
「…クローンか…」

「只、現時点では、科学の学園都市の進歩を加味したとしても、
クローン技術による個体の劣化、損傷は避けられない筈、
超能力者の様にデリケートな要素を含むとしたら尚の事です。
流石にレベル0、1は無いにしても、推定で言えばその上が精々でしょうね。

自分で言っていて気分が悪いですが、あちらの科学者相手の推定は、
まずは徹底してロジカルに考えないと底が無いですから表現がアレになってしまいます。
と言う訳で、超能力者から均質なデッドコピーを大量量産する、
この程度の事なら科学の学園都市の水準を考えるとさ程不思議ではありません」

「デッドコピーって言っても、元が超能力者で確実性があるなら十分脅威だな」

「はい。只、そもそもクローン自体が当然世界的な倫理違反法律違反ですから
いくら科学の学園都市でも表立っての製造は出来ません。
使い道があるとするならば、学園都市内に限定して…

例えば、クローンに対する実験データに掛ける幾つの数式を当てはめれば、
実際の実験には使えない貴重な超能力者の実験データに近いものになると言う理屈で。
この理屈を応用するなら戦闘データの大量実験も可能です。
私の知る限り、能力の基準は軍事的な利便性汎用性に負う所が大きいですから、
デッドコピーと何度か闘う事で超能力者と一度闘う経験値になります」

「なんつーか、雲行きが怪しくなって来たぞ。
そりゃ始まりの城の周りで地道にスライム潰してりゃあ徹夜何十日目でカンストするんだろうな」

>>161

「そのやり方で考え得る最高の結論を得るためには、発想的にかなり人間やめる必要がありますね。
辛うじて手に入るデータから理論値で推定した場合、

全力で殺しに来る人間の形と生物学的特徴を完備した
デッドコピーを咬ませ犬として一日一体完全破壊したとして、
27年数ヶ月ほどそれを繰り返したら最高レベルすら振り切る領域に到達する、
その可能性を示す数値の揺らぎが見えないでもありません。

流石に、数学的に考えても、それを企画立案したり、
多数のパターンを経験するためには精々一日二体で十四年間近く自分の手で延々と実行し続ける。
そこまで人間やめてる人もかなり珍しいとは思いますが」

「当たり前だ」

「それでは、他に考えられる用途としては、あの学園都市では脳の演算機能を重視します。
そして、構造がある程度理解されている一定水準以上で均質な脳を大量に用意する事が出来る。
そして、脳と電気信号の交流にも一定程度成功している。
であるならば、電気的に強化した脳波で均質な脳そのものを交流、ネットワーク化して、
超巨大で超高性能な生体コンピューターとして利用する」

「理論上は、か。パソコンでもネット上でも繋いで使えるからな。
超能力者でその使い方するなら、一番候補は御坂美琴しかいないが」

「その途方も無いネットワークを
脳のフォーマットが同じであるプロトタイプとなった超能力者に逆流させて、
スーパー超能力を発現させる事すら考えられます。

何しろ、能力開発自体が脳開発により発現させている訳ですから、
只でさえコントロール出来ないと言うだけで性能は科学的コンピューターを遥かに凌駕している人間の脳。
脳開発により発現した超能力者と言うOSに、
個別では劣化でもとてつもなく巨大な容量の外付けHDDを付けたらどういう事になるか、
想像するだに震えが来ますよこれは。

もっとも、流石にここまで来ると妄想通り越して
私達の一つ下の学年が主に発症する病気のレベルの話になりますが…」

「ん?どうした?」
「ああ、いえ、ちょっとすいません。
誰か来たみたいです」

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です


相変わらず葉加瀬の推測力がチート過ぎる…
オリオン号での奇跡、高位能力者の生データ、素養格付やミサカネットワーク、第一次、第二次レベル6シフト計画に近づける発想まで至れるとか木原の一人二人じゃ足らんレベルの知性じゃねーか
まあ超能力による脳波リンクはどう考えても機密で、「一定程度成功している」っていうデータを何処から引っ張ってきたのか疑問ではあるが…

しかしこうして葉加瀬が真相に近づいて、しかもその情報を堂々と電話で吹聴することで彼女の将来の生存率はガンガン下がっていくわけだ
天才は不幸だね

漫画やラノベ有りがちな解説ポジなだけじゃね
男塾の雷電見たいな

解説役なら解説役でいいけれど、どう見ても今回の本筋から外れてる事を説明したり、それが幾ら何でも知ったり分かったり思いついたりしたらおかしなことだったりするとなぁ
オリオン号とシャッドアウラの情報以外は明らかに横道だし藪蛇

余計な事を喋り出すのは解説役のキャラ特性だからww

雷電は古過ぎだろ
最近の作品で思い浮かぶ解説キャラなら
ジョジョのスピードワゴンとシュトロハイムだな

そのスピードワゴンやシュトロハイムは緊急事態に三分の二以上も直接関係の無い事をベラベラ喋った挙句、「厨二病レベルの妄想ですけどwwww」とか言って締めくくるような程度の低い解説はしなかったと思うけど

感想どうもです。
これより今回の震え声タイム

葉加瀬の喋りの暴走は一応原作仕様です。
明日菜からも本物さんの称号を貰っています。
まあ、緊急事態の最中にチート過ぎるって点に関しては…

付け加えると、ネギ先生の場合、拳闘大会のラカン戦の後に、
ネギの戦闘キャラはむしろ葉加瀬タイプ、と評されています。
つまり、戦闘に関して相手を論理的に分析し技術を応用して傾向対策を立てるのに長けている、
研究者タイプだと言う事です。

これより、「避暑地」より膨大なる防壁を経由しての投下準備に入る。
矢でも鉄砲でも持って来いや
ワハハwwwwwwwwwイwwwwwwwww

嘘ですゴメンナサイ何とかそれなりに済みますように

それでは今回の投下、入ります。

>>162

 ×     ×

「もしもし?」

電話が繋がったまま葉加瀬聡美からの通話が途切れて、長谷川千雨が問い返す。

「ああ、すいません、茶々丸でした。
少々踏み込んだ調査を行っているもので、念のためここから移動する所です」

「そうか。魔法協会にイギリス清教に科学の学園都市か。
まともに目ぇ付けられたら、ハッキングだろうが盗聴、通信傍受に
物理でぶん殴るまでなんでもありそうだからな」

「まあ、その時は、とっくに掌の上に乗ってるでしょうね。
科学の学園都市ならオール電波傍受どころか
空気そのものが盗聴器でログが残されていると言われても驚きはしません。
出入国管理、機密保持のために、
実際に情報管理用のナノデバイスを人体に注入しているとも聞きますから」

>>170

「ナノデバイスね、私も危うく毒殺されかけたけど、
そんだけ高性能なら、超小型でどこにでも設置、いや、
固定カメラに限定する必要すらないってか?」

「まあー、そこまで行くと、情報分析を行うマンパワーの隠匿には限度がありますから、
そこまでしてあの高度科学都市の街単位だけでも大量の情報をかき集めるとしたら、
そりに見合う情報処理を求めると、それこそ人間やめてコンピューターと直結でもしない限り
情報の取捨選択分析と判断が追い付きませんが」
「実に素晴らしくサイバーパンクだ。あの街のどっかに全身コードに繋がってるか
電気信号が直接伝わる液体にでも浮かんでる支配者でもいるってか」

「まあ、いても不思議ではないですけどね。
もちろん全部が全部マッドサイエンティストとは言いませんが、
あの街にはマッドなんて生ぬる過ぎる、
科学者として決して触れてはならない名前があるとも聞きますから。
そんなとある学年の病気に等しい妄想すら現実から直結する超科学情報都市。
超科学電子情報管理都市。それが科学の学園都市です」

「電子が全てを司り、電子の鍵が無ければ何も分からない、
鍵があれば全て…るっとお見通しのスーパー情報管理都市、か」

「ええ、そんな科学の学園都市で、
能力開発の要となっているのが脳とDNA。
その情報は外部からは厳重に秘匿されていて、
我々外部の人間は髪の毛一欠片すら持ち出す事が出来ない。
一方で科学の学園都市の側では全てを把握し、鍵の内側で管理している筈。
確か、鳴護アリサは学生であり無能力者でしたね」

「ああ、確か最低ランクって言ってた」

「であれば、逆に言うと検査の対象にはなっていると言う事です。
科学の学園都市は街自体が巨大な研究所。
科学の学園都市の生徒は、この際言い方の配慮を無視するならばすべからく実験材料、モルモットと同義。
であれば、研究所である学園都市は、少なくとも能力開発に関わるデータは必ず把握している筈。

そもそも、彼女は事故現場に突如として姿を現したアンノーン。
学園都市の側もアンノーン鳴護アリサの調査のためにDNAを使った形跡があります。
やらない方がおかしい。
取り敢えず、アリサ本人がそこにいて健全な肉体が存在するならば、
登録された能力者の中に親族がいないか、と言うレベルならすぐに検索出来る訳ですから」

>>171

「結果は?」

「分かりません。検索を行ったと言う形跡はあるのですが、
その先の事が全く分からないんです。
もちろん、科学の学園都市の生徒ですから、
外部からの調査で彼女のDNAの螺旋構造を把握する事はガードが硬すぎて現時点では出来ません。
出来るのは実行された調査の形跡をログから探し出す事。もちろん至難の業ですけど。

鳴護アリサの場合、元データ自体がごっそり消えていて、
統括理事会認可で科学の学園都市の在籍が許されている。
その認可の根拠となっている元データは全て紙。
元々、個人情報の紙データ自体が個人情報として厳重秘密扱いですが、
鳴護アリサの場合、名目上は事故による元データの消失の後、
紙データで資格を確認されたにも関わらずそのデータが電子データに再登録されていません。

ログの閲覧情報を見る限り、初春飾利さんも同じ疑問を持ったみたいですね。
もちろん、彼女は慎重に痕跡を消しながら閲覧していたみたいですけど」

「そして、深入りしてレディリーの電子ドラッグに食われかけた、か」
「これは、事によっては紙データそのものの実在すら疑わしいですよ。
オリオン号事件に関わる調査記録も様々な改竄や抹消が行われています。
私の結論を言います。鳴護アリサのDNA照合は行われ、
その結果ヒットしたDNAデータは存在します。それも科学の学園都市に」

「なんだと?」

「鍵は消し方、消したいもの、消された、変えられた結果です。
鳴護アリサがアンノーンである以上、DNAによる親族照会は当然行われています。
そしてその結果は、少なくとも科学の学園都市に登録されている限りでは完全に天涯孤独、
本来であればそれで終わりです。

しかし、何をどう調べてそういう結論に至ったか、
レディリーによる電子結界を解除してその過程の痕跡を追跡していけば齟齬が見付かる。
ミスリードに注意しながらその齟齬の正体を解読していった場合、
隠したものは分からなくても隠す意図は分かります。
正反対の結論を隠す、それ以外にこのごまかし方はあり得ません」

「アホな事を言うが、そういう場合の定番は、
例えばどっかのお偉方とか王族なんかの隠し子、って話になると思うが」

葉加瀬が沈黙したので、千雨は本当にアホな事を言ったのかと考える。

>>172

「親、なんですかね?」
「何?」
「そもそも、親から生まれたんですかね?」
「は?」

「一見無関係に見える事でも、
同じ場所を接点にして不可解に連続して発生すれば関係を疑うのが自然です」
「接点…オリオン号か」

「そもそも物理的にそこに存在する事自体がおかしいアンノーン。
聖なる魔力にも似た爆発的なエネルギー反応。
音感を喪失したシャットアウラ=セクウェンツィア。
絶体絶命からの奇蹟の生還。
死亡したのは一名、シャットアウラの父であるディダロス機長のみ」

「繋がる、か?…」
「シャットアウラの音感喪失は科学では説明出来ない。
科学で説明出来ないとするならば」
「………魔法、魔術か………」

「症状だけを見るならば、その場合一般には呪いと言いますね。
彼女はオリオン号で音楽を喪い、そして、父を喪った」
「不幸な事故とも言えるが、実際科学じゃない疑いがあるって事は、
そうなると正に呪いって話か」

「………ええ………それで………呪いの………同じ………奇蹟………」
「もしもし?騒がしいな、よく聞こえない」
「………予想より少し………早かった様ですね………今、茶々丸が………
………ええ、些か踏み込み過ぎたと言う事………今から車に………」
「もしもし、切った方がいいか?」
「………呪いと奇蹟が同時に起きていたとしたら………これは最早仮説と言うより妄想………
………歌を喪った………奇蹟の………人魚姫………車が出ますので別の場所で………」
ツーツーツー

「大丈夫かよ…」

嘆息した千雨が、壁に背を預ける。

「呪いと奇蹟、一緒に?呪いと、奇蹟、人魚姫………
………願い………オリオン号での願い………それは生きる事………願いの対価………奇蹟の対価………
………生きる事を願い………喪い………いる筈の無いアンノーン外部からでは………じゃあ生まれた………
………呪いが、生んだ?………鳴護アリサには親族がいる、絶対に隠匿されている………」

>>173

 ×     ×

「なんだぁこのデカブツがあっ!!」

エンデュミオンラスボスの間で、
骸骨が黒いものをまとい、明らかに人間を超えたサイズのどす黒い人型のマッチョと化す。
あの夏、あちらの世界の戦いの経験者なら知っている魔素人形。
ズガン、と、床に振り下ろされた魔素人形のパンチを麦野沈利はひらりと交わし、
交わし様に原子崩しを撃ち込む。

「チャンバラかうぜえっ!!」

更に、別の魔素人形が振り回す大剣がぶうんと空を切り、
麦野の振り返り様の原子崩しがその持ち主をぶち抜く。

「明らかに人じゃない人型のマッチョなデカブツどもがうじゃうじゃと、
バイオ兵器か出来の悪いギミックか…」

原子崩しで一発一発魔素人形を破壊している麦野は明らかに苛立っていた。

「そぉいっ!」

絹旗最愛の回り蹴りを受けた魔素人形が吹っ飛んで別の魔素人形に背中を叩き付ける。
ロケットスタートした絹旗の拳がその重なった二体丸ごと貫通する。

「麦野、原子崩しの出力と狙い、
超普段着で宇宙遊泳だけは超勘弁して下さいね」
「ってんだよクソがあああっ!!!」
「おお、百発百中」

ズガンズガンズガンズガンズガンと爆発する魔素人形に、
明石裕奈が感心しながら拳銃を振るう。

「(流石に熟練の戦士或いは殺し屋、異常な程の素晴らしい状況適応ですね。
只、宇宙施設で使用するには出力調整が難しいと言う事ですか。
地球上であれば我々のパーティーが相手をしても壊滅的に危険ですね)
あっ!」
「あ゛?」

そんな麦野の背後の魔法陣からぬおっと現れた魔素人形に気付き、綾瀬夕映が声を上げる。

>>174

「なーに人のケツにストーキングしてんだこの骸骨人形があああっ!!
オラオラオラオラァ避けてみろよおらあっパリィパリィパリィパリィってかああああっっっっっ!!!」
「あのー、ゆーなさん、魔素人形をドツキ倒している様に見えるのは…」
「ああ、うん、素手でまほら武道会に出てもいい線行くと思う、
と言うか無制限なら拳闘大会でも…」

一瞬ぽかんと眺めていた夕映がハッと振り返る。

「白き雷!!」

術式解析を進めるインデックスの側で練習杖を振るいながら、夕映も焦燥を隠せない。

(まずいですね。最初が不味かったですか…)

夕映に、絶賛怪獣退治中のフェイト、裕奈、アイテムの二人。
火力自体は悪くない。
だが、意外と広い部屋の中で点在させ過ぎた。

(インデックスさん一人を守り抜けば勝ち、だった訳ですが…)

インデックスが予想外に闖入して来た事もあって、対処が遅れた。
術式の解体に専念するインデックス一人を守り抜く事に徹すればそれで良かったのだが、
今から敵のまっただ中で編成し直すのはリスクが高い。
火力から言って一体一体はまあまあ対処出来るのだが、
魔法陣から次から次から召還されて鬱陶しい事この上無い。
この状態で解体前に術式の本体が発動したら地球諸共アウトだ。

「何とか、インデックスさんは守り抜き………!?」

夕映が目を見張る。

「なんだ、っ!?」

麦野も一瞬腕で目の前を隠す。

「これは…又強力な魔力」

一斉に銀色の光を放ち始めた高度の高い空中魔法陣を見て、
インデックスが呟く。

>>175

「これ以上は、まず、い………」

放たれた魔力が実体化する感覚に、夕映の顔から血の気が引く。

「ったぁー、あれ?これって?」
「ご無事ですか、お嬢様」
「ええ、私は。これは、どういう事ですか?」
「…どうやら、旧世界側の宇宙で天文学の力も借りて
恐ろしく馬鹿げて大規模で条理を超える程に異常な召還術式を発動させた人がいるみたいですね」
「つまり、それで旧世界側に召還されちゃったって訳?演習中に?」
「なるほど。どうやらその様ですね。見知った顔もいる様ですし」

取り敢えず、団子になって事態を把握する姿を見て、

「…あ、あああ…」

綾瀬夕映は、立ち尽くし言葉を失っていた。

「全く、何を惚けているのですか?
この状況でやるべき事など一つだけでしょう」
「あ、ああ…はいですっ!
彼女、インデックスさんが術式解体のキーパーソン、絶対死守です」
「ビーさん?」

「………インデックス………旧世界イギリス清教禁書目録………
………極秘裏にして重大要人としてお嬢様が受験勉強にかき集めた最高位旧世界外交参考書の中にも………
この術式、常軌を逸して狂った破壊的召還術式を解体するのですか?」

「そうなんだよ」
「その通りです。インデックスさんを守護してアリアドネー九七式分隊対魔結界配置、
私とベアトリクスで攻撃、委員長とコレットは何としても結界を死守して下さい。
術式は全て連動しています。
インデックスさんの解体が成功したらこちらの勝ちですっ!!」

「了解」
「分かった!」
「全く、私を差し置いて実に理に適っていますね。
それでは皆さん、参りますわよ」

「「「「装剣ッ!!!!」」」」

>>176

 ×     ×

「くああっ!!」

エンデュミオン基部エリアで、跳躍した空中で翼の横薙ぎを叩き付けられ、
高音の体が吹き抜け通路の壁に叩き付けられる。

「う、ぐっ…」

壁に突き刺さる翼を、高音が床を転がり辛うじて交わした。
ダメージが大きい、大き過ぎる。最早その身で受けられる攻撃ではない。

「おおおおおっ!!!」

高音が練習杖を振り翳し、全力で魔力を発動した。

「やるかクソボケッ!!!」

空中で、黒の触手と白の翼が絡み合い、メキメキと音を立てて軋み合う。
そして、ばあんと音を立てて弾けた。

「あ、あああ…」

通路に立っていた高音が、青ざめた顔でふらりと足を後退させる。
空中では触手を引きちぎられた巨大影法師のそこここに白い翼が突き刺さり、
或いは翼を押し付けられ締め上げられている。

「これが何であるか、まだ九割方は勘みたいなモンだがなぁ、
いけそうだぜぶっ壊すぐらいはよおおおっっっっっ!!!!!」

「ぐああああ、っっっっっ………」

一帯に、空中と吹き抜けの通路からおぞましい悲鳴が響き渡った。

「あっ、か、はっ、ぐあっ………」

経験した事の無い感触。
或いは、あの夏あの途方もない攻撃の直撃を受けていればこうなっていたのかも知れない。
絶対的な防壁として高音の盾になっていた影の術式、その源である「黒衣の夜想曲」。
そのもの自体が破綻した事で、連動していた「影の鎧」も破綻と共にダメージを逆流させる。

>>177

「いた、いっ…」

その身を抱き、たたらを踏みながら、高音には原始的な根性で耐える事しか出来ない。

「終わりだなおいっ!」
「ぐっ!!」

突っ込んで来た翼を交わし、立ち上がった高音はあくまで練習杖を垣根帝督に向けた。

「ああっ?ちょっとは攻撃出来るみたいだが、全然通ってねぇだろうが。
そのなまっちろい体一つで俺の未元物質に何が出来るってんだあっ!?
ショック死でも出血多量でもこっちの目的は達成出来ねぇからよぉ、
この街の病院なら腕の一本や二本急げばくっつくんだ、
ダルマになる前に何でも白状しますって土下座しやがれっ!
まずは左腕えっ!!!」

「くっ!」
「なんだぁ?そりゃあ紙の壁かあっ!」
(その通り、この程度の魔法防壁、全然足りない………
………銀の光?………もしかして迎えの光、と言うものでしょうか?………)
「おおお………な、っ?」

ガガガガガガガガガッ!!!
と、壮絶な音が高音に生の実感を呼び戻し、
高音は一瞬恐怖に負けて閉じた目を開いた。

「なんだ、こりゃあっ!?」
「強力な、物凄く強力な魔法防壁っ!?」

高音が目の前に見たのは背中、素晴らしく凛とした立ち姿。
差し出された右手の前で、
兵器に他ならない大剣の突きと化した白い翼が二人を逸れる。

「!?」

垣根帝督がざっ、と、右を向く。
そちらから飛んで来たとんでもなくデカイ刃物と垣根が防御に回した全ての翼が激突し、
刃物も翼も木っ端微塵に砕け散った。

>>178

「やるじゃん」
「なんだぁ?どっから湧いて出やがった?」

前髪の下からつーっと嫌な汗が伝っている事を、垣根の心が力ずくで否定する。

「おい、そこのイカレたマッチョマンに褐色女。
今のは見なかった事にしてやる。関係ないなら失せろ、死ぬぞ」
「あり得んな」

高音の前で、左頬を手で拭いながらの返答。
拭われた赤いものは、その事の重大性が高音を戦慄させる。

「この者、余所者として安全な所に留まる口実など幾らでもあった。
だが、我らが国我らが民のため、迷わずその身を最前線に置き続けその身を危機に晒し続けた。
それを無関係など、王族として人としてあり得ん」

「あ?どこの厨二病だテメェは?
多少は何かの能力を使うらしいが、
学園都市レベル5第二位どうこう出来るとでも思ってるのかああーっ!?」

バサアッ!と、音を立てて幾つもの白い翼が翻る。

「いいのか?」
「何?」



そ の 程 度 で い い の か?

と聞いてんだが?」

「うむ、どうやら強力な召還術でこちらに飛ばされた、
と言った所かの。
王族たる者、見えぬ所でハメを外す機会を逃すものではないわ」
「全くだ、スーツってのはかたっ苦しくていけねぇなぁ」

「ん?なんだ、お前も来てたのか?」
「おぬしもか。つまり、あれを倒せばいいのだな?」
「結構強そうだぜ。レベル5の第二位様なんだとよ」
「まあ、あの決勝戦ほどではなかろう」

>>179

「どうやら、あの子達もこちらに飛ばされた様ですね。
迎えに行く前に」

「ほら、起きろ馬鹿息子!」
「ったぁー、んだぁ、ここは?」
「どうやら、例の旧世界とかみたいだねぇ」

「ったく、何だってそんな所に」
「まあ、来ちゃったモンは仕方がないね。
来ちゃったからにはアコを探そうかね」
「あんなのはどうでもいいが、その前に片付ける事があるみてぇだなぁ」
「だねぇ」

「なんだぁ?お宝の間じゃあねーのか?」
「どう見ても違う。科学や人が話に聞いた旧世界っぽい」
「じゃー、ノドカちゃんいるのかなー」
「その前に、みたいね」

「つまり、何故か旧世界に飛ばされた」
「そしてお偉方も一緒でどうやら戦闘配置」
「であるならば、賞金さえ約束下さるのならプロとして我ら相応の仕事を約束するが」

「あー、流石にちょっと卑怯臭ぇからよ、
ここは先着順って事で俺がタイマンいくから、何かあったら後頼むわ」

「ふっ、ざっ、けっ、るっ、なぁぁぁぁぁぁぁぁあっっっっっっっっっ!!!!!」

怒号と共に、一帯に凄まじい衝撃波が走る。

「ナメてんのか?レベル5第二位ナメまくってんのかっ!?
全員まとめて束になっててとっとと来やがれっ!!」

>>180

「だとよ」
「うむ、威勢がいい。やはり若い者はこうでなければの」
「ハッハーッ、全くだ」
「おお、とうとう婆ぁを認めたか」
「やかましいわこの筋肉ダルマ」

「て、事だから、ナンバー2って微妙なプライドに配慮して、
ここは戦友カルテットって事で妥協しとこうか」
「ま、後ろの連中も異存はないみたいだぜ」
「まあ、あったとしても(以下略)」
「おお、待たせたの、そういう事で順番が決まったわ」

「ム、ム、ム、ム………

ムカついた!!!!!

て、め、え、ら、全、員、

愉、快、過ぎる、

オブジェにしてやるぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっ!!!!!」

 ×     ×

只、思いだけを巡らせて通路に座り込んでいた千雨の指がぴくりと動く。

「………これ………この歌………出来たんだ………」

起こそうとする体に激痛が走る。

「………呪いが、奇蹟?………奇蹟の対価………人魚姫は喪ったそして生まれた………
………知るか馬鹿野郎………行か、ないと………私の、友達………」

今回はここまでです。続きは折を見て。



垣根は禁書世界最強のかませキャラだからなww

乙です

感想どうもです。
それでは今回の投下、入ります。

>>181

 ×     ×

「ごめんなぁ、今だと流れた血までは回復出来ないみたい」
「何、言ってんのよ、生きてるだけで御の字だって」

ちょっとしたパーティールームの様な室内で、
近衛木乃香の肩を借りながら柳迫碧美が言った。

「でも、ここは?」
「うん、コンサートの貴賓室の一つや。
ここ通った方が確実に避難出来るて」
「ふーん」

それでも、用意されていたフルーツやら何やらが色々引っ繰り返っているので、
二人は足下に注意して慎重に先を急ぐ。

 ×     ×

「………物凄い数………一度に来られたらひとたまりも………
………を………を急いで………」
「どや?」
「留守番電話っ!!」

貯水槽エリアの橋の上で、
犬上小太郎に向けて叫んだ早乙女ハルナが携帯片手に慌てて地面に伏せる。

「弾幕厚いよ何やってんのっ!」

上を突き抜ける恐怖に反射的に叫ぶハルナだが、
それが自分の未熟である事を理解しながら必死にペンを走らせる。
地獄の番犬ケルベロスと共に現れた黒ずくめの銃撃部隊に対して、
ハルナの防御ゴーレムも攻撃ゴーレムも備蓄、製造が追い付かない。

「次から次へと出て来てまぁ」

愚痴が尽きないハルナの手元、その「落書帝国」から、
マッチョと剣のゴーレムがばびゅんと突っ込んでいく、
集中砲火を浴びて敵の所まで保つかも分からない。

>>184

「おらあっ!!」

巨大犬と化した小太郎がオルトロスに頭突きをかますが、
着地した小太郎にオルトロスはぐあっと威嚇を見せる。

「くっ!」

その小太郎目がけてケルベロスが大きな火球を噴射する。
小太郎はネギ・パーティー、魔法の世界の中でも強者の部類に入る実力者ではあるが、
狗族ハーフの小太郎と最強魔犬兄弟の正面対決と言うのは厳しいものがあった。

「せぃやぁぁぁぁぁっっっっっ!!!」

如意棒が一閃してケンタウロスが一斉に池に叩き落とされる。だが、

「フンンンッ!!」
「くおおっ!」

遅れて現れた一頭のミノタウロスはそうはいかない。
デカイ図体ながらぶっとい脚をバネにした素晴らしい跳躍力と
的確な体術を知的に披露して古菲を翻弄する。

「オオオオーッ!!」
「とおっ!」

そして、牛らしい突進。それもキメるタイミングをよく分かっている。
だから、古菲も辛うじて身を交わしていた。

「つっ…」

古菲が僅かに角のかすた左腕を押さえる。

「出来るアルね。強者大歓迎アル」

古菲が敬意を表し構えを取り直す横で、
どっぱーんと水柱が上がり人食い美女半人鳥セイレーンが群がる。
離れた所に顔を上げた大河内アキラの顔には明らかに疲労の色が浮かんでいる。
それでも、こうしてアキラが攪乱していなければ、
セイレーンを橋の戦線に加えては他の面々の命が無い。

>>185

「皆さんっ!柵に張り付いて下さいっ!!」

その叫び声に、一同がハッとそちらを見る。

「神鳴流奥義、斬鉄閃っ!!!」

翼を広げ飛翔した桜咲刹那が、
遠慮無しの建御雷フルパワーで、そして味方に配慮した繊細な狙いで橋の上の敵を薙ぎ倒した。

「下がって下さい、全員下がってっ!!」

刹那の叫びに、全員最後の力を振り絞り元々の進行方向へと橋の上をダッシュした。

「神鳴流奥義、百花繚乱っ!!!」

大爆発と共に、橋が落ちた。

「ご無事でしたか?」
「あ、うん、ああ…」

背中と人魚化の境界辺りの太股を下から支えられ、
羽ばたく刹那と共に宙を舞いながらアキラが答える。

「命懸けのデコイ役、感謝します」
「う、うん」
「ちょっとーっ、私らも銃弾雨あられん中頑張ったんだからねーっ!!」
「撤収ですっ!!」

わめき声をかき消す様に刹那が叫ぶ。

「チームの一部は既に離脱しました。
このエンデュミオン自体が落ちます。
千雨さんから撤収指示が出ました。後の事は上の人達に任せて撤収しますっ!!」
「ラ、ラジャーッ!!」

>>186

 ×     ×

「あれ?」
「あ」

かっぽかっぽと進む馬に騎乗した佐々木まき絵を先頭にした和泉亜子、村上夏美のチームが
曲がり角で見慣れた顔を合流した。

「乗れって?」

しゃがんだ馬と言葉を交わし、まき絵が言う。

「有り難う」

木乃香を含む他の面々が柳迫を馬に乗せる。

「え?全員?」
「いや、全員って、ここに何人…」
「いいから乗れって」

夏美の突っ込みを押し切る様にまき絵が言った。

「わああああっ!!!」

そして、少女達が狭さを感じぬ程の巨駒は、
雄々しく嘶くやその重量を無視するかの如くダッシュを始めた。

「ねえ、やっぱりヤバくないっ!?」

びしっ、みしっ、と嫌な音が聞こえる通路を馬で駆け抜けながら夏美が叫ぶ。

「もう、任せるしかないんじゃない」

柳迫が、まき絵にしがみつきながら呆れた様に言う。
その内に、馬は吹き抜けを渡る橋の上を走り出していた。
その時、どおんと何か嫌な音が聞こえる。

>>187

「わ、わわわ、わわわわわわっ!!!」

誰からともなく悲鳴を上げる中、馬は、丸で飛び石かの様に、ダンダンダーンと
崩落する橋を跳躍し、いつしか渡りきっていた。

「降りろって」

橋の向こう岸で、まき絵が言う。

「ありがとなー、食うかえ?」

木乃香に頬を撫でられ、ぶるると嬉しそうな馬に林檎を差し出すと、
馬はぺろりと平らげる。

「確かに、この先は馬じゃ無理っぽいね。
て言うか、この馬どうするの?イベント用か何か?」
「えーと、アハハ…」

柳迫の言葉に、まき絵が笑ってごまかす。

「ちょっ!?」

ざっ、ざっと後ろ脚を蹴っていた馬が大きく跳躍した。
崩落した橋を跳び越えた時、彼女達は確かにそれを見た。
それは心の目、だったのかも知れない。

「翼?」

柳迫がぽつんと呟く。

「うん、あの馬、いい根性だった」

誰からともなく始まっていたグローリアが二度目の飛ぶよを歌った頃に、
削板軍覇が腕組みをしてうんうん頷いていた。

>>188

「あんた達だった」
「朝倉っ!」
「うむ、声が聞こえたからな、根性入れて見に来た所だ」

削板に同行していた朝倉和美が仲間と言葉を交わしている間に、
柳迫の体は削板の腕によって背中と太股を下から支えられて持ち上がった。

「ひゃっ?へ、あ?」
「顔色が非常に悪い、見た所貧血だな」
「うん、大ケガして、傷は塞がったんやけど」
「分かった、任せろ、行くぞっ!!」

その根性満点のばびゅんとばかりのロケットスタートは、
疲労しているとは言え我が身一人分の少女達の脚力を明らかに凌駕していた。

 ×     ×

「来ましたっ!」
「良かったー、無事で…このか、みんなっ!」
「のどかに風斬さんも」

大きな扉の側で、宮崎のどかと風斬氷華が待機していた。

「わあっ!」

建物が大きく揺れて、ビシッ、とひび割れる音が聞こえた。

「扉は開くんだろうな?」
「はい開きます開きますうっ!!!」

ふおおおおとオーラを放ち始めた削板にのどかが悲鳴で応じた。

「よしっ、この先が非常用の避難通路だ」
「…あ…」

その時、夏美が天を仰いだ。

「ん?あ…」
「聞こえる…」

和美や亜子も気付いたらしい。

>>189

「これは…歌か…コンサートの」

削板が言う。

「ARISA…でも、これ配信してたのには…新曲?」

夏美が呟く。

「うむ、やはり根性の入ったいい歌だ」
「風斬さん?」

まき絵が声を掛けた風斬は、両腕を広げて体を反らし、
目を閉じてくるくる回転を始める。
目一杯高々と胸を前に突き出して回るその姿は、何かを受け止めている様でもあった。

「皆さん、先に行って下さい」
「は?」

風斬の思わぬ言葉に、和美が間抜けな声を上げる。

「先に行って下さい、済ませる事が出来ました。
削板さん、皆さんをお願いします」
「おうっ、任せろっ」
「い、いやいやいや、風斬さん…」
「分かりました」

和美の言葉を遮る様にのどかが返答する。

「よろしくお願いします」
「はい」

のどかがぱたんと体を折り、風斬も頷いた。

>>190

「………風斬さん………」
「はい」
「終わったら私ともプリクラ撮ろうね。
見せてもらったよ、風斬さんすっごかったの、
私も結構いい線いってんだからねー」
「はいっ!」

和美が、ニカッと笑みを見せて、風斬に背を向けた。

「行くぞっ!!」
「削板さん?あの…風斬さん…」
「ん、いい目だ。
根性の入ったいい目をいていた、決して無駄死にする根性じゃない。
さあ、行こう!」

言いかける亜子に、削板が宣言をした。

 ×     ×

「アネット・ティ・ネット・ガーネット…」
「タロット・キャロット・シャルロット…」

エンデュミオンラスボスの間では、
魔素人形の中でも大型な一体がぐぐぐと力ずくでアリアドネー結界に挑んでいた。

「せいっ!」

その大型人形の脳天に、上から降って来た絹旗最愛のかかとが叩き込まれる。

「まーだ動いてんのかぁ、ああっ!?」

ふらふらと千鳥足になった魔素人形に、
麦野沈利の原子崩しがドムドムドムと撃ち込まれ爆発消滅する。

「お、横一線だにゃーん。馬鹿な化け物達(はぁと)」

魔素人形が結界を狙って半円包囲を完成させ、
強化硝子で内外を隔てている宇宙施設展望室での戦闘に苛ついていた麦野にとっては、
正に願ってもないシチュエーションが完成する。

>>191

「超壮観です」
「肝心のレディリー追っ掛けてったらバラバラ死体になってやがった。
何だか知らねぇが、キリがねぇって事は消耗戦は無駄だ。
どうやらそこの仮装行列が鍵みてぇだからな」
「助かりますっ!」

横一列の魔素人形を一掃した麦野の言葉に夕映が叫ぶが、
さて、これでレディリーがのこのこ現れたら
この科学の学園都市の超能力者にどう説明しようかとも考える。
そして、その時は、存外早く訪れた。

「ああっ!?」
「あ、ああ…」

結界内でコレットが叫びベアトリクスがおののく。

「なんだ、こりゃあ?…」
「何と、禍々しい…」

麦野が呻きエミリィが息を呑む。
血の紅に染まる宇宙空間に、夕映の血の気が引いた。

「間に、合わない?」

インデックスですら、その言葉を漏らす。

「ベアリトクス、防戦頼みますっ!」
「分かった。ミンティル・ミンティス・フリージア…」
「フォア・ゾ・クラティカ・ソクラティカ…」

夕映が、インデックスの触れていた支柱に更に術式を流し込む。

>>192

「アハ、アハハハハハハハハ」
「!?」

甲高い子どもの笑い声。

「綾瀬夕映、存外大した事無いわね。
あなたの使っている術式は、言わばセキュリティー検索。
確かに、一時的に進行を重くする事は出来るわ。
だけど、終わった時には今まで解除した所まで綺麗に修復させてしまう。
感謝すべきなのかしら?」

「な、っ?」
「幻覚でも見せられたのか?」

流石に驚愕した絹旗の隣で、前髪を掴んだ麦野が原子崩しを放つ。

「まあ、その瞬間は見たいし、無駄に潰されても面倒だから」

苛立っただけの一発を、レディリーは軽やかなステップで回避する。

「おいクソガキ!そうださっきから無駄にデケェ乳揺らして
格好付けてアクロバッティングにキレキレに見せかけてスカスカなガンカタやってるテメェだよっ!!」
「用件早く言ってっ!!」

「テメェの言ってた地球レベルのテロってのはあれかっ!?」
「その通りっ!!」
「おーし上等だまとめてぶっ飛ばしてやりゃあいいんだろうがっ!!」
「無理無理無理無理超無理です麦野超ゲーム版じゃないんですから
仮に超出来たとしても超間違い無く普段着宇宙遊泳ですからっ!!!」

どっちにしろ命懸けとばかりにレベル4絹旗最愛が
シリコンバーン片手のレベル5第四位麦野沈利相手に必死で殿中でござるをやっている間も、
結界内では懸命の作業が続く。

>>193

(現実問題として、宇宙遊泳抜きにしてもそれでいいならフェイト先生辺りでも出来ます。
ですが、この術式は一度に始末を付けないと、
半端な破壊は誤作動で半端でも無視できない日本が沈む規模の被害が発生するです。
そう、一度にです)

「ありがとうゆえ」

閉じていた目を開いた夕映にインデックスが声を掛ける。

「組み立て、作り手の思考、そういうものが綺麗に読み取れる様になったんだよ」
「賭けでしたが、手順自体が増えても私などが中途半端に手を付けた状態よりむしろ楽なのではと」
「その通りなんだよ、十万三千冊…」

その時、内も外も魔法陣が一際紅く輝き、
部屋中の機器からのけたたましいアラームと共に部屋が何度もどおんと揺れ動く。

「………逃げるんだよ………」

インデックスが呻く様に言った。

「逃げるんだよ、とにかくこの塔から脱出するんだよ。
こんなに人手は要らない、一人でも確実に逃げるんだよ」

インデックスが、ぐっと自分の首を掴んで言う。

>>194

「なるほど、その性質上ただ無警戒な状態にしておく筈が無いと考えるのが自然です。
そういう場合、悪用や反逆のリスクから本人には教えないものですが、
おおよその見当がつく、と言った所でしょうか。
少なくとも最悪の事態には確実に起動すると」

「ゆえも逃げるんだよ。ここまで有り難うなんだよ」
「この術式は、馬鹿馬鹿しい程大規模で複雑で繊細なものであっても、
基本的にはゴエティア系の術式なんですよね?」
「そうなんだよ」

「つまり、術式の特徴から見ても、
結局の所はとてつもなく巨大なデーモン召還の術式」
「そうなんだよ」

「それなら大丈夫です、心当たりがあります」
「ゆえ」
「なんでしょうか?」
「その心当たりと言うのは」
「はい」

「杖に跨って後ろに赤いヴァルキリーを乗せて白い光になって
丸で流れ星の逆を行く様に上へ上へと
星空のまっただ中を突き進んでいたりするのかな?」

今回はここまでです。
Merry Xmas
なんか内容もやや聖夜の奇蹟っぽくなっていますが、皆さんよいクリスマスを。
続きは折を見て。

乙&Merry Xmas
そういや本来はネギも葉加瀬と同じ理論派だったんだっけ?
とはいえ魔神に匹敵する知識量を持つ禁書の技量を超えれるとは思えんけど…
明日菜も居るみたいだが魔法無効化でどうこうするなら幻想殺しのほうが術式全体を瞬間的に破壊できる分有効だろうし…
ちょっと状況を変える人材としては不足が否めないなー

乙です

感想どうもです。
それでは今回の投下、入ります。

>>195

 ×     ×

「ハ、ハハ、何が、何であろうが、ハハハ、
間に合うものか間に合うものかああああっっっっっ!!!」
「何してやがるっ!」

レディリー=タングルロードがバンッ、と、機材の一つを掌で叩き、
叫んだ麦野沈利の放った原子崩しがひらりと交わしたレディリーの前で機材を吹っ飛ばす。

「無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」
「!?」
「既に火薬は満タン装填されたって事よっ!!!」

ばあああっと室内の魔法陣が輝き、一斉に魔素人形が姿を現す。

「超多過ぎ、ます」
「もしかしたら素手で引き裂かれてバラバラ死体か今すぐローストか
どっちがいいんだ絹旗あっ!?」

ここまでの経験値に目の前の数値を乗算した絹旗最愛を麦野が怒鳴りつける。

「通しませんよ、戦乙女の名に懸けてっ!!」
「もちろんっ!!!」

エミリィの叫びにコレットが応じる。

(本気で多すぎる、一度に来られたら流石にひとたまりも…)

ギリッと歯がみした綾瀬夕映がインデックスを見る。
そして異変に気付く。
インデックスは、丸で虫を見付けた猫の様に視線を動かしていた。

>>198

「これは…歌?」

次の瞬間、大量の魔素人形がドギャンッと蹴り飛ばされた。

「歌はいいね」

口走ったフェイトに魔素人形が群がり、
人類の文化論を語り始めたフェイトによって活火山の如く吹き飛ばされる。

「この歌…鳴護アリサ…」

ようやく、夕映も気が付く。

「ちが、う………これは………」

レディリーがぶるぶると震え出した。

「!?」

床が、ばあああっと一面全て白く光った。

「何だ?」

麦野が呻く。

「何だ、こりゃあ?電気に似てるが電気じゃない?」

麦野が床からのまばゆい光を把握しようとした次の瞬間、
何かが床から天井へとぶち抜けた。
ぶち抜けたが、物理的な穴は空いていなかった。

それは、人の様にも見えた。
普通のサイズにも見えたし、巨人にも見えた。
何故なら、全体が白い光でその人間も光の一部なのか発光してるのか、
恐らく少女の様であり、それにしてはやけに丸っこい様にも見えた。

そして、その白い光の少女が通り過ぎた後には、
魔素人形の大群は儀式術式を残して魔法陣ごと消滅していた。

お?

>>199

「うっ」
「ああっ」

そして、いつの間にかアリアドネー結界が解除されており、
エミリィとコレットがぐらりと倒れ込んでいた。

「お嬢様!?」
「大丈夫ですかっ!?」
「え、ええ、少し頭痛が。
何か些か不快ですが、敵が消えているのが幸いです」

 ×     ×

「ネギ!」
「はいっ」

杖に跨り宇宙空間を突き進むネギ・スプリングフィールド、
その杖に同乗している神楽坂明日菜。
宇宙仕様の白い光に包まれた二人の前に姿を現したのは、膨大な数のデーモンの大群だった。

ある者は有翼の魔獣に跨り、ある者は自らの翼で飛翔している。
とにかく、イメージ通りの黒い悪魔がヘイフォークやら剣やら何やらを手にして
巨大な軍団を編成して殺到している。

「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉりゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

まずは、大剣ハマノツルギを一閃。
放たれた巨大な光は、それだけで巨大な軍団の一角を引き裂く様にかき消す。

「ラス・テル マ・スキル マギステル………」

更に、ネギが放った巨大な雷を前に悪魔軍団が旋回し、
逃げ遅れた悪魔が塵と消える。
一直線に突き進むネギと明日菜が、デーモンの大群に呑み込まれた。
二度、三度、巨大な球形の爆発が起き、
その度に大量のデーモンが塵と化し群れが散開する。
そして、二人はぐっと前を見る。

>>201

「ネギ」
「はい。ラス・テル マ・スキル マギステル………」

前方には、景色にしか見えない、
うっかりすると宇宙の闇に溶けて見えなくなりそうな
とてつもなく巨大なデーモンが現れようとしていた。

「千の雷っ!!」

ネギと明日菜から、最大級の攻撃がその途方もない「景色」に向けて放たれる。
しかし、手応えすら頼りない。

「ネギ先生!」

ネギが耳を押さえて葉加瀬聡美からの通信を聞く。

「茶々丸から発射許可の要請が入っています。
異常なエネルギー反応の中心に当たる座標は把握出来ています」
「駄目です、茶々丸砲でも一発や二発じゃどうにもならない。
衛星への反撃に集中されたらその余波だけで地球が保ちませんっ!」
「分かりました」

一度通信から離れたネギがぐっと前を向く。

「明日菜さんしっかり掴まってっ…く、っ!!!」

それは、場所柄を無視するなら天地をも揺るがす笑い声の様だった。
事態が事態だけに都市破壊クラスの兵器にも対抗する魔法防壁の中で、
ネギと明日菜は嵐の小舟の如く激しく揺さぶられ懸命に墜落を免れる。

「ひゃっ!?」

ようやくバランスを取り戻したと思った瞬間にいきなり横に移動され、
明日菜が悲鳴を上げる。

>>202

「何よっ!?」
「何か、マジックキャンセルに近い反応が急接近、
全てを魔法に依存したこの状態で巻き込まれたら本気で危険ですっ!!」

ネギが離脱した進路に、白い光が一直線に突っ込んで来た。
目、感覚を極度に研ぎ澄ませた二人が光の先頭にとらえたその姿は、
空飛ぶヒーローの如く拳を前に突き出した人の姿だった。
造形の基は少女の様であるが、それでいて豊かに丸っこくも見える。
少女が光っているのか光が少女を作っているのかよく分からない事が、
その大きさの把握を難しくしている。

「へぶしいいっっっっっ!!!」

そんな声が聞こえた気がした。
その、白い光が突き出して突っ込んだ拳が、
景色の様なデーモンの頬を一撃してその顔を動かした様に見えたからだ。

「くっ!」

ネギが腕を顔の前に出して防御する。
周辺がカッと赤く輝き、白い光もびゅんびゅんと激しく軌道を混乱させる。
それでも、白い光はデーモンの上後方に移動して、
デーモンに雷を思わせる大量の光が降り注ぐ。

「アスナさん」
「うんっ」
「仕掛けます。デーモンが押さえ付けられていますが、何秒も保たない筈ですっ!」
「オッケーッ!!」

ネギの杖が、デーモンの正面の配置に戻った。

「ラス・テル マ・スキル マギステル
契約により我に従え高殿の王…」
「………アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアの名において命ず!!…」

>>203

 ×     ×

「違う、この歌は違うっ、あああああっ!!!」
「つっ!」

レディリーが頭を抱えて絶叫しているエンデュミオンラスボスの間で、
夕映は仮契約カードの異常な反応に気付き、熱を帯びたカードを手にする。
そして、そこから響いた何かを察知してカードを額に当てた。

「夕映さんっ!一気に言います。
とんでもない大規模宇宙術式の粋を尽くしたデーモンはとんでもない規模です。
前触れのオーラだけでスクナの百や二百では比較にならない。
実体化したらその場で地球が壊滅します。
………退治は論外………三分………術式を………」

圧縮された強力な魔力で、
無理やり短時間の宇宙通信をしたのだろうと夕映は見当を付ける。

「三分ですっ、三分で術式解除、出来ますかっ!?」
「誰に言っているのかなゆえ?
十万三千冊の魔道書の知識で!!!」
「まりょ、くが」

エミリィが立ち上がる。

「………これは………彼女の声が術式を書き換えてる?」
「はい、お嬢様。インデックスさんは術式の文字列に僅かなスペルを埋め込む事で、
そのまま崩壊する様にその意味を書き換えています」
「術式の書き換え、ですって?このペースで?」

青い顔で言うエミリィにベアトリクスが頷いた。

>>204

「そしてこの歌、実際にインデックスさんの作業も歌に合わせて行われていますが、
何と言いますか清々しい力に満ちて魔力よりも更に上の…」

「そうですビー。これが、私達が外交上対峙する相手…
一つ間違えたら大陸規模の大爆発を起こす術式を、
精密に、正確に、このスピードで小揺るぎもさせずに消滅させていく。
いかなる大規模魔法兵器であっても無効化出来るきょういが、
改めてアリアドネー騎士団、否、魔法世界に於いても抜本的にモガモガッ!!」

取り敢えず、その辺から巨大な火炎や日本刀が飛んで来る前に、
夕映が穏便な形でエミリィの口を塞いだ。

 ×     ×

「なんだ、こりゃ?」

コンサート会場にたどり着いた長谷川千雨が立ち尽くす。
そこは、大地震か爆撃かと言った有様で、
只、歌だけが清らかに紡がれている。

そのステージ上も、常識で考えたら異常な光景だが、
千雨の頭の中では真実のピースがカチリとはまり込んでいた。
そんな目の前の異様と言うべき光景も何もかもすっ飛ばして、
千雨は只、聞き入る事しか出来ない。

「鳴護アリサの最後の一曲、それも新曲だ?
それを観客二人っきりのコンサート、どんだけ贅沢なんだよ」

乾いた笑いを浮かべながら、汚れきった千雨の頬では、
目から伝うものがその汚れを上から下に切り裂いていく。

「良かったな、取り戻せたんだ。
そんなに綺麗なもの喪ってたんだ、
あれは心神喪失って事で勘弁、はちょっと出来ねぇなぁ…」

言ってやりたい事は山ほどある。
だが、千雨の中に沸き起こる予感は止まらない。
素晴らしい歌が、最高の一刻が終わりを告げる。
終わりを告げる。
千雨は、笑顔で送り出してやった。
多分、それは成功したのだと、思う。気合いで成功させた。

>>205

「なあ、そこのヒーロー」

乾いた笑いと共にペタンと座り込んだ千雨が声を掛ける。

「ん?」
「ああそうだあんただ、まあ他に誰もいないしな。
ああ、他に誰もいない。
ヒーローっつって今の展開でなんとなーく心当たりがあるんだけどさ」
「なんだ?」

千雨が、よいしょと立ち上がる。

「あんた、何かの拍子で目の前の女の服が吹っ飛んだり、
なんかの弾みでずっこけた女にしっかり抱き付かれて押し倒されたり、
ドアを開けたらマッパの女が風呂から駆け出してたりと、
こんな感じの日常送ってるのか?」

つーっと斜め下に視線を走らせたヒーロー上条当麻は、
ガシッ、と、長谷川千雨の両肩を掴んでいた

「どこで監視していた?」

数秒を経てダラッダラに汗を流しての引きつった返答。
ここまでの、インドア派の一般人なんて肩書きクソ食らえの体を張った激闘、
本当は何もかもが肉体的に辛い現在進行形の激痛の数々などものともせず、
魔法世界の英雄であろうとその世界での最強の奴隷傭兵であろうと、
決して引けを取る事の無かった長谷川千雨の拳は
全てをぶち壊す幻想殺しにも決して引けを取らぬ勢いで本日も絶好調であった。

「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………」

>>206

 ×     ×

宇宙空間の科学をガン無視して耳をつんざくおぞましい断末魔の悲鳴。

「間に合った、みたいですね」

全方位に広がる平穏な星空の中、ネギはふーっと息をついた。
巨大デーモンのオーラに近づき飛び回っていた白い光は、
ネギの上空に移動し、そこでチカッ、チカッと明滅を始めた。

「いけないっ!!」

ネギが、自分達の防壁を拡大して白い光を包み込んだ。
白い光は見る見る輝きを失い、人間の形に凝縮していく。

「うぶぶぶぶっ!!!」

仰向けかうつぶせかと言えばうつぶせの角度で落下して来た所を、
ネギは、正面から相手の腋の下とウエストの中間辺りに両腕を差し込み
ぎゅっと抱き締める形で受け止める。
その結果、宇宙空間である事とは全く関係無しにネギは窒息の危機に見舞われ、
杖の後部座席では神楽坂明日菜がバキッ、ボキッと拳を鳴らしていた。

今回はここまでです。

>>196
回答 やっぱり気合いと力業担当でしたw

宇宙悪魔大戦争のシーンは、某国民的アニメ劇場版のイメージがかなり入っちゃっています。

知ってる人なら知っての通り、映画の筋はこれでほとんど終わりな訳ですが…
こちらも大方終わりと言う意味では同じです。
もう少し色々ありますので今年中の終了は多分難しいかと。

次回が越年か分かりませんが続きは折を見て。
年内はかなり無理っぽいから先に言っときます。良いお年を。

乙です

ハッピーニューイヤー!!

まずはお詫びを一つ。
風斬さんの髪色間違えた…
黒髪じゃなくて茶髪です。

まあ、公式が茶髪なんだから全面的に私の調査ミスだったんですけどね。
ぐぐる先生の画像の上位がかなり紛らわしいのが揃ってるとか…

それでは今回の投下、入ります。

>>207

 ×     ×

「止まった…」

部屋全体がまばゆい光に包まれた。
それが収まった時、エンデュミオンラスボスの間でベアトリクスが呟いた。

「術式は完全に機能を停止した様です…わわっ!」

魔法レンズを摘んだ夕映が言い、
歓声を上げたコレットが後ろから夕映に飛び付き抱き付いた。

「どうやら、終わった様ですね」
「ええ………!?」

言いかけた夕映が、エミリィを見て声を上げる。
エミリィ、そしてコレット、ベアトリクスの周囲にキラキラ光る銀の粒が大量に舞い始める。

「委員長、コレット、ベアトリクス…」

夕映の脚がふらりとよろめく。

「大丈夫なんだよ」

その夕映にインデックスが声を掛ける。

>>209

「召還術式が解除されて、みんな在るべき所に還るだけなんだよ」
「そう、ですか」
「ええ、何と言う顔をしているのですか。
分かれは暫しの事、約束した筈では?」
「そう、でした委員長」

「ん、ちょっとだけど、一足早く旧世界見せてもらったよ」
「コレット」
「お嬢様と共に楽しみにしています」
「ベアトリクス、有り難う」

「それはお互い様です。ここで終わっていたら全ては水の泡。
私は外交官として騎士として為すべき事が山ほどあるのです。
ユエさんもそうなのでしょう」
「はいですっ委員長…しかし…」
「ん?」

自分を見た夕映の言葉にコレットが聞き返す。

「いかに巨大な召還術式が暴走したとは言え、
魔法世界からここまで、どうやったら最良の相手がこうしてピンポイントに…」
「確かに」

エミリィも考え込む。

「いいんじゃないの」

コレットが言った。

「奇蹟、って事でさ。世の中こういう事もあるよ。
なんか、とんでもない巡り合わせでユエに出会って、
そしてみんなで世界を救った事もあったんだから」
「確かに」

そう言われると、夕映も笑うしか無かった。

「それでは、暫しの別れ」

笑顔で送り出そう。そう心に決めた。一筋二筋隠しきれないものがあっても。

>>210

「麦野…」
「よく分からないイレギュラーなコスプレ能力者がテレポートで、
って事にでもしとけ。
裏の仕事してりゃあ、その内分かる時も来るだろうよ」
「ア、ハ、アハハハハハハハハハハ!!!」
「!?クソがあっ!!!」

噛んだ簡易笑い声を聞き、
麦野が振り返るや通路側の壁にじゅっと焦げ付きが発生する。

「手間掛けさせやがって、私がマジになったらこんぐらい軽いんだよ」

麦野はばっと前髪を払い、
ふーっと息を吐きながらも余裕を強調する。

「えーと、麦野、死体は黒幕も情報源も吐かないとか…
そもそも死体すら超残ってませんが」

絹旗がつーっと汗を浮かべる。
爆弾を抱えて飛び込んで来たレディリーに、
麦野は調整されたカッティングのシリコンバーンで起爆の暇すら与えず全てを塵にして終わらせた。
爆弾抱えて突撃する小柄な女の子を相手にした場合の完璧な対処だった。

「黒幕はこいつだよ。この騒ぎでどうせこの会社もガタガタだ。
これ以上アイテムにアヤ付ける余裕があるか、そいつは後の情報収集次第だな。
こいつらが何かを知ってるかって事だが…」
「この二人に手を出すと言うなら、
契約上君達の安全は保障できないが」

フェイトが静かに間に入る。

「だとよ、テメェの怪獣退治の時点でそこん所は分かってる。
今ん所、そっちのお仲間とは手打ちが成立してて
仕事にもなってない以上どうしてもやり合う理由も無い。
フレンダと滝壺も引いた、私らも行くぞ」
「超了解です」

「行きましょう、フェイト先生、ゆーなさん」
「うむ」
「うん」

かくして、アイテムと麻帆良は綺麗に別々の出口からその場を後にする。

>>211

 ×     ×

エンデュミオン基部エリア。

「ナメてんのか?レベル5第二位ナメまくってんのかっ!?
全員まとめて束になっててとっとと来やがれっ!!」
「だとよ」

「うむ、威勢がいい。やはり若い者はこうでなければの」
「ハッハーッ、全くだ」
「おお、とうとう婆ぁを認めたか」
「やかましいわこの筋肉ダルマ」

「て、事だから、ナンバー2って微妙なプライドに配慮して、
ここは戦友カルテットって事で妥協しとこうか」
「ま、後ろの連中も異存はないみたいだぜ」
「まあ、あったとしても(以下略)」

「おお、待たせたの、そういう事で順番が決まったわ」
「ム、ム、ム、ム………
ムカついた!!!!!

て、め、え、ら、全、員、

愉、快、過ぎる、

オブジェにしてやるぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっ!!!!!」

つぎのしゅんかん
とほうもないひかりが
あたりをつつみこんだ

「タカネ」
「はっ!」

テオドラに声を掛けられ、高音・D・グッドマンは慌てて片膝を着いた。

>>212

「こ、この度は、この様な事に巻き込んだ事お詫びの申し上げようもなく、
これはひとえに全てこの私、高音・D・グッドマン一人の不手際、
全ては私の一存にてどうかその事だけは…」
「顔を上げよ」

高音が厳かな言葉に従った時、テオドラの顔は高音の目の前にあった。

「おぬしは、剣を取る事の重みをよく分かっておる。
些か慌て者だとは聞いたがの。
それでも、魔法使いとして己の為すべき事、守るべきものはよく理解しておる。
ならば、それを信じよう」

「は、はっ!」
「ネギから聞いておるぞ」
「はっ」

「あの夏の事以来、麻帆良学園では急ごしらえの魔法使いが増えて、
やはり血気の若者達の事、様々に懸念される状況であると。
それでも、学園にはそなたの様な、しっかりした魔法使いの先輩がいてくれる。
だから教師として申し訳ない事でもプランの仕事に集中する事が出来るとな」

「あ、あ…」
「その時が来たら、一献傾けようぞ。
全く、悪ガキ共の責任者としての苦労話など、
時が来たらいい酒の肴じゃ」
「おいおい、オテンバ姫が何言ってくれてんだ?」
「ハッハーッ、全くだ」

快活な笑い声を聞きながら、高音は手の甲を目に当てていた。

「お」
「ん」

高音も気付いた。テオドラや他の面々に、
銀色に光る粒が取り巻き始めたのを。

>>213

「どうやら、迎えの時間の様じゃ」
「アコ…」
「だからそれはいいってんだよ。
つーか何しに来たんだ俺らはよぉ!」
「あーあ、ノドカちゃん」
「ま、何か解決したみたいだし、その内会えるって」

「それではの、タカネ」
「おうっ、じゃあな、頑張れよっ!」
「はいっ!!」

涙を拭い、高音はすくっと立ち上がる。

「その潔さは良し!
麻帆良学園での姉ちゃんの称号も聞いてるからよぉ!!」
「馬鹿言ってないでほら行くぞ筋肉ダルマ!」

今回はここまでです。
続きは折を見て。


レディリー爆弾持って特攻とか…
仮にも魔術師なんだから魔術使えよ…
まあ爆発で木っ端微塵になろうと、原子崩しで全身が蒸発しようと死なんのだろうが

それにしても、良い話で終わらせようとしてるけど魔法勢力の学園都市に対する立場はもうどうしようもないほど悪くなってるよなこれ

乙です

乙なんだよ

ネギまが絡むならハッピーエンドしかありえんな、うむ

高音さんは真っ裸にならなかったのか
珍しいww

>>218
>>177で「黒衣の夜想曲」と「影の鎧」が破綻してるんだが…

感想どうもです。
まずは変換ミス
>>211
「噛んだ簡易笑い声」は「甲高い笑い声」の間違いです。

それでは、今回の投下、入ります。

>>214

 ×     ×

「どうした?」

エンデュミオン中継ステーションコンサートホール近くの通路で、
携帯を確認する長谷川千雨に上条当麻が尋ねた。

「レディリーの術式は完全に崩壊。
こっちの仲間も粗方脱出に成功した」
「よしっ。じゃあ俺達も…」

言いかけて、上条はふと天井を見る千雨に気付く。

「おい」
「ああ、いや、私、友達を助けに来たんだなあって…」
「………」

「そんなキャラじゃなかったんだけどさ私。
小利口で、友達なんて他人のために命を賭けるとか、そんな事少し前まで考えられなかった。
それが、ホントに社会的にも肉体的にも危ない事しまくって、
こんな宇宙の高さまで追い掛けて来て、それで、その結果があれだ」

「後悔、してるのか?」
「まさか」

振り返った長谷川千雨の笑顔は、
どちらかと言うと最近はハムでもやってそうな先生を描いてるとかなんとかな
白身ではなく角張っていなさそうな辺りが描き出す雰囲気が似合いそうな
どこか哀しく、そして眩しいものだった。

>>220

「キザたらしいけど、時間の長い短いじゃないんだな。
見返りを求める求めないって事もあるけど、
見返りって言うんならさ、友達のためだけに、
あんな最高の歌と最高の笑顔で迎えてくれた。
これ以上最っ高の見返りあるかよ。
もっとも、友達、って言っちまうとな」

「ん?まあー、俺も短い付き合いだったけどな、
それでも大事な友達で…」

意味ありげな含み笑いをする千雨を見て上条は首を傾げ、
そして言葉を続ける上条に千雨は嘆息したくなる。
やっぱり、ここは最高の友達としてこのヒーローにもう一発拳で語っておいた方がいいものか、
どうして自分の周りのヒーローと言う奴はどいつもこいつも。

「じゃあ、そろ、そろ…」
「おいっ」

先に進もうとして転倒しそうになった千雨の体を、先回りした上条が支えた。

「ああ、私、元々廃人手前のネットジャンキーのインドア派でさ。
それが健康的な朝っぱらから一日で運動量百倍精神的疲労一万倍、って、
あっちの世界でも結構ハードだったんだけどな、ぁ。
流石にいい加減、限界、来てるかなこれ…」
「と、とと…」

ついには寝息を立て始めた千雨を、
上条は転倒させじと悪戦苦闘する。
上条より年下であっても、少なくとも千雨と同年代の御坂美琴よりも
色々起伏に富んでいるらしいと言う事も、改めて再確認される。

そうしながら、一度床に軟着陸させようかとも思ったが、
そんな事をしている時間もない、と思い至った辺りで、
角を曲がって到着したのはその途方もない知識と
お気楽に見えて確固たる使命感で地球破壊の巨大術式を崩壊に追い込んだ
今回のMVPを飾るスーパーヒロインであった。

「とぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
ま?」キラーン

後に続く足音を、上条は遠くから聞いた気がした。

>>221

「ああ、インデックスさんに上条当麻さんですか?」

そこに現れたのは、綾瀬夕映、フェイト・アーウェルンクス、明石裕奈のチームだった。

「千雨ちゃん?ちょっと大丈夫?」
「ああ、疲れたみたいだな、ちょっと寝てるだけだ」

壁を背に長座する千雨を見て、裕奈と上条が言葉を交わす。

「なるほど…裏の情報で多少の聞き覚えはありましたが、
流石は十字教領域の魔術と科学の世界の軋轢に拳一つで挑んで来たと言うヒーロー。
今回も又、未だ生々しい生傷も痛々しい激戦だった様ですね。
本当に、お疲れ様でした。
とにかく千雨さんを有り難うございました」

夕映がぺこりと頭を下げる。

「ああ、そっちこそ、味方って事でいいんだな?」
「術式の解体まで私の事をガードしてくれたんだよ」
「そうか。サンキューな」

「こちらこそ。それでは、私達に脱出のルートがあります。
一応イレギュラーですので皆さんとはこれで」
「ああ、分かった」
「全く。教師とはこういう事もするものなのか」

フェイトが千雨をひょいと背負う側で、上条と夕映が別れの挨拶を交わした。

「んあ?フェイト、先生?」
「ああ、そうだ。何でも僕にレクチャーしてくれる事があると聞いたが?
こちらも出来る事なら良質なテキストが欲しい。言ったからには約束は果たしてもらう」
「ああー、任せろ。ま、最初はオーソドックスかつ日本名物って事で、
萌え萌え巨乳美少女テキストで基礎からやり直しってトコだ」

「何でもいいが、それまでは君に詰まらない事で終わって貰っては困る。
従って船までそのまま休んでろ。
知っての通り僕にとって平均的十代女子など重さの内ではない」
「んあ、助かる。くったくた、だからさ」

千雨がぎゅっと体を固定してすとんと眠りに落ち、
フェイトは少々不快な表情を見せてびゅんとダッシュに入った。

>>222

 ×     ×

「全く」

エンデュミオンラスボスの間で、レディリー=タングルロードはよいしょと立ち上がる。

「プラズマ焼却炉にダイブしたのは三回、だったかしらね。
五百年もあれば、もう一回ぐらい…」

言いかけて、レディリーはハッと後ろを振り返る。

「ネギ・スプリングフィールド、
それに、そう、あなたも一緒だった。
あなたは初めましてだったわね。もう英雄夫妻、とでも呼ばせていただこうかしら」

「又お会いしましたね」
「そう、そういう事。
魔法協会は私をバラバラの肉塊にして甕の酒に沈めて岩でも乗せておく事にしたのかしら?
魔法協会、或いは人の世が滅亡するまでは。
ねぇ、姫巫女様」

その声は、涙に割れ始めていた。

「駄目ね、見苦しい負け惜しみが止まらない。
改めて見せてもらったわ。
まさかあれを完成させる者が現れて、しかも、それが君みたいな坊やだったとはね。
嘲笑なんて下衆だけど、途方も無さ過ぎて笑うしかないじゃない。

まだ女も知らない坊やが世界のために、英雄の称号と引き替えに。
何と言う、愚かな選択を…それを授けた者は、今は麻帆良に落ち着いているのかしら?
暫く見かけないと思えばやんちゃが過ぎて封じ込められて、
世界を救った黒幕気取りなのかしら?」

「色々言いたい事もありますが、否定する程間違ってはいません」

ネギが静かに言った。明日菜もレディリーの繰り言を静かに聞いている。

「そう、否定などさせない、何と言う愚かしい事っ!!」

レディリーは叫び、ぐっと自分の胸を掴む。

>>223

「最早感じられなくなる程のその痛み、その痛みを私は知っている。
随分と、いい弟子を持ってやり甲斐のある仕事を成し遂げて、
あの女も又、随分と充実した一時を過ごしているみたいね。
そう、随分と充実した一時を。

それが、一時だからこそ、輝き充実しているからこそ、何度でも思い知る。
悠久の未来の中の一点の輝き、それがいかに残酷なものかを。
終わり、通り過ぎた、その後の………

それとも、今度は何か、自分と同じ、永久の道連れでも誘うと言うのか。
今は青臭い、人並みの若さに任せていても、必ず後悔する時が来る。
そう、今、私の邪魔をした事をあなた達はきっと後悔するっ!
ネギ・スプリングフィールド!!」

レディリーが叫び、赤い目を向けた。

「自分はそれでいい、どちらもそう言うだろう。
だが、思い知る事になる。慟哭を聞いた時、貴様は思い知る。
今のこの選択が、否、それ以前に根本的に如何に愚かな選択をしたものかを。
それを振り切るには貴様は優しすぎる。

その時は私に声を掛けなさい。
あなたと組む事が出来るなら今度こそ、この世の全てと共に終わらせてあげる。
この戯れ言は必ず真実になる、絶対に」

静かに首を横に振るネギを見て、レディリーは唇の端に笑みを浮かべる。

「絶対に、なりません」
「言っていればいい。何れ認めざるを得なくなる、若さ故の過ちを」
「あなたがそれを見る事は決してあり得ないからです」

そう言って、ネギはレディリーに杖を向けた。

「ラス・テル マ・スキル マギステル…」
「あら、この場で始末してくれるの?」
「ええ」
「まあ、あなたなら条理を覆すぐらいの魔力もあり得るけど、
そうだとするならば嬉しい事ね」

レディリーの憎まれ口にも構わず、
幾つもの光の矢がレディリーの体を直撃する。

>>224

「?」

光の矢はレディリーの体に吸い込まれ、光り出した。
光はレディリーの体の上で紋様を描き、大きな原虫の様に幾つもに分裂してうねうねと動き出す。

「アスナさんっ!」
「おおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!」

神楽坂明日菜が、大剣ハマノツルギを構えてレディリーに向けて突進する。
そして、大剣はレディリーの胴体をぶち抜いてそのまま壁に釘付けにした。

「が、はっ!」

レディリーが吐血し、明日菜が剣を引き抜く。
その、最早その身を分断しかねない傷の中心には、
ネギから吸収した光の筋が集中していた。

「シム・トゥア・パルス!!」
「なおれぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっ!!!!!」

そして、その光の筋が消滅した頃に、
その場にパッと現れた近衛木乃香にネギが後ろから抱き付き、
二人は光を放ちながら木乃香が力一杯白扇を仰ぐ。

「お、おおお、おっ…」

レディリーが、うめき声を上げてその場に膝を着く。
そこに、パッ、と、頭に袋を被った白衣の人物が姿を現した。

「すいません、お願いしますっ!」
「やれやれ、随分と手荒な往診だね?もちろん治すよ」

ネギが袋を外し、カエル顔の医師がレディリーの傷を診察する。

「うん、大体治っている。
これなら縫合さえ済ませれば学園都市の警備用救命セットで十分だね?」
「有り難うございます。本当はこちらで全て済ませたかったのですが、
どうしても足りなくなりまして」
「おおきに」

>>225

「パターンから見て東洋だね?
非常に質の高いものだ。治癒の効果が非常に澄んでいて無理がない。
只、本来なら完治出来るだけの技術がありながら、
そのための力が予想外の支出で足りなくなったと言った所かな?」

かくして、治療を終えたカエル顔の医師は再び袋を被って姿を消す。

「えっ?」

明日菜と木乃香がネギの放った強力な電気結界に取り巻かれ、それと共に食蜂操祈が姿を現した。

「これぐらいならちょっと計算したらすぐに突破出来るけどぉ」

顔から袋を外した食蜂が電子結界を一瞥し、取り出したリモコンをレディリーに向ける。

「オールデリートの上で打ち合わせた基礎データのみを再入力、
可愛い顔してエグイ事するわぁ、ゲスいって言われるわよぉ」
「これで、良かったですか?」

「ええ。ご要望の通り、詳しい事も覗かないでおいてあげたわぁ。
そんな時間力無かったし、
君ならそれをやろうとしたら横から察知力出来そうねぇ。
まあ、これから色々大変そうだし、気が済んだ、って事にしておいてあげるわぁ」

「有り難うございます」
「なかなか愉快なお茶会だったわよぉ、
なんなら又デートでもするぅ?」
「光栄です」

「本当に紳士さんねぇ。聞くだけ聞いてあげる、どこに連れて行って欲しいのかしらぁ?
やっぱり遊園地?」
「そうですね………じゃあ、プール………」
「あらぁ」

ネギが口を突いて言いかけた時、食蜂はずいっとネギの顔に視線と高さを合わせた。

「ふぅん、ネギ君もやっぱりねぇ。
いいわよぉ、とぉーっとも大胆力なビキニ用意してあげるわぁ。
お子ちゃまは素直力が一番よぉ。
紳士さんなのにそこまでストレートに言ってくれるって気に入ったわぁ」

>>226

「え?あ、えっと、いえ、そうじゃなくって、
何となくどこからともなくプールで泳ぐイメージが…」
「運動力全般は御坂さんの担当なんだけどなぁ」

ネギがわたわた言いかけた時、食蜂はひゅんと姿を消し、代わって現れたのが。

「やれやれ、君がすっかりマエストロかい?」
「最高の演奏をお願いできますか?」
「ふんっ!」

ステイル=マグヌスの炎剣が、
きょとんと座り込んでいたレディリーの顔面を直撃しレディリーが悲鳴を上げる。

「喚くなっ!」

ステイルの詠唱と共に炎は鎮火し、
顔には造形そのものが変化したと言う事を覗いては火傷一つ残っていない。

「ラス・テル マ・スキル マギステル…」

ステイルと明日菜、木乃香の三人、そしてレディリー一人が、
それぞれ別の青い光のドームに包まれる。

「べんとらべんとらー!!」

そして、レディリーは、ネギが絶叫と共に振り抜いた杖のホームランを受けて、
青いドームごと展望硝子をぶち破って宇宙空間へと姿を消す。
次の瞬間、ラスボスの間に繋がる通路は電子的侵入者の手で緊急隔壁で遮断され、
部屋にいた他の面々は一つ下のフロアに移動していた。

「あー、さっきのは魔法使いの呪文か何かかい?」
「ああ、いえ、宇宙を飛ばすんならあれがいいとどこかで」
「つまり、記憶を消され顔も変えられて地球上のどこかに墜落、ね」

一服つけたステイルが言う。

「普通に考えたら99%死にますけど、
ここまでの事をやった以上、その時はその時です」

そう言ったネギの目の前で、ステイルは木乃香に煙草を没収されていた。
そして、ネギは携帯を取り出す。

>>227

「公式訪問中に地球規模緊急事態に遭遇した
魔法使いネギ・スプリングフィールドの名において行った緊急介入の結果として、
元凶となった呪いはその全てに就いて解除を確認。

頂上のレディに就いてですけど、
記憶を科学の学園都市の最上位に位置する能力者に
顔の造形をイギリス清教でもその分野では高い技術の魔術師に
完全に変えられて一介の孤児として地球上のどこかに落下した筈です。

それから、瞬く星々の間から大変に魅力的な女性が落下して来たもので、
つい先ほどまで行動を共にしていました。
たっぷりとした茶色いロングヘアで、
少し垂れ気味の大きな目に眼鏡がおっとりした感じで凄く可愛らしい、
そして、素晴らしく豊満なバストがとても魅力的なグラマービューティーです。

お陰様で、そんな天使の様に魅力的なお嬢さんと
星空の下で大変親しく有意義な語らいの一時をもって
友誼を結ぶ事に成功しました事をここにお伝えしておきます」

「どこに電話を?」
「ああ、我々の側の連絡員です。
そこの所は大した問題ではありません。
重要なのは、今の電話の電波が着信した場所が科学の学園都市の敷地内だと言う事ですから」

「なるほど、ね。やろうと思えばそっちでも出来る、
だが、麻帆良が抱え込んだと思われるつもりはない、か」
「ご協力感謝します」
「まあ、神裂の件も含めて、落ち着く所に落ち着く話だと聞いているからね」

両手を上げたステイルが、顔に袋を被り姿を消した。

「それでは、僕達も帰りましょうか」

>>228

 ×     ×

エンデュミオン作業用地下通路。

「どうします?」

携帯電話の時刻表示を確かめ、一人の少年が尋ねる。

「行くわよ。馴れ合う関係じゃない、上の方が本気でヤバくなって…」

場所柄を外れてひらひらした格好の少女が言いかけ、
少年が機械ゴーグルを装着した所で、地下通路の天井がドカンとぶち抜ける。

「ギリギリセーフか?」
「アウトよ」

すとんと着地した垣根帝督に、ひらひらの少女心理定規が応じる。
それでも、無駄な事はしないと言う事で、一同サイドカーでの脱出を開始する。

「例のイレギュラーは?…」

尋ねたゴーグル少年は、次の瞬間冷たい死を覚悟する。
垣根帝督、学園都市レベル5超能力者第二位。
その時点で曖昧な決着など、ある筈がなかった。それが、ほんの僅かでも沈黙の時間が訪れる。

「逃げられた?」
「結論を言えばな」

仕事として事態を把握する心理定規に垣根が応じる。

>>229

「で、どうするの?」
「この件は一旦終わりだ。元々、今回の襲撃自体仕事じゃないしな。
元々は怪電波のイレギュラーの調査、依頼はそれだけだ。仲介人からは?」

「何も。アイテムもごそごそ勝手に動いてるらしいけど、
裏の情報だと、今回の仕事、どうも仲介サイドも一杯食わされたみたいね。
エンデュミオン自体がイカレて、
その大元は理事会や暗部にもパイプがあって、って事で、上の方も暫くゴタつくわよ」

「じゃあ、ちょっと寄り道したがこれ以上余計な深入りは無しだ」
「分かった」

心理定規が短く返答し、垣根は反っくり返る。

「なんだありゃあ?何だってんだぁ?この第二位を…
テメェなら知ってるってのかアレイスターよぉ…」

 ×     ×

科学の学園都市エンデュミオンシティー。

「お帰りなさい、ネギ先生」

避難客で未だざわつく路上に待っていたのは、結標淡希だった。

「ご協力、本当に有り難うございました。
関係者を下からあそこまで、それもそれぞれが関わり合いにならない形での運搬。
空間移動を超える座標移動に長じた結標さんだからこその素晴らしい手際でした」

深々と頭を下げるネギの前で、じゅるりと音が聞こえた以上、
そのまま動きが無ければ数秒で結標は飛び蹴りに倒れていた筈だ。

「いえいえとんでもない、
あの程度の仕事、ネギ先生のお願いとあらば朝飯前のお茶の子さいさいでございます」
「淡希さん」
「え?」

ネギが、すっと前に出る。

>>230

「それでは、少し時間は遅いですけど、
ブレックファーストの前に夕食にしましょう。
ホテルのレストランに予約を入れてあります。
今回は淡希さんに非常にお世話になりましたから、是非ともそのお礼を」
「は、ははははは、ははははははいっ!!!!!」
「では」

ネギが右手を差し出すと、結標はぐわんぐわんぐわんと何度か揺れ動いてからその手を取った。
ネギがするりと一礼した時、天を向いた結標の顔面からは赤い噴水が迸る。

「あー、いいんちょ」

物陰で、神楽坂明日菜が雪広あやかに尋ねた。

「ネギ、ああ言うのどこで覚えてる訳?」
「権謀術策渦巻く社交界と言う戦場を渡り歩いて来ました。
その内に、生来の武器と言うものは知らず知らずの内に研ぎ澄まされるものですわ」
「絶対いつか刺される…」

「まあ、あの方も大変な働きでしたから、今夜ぐらいは」
「ん?」
「どうかしまして?」
「いや、ネギが取り出してるの、あれってホテルのルームキー?」

次の瞬間、神楽坂明日菜はちょっと久々に再会した幼馴染みの親友相手に、
野外にも関わらず殿中でござるに及んでいた。

今回はここまでです。
ご都合炸裂しっ放しで近々最終回になると思いますが、後何日で何話になるかは…
続きは折を見て。

乙です

最初に謝っておく。

一つ目の問題です 詳しい人が見たらかなり厳しい展開かも知れない

二つ目の問題です 台詞しかねぇ

今回はこういう回なので、としか…正直スマンカッタ

それでは今回の投下、入ります。

>>231

 ×     ×

「いかがかしら?」
「美味しいです」

ネギ・スプリングフィールドの素直な感想を聞き、
最高のローストビーフを提供した者としては目を細める。

場所は、ロンドン聖ジョージ大聖堂。
その中でも、比較的小さく、一見して質素ながらも、
調度、人、料理、全てにおいて一際上流なる食堂。
そこに案内する事が出来る者は極めて限られていた。

「閉ざされた帝国とて、今の時代には真の密室に非ず。
まして、どちらが優位であっても、
経済的な結び付きを有している以上、現金と言う者は多く持っている者が勝つ。
シンプルなルールたる事ね」

「グローバル経済のお話ですか?」
「その様にも言いたる話。手広く商いを行うと言えば、ネギ先生の教え子の中にも、
そうした商いの家に生まれたる娘御がありけると聞き及ぶ」
「お陰様で、最近はなかなか顔を出せませんが、
僕の任された教室は、ユニークな事には事欠きません」

「なるほど。最近もそちらの方面で、
少し大きな規模の資金投入が、それも迅速に行われたとも聞き及びたる」
「速く、遅く、大きく、小さく、どれが過ぎても駄目、
どの戦争もそうですが、経済戦争と言うものは難しいものみたいですね」

>>233

「それでも、その見極めが確実にはまるなら、
途方もない利益に結び付ける事が出来る。戦争とはそういうものではなくて。
雪広、那波を中心としたシンジケートによる資金投入。
それも、一見バラバラの契約をリンクさせた、
幾らでもその意図を言い抜ける事が出来る巧妙なスキームで」

「教会の影響下にあるシティの金融筋も一枚噛んでいる、と、
僕の耳には入っていますけど」
「お陰様で。
そちらの単独でも十分に行ける、むしろその方が都合がいい話だった筈でありけるものを、
どういう筋からか、敢えてこちらの資金が一部相乗りする様に話を持って行った者がありけるみたいね」

「そして、その話に乗って了承した人も。
お陰様で僕と縁ある企業が無理な資金繰りをせずに済みました」
「あの短期間に投ずるだけの資金を用意しておいて無理とは又。
昔から、教会と金融の裏側の関係は深いもの。
美味しい儲け話を有り難う、と言うておきたるかしら」

「お役に立てて何よりです」
「傍目、日本辺りから見るなれば同じ国の同じ魔術。
なればせめて親しき隣人でいたき事」
「お陰様で、細くとも確かな道を付ける事が出来ました。
科学の学園都市、そして宇宙、魔術サイドとしてそこに進むための道を」
「その道を行くはロンドン、ウェールズ、そして日本の関東関西」

にこやかに語り、ローラ=スチュアートはフォークに刺したビーフを持ち上げる。
些かお行儀悪く大口でも開けなければ物理的に無理、
と思われた肉片は、ネギの目が追い切れぬ程の速さで、
一見した所は美少女な最大主教のにこやかなる口の中に収まっている。

「牛そのものを捌いた伝統的なおもてなし。
それでいて、その中でも一番美味しい、極上の所を一呑みにしてしまう」
「あらあら、レディに対して些か失礼ではなかりける?」
「見ていて気持ちがいいです」

「ふふっ、元気な娘御が好み、と聞きたる事よ」
「流石に修行として導かれた道だけあります。
日々圧倒されていますよ」
「又左様な。世の殿方に言わせればハッ倒されたる事よ、
何を贅沢な羨ましいと」
「そうですね、とても魅力的な女性達の集まりです」

>>234

「まあ臆面も無き事。そなたが如き紳士と対面したる乙女の身としては嫉けたる事。
些か冒険好きのお転婆娘が揃いたる様なれど、先生として如何に見ているものなるか?」
「ええ、何と言っても元気が一番。
それに、まだ未熟な所はあっても、だからこそのこれからです。
そうであっても、筋の通らない事はしない人達です」

「信頼のある事ね」
「お陰様で、一緒にあの夏を乗り越えましたから。
自分達の行いに就いてはきちんと考えて行動出来ると。
それに、その上でも尚、彼女達に理不尽な迫害を加えると言う者がいるのであれば」

ネギが、カットされた肉片をナイフとフォークで切断し、
その一切れを平らげる。

「それはその個人も団体もこの世の歴史から跡形もなく消滅すると言う事ですから。
およそ聡明な知恵を頂く組織であればその様な事はしませんし、
それが分からない程に愚かな相手であれば、
そもそも彼女達をどうこうする事など出来ません」

 ×     ×

「しかし、その体でよく上まで行ってお手伝いしたもんだにゃー英雄君の」
「まあ、ね。上からの話でもあったし、
僕が断れば彼も諦める、その場合、場所からして「不死」を握るのはほぼ確実に学園都市だ。
彼は別にそれでも構わないと言う素振りだったが、
一つ二つ恩を売っておくのも悪くないと言う事さ」

見舞いに来た土御門元春の言葉に、病院のベッドでステイルが応じた。

「お陰さんで、麻帆良との関係も何とかなりそうかにゃー?」
「神裂火織、土御門元春の命懸けの助勢に深く敬意と感謝を表する。
故に、麻帆良学園及び日本の魔法・呪術協会においては、
麻帆良学園に関して前日の夜に特段の異変が存在しなかった旨、公式記録上取り扱う。
上と上との密約で、大凡この線でまとまって後は事務方が名目を付ける段階らしい」

「なるほどにゃー、雌狐とトンカチ爺ぃ、どっちも食わせモンぜぃ。
もっとも、その前にその雌狐を口説きにかかった子狐がいたみたいだけどな」
「英雄、か。確かになかなかの狐だったらしいな。
ハナから知ってたのか?」

>>235

「状況証拠だけどにゃー。
あの事件の結果として、オービット・ポータルはエンデュミオンごとぶっ倒れそうになってる。
当分揺れ続けるだろうが、エンデュミオンに関しては、実の所大方の話はついてやがる。

エンデュミオンの契約、技術、人材、その他諸々、
「エンデュミオン」って存在そのものの実質的な帰属は水面下で決定済みって事だ。
まだかなりの部分が密約だが、それでも、名義自体は学園都市内の企業に買い取られてる。
それを注意深く追跡して行った結果、行き着く先は雪広、那波」

「その名前は?」
「英雄君と関わりの深い、って言うか羨まし過ぎるセクシービューホーな
英雄坊や先生の教え子の実家が経営してる財閥だにゃー」

ステイルとしても、ここまであからさまな絵解きをされては笑うしかない。

「外の財閥として、学園都市の外部協力機関を初めとしてじわじわと下準備を進めて、
タイミングを見て莫大な現金と培った人脈と手練手管をあらん限り注ぎ込んだ。
無関係や名義や契約を山ほど噛ませて大元が誰の意思による買収かを察知されない様にな。
金も人も契約も、そのタイミングに合わせて動ける様に調整されてたとしか思えない」

