闇条さんとフレンダさん☆3巻再構成 (167)
以前やってた闇条シリーズ派生
最近暇になったので再開。
内容は別なので、前スレは存在しません。
なので、このスレから読んでいただいて構いません。
コツコツと信頼を取り戻せるように頑張ります。
こんなスレでも要望があれば、
完結後に1,2,4以降~も再構成したいと思います。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409244833
派生よりも続きを読みたいんだが
でも期待
学園都市は夢の詰まった未来都市!!
というのが、世間一般が学園都市に持つイメージというものだ。
実際、高度50mを走るモノレールや電柱の代わりに立った風力発電機といった風景はなんとも未来っぽい。
さらに道路を清掃ロボットなんかが滑走すればもっとそれっぽい。
超能力というのは、さも夢いっぱいな感じではなかろうか。
街中にあふれんばかりに実在している超能力者たちは、なにも生まれつきチカラが使えたわけじゃない。
そのチカラはこの街で顕現されたものなのだ。
まさに夢いっぱいの街。
だから、そのイメージは確かに正解だといえる。
けれど、それらはすべて事実であって真実じゃない。
その裏には、もっと違う、裏の顔ともいうべきものが潜んでいるのだ。
ゆえに、裏の顔で生きる上条当麻ならこう表現する。
学園都市とは、モルモットが放し飼いにされた大きな檻である、と。
*
窓のないビル
第七学区に存在する巨大な建物の、さらにその内側。
部屋には窓がない。
入り口も、出口すらもない。
おおよそビルとしての機能を全く持たないそのビルのなかの一部屋に、巨大な円筒器が鎮座していた。
傍から見れば、それは大きなビーカーのように見えた。
ビーカーは中身を透明な赤い液体で満たされており、水中には人間が逆さに浮いている。
人間は緑の手術着を来ており、その顔から、一切の情報が読み取れない。
年齢も、国籍も、男か女かさえも。
彼・もしくは彼女は、ビーカーの前に立つ白衣の男と向き合っていた。
白衣の男は、名を木原数多という。
この街の優秀な科学者にして、裏世界のカリスマだ。
『ふふっ……幻想殺しも順調に成長を遂げている』
人間は、名をアレイスター・クロウリーという。
アレイスターは、どういう原理なのか口も開かずに声を出してみせた。
そのひとりごとのような言葉に、木原は笑って返す。
木原「あのガキ…好き勝手にさせていいんですか?」
あのガキが指すのは上の命令もろくに聞かず勝手な行動を取る上条当麻という少年のことであり、
好き勝手、とは、先日木原の組織する暗部『猟犬部隊』が上条によって壊滅的打撃を受けたことを指している。
上条当麻と木原数多。
二人は同じ暗部組織を束ねる身だ。
木原は猟犬部隊のリーダーであり、上条は名もなき暗部組織のリーダーである。
二人が争う理由は暗部組織同士だからというわけではない。
もちろん暗部組織同士で抗争に発展するケースもあるのだが、上条と木原は単にお互いが嫌い合って潰し合いに至っている。
嫌い→すぐ殺す、になるのが裏世界の恐ろしいところであり、同時にこの街における命の価値を表しているようだった。
『アレは一番の重要人物だ。万が一にもこちらが噛み付かれるようなことになってはならない』
暗に、殺っちゃっていいですか?と尋ねた木原に、アレイスターはこのように返した。
できるだけ刺激するな、アレイスターはそう言ったのだ。
木原「なるほど。それであれだけの事をしでかして生きてられるわけだ」
少しの嫌味をこぼし、木原は了解と付け加える。
アレイスターはこの街のなにもかもを掌握する人間だ。
彼が黒といえば白だって黒になるし、彼が死ねと願えば誰だって死ぬ。
逆らう、という選択肢は最初から準備されていなかった。
アレイスターは続ける。
『それでもアレを裏に置いておくのは目の届く範囲でこちらの都合のいいように動いてもらうためさ』
『アレがどういう理念で動くかも把握している』
木原「では。こっちはこっちでまたクズの補充をしねぇと」
『人員補充については好きにしてくれて構わない』
『幻想殺しについてはそのまま放任とする』
木原「……了解」
木原が踵を返すと、それが合図のように突如部屋に少女が現れる。
彼女は木原と手をつなぎ、今度は二人で虚空へ消えた。
*
続きは明日
>>2ありがとうございます。前は見切り発車すぎたので
今回こそは頑張る。
おい、先に前の分しっかりと終わらせろ
>>9内容は7割以上被るから続きと言っても問題ない。
前は妹達篇の途中で放ったから、このスレは続きになるよ。
前スレ読まなくていいように内容を変えるだけ
8月9日。天気、大快晴。
夏の晴れの日は、夕方になってもかなり暑い。
なぜなら、アスファルトが吸収した熱が下から襲ってくるからだ。
上条当麻は、補習の帰り道を歩きながらそんなことを思っていた。
もう8月の9日に入ったというのに、未だに補習に駆り出されている学生というのは大抵頭が悪い。
もちろん上条も例外ではなかった。
尤も、上条の場合はバカというだけでなく、無断欠席という理由が追加されるのだが。
一緒に補習を受けているはずだったクラスメイトが一人、また一人と補習を卒業していっても、上条に夏休みが訪れることはなく、
気がつけば担任教師の月詠小萌とマンツーマンという状態だ。
ここまで来るとさすがに俺可哀想から先生可哀想へと気持ちがシフトしてしまい、上条は今になってようやく勉強にやる気が出てきた。
さぁ!俺の本気を見せてやる!!
