魔王「こたつに緑茶に羊羹」
勇者「そしてみかん」
魔王「落ち着くわー」
勇者「なー」
勇者「おっさん二人がこたつでだらだら」
魔王「むさ苦しい」
勇者「でも止められない」
魔王「いいのかねー」
勇者「いいんじゃね? いい歳してケンカでケリつけるとかバカバカしすぎ」
魔王「まあねー」
勇者「あ、みかん取って」
魔王「ヘイ!」ポイッ
勇者「ヘイ!」パシッ
魔王「人間の発明は侮れないなー」ヌックヌクヤゾ
勇者「魔族は魔法使えんじゃん」
魔王「ダメダメ、料理とかはいいけど暖房じゃ魔力切れたらアウトだもん」
勇者「そっかー」
魔王「結局暖炉使ってるけど、あれ部屋が広いと意味ないしさ」
勇者「こたつ最強だな」
魔王「マジヤバい」
勇者「きんつば」
魔王「うまいわー」
勇者「そういやさっき側近の嬢ちゃんに会ってよ」
魔王「襲われなかった?」
勇者「生八橋を囮にして逃げてきた」
魔王「ちょっと奪い返してくる」
勇者「と言いつつこたつから微動だにしない魔王である」
魔王「動きたくないもん」
勇者「きんつばで我慢してくれ」
魔王「まあきんつばもうまいしね」
魔王「側近で思い出したけど、賢者ちゃんはどうしたの?」
勇者「なんか資格試験の勉強してえんだと」
魔王「真面目な子だねー」
勇者「融通きかねえけどな。未だにお前倒す方法も探してるみてえだし」
魔王「勇者じゃなきゃ無理なんだけどなー」
勇者「しかもその俺がやる気ゼロだしな」
魔王「こたつのせいで?」
勇者「こたつのせいで」
勇者「こたつのこの魔力を何かに生かせないだろうか」
魔王「世界平和とか?」
勇者「魔王がそれを言うのか」
魔王「今はただのしがないおっさんだからねー」
勇者「まさか数百年に及ぶ対立がこたつで収束に向かおうとは」
魔王「こたつマジヤバい」
勇者「そして出られない」
魔王「勇者がこたつ背負って殴り込んできたときは何事かと思ったよ」
勇者「魔界さみいんだよふざけんな。薄暗いしじめっとしてやがるし」
魔王「文句は女神のアホに言ってくださーい」
勇者「なんのこっちゃ」
魔王「あのアマ「女神ちん寒いの苦手だからぁ、寒いのは全部遠くに行ってほしいな☆」とか抜かして魔界に冬を押し付けやがったんだよ」
勇者「なにそれこわい」
魔王「以来魔界はずっと冬なわけさ」
勇者「そして人間が魔界の一部まで領土拡大した結果としてこたつが誕生したわけだな」
魔王「災い転じてなんとやら」
勇者「こたつマジ最高」
魔王「早急に広めたい」
勇者「実は騎士団の魔界拠点にも置いてあるんだけどな」
魔王「うん」
勇者「全員こたつに引きこもって出てこねえんだよ」
魔王「こたつすげえ」
勇者「いっそ女神もこたつに押し込めばいいんじゃね?」
魔王「いや、下手すると人間界まで冬にするぞあいつ」
勇者「マジか」
魔王「うん」
勇者「あー……しかしぬくいなぁ」
魔王「眠くなってくるよねー」
勇者「脱水症状にお気を付け下さい」
魔王「ならなくても肌がカッサカサに……」
勇者「考えるだけで恐ろしい……」
魔王「でも出たくない」
勇者「同意せざるをえない」
勇者「あ゙ー……、女神のチチもみてえー!!」
魔王「は!?」
勇者「いやさあ、あいつツラとおっぱいだけは立派なモンだろ?」
魔王「あ? あぁ、うん、確かに」
勇者「チビのくせにな」
魔王「チビのくせにね」
勇者「だから、こたつの同じところに二人で入っても余裕あるじゃん」
魔王「膝の上ってことかい?」
勇者「そうそう」
勇者「そうするとほれ、眼下には男のロマンがぶら下がってるわけだよ」
魔王「なるほど」
勇者「揉むだろ」
魔王「揉むわな」
勇者「でも乳首には触れないのが俺の流儀」
魔王「どんな紳士よ、わかるけど」
勇者「やべえみなぎってきた」
魔王「落ち着け、僕を見るんだ」
勇者「…………」
魔王「…………」
勇者「うん、萎えた」
魔王「なんだろう、自分で言っておいて謎の敗北感が」
勇者「みかん延々食ってるとさ、爪が黄色くなるよな」
魔王「なるなる」
勇者「匂いを嗅ぐとヤバいぜ?」
魔王「ふむ」
魔王「……」クンクン
魔王「oh...」
魔王「てか気付いたらみかんがふた箱消えてるんだけど」
勇者「やっべ食い過ぎじゃん俺ら」
魔王「ゴミ箱がえらいことに……」
勇者「しかもみかんのストックがない」
魔王「誰か持ってきたりしないかなー」
勇者「買ってくりゃいいじゃん」
魔王「こたつから出ろと?」
勇者「無理だな」
魔王「無理むり」
魔王「側近でも呼ぼうか」
勇者「できれば和菓子狂いの相手はしたくないなあ」
魔王「でも他にみかん持ってきてくれそうな子いないしなー」
勇者「魔王なんだから適当に魔族捕まえて命令すりゃいいじゃん」
魔王「みんな非番だからその適当な魔族がいないんだわ」
勇者「おい俺仮にも勇者だぞ、無警戒すぎんだろ」
魔王「まあこたつがあるし」
勇者「……俺は何故今納得してしまったんだろうか」
勇者「てかそもそもどうやって側近呼ぶんだよ」
魔王「ここにくるみゆべしがあります」
勇者「あるなあ」
魔王「おおっと手が滑ったあ!」ブンッ
勇者「投げた!?」
ダダダダダダダダダダッ
側近「だりゃああああああああああッ!!」
ズサアァァァァァァァァァァァッ!!