「つまり、それが使える、必要になる事を知っていた、そういう事か」

「これでもしオービット・ポータルが今の時点でもエンデュミオン落成式典大成功、
資本介入なんて欠片も必要としない前途洋々の有望企業でした、なんて事になっててみろ。
投入される予定だった現金だけでも、三日も寝かせりゃあ雪広、那波はもちろん
日本経済そのものの動脈停止で恐慌が勃発するレベルぜよ。
途方もない手間暇を掛けて、一つの方向一つのタイミングに向けて契約も人脈も練り上げられていた。
結果から馬鹿みたいな手間暇掛けて逆算してようやく分かるってぐらい深く、静かにな」

「で、エンデュミオンは英雄君に乗っ取られたのかい?」
「いんや、流石にそれは無理だ、学園都市の最先端科学を外の企業が乗っ取るなんて、
条例を含む国内国際の法律上の制約その他諸々、どれだけ金を積んだって無理なモンは無理。
形の上では雪広中心のシンジケートが手にしたのは、形式上は精々エンデュミオンの1%。
だが、株式、技術、契約、人脈、要所要所をきっちり押さえて、
支配は出来なくても確実に声が届くルートをその1%で確保したって所だ」

「まあ、それでも大変な事だと言うのは分かるけど、正直気の長い話だ」
「まあ、坊やは若いですからにゃー。
もっとも、そういう訳で、本当はもっと気の短い物騒な事も考えてたって説もあるけどにゃー」
「気の短い物騒な事?何か?英雄君が武力征服でも企んでいたとでも言い出すのか?」

そう問うたステイルは、土御門の意味ありげな笑みに目の動きを止めた。

>>236

「「英雄」の「Blue Mars計画」それ自体は、
人道上、実利上の理由で科学、魔術、政治の最高レベルに於ける内諾は得られている。
故に、そのために必要な学園都市訪問であれば、
魔術サイドの協定上からも例外的に容認された。
「英雄」もそう根回しをした。
レディリーのプランが弾けるそのタイミングにな。それは偶然か?」

「分かってて自分から介入しに行った、そう言うのか?」

「実に絶妙なタイミングだにゃー。
許可を受けてそこにいる以上、自分の身を守るのは当然の権利。
まして、地球規模の破局的な事態が今そこで起こる、
って言えば、それ以上の道理はないぜい。
実際にレディリーの地球規模破壊プランによって、
取り敢えず自分の命と地球が間違いなく危なくて自分は現場のすぐ側にいる」

「正義の魔法使いの降臨、か。話に聞くあちらの世界でやったのと同じ様に」

「ああー、正に、あっちの世界とやらでそれをやらかして
世界を一つ救った実績の持ち主だからにゃー「英雄」君は。
緊急事態に於ける正当防衛を理由とした直接介入。
と、言って、エンデュミオンを物理でぶっ壊して済むって話じゃない。
「英雄」は宇宙エレベーターを欲しがっていた。
事態収拾のための情報収集を名目としたオービット・ポータル社の接収」

「正に火事場泥棒だな。
そのままバベルの塔の設計図をぶっこ抜いて持って帰るのが目的か?」
「それで済みゃあいいんだがにゃー」
「何?」

「エンデュミオンを建造したオービット・ポータル社はあくまで学園都市の最先端科学企業だ。
少なくとも魔術サイドから見るならばな。
それが、魔法の「英雄」を、本人が訪問してる真ん前で危険に晒した、それも地球諸共。
と言ったらどういう事になる?」
「学園都市そのものが「魔法」に宣戦布告、そう言う解釈か?」

「事はあくまで「科学」の側の責任、
そして、当事者として巻き込まれている「被害者」に関与の度合いを確かめている暇は無い。
そういう名目を付けたとしたら」

>>237

「エンデュミオン、オービットポータル諸共、と言う形で「科学」そのものを」
「ぶっ叩く、って事さ。オービット・ポータルはあくまで「科学」のそれも最先端企業。
監督責任がある以上は学園都市が知らなかったでは済まされないってな。
「英雄」以下の精鋭部隊が、「敵ではない事が確認されるまでの間」統括理事全員を制圧する電撃戦、
って辺りが一番ありそうなシナリオかにゃー?」

「精鋭部隊…おい、土御門」
「ああー、そういう事だにゃー。
「英雄」が何よりも誰よりも信頼する、あの夏に世界を一つ救った「戦友」。
イザ動かすのに、これ以上の少数精鋭部隊は無いぜい。
そいつらが当日、この学園都市に配置されてたんだ」

「じゃあ、あの女達はハナからそのために…」
「いんや、本人達は知らなかった。これはまず間違いない。
直前まで知らなかったからやむを得ず緊急措置をとった、この建前も必要だしにゃー。
うっかり捕まったら拷問自白剤サイコメトラーなんでもあり、下手に通信も出来ない。
そんな街で事前に説明して動かすのはリスクが高過ぎるぜい。
只、自信はあったんだろうにゃー」

「自信?」
「ああ、イザ声を掛けたら、それも間違いなく地球規模の非常事態が目の前に迫っているなら、
イレギュラーはその場で英雄の白き騎士団になる、その揺るがぬ自信がな。
学園都市を訪問中の「英雄」が緊急事態を察知したために、
「英雄」自身が、或いは「魔法」サイドが「英雄」の安全を最優先とする緊急措置として
信頼する部隊を超法規的に派遣した。そういう話に持っていく」

「それで実力部隊を派遣しての武力介入、強引すぎる解釈だ」

「細かい合法性に於いて色々問題はある。
そんな事をして魔術サイドの正式な審問になれば「英雄」や「魔法」はかなりまずい事になる。
だが、その場合、それ以上にまずい事になるのは、
学園都市の責任の下で「魔術」への宣戦布告同然のレディリー・プランを暴露される学園都市。
そう踏んでの短期決戦。どっちにとっても不都合な「魔法」と「科学」以外の介入を受ける前に、
「英雄」が中枢を掌握した時点で、誤解を解くと言う名目での将来に渡る大幅譲歩が約束される」

「あの坊やが、そこまで目論んでいたと?」

>>238

「プランのためにエレベーターを初めとした最先端の宇宙技術を求める「英雄」にとって、
それを独占したまま鎖国し続ける、「魔術」サイドである「魔法」との交渉も一々面倒臭い、
そんな学園都市の存在そのものが余りにも面倒に過ぎる。

それならいっそ、この機会に学園都市そのものを呑んじまおう。
科学、魔術、あらゆる利害の中からあんだけのプランをここまでに漕ぎ着けた「英雄」君だ。
その優秀な頭脳がそんな算盤を弾いたとしてもおかしくないぜい」

「レディリー・プランを奇貨として、
自分自身を的にしての学園都市中枢の一時的征服と弱味に乗じた大幅譲歩の要求」
「言ってみりゃあユスリだにゃー」
「だが、そんな事は起こらなかったな」
「ああ、最初っから俺の妄想だったのか、それともマイルドに方針転換したのか。
ま、後の方だって考える要素もあるにはあったけどにゃー」

「なんだそれは?」
「もしかしたら直前にあったねーちんと「魔法」の言わば突発的遭遇戦。
これでイギリス清教と学園都市の二面展開を本気で考えざるを得なくなった、とも考えられるが、
あの事件の当日、窓の無いビルの案内人が「英雄」を中の主の下に案内している」
「なるほどね」

十分過ぎる理由だった。
ステイルはその主ともネギとも双方に面識がある。
確かにネギ・スプリングフィールドは「英雄」の称号に恥じない、
桁違いの実力を持つ「魔法使い」。

であればこそ分かった筈だ。あそこに立ち入った以上、
もしその様な計画を立てていたとするならば、
それが如何に無謀で見当外れに思い上がったものであったのかを。

「それで、拳による解決から札束で頬をひっぱたく穏健な方向に方針転換したと言う事か」

「あれだけの戦力を潜伏させていた配置から言って、
ギリギリまでそれを考えていたとしても不思議は無いんだけどにゃー。
俺の聞いている限りでも、まあ、色々あったらしいな。
結果だけで見るなら、超能力者の中でも第一位と第二位は
実際に「魔法使い」にぶち負かされてる。

第三位も「魔法」が本気を出せばまず無理だったって情報が入ってるぜい。
第四位はトラブッた魔法使いをボコボコの半殺しの目に遭わせたって言うが、
これが夏のドサクサで成り立てのぺーぺー、
「魔法使い」とガチでぶつかったらどこまで通用するか分かりゃしない」

>>239

「何を考えている…魔術サイドの人間が科学の能力者のそれも頂点と片っ端から、
それも、世界規模のプロジェクトに直接関わる「英雄」の直属が。
それがどんな政治的な意味を持つか分からないとでも…」

「まーまー、丸で何かのオールスターお祭り劇場版みたいに豪華な対戦カードだにゃー、
誰かがこんなの見てみたいって思ったんですかにゃー。
それに、この事は表沙汰にはならない、それは最初っから決まってた事だ」
「決まっていた?」
「ああ、魔術の中でも噛んで来たのが麻帆良とネセサリウスだったと言う時点でな。
簡単な事だ、表沙汰になった所で、誰も得をする者がいない」

確かに、ステイルもそう言われて少し考えると、割と簡単に納得出来そうだった。

「学園都市の科学のバベルの塔で魔術のアルマゲドンを仕掛ける。
そんな事が魔術の世界で表になった時点で、
魔術サイドの中に於ける科学協調派は立ち直れない程の打撃を受けて、
魔術サイドは保守・極右に牛耳られる。

活版印刷を科学と呼んで魔術に用いる事が許されるのか否か一々厳密に教義にお伺いを立てる程にな。
そこを軽視したら、今度こそ魔術サイド内でヒステリー状態からの戦争になる。
最先端科学の技術導入が絶対条件でタイムリミット切られてる
「英雄」にとっては絶対あってはならない事態だにゃー。

同時に、普通に考えたら学園都市も破滅的にヤバイ事になる。
学園都市の監督下でエンデュミオン完成まで容認していた時点で、
普通に魔術サイドへの宣戦布告と受け取られる。
雌狐にした所で、何か得のある陰謀でもない、
只の死にたがりの自爆で現実的な科学協調派としての権益を失うなんて愚の骨頂だ」

「つまり、レディリーのプランは蓋をする。
その事で三者の利害は最初から一致していたと言う事か」

「そういう事だにゃー。それが分かった上で、
英雄君は自分の身一つ的にしたチキン・ゲームを仕掛けた。
レディリー・プランを放置したら物理的肉体的な意味で破滅。
表沙汰になったら魔法世界救済とか戦争とかそう言う次元で政治的に破滅」

「推測通りなら、結局、居直ったのは学園都市で英雄はハンドルを切った、そういう事か」

>>240

「まあ、お互いそれなりにいいタイミングだったと思うぜい。
何の根拠は知らないが、「魔法」も「魔術」も、第三次世界大戦になろうとも恐るるに足らず、
それがハッタリとはとても思えない、
そんなモン相手にユスリ掛けるなんて出来る相談じゃないからにゃー。

それに、その性質上、イギリス清教とも慎重に共同歩調を取ってる。
エンデュミオンの買収工作にしたってそうだ。
英雄君の買収工作に相乗りして、教会の資金がかなり投入されている」

「相変わらず鼻がきく、って事か」
「それもあるが、どうやら誘い込まれたってのもあるにゃー。
もっとも誘い受けとかなんとか複雑怪奇な主導権争いって事もあるけどにゃー」
「学園都市への橋頭堡を築くなら、「魔法」が独占した方がいい気もするが、
こちらも巻き込んだ方が得策と踏んだか、共犯者として」

「冴えてるにゃー。
色々と名目やダミーを噛ませてはいるが、「魔法」による学園都市への干渉。
それが「魔術」サイドで問題になった時、
外での経済活動がたまたまそうなった、
そう言い抜ける共犯者が欲しかったって所かにゃー。

元々、学園都市へのパイプに関してはイギリス清教が一歩も二歩も先んじてる。
先走って恨まれるよりは堅実にってのもな。
「Blue Mars計画」の性質上、
魔術サイドの中でも保守・極右から九割方隠して同意させてる上に
科学協調派同士の関係が破綻したら終わりだからにゃー」

「さて、「英雄」坊やが共犯者として御せる相手かね」

>>241

「まあな。数字だけでイメージを簡単に言うなら、
「英雄」が握ったのはオービットポータルの1%に過ぎない。
そして、イギリス清教が握ったのはその中の更に1%。
だから、仮に魔術や科学のうるさ方が察知しても、
一般的な経済活動じゃない不法な介入だと言うのは簡単じゃない。

こっからが知恵比べだにゃー。
資金、契約、人脈、技術、
支配期出来なくても確実に声が届く様に、その1%をラインにしてやがる。
今ん所は穏便にやってく構えだが、
一つ間違えたら内側から1%が99%にころっと引っ繰り返るって事だって十分あり得る配置だ」

「つまり、二つ引っ繰り返ったら」
「「英雄」坊やが雌狐にぱくっと呑まれてしゃぶり尽くされる。
そういう結果も十分ありだにゃー」
「どちらかと言うと、そちらの方が説得力があるんだがね。
相手が相手だ、いくら魔術師としての実力があっても、
そもそもその意味でも桁違いの相手、御せるものか」

「ま、現にこの資本注入スキームを成立させた、
あれでなかなかの狐だからにゃー。
プランに関わる公式訪問として色々動いてはいたが、
どっちにしろ資本介入自体はやるつもりだったんだろうしにゃー」

「統括理事会による屈辱的和平条約の調印後なら、
ますますもって用意した大金も効果的だっただろうな」

「まあ、実際の所はそうならなかった訳で、
それでも、雪広のほそーい紐付き資本注入を
受け容れた方がマシだと言う事になる条件を整えて交渉相手を絞り込んだ。

そうしなければもっとヤバイ相手が介入するか、
エンデュミオンみたいな先端技術抱えたままグダグダのカオスが長期化するか、
どっちにしろもっとまずい状況に陥る。
その事が理解出来て的確に対処出来る頭脳と人脈の持ち主を見付けておいて、
互いの利益になる方向で早々に話を付けた」

>>242

「そうやって聞いてると、学園都市は外の「魔法」に随分いい様にされた様だが?」

「そうも言えるが、ま、見た感じそうでもないみたいだぜい。
元々、「英雄」と学園都市の利害は一致していたんだ。
「英雄」や子飼いのイレギュラーが多少飛び跳ねようが、
表立って学園都市を潰して困るのは「英雄」も同じ事。
「魔術」を巻き込んで事を荒立てたら、
特に宇宙絡みとなると最悪にヤバイって点ではむしろ切実だ。

夏に世界を一つ救った「英雄」はそこまで馬鹿じゃない。
だったら死にたがりの魔術師の一つや二つ、
世界を救う「英雄」とネセサリウスと幻想殺し、
利害にかなうモンがこんだけ揃ってりゃあ焦る理由も無い」

「所詮は「英雄」も僕らも、この街では手札の一つだったと言う事か」

「精々池の中で飛び跳ねるのをニヤついて眺めてたって所だろうよ。
池に雷魚やパイクを放そうが、中にいるのは両○勘○モデル並に逞しい錦鯉だからな。
それに、「魔法」の実力はもちろん、
「魔法」サイドが「魔術」のみならず「科学」として有している能力。
技術力初め才能、発想力、それを知る貴重な機会を得た、なんて事も言ってたか。

当分は「科学」は静観、「魔法」の宇宙開発が害になるって事は今の所無さそうだ。
後は「魔術」と「魔法」、雌狐と子狐の笑顔の睨み合いって事になるぜい。
子狐って言やぁ、あの雌狐、妙な事を言ってたが…」

そこで、二人はノックに気付いた。

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

それでは今回の投下、入ります。

>>243

 ×     ×

そこで、二人はノックに気付く。
土御門の案内を受け、病室に現れたのは佐倉愛衣だった。

「おおう、麻帆良の可愛こちゃんだにゃー」
「その節はどうも」

愛衣は、土御門に礼儀正しくぺこりと頭を下げる。

「で、何の用だい?」

ベッドの上から、ステイルが素っ気なく尋ねる。

「具合の方は?今回の事件の負傷と聞いたけど」
「おおっ、お見舞いかにゃー?」
「さてね、「科学」のど真ん中で戦力に関わる情報を
所属の違う魔術師に教える義理も無いからね」

「そう。お陰様で私の方は今日治療が終わったから、
物の順序として紹介してくれたあなたにはお礼を言っておく、有り難う。
それに、魔法教会とイギリス清教の関係にしても、
少なくとも今現在、エンデュミオンの事件に関しては既に警戒が解けているから」

「そうかい。お礼は承っておくよ」
「分かった」
「ふーん」
「?」

顎に指を乗せて唇を歪める土御門に愛衣が反応する。

「いや、リアルタイムのツンデレの現場って、
なかなか滅多に見られるモンじゃないからにゃー」

>>245

「は?いや、それは無いです。ないないないないない、
いくら何でもパンクなヤニ塗れのクレイジー神父とか
ストライクゾーンを宇宙の果てまで広げても無理」
「失敬だな君は。僕としても、敵対するなら塵にしてやると言うだけで、
小生意気な未熟者にかかずり合ってる程暇じゃないからね。
最初から眼中に等ありはしないよ」

「それはどうも、利害が一致して助かります。
どうぞ生涯聖女マルタに殉じて下さい」
「いい加減な日本人の魔法使いらしい台詞だ。
どうせグラビアのアイドルに熱を上げるのが関の山のお子ちゃまだろうに」
「いやいやー」

ずいっとベッドに迫ろうとする愛衣の前に、さり気なく割り込んで口を開く土御門。

「案外そうでもないみたいだにゃー。
だーって、メイちゃんフツーにいい線いって可愛いからにゃー」
「あ、えっと…」
「そうかい」

「ま、意中の君はどっちかって言うと黒くてチビなワンパク坊やって事だから、
確かにタイプとしては大外れって事になるにゃー。
土御門さんの地獄イヤーが聞いた所では、
なんかもう既に本妻さんがいて同居済みで公式設定並の鉄板フラグで
ウエディングドレスでゴールインまで一直線って聞いてるけどにゃー」

佐倉愛衣なのだから洒落にならない表現として
発火しそうな勢いで見る見る真っ赤になる愛衣の耳朶を目にして、
ステイル=マグヌスは袖で顔を隠しながら懸命に笑いを噛み殺す。

「んー、やっぱ同居済み同棲生活ってのは割り込みNTR超難しい
二人の世界でゴールインまで一直線な最強パターンですたい。
ステイルと話が合うのもよーく分かるにゃー」

プチィィィィィィィィィィィンンンンンンンンン

>>246

「………そうですよ………ヒクッ………大体、最初から同居してるだけでも思い切りリードなのにグスッ………
勝手に付いていってバラバラになったのにウグッ旅の間中ずっと一緒とかどういうハンディですか?ウエエッ………
挙げ句の果てにズズッ、只の目立たない一般人とか言っといて、
あんなチートファクト引き当てるとかギリギリギリギリ………それでポジションはずぅーっと相棒でアハハハハハハ、
昨日も今日も明日もずっとずーっと一緒の部屋で一緒にご飯食べて一緒にフフ、フフフフフ、フフフフフフフフフ、………………
メイプル・ネイプル・アラモード………
契約に従い我に従え炎の覇王………」

「あー、何かにゃその学園祭の最終日の上空ででも爆発してそうな呪文詠唱は?
ステイル、ステイル君、ステイルさんじゅうよんさい、
怪我人の身で病室中にルーン配置とかあんまり無理したらいかんぜぃ………
おっ大事にぃーっ!!!」

びゅうんっと病室から消えた土御門を見届け、愛衣はふーっと息を吐く。

「冗談はさておき」
「冗談だったのかい?どう見ても本キ…」
「何か仰いまして?」ニコッ
「いや、何も」

ゴゴゴゴゴゴゴゴと建物を揺るがしそうな効果音は全力で聞かなかった事にする。

「取り敢えず今回は成り行きでも協力してもらった件も含めてお礼は言っておきます。
何れ、非公式ではあっても、こちらの上からも相応の事はあると思うから」

「そうかい、承っておくよ。
まあ、こっちも協力してもらった身でもあるからね。
麻帆良にも、英雄にも、君にも。それに関しては礼は言っておく」

「承りました。それでは」
「ああ………お勉強は出来るんだ。精々健全な魔法使いをしていればいい」
「承りました先輩………これは私が口を出す事じゃない」

ふと足を止めて愛衣が呟く。

「そのルーンを完成させた狂おしい想い。
一人の女として畏れるかも知れない、憧れるかも知れない」
「女として、ね」

どうやら怒るまでも無いと言う風情のステイルにぺこりと頭を下げ、
愛衣が出ようとした病室のドアがバーンと開く。

>>247

「あれーっ、どうして麻帆良の負け犬魔法使いがここにいるんですかー?」
「えーと、三対一の結果を威張ってる時点でお子ちゃまにしか見えないんですけど」
「あー、こいつ毒吐いたー、ししょーなんかあったのーっ!?」

ステイルが眉間を摘む間に、
黒い触手の巻き付いたジェーンとマリーベートの体がむくむくと空中に持ち上がる。

「全く、迎えに来て見れば病院で騒がしい」

そういう高音・D・グッドマンの目からは、イメージ映像的には既に黒目が消えていた。

「3on3なら、今すぐにでも相手になりますけど」

腕組みして視線を走らせる夏目萌に、メアリエは困り顔のお姉さんの笑みを浮かべる。
そのメアリエの顎からすーっと視線を下に向け、
この学園都市のまっただ中でも相変わらず風通し面積の広い魔女装束のメアリエを見て、
自分に視線を向けてひょいと下を向き、相変わらず「負けた」と夏目萌は自覚を新たにする。

メアリエがツカツカと歩き出す。
そして、高音とずいっと相対する。
しん、と、部屋が静まり返る。
メアリエが一礼し、高音が礼を返す。
それで終わりだった。

かくして、何やら騒がしい背後を多少は気に掛けながら、
高音達のチームは病室から廊下に出る。
そこで、愛衣が携帯電話を取り出した。

「えーと、件名…人生と書いて妹と読む?
先ほどのお詫びに一発逆転絶対勝利必殺必中NTRルート大成功万歳確定な最強アイテム
大堕天使…この画像…」

後ろから覗き込んでいた高音が自分の携帯を取りだした。

「もしもし、ええ、手段は問いません。差出人の居場所を検索して下さい。
ええ、 最 優 先 です」

>>248

 ×     ×

「全く、何と言うのかにゃーあの関係は…」

病院を出た土御門は、
建物の裏手に回って言いかけた所でぴたりと動きを止めた。

「あなたの何れの連絡先も、ネギ先生のプランの利害関係に大きく関わる事になった」

振り返った土御門元春に、桜咲刹那が告げる。

「そうだな。それじゃあ早速一つ聞かせてもらおうか?」
「なんでしょうか?」
「レディリー=タングルロードはどこに行った?」

「分かりません。
実際に報されていないのですから、例えその髪の毛をどう使おうが結果は同じです。
もっと言うと、恐らくネギ先生も知りません。
只、害はありませんので無駄な手間を掛ける事もありません」

「それはつまり、「魔法」がレディリーを逃がした。そう解釈していいんだな?」
「学園都市、イギリス清教も了承しての事です」
「肝心な所が伝わっていないらしいな。
舞夏を人質にする仕掛けを張って俺に脅しを掛けたクソアマを「魔法」が逃がしたのか?
そう聞いているんだが?」
「その通りです」

返答した刹那の表情に変化はない、冷静沈着な仕事モードだ。

「個人として「魔法」に報復しますか?
それとも、口八丁情報操作で「魔法」への包囲網でも構築しますか?」
「その価値は十分にある。俺にとってはな」
「私はそれを看過しない」
「だろうな」

土御門が折り鶴を摘み上げる。

「今更あなたに言う事ですか?神鳴流は武器を選ばずと。
直接戦闘なら私に分があります。玉砕戦を挑みますか?」
「戦闘じゃない、通信だ。ネセサリウスから潜入している人間もいる。
それよりもここは学園都市だ。息の掛かった高位能力者を呼んでもいいんだぞ。
そっから楽しい人質交渉、舌でも噛んでみるか?」

>>249

「嘘ですね。学園都市で「魔法」と事を構える。
ネセサリウスがそれをやるメリットは無い、タイミングが絶望的に悪過ぎる。
超能力者の戦闘力に関してもある程度の情報はあります。
あなたの様な人にレベル5を二人も三人も動かす権限、人脈を与えるとは思えない。危険過ぎる。

レベル5一人、その下なら二十人三十人束になれば何とかなるかも知れませんが、私も只ではやられない。
今、このタイミングに陣営が交差する局地戦を起こす事は、
間違いなく土御門元春の基本的な目的に反する、あり得ない」

「俺の目的か」

「レディリーは、罪の前に途方もない罰を受けて来た。
今、生きている可能性自体が極めて低い。
これからも致死率や更に厳しい可能性の方が九割を超える人生、
なぜ罰せられるのかも理解していません。

最終作戦での直接の死者こそ避けられたものの、ディダロス氏の様に実際に彼女に殺された人もいる。
これが罪と罰の釣り合う正しい裁きなのか、正直言って正答は出せません。
それでも、これ以上の深追い、まして「魔法」との争いは、
あなたの元々の目的を考えても本末転倒にしかなりません」

「優等生の回答だな。
「裏」は複雑でいてシンプル、そして譲れない我が儘のパワーゲームだ。
裏であれをやった人間がのうのうとして生きている、それはあっちゃならない事だ。
あれをやった人間がどういう目に遭うべきか、
それは、何のために俺が闇にいるのかと同じ意味を持っている」

「もう一度言います。
土御門元春の何れの連絡先も、ネギ先生のプランの利害関係に大きく関わる事になった。
土御門元春のカウンターパートナーとして「魔法」が選んだ者は、
土御門元春の本気がどれ程のものか、それをよく理解している。
だから、脅し、等と言う無駄な事はしない」

刹那はカードを取り出した。

「出来るのか?何食わぬ顔で笑い合ってそのすぐ後で、
背中を刺して心臓を抉る真似をオマエに出来るのか?」
「ネギ先生だけではない。
ネギ先生も含めて、私の大切な人が途方もないものを擲ったプランです」
「そのために人柱になって土台に埋まったとでも言うのかにゃー?」

尋ねた土御門の眼前から刹那の姿が消えた。

>>250

「脅しはしないんじゃなかったのか?」
「無益な殺生もしません。只、知っていてもらいます。
いつでも出来る事であると」
「自分の手を汚す事ぐらい物の数じゃあないってか?」

くるりと振り返った土御門は唇をニッと歪め、刹那は匕首を鞘に戻す。

「それが、英雄君との誓いの証しか。
何人もの従者も、想いも、世界も、その全てを受け止める英雄の。
みんな笑ってハッピーエンド、その中にはもちろんオマエも含まれている。
オマエが大事にしてる英雄の想いってのは、そういうモンじゃないのか?」
「分かっています」

真面目に言う土御門に刹那も真面目に応じる。

「ネギ先生はそう。だからこそ、私の様なものが…」
「なんて、テメェの仲間を下に見て侮辱するモンがいるなら、英雄はブチギレるぜ、
例えそれが自分自身であってもな。
英雄ってのは、そういうモンだ」

そう言った土御門は、ふと空を見ていた。

「あの件に就いて、俺は退く気は無い。
だからと言って、オマエの言う本末転倒、舞夏、舞夏の住む街住む世界を危険に晒すつもりもない。
結論として、ま、仲良くしようぜい。
この件に関しては、せっちゃんいじめても俺の怪我が増えるだけの話だからな。

誰にとってもそれがいい事なんだからよ、少なくとも今ん所は。
みんな笑ってハッピーエンド、表でも裏方でも、意地でもそいつを作ってやろうぜい。
そん中に、絶対に守りたいものがあるんならよ」

「よろしくお願いします」
「おうっ。よろしくな。
手始めに、麻帆良の可愛こちゃんの綺麗所との情報交換の席を…」

早速、ハリセンに変容したカードが気持ちよく振り抜かれる。

>>251

 ×     ×

かくして、美少女ランク上位との確かな情報に基づき発動した
麻帆良お近づき大作戦に見事玉砕した土御門元春は、
元々の予定通り色気もクソも無い野郎同伴カラオケに繰り出す。
土御門が便所から個室に戻った所で、連れが入れ違いに便所に立つ。

「もしもーし、ラジオネーム人生と書いて妹と読むより、
そちらの同居人に伝言お願いしたいんだけどにゃー、ああ、出来れば録音で」

ドアが閉じたのを見届けて、土御門は携帯を使っていた。

「今の妹の件で、僅かとは言え俺を退かせて、
それで、元の妹分の心配になるぐらい堅物だったハートをど真ん中ブチ抜きやがった。
そういう事なら、一つだけ覚えておけクソガキ。

妹をNTRったクソ野郎が利用した挙げ句くだらない結果を出した、
そんな事が俺の耳にまで入った時、何が起きるか。
くだらない兄貴を敵に回す事がどれほどの事を意味しているか、
ちょっとだけでも考えておく事だ」

「心配性のお兄ちゃん、お眼鏡に適いそうですか?」

「そうじゃなきゃ困る。
妹の一言を口に出した以上、それは俺にとって絶対の有言実行だからな。
そん時ゃ相手がスーパーヒーローでも大魔王でもぶん殴りに行く羽目になる。
そんな酔狂な野郎は一人で十分だ。

目の前にいるあんな健気な女一人、その心からの誠。
テメェで引き付けたそいつを直視しない世界だ英雄だ、そんなモンがいるんならよ、
それはとぉぉーってもだっせぇにゃーって、なぁファザコン坊や。
シスコン軍曹が言ってるんだから間違いないぜぃ」

「土御門はん」
「はっ」
「ありがとな」
「ご機嫌ようひい様」

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

乙。
土御門も刹那もカッコいいな

それでは今回の投下、入ります。

>>252

 ×     ×

「あ、こっちに戻ってたんですか?」
「ええ」

廊下で夏目萌と言葉を交わしたネギ・スプリングフィールドは、
ぺこりと頭を下げる彼女を見送り、
すぐ側の麻帆良学園情報処理室に入る。

「やあ」
「どうも、弐集院先生」

そこで、ネギはパソコンに向かう弐集院に近づいた。

「今回は色々と有り難うございました」
「いやいや」

ネギが礼を言い、テーブルにお土産のメガロ饅頭を置く。

「それからこちらはお嬢さんに」
「ああ、有り難う」

弐集院が礼を言い、カエルキャラの指人形セットを受け取る。

「包帯も面白いですけど、やっぱり女の子はピンク色が好きですかね?」
「五個セットと言う訳じゃないのかな?」
「ええ。色々回っている内に。最初に当たったのがピンク色でしたけど。
それでその後、鳴護アリサ、或いはシャットアウラ=セクウェンツィアは?」
「いいや」

ネギの問いに、弐集院が首を横に振った。

「どうも、科学の学園都市やイギリス清教サイドでも二人の行方は掴めていないらしいね」
「奇蹟の源ですからね。分かれば何等かのアクションを起こす筈です」

弐集院の言葉にネギが同意した。

>>255

「それにしても、今回は瓢箪から駒だったね」

言って、弐集院が表示したのは、保存されていた過去の鳴護アリサWebサイトの画像だった。

「オリオン号の件から調査を進めて、
鳴護アリサの調査を進めている内に、
まさかネギ先生の方に接点が出て来るとはね」

弐集院の言葉に、ネギがアハハと笑いを返す。

「最初にこちらに報せていただいて助かりました」

「うん。その時点でネギ先生の依頼で調査の一時ストップ。
二人で学園長先生の所に出向いて、
通常の調査から外れた三人限りの扱いになったからね。
葛葉先生すら詳しい事は知らなかったんじゃないかな」
「職務としての調査中の秘かな方向転換で内部も欺く様な事をお願いして、
重ね重ねお手間を取らせました」

「少なくとも当時は学園都市の大物経営者だったレディリー=タングルロード。
レディリーの仕掛けた電子結界も強力だったからね。
実際にあのまま迂闊な調査をしていたら、科学の学園都市と魔法サイドを巻き込む紛争の危険すらあった。
事は科学の学園都市とどうやらイギリス清教も絡んでいる。
となると、時期的にネギ先生を初めとした外交的配慮が重きを置かれるのも理解は出来る」

「助かりました」
「実際、既に接点を持っていたネギ先生の側で秘密裡の対処になったからね」
「鳴護アリサとの間でここまでの信頼関係を築いている以上、
魔術であれ科学であれ、鳴護アリサの側へのアプローチがあるなら、
遅かれ速かれ伝わる。そして動きがあるとは思いました。
特にこの手の事で隠し事なんて出来ない、鋭いし賢い、何より優しくて熱い人達ですから」

「ネギ先生もそれで」
「ええ、随分苦労させられて、随分助けられましたから。
本当に、手間のかかる、頼りになる仲間達です」

>>256

 ×     ×

ネギ・スプリングフィールドは山道を行く。
麻帆良学園都市の裏山を。
山林が開け、ちょっとした広場に出る。

「おお、ネギ坊主でござるか」
「どうも、楓さん」

久しぶりに顔を合わせた教師と教え子が、にこやかに挨拶を交わす。
楓の右の拳がネギの頬にクリーンヒットして、ネギの小柄な体躯が地面を滑る。
立ち上がったネギが、頭を下げた。

「少し、策が過ぎたでござるな。
なかなかにスリリングでござったよ、
千雨殿初め夏にも負けぬ命懸けの戦いとなる程に」

楓の言葉に、ネギはもう一度頭を下げた。

「色々と、助かりました」

改めて、ネギが礼を言う。

「口の中は、大丈夫でござるか?」
「ええ、つっ」

倒木に腰掛け、楓から受け取ったカップの野草茶を口にして、
ネギは小さく顔を顰める。

「千雨さんが危ない事をしそうならサポートをお願いします、
と言う事でござったな」
「ええ」
「実に一般的なお願いでござるな」
「一番危ない事をしそうにない、と言う点で最初から全然一般的ではない無理のある話ですけど。
それでも、僕が知っていたと言う痕跡は可能な限り避ける必要がありました。内にも外にも」

「ふむ」
「人道的にもプランの上からも、鳴護アリサさんの事を放置する事は出来ない。
それでも、僕が公式訪問と彼女の救出を同時に展開するのも綱渡り過ぎます。
今、僕が得ている武力も権力も、志と拳一つで突き進むには強くなり過ぎました。
それでいて、全てをぶち抜く程の絶対的な強さと言う訳じゃない。
そんな力、あってはならない」

>>257

「最も大きくなったのは責任、でござるかな?」
「結局、僕は知っている、「魔法」の「英雄」でプランの責任者。
ネギ・スプリングフィールドが事情を知っている。
自分で名乗るのも気恥ずかしい肩書きですけど、
現実を直視しなければ、僕が知っていると言う事が知られた時点で、
プランへの外交的な影響は元よりアリサさん本人の危険も考えられました」

「故に、いっそ我らが勝手に動き回った方が彼女の安全が確保出来ると言う事でござったか」
「全ては可能性の問題でしたけどね。
あくまで僕に相談する、と言う選択がとられた場合は、
先生としてリーダーとして腹をくくって対処するつもりでしたが。
やっぱり…千雨さんは賢い人です」

一瞬だけ、楓の糸目が何か剣呑な光を帯びる。

「我らがどこまで突き進むと見ていたのでござるかな?」
「正直言って、最終日に直接乗り込むと言う点に就いては、
僕の予測では半々でした。
慎重で賢い千雨さんの性格からしてそこまでやるだろうかと」

「慎重さに勝るものがあったでござるな」
「ええ、それも千雨さんらしいと言えばらしいです。
もっとも、そう仕向けた人がいた様ですが」
「ほう」

「食えない女狐さんですよ。
実質的な同盟者と言う一歩引いた立場で事態の推移を見守っていた。
こちらが穏当に宇宙エレベーターの利権を手に入れるなら、
そこに一枚噛んで分け前にあずかる。

「魔法」が科学の学園都市で本当に事を起こして、
こちらが科学の総取りに成功したなら勝利者との同盟者、協力者として、
事態が膠着したら双方にパイプを持つ仲裁人の立場として、
そして双方の弱味を握る無傷の立場として美味しい所を持っていく。

そのために、科学の学園都市に埋め込む「魔法」の弾頭となる様に、
只でさえ頭が熱くなる状況でそこに更に火を付けた人がいると言う事です」

「何れにせよ動きがあると読んで、後ろで注視していたでござるか」

>>258

「僕に宇宙エレベーターと言う差し迫った動機がある以上、
僕の側から動かざるを得ない。そして、科学の学園都市も対応を迫られる。
それに対して、科学の学園都市とウェールズの双方にパイプを持っている第三者の実力者。
この立場はなかなか食えないですよ。
実際に人員の派遣も行っていた様ですけど。
安全な所で次点の利益を確実にして、隙を見せたら総取りを虎視眈々と狙っていた」

「我らはまんまとそれに乗せられたと言う事でござるかな?」
「一触即発に危険と言う状況は本当でしたから、
最終日に乗り込むと言う事に就いては変わらなかったかも知れませんけど」
「信頼されていたと受け取るでござるよ」
「有り難うございます」

「時にネギ坊主、刹那の仕事が一つ増えたでござるな」
「ええ、聞いています」
「裏の人間故に出来ぬとは言わないが、
相手は名うての食わせ物とも聞いているでござる」
「そうですね、各陣営の上で踊る食わせ物の道化師。やり手ですよ」
「ネギ坊主にとって、重要なポイントでござろう」

「ええ、だから」
「ふむ」
「だから、大丈夫です。
刹那さんは誰よりも僕達の進めるプラン。
このプランがどれ程重いものか、大切なものであるかを理解してくれていますから」

カップに両手を添えて笑みを浮かべるネギを、
楓が細目でじっと見ていた。

「ネギ坊主」
「はい」
「いつでも来るでござるよ。たまにはゆるりと湯に浸かる事でござる」
「そうですね。それが出来れば有り難いんですけど、
今はなかなか時間が取れません。
お気遣い有り難うございます」

>>259

 ×     ×

ネギ・スプリングフィールドは、下山途中にふと足を止める。

「細工は隆々、まずまずの成果と言った所か」
「正しい評価ですね」

木陰から聞こえて来た少女の声に、ネギが応じた。
少女の声はネギの少し上と言った年代の若さだがやけに気取った口調。
共に、流暢な英語の会話であった。

「あのバベルの塔のハラワタに無事釣り針を呑み込ませたんだろう」
「ちょっとした弾みに簡単に切れてしまいそうですが」
「それだけ細い、繊細な、容易には把握できない釣り糸と痛みすら分からぬ小さな釣り針なのだろう。
器用なお利口さんだからな、イザとなったらそのぐらい悠々たぐり寄せて見せるんだろう」
「簡単に言わないで下さいよ。慌てたら簡単にぷっつり切れるかこちらが引きずり込まれます」

ネギが苦笑して言った。

「ふん。まだその時ではないと言う事か」
「ええ、その時ではないですね。
そちらでも色々と備えてはいるらしいですけど、
今の所、科学の学園都市を供給源とした「科学」サイドの利害は取り敢えず安定しています。
取り敢えず、無理に今の関係を壊すのは損だと言う程度には」

「なるほど、今、浮き足立つ様な事をしても無駄だと言う事か」
「ええ。科学の学園都市を中心に「科学」サイドを本当に揺らそうと思うなら、
世界大戦や大災害の一つや二つでも起こらなければ無理でしょうね。
こちらが得た限りの情報でも、その手の事態であっても生半可な規模では簡単に呑み込まれる、
あの街にはそれだけの問答無用なパワーがあります」

「つまり、今、何か詰まらん騒ぎを起こしても、
科学の学園都市を中心とした秩序は落ち着く所に落ち着くだけ、
実際には小揺るぎもしない、そういう事か」
「そういう事になると思います。ですから…」

「ああ、分かってるよ。折角あのバベルの塔にほそーいラインを付けたんだ。
それがラインとして把握出来る前に中途半幅な騒ぎを起こされたら
ラインが切れて終わるだけ、その危険性が高い。そういう事だろう」
「そういう事です」

>>260

「本来なら英雄君がどうなろうがこちらの知った事ではないんだが、
現状、そちらのプランに絡んでネセサリウスとウェールズが君を媒介に実質的な同盟関係を結んだ。
その同盟の立役者の怨みを買ってその矛先が本格的にこちらに向けば、
ロンドン中の鼠の穴から燻り出す事も難しくはないだろうからな」
「ええ」

ネギの返答は至ってシンプル、迷いの欠片も無かった。

「そして、魔術の側にもでっかい石頭がつっかえている。
その反感にも配慮しながら、それでもあくまで魔術サイドだ。
それが、科学サイドの最新技術を使う事を求めて綱渡りの交渉。
我々がロンドンの裏街で使えるモンなら何でも使うのとは訳が違う。
何しろ「英雄」様だからな。世界を救う、んだからな。
前途多難な話だな」

「長くは保ちませんよ、この膠着状態は」
「根拠はあるんだろうな?」
「見て来ましたから」

「科学の学園都市をか?ああ、もちろん訪問して来た事は知ってはいるが」
「ええ。科学の学園都市自体の魔術サイドとの綱渡りな関係。
僕が見たのはあの街の片鱗ですが、それでも、
あそこまでの力を持ってしまった以上、綱渡りを続けるには余りにも大きすぎて重過ぎます」

そう言って、ネギは顎を指で撫でて思い返す。

(あの圧倒的な柔らかさの中に、僕の雷体が察知した僅かな違和感。
詳細ははぐらかしたものの、世間話から聞き出した彼女がどこから来た何者なのか。
あれが、そうだとするならば…)

ネギの唇が動き、結論が導き出される。

「あり得ない、十字教は決して許さない」
「戦争でも起きそうな口ぶりだな」

僅かに浮かんだ嘲笑を、ネギの表情が打ち消す。

「なるほど」
「ええ。十字教の存在意義を賭けて科学の学園都市を討伐する。
そうした考えが武力行使に発展する」
「その確実な材料がある、と言う事かあの街には」

>>261

「それも、非常に大規模な、世界大戦と呼んでもいい程の武力衝突になります。
そうでもなければ戦端自体が開かれません。
もちろん、ギリギリまで回避を計る動きは続く筈ですが、
ヨーロッパの十字教サイドの情勢も水面下で飽和点に近づいている。
そう仕向けている動きもありますが、そこに対処しても流れ自体は止められません」

「どちらが勝つ?」
「科学の学園都市」

ネギは即答した。

「ま、そちらとしてはそうでなければ困るだろうな。
十字教が学園都市相手に雌雄を決する、そんな事をやるとするなら、
主導するのは十字教、引いては魔術サイドの中でもすこぶる付きの石頭だ。

そいつらが支配する世界、バベルの塔の支配などもう一度歴史をやり直した先の話になる。
プランが君の命とイコールだとするならば、
学園都市の敗北の先に語るべき未来はない。
そして未来を捨てるつもりは全くない、そういう事か」

「科学の学園都市にはそれだけの力があります。
少なくとも、世界を敵に回しても勝利しかねない、それだけの力です。
そして、科学と魔術の関係は新たな段階に入ります。善くも悪くも。
現状、十字教との軋轢を恐れ、魔術と科学の一線を画する建前を維持している、
例え戦争が終わったとしてもその事自体は変わらないでしょう。
しかし、つっかえていたものが外れた時、その影響はプラスばかりではありません」

「科学と魔術で箍が外れて境界線が緩くなった時、
その混沌の中から貪欲に力を欲する得体の知れないキメラや鵺が生まれる、それもあり得るか」

「その事も懸念材料ですけど、それ以上に問題なのは科学サイドそれ自体です。
僕達魔法使いは歴史の教訓として影の世界で生きて来ました。
今の時代の一般社会に生きてそこで修行をしながらも、
その異能の能力を決して知られる事の無い様に、厳しい制裁をもってその秘密を厳守して、
それを知らない人には決して知られる事の無い様に、
慎重に慎重に生きて来た、それが魔法使いです」
「………………」

「或いは、科学と直接的に協調して、
今すぐ誰かを救えるその技術をフルオープンにした方が世の中のためではないかと、
そういう考えもないではありませんが、
歴史の教訓に鑑みて、それこそ戦争レベルの議論と覚悟が必要になる事です」

>>262

「異能の力に対する持たざる者の想いは身に染みて分かっているか。
故に魔女狩りに怯え霧の向こうに隠れ住みながら、
それでもその力で人の世に関わる事を忘れない、それが魔法使いと言うものか」

「十字教との大規模な武力衝突と言う事になれば、
科学の学園都市の本来の実力、少なくとも世界規模の紛争すら制する程の一端は隠し切れなくなります。
そして、情報の流通に関する一度始まった流れは、
事、あれだけの巨大な存在に就いてはそれを止めるなんて事は成功しない。

そこまで世界が不安定になれば、もう一つ二つ、大きな戦争や災害レベルのインパクトがあるかも知れない。
科学者を含めた全ての者が理解する事の出来ない、それでいて途方もない利便性を持った技術。
そんな技術を持つ科学者はこの世界に於いてかつて何と呼ばれていたか」

「魔女、魔術師、か」
「上から下に、科学の学園都市から外部に、
技術的には一方的に支配されている、科学サイドは今でもその通りです。
それなりのインテリであれば、知識としてその事は理解している。
しかし、何れその事は実感されます」

「自分達がブラックボックスの得体の知れないウィザード、モンスターに支配され、
事によっては世界の生殺与奪の権すら握られていると実感する時が来る。
世界そのものが学園都市と言うモンスターを恐れ、動き出すその時であれば、
外から内に繋いで釣り針を呑み込ませた細いラインを手繰って、
世界が学園都市を離れるそのドサクサにエンデュミオンをぶっこ抜く事も可能。
そういう仕掛けか」

「僕はプランを成功させなければなりません。そのために軌道エレベーターは何としても必要です。
その必要を僕はエンデュミオンに賭けた、それがプランの要です。
だから科学サイドの、科学の学園都市のゴタゴタで無駄な時間を使っている暇もありません。
避けられない、起こると分かっている事態であれば、
プランを阻害しない様にその予測に対して出来る手は確実に打ちます」

「さて、戦争にその上のインパクトか。
それが歴史的な必然だとして、どれ程の人命と人生が関わるのだろうな、
「魔法」の「英雄」?」
「僕は、この手で、出来る事をするだけです」

ネギは開いた右手をぎゅっと握った。

>>263

「滅び行く魔法世界をそこに住む人々を救わなければならない、それが僕の約束。
そのために一つ一つ手を打ったエンデュミオンです。
それ以外にも膨大な政治的外交的な利害調整を繰り返して来ました。
もちろん、あらゆる犠牲は最小限度に留めなければなりません。留めます。
それでも、起こる事であれば、その現実に即した対処をしなければなりません」

「まあ、あらゆる偉業は大概の場合偉大なる妥協の産物でもあるからな。
正義の行いから悪の側面が覗き悪から正義の側面が覗く」
「英雄の偉業、誰よりも知るあなたが言うのだから間違いありませんね」
「英雄としてその名を残すために悪になるか?」

「その志を果たすため敢えて悪の名を選んだ人がいました。
恐らく、数え切れない程にいたのでしょうね」
「ああ、とても追い切れない程にな」
「英雄であるため、英雄に相応しい働きをするために、
悪を為す必要があるのでしょうね」

「と、言っている内に、何れ、己への言い訳として定着するものだがな」
「その時は…僕が英雄に相応しくない、只の悪に過ぎない存在だと言うのならば、
その時は、恐らく本物の英雄に討ち取られる時になる」
「そんな者がいるのか?
その拳一つで一つの世界を救い「英雄」の名を勝ち取って見せた、
そんな漢を相手に「英雄」の名を腕ずくで否定してやろうと言う男が」

「いるかも知れませんね。いえ、います。
恐らく天下国家から見たらひどくちっぽけで詰まらない、
そんなものが何よりも掛け替えもなく大切なものであると。
その事を忘れた時には、その大切さを誰よりも知っている英雄が、
その重さを込めた拳で詰まらない悪人を打ち倒す。そういうお話しです」

「まあいいさ。読みとしては概ね妥当だ、私もそう思う。
従って、こちらとしてもその筋を前提に行動する」
「起こる事であれば、利益は最大限損失は最小限に」
「恐ろしく都合のいい注文だな英雄」
「誰だってそう考えて行動するものです。
しかし、開腹手術を患者本人が行う事は出来ません、科学の学園都市と言う患者本人が」

「イギリス清教とは昵懇ではなかったのか?」
「もちろん、イギリス清教は科学の学園都市と只の仲良しではない、
狐と狸の化かし合いの関係ですが、それでも関係が近過ぎて組織が大き過ぎる。
科学の学園都市そのものがどうなるかと言う段階では、
イギリス清教が総取りするか、そうでなければ保守的に動かざるを得なくなります」

>>264

「何れにせよ、そっちでエンデュミオンをモノにする程の主導権を握る事は難しい、
不可能と言ってもいい。そういう事か」
「ええ。プランのためのエンデュミオン、僕が見ているのはあくまでそこですから。
科学の学園都市は何れ大揺れになる。
イギリス清教をパートナーとしてエンデュミオンを確保するのも難しい」

「それで消去法の結果か、光栄な事だな英雄君に選ばれて」
「どちらからの接触だったか、それはおいておきましょう。
科学の学園都市とイギリス清教。そしてウェールズ。
余り変な方向に流れるとそちらとしても余りいい影響は無い筈です。
こちらにはこちらの立場があります。そして、そこから得るものもある」

「こちらは、あくまで裏側から状況を都合良く誘導する、か。
そう都合良く行くと思われたら買いかぶりと言うものだがな」
「小回りがきいて科学への考え方も柔軟。
あなたの頭脳と技量であれば、
繊細な仕掛けを行いながら決定的な場面に確実な手を打つでしょうね」

「煽てても何も出やしないよ。まあいいだろう。
そちらは限りなく公認に近い存在とは言え、
あの石頭共から見るならば、英雄のなんのと言っても、
お互いうろんな魔術結社同士だ。精々一口乗って利用させてもらうとしよう」

木陰から気配が消える。ネギは、木の幹に背中を預け、ふーっと息を吐いた。
そこに、駆け付けて来る者が二人。

「ああ、高音さんに、ナツメグさん」
「ネギ先生、この付近でセキュリティーから要警戒人物の警報が入ったのですが」
「いえ、特に何も」

高音の言葉にネギが応じる。

「そう言えば佐倉さんは?」
「出張です。上からの急な指示でアメリカに」

ネギの問いに、高音が答える。

「そうでしたか」
「ええ。こないだ帰って来てマカダミアナッツなんてお土産置いて向こうに蜻蛉返りですから、
一体何やってるんですかね」

ナツメグこと夏目萌も首を傾げていた。

>>265

 ×     ×

麻帆良学園都市市街地。
ネギが手を振ると、オープンカフェスターブックスのテーブルで神楽坂明日菜が手を振り返す。
ネギがそのテーブルに同席して、少しの間他愛もない世間話。

「あれ、アスナ?」
「ネギ先生?」

話も一段落と言った辺りで通りかかったのは、
柿崎美砂、椎名桜子、釘宮円の、ネギが3Aで担任するチアリーディング部三人娘だった。

「おひさーネギ君」
「アスナも、こっち戻ってたんだ」
「ん、まあね」
「すいませんご無沙汰して」
「うちらこれからカラオケなんだけど、アスナは久々だし一緒に行く?」

美砂の言葉に明日菜がチラッとネギを見て、ネギはにっこり笑って小さく頷く。

「んー、じゃあ行く」
「ネギ君も…」
「すいません、僕はこれから仕事がありますから」
「そうなんだー」
「はい。久しぶり、と言っては悪いですけど明日から僕の授業ですし」

わぁーっとハイジャンプして感涙にむせぶチア三人娘に、ネギがちょっと首を傾げる。

「じゃあねー、ネギ君」
「はい。ですから、余り遅くならない様にして下さいよー」

かくして、独り残ったネギが、両手でカップを包み込む。

「そうです。僕がやるべき事なんです。
父さんと母さんが救った、父さんが救ったアスナさんを礎とする魔法世界。
何としても成功させる。妨げるものに立ち向かう。
それは、僕がやらなければならない事なんです。
どちらに転んでも犠牲が避けられないと言うのであれば…
悪を行い世界に対し僅かばかりの正義をなそう」

今回はここまでです。続きは折りを見て。


確かに大戦やグレムリンの騒乱に紛れて動けばエンデュミオンを手にする事くらいは難しく無さそうだな
まああんまり周囲に配慮しないやり方を続けてるとオッレルスあたりにあっさり潰されそうだけど

乙です

>>267
ネギの言ってるのでエンデュミオンとってネギの暗躍がバレたら麻帆良が地獄絵図になりそうなんだが
木原とか木原とか木原とか

その前に教え子が普通に死にかけたって自覚あるのかネギ先生?

感想どうもです。

今回は、本作の続きですけどちょっと時系列とか離れた小ネタ劇場投下します。

>>266

 ×     ×

「おおおっ!」

科学の学園都市某所の路上で、青髪ピアスが奇声を発する。

「なんだー?」

近くを歩く上条当麻が尋ねる。

「レベル高っ!あの軍団。常盤台のお嬢様も」
「ん?御坂?」

反対車線側の歩道を進むのは、
御坂美琴を含む、ちょっとした軍団と言うべき人数の集団だった。

「………まーた、どっかのレベル低い研究系の暴走かにゃー………」

面子から推測を走らせた土御門元春がぼそっと言う。

「っべっ!」

上条が携帯の時計を見て叫び、ダッシュで友人達から離脱する。
丁度、青髪以下が発見したのが角を曲がってすぐだった事もあって、
そんな視線など露知らず、ズカズカと我が道を進んでいた「軍団」が足を止める。

「初春、本当にその女でしたの?」
「それが、微妙なんです」

白井黒子の質問に初春飾利が答える。

「防犯カメラの顔面認証の結果はグレー、ギリギリの数値です。
「黒鴉部隊」やシャットアウラ=セクウェンツィアの情報に就いては
元々の非公開文書も含めてネット上から実質的に削除されています」

>>270

「異常に興奮していたけど訓練を受けた動きだった。
その証言から絞り込んで探し出してくれて助かった」
「エンデュミオンに関してあの部隊が変な動きをしていたのは分かっていましたから、
削除データから内部文書の顔写真を復帰させて、それで面通ししてヒットがありました」

固法美偉と初春が経緯を確認する。

「とにかく、そうだとしたら黙ってはおけないわね」

御坂美琴の声には殺気に近いものが込められていた。

「当然ですわ。警備員による捜査の対象となっていない事が信じられませんの」

美琴の言葉に黒子が憤然として言った。

「警備員サイドでは、実質としてはシャットアウラを容疑者として扱っていません。
被害者供述調書もどこかにしまわれて封印されたとしか思えません」

初春が説明する。

「職務遂行中のジャッジメントに対する殺人未遂、それで済ませる訳にはいきませんわ」

断言する黒子だが、美琴には少なからぬ懸念がある。
やはり事件の消され方が異様だ。これはやはりこの街の「闇」に関わっているのではないか?
そうだとすると、多少の経験があるとは言え、
表の住人である彼女達を巻き込むのは本来避けなければならない。

だが、だからと言って、今回は事件の内容が内容だ、
引っ込めと言って聞く筈がない。下手をすると見えない所で暴走される。
とにかく、美琴自身が基本的な状況だけでも把握する必要がある。

「何か、騒がしいですわね」
「この近くです」

黒子の言葉に初春が言う。

>>271

「これって…メタル?」
「この音楽ですの?」

固法の言葉に黒子が聞き返した。
黒子は基本、ヴァイオリン標準装備の常盤台のお嬢様。
クラシック以外を知らないとは言わないが、
今聞こえて来ているものはそうした彼女の経験値からかけ離れ過ぎている。

「あの娘?」
「だと思います」

目標らしき相手を見付けて美琴と初春が言葉を交わす。

「でも、顔が見えませんね」
「取り敢えず、手でギター弾くまで待とうか」

建物の陰から通りを見て、初春と固法が言葉を交わした。

「キマッてるぅ」
「結構本格的ですね」
「と言いますか、許可は出てるんですのあの様な騒音の騒ぎを」

そこに追い付いた佐天涙子が金属バットの先端を地面に付けて歓声を上げ、
その先の光景を初春が確認し、黒子が呆れ返った様に言う。

「お姉様?」
「う、うん」

黒子に声を掛けられ、美琴が曖昧な返答をする。
簡単に言うと、美琴達のいる場所は空中歩道だ。
そして、その視線の先では、
路上ライブを半円に取り囲む舌を出して指を突き出すギャラリーが見えていた。

但し、場所は近くでも同じ歩道ではないので直接行く事は出来ないが、
少々遠くてもライブそのものを直接見る事が出来る位置関係だった。

中心で歌っているのはセミロングの黒髪の美少女。
体格はむしろ小柄、幼さを残すとも言えるが、
全体のきりっとした雰囲気がキメキメのボンテージを鋭く似合わせている。
それがエレキをかき鳴らしての分からない人間には騒音一歩手前のライブ。
逆に言うと、分からない人間であっても騒音一歩手前で留まる何かがある。

>>272

「これって…」

それは電気能力者としての繊細な感覚なのかそれ以外の何かなのか、
目の前のシンガーに、美琴は何か、記憶に引っ掛かる様なものを感じていた。

「どう?碧美?あの娘…」
「んー………違う………」
「え?」

固法に尋ねられた柳迫碧美が望遠鏡を下ろして首を傾げ、そして答えた。

「うん、顔はあんな感じだったと思う。だけど…」
「だけど?」
「何て言うか、私もジャッジメントで訓練受けて、
揉み合ってる内に刺されてたから分かるけど、体格が違う。
この短期間であの大きさの変化は無い」
「やっぱり…」

初春が言う。

「防犯カメラで見付けた彼女の映像、
シャットアウラの様でシャットアウラでなさそうで、そういう結果でしたから」
「はっきりしませんわね」

「はっきりしないんです。
防犯ビデオと昔の写真を照合した顔面認証ソフトの結果は、
同一人物として通用するかしないかギリギリのグレーゾーン、
それも角度によって白と黒を行ったり来たりと言う厄介な状態だと最初に説明しました。
だから、後は肉眼で確認するしかなかったんですけど」

「そうねー、ライブはあんなだけど、彼女、
本人はなんて言うか、顔の作りもシャットアウラの昔の写真よりも柔らかいと思う」

初春の言葉に、固法も賛同する様に付け加える。

>>273

加えて、初春は奇妙な経験をしている。
初春が電子的な手法でこの事件、
シャットアウラを詳しくを調査していると、奇妙な妨害を受けていた。

確かに、データ自体を隠蔽されたと言う事もあるのだが、それだけではない。
クラッキングと言った事とは根本的に違う、
どう言う訳か後から考えると理論上はケアレスミスと言うのか、
探している内に進路に齟齬が出て来てゴールに辿り着かない。

それを注意深く潰して先に進もうとすると、敢えて例えるならば、
丸で二十年前のパソコンでも無理やり使わされている様な、
誰かに妨害されていると言う感じではないが上手くいかない、
そんな変な感じで検索作業が妨害されていた。

卓越した技術と勘で辛うじてそれをくぐり抜けてここまで漕ぎ着けたのだが、
言語として理論化出来ないので、その事を初春は説明出来ていない。

「はわわわわわ」
「若いわねぇ」

佐天が口の前で両手の拳を握り、固法が腕組みして呟く。

「おほおぉーっ」
「ん?」

遅れて気が付いた初春が奇声を発して、
初春と話し込んでいた美琴もようやくそちらに目を向ける。
ライブでは、エンデュミオンを模した愉快なオブジェを相手に、
高らかな宣言と共にパフォーマンスが始まっていた。

「いけませんのっ!」
「黒子ぉ?ちょっと、なっ!?」
「いいいいいいけませんのお姉様お姉様があの様な目の毒ですのっ」

美琴が、おんぶお化けと化して美琴の目を塞ぐ黒子を振り回す。
その間に、連呼をもって秒と言う時間の壁に挑む戦いが始まり、
黒子は奇声を放ちながら急遽目を塞いだ手を美琴の耳に回す。

「くけえぇぇぇぇえええええっっっっっ!!!いけませんいけまんせのおおっ!!!!!
お姉様が是非にと仰るならばこの白井黒子」
「でええぇぇぇぇぇぇぇいいいいいっっっっっっっっっ!!!!!」

>>274

地面に煙を上げる黒子を残し、ようやく美琴は隠れ観客に復帰する。
視線の先のライブでは、ドロドロと録音のドラムが響き、
それに合わせておぞましい歌が始まる。

「学園長!」

麻帆良学園で、葛葉刀子が学園長室に駆け込んだ。

「うむ、関西からの報せかの?」
「はいっ!」
「地理的には科学の学園都市
七つのラッパが鳴ったが如き禍々しい反応を察知したと、
関東関西初め全ての魔法協会、
十字教三大宗派を初めとした主立った魔術団体に緊急連絡が走ったと言う」

「そうですっ!」
「只、現時点では完全な消滅を確認。
それだけのエネルギーが一瞬で消滅した事から、
まあ、気象条件の合致か何かによる誤作動と言う事でついさっき合意が成立した所じゃふぉっふぉっ」

科学の学園都市のとある空中歩道では、
シンガーが甲高い雄叫びの如き感謝と共に膝立ちになり、
観客の絶叫のど真ん中で天に指を突き出している所だった。

「どうする?」

美琴が尋ねる。

「取り敢えず、話だけでも聞いてみましょうか。
機械が誤認する程似てるって事は」
「親戚とかかも知れない」

固法の言葉に美琴が言う。

>>275

「くおおおぉぉぉぉぉぉぉらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」

覚めやらぬ余韻を突き破る怒声。

「こんな所で無許可で
なぁぁぁぁぁぁぁぁぁにやってるじゃんよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっっ!!!!!」
「あーあ、来ちゃったよ」
「当然ですの」

佐天の発言に黒子が無感動に言う。

「今度はちょーっとうるさ過ぎ、やんちゃが過ぎたじゃんよおおおおっっっっっ!!!!!」
「クロウ7より各員、総員総力を挙げ、
マイスイートルシファーオブリリスを絶対死守せよ、以上だ」
「ラジャー、我らが主は神にも等しき聖なるものを貶めし存在。
学園都市の犬共よりの絶対的死守を貫徹すべくより熱く寄り深き愛の闘争を開始する」

ぽかーんと眺める美琴達の前で、数人のアンチスキルと怒声を返すギャラリーとの押し合いが始まった。

「丁度いいわ、アンチスキルに手を回して事情聴取に噛ませてもらう?」

固法が言う。

「おいおい何かこの近くで電気系統飛んでるぞ、
どういうアンプ繋いで無茶な電気の不正使用でもしたじゃんよっ!?」
「やばっ!!」

>>276

 ×     ×

「すいません、まだ準備中で…」

麻帆良学園都市某所。
最近出来た一軒の日本料理店で、店員の制止も無視して一人の女性客が着席する。
それを見て、可愛らしいショートカットの女性店員が前掛けを揺らしてその席に向かった。
女性客は、テーブルに立った「予約席」の目印を倒して一回転させる。

「ご注文は」
「店主のお勧めDセット特盛で」

その言葉を聞き、店内に鋭い何かが走り抜けた。

程なく、いかにも酸いも甘いもかみ分けた百戦錬磨に精悍そうな大男が、
その女性客の前に姿を現す。

「ご注文有り難うございます。
このご注文は微妙な調整が必要ですので奥へどうぞ。
その前に、最初の確認を。コースは………」
「はい。だ………だだだ………だだだてだだだだだだだてだだてだだてだだだ………
ごめんなさい出直して来ますっ!!!」

女性客は、ばびゅんと店を出て行った。

>>277

 ×     ×

科学の学園都市某所。
土御門元春が携帯を使い電話を受けていた。

「じゃあ、帰っちまったのかにゃー?」
「ああー、巻いたツインテールの可愛い娘だったのよなぁ」
「つぅーっ、惜しい事したぜい」

「全くなのよな。堕天使なんて最高だったのよな」
「おいおい、ありゃあフェアリーで行くべきじゃないのかにゃー」
「いんや、あれは堕天使なのよな」
「見たろ、あんな可愛い娘、妖精さん方面でいくのがだにゃー」

「いやいや、だからこそなのよな。
ああ言う真面目で大人しそうだからこその堕天使、
ご注文の動機がアレなんだろ。それで背伸びして背伸びして
もじもじされたら一発鼻血KOなのよなあっ!」
「うんうん、それは一理あるにゃー」

「それにあの娘、ほそっこい感じだけど中身結構むっちりなのよな」
「そこまで見抜いたか!?」
「おおーっ、堕天使も堕天使、紐バージョンまで開発してる我ら、
破壊力ダイナマイトでいけるのよなっ!!」
「いやいや、だからこそだ、清楚な妖精のさり気ない切れ込みから覗く
絶妙なる絶対領域がにゃー」

「まどろっこしいのぉ…ん?おおっ」

>>278

「どうした?」
「まーた可愛こちゃんご来店なのよな。特別メニューだったら最高だ」
「ほーう」

「ああ、すらっとスタイルのいいパッキン美少女、
お?ボンテージか?」
「何?」
「おお、ボンテージ決まってるのよな。
すらりとしていながら出るトコ出てるからアピールばっちり」
「おい…」

「いや、何だあの後ろからぞろぞろと黒マント………」
「おい、ちょっと待てっ!!………」ツーツーツー

土御門がつーっと汗を浮かべて切れた電話を眺めていると、
同じ番号から着信した。

「…もしもし…」
「その節は様々に色々な意味で大変お世話になりました。
つきましては、そちらでご用意いただいた実に奇抜な装備の数々、
土御門元春プロデュースtheベストオブメイドコレクションと銘打って
しかるべき所にご連絡申し上げましたので。
それではご機嫌よう」ツーツーツー

一方的な棒読みを聞き終えて、土御門はごくりと息を呑む。
背後から微かに聞こえるのは清掃ロボットの走行音。
この科学の学園都市では珍しいものではない。
但し、土御門の耳には分かる。
清掃ロボットに上から掛かっている負荷が、
その走行音に僅かな違和感を与えている事を。

今回はここまでです。
次回も小ネタ劇場の続きです。
続きは折を見て。


本編は終わったのか…
もうちょいいろんな取り合わせのバトルを見てみたかったんだがなぁ
神裂以外の聖人とか第二王女、騎士団長、傾国の女…フィアンマより少し格下くらいが一番殺し合いの見応えがあるキャラが多いのに一人も戦わずに終わるとは…

乙です

それでは引き続き小ネタ劇場で
今回の投下、入ります。

>>279

 ×     ×


再び麻帆良学園都市某所の日本料理店。

「怪しげな霊装を密売していると言う情報を得て来てみれば。
まあ、そちらの方の危険は無い様ですが、
では一体誰ですかこの様なアホな事を始めたのは?
組織全体の意向とも思えませんが」

店内の方々に影法師を配置して腕組みする高音を前に、
天草式十字凄教の意思統一は一名を除く指の向きで素早く示される。

「おおおおいっお前らあっ!!!」
「なるほど、よく分かりました。
それはそれとして、あなた達は一体何を考えているのですか?」

高音の声はより強いものになる。

「関西呪術協会を経由して、
エンデュミオンの事件にも少々絡んでいたと言う非公式の報告は聞いています。
しかし、それも既に解決しています。

いくらこちらが科学の学園都市などと比べて緩い土地柄とは言え、
「魔法使い」の本拠のど真ん中に、
現在はイギリス清教の「聖人」にも深い関わりを持つ独立魔術勢力の主要構成員が
ぞろぞろ現れて店をオープンする等と、それが一体どういう意味を持つか…」

「我らは敵なのか?そのど真ん中に乗り込んで来るとは、
なかなかいい度胸よのぉ、惚れ惚れするのよな」

ニッと笑った建宮斎字を高音がギロッと睨み付ける。

>>282

「ご心配には及びません。
サイズの関係で表に待たせているだけですから、
イザとなったら出入り口など幾らでも拡張する事は出来ます。
それに、あなた達は私達の敵なのですか?」

「いいや、出来れば仲良くさせてもらいたいのよな」
「の割にはいかにも挑発的ですが」

「おう、確かに少々野郎って生き物に対して挑発的なメイドファッションの数々を」
「いつわこのばか殺していい?」
「一応いないと困りますのでおはぎ程度にお願いします」

棒読みで尋ねる高音に五和が淡々と応じる。

「それにしても…」

すたすたと高音に近づいた五和が、高音の胸の辺りをこんこん叩く。

「話には聞いていましたが、本当に頑丈なんですね」
「無論です。そのままでも三倍、肌にぴったり密着させれば七倍の防御力を誇る優れもの。
何なら試してみますか?」
「いいんですか?」
「支配権はこちらにありますから、
どうせならこちらの実力を少し知っていただきましょう」

かくして、高音と五和、それに浦上、対馬も加わり、
小上がりに上がり障子が閉じられ中から簾が下ろされる。

「おおっ」

その面々が出て来た時、残った面子が声を上げた。

「ほぉーお、これが」

建宮が、そのゴシック調の黒衣を上から下まで観察する。

>>283

「先ほども申し上げましたが、三倍から七倍の防御力、
話に聞くトリック攻撃も著しく制限される筈です。
つまり、こちらと喧嘩しよう等と馬鹿な事は考えるな、と言う意味です」
「無論なのよな。
本拠地のど真ん中で「魔法使い」とやり合うには我らじゃあちぃと苦しいのよなぁ」

「それを理解しているのなら、今後建設的な話し合いに応じて下さい。
無用の衝突は避けたいものですが、
こちらに踏み込まれてはいそいですかで終わらせる程お人好しでもありませんので」
「了解したのよな」

その時、奥のドアがガチャリと開かれた。

「パーツ色々見せてもらったよ。いいモン揃えてるな建宮さん。
後でまとめて注文するから…高音さん?」
「長谷川さん?何故ここに」
「何故って、高音さんこそどうして?」
「そうですか」

棒立ちになった高音がぽつりと言った。

「そうですか、そういう事でしたか。
今度は天草式十字凄教が関わって又白き翼が太陽系が破滅する程の大事件の予感で
こうしてはいられません直ちに情報を収集して今度こそ蚊帳の外などと言う…」
「もしもーし」

抑揚のない声でぶつぶつ言い始めた高音に長谷川千雨が声を掛け、
五和と顔を見合わせて首を傾げる。
そこで、ガラリと玄関が開く。

「あ、すいません、ちょっと取り込み中…」

「よぉーっす。
ちょっと色々あって片付くまで学園都市から出てろって事でさ、
で、こっちに店出したんだって?
ちょっと寄ってみたんだけど、表の黒い蛸人形の愉快なオブジェあれ作ったのか?

あれ、オマエ、こないだの魔法使い?
麻帆良だからいても不思議は無いか、こないだは色々大変だったな。
元気だったかなんか顔色悪いけど」

すたすたと入店した上条当麻は、気楽な仕草で高音・D・グッドマンの肩を右手でぽんと叩いた。

>>284

 ×     ×

麻帆良大学病院病室。

「街が変わってもラストシーンがこれってどういう事なのかな?
というか説明したよね?前スレの>>81でちゃんと説明したよね?
つまり、わざとだね、わざとなんだね、
とぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
ま?」キラーン

 ×     ×

ネギま!暦2009年

「かんぱーいっ!」

麻帆良学園都市内の居酒屋チェーン店の小上がりで取り敢えずビールを掲げていたのは、
柿崎美砂、釘宮円、椎名桜子、和泉亜子のカルテットだった。

「ビールが旨い」
「いい汗掻いたから」
「ひっさびさだもんねーっ」

一同実に清々しく旨いビールで喉を鳴らす。
つい先ほどまで、バンド活動「でこぴんロケット」として、
大きいとも言えないライブハウスでアンコールまで終えたコンサートのその後の事だった。
本日の成果やその過程を肴に賑やかにビールを空ける事暫し。

「でもねー」

既にほんのり赤くなった円が、しみじみと語り始めた。

「今でも結構きっつかったけど、社会人になったら厳しいよねー」
「んー、流石にねー」

美砂が同意する。ここの一同は将来の目標はほぼ決まっている。
その結果として現状学生だったり違ったり、
そんな、決して容易くはない時間の中で漕ぎ着けたのが今回だった。
そんな面々は、店内がちょっと静まっている事に気付いていない。

>>285

「じゃあ、いっそプロデビューして見る?」
「ん?」

ようやく気付いた円がそちらを見る。
靴脱ぎからこちらに来ようとしていたのは、見慣れない美少女だった。

「えーっと、誰?取り敢えず未成年?」

円が美少女に尋ねる。
中学生ぐらいのほっそりした感じの白人少女、
長い金髪に紅系のゴシック・ロリータがよく似合っている。
場違いにしてお人形の様な美少女ぶりが、ちょっと彼女の通り道に沈黙を呼んでいた。

「だいじょーぶ、私の連れだから」

その少女の背後から現れたのは、朝倉和美だった。
そして、朝倉共々でこぴんロケットの小上がりに上がり込む。

「で、この娘誰?」

美砂が改めて尋ねると、少女は名刺を差し出した。

「コンサルタント………代表?………」
「謎の天才少女」

和美が言い、ざっくり書かれた百科事典ページを表示した携帯を渡す。

「本人も出自を覚えていない孤児からアメリカでの養父母に恵まれて
天才的な頭脳で飛び級、企業経営を経て現在に至る。
私達にも無関係じゃないよ」
「どういう事?」

>>286

「ブレーン、或いは黒幕。
その桁違いの天才ぶりでね、公社とかいいんちょ那波さんトコとか関連企業とか、
すっごく食い込んでるんだわこの娘」
「へぇーっ」

和美の言葉に亜子が感心した様に言って少女を見る。
やはり、こうしてちょこんと座っているとお人形の様だ。
大きなイヤリングが又アクセントになっているが、それもバランスを崩していない。

「そういう訳で」

和美による紹介が一通り終わった所で、少女は口を開いた。

「プロデビューと言うのはどう?」
「プロ、って私達が?」

亜子の言葉に少女は頷く。

「でこぴんロケット、流石に最近の練習不足は否めないけど、
磨けば光るものを持っていると思うわ。
広告を扱って来たから芸能関係にも相応の実績はあるのよ」
「そうなんだー」

言って、円は天を仰いだ。

「ええ。元々人脈的にも裏の関係で非常に関係が深いと言う事もあるし、
今も言った通り才能の輝きがある。
だから、エレベーター関連の事業のイメージキャラクターとして起用すると言う話は、
これは決して夢物語ではないわ」
「悪いけど厳しいなー」

言ったのは、美砂だった。

「私達、地道に社会人するつもりだからね。
亜子なんか特にそうだけど、本当にやりたい仕事があるって訳だし。
魅力的な提案ではあるんだけどねー」

>>287

「そう、残念ね」

少女の反応はしごくあっさりしたものだった。

「?」

視線に気付き、桜子が自分を指差す。
少女はこっくり頷いた。

「私には、一桁の年齢の記憶がほとんど無い。
きっとロクでもない記憶だったのでしょうね。
後は彼女が説明した通り、どこかの国の孤児がアメリカの富豪の養子になって、
才能と努力で大学に飛び級して株式の世界で成功した。
経営者として情報を集める内に、全てを擲つ価値のあるプロジェクトを発見した」

「それが、今進められている宇宙のプロジェクトなんやね」

亜子の言葉に、頷く事で返事がなされる。

「ええ。本当に全てを擲って、そして賭けには勝ったみたいね。
プロジェクトは私を必要としている、少なくとも役には立っているみたい。
がむしゃらに生きて来て、それが悪いとは思わない。
今の所充実した人生だと思うわ。

努力はした。だけど、努力が出来るスタートに立てた時点で、
正体不明の孤児としては宝くじなんてレベルじゃない幸運にも恵まれた。
ねえ、椎名さん」

>>288

「ん」

声を掛けられ、桜子は同意の表情を見せる。
他に反応の仕様も無い。

「そんな私がね、どこか惹かれるのよあなた達に。
音楽、もしかしたら遠い昔に何かあったのかしらね?
知らない過去なんて振り返るつもりもないけど、
運命とか奇蹟なんて、口に出せば陳腐な言葉を体現している私の中のどこかに。

ええ、もちろん、声を掛ける以上はビジネスとしてもきちんと考えているわよ。
でも、それだけでは済まないどこかで惹かれる所があるの。
ねえ、椎名桜子さん」

今回はここまでです。

まあ、考証的に言えば、ちょっと学園都市出てろって言われて、
ナノデバイス入れた上条さんの行った先が麻帆良学園都市でした、とか言ったら
討伐部隊出されるレベルの話ですが…

小ネタ劇場はここまで、次回は本編行きます。
と、言っても、大方終わっていますけど。

まあ、それが私の力量と見て貰ってもいいのですが、
元ネタがエンデュミオンでそれに沿った場合、政治的にどこまで広げるかも難しいです。
殲滅白書とネギを絡められないか割と真剣に頭を悩ませたりもしましたが…

続きは折を見て。

乙です

それでは本編再開
今回の投下、入ります。

>>289

 ×     ×

聖ジョージ大聖堂の執務室で、
デスクについた最大主教ローラ=スチュアートが神裂火織に一通の書状を渡した。

「あくまで私的なものと言う形式なれど、
我が身を省みず宇宙見学中の学生の安全のために一方ならぬ尽力をたまわったと、
かくいう理由にて先方より感謝状が届きたるのよし、受け取るがよき事」
「つまり、事を荒立てるつもりはない、と言う非公式な外交メッセージですか」

一礼して受領しながら神裂が言う。

「まあ、そう思うてよき事よ。
今回の件に就いては、魔法の側にも色々とありたる事故に」

言いながら、ローラは机の上で裏返っていた写真を手にする。

「女狐に子狐、まこと、土御門はよく言ひたる事」
「?」

ローラは、首を傾げた神裂に写真を見せる。

「これは………日本で流行っているコスチューム・プレイと言うものですか。
ファンタジーとして獣と組み合わせる事も行われているとは聞きましたが、
それにしても、可愛らしい女の子ですね」

神裂の返事を聞き、ローラは実に面白そうな笑みを浮かべて写真をデスクにしまう。

「まこと。これも、ちょっとしたカードぐらいにはなりけるかしらヒーロー殿?」

>>291

 ×     ×

「科学の学園都市を訪問したネギ先生が、
それ以前の調査も含めて麻帆良に異常を察して調査の要請を行った。
ところがその書類が、こちらの事務局の段階で受理印だけを残して事務的なミスで紛失したらしく、
その間に事態が切迫したので、やむなく従者に調査指示を出した」

麻帆良学園都市ダビデ広場の一角で、高音・D・グッドマンが長谷川千雨に告げる。

「これが、今回の事件に就いて麻帆良学園、
引いては関東魔法協会が下した非公式の公式見解です。
科学の学園都市で実際に、地球が破滅する規模の大事件が進行していた。
しかもそれが科学、魔術双方に跨る事件であったために、
責任ある立場で事件の存在を知る者は皆、事件が裏の世界であっても表面化する事を望まない」

「闇から闇、そういう事ですか」

「そういう事です。そのためにあなた達は助かったのです。
科学の学園都市及びイギリス清教は、
その過程で嫌でも目に付いた筈の麻帆良学園に関する協定上の逸脱、
それに就いて深く追及する事は出来ない。

それ以外の魔術勢力はそもそも一連の事件を知らない。
科学と魔術を交差させたバベルの塔によるアルマゲドン計画など、
もしも魔術サイドでも頑迷な大勢力の耳に入ったら別のアルマゲドンが発生します。

麻帆良学園としても、実際に公式訪問中の科学の学園都市で地球規模の緊急事態と言う現実があった以上、
「英雄」でもあるネギ先生の名の下に強行されたネギ先生の従者を含む形式上の越権行為は、
言わば全ての法律をすっ飛ばしてでもそうしなければ魔法使いとしての憲法を守る事が出来なかった。
そう見るのが妥当な状況下における魔法使いとしての現場の判断として不問に付す。
こちらの学園、協会はそういう判断をしました」

そこまで言って、高音は改めて千雨の目を見据える。

「いいですか、あなた達はあくまでネギ先生の従者として、
ネギ先生の責任の下で助命されたのです。
この様な横紙破り力ずくのルール違反のねじ伏せ、こんな事は二度とありませんから、
そのつもりで決して勘違いの無い様に、いいですね」

高音の言葉に、千雨は深く頭を下げた。

>>292

「密約…」

頭を上げた千雨の前で、高音がぽつりと言う。

「ドサクサに紛れて誰かが科学の学園都市とイギリス清教に、
一連の逸脱を不問に付する密約を呑ませた。そう考えるのが自然です」
「誰かが?」

高音の言葉に千雨が聞き返す。

「上の方で色々とあった様です。
正直、今回の決着に就いては関東魔法協会、麻帆良学園警備の正式所属である
私から見てよく分からない事が多い。
長谷川さんは何か聞いていますか?」

「ん?いや、私は特に」
「ネギ先生からは何か?」
「いいや、あれからも全然顔合わせてない。
うちのクラスのチア部が授業に復帰するみたいな情報掴んで来たけど、
それも直後に急用だかで流れたって話だ。今日も何人か謎の欠席してるしな」

「そう、ですか」
「高音さん?」

ついと横を向いた高音に千雨が声を掛ける。

「いえ、何でもありません」
「それに関しては高畑先生からも話は聞いてる。
むしろ、本来の目的であるエンデュミオンでレディリーがやりたい放題やらかしたから、
その後始末で前にも増して奔走する羽目になった、ってさ」

そう言って、千雨は天を仰いだ。

「もちろん、今回の事件と私達の事も色々聴かれたけど、
どやされるよりも冷たい言葉よりも応えたよ」
「それは何よりです。
そうであれば私からは以上です。くれぐれも勘違いの無い様に」
「分かりました。今回は本当に色々とご迷惑をお掛けしました」

>>293

「で、ある事をよく覚えておいて下さい。
鳴護アリサさん、ですか」
「ええ」
「条理を覆し滅びにも救いにも通じる程の奇蹟の歌。
しかし、その様な事は関係無かったのですねあなたには」

「ええ」
「あの面子の中でも常識的で賢いあなたなそうさせたもの。
力には責任を伴う。何に対して責任を負うのか、大切なものに対して。
行きなさい」

千雨は、もう一度頭を下げてその場を離れた。

「上の方で、色々あった様です」

その背中を見送り、近くの低い塀に腰を下ろした高音は、
ふと呟いて親指の爪を噛む。

「そもそも、私達は何故鳴護アリサの調査に着手した?
誰の意思で何を思ってその様な指示を出した?誰がどこまで知っていた?
ネギ先生の目的がエンデュミオン。
同じ時期に好き勝手なイレギュラーとして潜入していた。
イギリス清教、レベル5まで引っ張り出された上での迅速な政治的決着…」

呟いて、高音はふっと笑う。

「ネギ先生の性格上、最も嫌う事の筈。
何よりも生徒の安全を優先し、
生徒が危ない事に首を突っ込もうとするなら率先してそれを止める、
むしろもっと人を頼れと言われ続けている程の優しい少年、
そんな私達の「英雄」ではありませんか。
何れにせよ、このままではいけませんね」

そして、高音は立ち上がる。

>>294

「元々それなりの機密はあったとは言え、
プランが動き出してから徐々に進行している、組織の政治的に過ぎる傾向は少々目に余ります。
今回の事件に関しては改めて顕著です。
伏魔殿に甘んじている訳にはいきません。
微力ながら妹達を預かる身としては」

ようやく、仕掛けた魔法が時限解除されて周囲に人が戻り始める。
だが、高音は知らない。それ以前より、電子的手法でその効力外からの観察を受けていた事を。
確かにその観察は複数の目と耳により複数の脳へと情報がインプットされていた。
その観察者達同士を比較した場合、最新鋭の科学的な顔面認証、DNA型鑑定をもってしても、
別人との結論を出す事が躊躇される程に著しく酷似していた。

 ×     ×

その話術をフル活用してついでにコネを若干濫用して確保した学校内ベッドに於ける快眠の後、
たった今切った携帯を別の場所にかけ直しながらベッドの上に座り直す。

「もちろん簡単ではないけど、上手くやれば上とは別に、現場レベルとのパイプが繋がりそうだけど」
「ほう、脈ありと言う事か?」
「坊やは事を少しシャープに進め過ぎて、現場に齟齬が生じ始めているみたいだけど。
他人を動かしながら大きな仕事を推し進めるには、お利口さんだけでは足りない。
その事を理解するには少々年を食って痛い目を見なければ理解出来ないものだけど」

「実に説得力がある。クイーンの方はどうする?」
「もちろん、メインに直結している彼女との関係が最優先だけど。
聡明にして優美、それでいて熱すぎる程の情熱を秘めた女傑にして高貴な姫、
クイーンと呼んで大袈裟な所は欠片も無い相手だけど」

「確かに。そして君がそういうのなら間違いは無いだろう」
「そしてそれは、あくまで上の肩書きを前提にした関係だけど。
だから、このルートが成功したら下の、本当の力の片鱗でも掴む事が出来るかも知れないのだけど」

「あの学園の真実の力、事によっては」

「或いは、磨く前の宝石。
事前にも最近にも、霞の掛かった様な防壁に阻まれながらもじわじわと収集した情報の結果、
暫定的に「魔法の学園都市」と外で口に出しても視線を外されただけで済みそうな名称に至った、
もう一つの学園都市に可能性の存在する、「もう一つの能力」。
あのクイーンが宇宙を欲してまでコントロールしようとしている何か。
案外足下から核心に近い所に迫る事が出来るのかも知れないのだけど」

>>295

「外の、そして能力の根幹にも関わりかねない事、となると、
迂闊なやり方は出来ないな」
「無論だけど。この線で下手な動きをしたら統括理事の一人や二人、
そこにくっついてる影のブレーンとやらなんてどうにでも、だけど。
ここで死ぬにはこの街にはやる事が山ほど残っているのだけど」

「それを理解しているのならいい」
「じゃあ、そういう事だけど」

かくして通話を打ち切った後、携帯を操作して今度はスケジュール帳を表示する。
本来の公式な身分に於いての日常を示している所の、
一日の半分ほどを五つだか六つだかに区切った予定表だった。

「たまには、体を動かすのもいいんだけど。
面倒だから着て行こうか」

携帯をポケットにしまい、鞄を漁る。
そして、競泳用の水着を引っ張り出してベッドの上に戻る。
ガチャリと保健室のドアが開く。

「不、幸、だ、
や、はり、胃腸の頑丈さを暴食シスターと張り合ったのが間違い、だった。
食費節約の誘惑に負けて、インデックスが、食えてたから大丈夫、だろ、おお、とおおおっ」

上条当麻が床に放り出されていた鞄に蹴躓き、
白いカーテンの区切りをがしっと手掴みにしたままその体重でカーテンの強度を軽々と凌駕する。

「こら待て上条当麻っ!!貴様どこかに姿を消す前に、
今日こそは係の希望配置、提出するまで逃すつもりは無いんだからなっ!!」
「とうまー、お昼ご飯忘れてるんだよーっ!」
「上条君。小萌先生が呼んでる」
「ちょろっとここの先生から論文を預かって来て欲しいってたたた頼まれただけで
あんたの顔を見たいとかそんな事はゼンゼンナインダカラネッ」
「近くにお店出すのでおしぼりセット持って来ましたーっ」

間違いなく本来の目的の真逆を突き進みそうな保健室空間の禍々しい歪みを余所に、
ひょいと隣のベッドに飛び移り、後に残った作業としてさっさと水着と制服を身に着ける。

「相変わらず、お前は意味不明な事になってるけどなぁ」

その一言だけを残して悠々と保健室を後にした。

>>296

 ×     ×

麻帆良学園都市某所。

「とまあそういう訳で、
うちの天才過ぎて手に負えない先輩がみょーな関心持ってるらしいから、
そっちのお姉様にみょーな気配が無いか、
ちょっと注意しといてくれないかにゃー、お互いの平和のために」
「要件は承りましたが、留保しておいた質問に移ってよろしいですか?」

電話を受けた佐倉愛衣は淡々と尋ねる。

「何なりとドンと来いですたい」
「どうしてあなたが番号非通知でも絶対出なければならない事になっている
私の携帯の番号をご存じなんですか?」
「それはもちろん、企業秘密ですたい。
それ相応の情報交換で、と言うのなら考えないでもないんだけどにゃー」

「情報交換、ですか?」
「そ、それなりの重要機密情報と交換で。
例えば、メイちゃんのスリーサイズとか」
「ユニークな暗号ですね。
つまり、各勢力とは無関係な土御門元春個人として
麻帆良学園に宣戦を布告するから総力を挙げて消し炭にするつもりで掛かって来いや。
この様に解読して上に通達して欲しいとそういう事ですね」

「ま、待て待て待て、メイちゃんにとってもとぉーっても朗報、
悪くない情報交換ですたい」
「どの辺りがですか?今すぐそちらに直径3メートルほどの火炎ボールをお届けしなくても
頭痛が沈静化するぐらいにはいいお話しなのでしょうか?」

「そりゃあもちろんメイちゃんみたいな可愛こちゃんが
これでチラ見せしながらするっと紐を解いて抱き付いたらそれはもう、
相手がどーんな鉄板幼馴染み同居カップルだろうが横取り上等NTR必勝確実、
キューティーセクシーダイナマイトな大精霊チラメイドストリングバージョンを
オーダーメイドジャストフィットで特別に…」

佐倉愛衣は、すぅー、はぁーっと呼吸を整え、一言宣告する。

>>297

「ご愁傷様です」
「へ?」
「遺言はお済みでしたか
あ、に、さ、ま?」
「おおおおおネコミミ和風メイドの天使様がぁぁぁ……………」ツーツーツー

テレビ電話ではなかったが、
その張り付いた笑顔など想像だけでも十分克明なものだった。

場所は再び科学の学園都市。
とあるマンションの屋上で、砂皿緻密は望遠鏡を下ろしふっと笑みを浮かべる。

「やめるの?」

その側でステファニー=ゴージャスパレスが言い、砂皿が頷く。

「今回は見送りだ」
「そう。ま、私もどっかの高校の保健室に、
なんて正直気が進まなかったから」

「本業か。それこそ貴様に任せたら阿鼻叫喚の巷と化すからな。
まあ、これは俺の勘だが、恐らく今回の仕事、
俺が仕留める前にキャンセルが来る。そんな予感がする」
「奇遇ね。行きがかり上受けたは受けたけど、
裏の流れがなんとなーくそんな風になりそうって、それは分かる。
ま、命拾いしたって事ね」

とある廃ビルの屋上で、
龍宮真名が、たった今まで砂皿緻密を映していた望遠鏡を下ろす。

「命拾いしたな」

龍宮真名は呟き、ギターケースを肩に掛けた。

「もしもし麦野ー、
例の色黒ノッポ、望遠鏡覗いただけで帰っちゃうみたいなんだけど、
このままビルごと吹っ飛ばしとくー?」

「やめろ、やらないってんなら依頼の外だ、放っておけ。
例のイレギュラーの関係で間違いない。
仕事ってんならやるが、余計ないざこざやっていい相手じゃねぇ」
「はーい。結局、命拾いしたって訳よ」

>>298

「と言う訳で、
フレンダ=センヴェルンさんは退散するみたいですー。
追跡しますかネギせんせー?」
「いえ、こちらもそのまま引き揚げて下さい。
手を出さない以上、深追いしてはいけません。
図書館チームの戦力で逆襲されたら危険過ぎます」

「了解しましたネギ先生。
その通りです。武力だけで言えば私達の適う相手ではありません。
知略も含めた全面戦争に至ったとしても七割方我々が負けるです。
お互い、命拾いしたです」

「つまり、動きは無いと言う事か。
ならば別に構わんよ。精々データを披露してくれればいい。
今の君の利害であれば、それは所詮プランの内だ。命拾いしたな。
楽しみに待たせてもらうとしよう。
星々を制するバベルの塔、それが相応しいのはこの学園都市か。
君の創り上げる新しき都とやらか」

今回はここまでです。
続きは折を見て。

乙です

ここの作者、ほんとによくがんばるなー
尊敬するわ

がんばって完結させてくれ

最初にお断り
今回、本編も小ネタも投下はありません。只のコラムと企画です。

現状を申し上げますと、
こないだから言ってる通り作品自体は大方終了近くです。
それで一月終わっちゃいましたから終わる終わる詐欺と言われても仕方がない所ですが。

ちょっと気になる事がありまして。

なんか、本作の状況でこのまま進んだら、その内

「ネギ野ー、仲直りしようぜー」

って感じのお誘いを受けそうな感じなのですが…
実はこの主人公二人の衝突って、実現したら結構洒落にならないのではないかと。

以下、かなり適当な話をしますんで、間違ってたらすいません。

ネギが雷体化して対決した場合、もしかしたら
上条さんが塵になるかネギがまんま消滅するか二つに一つの激突になるのでしょうか。
禁書だとオカルト魔術上等でも幽霊、霊魂の類の直接は無かったのかな。
ゴーストのある存在でも風斬は幻想殺しで消されるぽいしネギの雷体は弐の太刀で斬られてましたが。

ネギの分析力を考えると、ベースは只の男子高校生(嘘だっ!)
右手は幻想殺し、両方の意味から雷体での闘いは避けるでしょうね。
その場合、意外とネギの方がヤバイかも。

上条さんは経験上大概の仕掛けを見破りそうな上に、
一応総合力でネギが上だとしても簡単にはやられないから、
「戦いの歌」なんかは十に一つか百に一つかのチャンス狙って
右のワンパンから直接ダメージの上に防壁解除、そっから畳み掛けの逆転劇が出て来そうだし。

「雷の暴風」ぐらいなら右手で凌げそうだけど、
その上だと処理落ち確定のペンデさんその他と比較してどのぐらいの火力なのだろうかとか。
最初のお誘いの元ネタから見て、
ゼロが幾つもつくタイプの光の矢の数で圧倒、も出来ない予感。

>>302

オーソドックスに、右手が触れる前に肉体に戦闘不能な一撃をぶち込んで終わらせる。
これがネギの勝利条件で本来、双方の戦闘力の数値的には出来ない方がおかしい話なのですが、
上条さんの場合、その辺分からない所がやたら多い訳で。
体育祭で言ってた通り、ネギは本当に普通に魔法強化使ってるから上条さんの右手は「毒手」、
上条さん自身がそこそこ強い(って事にしとく)事もあって
一度「毒手」に触れたらネギが体勢立て直す前に一気に、って危険性は決して小さくない様な。

只、ネギの側でも幻想殺しは察知するでしょうし(本作では既にしていますが)、
それに対する対策や覚悟もするでしょう。
体育祭で見る限り、魔法使用不可の素の状態でもアーティファクト込みで暴走した古老師を
受け流して一本取る程度には拳法家として普通以上に強い訳で、
学園祭の予選バトルロワイヤルでも素でしたっけあれ?