上条がそう意気込むと同時、胸ポケットに入っていた携帯電話がメールの着信を知らせる音を鳴らす。
上条は胸にざわめくイライラの予兆を感じながら、携帯を開いた。
そこには―――。
同居人のフレンダ((15)高校1年生のひきこもり。自慢は脚線美)からのメールが表示されていた。のだが、
上条(読めん。読めんぞ……)
んー……、と唸ってみてもなんら読み取れない上条。
ディスプレイが表示していたのはいわゆるデコメで、キラキラとした絵文字が動きまわる仕様になっている。
ただでさえカスタムされた読みにくい丸々フォントが絵文字や顔文字に埋もれて、もはや一つの絵画になってしまいそうな勢いだ。
上条はええいとうなると、差出人の名前からリンクを踏み、フレンダに電話をかけた。
コール音は大体2度ほどでいつもつながる。
上条は、アイツってスマホ依存症なんじゃ……とかなんとか思いながら電話に出たフレンダに、
上条「読めねえんだよバーカ」
意識せずともきつい口調になってしまう上条に、フレンダはやや怪訝そうな声を出す。
フレンダ「あー…、やっぱ読めなかった?」
上条「やっぱってことは読めないだろうとある程度予想してたんだなお前!?だったら普通にメールしろっつーの」
フレンダ「ちぇっ」
フレンダはそこで言葉を切り、直後思い出したようにあ、ああそうだったと続ける。
フレンダ「リーダー今どこにいる訳?」
上条はテキトーに言葉を挟んでから帰宅途中である旨を伝える。
フレンダが上条をリーダーと呼ぶのは、彼女が彼がリーダーを務める暗部組織に所属しているからだ。
組織名はない。なぜなら、もともと存在しなかったから。
その組織は、あまりに身勝手な彼が独断で作ったものなのだ。
構成員は上条とフレンダのみ。
フレンダは元々別の組織の人間だったが、粛清されそうになっていたところを上条が拾い、以後一緒にいるいう経緯が存在する。
フレンダ「ほんと!?今日は帰り早いじゃん」
フレンダ「じゃあさじゃあさ、途中の公園で待ち合わせしない?今から出るし」
上条「ん?今日ってどっか行く用事あったか?」
フレンダ「えー、遊びに連れてってくんない訳?まだ4時だよ?」
上条はやや思案し、まぁ別にいいかという結論に達した。
確かにここ最近はコイツをほったらかしにしてたなーと上条は思い出す。
フレンダはいぜん所属していた組織とのいざこざで外にでるのを怖がっているフシがあり、上条と一緒でなければ外に出たがらないのだ。
彼女が指定した公園までは、あと1分ほどで到着する。
歩いて行く道の先、植木の隙間から赤い自動販売機が見えてきた。
上条「ならお前、さっさと準備しろよ?公園っつってもクーラーの効いたお前の部屋とは天と地の差なんだから」
フレンダ「もう着替えてあるし10分もかかんないってば」
そこで通話を終え、上条は自販機でジュースでも買うかと立ち止まる。
ポケットから取り出した硬化でお気に入りのザクロコーラを買うと、
かかったわね!と言わんばかりの表情で上条を見つめる一人の少女が出てくる。
長時間そこにいたのか、頭に木の葉を乗せて。