魔王「ナイスキャッチ!」
勇者「すげえ!」
側近「何考えてんですか! 何考えてんですか!」
魔王「まあまあ落ち着きなさいよ」
勇者「そうそう、小皺が増えるぞ」
側近「私はまだ十代です! つーか和菓子投げるとか何考えてんですか!」
魔王「ゲシュタルト崩壊してきた」
勇者「崩壊はえぇな」
側近「ちょっと聞いてるんですか二人とも!」
勇者「まあまあ笹団子でも食べなさいな」
側近「わーい!」
側近「……」モキュモキュ
魔王「しまった、側近までこたつに入ったらみかんを持ってくる役がいなくなるじゃん」
勇者「おお、やっちまった」
側近「ふぇんひゃひゃんよえあいいにゃりゃいえふか」モキュモキュ
魔王「食べながら喋るんじゃありません」
勇者「しゃあねえ、電話すっか」
魔王「聞き取れたのか!?」
トゥルルルルル…
『もしもしドッピオです』
勇者「ヘイ賢者」
賢者『お掛けになった電話番号は現在使われておりますん』
勇者「どっちだよ」
賢者『何の用? 今腹筋スレ考えるので忙しいんだけど』
勇者「資格の勉強はどうした……まあいいや。暇ならみかん十箱買って魔王城来てくんね?」
賢者『何それ多い』
勇者「多いか?」→魔王
魔王「多いかな?」→側近
側近「足りないんじゃないですか?」→勇者
勇者「じゃあ二十箱で頼むは」
賢者『増えてるよ!?』
勇者「これで後は待つのみだな」
魔王「暇だしみかんないしどうしようか」
側近「ありったけの和菓子を下さい」
勇者「さっきもう食べたでしょ」
側近「ボケた老人みたいに言わないでもらえます?」
魔王「よし、しりとりしよう」
側近「脈絡もないですね」
勇者「猫はこたつで丸くなる」
魔王「類は友を呼ぶ」
側近「あれっ、始まってる!?」
勇者「あー……参った、眠いわ」
魔王「しりとりすらめんどいわ……」
側近「始めたばかりなのに?!」
魔王「横になろうそうしよう」ゴロン
勇者「俺も」ゴロン
側近「眠いどころか寝る気満々じゃないですか! 賢者ちゃん来たらどうする気ですか!」
魔王「任せる。おやすみー」
勇者「おやすみー」
側近「ちょっとおおお!?」
魔王「すぴー……」
勇者「ぐごー……」
側近「早っ!」
側近「――はっ、今なら勇者を始末できるのでは?」
側近「ああしかしこの男を消したら私の和菓子が手に入りにくくなってしまうし……」
側近「そもそもおこたから出てまでsatsugaiするのも面倒だし」
側近「……あー、あったまるうぅ」
側近「城内は寒いから余計に……はふぅ……」
側近「そだ、さっき貰った生八橋食べよ」
側近「おこたにもぐって和菓子をつまみながら緑茶を啜る」
側近「はあぁ~……幸せぇぇ……」フニャ~
側近「賢者ちゃんがみかん持ってくるって言ってたし、今日はもうのんびりしようかなぁ」
側近「みかんまだかなー」
側近「ふやー……」ウトウト…
<ピンポーン♪
<ゴメンクダサーイ!
側近「ふぁ?」
<モシモーシ!キコエテマスカー?
側近「あー……あ、そうだ賢者ちゃんだ。玄関開けないと……」
側近「うぅ……おこたから出たくないよぅ……」
<アレー?イナイノカナー…
側近「……そうだ、使い魔を喚べば」
側近「℃¥$¢£%#&*@§☆」モニョモニョ
ぽんっ
使魔(ミニドラゴン)「キュイ?」
側近「玄関開けてきてー」
使魔「キュイッ」
<わっ、使い魔ちゃん久しぶり!
<キュイ♪
<あ、みかん持ってくれるの? 重いよ?
<キュイッ!