いわゆる素の格闘勝負では本物には勝てないって上条さんにとって、
古老師なんかはむしろ仮契約カード抜きの方が余裕で最悪の対戦カードですよね。
取り敢えず、魔力抜きの殴り合いをした場合、
少なくとも本気の土御門に勝てるぐらいにはネギは強い、と見てもいいのでしょうか。

雑談に続きまして、最終回直前企画。
今回のクロスの性質上、あっちこっちでバトルが展開してまして、
正直ストーリーよりもやってみたかったって対戦もあった様な気もしますが。
そういう訳で、書いてて随分楽しませていただきました。

つきましては、印象的な戦いや自分のベスト何位やらその感想やらを募集してみます。

大小色々な対戦の中から、
なんかほぼ全部な気もしますが重複あり複数回対戦ありで主要なものをエントリーして見ました。

最初の公園の戦い
長谷川千雨vs初春飾利
佐倉愛衣・上条当麻vsステイル=マグヌス・神裂火織
千雨チームvs超電磁砲チーム
犬上小太郎vs御坂美琴
長瀬楓vs白井黒子
ギリシャ電子魔術vs長谷川千雨・綾瀬夕映・初春飾利・御坂美琴

佐倉愛衣・犬上小太郎・御坂美琴他
vsジェーン・メアリエ・マリーベート(フルネーム略)・ステイル=マグヌス

続く

>>303

ネギ・スプリングフィールドvsネセサリウス学園都市派遣組(姫神抗争)
神裂火織vs桜咲刹那・神楽坂明菜・近衛木乃香

神裂火織他vs
フェイト・アーウェルンクス・フェイトガールズ・タカミチ・T・高畑・麻帆良学園学園警備本隊

ネギ・スプリングフィールドvs一方通行
婚后グループ・御坂美琴vs図書館マイナス近衛木乃香チーム
御坂美琴vsネギ・スプリングフィールド
馬場芳郎・博士vs長谷川千雨他
垣根帝督vs犬上小太郎・村上夏美・佐倉愛衣
アマゾンの戦士vs桜咲刹那・龍宮真名・御坂美琴・食蜂操祈
パイオ・ツゥvs御坂美琴・食蜂操祈
ヒュドラvsアイテム・桜咲刹那・佐倉愛衣
ヒュドラvs桜咲刹那・佐倉愛衣・ステイル=マグヌスとその弟子三名・土御門元春
アイテムvs明石裕奈・長瀬楓・桜咲刹那他
麦野沈利vs明石裕奈
垣根帝督vs高音・D・グッドマン他
千雨チーム・風斬氷華vsシャットアウラ=セクウェンツィア

レディリー=タングルロード・魔素人形軍団
vs綾瀬夕映・アリアドネー騎士団分隊・フェイト・アーウェルンクス・麦野沈利・絹旗最愛

宇宙デーモンvsネギ・スプリングフィールド他

改めて………よく無事に終わったなこいつら………

エントリー外の対戦でも歓迎です。
実際何人見て下さってるかも分からない状況で、
馴れ合い投下そのもので本当にすいませんが、
割と長い話になりましてこの企画もちょっとやって見たかったって事です。
気が向いたら荒れない程度にお付き合い下さい。

こんな感じですいませんがぼちぼち本編の作業に戻ります。

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

>>303
>魔翌力なしネギと上条さんの殴り合い
凄くショボそう


 ×     ×

前言撤回と言う事になりまして真にすいませんが、
前回の続きでコラム投下回になります。

どうせだから、と言っては何ですが、この際思い付いたのまとめて書いてしまおうと。

実際、ネギま!勢全体を見た場合、上条さんと闘ったらどうなるのか?
取り敢えず男女平等って事でその辺の後味の悪さは無視するとして。

この場合、まず「気」と言うのが分かりにくいのですが、
刹那が飛ばす遠距離攻撃も含めて気弾、狗神は消滅、
建御雷、如意棒なんかは召還解除のカード化、と言った所でしょうか。

格闘・白兵戦の玄人とまともに闘ったら負ける、と言う事なら、
その基準なら四天王、犬上小太郎は勝利。
エヴァ様も合気と人形遣いで余裕でしょう、
彼女の場合、一発ぶん殴って貰った方が本人的にいいのかも知れないですが。

何かの間違いで高畑先生とマジでやり合ったら、
間違って純然たる物理に右手で突貫してミンチにされそう。
まあ、それ以前に瞬殺級のKOでしょうけど。
他の武闘派魔法先生で上条さんから見て有利っぽいのが神多羅木、シャークティ。
逆が葛葉刀子、ガンドルも訓練済みっぽいみたいですし。

上条さんが勝つと言う意味で決定的に相性が悪いのが高音さん、
その妹分二人もまず無理ですね。
戦闘手段がほぼ魔法オンリーな図書館組も上条さんの勝ち。
相手がのどかの場合、右手連結で通常無効なのか右手を突き出してる必要があるのか。

運動部で戦闘能力のある裕奈、まき絵の魔法+スピードにどこまで対応出来るか、
魔術の強者共に粘り勝ちしている上条さんなら…と思いますが。
但し、何かの間違いでアキラをマジギレさせたら基礎部分の勝負で上条さん厳しいですね。

意外と分かり難いのが神楽坂明日菜。
ハリセン・ハマノツルギは右手に当たったら多分アベアットされるのでしょうね。
カンカホウも上条さんには無理っぽいですし。
ステゴロならかなり強いと思うのですが、それなら上条さんも同じで、
剣術並に体術の修練もしていれば元々の素養も含めて明日菜勝利、との見立て。

>>307

フェイトの場合、体術的には圧勝出来るでしょうけど、
そもそもフェイト自体がどういう存在なのかって。

魔法世界人の構造を別にした場合、フェイト・ガールズで上条さんに対してかなり不利なのは焔。
但し、早めに諦めて体術に特化したら勝ち目あり。
後の連中は、非戦闘員一名と、正直どこまでが物理と言えるのか分からないのと
結界自体が作動しないなら上条さんのワンサイド?って適当な感じな分かりくさ。
同じ理屈で「幻灯のサーカス」も発動しないのか。
流石に神様から別世界に飛ばされたりはしてましたが

月詠に至っては戦闘能力的には圧倒的に上条さん不利ですが、
上条さんが月詠とぶつかるってなったらシチュエーション的に何が何でも上条さんが負ける気しない。

後は、魔法世界人の構造を無視した場合、
あっちの強そうな人相手では大凡の所が論外でしょうね。
多分トサカにも負けるのではないかと。
アリアドネー騎士団分隊相手なら勝ち目あるかも。

おおよそこんな所で。

スレ的に多少は関連ありですが、二度に渡って思い切り私物化してしまってすいません。
今度こそ本編作業に戻ります。

今回はここまでです。
続きは折を見て。

戦闘の結果予想についてはだいたい異論は無いけど
上条さんの右手は明日菜とは違うからパクティオカードとか直接触れようものなら解除だけじゃ済まないと思うぞ
瞬時に塵になるだろうし、契約の強制解除も有り得る

>>309
感想どうもです。今回はイレギュラーですのでまずはお礼だけ。

見付かった事があったのでひっそりと追加。

>>304

主な対戦表の中に
月詠vs天草式十字凄教を追加。
むっちゃ激戦だったのに…

>>307
上条さんの対戦結果
vs超鈴音の結果が抜けてた。
まあ、格闘白兵戦能力で四天王レベルだから普通に上条さんに勝ち目ありませんが。
只、何かの間違いで呪紋モードに入ったら逆にそれを上条さんがどうにかするでしょうけど、
呪紋を止めたとしても圧倒的に超りん有利な訳で、
従ってそもそも呪紋を使う意味が分からないと言う結局は上条さん敗北決定。

>>308
で、同じく上条さんの対戦結果の抜け。
フェイト・ガールズの中で暦関連の記述が無い…
他の面々もそうだけど、フェイト・ガールズvs上条さんってマジで分かり難い。

暦のアーティファクトって、何しろ相手が主にラカンだったもんで、
一度は環とのセットで発動したけど、何しろ相手がラカンだったし。
まき絵にもあっさり奪取されたしまともに発動した描写がほとんどない。
まあ、使われたらヤバそうって事で本作中でも
神裂、シャットアウラと真っ先に潰しに掛かってましたね、ごつごうしゅ…

時間操作系って、やっぱりどこぞの黒髪ショートカットに眼帯が厨二凛々しい
悪夢に見そうな長い爪の無限に有限な愛の戦士みたいな感じなのだろうか。

>>310

で、真面目に考察して見ると、この対戦意外と面白い。
暦が上条さんの時間遅延にこだわった場合、そもそも効くかどうか分からないし、
うっかり効いたら効いた先から自分を右手で触って勝手に不意打ち状態で暦が自滅。

逆に、暦の自己速度強化で豹化から体術に持ってったらかなり勝気あり。
多分豹化した時点で格闘戦だけなら上条さんの負け。
問題は魔法世界人としての構造を無視したとして、幻想殺しで触れたら獣化が解除されるか。
それやったらペース混乱で上条さんのチャンス。

まともに行けば、高い確率で豹化+自己速度強化で上条さんの後ろを取ってしまいでしょうね。

更に更に………それで見直して見たら、
本編のシャットアウラvsフェイト・ガールズ戦で環の存在自体が丸々抜けてた…
その前の対戦、vsねーちん戦ではラカン並の非常識突破かけられてダウンしてましたが。
やっぱりシャットアウラに真っ先に潰されたんでしょうか(いや、無理だって)。
はいそうです、どう見ても私のミスですすいませんでした。

重ね重ねスレチ的な話を引き延ばしでマジすいませんでした。
今回はここまでです続きは折を見て。

乙です

フェイトのネーチャン達って存在自体がファンタジーだから
上条さんに触られただけで危険なんじゃないの?
ラカン氏もそうだけど気合いで何とかしそうだw

速筆先生カマち!

感想どうもです。

>>306
それでもかなり強いと思いますよネギ君は。

>>309
あー、やっぱそこまでいっちゃいますか。

>>313
確かにそれで理にかなっているんですが、それを言ってしまうと魔法世界人に関する想定は終わりですね。
その要素だけ抜いた場合、上条さん魔法世界の相手だと多分トサカにも勝てない
(と言うかネギが感心するぐらい結構強いですし)ですから、
アリアドネー辺りの専業魔法使いでもない限りそれより強そうな相手には軒並み無理ですね。

それでは、本編最終回
投下入ります。

>>299

 ×     ×

「あっちの世界に留学だって?急だな」

麻帆良大学工学部の研究室で、長谷川千雨が葉加瀬聡美に言った。

「ええ、短期間ですが。
当面、総督の関係先にステイして、そこから初期の技術上の摺り合わせと言う事になります。
と、言うのが、裏の中でも表向きの事情でして、
裏側からの情報では、とにかく早めにあっちに行ってろ、死ぬぞ、
と言う情報が流れているらしいですね」

「は?」
「まあー、研究の過程で何か地雷でも踏んだのでしょうか。
ネギ先生からの依頼も残っていたのですが」
「ネギ先生から?」
「ええ。ネギ先生が触れた何かをその感覚を基に可能な限り数値化して再現する。
そういう依頼です」

「今一つよく分からないな」

>>315

「ええ。今の所は「電気の様なもの」としか分かっていません。
只、どうも魔法の領域に干渉する何かがある様な。
このまま突き詰めていけば何か面白そうなものが出て来ると私の勘は囁いていたのですが、

その研究を始めた直後に留学の指示が来ましたから。
まあ、裏に関わる研究をしていればよくある事です。
精々あっちの魔法技術を取り入れて宇宙開発の先陣切ってみせますよ」

葉加瀬がアッハッハと快活に笑った。

 ×     ×

「胸糞悪くなる夢を見たんだ」

ふと足を止めて、千雨は呟いた。

「………消えちまう夢を」

こほん、と、咳払いに気付いた千雨が振り返る。
そこには、近衛木乃香が千雨の顔を覗き込む様に立っていた。
千雨がへっと笑みを浮かべると、木乃香は相変わらずにっこり無邪気な笑みを浮かべる。

もしかしたらその裏側に物凄いどす黒さが秘められているのかも知れないし、
とんでもなく高貴なのかも知れないが、
今分かっている事は、とにかく圧倒的に可愛いと言う事だ。

ひらひらと手を振って木乃香と分かれる。
こうして又、千雨は一人。
周囲を見回すといつもの賑わい、どこか他人事に感じる。
元々、長谷川千雨はやたらに群れるのとは対極の生活をして来た。

確かに最近は非常識な友人との馬鹿騒ぎも悪くはないと思うが、
同年代によくある様に、ぞろぞろと連れ立って歩く習慣も関係も余り持ち合わせていない。
だから、特に何も用事が無ければ、こうして一人で出歩いていても全く不思議ではない。

と言う訳で、研究室を出た千雨は、こうして何とはなしにダビデ広場をてくてくと歩いている。
千雨は、携帯を手にした。
何もせず、携帯をしまう。

>>316

「千雨さーん」
「?」

現実感が無かった。

「千雨さーん」

機械的にそちらを見る。
さ程長い期間の別れではなかった筈だが、随分と長い事に感じられた。
そんな訳で、少なくとも書類上は現在でも長谷川千雨の担任教師
ネギ・スプリングフィールドが快活に手を振って駆け寄ってきた。

「ああ、ネギ先生」

取り敢えず、二人の会話はネギの後頭部にメガロ饅頭が炸裂し、
そんな魔法世界の英雄にして何れ最強の称号を手にするであろう、
取り敢えず別の世界の「最強」をこないだぶちのめして来たばかりの漢の中の漢が
本日も絶好調のチサメパンチに宙を舞った辺りからスタートしていた。

「あー、ネギ先生」
「はい」
「ネギ先生には色々と聞きたい事とか話したい事もある訳だが」
「はい」

相変わらずの屈託のない笑顔でネギは千雨の言葉を聞いている。
それを見て、千雨の頭脳は何かのヒットを告げる。
ネギ・スプリングフィールドと言う少年は、お人好しな所はお人好しである一方で、
真面目と言う点ではクソマジメと言ってもいい性格をしている。

さて、ネギ自身が今最優先としているプランも含めて、あれだけの事件。
そんな事件のかなり真ん中辺りに教え子である千雨達が居てしまった事を、
ネギが知らない筈も関心を持たない筈も無い。
これは、単に千雨の事を信じていて、
それでこちらからの話を待っていると言う事なのか。

>>317

「色々話したい事もあるん、ですけど」

千雨は言葉を切る。
何から話すか、どう話すか、追及すべきか弁明すべきか。
そんな高度な頭脳戦が一瞬にしてフリーズする。

千雨は、その場ではっと振り返った。
ネギの事も何も、その時には頭に無かった。
目の前の光景はいつもの、麻帆良学園のダビデ広場。視覚上も、
今はそれ以外の感覚からも何の変哲もない。

だが、聞こえた。確かに聞こえた。
目に浮かぶのは、硝子のビル、立ち並ぶ巨大な風車の遠景。
そんなただ中の、人の行き交う空中通路、何の変哲もないそんな一角。
千雨の背後では、ネギが笑みを消してそんな千雨を静かに見ていた。
目を見開き、僅かに震える長谷川千雨を、静かに見ていた。

「………い、た………聞こ、えた………」

ほんの小さな、震える声を漏らした後で、

長谷川千雨は眼鏡を外し、ぐいっとその目に袖を押し付ける。

「ネギ先生」

振り返った千雨が声を掛ける。

「はい」

応じたネギは、穏やかな顔だった。
あの街の事だと言うのならば、

(私の、最高の)

最優先はたった一つ。それは、

「鳴護アリサ、って知ってるか?」

千雨が見たのは、千雨もよく知っているあの優しい笑顔だった。

-了-
後書きあり

>>318

後書き

まずは今回投下、ラストシーンの最初の方に関しては、
正直やってみたかった、反省はしている。

映画的な本編後に引き延ばした挙げ句になんかあっさりですが、
本作はこれで終わりです。
いや、この状況の先を本格的にやるって、洒落にならな過ぎて無理ですって。

「ネギま!」も終わって禁書はその方面の趣味で嗜む程度、
もしかしたらクロスしたら面白いかも、
でも確実に手に余るから自分がやるのは現実味が無い。
そう漠然と思っていた時期がありました。
2013年の初期、映画を観て腹をくくりました。今年はこいつと心中だな、と。

「ネギま!」とのクロスも最初っから決まってたと思います。
私の二次書きの手札の中では最強札と言うかほぼ唯一のレギュラー札でもありますし、
何より「とある」との相性。
それも舞台が軌道エレベーターであるエンデュミオンと来ましたから、これはいける。
禁書牛一頭は無理でもエンデュミオンってステーキ肉一枚なら焼き上げてやろうと。

恐らく、最初の公園での戦闘シーンだと思います。
こいつは「ネギま!」とのクロスで絶対やりたいと思ったのは。

あの映画自体が結構オールスターお祭り映画みたいな性質でしたので、
それも元々のストーリーをかなり圧縮圧縮圧縮ーっしたとかで、
飛び入り参加で裏側のお話しを作り易い作りだったのは有り難かったです。
率直に言って、原作「とある」の二次は恐らく私の手に余りそうで。

つー訳で、設定前提で「とある」の原作を読み込んで
「ネギま!」も再度、流れでやっちゃう怖さがありますから緩みが無いか読み直して、
その他諸々を経てスタートした訳ですが…
まあ、書いてて難しくも面白かったです。

>>319

この際、+にも-にも特徴的だったのが、
外部世界を科学的に圧倒していながら、学園都市自体は外部と隔絶した鎖国体制を取っている。
つまり最先端のインターネット社会でありながら鎖国、
超能力の事は、外部社会では「なんとなく」にしか知られていない。
それでいて、学園都市の内では能力を含む学園都市の技術を前提とした普通の生活が送られていて
髪の毛一欠片までDNAの徹底管理が行われていながら壁の内と外に普通に家族がいる。

…いや、マジでこれどうやって余所とクロスさせるんだよ、って。
とにかく、最先端電子情報化社会と、内部では大っぴらに等しい超能力が
何となくしか知られていない徹底した鎖国状態って根本的矛盾。

もしかしたらタイトル、主役の選択自体、この辺の感覚から出て来たのかも知れません。
設定の制約を美味しく料理するのが二次と言うもの、と言いつつ、
結局の所、結構なし崩しに出入りさせてしまいましたが。

ついでに言うと、「魔術」サイドで最高に助かったのは、
本作でも触れていますが禁書の原作本の中に本当に
ネセサリウスとネギの魔術的出身母体であるウェールズの魔術勢力の関係が書かれていた事で、
その辺割とすんなり作る事が出来ました。

そうやって書いている内に、「ネギま!」の続編がスタートして某神鳴流奥義にのけ反ったり
超電磁砲Sは正にリアルタイム進行で途中で結構使わせてもらったり。
いや、何度も言いますが、パワーバランスの難しさが想像以上、

さっきも言った通り、ネット社会と鎖国を両立するスーパー技術の位置づけとか
どっちも破壊力がとんでもないのはとんでもないからどう折り合いを付けるのかとか。
政治的な意味合いでの「魔術」と「魔法」の位置付けは案外すんなりといきましたが。

2013年アニメ映画は奇蹟の歌で始まり奇跡の魔法で終わりましたが、
こちらは年を越して奇蹟の歌で始まる一品、ようやく終わりました。
ふむ、奇跡の魔法ね、フフフフフフフフフ
妄言だ、忘れてくれ。

何はともあれ、お付き合いいただき有り難うございました。
楽しんでいただけたなら幸いです。

後書き総評は以上として、どうせやっちゃった対戦エントリーからの
授賞式形式でもう少し個別評をやってみたいと思います。
割と長丁場になった作者の自己満足ですが、よろしかったらお立ち寄りを。

>>320

 頂上対決賞
 ネギ・スプリングフィールドvs一方通行
 タカミチ・T・高畑vs神裂火織

作中時間でも近い頃に行われた同着一位の「最強」対決。
まずは「英雄」vs「ヒーロー」、「魔法」と「科学」の最強対決。

何者かの陰謀により、
互いに「大切の者」のために夜の学園都市(科学)資材置き場で激突する事となった
「魔法」の「英雄」ネギ・スプリングフィールドと「科学」の「最強」一方通行。

正直、展開上どこまで関わりが、
と言う点で微妙ですらある「魔法」と「科学」の頂上決戦でしたが、
その戦闘内容はネギの本領発揮でした。

言う迄もなく、一方通行は相手が魔術師、魔法使いであっても、
強さとか何とか言う以前の存在自体が難敵中の難敵、
「科学」超能力者第一位は飾りでも何でもありません。

それは「魔法」の「英雄」であるネギであっても例外ではなく、
一方通行のセオリー通り、多少の演算妨害はあっても大小あらゆる攻撃が反射され、
風楯から雷体まで、ネギの身を守る術式も戦いの中で解析されて抉り取られる。
体術的にもベクトル操作が可能とする猛スピードと破壊力、
周囲全てが武器となる融通無碍の攻撃を前に、
ネギは触れたら死亡一撃必殺の大苦戦を強いられます。

が、それが圧倒的強者、「最強」一方通行のセオリーならば、
その格上とも言える相手との死闘、
追い込まれた苦境からの大逆転も又、ネギのセオリーと言う事です。

この一方通行戦の中でネギは、威嚇的に放った光の矢を反射されて以降、
どこが魔法使いなんだよと常時突っ込み待ちな得意の功夫を封印。
大小の遠距離攻撃に徹しながら風楯、
そして人体の部分破壊なら容易に回復する雷体と、
速度、攻撃力に加えて防御力も全開手加減抜きの総力戦。

そうやって、大小の遠距離攻撃の猛攻撃を加えながら
資材置き場一帯にルーンカードをばらまき、
遅延魔法と組み合わせて大量の濃縮魔術発動により
一方通行が準備したプラズマ攻撃の演算を妨害。

>>321

ここまででも、最初の判断を一つ間違えていたら、
魔法が僅かに演算を狂わせても
風楯から雷体すら抉り取る一方通行の苦手毒手の餌食になっていた所です。
ネギは最初の攻撃から偵察攻撃を繰り返して「見」の構えで当たりながら
雷体発動も辞さず、最善の手を確実に打っていきました。

それでも、攻撃も防御も根本的に通じない一方通行相手にネギは大苦戦。
そんな中で、一見ごり押し狙いの失敗にも見えた、
反射で自分がダメージを受けながらの魔法の猛攻撃。
そして、プラズマ攻撃の前から遅延魔法と言う異様な手間暇を掛けて展開された大量のルーン魔法。

ここでネギから放たれたのが、「反射」の一方通行を前に封印していた功夫の一撃。
ネギの拳が一方通行をぶち抜き、逆転KO勝利、
と、「とある」を知っているならばこの時点でどう考えてもおかしい。
そして、「まさか」、と言うか、ネギならやりかねないと言うか…

はい、その通りです。一見無駄に見えた終盤の攻撃もそのための布石でした。

多種多様な遠距離攻撃、ルーン魔法を一方通行に向けて発動する事によって、
一方通行がそれらの魔法を反射する感触を術者として自分の身で感じて記憶する。
その身で覚えた多種多様の反射の感触に基づき、最後は勘の領域でネギが掴み取ったのが、
一方通行が攻撃を反射するその一瞬のタイミング。
そのタイミングに行われる反射方向のベクトル操作を逆用して、
突っ込んでいた拳を「引く」事で「押す」にベクトル変換、
逆の逆を行った拳によって一方通行を撃破した、と…

確かに禁書原作でも似た様な事をやった人もいましたし、
こうして書くと押しても駄目なら引いてみなってアホみたいな論理にも見えますが、
とてつもなく精緻な演算で行われる一方通行の反射がアホな訳が無い訳で。
ネギも最後は勘頼み、一か八かの賭けに他ならない事を自覚して、
しかも、一度外して僅かでも演算式を変更されたら水の泡という一発勝負。

その上、攻撃に値するだけの運動ベクトルを寸前に真逆に変換するという無理やりの力業ですから、
禁書で真似した奴もそうなった様に、
ネギも又、我が身を引き裂かれる様な強烈なダメージを受ける事となりますが、
それを緩和したのが回復可能な雷体の特性でした。

>>322

連載中に読者コメでも「神懸かっている」と言われましたが、
原作に於けるネギも、超鈴音の超時間攻撃を打破したとんでもなく精緻な計算応用技で葉加瀬を驚嘆させ、
圧倒的な実力差のあるラカンに肉薄した際にも再確認された、
実戦中に相手の戦いを分析し応用し解決策を見出す理論派の研究者タイプと評されています。

本作に於いても、時間内であれば全攻撃反射ワンタッチ死亡の超難敵である一方通行に対して、
当初から異常を察した様に慎重にそして使える総力をもって対決し、
最後はその一撃のため一方通行の基本となるものを徹底したデータ収集で分析して見せた、
ネギが一番得意とする分析、応用の手法を徹底する事で、
戦闘能力的には格上であろう「最強」の隙をこじ開け勝利に至りました。

これは、少なくとも一方通行を相手にする限りに於いては、
ネギの理論的分析力は単純な魔法使いとしてのパワー以上の武器となった、
「魔法使い」としてならネギ以上であっても、それこそそのパワーが地球がヤバくなる規模でもなければ
一方通行の打破どころかその瞬間の生存すら危ないと言う対戦でした。

本作中で「動きが素人で助かった」と言われている通り、
これが「グループ」スカウト後で多少なりとも体系的に動ける様になってたら、
元々本作ではそれだけで体術的にもネギを追い込んだぐらい、喧嘩経験ゼロでも
スピードと演算力がある上にワンタッチアウトの苦手毒手ですからネギでも危なかったですね。
翼モードまで行ったらネギのフルパワーでも多分ヤバイと言うか黒なんて論外でしょうし。

同着表彰になった「魔術」と「魔法」の頂上決戦。
まあ、「魔術」サイドにはもっとヤバイのがゴロゴロしてはいますが
今はそこん所は、あくまで本作中で。

>>323

「魔術師と言うのは我が儘な存在」
原作禁書の中でしばしば語られる言葉ですが、
「魔法」の高畑先生も今回この言葉を地でいきました。
元々、決して悪い関係ではない麻帆良とイギリス清教の関係の中にあって、
本人も言っている通り、「大人」の魔法先生としては色々考えるべき事もあった筈なのですが、
この人が、明日菜をズタボロにされて黙っているとかあり得ないですね。

と言う訳で、まほら武道会でのネギ戦、ネギはその後、エヴァ様から、
ネギの成長を見るために高畑がどんなに甘く手加減していたか説教食らってましたが、
その甘さを抜いた、元々の被害者である筈の明日菜が戦慄する
本気の殺すモードで神裂を追い込む高畑先生と懸命に其れを凌ぐ神裂。

まほら武道会でのネギは全ての間合いとスピードから凄まじい速射と威力で狙われて大苦戦、
エヴァの言う通り高畑から真っ向勝負のいくつかのチャンスを貰って辛うじて勝利していましたが、
神裂はその手加減抜きで桁違いの威力に速さの拳と魔法を叩き付ける高畑に対して、
七閃、七天七刀をフル稼動して辛うじて、這々の体に近い形で生き抜いた有様。

と言ったら格好悪く見えますが、それで生きてる時点で流石は聖人様。
或いは、神裂が本格的に「聖人」を発動するのを妨害するために徹底した猛攻撃を仕掛けた、
とも考えられますが、どちらにしろ攻撃も防御も桁違いのパワー・スピード対決。

最後には、高畑先生の余りの速度と威力が、
神裂に直接対抗する、更には「聖人」としての実力を発揮するのに必要な暇を与えなかったのか。
恐らくは手数で打ち合うのは分が悪い、
勝ち目があるだけ紙一重の賭けに出た方がマシと考えたのでしょう。
刀を置いた神裂が高畑の拳を逆用した背負い投げの一発勝負で高畑をKOしての逆転勝利。
それも、神裂自身が紙一重で自分の上半身が塵になっていたと語る大接戦でした。

魔法の「英雄」と魔術の「聖人」。
共に、守ると言う誓いのためにその強大な力と称号を得た「強者」同士。
高畑は、そのまま力押しで塵にしても良かった所を、刀を置いた神裂との決闘に敢えて応じています。
そして、最後に交わした言葉は、或いは、今は強大な力を持ちながら「守れなかった者」同士。
その死闘の果て、「騎士と姫」を超えた二人に「勝者」神裂は何を見たのでしょうか。

今回はここまでです。

表彰式をもう一回、人物評を二回程予定しています。
と、言って、実の所この手の予告を厳守した試しが無いのも私なのですが…
ここの性質上あんまり馴れ合い自己満企画引き延ばしも出来ませんので、
出来ればご容赦の上気が向いたらお立ち寄りを。

続きは折を見て。

乙です

お久しぶりです。
掲示板自体が鯖落ちしてましたが、それを過ぎても時間が掛かってしまいました。
終了後の後書きおまけ企画ですので粛々といきます。

と言いつつ、ちょっと感想を言うと、
こういうの書いてみたかったから書いてる訳ですが、
慣れないためか我ながら言葉遣いが一定してない…どうもすいません。

引き続き、本作バトル表彰式の続きです。
ここで早速にお詫び。
表彰式次第がほぼ出来上がった結果として、一回延長になりました。
表彰式は全三回投下で今回が二回目になります。

それでは今回の投下、入ります。

>>324

 激闘賞
 犬上小太郎・村上夏美・佐倉愛衣vs垣根帝督

ざっくり言って書いてる感触からしてNo.1の激戦。
準々決勝、準決勝が一番面白い、みたいな感じですね。

鳴岸アリサ保護のために科学の学園都市に侵入、仲間の指揮を執っていた千雨と夏美は、
その事で頻発していたトラブルを調査していた暗部組織「スクール」リーダー
垣根帝督に通信用の電波を追跡させて捕獲される。
夏美の救援メールを受けた小太郎と、丁度小太郎に合流していた愛衣が現場であるビルの屋上に急行、
作中の陣営抗争の中でもトップレベルの激戦が始まる。

物理のパワーでは小太郎を圧倒し、愛衣の放つ火炎魔法に対してその炎を完全に防御するばかりか、
それを「常識の通用しない炎」に素粒子変換して火炎術者である愛衣の制御を狂わせ大火傷を負わせる。
夏美が「孤独の黒子」を使っても、屋上どころかビルごと吹っ飛ばしかねない。

超能力者第二位の圧倒的戦力を前に戦況的にも追い込まれた小太郎は、
大火傷を辛うじて治癒した愛衣と夏美に退却を指示して一人で足止めをかけようとします。

が、片や魔法世界の戦いを共にくぐり抜けたパートナー。
片や大人しそうに見えて実は誇り高い、偉大までいかなくても「優秀な魔法使い」。
目の前に大ピンチの王子様、隣に恋敵。助けを待つお姫様、を決め込むにはお転婆過ぎた様です。

と、言う訳で、「私達の喧嘩です」とばかりに王子様の助太刀へと馳せ参じた二人。
そのままでは凄まじい実力差の筈でしたが、それでも勝算ありと踏んだのは愛衣でした。

>>326

小太郎、夏美の協力を得て愛衣が放った巨大火炎魔法「燃える天空」。
それは一度は垣根の「未元物質」により愛衣の制御を離れた
「科学」の巨大火球となって愛衣を呑み込みますが、
その火球から「魔法」要素を把握した愛衣は魔法による再変換で垣根に反撃。
「科学」による制御の効かない純度の高い「魔法の炎」は垣根を覆う未元物質を焼き尽くし、
垣根が未元物質を再構成する前に小太郎がトドメの一撃を加えて逆転勝利を飾ります。

戦闘内容は、チームワークの勝利でした。
元々夏美の魔法具自体、戦闘では補助専門、但しチート、と言うものです。
戦闘要員としては上級、優秀である残る小太郎、愛衣の二人も含めて
そのままでは1+1+1vs100にも等しい戦いでした。

しかし、それぞれの特技を活かし、
噛み合うポイントを確実に突いた一点突破の作戦に集約させる事で、
圧倒的な実力差のある垣根帝督相手にワンチャンスを貫く逆転勝利を成功させました。
実際に魔法世界の半ばほとんどを一緒にいて死線をくぐり抜けて来た小太郎と夏美はとにかく、
愛衣に関しては、原作中ではほとんど接点がありません。

小太郎は時々修行に付き合っている様ですが夏美に至っては一方的にむーっとしているだけで
話した事があるのかそれ自体怪しい程です。
もしかしたら、原作+本作をセットにした場合、二人がまともに言葉を交わしたのは
本作の夜の公園でステイルの弟子達に襲撃されたのが初めてなんじゃないかってぐらい。

それがどうして、と、なると、それは作者の願望。って冗談はとにかく、
小太郎の方は単純に喧嘩屋の勘で判断したとも考えられます。
実際に使えるものは何でも使いたいと言う程に追い込まれた戦況もあって、
自分の指示に反して引き返して来た愛衣と夏美、この二人には乗る価値がある。
本質的には女は守る、殴らないが時に傲慢な「マッチョ系エセフェミ」の傾向がある小太郎でも、
少なくとも今は闘う仲間として協力する価値がある。
そう判断する材料があったのでしょう。

元々、原作中でも小太郎は、愛衣の実力に関してやや不安がある事を夏美に語っています。
但し、その不安は、拳士である自分に対して魔法使いとして後衛を任せた場合、と言う前提であって、
弱点も含めて概ね悪く無いと言う評価の下、小太郎は愛衣を自分の後衛候補と言うカテゴリーに入れている。

と、言うか、夏美の様に「家族」に含めているものは別にすると、
当面の所は女の子、少なくとも愛衣に関しては他の要素を考えていないと言う事です。
それでいて、立派な魔法使いを目指す愛衣の真摯さはきちんと評価しています。
そして、夏美に関しては今更、魔法世界を共にくぐり抜け、
その技量も人間性も相当によく理解しています。
只、この麗しい戦乙女二人の何がそこまで突き動かしているか、
その熱い想いをどこまで理解しているのやら。

>>327

さて、原作中では一方的な関係だったものが、本作中ではしばしばタイガーとドラゴンのオーラをまとって
目撃者を戦慄させて来た夏美と愛衣の関係です。
その通り、何と言うか命懸けの場面で秘めた情念もせめぎ合う理性も理解して、
その言葉を口にはしなくてもその想いは隠すつもりもなく伝わっている、
と言う静かにして凄まじい意地と意地との激突。
そこに呑み込まれた超能力者第二位超能力者垣根帝督が災難だったのかも、ってぐらいです。

戦闘の鍵を握ったのは愛衣の火炎術者としてのスキルです。
原作中での愛衣は留学先のジョンソン魔法学校を首席卒業。
年齢的に上位スキルの無詠唱魔法を使いこなす才媛、
初期のネギが相手なら圧勝出来るだろうと公式設定された、
周りが凄過ぎるだけなんです、な秀才実力派キャラです。

原作中では学園祭や魔法世界に関わったとは言え実戦経験でやや見劣りする彼女ですが、
本作ではその才媛としての才覚をフル活用して、
絶対的に自分より格上と断言したステイルの必殺魔術イノケンティウスを
同じ火炎術者として優秀な術式理論の知識と感覚を活かして分解に成功。
垣根戦でも圧倒的な実力差から大苦戦を強いられたその中から突破口を見出します。

それはどこか情報処理技能一点突破がモットーの初春飾利や
理論派戦闘の天才ネギ・スプリングフィールドにも通じるものですが、
愛衣は「天才」ネギには及ばない「秀才」。

それでも、総合力では圧倒的な優位を誇って来た垣根帝督の「未元物質」に対して、
一点突破で磨いて来た火炎術者の専門スキルが
「魔法」と「科学」の齟齬による僅かな隙を見つけ出します。

一度は自分の放った炎を「未元物質」で変換された「常識の通じない炎」で送り返されて
大火傷を負った愛衣でしたが、
火炎術者として文字通り我が身を焦がして感じ取ったものを信じたからこそ、
「魔法」と「科学」のラグにより「未元物質」が「魔法の炎」を完全に支配していない事を察知。
最後には「魔法の炎」への再変換により未元物質を焼き尽くす大逆転を成功させます。

そして、その「秀才」を支えたのも又、それぞれの得意分野を持つ者達。
小太郎と夏美がそれぞれ重傷の身を押して、本来は一般人ながら、
物理攻撃と隠蔽能力と言うそれぞれの分野で命懸けのサポートを展開します。
そうやって、圧倒的な破壊力で猛攻撃を展開する垣根に対して、
呪文詠唱時間と言う「魔法使い」の弱点をカバーして愛衣の見付けた突破口をこじ開け、
トドメの拳を叩き込むに至る。
それぞれ自分の仕事、自分の分野を活かして互いに協力したチームワークの勝利でした。

>>328

結局は相性が良かったんでしょうとか作者の願望とかはとにかく、
主に近接格闘、遠距離理論派、チート補助と言うパーティーバランスの良さもさりながら、
決して多くない会話時間(主に愛衣)でもそれだけのチームワークを成立させる、
根底に通じるものがこの三人にはあったのでしょう。

それはもちろん、以後修羅場必至の三角以下略、はとにかく、
小太郎も夏美も愛衣も、それぞれの真剣なもの、大切にしたいもの、
それを見抜き、感じ取る事が出来る感性の持ち主だったからこそ、だと思います。

辛うじて垣根を撃退した三人ですが、小太郎は狗族の回復力と言いながら度重なる羽槍攻撃で重傷を負い、
そのとばっちりでと言うべきか、やはり重傷に倒れた愛衣の事で夏美は高音さんの激怒を受けます。
ネギま!でも戦闘力上位、中の上、チート補助のバランスのとれた実力者三人を相手に
圧倒的優位に戦いを進めそこまで追い込んだ垣根帝督、
学園都市超能力者第二位の強さはやはり想像を絶していました。

しかし夏美も又、愛衣を一人死地に取り残した形の高音、魔法協会への怒りを叩き付けます。
辛うじて勝利したものの、度重なる未元物質の火炎攻撃を受け、
制御の効かない炎の直撃でギリギリまで我が身を焦がして分析をした愛衣は命に関わる重傷に倒れた、
正に命懸けの勝利でした。

そんな熱く情熱的な二人のパートナーと共に強敵からの勝利をもぎ取った、
小太郎の戦いはこれからだ…

>>329

 技能賞
 千雨チームvs超電磁砲チーム
 月詠vs天草式十字凄教

まずは本作主人公と原作のスピンオフ主役軍団がメインに絡む前者の対決、
「魔法」と「科学」の実力者同士、観客的には言わば中堅戦と言った感じの組み合わせ。
鎖国同然の科学の学園都市の情報統制に手を焼き、
ジャッジメントからの情報収集を目論んだ千雨チームでしたが、
その悪どい手口が御坂美琴、白井黒子を初めとした面子の逆鱗に触れて
猛烈な追い込みを掛けられる事になります。

ここでの一つの注目は双方のエースの比較。
超電磁砲チームは、もちろんその名がそのまま原作の主人公でもある御坂美琴。
科学の学園都市超能力者レベル5第三位の、その世界ではトップクラスの実力者。

今回の追跡戦でも、長瀬楓、犬上小太郎と言ったネギパの猛者共を向こうに回して
一歩も引かない奮闘でその実力を見せつけます。
武力だけでも科学の学園都市に鳴り響く数々の勇名に恥じないものでしたが、
何よりも脳波干渉を遮断する電磁バリアの違和感から、
僅かではあっても「孤独な黒子」を不完全なものとした功績は
この戦いの帰趨を決した大金星であり、汎用性の第三位の真骨頂でした。

対して千雨チーム、元々調査目的で武力侵略なんて論外である以上、
切り札であった「孤独な黒子」を初春・美琴コンビに撃破されての猛追に焦りを禁じ得ない中、
前線で対処したのは長瀬楓。
千雨や夏美、そして朝倉と言った、夏の戦いを経験し能力や調査スキルはあっても、
いわゆるガチにはまだまだ素人同然の面々の中で、
実践派のヴェテランと言うべき楓の存在はエースと言うに相応しいものでした。

その鋭敏な感覚と驚異的な身体能力で、厄介な白井黒子のテレポート攻撃を徹底的に察知、回避。
「天狗之隠蓑」に仲間を収納しての美琴、黒子との空中戦に際しては、
美琴を鎖で一時拘束すると言う実力行使で撃破。
その中で察したのか、楓の手裏剣攻撃を電磁力で回避して来た美琴の追跡に対して
炒って食べると美味しい天然物で足止めすると言う実用的な芸の細かさで美琴を激怒させています。

>>330

とにかく、千雨チームに関しては、元々戦闘向きではない面子を何人も抱えている事もあって、
切り札である「孤独な黒子」が不完全化したのは非常に痛い事でした。

そして、「孤独な黒子」の影響を受ける人の主観に左右されない
防犯カメラと高性能コンピューターをリンクさせた顔面認証によって、
リアルタイムに近い形でおよその居場所を特定する初春飾利。
その続きで、脳波干渉を遮断する電磁バリアに反応する僅かな違和感から、
その肉体的感覚ですぐ近くの「孤独な黒子」使用者の位置を察知して電撃攻めを掛ける御坂美琴。

本作に於いては葉加瀬聡美、長谷川千雨、そして弐集院と言った、
麻帆良学園都市でもトップクラスの電子戦の実力者相手に最後まで一歩も引かず、
千雨相手に至っては二度に渡る完封勝利で
やり過ぎ、人外との読者コメ称号を飾った情報処理一点突破娘の初春飾利。

そして、原作では科学能力系の脳波系精神干渉への電磁バリア耐性の持ち主ですが、
本作では「魔法」の認識阻害能力にもそれを応用。
完全に把握は出来なくても、レベル5第三位、最強の電気系能力者としての自分の感覚を信じて
「魔法」の影から夏美達を自分達の前に引きずり出して見せた御坂美琴。

補助系最強クラスの魔法具「孤独な黒子」を相手にしたからこそ、
あくまで自分達が培って来た「科学」で打ち破る、そんなプライドすら感じられるものでした。

そんな「魔法」の絶対防御を打ち破り、「科学」のそれぞれの能力で追い縋る美琴達に対して、
やはりあの夏の戦いをくぐり抜けた強者達。
その場面その場面の判断と葉加瀬のバックアップを受けながら切り抜けた千雨チーム。

特に、「孤独な黒子」が万全ではなくなり
「天狗之隠蓑」の性質もあって矢面に立ち続けたのが長瀬楓。
並の相手ならどうにもならない事はあの街の路地裏の連中が一番よく知っている、
美琴・黒子の恐怖の武闘派コンビとの空中戦を初めとした
超電磁砲チームを相手に凌ぎ続けた長瀬楓のスキルは流石。

原作中でも最初期からの実力者でネギパの中でも上位クラス、
ネタバレで言えば本作でネギが頼みにした頼もしさです。
結局の所、総じて見ると、このまま追跡・逃走戦を続けるのは難しいと判断した千雨チームが
反転攻勢を仕掛けるために建設現場に誘い込んだ、と見るのが妥当でしょう。

>>326に誤字、鳴護アリサが鳴岸アリサになってました。すいませんでした。
では続き。
>>331

そして、神裂火織の足止めを依頼された、と、そういう情報の流れになっている月詠と、
それを察知した天草式十字凄教も又、
エンデュミオン落成式典当日早朝に科学の学園都市で激突、壮絶な戦いを展開します。

まあ、そうであるならばほっといても流石にねーちん相手は無理だろ、
本作でも普通に原作上位ランクのせつあす相手に圧勝して
麻帆良学園都市の魔法教師生徒軍団相手に無双した聖人様ですから、
とは思いますが、エンデュミオンに絡んで時間も無限ではないでしょうしそれなりにうざい奴ですので。

とは言え、月詠と言えば刹那、龍宮と言った実力派相手に死闘を繰り広げ、
ネギやフェイトであっても決して侮る事の出来ない実力者である事に違いはありません。
しかも、京都伝統の退魔の流派である神鳴流剣士として一度は小太郎を昏倒させた術師でもあります。

隠密尾行からの数々の集団魔術を仕掛ける天草式でしたが、
月詠はその経験故か天草式の集団術式の数々を鋭く見破り対処します。

インデックスが苦手とする即興応用術式にも、
小回りの効く小太刀二刀流による即興対応と言う天草式から見て相性の悪い取り合わせと、
その利点を最大限に活かした素早い動きで陣形を攪乱し時には力業で術式をぶち破る。
一人一人が極端に強い訳ではない、それを補うために陣形、集団魔術を組み立てる天草式は、
元々が速攻タイプでそれをことごとく攪乱し叩きのめす月詠の圧倒的な実力を前に大苦戦を強いられます。

集団全体が満身創痍となり、最早ここまでかと言う寸前の所で、それは炸裂しました。
その術式はシム・トゥア・パルス。
ネギま!側の呪文ですが、調べるならば何と言う事はない、魔力供給の術式です。
天草式は、最後の力を振り絞った陣形配置でそれを発動させました。月詠に対して。
本来、シム・トゥア・パルスは、味方に魔力を供給する呪文ですので、普通ならば意味が分かりません。

しかし、この時月詠は、限界に達した天草式に戦闘狂として飽きを極め、
一掃する勢いの「気」を練っていました。そして、「気」と「魔力」は本来相反するもの。
天草式は、月詠の「気」が頂点に達するその一瞬を狙い、ありったけの「魔力」を注ぎ込みました。
神鳴流の退魔師、経験を重ねた裏の剣士として大概の事を見破る月詠も、
本来は味方に発動する筈の魔法を自分に向けられた事でとっさの理解が遅れ、
その自分に相反する術式をまともに受ける事になります。

>>332

反発する力を一度に注ぎ込まれ、一瞬だけ生まれた隙に、天草式は仕掛けます。
それは、「神鳴殺し」。
かつて神鳴流との間で不幸な歴史のあった天草式が生み出した術式。
地脈龍脈等を利用して、神鳴流の個性に合わせてその力を暴走させる術式。

本来であれば神鳴流の中でも下級の術者にしか通用しないものでしたが、
格下相手の戦闘に飽きを覚えた心の傲りに「気」と「魔力」の反発の不意打ち、
そこに「神鳴殺し」を仕掛けられた事で、
月詠は丸で蟻地獄に呑まれる様に術中に呑み込まれ、
暴走による自爆の繰り返しでダメージを蓄積して行きます。

本来であれば、元々は足止めの足止めが目的。
腐っても月詠の様な強者相手に危険を冒さず
このまま自爆に任せて時間を稼いでも良かったのが天草式の立場でしたが、
そうやってボロボロに凄惨な有様でも立ち向かおうとする月詠に対して、
「救われぬ者に救いの手を」を掲げる天草式はそうはしませんでした。
かくして、天草式は最後まで正面対決では格上の相手に立ち向かいながら、
教皇代理建宮斎字「弱き者の拳」がこの激戦を締めくくります。

単独では強大すぎる程の相手に対し、
集団ごと満身創痍、ズタボロになりながらも集団で立ち向かい、策を練り、
一瞬の隙を突いてトリッキーな程の知略も用いて懸命に勝利をもぎ取る。
実に天草式らしく練り上げて来た技巧の闘いとなりました。
と言うか、あのアックアを苦しめた術式をさり気なく強行突破した月詠も凄まじいのですが…

それでも、弱き者の、守るための闘いを嘲笑し理解出来ない月詠に対しては、
刹那同様、あの魔法名を追う者達としても、
それは決して譲れない闘いに打ち勝った、と言う事です。

今回はここまでです。
続きは折を見て。

乙です

それでは表彰式続けます、三回目です。

それでは、今回の投下、入ります。

>>333

 ハート賞
 白井黒子vs長瀬楓

超電磁砲チームによる千雨チームの追跡戦。
その果てに、白井黒子はジャッジメントとして、
負傷を押した車椅子の身でネギパでも強者の長瀬楓と激突。

楓は体の軸を揺らし続けるテレポート対策とテレポートに匹敵する驚異的な身体能力で優位に戦いを進め、
最後に車椅子も鉄矢も何もかも捨てて黒子が挑んだ合気道勝負も紙一重で楓の勝利、の筈でした。
楓が瞠目し千雨が蒼白になる激痛、後遺症を懸念した美琴が絶叫して激怒した、それでも貫いた

「ジャッジメントですの」

が重かったです。

超電磁砲チームとの逃走劇を描きながらなんとなく思ったのは、
魔法世界の警察組織の中にもそういう立場の人もいたのではないかと。
まして、魔法世界では「白き翼」は冤罪からのスタートでしたが、
学園都市での千雨チームは正真正銘ルール違反の犯罪者な訳ですから。
初春が言う通り、黒子には「引く理由が無い」んです。

あのまま戦闘を継続しても勝ち目なんて無かったでしょう。
それでもそこを貫き通した、
時には志を同じくする皆がロボットの大群を前に一歩も引かなかった一言が、
試合に負けて勝負に勝つ千雨チームのハートを撃ち抜くKOをもたらしました。

>>335

 貫禄賞
 大賞 麦野沈利vs明石裕奈
 優秀賞 御坂美琴vsステイル弟子三人衆
 優秀賞 垣根帝督vs高音・D・グッドマン

トリプル受賞になりましたが、
見ての通り科学の学園都市レベル5超能力者第二位から第四位までが勢揃い。
既に別の受賞となった通り、第一位様は「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドとの激戦の末、
ネギを大苦戦に追い込みながら惜しくも敗退。
又、第二位垣根帝督もネギパ中心メンバーを含む三人がかりの相手と大激戦の末、
文字通り瀕死の所まで相手を追い込みながら一発勝負の逆転負けを喫しています。

ネギま!の原作を知っているなら、この時点でも流石「超能力者」と十分言えるレベルの実力なのですが、
今回受賞した三つの対戦結果を先に言ってしまえば、

 麦野沈利vs明石裕奈
多少の反撃はあっても、二回対戦して二度とも麦野の原子崩しで裕奈が一方的に追いまくられて
裕奈は得意のアクロバット射撃を活かす以前の圧倒的劣勢。
しまいに麦野にとっ捕まって心が折れるまでボコボコにぶちのめされてのKO

 御坂美琴vsステイル弟子三人衆
弟子側が一斉攻撃しなかったのはミスと言えますが、
土の精霊を使うマリーベートに対して砂鉄操作で対抗。マリーベートが混乱している間に
砂鉄による顔面ボーリングボールから砂鉄剣、電撃裏拳で畳み掛けるKO。
その美琴を突風でぶっ飛ばしたジェーンに対しても冷静に軌道を計算して
ふっ飛ばされた様に見せて電磁力飛行による軌道調整から頭突き、キックでKO

 垣根帝督vs高音・D・グッドマン
エンデュミオン基部と言う場所柄で大破壊行為が難しいと言う条件の中でも、
垣根の凄まじい破壊力とスピードが本気モードの高音を圧倒。
「魔法」と「科学」の齟齬で高音の影防御を分析出来ない事に苛立つ垣根ですが、
それでも部分的な解析と力押しで「黒衣の夜想曲」と「影の鎧」を破綻させて、
高音からはほとんどまともな抵抗も受けないままに
実質的に高音を抵抗不能な丸裸の状態に追い込む垣根の圧勝。

つまり、美琴に関してはゴーレムや聖人様との対戦経験がありますが、
原作中でレベル5連中が原作中で「魔術」と「科学」が直接交戦する事はなかなか無い。
そこが設定の妙なのですが、実際に戦った場合
「並の魔術師ではレベル5には適わない」
と言う定理が「ネギま!」の中でも決して弱くはない中堅勢相手に証明されたと言う結果になりました。

>>336

明石裕奈は本作で言われている通り魔法使いとしてのキャリアはほとんどありませんが、
それでもネギ従者として魔法世界での宮殿突入戦参加やフェイト・ガールズと交戦。
学園祭での言わば模擬戦でも強烈な存在感を発揮してその身体能力潜在能力を見せつけています。

高音さんも「残念キャラ」でも「地味に強い」人です(作中読者コメより)。
中期の学園祭でもネギをそこそこ苦戦させ、魔法世界では皆を守る楯役。
少なくとも真正面から彼女の防御そのものをぶち壊した前例は原作には存在しません
(これは無理、と本人が申告したケースはありましたが)。

そして、禁書側のステイル弟子魔女も含めて、
この面子相手に圧勝を決めたレベル5と言うのは、やはり格が違い過ぎる貫禄勝ちです。

その中で大賞となった麦野沈利vs明石裕奈。
原作中でもちょっとどうかと言う言動がしばしば見られる明石裕奈。
本来賢い子で悪い子じゃないんですけどね。
それでもいっぺん痛い目見た方がいいんじゃね、
って辺りをこれでもかってばかりの展開になりました。

ファミレスでの裕奈の誤射から始まったこの対戦。
エンデュミオンでの遭遇戦でも紹介の通り、裕奈は麦野による原子崩しの追い込みに、
這々の体で逃げ回るのがやっとと言う体たらく。
裕奈が最後に仕掛けた奇策も、
麦野は裕奈の経験不足を瞬時に察して軽くあしらい心が折れるまでドツキ倒す。

その気になれば、左手一本捨てて刹那ごとあの場のネギサイド全滅も十分可能と言う
恐るべき状況に追い込んだレベル5第四位暗部の女王の貫禄勝ち。
裕奈は自分も仲間も巻き込む「裏」に関わると言う事の意味を、
足を踏み入れる入口の所で文字通り痛いぐらいに思い知らされる訳です。

と、言うか、麦野が優しいですねこの作品。
旧約時点って時期を考えても、
本来原作の麦野が裕奈をあの程度で容赦する要素なんて一つも無いんですけど。
まあ、理屈で考えたら、情報を吐かせる段階で刹那隊が到着して、
リスクを冒してやり合う積極的な理由も無いって辺りですか。
それでも相手の事がろくに分からない状態で麦野がイレギュラーを放置するものか。

>>337

進行方向が同じになった裕奈に対して
「クソガキには用は無い、邪魔なら物理で消す」と
殺す価値すら認めず一蹴する麦野。
それでも、母親もネギも通った裏に関わる道を進む裕奈。今はそういう事でした。

なんと言いますか、もしかしたらバレてるかも知れませんが、
このシチュエーションで裕奈の最後の攻撃であの奇策を仕掛けた時点で、
事が終わって「あたしって、ホント」と言い出すか否か小一時間ほど悩み抜いて断念した辺りは
プライド首の皮一枚って事で、え、手遅れ?

優秀賞その一 御坂美琴vsステイル弟子三人衆
ちょっと手荒な情報収集で佐倉愛衣を締め上げている所を
電磁波レーダーの違和感から人払いを破られる形で御坂美琴に発見されて、
能力によるリンチと言うそう間違ってもいない誤解を受けて
只でさえ虫の居所の悪かった美琴からの介入を受けたステイルの弟子三人衆。

その結果は紹介した通りですが、本作での美琴は千雨チームや電子ドラッグとの戦闘でも、
魔術が絡む相手でもあくまで自分が知る「科学」のフィールドに引きずり込んで
電気は電気、物理は物理、と言う戦い方をしています。
結果、総合力で勝るレベル5第三位の美琴はその実力通りに三人の内二人にまで圧勝、
恐怖を覚える冷徹さでそこそこ強い魔術師二人を料理しています。

原作中ではインデックスと魔法・科学理論を強引に摺り合わせて
ヒューズ・カザキリ対策に尽力した事もある美琴です。
魔術・魔法という未知の法則によって一見ねじくり曲がって見えても、
確固たる理論的支柱を持って自分の見たもの聞いたものに対処する。

本作中で夕映が美琴を評して「天才」と言った通り、それが出来るのは
美琴の一つの理論、技術に対する理論が生半可なものではない。
「究めた」所に近いからこそ、応用も利くと言うものなのでしょう。

>>338

優秀賞 垣根帝督vs高音・D・グッドマン
時に千雨達に手を上げてでも魔法サイドの「秩序と責任」を背負って来た高音さんでしたが、
エンデュミオン基部で遭遇、愛衣を傷付けた上にふざけた態度を取り続ける垣根帝督を前に、
とうとう堪忍袋の緒が切れて「私闘」に臨むに至ります。

学園祭で「派手だーっ!」と驚愕された「黒衣の夜想曲」に「影の鎧」
と言う最強モードで立ち向かった高音さんでしたが、結果は紹介の通り。

そもそもそれ以前にコタ・ハーレムをあそこまで追い込んだ時点で
「ネギま!」基準でもトップクラスと言えるのですが、
高音さんの展開する「ネギま!」最強レベルの防御を正面突破でぶち壊すと言う、
一部で「最強のかませキャラ」wと言われた
レベル5第二位が本来桁違いである事を見せつけての圧勝を飾りました。

 バカエロ賞
御坂美琴vsパイオ・ツゥ

美琴にも関わる所で、学園都市の能力開発とは別の不可思議な能力が関わる怪事件が頻発。
初春飾利の助力を得て、その鍵を握る佐倉愛衣の足取りをキャッチした美琴は学園都市地下道を探索。
一度は刹那と共にいる愛衣を発見したものの「裏の掃除屋」に妨害され、
その後、追跡中に遭遇したのが雇われたと言うパイオ・ツゥだった…

まあ、パイオ・ツゥ自体半分以上エロコメキャラですから、
仮にもラノベヒロインの一人である美琴とかち合った時点で
こういう表彰になるのは目に見えている訳ですが…

但し、片やネギパの強者達を翻弄した魔法世界の凄腕変態傭兵。
そして片や学園都市超能力者第三位。
である以上、このとてつもなく馬鹿馬鹿しい戦いが
無駄にハイクオリティに展開されるのも必然と言うもので。

美琴の電磁バリアにフェイントかまして瞬間的にでも揉みに行くパイオ・ツゥも凄まじければ、
蠱も含めたそのパイオ・ツゥの猛攻。
裸一貫の風呂場ですらネギパの猛者共を十分に堪能して逃げ切り。
ガチバトル状態で夕映をほぼKO。
チーム戦でトレジャーハンターを壊滅寸前まで追い込んだパイオ・ツゥ相手に
一歩も引かない大接戦を展開した美琴の実力も流石と言うもの。

「女子校ナメんじゃないわよ」(by 御坂美琴本作より)
「いや、それ標準じゃないですから」(by A浮さんカッコ捏造カッコトジ)

>>339

パイオ・ツゥが揉みに特化した時点で、その特化能力も又、ネギパ相手に神業に達しようと言う、
実際この対決でも美琴の電磁バリアすら瞬間的に欺くねーよレベルのスキルでしたが、
そんなパイオ・ツゥの揉みのスキルですら御坂美琴攻略、陥落にまでは届かなかった。
これはやはり相手が悪過ぎた。
固有スキル以上に日々の経験、鍛え方が違った、と言う事でしょうか。

それでも何でも、お互いギリギリ真面目な部分がシュールですらあるのがこの対戦。
途中で独自に事件を追跡していた食蜂操祈が介入、もう一歩の所でパイオ・ツゥ陥落と言う所でしたが
召還済みの蠱が食蜂をパニックに陥れた事で形勢逆転。

食蜂こそ能力抜きでの戦闘となるとお話しにならない人で、
しかも、食蜂vsパイオ・ツゥと言う取り合わせです。
その結果はネギま!名物、早急に講○社ロゴの美しい映像をお楽しみ下さいモードで
豊かな長い黒髪に長身ナイスバディが最高な某美少女水泳部員の如く
艶めかしい金髪の乱れ髪でナカッタコトニと痙攣する状態へと。

こんな状態でも、実の所パイオ・ツゥの方は大真面目に仕事、戦況を考えていたらしく、
美琴の能力をどこまで理解出来ていたかはとにかく、大型召還生物で美琴に超電磁砲を撃たせ、
食蜂は演算を攪乱した上にパイオ・ツゥのゴッドハンドの餌食で完全に腰の立たないKO状態。
実際に地下道での爆破事件もあり撤退指示が出ていた美琴達に対して、
パイオ・ツゥは最後の蠱の大量召還で美琴達を疲弊させ退却に追い込む。

食蜂の見立てでは、一番危険な食蜂を蠱が苦手と言う点も含めて確実に無力化する。
そして美琴も蠱も含めた物量、高速戦で電池切れ寸前に追い込まれて撤退せざるを得ない結果。

そもそもパイオ・ツゥへの依頼自体がよく分かりませんが、
拠点防衛であれば、魔法世界の裏を行く傭兵、その強かさは伊達ではない。
別の場所で「並の魔術師」では適わないのがレベル5だと書きましたが、
戦闘のクオリティに就いては、レベル5第三位御坂美琴相手に一歩も引かない激戦を展開。
夕映をKOして幾度もネギとも幾度か交戦したと言う辣腕の魔法傭兵の実力を見せつけます。

一方の御坂美琴も又、蠱をバイオテクノロジー前提で考える等の発想の有利があったとは言え、
美琴の特殊能力すら凌駕しかねない未知の強者を相手に大善戦と言った所でした。

>>340

 幸運賞
 馬場芳郎・博士vs長谷川千雨

これもおまけみたいな受賞ですが。
超電磁砲の原作で食蜂もちょっと言ってるけど、
超電磁砲での御坂美琴に続いて本作の長谷川千雨と、とことん相性に恵まれない連中でした。

学園暗部から一人で逃走、と、千雨にして見れば自他共に認める自殺行為だった筈が、
一点突破で相性優位のこいつらと当たったお陰で電子精霊にメカの支配権奪取させて逃走成功。
馬場にゃんに至っては、
その後科学の数十年の進歩を笑い飛ばせる恐怖のラスボス敵に回してダッシュで逃走してたり。

こいつらにしたって、特にオジギソウとか千雨以外の誰と当たっても
相当に優位だった筈ですが(作中では愛衣が似た様な相手に対して気流操作で察知、対抗してましたが)、
当たったのがよりにもよってピンポイントで相性の悪い千雨だったと。

 最優秀個人賞 御坂美琴
 優秀賞 麦野沈利
 優秀賞 寮監

これもあって無い様な基準ですが、ここまで書いてて思い付きました。
強い連中は色々いますし超能力者の上二人はやっぱり桁違いですが、美琴の受賞はバランスの良さです。

脳波干渉を遮断する電磁バリアの僅かな違和感から夏美の「孤独な黒子」を察知。
客観的には敗北しても、ネギパでも上位である楓、小太郎相手に善戦。
凄腕の電子精霊使いである千雨ですら追い込まれた
レディリーの魔術電子ドラッグを「電気は電気」で強行突破。

ステイルの弟子三人の内二人に圧勝。
ストリートファイトで図書館三人組を劣勢に追い込み、
ネギ側に手加減ありとは言えネギ相手に容易には引かない激戦を展開。
常盤台女子寮で「アマゾンの戦士」を制圧。
実力派の魔法傭兵パイオ・ツゥと激闘。

なかなかにそうそうたる実績。
応用の利きやすい能力に実際に応用を利かせて「魔法」の実力者とも渡り合うのが強みですね。
更に上位の連中がむっちゃ強いのは分かりますが、美琴ってネギま!基準だと実際どの辺なんでしょうね。
漠然と武力だけなら原作でも中の上か更に上、辺りから知恵を使うのが面白い感じですが。

>>341

最優秀がみこっちゃんで優秀賞にむぎのん、
うん、間違いなくPC前に首無し死体が転がってそうな選考基準ですな。
戦闘力だけなら決して弱くはない明石裕奈との真っ向対決を
ぼっこぼこのワンサイドゲームで終わらせたのは圧巻でした。

武装掃除屋を悠々と虐殺し、ヒュドラや魔素人形なんて文字通りの化け物、
戦闘力自体が高い上に未知そのものを相手にして焦りを見せながらも、
本来の所属である「魔法」の側でも手こずる相手に麦野の打つ手は堅実にして効果的。
修羅場をくぐった暗部組織「アイテム」のリーダーにして第四位の実力と経験値は伊達ではありません。

寮監………まあ、なんだ。安定の寮監様でした。

これにて表彰式は終了、次回以降は登場人物評になります。よろしければもう少しだけお付き合い下さい。
今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

>>330
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/22(土) 01:38:08.53 ID:DYVhTomyo
電磁砲のレギュラー全員に敵視されるとか
こいつら一体何したんだよ


ここがいまだによく分からんのだが

イレギュラー追跡するのは分かるけどなんであんなに激おこしてたんだ?
千雨とか逃げ回ってるだけで美琴らがやたら感情的に見えたんだが

多分、1-136 のネット進入辺りから、既に初春経由でマークされてたんじゃないかと
とあるの原作から見ても、進入経路から大体の位置割り出し、防犯カメラからの映像取得、
登録者の割り出しと追跡くらいはやってのけるし>初春

ネット上で初春とドンパチ、不法侵入と思われる未登録者集団が接触してきたとなると
そりゃ逃がさんでしょ?

白井が車椅子って事は、時系列的に残骸事件後(「樹形図の設計者」の破片の争奪戦)だし
不審な公園破壊事件も起きてるし、「あれもこいつらが!」とか「また外から変なのが!」
と暴走したとしても・・・まぁ納得

それでは、予告通り長すぎる後書きの人物評投下いきます。
やっぱり予告よりももう少し長くなりそうです、すいません。

それでは今回の投下、入ります。

>>342

・長谷川千雨

「何やってんだてめぇらぁぁっっっっっ!!!」

表題からして本作の主人公で、実際、およそ主人公そのものの行動を取っていました。

私自身の禁書歴、ネギま!メインと言う流れもあって、
あくまで禁書世界に潜入する発想は一般人。この立ち位置が一番適していました。

そして、魔法・魔術世界、科学世界。
その圧倒的な力、政治力を恐れながらも、
その高度な技術の影で何かを忘れがちな、仕方が無いと言ってしまいそうな大切なものに、
一般人だからこそストレートに憤りを覚え耐えきれずに行動を起こす。
それこそ上条さんを思わせるものでもありますが、
何よりもリスク計算を大事にすると自称する賢い彼女であっても、です。

それは、本来の性格なのでしょうか、それとも魔法世界に至るまで覚えたものなのでしょうか。
真面目に答えれば両方なのでしょう。
自分を傍観者と自称していたのも、無力な身の程を知っている、と言う意味になりますね。

そんな彼女が、公園ではアリサを襲撃したネセサリウスの魔術師に先頭切って制止に入り、
高音チームや美空からネセサリウスがどれ程ヤバイ集団か警告されても結局はやめない。
一時は御坂美琴に、そして垣根帝督と言った超能力者から追い回されて命の危険に晒される。
唯一の武器である電脳戦でも初春に完敗の上に
レディリーの電子ドラッグでは初春を救出するためにこれも死に恐怖する。
しまいには、諸々の危険な情勢を押し切ってエンデュミオンに突撃して、
本来は直接戦闘要員とは対極の千雨がシャットアウラから
殺す勢いで刺され銃撃されボコボコに殴り倒される。

それでも縋り付いて辿り着いた、その結果は、あの通りでした。
率直に言って私自身、本当に長谷川千雨はそこまでやるだろうか?
ネギもいない状況で、「やめだやめだ」と言い出さないとおかしいのではないか。
確かにしまいには世界の危機に関わる事でもありましたが、
その点確信があったのか?と言えば、ですが、
こういう場合彼女がどの要素で動くのか、二次屋の勝手も含めて自分が信じた勘に従わせてもらいました。

>>346

本作では、ですが、「ちう」には意外なところにファンがいましたね。
そもそも学園都市の内と外とのネット通信がどういうものなのかかなりの想像頼りになりましたが、
それでも、インターネット普及社会を前提として余りに隔絶されている状況はあり得ないと言う事で。

そういう訳で、鳴護アリサと「ちう」がそれぞれお互いにファンだった事がそもそもの始まりですし、
初春飾利が見た目で見破る程の読者だった事が思わぬ展開に繋がります。
原作のネギからもホームページの内容それ自体を褒められているぐらいです。
千雨自身はあくまでも所詮は匿名性の裏の顔、と言う認識の様ですが、
初春などは完全に裏データまで掌握しての判断ではありましたが、
それでも、学園都市でそこまでの信を得た「ちう」も又、
千雨の実力であり人柄だったと言う事なのでしょう。

ネギ不在の中言い出しっぺとしてチームリーダーとなった、ならざるを得なかった千雨。
客観的に見て、稚拙と言わざるを得ない部分が少なからずありました。

実際に普通のやり方で対処出来ない状況だった以上、
和美の情報収集方法を黙認した事に就いては是非はあるでしょう。
ファミレスでアリサがさらわれた夜の経緯に関しては、
あれだけの猛者揃いの大人数の大半が途中で釘付けになり機能停止する。
これは流石は学園都市、たまたまそれだけの人材に遭遇してしまったと言う事で、
千雨を責めるのは酷な部分があります。

せめて「アイテム」と交戦に陥った運動部。
コンサート会場から隠密性の高い忍者と堂々巡りする羽目に陥った楓。
追跡したマリーベートの口車により削板軍覇と青春の汗を流す羽目に陥った古菲。
この中の一つでも機能していれば局面は大きく変わった筈です。

そして、千雨と「孤独な黒子」を使える夏美が、千雨チーム全体で怪事件を頻発させた結果、
通信電波を追跡されて学園都市暗部組織である垣根帝督に捕獲されてしまった。
結果、シャットアウラ方面から追跡していた最後の切り札だった小太郎と
麻帆良からの派遣で事に当たっていた愛衣まで千雨自身の救出に動員してしまった。
これも、学園都市恐るべし、と言ったレベルの話です。

その一方で、千雨自身が後悔していた様に、
本来遠距離偵察、通信能力のある和美を司令部である千雨サイドではなく前線に出してしまったのは、
少々結果論じみてはいますが痛かったです。
和美が司令部付きであれば各方面の状況を把握する事が可能であり、
本来精強過ぎる程精強な筈の各方面が異常なレベルで軒並みダウンしたとは言え、
和美のアーティファクトを考えるなら宝の持ち腐れを引き起こしてしまいました。

>>347

そして、千雨の一瞬の焦り、判断ミスが大きなチャンスを奪ってしまったのは、
図書館三人組と婚后グループ、更には御坂美琴との間にやらなくてもいい戦闘を引き起こした、
更には宮崎のどかとインデックスとの接触でのどかが生命の危機に瀕して、
木乃香まで巻き込んだ一大事に至る遠因すら作ってしまった事です。

結果、図書館組をファミレス周囲に釘付けにしてしまい
アリサを誘拐したステイルチームの現場逃走を許してしまいました。
これは、短時間、そして命懸けの場面に酷な話ですが、
それでも情報不足の即断が過ぎた、
もうちょっとだけでも夕映から確認して回避する事は出来た場面でした。

その間に麻帆良では神裂火織が大暴れして魔法協会とイギリス清教の間で戦争すら視野に入る事態に発展。
自分達を救出して垣根帝督との激戦を繰り広げた小太郎や愛衣、
「アイテム」との交戦で絹旗から仲間を守った大河内アキラ、
パニックに近い状況で迂闊にインデックスの原典に触れてしまった宮崎のどか。
「聖人」神裂火織との激戦に至った麻帆良戦線の刹那や明日菜、木乃香、
他にも少なからぬ学園警備の魔法使い。

重傷者を含めた負傷者多数が発生し、戦争すらあり得る事態。
その事に少なからず関与して高音の逆鱗に触れ、とうとう千雨は楓の胸の中で号泣してしまいます。
無力で臆病な自分がリーダーなんて、最初から間違えていた。
そんな思い上がりのせいで大勢の人間、付いてきてくれた仲間を傷付けた、と。

そもそも、魔法世界の数々の苦難をくぐり抜けた事もあり、
個人的な資質は決して小さくないとは言っても、本人が言っている通りネットが強いだけの只の中学生。
それは客観的に正しい評価であり、頭のいい千雨自身が一番よく知っている事です。

それでも、臆病なのは人が傷付くのが怖いから、痛いから。
本当はそれぐらい情に厚い、優しい人間。
自分が無力で臆病だと言う事はよく知っている。
だからこそ、誰かを傷付けない様にクールに振る舞う。
だからこそ、その自分の心を守る装いを捨ててでもやらなければならない、
守らなければならない人がいる。

それが分かっているからこそ、御坂美琴や高音の怒り、
正義の反対側は別の正義、皆、それぞれに守るべきものがある、守りたい人がいる。
その事を理解して、傷付けてしまった人には頭を下げる。
自分が巻き込んだ結果呪いに取り込まれた初春を助け出すためには、
それを自分の責任として覚悟を決め、その事が又、御坂美琴の怒りを買う。

>>348

そんな千雨の事を楓も、ネットで千雨に触れて来た初春も、
そして、力強いリーダーではなくても付いて来た、そんな千雨を手助けしたいと馳せ参じた仲間達も、
その優しさ、強さをよく理解していました。

原作では、少なくとも表面上は余り芳しくない描き方の最後になっていましたが、
又一つ、こう言ったら照れ笑いか鉄拳か、仲間と一緒に傷だらけになりながら一つの冒険を取り仕切った。
そして、ちょっとほろ苦い分かれを経験したこの長谷川千雨の未来は、
もしかしたら超りんが渡り歩いたちょっと違った世界の一つに至ったのかも、なんてな。

・佐倉愛衣

「私は、魔法使い失格です」
「私達は、そのためのま…」

終盤近くまで、ネギま!側の第二ヒロインって辺りまで出番が食い込んでました。
この娘、私が描くと、ヒロイン度や男前度なんかが多少盛り気味になる傾向がある様です。

と言う訳で、それでは原作を客観的に見た場合どうなるかと言うと、
容姿端麗、村上夏美保証書付きの普通に可愛い美少女枠
性格は至って素直で真面目、礼儀正しい。だからと言って硬すぎる訳でもなく
年相応に適度なミーハーのはしゃぎ屋。ツンデレ、ヤンデレ、DQN等々の
変な属性は今のところ無し、癖の無いいい子ちゃんタイプ。

魔法使いとしては、上の要素と共通で能力の高い優等生。
丁度、レベル5まではいかなくても、御坂美琴の能力開発に関するキャッチフレーズがしっくり来る。
つまり、才能があって真面目に努力して標準的にはその世界の学年トップクラスの実力者。

結論 お見合いで紹介するには最適のタイプ。

そんな彼女の本作の戦闘歴を見ると、

愛衣自身「絶対負けます、と言うか死にます」と即答したステイルと二度に渡って交戦
ステイルの三弟子に捕獲されて水責め拷問
学園警備として他の魔法使いと共に麻帆良で神裂火織相手の防衛戦
小太郎、夏美と共に垣根帝督との激戦
学園都市の研究所から地下で刹那と共にハイブリッド・ヒュドラ退治。アイテム、ステイルチームも参加
エンデュミオン基部での召還魔獣との防衛戦

>>349

何この武闘派魔法使い?