上条「うげっ!?ビリビリ中学生……。お前ナニしてんの?」
上条の視線の先―――自動販売機の陰に隠れるように立っていた少女の名前は御坂美琴。
誰もが知るこの街の超能力者の第3位にして、名門常盤台のお嬢様。
しかしその実態は、いつもイライラ放電中のデンキウナギみたいな奴なのだ。
美琴「今日こそ決着つけてやろうってアンタを待ってたんじゃない」
堂々と夕方の公園で無能力者相手に殺人宣言をする超能力者。
これこそが、上条だけが知っているお嬢様の本性(つまり喧嘩っ早いクソガキ)だった。
決着つけてやる。
この目的のために、美琴はおそらく本当に待ち伏せをしていたのだろう。
見上げた根性ではあるものの、上条にとっては厄介以外の何物でもなかった。
彼女は、能力によって上条を的確に追うことができるのだ。
ここに上条が来たことだって、彼が電話をしている以前から気がついていたに違いない。
その及ぶ範囲が半径何メートルなのかは知らないが、上条にとって美琴は世界で一番厄介な存在だった。
上条「待て待て待て。本気か?この全戦全敗の上条さんに向かって」
上条が美琴との間に壁をつくろうと左手を出すと、美琴はそこでピクピクと眉を動かす。
前髪の隙間で光る青白いビリビリは、まさに彼女の精神状態を表しているようだった。
美琴「ア、アンタが全戦全敗……?」
上条「ああ、だってそうだろ?毎回毎回俺はお前に手も足も出ねえんだもん」
上条「それってつまりさ、不戦敗ってことだろ?だからお前の勝ちだって。さすが、常盤台のエースサマ~~っ」
美琴「そういうのが一番ムカつくのよッッ」
突如、美琴の額から飛来した電撃が上条の足元に転がっていた空き缶を襲う。
カコーーンという打撃音。
上条「ひぃっ!?」
電撃は、まるで一本の槍のように缶を真横に貫いていた。
カラカラという飛ばされた空き缶の転がる音だけが響く。
美琴「そうやって余裕こいてたら、アンタも空き缶の二の舞いよ」
不敵な笑みで、美琴は額の電撃を絡めとるように右手で払う。
上条はしばし考え、真剣な顔でおもむろに口を開いた。
上条「………いいぜ、お前がそれで気が済むってんなら。相手になってやる」
上条が口にした交戦の合図に、美琴は一瞬だけビクリとし、やがて再び歪な笑みを浮かべる。
やっぱ子どもに能力なんて持たすもんじゃねえなと思いながら、上条はこっそり後ろ手でザクロコーラをシェイク。
2mの距離を開けた2人の間にわずかな緊張の空気が流れた。
美琴が手を出すのが先か、彼女は小さくいくわよと告げる。
上条「きてみろ。今日の上条さんは本気と書いてマジですよ」
それが開戦の狼煙になった。
美琴が電撃を撃つのが早い。
一瞬で形成された電撃の槍が、上条の頭部を狙って迷いなく放たれる。
美琴「お願いだから死なないでよねッ!!」
ズビジリジリビーーという凄まじい音と光は、何もない虚空をしばらく進んで消える。
上条は、既にギリギリまでしゃがみこんだ低い姿勢で電撃をやり過ごしていた。
美琴「…ッ!!」
荒らされてpixivいったやつ?