<おおぅ、力持ちすなあ
<キュイキュイ♪
賢者「ヘロー、来たよー」
側近「いらっしゃーい」
賢者「って魔王も叔父さんも寝てんじゃんか……わざわざみかん買ってきたのに」
側近「全てはこたつのせいです」
賢者「こたつのせいかー、じゃあ仕方ない」
側近「入る?」
賢者「入る入る。外死ぬほど寒いんさ」
賢者「あ゙ーめっちゃぬくいわ」
側近「とか言いながらなんで隣に入るんですか……」
賢者「おっさんの隣に入れと申すか」
側近「向かいが空いてるでしょ」
賢者「(・ω・)やだ」
側近「狭いですってば」
賢者「ならばもっとくっつくのだァーッ!」
側近「ああもうっ」
賢者「はーヤバい、幸せ……」
側近「抱きつきながら言われると他意を感じるんですが……」
賢者「だって目の前に側近ちゃんのおっぱいがあるんだよ?」
側近「離れてくださいよ」
賢者「百合百合しようず」
側近「離れろ……離せ!」
賢者「ぐぬぬ……おっぱいぃぃ」ギギギ…
側近「は・な・れ・ろおお!」ギリギリ…
賢者「脱力!」スッ
側近「にょわあっ!」バタッ
賢者「ふふふ、側近ちゃんに押し倒されちまったぜい」ギューッ
側近「ちがっ、ていうか離して!」バタバタ
使魔「キュイ」
側近「あ! 使い魔、賢者ちゃんひっぺがして!」
賢者「使い魔ちゃんおいでー、ぬっくぬくだよー」
使魔「キュイッ」
側近「なんでそっちに行くのおおお!」
賢者「ふひひひひ、家族みたいすなあ」
使魔「キュイッ♪」
側近「……もう」ナデナデ
賢者「お、おぉ? おーぅ」ナデラレ
側近「あんまり変なことしないで下さいよ?」ナデナデ
賢者「約束しかねるっ」キリッ
側近「はぁ……」ナデナデ
賢者「♪」
使魔「zzz...」
魔王「……起きたら側近と賢者ちゃんが使い魔と一緒に抱き合っておやすみしてた件」
勇者「撮影はまかせろー!」
魔王「焼き増し頼んだ」
勇者「一枚五千な」
魔王「そこをなんとか!」
勇者「にしても賢者は相変わらず側近ちゃんらう゛だな」
魔王「初対面でいきなり「ボクの子供を産んで! ボク女の子だけど頑張るから!」だもんなー」
勇者「声真似うめえな無駄に」
魔王「魔王の半分は無駄でできています」
勇者「切ない」
やっべ寝落ちした、こたつ怖い
-
魔王「ふと気付いたんだけど」
勇者「みかんのうまさに?」
魔王「違う。いやうまいけど」
勇者「こたつにはみかん。こたつといえばみかん」
魔王「これであと十年は戦える」
勇者「で、何に気付いたって?」
魔王「いや賢者ちゃんが僕をまだ倒したい理由」
勇者「あぁ」
魔王「さては側近を奪う気だなっ!」
勇者「他にないな」
魔王「仮にも魔王なので、どうせならもっとでっかい理由で消されたい」
勇者「世界征服とか?」
魔王「どっちが魔王やねん」
魔王「こたつ広めたいっつったじゃん?」
勇者「ああ」
魔王「実はこの前魔界各地にお試しで送りつけたんだよ」
勇者「ほほう」
魔王「獣将の堕ちる様がヤバかった」
勇者「獣将?」
魔王「前ちょっと小競り合いしてたろ、あの猫耳の」
勇者「むっちりふとももの?」
魔王「あれはいいものだ……」
勇者「色々と挟まれたい……」
魔王「胸は残念だけどね」
勇者「天は二物を与えずということか、くそっ」
魔王「もしこたつに入りながらあのふとももまくらで眠れたら僕はもう」
勇者「待て、耳掻きも必須だ」
魔王「……たまらんな」
勇者「……昇天できるな」
勇者「で、あの姉ちゃんがどうしたって?」
魔王「ここに彼女が陥落するまでを収めたブルーレイがあります」
勇者「いくらだ!」ガタッ
魔王「落ち着け!」
勇者「そうだな、まずは中身を確かめなければ」
魔王「だが問題がある」
勇者「何?」
魔王「再生機器が隣の部屋にしかない……」
勇者「こたつから出ろというのか……」
魔王「それ以前に側近と賢者ちゃんがいるから」
勇者「ヤバいな」
魔王「側近にまで軽蔑されたら僕もう死ぬと思うんだ」
勇者「死なないけどな」
魔王「まあ魔王だしね」
魔王「なんとかこたつから出ないで再生機器をもってこれないかなー」
勇者「いっそ国王でも呼ぶか」
魔王「パシリ?」
勇者「パシリ」
魔王「勇者にパシらされる国王とか……」
勇者「付き合い長いからな」
魔王「そしてこたつに集うおっさん三人組」
勇者「むさ苦しい……」
魔王「ついでにビールでも頼む?」
勇者「つまみは?」
魔王「チータラと柿ピー」
勇者「後は野郎に任せるか」
トゥ…プッ
『ヘイ!』
勇者「うおっ!?」
勇者「出んのはええよハゲ」
国王『国王相手になんたる言い種。なんか用か?』
勇者「これこれしかじか」
国王『よーしふざけんな』
勇者「いいから来いよハゲ」
国王『ハゲてねえよ! ちょっとデコが広いだけだ!』
勇者「悪かったな江頭」
国王『ドーン! って馬鹿!!』
勇者「で、来るの来ねえの?」
国王『獣将たんは俺の嫁』
勇者「録 音 完 了」
国王『やめて!』
‥‥‥
国王「(´・ω・`)やあ」
勇者「顔膨らんでんぞ」
国王「(´・ω・`)バイクで来たんよ」
勇者「ご苦労」