原作中でも、周りが異常に凄過ぎるだけで年齢的には高レベルの魔法使い、
初期のネギなら圧勝出来ただろうとも明記されていますし、
その実力と素直で真面目な性格の相乗作用は理解出来ます。
それでいて、色々と年頃に似合うはしゃぎ屋の一面も持っていたりもしますが、
根があんな感じの性格で、それでもアメリカに留学して首席卒業まで頑張ったのは並ではないでしょう。

そうやって勝ち取ったものに対する相応のプライドや使命感もある筈です。
夏美との関係に象徴的に、原作読者から見ても彼女は基本「見られる側」、
その数少ない直接の心中描写が学園祭の高畑先生救出作戦です。

今回、彼女を突き動かしていたのは「魔法使い」としての「真摯さ」です。

因縁深いステイルとの交戦では、一度目は上条さんにかき回された面もありましたが二度目では完敗。
最初から勝ち目が無いと言っていた「ルーンの天才」ステイル相手に絶対やってはいけない、
相手の敵地に飛び込みイノケンティウスの射程に入ると言う致命的なミスを犯しながら、
生きて戻ったのがむしろ凄いと言うレベルで結論は完敗です。

その後も三弟子からの水責めで心が折れる寸前に追い込まれて自己嫌悪したり、
小太郎や夏美と共に垣根帝督撃破の突破口を開く金星を飾るも後を引く程の大怪我を繰り返したり、
数々の手助けを得てヒュドラとの死闘を制するも、
一時的に視力を失った上に無理がたたって完全にドクターストップ。

結局その後もエンデュミオン基部での作戦に参加していましたが、
しまいに夏美が高音にブチギレた程危険な任務を引き受けながら、
「魔法使い」を曲げまいと、そこまでボロボロになっても貫き通した。

その一念が、恋敵である夏美や上条さん。麦野の様な曲者の心まで動かして、
最後には複雑な関係のステイルからも皮肉っぽい激励?を送られています。
高音が愛衣を簡単に見捨てるとは思えません。
夏美が言う迄も無く危険過ぎる任務を高音が愛衣に任せたのも、
実際に人手不足、それでもやらなければならない「魔法使い」としての使命を、
チームのエースとして期待したからなのでしょう。

お姉様や先生であるネギや師匠である小太郎を含めて何故か目上しかいない、
ついでに言うとナツメグにも敬語を使っている愛衣ですが、
実力的には絶対適わないと言いながら、同年代のステイルとはちょっと面白い関係でした。

>>350

ほんの一時、間近で共に魔術を学びながら、片や「殺し屋」の「魔術師」、片や「人助け」の「魔法使い」。
実際に本作の仕事上では殺し合いすら展開した二人ですが、
そもそも殺し合った間柄で素直ではない友誼を結ぶのは
ステイルのステイルたるゆえんごめんなさいハンバーグはご勘弁。

それでも、「真摯な魔法使い」の愛衣にはステイルがルーンに懸けた狂おしい程の情熱の一端が感じられた。
そして、なんだかんだ言っても今回の困難な仕事に最後まで食らい付いた、
それ以前の学校生活でもなかなかのやんちゃぶりで魔法を追求していた愛衣に、
ステイルも仕事で殺し合う必要がなければ多少は思う所もあった、のかも知れません。

見た所、どっちも大本命ありでフラグって事もないですが
目上に囲まれた愛衣と本来殺伐とし過ぎてる世界の住人で
そう言えば出て来るのは主に年上の女ばかりで「緩くなった」と言ってるステイルの取り合わせ。
ええ、どっちも大本命がいてどっちも、すいません、まだ黒い物体になるのは遠慮しときます。

原作では失恋確定でも元気そうで何よりです。
本作から繋がったら、結果がどうあれ直接接点を持ってしまった夏美とは
きっちりケリを付けるか先を見通す「頭のいいいい子ちゃん」で終わってしまうか、
努力でここまでの魔法使いになった彼女は、イザとなったら頑固で情熱的だと勝手に思いますよ。

と、言いますか、本作のルート、
この後明日菜封印ルートと言うかUQルートですから、もしかしたら…

・村上夏美

「王子様を助太刀して、みんなで麻帆良に帰ろうかっ!!」
「………いい、加減にしろよ、っつってんだよっ!!!」

化けましたねこの娘…
原作では出て来ない様な言動をちょくちょく描いた点。冒険でした。

能力的に宮崎のどか「いどのえにっき」と並ぶチートファクト「孤独な黒子」の使い手と言う事ですが、
結果、作者の都合wも相まって

「いつだって相手より優位な立場にいると思うのは禁物よ」

を地で行く展開。場所が科学の学園都市と言う事で、
人間の主観を狂わせる「孤独の黒子」が機械センサーと相性が悪かったり。

>>351

最初の公園での戦いでは手繋ぎの先に上条さんがいて、黒鴉部隊の電子センサーにも足止め。
超電磁砲組との追跡戦では
「監視カメラ顔面認証」初春飾利「脳波干渉電磁バリア」御坂美琴のタッグで電撃の的にされて
垣根帝督戦に至っては場所ごと吹っ飛ばされると言う、
「魔法」レベルでは最高レベルとされる魔法具、
非常識バトルの唯一の武器が打破されまくる恐怖体験の連続。

元々が一般人、脇役を自覚してそんな限界に何度もぶつかりながらも、
それでも最後まで出番に食らい付いたのが本作の夏美です。
時に、原作にも無い感情をぶつけて自分から舞台によじ登りながら、です。

だからこそなのでしょう。
恋敵の魔法使いでも、友達の友達のストリートシンガーでも、
映画の中でウニ頭のヒーローがバット振って言ってた通り、
真摯に頑張って主役を掴んだヒロインを素直にリスペクトして、
そして、それを踏みにじる者には巨大な力でも先輩でも秘めていた激情を露わにした。

原作ではむーっと一方的にその素直美少女ぶりを睨んでるだけの愛衣との関係も、
そこから見たら遥かに積極的にコンタクトを取っています。
垣根帝督戦の最中には、その命懸けの状況下だからこそ、宣戦布告の応酬すら展開しています。
これは、最初にステイルチームと遭遇した公園で、
直接一緒ではなくても同じ陣営で魔法世界を闘い抜いた者同士、
今度は同じ戦いの場で言葉を交わした。そして、乙女の眼差しは同じ相手を向いていた。
スタートはそれだけで十分だったのかも知れません。

あの魔法世界での戦い、命懸けの小太郎を残しての涙の離脱も経験して、
自分に出来る事なら、喪って後悔はしないと。
蛮勇ではない、それでも恐怖に打ち勝ち前に進む、
原作の冒険のちょっとだけ先の夏美が描けたなら幸いです。

・犬上小太郎

「ちぃと、まずいかも知れんな」
「で、手筈は?」

ネギが麻帆良学園を離れていた結果として、
千雨チームの紅一点ならぬ黒一点となった犬上小太郎。
本来はやんちゃな悪ガキと言うキャラクターですが、
本作では当初から千雨の信頼を受けています。

>>352

原作では、魔法世界移動後最も長い間寝食を共にするパーティーを組む事となった経緯がありますし、
曲がりなりにも裏の世界で夏美には言えない程の汚れ仕事の中を生き延びて来た小太郎です。
本作ではリアリストの千雨はその根の賢さと経験値を買っています。
そして、小太郎もその信頼に応えています。

アリサの異変に就いて千雨が最初に意見を求めたのも刹那と小太郎なら、
小太郎も又、独自の人脈から実際に刹那の情報収集ルートの危険を最初に察知して、
実際にそれは後で大変な事になっています。
そして、自分達で確認するしかないと千雨に進言した事でこの物語は始まりました。

そして、言わば千雨チームの用心棒として公園でのネセサリウスの交戦ではマリーベートを悠々と撃破。
「聖人」様は余裕綽々でしたが、神裂火織との前哨戦をこなして挽肉一歩手前の啖呵を切った事もあります。
超電磁砲チームからの追跡を受けた際には、相手エースの御坂美琴と正面対決。
レベル5のレーダー付きクイック電撃や得体の知れない不調に悩まされながらも
戦闘自体は優位に進めてその実力を見せつけています。
又、シャットアウラとも二度直接遭遇して調査のために夏美と共に部屋に潜入した事もあります。
作者の打ち明け話としては、このシャットアウラフラグももう少しなんとかしたかったですが、
ちょっと中途半端な感じで終わりました。

そして、各勢力入り乱れたアリサ争奪戦の夜には
垣根帝督の襲撃を受けた夏美、そして千雨を救出するために、
途中で合流した愛衣と共にレベル5第二位垣根帝督と言う恐るべき強敵相手の死闘を展開。
仮契約パートナーとして魔法世界をくぐり抜けた夏美、
魔法使いとして小太郎がそこそこ優秀と評価する愛衣の力を借りる両手に花状態で、
冗談はさておき打撃・遠距離・隠蔽のバランスのとれたトリオで、
レベル5第二位、桁外れの実力を誇る垣根帝督を辛くも撃退します。

この戦いは前に詳述しましたが、原作でフェイトから調に渡された小太郎のデータは、
実は余り正解では無かった事が、その調との結局は逃走に終わった交戦で明らかになっています。
つまり、本作で千雨が見込んだ通り実際には裏でそれなりの経験を積んで
優先順位を判断出来るリアリストだと言う事です。

本作での垣根戦では、実際の戦況も加味して、
垣根との激戦を考えると既に限界近くまで負傷していた愛衣と
「孤独の黒子」で逃走能力だけはある、だけしかない夏美を優先して逃がす、と言うのは賢明な判断です。
しかし、それでも戻って来たのがこの二人です。

小太郎の性格的には女は守るもの、余り嬉しくないシチュエーションの筈ですが、
この時の小太郎は即座に受け容れます。
時々修行を共にして真面目な魔法使いと評価している愛衣も含めて、
この二人が単に感情的に蛮勇を奮って戻って来る筈が無い、と言う信頼があった筈です。

>>353

そして、それは的中。命からがら、小太郎と愛衣は実際重傷を負いながらも強敵垣根帝督を下すに至ります。
その戦いも三人の力をフルに発揮して一瞬のチャンスにかける。
信頼関係無しには絶対成立しない絶妙な展開であり、
裏の悪ガキがネギと出会い様々な、掛け替えのない出会い、
魔法世界の戦いをくぐり抜けた一つの結果でした。

只、その後はちょっとぱっとしません。
垣根戦での負傷により入院中として最終日の千雨チームの当初メンバーには参加出来ず、
フェイトに石にされて宇宙旅客機に搭載されての参加と言うやや冴えない始まり。
確かに、宇宙旅客機の窓から、あの映画禁書随一のぶっ飛びシーンを見せられたら
自分が放った若気の至りの一言に震え上がるのも無理は無い、君は悪くない。
その後もレディリーの召還魔獣、
特にケルベロスとの魔犬対決に専念する形での事実上のフェードアウト。

それでも、そこに至るまで今回の物語では十分「漢」を見せてくれました。
原作では、その後「男」として選ぶ相手は決まっている訳ですが…
今ん所、原作では見られなかった直接火花を散らしているせめぎ合いなど、
間違いなく彼は知らないのでしょうねだがそれでいい。

・高音・D・グッドマン

「痛い、では済まされない話なのですよ、大勢の人間が」
「誰があの娘に手を出していいと言ったあっ!?」

麻帆良学園学園警備所属として、
佐倉愛衣と夏目萌の二人妹分を引き連れて一連の騒動に介入した高音さん。
その姿勢は一貫して魔法の関わる世界の秩序のため、
ステイルにも千雨にも自制を求めて来ました。
そして、千雨チームに加え神裂火織が暴走し戦争すら現実味を帯びるに至り、彼女の怒りは爆発します。

千雨、そしてその友人達が大切なもののために暴走とも言える行動に出た、
それに反対し、時に張り飛ばしてでも立ちはだかって来た高音にも又、
大切なものがあればこその秩序でした。

「脱げ女」、「残念キャラ」の印象が強い高音さんですが、
根は真面目で自らの能力に対する使命感溢れる魔法使い。能力も決して低くはない。
魔法世界での活躍も侮れないもので、舞踏会では魔法使いでも得体の知れない魔素人形の大群相手に
(結果論として地球魔法と相性のいい相手でしたが)
愛衣が震え上がっている前で迷わず介入に踏み切り、
最終決戦の艦上ではその防御力で皆を守るために攻撃に晒されながる危険な楯役を担当。
間一髪で敗れる事にはなったものの、術式発動を巡り調との激闘も展開しています。

>>354

千雨達の暴挙に巻き込まれる形で愛衣が重傷を負った。
魔法世界で自分達が命懸けで守り抜き、発動させたプラン。
多くの命に関わるそのプランが妨げられ、
あまつさえ戦争で大変な人命に関わる被害が出るかも知れない。その事に激怒する。

元より夏美に怒鳴られる迄も無く、元々が科学の学園都市を敵に回しかねない上に、
数多の魔術師を殺しに掛けて来た凄腕の危険人物。しかも能力の種類が愛衣の上位互換。
そんなステイル達とも競合する潜伏調査を愛衣一人に任せる事の危険性が分からなかった筈はありません。
それでも、そうせざるをを得なかった選択だった筈です。

だからこそ、ネギから魔法使いが羨む程の力を与えられた千雨達の無責任な暴挙。
それによって多くの人が傷つくかも知れない。
その事を、高音は一人の普通の、組織に頼らざるを得ない、
普通でしかない無力を噛み締める魔法使いとして決して看過できなかったのでしょう。

それは、愛衣の事も、この世界の事も魔法世界の事も、
魔法使いとしてルールを守る事で多くの人を守りたいから。
守りたいと言うその気持ちは、本来同じ事の筈です。
だからこそ、責任、秩序と言う言葉の礎であるその思いは、
だからこそ高音の逆鱗に触れた千雨も、そして途中直接反抗した夏美にも十分過ぎる程伝わった筈です。
互いに伝わったからこそ、レディリーの仕掛けたエンデュミオンの呪いの全貌が明らかになるに至り、
高音も柔軟に千雨達を黙認し、そして、動き出します。皆を守る「魔法使い」であるために。

守りたい大切な事があるからこその秩序、責任。
その順序があるからこそ、その限界を超えた時彼女は「私闘」に踏み切ります。
大切な妹分を傷付けた上に愚弄する学園都市超能力者第二位垣根帝督と言う、
実力的にも政治的にも最悪と言うべき相手に。
それは、ネギま!禁書のクロス作品として、一人の「魔法使い」が「我が儘な魔術師」となり、
魔術を究めるためのその思いだけは決して譲らなかった様に。

その戦闘だけを見た場合、余り褒められたものでもない。
はっきり言って相手が強すぎて歯が立たなかったと言ってしまってもいい内容でしたが、
それでも引けない事はありました。
そして、そんな彼女の責任感、その本当の所である支える熱さと優しさ。
それを知る者達が一つの奇蹟をもって報いました。

と、まあ、カッコいい女には違いなかった高音さんですが、
それでも、やはりそこは高音さん。
事、禁書とのクロスと言う事になれば、
それはもう完全武装で上条さんと交差してもらわない事には始まらないと言う事でして。

>>355

・朝倉和美

「だーいじょうぶだって、この手の交渉事は得意なんだから」

公園でのネセサリウスとの交戦後に千雨チームに参加した朝倉和美。
和美が千雨等が秘かに動き回っている事を察知した結果、
彼女の性格上下手に探られるより正面から引き入れてしまった方がマシ、と決断したと言う
実に朝倉らしい展開と言う事で。

確かにその通り、原作中でも使えないネタばかり集まると言っている通り、
実の所は情に厚い所があって本当に相手を傷付ける様な事はしない、
こそこそ隠せば暴こうとするが真正面から誠意に訴えたらそれが通じる。
和美にはそういう一面があります。

しかし、今回に関しては、割とがっつり食い込んでいる割りには余りいい面が出ていない、
終わって見るとsageキャラの一人、と言われても仕方がない状態でしたね。

千雨が学園都市の情報ガードの硬さに焦りを見せる中、
その方面に長けている和美が主導権を握った結果………

学園都市のワル共が震え上がり数々の陰謀事件(の一端)を解決して来た
超電磁砲軍団の虎の尾を踏み逆鱗に触れて壮絶な追跡戦を逃げ回る羽目に陥り、
ファミレスでのアリサ争奪戦もさよの助力でもう一歩の所に漕ぎ着けながら失敗。
本来情報担当の和美が戦闘に深入りし過ぎた挙げ句の戦線離脱で司令部の千雨サイドの情報途絶
(これは主に千雨リーダーによる配置にも問題がありましたが)。

その後もエンデュミオン内でシャットアウラにインタビューを仕掛けるも、
これはまあ相手の精神状態上仕方がないとは言え錯乱させて終わると言う、
余り冴えない結果に終わってしまいました。

それでも、エンデュミオン内では、前回の失敗を踏まえた千雨の指示もあり、
相棒の相坂さよ共々索敵機能をきちんと利用して地味なところで色々役に立ってはいます。
特ダネ狙いと言いながらも
命の危険が加速度的に高まっている学園都市の千雨の元に、早い段階から飄々と付いて来た。
その行動こそが、朝倉和美だったと言う事なのでしょう。

>>356

今回はここまでですが、内容的には続きに近い話になりますね。

>>344
>>345
明石裕奈もそうですが、朝倉和美も根は情に厚いいい娘だと思うのですが、
初メイン回の修学旅行でのネギとの交渉など、
行動自体は結構ゲスい事をやりかねないキャラです。

魔法世界では自分らが冤罪状態で危なかった事もあって、
和美の諜報能力と口八丁は言わば戦場のスキルとして違和感の少なかった所ですが、
戦場のスキルを平時に使ってしまったら何が起きるか…
それを最悪によく現している言葉がチャップリン映画の英雄の基準と言う事になりますが。
魔法世界同様、学園都市も彼女達にとって
得体の知れない超能力者が蠢く異世界的な感覚もあったのかも知れません。

確かに、千雨のハッキングスキルすら容易には通用しない、
手蔓の作り様がない異境である学園都市の、
情報収集八方塞がりの中でもアリサに関わる事態が進行する現実。
情報不足による不用意な所もあったために、得意の話術を使う前に、
和美の受け持ちではない方向に事態が動き出してしまったと言う事もありました。

現実的に学園都市での低リスク情報収集が困難である以上は虎穴に入らずんば虎児を得ずであり、
その結果論として超電磁砲チームと番長同士殴り合ってから共に河原に寝転がって雨降って地固まる。
情報収集の現場の判断として十分あり得る話として簡単には割り切れませんが、
それでもやっぱり人としてどうよ、と言う事も言いたくなるやり方でもあった訳で。

と、言う訳で、この問題の鍵は、
まず、超電磁砲人脈の能力をよくよくおさらいして下さい。

その上で、

1-136
1-150
1-185

を熟読して見て下さい。

もしかしたら、何かが見えるかも知れません。

続きは折を見て。

乙です

>>357
確認した

>黒い交際って奴だね。
>和美は、茶封筒をテーブルに置いてウエイトレスに声を掛ける。
>今はそうでもないけど、ジャッジメントになりたての頃は

あーそこ突っ込んじゃった訳ね>朝倉
そりゃ佐天さんがバット振り回して怒り狂うわ

延び延びになってすいません。
作品終了後の後書き企画って自己満足で重ねてすいませんが、
引き続き後書き人物評になります。

それでは今回の投下、入ります。

>>357


・宮崎のどか

「ごめん、なさい。勝手に心を読んで、
あの本を、持つ者としてしてはいけない事をしました」

本作中の大失敗は、正直、人一倍人の気持ちとアーティファクトを大事にしている、
そんな原作ののどかが本来はやりそうにないチョンボでした。

だけど、そんな彼女だからこそ、普通に考えて洒落にならない、
まあ、ネギの方は半ば接待でもレールガン装填の御坂美琴に割って入る様な、
それでも無駄な争いを止めて見せたり。

基本、本作中の両作品キャラのトラブルの大半は構造的なコミュ障から生じていますので、
それこそ超電磁砲メンバーなんて本来正義感の強いいい娘揃い、だからこそ、って事ですから。
そこにのどかが入るとすーっと話が通るのも道理と言えば道理です。

話が前後になりましたが、のどかが本作の流れに本格参入したのは、千雨によるアリサ襲撃犯迎撃作戦の夜。
他の図書館組、引いては「白き翼」のメンバーと共に作戦会議に参加して、
他の面々と共に当然の事の様に作戦に参加。
「図書館三人組」チームでアリサがさらわれたファミレスに急行しますが、
情報の混乱もあり婚后三人組や御坂美琴に学園都市訪問中のネギまで巻き込んだ戦闘と言う最悪に無意味な展開。
それでも、混乱の中で事態を把握して休戦に持ち込んだのがのどかの真骨頂でしたが、
その後で最大のミスをやらかしてしまいます。

混乱の中で夕映に救出されたインデックスに「いどのえにっき」を発動してしまったために
両方の作品を知っている読者の皆様が恐れた事態に。
即死こそ免れたものの血まみれ激痛の重態に陥り、麻帆良から急行した木乃香の治癒で肉体的には回復したものの
ネギに発覚した事も含めて実質的にチームが行動不能に陥ります。

前にも書いた通り、千雨の率いる他のチームも軒並み学園都市恐るべしのトラブルに巻き込まれていた事もあり
のどか達も又、現場に肉薄しながらやらなくてもいいトラブルを引き起こした事で、
そのタイムロスはアリサ誘拐事件として致命的な結果を齎してしまいます。

>>360

その結果全体は誰が悪いと言うのが難しい状態でしたが、
夕映でも庇い切れず(但し、この時期の夕映はのどかに対する心の絶対恩人絶対親友意識は微妙だった筈ですが)
のどか自身が深く悔いている様に、この時ののどかの行動は戦場的な混乱に呑まれたとしか言い様のない、
多少弁護すればその前のトラブルをそうして解決した事で、
大きなタイムロスの中、惰性で効率的に動くための予防線を張ってしまったのか。

それが文字通り致命的な結果を招いてしまった上に、
みだりに他人の思考をのぞき込む「いどのえにっき」を持つ者としての倫理に悖る事を
のどか自身が一番よく知っている悔いの残る行動と結果になりました。

レディリープラン当日、のどかは独自に動き出した刹那、木乃香に同行して再び科学の学園都市に向かいます。
それは、刹那と木乃香の行動を読んでいた夕映が、
二人が学園都市の曲者共を相手にするに当たって情報収集担当が必要であると、
そのためにのどかに同行を求めたものでした。
別行動の千雨チームが念を押していた様に、その危険性は甚大なものの筈でしたが、
のどかが快諾した事は想像に難くありません。

その後も、土御門兄妹の追跡調査を初めとして、
麦野沈利からの命懸けでもあった情報収集は千雨チームにも大きな効果を与えています。

前日に力の応酬となった婚后光子の協力で刹那、木乃香と共にエンデュミオンに乗り込んでからも、
直後に庭園のリンゴに手を伸ばしたために見張りのドラゴンにフリージングされて、
幸いフリージングの後に振動を加えられるところまではいかずに又もや木乃香の治癒を受けたりもしていましたが、
その後は同行した二人と共に「アイテム」と明石裕奈の戦闘、停戦に立会い、
千雨の依頼を受けて木乃香と共に風斬氷華の救出に急行、合流を果たしています。

その後は、決着を千雨らに任せる形で風斬らと共にエンデュミオンからの脱出ルートに入りますが、
エンデュミオン侵入後の一連の流れでも、
構造的コミュニケーション障害解決のために活躍していた事が会話の端々から伺えます。
最後の最後には何気にネギや図書館仲間と共に「アイテム」による暗殺行動をウォッチしたりもしていました。

魔法世界での苦難を経てネギから一人の冒険者として認められた、
あの引っ込み思案な少女が時にとんでもなく大胆な行動でネギのため仲間のため
命懸けの情報収集で物語の鍵をも握って来た。
それは今回の、科学の学園都市と言う新たな戦場でも健在でした。
事の性質上それは秘かに、しかし着実に、
なくてはならない縁の下の力持ちとして、この本のページをするするとめくってくれました。

>>361

・神楽坂明日菜

「何、寝惚けた事言ってんの?」
「よく、分かった。
あんたが人の事をそういうにしか見れない奴だって事はね」

確か、原作ネギま!のメインヒロインだった筈です。

本作の序盤では、ネギのプランのためにお姫様として多忙な日々を送っていましたが、
それでも「白き翼」、3Aの一員として、千雨中心に動いていた事態に彼女も巻き込まれていきます。
巻き込まれた、なんて言ったら彼女は怒るかも知れませんね。
アリサの危険が迫る中、千雨が「白き翼」の招集を頼んだ相手が明日菜です。
「白き翼」の「姐さん」である事は誰しも認めると言う事です。

それでも、千雨は学園都市、そしてイギリス清教との摩擦を起こしかねない
学園都市でのアリサ誘拐勢力迎撃作戦に
明日菜が参加するのは政治的にもプランの上でも危険すぎると判断。
明日菜は多少の抵抗を見せながらも麻帆良で留守番と言う事になりましたが、
その留守部隊に向けて大事件が発生します。

情報収集のために麻帆良を訪れた神裂火織と桜咲刹那が決裂。
麻帆良、主に千雨チームの情報が掴めない事で、
刹那の口を割らせようとする神裂に対して刹那は懸命に抵抗しますが、
「白き翼」でも指折りの使い手である刹那であっても相手は「聖人」神裂火織。
刹那がズタボロに傷付けられた所に明日菜と木乃香が到着。
明日菜の結論は一つ、激怒でした。

確かに、魔法世界の姫として、
覚醒した明日菜は神裂が瞠目する程の強さを示しましたが、それでも相手は「聖人」。
明日菜、刹那、そして木乃香の三人がかりでも圧倒的な強さで迫る神裂に対して、
明日菜は死の淵を覗きながらも一歩も引こうとはしない。

そこにあった感情は親友を傷付けられた事への怒り。
只それだけで、全てを擲って「聖人」に挑み続ける。

こう書いてしまうと、今の身分も含めて考えると
理屈では馬鹿の上に無責任が付いてしまう。神裂もそこを強調していましたが、
これが神楽坂明日菜だ、と言われると説得力があり過ぎる行動です。
少なくとも、刹那が目の前でズタボロに傷付けられて、
明日菜がお姫様だからとお利口に引き下がる。
まず考えられないシチュエーションです。

>>362

そして、神裂は組織の人間として、
明日菜がお姫様だから、裏を返せば刹那はその下の人間だから、と、
明日菜には絶対言ってはいけない言葉で撤退を促してしまったのですから。

その、馬鹿が付く程の一途さ。結果論としては、流石に処刑塔は無いかも知れませんが
刹那が本格的に連れ去られる前に学園警備が介入する時間を稼ぐ事にもなりましたが、
只、目の前の友達のため。その想いは恐らく通じた筈です。
なぜなら、神裂にとってそれは恐らく、ですから。

エンデュミオンに於けるレディリープランが発動した時には、
ネギと共に宇宙に赴き、
途方もない規模のデーモンをネギと共に術式解除までの間力ずくで抑え込むと言う、
ネギと共に魔法世界初め数多の冒険を潜り抜けたお転婆原作ヒロインに相応しい活躍で
レディリー・プランの最後を飾った明日菜。

原作では、この後明日菜には途方もない運命が待ち構えています。
明日菜もその事を知っています。
身分をかなぐり捨てる様にして親友のために「聖人」との死闘に臨むのも、
そしてこの先に待つ魔法世界での運命。

かつて、自分達の安全を保障するフェイトの申し出を、
知り合ったばかりの魔法世界の大勢の人々のために根拠の無い自信と共に一蹴した様に、
原作でも又、この後人生そのものと言ってもいい犠牲を払ってでも
愛した人々のための礎となる。
並のバカではありません。底無しのバカです。

余りにも頼もしく、そして少し哀しいバカレンジャーのバカレッド。
それは、とても優しい一人の少女でした。

・近衛木乃香



桜咲刹那が侮辱を受けた

言う事や」

「命を懸けて守る?てんごも大概にしとき」

>>363

会話の中にはちょくちょく出没していましたが、
直接登場したのは千雨の依頼を受けた明日菜による「白き翼」の召集、
アリサ襲撃犯迎撃のための作戦会議の時でした。
この時は、木乃香の立場上、政治的問題やネギのプランの関わりで、
木乃香が参加するのは万一の時のリスクが高すぎるとして
千雨から留守番を求められて木乃香もそれに従っています。

その夜に麻帆良学園都市で発生した神裂侵攻事件。
刹那が、そしてその事に憤った明日菜が「聖人」神裂火織に為す術もない程に一方的に痛めつけられ、
治癒魔法で辛うじて明日菜の命を繋ぐ有様で、木乃香の思いはいかばかりのものだったでしょう。

それは、武力では到底かなわない、現に武闘派の親友二人が悉く命に関わる重傷に追い込まれている。
そして、神裂が懸命に説き聞かせている様に木乃香には「近衛の姫」としての重責があり、
それがネギや全ての事にとってどれ程大切な事か木乃香は百も承知している。
それでも何でも、到底かなわない、命に関わる、それを理解していてもなお、
木乃香はお利口に効果的な立ち回りすら考えず、
あくまでも直接神裂に立ち向かう事を選択した、それが答えでした。

最終的には学園警備の介入で窮地を脱出いる事には成功しますが、
この時の刹那、明日菜を初めとして学園警備の重軽傷者多数を治癒。
更に科学の学園都市での作戦中にインデックスの「原典」で重症に陥ったのどかに
最大術式「いぶきどのおおはらえ」を発動。
その後も一連の騒動に関わり治癒魔術を使い続けた事で
とうとう魔力失調で木乃香自身が昏倒してしまいます。

翌朝、けじめをつけるために学園都市に向かう刹那に合流した木乃香。
その理由を告げた木乃香の顔に、あの笑顔はありませんでした。

桜咲刹那が侮辱を受けた

これだけで、我が事我が痛みとして、
心の底から憤り行動するには十分すぎる理由でした。

ほわほわ娘のこの怒りは、土御門に対しても炸裂します。
そもそも、前夜の事件のけじめと言う事になるのなら、
状況的に刹那に接触していてネセサリウスとの多重スパイでもある土御門は当然にその対象です。

それはそれとして、義妹を守るためなら全てを擲ってでも、
それこそが掛け値なし、土御門元春のアイデンティティーです。
そして、全てを擲ってでも守られる対象、擲った者の姿に無力をかみしめて来た、それが木乃香です。

>>364

大切な人が傷つく事、ましてや自分のために。
その事は決して一方的に誇らしい事でも格好いい事でもない。
神が彼女に天才的な治癒能力を与えたのも、
或はその悲しみを自らの手で少しでも減じるためなのかも知れません。

今の彼女の行動原理は、アニメ第一期最終回の大決戦を初め、
第二期、neoと繰り返されて来たあの心からの叫び、
それにより、未だに囚われがちな刹那の心をも一方的な関係から解放する。
その事に他なりません。

その後も、婚后光子らの力を借りて刹那、のどかと共にエンデュミオンに乗り込み、
そこで木乃香は又独特の活躍を見せています。
庭園のドラゴンへの言葉が象徴的でした。

幸いドラゴンにフリージングされたのどかが振動される事もなく
木乃香の治癒で回復出来た事もあったためか、
魔獣として退治しようとする刹那との間に割って入って、
むしろ林檎の番をしていたドラゴンを褒めて宥めています。

考えてみれば、庭園でドラゴンが見張っている林檎にうっかり手を伸ばしてしまったのどかの行動は、
本作に於ける千雨チームの存在自体がこういう事です。
ジャッジメント・超電磁砲組も暗部組織も、
基本的には自分達の街で不法侵入者に対処しているだけです。

少し時系列が混乱しますが、木乃香は土御門との決着をつけ、
エンデュミオンでは裕奈と交戦した「アイテム」、
その首魁麦野沈利との停戦交渉を先頭に立って取り纏めています。

その時の木乃香はいつも通り、この何れ劣らぬ化け物揃いの面子を相手に、
どこか「ネギま!?」(新房昭之総監督)っぽいすっとぼけた味を見せながら、
その典雅なほわほわ笑顔に学園都市の闇に生きる
曲者、強者共が息をのむ「近衛の姫」の貫禄を包み込んで事に当たっています。

それは、一つに麦野が恐れた通り、すぐそばに控える刹那への絶対的な信頼でもあったでしょう。
それよりも何よりも、原作を見る限り元々の素質や基本的に鷹揚な育ちだと言う事もあったのでしょうが、
命を懸けて守られるに値する、そして共に闘うと誓った、
名実共に「近衛の姫」たらんと改めて腹をくくった事が、
その圧倒的な気品と覚悟を生み出したのでしょうか。

>>365

そんな木乃香は、レディリープラン決着の後も、どうも独特のポジションにいる様です。
何かこのまま、次世代の関西人脈を中心に
アレイスター、ローラ、ネギに続く第四勢力でも作り出しかねない勢いですが、
それやったら真っ先に火を噴くのは間違いなく作者の頭でしょう。

それでも、ネギとは最も親しいポジションの一人で麻帆良初め「魔法」中枢に人脈多数。
するすると仲良くなった土御門と共に刹那をいじり倒して、
そんなこのちゃんならお姫様のほわほわ笑顔でさっくりとそんな芸当をやってしまいそうです。
使えるものは何でも使って、自らの手で守りたい人たちのために。


・桜咲刹那

「二つほど申し上げておきます。確かに私も皆もまだまだ未熟。
しかし、そんな若僧にも譲れない、力一杯ぶつからなければならない信義がある。
私も又、それを譲る事は出来ない。
そして、私一人の無駄な足掻きであればそれはゼロに過ぎない。マイナスにはならない」
「大概にして下さい」

ネギパーティーの頼もしい白き翼の剣士。
本作に於ける数々の活躍も、決してその名に恥じないものでした。

ネギパの中では比較的、と言う事になりますが
「裏」に属するヴェテランとして当初から千雨の相談を受けて、
その期待通りに鳴護アリサが魔術のトラブルに巻き込まれている事を察知。
場所が魔術にとっても複雑な政治的背景を持つ科学の学園都市だと言う事で、独自の対処を約束します。

その後は暫く姿を見せませんでしたが、科学の学園都市で千雨チームが行った迎撃作戦に於いては、
万一の場合の政治的影響が大きすぎるという理由で
千雨から木乃香、明日菜と共に麻帆良残留を指示されています。
そして、千雨チームが科学の学園都市に赴いている間に、
麻帆良ひいては魔術世界をも揺るがす大事件に直面します。

麻帆良学園都市世界樹広場で待機する刹那に神裂火織が接触。
科学の学園都市で行動している麻帆良の魔法使い、
つまり千雨達の情報を提供する事を要求されますが刹那はこれを拒否。
神裂による実力行使へと発展します。

>>366

と、簡単に言いますが、裏の(比較的)ヴェテランでありネギパでもトップクラスの実力者である刹那だからこそ、
この決断の重さは並大抵のものではありません。
確かに刹那の実力はネギとの数々の戦いでも遺憾なく示された高度なものですが、相手は「聖人」神裂火織。

この時点で、確かに並外れている部類に入りつつある刹那でも、
まず刹那を含む魔術師一般にどうこう出来る相手ではない、これは言わば「聖人」の「定義」です。
加えて、相手は「魔女狩り部隊」であるネセサリウス。
神裂自身が言っていた通り、情報を欲する神裂に逆らって実力不足とあってはまず五体満足で済む話ではありません。

それでも、自分がゼロになっても決して仲間にとってのマイナスにはならない。
その決意の下に絶望的な戦いに突入。まるで「聖人」の定義に基づいた数学の様に、
神鳴流奥義を駆使して抗戦する刹那を神裂は一蹴。
刹那のダメージを加速度的に増加させるだけの圧倒的な結果に終わっています。

しかし、そこに現れた神楽坂明日菜、そして近衛木乃香。
掛け替えのない「親友」達は、裏も表も身分もない。
只、刹那が傷つけられた事に激怒し、圧倒的強者である神裂にボロボロになりながらも立ち向かっていきます。
最終的には麻帆良学園学園警備の介入で神裂の撤退と言う結果に終わりましたが、
それは只友達のため、計算も何もない、愚かと言えば愚かな戦いであり、刹那自身も悔いた筈です。

何しろ、自分自身が重傷を負いながらも、
自分の情報収集ミスで千雨達の動きの表面化を招いたと千雨に謝罪して却って千雨を追い詰めたほどです。
何よりも大事な親友を自分のために傷つけて悔いない筈はありません。
しかし、一方で思い知った筈です。大事な親友にとって、刹那自身が決して傷ついていい存在ではないと。
裏の人間だから、姫様だから、その言葉に真っ先に激怒したのが「親友」神楽坂明日菜なのですから。

神裂との激戦の後、木乃香による回復を受けたとは言え、
翌朝には病院を抜け出して「けじめをつける」ために科学の学園都市へと出発した刹那。
そんな刹那の生真面目な責任感と覚悟は、とうにみんなにお見通し。
最も身近に付き合いの長い木乃香は刹那への侮辱は自分への侮辱と同行を求め、
ネギパの名参謀バカブラック綾瀬夕映は情報収集能力と言う弱点を的確に把握して
「いどのえにっき」の使い手宮崎のどかに刹那のサポートを要請。無論のどかはこれを快諾します。

そこから刹那は、映画「エンデュミオンの奇蹟」の時系列の隙間にはまり込む様に、
早朝の学園都市で独自の行動を展開します。
当初は同行者と共に土御門をマークしていた刹那でしたが、
レディリーがプラン当日に科学と魔術の戦争を引き起こしかねないテロ事件を続発させた事で、
ちょうど魔術に関わる裏側の人間として学園都市に潜入していた刹那はその対処に忙殺されます。

>>367

土御門舞夏を追跡した先の常盤台女子寮では
御坂美琴、食蜂操祈、そして龍宮真名と共に「アマゾンの戦士」と交戦。

レディリーを黒幕とする魔術カルトに操られた常盤台女子生徒イコール高位科学能力者。
地の能力が高いため、操られていてもそこそこ強い。
憑き物によって精神的にリミッターを切られているために通常のダメージで気絶はしない。
相手も被害者であるために人道上重傷を負わせる事は躊躇される。
科学の能力者が魔術の支配下に置かれているために、
脳を中心とした肉体的負担が発生していて解決に時間をかけすぎると廃人か命に関わる。

と言う悪条件に苦戦を強いられながらも、他の面々と協力して、
本来刹那は正式には教授されていない「斬魔剣弐の太刀」を強行。
憑き物の落ちた被害者の脳は木乃香に治癒を頼んで解決に漕ぎ着けます。

そして、「アマゾンの戦士」の術式分析を依頼した佐倉愛衣からの連絡を受けて、
今度は学園都市内に現れたヒュドラ、それも、学園都市のバイオテクノロジーを核に魔術召喚した
ハイブリッド・モンスターと言うあらゆる意味でややこしい相手との激闘を展開する事になります。

元々科学の学園都市の暗部組織としてヒュドラに関わる事件に接触していた「アイテム」の面々と、
研究所跡の建物でヒュドラを前にしたドタバタ劇を展開する事になりますが、
それでも、「アイテム」麦野沈利も桜咲刹那も、業種やキャリアに違いはあっても互いに裏社会の手練れ。
ヒュドラに関わった研究所筋の「掃除屋」の介入もあって時に殺し合い寸前の反目に至る事はあっても、
ヒュドラと言う当面の脅威を前に互いに効率的な選択としての協調を展開。

研究所跡では当面の危険を避けるためにヒュドラを橋から墜落させたものの、
それでも生きていたヒュドラには逃げられる、別筋の武装集団は介入すると言った具合で
「アイテム」とはここで離別となります。
その後、別行動で学園都市地下に入った千雨チームの目撃情報で刹那と愛衣も地下に潜入します。
そこでも学園都市のプロの「掃除屋」と遭遇、愛衣を追跡して来た美琴の助けでそれを突破し、
ヒュドラを追跡して虐殺された猟犬部隊の亡骸に遭遇したりそのトップを拘束したりしながら、
追跡の果てに下水道の合流地点でヒュドラに遭遇します。

しかし、その時ヒュドラは、レディリーによるテロ事件の影響で学園都市の汚水の穢れを集約されて、
故郷の毒沼同様の環境で怪獣並にパワーアップ。
「魔法」の実力者である刹那と愛衣にして大苦戦を強いられます。

そして、その場に現れてその状態を説明したのが、刹那の元々の目的であった土御門元春その人。
刹那は彼を見た瞬間、愛衣が驚愕する本気で土御門をぶった斬りかねない殺意を示し、
その後も、冷徹な刹那には似合わぬ激しい感情の発露は、
刹那と共にヒュドラとの戦闘中の愛衣に死を覚悟させる程でした。

>>368

それでも、そんな愛衣からの叱責もあって我を取り戻した刹那は、
ヒュドラのパワーである穢れが抑え込まれた事やステイル軍団の援軍もあって改めてヒュドラ退治の中核を担当。
木乃香から授かった「建御雷」のフルパワー斬撃で大きなダメージを与え、
最終的には「不死の首」の動きをその一刀で封じた上に
東洋術式でヒュドラを元の世界に叩き返す術式を主導して見せます。

その後、瀕死の状態から木乃香の手で治癒された土御門元春と改めて会見しますが、
その時は彼を治そうと言う木乃香に従い土御門に治癒を承諾させ、
その後には、土御門と木乃香の二人がかりで
見事にいじり倒されるかわいいせっちゃんの姿がそこにはありました。

直接的な描写は抑えられていますが、刹那が土御門を「あにさま」と呼んでいた。
その事から二人が古い知り合いである事は確実です。
時期的に言って、土御門と刹那がかつて関西の魔術勢力の下にいた、
と、言うのは両方の原作読者としては至って自然な事です。

その時期があって、その後に刹那は木乃香を追う形で関東に、
土御門は魔術とは相いれない事になっている科学の学園都市に移動した事で、
程度の大小はあれども関西の魔術勢力からは裏切りととられるポジションに至っていますから、
片や関西呪術協会トップの後継者護衛を任された剣士で
片や関西引いては日本呪術の頂点の一つである陰陽寮のトップクラス。
共に関西の中枢近くにいた頃に面識があったと考えるのが自然です。

天ヶ崎千草から裏の情報を得ていた小太郎は最初から危惧していましたが、
状況から言って、刹那が土御門と接触して、その過程で土御門の人脈に連なる神裂火織が介入。
麻帆良側に負傷者多数、何より親友を巻き込み戦争すら予測される大事件に発展した。

土御門の世界では騙し騙されの駆け引きが当たり前、
それを知っていて土御門に接触する以上その覚悟がなければ甘いと言う事になりますが、
神裂侵攻の後で学園都市に潜入、土御門を追跡した刹那は、
一見いつもと変わらぬ風情の土御門は何を思っていたのでしょうか。

沈着な青い炎の剣士、そんな刹那が滅多に見せない激情。
それはむしろ人間らしいとすら言えるものでしたが、その原因は神裂の事件の事だったのか。
それ自体、刹那自身の関わりで引き起こしてしまった事を考えると激情も無理からぬ所もありますが、
それともそれ以前、共に関西の呪術の世界にいた頃の関係に原因があったのか、
それに就いての明確な描写はなされていません。

しかし、見た所、土御門がヒュドラと死闘を展開する刹那達を文字通り命懸けでサポートした、
その後は少々素直ではなくても、少なくとも刹那の殺気は氷解した様です。「兄様」と呼ぶぐらいには。

>>369

ヒュドラ事件の解決後は、婚后光子等の助力を得て木乃香、のどかと共にエンデュミオンに突入。
庭園でのドラゴンとのちょっとしたトラブルを経て、
明石裕奈を叩きのめして暗部の流儀にかけようとする麦野沈利と刃を向けての再会に至り、
木乃香の仲介で辛うじて停戦を合意した後で刹那は裕奈を殴り飛ばします。

原作では暴走して自己嫌悪した明日菜をぽこんと叩いたり、
超鈴音のボケに房紐付きのハリセンで突っ込みを入れた事はありましたが、
本格的に仲間に手を挙げた、と、言う事はなかった筈です。

表沙汰に出来ない作戦行動中の勢いが招いたミスであり、
相手がよりによって「アイテム」だったと言うのは結果論の部分があるとは言え、
科学の学園都市と言うデリケート過ぎる場所で魔法を使って戦端を開いてしまったその軽率さと危険性は
魔法の裏側でプロとして活動する刹那に殴られるのも当然、筋の通った事です。

逆に言うと、敬語に象徴される一歩引いた所のある刹那が、
母親に続くエージェントを考えている裕奈を、一方的な庇護対象ではなく生死を共にする仲間と受け取った。
だからこそ仲間の身も世界をも危うくする任務に当たる者同士として、
先輩として厳しい態度を見せた。後の会話からもそういう意味が見て取れます。

刹那自身、ヒュドラ戦で戦闘中に於いては失態と言える程の私情で後輩の愛衣から叱責されたばかりだからこそ、
そしてその失態は自分や愛衣はもちろん世界すら危険に晒す、魔法の裏の仕事とはそういうものだからこそ、
原作で見られなかった行動と言うのは、
或は魔法世界で仲間と共に歩む事で成長して身に着けた部分なのかも知れません。

エンデュミオンでは、後はギリシャ魔獣軍団とのしんがり戦を戦う小太郎以下と合流、
橋を斬り落として対処してから脱出すると言う形で実質的な退場。
しかし、刹那の出番はその後でした。

レディリー事件の一応の解決後、刹那は土御門と接触して、
ネギのプランに深く関わる事となった学園都市、イギリス清教の多重スパイである土御門に対して、
「魔法」の側から刹那が接触する事を通告します。
そして、舞夏と言う妥協の余地のない要素でネギのレディリーに対する対処に不満を示す土御門にも
一歩も引かない冷徹な態度で臨みます。

会話の内容から、既に刹那はネギと明日菜の背負った途方もない重荷を知った上で、
その二人の仲間、親友として土御門との会見に臨んでいます。
この会見は互いの真剣を察したかの様に、緊迫したやり取りの末に互いの目的のための協調を選択。
最終的に相変わらずの土御門に刹那が突っ込みの一撃を入れる。
かつてを踏まえつつ裏に関わるプロ同士、程よい緊張感を保った新たなる関係。
見た所その様な感じです。

>>370

しかし、刹那が知っているのか否か、
そんな悲壮な決意でプランに関わり土御門に接触している刹那を見て、土御門も又、ある行動に出ています。

常に本音の読めない軽薄そのものに見える土御門です。
しかし、それでも、土御門はその出自から考えて決しておふざけでは済まない相手を通じて、
刹那を「妹分」と称して一本太い釘を刺しています。

土御門本人も言っている通り、他の何が嘘であっても、
彼が発する「妹」の一言は命に代えても果たさなければならない絶対の有言実行。
桜咲刹那の一途な誠は危うく、だからこそ美しく愛おしい。
だから、強い様でいながら時には命懸けでも守りたくなる様な「いい女」。
本作の中ではその真価を知る者がもう一人増えた様です。

今回はここまでです。

当初は作品中の重要度などから別の順序も考えていましたが、
気が付くとこの面子になっていましたので、
やはりここは名前の末尾、あの懐かしい順番で揃えてみました。

続きは折を見て。

まだやってんのか

乙です

>>372

すいません、割とマジでそう思います私自身。
登場人物の寸評を書いて終わらせようと、元々はそのぐらいのつもりだったのですが、
個人的に手早く続けられない状況になるわ内容自体が想像以上に大きくなるわって感じで。
そんな感じで申し訳なく思う所もあるのですが、もう少し続けさせてもらいます。

今更ながら現在進行しているのが何かと言いますと
作品終了後の長すぎる後書きで思い切りネタバレありの登場人物評と言うか解説、感想に近いものです。

それでは今回の投下、入ります。

>>371

・近衛木乃香追加

エンデュミオン突入、麦野との停戦後には、千雨から風斬の救出要請を受けた事でのどかと共に別行動開始。
暴走したシャットアウラの手で重症を負った千雨や柳迫碧美の治療に当たってましたね。

柳迫の時は出血多量で貧血の治癒までは出来ませんでしたが、
そもそもこの日は朝から、しかも前夜を合わせると「いぶきどのおおはらえ」二回、
その他の治療多数なんて無茶苦茶やってますから、
調停役のみならず治癒術師としては立派過ぎるぐらいに役目を果たしています。

・朝倉和美追加

前の書き方は少々悪過ぎましたね。
作戦の結果自体のまずさからやや目立ちませんでしたが、
アリサ襲撃犯迎撃ではそのアーティファクトを駆使して当時本命だったステイルチームを真っ先に発見。
運動部+古菲の手で実質無力化に成功(後で回復されていますが)。
ファミレスにいたアリサを発見して
直接誘拐に当たったステイルチームとの攻防戦に持ち込んだのも、本来朝倉の手柄です。

後に高音に対してキレた夏美も言っていましたが、朝倉の役割を考えるならば、
この作戦中に関してはここまで漕ぎ着けたらむしろ百点満点。
その朝倉の情報を活かすべき司令部の千雨や火力担当がぽしゃったのが失敗の原因でしたから。

>>374

・長瀬楓

「だから、でござるよ」
「少し、策が過ぎたでござるな。
なかなかにスリリングでござったよ、
千雨殿初め夏にも負けぬ命懸けの戦いとなる程に」

考えて見るならば、原作「ネギま!」の中で初めて師と言うべき立場を見せたのが、
この鷹揚なのっぽの忍者、長瀬楓です。
それは、ネギに対してもであり、そして、小太郎も然り、neoではアーニャにも。

些か真面目過ぎ、或は血気に逸りがちな少年少女達の前に強く、そして温かなお姉さんとして、
この子達の第一歩を導いていました。
「ネギま!」本編ではその後の強さがわやになってそれなりに見せ場はあるみたいな感じになりましたが、
本作では改めてその立ち位置に戻って来た様です。

それは、一つに千雨の目的と合致したからで、単純化力だけでは済まない潜入調査が基本であったため、
バランスのいい忍者スキルが重宝する。
何よりも、科学の学園都市と言う出入り自体が難しい場所で、
「天狗乃隠蓑」に隠れて楓一人が越境すると言う方法が適していたと言う事もあります。
しかし、行きがかり上俄かチームリーダーとなった千雨が頼ったのが、
そうした技術的な事だけではないのは明らかです。

ともあれ、早い段階から千雨チームと同行していた楓はその期待通り、
夜の公園でのステイル軍団との衝突では風の魔術師ジェーンを空中戦で翻弄、戦線離脱に追い込み、
ステイルが千雨に炎剣を向けた時には「殺し屋」ステイルを怯ませる凄みを秘めて牽制。

超電磁砲チームとの追撃戦では御坂美琴、白井黒子の極悪レベル5風紀委員タッグに対抗。
黒子のテレポート鉄矢を瞬時に察知、空中戦や美琴の特徴を察したマキビシで度々追跡を阻止、美琴を怒りで白く輝かせ、
最後には、負傷していたとは言え並大抵の相手ではない黒子と直接対決。

テレポーターの危険性を察知して狙いを絞らせない常時振動とテレポートに匹敵する身体能力で黒子を追い込み、
そして、最終的には黒子の意気に感じて黒子の合気道に正々堂々合気道で対抗して紙一重で勝利しています。
ここまでの展開は、「ネギま!」初期を飾った武闘派としての面目躍如です。

何か引っかかる書き方である通り、
その後に千雨が「白き翼」一斉動員で仕掛けたアリサ襲撃犯迎撃作戦では、
途中で何者かにつけられているとして戦線離脱。
そのまま科学の学園都市内で忍びの者の追跡を受け、
有力メンバーである楓が堂々巡りをしている内に様々なアクシデントで千雨チームの戦線が事実上崩壊に陥ると言う、
恐らく楓自身に言わせるならば自分の力不足。申し訳の無い手痛い失態と言う事になるでしょう。

>>375

誤解の無い様に急遽加筆します。流石の楓も黒子のテレポート直埋め鉄矢を初見で見破る程エスパーじゃないですし、
黒子も取り敢えず本作では初撃でそこまではやってません。
初見はあくまでテレポから鉄矢のコンボ、以後は楓の動きが速過ぎて直埋めは無理って感じで。

しかし、負け戦のしんがりこそ力量が問われるもの。千雨も又、その事をよく分かっていました。
「天狗乃隠蓑」の事もあって、暗部組織から命からがら逃げ出した千雨が真っ先に合流した相手が楓。
楓もその期待に応えて危険なメンバー回収の矢面に立っています。

そして、麻帆良に戻ってからは、この自分の失態に号泣する千雨をも又、
かつて見守って来た者たち同様、温かく包み込んで千雨のリーダーとしての価値を諭す。
ネギパの中でもなかなか他では出来ない役回りでその真価を見せています。

レディリープラン当日には千雨チームの一員として科学の学園都市の地下から宇宙旅客機でエンデュミオンに突入。
そこでは明石裕奈と共に、行きがかりで衝突した麦野沈利率いる「アイテム」との戦闘を展開。
この時は、「アイテム」絹旗最愛の窒素装甲の概略を自分の拳を破壊する前に早くに把握。
まともな打撃の通じない絹旗に対して、
内部にダメージを与える浸透勁や力の流れだけで床に叩き付ける超絶合気道で優位に戦いを進め、
麦野が瞠目する技量を示しています。

しかし、その強さを警戒された事で、麦野が裕奈を片付けるまでの間、
楓に対処した絹旗とフレンダ=センヴェルンが足止めに徹する事を選択。
絹旗の防御力と楓のすばしっこさを見たフレンダが
釘やパチンコ玉を大量に仕込んで高速で一挙に飛ばす散弾型爆撃を展開。

楓も符の爆破などで対抗しますが、
元々がレベル4である絹旗と御坂美琴をボコり倒した事もあるフレンダのコンビ。
暗部としては褒め言葉となる堅実な小賢しさの作戦展開に楓も突破に手間取り、
裕奈相手にワンサイドゲームで圧勝した麦野が裕奈を半殺しに叩きのめすのを止めるには至らず。
実際には察知可能な「能力」と「魔法」の違いで役に立たなかった滝壺理后が空城の計よろしく
ぼーっと立っていた意図を楓が読みあぐねていたと言う事もありました。

個人評価としては、今も言った間違いなく暗部の強かな実力者である絹旗とフレンダを向こうに回して、
手加減する理由の無い二人が殺しを諦め、
むしろ押し気味の楓に対して二人が足止めに徹さざるを得なかったと言う時点で、
褒めるべきはむしろ楓と言う場面です。

その後は、木乃香の仲裁で「アイテム」との停戦が成立。
千雨からの報せでエンデュミオン落下の危険を知った事で、
利害関係が一致したフレンダ、滝壺理后を護衛する形で落下阻止のキーとなる安全装置破壊に同行、
そのまま退場となっています。

>>376

ここまででも十分に脱線している映画の物語だけならここで終わりなのですが、
最後にもう一つ、楓には出番が待っていました。

レディリープランが解決を見た後、「Blue Mars」計画のために多忙を極めていたネギが
懐かしい麻帆良の裏山で楓と合流、再会の時を迎えています。
そして、その時、楓は思わぬ行動をとっています。

喜びの再会の後、楓はネギを一発殴り倒し、ネギもそれを受け入れています。
その後の会話の内容からして、千雨が動き出す前から、
千雨がアリサに関わって動き出した時のフォローをネギが楓に依頼していた事は確かな様です。
楓に任せてネギが明確な態度を取らずにいたその結果、
少なくともネギの教え子である千雨は命に関わる危険な状況に陥った。
その事は確かなのですから、師である楓の拳をネギは受け入れたのでしょう。

その上で楓は疲れたネギを気遣い、又お風呂に入りに来たらいいと勧めていますが、
ネギはなかなか時間が取れないと感謝を伝えて別れています。
少なくともネギは、一番最初の師であり精神的にも技術的にも成熟した楓を頼みにしたからこそ、
千雨に関するフォローを依頼したのでしょう。

そして楓も、相変わらず懸命な、そうなると何も見えなくなりがちなネギの事を懸念しながら優しく見守っている様です。
恐らく、ネギの真意がどういうものだったのか、楓には見えている可能性が高いです。
本作では、皆を支え、頼りにされる。
優しい糸目の頼りになるのっぽな忍者、優しく強いバカブルーな長瀬楓さんでした。

・明石裕奈

「本当に組織のエージェントになったら色々縛られるんだろうけど、
その前に、今回はこの手で好き勝手やらせてもらうよ。
だから、ちゃちゃっと世界を救ってきましょうか」
「私、何やってんだろ」

楓の次の紹介になりましたが…
はい、sageいっちゃいましたね………
千雨の召集で迎撃作戦の会議に参加した時には要領よく千雨の説明をまとめたりしていました。

作戦当日には運動部と古菲のチームでコンテナ車に潜むステイルチームを襲撃。
魔力減退弾の一斉射撃で優位に持ち込みますが、
分母が強すぎて割り引いても強すぎるイノケンティウスの発動と
ステイルの実戦経験によるぶっちゃけハッタリに振り回される形でもう一歩及ばず。
能力が高くて悪くはないんだけど経験不足もあってもう一つ、と言う所が早くも露呈しています。
これがお祭りで遊んでるんならよかったのですが………

>>377

そして、運動部のチームでアリサのいるファミレスに合流した時に最悪のアクシデントが発動します。
実際にアリサを誘拐したステイル三弟子と交戦突入。
得意の銃撃で仕留めようとしますがメアリエの反撃を受けた結果、
その流れ弾がよりによってこれからお食事開始と言う学園都市でも最も物騒な少女四人組のテーブルに必中。

裕奈は麦野沈利の原子崩しの滅多打ちを食らって這這の体で追い回された上に、
絹旗最愛から亜子を庇う形となった大河内アキラの負傷と言う文字通り手痛い結果の末に
激怒した麦野から逃げ回る羽目に陥り、肝心のアリサ誘拐阻止に失敗すると言う結果に至っています。

これが手痛く後を引く形で、レディリープラン当日には
千雨チームの一員としてエンデュミオン突入組に参加しましたが、
そこで、別件の調査によりエンデュミオンに潜入していた麦野以下「アイテム」と再会。
この時は和泉亜子に魔力強化の注射を頼み麦野相手に自ら戦闘を開始。
楓の協力を得ながら千雨等を先行させて「アイテム」の足止めに当たります。

と、言う事だったのですが、相手はレベル5第四位、それも裏での実戦経験豊富な暗部の女王麦野沈利。
まともに喧嘩を売って無事で済むと考える方がおかしい相手で、
その通り、アクロバティック銃撃を本領とする裕奈に対して、
麦野は感情的にはとにかく戦闘的には至って沈着に無駄な動きを見せずに原子崩しで裕奈を着実に追い詰め、
裕奈は早々に桁違いの実力を思い知らさせ焦燥します。
追い詰められた末に裕奈が放った奇策も、
対人戦闘経験の違いからか拳銃動作時間の未熟さを突かれてとうとう麦野が裕奈を捕獲すると言う結末。

そうして、よりによって暗部の女王に喧嘩を売った報いとして、
麦野からは口を割って仲間を売る寸前まで滅多打ちに叩きのめされ恫喝され、
助けに入った刹那からは、魔法を使い安易に戦端を開く事となったその余りの軽率さが
停戦を仲裁した木乃香、引いては魔法協会すら危険に晒した事を含めて、
刹那としては前代未聞の鉄拳制裁が飛ぶ程に本気の怒りを買うに至り、
流石のお祭り娘明石裕奈も自己嫌悪に陥ります。

裕奈に関しては、原作では母親同様魔法サイドのエージェントを務める将来が描かれ、
本作に於いても、明らかにそれを意識して何れその道に進む者として、
世界と一人の友達のために動く千雨のチームに参加しています。

原作では、親友のアキラからあれで結構頭のいい感性の豊かな娘であると言われている裕奈です。
本作に於いても、組織に属したら色々縛られて勝手な事は出来なくなるぐらいの認識はあった様ですが、
特に麦野と関わる一連の事で、生々しい自分の痛みに加えて、
自分の判断一つで友人や組織、引いては世界の危険に関わる、
それが「裏」の仕事に関わる事だと言う恐ろしさの一端が身に染みた筈です。

>>378

そんな裕奈に対して、彼女が進もうとしているその道の先輩である刹那は、
厳しい態度をとりながらも見放しはしません。
一人で出来ないから組織に頼るのも又プロであると、
その事を教えて先輩としてしっかりと諭して歓迎すると言う刹那を前に、裕奈もようやく何かを取り戻します。
そして、ちょうど行先が一緒と言う事で、恐怖の対象以外の何物でもない麦野から逃げずに勝手に同行する形をとります。

その後、レディリープランの要であるエンデュミオンの特別展望室に辿り着いた裕奈は、
先行した夕映の一言と見たままの状況から事態を察知。
室内に大量発生した魔素人形の大群相手に得意のキレキレのガンカタを展開し、
術式を解除するインデックスの護衛と言う役割を立派に果たしています。

再婚話の時も含めて短慮な所もありますが、根は賢くてそして為すべき事には真っ直ぐな娘。
友人の友人のために迷わずエンデュミオンに同行したのもそんな裕奈だから。
致命的なものでなければ、この失敗もそこから立ち直った事も原作endへのいい糧だったのでしょうか。

・綾瀬夕映

「私は、麻帆良の魔法生徒であると共に騎士です。
騎士として守るべきものがあるです。
騎士として、再会を約した仲間がいるです。妨げる者は、斬り払うです」

ネギ・パーティーの名参謀バカブラック綾瀬夕映。
その鋭い冴えは本作でも健在でした。

魔術電子ドラッグに囚われた初春飾利を救出に向かい、
想像以上に希少な術式に苦戦する千雨が急遽協力を要請したのが本作での夕映の登場です。

悠久のシビル、レディリー・タングルロードの仕掛けた古典ギリシャ術式と
夕映のアーティファクトである自動最新更新「世界図絵」と言う相性の悪さに
夕映も苦戦を強いられますが、それでも、夕映は千雨の電子精霊の力も借りて
魔術電子ドラックを解呪。初春の救出に成功します。

こうした経緯で千雨チームに合流した夕映は、
この魔術が記録も残らぬ程に古典的なギリシャ魔術と電子技術を組み合わせた異様なもの、
従ってこれまで関わっていたネセサリウスではあり得ない、
イギリス、魔法協会に続く第三の魔術勢力が事件に関わっている事を察知します。

>>379

千雨が「白き翼」主要メンバーを率いたアリサ襲撃犯迎撃作戦にも参加。
アリサ誘拐の情報を得て、
宮崎のどか、早乙女ハルナの図書館三人組チームで現場のファミレスに向かいますが、
情報の混乱により誤って婚后三人組を襲撃。

そのため御坂美琴、ネギ先生の介入を招いた上に、
混乱の中でのどかがインデックスに「いどのえにっき」を使用して
原典の毒を受けて出血昏倒すると言うgdgd過ぎる展開に。

辛うじてのどかの治癒はかなったものの肝心のアリサ救出には失敗。
と、言う結論に終わりましたが、
そこで夕映は察知します。学園都市にエンデュミオンが建立されたその意味を。

アリアドネーで体系的に魔法を学んだ夕映だからこそ察知出来た、
軌道エレベーターと言う存在の魔術的意義、それも科学の学園都市と言う場所に建てられた事の重要性。
にも関わらず、これまでそうした事が丸で問題になって来なかった事の異常性。

諸々の疑問に端を発して、夕映は葉加瀬聡美、那波千鶴、そして長谷川千雨に協力を仰ぎ、
先の学園都市での作戦が政治的問題になっている事を渋る千雨にも有無を言わせぬ勢いで解析を進めて
恐ろしい結論、北半球壊滅に至るレディリー・プランの全貌、
そして、レディリー・タングルロードの正体、その呪わしき存在を暴き出します。

それを知った夕映は、政治的、戦力的に様々な問題を抱える中であっても、
「騎士」として為すべき事のために鳴護アリサを救出する千雨チームに合流。
それと共に、先夜の返礼に動き出す刹那、木乃香の行動を察知して、
情報収集担当として宮崎のどかを派遣する抜け目のなさを見せています。

エンデュミオン突入後はフェイトと共に、術式を何とかできるのはこいつらしかいないと言う
千雨の判断に従い術式の中枢である特別展望室に直行。
そこで術式解体に着手するも、余りにも古典的、大規模で複雑、そして破壊的な術式は
流石に「世界図絵」と言うマニュアル片手の夕映の手に余り精神的疲労だけでダウン状態。
そこに現れた最強のプロフェッショナル禁書目録インデックスにその任を譲ります。

その時、大量召喚された魔素人形からインデックスを守る事となり、
戦線の分離で大量に召喚された魔素人形から実質一人でインデックスを守る事に苦戦しますが、
そこに現れた思わぬ援軍、アリアドネー騎士団の仲間達と共にその任を果たして
インデックスが術式解体を成功させるまで彼女を守り抜いて見せました。

>>380

魔法的には急ごしらえな部分も多いネギ・パーティーの中にあって、
アリアドネーで体系的な魔法学問と魔法警備を学んだ夕映の経験は、
本作に於いて大きな役割を担っています。

元々、夕映は、主にレディリーが引き起こしていた数々の事態に就いて、
ネセサリウスを疑う千雨チームの流れに対して手口がらしくないとして最初から懐疑的でした。
それは的を射た指摘だったのですが、実際に手を出しているネセサリウスが現実的な問題であったため、
結果的にアーニャからの誤情報に振り回された部分も含めて、
夕映の疑問を突き詰める現実的な余裕はありませんでした。

「ネギま!」は「魔法」の物語ですが、「魔法」と「魔術」が同一世界でクロス、
作者の解説によるとおおよそ「魔術」の中に「魔法」がある本作に於いて、
「魔法」を学問として体系的に学んだ夕映の知識は、
その場その場で覚えて来た千雨達に対して、
「魔法使い」の立場から魔術全体の中でそれが一体何を意味しているのか、
それを指摘出来る希少なものとなっていました。

そんな夕映だからこそ、千雨達がなかなか気付かなかったエンデュミオンと言う存在の異常性、
更にそこに現れたネギの存在の意味、魔法警備の経験者としてその混乱の中で何が起きるのかと言う所まで、
ネギ不在の千雨に決定的な分析結果を的確に伝えた、
ネギ・パーティーの名参謀バカブラックの面目躍如の活躍でした。

最後には何かネギと協力して再び学園都市での作戦にも加わっていましたが、
モチベーションとなる一時の再会を経て、改めて「魔術」の奥の深さに触れて、
名参謀にして小さな騎士にとっても小さな経験ではなかった事でしょう。

>>381

・葉加瀬聡美

「本来、宇宙エレベーターは赤道直下に造るものです。
それを、数多の困難を乗り越えてあの場所に完成させた。さすがは科学の学園都市です。
それだけの困難を乗り越え、完成されたその姿は正に空に駆け上る天橋立。
とても、美しい」

3A、そして麻帆良の誇る天才科学者中学生葉加瀬聡美、
元々が科学と魔術、当初の千雨の認識では魔法の絡む事件と言う認識だったため、
当初から登場。状況から見て千雨が提供した写真データの拡大等を専門的に請け負っていたものと見られます。

その後、千雨チームによる科学の学園都市での調査を外部からサポート。
そもそも、科学の学園都市と言う場所は原作初期での解説からして無許可の侵入自体が難しい上に
無IDの侵入者がうろつき回った時点で電子的な警戒網に抵触してアウトって場所ですから。
(の、割には、禁書原作でもかなり変なのが早い段階から学園都市うろつき回ってるんですが、
どこまでハッタリなのか或は誰かさんの意思が働いているのやら………)
恐らく葉加瀬と茶々丸との共同作業と思われますが、
そのデフォ設定を千雨チームに限定して無効化し続けている時点で相当に凄い事です。

それでも、千雨達が直接超電磁砲チームを敵に回した時には、
科学の学園都市の防犯システムに更に上書きして千雨チームを個別にロックオンした初春飾利に対して、
葉加瀬はその事態を把握する事までは出来たものの、
初春が明らかに規則違反の異常な大容量コンピューターを無断使用する
形振り構わぬ強硬手段に出ていた事で対処は間に合いませんでした。

状況的に葉加瀬の援助無しに科学の学園都市での潜入調査は不可能ですので
一貫して千雨チームの支援に当たっていたのは確実ですが、
千雨チームがアリサ襲撃犯の迎撃を企て、失敗した後には、
綾瀬夕映と共にエンデュミオンを使用したレディリープランのシミュレーションに着手。
内容的に、魔術・科学の両面に跨るその膨大な計算、分析のかなりの部分を実行したのが
葉加瀬だったのはまず間違いないでしょう。

かくして、「白き翼」の多くのメンバーを含めた千雨チームは一人の友人であるアリサ救出のために
最後の戦いに出発。もちろん、それを今まで通りに支援していたのは確実と目されますが、
この時には前夜の失敗で麻帆良の学園警備が本格的に事態把握に動き出す、
千雨チームの行動はとても許可が得られない状況でしたので、
葉加瀬達の支援活動も又潜伏行動となった筈です。

>>382

その様な中でも、婚后チームと刹那チームの合同での
「エカテリーナⅢ世号・改」の発射を陰ながら援助していたり、
レディリーの魔術電子ドラッグを突破した学園警備からのデータを千雨に提供して
「奇蹟」の核心に迫ったり、

そのついでにAIM拡散力場から人間が生まれるシステムとか
DNAと能力開発とレベルアップに必要な数学的限界を超えるための自由な発想に就いて
ちょっとした思い付きを提唱したりもしています。

そんな葉加瀬は、レディリープランの全貌発覚後、
正に全てを滅ぼす「バベルの塔」である事が明らかとなったエンデュミオンを見て、
「美しい」と称賛しています。

それは、正に「空気を読まない」事も甚だしい、最初は千雨もそう思った発言でしたが、
しかし、千雨は同時に理解しています。葉加瀬の真剣を。

エンデュミオンは数多の人々の知性と労苦が結集した「科学の粋」。
そう認めて、素晴らしい科学の成果として
自分が目指すべき高みにある存在である事を決して否定はしない。
人間が悪さをしなければ決して悪さはしない。そんな科学を否定はしない、させない。
それが葉加瀬のプライド。だからこそ、誰よりも怒り、悔しいのは彼女だったのかも知れないと。

事件後、ネギのプロジェクトとエンデュミオンの権利関係に関しても一応の合意が出来た中、
葉加瀬には魔法世界への短期留学の指示が出されます。
どういう訳か、今行かないと死ぬ様なよく分からない情報が流れたりもしていた様ですが。
改めて、柔軟に魔法を取り入れた真摯な科学者として、
こうして直接対決した葉加瀬でも容易に攻略し得なかった科学の学園都市をも凌駕する、
そんな宇宙科学の大発見をものにする日も彼女であれば遠くはない、かも知れない。

今回はここまでです。

取り敢えず、
最高に肝心なところは別にして、
「ネギま!」側での本作主要人物紹介はこれでほぼ終了って事になります。

続きは折を見て。

乙です

終わった話の解説をグダグダしてるのは気持ち悪い
たかが二次創作に誰もそこまで求めてないっていう

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。

それでは今回の投下、入ります。

>>383

前回、「ネギま!」側の出番の多かったキャラがほぼ終わった、と、言う事で確認してみました所、
3A生徒の中で本作でストレートに出番が無かったのは誰だったのか?

はい、いました。
鳴滝風香、史伽姉妹、四葉五月、ザジ・レイニーデイ、以上四名様でした。
ザジに関しては、ああなっちゃうと実力的にも政治的にも使い難いって所もありましたし、
鳴滝姉妹も正直今思っても絡め様がないって感じですが、
あんだけの長丁場やっといて正直すまんでしたとも思います。

「ネギま!」側で出番の多かった面子が終わり、
3Aから脇役メンバー行きます。

しょっぱなからですが

・葉加瀬聡美追加
レディリー・プランのシミュレーション結果に就いて、
自分でも言っていた通り、
自らの研究結果として魔法人脈に報告して魔法協会がこの件で正規に動く流れを作っていた様です。
少なくとも愛衣が受け取っているのは確かで、状況的に見て高音チームや他の関係者にも渡っているでしょう。
これも、天才科学者としての葉加瀬の実績と信頼の賜物です。

・相坂さよ
原作通り、朝倉和美のパートナーとして「さよ人形」スタイルで登場。
喫茶店での超電磁砲チームとの遭遇、ファミレスでのアリサ誘拐事件では
ポルターガイストを発動して店内で一騒動を起こしつつ、
客観的には最良と言っていい手で和美をサポートしています。

エンデュミオン突入戦では「渡鴉の人見」に搭乗して偵察を担当。
風斬氷華やら魔獣馬やらを発見して後者に関しては
コンサートに突入しない様に牽制を買って出る活躍を見せてくれました。

>>386

・和泉亜子
アリサ襲撃犯迎撃作戦の「白き翼」召集から登場。
運動部チーム+古菲の布陣でコンテナ車のステイルチーム襲撃に参加、
裕奈に魔法ドーピングを注入。

運動部チームでアリサのいるファミレスに待機。
チームの明石裕奈が「アイテム」と戦端を開いてしまったために巻き込まれる形となり、
アキラとの戦闘に入った絹旗最愛を椅子でぶん殴ったために、
窒素装甲により無傷な絹旗から逆に攻撃を向けられて、その亜子を庇った大河内アキラが負傷。

エンデュミオン突入戦では他の運動部の面々と共に千雨チームとして参加。
「アイテム」との再戦では裕奈への魔力ドーピングを担当。
魔獣馬が出た時にはまき絵、夏美と共に現場に急行し、
それらの面々の協力を得てアーティファクトで馬の鎮静化に成功。

・大河内アキラ
アリサ襲撃犯迎撃作戦の「白き翼」召集から登場。
運動部チームと古菲によるコンテナ車でのステイルチーム襲撃に参加するも、
直接的な攻撃力に乏しいためか(ここでは原作寄り設定?)
どちらかと言うと後方待機。ステイルにもその点を見抜かれてステイルの威嚇に対処出来ず。
但し、話は前後するが後方担当らしくイノケンティウスに苦戦する前線の裕奈を察知して
千雨に連絡、アキラ、千雨、愛衣のリレーで対処法を伝授しています。

アリサのいるファミリーレストランに到着した時の状況からも、
主にアキラが運動部チームの通信担当だった様です。
ファミレスではチームの明石裕奈が
「アイテム」と戦端を開いてしまったために巻き込まれる形となり、
「窒素装甲」絹旗最愛とテーブルを振り回してバラバラにしてのちからもち対決を展開。

その時、加勢した亜子が絹旗に狙われた事で、
亜子を庇ったアキラが絹旗の一撃を受けながら運動部の他の面々と共に
アーティファクトを使って水から水へと、しまいにはスパリゾート安泰泉まで逃走して楓に回収される。
絹旗戦での負傷は相当苦しいものであり、
木乃香に治癒されるものの木乃香の方がそれまでの無理がたたって直後に昏倒する。

エンデュミオン突入戦にも千雨チームとして参加。
貯水槽でのギリシャ召喚魔獣との戦いでは仮契約を発動してセイレーン対策を担当。
貯水槽に飛び込み、泳ぎ回り水柱を噴射しながら(こちらはアニメ寄り?)
セイレーンの群れが仲間に向かわない様に懸命の戦いを展開。
最終的には救援に来た刹那に救われる。

>>387

・柿崎美砂
・釘宮円
・椎名桜子
事件解決後、明日菜をカラオケに誘う。
その時、ネギは明日から自分の授業だと言っていたがそれはキャンセルされた模様。

・春日美空
公園でネセサリウスと千雨チームが最初に衝突した翌日、
学校で千雨、夏美からネセサリウスに就いて尋ねられる。
ネセサリウスと一戦交えると言う仮定にドン引きで応じて
強力な魔女狩り部隊と女狐の洒落になっていない相手である事を強調。

・絡繰茶々丸
「白き翼」の主要メンバーが集結したアリサ襲撃犯迎撃作戦の会議に於いては、
科学と魔術の交差しまくったヤバ過ぎる存在であるとして留守番を仰せつかる。
夕映達がエンデュミオンを用いたレディリープランの実態をシミュレーションした際には、
その電子情報網に仕掛けられたレディリーの魔術電子ドラッグから研究室のシステムを防護。
エンデュミオン突入作戦ではどういうルートからかフェイトに従う流れで宇宙旅客機の機長を務めつつ
千雨によるエンデュミオン航空管制のハッキング作戦の補助を担当。

・古菲
アリサ襲撃犯迎撃作戦から登場。
なんか、それらしい少女が内臓潰しの横須賀以下スキルアウト軍団から原谷矢文を救出し、
ついでに横須賀から「本物の根性」に就いて聞かされると言うフラグを立てていましたので、
たぶんそうなのでしょう。

その後、運動部チームと共にコンテナ車でステイル+弟子チームを襲撃。
この時は、一緒に突入した明石裕奈が相手に魔力減退に成功したため、
無力化した生身の相手への拳が躊躇されている間にイノケンティウス召喚、
如意棒でイノケンさん粉砕するも知っての通りの即時復活、の流れ。

>>388

とにかく、混乱の中、
古菲はマリーベートをドドドドドドドドドと効果音が響く勢いで追走したものの、
途中でマリーベートに騙された形の「本物の根性」の持ち主
学園都市レベル5超能力者第七位、ナンバー7削板軍覇が、
マリーベートをチャイニーズマフィアの刺客から救出すると言う勘違いの下に事態に介入。

その隙に逃げ出したマリーベートは無事ステイル達に合流してファミレスでの誘拐事件に成功。
古菲と削板は、期待通り(誰が?)の展開でコンテナ置き場でのタイマン対決の末、
並んで地面に寝転がり健闘を称え合うと言う強者同士の名場面を展開。

翌日のエンデュミオン突入作戦では、
貯水槽で如意棒を奮ってケンタウロスの大群を足止め。
その後、より頭脳的なミノタウロスとの格闘戦を展開するも、刹那の介入で文字通り水入り。

・早乙女ハルナ
アリサ迎撃作戦より登場。
学園都市潜入直後、公園でのどかが誰かさんと睨み合いに陥り頭を抱えていましたが。

本格的に登場したのはファミレスでのアリサ誘拐事件に関連して。
その前に図書館三人組でスキルアウトに絡まれ、出遅れて後の到着となり、
千雨からの情報の混乱で誤って婚后三人組との交戦状態に突入。
一撃目のくらーけんはんどを婚后光子が手懐けた上に、
その後のゴーレムも婚后、泡浮万彬が片っ端から吹っ飛ばしたために苦戦。

更に、婚后グループに手を出した事で
ゴーレムをゴリ押しでぶち抜く火力を引っ提げて御坂美琴、
更に土御門からの報せを受けたネギ先生までが介入して来た上に、
誤解が解けた後にはのどかがインデックスの原典に触れて大出血昏倒と言う非常事態。

この時のハルナは血まみれで倒れるのどかに悲鳴を上げ狼狽して
原典を記憶するインデックスに恐怖して夕映に窘められたり、
それだけのどかと言う親友が大事だったと言う事で、
木乃香が治癒に成功した時には喜びをいっぱいに表現しています。

翌日には夕映に同行すると言う形で千雨チームのエンデュミオン突入作戦に参加。
最初の岩場から貯水槽にかけて、小太郎とのタッグで
ケルベロスと黒い装甲の機関銃部隊にゴーレムを率いて対処。
機関銃部隊の猛攻撃にゴーレムのストックも尽きる苦戦を強いられるも、刹那による救援までしのぎ切る。

事件解決後も、ネギの手助けで「アイテム」による暗殺の監視などをやっている様です。

>>389

・佐々木まき絵
アリサ襲撃犯迎撃作戦から参加。
運動部+古菲によるコンテナ車でのステイル+弟子チーム奇襲作戦では、
メアリエにリボンを巻き付けて捕獲寸前までいくもステイルにリボンを焼き切られ
ステイルのルーンの威嚇と言うかハッタリで逃げられる。これは正直仕方がない。

しかし、イノケンティウスに苦戦する明石裕奈に対して、
アキラ経由で情報を得たまき絵が術式を形成するルーンをリボンで一掃して消滅に成功。

ファミレスでのアリサ誘拐事件では、裕奈が「アイテム」との戦端を開く中で
フレンダ=センヴェルンと対決。
独自の能力対策をとったとは言え一度は美琴をぼこり倒した、
暗部での格闘スキルに長けたフレンダに対してまき絵は棍棒術で渡り合う。

エンデュミオン突入作戦では千雨達と共に先行して追いすがるセイレーンをリボンで水面に叩き付け、
千雨の同行チームが途中段々減っていく中、数少ない「火力」担当として、
通路でハルピュイアに襲撃されていた風斬氷華を救出してハルピュイアを撃退。
その後で夏美、亜子と共に魔獣馬対策に参加して皆で手懐ける事に成功して、
そのままエンデュミオンから脱出しています。
こうして見ると、本作では思った以上にお利口さんの武闘派桃色あほうどりでした。

・龍宮真名
ネギが夜の学園都市であやかを探して奔走している時、
砂皿緻密がその存在に気づいて
ステファニー=ゴージャスパレスと派手な撃ち合いになったのがそれっぽいですね。

何者かの依頼で学園都市潜伏中に「アマゾンの戦士」事件に揺れる常盤台女子寮に突入。
術式に囚われた常盤台生の大半を「麻酔弾」で解呪。
未だ術式の残る中、接近する寮監を足止めするためにそちらに向かって「二大怪獣の激突」を展開。
金色に輝きながら向かい側の建物までの勢いで吹っ飛ばされる。

事件解決後も学園都市に潜伏して暗殺阻止か何かで動いている模様。

・超鈴音
他に誰がいる、と、言う事で。
暗部の仕事として千雨達を的に掛けた馬場芳郎から
メカのコントロールからデータベースまで完全に奪取して
馬場が避暑地までダッシュで逃走する恫喝の限りを尽くしたのはどっからどう見てもこの人。

>>390

・那波千鶴
登場自体は割と最初、千雨が最初の説明の後で小太郎のいる665号室を訪ねた時から登場しています。
その後、エンデュミオンによるレディリープランを
シミュレーションする際に綾瀬夕映に乞われてこれに協力。

これは、天文学的な協力だけではなく、科学の学園都市にネギがいる理由に就いて、
那波重御令嬢として関わっている千鶴に説明を求める意味合いもあったらしく、
千鶴もネギの狙いがエンデュミオンである事を知っていました。

その後の展開から見て、実際のネギの狙い、或いは落とし所であった
エンデュミオンに対する資本注入計画に千鶴が噛んでいた可能性は大。
少なくとも雪広・那波連合資本である事は判明。

・エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル
科学の学園都市での商談、結果としてはレディリー・タングルロードとの会見のために
ショッピングモール周辺を訪れたネギの前に唐突に登場。
レトロゲームの後でテレビを見ている内に何か珍しい顔を見かけたとかで、
「学園都市」内の移動として学園長に秒速で判子を押させて科学の学園都市に移動。
その後、ショッピングモールでのコンサート爆破事件の混乱が引き起こしたアクシデントで暴走状態に突入。
ネギに抑えている間に麻帆良に強制召喚。

神裂による事実上の麻帆良襲撃事件では学園長の召集で神裂と対決するも、
「聖人」の桁外れのパワーで強力な凍結魔法を巨大なかき氷にされて回避された上に
七天七刀で壁に釘づけになるまで胸板をぶち抜かれ
「後で修復してもらって下さい」とバラバラにされる羽目に。
エヴァの名誉のために付け加えると、この時の神裂は最初から駆け引き無し戦争レベルのフルパワー、
そうしなければ「聖人」神裂火織は氷河の中だったとの事。

エンデュミオン事件の最終盤にネギが聞いた言葉から見て、
最初に言っていたエヴァの知り合いの件とか、まず間違いないでしょう。

>>391

・雪広あやか
何せ冒頭からの登場ですから、脇役カテゴリーに入れるのは些か無理がありますが。
冒頭、プランのために奔走するネギに同行してロンドンから科学の学園都市訪問にも同行。
そこで、案内人となった結標淡希とは熱い戦いと握手が彩る淑女の友情を育む。

或夜には、携帯電話を巡る行き違いを何者かに故意に仕掛けられて
あやか本人が知らない間に、あやかが誘拐されたとされる偽装誘拐事件が
ネギと一方通行の「最強」激突対決を引き起こしたりもしましたが、
その間にあやかは粛々と有意義な会食中。

レディリー・プランが起動、更に、映画の流れ通りならシャットアウラの関与による
エンデュミオン倒壊危機で不穏な情報が流れる中、
あやかは「だけど」が口癖の先輩からの避難勧告を悠然と拒否。

仲間を信じて、むしろその混乱を逆用してのパイプの強化利権掌握を画策。

事件終了後、以前から用意されていたと言う、
雪広、那波財閥中心のエンデュミオンへの資本介入にあやかが関与していたのはまず確実。

こうして見ますと3Aの皆さん、
小粒の出番でもそれぞれにいい仕事してました。

いっちゃん大事な所を置いたまま、
3A紹介終了、「ネギま!」サイド大方終わりのきりのいい所で、

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙ッ!!!

乙ー

大☆団☆円

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。

それでは今回の投下、入ります。
「ネギま!」サイドその他編、と言った辺りです。

>>392

・近衛木乃香追加の2

なんか、いい加減ぶった斬られそうないい加減さですが。
エンデュミオン編の最後辺りにもネギの手伝いで結標の座標移動に乗って登場。
明日菜のハマノツルギでぶち抜かれた
レディリー=タングルロード相手に治癒魔法を使っています。

この時は、会話の流れからして本来「いぶきどのおおはらえ」を使う予定だったものが
土御門の治癒で一日の回数制限を超えてしまった上に、
エンデュミオンでも通常の負傷でも貧血の治癒が出来ないぐらいに連続発動で消耗してしまったために、
同じくタンカーレベル(本作より)の
魔法タンクのネギから魔力供給を受けた力ずくでの巨大治癒魔法を展開。
とにかく治癒魔法により致命傷は避ける方向で、
足りない分は有り難い禁書クロスでカエルさんに補ってもらっていました。


・夏目萌
ナツメグこと夏目萌。この娘も、結構出番がありました。
最初の夜の公園でのステイル弟子軍団によるアリサ奪取未遂事件では、
高音、愛衣と共に学園警備高音チームとして事態に介入。
同じ水魔法使いとしてメアリエの術式継続を正面対決で引き分けて阻止。
高音による捕獲へと繋いでいます。

神裂火織が麻帆良学園都市で戦闘に入った時には、
愛衣と水と火のコンビネーション攻撃を展開。

エンデュミオンが落成するレディリー・プラン当日には、
高音に従い愛衣と合流して科学の学園都市に潜入。
途中、存在を察知した魔獣の対処のために愛衣が別行動となり、
エンデュミオン基部では
愛衣を探す垣根帝督と高音が交戦状態に入ったために高音の指示でナツメグ一人で先行。

>>396

その後、ヒュドラを退治しドクターストップから復帰した愛衣と合流して、
基部に残ってレディリーの術式が暴走した事による
魔獣の逃走、発覚阻止に当たっています。

事件解決後、ステイルの病室で弟子達を牽制したり
高音と共に要注意人物の警報に出動したりと、
魔法使い学園警備としてそれなりに忙しい日常を送っている様です。

・フェイト・アーウェルンクス

「言わんとする事は、割とシンプルだ。

僕の生徒に手を出すな


原作「ネギま!」全般的におけるボスキャラにして、本作時点における3A副担任。
最初の方に副担任としてちょっと出ていましたが、
本格的な登場は神裂火織の麻帆良侵入時。

裏の仕事として刹那、そして自ら巻き込まれていった明日菜、木乃香に対して
圧倒的な暴力で応じた神裂に対し、フェイトは彼女達の副担任として対応。
「僕の生徒に手を出すな」と言う至ってシンプルな理由で。

フェイト・ガールズの旧世界側での活動実験も兼ねていたとの説明もありましたが、
ともあれ露払いと言うべきフェイト・ガールズが一蹴された後に神裂とフェイトが激突。
神裂相手に石魔法で猛攻撃を展開するフェイトもそれを悉く真正面からぶち破る神裂も流石の実力の応酬。
もっとも、この二人の対決は、フェイトの側が後ろに控えた高畑の思い入れを察知し撤退。

レディリー・プラン当日には、そもそもそんな計画が成功されたら元も子もないと言う事で、
麻帆良から宇宙旅客機を引っ張り出し、先走った千雨チームや犬上小太郎をまとめて捕獲して、
宇宙課外授業中の事故の名目でエンデュミオンに突入。

直接術式に対処するためにフェイト・ガールズと綾瀬夕映を引き連れて術式のキーポイントへ直行。
途中遭遇したシャットアウラを一撃で倒す事に失敗。
フェイトの実力からしたらさ程難敵でもなさそうなシャットアウラを
フェイト・ガールズに任せると言う言わば手抜きの結果シャットアウラの暴走を許した一面も。

>>397

夕映と共にレディリーの控える術式のキーポイント特別展望室に到着した後は、
術式の暴走で発生したちょっとした怪獣レベルの魔素人形相手に奮戦。
途中、歌の素晴らしさや人類の文化史に触れたりしながら
術式解除に当たるインデックスや夕映の護衛を展開。

未だ事件に就いて納得を得られていない麦野沈利に対しても
無茶な情報収集が自分の生徒に向かない様に静かに牽制しています。
原作での元々の目的からしてレディリー・プランなど論外な訳ですが、
契約は契約として、真面目に先生として生徒を守っていた様です。

夏美から見て、フェイトはこの先生と言う契約を結構気に入っている様ですが、
フェイト自身は契約を果たしているだけであるとして、
何れにせよ、「先生」と呼ばなければ高速チョークが飛ぶ。

で、神裂相手に深夜徘徊、破壊行動に出た明日菜達とか
エレベーター搭乗中に調のヴァイオリン演奏を所望した千雨への指導も万全に。
旧世界で先生を務めるに当たり、学術書から市井の俗書に至るまで熱心な勉学に勤しみ、
最近も神と悪魔の物語の原典から希望から絶望への相転移による感情エネルギーの爆発により
エントロピーを凌駕するシステムに就いての理解を深めた事で、
今後はそれを知った千雨が俗な方面に就いて一からレクチャーするとの事。

・焔・環・栞・調・暦
神裂火織の麻帆良侵入時に登場。
刹那、明日菜、木乃香が死の淵を覗くまで神裂に追い込まれた中、
簡単に突破こそされたものの調の木の根拘束や焔の突貫で時間稼ぎによる救出に成功しています。

まあ、相手が相手ですからここまで出来ればいい方。
錬成肉体による位相移動活動テストも兼ねていたとの事ですが、
環の結界は出鱈目な聖人パワーで突破され暦もいち早く危険視された道具を弾き落とされ、
結論を言えばこうなると相手が悪すぎると言う事でほぼ全員が一蹴の勢いで撃沈。
栞も対処の仕様がないと言う事で撤退。

レディリー・プラン当日にはフェイトに同行して千雨チームと共に宇宙旅客機としてエンデュミオンに突入。
フェイト、夕映と共に術式のキーポイントに向かいますが、
途中で遭遇してイレギュラーと見て襲撃して来たシャットアウラの足止めを担当。
担当、したのですが、なぜか色々テンポがずれて
実力的には格下の筈のシャットアウラにまとめてKOされてシャットアウラの暴走を許す羽目に。
しかも、一番強力な環に至っては作者が存在を忘れてたとゲロってる有様………

>>398

・月詠

明記はされていませんが、およそ状況的に見て、
何者かの依頼を受けて神裂火織の足止めのために科学の学園都市に潜入。
その情報を察知した天草式十字凄教との間で、
エンデュミオン落成当日早朝の科学の学園都市の工事現場で死闘を展開します。

その前日、科学の学園都市内の電話ボックスで小萌先生と入れ違いになり、
その甘ロリミニロリ奇蹟のコラボレーションを目撃した青神ピアスを絶叫させたのも彼女でしょう。

原作で「ひな」込みとは言え刹那を瀕死の目に遭わせ
龍宮やネギ、フェイトと言った強者達にも易々とは負けなかった、
そのキレまくった戦闘狂な思考と剣技は健在。

天草式の集団戦法に対して、
それを上回るスピードでかき回す小太刀二刀流と言う相性の良さもあって、
天草式相手に圧倒的優位に戦いを展開、壊滅寸前まで追い込みます。
しかし、その戦闘狂の傲りを突かれる形で「気」と相反する「魔力」の強制注入から
神鳴流剣士に力を与える地脈龍脈を逆用して暴走させる「神鳴殺し」の
集団術式によるスイッチ攻撃を受けて自爆。

そんな中でも、天草式の鋼糸攻撃から赤い霧に呑まれながら強行突破する実力を見せましたが、
守るための弱き者の闘いを嘲笑する月詠は、
今回も又、建宮斎字の放った守るための弱き者の拳に倒れる事となります。
その後は、突如登場した巫女服に長い黒髪のよく似合う背の高い妙齢の美女に回収された模様。

>>399

・タカミチ・T・高畑

「そうか。

 ア ス ナ く ん を き ざ ん だ の か



麻帆良学園に侵入した「聖人」神裂火織と、
麻帆良学園都市世界樹前広場で最強対決の激闘を展開。
明日菜を刻んだ神裂に向けられた高畑の激情と
「悠久の風」魔法世界の「英雄」として数多の死線を潜り抜けたその実力は、
フェイトが道を譲り被害者である筈の明日菜が震え上がる、
何よりも「聖人」神裂火織がワンサイドに近い所まで追いまくられる凄まじいもの。

神裂も最後には剣を置き、無手からの一本背負いで高畑の拳を逆用して高畑に勝利していますが、
それは一つ間違えば高畑の拳が神裂を粉砕していた紙一重の勝利。
神裂に本来の戦いをさせず一か八かの賭けをさせた時点で高畑の実力と本気はとてつもないものです。

或いは、その力の強大さ故に精密さを求められる「聖人」の本格発動を避けるために、
高畑がかつてネギをまほら武道会で大苦戦に追い込んだ徹底した全距離速射で神裂を追いまくって
「聖人」起動の阻止に徹したとも考えられますが、
それが簡単に出来る相手なら「聖人」じゃないと言う事でもあります。

そして、共に「守れなかった」と言う傷を抱える者同士。
全てを懸けて守るための戦いの後、何か通じる事はあったのでしょうか。

・神多羅木
学園警備魔法教師として麻帆良に侵入、乱闘する神裂火織に葛葉刀子と共に対処。
オーソドックスだが実力の高い魔法使いの遠近セット攻撃で
遠距離攻撃のカマイタチを担当して神裂を牽制し一度は風の結界に閉じ込めるも
力押しで結界を破られそのまま遠距離攻撃を警戒した神裂の手で昏倒。

・ガンドルフィーニ
学園警備魔法教師として麻帆良に侵入、乱闘する神裂火織に対処。
相性の悪い遠距離攻撃を警戒した神裂の射程距離外の非常識な距離からの速攻で昏倒。

・瀬流彦
学園警備魔法教師として麻帆良に侵入、乱闘する神裂火織に対処。
愛衣・ナツメグによる爆発誘導を受けた神裂を捕縛結界に掛けるべく
槍と魔法の隠れ札を手に準備するものの神裂に見抜かれ仲間と共にまとめて昏倒。

>>400

弐集院
麻帆良学園魔法教師の電子精霊使いとして登場。
科学の学園都市に侵入した学園警備高音チーム、主に佐倉愛衣のサポートをしていたらしく、
ステイルチームと高音チーム・千雨チームが夜の公園で衝突した翌日には、
単独潜入した愛衣に学園都市内に於けるインデックスの情報を提供。

学園都市内での活動に不可欠な電子セキュリティーへの干渉を行っていたのも確かな様ですが、
御坂美琴からの情報提供を受けて
佐倉愛衣に絞り込んで防犯システムを調査する初春飾利とハッカーバトルを展開。
初春による個別マークを見破り対策を施すも初春もそれを突破する鼬ごっこの様相を呈し、
最終的には弐集院の隙を突いた初春が愛衣の居場所を特定したために美琴が愛衣との合流成功。

事件後の描写では、実はオリオン号事件の調査の過程で、
早い段階から鳴護アリサのサイトとそこからネギ周辺をマークしていた事が発覚。
その情報はネギからの要請で学園側でも学園長とネギ、弐集院に限定されていた模様。

・葛葉刀子

「この麻帆良学園都市、あなた達の見た科学の学園都市、魔法協会、イギリス清教。
引いてはあなた達が命懸けでスタートさせた魔法世界救済プラン。
世界そのもの。そこに生きる無数の人々。
大人、教師として、それを仕事とする魔法使いとして、
どれにも当てはまらないあなたにそんな責任は負わせられない」

学園警備魔法教師として麻帆良に侵入、乱闘する神裂火織に対処。

最初に刹那等関係生徒を保護して神裂に警告、
神多羅木と共に魔法使い戦闘の基本である遠近セット攻撃で神裂を苦しめるも
神多羅木の仕掛けた術が破られ神多羅木が昏倒した事で、
年月を重ねた熟練の女性剣士同士が改めて壮絶な激闘を展開。

多くの魔法教師が倒れる中でも最初に遠距離を潰された中での近接戦の専門家として、
最後まで残って高音チームと共に反撃に出ようとした所で神裂が逃走すると言う結果。

その後は、学園長からの指示で魔法、魔術の戦争にも繋がりかねない神裂事件の収拾のために
主に関西呪術協会関連の連絡役として奔走。
その途中で遠方よりの来客が
タキシードと花を一輪用意したりしてた様ですが多分彼女は知らない事でしょう。

>>401

その一方で、治癒魔術の使い過ぎで昏倒した木乃香の治療を手配。
一連の騒動で憔悴した千雨にも冷静に現状を説明し、
もはや子どもに任せられる状況ではない、そんな責任は負わなくてもいいと、
大人として、プロの魔法使いとしての責任を理性的に説き聞かせています。

以上、原作第一話から登場してる高畑先生は別にして、
こうして見ると魔法先生の中でやけに扱いのいい葛葉先生でした。
まあ、相手がかんざきさんじゅうはっさいだったって事情もあった訳ですが。

・アンナ・ココロウァ
ネギの幼馴染のおしゃまなお子ちゃま女魔法使い、通称アーニャ。
何と言うか、思わぬジョーカーキャラ。
本人は善意で客観的にはいい事だと思っての行動も仕方がないんだけど、
結果としては事態を混沌に突入させた隠れた元凶。

禁書原作にも出て来るイギリス清教とウェールズの土着の魔法と言うか魔術の勢力の関係で
イギリス清教経由でネセサリウスが関わる科学の学園都市、鳴護アリサの騒動に
麻帆良の人間が関わっている事を察知した上に、
ショッピングモールでのコンサート爆破事件にイギリス清教が関与していた疑いがあると、
ウェールズに調査依頼の極秘情報が入った事をキャッチして千雨に電話。

最終的にはこれがとんでもない勘違いで、禁書の原作でもその勘違いで
事件と全然関係ない人が血みどろ爆発するとんでもない事態に発展しています。

本作に於いてはなぜか楽しいデートに発展しただけで済みましたが、
その済んだ筈の情報がどこかで止まっていた結果、
イギリス清教がアリサに対してどこまで危険なのかを把握し切れず、

無駄に焦燥した千雨が「白き翼」の精鋭部隊をネセサリウスとのガチ対決も辞さない覚悟で
魔法禁制の科学の学園都市に潜入させると言う「魔術サイド」の常識から言えば
戦争の一つ二つ勃発するレベルの暴挙に至る要因の一つとなっています。

しかも、千雨達がその作戦で這這の体で科学の学園都市から帰って来て、
恐怖の北半球壊滅エンデュミオンレディリープランの
シミュレーション完成を見計らった様に電話をかけて来て
イギリス清教が「術式の核の破壊」を視野に入れていると通告、
千雨の精神状態をMAXに追い込んでいます。

>>402

それもその筈、日本の状況をどの程度把握していたかは別にして、
この時のアーニャは調査に深入りし過ぎたのか、
イギリス清教の最大主教「女狐」ローラ=スチュアートに捕獲されている有様。

まあ、探り入れるにも相手が悪すぎたとしか言い様がなく、
出会い頭に即座にアーニャから敵認定された外見の喋りの怪しいシスターからは
美味しい海鮮丼をご馳走になったりしていた様ですが。

で、結果として、ローラの公認監視の下で
探り出した情報をそのまま千雨に伝えているのですから格が違い過ぎています。
そんなの、どっからどう見ても千雨達に火を付けて「魔法」と「科学」との間に一騒動
以外の理由が見えませんから(一応対レディリーの増強って線もありますが)。
何しろ本人が認めてるぐらいですし、
この辺、ネギも静かにキレてたんでしょうね………

・アリアドネー騎士団候補学生
簡易ながらコレット、エミリー、ベアトリクス、要は夕映チームのこの三名が登場。
レディリーとの最終決戦、術式の核となる特別展望室での術式解除作業中、
術式を解除するインデックスを守護していた綾瀬夕映は、
大量に召喚された魔素人形相手に戦線の拡散で苦戦を強いられる。

そこに登場したのがこの三名の騎士候補生。
レディリーが仕掛けた巨大な召喚魔術の暴走と推測されていますが、
ここまでピンポイントな召喚はコレット曰く「奇蹟」とも。
とにかく、夕映を含めた四人は息の合った集団防御を展開。

インデックスが術式を解除するまでの防衛戦の中核となる。
その後、召喚魔術の解除と共に、夕映にちょっとした思い出とメッセージを残し、
インデックス曰く「在るべき所」へ帰還。

・クルト・ゲーデル
エンデュミオン建造の報を受け、お忍びの形での視察と非公式会談のために旧世界を訪問。
それが千雨チームによるアリサ襲撃犯迎撃作戦の失敗と
神裂火織による事実上の麻帆良襲撃事件により
戦争すら現実味を帯びた最悪過ぎるタイミングだったため、
魔法世界の文字通り浮沈に関わるプランの信用性に就いて改めて高畑とネギに釘を刺す。
この事も又、千雨を心理的に追い込んだ一因と推測される。

事件解決後、魔法世界に留学した葉加瀬を受け入れた模様。

>>403

・戦友カルテット他
まあ、お祭りって事でw

レディリーの召喚魔術が都合よく大暴走した事で一挙登場。
高音・D・グッドマンと垣根帝督の闘いに介入し、
垣根の第二位の実力を前に風前の灯まで追い詰められた高音を救出。

少し真面目に言うと、本作含めて報われない苦労人の面の多い高音さんを、
流石上に立つ者として、その命懸けの使命感をテオドラも、
多分他の面々も、その命懸けの働きで救われた魔法世界の人間としてよく見ていました。
そして、その後は、超能力者第二位の実力を誇る垣根帝督との戦い、と言う展開だったのですが、
何しろ戦友カルテットが思い切り楽しんでましたから………

政治的に余所余所しい顔をしなければならない程の魔法世界の最重要人物が揃いも揃って、
科学の学園都市のレベル5超能力者第二位と真っ向対決とか。
土御門などこれを知ったらどういう反応を示したものやら。

今回はここまでです。

はい、「ネギま!」サイドは残る一名です。

続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。

それでは今回の投下、入ります。
「ネギま!」サイドの最後の紹介です。

>>404

・ネギ・スプリングフィールド

「戯れ言、綺麗事のために命を懸けて来ました。
一人を救えぬ者に世界の何を救う事が出来ようか」

「そうです。僕がやるべき事なんです。
父さんと母さんが救った、父さんが救ったアスナさんを礎とする魔法世界。
何としても成功させる。妨げるものに立ち向かう。
それは、僕がやらなければならない事なんです。
どちらに転んでも犠牲が避けられないと言うのであれば…
悪を行い世界に対し僅かばかりの正義をなそう」

原作「魔法先生ネギま!」の主役です。
でもって、原作で世界一つ救った「魔法世界の英雄」です。
本作に於いてもその筋では「英雄」がまんま肩書きになっています。
はい、ネギ先生の性格からして、ヤバイ予感しかしない状況です。

取り敢えず、さすがは主役と言う事で冒頭から登場。
雪広あやかと共にロンドンでプランに関するお話が一つまとまったかと思えば、
ゲートから科学の学園都市を二人で公式訪問しています。
これも、科学の学園都市で軌道エレベーターエンデュミオンが完成したのを受けて、
ネギのプラン「Blue Mars」計画にこれを利用するための商談のためと言う事。
これが、本作に於けるネギ君の基本的な立ち位置の様です。

で、どの辺が英雄なのかと言いますと、

>>406

其の壱

麻帆良学園から魔法世界の猛者共との数々の修羅場を潜り抜けたネギ先生。
本作に於いても魔術、科学の強者共を相手にその実力を遺憾なく発揮しています。

姫神秋沙を巡ってネセサリウスの介入を招いた際には、
黒鴉部隊や警備ロボ軍団相手に凌ぎ切る等それなりに強いステイル弟子三馬鹿トリオを一コマKO、
その師匠である「魔女狩りの王」、歴戦の「殺し屋」、「ルーンの天才」
ステイル=マグヌス氏の魔法名だけを聞いて瞬間KO。

逆に言うと、魔法名を聞いておいて、しかもルーン配置完了したステイルを一蹴したと言う事ですから、
魔法使いの癖にパワー格闘タイプと言う反則気味のネギの特性はあっても尋常な強さではありません。
その後に登場した神裂火織に対しても、七天七刀に対して杖による中国式槍術と神鳴流の隠し味、
そして雷化によって「聖人」神裂火織が舌を巻く「聖人」の本気すら出しかねない勢いで堂々渡り合っています。
付け加えますと、今更ながらこの場面には作者の間違いがありまして、
八極拳の槍術と書くべき所を太極拳の槍術と書いてしまいました。

雪広あやか偽装誘拐事件では、スキルアウトや特殊部隊レベルの襲撃者を一蹴。
砂皿緻密、ステファニー=ゴージャスパレスのコンビも
白兵戦が専門のステファニーの強さを認めながら白兵戦で割と簡単にKO。
と、ここまでは悠々とクリアしていましたが、その先に待っていました、「最強」が。

何者かの情報操作により資材置き場で激突する事となった相手は
科学の学園都市「最強」、レベル5超能力者第一位一方通行その人。
完全には支配出来ない魔法相手にも有効打にならない程度には全ての攻撃を反射、
その圧倒的過ぎるベクトル操作の破壊力と汎用性は
雷体化したネギですら抉り取られる勢いでネギも大苦戦を強いられます。

それでも、ネギはそんな未知の科学の法則に対して、
持ち前の戦闘スキルの高さと理論派分析力をフル活用。
触れる事自体が危険過ぎる一方通行に対して、その危険性を早くに察知して
「見」を中心に構えながらじりじりとした動きで対応する適当なスタイルを選択。

粘りの戦いの中で一方通行の法則をじわじわと解読。
半ば偶然ながら大量のルーン魔法でベクトル演算をかき回す事でプラズマ攻撃を減退、
最後には反射を勘で読み切る形で、回復力のある雷化を生かしての引く事で押す拳で
「学園都市最強」一方通行を正面撃破する事に成功しています。

>>407

その「最強」対決を制した後には、土御門からの連絡を受けて、
誤解から衝突した御坂美琴と図書館三人組の争いに介入。
事態は流石は第三位の勢いで図書館組に迫る美琴とそれを助けに入ったネギのストリートファイトに発展します。
学園都市の路上と言う場所と道義的な問題で余り派手な攻撃や死傷者を出せないと言う制限の下で
レベル5と直接対決する事はネギにとっても簡単ではありませんでした。

それでも、美琴が力負けする程の「白き雷」で学園都市最強のエレクトロマスターを驚嘆させた事を初め、
学園都市レベル5第三位の美琴相手に終始優位に、
簡単に言ってかなり本気でキテる外伝主人公レベル5御坂美琴に対して殺せないから厄介と言う程度の戦闘を展開。
しまいに美琴が路上でコインを用意する所まで追い込まれて、
そこで事態を把握したのどかの仲裁による戦闘終了に至っています。

ネギの実力から言って、仮に超電磁砲をぶち込んだとしてもその時は
「やったか」フラグを立てた次の瞬間にレーダー感知しても体が追い付かない勢いで
手刀でも叩きこまれて終わりでしょう。

この時点で禁書基準でもかなりとんでもなく強いと言う事になるのですが、
レディリープラン当日には「窓のないビル」に突入。
アレイスター=クロウリーとの会談に臨むも、
さすがにこの時は余りに強力過ぎる相手に圧倒されている模様でした。

それでもアレイスターから介入の承諾を得たネギは明日菜と共に宇宙に展開してデーモンを抑制。
相手はレディリーが途方もない規模で仕掛けた超巨大術式と
聖人級とされる鳴護アリサの奇蹟の歌声により召喚された地球破壊レベルのデーモンです。
明日菜と白く輝く空飛ぶ少女の助けがあったとは言え、分単位で抑え込んだだけで大変な事です。

>>408

其の弐

英雄なんとかを好む。
本作でもローラさんが言っていました。

と言う訳で、科学の学園都市に訪問早々、
病み上がりにどこぞのお嬢様の案内役を命じられてやさぐれていた結標淡希を一発キャッチ。
結標は瞬時に淑女の嗜みを取り戻し、ネギはネギでしまいの方には涼しい顔で結構いい感じに結標を使い倒しています。

商談を兼ねて訪れたショッピングモールではその外周とコンサート会場で
とある高校切っての堅物委員吹寄制理をスキルアウトや爆発事件から救出。
そこで見かけた姫神秋沙をとある高校まで追いかけて校門前でアプローチ。
そのまま前世の因縁と噂された古本屋デートに始まり
二人で楽しく語らうひと時を過ごして土御門を悶絶させています。

レディリー・プラン阻止の最終局面では明日菜と共に宇宙に飛び出し、
その満点の星空の下、白く輝いていた豊満なおっとり少女と
楽しい語らいの一時を過ごした事がネギ先生より報告されています。
更に、どういうやり方か食蜂操祈を口説き落として協力を取り付け、
レディリー=タングルロード追放と言うデリケートな作業に漕ぎ着けています。

ビジネスとしてイギリス清教ローラ=スチュアートや
レディリー=タングルロードと言った美しき曲者と虚虚実実の会談をそつなく展開する一方、
イギリス清教の「聖人」神裂火織とは肉体言語で解り合う。
更に、ローラと提携する一方で、イギリスの魔術結社の、
多分完璧な黄金比の方向の美少女とも秘かに先の話を進めたりもしています。

加えて、イギリス清教の魔道図書館として
高音チームからも文句なしに要注意人物扱いされていた“禁書目録”インデックスとも、
図書館組とのトラブルでは初対面とは思えない会話を交わしています。

>>409

少し真面目な話をするならば、
他の事はとにかく、かつての案内役にして座標移動の能力者だからこそ、
その知識、能力を濫用してアレイスターへの無断接触を図る事がどういう事か、
一番よく理解しているのは結標であり、ギャグ描写の域を超えて意気に感じたと言う事なのでしょう。
優しい、だからこそともすれば優し過ぎて周囲の女を傷つけるネギのあり方をも見抜いて。

吹寄のアンチ上条属性のキーは「フコウダ」です。
だとすると、ネギはその対極のストイック過ぎる程にストイックな努力家です。
もちろん、ネギが最初に名乗りを行った時点で、
姫神はネギの基本的な目的は察知していて、だからこそ簡単なぐらいに同行を決めた筈です。
そして、姫神であれば、ネギの中に自分の知っている何かを察知しても不思議ではありません。

ネギとインデックスが出会ったのがネギが麻帆良に来る前であるならば、
時期的にはインデックスに残されている過去の記憶ギリギリの線と言う事にもなります。
本作ではインデックス自身がウェールズの魔法学校で禁書目録の仕事をしていたと言っていますし、
それがインデックスが知識ではなく直接記憶している事であるならば、
その時期の魔法学校の図書館では、ネギも又秘かに禁書を読み漁っていた筈です。
もちろん、これが「とある」で言う禁書ならば、これを読んだネギが生きてる筈がないのですが。
接点がその時のものであるならば、本作の少ない描写では後の事は想像するしかありませんが。

ネギは、本来の専門ではないとは言え、並の専門家を上回る雷魔法つまり電気の使い手であり、
加えて、魔法の読心術の心得もあります。
そのためか、食蜂の能力に対しても簡易ながら防御を展開していました。
食蜂が本気になれば抜く事が出来る、但し、食蜂も無事で済むか分からないと言う事でしたが、
食蜂がその程度の事で簡単に屈するタマとも思えませんし、ここでは利害の一致で協力したのか。

簡単に言ってしまえば、柔らかな紳士の物腰の下に貫く誠意と覚悟、
それに対して女と言うもの、特に自ら修羅場を潜り抜けた者は目敏く鋭いと言う事なのかも知れません。

>>410

其の参

一見真面目で純朴な少年、それがネギ君ですが、
世界を巻き込む超巨大プロジェクトの責任者、
それも、学園都市と言う超難物を絡めると言う事で、どうも色々ときな臭い立ち回りを見せています

まず、事件直後にオービット・ポータルに対する資本介入を主導して
エンデュミオンに関する権利関係に手を付けた。
これは土御門とネギの発言の一致からもおよそ間違いないでしょう。

レディリー本人とのショッピング・モールでの会談でも、
ネギがレディリー自身の事に就いて把握していると、明らかにそれを匂わせる発言があります。
その事から考えて、このタイミングでオービット・ポータルに何かが起きる、
ぶっちゃけて言えば最初からレディリーの計画を知っていた、そんな疑いが浮上しています。
そうでなければ、雪広、那波が用意した莫大な現金を只寝かせる大損害になっていたと言うのが土御門の見立てです。

更に問題なのは、教え子である千雨達が
科学の学園都市で暴走している事を知っていて黙認した節があると言う事です。
この事に就いては、当の千雨も、ネギの真面目で仕事熱心な性格をよく知っているからこそ、
こんな重要な事を知らなかったで表向き済ませている事に就いて不審を抱いています。
土御門は、ネギが学園都市中枢の一時占拠のために、
千雨達が学園都市に侵入している事を黙認し時が来たら一斉動員するつもりだったのでは、と推測しています。

ここで嘘をつく理由があるか、と言う事からある程度信頼出来そうな材料を集めてみますと、
ネギが千雨達に何か動きがある事を察知していたのは確かな様です。
弐集院がアリサのサイトとネギ周辺に関して掴んだ情報を
ネギが学園長に根回しして魔法協会内部でも知られない様に手配したり、
その一方で本来慎重な筈の千雨が何か危険な事をしそうな事を前提に楓に千雨の手助けを依頼しています。

そして、その後で楓に殴打されるのを、ネギは黙って受け容れています。
千雨達がネギ抜きで学園都市相手のとてつもなく危険な事態に突入していた事に就いて、
ネギにも些かなりとも責任がある。他の解釈が難しいやり取りです。

一応ネギ本人が楓に語った説明では、取り敢えず千雨達がアリサ救出に動き出していた事は知っていた様です。
そして、ネギ自身もアリサの危機に就いて把握はしていたものの、
政治的に難しい学園都市でプランの責任者の立場で介入するのは却って難しいばかりかアリサ本人も危険になると言う事で、
この際千雨達が水面下で勝手に動いてアリサを保護する。
この流れに任せる事にした。と、言う事でした
つまり、状況的に土御門の推測を否定する根拠があると言う事でもない様です。

>>411

しかしながら、本作終盤で高音も一応その疑いを振り払う根拠としている様に、
教え子、仲間達に黙って命に関わるリスクを負わせると言うのは、
原作ネギの思考様式から言って驚愕に値する出来事であり、
本来、むしろ仲間なんだから危険に晒せとネギの方が毎回ドツかれている。
それはネギ本人も本作で結標に言っている事です。

或いは、魔法世界を戦い抜いて、アニメ第一期最終回時点でクラス全員仮契約で魔法二個大隊、
そっから未契約者をマイナス、仮契約者の強力化をプラスして、
そんな実力派魔法チームである千雨チームと「魔法」の側からは未知の部分の多い科学の学園都市の実力。
そのリスク計算をネギが見誤ったのか。

もっとも、学園都市だけならまだしも、「魔法」の世界でもアーニャですら知っている
「魔術」の「殺し屋」ステイル達が同じ領域で動いている事もネギは知っていますから、
確かにいい人でも任務となったらそうそう甘い顔も出来ない筈の「聖人」神裂火織までついてる状態で、
単純に今の千雨達なら安全だ、と考える程ネギ先生が抜けているとも思えません。

それでも、ネギはネギでレディリーがもたらした地球の危機に対しても
自分の身を挺してでもきっちり自分が出来る事を行っています。
その上で、仲間の志を尊重し仲間にリスクが生じても
「一番マシな選択」が出来る様になったのなら、それは成長と言うべきなのでしょうか。

千雨達に何も告げずに死地に赴かせると言う、原作のネギであれば重すぎる程の判断をする一方で、
ローラやレディリー、更にはアレイスターと、ネギは一癖も二癖もある利害関係者との調整にも奔走しています。
ローラとの間で実質的な同盟関係を結ぶ一方で、同じイギリスの魔術結社とも裏側で協調する動きを見せています。
ローラと魔術結社を天秤にかける動きも、政治的にも当然かも知れませんが、
楓との会話からの流れ、その前のローラとネギの会談を見た場合、
ローラが千雨達の命を利用した事もその判断に関わっているのかも知れません。

この手の政治的な世界で鵺として泳ぎ回る土御門は魔法側からの相手として桜咲刹那を当てがわれ、
明らかにネギに向けた警告を発しています。
言ってしまえば、ネギ・刹那・土御門、丸で「情」を弄ぶ様に見えたのかも知れません。

本質的な部分では余り変わっていないのかも知れません。
それは、悪い目が出ても、もし避けられない犠牲であれば、傷つき怨まれるのは自分一人で沢山だと言う。

>>412

本来ホルマリン漬けコースでも一向に構わない、
むしろ、古典ギリシャ魔術と学園都市の最新科学を駆使して科学と魔術で
まともに戦争を起こしかけた戦犯そのものの身柄を巡って、
自分から軋轢を作る様な真似をするメリットがどこにあるか分からない。

それでもレディリーを「解放」したのは、ネギが優しいネギ君だから。
もちろんその部分が大きいとも思います。或いは、小ネタ劇場での展開自体、
ネギの仕組んだ深謀遠慮だったのかも知れませんが。

レディリーの狂気は百年後、千年後の自分の姿。
その思いはネギの心にも当然ある筈です。
誰かと深く愛し合う事になれば、その愛が深い程に付いて来られないその相手を傷つける。
そうならば、その恐怖とも又、彼は独りで戦い続けようとするのでしょう。

そして、その事を自分の胸にしまっておける、そう思っているのはネギだけなのかも知れません。
ネギ自身が実際それは決して上手く行っていない事を口に出した時、
結標淡希はいい男を助けたいと言う女を甘くみるなとお姉さんからの忠告を送っています。
楓もそんなネギを見て、たまにはのんびり湯に浸かる事を勧めています。

「心配性のお兄ちゃん」土御門元春も、所詮この手の駆け引きでは年期が違います。
そして、余り思い詰めずに道化の仮面でやり過ごすやり方も心得ています。
只一人、愛する者のための多重スパイはネギに言います。身近で誠実に自分を見ている者を忘れるな、と、
その言葉はかつて、本作での土御門の「妹分」桜咲刹那がネギに発した言葉でもあります。
何よりも誰よりも、およその察しを付けていそうな千雨が黙っているとはとても思えません。

本作でも示された通り、アレイスターが指摘したその一事が、
何よりも今のネギにとって、付け加えると刹那にとっても重い事なのでしょう。
だから、それは決して無駄になど出来ない。
元々難しい事が山積みのプランで、万に一つの失敗も許されない。
そして、その重荷を、これ以上大切な人に背負わせる訳にはいかない、と。

>>413

かつて千雨が言った通り、人の本質と言うものはなかなか変わらない。
紳士として先生として、友達として、大切な人達を傷つけたくない。
それなら自分だけが傷つけばいいと、なまじそれを適える程の力を持ってしまったからこそ、
なかなかその発想から抜けられないのかも知れません。

そして、自ら学園都市を見たネギは何かその核心に触れて、
その頭脳の冴えで更なる事態を予期し利用さえしようとしています。
丸で何かのラノベでも読んだかの様なその読みは、
そうであるならば最悪屍の山の上に立ち途方もない怨みを受ける事になる選択です。
それを理解すればこそネギは自分一人で、と言うのも彼の発想として十分考えられます。

しかし、いつもの麻帆良でも、そして、新たにであった闇と光の街である学園都市にも、
これも今まで通り、そんなともすれば独り善がりの、それでも嫌いじゃないぜ、と言いたくなる様な、
そんな決意をドツキ倒して付いて来ようと、
周囲の強者がそう思えてしまうのもネギの魅力であり誠意が齎す力であると。

ネギ自身が何れかの衝突を予期している様に、
学園都市も又、そんな「英雄」が何の変哲もないパワフル過ぎる日常を送っている。
そんな街を「英雄」ネギはキーポイントに選んだのですから。

今回はここまでです。

やっと、「ネギま!」サイド終了ですよ。

続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。

それでは今回の投下、入ります。

禁書サイドに突入、と、思いきや、
終わった筈の「ネギま!」組が一部抜けてた………

>>414

・天ヶ崎千草
関西呪術協会所属の呪術師としてフェイト、
犬上小太郎等を従えて近衛木乃香の拉致、リョウメンスクナノカミの復活による
反乱を企てて失敗、投獄される。
ここまでが原作ネギま!でのお話。

当初、千雨が科学の学園都市でのアリサの異変を刹那、小太郎に相談した際、
刹那と別れた後に小太郎が千雨に告げた言葉の中に登場。
独自に科学の学園都市に就いて調査をすると言った刹那に就いて、
小太郎は想定される情報ルートが危険であるとして直接調査を促しています。
蛇の道は蛇でその情報ルートが危険であると、
かつて小太郎と組んでいた時に話していたのが千草だったと言う事です。

本作に於いて神裂火織が麻帆良学園で武力行使、特に近衛木乃香に危害が及んだ事を聞き、
イギリス清教による日本勢力全体への侮辱と激昂して
牢内で攘夷派の決起を叫び眠らされたのも描写から見てまず彼女でしょう。

原作中の描写から見て、千草が特に関西の呪術、
禁書世界とクロスするならば魔術の世界の裏事情に通じている事は察しがつきます。
本作では実際刹那の調査ルートとその結果、
本作牢内で「絵を描いたのは安倍のクソガキか」と喚いていた描写からも
その方面の基本的な情報は確実に把握していた様です。

>>416

・パイオ・ツゥ
エンデュミオン落成当日、科学の学園都市地下道に登場。
本人によると何者かに雇われたとの事で、
描写から見て猟犬部隊のナンシー・ヴェーラ等を行動不能にしたのもこいつっぽい。
木原数多の率いる部隊もまず間違いなくこいつに召喚された巨大ミミズに遭遇するも、
こちらのミミズは科学的に焼かれて始末されたらしい。

その後で、佐倉愛衣を追跡して地下道に入った御坂美琴との戦闘に突入。
パイオ・ツゥの事なので美琴の秘めたる微かな蕾を揉むために全身全霊を傾け、
それを阻止せんとする美琴との間に壮絶な死闘を展開する。

と、こう書けば完全にふざけた話なのですが、
相手はレベル5第三位、それも最強のエレクトロマスターとして
肉体的に高感度の電磁波レーダーを実装しているのが美琴です。
その美琴相手に通常は即決カウンターKOとなる
そのレーダーを掻い潜る勢いのヒット・アンド・アウェー戦法で
美琴に間一髪まで迫り続けるパイオ・ツゥのスピード、実力、執念はかなりとんでもないもの。

結果から逆算して見てみた場合、
巨大ムカデを召喚して美琴に超電磁砲を撃たせ、大量の召喚砂蟲の数で押す作戦で美琴の疲弊を誘う。
不意打ちを仕掛けた食蜂操祈に一旦は洗脳されかけるも、
食蜂の蟲嫌いを最大限に利用しつつ「揉み倒して」のKO勝ち。
最終的には、物量作戦が功を奏して他での爆破事件の影響もあり、
美琴も電池切れで食蜂を連れた途中撤退に追い込まれています。

これをどこまで計算でやったのか明確な描写はありませんが、
食蜂は一番質が悪い自分の能力を警戒して弱点を把握して最優先で潰しに来たと分析しています。
相手は対人戦闘にも長けたレベル5超能力者二人組なのですから、
この相手に引けを取らず撤退に追い込んだ時点でその実力は見事なもの。
依頼の内容が拠点防衛ならその役割を果たしています。
魔法世界ではチーム戦でトレジャーハンターを壊滅に追い込み、
少し未来で綾瀬夕映に勝利。ネギでも手こずる辣腕の魔法傭兵なだけはあります。

今度こそ禁書サイドに突入です。
映画メイン組から

>>417

・上条当麻

「お前が命捨てるのが、それが魔法使いだって言うんなら、
そのふざけた幻想をこの右手がぶち殺す」

我らが「英雄」上条さん、とあるシリーズの大元の原作の主人公にして、
本作の大元ネタの一つである映画「エンデュミオンの奇蹟」の主人公その人です。

「ネギま!」メインで映画で描かれた裏側を描く。
その向きが強い作品のため、全体の中での出番は決して多いとは言えませんが、
それでも、重要な所には絡んでいきます。
どう見てもこいつだろって言う人の名前が出てこないケースがあったりもしましたが、
それも含めて。

おおよそ映画と同じ行動をとっていた様です。少なくとも初めと終わりは。
路上ライブでアリサと知り合い、公園でステイルの弟子たちと交戦。
ショッピングモールのコンサート爆破では病院に運び込まれたと言う情報だけは描かれていますし、
その後のアリサのコンサート会場にも登場。
そして、エンデュミオンでの終幕に辿り着いています。
その過程で、本作の事ですから魔法の面々とも関わり合いを持ったりもしている訳です。

「魔法」と関わる事になっても、上条さんは相変わらずのヒーローです。
目の前の一人の友達の為に本気で憤り、時には命懸けの闘いにも突き進んでいく。
それは、他でもない本作で長谷川千雨以下「白き翼」の面々が選んだ道でもあります。

姫神秋沙のために、彼女に爆破事件の関与の疑いがかけられた事に本気で憤り、
その本気がネギを納得させています。
ネギも又、そういう馬鹿で単純な熱い心の持ち主を知っているから。

初対面では「魔術」との交戦中だったためにひと悶着ありましたが、
それでも、上条自身のわずかな経験から佐倉愛衣を誠実な魔法使いとして信頼しています。
「助けるため」に格上のイノケンティウスにも立ち向かった愛衣が使命のため、
全てを救おうとするために命を捨てる事を決して許さない。
みんな笑ってハッピーエンド、そこにオマエもいなければならないと。

本作の主人公ながら、エンデュミオンに突入しながらも最後の最後で限界を迎えた千雨を
上条は魔素の襲撃から救出し、千雨からバトンを受け取りゴールに向かいます。
大切な友達であるアリサ、そして、暴走しているシャットアウラを助けて欲しいと言う、
上条自身の想いそのものである千雨の願いを受け取って。

>>418

「魔法」の乱入でしっちゃかめっちゃかなぐらいに引っ掻き回された物語。
それでも、そんなちょっとお馬鹿でそして熱い、真摯な「魔法」の想いを受け取り、
最後の舞台で決着をつけたのは学園都市のヒーローでした。

一人の友達を思い心から憤り拳一つで行動する。
そのいつもの姿は、「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドからも信頼を得ています。

魔法世界救済のため、政治的なものを抱え過ぎて
腹芸や他人の利用と言った所に手を付けざるを得ない立場の「英雄」ネギ・スプリングフィールドが
いつか衝突する、その予感を感じているのは恐らく、
利用される側のたった一人の友人のために闘えるヒーローなのでしょう。

それは、「魔法」の少女達の心にも響くものがあった筈です。
もしかしたら「勢力」が魔法支部を作る事になるかもって感じで。

と、実に格好いいヒーロー上条当麻なのですが、
そこはやっぱり上条さんです。
しかも、絡んだ相手が「ネギま!」です。

と、言う訳で、土御門が深い接触を図ろうとして刹那に一蹴された
麻帆良の可愛こちゃん達相手にもいつものペースの「不幸な出来事」を連発。
アリサ誘拐前のコンサート会場廊下では
「孤独な黒子」を発動した夏美と千雨を捕まえようとして鷲掴みを連発。
状況的に、映画のシャットアリサ爆誕場面には上条と共に千雨も立ち会っていたのでしょう。

更に、ハードな戦いの数々の末に、グロッキーとなった愛衣や千雨を支えたりもしますが
大概そういう場面にはインデックスさんが合流したりもしています。
結果、いつもの通りインデックスが牙を剥き千雨パンチに宙を舞い。
アリサの友達としてアリサから臆面の無い想いの数々を聞かされて来た千雨からは、
アリサの事を「友達」と連呼する上条をもう一発ぶん殴ってやろうかと思われたり。

>>419

上条さんと言えば、何と言っても科学・魔術、あらゆる異能をぶち殺す「幻想殺し」です。
である以上、「魔法先生ネギま!」と絡むからには
高音・D・グッドマンさんとお近づきになるのは歴史の必然ってやつです。

映画通りの夜の公園バトルで、こちらは映画通りとは言い難い高音率いる麻帆良学園警備と遭遇した際も、
上条さんはシャットアウラと別れた後に姿を見かけた高音以下三名を追跡。
体力の限界を迎えた上条さんは、黒衣姿で横一列に並んだ高音チームのど真ん中、
高音さんの肩を右手でガシッと掌握。
結果、落ち武者と化して男子寮に生還し、
牙を隠したインデックスさんから高音さんの能力に就いて淡々とレクチャーを受けています。

小ネタ劇場を含めますと、映画ではちょっとこのパターンがずれましたが、
本作では色々あって事件の後に麻帆良を訪れ、
天草式の料理店を訪れた所で「影の鎧」を装着した高音さんと遭遇、
気さくに挨拶をした結果、
とある魔術の禁書目録の様式美通り、麻帆良に来てまで病室ラストを迎えたりしています。

・インデックス

イギリス清教の魔道図書館、禁書目録、完全記憶能力者。
常人ならチラ見だけで出血昏倒する十万三千冊の魔道書を記憶している凄い人です。

と、言う訳で、「科学」、「魔術」に加えて
「魔法」が交差した本作では結構な重さの存在感を示しています。
本作に於いては「魔法」は「魔術サイド」の中に含まれていますので、
禁書目録十万三千冊の守備範囲内、その意味では「魔法」側がカバーされる側だと言う事です。

序盤の夜の公園では映画通りに強制詠唱でメアリエの術式を妨害する一方で
インデックス達を助けようとしながら発動出来ない夏美の術式をその場で見抜いて上条が外れる事による発動に繋げ、
その後で麻帆良側の魔法や所属を悉く言い当てて千雨達を緊迫させています。

その後、上条さんが「影の鎧」を装着した高音チームを疲労困憊しながらも追跡、
頭目の高音を右手でしっかと捕まえてから落ち武者と化して寮に帰宅した際には、
寮で待っていたインデックスは高音チームの魔法の特徴を確実に説明した上で白い歯を輝かせ、
その後で魔法協会や魔法世界の政治的ポジションを含めた「魔法」に関する基礎知識もレクチャーしています。

「禁書目録」が関わって来た事で、
麻帆良学園の高音チームも政治的な重大性を恐れて千雨達に関与を禁じる事を強く警告し、
ステイルも又麻帆良側の接触を警戒してインデックスに接触しようとした佐倉愛衣と一戦交えるに至っています。

>>420

シャットアウラが古典ギリシャ魔術の呪詛を受けた際には犬上小太郎を術者として指導、
解呪を成功させています。
小太郎は東洋魔術の系統に入ってはいますが、
それはあくまで格闘戦の補助的なもので本格的な魔術師とは言えないタイプです。

それでも、そんな小太郎を指導して、それもギリシャ魔術に東洋魔術で対抗すると言う難しい事を成功させた事に、
自分がその分野で未熟である事を理解する程度には理解している小太郎も感嘆しています。
無論、原作では魔術師どころか真逆の科学側の人間を指導して治癒を成功させているぐらいですから、
魔術の範疇に入っている小太郎ならばより容易ではあったのでしょう。

アリサが誘拐されたファミレス周辺でのトラブルの末に、
のどかが「いどのえにっき」で「魔道図書館」に触れてしまった時にも即座に事態を察知、
インデックスの指導によるネギ、夕映の治癒でものどかに取りついた禁書の毒の回復は進みませんでしたが、
木乃香がのどかの治癒を成功させた「いぶきどのおおはらえ」の見事さには、
インデックスだからこそ、と言える大変に惜しみない称賛を送っています。

エンデュミオン落成当日には、こちらも映画通りエンデュミオンで術式完成直前のレディリーの前に登場。
先行して術式を解除しようとして余りに途方もない規模と古典的な術式を前にそれを断念、
疲労困憊していた綾瀬夕映には、格の違いと言うのもおこがましい貫禄で
自分の仕事である事を当たり前の事として宣言。
ついでに、同行していたフェイトをギリシャ術式のゴーレムと見抜いて警戒していましたが、
こちらは夕映の説得を聞き入れています。

そして、夕映や召喚されたアリアドネー騎士候補生達の結界に守られ、
シャットアリサの奇蹟の歌の助け、宇宙からのネギ達の助けを受けながらも
危険極まりないとんでもない巨大術式を着実に迅速に解体していくその技術は、
魔法世界から召喚されていたエミリーにも強い印象を残しています。

以上、「魔法」を圧倒した、と言っても差支えない、
魔術のエキスパートとしての実力を本作では遺憾なく発揮しています。
そして、本作では「魔術」サイドに属する「魔法」の世界にもその高名は鳴り響いていたらしく、
高音チームの三人はこの事件でのインデックスの登場に顔を引きつらせ、
魔法学生として勉学に勤しむ綾瀬夕映にも知られていましたし、
魔法世界で外交官を目指すエミリーが収集した資料の中にもインデックスの事は記載されているとの事です。

>>421

そのためもあって、当初はステイルにより麻帆良勢との接触が遮断されていたインデックスでしたが、
アリサ誘拐事件当日にメアリエによる拘束から救助された事が縁で綾瀬夕映と知り合い、
エンデュミオンに於ける術式解体では夕映に作業中の背中を預けるに至っています。

本来が学究肌で、かつての学業成績バカブラックも、興味のあるなしでの好き嫌いが些か強すぎた、
本来は洞察力、頭の回転に優れ得意分野は知識豊富と言うタイプの夕映です。
と、言う訳で、事件に巻き込まれながら自力で麻帆良学園の核心に辿り着き、
ネギの従者からアリアドネー騎士団候補として、
夕映は己の手で己が学ぶべきものを見出しています。

そんな夕映が、魔法の知の極みとでも言うべきインデックスを畏怖するのは当然です。
夕映のアーティファクト「世界図絵」が、最新知識を保持する自動更改機能故に、
レディリーの古典術式に対応し切れず今回の事件では苦戦を強いられています。
魔術の闇で、目に触れただけで命を落とす毒に沈んだ膨大な古今の禁書をその脳に焼き付け、
更に魔力を必要としない術式をも洗練させてきた。
そんなインデックスを前にしたならば、夕映が真摯な探究者であるからこそ、
格の違いと言う事すらおこがましいものを思い知るのも当然です。

それでも、夕映はエンデュミオンでは及ばずながらも、
或いはインデックスが来ていなければ自分の命を懸けてでも桁違いの巨大術式の解体に挑み、
そんな夕映に代わって術式解体に当たるインデックスを守護するために魔素人形との激闘に身を投じています。

仲間であるのどかがインデックスの原典に触れて命の危機に晒された際にも、
夕映はあくまで魔法に携わる者として、こちらに非があると筋目を通した態度をとっています。
もっとも、これに関しては時期的に少々微妙な問題を孕んでいる事で、
夕映の記憶が完全に回復した後であれば、
夕映の魂の救い手であるのどかの危機に違った反応を示していた可能性もありますが。

そんな夕映を、インデックスも信頼しています。
決して貶められるものではない優れた魔法技術の持ち主である事を評価し、
夕映に守られながらエンデュミオンの術式解体に専念しています。
技量の差こそ大きくとも、共に真摯な魔術の探究者として、
その評価と信頼は真実である。その事は互いに理解し合えた所でしょう。

>>422

そんな、「魔法」相手にも無双の限りを尽くしたインデックスさんですが、
「魔法」の「魔法先生ネギま!」とのクロスオーバーだからこそ、
気が気じゃない事はあります。

はい、その予感は的中。
事あるごとにズタボロになった愛衣や千雨は上条さんに体を預け、
正にネギま・禁書クロスである以上は必須とも言える
フルチューン状態の「影の鎧」高音・D・グッドマンさんとは、
インデックスさんから一度目の時に丁重なレクチャーを受けたにも関わらず
二度に渡って遭遇、右手による接触に至っています。
そして、その度にインデックスさんの白い歯はキラーンと輝く訳です。

そしてもう一つ、作中ではネギとも過去に接点があった様な、
学園都市でのネギとインデックスの顔合わせでは明らかにその様な会話や心中が記されています。
本作のインデックスはかつてウェールズの魔法学校で「禁書目録」の仕事をしていたと自分で言っており、
その時の様子からインデックスの記憶が残っている時期だとすると、
ネギが魔法学校の図書館で禁書を読み漁っていた時期に重なる可能性もあります。

無論、とあるに出て来る禁書をネギがまともに読んでいたら
ネギがその後生きて先生をしている筈もないのですが、
それはそれとして、時期的に言ってその時期に何等かの接点があった、その可能性はあります。

ネギとインデックスがどの様に出会い、言葉を交わしたのか、
本作で詳しく描かれる事はありませんでした。

しかし、この時期の魔法学校で出会っていたのならば、
アーニャに引きずられて図書館を出る程に、あの日の記憶に縛られて虚ろに禁書を読み漁るネギと
一年限りの記憶と言う重い運命に縛られながらも、傍若無人なまでに天真爛漫。
そして、シスターとしてのハートを持つインデックス。
どこか、救いがありそうな取り合わせです。

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。

それでは今回の投下、入ります。
映画メインキャラ編続き

>>423

・鳴護アリサ

元ネタに当たる映画「エンデュミオンの奇蹟」のヒロインにして
本作のタイトルからして二大ヒロインの一人、って事になるのですが、
出番少なかったです。

直接本人が登場したのは、夜の公園でのステイル三弟子の襲撃一回、ほぼこれだけ。
後は、出て来ても精々電話で、って状況です。

映画で上条さんは言いました。歌が好きで、夢に向かって一生懸命。
只それだけの女の子がなぜ北半球を滅ぼす悪人になるのかと。
それは、千雨も、そして夏美も、共通する思いでした。
千雨は知っています。とある少年への熱い思いを。
友達である千雨が呆れて、そしてちょっと嫉妬してしまうぐらいに臆面もなく語る、
そこを突っ込まれて初めてあわあわする、そんな一人の女の子である事を。

映画で上条さんとインデックスが見た、
アリサの放つ希望の輝きを千雨達も目の当たりにしたのでしょう。
聖人、奇蹟の歌姫、大スター。
それでもなんでも、アリサ自身は夢を信じてひたむきに前に進んで頑張って来た。
ほんの少しの勇気と言う魔法を精一杯使って、そして願いが適った事を。

その輝きを踏み躙るのは許せない。
なぜなら、それは鳴護アリサと言う一人の少女が、自ら踏み出してその手で掴み取ったものだから。
学園都市のヒーローに、魔法の学園都市の一人の少女に、その友人達にそう思わせた、
その事こそが鳴後アリサの本当の力、魅力なのかも知れません。

>>425

ほとんど顔を合わせる事すらなかった友人長谷川千雨。
それでも、一人の友人としてのちょっとした電話が、
千雨にアリサを、そんな本当は平凡な一人の少女にして大切な友達を守ろうと、その思いを奮い立たせます。
宇宙旅客機の中では、茶々丸の計らいで本人達も知らない所で疑似コラボも実現しました。
その時、二人ともそれぞれの戦場、ステージで己の闘いの真っ最中でした。

今まで知られていた「鳴護アリサ」の恐らく最後の時、
その最後のステージにして最新曲の発表に立ち会ったのは、上条当麻と長谷川千雨の二人。
時間の長い短いじゃない、と言い切ってしまうのは難しいですが、
アリサが全てを懸けた歌、その想いは通じた筈です
そのためにここまで駆けつけた、最も大切な人達だったのですから。

作者として言うなら、「歌」の力が放つあの映画の輝きを表現するには
私ごときでは色々と足りない事だらけで、ごめん、それ無理ってひれ伏した状態。
「光の塔」を背景に千雨達が駆け回りネギパーティーがひと暴れする。
そのイメージが私の妄想から文字へと発展するためには、随分と修行が不足していたと痛感しました。

・シャットアウラ=セクウェンツィア

本作投下中にも話題になりましたね。sage扱いも甚だしいと。

作者として言うなら、扱い難しかったですこの娘。
まず、最初に失敗しましたね。
記憶頼みの段階の作成で、
映画では夜の公園で最初っからド派手に爆発登場していたんですが、
本作ではそれに比べると温い描写になっていまして。

純科学サイドで「魔術」そのものの知識は最後まで無かった映画主要人物、
しかも、性格はいい加減な事が何よりも大嫌いな秩序の権化で頭も決して悪くない、
警備組織のリーダーとしてそれ相応の社会との関わりもありそうだと言う事で、
「魔術」に加えて「魔法」となると、
映画の大筋で進める場合ますます話に絡めるのが難しく。

戦闘力を見ても、強化スーツ込みでも
通常モードで麻帆良学園では相手が悪過ぎます。
何しろ秩序の人ですから、肝心のレアアース・ペレットは使い所が難しい代物ですし。
と、言う訳で、何となく前半で小太郎と絡む事が何度かあったのですが、
それ以上何かあったのかと言う事もなく。
終盤では完全にバーサーク通り魔なひどい描かれ方に………

>>426

確かに、あの時点でのシャットアウラは、
映画でもアリサや上条を殺しに掛けるぐらいイッちゃってた訳ですけど。
本作ではジャッジメントを刺してしまったぐらいで、もっとひどい状態に。

元々千雨達はシャットアウラから見たらイレギュラーで、
最初からアリサと絡んでいた訳ですから、
それが邪魔して来た時点であの時点のシャットアウラなら
殺しに来てもあり得るとは思いますが。

アリサ誘拐当日にシャットアウラの動きを追跡していた小太郎が垣根戦に持って行かれたりと、
原作映画通りに動いた結果前半の出番が多いとは言えなかったシャットアウラですが、
後半でそのうっ憤晴らしの様にバーサーク状態の大暴れ。
元々、メカ込みとは言え神裂からも一応認められる程のレベル4大能力者の実力の持ち主。
原作映画でも、魔術の絡む様々に非常識な事態も
大能力者の特殊部隊と言う技量と経験で切り抜けています。

エンデュミオン内では、アリサ抹殺に動き出して以降にフェイト、夕映グループと遭遇。
フェイトの素手攻撃を間一髪交わす技量を見せた上に、対処を任されたフェイト・ガールズを突破。
サブ・コントロールでは千雨、和美を逃がすために立ちはだかった風斬氷華を
レアアース・ペレットで恐らくは一時的に爆散させています。

これは相当に凄い事で、フェイトは言うまでもなく
原作終盤までネギとガチバトルを展開した程の格闘センス、パワーの持ち主です。
それだけに初見の少女一人に使える火力を測り兼ねたと言う所もあるのでしょうが、
一撃での気絶を避けるだけでも相当な実力。

フェイト・ガールズも、それも束になってとなるとネギパの実力者達でも容易に突破できない相手で
本来シャットアウラに負ける相手ではないのですが、この場合、相性も良かった様です。
暦の道具を即座に危険と判断して排除、調は場所柄ヴァイオリンの音波攻撃に限定された上に、
本来聞くに堪えない筈のヴァイオリンがなぜかシャットアウラの音感障害と相性が良かったり、
焔の発火能力を勘で察知してカウンターしたり、
これは、見た感じ能力の発動方法が似ていたからかも知れませんが。
残る栞は直接戦闘能力はありませんし、環は作者が忘れてたと自白………

風斬氷華に至っては、
自壊自動修復しながらシェリーのゴーレムと素手喧嘩展開した天使様。
こちらも、相手が生身の人間と言う事で、
自分は安全である風斬が我が身を盾にして手加減したと考えるのが妥当ですが。

>>427

結局、彼女が救われたのは映画通り、
本作では言わば映画の裏側で動いていた千雨達がダウンした後、
映画の表側で上条さんの役割だったと言う事で。

小ネタ劇場では、避難誘導していた柳迫碧美を刺した上に何らかの圧力で捜査が中止された事で、
当然の結果として超電磁砲組に付け狙われていますが、取り敢えず所在不明状態は継続中の様です。

今回はここまでです。

さあ、図面を引こう。

今日も緑溢れる火星を夢見て頑張ってるネギ君が
宝物五つコンプリートして口説き落とす勢いで
ちょっと物騒な宅急便をぶん奪るお話の執筆作業に戻るんだ。

今度ばかりは、ちうっちがまともに協力するのが最低条件として

………いや、無理。
無理無理無理無理。無理ですごめんなさい、
主に私の頭のレベル的な意味で。

一人漫才はこのぐらいにしとして

続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。

それでは今回の投下、入ります。
禁書映画メイン編です。

>>428

・レディリー=タングルロード

「そう、否定などさせない、何と言う愚かしい事っ!!」

本作の元ネタ映画「エンデュミオンの奇蹟」のネタバレによりますと、
科学の学園都市の巨大企業として軌道エレベーター「エンデュミオン」を建造運営する
オービット・ポータル代表にして、不老不死の苦しみを終わらせるために
「エンデュミオン」と鳴護アリサの「奇蹟の歌」を利用して
北半球破壊術式を発動して北半球諸共死んでやるぅと叫んでいた黒幕です。
その点、本作に於いても変わりのない所と言う事で、
「魔術」イギリス清教に加えて、「魔法」魔法協会までこの事件に絡んでくる事になります。

映画では純然たる黒幕に近いポジションでしたが、
今回は「魔法」が進行中のプロジェクトに肉薄する勢いを見せた事もあって、
レディリー自身が魔術の知識を駆使してそれに対抗する事に。

元々優秀なギリシャ占星術のシビルだった上に、
不老不死の身となって随分長い事生きていると言う事で、
本作では魔術、魔法の世界でも既に現存していないとされる術式の知識を
レディリー自身の記憶としてそのまま継続。

特に、「魔法」サイドでもネギパーティーの参謀であり魔法知識担当である綾瀬夕映は、
その源泉となるアーティファクト「世界図絵」が最新知識に自動更新するシステムであるために、
既に記録すら残っていないレディリーの魔術とは相性の悪さで苦戦を強いられます。
その点、さすがに「禁書目録」インデックスにはかなわなかった所ですが。

しかも、どういうルートか科学の学園都市の巨大企業代表になっているぐらいですので、
科学の世界、技術にも精通しており、
主にオリオン号の関係、そしてアリサやシャットアウラの関連。
計画の上で都合の悪い情報を隠蔽するためにネット空間に電子ドラッグ、電子結界を展開。

>>430

それも、魔法の電子精霊でネットに干渉する長谷川千雨に似たものか、
科学でありながら古典ギリシャ魔術を組み合わせた独特の代物で、
通常は催眠誘導で守りたい情報から閲覧者の意識を反らすだけです。

しかし、凄腕のハッカーとしてその段階を突破した初春飾利の脳波を電磁波で干渉融合して昏倒させ、
「力の王笏」を使って初春の救出に出向いた長谷川千雨も、
初春を拘束する呪いが千雨の電子精霊ですら容易に解除できない上に
電脳空間内のイメージでケルベロスや人面鳥に襲撃され大苦戦。
電気能力による強制介入を試みた御坂美琴も逆に脳に干渉されて
錯乱状態に陥ったり強烈なダメージを受けています。

後で解説した夕映によると、あくまで電脳世界の闘いである以上デジタルな戦いなのですが、
そのため、レディリーが電子ドラッグに組み込んだギリシャ術式が余りに古いものであるため、
現代の術式を基礎とした千雨の電子精霊とはどこかロジックが噛み合わずに苦戦を強いられたとの事です。

何れにせよ、千雨の電子精霊と言えば原作「魔法先生ネギま!」で
ネット上、ハッキングの分野では大概の事を可能にして来たその分野のチートアイテムですし、
御坂美琴は学園都市最強のエレクトロマスター、超能力者レベル5第三位の実力者として
コンピューターの電気信号を支配する事はお手の物です。
その二人が二人がかりで辛うじて初春も含めて無事に撤退と言うだけで
情報収集ではそれ以上先に進む事が出来なかった時点で恐るべき技術力です。

その後もこの電子ドラッグ、電子結界はエンデュミオンを調査する
葉加瀬聡美の研究室に干渉してセキュリティーの絡繰茶々丸と衝突。
茶々丸に撃退されたもののエンデュミオンの術式の完全解読を阻止する成果を上げています。
千雨達がエンデュミオンに突入した際、
千雨による管制システムのハッキングに対して防御に当たったのも同じやり方の様です。

最終的には麻帆良学園の電子精霊使いに解体され、麻帆良側に若干の負傷者を出したものの
レディリーの隠蔽しようとした情報は麻帆良の手に渡る事となりますが、
麻帆良学園の魔法教師で電子精霊使いである弐集院によると、
当初からオリオン号事件の調査を行おうとした事に対して電子結界の妨害があった様です。

この電子結界も恐らくそうでしょうが、本作でのレディリーが三割増しぐらいに厄介なのは、
科学の学園都市の巨大経営者として学園都市の表の、或いは裏の世界に於いても
スーパー短期間でエンデュミオンを完成させる程には小さくない権力と科学技術力を持っていると言う事で、
その科学の世界での力を古の魔術に結びつけている事です。
まあ、学園都市でそんな事しといて見逃されてるのもおかしな話ですが。

>>431

そもそも、エンデュミオンと巨大召喚魔術の組み合わせ自体が普通に考えても、
特にとあるの世界観では
本作でも夕映が即刻科学と魔術の全面戦争上等と説明しているぐらい凄まじいもので、
それを、落成当日まで隠蔽して見せた手際は尋常ではありません。

本作ではネギま!とのクロスと言う事で、
魔術的にデリケートなエンデュミオンが騒ぎになる事無く完成した事も含めて
何らかの認識阻害の魔術が使われたものと夕映達は推測しています。
これに近い事は、禁書サイドの原作でも魔術サイドが推測している様です。

その上に、本来魔術サイドの人間と言う事で魔術サイドの介入を警戒した下準備を着々と行っており、
まず、純粋に学園都市の表、裏の権力者として科学サイドによる防御を展開。

映画通りシャットアウラ率いる黒鴉部隊を動員、
術式の核となる鳴護アリサを巡りネセサリウスのステイル等と
「魔法」も入り乱れての攻防戦を展開して
最終的にその身柄の奪還、コンサート開催に成功。

謎のイレギュラーとしてアリサの周辺に干渉していた長谷川千雨のチームに対しては、
その動きを科学側による不審事件として情報操作する事により
学園暗部組織「メンバー」、「スクール」との衝突を画策。
最終的な結果はとにかく、効果としてはレディリーが土御門に語った通り、
レディリーのプランの上で障害になる千雨チームと暗部組織の両者に
決して小さくないダメージを与えています。

只、映画同様、レディリーによるこうした手法は、相手側に決定打を与えるには至っていません。
厄介な多重スパイである土御門元春に対しては、
土御門舞夏を人質にとってその動きを封じようとしたものの、

そのために莫大な費用と労力をかけて常盤台女子寮に潜伏させていた特殊部隊が
派閥の朝食会に被った事で主催としてこちらの女子寮を訪れていた
食蜂操祈に一掃されたらしき描写が為され、舞夏を人質に土御門に命令しようとした、
と言う土御門からの絶対的ギルディを利益ゼロで食らうだけで終わっています。

科学サイドの手口だけでも十分面倒な上に、
本作のレディリーはエンデュミオン召喚魔術や電子結界の様に
その科学を古典ギリシャ魔術と結びつける術を知っています。

それは、実際映画のエンデュミオンがそうである上に、
クロス相手が普通に科学と魔術を融合研究している「ネギま!」だと言う世界観もあっての事でしょう。

>>432

肝心のエンデュミオン落成当日には学園都市各所で魔術テロを実行。
事件に介入していたイギリス清教と魔法協会が
陽動作戦と知りつつ放置できずに労力を割く状況を作っています。
オービット・ポータル系列の研究所で生物兵器の開発を進める一方で
秘かにカルト宗教団体を設立、研究者や常盤台の学生を勧誘して陽動作戦の土台としています。

カルト教団を通じて支配した研究者に生物兵器を持ち出させて研究者の手で召喚魔術と融合させて
生物兵器を核に魔獣ヒュドラを召喚した魔術と科学のハイブリッド・ヒュドラを召喚。
更に、土御門舞夏の人質確保に失敗した直後、
常盤台女子寮で「アマゾンの戦士」事件を引き起こしています。

事件に関わった食蜂操祈によると「アマゾンの戦士」とは
「戦士」となった者の脳内に流れるコード名が何かの様なもので、
ギリシャ占いサークルに偽装したカルト教団に関わった常盤台の生徒達が
そこで渡されたらしき魔法具によって「憑き物」に取り憑かれ、
不審な行動を察知、追跡していた食蜂を襲撃。
助けに入った御坂美琴、土御門を追う中で事態を察知した桜咲刹那も巻き込んでの戦闘が展開されています。

ここで使われた魔術は、後に刹那から生徒の部屋の写真を渡された佐倉愛衣が、
魔法使いの目から「誰がこんなふざけた真似をした」と激怒する程に
危険な召喚魔術を占いグッズに偽装していたものです。

しかも、憑依されていると言う事で、電撃や打撃を受けても気絶しない上に、
食蜂によると「憑き物」の「本体」が脳以外の場所から脳に悪性の信号を送っているために
食蜂が脳内データを修復しても「本体」によって再度書き換えられる鼬ごっこになる。
更に、レベル3以上が入学条件の科学の能力者である常盤台の生徒の脳に魔術が干渉しているために
早期に決着をつけないと生徒たちの脳が破壊される。
相手は操られているだけの善良な生徒であるために道義的に大怪我は避けたい、
と言う悪条件の連続に実力者揃いの三人組も苦戦。

操られた大半の生徒は別筋から介入した龍宮真名の「麻酔弾」で解呪され、
その龍宮が寮監の足止めに向かった後に残った四人の「戦士」も
それぞれ三人組の手で魔術から解放され、後遺症につながる脳外傷も木乃香の治癒魔法で回復されています。

しかし、電気能力で「戦士」の内心とシンクロした美琴が察知、
捜査に当たった固法も察した様に、常盤台の生徒として高位能力を求められる少女の内心に
占いサークルから浸食していく手口は年の功と言うものでしょうか。
それも、食蜂が気づく事が出来なかった程の短期間で常盤台に浸透したと言う事です。

>>433

このカルト団体は、怒らせてはいけない相手を色々激怒させたと言う事で、
美琴の連絡を受けた白井黒子を初めとしたジャッジメントの捜査対象に。
しかも、本来止める側の固法が、生徒が巻き込まれたと言う事で敢えて越権捜査を許可しています。
更にその先回りをした何者かによって辛うじて生きている
嬲り殺し寸前と言うぐらいに痛めつけられています。

科学のバイオテクノロジーで作られた生物兵器を核に
ヒュドラを召喚して生み出したハイブリッド・ヒュドラも又、
エンデュミオン落成当日の魔術テロの中でも恐らく目玉としてレディリーが用意した、
確かに恐ろしく厄介な相手でした。

只、ここでも少々計算違いがあったのか或いは想定の範囲内だったのか、
前夜、他でもないレディリーの画策で暗部組織の「メンバー」、「スクール」が
千雨チームとの衝突で半ば機能停止に陥る中、
こちらは単なる偶然で千雨チームの運動部と衝突したものの
およそ無傷の暗部組織「アイテム」が事件に介入。

何者かの密告で研究所に絡む異常事態を察知したアイテムは
他の暗部が機能停止した事もあってこっちの仕事になりそうだと言う電話の女の指示もあって
偵察がてら研究所からの生物兵器持ち出しの調査、奪還に着手。

レディリーから見てハイブリッド・ヒュドラの召喚には成功したものの、
研究所が独自に雇った口封じの「掃除屋」が「アイテム」と交戦に陥ると言う「現場の判断」もあり、
その現場となった研究所跡の建物でレベル5第四位麦野沈利以下の
アイテムを敵方に引き入れてしまう結果となります。

それでも、召喚されたヒュドラの強さは並大抵のものではなく、
神話通りに切られた首から二股の首が再生し、
後に木原数多の語った所ではそれに合わせて全体も巨大化する、
毒液を噴射する遠距離攻撃も可能と言うヒュドラにはアイテムも、
魔力を察知して急行した刹那、愛衣も大苦戦。

刹那がヒュドラを二つに斬り裂いた結果二匹のヒュドラに分裂してしまうと言う事態も引き起こし、
内一匹は、麦野が原子崩しで首を全部ふっ飛ばし再生する前にフレンダが火炎弾で焼き尽くす事で退治。
もう一匹はフレンダと愛衣の合わせ技で地下通路の橋ごと地下深くまで墜落させていますが、
そこでは退治に至らず何者かが開いた穴から地下通路に逃げられています。

その後、ヒュドラは木原数多の率いる猟犬部隊の追跡を受けながら
学園都市の未使用の地下通路から爆破された壁の穴を通って下水道に逃走。
木原数多による観察実験のために動員された多数の猟犬部隊の隊員を虐殺しながら
下水道に逃げ込み、そこで刹那、愛衣に追いつかれています。

>>434

しかし、その時に発生していた下水施設爆破事件の影響で
ヒュドラのいる下水道に本来のヒュドラの生息地に近い穢れが集約された事で
ヒュドラは「魔獣」から「怪獣」にバージョンアップ。
とんでもない攻撃力、再生力を発揮する怪獣ヒュドラに
実力派の剣士、魔法使いである二人でも大苦戦を強いられています。

それでも、水脈の穢れが強引に矯正された事で「魔獣」までランクダウンした所に
政治的事情で陽動作戦であっても放置できないステイルと三弟子も協力。
メアリエによる水魔術の縛りの中で刹那が首を全て斬り落とし
愛衣が巨大火炎魔法で決着をつけようとしたものの、途中で穢れの制御が解けた事で
逆にメアリエや愛衣が水の精霊ウンディーネの怒りを買って汚水に攻撃される羽目に陥ります。

しかし、刹那が東洋術式で首の再生を抑え込んでいる間にステイルがルーン配置を完成させて
イノケンティウスでヒュドラを焼き尽くす事に成功、
したかに見えたのですが、神話に伝わる「不死の首」が火だるまになりながら抵抗を継続。
最終的には刹那の音頭による女性陣総出での「天岩戸」の術式で
召喚を解除、あちらの世界に叩き返す事でようやく退治に成功していますが、
この時は、むしろ不完全なハイブリッド・ヒュドラと言う事で
科学と魔術の不完全に融合された繋ぎ目を外して召喚を解くのはむしろ簡単だった様です。

とにかく、陽動作戦と分かっていながらも、麻帆良とネセサリウスの貴重な戦力にアイテムまで加えて
ここまで引っ張り回したのですからハイブリッド・ヒュドラの脅威は相当なものです。
千雨チームの参謀綾瀬夕映も、そうしたレディリーの意図を読んで実力者である刹那と愛衣に対処を任せ、
リスクはあってもそれ以上の人員は動かさないと言う判断をしています。

加えて言えば、この魔術テロと同時進行で何者かに雇われた月詠が科学の学園都市に潜入、
神裂火織の足止めに動いたり、同じく何者かに雇われたパイオ・ツゥも科学の学園都市地下道に登場、
ハイブリッド・ヒュドラを追跡する猟犬部隊や一連の事件を追う御坂美琴、食蜂操祈との戦闘を行っています。
更に、複数の小規模魔術結社がヒュドラ関連の情報リークを受けて科学の学園都市に潜入しています。

この内、パイオ・ツゥは美琴、食蜂のレベル5コンビを撤退に追い込む成果を上げていますが、
月詠は不慣れな仲介人を介したために依頼を天草式十字凄教に察知されて神裂に至る前に敗退。
魔術結社はステイルによって始末されています。
明記はされていませんが、利害関係から言っても、
魔術、科学、双方に通じているレディリーの仕掛けと言うのは十分あり得る事です。

>>435

そして、エンデュミオンの内部にも大量の召喚魔術を設置。
ケルベロスを初めとした数々のギリシャ魔獣を召喚して千雨達の行く手を阻んでいます。
ざっと見ても

ケルベロス軍団
ケルベロスと言えば三つの頭の地獄の番犬、最近映画化した医療ミステリー作品のモチーフにもなっていますが、
千雨等が戦った電子ドラッグの電子戦でも敵方のイメージとして登場しています。
エンデュミオン内の人造岩場に登場して千雨チームの行く手を阻みますが、
何か変なのが色々くっついています。

黒一色の装甲服にMG34をぶっ放して来る異様に近代的な集団、
後になると白塗り白スーツのSMG集団なんてのも加わっています。
黒い集団は電子戦でもケルベロスと共に登場して、
黒い装甲、ヘルメットに目だけが赤く光り、一斉射撃を展開するのですが、
頭の方に問題があったとかで一斉射撃の後一斉装填を開始した隙に千雨に一掃されています。

エンデュミオンの方にはケルベロスの弟で双頭の大犬オルトロスも登場。
こちらは原作ネギま!でも幻術の中で登場しています。

とにかく、少なくとも黒い軍団も小太郎いわく人間ではないと言う事で、
ケルベロス、オルトロス兄弟は小太郎、白黒軍団はハルナが引き受ける事となりますが、
犬と犬とのぶつかり合いは神話の犬兄弟に分があったらしく小太郎も押され気味、
ハルナもどこが魔術戦なのかと言う分厚い弾幕の物量攻撃に対抗するゴーレムが追い付かず。
結局小太郎、ハルナは岩場から貯水槽まで戦線を後退させながらも辛うじて死守した、と言った辺りです。

そもそもなんで又地獄の番犬ケルベロスに
赤い眼鏡に黒い装甲の機関銃軍団やら
白ずくめのSMG軍団がセットでくっついて来てるのかと言う事に就いては(以下略)

ケンタウロス、ミノタウロス
どちらもギリシャ神話に出て来る半獣半人の、取り敢えずざっくり言ってモンスターの類。
エンデュミオンの貯水槽エリアに登場。

馬人間のケンタウロスは群れで登場し、酒乱で結婚式をぶち壊して成敗されたと言う神話に倣い、
アリサのコンサートに突入して一挙に希望の歌から絶望に転換する
阿鼻叫喚の負のエネルギーを収集する事でエントロピーを凌駕する目的、
と、フェイトによって推察される。

>>436

そういう訳で古菲によって足止めされ、中には貯水槽に叩き落とされてセイレーンに骨にされた者も。
一方、迷路の逸話で有名な牛人間ミノタウロスは単独で登場し、
こちらはもう少し頭が良かったらしく、
巨大な図体ながらそれを生かしたパワーアクションと共に意外な俊敏さでの体術攻撃を展開。
古老師との正面対決で古を苦戦させています。

セイレーン
背中に鳥の羽が生えた美女。
作中でアキラが言っていた通り、伝説の中でも後年型の人魚タイプの方が有名かも知れないけど、
元の伝説としては多分鳥人間が正しい。

こちらも貯水槽エリアに群れで登場、美しい歌で水の中に誘い込み食い殺す、と言う伝説通りの攻撃を展開。
千雨はそれに対抗するためにまずは調のヴァイオリンをスピーカーしますがその不快音は皆に美しい歌を聞き直したいと思わせ、
エレベーター内で調のヴァイオリン演奏を聞かされたフェイトから補習授業が予告されるだけの全くの逆効果。
しかし、千雨がスピーカーの混線で引っ張り込んだ「奇蹟の歌姫」鳴護アリサの歌声にはかなわず洗脳解除。

空中からの直接攻撃を開始したセイレーンに対して、
アーティファクトで人魚スタイルになった大河内アキラが自分を囮にした攪乱や水柱で足止め。
それでも千雨チームを追跡したセイレーンは裕奈の銃撃やまき絵のリボンで撃墜される。

ハルピュイア
貯水槽エリアから倉庫を突破してサブコントロールに向かう千雨達が遭遇した人面鳥。
二羽セットで風斬氷華を襲撃するも、佐々木まき絵のリボンで拘束、激突させられて近くの部屋に閉じ込められる。

ラドン
作中では竜とだけ表記、形状や状況からギリシャ神話のラドンらしきもの。
刹那、木乃香、のどかが侵入したエンデュミオン人口庭園に登場。
大量の首を持ち、口から冷気と炎を吐いて
林檎の木の林檎に手を伸ばしたのどかをフリージングしたために刹那と戦闘開始。
刹那の剣でダメージを受けるも、幸い木乃香がのどかの治癒に成功した事もあり、
ラドンが忠実な林檎の「番犬?」に過ぎない事を理解した木乃香がラドンを治癒、宥めて和解。


エンデュミオンにつながる学園都市地下道の資材置き場跡スペースに登場。
サイズは象、夕映によると草食ではない可能性があると言う事で、
千雨チームが攻撃する直前に介入したフェイトに石化されて終了。

>>437


エンデュミオン内の魔法陣から現れた巨大馬。
こちらも肉食の可能性があり、コンサートに突入する危険があると言う事で、
発見した「渡鴉の人見」搭乗相坂さよと和泉亜子、佐々木まき絵、村上夏美が対処。
夏美、まき絵が引き付け亜子がアーティファクトの魔法薬を注入する事で馬に掛けられた呪いは解除。
以後は、途中で合流した木乃香や柳迫碧美までまとめて背中に乗せて崩壊するエンデュミオンを疾走。
彼女達を安全な場所まで避難させた後、彼女達の歌う「グローリア」を背にエンデュミオンに消える。


エンデュミオン基部エリアに大量に出現。
ギリシャ神話にポピュラーな邪悪の象徴と言う事で、首がいくつもあったり、
佐倉愛衣に言わせれば劣化コピーの出来損ない。

それでも、ボルト爆破に向かうステイルと弟子集団を襲撃し、
石化光線を放った所をナツメグこと夏目萌の銀粉水流で逆に自分が石化。
それでも大量に残る蛇を夏目萌、佐倉愛衣が食い止める事に。
しかし、その後、見るからに第一位な人の登場でまとめて挽肉、
その魔力をたどったのか、魔法陣まで破壊される事に。

しまいに、エンデュミオン内では、原作ネギま!に登場した魔素をも召喚。
魔素そのもので千雨とシャットアウラを襲撃、レアアース・ペレットの爆破で突破したシャットアウラに対して
千雨は魔素に浸食されて命の危険に晒された所を上条当麻に助け出されていますので、
状況的に「幻想殺し」で魔素は魔法陣ごと消されたのでしょう。

レディリーとの決戦の場となった特別展望室でも
ネギま!に登場した魔素人形を大量に召喚してインデックスの術式解除を妨害。
インデックスの防御に当たった夕映やそこに現れた裕奈、アイテムの麦野、絹旗をも手古摺らせる激戦を展開。
フェイトに対しては怪獣クラスの魔素人形が足止めしていましたが、
夕映は途中で召喚されたアリアドネー騎士団候補の助けも借りて防衛戦に成功。
最後には白く輝く少女に召喚術式ごと消滅させられています。

その他にも、千雨チームと途中から別行動でエンデュミオン内の特別展望室に直行した
フェイト・夕映チームもモンスターに襲撃されたとの事ですが、
こちらは安定のフェイト軍団ですからあっさり石にされた様です。

エンデュミオン内がギリシャ神話怪獣大決戦になった事に就いては、
作者の都合で言えば、ぶっちゃけ火力が足りない、と。
原作の禁書映画にネギま!が絡んだ結果、大筋を曲げずにやるのはもう一つ見せ場が………
と言う切実な事情が一つ。

>>438

その辺の軽いジョークはさておいて、夕映の解説によると、
既にエンデュミオン内で始まっていた鳴護アリサのコンサート。
コンサートから発生するアリサを核とした膨大なエネルギーがエンデュミオンに張り巡らされた回路を通じて
召喚術式に流れ込んで発動させていたとの事です。

そして夕映は、レディリー本人と対面した際、同じ日の早朝に続発した魔術テロで、
古よりのギリシャ占星術の優れたシビルとして高度な術式の知識を持っていながら、
科学の学園都市の能力者と言う決定的に不向きな者を含めて、即席の術者を使い捨てる様にして魔術を発動した、
せざるを得なかった事情も、留まり続けると言うキーワードからある程度推察しています。

「奇跡の歌姫」鳴護アリサと、その「信徒」達が放つ膨大なエネルギー。
それを用いる事により発動がかなった、
ギリシャ魔術師としてのレディリーの真価と千雨チームは正面対決したと言う事です。
もっとも、レディリーによると、予備術式程度に思っていた魔素人形までが発動したのは、
或いはエンデュミオン内でイレギュラーな魔力を吸収したから、とも推測しています。

この様に、原作禁書映画に加えて「魔法」と言う要素が絡んで来た事に対して、
科学、魔術総動員でこの時、この瞬間のために、
何しろ目標が征服でもなんでもない地球破壊なのですから、
後先考えず形振り構わずありとあらゆる布石を打って来たレディリーですが、
本作でも後一歩の所で詰め切れず、敗北に追い込まれています。

術式を解除するインデックスとそれを守る夕映達、そして、発動が始まる術式。
地球破壊クラスのデーモンを初めとした悪魔軍団の召喚に途中までは成功するものの、
ネギと明日菜、そして白い少女の決死の時間稼ぎ、
そのわずかな時間に皆に守られたインデックスとシャット・アリサの奇蹟の歌声が術式を完全に解除。
レディリーの切望は今一歩の所で潰えています。

その後、レディリー自身が爆弾を手に特攻かけた結果麦野の原子崩しで跡形もなく消されたと言う事もあり、
地球を救ったヒーロー軍団も流石に疲労困憊限界の極みと言う事で撤退。

そんな事で死ねるものなら苦労はしないと無事復活して元の場所に戻って来たレディリーでしたが、
そこに現れたのは「魔法」の「英雄」ネギ・スプリングフィールドとそのパートナー神楽坂明日菜。
レディリーは、そんなネギに激情を叩き付けます。
今の自らの地獄、「英雄」としてやはり幼い身で世界のためにその道を選んだネギに対して、
何れ、レディリーの狂気は未来のネギの姿であると激しく負け惜しみをぶつけます。

>>439

ネギはそれを否定せず、そして、レディリーを、救います。
ネギ・パーティーの技能を尽くして強引にレディリーを不死の頸木から解放し、
更に、食蜂、ステイルの手で記憶と元の顔を消し去ってから地球のどこかへと追放します。
これは即ち、ネギが敢えて電話で学園都市内に向けて報告した事も含めて、
学園都市、イギリス清教双方の了解を意味する事です。

ここに、大筋の流れに沿っていた「エンデュミオンの奇蹟」からの流れが、
一つだけ大きく変更される事となりました。

「魔法」の人間として改めて土御門元春に接触した桜咲刹那は言います。
もう害はないから放置している。
既にディダロスの様な犠牲者も出しているレディリーにこれが正しい裁きなのかは分からない。
只、レディリーは、罪の前に大き過ぎる罰を前払いしている、と。

その後、小ネタ劇場では或いは、と言うシーンも描かれていますが、
最初からネギがそれでもなんでも素質は天才的であるレディリーを魔法サイドで保護する算段をしていたのか。
記憶の無い孤児を一人、確かに人命を弄んだ罰とは言え、
刹那も言っている様に確率的な大多数が死ぬよりも過酷な世界に放り出す事をネギがするだろうか。

只、今回の事件の性質上、魔術と科学のパワーバランスから地球そのものを危うくした魔術師相手に
そこまでやってしまう、「魔法」の庇護下に入れてしまうと、
学園都市やイギリス清教が黙っているだろうか、
或いはそれでも秘かに行ったのか、この大事件の直後にそれで通るものか、
と言った堂々巡りにもなりますが。

それは、ネギのヒューマニズムなのか、
或いは、レディリーの狂気に思う所があったのか。
それとも、映画の終わりに対して今回は「ネギま!」ですから、と言う事なのか。

今回はここまでです。続きは折を見て。

もういいわ

乙です

ふむう成程のう(横山光輝風に)

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事の様に書いたりしてます。

それでは今回の投下、入ります。

禁書魔術陣営始まりイギリス清教サイドです。

>>440

・ステイル=マグヌス

イギリス清教会必要悪の教会ネセサリウス所属の魔術師。
ネギま!や禁書の様にパワーインフレーションが激しい作品ですと、
ちょっと目を離すとステイルの様な初期、と言うか一番最初の「強敵」の強さが微妙に見えたりもしますが、

本作の元ネタである映画「エンデュミオンの奇蹟」では、
学園都市とは妙に縁のあるネセサリウス側の言わば切込み隊長にして
上条当麻とは浅からぬ因縁がある、と言う元々のポジションから大活躍。
と、言う訳で、そこから「魔法」までクロスした本作でも
ネセサリウス側の先頭に立った戦闘でその実力を発揮しています。

鳴護アリサを巡り学園都市の裏側で「魔術」と「魔法」が交差した時、
ネギま!「魔法」サイドの「魔法使い」佐倉愛衣を二度の対戦で圧倒。
愛衣と刹那、それにアイテムと言った実力者達を苦戦させたハイブリッド・ヒュドラを、
共闘の一翼として巨大イノケンティウスで飲み込み一挙に大ダメージを与える辺り、
本作で主に愛衣から強調された「ルーンの天才」の面目躍如です。

加えて、やはりアリサを巡り対立した千雨チームの運動部+古菲チームの襲撃を受けた際には、
明石裕奈の魔力減退弾を受けながらも、減退しても戦闘力を保持した地力と
「殺し屋」の実戦経験で切り抜けています。

>>444

そのステイルの頭痛の種のなったのが、原作映画で初登場の三人の弟子達。
最初の夜の公園では、既に「魔法使い」高音・D・グッドマンに捕獲されて全滅寸前の三弟子を、
炎剣で高音さんの影法師を薙ぎ倒して救出すると言う映画よりも難易度の高い展開。

本作ではこいつらが最早三馬鹿トリオと言うべき活躍を展開した結果、
佐倉愛衣水責め事件では、それを黙過した事で根性なすごいパンチでふっ飛ばされた挙句に
触手フルアーマー高音さんに追い回され、

姫神秋沙との接触を口実に三弟子がネギ・スプリングフィールドに喧嘩を売って瞬間KOを食らったものだから、
面子の上から対戦せざるを得なくなった訳ですが、
「ルーンの天才」も魔法理論から「拳法」まで万能でこなす「魔法」の「英雄」は相手が悪過ぎたと言う事か、
魔法名を名乗るや否やネギの肘打ちを食らった上に配置したルーンまで逆に支配されて完敗しています。