消えてしまった上条の行方を一瞬探してしまった美琴は二撃目が遅れる。
上条は一瞬で美琴へ肉薄すると、攻撃のスキを与えずに右の拳を高く振りぬく。
戦闘慣れした美琴はすぐに後ろへ飛んで拳を避けようとするが、無駄だった。
上条の拳は飛び道具だったのだ。
上条「仕置だビリビリ中学生!喰らえッ!」
鍛えぬかれた人差し指は、意図も簡単にアルミ缶を突き破る。
一瞬後、茶色い水飛沫がブシャーーッという音とともに噴射された。
美琴「おぁっ!?」
予想もしなかった邪道な攻撃に、美琴は目を閉じる暇もない。
顔面にもろにコーラ飛沫を食らった美琴は、上条でなく、両目を襲う炭酸と格闘するハメになった。
美琴「ぐあああっ!!」
上条「ハハハッいい眺めだな。楽勝だぜレベル5……あ、目はちゃんと洗ったほうがいいぞ」
腕でゴシゴシと目を拭いながら嗚咽をこぼす美琴にはもう構わない。
上条はさっさとコーラの空き缶をクズカゴに放ると、フレンダを迎えるべく寮へ向かって歩き出した。
>>25
pixivでもえらい目にあって逃げてきた。
一旦終わり
※
翌日である8月10日は、補習が休みだ。
上条は長く苦しい補習の日々を思いながら幸せに浸り、今日こそは休日を満喫せねば!さあ起きろフレンダ!と早起きしてみたのだが、そこでふと思い出した。
そう。上条は昨日、勉強頑張るぞ!との誓いを立てたばかりだったのだ。
上条「……………………………………………」
上条はしばし考え、やがてがっくりと肩を落とした。
なにもかも自業自得ではあるのだが、さすがに小萌の顔がよぎると勉強しなければという気になってくる。
休みたいのは担任の小萌先生だって同じはずなのだから。
実は小萌が補習を楽しんでいるということを、上条は全く知らない。
上条「仕方ねえ…勉強しますか」
ベッドから重い腰を上げて蛍光灯の明かりを点けると、床に布団を敷いて就寝中のフレンダがちょうど寝返りをうつところだった。
幸せそうな寝顔を見ていると、自分だけが勉強しなければならないことに理不尽な怒りを覚えてしまう。
上条はテーブルにプリント類を広げ、勉強(というか全然やってなかった課題)を始めた。
フレンダを背もたれにしながら。
フレンダ「………うっ」
上条「んーと、1+1=2、2+2=4…かな」
フレンダ「んっ……」
上条「いんいちがいち、いんにがに、いんさんがさん、いんしが………」
フレンダ「…………重っ」
上条「いんくがく、にいちがに、ニニンがシノブ伝――――」
フレンダ「ちょっ!!ギブギブギブ!!」
上条「ん?あ、悪い踏んでたか」
フレンダ「嘘つき!大体リーダー勉強する気なくない!?」
上条「いや、あるんですよこれでも……あ、コーヒー飲む?」
フレンダ「飲むけどさ、準備は私がする」
上条「……」
フレンダ「結局勉強の手を止める理由が欲しかっただけな訳ね?お見通しだから」
いつから立場が逆転してしまったのか、フレンダは上条を言い負かしてキッチンに入る。
上条は今度こそ課題を頑張ろうと脆い決意をして、あることを思い出した。
それは、いつだったか知り合いの女子中学生白井黒子が言っていた言葉だ。
白井『わたくしで力になれる事あれば、なんでも言ってくださいですの』
確か、あれは一時期学園都市を賑わした幻想御手事件解決の後だったはずだ。
少しばかり解決に力を貸した上条に、白井が礼として言ったのだった。
その時の上条はテキトーに流していたのだが、おや、これって今使うべきなんじゃ?と思い返す。
そこには、知り合いの女子中学生に宿題を手伝わせようとする男子高校生の姿があった。
上条(そうだ!!ここで使わずしていつ使う!!)
決心し、上条は携帯電話のアドレス帳から白井の名前を出してメールを作成する。
まだ朝の7時を回ったばかりであるが、白井なら起きているだろうとなんとなく思った。
―――『なぁ白子。今日宿題手伝って(・ω<)』
間もなく返信が来る。
―――『嫌ですの。なんでわたくしが貴重なオフの日を類人猿さんのために使わなきゃいけませんの?あと顔文字似合ってません。あと白子じゃねえって言ってんだろ』
―――『お前のメールってなんかそっけないよな』
―――『女性からこういうメールが来たら貴方とはお話したくないんですの、という意味になるのでよろしくですの』
―――『ちなみに黒子も例外じゃありませんので』
―――『……怒ったんですの?』
―――『わたくしの真似しないでくださいな!』
―――『わたくしで力になれる事あれば、なんでも言ってくださいですの』
―――『キーーーッ!!なんか覚えがありますの!!黒子のバカ!!』
―――『じゃ、10時に公園な』
―――『わかりましたよバカヤローですのっ!!ヾ(*`Д´*)ノ"』
こんだけ
夜遅くにごめんなさい
投下しまーす
*
そして場面は第7学区のファミレスに移る。
窓側の隅、一番奥の禁煙席で向かい合う上条と白井。
いつも上条とフレンダが座っている席だ。
上条の方はシャツにジーンズという格好で、白井はいつもの制服姿だった。
そういえば前に常盤台は休み期間中も制服だって言ってたな―と思い出し、上条は課題に戻る。
そして数学の問題を一問だけ解いて顔を上げ、
上条「なぁ白井さんや。一つ聞いてもよろしいかい?」
白井「なんですの?」
上条「なんでお前高校1年生の範囲ができるんですがコノヤロー」
白井「ま、常盤台は一応名門校ってことになっていますからね。このくらいは誰にでもできるかと」
白井はそこで一旦言葉を切り、あからさまに見下すような表情(カオ)になった。
白井「というか、なんで高1にもなってこの程度ができないんですの?」
上条「………………………。」
ズバァァ!!