国王「人間界中探しても国王にパシリやらせんのなんてお前くらいだぜぇ……」
魔王「どんまい」
国王「ほれ酒と肴。後で金払えよなお前ら、こっち今月厳しいんだから」
魔王「あれ、国王って小遣い結構貰ってなかったっけ?」
国王「秘蔵のケモッ娘調教モノ同人誌が嫁にバレた……」
勇者「マジか……」
魔王「そりゃあ……」
国王「なのでケモッ娘成分が不足して悪政に走りそうです」
魔王「何中毒さ……」
国王「さあ俺の獣将たんを出せ! 早くしろ! 間に合わなくなっても知らんぞ!!」
勇者「じゃあ隣の部屋からプレーヤーとテレビ持ってこい」
国王「まかせろー!」バリバリ
魔王「マジックテープどこから出した」
国王「そこは「やめて!」だろぉ?」
勇者「いいから行ってこいよ」
国王「寒いのに……クソッ」
国王「俺超働き者じゃね? 褒めていいぜ?」
魔王「かくして準備は整った」
勇者「しかし最後の関門が一つ」
国王「無視か無視なのか」
魔王「まあまあ、とりあえずこたつに入りなさいな」
国王「おう」
側近「くぅ……くぅ……」
賢者「んー……ふひひ……」
使魔「zzz...zzz...」
国王「――はっ! 天使!?」
勇者「ちげえよ」
国王「なるほど、二人が言いたいことを言葉ではなく心で理解した」
魔王「はい」
勇者「はい」
国王「いや……はい、て」
魔王「それで、どうしようか」
勇者「起こせば獣将を観ることが叶わず、寝かせたままでも急に起きるリスクがある」
国王「もしも獣将たんの盗撮ビデオなんて見てるのが見つかったら……」
魔王「僕ら全員……社会的に、死ぬッ!」
国王「くそっ! ここまできて……ここまできて!!」
勇者「うろたえるな国王! 訓練されたおっさんはうろたえない!」
国王「1、3、5、7、9、11、13……」
魔王「それは奇数だよ」
国王「あ、閃いた」
勇者「言ってみろ」
国王「…………」
スッ
っ猫耳カチューシャ
魔王「…………」
勇者「…………」
国王「…………」
スチャッ
側近(猫耳)「くぅ……くぅ……」
賢者(猫耳)「すぴー……ひゅるるるるる……」
国王「……」ぐっ!
勇者「死ね」
魔王「ゆっくり死ね」
国王「なんだと!?」
ゆるいな
>>54
なんせこたつに入ってますんで
-
勇者「誰にでも猫耳、猫耳、猫耳……貴様それでもケモッ娘萌えか!」
魔王「そうだそうだ!」
国王「くっ、痛いところを……! だが似合うだろ? 似合うだろ!」
勇者「甘い……安い生クリームより甘いぞ、国王ッ!」
国王「何ッ!?」
魔王「勇者、言ってやって」
勇者「もちろんだ。……国王、いいかよく聞け」
国王「……」ゴクリ
勇者「賢者には、 犬 耳 だ ろ う が ッ!!」
国王「――――ッ!!」ピシャーン!!
魔王「まずは落ち着いて話そうか。ほいお茶」
勇者「どうも」
国王「どうも」
魔王「…………」ズズー…
勇者「…………」フーッ、フーッ、ズ…フーッ! フーッ!
国王「…………」グイッ
魔王「ふう」
勇者「あっつ……」
国王「え、ぬるくね?」
魔王「あ、ごめん国王のだけペットボトルのだったわ」
国王「イジメか」
魔王「杏仁豆腐食べる?」
勇者「おう」
国王「なんでンなもんあんだよ……」
魔王「さあてね」
勇者「あーうめえ」
魔王「甘いわー」
国王「おい、味しねえぞおい」
魔王「あ、ごめん国王のだけ絹ごし豆腐だったわ」
国王「泣くぞ」
国王「つうか本題に入ろうぜ?」
勇者「ふぁあはへ。ひあふあまうっえうああ」
魔王「食べながら喋るなよ」
国王「脈絡もなくすあま食ってんじゃねえよ!? しかも口に詰め込みすぎだ!!」
勇者「ング……うるせえな、賢者たちが起きちまうだろが」
国王「くっ、この野郎……ッ」
魔王「あとはちんすこうとくるみゆべしと折り餅と温泉饅頭と」
国王「出すなしまえ!」
国王「結局栗羊羹に落ち着くのか……」
魔王「こたつ・緑茶・栗羊羹」
勇者「完璧だ……」
国王「こたつときたら猫だろjk」
勇者「絶えろ」
魔王「滅びろ」
国王「なんなんだ俺のこの扱いは!」
魔王「とりあえずビール開けようか」
勇者「ああ忘れてた。ぬるくなってねえか?」
魔王「冬場だしモウマンタイだよ」
勇者「お前も古いな……」
国王「聞けよ」
三人「「「乾杯ッ!」」」
勇者「っかー! しみるわ!」
魔王「ビールは一口目が至高だよね」
国王「同感だがちゃんと金払えよ」
魔王「はいはい」
勇者「さて、そんじゃそろそろ語ろうか」
国王「ようやくか」
魔王「あ、焼酎あるじゃん」
勇者「緑茶割りでもいくか?」
魔王「いいね」
国王「オイコラ」
勇者「賢者には犬耳だ。これは譲らねえ!」
国王「いきなり語り出しちゃったよ……」
勇者「確かに賢者は一見気まぐれだ。つかみどころがないようにも思えるし、扱いがとことん面倒くさい!」
魔王「うんうん」
国王「まあな」
勇者「しかしながら、ここは賢者の側近ちゃんに対する一途さに注目してほしい」
国王「ふむ……」
魔王「うん」
勇者「そこに側近ちゃん在らば一直線に駆けつける様はまさに犬!