映画の通りと言う事では、最初の公園で切り抜けた黒鴉部隊にアリサ誘拐後のカーチェイスで敗退、
アリサを奪い返されたのは映画通りの様です。
その後、エンデュミオン基部で弟子と共にボルト点火に向かった際には、こちらは本作独自展開で
レディリーの召喚した蛇の大群の襲撃を受け、
利害の一致した愛衣、ナツメグに蛇の対処を任せています。

原作小説でも、初期中期程の出番は、となる一方、
ペンデさんと死闘を展開したりグレムリンとの空中戦に登場したりと侮れないステイル君、
本作の元ネタの映画でも大活躍です。
禁書、ネギま!共にパワーインフレが激しい作品と言う事で、
原作では初期キャラのステイルが割を食ってる部分がありますが、本作では丁度いい比較対象が登場します。

本作でステイルに絡む機会が多かったのがネギま!側の「魔法使い」佐倉愛衣。
ネセサリウスの「ルーンの天才」として、本作では「魔法」サイドにも知られているステイルですが、
佐倉愛衣は容姿端麗成績優秀性格円満の才色兼備、
留学先のジョンソン魔法学校を首席卒業して年齢的には先端の「魔法」を使いこなす才媛。

関わりを持ったネギ・パーティーやその相手の実力が色々おかしいから勝った試しがない様にすら見えますが、
本来は登場時点で初期ネギなら圧勝できる、キャリアや理論値で言えば年齢的には実力者と言っていい「魔法使い」です。
年齢も同年代で共に火炎魔術の使い手、本作では、愛衣の留学中に知り合っていたとの事で、
術式の優劣を巡り校舎一つ溶鉱炉にしたりグラウンド一杯のイノケンティウスの鎮圧実験をやったりして
元気があってよろしいとお掃除半年を賜ったぐらいには近しい間柄だと言う事です。

それでは、この二人は似ているのかと言えば、むしろ大きく違っています。
愛衣はあくまで「魔法先生ネギま!」の「魔法使い」。
それも、一部実務に当たっているとは言え、身分はあくまで学生です。
原作の最後を見ても、このまま麻帆良学園を卒業して関東魔法協会の魔法使いになるのでしょう。

>>445

一方のステイルは、イギリス清教ネセサリウス必要悪の教会に所属する魔術師。
魔術の秩序を司る魔女狩り部隊の先兵として、
数多の魔術結社を「焼いて」来た事が原作で描かれている魔術の世界でも裏側で活動している実力者。
故に、本作ではしばしば「殺し屋」と表現されています。

本作中のレスでも少々指摘されていましたが、異端審問の専門家として、
任務中に三弟子に捕獲された愛衣への仕打ちなどお遊びに過ぎないヘビーでハードな拷問も通常業務になります。
禁書風に言うなら、一般社会からは常盤台を含む能力それ自体が秘匿されている事も含めて、
「魔術」と言う裏の存在同士、そこでそれなりの評価を受けている中でも
常盤台のお嬢さんと暗部組織ぐらいバックグラウンドが違うのがこの二人です。

そして、そのバックグラウンドはそのまま実力差にも結び付いており、
愛衣自身、ステイルの狂気と言えるルーンの習得と実戦経験の違いから、
直接対決したら負ける、と言うか死ぬ、と即答しています。
「殺し屋」の魔術は「学校」の魔法がどうこう出来る相手ではない事も理解しています。
実際に、本作では互いに必要悪の教会と麻帆良学園警備と言う任務の上で二度対戦していますが、
二度ともステイルが圧倒する形で展開して、生きて脱出した愛衣を褒めてやりたい状態で勝敗を決しています。

では、この違いは絶対的なものなのでしょうか?
「魔法先生ネギま!」の魔法の世界も又、
人間の歴史の上でありふれた闇や悲劇と隣り合わせである事は、実の所しばしば描かれています。
主人公であるネギ自身の背景からして、英雄としての輝きと共に、
魔法と言う世界の悲劇と汚点の歴史である事も知られています。

魔法と言う強力な異能と人間の欲望、感情が絡み合う、
それでも人々が暮らしている世界を守るために、時に命を懸けて地道に活動しているのが魔法使いです。
愛衣も又、魔法の世界を志す者として、
学生ながら時に命の危険もある、闇と隣り合わせのその世界で誠実な仕事を行っています。

不良神父のステイルですが、実の所は英国民の血税で働いている公務員です。
「殺し屋」に相応しい仕事はしていますが、別に私利私欲での殺人者と言う訳でもないでしょう。
魔術、と言う異能の性質上、言わば殺される本人の個人責任を完全に度外視してでも、
公共の利益オンリーの理由だけで罪なき者を殺める必要もある、単純に言えばこういう事とも推察されます。

最初に公園で千雨チームと衝突した際も、ステイルは割り込んで来た千雨に迷わず炎剣を向けています。
そのために楓から鋭い警告を受けた訳ですが、
魔術と科学の紛争に素人っぽいのが易々と嘴を挟む、それを「魔術」サイドである「魔法」サイドが容認している、
政治的な問題にも絡むプロの魔術師として我慢ならない事態であるのは、禁書の世界観から言っても理解できる事です。
イギリス清教、ネセサリウスの利害もあるでしょうから断言してしまうと綺麗事になるかも知れませんが、
大きく間違ってはいない筈です。

>>446

元々のステイルの知り合いであり、
「魔法使い」として「魔術」サイドに属する愛衣もおよそその辺の事は飲み込んでいる様で、
ステイルやその弟子から殺し合いや拷問と言った目に遭わされてはいても、
幸い大きな傷が残らなかった事もあってか千雨達にはそれも仕事の上の事と割り切った事を言っており、
その後の言動を見ても本心からそう遠くない発言なのでしょう。

実際に利害が一致したヒュドラ戦では、互いに多少の憎まれ口を叩きながらも特に私怨も見せずに協調しており、
ステイルや三弟子、愛衣、刹那、それぞれに守るべきものを背負い魔術、魔法と言った裏の世界に関わる、
殺し合いの対立があった経緯を考えるならプロ、セミプロとしてのプライドと言える態度をとっています。

その時、愛衣がステイルに「人を焼いて来たの?」と尋ね、
ステイルもヒュドラに関わり魔術結社を潰して来た事を見た所素直に答えています。
そうしたやり取りを粛々とこなす程度には、時に衝突する事はあっても、
互いに闇の必要悪としての存在を理解している様です。

そんなステイルが本作で一度だけ、自制の危うい態度をとっています。
アリサの事件に絡み目撃されたインデックスと接触しようとした愛衣をステイルは先読みしてイノケンティウスで迎撃。

上条当麻や神裂火織の介入もあり、優勢勝ちの形で愛衣を退かせる事に成功していますが、
その際、アリサの解析のためにインデックスを動員したのかと言う愛衣の問いに、
ステイルはグロッキーの愛衣に炎剣を以て応じた(上条さんがそげぶした)上に、
麻帆良がインデックスに関わるならば魔法協会ごと潰すと警告しています。

「魔法」とインデックスの接触阻止自体はネセサリウスとして正規の任務であるかも知れませんが、
この警告は慌てて神裂が取り成した上に、千雨はもちろん愛衣も滅茶苦茶なものだと断言しています。
イギリス清教の目玉兵器と言えるインデックスと魔法協会の愛衣の接触を阻止する所までは
ネセサリウスとして当然の対処と言えますが、この警告は滅茶苦茶です。

双方の影響力の大きさを考えても、その程度の事でイギリス清教がいきなり魔法協会に全面戦争を挑む筈がない。
つまり、一人の魔術師であるステイル個人の警告であると愛衣は察知しています。
そうであれば、ステイル一人が到底勝てる筈の無い戦争になる、にも関わらず、
禁書原作で言う「魔術師」と言う「我がままな存在」がそれを告げた以上、組織がどうあれ実行されると言う事も。

愛衣は、暫定的には神裂との間で魔法を代表する様な形で、
ステイルの警告を了承して千雨達にもインデックスへの接触を避ける様に釘を刺しています。

>>447

それは、例え組織を離れた個人の意思であるとは言っても、
「魔術師」と言う「我がまま」な性質上、その警告は必ず実行される。
成功はしなくてもステイル程の実力者が政治的な現実すら度外視して着手したら
「魔法」側に犠牲者が出る危険性が高いと言う現実的な判断が一つ。

同時に、期間は短くても、愛衣はステイルと共に魔術を学んでいた、と言う事です。
正確な事情をどこまで知っているかと言えば、事の性質上そこまでは知らない可能性の方が高いでしょう。
それでも、愛衣は優秀な魔法学生として魔術を学んでいます。

なればこそ、身近で学んでいたステイルがルーン魔術の習得に傾けていた狂気と言うべき情熱の一端も理解しています。
ステイルの警告の後に愛衣が行った質問、その口調から学友としての質問にも聞こえる内容からも、
その後、愛衣が千雨に漏らした推測からも、ステイルの警告が愛衣の見て来た、
魂を削る狂気にも等しいルーンへの情熱に結びついている事を。

だからこそ、脅威と同時に、魔法、魔術を学ぶ者として大事にしたい、
大切にしたいから魔術を学ぶ、そこに触れる問題であろうと言う事を感じ取っていたからこそ、
かつての学友としてその思いを汲んだ風でもあります。

本作の終盤に於いては、映画からの独自展開で、
「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドの指揮棒に従い互いに顔を合わせない状態のままに
「科学」カエル医師や食蜂操祈と協調する形で、
レディリー・タングルロードの顔を炎で整形する事でその失踪に一役買っています。

魔術と科学との間で戦争を引き起こしかけたレディリーを相手に、
実際に巻き込まれて死ぬ思いをしたステイル自身がそんな事をする義理は当然ありませんし、
そんな立場のレディリーの隠匿をステイルが幇助する以上、その判断を下す人間は自ずと限られてきます。
ステイル自身、ネギの指揮棒で演奏させられた科学との合奏である事をよく理解して行動していましたので、
組織人の魔術師としてそれに応じたと言う事なのでしょう。

その後、映画通りに入院したステイルは、土御門から一連の事件の中でのネギのきな臭い動き等を聞かされた後、
一連の事件で縁のあった愛衣からの見舞いを受けています。
最終的には協力関係で仕事をしたと言う事で儀礼的であると口に出しながら感謝の言葉を交わしながら、
絵に描いた様なツンデレを展開する二人に土御門が茶々を入れたり、
それに煽られて他愛もない憎まれ口を叩きながらしまいに土御門を追い出したり。
そして、最後に一言ずつ、言葉をかけています。

>>448

愛衣は、狂気と言うべきルーン魔術に魔術を知る女性としての畏怖と憧れを告げ、
ステイルは、お勉強は出来るんだから精々健全な魔法使いをしていればいい、と皮肉にしか聞こえない言葉をかけています。
特にステイルなどは多分に素直じゃありませんが、互いに、魔術師、魔法使いである相手を評価した言葉です。

少なくとも頭で考えている限りでは、口にも出している通り、ステイルから見て愛衣は大した存在ではないのでしょう。
一応「魔術サイド」と言う意味で外から見るなら同じでも、中の人間から見れば常盤台と暗部程に住む世界が違う相手で、
利害が相反すれば他の他人同様に焼き殺し利害が一致するなら利用する。
仕事として、魔法協会と言うバックには理屈通りの配慮はする。
只、それ以外の場所で多少個人的に関わっていた分には、真面目に魔法に取り組んでいたと言う点に関しては、
その道の知り合いとして皮肉の中に言葉通りの好感も多少は持っていたのかも知れませんが。

暗殺、拷問上等なハードな団体な筈のネセサリウスからして
最近とある少年と関わって以来とみに緩くなった、と原作で嘆息している「殺し屋」ステイルです。
その緩さに自分が引っ張られている事も理解しています。

取り敢えず人を殺した事の無さそうな、「魔術」の中でも表側に近い、
敵対する理由が無ければ怨みも無い歳の近い友人を羨む、と、言う事でもないでしょうが、
多少は思う所があったのか、取り敢えず、互いの違いと真摯さを認め合うぐらいの事はあった様です。
愛衣がヒュドラとの戦いで一時視力を失った際には、
おふざけがちな三弟子の中では比較的真面目なメアリエに「殺し屋」の表情で愛衣を病院に運ぶ様に厳命しています。
もっとも、その後で愛衣本人には足手まといだと憎まれ口をたたく有様を三弟子から「かーわいい」と評されていましたが。

もしかしたら、今後関東魔法協会の魔法使いとして「裏」と関わる愛衣と再び殺し合いに及んだり、
非情さの温度差から愛衣にステイルが辛辣な言葉を刺す事もあるかも知れませんが、
そういう一筋縄ではいかない関係にはどこかで慣れていそうです。

何となく比較対象の記述が多くなってしまいましたが、
対になる存在と照らし合う様にして「魔術」と「魔法」、
その遠い様な近い様な関係の一端を伺うにはちょうどいい。
そんな、普通に優秀、と言う流行りの若干変な日本語が似合いそうな現場担当者として
普通の裏、と言うこれ又変な表現の一端を見せてくれました。

>>449

・メアリエ=スピアヘッド
 ジェーン=エルブス
 マリーベート=ブラックホール

イギリス清教必要悪の教会ネセサリウスに所属する魔術師にして自称ステイルの弟子である三人組。
それぞれ水、風、土の魔術を使い、師匠であるステイルの炎と合わせて魔術の四大元素。
本作の元ネタである禁書映画「エンデュミオンの奇蹟」に登場。

と、言う訳で、本作でも映画通りの流れで学園都市の夜の公園に現れて鳴護アリサを強襲。
ただ、その前に、アリサの部屋撮り写真に写り込んでアリサの友人である千雨チームを呼び込んだり
学園都市内でも小太郎の鼻で存在を察知されていたっぽいですが(前者は他の可能性もありますが)。
映画で上条当麻とインデックスと言う、
どっちかと言うと火力と言うよりトリッキーな二人にも手こずった三弟子です。

本作ではその上に小太郎や楓と言うネギパの強者の参加した千雨チーム、
更に麻帆良学園警備の高音チームなんてのまで介入して来たもので、見事にフルボッコ。
と、言うのは言い過ぎで、そういう側面もありましたが、
そんな状態でも結構いい勝負でネセサリウスの侮れない実力を見せたりもしています。

問題はその後で、sageキャラ扱いとも言えますが、
そもそも、映画でも本作でも描かれた通り、
学園都市内で師匠の筈のステイルからも抜け駆けで一般人巻き込んだ強襲掛ける様な連中ですから。

と、言う訳で、麻帆良学園から調査に当たっていた佐倉愛衣を罠にかけて捕獲、
拷問にかけて情報を聞き出そうとするも、異常を察した御坂美琴や犬上小太郎、
最終的には高音の介入で這う這うの体で撤退。

しまいには、イギリス清教の所属に当たる姫神秋沙に接触したと言う理由で
よりによって「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドに喧嘩を売って
次のコマでは仲良くKOと言う無茶にも程がある流れ。

結果、戦いに負けて成果を得られなかったのみならず、
千雨や高音のチームが学園都市に潜入している状況下で水面下で動いていた土御門も
この三弟子がやたらと麻帆良関係に喧嘩を売りまくった結果その方面からの情報収集に支障を来していたらしく、
しまいに「お茶会」に招かれた土御門から殺す発言が出ています。

ここまで、本作独自展開では三馬鹿トリオと化していた彼女達。
アリサ誘拐事件当日には、コンテナ車で着替え中に千雨チームの運動部+古菲に襲撃を受け、
不意打ちで明石裕奈の魔力減退弾に苦戦しながらも、ステイルの活躍もあって辛うじて脱出。

>>450

映画通りにアリサの拉致を実行したファミレスでは、
それを阻止しようと集結した千雨チームと交戦。
相坂さよのポルターガイストや再び明石裕奈の銃撃に晒されながらも映画通りにアリサの運び出しに成功しています。
只、ここでかっ攫ったアリサは、原作映画通り黒鴉部隊に奪還された模様です。

エンデュミオン落成当日には、「魔法」の桜咲刹那、佐倉愛衣のコンビと合流する形で
ハイブリッド・ヒュドラ退治に参加。
メアリエの水捕縛を中心に愛衣による呪文詠唱をバックアップしますが、もう一歩の所で及ばず
師匠であるステイルのイノケンティウスに持って行かれる形となります。

それでも、一時は怪獣化していた「科学の魔獣」ハイブリッド・ヒュドラ相手に
「魔法」と共にそこまで持ち込んだ時点で大きな成果であり、
最終的にはヒュドラの「不死の首」を刹那の音頭で異界に送り返す「天岩戸の術式」に参加する活躍を見せています。

その後は、映画通りエンデュミオンの基部でステイルと共に爆砕ボルトの点火に参加。
途中、レディリーの召喚魔術の暴走で蛇の大群に襲撃されましたが、
こちらも和解と言うか停戦と言うか利害一致が成立した愛衣と夏目萌に助けられ、
この二人に蛇退治を任せて先を急いでいますので、後は映画通りの展開なのでしょう。

互いに「魔術」と「魔法」の前線潜入部隊として麻帆良側の佐倉愛衣と絡む機会が比較的多かった訳ですが、
言わば実習学生と社会人の違いと言う事か、
後者に当たる三弟子は学生である愛衣を利害の関係で一度は捕獲して
楽しそうに嬲りものにしながら終始愛衣を下に見た態度をとっています。

最終的には、ステイルの病室で愛衣と憎まれ口の応酬をしたりもしていますが、
高音、ナツメグも現れた事もあり、その場は、恐らくはステイルと愛衣がそうだった様に、
一応今は争う理由の無い共闘した者同士としての一礼で終わらせています。

ここで、一人ずつ寸評しますと

メアリエ
三馬鹿トリオのお姉さん格。
その点では、原作「エンデュミオンの奇蹟」の漫画版に近いのかも知れません。

最初の公園では映画通りにアリサ強奪を妨害する上条当麻を水槍で襲撃して映画通りに失敗。
同様にアリサのガードについていた長谷川千雨の電子精霊の襲撃を受けた上に
映画通りにインデックスの強制詠唱で水の術式を崩され、
更に、麻帆良学園警備の魔法使いで同じ水使いであるナツメグこと夏目萌と水魔術の力比べに引き分ける、
映画以上の奮戦の末に、ナツメグの先輩でもある高音・D・グッドマンに捕獲される寸前でステイルに救出されています。

>>451

基本、見た目も中身も幼さの残る二人よりは落ち着いたお姉さん格ですが、
公園の噴水で佐倉愛衣を拷問にかけた際、救出に現れた犬上小太郎には激昂する姿を見せています。

これは、元々魔術師メインではない小太郎が俄か仕込みの東洋水魔術の術式を使って
本職の水魔術師であるメアリエを一時拘束して見せたからですが、
これも調のスカートをアタックした様な小太郎の作戦だったのか、
小太郎の水拘束を即座に解除したメアリエに対して、その間に水中に仕込んでいた、
こちらは小太郎の本職である大量の狗神で襲撃されてKO負けしています。

話の順序は逆になりますが、他の二人に比べてやや好戦的とは言い難いメアリエですが、
やはり異端審問を得意とするネセサリウスの魔術師と言う事で、
愛衣を捕獲して拷問にかけた際には、
元々火炎魔術師でメアリエの「水」とは相性の悪い愛衣相手に実に輝いています。

ネギを襲った際には当然の如く三人まとめてダウン。
コンテナ車での襲撃では佐々木まき絵のリボンに捕獲されながら間一髪ステイルに救出されています。
ファミレスでのアリサ誘拐決行の際には、
店内で阻止に動いた明石裕奈の銃撃に対して水を動かして水差しを飛ばす攻撃で対抗。
これが功を奏して銃撃を反らしてついでに反らした先がアイテムで
結果として裕奈等運動部チームを機能停止に追い込む原因を作る活躍を見せています。

ハイブリッド・ヒュドラ戦では下水道でヒュドラを拘束する言わば花形を担当。
こないだ拷問にかけたばかりの愛衣から呪文詠唱の時間を稼いで欲しいと言われて自信満々に応じていますが、
途中で、阻止されていた下水道への穢れの流入が再開してしまったために
水を穢された精霊ウンディーネの怒りを買い攻撃準備に当たっていた愛衣を汚水に飲み込んでしまい、
箒で汚水をかち割って愛衣を救出。
ヒュドラ撃退の後には、毒水の影響で目を患った愛衣を自己精製した清水で治療し、
ステイルからは愛衣を病院に連れていく様に「殺し屋」の顔で厳命されています。

その後、エンデュミオ基部で蛇の大群に襲撃された際には、消火栓の暴走で対処しています。

最後は、ステイルの病室で何か低次元な憎まれ口を叩き合っている三弟子と高音チームの中で、
互いにお姉さん格と言う事で高音と互いに黙って頭を下げて礼を示す事で落ち着かせています。

>>452

基本的にはおふざけ、やり過ぎの面のある三弟子の中ではお姉さん格として理性的に対応。
映画同様三弟子の中でもやるとなったら先頭に立ち、本作中でもそれで手柄を上げた事もあります。

「魔法」サイドとの直接紛争では、同じ水使いのナツメグとは正面対決で引き分け。
その後、学園都市に潜入した佐倉愛衣とは、学園都市に潜入して同じ獲物を狙う魔術サイド同士、
利害関係上は対となる形で、メアリエが魔術師として楽しそうに愛衣を拷問に掛ける姿も描かれます。
その愛衣とも仕事で手を組む事になった際には、本来愛衣が優秀である事もあってか、
魔術師として己の技量を誇りながらも臨時のパートナーとして仕事には一応の敬意を払っている様でもあります。

ジェーン
メアリエよりも見た目年下の細身の体格ながら、より隙間の多い魔女衣装で登場した風の魔術師ジェーン。
最初の夜の公園では長瀬楓の妨害を受けて空中戦を展開。
最終的に涼しい顔の楓に対して疲労困憊で終わっていますが、
実際の所、楓を相手にその程度で済んだだけまあまあ結構な実力です。

ショッピングモール爆破事件の後、公園で愛衣を拷問に掛け御坂美琴の介入を受けた際には、
一度は強風でふっ飛ばしたものの、美琴の電磁力による空中での調整に気づかず、
美琴の計算通りに頭突きを食らって蹴り飛ばされそのまま電撃裏拳で昏倒させられています。

ネギ襲撃では風魔術に巻き込むお膳立てをしたものと思われますが、あっと言う間にKO。
アリサ誘拐事件では相坂さよのポルターガイストに強風で対抗して切り抜ける、
エンデュミオン基部でも蛇の大群を風で吹き散らす、彼女の立場としてはお手柄です。

マリーベート
モンペっぽい衣装の探偵スタイル魔術師。
最初の公園での襲撃では、映画通りに上条さんに土の拘束を破壊された後で介入した犬上小太郎と交戦。
小太郎の東洋の土魔術は専門の土魔術師として突破したものの、
小太郎の専門である力技には対抗出来ずに風圧攻撃に敗れた上に高音の影法師に拘束される。

佐倉愛衣拷問事件では御坂美琴の介入で真っ先にレベル5第三位と交戦。
土魔術を砂鉄操作で乱されて初見で事態を把握し切れずに混乱している内に
砂鉄操作で頭部を窒息寸前のボーリング球にされ砂鉄の剣を目の前にぶっ刺されの
恐怖体験連発の挙句電撃でダウン。

コンテナ車で襲撃を受けた際には、古菲に目を付けられて激しく追跡されたものの、
そこで出会った削板軍覇をだまくらかして逆に古菲と削板を交戦させる事に成功したため、
結果としては千雨チームの重要戦力を削ぐ事に成功しています。

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

たかが二次創作で延々と設定を語ってるのは気持ち悪いな

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事みたいに書いてたりします。

それでは今回の投下、入ります。

禁書魔術サイド、イギリス清教の続きからです。

>>453

・神裂火織

イギリス清教必要悪の教会ネセサリウス所属の魔術師にして元天草式十字凄教の女教皇。
そして、「聖人」の一人。
禁書世界の魔術サイドで「聖人」と言う事になれば、それは世界に二十人といない規模の、
すごーく大ざっぱに言えばとんでもなく強い魔術師、まあ、そういう事です。

そして、今回は、元ネタの映画「エンデュミオンの奇蹟」が、
なんと言うか久々に学園都市でのネセサリウスの活動が前面に描かれ、
そういう訳で、ステイル程ではなくともステイルと共に元々その任の多かった神裂さんも活躍。
従って、それを元ネタとする本作でも、と、言う事です。

本作最初の登場で葉夜の公園でステイルの三弟子がアリサを襲撃する中、
映画通りにビルの屋上で事態を観察していた様ですが、
そこをネギま!側の犬上小太郎に察知されています。
これは、「聖人」神裂火織が本作に関わる中での言わば前哨戦の様な形となりました。

ネギパーティーでも上位の強さで、
実力の上下はおいてネギの好敵手を目指している小太郎に対して神裂は終始余裕綽々。
七閃を初めとして体術、棒術で七天七刀を抜く迄もなく小太郎を追い込み、
小太郎も内心その実力差を痛感する状態で強力な実力の、それも片鱗に過ぎないものを見せつけています。
なお、その後は、映画通りにメカ搭乗のシャットアウラとも衝突、
七閃とレアアースペレットの打ち合いを展開した様です。

インデックスとの接触を図った佐倉愛衣をステイルが迎撃した際にも登場。
既にイノケンティウスから命からがら脱出した事でグロッキーだった愛衣と対峙し、
愛衣の魔法と棒術の速攻を交わして簡単に、
それもちゃんと愛衣の技量を見極めて死なない程度にふっ飛ばして戦意を喪失させています。

>>456

イギリス清教の保護下にある姫神秋沙を連れ去り、ステイルとその弟子をダウンさせた
「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドとも対戦

魔法と共に八極拳と神鳴流の槍術を使うネギの技巧に舌を巻き、
更に雷天化したネギに半ば振り回されながらも振り切られる事なく応戦。
しまいに魔法名を名乗る戦いに移行する寸前で上条当麻が移入した事で停戦。
「魔法の英雄」を前に一歩も引けを取らない戦いを展開しています。

本作最大にして最悪の大活躍。
麻帆良学園、ネギパーティー所属の神明流剣士桜咲刹那から情報を得るべく麻帆良学園都市内で接触。
科学の学園都市で勝手に行動している千雨チームの情報提供を刹那が拒否した事で、
裏と裏の流儀で決着をつけるべく両者が激突。
ネギパでもトップクラスの実力を誇る剣士の刹那も「聖人」は相手が悪すぎたと言う事で、
神鳴流奥義を連発する刹那に対し、神裂は正面から刹那を圧倒、ボコボコに叩きのめしています。

更に、それを目撃した刹那の親友神楽坂明日菜、近衛木乃香とも衝突。
実力的には有力な剣士ではあっても未だ刹那より下である明日菜は必然的に神裂に圧倒され、
明日菜は瀕死の重傷を負っては木乃香の魔法で治癒されると言う無謀な戦いを余儀なくされます。
戦況は神裂の魔術の組織人の常識故に結果的に悪い方悪い方に
この三人の友情に触れる発言を繰り返してしまう神裂に対して三人は驚異的な粘りを見せ、
刹那も明日菜も神裂に倒されても倒されても立ち上がると言う泥沼状態に。

それでも、逆に神裂の地雷を踏んだ「覚醒明日菜」を真っ向からぶちのめした辺り、
やはりここでの、未熟者達に対する神裂の実力は圧倒的です。
しまいには、瀕死の状態でありながらその身に代えて守るべきものを守り抜こうと言う刹那に対して、
神裂も魔法名を以て応じようとしましたが、第一幕の悲劇が終わる前に第二幕が始まります。

麻帆良学園で他所の魔術師、それも「聖人」がこんな馬鹿騒ぎをして無事に済むと考える方がおかしい訳で、
まず、刹那達の副担任にして原作ネギま!ラスボスの一人であるフェイト・アーウェルンクスが
契約に従い僕の生徒に手を出すなと言うシンプルな理由で介入。

神裂は結構強いフェイト・ガールズを一蹴した後にフェイトと交戦し、
かつてのラスボスでネギとの激戦を展開したフェイトの強力な石魔法を正面突破、直接戦闘でも互角に交戦すると言う、
ネギま!基準から見ても改めてその強さが分かる戦いを展開。
しかし、そのフェイトは途中で一方的に戦闘を放棄。

その理由は、「明日菜を刻まれた」タカミチ・T・高畑に道を譲ったからです。
「聖人」と「魔法の英雄」の正面対決。
今度は「聖人」神裂火織が圧倒される番となります。

>>457

或いは居合と言う「聖人」最強の攻撃を封じるためか、
かつて武道会でネギを苦しめた全距離速射、威力絶大の高畑の拳術を前に、
神裂は何発もいいのをもらいながら実質的には逃げ回る状態。

もちろん、「聖人」の精巧な仕込みの暇を与えないと言う理屈が分かったからと言って、
それを簡単に出来るぐらいなら「聖人」じゃないと言う事で
猛然たるラッシュとそこに混在する強力過ぎる一撃を自在に操り神裂に本来の闘いをさせないその事自体が、
高畑の底知れぬ実力を示すものと言えます。

それ故に、神裂も専門である剣を放棄、高畑の拳に対して
敢えてその腕をとっての柔術で挑む事で逆転KO勝ちを納めていますが、
これは余りに危険すぎる賭けであり、一発勝負を挑んで紙一重で神裂の肉体が粉砕されていたとの事。
神裂をそんな危険な賭けに追い込んだ高畑も、その賭けに辛うじて勝った神裂も凄すぎると言う事です。

その後も、麻帆良の学園警備相手に奮戦、遠距離魔術や捕縛結界を次々と打破する一方で、
神鳴流剣士である葛葉刀子とは熟練した剣士と剣士の激戦を展開。
最後には刀子と高音チームと言う、いわばオーソドックスながら基本に忠実故に厄介な対戦を目前にして、
麻帆良でのこれ以上の戦闘はヤバ過ぎると言う事でシェリーの介入を受けて逃走しています。

おさらいします。
ネギのダチにしてライバル、ネギパでも上位に入る犬上小太郎には余裕綽々で対応。

原作ネギま!の主人公でしまいに「英雄」に相応しい力を手に入れたネギ・スプリングフィールドとの対戦では、
少なくとも「英雄」ネギが「英雄」の座を掴み取った最終形態である雷体を出すぐらいには追い込み、
流石に雷体のスピードには押され気味でしたが、それでも辛うじて振り切られず
逆にネギに七天七刀を脅威と思わせる実力を発揮して対峙した時点で上条当麻の介入で引き分け。

麻帆良学園都市では、刹那、明日菜、木乃香と言うネギパでもトップクラスの実力者相手に
実戦の結果としては火力担当である前二人を直接対決のメタメタの半殺し以上に叩きのめす圧勝。
少なくとも本気、手加減出来る状況ではない事を分かっている筈の刹那を相手に
圧倒的な実力差を見せつけている時点でネギま!的には凄いの一言です。

その上、十分実力者である通常モードの明日菜はもちろん、単に暴走して刹那にあっさり止められていた初期ならとにかく、
今ではその刹那師匠も舌を巻く姫君覚醒モードの明日菜でさえド素人の一喝と共に圧倒的にぶちのめす。
かつてのラスボス、フェイト・アーウェルンクスの従者フェイトガールズを一蹴してフェイト相手にも互角の戦闘を展開。

「魔法の英雄」でもある高畑先生相手には速射・巨大拳撃の連打に大苦戦を強いられながらも、
柔術による直接対決で相手の拳撃を逆用する一か八かの危険な賭けに勝利しての逆転勝ち。
葛葉刀子相手に剣士と剣士として激戦を展開。

>>458

以上、ネギま!基準でその強さを見た場合、とんでもなく強いとしか言い様がないです。
本作では何者かが月詠を雇って神裂の足止めを図っていますが、
少なくとも「ひな」でも引っ張り出してこないと話になりそうにありません。
そんな人間兵器が「魔法」を相手に大暴れしたらどうなるかと言う事で、
流石に麻帆良学園での戦闘後には本気で魔法協会とイギリス清教の戦争が取り沙汰されるに至っています。

原作通り、本作でも神裂は基本的に真面目で誠実、理性的な対応で事に当たっています。
インデックスに関わってステイルが半ば「魔法」に対する宣戦布告に近い事を口走った時にも
直ちに窘めて愛衣との間に冷静な停戦を成立させ、
姫神秋沙に関わる争いでも上条当麻の協力を得る形で
「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドとの間で誤解を解消しています。

そんな神裂がよりによって本作でも最悪に近い「戦争」の導火線に火を付ける様な真似をしたのも、
むしろ彼女が真面目な組織人であり「常識人」だったから、とも言えます。

桜咲刹那と言う裏側に属する人間、クレバーな計算が必要とされる立場の人間が、
政治的妥協抜きに、その道のプロであれば命が無い事が分かっている「聖人」との闘いを選択してでも、
今もただ一人の友達のために戦っている「仲間」を売らないと言う信義を貫き通す。
更に、神楽坂明日菜、近衛木乃香と言う「姫」が、「裏側」の人間のために、
「友達」を傷つけられた事を心から憤り、その身を顧みず圧倒的強者である神裂に命懸けの闘いを挑む。

神裂の言葉から見ても、ネギま!側からは当たり前とも言えるこの選択を神裂はなかなか理解できない。
結果、彼女の性格を考えると本人自身が後から相当に恥ずる所とも言えますが、
神裂が裏側のリアリズムとしてむしろ穏便に早期に決着するために行使した圧倒的暴力を過信して、
それを跳ねのけようとする刹那達との泥沼の殴り合いに陥った、と言う事です。

言い方を変えると、神裂は刹那を未熟と言っていますが、明日菜、木乃香も含めて、
裏に関わる人間として未熟だからこその、その後のリスクを考えても愚かな選択を、
既に「裏」の人間として成熟してしまった神裂には愚か過ぎて理解不能だったと言う事です。

血みどろになりながらも闘い続ける明日菜の一言を前に、
久々に神裂のあの言葉が炸裂します。
そして、「覚醒明日菜」と言うド素人を即刻叩きのめして改めてその強さを見せつけます。
それは、神裂にそんな圧倒的な強さがあっても出来なかった事。
未熟者達が或いは未熟者だからこそ、それでも、神裂の圧倒的な強さを前に貫き通そうとしている。
それを未熟者達に真正面から突きつけられて、否定せずにいるのは簡単ではなかったでしょう。

>>459

倒しても倒しても立ち上がる刹那、明日菜との戦い、そして、高畑との激戦。
それが終わった時、ようやく神裂は裏側のルールから少しズレた何かに気が付いた様でもあります。
気付かない筈がありません。それは、神裂火織こそが、
その魔法名にかけて成し遂げたかった事なのですから。

その後は、原作映画屈指の名場面「宇宙戦士ねーちん」を本作でも展開したらしく、
宇宙旅客機でエンデュミオンに向かっていた小太郎等は
かつてちょっとばかし神裂に粋がって見せた若き日の記憶と共に震え上がっています。
この事が、形の上では土御門と共に麻帆良の学生の安全に尽力したとして、
神裂の暴走で戦争寸前だった魔法とイギリス清教、
元々理性的な上層部は戦争を望んでいなかった両者が和解する口実になった様です。

・天草式十字凄教

教皇代理建宮斎字、五和以下の天草式の面々が登場したのはエンデュミオン落成当日早朝。
神裂火織の足止めのために何者かに雇われた学園都市に潜入した月詠の情報を得て彼らも学園都市に潜入。
月詠の足止めを足止めするべく学園都市内の工事現場で激戦を展開しています。

月詠はネギま!の中でも強力な純・敵キャラの一人であり、
「ひな」込みとは言え実質的なライバルである桜咲刹那を半殺しの目に遭わせて
それ以外でも戦闘ごとにむしろ刹那に対して押し気味の展開を見せる事も多い強者。
龍宮やフェイト、ネギでさえ容易には下せない実力を見せています。

その月詠の実力は本作でも遺憾なく発揮されており、偽装集団術式を得意とする天草式に対して、
伝統ある神鳴流のプロの退魔師としてその道に優れた知識を持ち、
何よりも小回りの利く二刀流小太刀の使い手として
術式構成を上回るすばしっこさで集団をかき回す月詠は相性が良いとは言えない相手。

しかも、個々の構成員はもちろん、
天草式が集団となってさえ実力差の天秤が確実に傾く程の圧倒的な技量を持った月詠を相手に、
天草式は容易に陣形を成立させる事が出来ない状態で攻撃を受けてのリタイヤを続出させ
「槍持ち」である五和も
隠れ十字教である天草式術式の特徴を察知した月詠にマークされて一時撃沈する大苦戦を強いられます。

それでも、天草式は壊滅間近と言う所まで追い込まれながら、
月詠が神鳴流剣士として「気」を高めるのに合わせて月詠に向けて「魔力」を補充する事で
「気」と「魔力」の拒否反応を引き起こした上で、
月詠が力を得ている地脈龍脈を逆用して暴走暴発させる「神鳴崩し」を発動。
月詠が力の制御を失って暴走、自爆する事で戦況が大きく傾き、
最後は、建宮斎字の「弱き者」の拳が月詠を沈め、決着しています。

>>460

この戦いで、天草式は圧倒的な強さを誇る月詠に壊滅寸前まで追い込まれながら、
この時の天草式の本領である「弱き者」の闘いで逆転勝利を収めています。
魔力補充の術式自体は元ネタはネギま!側の術式でしたが、
それ自体はありふれたものです。

しかし、本来は味方の魔力を補充する術式であり、それを敵に使うと言う予想外の展開に、
むしろ知識と経験のある月詠だからこそ一瞬でも理解に苦しんでいましたが、
「気」と「魔力」は余程の達人でなければ相反すると言うネギま!側のルールに従い、
月詠が「気」を最高潮に高めたタイミングで本来味方に使う意外な術式で「魔力」を注ぎ込む。
このトリッキーな発想で一瞬でも「気」と「魔力」の間に拒否反応を生じさせ、
その一瞬に、月詠を「神鳴殺し」に飲み込みます。

本作オリジナルの「神鳴殺し」は、かつて天草式と神鳴流との間に「不幸な歴史」があったと言う事で、
それでも神鳴流の中でも下位の相手にしか使えない術式なのですが、
その強さ故に、脆弱な天草式との戦いに飽きを覚えた戦闘狂の慢心を突く形で
一瞬の隙から暴走術式を仕掛けた事で月詠は次々と自爆、自滅を展開しています。
例え強い相手であっても、かつての女教皇の魔法名の下に知略と団結力を武器にその志を貫く。
そんな天草式だからこそ、強き者月詠の慢心、一瞬の隙を見逃さず僅かなポイントを的確に突いて勝利を収めています。

何よりも、原作同様誰かを守る戦いを嘲笑し、己一人の強さに酔い痴れる戦闘狂の月詠は、
その嘲笑った志を己の存在意義とする天草式がそのために生み出し、磨き抜いた技術に敗れ去りました。

と、満身創痍ながら格好良く月詠を下した建宮斎字以下天草式の面々でしたが、
おまけの小ネタ劇場ではなぜか麻帆良学園都市で日本料理店を開店。
土御門と組んで何か怪しげな商売をしていた様ですが、
幾らなんでも「魔法」の本拠地に独立魔術勢力が本拠を作ったと言う事で
高音さんの査察を受けてちょっとしたトラブルが発生しています。

・ローラ=スチュアート

イギリス清教の最大主教として、実質トップに君臨している
一見すると金髪が豊かすぎる美少女にしてステイル、神裂の上司のトップ。

取り敢えず、本作ではネギと雪広あやかの学園都市訪問にも一役買っている様子で、
十字教三大勢力の一翼としてネギのプランにも賛同している様です。

原作映画で学園都市にチームステイル、神裂火織を派遣して鳴護アリサ対策に乗り出したのは彼女の指示でしょうが、
本作では「魔法」、それもネギが主導して魔法と科学に跨る巨大プロジェクトが関わってきているためか、
この美しくいとおかし黒幕ももう少しアクティブに行動しています。

>>461

はっきりしているのは、ウェールズの「魔法」サイドから状況を調査していたアーニャを捕獲、
イギリス清教がエンデュミオンの仕掛けを把握している事、
阻止するために「術式の核」を破壊する事も辞さない方針である事を
アーニャが千雨にリークする様に実質的に仕向けています。

ローラ本人の言葉や後で語られたネギの読みから察するに、
この事で「魔法」に属する千雨を「科学の学園都市」で暴走させ、
あわよくば魔法と科学を噛み合わせて双方にパイプを持つ仲裁者として美味しい所を持って行く。
それに近い構想を持っていた疑いは濃厚です。

一方で、ローラはネギと協力して教会の関連資金を使ってエンデュミオンに資本注入を実行。
問題化した時に周辺組織による一般的な経済活動の結果、としてごまかすに当たり、
イギリス清教を共犯者として巻き込む事で魔術サイド内での追及を緩和する狙い、
と、土御門辺りはネギの考えを読んでいますが、
はたしてローラがその程度の事で済むかと言う事です。

そういう訳で、ネギとローラは表向き友好的な同盟関係を築いている様ですが、
一皮むけばそうそう甘い話ではないと言うのも世の常の事。
ローラに隙を見せれば総取りされる女狐である事は、本作でも「魔法」の側からもしばしば語られています。

一方で、ネギとしても腹の底ではローラがそういう相手である事は理解しているでしょうし、
何よりも情報戦で千雨を焚き付けて戦争の引き金にしようとした、
と言う事に関しては思う所もたっぷりとあったりする様です。
と、言う訳で、ネギはネギでローラと同盟を結ぶ一方でロンドンの魔術結社とも接触、
イギリス清教とは別筋からエンデュミオンを分捕る算段を進めていますので、
虚虚実実はまだまだ続きそうです。

・シェリー=クロムウェル

どっから見てもこの人と言う事で、神裂の麻帆良学園都市訪問のサポート役として登場。
暴走して麻帆良学園警備との武力紛争に突入した神裂と学園警備をゴーレムを使って阻止。
更に強い相手に観察されている事を察知して撤退を促す。

・前方のヴェント
後方のアックア

原作禁書によると、イギリスではなくローマ正教の神の右席。
何かの手違いでいた様ないなかった様な

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事みたいに書いてたりします。

それでは今回の投下、入ります。

>>462

・神裂火織追加

本作の神裂さんは、麻帆良学園でエヴァとも対決。
口ぶりからして結界を緩和した学園長の依頼で出動したエヴァに対し、
神裂は正面対決の力技でエヴァの放った氷結魔法をかき氷にする勢いで圧倒。
元々エヴァの情報を得ていたらしく、後から生還させる前提で
そのまま七天七刀でエヴァを壁に釘づけにした上にバラバラに刻むグロ行為を行っています。

結果としては神裂の圧勝でしたが、実際の所は戦争モードの完全本気で対処していなければ
永遠に氷河の中に閉じ込められていたであろうと言うのが神裂の予測であり、
やはり、どっちもすげーと言う結果です。

では、禁書科学サイド行きます。

・一方通行

学園都市超能力者レベル5第一位、学園都市「最強」。

本作に於いては打ち止めに接触した不審人物に就いての調査を続ける中で、
何者かが仕掛けた情報操作「犬の死体」トラップに引っかかる形で
「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドと衝突する。

一方通行は打ち止めに接触した不審人物からスタートして、
自分を襲撃した刺客から逆に情報を掌握する形で相手を追跡。
襲撃に協力したハッカー工山規範に逆に協力させて関連情報を引き出したものの、
それがトラップでネギと衝突する様に誘導されたと言う事です。

ネギはネギで情報操作でパートナーである雪広あやかの身に何かがあったと思い込んで動いていましたから、
そんな両者が学園都市の資材置き場で共に大事なもののために激突する事となりました。

>>464

学園都市「最強」と魔法の「英雄」の対決は、
どちらもそれぞれの名前に相応しい実力を示すものとなります。

「魔術」に対しては一方通行の反射、操作と言った分析力も不完全にしか働かない事は原作禁書でも示されています。
それは、ネギの扱う「魔法」に対しても同じ事でしたが、
それでも、ネギの攻撃を受けてもダメージを受けない程度には分析力を発揮。
出し惜しみの出来ない相手と読んだネギの、
原作から見て魔獣でも塵にするのかと言ったレベルの猛攻に対してもその悉くを反射して、
自分がダメージを受けない上に不完全でもネギにダメージを打ち返しています。

更に、本来は優秀な風使いであるネギに対して、
ネギの風魔法を分析して分解、途中からは風楯すら打ち破るばかりか、
ネギの切り札ともいえる雷体化すら「電気そのもの」である事を把握。
本来、神鳴流弐の太刀の様に特化した例外でもなければ不死に等しい雷体ですら、
一方通行の分析力にかかれば命の保障が無いとネギが恐れを抱いた程です。

簡単に言えば攻撃は一切通用しないばかりか下手に攻撃すると全部ではなくてもダメージが跳ね返って来て、
防御の風楯や雷体ですら分析して、時間をかければ分解すらしてしまう。
手詰まりに陥ったネギに対して、それでもしぶとい戦いを見せた事に敬意を表した一方通行が最強の攻撃、
プラズマ攻撃で一気に決着をつけようとします。

しかし、そこからネギが逆転を開始、「観測」用にばら撒いていたルーンカードの遅延魔法を使って、
半ば偶然にそこら中で濃度の圧縮された各種魔法を発動してプラズマ攻撃に必要な演算を妨害。
数々の攻撃に対する反応から一方通行の反射を分析したネギは、
反射のタイミングに「引いて押す」桜花崩拳を打ち込んで一方通行を逆転KOに倒しています。

この勝負、勝ったのはネギです。
ネギがやったものに近い一方通行対処法自体は禁書原作でも実行されていますが、
一方通行の反射自体が膨大な演算に基づくものであるため、
本来はその能力の研究開発過程のインサイダーとして一方通行の演算を完璧に理解していないと、
反射のタイミングに合わせて逆方面に反射する軌道変更を行う、なんてとてつもない精密な行動は不可能。

不完全に実行しようとした場合、まず出来ない上に、仮に効果がある所まで完成に近づけた場合、
本来押す所を反射させる事を前提に引いてそれを押す力に反射変換させると言う
無理な力の押し引きにより肉体が破壊されると言う余りに難易度の高い攻略法です。

>>465

これに対して、ネギは、原作でも理論家肌とされたその分析力をフル活用。
「魔法」が「科学」の反射を不完全化している事の影響もあったのかも知れませんが、
手数と威力の攻撃を一方通行にぶつけまくり、反射で自分が危険に晒されながらも、
その反動の感触から一方通行の反射を分析。
最後は半ば勘に頼りながらの一発勝負に成功しています。

加えて、無理な力の流れのによる肉体の破壊に対して、修復可能な雷体を利用して、
大きなダメージを受けながらも最初から捨身から復活する前提での攻撃を行うのはネギだからこそです。

作者としては、連載中のレスにあった太陰道を使った能力ごと掌握、
と言う手法もかなり真剣に考えたのですが、
最終的に作者の脳内理系領域の限界その他の事情で断念したと言うのが実際の所だったり

そして、理論値、確率論ではその「魔法の英雄」に優位に立っていた、
魔法の世界でも規格外と言えるネギのあらゆる攻撃、防御を実際には無効化して、
恐らくネギの側に百に一つも勝機も無い様な危険な勝負にまで追い込んだのは
「学園都市最強」に相応しい内容でした。

この時期の一方通行は、彼のレベル5人生の中でも最弱に位置する状況です。
8月31日事件で脳機能を破壊され、
ミサカ・ネットワークによる演算補助で時間制限がついたばかりの頃です。
能力使用時間に時間制限がついた上に、能力以外の戦闘方法をろくに知らない時期です。

実際、本作でも拳法の達人でもあるネギは、
一方通行の動きに就いて、技術的には素人で助かったと何度も述懐しています。
それでも、一方通行の能力を用いたとんでもない火力とスピードにネギも舌を巻いていましたから、
暗部で基本でも体系的な実戦技術を身に着けた後であれば、
只でさえ紙一重の勝敗も簡単に引っくり返っていた可能性は小さくありません。

エンデュミオンの時点でも、ネギが時間制限を知っていたら、
ネギの技術ならそこを狙う事も十分考えられますが、それを察知する事自体が難しい上に、
本作でも現実に防御が最大の攻撃と言う一方通行の一発死亡級の攻防術を前に
全体として追い込まれていたのはあくまでネギの方です。

まして、「魔法の英雄」ネギですら今がこの状態ですから、一方通行が「翼」に至ったならば、
黒なら論外、そうでなくても、と言う事で、やはり「最強」は伊達ではありません。

尚、この戦いは、最終的には土御門が介入。
結局の所双方の誤解であった事を説明して収拾しています。
その後は、映画通りにエンデュミオン基部での爆砕ボルト点火に当たっていた様ですが、
途中で道を間違えたらしくどう見てもこいつだと言う人物がレディリーの召喚した魔獣蛇の大群を
魔法陣ごとまとめて挽肉にした事が佐倉愛衣に目撃されています。

>>466

・垣根帝督

禁書世界最強のかませキャラ(本作連載中レスより)

学園都市超能力者レベル5第二位。

つまり、学園都市の能力者の中でも二番目に強い人です。

で、ネギま!クロス作品の本作でも、実際強かったです。

本作では、時期的にも学園都市暗部組織「スクール」のリーダーとして登場。
鳴護アリサを巡り麻帆良から来た千雨チームとネセサリウスのステイルチームが学園都市内で抗争状態に突入する中、
レディリー=タングルロードの情報操作により「科学」サイドの事件と誤認された事で垣根等の暗部組織が出動。

通信用の怪電波を辿った「スクール」が千雨チームを指揮する長谷川千雨の居場所を察知した事で、
垣根帝督がとあるビルの屋上で千雨と村上夏美を襲撃。
垣根は、直接的には非力な二人を即刻捕獲して情報を吐かせようとしましたが、
そこに夏美からの救援メールを受けた犬上小太郎、その小太郎を追って来た佐倉愛衣が急行し、
本作でも最大級の激闘が展開されます。

千雨チーム側は少々入れ替わりがありましたが、
最初に戦闘能力の無い千雨が「孤独な黒子」で身を隠す事が出来る夏美と共に離脱。
その後、夏美は一度戻って、垣根に重傷を負わされた愛衣を連れて離脱しようとするも、
二人揃って戻って来て最後まで戦い抜く、と言う経過になります。

この戦いで、垣根は未元物質を使いコタ・ハーレムwを圧倒。

フル獣化モードの小太郎を力押しで圧倒、
火炎魔法を使う愛衣の炎を「常識の通じない炎」に素粒子変化して
炎の制御を失わせる事で小太郎と愛衣に重傷を負わせ、
潜伏能力に優れた夏美に対しても、
ステージとなった屋上のあるビルごと吹き飛ばす勢いで臨んでいます。

しかし、その中で、魔法要素により素粒子変化が不完全化する事を愛衣に察知され、
未元物質に干渉されない純度の高い「魔法の炎」で防御の未元物質を焼き尽くされた所を
小太郎の一撃を食らってダウンしています。

>>467

エンデュミオン落成当日には、先日の敗戦が暗部組織内部でも伝わった事で、
学園都市第二位の面子にかけて愛衣の行方を捜していた垣根が
愛衣とは途中から別行動をとっていた
愛衣の魔法の同僚夏目萌、高音・D・グッドマンにエンデュミオン基部で遭遇。
情報を聞き出すための実力行使に出た垣根ですが、
その最中の愛衣に関する垣根の言動が高音の逆鱗に触れた事で高音との直接対決と言う事になります。

ここでも、素粒子変化が阻害される高音の影防御に多少の苛立ちは見せながらも、
不完全な分析と力押しで高音の影防御を破壊、実質チェックメイトまで追い込んでいます。
しかし、その直後、レディリーの召喚魔術の暴走により召喚された
「戦友カルテット」との交戦で終了してしまった様です。

この時点で、ネギま!基準から見ても垣根の強さが圧倒的な事が分かります。
ネギ・パーティーでも上位で魔法世界の拳闘大会からフェイト一派との激闘でも、
最強には届かなくともその強さを遺憾なく発揮して来た犬上小太郎。
その小太郎には直接敗北して一段も二段も下ながら、
そこそこ優秀な魔法使いとして魔法世界の戦いでも一兵卒として前線で戦い抜いた佐倉愛衣。
小太郎のパートナーとして、直接戦闘力は無くとも強力な補助能力「孤独な黒子」を使う夏美。
束になったこの三人とまともに戦える時点で、ネギま!世界でもトップランクに入る筈です。

そんなコタ・ハーレム相手に、垣根は上に書いた通り圧倒的な戦いを展開。
最終的には、愛衣の炎を不完全に素粒子変化させて愛衣に叩き返した事で、
逆に「魔法」の要素が「科学」の「未元物質」による干渉を阻害している事を
優秀な火炎魔法使いの愛衣に察知され、
素粒子変化させた炎を逆に純度の高い「魔法の炎」に再変化された事で
防御の未元物質を焼き尽くされて再構築する前に小太郎の一撃を受けて敗北しています。

しかし、その前に、獣化した小太郎を相手にしても、
その回復が追い付かない程に羽の槍で重傷を負わせ、
愛衣に対しても、炎の制御を狂わせる事で小太郎が撤退を指示する程の大火傷を負わせる。

最終的に愛衣が勝ち取ったのも紙一重、半ば自殺行為である事を事前に夏美に認めた程の危険な手法で、
火炎使いの愛衣でもほぼ制御の効かない「常識の通じない炎」を我が身が浴びながら辛うじて分析した事で、
愛衣は肉体的に生命を維持するために危険領域まで魔力を使い、肉体的にも命に関わるクラックが生じています。

結果、紙一重でコタ・ハーレムの勝利とはなりましたが、
戦闘主力の小太郎と愛衣は命に関わる状態で病院直行。
それ以前に、コタ側が百回やって一度勝てるだろうかと言う程の圧倒的な戦闘を展開した事で、
その力量を考えると、やはりそれを可能とした垣根の実力は凄まじいものです。

>>468

高音との闘いでは更に圧倒的優位な戦闘を展開していますが、
その事自体、尋常ではありません。
本作中のレスでも書かれている様に、一見残念キャラながら地味に強いのが高音さんです。

確かに上位陣には今一歩及ばない所がありますが、
本作の垣根が尋常ではなかったのは、
高音の最大の武器である影防御を力押しで真っ向からぶち破ると言う荒業に成功した事です。

この時、高音は「黒衣の夜想曲」と「影の鎧」と言うフルアーマー展開。
世界の存亡がかかった状況だけに、最高レベルの装備だったと見ていいでしょう。
対戦が中期とは言え、これを直接破壊する事はネギですらやっていません。
と、言うより、原作中でやった者はいません。
但し、魔法世界での戦闘中、最大兵器レベルの攻撃を前にして、
流石にこれは無理と高音さんが自己申告した事はありましたが。

原作の一方通行がそうであった様に、第二位である垣根帝督も又、
愛衣との対戦でもそうであった様に、完全ではないにせよ、
「魔法」の物質でもある程度未元物質で支配出来ていたのかも知れません。
本作では影防御に対してもそういう描写がなされています。

その上で、最終的には時間の都合で不完全な素粒子変化と未元物質の物理的破壊力で
「黒衣の夜想曲」と「影の鎧」を完全に破綻させているのですから、
ネギま!基準で言ってもその強さは桁違いです。
正直言って、「戦友カルテット」を相手にしても、ギャグで終わる実力差じゃない様な気もします。

垣根の行動自体も、元々は暗部組織としての出動であり、
登場の時点では千雨達が学園都市から見て不法侵入のイレギュラー。
しかも、そのチームが学園都市各地で混乱を引き起こしていたのですから、
レディリーの情報操作があったとは言え、垣根の行動は暗部としては筋が通ったものです。

その後、面子を潰された事で愛衣を探し回り高音との私闘に至っていますが、
その事が私闘である事は本人も理解して切りのいい所で撤退しています。
そして、二度に及ぶ「魔法」サイドとの交戦でも、最終的には敗北していますが、
どの戦いでもその内容はレベル5第二位だからこそ出来た、それだけの実力を示すものとなっています。
多少の脱線はあっても、レベル5第二位、暗部組織「スクール」のリーダー、
その肩書きに相応しい活躍でした。

>>469

・御坂美琴

「ははっ、私の責任、巻き込みたくない、ははっ、はぁーっ。
いたなぁー、そんな事言ってた奴。
うふっ、あはははははっ、ねぇ、何が見えてる?あんたの目には今何が見えてる?

私の目の前でこの人達泣かせるとかさぁ、
あんた、この学園都市レベル5第三位、常盤台の超電磁砲にどんだけ恥掻かせたら気が済む訳?
何一人で格好付けてんのよ。
っざけてんじゃないわよおおおおおっっっっっっっ!!!」

「とある魔術の禁書目録」上やんハーレム主要メンバーwの一人にして
外伝「とある科学の超電磁砲」の堂々ヒロイン。
学園都市超能力者レベル5第三位、つまり、学園都市の能力者の中でも三番目に強い人。
高位能力者の巣窟である常盤台中学のお嬢様にして筆頭能力者。

本作元ネタの映画があくまで「禁書目録」つまり「魔術」サイドの作品と言う事で、
映画の中でも美琴達の活躍は描かれていますが、「従」の立場にとどまってもいます。
そして、その映画のいわば裏側を描いた向きもある本作。
映画では描かれなかった余白に好き勝手に描かれたその活躍は。

もう一度言いますが、御坂美琴は「とある魔術の禁書目録」の科学サイド側でも、
主人公にも関わる割と結構それなりに重要なキャラクターの一人であり、
外伝である「とある科学の超電磁砲」ではタイトル自体が彼女の能力を示している堂々のヒロイン。
禁書作品でも、出て来た時には第三位に恥じない相当に強力な武力を見せてくれてもいます。
そんな彼女が、あれで結構魔術と科学のパワー作品でもあるネギま!クロスの本作に登場したと言う事で。

本作に於いて、超電磁砲チームと共に風紀委員に悪どい接触を図る千雨チームを追跡した際には、
やはり超電磁砲チームのエースとして千雨チームに強力に対抗。
食蜂操祈の洗脳をも遮断する脳の電磁バリアの違和感から、村上夏美の「孤独な黒子」が脳波干渉の一種である事を察知。
不完全、と、言うより未だほとんど見えない状態ではあっても、
僅かな違和感から事実上姿を消して潜伏している夏美達を察知して、初春飾利の電脳処理と速射電撃のセットで攻撃。
「孤独な黒子」を安全装置として行動していた千雨チームに大きな動揺を与えています。

更に、山を飛び谷を越えて逃走する勢いの「忍者」長瀬楓とは白井黒子とのタッグで空中戦を展開。
得意の電磁力で楓の攻撃を回避し、楓の鎖に一時拘束されながらも電撃の力技で鎖を破壊し脱出。
追い込んだのか追い込まれたのか千雨チームと建設現場で対峙した時には、
ネギパでも強者に入る犬上小太郎とのタイマン勝負を展開。

>>470

性格的に女を殴れない、体調不良、と、本調子ではない小太郎が相手でしたが、
逆に体調不良から手加減のストッパーがぐらついている小太郎に
爪で切り傷を負わされたりしながらも全般的には善戦。
その内、小太郎の手加減に気づき、激昂して超電磁砲を用意した辺りで千雨が謝罪し停戦する流れとなっています。

以上、千雨チーム側も、千雨が選抜しただけあって夏美、楓、小太郎、朝倉和美に相坂さよと言う曲者揃いの面子でしたが、
美琴は仲間の助けも借りながらこれに対抗。
相手が「魔法」だけに苛立つ事も多かったですが、
それでも、第三位の能力をフル活用して丁々発止と言えるぐらいに追い込んでいます。

千雨チームと一旦停戦した後、いわば千雨達との騙し合いの形で風紀委員第177支部に戻った美琴は、
そこで、レディリー=タングルロードが仕掛けた魔術電子ドラッグにより昏倒した初春を発見。
電子ドラッグによりパソコンの電磁波と脳波を不正リンクされた初春と、
その初春を救出するために「力の王笏」を使って
電子ドラッグにアクセスした長谷川千雨が危険な状態に陥る中、美琴も介入を開始。

電気は電気と言う事でスパコンをも自在にする電気能力、演算能力で直接介入を図る美琴を、
魔術と言う未知の法則による電子ドラッグが蝕み、美琴は痛覚や錯乱の攻撃に苦しめられますが、
美琴はそれを振り切っての反撃を展開。
追い込まれていた千雨が初春を救出し脱出に成功する活路を開いています。

ショッピングモールでのアリサのコンサート爆破事件では
映画通りにその能力をフル活用して身を挺してアリサを守っていた模様で、
本作では同じ現場に居合わせたネギ・スプリングフィールドと共に
落下するガレキに懸命に対処しています。

その後、夏美との闘いの経験もあってか、電磁波レーダーの違和感から異変を察知。
公園に張られた人払いを超電磁砲でぶち破った所、
ステイルの三弟子が愛衣を水責めの拷問に掛けていたところだったため、
能力を使ったリンチと言うさ程間違えてはいない誤解に基づき美琴が介入。

初手で連携しなかった三弟子側のミスもあって、
土使いのマリーベートは美琴の砂鉄操作で術を乱された混乱の間に砂鉄での顔面ボーリング球から
砂鉄の剣を目の前に刺される恐怖体験を連打された挙句に電撃でダウン。
風使いのジェーンも強風で美琴を吹っ飛ばしたと思いきや、
美琴に落下軌道を計算されて頭突き、回し蹴りからの電撃でこちらもKO。
聖人、レベル5は並の能力者、魔術師では勝てないを地で行く実力を見せています。

>>471

アリサ誘拐事件当日には、現場のファミレス周辺で情報の混乱から婚后チームを襲撃してしまった
宮崎のどか、早乙女ハルナ、綾瀬夕映の図書館三人組に対抗。
やはり並の魔術師の範疇に入るのであろうハルナや夕映の攻撃、防御魔法を圧倒的な出力で打破。
易々と追い込む実力を見せていますが、
そこに図書館三人組の担任にして「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドが介入。

今度はとても並とは言えない魔法使い相手に美琴が焦りを見せる番になります。
最強のエレクトロマスターである筈の美琴をも上回る出力の「白き雷」で美琴の電撃を飲み込み、
更に電気防御と拳法を使いこなすネギを相手に美琴も戦慄の悲鳴を上げながら形勢不利に。
それでも、学園都市の街中であり、流石に殺す訳にはいかないと言うネギ側の制約があるとは言え、
美琴もギリギリまでネギに決定打を与えずに粘り続ける闘いを展開。

美琴が街中で自重していた超電磁砲の使用を決めた直後に、
ようやく食い違っていた状況を察知したのどかが割って入って美琴を説得した事で、
元々は必要のなかったこの争いは決着抜きの終了となります。

とにかく、ネギま!クロスになった以上、
ネギ相手の美琴の絶叫バトルは、多少のプロット上の問題があろうとも、
作者として万難を排して何が何でもやってみたかったイベントの一つではあります。

エンデュミオン落成当日には、常盤台女子寮で「アマゾンの戦士」事件に遭遇。
レディリー・タングルロードを黒幕とするカルト集団により、
占いグッズに偽装された召喚魔術で「憑き物」に取り憑かれ
「アマゾンの戦士」となった常盤台の女子生徒と交戦。
異変に気付いて追跡した所「アマゾンの戦士」に襲撃された食蜂操祈を救出し、
異変を察して急行した桜咲刹那、龍宮真名と共に交戦状態に入ります。

大半は龍宮の手で解呪されましたが、
それでも、恐らく痛覚のリミッターが切れて気絶しない上に
科学で開発された脳に魔術が負担をかけているために短期決戦が望まれる、
それでも道義的に大ケガはさせられないと言う悪条件に強者揃いのこの面子でも苦戦。

最終的には、美琴は引き受けた女子生徒の一人と取っ組み合いとなり、
その際に電気能力の暴走でカルトに付け込まれた心理の一端と繋がったために
憤激した美琴による電気を通じた何らかの化学反応らしきもので「憑き物」を追い出す事に成功しました。

「アマゾンの戦士」事件の後、
初春の協力で一連の事件の鍵を握ると目していた佐倉愛衣の居場所特定に成功。
愛衣を追跡して学園都市地下通路で愛衣、刹那が学園都市の「掃除屋」と衝突している現場に遭遇。
その場で、謎のギリシャ軍団と闘う利害関係の一致を確認して愛衣、刹那を逃がしています。
「掃除屋」は、第三位の実力を目の当たりにし、プロとして撤退を指示。

>>472

その後、二人を追跡した美琴は魔法傭兵パイオ・ツゥと遭遇します。
魔物の砂蟲を大量に使役しながら、美琴の電磁バリアすら突破しかねないとんでもない勢いで
「揉み」に行くパイオ・ツゥと美琴は地下通路を輝かせながら激戦を展開。

大量の砂蟲とパイオ・ツゥの超スピードハイテクニックを前に、
超電磁砲で巨大ムカデを粉砕し実質的には消耗戦に追い込まれた美琴は、
途中で介入した食蜂を救出した事も含めて電池切れ寸前の状態に。
学園都市内での爆破事件の影響で初春から撤収指示が出た事もあり、
蟲から逃れる力が残っている内に食蜂と共に撤退せざるを得なくなりました。

以上が本作での御坂美琴での戦績ですが、レベル5第三位が原作をはるかに凌駕して
科学と魔術が交差しまくった戦闘を経験しまくっています。
今更ながらよくもまあ星の人がやらせておいたものです。

結果は、ざっくり言ってレベル5の定義通りに「並の魔術師」は圧倒。
一方で、ネギま!勢の中でも本当の強者には一歩退く、と言う所も、
美琴の原作生みの親の紹介通りだったと思います。

武力面で言うなら、第一位、第二位は比べる方が間違っている桁違いの化け物揃い。
本作に於いても、ネギやネギパに関わる強者達相手に一歩も引かず、
結構強い高音さんに至っては垣根帝督に完敗。
それ以外の対戦も、結果的にネギ側の勝利でも、
確率的にネギ側が勝てるのが百回に一度かそれ以下かと言う、
理論値ではレベル5側が圧倒する戦闘を展開しています。

逆に、第四位以下と比較した場合、
特化した性能に関しては劣る部分もあるかも知れませんが、
電気と言う、物理から情報に至る迄、科学の世界に於ける普遍的な武器であり媒体、
それを驚異的な演算能力で精密に操作する。

その結果として齎される高い汎用性の高さが第三位と言う高位を美琴に与えている面があります。
その能力の汎用性と、単純火力で劣る部分があってもそれをカバーするだけの勘、地頭の良さから来る
総合的な戦闘力。それが、本作でも遺憾なく発揮されています。

電磁バリアの違和感から夏美の「孤独な黒子」を脳波干渉の一種と見破って、
こじ開けた隙間は僅かでも初春のサポートや速射電撃と組み合わせて実戦的には無効化。

レディリーの仕掛けた魔術電子ドラッグに対しても、美琴が専門の電気分野だと言う事で、
電子魔術が専門の千雨が舌を巻く適応力で実質的な事態を把握。
最終的にはコンピュータープログラム、電気は電気と言う物理的な定義から強制介入。
激しい神経攻撃に晒されながらも千雨、初春の救出に成功しています。

>>473

佐倉愛衣を救出した後にも、時折見せる愛衣の魔法スキルを冷静に分析。
千雨達の同類との見当をつけて初春に追跡を依頼しています。

原作中では「ガチガチの科学脳」と評されていますが、
本作での美琴がどんなに難しくても科学の定義から突破口を見出して土俵に引きずり込み、
成果を上げているのは、それだけの科学サイドとしての研鑽と応用力が為せる技です。

本作で垣根帝督は通常破壊出来ない高音の「影の鎧」を物理的に破壊出来る程度には素粒子分析に成功。
食蜂はレディリーの使った憑き物に就いて
「ヘタのついた甘くて酸っぱいパイにしても美味しい赤い玉だと言う事は理解できても
それが何であるかはよく分からない」
と例えていましたが、美琴も又、
電気と言う側面からそれが林檎と同じ性質を持つものであると言う本質を確信しアップルパイを焼き上げる。
中途半端に揺らいでいては出来ない実力の持ち主だと言う事です。

ステイルの三弟子や図書館三人組と言った「並の魔術師」は地力で圧倒していますが、
楓や小太郎、ネギ、パイオ・ツゥと言った面々にはそうはいきません。
どっちかと言うと優勢負け、と言った感じです。

「魔法の英雄」であるネギ・スプリングフィールドを初め、
魔法世界の修羅場を潜り抜けた一騎当千の仲間達。
パイオ・ツゥも、チーム戦含めてネギパの仲間を圧倒してネギですら手こずる辣腕の魔法傭兵です。
美琴の最大の武器超電磁砲も、パイオ・ツゥには消耗戦で無駄撃ちさせられ、
他の面子には美琴が場所柄等で遠慮していましたが、仮に撃ったとしても力押しで止めそうな面子が揃っています。

付け加えると、パイオ・ツゥ以外は立場もあって学園都市内で
そうそう本気を出す事が出来ないと言う制約もかかっています。
それでも何でも、この面子と一歩も引かない攻防戦を展開した時点で、
ネギま!基準の強さから考えてもやはりレベル5レベル5。
あれだけの面子にもその能力と知力を駆使して容易に屈しない闘いを見せたのは、
少なからぬ修羅場を潜り抜けた禁書目録のレベル5にして超電磁砲のヒロインに相応しい活躍です。

御坂美琴がヒロインなのは、熱い心の持ち主だからです。
学園都市レベル5として、或いは、そんな能力がなくても、大切な人のため、大切な人がいる街の ため、
自分の出来る事であれば命懸けの闘いに身を投じてきた。
それが御坂美琴です。

そして、それは本作でも変わりありません。
ジャッジメントに悪どい接触を仕掛けて来た千雨チームを、
ネギパの強者達と衝突しながら、超電磁砲チームの仲間と共に地獄の底までの勢いで追跡。
初春と千雨を救出するために魔術電子ドラッグと死闘。
千雨との約束もあり、美琴自身の友人である鳴護アリサを守るために爆発現場で奮戦。

>>474

能力を使って集団リンチをしているステイルの三弟子をぶちのめし、
大切な友人である婚后光子等を襲った図書館三人組やそれに組与したネギと激突。
常盤台女子寮を揺るがし仲間を傷つけた「アマゾンの戦士」事件とぶつかり、
一連の事件の鍵を握る佐倉愛衣を追跡してパイオ・ツゥと激突。

何れも、目の前で自分の大切な仲間、人達が傷つけられるのを黙って見ていられない。
単純と言えば実に単純、そして真っ直ぐな理由です。
小太郎やネギとの対戦では、途中から初期vs上条さんの様に
やっぱりレベル5の問題が絡んで来ていた様子でもありましたが。

だからこそ、共に大切な人のために戦う千雨達とは、
その譲れない思いを巡って一度は本気で戦い、千雨が謝罪して和解。
そして、一時的にでも共闘関係も結んでいます。
自分の責任だと一人で背負い込み、レディリーの電子結界に囚われた初春を命懸けで救出しようとする千雨に対して、
美琴は怒りを爆発させて美琴自身が危険に晒されていた魔術電子ドラッグを突破しています。
全てを背負い込み突っ走り大切な人達を悲しませる、そんな千雨を見て「いたなぁー、そんな事言ってた奴」と、
それが誰であったのか、それは美琴が一番よく分かっている筈です。
婚后光子の件で衝突したのどかに対しても、勘違いを認めて命懸けの謝罪を行った誠意にむしろ惚れ込んだ様です。

と、まあ、実に格好いい美琴お姉さまなのですが、そこはそれ、ネギま!クロスであり、
原作禁書目録でも最近では真剣にバトルしながら主人公からなごみキャラ認定されたりしています。
魔術電子ドラッグの干渉による精神汚染を受けた際には、なんか過去の色んな戦いがフラッシュバックしていた上に、
主にそげぶの人とかそげぶの人とかそげぶの人とか色々とぶっちゃけまくってしまったため、
側にいた超電磁砲チームなど、証人が証言不可能になる条件を思い出してつつつーっと目を背けていたのでしょう。

佐倉愛衣を救出した際には、「魔法使い」の仕事柄秘密が多いのは仕方がないにしても、
それでも癖の無い素直な愛衣をそれなりに気に入っていたらしく、それはいいのですが、
行きがかり上着替えのためにロッカー替わりのホテルの部屋に愛衣を呼んでシャワーまで使わせたために、
白井黒子との間に展開された「姉妹喧嘩」を手荒く仲裁する羽目に。

その上、パイオ・ツゥにはその「微なる美」を惚れこまれてしまったために、
「つまり変質者」と言う美琴による的確な分析の下、トンネルが青白く輝く壮絶な激闘を展開する事に。
ネギま!のパイオ・ツゥと言えば、ネギパ、ネギも苦戦する辣腕の魔法傭兵である上に
ネギパの強者達をも轟沈させた変態力の持ち主です。

そんなですから、美琴を相手にしても電磁波レーダーにまでフェイントやトラップ攻撃を仕掛けて
その隙にゴールを狙うとんでもスキルで美琴に迫ります。
しかし、その点ではパイオ・ツゥも相手が良かったのか悪かったのか、
特に女の子の不意打ち変態力に対する耐性と言う点では、美琴に適う相手はそうそういない訳ですので、
正に最強の矛と盾が激突したかの様な壮絶に馬鹿馬鹿しい激闘が展開される事となりました。

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事みたいに書いてたりします。

それでは今回の投下、入ります。

>>475

魔術サイド補足

ぶっちゃけ、どう見てもこいつだろってのを含めて。

・エリザード
・キャーリサ

イギリス王室王女及び第二王女。
神裂の麻帆良暴発事件で戦争が現実味を帯びる情勢下、
主に騎士派の体たらくに頭を痛める役どころ。

・騎士派

英国三大派閥の一つ。
神裂の暴発によるイギリスと魔法サイドの戦争危機に介入を図る。
麻帆良学園に身の程を教えて交渉を有利に運ぼうとするも、
まとめて氷山にされてバッキンガム宮殿に送り返されて身の程を知らされる。
まあ、言うまでもなくこれやったのは、ですね。

・騎士団長

騎士派のトップ。
騎士派の軽挙妄動を制止すべく単独で麻帆良に侵入。
その過程で葛葉刀子教諭と曲がり角遭遇をかましたのがこの人らしく、
情報まとめておよその所で言って、麻帆良の商店街からシャッターの修理代、夜間開店手当、
タキシード、一輪の花等の請求書を宮殿に届けられた際のとある高貴な方々のお言葉

「だ、駄目だこいつら、早く何とかしないとだし…」
「あー、久々にカーテナの実戦調整でも行わないとなぁー」

>>477

・レイヴァニア=バードウェイ

エンデュミオンの事件後、麻帆良に戻ったネギが裏山の山道で言葉を交わしていたのが相手どう見てもこの人でしょう。
相変わらずの伊達男ってレベルじゃねぇって事で、
ローラ=スチュアートとバードウェイの二股をかけて見せるネギ君ですが、
まあ、この三人の関係ならいいとこ化かし合いで知ってて知らない振りでしょう。
実際、ネギとバードウェイは知ってる前提で話していますし。

冗談はさておき、ネギはローラと、ウェールズとネセサリウス、
引いては魔法サイドの実質的な同盟関係を結んでプランを進行させる一方で、
バードウェイと渡りをつけて「明け色の日射し」を暗躍させ、
来るであろう科学と魔術、科学内部の動乱に乗じてエンデュミオンを自分の側にぶっこ抜いてプランに使う。
今回の訪問でその仕掛けをして来た所だと、ネギはバードウェイにおおよそそんな話をしています。

そういう訳で、実に命懸けな二股綱渡りを展開しているネギですが、
その前の長瀬楓との会話を見ても、
どうもローラが千雨を煽ってエンデュミオンに突入させた事を根に持っている節があります。
イギリス清教が保守的にならざるを得ない事もあり、少なくともバードウェイの前では
ネギはローラを出し抜いてエンデュミオンを奪取する腹を見せています。

魔法協会は、魔術サイド内で十字教団体との交渉権外交権も認められた準公認団体みたいなものですが、
それでも、十字教サイドから見た場合、魔術結社のカテゴリーで胡乱に見られていると言う事で、
ネギの側としてはプラン全体を見ると政治力のある十字教サイドの
イギリス清教との結び付きが不可欠である一方、水面下で魔術結社同士手を結んでおく。
その意味で、ど真ん中に魔術と科学が交差するネギのプランを考えると、
何より科学に対して柔軟で魔術の世界でも更に裏側で暗躍出来るバードウェイは最適と言えます。

悪だくみをする曲者と言う点では、どう考えてもバードウェイの方が一枚も二枚も上手の様な気もしますが、
取り敢えずバードウェイ本人の話では、先行きの予測も利害もおよそ一致していると言う事で
当面の所はネギに協力して絵図通りに動くつもりの様です。
英雄史が専門のバードウェイですので、ネギに関してもそれなりの関心はあるのでしょう。

なお、このバードウェイとネギが会合している所に、警報を受けた高音とナツメグが急行していますので、
バードウェイは麻帆良、魔法協会でも要注意人物の扱いを受けているらしく、
バードウェイとの協力関係は魔法協会の中でもネギ単独、或いは限られた人員のみが知っている事の様です。

>>478

それでは、科学サイドの続き行きます。

・麦野沈利

学園都市超能力者レベル5第四位。
学園都市暗部組織「アイテム」リーダー。

「アイテム」のメンバーと共に例のファミレスで食事会の最中に
千雨チームとステイル三弟子との鳴護アリサ争奪戦が勃発。
千雨チーム運動部の明石裕奈が放った魔法銃の銃撃が狙いをそれて「アイテム」のテーブルを直撃します。
どこぞのとある男子高校生なら絶叫している所ですが、
そこは麦野沈利ですので慌てず騒がずブチころし確定した訳です。

と、言う訳で、店内で運動部チームと「アイテム」が交戦状態に突入。
麦野は元凶である明石裕奈との交戦で間近でのソース瓶の爆発等を受けながらも
その圧倒的な実力で裕奈を追い込んでいます。
大河内アキラがアーティファクトの水転移を使って運動部の離脱を開始してからも麦野等は執拗に追跡。
メデューサと化して店の外まで追い込みかけたり、
アキラの逃走を把握し逃走先であるスパリゾート安泰泉まで追跡したりしています。

そんな感じで登場してその時点でも実力の片鱗を見せつけていますが、
元ネタの映画では未登場のむぎのん、
その裏側を勝手に描いた本作ではまだまだ大活躍しています。

エンデュミオンに絡む不穏な動きと主に千雨チームとの衝突による
他の暗部組織の機能停止により、水面下の実態把握のつもりでヒュドラ事件に関与。
謎の情報提供に始まって、カルト宗教に侵蝕されて生物兵器を持ち出した研究員を
「アイテム」のメンバーと追跡する中、
エンデュミオン落成の朝に、科学と魔術が交差したハイブリッド・ヒュドラと遭遇する事となります。

麦野の原子崩しを撃ち込まれても分裂再生するヒュドラを前に、
その場を絹旗に任せて確実に焼き殺す準備をしますが、準備をして戻って来た所で
魔獣を察知して急行した「魔法」の桜咲刹那、佐倉愛衣と遭遇。
利害の一致で即席の混成チーム状態でヒュドラ相手に奮戦する事となります。

その時は、刹那の斬撃を受けて二つに分裂したヒュドラの一方をフレンダとのタッグで焼き殺し、
更に、研究所の依頼で目撃者の口封じを兼ねて投入された
「掃除屋」を原子崩しで一掃する揺るがぬ実力と暗部っぷりを見せつけています。

>>479

ヒュドラに逃げられ、一旦刹那達と別れた後には当日の刹那チームの宮崎のどかと遭遇。
情報提供者との電話内容をのどかの「いどのえにっき」で読まれる一方、
麦野の側ものどかの挙動からのどかをサイコメトラーと見当をつけ、
言わば電話の情報を餌にして追跡しましたが逃げられています。

研究所の掃除屋に命を狙われた事もあり、親会社であるオービット・ポータルの
レディリー=タングルロードとの決着をつける事を決定した麦野は
「アイテム」を率いて眼鏡軍団に協力させてエンデュミオンに侵入。
そこで、アリサ救出のために千雨チームとして参加していた明石裕奈等と再び遭遇します。

段ボール倉庫で麦野が裕奈、「アイテム」の他の面子が長瀬楓を足止めする形での交戦は一方的な展開に。
裕奈にまともな銃撃をさせる暇も与えず一方的に追い詰め、
裕奈の心が折れるまで殴り倒して情報を吐かせようとしましたが、
別行動だった桜咲刹那の介入で一旦裕奈を手放します。

しかし、刹那の向けた剣を左手で手掴みする捨身のやり方で優位に立とうとした麦野に対し、
今度は近衛木乃香が交渉を開始。
最終的に、元々仕事ではない事があり、木乃香の「本物」ぶりを察知した麦野が
相手が頭を下げて実費を弁償する事で停戦に合意しています。

その後は、エンデュミオン倒壊の危機を報せる千雨からの情報を把握し、
フレンダや滝壺に対処を指示。
麦野と絹旗は元々エンデュミオンに来た目的通りにレディリーを追って特別展望室を訪問。

多少の戸惑いを見せながらも召喚魔術で大量発生していた魔素人形相手に原子崩し、
果ては素手でボコリ倒す展開で利害の一致から術式を解除するインデックスの警護を助力する事に。
インデックスが術式を解除した後は、爆弾抱えて突撃して来たレディリーの肉体を原子崩しで消滅させて
「アイテム」にとっての終了を告げています。

以上、本作に於けるエンデュミオン事件終了までの麦野の評価を言えば、
流石に強かったです、色んな意味で。

二度対戦する事となった明石裕奈は二度とも圧倒。
裕奈は魔法使いとしては新参ですが、元々麻帆良自体の水準が高い事もあり、
麻帆良祭や魔法世界での助力を初め戦闘能力自体は決して低い娘ではありません。
しかし、能力開発を重ねて来た超能力者第四位、歴戦の暗部の女王を前にしては、
その世界に踏み出したばかりの裕奈では丸で歯が立たなかったと言う事です。

>>480

特に二度目は裕奈の行動パターンを読んだためか、
冷静沈着に原子崩しで追い込む麦野に対して、裕奈は逃げ回るばかりで反撃の糸口も掴めず。
消火器を使ったトリッキーな攻撃も経験の浅さから銃撃のわずかな所要時間を突かれて逆に麦野に捕獲される始末。
その裕奈を麦野から救出した刹那に対しても、首筋に「白き剣」の刃を向けられながらも、
逆に左手でそれを掴んでチェックメイトをかけて相当に危険な状態に追い込んでいます。

更に、魔獣にして科学の生物兵器ハイブリッド・ヒュドラに対しても善戦。
最初は原子崩しで吹き飛ばそうとしたものの再生能力を見て断念。
それでも、フレンダと共に分裂した半分を仕留めています。
特別展望室ラスボスの間での激闘では、
ネギま!にも登場した魔素人形相手に大奮戦。しまいに素手でドツキ倒して夕映や裕奈から呆れられていました。

本作で麦野が見せた、暗部組織のリーダーとして学園都市の闇を生き抜いて来た経験値、総合力の高さは、
対立する事になった千雨チームを苦境に追い込み、レディリーサイドも思わぬ妨害を受ける事となります。

レベル5第四位と言う能力上の強さもさりながら、素手喧嘩の強さも原作禁書で見せつけた所であり、
原作では大柄な男性であり無能力者のスキルアウトリーダー、
つまり、曲がりなりにも体一つで学園都市の闇を生き抜いて来た浜面を周辺構造物諸共素手で圧倒しています。
本作では、元々体育会系でアクロバッティングを得意とし、魔法強化された裕奈を捕獲。
生身なら死んでいたと言う打撃の連打で肉体的に魔法強化されている裕奈の心を素手でへし折り、
しまいには魔素人形相手にボコボコに素手喧嘩をかまして夕映や裕奈があきれ返っている始末。

そして、暗部組織として裏の実務を取り仕切って来ただけあって頭の回転も見事なもの。
美琴同様、学園都市の高位能力者として異能に耐性があった事も、「魔法」戦での想像力に有利に働いています。
ファミレスから逃走したアキラの能力の性質を察知して
実際に転移先のスパリゾートにあと一歩の所まで肉薄しています。

のどかが接触を図った時も、結構インテリと言う知識も踏まえて
のどかがカモフラージュに使った言語の不自然さを察知。
サイコメトラーの類と正確な当たりを付けて、敢えて情報を餌にのどかを釣り上げようとしました。

エンデュミオンでの裕奈との戦闘では、恐らく前回の戦闘である程度見切ったのでしょう。
精神的には慌てず騒がず裕奈のアクロバッティングな挙動に惑わされずに大出力の原子崩しで着々と攻勢をかけ、
裕奈にいわば自分の試合をさせない状態のワンサイド・ゲームを展開。
最後に裕奈を捕獲した際も裕奈のスキルや弱点を正確に把握しKOしています。
実際、魔素人形との交戦時も、その時は友軍となった裕奈のアクロバティックをメタクソに評価して
「用件早く言って」と叫ばれていますが、麦野から見たら実際そんな所だったのでしょう。

>>481

刹那が介入して来た時も、刹那の様な本気で殺す事も辞さない達人に首筋に刃を向けられ、
本来それで終わりになる所を麦野は左手一つ捨てる覚悟で白刃を素手で握り、
逆に原子崩しで刹那に狙いをつけて自分の優位に持ち込む。

これは生来の負けず嫌いの性格とも言えますが、
まだイレギュラーである千雨チームの正体が丸で分からなかった以上、
引けない所は絶対に引かない、そしてそこから起死回生に有利に持ち込む暗部のプロの凄みがあります。

近衛木乃香が停戦交渉に乗り出して来た時には、元はインテリの上流出身として「本物」を知るからこそ、
このほわほわお嬢が本物の中の本物と察知。
戦力差の問題もあったのでしょうが、
一見都合のいい言い分にぶち切れるフレンダを制して鷹揚に交渉に応じる姿勢を見せています。