休みに呼び出されて不機嫌度MAXの白井は、上条のプライドを的確にえぐってくる。
年下に協力を仰いでいる以上、上条もなかなか言い返すことが出来ない。
わかって言ってるのだとしたら尚更タチの悪いお嬢様である。
上条「それにしても、今日は案外空いてるもんだな」
ガランとした店内を見渡しながら言う上条に、コイツ逃げやがったと思いながら白井も同意する。
学園都市のファミレスといえば8割以上席が埋まっているのがデフォなので、今日のように5割未満というのはなかなかレアなのだ。
白井「まぁお盆も近いですからね。帰省し始めた学生が多いんじゃないですか?」
上条「なるほどな。ところでお前って盆休みはどうすんの?」
何の気なしに上条が尋ねると、白井は身体を庇うように両手を胸の前でクロスさせる。
おい、とツッコむ前に白井は言う。
白井「お盆休みまであなたに付き合っていられるほど黒子は暇じゃねえですの」
上条「言葉と挙動が合ってねえんだよ注目浴びるだろーが!」
白井「そうでしょうかぁ?暇だと言ったらデートにでも誘われていたかもしれませんもの。ああごめんなさい、生憎類人猿さんは眼中にないんですの」
上条「大した妄想力だな変態」
それから二人はああだこうだと、店員から注意を受けるまで言い争いを続ける。
上条が、数学の課題プリントNo.27(/50)を終わらせた頃だった。
いつの間にか上条の倍以上の速度で英語のプリントを済ませていた白井が、窓の外を眺めながら言った。
白井「ちょっと……妙じゃありませんか?」
白井が眺めていた窓は、上条達のテーブルのすぐそこに面しているもので、店の裏通りが一望できる。
表は片側3車道が伸びる大きな通りだが、裏通りは片側1車線の狭い道を挟んで、すぐ建物が立ち並んでいるという感じだ。
白井が見ていたのは、建物と建物の隙間だった。
上条「ああ、確かにな」
白井「見てねえだろうが!」
白井はガタンと机を鳴らして身を乗り出すと、数式と格闘中の上条の顎を強引に横へ向ける。
上条「ちょっ…ひはいはらはらせ(痛いから離せ)」
涙まじりの懇願に、白井はようやく顎を掴んだ手を離した。
上条は少々赤くなった下頬をさする。つまらなそうに頬杖をついて窓の外を眺める。
窓の外、二車線を挟んだ向かい側の歩道には今は誰もいなかったが、上条は店についた時から横目で見ていた。
建物と建物の隙間のパイプの張り巡らされた細い道を、たくさんの学生たちが出入りするのを。
上条「さっきから裏道の出入りが激しいな。それも工事や点検の業者って感じじゃねえし、普通の学生っぽい。しかも次から次へとだ」
どうでもよさそうに言う上条に、白井は丸くした目を向ける。
白井「……あなた、さては最初から気づいてたんですのね?」
上条「ですの」
白井「茶化さないでくださいましっ!」
上条は少し笑って再び数式との格闘をはじめ、ペンを動かしながら続ける。
白井は黙って聞いていた。
上条「そろそろ追加注文しないと居づらくないてててててててわかったわかりましたごめんなさい!」
白井「次はないですわ……よッ!!」
上条「痛ぁぁーっ」
今度は頬をつねられた上条が、コホンと咳払いをし、ようやく真面目モードに入る。
上条「お前、何が妙だと思ったの?」
問われ、白井はクイズに堪えるように顎に指を当てて思案し、
白井「見たままですわね。普通はあんなに路地裏を好んで通る学生はいませんもの」
上条「そうだな、ああいう裏道は治安の悪い学園都市でも最下層と言っていい」
上条の言葉に、白井は少し眉をひそめたように見えた。
治安維持を職務とする彼女は、少なからず責任を感じているのかもしれない。
そんなのお前一人が気に病むことかよ、と思いながらも上条は何も言わない。
代わりにちょっとだけ考えて、
上条「んーそうだなぁ。ひょっとしたらお前、今度の休みも俺の宿題やるハメになるかもしんないぜ」