側近ちゃんに甘える姿はさながら飼い主にじゃれつく子犬が如し!」
魔王「うんうん」
賢者「いやはや」
勇者「普段は人の話を聞かないのに側近ちゃんの言うことはわりと聞くあたりに忠犬が主のみに付き従うかのごとき忠誠心を感じます!」
国王「何故に敬語?」
魔王「気迫は伝わってくるけど」
勇者「というか単に俺が賢者×側近ちゃんの下克上萌えなだけなんだけどな! 賢者に押されてオロオロしちゃう側近ちゃんマジ天使!」
側近「悪魔なんですけど……」
魔王「悪魔っ娘もいいものです」
国王「まあなんとなく言いたいことはわかった」
賢者「おじさんマジアホだなー」
使魔「キュイ」
魔王「せっかくだし犬耳つけてみる?」
賢者「それを側近ちゃんが望むならばッ!」
国王「あ、確かに犬だわ」
側近「納得しちゃうんですか!?」
国王「…………ん?」
勇者「賢者、許す、押し倒したまえ!」
賢者「あいあいさー!」
側近「なっ!? ちょ、止めて下さい! んあっ!?」
魔王「おっぱい! おっぱい!」
勇者「おっぱい! おっぱい!」
賢者「ふひひひひひ! さあ観念するがよかろうなのだァーッ!!」
側近「ぁ、や! そこは……んんっ! も、やだあ!!」
勇者・魔王「「おっぱー(・∀・)(∀・ )(・ )( )( ・)( ・∀)(・∀・)―いッ!!」」
賢者「ィイヤッホオオォォォォォォォォォォウ!!」
国王(……状況についていけん!)
魔王「大変だ。賢者ちゃんが側近を拉致して寝室に突っ走っていった」
勇者「カメラは! カメラはないのか!?」
魔王「実は昨日側近にバレて……」
勇者「ファック! 何てことだ! 神は我々を見放したのか!!」
国王(やべえ、テンションについていけねえ……)
国王(ビールうめえな)
今更だがここまで男がおっさんしかいねえ
-
国王(……あれ、今チャンスなんじゃね?)
国王「なあ、今のうちに獣将たん観ようぜ」
勇者・魔王「「馬鹿野郎ッ!!」」カッ!!
国王「!?」ビクッ
勇者「お前はいつもそうだ! 何もわかってねえ! 何もわかってねえ!」
魔王「ビデオなんていつでも見れる! でもカメラがない今! 側近と賢者ちゃんのイチャラブを見るチャンスは今しかないんだ! 今しかないんだ!」
国王「二回ずつ言うなよ……なんだこいつらこえぇ……」
勇者「落ち着いて考えてみろ国王」
国王「お前らが落ち着けよ……」
勇者「側近ちゃんの幼さが残りながらも女性を感じさせる魅惑的な肢体、その徴たる二つの母性はメイド服の上からでさえその存在を主張している」
魔王「揉みたい」
勇者「揉みたい」
勇者「そして雪国ゆえか日焼けもなくシミ一つないまるで降り積もったばかりの白雪のような輝かしく美しい肌」
勇者「舐めたい」
魔王「舐めたい」
勇者「しかし彼女の魅力はその二つだけにとどまらない!
髪を結い上げているがゆえに見える魅惑のうなじ!
形がよく張りを感じさせる高等な美術品のような腰と尻!」
魔王「尻!」
勇者「尻!」
国王(どうしよう、本格的にキモい)
勇者「そして獣将に勝るとも劣らないむっちむちの太もも!」
魔王「太もも!」
勇者「太もも!!」
魔王「太もも!!」
勇者「ウウオアアー―――――ッ!!」
ビリビリビリィッ!!
国王「服を破いた!?」
魔王「ふっともも! ふっともも! ふっともも! ふっともも!」
勇者「ふっともも! ふっともも! ふっともも! ふっともも!」
魔王「ふっともも! ふっともも! ふっともも! ふっともも!」
勇者「ふっともも! ふっともも! ふっともも! ふっともも!」
国王「なんだこれ……」
勇者「ふぅ、つい我を忘れちまったぜ」
魔王「ははは、全くだ」
国王「その「ふー、いい仕事したなー」って顔を止めろ」
勇者「はあ? おいおいまだ側近ちゃんの魅力の一割も語っちゃいねえぜ?」
魔王「言うだけ無駄さ勇者……彼は結婚して牙を抜かれた獣、戦う場所を失った哀れな敗残兵なんだ」
国王「童貞が何言ってんだ」
勇者・魔王「「童貞言うな!!」」
勇者「いいぜ国王……テメェがまだ側近ちゃんの魅力を理解できねえってんなら……まずはその幻想をぶち殺す!!」
国王「いや意味わかんねえから」
魔王「僕が言ってみたかったのにー」
勇者「めんご」
魔王「まあひとまず側近の話は」
勇者・魔王「「置いといて」」ヨッコラセックス
国王「置くのかよ」
魔王「側近がマジ天使なのは言わずもがな。しかし今はそこに賢者ちゃんが関わってくるのが重要なんだ!」バンッ
魔王「賢者ちゃんは知っての通り肉体的には未成熟。背も低ければ胸も控えめ……だがそれがいい」
国王「ロリコンか……」
魔王「それは褒め言葉だよ」
魔王「賢者ちゃんのおっぱいはまさしく「ふくらみかけ」だ。ブラを必要としないそのサイズゆえに素肌にシャツ一枚というガードの緩さ。しかも背伸びして大きめの服を着ているせいでダボダボ。ほんの少し前かがみになるだけでこっちが前かがみになる始末さ!」ガンッ
国王「こたつを叩くな」
魔王「未成熟ゆえの丸っこさはあるものの、手足はすらりと伸びたまらなく魅惑的だ! 正直彼女を見ている間はずっと勃起している! 暴発したこともある! あの年頃の体格バランスはまさしく凶器だよ!!」
国王「俺にはお前の言ってることがわかんねえよ……」
勇者「ふっ、所詮既婚者か……」
国王「なんで下に見られてんだ俺」
魔王「さらに! さらに! あの活発な性格ゆえに健康的に日焼けした肌! 日焼けした肌!」
魔王「いっそ僕が白く染め上げたい!!」
国王「死ね変態!!」
魔王「ありがとう!!」
魔王「そして人懐っこい性格ゆえの激しいスキンシップ! ちらりと見える鎖骨! 時にはパンツどころかおへそや乳首すら拝めるほどの躍動! 迸る汗! 上気する肌! ああ抱きしめたい! 抱きしめて欲望の限りに汚したい!!」
勇者「許す!」
国王「許すな!!」
魔王「でもね……それらの魅力を引き出すのは、常に側近なんだよ……」フッ…
勇者「魔王……」
国王「おいなんだこの空気、おい」
魔王「僕は結局手が届く距離にいながら、側近の傍で美しく輝く賢者ちゃんを何もせずに眺めることしかできないのさ……」
国王「なんか悲しい話、なのか?