ハイブリッド・ヒュドラや魔素人形と言う魔術サイドの未知の化け物と遭遇した際には、
流石に多少の焦りや副官絹旗による突っ込みを受けながらも、「魔法」サイドの即席パートナーとの関係も含めて、
あくまで暗部のリーダー実務家実戦担当として、当時の美琴同様「魔術」に対して「科学」理論の解釈をしながら
目の前の現実に適格に対応する現場の判断力を見せています。

作中のレスで、本作の麦野がやけに優しいと評価されています。
それは、作者もそう思いますが、最優先の所では利害によるクレバーな対応と言えます。
旧約後半では利害を吹っ飛ばす勢いの妄執ターミネーターと化していましたが、その過程が色々ありましたので、
この時期は冷静に利害を計算して退く所は退くぐらいの度量はあった、のでしょう多分。

千雨チームとの対立に就いては、本来千雨側に「アイテム」と積極的に事を構える理由が無い只の事故が始まりですので、
麦野も仕事でもないので木乃香が非を認める形さえつけばそれ以上は対立しないと言う態度をとっています。
もちろん、戦力的に刹那等を加えた千雨チームと全面戦争を始めるのは分が悪いと言う判断もあったのでしょうが、
それに加えて仕事ではない、非を認めたと言う、一応の面子と言う利害を冷静に計算しています。

変に褒めすぎて頭吹っ飛ばされそうですが、
本作の麦野は、寛容さと厳しさ、筋目の通し方と言う事で、一種理想的な裏の人間の様な描かれ方になっています。
読者から刹那と愛衣に「優しい」とまで言われたのは、連載中に作者コメでも書いた通り、
ヒュドラと言う前門の虎を前にした多分に利害の問題なのでしょう。

その一方で、麦野は刹那と裕奈を比較して、刹那をヒヨッコ、裕奈をクソガキと、そこを対比しています。
刹那は既に退魔師として経験を積んだ裏の人間であり、
「掃除屋」を一掃した麦野に対する刹那の評価からも、刹那が「解っている人間」だと分かります。
麦野の見立てでは、あの場で裕奈にこれ以上手を出していたら確実に麦野を殺していただけの覚悟を持っています。

>>482

愛衣も又、留学先で首席をとる程には一つの道に打ち込んで来た人間であり、
未だ未熟な所の残る学生ながら、既に魔法使いとしての実務を行っています。
素では大人しそうなお嬢さんながら、本作の愛衣は、ヒュドラ退治で成り行き上麦野と関わった際には、
暗部の迫力を示す麦野を前にしても言うべき事を言い、必要とあらば単騎ヒュドラを足止めする。
個人としてなら膝が笑うシチュエーションでも、
魔獣退治と言う「魔法使い」の持ち場では一歩も引かないプロ根性を見せています。

「アイテム」との停戦を成立させた木乃香は、背後の仲間を絶対に信頼して、
筋目を通しながらも身一つで麦野と対峙して本物の姫の気品と覚悟を見せています。

比べて落とすのは余りいい書き方ではありませんが、
思う所があっても未だそれが形になるに至らず、オモチャを振り回して不用意に闇の人間と衝突する。
麦野はそんな裕奈にブチ切れてぶちのめし、しまいに殺す価値もないと放り出しています。
あそこまで「アイテム」にちょっかいを出した時点で、
原作的に考えるならば裕奈の末路は新約のフレンダオヤジが相当だった筈ですが、
何と言うかその後のやり取りも含めて、甘く言って裏に関わる者同士の厳しい教育的指導に見えたりもします。

作者として言えば、正直甘過ぎるかなぁと思ったりした事もありますが、
丁度本作連載とテレビアニメの進行が重なっていましたので、
そっちのむぎのんが割とこっちに近い感じでもありましたので、ま、いっかと。
それも一因として、厳しい所は厳しくても、
学園都市の暗部組織って事で多少の非常識には耐性がありそうですし
そのリーダーとしてあの曲者を率いて生き残っていたと言う時点で、
状況がリミッター内ならあの程度の寛容さはむしろ裏のスキルとしてありかな、と。

・食蜂操祈

学園都市超能力者レベル5第五位。
通称と言うか能力名は心理掌握、精神系の学園都市最高能力者。

本作では、それっぽい人物がちょくちょく登場しています。

まず、千雨チームが情報収集のためにジャッジメントをどうにかしようと、
犬上小太郎が常盤台への調査を敢行して女子寮に侵入した際、元々の調査目標が黒子だった筈が、
間違えて大きなアロワナが泳いでいる別の女子寮に侵入した上に帰還不能となり楓に連れ戻されていますが、
その時の描写から言って食蜂に捕獲されていたっぽい感じではあります。

又、鳴護アリサ襲撃犯カウンター作戦で学園都市に侵入した図書館三人組もそれらしき相手と遭遇しており、
大名行列の先頭に立ったどっから見ても食蜂な少女と本を開いたのどかが対峙。
食蜂は無邪気なのが却って恐ろしい眼差しで笑みを浮かべて去っています。
これに関しては作者からしてギャグだと言い切ってるぐらい不自然な状況で、
そもそも能力の汎用性が違いすぎて勝負にならないぐらい食蜂有利です。

>>483

エンデュミオン落成当日には、
レディリー=タングルロードが邪魔になる土御門元春の動きを封じるために、
常盤台女子寮に特殊部隊を潜伏させて舞夏を人質に取ろうとしましたが、
丁度当日が女子寮横断の派閥朝食会だったと言う事で、そんなタイミングで余計な事をしようとしたために、
最強の精神系能力者心理掌握様にとって、そんな小蠅を追っ払う事など造作もなかった様です。

本格的に登場するのはその先。
うるさい蠅を追い払った所で、更なる寮内の異変を感知した食蜂は一人でそれを追跡。
洗脳された状態の女子生徒達が槍を手に食蜂を襲撃。
食蜂は得意の洗脳術で回避しようとしますが、それが無効化されてピンチの所を御坂美琴に救出され、
そこに異変を察知した桜咲刹那、龍宮真名も介入する、「アマゾンの戦士」事件が勃発します。

事件の本質は、レディリーがンデュミオンでのプランを実行する
陽動作戦として仕掛けた学園都市テロの一環として、占いサークルに偽装したカルト教団を通じて
常盤台の女子生徒に召喚魔術のグッズをばら撒いて憑き物現象を引き起こしていたものです。

この状況に際して、食蜂はあくまで心理掌握、最強の精神系能力者として事態を把握。
脳とは別のどこかに取りついた「本体」が常時信号を送って脳内データを書き換えているために
食蜂がデータを復旧しても再洗脳されるために対処が難しいと分析し、
その理解力を退魔が専門の刹那が感心して聞いています。

そして、「科学」の高位能力者として開発を受けた常盤台の生徒の脳に
法則の違う「魔術」が無理に干渉しているために、
長引けば脳が危険な状態になる事も察知しています。

短期決戦が必要なのに食蜂の洗脳力も通常の攻撃による気絶も受け付けない「アマゾンの戦士」は、
本来被害者である生徒を傷つけずに救いたい面々にとって非常に厄介な相手でした。
それでも、食蜂は自分の受け持ちとなった生徒を高出力の干渉脳波で引き付け、
相手の脳に送られた信号の分析から、逆に「本体」が嫌いそうな脳波を逆流させて憑き物を追い出すと言う
食蜂ならではの攻撃を成功させています。

この時、食蜂は、
「ヘタのついた甘くて酸っぱいパイにしても美味しい赤い玉だと言う事は理解できても
それが何であるかはよく分からない」
と、科学の精神能力者が魔術の精神支配に触れた感想を言っていますが、
それでも、特徴としての林檎の性質を正確に理解してパイを焼き上げるのがその道を究めたと言う事なのでしょう。

その後、常盤台を侵蝕したカルトの関係者はジャッジメントの調査に先んじて
片っ端から嬲り殺し寸前の目に遭わされて発見されていますが、そのやり口は、食蜂を思わせるものです。

>>484

「アマゾンの戦士」の事件後、寮監に対して被害者となった生徒の取り成しを行ったのを初め、
食蜂が途中からまともな口調になっていた事に美琴は秘かに戦慄しています。
心理掌握ともあろう者が、例え一日たりとも派閥のメンバーにカルトにはまった者がいた、それを見逃していた。
その感情と矛先、考えただけでも戦慄が走ると言うものです。

その後、食蜂は一つ一つ潰しながら追及して行った様ですが、
それを見て登場したネギは辿り着くまで三日突破で一日、
その間に事は終わってしまうと食蜂に告げて交渉を持ちかけます。
この時、食蜂の反応から見て、恐らく電気防壁で食蜂による脳内干渉をガードしています。

元々、ネギま!の魔法使いは普通に読心術を使っていますので、ある程度の防御法も知っているのでしょう。
加えて、ネギは元々の風使いから雷魔法の使い手にもなっています。

只、ネギが言うには、食蜂が本気になれば突破できるだろうと言っていますが、
一方で食蜂は出力では美琴以上である事を察知し、迂闊に手を出すと危険と判断。
結局、妥協点として腹を探り合うシンプルな手段としてお茶をご一緒してその後の協力関係を取り付けています。

結果、食蜂は結標によってエンデュミオンの特別展望室まで運ばれ、
ネギの依頼でレディリーの記憶消去を実行。
これは、敢えて科学の学園都市が関わった、魔法サイド単独ではない、
と言う形式を整えるためでもある、とステイル等から分析されています。

取り敢えず、これで食蜂の気も晴れたらしく、
ネギとのお茶会も愉快だったとしてネギをデートに誘ったりもしています。
ここでなぜかネギはプールを希望したために、自信に満ち満ちた食蜂から散々にからかわれたりしていますが、
ネギから見て、なぜか食蜂のイメージはプールだったそうです。
それでも、割とネギの事を気に入っていそうですので、
いつか、ネギと一緒のプールでとっても大胆力なビキニの出番があったりするのかも知れません。

ネギの側が多少の防御は心得ていたとしても、食蜂は心理掌握として、そうそう簡単になびく相手ではありません。
徹底した防御を用意した相手でも隙あらば、と言うのが食蜂である事は原作でも描かれています。
元々天然に淑女のハートを鷲掴みする天然ジゴロのネギ君です。
加えて、修羅場を潜った凄み、成長も加わっています。
学園都市の闇にも関わって来た食蜂の心を動かす何かが、ネギのハートにあったのかも知れません。

>>485

・削板軍覇

学園都市超能力者レベル5第七位

それらしい人物が最初に登場したのは佐倉愛衣が夜の公園で三弟子に捕獲、拷問を受けていた時で、
それを黙認していたステイルを発見、根性が足りないと評して既にふっ飛ばしています。
なお、この時、嫌な感じがするから敢えてジョギングコースにしたと言っていますので、
人払いを根性で突破した可能性があります。

その後、公園で犬上小太郎と遭遇し互いの根性を認め合っての対決。
爆発の余波でアラームが鳴り響いたため一騒動発生しています。

アリサ誘拐事件当日には、明石裕奈から魔力減退弾を受けて逃走中のマリーベートに騙され
追跡して来た古菲をチャイニーズマフィアの刺客と誤解して衝突。
強者同士根性掛けた肉弾戦の末に互いに地面に大の字になって健闘を称え合う番長同士のタイマン展開で、
結果として千雨チームの戦力不足の一因となってネセサリウスによるアリサの誘拐を助力してしまいます。

エンデュミオン落成当日には、色々あってエンデュミオン内で合流した朝倉和美、宮崎のどか、風斬氷華の気配を察知。
落下して来たガレキを持ち上げて救助。
途中で邪魔になる壁を「すごいパンチ」でふっ飛ばし、魔獣馬に関わった佐々木まき絵、和泉亜子、村上夏美、
シャットアウラの襲撃で重症を負った柳迫碧美とそれを治療した近衛木乃香と合流。
柳迫を持ち上げたり、
やる事があると言って根性を見せた風斬を残留させたりしながら皆で根性入りまくった脱出をしています。

何より残念だったのが、
状況的に見て鳴護アリサのコンサートに来ていた訳ですので、
その時の根性を示す描写が無かったと言う事です。

今回はここまでです。

一部そうでもない所もありますが、
なんか、こうして見ると本作のレベル5とネギパの取り合わせ、
某マッスルな漫画のなんとかタワーってノリな感じが。

続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事みたいに書いてたりします。

それでは今回の投下、入ります。

禁書科学サイド続きです。

>>486

・白井黒子

「ジャッジメントですの」

学園都市大能力者レベル4の空間移動能力者。
常盤台中学一年生にして風紀委員ジャッジメント所属。
しかも、原作に於ける直前の「残骸事件」により負傷中と言う事で、
当初は千雨チームから風紀委員に接近するためのルートとして狙われたりもしていましたが、
その程度でどうにかなるタマじゃありません。

本作の原作となる映画禁書では、魔術メインの話でもあると言う事で、
超電磁砲勢の中でも強烈な個性を放つ黒子が余り暴れない様に気を付けていた様な話もありますが、
その映画本編の裏側を勝手に描いたコンセプトの本作、
そういう配慮はぶち破ってナンボでしたはい。

それっぽい人物の登場に関しては、
映画と同じ時間軸と言う事で、千雨チームが鳴護アリサを追跡してファミレスに現れた際、
なんか背景にそれっぽい爆音と共に登場した気配があったり、
情報収集で手づるになるジャッジメントを探す千雨の手助けで小太郎が常盤台の女子寮を調査した際、
なんかそれっぽいのに遭遇してそうだったり。

直接登場したのは、朝倉和美によるジャッジメント接触作戦の祭。
ジャッジメントに悪どい接触を図って来た千雨チームに対して、
未だ車椅子姿ながら、
愛しのお姉さま御坂美琴以下、超電磁砲軍団の一員として風紀委員として先頭に立って対処。

喫茶店に取引に現れた朝倉和美に真っ先に職務質問をかけたのも黒子でしたし、
その後の千雨チームとの追跡戦でも、楓や小太郎の様な強者を向こうに回して
テレポートを駆使して千雨チームを手古摺らせ、
千雨チームが建設現場での決着を選んだ時には、
低武力の佐天・初春を庇う形でネギパの強者長瀬楓との一騎打ちに挑みます。

>>488

流石にネギパでも上位、麻帆良学園武闘四天王歴戦の猛者である長瀬楓が相手、
それも手負いの黒子には分の悪い闘いとなりました。

早い段階でテレポートの危険を察知されたために、
振動しながらテレポートに匹敵する身体能力で高速移動する楓に
黒子は攻撃の狙いを絞る事が出来ず、
鉄矢をことごとく跳ね返された上に、捨て身で挑んだ合気道も反撃を受けて組み伏せられます。

しかし、そこから、本来車椅子が必要な体で、しかも楓に組み伏せられた後で立ち上がり、
激痛に耐えて「ジャッジメントですの」を宣言した事で、
千雨がこの闘いに大義がない事を悟り謝罪に踏み切った、停戦交渉の直接的な理由になっています。

楓に対しても、黒子の合気道に対して楓も又正面から合気道で立ち向かい、
正々堂々の勝負を行った事で、互いに敬意と感謝を示しています。

少し真面目に考えると、黒子の戦闘能力はスーパー初見殺しの上に
事後対応力も人間レベルでは高いですから、
普通だったら大概の強者でも衣服釘づけで詰む筈なのですが。

風紀委員の性質上、いきなり殺しに行くレベルの攻撃まではしませんし、
黒子が目視出来る距離に入った時点で楓が気配を察知して、
その後は「孤独な黒子」や常時移動状態で、
手投げにしないと直接転移は無理だった、と言った所でしょうかね。
それが簡単に出来るなら、黒子がその界隈であれだけ恐れられる事もなさそうな気もしますが。

作者としては、ネギま!の魔法世界にも本来こういうポジションの者がいたのではなかろうか、
魔法世界では冤罪でしたが、本作では明らかなお尋ね者、
理由はどうあれ外国に密入国してスパイ活動テロ活動を行っていた様なものです。
その事に義があったとしても、その国にも真面目なお巡りさんがいた、それが黒子だった。

本作では結局ずるずると介入を続けて大問題を引き起こし、
魔法の側の学園警備である高音からも厳しい扱いを受けた千雨ですが、
元々が秩序の側である筈の千雨です。
美琴が絶叫し楓が目を見開いた気迫と共に告げられた、
この「ジャッジメントですの」の重みは重々理解した筈です。

と、まあ、なんというか最高に格好いい黒子が描かれた所で、
シリアスパートはほぼこれまで、って状態に。

>>489

千雨側の事情を把握し、戦力面を含む美琴の説得を受けて、
ジャッジメントである黒子としては密入国者である千雨との間に渋々の形で停戦を了承していますが、
その後、言わば騙し合いの状態で美琴と共に風紀委員第177支部に移動。
そこで、事件に関わる情報検索中に魔術電子ドラッグに呑まれて昏倒した初春を発見。
この時は、黒子の立場では「魔法」の電子精霊使いである千雨とエレクトロマスターの美琴、
そして天才ハッカー初春に任せるしかなかった訳ですが、
途中、電子ドラッグの精神攻撃で錯乱した美琴を前に何か決意する事はあった様です。

ショッピングモールのコンサート爆破事件では、
これは映画通りの進行だった様で、現場に居合わせたネギ君が映画通りの声を聴いています。

美琴がステイルの三弟子に水責めを受けた佐倉愛衣を救出、
水浸しの愛衣を更衣室代わりのホテルに同行しシャワーを使わせた際には、
窓の外に大魔王降臨と言われても全く違和感のないとてつもなく禍々しいオーラと共に窓の外に登場。

メモの受け渡しのためにバスローブ姿で美琴に掌で掌を包まれていた佐倉愛衣が当日二度目の死を覚悟し、
「優秀な魔法使い」佐倉愛衣との間で二度に渡るシリアスバトル寸前に突入するたびに
愛衣共々美琴から手荒な制止を受けたり、
それ以外でもことあるごとに安定の黒子を展開してご褒美電撃を食らっています。

この件はしっかりと黒子に根に持たれており、
後の打ち合わせで、美琴が仲間達に事件の鍵を握る愛衣の捜索を求めた際にも、
美琴とホテルでバスローブにかけて草の根分けても探し出す決意を新たに
全ての指の間に鉄矢を挟んで踊り狂う愛衣逃げてーモードで美琴達からスルーされています。

エンデュミオン落成当日、他でもない白井黒子と御坂美琴お姉さまの
現住所である筈の常盤台女子寮で発生した
「アマゾンの戦士」事件でははっきり言って大して絡まず、
後で事情を知って悶絶したであろう事は想像に難くありません。

土御門元春が異変を察知して女子寮に突入、舞夏を連れて逃げようとした所を寮監に叩き出された際、
黒子は玄関前に居座って他の能力者生徒と共に土御門の侵入を妨害。
事が一応終わった後に美琴に呼び出され、
常盤台の生徒に手を出したカルトがいる事を知らされて調査を依頼される完全に事後処理モードでした。

後はまあ、ズレテンノヨネーの叫びと共にエンデュミオンに突入した多分レベル5第三位様がいた様ですので、
その辺で車椅子ドリフトしてた変態テレポーターもいたのでしょう。

それでもなんでも、本作では、
力だけでは足りなくとも、ジャッジメントとしての志だけは決して折れなかった。
千雨チームと対峙した際の黒子は最高に格好良く、を目指してみました。

>>490

・婚后光子

本作製作のリアルのタイムスケジュールの関係で出番が増えた人。

「婚后航空」の令嬢である常盤台中学のお嬢様にして大能力者レベル4の空力使い。
一見高飛車に見える所もありながらその実は気のいい、そして何より友達思いのお嬢さん。

本作での登場はアリサ誘拐事件当日。
アリサと同伴してファミレスでメアリエに拘束されて路上に逃げ出したインデックスを
友人である・湾内絹保、・泡浮万彬と共に発見。
ここまでは原作禁書映画通りで映画通りならここで出番終了だったのですが、
問題は本作がネギま!クロス作品だったと言う事です。

その現場に一足遅れて綾瀬夕映、宮崎のどか、早乙女ハルナの図書館三人組チームが到着。
悪い事に扇子を持った少女三人組がインデックスを取り囲むと言う構図を
電話で伝え聞いたリーダー長谷川千雨が三弟子と勘違いして捕獲指示を出してしまったために、
婚后チームと図書館チームの武力衝突が勃発してしまいます。

まず、早乙女ハルナのくらーけんはんどで三人まとめて拘束されましたが、
婚后さんがくらーけんはんどを手懐けて解放されてしまったため、直接攻防に突入します。
どこぞのとある男子高校生なら絶叫しそうなシチュエーションですが、
そこは婚后さんですので、武力的には言わばネギパ中位の図書館チーム相手に
ちぎっては投げちぎっては投げーの「トンデモ発射場ガール」モードに突入。

友人二人の助力に加えてレベル4のトンデモ出力で戦況優位に運んでいましたが、
一応風使いでもある「参謀」綾瀬夕映が、
正面からの風勝負は分が悪いと踏んで上手な「負け方」を検討。
結果、夕映が婚后の風をやり過ごしながら風に雷攻撃を組み合わせた事で、
夕映による風魔法と雷魔法の併用を受けた婚后さんは軽い恐慌状態に突入。

そこに、婚后達が襲われているとの報せを受けた御坂美琴が急行、
美琴が最近関わって来た得体の知れないグループに絡む事件と察した美琴から
強い口調で退却を求められ、それに応じています。

エンデュミオン落成当日には、エンデュミオンシティーで同じく友人二人と共にいた所、
刹那、木乃香と共に行動していた宮崎のどかと再び遭遇。
既に前日美琴との間で誤解が解けた事で改めて婚后ら三人に謝罪したのどかに対して、
婚后も美琴からある程度の事情は聞いていたらしく、
むしろ友人の為に力を尽くすのどか達のあり方に感銘を受けています。

>>491

そして、ある程度の事情の説明を受けて、のどか達の友情に感激した婚后は、
成層圏からエンデュミオンに侵入するための「エカテリーナⅢ世号・改」の貸出、と言うか
事の性質上思い切りくれてやると言う超太っ腹な協力を申し出ています。

もちろん、この元ネタは本作連載当時テレビ放映されていた
超電磁砲Sの「革命未明」事件に登場した「エカテリーナⅡ世号・改」であり、
本作でも婚后は美琴を乗せるつもりで用意していたものの
美琴が映画通りの展開で自分で突入してしまった、と言う状態だった様です。
こんな無茶が通ったのも、エンデュミオンに関わる不穏な情報が婚后の所にまで伝わっていて、
美琴の友人である鳴護アリサ初め大切な人達の事を刹那達に託した、と言う事情もあります。

そういう訳で、「革命未明」事件の経験、ネットワークを生かして、
ジャッジメント理系チームと秘かに参入した葉加瀬聡美の助力で
「エカテリーナⅢ世号・改」に搭乗した刹那、木乃香、のどかは
成層圏エリアにあるエンデュミオンの侵入口目がけて「発射」。

この際、通信で初春と言葉を交わした木乃香は、
婚后のノリに余り退かない事に就いて問われて
「ああいうタイプの人、よう知っとる」、「ええいとはんやな」
と応じています。
お嬢様と言う点では木乃香も大概なのですが、確かにあんな感じの、一見お高く見えても
その実はとっても友達思いで気のいいお嬢様は彼女達の身近にもいたりする訳です。

もっとも、「魔法」と言う「魔術」サイドど真ん中の、正規メンバーである桜咲刹那、
関西呪術協会と関東魔法協会のご令嬢である近衛木乃香が、
学園都市の最先端科学によって宇宙に発射、と言う交差しまくった事態に
土御門元春等は文字通り血反吐吐いて対応していた様ですが。

>>492

・結標淡希

「初めまして、ネギ・スプリングフィールド先生。
わたくし、この学園都市におきましてネギ先生の露払いという
大役を仰せつかり恐悦至極に存じ奉りまする栄誉に預かりました結標淡希と申す者にございます。
今後はわたくしにご用命あらば例え火の中水の中、
湖の水を飲み干してでも身命を賭してお助け致しまする所存にて
それではさっそくホテルにご案内いたしまして最も重要なバス・ベッドの使用方法を実地にて…」

「君みたいないい男を手放してそっと涙を流して、
なーんて女はそんなに甘くない」

淑女です。

一時はレベル5にも肉迫したと言う学園都市大能力レベル4の座標移動能力者。
そして、淑女です。

作中でも言われていますが、
残骸編の後の映画エンデュミオンと言う事で、原作の時系列では
黒子と一方通行に半殺し以上の目に遭わされて病院で唸っている時期だと思われるのですが、
ネギま!とのクロスオーバーですから、
ここで出演を見合わせた日には作者がコルク抜きのオブジェにされると言う事で。

最初はそんな病み上がりの身で他所から来たお嬢様(雪広あやか)の案内役を命じられたと言う事で、
どっかスキルアウトのエリアに放り出してやろうかってぐらいやさぐれていた結標ですが、
ネギ・スプリングフィールド君の登場で淑女の嗜みを取り戻しましたはい。

あやかとは結標自身が見た第一印象は最悪でしたが、共に淑女としての同好の士にして好敵手。
初対面のネギの前で淑女の情熱をフルパワーする結標に対して
あやかが丸で旧知の幼馴染の如く突っ込む側に回ったため、
雪広流と裏社会実戦組手の激闘の末の握手が幾度となく繰り返される事に。
そして、ネギを脅かす者に対しては一致団結、
青髪のピアスな変質者とか佐天さんのお友達候補とかが、
人知れず雪広流に蹴散らされてコルク抜きのオブジェになってたり。

あやかが失踪した時には、もちろん仕事であり
ネギの大切なパートナーと言う事もあったのでしょうが、
ネギと共に夜の学園都市を奔走しています。

>>493

そして、何と言っても、原作ではなかなかお目にかかれなかった淑女っぷり全開の結標あわきんさん。
状況から見て不審人物だった姫神秋沙を探すためでしょうが、
ネギがネットで「学園都市JK制服図鑑」を検索していたのを知った後にはセーラー服姿で登場。

その時は胸元ぱっかーん魅惑の太腿のコスプレセーラー服だったために、
丸っきり反応が無かったネギに取り残されてこれを用意した携帯電話の相手に激怒。
相手は先生なんだしこういうの逆効果、と、実に分かっています。

と、言う訳で、次に登場した時には、
完璧に規定通りのセーラー服着用の上に、
黒髪ウイッグをおさげにして黒縁眼鏡をかけた首から上メ○ほむモードを披露。
前回もそうですが、あやか失踪事件の真っ最中に
この格好で学園都市の夜を駆け巡り邪魔する者をコルク抜きのオブジェにしていたのですから、
実にシュールで涙ぐましく希望よりも熱く絶望よりも深い情念が感じられます。

ネギが一方通行との激闘を終えた際には、
土御門からの依頼なのか図書館三人組がトラブルを引き起こしたファミレスまでネギを座標移動。
その時は、結標本人と共にぎゅーっと密着して短い距離を小刻みに移動しなければならないと言う
二次創作で当時の結標さんをこの設定にしたら禁書読者から焼き討ち炎上されるレベルの
プライドもトラウマも捨てた説明でネギと共にパラダイスに旅立っていましたので、
戻って来た後、こちらも土御門の依頼で「グループ」勧誘前の一方通行さんに
原作の設定と言うものを肉体言語で叩き込まれた模様。

「ああ、ちょっと愉快なオブジェを体で表現してね、
ついでに私の活躍する8巻の220ー221ページを
百回音読してから自分で迎えに行けって言われたモンで」

と言う訳で、次に現れた時にはゲロゲロ状態になりながらも貫いた愛の深さです。

「いどのえにっき」でインデックスの「魔道図書館」に接続したためにのどかが昏倒した際には、
麻帆良と学園都市を往復で木乃香を運搬すると言うネギの無茶ぶりに嬉々として応じて
やっぱりグロッキー状態になりながらもお願いをかなえています。
身近にこういうタイプの淑女がいるためか、図書館組の面々からは
しっかりといいんちょと旨い酒が呑める淑女であると把握されてヒソヒソされていました。

そんな感じで、ネギもネギでプランに関わる内にいい感じに黒くなったのか、
これで結構涼しい顔で結標を使い倒しています。

しかし、エンデュミオン落成当日、
窓のないビルにアポなし訪問しようとした際には、
ネギは一人でこれを実行しようとして結標に制止されています。
そして、自分から協力すると申し出て、ネギもそれを受け入れています。

>>494

ネギがいつも言われている通り、結標も又、
ネギが誰かを巻き込み傷つける事を嫌がる紳士であると言う本質を理解し、

「君みたいないい男を手放してそっと涙を流して、
なーんて女はそんなに甘くない」

と、お姉さんの心意気を見せています。
単純に学園都市の側の人間である結標に事前に知らせて妨害を受けたくなかった、
と、ネギが考えていたとしても不思議ではないのですが、
結標もあれで相当な修羅場をくぐって、命を懸けるに値する仲間もいる。そういう少女です。
ここまで共に行動して、それなりに修羅場をくぐって来たネギがどういう少年か、
ある種の欲目を抜きにした、命を懸けるだけの見る目もありそうです。

基本、ギャグっぽく絡みが描かれてきましたが、
結標は座標移動能力者として窓のないビルの案内人を経験して来た少女です。
アレイスターの前に、それも客観的には得体の知れない所が多々あるネギを無断で移動する。
その事の重大性を誰よりも理解している筈です。
それでも自らその死地に赴いたのは、熱く深い淑女の嗜みもさりながら、
ネギと結標と言う取り合わせで僅かな時間でも共に闘った時、
別の意味で惚れ込む、響き合った部分もあったのでしょう。

そして、ネギは、「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドですら底が見えない
圧倒的強者アレイスター=クロウリーを前にしても結標を守り抜く決意を見せますが、
そのアレイスターの一言がネギのとてつもないマイナスの感情に触れた、
その瞬間も結標は目にしています。

その後、結標は改めてネギに協力。
軌道上エレベーターエンデュミオンの特別展望室に
近衛木乃香、カエル顔の医師、食蜂操祈、ステイル=マグヌスをバラバラに移動させて
互いに顔を合わせずに科学魔術の混合作戦で
レディリー=タングルロードの身元を改ざん隠匿すると言う離れ業を実行。

そのお礼として、あやかが明日菜から殿中でござるをされているのを背景に
ネギからホテルでのお食事に誘われる。
淑女の本懐を遂げたあわきんさんでした。

>>495

・絹旗最愛

学園都市暗部組織「アイテム」所属大能力者レベル4「窒素装甲」

一説には、原作超電磁砲でも、麦野と絹旗と言う必殺パターンが別行動をとった事が敗因、
との分析もある様ですが、
本作では、打撃と防御と言う地味に重宝な使い勝手のいい能力と
多分アニメ寄りなクールさで「アイテム」の実質副官、参謀としても活躍していています。

鳴護アリサ誘拐事件の発生したファミレスで本作初登場。
明石裕奈の誤射により勃発した「アイテム」と運動部の交戦に参加し、
剛力で知られる大河内アキラ相手にテーブルや椅子をバラバラにしてのちからもち対決を展開。
只、裕奈の魔力減退弾は何らかの効果があったらしく、窒素装甲に減退効果が出ています。
途中、和泉亜子から椅子でブン殴られましたがもちろん無傷。
報復の拳をアキラが受けて、魔法強化された体でも相当な痛手を負って逃走を余儀なくされています。

ハイブリッド・ヒュドラ事件では、
バイオハザードの危険のある研究員の爆発血しぶきから仲間と自分をガードする一方、
実際に再生能力のあるバイオテクノロジーモンスターであるヒュドラを危険視。
原子崩しで吹き飛ばそうとする麦野を制止してフレンダに焼却準備を指示。

打撃と防御と言う特性を生かした時間稼ぎを買って出る、窒素装甲の面目躍如の活躍を見せ、
結果としては魔獣であるヒュドラを察知した「魔法使い」桜咲刹那、佐倉愛衣に救出されています。
その後も、車も潰す窒素装甲でヒュドラにダメージを与える一方、
「掃除屋」の介入では平常運転で弾除けをこなしています。

某メガネーズからエンデュミオン当選を剥奪した際には、
着々と脅迫しながら絞りたての林檎ジュースをフレンダにプレゼントしたり。

そのエンデュミオン内の倉庫で裕奈を含む千雨チームと衝突した際にはフレンダと共に長瀬楓と交戦。
忍者としての抜群の身体能力に加えて窒素装甲越しにもダメージを与える浸透勁と
袖が取れなくても力の流れだけで床に叩き付ける超絶合気道に苦戦。
しかし、楓を本物の強者、自分が手堅い二流だと自覚した絹旗は、フレンダと共に足止めに徹する事を選択。
実力差のある麦野が裕奈をぶちのめすまでの時間稼ぎを成功させる
「強者」楓に対して「暗部の強か者」の本領を発揮しています。

その後、麦野と共に自分達が巻き込まれた事件の決着のためにエンデュミオンの特別展望室に移動。
そこで大量発生していた魔術サイドの魔素人形を前にしてもいつも通りにどてっ腹をぶち抜いて参戦。
自覚はなくても宇宙空間での魔術サイドとの本格交戦と言う異常事態に直面してハイになった麦野に
命懸けの突っ込みを入れたり、魔素人形の更なる大量発生には流石に青くなって
麦野から叱責されたりもしていましたが、
取り敢えず状況判断として夕映、インデックスの護衛を選択した麦野をよく助け活躍していました。

>>496

・フレンダ=センヴェルン

学園暗部組織「アイテム」所属。
ファミレスでの運動部チームとの交戦では佐々木まき絵と対決。
諸々事情があったとは言え御坂美琴をKO寸前まで持って行った暗部実戦格闘術と、
戦闘経験は素人同然ながら抜群の表現力身体能力で
フェイト・ガールズにもそうそう引けを取らなかったまき絵の格闘新体操の攻防戦を展開しています。

ハイブリッド・ヒュドラ事件では、当初は麦野に助けられたりしながら、
ヒュドラの性質上絹旗から事実上のメイン攻撃を委ねられ、
麦野が首をまとめて吹っ飛ばした後で火炎ロケット弾を撃ち込む
コンビネーション攻撃でヒュドラの半身を退治する事に成功。

しかし、色々予想外の展開でもう半分を残したまま火炎弾のストック切れ、
それでも、例の切断白線と思われる技術で、
佐倉愛衣との即興コラボで橋ごとヒュドラを墜落させて殺せないまでもその場を凌ぎました。

エンデュミオン倉庫内での千雨チームとの戦闘では絹旗と共に長瀬楓と交戦。
楓の素早さと絹旗の窒素装甲の性質から広範囲の釘爆弾を選択する等、
強者である楓相手に負けない闘いを展開して麦野が裕奈をシメるまでの時間稼ぎに成功。
停戦交渉に入った木乃香にキレたりもしていましたが麦野に一蹴されています。

その後、千雨からの情報を把握した麦野の指示で滝壺、楓と共に、
エンデュミオン倒壊の危機回避のためのパージ作戦、を妨げる安全装置のケーブル柱破壊を担当。
途中、警備ロボや大型多足歩行ロボと交戦、ロケット弾を撃ち落とされながらも相手の性質を分析し、
楓が背中を守るならケーブルの通る柱を破壊するのが自分の仕事と腹をくくっています。
麦野なら宇宙に放り出しても泳いで戻って来そうだから逃げ出す方がヤバイ、
と言う実に的確な理由で………
取り敢えず状況から見ても無事成功して脱出した模様。

事件後も何かの仕事で龍宮真名のいるビルを爆破しようとして、
龍宮が撃たずに引き揚げるなら仕事じゃないと麦野から制止されながら
実の所ネギの指揮下の宮崎のどかに監視されたりもしていました。

>>497

・滝壺理后

学園都市暗部組織「アイテム」所属、大能力者レベル4「能力追跡」

本作では………空気でした。
時期的に婿はまだATMでも担いで爆走してる時期みたいですし、
少なくとも本作の設定では能力で魔法は感知出来ないらしく、
「アイテム」から逃走した大河内アキラや宮崎のどかの追跡を試みて失敗。

取り敢えず「アイテム」として本作中ではおよそ常時麦野等と行動を共にしており、
エンデュミオン倉庫での戦いではぼーっと突っ立っていただけで
楓から隠し玉なのだろうかと警戒されていましたが、
フレンダが釘爆弾ばら撒いてる現場でそうしてるのも結構凄いです。

その後、脱出も兼ねて麦野の指示でフレンダ、楓と共にケーブル柱の破壊組に参加。
警備ロボの群れに苦戦する二人の側で、
メガネーズに対する誠意溢れる説得で警備ロボをどうにかする説得に成功した模様。

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事みたいに書いてたりします。

それでは今回の投下、入ります。

>>498

・麦野沈利追加

読者コメで言われたのは麦野が面倒見がいい、と言う感想でしたね。
>>482で優しいと書いていました。
本質的な意味は余り変わらないと思いますが。

・絹旗最愛、フレンダ=センヴェルン追加

「アイテム」がハイブリッド・ヒュドラ事件に関わるきっかけが、
絹旗の携帯電話にかかって来た情報提供ですね。

匿名で公衆電話から絹旗の携帯にしつこくかけて来た匿名の情報提供が始まりで、
ハイブリッド・ヒュドラの核が開発された研究所に関わるUSBのありかが報されて。

フレンダに関しては、そのヒュドラ事件で廃屋となった研究所で行動していた際、
ヒュドラが最後に橋から地下に落下した後、建物丸ごと爆破するつもりだった様です。
ところが、同じ事を考えていた者がいたと言う事で、
同業者の目でフレンダから見たら「稚拙極まる」と言うそれを察知。
時間の関係で既に仕掛けられた爆弾の一部分だけ解除、脱出路だけ確保して、
「アイテム」と刹那、愛衣に退避を促しています。

エンデュミオン内では、パージ作戦を阻害する宇宙素材の柱を破壊すると言うミッションを受けて、
確認する刹那に「餅は餅屋」と胸を張っていつもの気楽な口調で麦野の指示を了解。
現場では楓と共にロケット弾で警備ロボを蹴散らし、
機関銃を装備した大型ロボにロケット弾を撃ち落とされながらもその性質を分析。

麦野の方が怖いと言う的確な分析の下、楓と滝壺(にお願いされたメガネーズのみなさん)に
背中を任せて自分の仕事を遂行した様です。
相変わらずのお気楽キャラのフレンダですが、
爆薬に関しては暗部のプロの自信とプライドすら見せてくれました。

それでは禁書科学サイド続きです。

>>500

・固法美偉

ジャッジメント風紀委員所属の強能力者レベル3「透視能力」能力者。

はっきり名前つきで登場したのはエンデュミオン落成当日、「アマゾンの戦士」事件の後。
前日に発生したステイル達と黒鴉部隊、そして長谷川千雨チームが競合した
鳴護アリサ誘拐事件に関する情報提供を御坂美琴から求められるものの、
黒鴉部隊、その背後にいるオービット・ポータル社との政治的関係で
アンチスキルの捜査が難航、詳細は不明との説明を行う。

常盤台女子寮でレディリー=タングルロードを黒幕とするカルト集団が引き起こした
「アマゾンの戦士」事件に関しては、
カルト集団が学生達を食い物にしていた事から、越権と知りながら風紀委員として調査を実行。
何者かが先を越して行きながらも風紀委員にデータを残していた事を話しています。

科学万能の学園都市だからこそ、その街のエリートである筈の常盤台の生徒達でも、
能力開発に苦悩し占いサークルに偽装したカルトに取り込まれてしまう事に就いて、
固法先輩も思う所があった様です。
その後、佐倉愛衣を追って学園都市地下道に入った美琴を支部で初春と共にバックアップしています。

・湾内絹保
・泡浮万彬

共に常盤台中学の一年生で強能力者レベル3、
湾内さんが「水流操作」、泡浮さんが「流体反発」の能力者。

親友同士である婚后光子との三人組でファミリーレストランの近くを通りかかった時、
誘拐された鳴護アリサと同行していてメアリエに拘束されたインデックスさんと路上で遭遇。

と、ここまでは、原作映画の通りでしたが、そこに到着した千雨チームの図書館三人組が、
この三人をステイルの三馬鹿トリオと勘違いした千雨の指示で捕獲行動を開始。
婚后三人組を拘束した早乙女ハルナのくらーけんはんどを婚后さんが手懐けてしまったため、
本格的な攻防戦に発展します。

婚后さんがレベル4の「トンデモ発射場ガール」の物理的威力で圧倒した上に、
早乙女ハルナが繰り出す楯の乙女やマッチョと言ったゴーレムを泡浮さんが投げ飛ばし
湾内さんも破壊された窓から店内に侵入、
確保した水の塊を飛ばしてハルナ、のどかに対抗しています。

>>501

特にこの二人等まともに怒った事も無いと言うお嬢様でありながら、地頭がいいのか、
三人揃って実際戦ってみると矢鱈と強いと言うのは原作超電磁砲通りの様です。
それぞれにそれなりかそれ以上の戦闘力をトリオで上手に使いこなして
ネギパでは武力中位の図書館三人組に優位な闘いを展開しています。
その後は、報せを聞いた美琴の指示で美琴にその場を任せて撤退した模様。

翌日のエンデュミオン落成当日では、
やはり三人でエンデュミオンシティーを行動中に昨夜交戦した宮崎のどか、
それから桜咲刹那、近衛木乃香と遭遇。
昨夜の件が誤解であった事は既に美琴から説明されていたとの事で、
却ってその原因となった友情に感じ入って扇子を掲げて高笑いする婚后さんの側で、
謝罪するのどかに対してお嬢様らしくおっとりと礼儀正しく応対していました。

・妹達

最後の方で麻帆良学園都市に潜入してたみたいですね。
ネギの黒っぽいやり口に高音さんの信頼が微妙になってる点、
「科学」による観察結果を雲川さんに報告していた様です。

・心理定規
・ゴーグル
・スナイパー

何れも学園都市暗部組織「スクール」のメンバーの通称。

鳴護アリサ誘拐当日、「スクール」のリーダー垣根帝督が長谷川千雨、村上夏美を捕獲した
その周辺で行動中、救出に入った犬上小太郎に「寝かされた」のがこいつららしい。
その時小太郎が佐倉愛衣とペアだった事を考えると、
多分心理定規が能力を使用する間は与えられなかった模様。

エンデュミオン落成当日には、
心理定規とゴーグルが愛衣を追ってエンデュミオン基部エリアに潜入した垣根に協力。
作業用地下通路にサイドカーを用意して退路を確保しており、
垣根が予定の時刻に遅れた事で心理定規は「馴れ合う関係じゃない」と出発しようとしましたが、
出発直前に垣根が到着したため、置いていく事も無いと言う事で三人で脱出しています。

>>502

・春上衿衣

柵川中学一年生異能力者レベル2「精神感応」能力者。
どっから見てもこの娘と言うのを含めておよその情報を総合すると、
鳴護アリサ誘拐事件当日、予定が変わって時間が空いたから
普段美琴達がたむろってるファミレスに行ってみた所、
チーム千雨、ネセサリウス、アイテム、婚后組が血で血を洗う何このカオス?
それが春上さんから初春、佐天さんを経て美琴に伝わる事となって更なるカオスへと。

・初春飾利

学園都市低能力者レベル1「定温保存」能力者。
学園都市柵川中学一年生風紀委員第177支部所属。

スーパーハカーですw
読者コメの感想でも、やり過ぎ感半端ない
人外、設定クラッシャーに近い扱いでしたがw(汗)

原作ネギま!で、その方面では数々の修羅場を潜り抜けた
最強レベルの電子精霊使いである長谷川千雨を向こうに回し、
二度の電子戦を圧勝してしまったと言う………(無言土下座)

まあ、取り敢えず、この娘が何やったのかと言えば、

鳴護アリサを巡るネセサリウスとの攻防の後、
長谷川千雨は事情を把握するために葉加瀬の助力を得ながら「力の王笏」を使って
学園都市のデータバンク「書庫」に侵入しようとするも、セキュリティーの反撃を受けて撤退。

書庫の中でコピー済みと見られる中の情報全てに超高度暗号化処理を展開して
とんでもない規模の焦土作戦を展開。
千雨をして「キレている」と言わしめて再チャレンジを断念する
絶叫全力撤退に追い込む書庫の「守護神」なんて
その発想を含めて該当者は一人しかいないでしょう。

やりすぎ。よって説教ですわよ馬鹿野郎。

との声が聞こえてきそうな展開ですが、
逆に言うと、初春をそこまで追い込んだ千雨も学園都市基準では大概とは言える訳ですが。

>>503

と、言う訳で、千雨達がジャッジメントに直接接触して来た際には、
そのあくどい手口が超電磁砲チームの逆鱗に触れ、
その中にはしっかりと初春も含まれていました。

千雨の側も村上夏美、長瀬楓、犬上小太郎、朝倉和美、相坂さよと言う強者曲者揃いで
超電磁砲チーム相手に壮絶な撤退戦を展開した訳ですが、
実の所、この直接対決で様々な意味で鍵を握っていたのが初春です。

夏美の「孤独な黒子」を使って人の感覚による感知不能の状態になった千雨チームに対して、
初春は只でさえ大量に存在する学園都市の防犯カメラの多くに繋がる
ホスト・コンピューターに優先命令を上書き。
カメラに千雨達が映ったら直ちに初春にデータ送信する様に
顔面認証プログラムとサンプル画像を入力した事で、
超電磁砲チームは目に見えない筈の夏美達の行く先々に登場。

更に、脳波干渉の僅かな違和感で「孤独な黒子」を察知する御坂美琴との合わせ技で
初春がエリアを絞り美琴が確定する恐怖の狙い撃ちタッグが成立。
麻帆良側でバックアップしていた葉加瀬聡美も初春の仕掛けに気づきましたが、
チラッと映っただけでもタイムラグなしで情報を送信する恐ろしい精度とスピードを実現するために
どう考えてもジャッジメントの権限を逸脱した規模のコンピューターが使われていると言う事で、
強力なプロテクトの解除に時間を取られて有効な対策をとれずにいます。

更に、千雨の顔を見て「ネットアイドルちう」と同一人物の疑いを持つや、
さっさと「ちう」の画像修正を解除、顔面認証プログラムを使ってその通りである事を確認。

「ちう」のホームページに特製ウィルスの詰め合わせを送り込み
そこから「ちう」はもちろん
千雨のプライベートエリアまで丸裸にすると言う離れ業を短時間で成功させると言う
二度目の圧勝を飾っています。

実際、初春自身、千雨が素晴らしいセキュリティーを独自に組んでおり、
学園都市の大概の相手を丸裸にする初春謹製ウィルスの多くが駆除されたと称賛しており、
それを突破して「電子の王」を丸裸にして見せた初春に関しては、
佐天さんもこの親友だけは絶対怒らせてはいけないと震え上がっています。

以上、長谷川千雨相手に二度の圧勝と、読者様から

やりすぎ。よって説教ですわよ馬鹿野郎。

を頂いた程の天才ハカーと化した初春ですが、
本作では、その上に人間相手の分析にも辣腕を発揮しています。

>>504

千雨の謝罪による一時停戦となった訳ですが、
元々「ちう」の読者だった初春は、加えて千雨のプライベートも把握した事で
千雨がどういう人間であるかを相当正確に把握。

要約すると、

本当は人恋しい人、頭がいいが故のネット弁慶、
しかし、そこに徹しきれない熱い、優しい心の持ち主だからこそ
こんな無茶に付いて来てくれる人望の持ち主。

但し、日記も把握した一方でそれが暗号日記だったためよく分からなかったと言っていますが、
これは、初春の言っている内容からして、
千雨は事実を記したつもりでも前提となる魔法が分からないと意味不明、
つまり魔法用語を何らかの隠語だと受け取った節があります。

そういう訳で、初春は千雨に共感する一方で美琴や黒子が簡単には引かないだろうとも予想。
後で千雨も言っていた通り、友情に厚い美琴を上手く乗せる形で
さり気ないフォローで停戦交渉をまとめる後押しに成功しています。

その後、千雨から得たヒントから鳴護アリサの真実を知るべく
風紀委員第177支部で情報収集を行いますが、
今度はその電子スキルが仇となり、レディリー=タングルロードが
電子情報網に仕掛けた電子結界、魔術電子ドラッグの攻撃を受けて昏倒。

普通であれば催眠効果で意識を反らされるだけで済むのですが、
初春の処理能力が高過ぎたために第一関門を突破され、
秘匿したい情報の前に仕掛けられた電子ドラッグの電磁波に脳波を干渉されたと言う事です。
この時は、千雨と美琴の決死の救出作戦により生還。

そして、直ちに戦線に復帰し、学園都市の「守護神・ゴールキーパー」として、
学園都市の電子情報で好き勝手をする電子ドラッグに対して撤退を通告。
未だ接続中だった千雨の脱出を助力しています。

その後は、御坂美琴と出会った事で美琴からキーパーソンと目された佐倉愛衣の捜索に協力。
麻帆良側から愛衣をサポートしていた弐集院とのハッカーバトルを制して愛衣の所在確認に成功しています。
常盤台女子寮を襲った「アマゾンの戦士」事件の捜査にもジャッジメントとして参加し、
その一方でネセサリウスと黒鴉部隊、千雨チームが関わった鳴護アリサ誘拐事件の調査にも関わって
それぞれに情報分析を行っていた様です。
その後は映画通りエンデュミオンが大変な事になったため、そちらに出張った後、
婚后の依頼を受けてでしょうが「エカテリーナⅢ世号・改」の「発射」にも協力しています。

>>505
もう一度、初春vs麻帆良の戦績をおさらいしますと、

vs長谷川千雨
書庫侵入戦
「力の王笏」を使って書庫に侵入した千雨に対して、
「守護神」初春が、恐らく美琴戦の時と同じ焦土作戦を展開し、
千雨を撤退に追い込む初春勝利。

「ネットアイドルちう」防衛戦
敵対していた千雨が「ちう」であると疑った初春が
「ちう」の画像解析で同一人物である事を確認。

そこから、ホームページに大量のウィルスを送り込み、
その多くを千雨の自作セキュリティーで駆除されながらも入口を突破。
公式からプライベートまで千雨のデータベースを
完全に掌握した丸裸状態に追い込む初春の圧勝。

vs葉加瀬聡美
逃走サポート戦
千雨チームを補助していた葉加瀬聡美が、千雨チームが超電磁砲チームから逃走している最中、
防犯ビデオが千雨チームの顔面をとらえたら即座に送信される
個別プログラムが上書きされている事を把握。

明らかにジャッジメントの権限を逸脱した巨大コンピューターを使用して
ちらっとでも映ったその瞬間にほぼタイムラグなしでデータ送信される状態に。
葉加瀬も対処しようとしたものの、強力なプロテクトが掛けられていて解除が間に合わず、
結局千雨チームが超電磁砲チームと直接対決に至る。
そこまで葉加瀬の干渉を妨害した初春の勝利。

>>506

vs弐集院光
弐集院は麻帆良側からのサポートとして、無許可の侵入者が出歩く事すら困難とされる
科学の学園都市のセキュリティーに干渉、
麻帆良から派遣されて行動する佐倉愛衣へのセキュリティー感知を妨害。

一方で、御坂美琴から、ステイル三弟子とのトラブルから救出した愛衣に就いての調査依頼を受けた初春は、
愛衣を撮影した防犯ビデオの映像データに何らかの作為が仕掛けられている事を察知。

その後、学園都市のセキュリティーシステムを利用して愛衣を探索する初春と
それを妨害する弐集院との間で壮絶なハッカーバトルが展開される。
愛衣を感知し次第報せる様に学園都市のセキュリティーに個別設定する初春に対して、
弐集院は愛衣を感知しない様に秘かにプログラムを改竄。

ところが初春側がそれを素早く察知して修正しそれを察知した弐集院が、と言う堂々巡りの展開に。
弐集院の側は対処していた電子精霊が手に負えないと泣き付いて来たために
弐集院が直接対処する事に。
最終的には、初春が弐集院を出し抜く形で、ヒュドラを追って地下通路に入った愛衣を防犯カメラで発見。
御坂美琴がそこに急行する結果となる初春の勝利。

以上、どこから見ても人外です、本当にありがとうございました(無言土下座)。

ネギま!基準で言っても、こんなのに勝てそうって言ったら
超りんと茶々丸のコンビでも連れてこないと。
と、言っても、その超一派に対して、その時代の最新式電子精霊群で何世代も先を行くと言う茶々丸と
情報操作合戦を展開していたのが弐集院であり、
学園祭最終日の最終局面でガチバトルを闘ったのが
本作で初春からフルボッコ食らった長谷川千雨なのですが………

その千雨は、書庫で初春と衝突した後、
総合力ではこちらが上でも初春の事は丸で特化した殺し屋か人食い虎と評して、
精神的にリンクする千雨の能力での対処は危険過ぎると再戦を断念しています。

>>507

ちょっとだけクロス考証で考えると、
原作ネギま!では、弐集院の使う電子精霊は今年の最新式、と言う説明が為されています。
これが、一般的な今年を標準として麻帆良的にスペックアップしたもの、と解釈した場合、
学園都市標準でもかなり凄腕のハッカーである初春の方が強力なのかも。

それどころか、そこを標準に原作基準をクロスされた場合、
茶々丸の方も、コンピューターの世代に於ける「何世代も先」と学園都市の先取り年数。
取り敢えず学園祭の時点の実力ではこの辺と団子状態だったのか?な千雨。
案外あり得る結果なのかも。いや、思い付きなモンで正確性問われると厳しいですが。

一度は千雨を社会的に丸裸にひん剥く所までやった初春ですが、
その後は、秘かに協力する素振りを見せています。

と、書くと若干ネタっぽいですが、
凄腕のハッカー、つまりクラッカーではないのでしょう、そして風紀委員である、
その分別とプライドを持つ初春が、匿名ネットアイドルでもある、
初春自身が「ちう」の事を分析出来る程理解していた千雨相手に、
公表するしないは別にしてもネット上での徹底した侵略蹂躙、電子上の処刑宣告に等しい刃で応じた。

そこまでの事をしたのは、
調査の必要もあったのでしょうが、そこまで本気でブチ切れてたと言う事です。

しかし、その上で、長谷川千雨が何者か、信頼できるのかを自分で見定めた初春は、
美琴を誘導してでも敢えて不法侵入者を助けると言う選択を行っています。
それ以降の初春は、佐天さんの言う様に、
「惚れた」が一番しっくり来る、そんな行動を見せています。

電子ドラッグ事件の際には、救出された後、
聞きたい事があったので自分が千雨が支部に呼んだのだが用件を忘れてしまった、
と、一芝居打っています。

当時、千雨は美琴との停戦交渉で退去を約束していた立場であり、
同時に、夏美の魔法を使えば易々と戻って来る事も可能だった状態で、実際戻って来ました。
初春はその別れ際に支部で情報収集をすると口に出しています。
支部での情報検索中も露骨なぐらいに調査結果を口に出しており、
実際、美琴が黒子と共に門限の危険を冒して支部に戻ったのも、その危険を察知していたからでしょう。

>>508

その後も、描写からしてそうだろうと言うものを含めると、
「ちう」の完全掌握の際にメルアドも把握したのでしょう、
時々千雨の携帯に匿名メールで情報提供を行っており、
ショッピングモールでの爆破事件の一報を麻帆良に戻った千雨にメールで報せる。

千雨チームのエンデュミオン侵入に際し、ハッキングの特徴から事態を把握した初春が
エンデュミオン宇宙管制のハッキングに協力。
「エカテリーナⅢ世号・改」の「発射」に当たり、メールで桜咲刹那の信用を問合せ。

お互い、敢えて口に出さなくても、と言う信頼関係です。
聡い千雨の事です。停戦交渉で初春が美琴の性格を読んで転がしたのも見抜いていましたし、
支部での情報収集に関しても、ハナから千雨にリークする、
勝手に聞いてくれと言うつもりだと察知していたのかも知れません。

「エカテリーナⅢ世号・改」の「発射」直前、
初春は桜咲刹那と、互いに顔も合わせた事が無い状態での信頼関係に就いて会話しています。
その中で示されたのは、
「電子の王」と「守護神」が、互いに相手に対して最大限の敬意を表している、と言う事でした。

それは恐らく、技術的な事だけではない筈です。
社会的にも肉体的にも命懸け、損得抜きで一人の友のために、
そんな馬鹿げた戦いを共にする、そんな間柄なのですから。

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事みたいに書いてたりします。

それでは今回の投下、入ります。

>>445訂正
お掃除は半年ではなく三か月でした。

それでは、禁書サイド学園都市側の続きです。

>>509

・佐天涙子

レベル0無能力者。柵川中学一年生。

友人でありジャッジメントである初春飾利を通じて白井黒子、そして御坂美琴と知り合い、
とある魔術の禁書目録外伝「とある科学の超電磁砲」における
いわゆる超電磁砲四人組として行動しているグループの一人。

と、言う訳で、本作でもそのくくりで登場。
禁書目録サイドで直接本編に登場したのも映画が最初でしたか(うろ覚え)。

長谷川千雨のチームがジャッジメントへの接触を図った時、
朝倉和美が現れた喫茶店に四人組揃って登場。
以後、千雨チームvs超電磁砲チームの逃走戦、
千雨チームによる迎撃戦を金属バットを奮って応戦。
まあ、あんまり役に立ってはいませんでしたが………

それでも、武力的には共に弱い部類に入る初春とペアで、
レベル4、5すら苦戦する、と言うか本来凌駕する千雨チームとの抗争に直面し、
度々初春の前に立ってバットをふるい、更に黒子や美琴に助けられていると言う辺り、
大真面目にこの戦いに加わっていた事は分かります。
実際、映画のエンデュミオンパージ作戦の佐天バットも、
あれは本人大真面目だったのでしょう。

とにかく、大事な仲間を傷つける様な接触をして来た千雨チームに対して、
他の仲間同様、佐天さんも普段の明るい女の子を封印する勢いで
本気で怒り狂って相手が逃げ出さない様に地面にバットを叩きつけていました。

>>511

その一方で、停戦交渉に入った際には、初春に同調的な動きを見せています。
その過程で、ハッキングにより千雨の個人情報を丸ごと把握した初春は、
千雨がどういう相手かをかなりの所まで分析しています。

どちらかと言うと自分に自信が無い、むしろコンプレックスを抱きながら、
それでも熱さや優しさ、何より大事な友達のための思いを捨てられない。
だから行動に移す。だから、そんな千雨に命懸けでもついてくる仲間がいる。
初春と共に、佐天さんだからこそ、理解出来たのかも知れません。

もちろん大事な、信頼の出来る仲間だとは思っていても、
それでも、高位能力者である美琴や黒子とは発想が違う所がある。
仲間同士、違う部分があってもむしろ当たり前。
美琴や黒子にはちょっと理解が難しいだろうなと、そこまで把握した上で、
初春と共に少々千雨の側に理解を寄せる態度をとっています。

その後は、177支部で鳴護アリサの情報を検索する初春に差し入れに行った所で、
レディリーの魔術電子ドラッグにより昏倒する初春を発見。
ここでは心配する事しか出来ませんでしたが、
一方で、美琴が電子ドラッグとの接続戦で錯乱して
例えばクッキーの行先とかをぶっちゃけまくった辺りの事はちゃっかり録画してた辺り、流石です。

その後も、映画通りにショッピングモールでアリサコンサートのマスコットをしていたり、
初春に付き添う形でジャッジメントの支部や作業テントに登場。
ファミレスでの鳴護アリサ誘拐事件の際には、
春上、初春のリレーで佐天さんが美琴に情報を繋いでいた模様でした。

・寮監様

それっぽい人が度々登場していますが、大体そうだろうと言う事をまとめると

ジャッジメント調査のために寮に侵入した犬上小太郎を撃退。
レディリーとの会話で危険を察知、舞夏を連れ出そうと寮の食堂に突入した土御門元春を撃退
「アマゾンの戦士」事件の最中、
現場に向かう寮監様を足止めするためにそちらに向かった龍宮真名と二大怪獣の激闘の末、
金色鬼モードの真名を撃退

本日も平常運転の寮監様です。
「アマゾンの戦士」事件の際には、
食蜂の進言に対して厳しさと共に聞く耳を持った態度で接しています。

>>512

・柳迫碧美

学園都市風紀委員ジャッジメント所属、同じくジャッジメントである固法美偉の友人の女子高校生。

本作に於いてはエンデュミオン落成当日に登場。
休暇をとってエンデュミオンで行われた鳴護アリサのコンサートを観覧していたと思われますが、
映画通り主にシャットアウラのせいでエンデュミオンは倒壊の危機に陥り、観客の避難誘導が行われる事に。

観客だった柳迫さんは、ポケットに腕章を入れ忘れて持って来たとかで、
避難誘導が行われている中、
ジャッジメントとして逃げ遅れを確認していた所を暴走したシャットアウラに遭遇。
そこでシャットアウラに刺されたらしく殉職覚悟の重傷を負うも、
そこに長谷川千雨と近衛木乃香が現れた事で木乃香の治癒魔法で致命傷を回避。

千雨は先を急ぎ、木乃香はその前に魔法を使い過ぎたために流出した血液を回復出来ず
柳迫としては命が助かっただけ御の字で貧血状態で木乃香の肩を借りながら避難。
途中、亜子達が手懐けた魔獣馬に乗せてもらったり
削板軍覇に根性入った運搬をしてもらったりしながら脱出した模様。

何だかんだ言っても、越権は他に適任がいるだろうとぶつぶつ言いながらも、
やっぱりジャッジメントですの、だったと言う事です。

・黄泉川愛穂

学園都市警備員アンチスキルとして、
教師の傍ら正規の警察業務を行っている通称残念美人。

本作での登場は、鳴護アリサを巡って夜の公園で各勢力が衝突した後、
多分麻帆良の高音チーム三人組が影のフルアーマー装備の所を
上条さんに右手でガシッと掴まれたその後らしき、
ビル街に残された爆発的な惨状にアンチスキルとして臨場。

当初から、政治的絡みのある黒鴉部隊との関係で捜査が難航すると目していながら、
そう簡単に諦めない様な描かれ方もしています。

>>513

その後は、なんとなくこの人らしき人物が頻発。
ざっと列挙すると、

公園でネギにKOされたステイルの所に登場。
ネギにぶちのめされた三弟子と共にぶっ倒れていたステイルを発見、
確保しようとして逃げられたのでしょうね。

鳴護アリサのコンサート会場の廊下で警備に駆り出され、
千雨、夏美を相手に不幸な鷲掴みを連発させた上条当麻を確保。
調書作成前に「被害者」が逃走した事もあり、お説教で釈放。

メアリエの消火栓一斉砲撃を食らって引っくり返った上条当麻の所に登場。
「DQNな水遊び」として処理。

ファミレスでの鳴護アリサ誘拐事件の際には、
朝倉和美が相坂さよのポルターガイストで対抗した結果黄泉川さんが遭遇したらしき

自分へのご褒美ドーンとステーキセットビールつき、
の上に落下して来た椅子

に就いて和美に事情聴取を試みて逃走される。

その後も相当しつこく追いかけ回したらしく、
救出に入った長瀬楓に激闘の末昏倒させられる。

こう書くとギャグっぽいですが、
この場面では、公共の店内で一見してテレキネシスにしか見えない異能力で暴れる和美相手に
私怨交じりでも至って真面目にアンチスキルの職務を果たしており、
この場合は明らかに楓の方が公務執行妨害の犯罪者です。

その楓に対しても、一目で素人じゃないけどまだ子どもと見抜く眼力を発揮して
楓が映画館に転職して欲しいと感涙にむせび泣いています。
その上、格闘戦でも楓相手に三十秒保つと言う驚異的な粘りを発揮する、
「教育的指導」のプロ、ボランティア警備員の底力を見せつけました。

エンデュミオン落成当日早朝には、
第七学区でスキルアウト三人組らしきワゴン車をパトカーで追跡、爆発炎上。
更にその後には、
食蜂に常盤台女子寮を追い出された特殊部隊が路上で始めた真っ裸のパフォーマンスを取り締まったり
映画通りならこの後に封鎖されたエンデュミオンに出動、突入している筈ですので、
実に忙しい一日を過ごしています。

>>514

・鉄装綴里

学園都市警備員アンチスキル所属。
高音チームが齎したらしき爆発的な惨状に黄泉川と共に臨場。

・布束砥信

原作超電磁砲で妹達の事件にも深く関わる女子高校生科学者。

実際、情報提供を受けた絹旗最愛からも「超隠せてるつもりですか?」と言われてましたが、
絹旗にハイブリッド・ヒュドラ事件に絡む情報提供を行った
英語交じりの匿名情報提供者、この人でしょうね。

直接関わったものではなくても、研究者としての何らかのルートで
生物兵器を開発しているオービット・ポータル系の研究所にカルトが侵蝕、
兵器の持ち出しが行われている事を察知。
布束さんの所属している研究所は成果が出ればOKの比較的ルーズな所だったらしく、
その伝手で絹旗の存在、連絡先を確保して情報提供。

少し整理して話をすると、原作超電磁砲で妹達への「感情入力」を実行しようとした
布束さんを捕獲したのが暗部組織「アイテム」の絹旗最愛。
その後、原作漫画では絹旗によって暗部落ちが示唆されていた布束さんですが、
本作の描写から見て、その技能が認められて暗部に関わる研究所にでも配属された様です。

その研究所が成果さえ出せれば比較的自由に上の権限が使えると言う事で、
そのルートからヒュドラ関連計画の危険な情報と
絹旗に関する情報を得た布束さんが情報提供を行った、そういう流れの様です。

アニメ版なら美琴に連絡しそうな気がしないでもないですが、
内容が「闇」に関わり過ぎた危険な話だったから、と言う事でしょうか、
ブツがヒュドラなら、人造幼女みたいに情による救いも要らなそうですし。

>>515

本作の布束さんいわく、損得で動く現実主義のプロの暗部組織であるならば、
少なくとも生物兵器をやたらに解き放ったりはしないと言う考えで、
布束自身ヒュドラ自体の正確な情報を把握していた訳ではなかった様ですが、
取り敢えず実力もあるし、何かバイオ系のヤバイ代物を持ち出した
オカルト狂いに任せるよりはずっとマシ、と言う判断だったそうです。

結果、「アイテム」は、当時の他の暗部組織の機能停止もあって、およそ布束の思惑通りに行動。
ヒュドラに加えて研究所に雇われた掃除屋にも狙われる羽目になった麦野からは
「辞世の句でも聞かせてくれるのか」と言われていますが、

布束の方も既に学園都市が殲滅のために本気で動き出しているから暗部に出来る事はないと伝えたものの、
それで収まる麦野ではないと言う事で「アイテム」は
大元であるオービット・ポータル、レディリー=タングルロードへの対処を続行。

その後の布束さんがどうなったかは不明ですが、
本作のむぎのんですと、若干利用されたっぽくもありますが、
別に嘘をついた訳でもない情報提供者に自分で出動を決めた麦野が報復する事もなさそうです。

で、本作進行中に放映された超電磁砲Sから見ると、
布束さん暗部から解放されてアメリカに行ってたみたいなのですが………
まあ、致命的な矛盾ではない、辻褄は合うんだようん。

・メガネーズ

多分、アニメ超電磁砲Sで「STUDY」とか呼ばれてた若き学生研究者集団。
エンデュミオン落成当日、
エンデュミオンでの鳴護アリサ女神のコンサートを堪能しようとした所を「アイテム」に捕獲され、
チケットをカツアゲされた上に「アイテム」のエンデュミオン行きのための改ざんも手伝わされた人達。

と、書くと、可愛そうにも見えますが、絹旗いわく、

「どうせこの面子で超全員当選している時点で、超まともな手段じゃないでしょう。
大体、あんな事に利用しようとした時点で超出っ禁の筈でしょう」

ごもっとも。

>>516

超電磁砲Sの最終話では、事件の隠ぺいのために美琴がプライドとかプライドとか色々捨てたと言う事ですが、
麦野相手の記憶改竄を依頼するとなると、全裸土下座レベルですね。

だからかどうか分かりませんが、少なくとも本作では、
一番危険な「アイテム」の面々は「STUDY」にコケにされた
と言う事はきっちり時効なしで覚えていた訳で、

「STUDY」の方も何か悪い事をしたと言うのは覚えているのか
奉仕活動の処分を受けたものの、その程度で済んだのは学園都市が我々を必要としている証拠と
おめでたい自説を展開しています。正解は雑魚過ぎて消すまでもない、と言った所でしょうが。

その後、エンデュミオンシティーの隠しラボで待機していた所を滝壺からの連絡を受けて、
エンデュミオン内で戦闘状態に入った警備ロボの対策を
滝壺による誠意溢れる説得を受けて

粉骨砕身誠心誠意身命を賭して天地神明に誓って

武者震いに絶叫して感涙にむせびながら実行した模様

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事みたいに書いてたりします。

それでは今回の投下、入ります。

>>517

禁書魔術サイド追加

・エツァリ

「アマゾンの戦士」事件で、近くの建物の屋上から、
常盤台女子寮で御坂美琴を狙った槍を破壊した怪光線を放ったり
エンデュミオンの事件後に土御門と野郎同伴カラオケに付き合ったのが
もしかしたらこの人かも。
と言うか、その場合、本来分解兵器である怪光線の破壊力が高すぎた様ですが、
うん、たまたま分解できる構造の槍とか壁とか(メ、ミテハナソウカ

それでは、禁書サイド学園都市側の続きです。

・青髪ピアス

とある高校に於ける上条当麻の同級生、クラスの学級委員。
そこに土御門元春を加えて通称デルタフォース三馬鹿トリオの一翼。

公園に於けるアリサ争奪戦の翌日、とある高校周辺で三馬鹿トリオの平和なお喋りに登場。
相変わらず幅広い包容力を示したらしいが、
主に作者の根性の問題で包容力の全容は表現されるに至らず。

但し、その際、女じゃない存在に就いて上条さんから突っ込まれるも、
反対車線側の歩道にセーラー服やキツネ姿が似合いそうな
金髪のお姉さまにいを引かれた何者かを発見したらしく、
車道を突っ切ってそちらに突進した後、
雪月花やらコルク抜きのオブジェやらのご褒美をいただいた模様。

>>519

別の日の放課後に、とある高校の校門前で姫神秋沙がネギのお誘いに応じた際には、
デルタフォースに学級委員仲間の吹寄制理を加えて尾行。
普段とは逆に度々暴走の気配を見せる吹寄を制しつつ、
しまいにはとある領域に達しようと言う吹寄に命懸けの突っ込みを入れて見たり。

後は、小萌先生と神鳴流剣士月詠が電話ボックスですれ違った
ミニロリ甘ロリ奇蹟のコラボレーションに平常運転で絶叫して平常運転の吹寄に突っ込まれたりしています。

・月詠小萌

とある高校の上条当麻他の担任教師。
本作では、携帯電話を忘れたとかで電話ボックスで電話をかけている場面で登場。
そこで待っていたふわふわの女の子と入れ違いとなり、
目撃していた青髪ピアスがミニロリ甘ロリ奇蹟のコラボに奇声を発していましたが、
本作での出番はこれだけ。多分原作映画よりも出番少ない。

・吹寄制理

とある高校に於ける上条当麻の同級生としてちょっとだけ教室に登場した、
映画では正にオールスター映画のちょい役でしたが、
映画の裏側でネギまキャラが勝手に動く本作では少々出番と絡みが増えました。

鳴護アリサのコンサートが開かれたショッピングモールに登場。
建物の外で待っていた所をスキルアウトに絡まれ、そこに居合わせたネギに救出されています。
鉄壁で知られる吹寄ですが、子どもらしい素直さと率直さ、
頭の良さと何より誰かにも似ている真っ直ぐな気性と行動には好感を抱いた様でもあります。

コンサート開催中の爆破事件の混乱の中、再びネギに遭遇。
この時もネギに助けられる一方で、吹寄も又、子どもであるネギを助けるつもりで抱き寄せて走っています。
そして、この時、友人である姫神秋沙と同行していた事が次の展開へと繋がります。

>>520

翌日放課後、とある高校の校門前に現れたネギは吹寄に声を掛けますが、
何故かネギは姫神を探しており、姫神を見つけたネギは彼女と共にその場を離脱。

古本屋からお茶と、楽しそうに同行する二人の様子に、
吹寄は上条さんや青髪の突っ込みをものともせずに追跡を敢行、
時に絶叫をかましそうになって懸命に押さえられたり。

しまいに、ネギが姫神を掻っ攫ってダッシュで姿を消したものですから、
か行の謎の奇声と共に掲げた手の上でごぉごぉ風が巻いてバチバチ音が鳴り響く
とある領域に到達しそうになって青髪さんから決死の突っ込みを入れられて見たり。

後は、青髪が電話ボックスで奇跡のコラボレーションを見せた際、
平常運転で突っ込み役をしていました。

鉄壁の学級委員相手に、流石はネギ君です。
やっぱ千雨さん、硬い拳でもう一発ぐらいよろしくお願いします。

・姫神秋沙

上条さんのとある高校の同級生、原作由来のネタは色々ある人ですが………
本作の原作である映画では、教室で一言だけの、実に要点を突いたセリフで登場。

本作では、大幅に出番が増えました。
友人の吹寄さんと同行したショッピングモールでの
鳴護アリサコンサートで映画通りの爆破事件に巻き込まれ、
その時、一時ケルト十字架を落とした事でひと騒動に。

恐らく姫神本人も知らない内に、たまたま学園都市を訪れていたエヴァ様がエヴァ暴走状態に突入。
流石は真祖と言う事で間一髪ギリギリ理性を維持している内に
ネギによる抑え込みを経て麻帆良に強制転移で切り抜けていますが、
ネギ君がそんな異常事態を見逃す筈がないと言う事で。

元々、このケルト十字架はイギリス清教でも高位の霊装であり、
「魔法の英雄」として訪問していた学園都市で巻き込まれた爆破事件、
その事件現場にケルト十字架の所有者がいた事をネギ、
ネギが所属する本来のケルト魔法文化圏であるウェールズの魔法勢力が重視。

>>521

翌日、ネギは直接とある高校を訪れて放課後に姫神秋沙を誘い出し、
何故か土御門に前世の因縁と評された古本屋デートに始まり
ファミレスでのお茶を経て、
ネギは尾行に気づいたのか姫神を掻っ攫う様にして公園近くまで移動しています。

そこで、イギリス清教サイドの介入もありましたが、
更に、後を追って来た上条当麻の介入もあり、爆破事件に関する誤解は解けています。
その間、姫神本人はネギによる「眠りの霧」を嗅がされ、
ベンチごと風防壁に囲まれて争い自体からは隔離されていた模様です。

ネギとの、ぶっちゃけデートは、何か相性でも良かったのか、
尾行した吹寄が暴走しデルタフォースが呆れるぐらい結構楽しかった様です。

只、いくらネギ君が天然女殺しでも、
全くの初対面で本当にほいほいデートのお誘いについていった、と言う事でもないでしょう。
校門前で誘われた時、ネギがケルトの使者を名乗ったからこそ、である事は想像がつきます。
その後は、ネギの天然エスコート炸裂で本当に楽しかったのも想像がつきますが、
それでも、公園できちんと本題に入ろうとした所で、
ステイル自慢の三馬鹿トリオが介入して来た、と言う流れです。

そして、ケルト十字架を見せるだけで綺麗にお別れした二人ですが、
姫神は察していました。誠実なネギが何を見て来たのか。
それは、根底の所で姫神にも似通ったもの。
であるからこそ、姫神が感じ取り、
そしてほんの一時充実した時間を共にする事が出来たのかも知れません。

なお、その後、小萌先生と神鳴流剣士月詠が電話ボックスで出会った所にも、
姫神さんは居合わせていた模様。

もう少し付け加えると、ネギ本人は納得した様ですが、
姫神が爆破事件とは無関係である事、そもそも姫神がどういう人物か、
この情報がどこかで止まっていたらしく、
麻帆良の長谷川千雨等は爆破事件とネセサリウスの関係をかなり後まで無駄に疑っていました。
それ程の高位霊装と言う事で、ネギ君とは楽しいデートで済みましたが、
原作ではこの後の時系列で同じ誤解により大変な事に………

>>522

・雲川芹亜

とある高校の「謎の先輩」にして統括理事会統括理事貝積継敏のブレーン。
「だけど」が口癖の雲川先輩らしき人も本作に時々登場。
本作に現れたそれっぽい人はと言えば、

エンデュミオン落成当日、倒壊の情報が流れる中、
ホテルに滞在する雪広あやかに避難を促すもあやかは悠然と拒否。
それを聞いた雲川も又、あやか同様このチャンスを活用。
あやかと組んで「Blue Mars」計画に於ける学園都市側の窓口を一手に握る、
世界が滅んだらそれまで、賭け札は命一つの火事場泥棒的な同盟関係を展開。

その後、妹達を使って麻帆良学園側にも探りを入れていたらしく、
交渉相手であろうあやかを高く評価し、ネギの能力も高く評価しつつ、
秘密裡に動くネギに対する信頼度が危うくなっている事を貝積に報告しています。

そんな報告電話を入れながらも、やや職権と頭脳を濫用して保健室で快眠。
珍しく時間割通りに競泳水着等を身に着けようと言うタイミングで、
不幸な後輩と遭遇した上に勢力圏内の女性が大挙して来ると言う
面白い光景を見ていた様です。

少し真面目な話をすると、貝積との通話の中では、
雲川先輩は麻帆良学園と「力」に就いて何かを掴みかけています。
本人達も言っている通り、学園都市の公式の権力者である統括理事、
そしてそのブレーンだからこそ、
安易にそこに触れる事の危険性、それはよく理解している様です。

・貝積継敏

学園都市統括理事会統括理事の一人。
状況からして、「Blue Mars」計画に関して、
ブレーンである雲川と麻帆良側の窓口である雪広あやかとの同盟は成立しているのでしょう。

その上で、「麻帆良学園の真実の力」にも関心がある様な会話をしていますが、
「科学の学園都市」の統括理事だからこそ、
容易に近づいてはならない分野である事も又、よく理解している様です。

>>523

・馬場芳郎
・博士

相手が悪すぎた人たち。

鳴護アリサ誘拐事件当日、レディリーの情報操作の影響もあって、
学園都市内で怪事件を頻発させている長谷川千雨一派の確保のために
学園暗部組織「メンバー」のメンバーとして出動。

馬場は村上夏美と別れて夜の学園都市を走る長谷川千雨を
犬型ロボットT:GD(タイプ:グレートデン)で路地裏に追い詰め、
別口で動いている「スクール」からの保護を約束して千雨の油断を誘い、
そのまま蚊型ロボによるナノデバイス注射を狙ったものと推測されますが、
実の所、千雨の電子精霊に把握され、更にコントロールを支配された事で、
逆にナノデバイスを注射され行動不能になった上に
支配権を奪われたT:GDに包囲されて千雨の逃走を許す事に。

博士も近くのオープンカフェで待機、
多分ショチトルっぽいのからそちらに向かった千雨の確保を要請されていますがこれを拒否。
理由はと言えば、既にオジギソウのコントロールを奪われて身動き取れない状態になっており、
ここで動けば白骨死体になるだろうとその事情を説明しながら十二歳の絶望を語っています。

この二人、なんでよりによって千雨に当たったかなぁと。

馬場芳郎の場合、カマキリ持って来てもスクラップにしそうな面子がネギパにいそうですし、
ナノデバイスも察知する奴は察知しそうだしなぁ。
そうとも限らない、少なくともナノデバイスの不意打ちは効く奴には効きそう。
それにしても、千雨相手は相手が悪かった。
オジギソウに至っては、普通のやり方じゃ察知自体が無理です。
本作では愛衣がそれっぽいものに対処はしていましたが。
ネギパの他の面子では相当危なかった所を、
電気干渉でメカの支配権を奪える千雨だからピンポイントで避けられた状態です。

千雨に逃げられた後、馬場にゃんはどっかで聞いた台詞を喚きながら千雨への復讐を誓っていますが、
どっから聞いても宇宙人で未来人で魔法使いな人に今度こそコントロールを丸ごと奪取され、
手持ちメカ全てにロックオンされた上に機密情報をまるっと奪い取られて
「アイテム」の調べではそのままコンテナごとダッシュで避暑地に逃走した模様。

なお、コミック超電磁砲でお嬢様二人組に敗北した後あんな事を叫んでいたぐらいですので、
本作でも同様の事を叫んでいましたが、本作ではそれ以前に実際相当下種な事をしていたらしく、
それらの証拠を掴んだ未来人で火星人な人も、
仕事で介入して来たのであろう相手に無理な命令をするのに、相手が外道でむしろ安心したと言っています。

>>524

・砂皿緻密
・ステファニー=ゴージャスパレス

雪広あやか偽装失踪事件で登場した狙撃手コンビ。
特殊部隊を相手に奮戦するネギにビルの屋上から狙いをつけるも、
別のビルのフロアから龍宮真名らしき相手に狙われ、銃撃戦に。
様子から見て、砂皿は同業者である龍宮の事を知っている模様。
だから龍宮隊長あなた一体以下略

ステファニーがネギに向けて放ったロケット弾も空中爆発した所で
二人の所にネギご本人降臨。

本来近接戦が専門であるステファニーが、
ネギから一応その実力を認められながらもあっさりKO負けした事で
砂皿も戦闘放棄、気絶を受け入れる。

エンデュミオン事件後もとある高校の保健室にいる雲川芹亜を狙っていたらしき描写があるも、
遂行を見送り。恐らく依頼自体がなくなるだろうとの当たりを付けていますが、
その時も龍宮に狙われていた模様。

・浜面仕上
・駒場利徳
・服部半蔵

後の原作禁書の「英雄」を含むスキルアウト三人組。

それっぽいのが三人まとめて登場したのは、エンデュミオン落成当日早朝。
刹那、のどかと共に学園都市に潜入した木乃香がヒッチハイクで捕まえたのが
この三人の乗るワゴン車。

いかにも軽薄な若造だったり何やら後部座席に不穏な荷物を積み込んでいたり、
生真面目なせっちゃんとしてはいつこいつらを刻む事になるのか頭痛を覚えそうなシチュエーションで、
それでも何でも目的地の第七学区まで送り届けて三人を下した後、
ワゴン車はアンチスキルのパトカーの追跡を受けて大爆発した様ですが、
車を降りた三人は見なかった事にしていた様です。

浜面の出番は原作で後からたぁーっぷりあると言う事か本作ではこれで終わり、
他の面々はもう少し。

>>525

千雨チームが初めて学園都市に潜入したその最初の時、
廃ビルで小太郎とクロスカウンターを決めていたのがどうも駒場っぽいです。

千雨チームが鳴護アリサ襲撃犯迎撃作戦を展開していた時、
郭、長瀬楓、服部半蔵が尾行合戦を展開。
状況から言って、アリサのコンサート会場で郭が楓に目を付け、
楓が郭を外に誘い出しそれに気づいた半蔵も後を追った、この辺りの推測が成り立ちますが、
緑地帯で楓が郭を倒した後も楓と半蔵が静かな尾行合戦を展開していた様です。

この時、半蔵は楓の直接戦闘力から直接戦闘は危険と判断。
対して、楓も又、半蔵に就いて楓にして察知の困難な余りにか細い気配、
雑草に徹して隙を見て首を掻く事が出来る本物の忍びと認識。

互いに互いの実力を認識したからこそ身動きが取れない状態に陥り、
最終的には敵意が無い事を話し合って解決していますが、
その結果、千雨チームは有力メンバーの楓を欠いて作戦失敗の大きな要因となってしまった、
ネギパの実力者の楓をそこまで追い込んだのが、
半蔵の「忍び」としての実力だったと言う事です。

・郭

本作に於いて鳴護アリサ誘拐事件で千雨チームの計算を破綻させた元凶の一人である伊賀忍者。
大体描かれた感じと禁書原作から本作での行間を埋めた場合、
鳴護アリサのコンサート会場で発見した長瀬楓が甲賀忍者である事を察知。
尾行を開始するも、それを楓に気取られて安全な緑地帯に誘導。
半蔵の居所を聞き出そうとして本当にそれを知らない楓と決裂、
戦闘に陥るも双方の実力からして本作の描写からも郭の昏倒、と言う流れかと。

但し、その状況を把握していたらしき半蔵が更に追跡したため、
こちらは戦闘力はとにかく潜伏行動のプロである半蔵に追跡されている事を楓が警戒し、
ネセサリウスによるアリサ誘拐事件への対処に参加が出来なくなる状況に。

>>526

・木原数多
・猟犬部隊

エンデュミオン落成当日、ハイブリッド・ヒュドラ事件が勃発した後、
関係する研究者を追い込んでいたのが木原くン率いる直轄暗部組織猟犬部隊の様です。
状況的に、布束さんの情報とも合致します。

その後、木原の班分けにより、木原率いる本隊?は学園都市地下道を逃走するヒュドラを追跡、
途中、地下道からエンデュミオンに向かう千雨チームに目撃されたりもしています。
その時は、ヒュドラは猟犬部隊の攻撃を受けたためか煙を上げて猟犬部隊から逃走していた模様。

その後、パイオ・ツゥの放った巨大ミミズと交戦になったり、
木原の指示で実験データ収集のためにヒュドラに様々な攻撃を展開したりしていますが、
取り敢えず、相手が畜生の類であれば、例え命令に従って失敗しても死ぬだけで済む、
と言う固い信念の下、猟犬部隊の屑共は忠実にその木原くンに数秒間覚えていただく程度の命令を実行。
結果、後で現場を訪れ、残された実験映像を見た佐倉愛衣がゲロゲロ状態に陥っています。

又、同時に地下道に入ったナンシー、ヴェーラ等の別働隊はパイオ・ツゥと直接交戦したらしく、
木原の指示に間に合わず脱落。
筆に尽くせぬ内容の謝罪と誠意を示したナンシー、ヴェーラ以外は木原の愉快な芸術活動の材料となり、
この二人に就いては9月30日23時59時59秒をリミットとする
執行猶予が木原によって設定されています。
つまり、このリミットまで何事もなければ、
木原による今回の命令違反を理由にした処罰は免れる、と言う事の様です。