白井は、はぁ?という顔になる。
何言ってんのコイツ、と言外に語っているような表情だ。
上条は構わず続ける。
上条「ほら、今出てきたリュックのやつ」
上条は窓の外の一点を指さして言う。白井はサッと目で追い、はいと頷く。
上条が指した先では、ちょうど裏道から小太りの青年が出てきた場面だった。
ボーダー柄のポロシャツを着た彼は、路地を抜けきったところで腰に手を当てて軽い伸びをし、歩道を二人から見て右に歩いて行く。
白井は、チラッと上条を見て目で促してくる。アイツがどうした、という感じである。
上条「何してたと思う?」
白井はさっきのように少し考え、
白井「普通に歩いているようにしか……」
上条「違うな。まあ確かにあの男の体型と日差しの強い天候を考えるとそれも正解っぽいんだが、ほら見てみ」
上条は再び窓の外を指した。白井も直ぐに目で追う。
青年は、片手でひらひらと額を扇ぎながら、また次の『隙間』へと入っていった。
来た方向を考えると、方位的には引き返すような動きだ。
上条「んーダイエットしてるように見えなくもないな……」
白井「いいから、あなたの考えを教えて下さいな」
よほど先の話が気になるのか、いつの間にか白井は上条の袖口を掴んでいた。
上条は言う。
上条「多分あの男は探しものをしてるんだろう」
白井「探しもの、ですの?」
上条「ああ。あの男、路地を抜けた所で伸びをしただろ?あれは長い間下を向いていた証拠だ」
上条「それもかなり下。地面すれすれくらいを観察しながら歩いてきたんだろうぜ」
上条の言葉に、白井は小さく確かにと言いながらら頷いた。
同じ考えを頭の片隅にでも抱いていたのかもしれない。
上条「こっからじゃ見えないだろうけど、きっと膝も汚れてるはずだ。両手をはたいてたからな。地面に手をつかなきゃ見えないようなもんでも探してたんだろうな」
上条「例えばコンタクトレンズみたいな……」
上条は一旦言葉を切り、氷の溶け始めたジュースを一口飲む。
直後、白井はん?と眉をひそめた。
上条はそれすらも見越していたように手で制す。
上条「とまぁ、あの男が一人だった場合はそう考える。でも実際は、何人もが同じような挙動をしていた」
上条「ここで考えられるのは、共通のなにかを探してるって可能性だな」
白井「共通の何か……?」
上条「そ。例えばアイツらが宝探しごっこなるもので遊んでるとか」
白井「なるほど!確かにそれなら辻褄が合いますわね」
上条はグラスの中身をストローでかき回しながら、だろ?と自慢げな返事をする。
が、それも、でもその可能性は低いとの一言で否定した。
上条「いままで通った人間が全部知り合いってのは考えにくいな。人数多いし、なんつーか人相に幅がある」
上条がそこまで説明したところで、白井はしびれを切らしたように、
白井「ええと、もういいですから結論からお願いしますの。それから無理やり理解しますから」
実は勉強で見下された上条、得意気に解説したかったのだが、それもここまでのようだ。
上条はちぇっと残念そうに肩をすくめ、考えを切り出す。
上条「連中は何かを探してる、でも彼らは皆他人だと考えるだろ?」
白井「ふんふん。それで?」
上条「お互い他人同士の彼ら全員がなぜか同じ場所を同じように探してる」
上条「だとすると、大規模な宝探し、って可能性が高いな」
白井は、上条の言葉をつぶやいて繰り返した。
上条「さっきも言ったけど、路地裏が危ないとこだってくらい連中も百も承知のはずだろ?」
上条「それでもあんなに往来が激しい理由は、危険な目に遭うリスクと何かを天秤にかけた結果、何かが勝ったからさ」
上条「その何かっつーのは、ズバリ、金品だと上条さんは思うわけです」
上条は、なんとなく窓の外を眺めながら言葉を続ける。
窓の外は、上条の考えが正解だということを、一人の少女をもって教えてくれた。