勇者「魔王、泣くな……仕方ないんだ……」
魔王「まあ最高に興奮するんですけどね」キリッ
勇者「ですよねー」
国王「テメェら俺の同情心を返せ」
魔王「そんな魅力いっぱい元気いっぱいな賢者ちゃんが側近を責め立てるんだぜ?」
魔王「新雪のような肌を本能のまま蹂躙して自分色に染め上げていくんだぜ?」
魔王「ヤバいテンション上がってきた。脱いでいい?」
国王「脱ぐな着てろ」
勇者「俺は?」
国王「風邪引いてこじらせて苦しんで死ね」
魔王「薄暗い寝室、しわだらけになったシーツ」
勇者「蹴飛ばされた毛布、響く息遣い」
魔王「熱くなった肌、汗の香り、潤んだ瞳」
勇者「必死の抵抗も虚しく蹂躙され、未知の快楽に溺れかけながらも必死に自分を保とうとする側近ちゃん」
魔王「側近を追い詰めようと追撃を開始する賢者ちゃん」
勇者「混ざり合う体温、溶け合う心」
魔王「ただ求められるばかりだった側近は、いつしか自らもむさぼるように……」
国王「……使い魔君、俺にはこいつらが何を言ってるのか理解できないんだ……」
使魔「キュ?」
国王「…………ふむ」
国王「おいお前らこっち見ろ」
魔王「何?」
勇者「んだよ今いいとこ――」
使魔「キュイ?」キャルーン
勇者・魔王「「う、うわあああああああああー――――――っ!!」」
シュワアァァァァァァァァァァァァ……
(何かが浄化される音)
勇者「よく考えたらこたつから出るとかマジありえねえわ」
魔王「たとえ明日世界が滅びたとしても断固として出たくないよねー」
国王「よしよし、使い魔君にはくるみゆべしをあげよう」
使魔「キュイ♪」
魔王「ビデオどうする?」
国王「あーもういいよ、そんなテンションじゃねえし」
勇者「んじゃとりあえず飲み直すか」
魔王「ほいほい」
「「「乾杯っ」」」
魔王「やわらかビーフジャーキーってあるじゃん」
勇者「おう」
魔王「これ味変わった?」
国王「あー、どうかな。確かに昔はもっと辛かったような」
勇者「別のメーカーのなんじゃね?」
魔王「あー」
国王「チータラは安定感がある」
勇者「そいつと柿ピーは外せねえな」
国王「裂けるチーズっていつからあるんだっけ?」
魔王「側近が小さい頃にはもうあった気がするなー」
勇者「チーザ結構うまいな」
魔王「てかチーズ系多くない?」
国王「文句は■ーソンに言ってくれ」
魔王「スーパードライ」
勇者「一番搾り」
国王「スミ■フアイス」
勇者「お前……一人でカクテル飲んでんじゃねえよ」
国王「いいだろ、好きなんだよ」
魔王「それ甘すぎない?」
国王「そうか? んなこたないと思うんだが」
勇者「まあ飲みやすいけどな。その分高ぇけどよ」
魔王「このチョリソー、チーズが入ってる」
国王「マジか、思ったよりチーズ系多いな」
勇者「パッケージくらい確認して買ってこいよ……」
国王「すまん」
勇者「スクリュードライバー」
魔王「ジントニック」
国王「レッドアイ」
勇者「何故必殺技っぽい名前ばっかりなのか」
魔王「秘剣☆ブルーハワイ!」
国王「何故それを選んだ!?」
勇者「絶技!xyz!」
国王「なっ! ええっと……奥義ッ、マティーニ!」
魔王「うわしょぼっ」
国王「ブルーハワイに言われたくねえよ!」
魔王「パンがないならビールを飲めばいいのに」
国王「死ぬぞ」
勇者「酒は百薬の長、しかし……」
魔王「百薬には「劇薬」も含まれるのです……」
国王「つまり毒にも薬にもなるってことだな」
魔王「飲んだら乗るな!」
勇者「乗るなら飲むな!」
国王「酒は飲んでも呑まれるな!」
三人「「「ヘイ!」」」ハイタッチ
国王「そういや焼き鳥も買ったんだよ、パックのやつ」
勇者「タレ?」
国王「塩ダレ」
魔王「売ってるのだとタレ系しかないよね」
勇者「俺はあの甘じょっぱいタレが好きなんだがなぁ」
国王「味付け塩胡椒で炭火で焼くとうまいぞ」
魔王「ガスはダメだね、なんか違う」
勇者「まあ既製品は大概焼くってより煮てるらしいしな」
国王「それは焼き鳥なのか……?」
勇者「焼き目はついてるから、たぶん」
魔王「あーおでん食いたくなってきた」
勇者「うわっ、お前それ言うなよ……俺も食いてえ」
国王「たまご」
魔王「だいこん」
勇者「牛すじ」
魔王「渋いな」
勇者「うまいぞ?」
国王「ビールには一番合うかもな」
魔王「タコ足は?」
勇者「最近見ねえな」
魔王「うまいのになー」
国王「今はソーセージなんかも入ってるな」
魔王「きんちゃくは……」
勇者「あれは……うん……」
国王「当たり外れがでかいよな……」