最終的には、下水道で更に巨大化したヒュドラに遭遇。
木原は部下に足止めを任せて一度撤退した所を桜咲刹那に不意打ちされて昏倒。
魔術絡みのヒュドラにこれ以上科学の暗部組織を関わらせる訳にもいかないと言う事で
近くの小部屋に拘束されています。

一方、エンデュミオン内にも猟犬部隊の別働隊らしき者が出現。
倒壊の危機の中、下との連絡もつかず地上との連絡もつかず、
ここで死んでも宇宙の藻屑になるだけだが成果なしで無断で降りた事が知られた場合の方が、と言う事で、
通りがかった美少女シャットアウラをジャンボ機が墜落するなら何をするか、
と言う屑集団らしき発想で襲撃して返り討ちされた模様。

>>527

・工山規範

ハッカー高校生。

本人曰く、一方通行襲撃計画とは知らずに何者かの依頼でハッキングに協力。
一方通行に襲撃されてハッキングを命じられる。
保護観察中によりパソコンに触る事が禁じられていたが、
鶏ガラな感じの肉塊になるのと五秒以内で選択した結果、命令を受諾。

「犬の死体」トラップに引っかかって、ダミーの偽装情報を突破した事に安心した結果、
事件のキーパーソンがネギであると言う誤情報を掴まされたのは多分こいつ。
これ以上の侵入は無理だし危険過ぎると断念し、
一方通行が立ち去った後、じゃんの人が家庭訪問に。
描写から見て、保護観察遵守規定違反は既に初春に掴まれていた模様。

・カエル顔の医者

学園都市の誇る掛け値なしの名医です。

本作では、ヒュドラ戦で視力を失った佐倉愛衣を治療。
紹介したのはステイルで、「あの素人」が生きている以上腕は確かだと言う理屈ですが、
確かに、愛衣の視力は回復しています。

その上で、ステイルに始まり三弟子からは拷問を受け、
垣根帝督相手に焼き殺されかけヒュドラにも大苦戦した酷使が祟ったのか、
愛衣の体内に小さな、しかし致命的なクラックが出来ている事を告知。
もちろん治すが時間がかかると回答しています。

その後、愛衣は、箒からは降りられない状態ではあったものの、
魔獣の発生するエンデュミオン基部に早々に出動しており、
エンデュミオン事件の後には普通に行動していますので完治した模様です。

又、エンデュミオン事件の終盤では、どういうルートかネギの依頼を受けて、
明日菜に死ぬ程剣でぶち抜かれ、当日の魔力不足で完治には至らなかった
木乃香の治癒を受けたレディリー=タングルロードの治療も担当。
木乃香の治癒魔法の特徴を言い当てた上で簡単な手術で治療を成功させています。

>>528

・土御門舞夏

土御門元春の義妹にしてエリートメイド養成校である繚乱家政女学校の学生。
本作では、いつも通り清掃ロボに乗って移動している所をスキルアウトの暴走バギーと事故ったらしく、
すっ転んだだけの軽傷で美琴のお見舞いを受ける一方、
兄上様は上やんとの結構重要な会合もブッチして昆虫採取に勤しんでいた模様。

エンデュミオン落成当日には、「アマゾンの戦士」事件を前に危険を察知した土御門元春に
仕事中の食堂から連れ出されそうになるも、寮監様に「保護」された模様。

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

続きはいらねーっての
この設定の垂れ流し具合はマジキチだな

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事みたいに書いてたりします。

それでは今回の投下、入ります。

>>529

ネギま!サイド追加。

・近衛近右衛門
・近衛詠春

近右衛門の娘婿が詠春で詠春の娘が近衛木乃香。
近右衛門が麻帆良学園学園長にして関東魔法協会会長、
詠春が関西呪術協会の長。

端的に言って、日本の「魔法」サイドを牛耳る義父子です。

そういう訳で、本作では禁書の「魔術」サイドの有力勢力である「魔法」。
その日本代表とも言うべきこの二人。
物語の背景が世界規模の魔術と科学を巻き込む「Blue Mars」計画であり、
それを主導しているのが「魔法」、
それも、現状では麻帆良学園の魔法教師として勤務している
「英雄」ネギ・スプリングフィールドである以上、
近衛義父子は登場しようがしまいが物語の背景にする事は間違いありません。

直接登場したのは神裂火織が麻帆良学園都市で学園警備と武力衝突した際。
イギリス清教に属する「聖人」である神裂が
関東魔法協会直轄の麻帆良学園都市で正規の魔法使いと直接戦闘を行った。
この、宣戦布告そのものの事態を前に、
近衛義父子は可能な限り穏便な収拾に努めています。

>>532

無論、賢明な二人の事ですので、
ここでの戦争は互いに求めていないと言う事はよく承知している筈です。

しかし、その一方で、ここで簡単に相手を許した場合、
「魔術」の世界の中で「魔法」が侮りを受けると言う事であり、
現実的に言って「魔法」程の大勢力が侮りを受けたままでいる事は
その座を狙う者によって更なる争いを齎す。
その現実的な危険性もよく理解しています。

実際、その影響はイギリスにも飛び火、
「魔法」サイドであり関東魔法協会と友好関係にあるウェールズの魔法勢力でも情報が錯綜。
当日の内に軍勢が集結し、ロンドンのイギリス清教に進撃しかねない所まで緊張が高まっています。

特に、詠春が長である関西呪術協会は、
過去に西洋魔術との大戦争を経験して過激な攘夷派を抱えています。
神裂と交戦した麻帆良学園、引いては関東魔法協会は西洋魔法主体とは言え、
日本の「魔法」の領地がイギリス清教に蹂躙された。
それが知れただけでも暴発しかねない、そうなったら本当に戦争だと言う内部事情があります。

そのため、詠春は、その急先鋒である天ヶ崎千草の対処等、
内部情報の統制に追われる事となります。

とにかく、日本魔法の頂点に立つこの義父子は、
日本の東西魔法の人脈に通じる葛葉刀子を動かす等、まずは内部の鎮静化に努めています。
近右衛門の責任である麻帆良学園の敷地内で
父である詠春から預かっていた木乃香に危険が及んだ事を近右衛門は詠春に謝罪していますが、
詠春も又、木乃香が魔法の道を進む以上、それはあり得る経験であると、
親馬鹿に陥らない長としての態度を示しています。

その後、エンデュミオン事件に於ける神裂の命懸けの働きを理由として
イギリス清教と日本の「魔法」との間に実質的な和解が成立。
それを解説した土御門によると、
要は、問題の日は特に何もなかった様に公式記録上取り扱うと言う事です。

>>533

その土御門元春との関係ですが、
本来京都、引いては日本の呪術の頂点に立つ「近衛」の頂点として
日本の「魔法」を牛耳っているのがこの義父子です。
対して、土御門は京都陰陽師の中でも最高の陰陽博士だった経歴の持ち主です。

接点が無い方がおかしい関係なのですが、
科学の学園都市でネギとステイル軍団が衝突した際には、
恐らく幻術によって近衛一族と恐らく青山家が揃った恐怖の茶会に土御門は招かれています。

近衛と深い関わり、友好関係がある「魔法」最高クラスの「英雄」であり要人であるネギが
イギリス清教の刺客に科学の学園都市で襲撃された、
と言う状況で、かつての陰陽博士で学園都市とイギリス清教に跨る多角スパイ、
そんな立場にいる土御門が何を思ってこの茶会に参加したか。
少なくとも、原因を作った三弟子に殺す宣言をしたぐらいには緊張した様です。

近右衛門はそんな土御門に対して、いつも通り、
何事も修行の内、と、鷹揚に構え、
各勢力の間を奔走して平和を維持している土御門を労う言葉をかけています。
近衛家と土御門元春の過去の関係は詳細には描かれていませんが、
少なくとも、近衛家側としては、基本的な理解はしている模様です。

千雨チームの暴走を含めた麻帆良側の一連の事に就いて近衛家がどの程度把握していたか、ですが、
限りなく「黒」に近いのでしょうね。
実際、弐集院が調査したアリサ関連の情報はネギから学園長に直結で情報制限されていた様ですし、
何も知らないと言う程抜けてはいないでしょう。
基本、若い者に好きにやらせて責任はとる、が、原作の近右衛門のスタンスですが、
少なくともネギは意図的に千雨を放し飼いにしていました。
ネギの本意はとにかく、実力や政治的配慮から言ってそれが得策と近衛家が踏んでいても不思議はありません。

最終的に、関西呪術と形式的には「切れた」土御門と刹那、
そして近衛木乃香、更に佐倉愛衣もパイプを繋いでいますが、
「魔法」の正式な連絡役となった刹那は元より、
近衛直系の「姫」である木乃香と多角スパイの土御門の繋がり、
大人の知らないガキのママゴトで済ませるには政治的に重要すぎます。

>>534

禁書サイド学園都市側続きです。

・打ち止め

御坂美琴のクローン「妹達」の上位個体。
とある病院で謎の紳士からペロペロキャンディーの誘惑に耐え忍び、
その紳士は学園都市最強との連れしょンに出向いた病院の大便所で
犬○家を演じる愉快なオブジェに化けた模様。

そこから芋蔓式に辿って行った結果がネギとの遭遇、激闘に至ったのが一方通行さんでしたが、
多分、その後、映画通りにボルト点火のお願いをしてみたり、なのでしょう。

・クロウ7

シャットアウラ=セクウェンツィア率いる学園都市認可警備部隊「黒鴉部隊」の隊員の一人。
もちろんコード名と思われる。
原作映画に於いてはシャットアウラ隊長への揺るがぬ忠誠心を示したクロウ7、
本作中での出番は、ほとんどないですね。
多分、映画通りに活躍していたのでしょう。

本作のおまけ後日談にそれらしいのが登場。
学園都市内の路上で展開されたエンデュミオンの模型を使い
手以外の部分でもギターを弾き多分メタル系な放送禁止用語満載ゲリラライブ会場に登場。
アンチスキルの介入から、仲間を率いて
「マイスイートルシファーオブリリス」の安全確保に全力を挙げる親衛隊っぷりを発揮していた模様。

・土御門元春 その壱

「今の妹の件で、僅かとは言え俺を退かせて、
それで、元の妹分の心配になるぐらい堅物だったハートをど真ん中ブチ抜きやがった。
そういう事なら、一つだけ覚えておけクソガキ。
妹をNTRったクソ野郎が利用した挙げ句くだらない結果を出した、
そんな事が俺の耳にまで入った時、何が起きるか。
くだらない兄貴を敵に回す事がどれほどの事を意味しているか、
ちょっとだけでも考えておく事だ」

「目の前にいるあんな健気な女一人、その心からの誠。
テメェで引き付けたそいつを直視しない世界だ英雄だ、そんなモンがいるんならよ、
それはとぉぉーってもだっせぇにゃーって、なぁファザコン坊や。
シスコン軍曹が言ってるんだから間違いないぜぃ」

>>535

シスコン軍曹にしてデルタフォース(三馬鹿トリオ)にして多重スパイ、の、忙しい人です。
そして、その真の姿は一番最初に紹介した肩書き、いや、冗談ではなく。
上で紹介した台詞の一つ目は、言うまでもなく原作禁書の別の人の台詞が元ネタですが、
本作ではその「妹」が一人増えてたり。

本作では科学と魔術、そこに、魔術の一環として「魔法」が本格的に絡んで来たと言う事で、
多重スパイの立場から土御門が関わりのありそうな話を列挙しますと、

「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドと外部の財閥令嬢雪広あやかが
「Blue Mars」計画のために学園都市を正式訪問。

・「科学」のサイドにいる鳴護アリサの奇蹟パワーが聖人認定されてイギリス清教が介入

その鳴護アリサを巡り、ネセサリウスと「科学」の黒鴉部隊、
更に、「魔法」麻帆良学園学園警備に加えて
イレギュラーな「魔法」勢力の長谷川千雨チームが武力衝突。
(この時点で、事前に桜咲刹那から何らかの打診があった可能性)

ステイルの三弟子が学園都市に潜伏調査していた学園警備佐倉愛衣を拷問。
犬上小太郎に加えて学園都市レベル5御坂美琴まで巻き込んでの衝突。

イギリス清教の高位霊装を持つ姫神秋沙を「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドがナンパ、
そのまま掻っ攫って逃走した挙げ句、それを追跡したネセサリウスの三弟子がネギを襲撃し
ステイル、神裂も巻き込んでの武力衝突。

「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドと
「学園都市最強」レベル5超能力者第一位一方通行が正面対決。

イギリス清教「聖人」神裂火織が麻帆良学園の敷地内で
「姫」に刃を向けた上に麻帆良学園学園警備と全面戦争。

学園都市内で鳴護アリサ争奪戦とそこから派生した各勢力の武力衝突が続発。
イレギュラーな魔法勢力である千雨チームが学園都市暗部組織と本格的に武力衝突続出。

レディリー=タングルロードは確保した鳴護アリサを使って地球を破壊する模様。

>>536

懲りない千雨チームが、アリサ救出のため無茶を承知でエンデュミオン突入。

能力者の巣窟である常盤台女子寮で魔術発動、
多数の能力者を巻き込んだ「アマゾンの戦士」事件勃発。

科学のバイオモンスターを核に魔獣ヒュドラを召喚するハイブリッド・ヒュドラ爆誕。

「魔法」の西のひい様とその護衛のバリバリの「魔法」サイドの神鳴流剣士が
「科学」の婚后航空の最新技術と大能力で成層圏に向けて「発射」

結論
………土御門、イキロ………

実際、鳴護アリサ誘拐事件と同時進行で
神裂と麻帆良学園警備、「魔法の英雄」の仮従者である千雨チームと学園都市暗部組織、
しまいに「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドが「学園都市最強」に加えて
学園都市レベル5第三位と武力衝突。

普通に戦争前夜と言うか戦争そのものの夜が明けて刹那達が土御門の居場所を探しに来た時、
土御門元春は胃と十二指腸の十数か所から突然出血して緊急入院していたとの事。
刹那は何か無理な術でも使ったのかとすっ呆けた事を言っていますが、
間違いなくその原因の大半は麻帆良勢力に因るものですから。

しまいの方になると、堅物の妹分だった刹那がはっちゃけたのが嬉しかったらしく、
流石はシスコン軍曹、裏の事は引き受けてやると血反吐吐きながら覚悟を決めていた様です。

ある時はイギリス清教の盗聴器、ある時は学園都市の逆スパイ、
その他諸々の勢力の多角スパイ、或いは只の口の軽い人。
その正体は「人生と書いて妹と読む」シスコン軍曹。

これは、全く持って冗談でもなんでもなく、それは本作でも同様でした。

舞夏がスキルアウトの暴走バギーに負傷させられた時には、
カミやんとの会合すっぽかして昆虫採取に勤しんでいたとの事ですし、
「魔法」絡みの事態収拾に奮戦していたのも、第一義には舞夏のいる世界を守るため。

>>537

そりゃあ、魔術の有力勢力である「魔法」と
学園都市、イギリス清教が本格的に衝突したら世界レベルで大変な事になる訳ですし、
学園都市がその中心になる可能性は限りなく高い訳ですから。

しかも、これまでなら穏健な大勢力である「魔法」が脅威になる要素は小さかった訳ですが、
文字通り世界を巻き込んだ「Blue Mars」計画が進行中。
*どこから紛争が勃発するか分からない巨大利権の絡む計画を「魔法」が主導し、
計画の性質上「科学」の協力が不可欠と言うきな臭い事この上無い状況ですから、
その計画の中心人物であるネギが学園都市を訪問した当初から土御門とアレイスターが会合していた様に、
各勢力の折衝役となる土御門の重要性もより一層と言う事でしょう。

実際、プランに関わって来たネギも、
土御門の事を底の見えない裏の重要人物として把握し、学園都市で巻き込まれた
「学園都市最強」一方通行との対決と言う大トラブルの後処理を任せています。

そして、そんなシスコン軍曹の逆鱗に触れたのが、
本作の原作となる映画禁書の黒幕レディリー=タングルロード。
彼女も又、魔術と科学の交差する存在であり黒幕を張るだけの大企業のトップと言うだけあって
彼女の計画に確実に邪魔になるであろう辣腕の諜報員である土御門元春の存在を警戒。

彼女の大願成就の日であるエンデュミオン落成当日早朝、
胃腸障害で入院していた土御門を常盤台女子寮近くに呼び出して携帯で通話。
この日のために莫大な費用と時間をかけて女子寮に潜伏させた特殊部隊が舞夏を人質として確保する事を伝え、
土御門に対して活動停止を命じますが、その特殊部隊が食蜂の手であっさり排除されたため、
舞夏を人質に土御門に命令した、舞夏を裏の仕事に巻き込んだ、
土御門にとっての絶対的ギルディが宣告されたのは言うまでもありません。

それでも、レディリーの態度から異変を察知。
女子寮に突入して食堂で仕事中の舞夏を連れ出そうとしましたが、
寮監に追い出された上に玄関を白井黒子等に固められ、
流石にレベル3以上の精鋭相手の正面突破では身動きがとれなくなってしまいます。
そして、自分がハメた形となった桜咲刹那等が事態を収拾した事を龍宮真名に聞かされ、
礼を言い残してけじめをつけに動き出しています。

実際、本作の読者コメでも本来真っ先に対処すべき、と言われていましたが、
起きている出来事から言って、土御門の役割を考えると相当に後手を踏んでいる印象があります。

>>538

その理由は、いくつか考えられます。
まず、優先順位を絞れないぐらいに色々な事が起こり過ぎた、と言う可能性です。

「魔法」の「英雄」と「学園都市最強」の正面対決と言う、
最悪に近い事態の収拾に姿を現した土御門でしたが、
学園都市内のとあるファミレスではその大事件と同時進行で、
アリサの身柄を巡ってネセサリウスと「魔法」のイレギュラー千雨チームが激突。
しかも、その戦線が拡大して学園都市の暗部組織が二つも三つも介入した上に
レベル4、5が個人的にその抗争に巻き込まれ「魔法」と武力衝突するカオスそのものの状態に。

流石に土御門も相手がネギの生徒である事を含めてある程度状況を把握して、
一方通行戦を終えたネギに収拾を依頼していましたが、
その後の謎の情報提供、
多分どっかのブレーン天才先輩女子高生辺りからのお電話をいただいたシーンを見る限り、
レベル5を含む暗部と「魔法」の「英雄側近」が正面衝突した事までは掴み切れておらず、
多分これを聞いた直後辺りにでも血反吐吐いてぶっ倒れたのではないかと容易に想像できる状況。

そして、情報パイプの不具合です。
状況から考えて、ステイルと愛衣は元々顔見知りでお互いの所属を知っている訳ですし、
そのステイル自身最初から麻帆良が動いている事を知っていた事から見ても、
麻帆良が絡んで来た事自体は土御門も早くから把握していた筈です。
或いは、昔馴染みで独自に情報収集を始めていた刹那から、
千雨チームとは別に何らかの接触を受けていたのかも知れません。

しかし、一方で、学園都市は本来「魔法」禁制であり、
相手が昔馴染みの土御門であっても、
千雨チームが勝手に出入りしている事を簡単に漏らすとなると話は別です。
土御門ならその他の「魔法」側へのルートを持っていても不思議ではありませんが、
カミやんとの会話を聞く限り、そこに問題が生じていた様です。

その原因を作ったのが、ステイルさんじゅうよんさいの誇る三馬鹿モトイ三弟子の皆さん。
映画通りに学園都市内で一般人を巻き込んでアリサ拉致を企てた結果、
潜伏調査していた麻帆良の学園警備と衝突。

更に、麻帆良から潜入調査していた佐倉愛衣を気安く拷問するに至って、
流石の土御門も、イギリス清教盗聴器の立場ですから、
麻帆良側の感情悪化で相当に情報収集に支障を来していた様です。

挙げ句の果てに、この三弟子の皆さん、
イギリス清教の所属を示すケルト十字架を持つ姫神秋沙への接触を口実に
正式訪問している「魔法」の「英雄」ネギ・スプリングフィールドにまともに喧嘩を売るに至り、
近衛、青山恐怖の「お茶会」に召喚されるに至った土御門は殺すと口走っています。

>>539

その上に、主に騒動を引き起こしていた千雨チームの性質です。
麻帆良を訪れた神裂が相当に正確な推測をしていましたが、
学園祭の初期には、麻帆良学園の学園警備である高音や愛衣ですら、
無軌道に増殖するネギパの仮契約状況を把握していません。
しかも、夏休み終了後の多忙により、ネギ自身が従者である筈の千雨等を実質的に放置しています。
もっとも、本作では実際には裏で楓と通じていた訳ですが。

結果として、千雨達がめいめい勝手に動き出した場合、
つまり、ネギパそのものが、
麻帆良学園ですら正確な状況を直ちに把握するのが難しい、そういう実態があります。

そして、本作ではネギ自身がその事を逆手に取った節がある事も本人が語っています。
本作では、実の所愛衣は途中からある程度知っていましたが、
アリサ誘拐事件当日の件では「魔法」の所属でいながら無断で勝手な行動をしまくった千雨に対して、
正規の魔法使いである高音が手を上げる程に激怒しています。

そうなると、多角スパイである土御門でも、直接的な組織の管理を離れているだけに、
ストレートに状況を把握するのは難しくなります。
ピンポイントにネギパである刹那からある程度の情報を得ていた可能性もありますが、
やはり詳細な情報提供まではいかなかったからこそ、
神裂による情報制圧、と言うカードを切った筈です。

今回はここまでです。

今後の予定
人物解説は今回途中となった土御門含め残り三名。
多分、後の二人は書く材料もそんなに多くはないですが。
最終回補足書き下ろし短編少々。

これで今度こそ本作連載終了、の予定です。

続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事みたいに書いてたりします。

それでは今回の投下、入ります。

>>540

禁書サイド学園都市側続きです。


・土御門元春 その弐

本作の作者としては、土御門元春とその周辺に就いては、割と早く筋を思いつきました。
禁書とネギま!を多少なりとも真面目にクロスさせると言う時点で、
土御門を登場させるならば、元々は陰陽博士の俊英であった土御門が
あちらの方面と無関係と言う事はまずあり得ない設定と言う事になりますので。

と、言う訳で、本作の設定として土御門に関してクローズアップされたのは
ネギま!の神鳴流剣士、桜咲刹那との関係です。

刹那は、本作の最初に長谷川千雨から相談を受け、
本来魔術禁断である科学の学園都市で魔術師が関わっていると言う時点で
自分の心当たりを当たると言っており、
一方で、犬上小太郎はその心当たりはむしろ危険だと言って千雨と共に直接行動を開始しています。

小太郎は関西魔術、呪術の出身で、
その中でも未だにパートナーの夏美にもよう言えない汚れ仕事をして来た経験者。

そして、その小太郎に情報を齎した天ヶ崎千草はヴェテランの関西系東洋呪術師であり、
本作ではネギま!での失敗で牢内にいますが、
それでも神裂の暴走による麻帆良との武力衝突を聞きつけて
「絵ぇ描いたんは安倍のクソガキか」と喚き散らしていた事からも、
刹那、小太郎、千草、この三人の焦点が大体土御門元春だと見るのが妥当です。

刹那は、関西呪術協会と関わりの深い神鳴流の剣士であり、
呪術協会長ご令嬢である近衛木乃香の護衛も任された身。
現役の退魔師として、自身陰陽術の心得もあります。

>>542

ネギま!とクロスするなら、所属の有無は別にして明らかに関西呪術の勢力圏である
陰陽博士の土御門と接点があっても不思議ではない設定です。

そして、その二人の接点が徐々に明らかになるとともに、
一時は大変なすれ違いも生じています。

エンデュミオン落成当日の朝、
「怪獣」と化したハイブリッド・ヒュドラと対峙した刹那と佐倉愛衣の前に土御門は登場します。
その土御門に対して、愛衣が驚愕して炎剣を放って制止する程の勢いで、
刹那は本気で斬る勢いの剣を土御門に向けています。
そんな刹那に対して、土御門はプロの言葉で今すべき事は何かと問うています。

その前日、刹那は麻帆良学園都市で神裂火織と遭遇、
イギリス清教の「聖人」神裂火織に手も足も出ない程に叩き伏せられ、

そこに最も大切な親友である神楽坂明日菜、近衛木乃香を巻き込み、
明日菜は重傷、木乃香も命に関わる戦闘に巻き込んだ上に、
限界まで治癒魔法を使って昏倒と言う刹那にとっては痛恨の大失態。
麻帆良学園との戦争含みの事態すら引き起こしてしまっています。

諸々の状況から、刹那と神裂の遭遇、それも騙し討ちに近いものをセッティングしたのが
土御門である可能性は相当に高いです。

簡単に騙されて感情的になっているのならば、「裏の人間」としては未熟と言う事にもなりますが、
後に土御門は刹那の事を「堅物の妹分」と呼んでいます。
確かに生真面目過ぎる所はあっても、曲りなりに裏側の人間である刹那の反応からは、
間違いなく個人的に特別な感情、関係に他なりません。

陰陽博士だった土御門が当時どんなキャラクターだったのか、
それを想像するのは簡単ではありません。

一方で、木乃香との関係、出生に関して、様々に重いものを抱えていたのが刹那であり、
土御門はそんな刹那を「心配になる程堅物」であると、余りに的確に評しています。
刹那の事をそこまで理解し、最終的には刹那も「兄妹分」である事を否定していない。

二人のキャラクターを考えると、京都で接点があったのならばそれがどんな関係だったのか、
何となく見えて来そうなものがあります。
ぶっちゃけて言ってしまえば、生真面目で沈みがちな刹那を
土御門がいじり倒して結局は一緒に笑っているのがハマリ過ぎって事です。

>>543

土御門と刹那の関係は恐らく京都時代、それが何歳頃の事かまでは分かりませんが、
半身にも等しい関係だった木乃香と別れ、京から関東に下り
「呪術」から「魔法」への鞍替えで裏切り者の扱いを受けた上に
護衛として敢えて木乃香を避ける孤独の道を選んでいた刹那。

イギリス清教のスパイとなり、更には、存在意義にも等しい陰陽術を捨てる事を意味する
学園都市への潜入と言う、エリート陰陽師としてはねじくれ曲がって
一際優れていた筈の過去の全てを捨てるに等しい道行を余儀なくされた土御門。

京都の呪術世界と言う見るからに閉鎖的な所から、
程度の差こそあれ最も主流に近い所からアウトサイダー化していった、そんな二人でもあります。

刹那が土御門に向かって殺しに行く勢いで激怒したのが何か昔の因縁があったのか、
神裂の件でハメられたと思っているのか、
その理由は直接描かれてはいません。

しかし、土御門本人が言う様に、裏の世界では青き炎の如く、
冷徹な剣士である刹那がここまで我を失うと言うのは、
それだけ心を動かす何かが土御門にあった、と言う事に他なりません。

そして、それが憎しみだけではない事は、その後の展開を見ても明らかです。
それだけであるならば、刹那からあれだけの怒りを買って無事で済む訳がありません。

本作で、土御門にとって刹那は「妹分」です。
「妹」の一言を口に出した以上、「絶対の有言実行」であると、
本作に於いて宣言しています。

それが、あの温かくも狂おしき原作に比類するものかと言われて、
自信を持って頷く度胸は作者にはありませんが、
それでも、本作での土御門は、それに相応しいだけの有言実行を見せつけています。

>>544

そんな二人の関係にもう二人、深く関わる者が出て来ます。

レディリーの策略により学園都市の水脈から穢れが集約し、
「魔獣」ハイブリッド・ヒュドラが刹那、愛衣でも歯が立たない「怪獣」に進化した時、
その水脈を強制的に矯正して「魔獣」に引き戻した者がいます。
その時、「あにさま」土御門の事を誰よりも知る刹那が察した通り、
水脈の陰陽術を最も得意とする陰陽博士の仕業であった事は、最早疑いはありません。

科学の学園都市で能力開発を受けた者が、刹那が驚く程の力技の陰陽術を使えばどういう事になるか、
頼れる仲間に後を、義妹のいる世界を託して爆発した土御門の元に駆け付けたのは、
麻帆良の宮崎のどか、そして、近衛木乃香でした。
近衛木乃香、関西呪術、そして今や関東魔法の頂点にも立とうと言う血筋の「姫」が、
「シスコン軍曹」の「鉄の信念」に真っ向から立ちふさがります。

能力開発を受けた身で刹那が「力技」と言った程の大規模術式を使った事で、
土御門は最初から死を覚悟していましたし、辛うじて命を繋いだ土御門の体は、
木乃香が使う一般的な治癒魔法が却って危険になる程の大損傷を受けていました。

ここで、木乃香は切り札「いぶきどのおおはらえ」の発動を決意しますが、
それに反対したのは他ならぬ土御門本人です。
魔道図書館インデックスですらこれほど見事なものは見た事が無いと言う
木乃香の絶対治癒魔法「いぶきどのおおはらえ」ですが、
そこは東洋魔術が専門の土御門です、およその事は把握していました。

土御門としては、最優先されるべきは義妹舞夏のいるこの世界を守る事。
木乃香を初め千雨チームの行動、情報から言って、
どっかの馬鹿な英雄同様、大人が止めたって友達の為に突き進む筈。
世界の滅亡を望むレディリー・プランの阻止には、その理屈抜きの馬鹿どものパワーが必要。
それを、この夏以来そういう同種の馬鹿な親友とつるんで来た土御門はよく理解していました。

そのためには、いかに巨大な魔力容量でも一日一度が限度の
「いぶきどのおおはらえ」をここで使わせる訳にはいかない。
例えここで自分が朽ち果てようが、この先の戦いのために温存して勝率を上げる。

>>545

その、文字通り命懸けの土御門の訴えを、木乃香は怒りと共に一蹴します。
かつて木乃香は「守られる側」の人間でした。
そのため、一番大切な親友を傷つけ、疎遠になった事もあります。

本作でも、神裂火織の暴走を前に、大切な人達が傷つくその場で、
「姫」と呼ばれながらもそれを振り払う様に懸命に闘いました。
その痛みを知る木乃香にとって、土御門の信念はその身に代えて許す事が出来ないものでした。

愛するが故の、一方的な自己犠牲、残された者の哀しみ等要らない。
それを主張するために培って来た極上の治癒魔法をもって
「姫」木乃香は「シスコン軍曹」土御門に応じます。
どちらか正しいか、それは野暮な事です。
後の描写からも、その、互いの想いは通じた筈です。

そして、ネギ・スプリングフィールド。
「魔法」の「英雄」にして、現在の刹那の仮契約マスター。
巨大プロジェクト「Blue Mars」計画の実質的な責任者として、
魔術と科学の裏に関わる土御門とネギは嫌でも接点を持つ事になります。

ネギは土御門を優秀な工作員として、
土御門も又ネギを「英雄」と呼ぶに相応しい実力と度量の持ち主である事を、
互いに相手の実力を認めています。

そして、それだけの漢に、
可愛い「妹分」が惹かれている事も土御門はしっかりと察知しています。
だからこそ、「兄貴」としては一本太い釘を刺す必要がある訳です。

「英雄」と言うものは一面余りに危うい、それが強い程に。
その事も、土御門は恐らくその身近からよく理解している事でしょう。
だからこそ、そんな「英雄」に惹かれる事も、その危うさも。

エンデュミオンの事件後、「魔法」は、
多角スパイ土御門元春との連絡役として桜咲刹那を差し向けます。
この人選を行ったのは恐らくネギ、
少なくとも現状の刹那に対して責任を持っているのは間違いなくネギです。

>>546

舞夏に手を出したレディリーの処遇を巡り土御門が暴走しかねない、
放っておけば草の根分けてでも探し出して血祭りにあげる、そうでない方がおかしい。
それが土御門元春であると、その事を理解しているからこその人選、
「妹分」をストッパーにつけたと言うのであれば、
これは土御門の胸中を考えると相当キテる状態の筈です。

反面、刹那が言う通り、世界規模で考えた場合、レディリーに関して
命を助けてしまった以上、害も無い状態で土御門にこれ以上余計な事をしてもらっても困る訳です。
「Blue Mars」計画の責任者、「魔法」の「英雄」にして世界を救う妹の彼氏候補としては、
土御門の親友な「英雄」には難しそうなこのぐらいの狡猾さが無ければ困る、
と言う事も土御門が一番よく知っている事でしょう。

そうでなければ、あの程度の警告では済みません。
「妹」を使って土御門に踏み込んだと言う時点で、
例え相手が「英雄」でも知略の限りを尽くして背中を刺しに行っている筈です。

かくして、愉快で少々複雑な四角関係が成立しました。

土御門を文字通り殺しにかかっていた刹那でしたが、
ヒュドラ退治後は一応打ち解けたw状態に。
それは、一番には、ヒュドラ戦での土御門の役割、
それを誰よりも理解していたから、これ以上の言葉は要らなかったのでしょう。
そして、土御門と木乃香はせっちゃんを愛でる会へと一直線に。

これが、冗談でもなんでもなかった事が後に判明します。
ヒュドラ戦を経て「兄様」の呼び名を取り戻した刹那と土御門。
エンデュミオン事件の後、
刹那は「魔法」サイドに於ける土御門との連絡役に選出されます。

その決定をした「魔法」、引いては「英雄」ネギ・スプリングフィールドに対して、
土御門は「妹分」を弄んで終わるならば、その時は、
と、「妹と書いて人生と読む」男の「絶対の有言実行」を宣告しています。
そして、その宣告を仲介したのが他でもない近衛木乃香です。

>>547

この事自体、この世界の政治的には大変な意味を持っています。
イギリス清教と科学の学園都市を繋ぐトリックスターの多角スパイと
日本の「魔法」サイドの次代を担う近衛家のご令嬢、
しかも、世界を左右し宇宙に手を伸ばした「Blue Mars」計画中枢の真横辺りが直結する。
それも、表向きは「科学」に走った、つまり表面上は裏切り者以外の何物でもない扱いの筈の
元陰陽博士が東洋呪術の頂点と言ってもいい近衛のご令嬢と、です。

そして、何よりも、この二人は「せっちゃんを愛でる会」のコア会員だと言う事です。
刹那は誰よりも誠実で、そして冷徹な青き炎の下には熱い赤い炎を秘めた情熱的な娘です。
そんな刹那を利用して使い倒す、そんな事が行われた場合には、
「トリックスターの多角スパイ」と「東洋最強の姫君魔法使い」が、
例え相手がネギ、引いては世界そのものであっても反旗を翻す。

恐らくネギも又そうである様に、土御門も、木乃香も、土御門がよく知っているどこかの「英雄」同様、
正義だ世界だ宇宙だ、と言う前に、目の前の絶対に大切にしなければならない仲間、
そのためだけに命を懸けて世界に対して僅かばかりの悪を為そう。
間違いなくそれだけの誓いを立てる、そんな面子です。

そして、それはネギも本来同じ筈です。
ネギは元来誰かを、特に親しい人を傷つける事を何よりも嫌う、優しく誠実な紳士です。
過去の数々の事件に於いても、「僅かな犠牲」による妥協に屈せず、
しまいには「英雄」と呼ばれるまでの、全てを救おうと言う困難な道を貫いて来ました。
そして、刹那は翼ある剣士として、そんなネギを身近で見て、共に戦ってきました。

「裏のトリックスター」である土御門は、
ネギの行く道の困難、危うさを誰よりも知っています。
そして、刹那の「守る者」としての強さ、頑固さを誰よりも知っているのが木乃香です。
土御門も又、守る者、強き者の苦悩をよりも知っています。

つまり、この二人、土御門と木乃香は、「側で見る者」として
「強き者」、「守る者」の危うさを誰よりも知っていると言う事です。

>>548

「英雄」としての責任、大義、
引いては莫大な人命を背負ったネギが何を優先してどういう選択をするのか。
ネギの暴走の危険もありますが、見守る二人にとってむしろ危険なのは、
性格的に言ってそうした事をむしろ刹那が先取りし、
ネギに苦悩が及ばぬ様に我が身を犠牲に「斟酌」してしまう事ではないかと思われます。

既に、ネギの計画、ネギの思いネギの、そして恐らく明日菜の犠牲、それに比べるならば、
と言う刹那に対して土御門は釘を刺しています。
もし、自分の仲間がそんな風に下に見て見下されたならばブチギレる、
それが刹那の信じる「英雄」、それが自分で自分を卑下するものであってもだ、と。

その事、大事な「妹分」の信を得るだけの「英雄」の心、資格を忘れた時、
「妹」の一言を口に出したシスコン軍曹の有言実行は
何があろうと背中から心臓を抉るのでしょう。

土御門も木乃香も、もちろん刹那も、本質的な所ではネギの事を信じています。
だからこそ、巨大な利権、そして大義の中でネギが、或いは刹那が何かに飲み込まれそうになった時、
思い出させる鍵となる知略と実力、そして人脈になり得る。そんな頼もしい存在です。

さて、本作に於ける土御門の背景に就いてもう少し。
両作品のクロスオーバーからストレートに考えるなら、
土御門はかつて関西呪術協会の所属だった、この事を否定する方が難しいです。
まあ、「土御門」に関しては色んな作品がありますから、
クロスするなら結局の所はどちらの作品の世界観が主導権を握るか、と言うメタ話になりますが。

只、作品描写から考えても、直接所属していたか、或いは関西呪術協会のそれも上層部と
非常に近い関係にあった、それを否定するのは無理と言ってもいいでしょう。
原作の土御門は、陰陽師としてそれだけの重要な地位に就いていました。

ハッキリ言って、このクロスオーバーであるならば、
土御門が関西呪術協会、むしろ近衛家の意向で学園都市に潜入して今でも情報を提供している、
そうであっても不思議じゃないと言うよりそっちの方が説得力があるぐらいです。

>>549

しかし、本作中の描写ではどうもそうでもない様です。
今や近衛家とも直結している「英雄」ネギ・スプリングフィールドが公式訪問中に
ネセサリウスの襲撃を受けると言う事態の後、そんな状況下で

近衛三代、青山家、曜変天目と言う、
マフィアの晩餐なんてレベルじゃねぇお茶会に召喚されています。
更に、鳴護アリサ誘拐当日のカオスの後には、
「季節の鱧松茸鍋パーティー」のお誘いを受けたとの事です。

土御門の器量、要領であれば、本当に近衛家の意向を受けているのであれば
もう少し上手く立ち回っていた筈ですし、もう少し胃腸にも優しかった筈です。

そう考えると、少なくとも土御門の主観としては、
刹那にも言った通り、裏側であっても本当に近衛家との直接的な関係は切れている様です。
天ヶ崎千草の反応を見ても、千草は標準よりも極端な様でしたが、
イギリス清教の挙句に科学に走った陰陽博士が、かつての西洋魔法との戦争の記憶も癒えないと言う
保守的なネギま!関西呪術の世界でどう見られているのか、想像に難くありません。

只、刹那の言う通り、近衛家にも直結に等しい「Blue Mars」計画に当たっては
イギリス清教、学園都市、その折衝役である土御門の存在は欠かせない訳です。
無論、刹那は魔法、呪術協会つまりは近衛家の承認を得た連絡役の筈ですが、
更にその裏で木乃香が個人的に土御門と繋がった事に関しても、
近衛家が黙認している。そう考えるのが自然です。

そう考えると、日本「魔法」の東西協会トップ唯一の直系子孫にして東洋最大級の魔法使い、
「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドの仮従者にして実質的な甘々お姉ちゃんw
土御門もとんでもない駒を掴んだものです。

実際、「せっちゃんを愛でる会」の同志でありつつ、
要所に於いては土御門は木乃香に対し礼を以て接し、木乃香もそれに応じています。
今はどんな形になろうともかつての陰陽博士、そういう描き方です。
凄く綺麗に言えば、次世代の平和の布石、なのかも知れません。

>>550

かくして、かなり個人的な動機でかなりすっごい人脈を構築しつつあるつっちーですが、
シリアスモードで終わるのはもったいなさ過ぎるシスコン軍曹。

せっちゃんを愛でる会プラチナ会員として、
正統派メイド義妹の軍隊式鉄拳制裁にもその志を曲げなかった漢として、
せっちゃんのネコミミ和装メイドを目の当たりにして感涙に号泣し
建御雷を振りかぶり殿中でござるの刹那を遠景に同志近衛木乃香とその喜びを共有する。

そんな素晴らしい妹やら準妹やらを旗立てしておきながら
「魔法使い」佐倉愛衣にもちゃっかりとじわじわと侵蝕。
とにかく、デルタフォースな多角スパイとしては、
真面目な「麻帆良の可愛こちゃん」を見逃す手はないと言う事で。

ヒュドラ事件の際には、魔法使いの優等生らしく理解の早い愛衣に感心して
刹那から更なる殺意を向けられていた土御門でしたが、
その後、とある病院でも目の治療を終えた愛衣と遭遇。

相変わらず科学と魔術と魔法が交差しまくった事態の頻発に
血反吐吐いた悶絶シーンを展開して愛衣から絶叫されたり、
エンデュミオン事件後にはステイルの病室で遭遇して
どっかの黒くてチビなワンパク坊やの件でいじり倒して不穏な呪文詠唱を聞いてダッシュで逃走したり。

>>551

その後も、可愛い妹を愛でるためなら力の限り命懸けの働きをいとわないシスコン軍曹の事、
同居済み鉄板フラグからNTRゲット移行させるべく様々な画策を展開。
建宮斎字と組んでどんな鉄板フラグだろうとNTR確実だと言うアイテムを売り付けようとして、
高音さんにバレて土御門プロデュースメイドコレクションとしてしかるべき所に連絡された結果、
背後に上から負荷のかかった警備ロボットが接近していたり。

そんな土御門に愛衣もいい加減図太くなったのか、
業務用携帯に電話して来てスリーサイズの情報提供を求めると言うセクハラまんま発言を炸裂させる土御門に
よろしい、ならば戦争だ、
頭痛を鎮めるために直径三メートル程の火炎ボールをそっちに送りたいんだけど、と、
無感動な表情と平坦な声が目に浮かぶやり取りで切り返したりもしていますが、
実際問題、その辺の愛衣の周辺人間関係や、現状麻帆良学園警備の仕事をしている
愛衣の非通知でも絶対出なさいの特別な携帯番号をgetしてるのは流石は土御門と言う手腕です。

元々の用事は雲川先輩と高音お姉様に関して
不穏な動きがあるからと言う注意喚起が多分本題の電話でしたから、
麻帆良の現場レベルとのパイプもいつの間にか繋いでしまう辺りは抜け目のない手際の良さです。

いい加減冷淡にあしらわれても熱いセールストークを展開する不屈の闘志を見せつける土御門ですが、
その結果、ネコミミ和装メイド天使な妹分から、
ところでオニイサマ、又、ですか、
とばかりに満面の笑みのご褒美をいただいた模様ですので幸せそうで何よりでした。

今回はここまでです。続きは折を見て。

乙です

注意書な現状報告

作品自体は終了、気軽に始めたつもりが泥沼はまり込んだ感じで
人物単位ネタバレ後書き解説が継続中。
なぜか作者が他人事みたいに書いてたりします。

それでは今回の投下、入ります。

禁書サイド学園都市側続きです。
後二人と言ってましたが、一人追加します。

>>552

・電話の女

学園都市暗部組織「アイテム」の麦野沈利以下に電話で指示を出している女。
原作の描写を見ると結構豪快な性格らしい。
本作での初登場は、鳴護アリサ誘拐事件に巻き込まれて
「アイテム」の面々が千雨チーム運動部と交戦に陥った後。

事態を穏便に済ませるためにファミレスでの損害を組織で支払ったから
後で報酬から差っ引くとかで、それを聞いた麦野の手の中で携帯が不穏な音を立てています。

研究所に絡む謎の情報提供に絡んで、その情報を裏取りした内容を麦野達に伝えたのも彼女。
その際、他の暗部組織の機能停止もあって、
「仕事になりそう」と言う理由で麦野達に介入を示唆。

見た感じ彼女の判断の様ですが、その結果、
麦野達はハイブリッド・ヒュドラ事件を初めとしたレディリーの引き起こす事件の最終段階に、
元々映画にはなかったヒュドラ事件を初め原作映画から見たイレギュラーな存在として
ブチコロシかくていモードで突入していく事となります。

>>554

・風斬氷華

本作では作者から最後まで髪色間違えられてた不憫な娘、すいませんでした。

と、言う訳で、茶髪ではあっても飾り気のないロングヘアに
シャツブラウスの制服姿、
知的で清楚ながらちょっとずり落ちた眼鏡が可愛く抜けた所もある印象の謎の女子高校生。

登場自体は早い段階から登場しており、
アリサ探索のために学園都市内のゲームセンターに出入りしていた長谷川千雨と接触。
プリクラに関心ありげなのを見て声をかけていますが、
千雨の方は風斬の事を観光案内用ホログラフィーだと勘違いしていました、最後まで。
それでも、流石にトンデモに耐性の出来ている千雨と楽しそうにプリクラ撮影をしています。

落成当日のエンデュミオンに、表面上は人間に見える姿で唐突に登場。
レディリーの召喚したハルピュイアに襲撃されていた所を
千雨に同行した佐々木まき絵らに救出されており、
プリクラの事を覚えていた風斬と会話をした千雨は、
ゲーセンで会ったのはリアル風斬をモデルにしたホログラムで
あの時の事をどっかでモニターしていた、と推測しています。

とにかく、単独行動は危険だと主張する千雨に従い風斬も千雨チームに同行する事になります。

諸事情で千雨、朝倉と共にサブコントロールに残留した際、
葉加瀬聡美からレディリーの電子結界による情報封鎖が解除されたとの連絡が入り、
そこから入手した情報の分析が行われます。

その中で、隠匿されていたオリオン号事件、
鳴護アリサの「発生」に関する辻褄の合わない話が取り上げられますが、
そこに割って入ったのが風斬です。
風斬は、学園都市と言う能力者の街で人の思念が集中する事故現場に唐突に現れた事から
アリサがAIM拡散力場の集合体と言う仮説を立て、葉加瀬も同調的な発言をしています。

その後、サブコントロールにシャットアウラが現れ、
半ば狂乱したシャットアウラと交戦。
風斬は激しい銃撃を受けながらも千雨と朝倉をアリサの元に行かせるために楯となり、
最終的にはレアアースペレットで部屋ごと爆破されるに至っています。

>>555

無論、その効果は風斬にとっては一時的なもので、
そんな事情を知らない千雨の要請で救出に来た近衛木乃香、宮崎のどかと合流。
以後、木乃香とは途中で分かれ、のどかと共に行動。

途中、亜子、まき絵、夏美、最終的には木乃香と柳迫碧美、削板軍覇と合流。
そのままエンデュミオンを脱出する予定でしたが、
「シャットアリサ」の歌を聴き、回転を始めた風斬は唐突にやる事があると残留を宣言。
その表情の根性を認めた削板により彼女の意思が認められています。

その後、レディリーのいる特別展望室を半ば光と化して突破、
そのまま宇宙に飛び出してレディリーが巨大術式で途中まで召喚した巨大デーモンを抑制、
ネギと共に時間を稼いでいた白く輝く少女。
タイミング的に見てもどう見ても、と言う事です。

ここまでざっと流れを追いましたが、
アリサがAIM拡散力場ではないかと言う仮説、
もちろん、そのものズバリである彼女の事です。
状況の異常さから言っても最も理解出来る仮説でしょう。
しかし、その一方で、最もよく知っているからこそ、その限界も理解しています。
アリサの「奇蹟」パワーが余りに強すぎるため、
能力の影響による辻褄合わせで説明できる範疇を超えている、と、疑義を呈しており、
それは葉加瀬も納得する内容でした。

何よりも重要だった事は、それを踏まえて千雨と朝倉に問うた事です。
もしかしたら人間ではない得体の知れない何かかも知れない、
それでも、命懸けでアリサを助けに行くのかと。
この質問を発した風斬の心中は、只、察するに余りあると。

危険な状況であっても風斬の救出に時間を割き、行動を共にしてくれた、それが千雨達です。
敢えて、そんな優しい人達に嫌われ役の質問を行ったのも、
そんな人達が後悔の中で命を喪うよりはマシ、そう思ったからではないかと。
それに対して、千雨も朝倉も笑い飛ばし、現実的で誠実な質問である事を認めた上で、
友達だから、友達の友達だから、自分のハートが命じる事だから仕方がないと即答しています。

まあ、確かに、この二人の場合、
人間じゃない、だからどうしたの?と言っても不思議じゃない人脈、友情を元々持っていますから。

>>556

その直後、風斬はそんな二人の思いを手助けして、
暴走するシャットアウラから二人を庇い先に行かせてシャットアウラの前に立ち塞がります。

いつ崩壊するか分からない、つまり、化け物と言われるか分からない。
それでもシャットアウラの銃弾の楯となって二人を守り、シャットアウラに懸命に縋りつきます。
実際、右目をまともに銃撃された後の風斬を見て
シャットアウラは言葉に詰まっていますので、あれを見たのでしょう。

本来、風斬はシェリーのゴーレムと部分破壊再生しながらもガチバトル出来る程度には人外な筈ですが、
その馬鹿力でシャットアウラを傷つける事を避けたためか、
格闘術に長けたシャットアウラとの白兵戦に苦戦。
最後にはレアアース・ペレットで部屋ごと爆破されてしまっています。
もちろん、風斬の事ですからその被害も一時的なもので済みましたが、
それでも、宣言に反してシャットアウラを逃がすだけの時間を作ってしまいました。

そして、千雨は、それ以前に散々銃撃を受けていた風斬を懸念し、
治癒魔法を使う近衛木乃香と、
木乃香と二人で辛うじてシャットアウラに対抗する目のある宮崎のどかに
風斬の救出を要請、快諾されています。

とっくに死ぬ程の銃撃を受けながら、
能力者だからと称して無事だった風斬に千雨も当然何等かの異常は察知していたでしょうが、
だからと言って、風斬の事情を知らなかった以上、
それだけの銃撃を受けた風斬を放置すると言う選択は最初から無かった筈です。
深く接したのはエンデュミオンで出会ったほんの短い間、
そんな事は関係なかったのでしょう、お互いに。

風斬はかつて、そういう熱い思い、馬鹿げたぐらいに真っ直ぐに守ろうとする心、
それに接して、自らそのために闘った事があります。
千雨も、やはり欲張りに全てを守ろうとするそんな馬鹿に感化されて、
その結果としてそんな仲間と共に無茶を承知でエンデュミオンにいたのですから。

エンデュミオン事件の最終盤、
白く輝く謎の存在が特別展望室を突き抜けて宇宙に飛び出しています。
その関係情報を総合すると、
シャット・アリサの歌の完成と共に、その歌に合わせて風斬が回転。
皆が避難する中、残留を決意。

その後、シャット・アリサの歌と共に白い光がレディリーのいる特別展望室を突き抜け、
大量の魔素人形を召喚術式ごと消滅させ、
ついでにアリアドネー騎士団が展開した防御結界も解除。
アリアドネー騎士団も頭痛と不快感を訴えています。

>>557

原子崩しの超能力者である麦野沈利は、この光を電気に似ているが電気ではないと分析。
光は人間の様にも、人間サイズにも巨人にも、
少女の様にもそれにしてはやけに丸っこくも見えたと言う事。

ネギが明日菜と共に宇宙空間に移動、召喚の始まったデーモンと対峙する中、
ネギはマジック・キャンセルに近い反応を察知して回避行動をとっています。
そこに宇宙空間を飛行して現れたのが白い光の少女で、
デーモンの顔面をぶん殴った上に雷の様な光を浴びせて対抗。

ネギ、明日菜と合わせてもほんの僅かな時間しか稼げない状況でしたが、
それでも、宇宙規模で地球を破壊する程の巨大デーモン相手に
一人では秒も保たない、と言う程度には、
ネギ達と共に予定限界三分と言う非常な善戦を見せています。
はい、どこから見ても、です、本当にありがとうございました。

少し真面目に考えますと、
そもそも、千雨が最初に見た時の様に学園都市をホログラム状態で彷徨っている風斬が
何で又学園都市から離れたエンデュミオンに人間体で唐突に現れたのか。

そして、レディリーの魔素人形を術式ごと吹き飛ばし、
宇宙規模のデーモン相手に僅かでも影響を与える、非常に強力なモードに入っていました。

風斬氷華は、鳴護アリサがAIM拡散力場、
つまり風斬と同様の存在ではないかとの仮説を立て、
余りに強力な「奇蹟」のパワーにより自らその仮説を疑問視しています。

レディリーは、その「奇蹟の歌」の聖人に匹敵する巨大な力を核に
それを奉ずるファンの熱気、エクスタシーを捧げる事で超巨大術式の発動を行うべく、
エンデュミオンに魔術、科学のエネルギー循環回路を展開。
結果、その巨大なパワーがエンデュミオン内で暴走し
ギリシャ神話の魔獣やら魔素人形やらが大量召喚されるに至っています。

そして、エンデュミオン自体が学園都市を核としている以上、
レディリーがエネルギーの吸い上げに使った観客に
多くの能力者が関わっていたとしても不思議ではありません。

>>558

つまり、あの日、エンデュミオン内に高濃度高密度の風斬氷華が登場したのは、
エンデュミオン内の人間エネルギー循環を効率化したレディリープランの副産物。
概要としてはあり得る仮説です。
そして、只でさえ高品質のエネルギーから具現化した風斬が
二人が一つになった最強の「奇蹟の歌」を受けた結果が………

そんなんで、原作のあの時系列の段階で
非常に安定した人間型風斬氷華や間違いなく本人の意思で宇宙空間でも安定の性能で
秒単位でも宇宙規模の巨大デーモンに力押し出来る
高品質ヒューズ=カザキリなんて代物が飛び出した日には、
しかも、それが実質学園都市のテリトリー内とあっては、
絶対放っておかなそうな人がいる筈なのですけどね………
+
実際、宇宙空間で燃料切れを起こして?落下して来た白い少女を抱き留めたネギ君、
応用魔法理論の天才でもある「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドも何か思う所があった様です。
彼女と接触したと、学園都市の通信を統べる者に聞こえよがしな電話を掛けて見たり、
葉加瀬に依頼して自分が感知した「電気の様で電気ではないもの」の解析を依頼したり。
もっとも、葉加瀬に関しては、その過程で何かの危険を察知したとかで魔法世界への留学が決定していますが。

エンデュミオン事件が終わった後のネギは、
近い内に確実に「科学」と「魔術」の間で戦争クラスの紛争が起きる、
絶対に見逃される筈の無いものが存在している、と言う事を察知して
それに合わせたプランを進行させています。

風斬氷華と言えば、その最大の特徴は、なんと言っても最大の特徴です。
千雨と最初に出会った時には、観光案内用のホログラフィーと最後まで思われていましたが、
ともあれ、その時には、ゲーセンでコスプレプリクラを一緒に撮影しています。

ネギと小太郎のやや手荒な介入もあって学園祭で三次元デビューも果たしたちう様。
こういうのは本来そんな千雨のホームゲーム、と、なる筈が、
おっとり眼鏡のおどおどタイプに不釣合いなワガママバディ。
それが、イメージ大逆転の悪の組織大幹部のブラック紐ビキニアーマーを
こちらも本来ちうの十八番である自然なおどおどびくびくの
その隙間って隙間から見えるのは爆裂むっちりダイナマイト。

と言うとてつもなく狙い過ぎに盛り過ぎに溢れんばかりに盛り沢山の現実を前に、
ネットの女王コスプレイヤーちう様は些か錯乱の模様。

>>559

それは、エンデュミオンで具体化した後も変わりなく、
並の成人女性でも引けを取らない麻帆良学園3A第四位の実力者
朝倉和美にしてたじっと後じさりし、朝倉の見立てではメートル行ってる?

佐々木まき絵からもしっかりマークされて、
サブコンのおやつ休憩で亜子に勧められた
カマンベールやらマスカルポーネやらを風斬が喜んで受け取っているのを見て、
まき絵はその辺りに秘密があるのでは等とバカピンクらしからぬ鋭い洞察を展開したりしています。

途中で離ればなれになった後、
千雨が木乃香とのどかに風斬の救助を依頼した際には、その特徴の数々を説明した上で、
「多分那波よりデカイ」
と言うとんでもない一言付け加えています。

千雨と初春のどっちが強いってレベルじゃありません。
3Aの人間であれば、その一言の重みはよく分かると言う事で、
実際、風斬に合流した木乃香とのどかも上から下まで観察して
まず類似品はあり得ないと言うレベルで千雨の言う通りだと確信しています。

それは、「魔法の英雄」様も同じ事で、
宇宙空間でしっかと受け止めた際には背後で赤いヴァルキリーが拳を鳴らし、
聞かせる事前提の報告電話でも、
いつも通りイギリス紳士の素直過ぎる褒め言葉をその点に就いてもしっかりと付け加えています。

とにかく、その意味に於いては、内部的にも比較対象がイカレてる事で知られている
3Aの強者達、目の肥えた面々にしてこの反応だと言う事です。
そうだとすると、静菜先生クラスって事でしょうか、
禁書でもあの人に張り合えるって言ったら食堂のシスタークラスではないかと適当以下略

>>560

・アレイスター=クロウリー

「君達の作る新しい世界と言うものがどういうものか、
ここで楽しみに待たせて貰うとしよう、姫の帰りたもうその世界を」

学園都市統括理事長、つまり、科学サイドの一番偉い人。
それでいて、かつての大魔術師と同一人物。
そして、多分どっちのサイドにしてもむっちゃ強い、最強クラスであろう人。

………何やってたんだ、この人?

実際、本作の読者レスでもしばしばよく言われてましたが。

そもそも、本作の原作映画でも
学園都市どころか地球レベルでかなり大変な事になってたのに、
事後処理以外何やってたのかよく分からなかった人でして(汗)。

それに、本作でもしばしば言われていますが、
映画だけ見ても、レディリーのプランそのものが禁書世界に於ける戦争の火種になりかねない
魔術と科学の交差点として非常にヤバイ代物なのですが。

だからと言って作者が調子に乗ったのか、
本来学園都市には立ち入れない「魔術」である「魔法」サイドから
夏休みに一応世界一つ救った程度の実力者である千雨チームが度々不法侵入したり、
レディリーがハイブリッド・ヒュドラを初めとして原作映画の何倍増しで
学園都市に対して直接魔術テロを展開したりと、
好き放題のグレードが多少上昇しても目立った動きはなし。

ついでに、本作の登場自体はそれなりに早いですが、
それはネギが学園都市を正式訪問した時。
流石に、「魔法の英雄」が「特例」として学園都市を訪問したと言う事で、
それに関して、実際許可したアレイスターと土御門が言葉を交わしていた模様。

>>561

そもそも、「知らないとおかしい」のがアレイスターである事は、
原作禁書を知っていれば当然の話です。
まず、イギリス清教が聖人と認定して学園都市内で動き出していた
学園都市の生徒でありネットアイドルでもある鳴護アリサ。

その鳴護アリサと、「魔法」サイドである筈の麻帆良学園の長谷川千雨が
ネット上、メール交換で交流を始めている時点で、初春どころかアレイスターが
少なくともアリサの側の電子情報を丸裸にしていない道理がありません。

と、言うか、それを言うなら、そもそもレディリーの電子結界自体存在する方がおかしいのですが、
その辺は何を今更(土下座)。

その上、レディリーの情報操作で暗部組織をいい様に使われて、
「魔術」である「魔法」の、それも「英雄」の側近である千雨チームと
レベル5を含む暗部組織が直接衝突、なんて原作基準でも前代未聞の大事件まで発生しています。
その辺、土御門もレディリーに対して「本気で騙せたと思っているのか?」と
アレイスターの掌の上である事を示唆しています。

原作から言ってそうに違いない、とは思うのですが、
「魔法」の千雨チームと暗部組織の直接抗争なんて事態をよく許したものです。

確かに、原作中でも「メンバー」の仲介人が権限を濫用したり、
情勢の変化があったとは言え、この後の時系列では垣根帝督等が反乱を起こしたりしていますので
暗部に関してどこまで掌握しているか、遊ばせているのか未知数な部分もありますが、
「魔術」サイドの有力部隊との直接対決となると話は別の筈です。

しかも、元々がギリシャ占星術のシビルと言う「魔術」サイドのレディリー=タングルロードが
なぜか科学サイドの宇宙開発大企業のトップとなり、
ここまでは映画通りでしたが、本作では、両方に跨る逸材と言う事で、
学園都市の「科学」サイドに侵蝕しまくると言う荒業を展開しています。

>>562

「科学」サイドの心の隙間に付け入る形でカルト宗教の黒幕となり、
自分が経営するオービット・ポータル系の研究所や常盤台を侵蝕。
食蜂がマジギレする巧妙さで常盤台の能力者生徒を魔術洗脳して「アマゾンの戦士」に仕立てたり
秘密裡な生物兵器開発を更に侵蝕して魔術と科学の交差した
ハイブリッド・ヒュドラを生み出したりと正にやりたい放題。

まあ、それを言ってしまえば、「科学」のエンデュミオンで「魔術」を発動させて
地球を破壊すると言う事自体(イヤナンデモナイデス)。

結局の所、起きてる事は映画と大した変わらないし、まあ、程度の差こそあれ、って事で、
と言うのはせいぜいレディリーサイドで、
「魔法」や暗部の介入となると、そんなレベルでは本来無いのですが。

一応土御門が解説したアレイスターの意図によると、
ハッキリ言って自分が死にたいだけのレディリーのプランは本人が満足するだけで誰も得をしない、
正確に言えば、本人が満足しない事すら確定している
(byインデックス)ので誰一人得をする者がいない。

その状態で既にイギリス清教と魔法協会が絡んで来ている。
「魔術」サイドでも現実的な科学との友好関係を築いている両者であれば、
「魔術」サイドであるレディリーを秘密裡に処置する。

その性質上「魔術」と「科学」の関係破綻を引き起こしかねない、
単なる死にたがりの跳ね上がりに過ぎない何の得にもならない
レディリー・プランの表面化を彼ら「魔術」サイドの科学協調派、
特に「Blue Mars計画」を抱えた「魔法」サイドは死活問題として是を回避する。
そういう読みがあったために、後は珍しい「魔法」のデータ収集がてら放し飼いにしていた、と言う事です。

>>563

そんなアレイスターに少々小賢しいチキンレースを仕掛けた、と、土御門が読んでいるのが
「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールド。

彼の提唱した「Blue Mars計画」は
既に「魔術」サイド、そして「科学」サイドからも実利的、人道的に賛同を得ていると言う事で、
「魔術」サイド「魔法」の「英雄」でありながら特例として学園都市を訪問。
そこで、レディリー・プランを逆用して、それを「科学」による「魔法の英雄」、
引いては地球そのものへの敵対行為とみなして武力制圧を仕掛ける。

「魔術」と「科学」の全面衝突を引き起こしかねないレディリー・プランの暴露を盾に
武力制圧の上に有利な和解条件を引き出す。土御門はネギの狙いをそう読んでいました。

そして、結標の協力を得て「窓のないビル」でアレイスターと直接会見した
「魔法の英雄」ネギ・スプリングフィールドは、完全に圧倒されています。
「窓のないビル」自体、科学、魔術により途方もない結界が張られている、
そして、アレイスター自身が「魔法の英雄」ネギから見てもひたすら桁違い。
むしろ、ネギだからこそ底の見えない途方も無い存在である事が理解出来た状態です。

土御門の読みが正しかったのか否か、そこは明記されていませんが、
ネギはアレイスターから事態収拾の承諾だけを得て、
アレイスターから辛辣な一言を浴びながらその場を離れています。

外交上の利害計算が全く通じない相手、そして、それを押し通すだけの「力」を持っている相手。
ネギは、それがアレイスターであると理解しています。
ネギが本当の強者、そして、本質的には理論家肌の真面目なタイプだからこそ、
馬鹿げた希望的観測で相手を見誤る事はしないと言う事でもあります。

それにしても、アレイスターの一言、学園都市内の事ならまだしも、
「この世界」ですらない魔法世界の事件と解決、その本質の秘密すら把握しているのだとすると、
やはり、底が知れません。

結局の所、レディリーの事件に関しては、
ネギの介入で映画とは少々違った形での解決となります。
映画ではアレイスターに捕獲されて半ば生きる標本と化したレディリー。

それに対して、ネギはレディリーの不死の呪いを解除、食蜂とステイルと言う
「科学」と「魔術」の力を借りて記憶を消して顔を変えた上で地球上のどこかに追放する、
と言う荒業をかました上に、その事を明らかにアレイスターに聞こえる形で通信しています。

その時も解説されている様に、ネギも含むこの三者で作業を行った事で、
既に根回し済みのイギリス清教を含め
科学、魔術、魔法、その三者の共同作業と言う政治的体裁が整えられています。

>>564

小ネタ劇場や、そもそも只の記憶の無い幼女一人ネギ君が本当に野放しにするかと言う事も含めて、
実の所、ネギがレディリーを保護していた可能性も決して小さくはありません。
だからこそ、食蜂を巻き込む事で、レディリーの頭脳と言う学園都市サイドの機密情報の引き抜き、
と言う疑いを気休め程度でも回避したのかも知れませんが。
更に、ネギはイギリス清教とロンドンの魔術結社の魔術サイド両睨みで
資金面、工作面から「Blue Mars」計画の核としてのエンデュミオン引き抜きを画策しています。

無論、多少腕が立って頭の切れる小僧っ子一人にいい様にされるアレイスターではありません。
ネギ自身が、彼自身が非凡な魔法使いであるからこそ、その事を一番痛感しています、
ネギが協力者としているローラも同様、本作と原作を合わせると
ネギとアレイスターの両睨みを仕掛けていて、ネギ自身がそのローラと魔術結社を、と言った塩梅です。
その上、「魔法」と学園都市の中の無視できないポジションに於いて、
次の世代の京都人脈を再編する様な動きも始まっています。

思い切り打ち切りフラグでなんですが、
現状は正に、「俺たちの戦いはこれからだ」
と言う事なのでしょう。

今回はここまでです。

なんとなく駒場さんの最期で一方通行が
サァービス残業してる辺りを熟読したりしてる間に間が空いてしまいましたが。

ネタバレ人物解説は終了、
次回、書き下ろし最終回短編となります。

続きは折を見て。

乙です

二度目になってしまいましたが、
本編最終回書き下ろし短編の投下となります。

>>318の続きになります。

それでは投下、入ります。

>>318

 ×     ×

「そう、妙な衛星だ。記録上はあるかどうかも判然としない。
だが、実際あるんだから仕方がない、やけにファンシーな衛星だ」
「余りに漠然とした話なんだけど」

「記録、証拠の上からならば、確かに存在したとも言えるし存在していなかったとも言える。
存在していなかったならこの記録はあり得ないし、
存在していたならばこの記録はあり得ない。絶対的矛盾だな」
「で、結論は存在していた、なんだな」
「私が直接確かめたんだ、そう答えるしかない。
幸か不幸か私の精神は、拘禁反応が猫型ロボット人工衛星の幻覚を産むには未だ堅牢に過ぎるらしい」

「それで、わざわざ私にそんな話を振る意味を教えて欲しいんだけど」
「麻帆良学園、例の衛星の出所だ」
「ふうん、正体不明から随分と飛躍しているんだけど」
「私を誰だと思っているんだ?」
「宇宙はこちらの領分、そう言いたいのか?」

「最先端科学が求められる分野であれだけ大規模なプランとやらを動かされたら、
それは嫌でも耳に入る、目につくと言うものだ。
こちらの領分で動きがあれば、当然その大元を知ろうとする。
これでもアンタと同じ統括理事会を支える『忌まわしきブレイン』の一人だからな。
最近アンタが色々動いているらしいな、
麻帆良と宇宙、この二つが結びついたプランとやらに」

「地球上の事はこちらの領分でもある、そういう事なんだけど」
「まあいいさ、何れ、紹介してくれるのかな?
随分とゴージャスなお嬢様に可愛い紳士さんを」
「さあ、どうかな?」

>>567

「ほう、本気で独り占めする気か?」
「いや、その時は、私が紹介する必要があるのか、
まずそこに疑問があるんだけど」
「確かに、その前に直接接触する事になるかも知れないな。
もっとも、こっちに近づいているのは、
アンタのその立派なものにも負けない母性の塊だ」

 ×     ×

「まあ、立ち話もなんですから」

と、言う事で、ネギが千雨に案内された先は、「超包子」の新店舗屋外席だった。

「色々事情があって、この店借りて結構本格的に始めてるみたいですよ」

千雨が、結構洒落た隠れ家的店舗を親指で指さして言った。

「頑張ってるんですね、五月さん」
「まあな。ま、普通ならこの時期に担任が生徒放りっぱなしってのは洒落になんないんだけど、
うちの場合中高一貫ののほほんが売りだ」
「面目ないです」

「ああ、その事はネギ先生もよーく分かってるんだろうってな。
だから、うちの連中もそれなりに自分らで頑張ってるさ、
ネギ先生がいつ戻って来てもいいように、って。
って、しみじみしてるけど、実際ん所は、
ネギ先生のポジションに世界一つ滅ぼそうって鬼が居座ってるからな。
そりゃあ頑張りもするさ」

「厳しいですか、やっぱり」
「ご想像の通り、って奴だ」

そうやって、二人は世間話と苦笑を交わす。

「と、言う訳で、ネギ先生には色々と聞きたい事がある訳ですけどね」
「はい」

千雨の言葉に、ネギは佇まいを整える。

>>568

「まあ、取り敢えずアレです。
イギリス清教って所から届け物が届いていましてね」
「届け物、ですか?」

「ええ、一連のお詫びとお礼と友好の印と言う事で、
なんでも、極めて手間暇かかった匠の技の究極にして至高の素晴らしい一品、
なんだそうです」
「一体、何が届いたんですか?」

ネギはにこにこと尋ねるが、それはもう字面を読んでも分かる通り、
普通に引くレベルの形容詞を並べられて恐れを感じない方がおかしい。

「ああ、風香さんに史伽さん、又いたずらですか?」
「♪」

鳴滝風香、史伽姉妹がたたたーっと逃走し、
しゅるしゅると椅子の背もたれと自分の体に縄が巻き付いている前で、
ザジ・レイニーデイがバッとハンカチを振る。
テーブルの上に甕が現れ、ネギがぱちぱちと手を叩いた。
取り敢えず、ロープが巻き付いて縛り付けられているのは胴体と背もたれだけらしい。
ザジが一礼している間に、千雨が甕の中に菜箸を差し込んだ。

「何せあっちでもとびっきりのスタイル抜群最強美女からの手作りプレゼントなんですから、
流石ですね、ネギ先生。はい、あーんして下さい」

 ×     ×

「?」

「超包子」新店舗屋内テーブル席で、
何か外から悲鳴を聞いた気がした飛び切りの美女が視線をそちらに走らせた。
見た目は長い黒髪も烏羽に美しい日本人だが、それにしては一つ抜けてすらりと背が高く、
それでいてその上背に負けない抜群のぼんきゅぼんスタイル。

ラフな白いTシャツのジーンズ、それも、片脚をばっさり切り落としたジーンズが
その凶悪な迄の脚線美、見事過ぎるメリハリバディを最大限に強調し視界に活性化し尽くしている。
視線を走らせたのは一瞬。
次に感じたのは、気配と、嗅覚。

「お待たせしました」

>>569

(肉野菜炒めとお握り、ですか。
飾り気のない素朴な、最も難しい。
匂いはいい。)

箸をつけ、口に運ぶ。
その目が、カッと見開かれた。

(味付け、火の加減、全てが絶妙。
本場の基礎を踏まえたしっかりとした味付けでありながら、
日本人向けの配慮も怠りない)

もう一口、目を閉じて噛み締める。

(確かに、使われている。
決して邪魔にならず、そして不足と言う事もなく。
この料理の中にあって見事にその存在を主張し、
全ての持ち味を引き出し、全体を引き締めて完成させている)

素早く箸を進め、そして、白いお握りにかぶりつく。

(まさしく塩梅!!)

ごくりと一際喉が動く。

(ふうわりとして、それでいて確かな形を維持している。
そして、天然塩と米飯の甘味のバランスは絶妙。
そこに怒涛の如く攻め寄せ、攻略するっ!!!)

下品にならぬギリギリの線で、がっつき貪り食らう事も又、
この料理の前では最大の敬意であり、礼儀、そして素直に求めるもの。
そこに置かれる新たな器。
蓋を開き、漂う匂いだけで正体を把握する。

(相手のウィーク・ポイントの把握は基本、ですか)

蓮華を差し込み、ずずっ、と一口、噛み締める。

(出汁はあくまで炙った骨、そして焼き解した身。
米の素性も確かなもの。
その持ち味を邪魔しない薄味ながら、確かに引き立てている中華の味付け」

出汁を確かめ、そして、大きく掬い取り口に運び始める。

>>570

(十分に出汁を吸った米の味。
嫌な臭いは欠片も立てず、緩過ぎずベタつかず、
出汁と米、絶妙な均衡の上で溶けあっている。
で、あるならば、その間に口にするのが礼儀と言うもの)

ずずっ、ずっ、と、熱い出汁もなんのその、
快調に啜り込みながら、その中から顔を出した隠し味を少しずつ、潰してみせる。

(見事。
熱い出汁に浸っている状態から全体を引き締め、
そして、あらゆる味付けを引き立ててみせる。
潰れるごとに徐々に味わいを変えていく。
全てを押し潰しても決して過剰とはならない。
これぞ正しく塩梅。
何よりも、米の飯に合わない筈がないっ!!!)

「あなたがこの料理を?」

デザートの杏仁豆腐まで綺麗に平らげ、
合掌した後に尋ねる。

「はい、本日の料理を担当しました、四葉五月です」

心地よい声と共に、五月がぺこりと頭を下げた。

「そうですか、素晴らしい料理でした」
「ありがとうございます」

それに対して、立ち上がり改めて一礼した。

「異国に娘を嫁に出す心境でしたが、
確かな仕事をして、それでいて決して出しゃばらず、
媚びる事なく確実に持ち味を貫く。
これ程見事に料理されて、お礼の言葉もありません」
「こちらこそ、これ程見事な材料を提供いただき、
料理人冥利に尽きます」

五月も、礼を返した。

「又、娘の様子を見に来ます」
「お待ちしております」

>>571

 ×     ×

「んー………
これは古典的な製法を忠実に守ったものですね。
ファーストコンタクトは強烈ですけど、ご飯が欲しくなります」
「ま、近衛がついてるんならこんなモンか」

未だに口が刻み目になっているネギの反応を見ながら、千雨は鞄を用意する。

「エンデュミオン、駄目みたいですね」

千雨が言い、ネギは涙目を千雨に向ける。

「今の所表にはなっていませんが、
あっちの統括理事会はその方針で本決まりだそうですよ」
「そうですか」

ネギが何でもない事の様に返答する。

「流れから言って、形の上でははっきりしない状態で進めるみたいですけど、
徐々に流れを作って、最終的には理由を付けて中止。
既に統括理事会レベルの方針で、覆すのは難しいでしょうね。
何か、悪い虫でもついたから、
学園都市に蔓延する前に大木ごと引き倒して焼き払おうって魂胆ですかね」

静かに聞いているネギの前で、千雨は資料を取り出す。

「スペースプレーンからエンデュミオン、
そして今度は、ちょっとばかり超特急な宅急便が目玉になるみたいですね」

千雨から渡された資料にネギが目を通す。

「ま、何かやるんだったら声ぐらいかけて下さい。
今回も助けられたのは確かみたいですから。
死なない程度に手伝いますよ」
「有難うございます、千雨さん」
「ああ」

>>572

実に素直なネギの態度に、改めて千雨は拳を制御し嘆息に留める。
多分、又、そう遠くないタイミングに、
このガキ共々ろくでもない事に巻き込まれているのだろう、まず間違いなく命懸けで。
肉饅で簡単な飲茶を楽しんだ後、千雨は席を立つ。
一人残されたネギは、少しの間麻帆良の景色を目に焼き付ける。

 ×     ×

(日本人であんなに背が高いのにばいーんな感じって、
それでポニーテールの綺麗な長い黒髪、
でもって、見せびらかしてるのか、見せびらかしてるんだなって、
ぶるんぶるんな感じのTシャツにスーパー脚線美な露出狂カッティングジーンズ。
でもって、傍らには桜咲さんが持ってるあれ。

うん、現実を見よう。大体、宇宙で実物見たんだし。
だから、なんで宇宙でアレの実物を見たって時点でおかしいし。
だから、つまり話に聞いた神裂火織そのものだよねあの人。
イギリス清教ネセサリウスの「聖人」。
コタロー君がガキ扱い、刹那さんとアスナと高畑先生ボコボコにして
フェイトとか麻帆良の学園警備相手に感じにガチバトルやってたとかって。

だだだだだだだだだーからなーんでこーこにいるのかなー?
落ち着け、落ち着け落ち着け落ち着け、うん。
確か、あっちとは和解してメイちゃんもステイルとよろしくやってたとかなんとか、
だから、だから害はないんだよねそうに違いない、

それにしてもスタイルいいなー、デカいし色々と、
でもって何歳ぐらいなのかなー、
すっごい美人で大人って感じで適齢期ブッチの大人って感じ過ぎるって事は
やっぱ彼氏とか、もう結婚してるとか………)

最初知り合いのチアでも来ているのかと声を掛けようとして
そのまま入口で硬直していた村上夏美が思考を一回りしてそのまま一区切りする。
取り敢えず脳内で安全は確認したものの、頼まれて友人を近くまで送った後、
そのままの流れで「孤独な黒子」を顔に向けたままで本当に良かったと心から思う。

(うん、一回出直して………)

そこで、夏美は扉を小さく開いた所でドドドドドドドドドと物騒な足音を耳にする。

>>573

「間違いないのですね?」
「はい、メールで上に確認を求めている所ですが、
防犯ビデオで確認しました間違いありません」

夏美がささっと壁際によけた所で、
「超包子」の入口の扉がばぁーんっと扉が開く。

「おや」

神裂火織がそちらに目を向けて、完全防備の美少女三人組を視界に入れる。

「何か事件でもあったのですか?」

事件そのものにその質問をされて、高音・D・グッドマンは絶句する。
そして、口頭で状況を確認する。

「つまり………」

高音がこめかみを押さえて言った。

「親睦の贈答品に関する用事でこちらを訪れた。
和解は成立して上の承諾を得た上での事で問題はないものの、
短期の滞在で前回の件が前回の件であるから、感情的なトラブルの危険を考慮して、
一応建前上は基本自由往来の許されたこの街をお忍びで行動している、と、そういう事ですか」
「そういう事です。どうもお騒がせしてしまった様で申し訳ない」

神裂がぺこりと頭を下げ、高音以下も礼を返す。

「それで間違いないみたいですね」

ナツメグが携帯を手に言う。

「事情は分かりました。色々言いたい事もありますが和解が成立したのも確かですし、
個人として魔術師として信が置ける人物であるとも伺っています。
どうぞ、麻帆良をお楽しみ下さい」
「お騒がせしました」

高音達が踵を返し、ほおほおほおーっと胸を撫で下ろした事で、夏美の反応は一瞬後れを取っていた。

「よぉーっす、神裂、この店でいいのか?
こないだのお礼でこっちにいるんだったら旨いモン奢ってくれるって」
「お腹ぺこぺこなんだよーっ」

>>574

自分も出直そうとした村上夏美の見えるが解らない脚と上条当麻の脚が交差し、
右手を前に突き出した上条ロケットミサイル当麻の照準は三人娘の中心高音・D・グッドマンを的確にとらえる。
着弾、その瞬間、ミルク色の深い谷間を覗かせた豊満な黒き幻影は、
むにゅっ、と、力強い程に確かな現実と共に上条当麻に完全掌握されていた。

 ×     ×

「超包子」テラス席。
ネギの側で、緩くウェーブが掛かった髪の毛がふわりと揺れた。

「そちらからのアプローチも順調みたいですね」
「遠からず直接コンタクトをとる事になると思う。
向こうから見たら遅れた外の世界の重工業でも、
その外の世界に於ける商業的な総合力となると話は別」
「色々と、お世話になります」
「もちろんこの社会、そして私の実家の利益になる範囲で」
「もちろんです」
「あやかだけでは不安な相手なの?」

「いいんちょさんは素晴らしい人です。
それでも、今回ばかりは手に余るかも知れません。
既にこちら、麻帆良でも主導権争いの材料を探ってるみたいですね」
「巨大なビジネスの戦い、それぐらいの事は当然やるでしょうね」

「ええ。この麻帆良で、可能な部分はあってもそれを可能としています。
何よりも、僕の知るその道の切れ者でも手に負えないと言う程の相手です。
素晴らしい才媛で高潔な人格者、そんないいんちょさんに力を貸してあげて下さい」
「元々、ネギ先生のプランを手伝う事は承知している。
まして、あやかのサポート。返事は決まっているわ」
「有難うございます」

言って、ネギは千雨に渡されたプリントアウトを掲げ、それが引き取られる。

「そちらで探り出した、物資の動きから推測されていたシナリオ。
どうやら意思決定の情報の流れも、それを裏付けているみたいですね」
「あの厳重なラインの防壁を掻い潜って、
このレベルの情報まで引き出した。これはネギ先生の指示で?」

静かに微笑み、下を向いたネギの両肩に圧倒的に柔らかな重力がのしかかる。

>>575

「一人で背負い込んでも重いだけですよ。まして、世界の命運なんて。
ネギ先生にも見えているのでしょう。
パートナーでありたい、みんなのその思いは」

ネギは、自分の胸に回った手に静かに手を重ねる。
頬と頬がひたと重なった。

「出来る事、為すべき事をします。
使えるなら使いたかったですが、エレベーターはやっぱり自前になります。
大幅ですが致命的な軌道修正ではない筈です」
「ええ、厳しいけど今ならあり得る想定で動いていました」
「そちらに大きな無理のかかる展開で申し訳ありません。
将を射んとする者はまず馬を射よ。まずは地上の頭脳、こちらの交渉を盤石に」
「分かりました、ネギ先生」

その時には、那波千鶴はネギの斜め後ろに静かに立っていた。
ネギが、ふと店舗に視線を向ける。

フコーダー

「悲鳴?」

 ×     ×

「やぁっほぉーっ!!」

絶景に、木霊が響き渡る。

「ほらほら、せっちゃんも」
「あ、いえ、わたくしは」
「もーっ、折角ここまで来たんやからー」
「そ、それでは、や、っほおぉーっ」

にこにこと桜咲刹那を眺め、うーんと背中を反らしていた近衛木乃香が、
荷物から衛星携帯電話を取り出す。

「もしもし」
「はぁーい、お姫様」
「どうもー、ご機嫌さん」
「これはどうも、景色の方はいかがですか、ひい様」

>>576

「それはもう、絶景や。
お天気もいいし、お結び美味しいやろなー」
「それはそれは、たまりませんね。
しかし、華奢なひい様が意外と言いますか」
「図書館探検部甘もう見たらあかんえ」
「失礼いたしました」


「しかし、信じられへんなぁ」

木乃香が、周囲をぐるりと見回して言う。

「昔は、死なない山、言うたんやろ。
今は静かなモンや」
「まぁー、今そいつに爆発してもらっても困るけどな」
「それだけ、昔は煙がもくもく上ごうてた言う事や。
死なない薬を焼いたから、永遠に燃え続けて煙が上がり続ける。
現実に、今でも燃えてない訳やない」

「ああ、ちょっとばかし眠ってるだけだ。
目ぇ覚ましたら東京なんざ簡単にイカレちまう。
火よりも灰に弱いって点じゃあ江戸時代とは比較にならないからな」
「そちらさんの街では、それすらねじ伏せて綺麗に維持できるんやろな。
死なない薬、欲しい人は欲しかったんやろなぁ。
いい天気、煙やのうてもお空まで届きそうや」

「それは何より」
「こちらはパワフルが売りですよって。
しかも、リーダーがモテてモテて仕方がない言う男はんですからなぁ」
「やっぱり、あいつの兄貴分として一発殴らせていただけませんでしょうかひい様」

「うん、その後は挽肉の消し炭ですけどなぁ。
そやさかい、時が来たなら、
五つのお宝携え空の果てまで、何時でも口説きに行きますさかい、
お餅でもついて待っててくれたら嬉しいなぁ」

「承りました、ひい様」
「まあ、当分の所は土の上でのお仕事ですけど。
地道にやらせてもらいます」
「お互いにな。それではひい様、ご機嫌よう」
「ご機嫌さん」

>>577

木乃香が、電話を切る。

「お嬢様、どちらに」
「ん、ああ、ぼーいふれんどや」

夕凪の鯉口を切った刹那の目は、
頼もしく冷徹な仕事モードであった。

 ×     ×

「仕掛けは投げ入れられた、ルアーではない本物の餌だがね。
針にかかるか引き抜いて食い尽くすか、精々見せてもらおう。
何れにせよ、その結果が出るまでは、
決してこの地を離れられないのだから。
君が見るのが、帰りたもうその地は如何なる結末となるものか、
精々、ここから見せてもらうとしよう」

長谷川千雨「鳴護アリサ、って知ってるか?」-了-

これでおしまいです。
一旦本編終わらせたんですが、
その後に気楽に始めた解説が予想以上に長引きました。
その間に、色々と、本編でもちょっとやってみたい事が出来まして、
この通り、二度目の最終回となった次第です。
この辺の事は、本当に色々すいませんでした。

今回のネタの一部は、某スレの雑談を参考にさせてもらいました。

それでは、縁がありましたら又どこかでお会いしましょう。
本作はここまでです。
HTML依頼は折を見て。

-了-

皆さんどうも!今回紹介するオススメのSSはこちらです!!


闇条さんとフレンダさん☆3巻再構成
闇条さんとフレンダさん☆3巻再構成 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409244833/)

文句がありましたら上記のスレの>>1へどうぞ!!
皆さんのこと、お待ちしております!!

闇条「待ってるぜ!」

フレンダ「待ってるって訳よ!」

それではまた会いましょう!

完結乙です

完結したトコで初歩的な事聞くけど、結局この作品の千雨らって
魔術サイドって事なのか?

魔術サイドでネギパ総出で学園都市で暴れ回るとか、政治問題って
レベルじゃないと思うんだが
アレスタは分からんけど土御門とか血相変えまくりになりそう

>>1
お疲れ様

ながーい間楽しませてもらいました
またどっかで書いてくださいな

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