上条「例えば路地裏に金がバラまかれてたとするだろ」
上条「それならどうだ?今みたいな状況、簡単に出来上がると思わないか?」
白井はそこでハッとしたように息を呑んだ。
どうやら白井は説明を完璧に理解したようだ。
それを見て、偉そうに語るのはこれまでかと上条は苦笑する。
白井「確かに、それなら納得がいきますの……。ええ、不特定多数の人間が裏道を出入りするのには十分な理由ですわね」
上条「でも、この辺りでこんなことが起きてるっていうのに、お前の携帯に応援の連絡が来ない」
白井「………っ!!」
上条「それだ。今何を思い浮かべた?」
見透かしたように上条が言う。
白井は考えを肯定されたことで、どこか自信の乗った声で答えた。
白井「貨幣を故意に遺棄、破損させることは禁じられていますから、もしそうであるなら黒の子に連絡が行くはず……」
白井「つまり、その対象から外れるもの……!」
上条は、窓を指先でコンコンと小突き、白井を促す。
上条「答え合わせに行って来い」
窓の外―――裏道を出てきたばかりの少女の手に、いくつかの茶封筒が握られていた。
細かい批判と迷惑メッセージがいっぱい来るんだよ
あとSS速報でやってくれって希望ももらったんです
>>96
>風紀委員は続けてるよ
どこで?pixivで?少なくともこっちで続けていたのはエタってるよね?
またこっちへ戻ってくるって事?
>>97風紀委員をこっちでやってくれとは言われなかったし渋でぼちぼち
移動ですか
ハーメルンは全然わからないんだけど、pixivのは消さなきゃならんのかね?
禁止事項によると
他のサイトとの(確認の取れない)マルチ投稿
とあるのでマルチポスト自体はおk
ただし両方のサイトでマルチポストをしていると明記する必要あり
>>150どうもありがとう
色々迷惑かけてごめんなさい。移動させたらURL貼って、それから依頼出します
依頼出しました
このSSまとめへのコメント
本スレに早速荒らしが湧いててワロタ
結局アレじゃねえの?
餓鬼がどんだけ時間かけて長編SS書こうとも、こうやって天才が書いた短編SSの足下にも及ばねえんだよ
クソつまんねえ長編書き終えるよりか、途中で打ち切ったSSなのにこんだけ大勢の支持者がついてんのが何よりの証拠だろ
本スレでも大絶賛するレスは多かったし、お勧めスレなんか今じゃ名作の筆頭として上げられてんだしな
アンチ多いね。面白いから頑張れ
かなり気に入っていた作品なので頑張ってください
復活したのか!!待ってた甲斐があった!!
願わくば即巻全部再構成してもらいたい
面白いから期待してます
本スレにサイレントホモが湧いてる
あのバカ死んでくれねえかな
まさか復活してたとは次こそ完結オナシャス
>>2ガキっぽい反論乙
>>9何に反論してるかkwsk
頑張れ
応援してる
嵐多すぎて滅入るな
やっぱアイテムといい人気スレは潰されるものなのか続きみたいなあ
嫉妬は醜いよな。これだけ面白いのになんで荒らすんだろ?
お前らもうわざとやってるだろwww
応援してるよ。頑張って!
あっちゅう間に終わった
自作自演がくさい
つーか反論する側もわざわざ賢そうに反論してるけどあまりに酷いと荒らしと同じくらいウザったいから止めてくれない??長文書いてまでマジで喧嘩売ってどうすんの??まぁここまで書いてる自分も長文でウザったく感じると思うけど、はっきりとコメさせてもらったわ。
原作超えるSSなんて初めて読んだよ……
てかかまちー本人が書いてるんだよな?
ハーメルン行っても更新してねーんだが、大丈夫?
嫉妬してんなよ俗物
俺ならこんなに執拗に荒らされたら絶対書かない
続きは期待できないかもな
私は粛々と続きを期待して待っています。
作者ハーメルンのアカ消して逃亡してたわ
移動して一回も更新しなかったし