魔王「そういや酒の話に戻るけど、カルーアミルクって既製品売ってないよね」
勇者「あぁ、確かに見ねえな」
国王「一応コーヒーリキュールなら酒屋で手に入るが……」
魔王「混ぜてあるやつは見ないよね」
勇者「保存の問題か?」
国王「まがりなりにもミルクだしなぁ」
国王「泡盛!」
勇者「お前……そんなもんまで……」
魔王「ははァん、さては初めから金回収するつもりだったね?」
国王「たりめーだ、なんで俺がおごらにゃならん」
勇者「くは、つええわ泡盛! 琉球侮りがたし!」
魔王「最近は弱いやつも普通にあるけど」
国王「まあこれはオヤジの旅行土産のマジモンだけどな」
魔王「あの道楽ジジイ今何してんの?」
国王「確か赤道一直線に一周してくるっつってたな」
勇者「何やってんだあの妖怪オヤジ……」
魔王「ハイボール!」
国王「ハイボール!」
勇者「ハイボール!」
三人「「「ヘイ!」」」カンッ
魔王「テッキーラー!」
勇者「テッキーラー!」
国王「テッキィィルアァァァ!」
勇者「テキイィラアアアア!」
魔王「テキーラ!」
国王「テキーラ!」
勇者「テキーラ!」
三人「「「テキーラ! テキーラ! テキーラ!」」」
三人「「「ヘイ!」」」カンッ
国王「飛騨の鬼ごろし」
勇者「辛い! 旨い!」
魔王「漬け物かなんかない?」
国王「このもん ならあるが」
勇者「五島列島……」
国王「ばらかもん」
魔王「なるもひなも僕の嫁さ!」
勇者・国王「「このロリコン」」
魔王「それは褒め言葉だよ」
魔王「かんころ餅食べたい……」
勇者「お前食いもんの話多いな」
魔王「食いしん坊なんだ」
国王「自分で言うかそれ」
魔王「ストーブで炙ったかんころ餅がまたうまくて」
勇者「国王、今度買ってこいよ」
国王「何で俺だよ、金ねえっつってんだろ」
魔王「あ、葛餅食べたい」
勇者「次から次へとお前……」
国王「この甘党が」
国王「梅酒」
勇者「ロックで」キリッ
魔王「ストレートで」ドヤッ
勇者「無意味に男らしいな」
国王「これかなり上等なヤツらしいぞ」
魔王「香りがまたなんとも……」
勇者「基本的に度数がビールより上だから酔いやすい人はご注意をば」
魔王「誰に言ってんのさ」
国王「飲みやすいからこええな」
わかるか、この空気が
-
‥‥‥
勇者「あ゙ー、だいぶ飲んだな」
魔王「そして食ったねー」
国王「タバコいいか?」
魔王「待って灰皿が……あったあった」
国王「サンキュ」
勇者「赤ラークか、一本くれ」
国王「ほれ。魔王は?」
魔王「僕はハイライト一筋だから」
勇者「渋いな」
国王「つーかおっさんタバコだよな」
魔王「正真正銘おっさんですし」
国王「そうだった」
勇者「久々に吸うと効くなぁ」
国王「なんだ禁煙してたのか?」
勇者「元々そんな吸うわけじゃねえし。種類は吸ったけどな」
魔王「例えば?」
勇者「最初はゴールデンバットだった」
国王「おっさんタバコじゃねえか」
魔王「しかもめちゃくちゃ強いし」
勇者「貰いモンだけどな。フィルターがねえから葉っぱが口ン中入って変な感じだったわ」
国王「普通はマイセン辺りから入るもんじゃねえの?」
魔王「そんなもん?」
国王「俺の周りだけか?」
勇者「魔王は最初何だったんだ?」
魔王「峰」
国王「峰……」
勇者「お前とことん渋いな……」
魔王「ちょくちょく人の貰って試したけど、峰がなくなってからはハイライトしか吸ってないかな。あとはたまにショッポ」
国王「チョイスがすごいな」
勇者「ショッポってあれだろ、なんか箱が小さいやつ」
魔王「そうそう。軽くつけたい時にね」
国王「言うほど軽くはないと思うが」
魔王「まあハイライトで慣れてると弱いよ」
勇者「基準が既におかしい」
<ムゲーンダーイナーユーメノーアトノー♪
魔王「あ、電話だ。もしもし」
勇者「まさかのbutter fly」
国王「しかも遠藤さんバージョンか、熱いな」
魔王「え、来てんの? 何で? マジで? つーか呼び鈴鳴らそうよ」
勇者「ん、客か?」
魔王「うん。……あー、とりあえず使い魔に鍵開けさせるから上がっちゃって。はいはい」ピッ
国王「誰だ?」
魔王「女神」
勇者「よし、逃げるか」
国王「逃げんな」
勇者「つーか寒いの嫌いなんとちゃうんかいあん小娘!」
国王「言いながらこたつに潜るな狭いだろが」
魔王「使い魔お願いねー」
使魔「キュイ」
国王「……なあ、この部屋に呼ぶのか? 今冷静に見たらすげえ有り様だぞ」
魔王「その点は大丈夫っぽい」
国王「なんで?」
魔王「飲みに来たらしいから」
国王「なんで?」
<キュイ!
<きゃあああああ使い魔ちゃんだあああああああっ!!
<ムギュイッ!
<はうう可愛いよう可愛いよう♪ よーしよしよしよーしよしー♪
<ギュイッ! ギュイッ! ギュイッ!
勇者「……マジで来たのかよ」
魔王「声だけならかわいいのに」
国王「使い魔は犠牲になったのだ……」
魔王「いや死んでないからね?」
女神「きゃっはー! へろへろおっさんどもー♪ みんなのアイドル女神ちゃんだよ☆」
使魔「キュイ……」グッタリ
魔王「や、いらっしゃい」
国王「よう」
勇者「……」
女神「んー? 一人返事がない人がいるね☆ ステータス異常かな♪」
魔王「なんか楽しそうだね」
女神「だってぇ、こーんなクソ寒いところにおっさんが三人も固まって酒盛りとか、ぷふふー♪ 女神ちゃん大ウケなのだよ☆」
国王(うわ、うぜえ)
勇者「あー耳が腐る耳が腐る」
女神「ほうほう、腐敗毒かい? まーこんなむさ苦しいところで不健康なツラして酒にタバコにじゃステータス異常にもなるよね☆ そのまま地獄の苦しみを味わえ童貞♪」
勇者「よーし喧嘩売ってんだな? 売ってんだよな、買ってやるから表に出やがれ」
女神「イヤだよ寒いじゃん、何言ってんだお前」
勇者「急に素になるな」
魔王「国王ビンそっち除けて」
国王「おう。改めてみるとずいぶん飲んだな」
勇者「我関せずで黙々と片付けしてんじゃねえよ!」
女神「ところでなんだいこのやけに低いテーブルは。クロスも妙にでかいし」
魔王「こたつだよ、こたつ」
女神「ほうほうほう。なるほどこれが……」
女神「歴戦の勇士から気力の全てを奪い尽くしその温もりで甘い安らぎの時を作り出すという悪魔の兵器だね」
勇者「待てや」
国王「間違ってねえけど違う」
女神「または全ての命を等しく堕落させて破滅へと導く人間が生み出した究極にして最悪の暖房器具」
魔王「いや色々おかしいから」
女神「でも実際出たくないんでしょ?」
魔王「うん」
勇者「はい」
国王「当然」
女神「下界の連中は愚かだねー☆ そのまま干からびて死んじゃえばいいのに♪」
国王「なんて酷いことを言うんだ」
勇者「仕方ないさ、こいつはこたつを見るのも初めてなんだ」
魔王「こんなに温かいのに……」
女神「だって女神ちゃんそんなおっさん臭そうなとこ近付きたくもないしー☆」
国王「じゃあ何しに来たんだあんた」
女神「酒を飲みに?」
勇者「首を傾げるなくそっかわいいのがムカつく」
女神「まーまーまー、お土産持ってきたから落ち着くがよかろう!」
魔王「お土産かい?」
女神「うん」
国王(それにしても口調の安定しねえ女だな……)
勇者「置いたら帰れよ」
女神「女神たんのおっぱいもにょもにょしたいとか言ってたくせにー☆」
勇者「ぬがっ!?」
国王「え、お前んなこと考えてんの?」
勇者「クソ! なんでバレてんだよ!?」
魔王「女神は千里眼持ちだしねー」
女神「( ・ω・)ふふふ、壁にミザリー障子にメアリーなのだよ」
国王「いやだいぶ違ェよ」
女神「そしてはいお土産☆」
どんっ
【亀の翁】
勇者「( ゚д゚)」
魔王「oh...」
国王「なんと……」
女神「この価値がおわかりいただけるだろうか」
国王「よく手に入ったな……」
女神「女神ですので!」にぱー☆
魔王「うわぁいい笑顔」
勇者「何故かムカつく……」
魔王「荒んでるねぇ」
国王「まあそういうことなら折角だし飲み直すか」
魔王「使い魔、グラス出してくれる?」
使魔「キュイ」
勇者「素直なええ子や……女神お前も見習え」
女神「なんで?」
勇者「このアマ……」
女神「ところでこたつ入ってみていい? さすがにちょっと冷える」
魔王「どうぞどうぞ」
女神「わーい♪」ごそごそ
勇者「ククク、人間の技術力を思い知るがよい」
国王「何魔王みてえなこと言ってんだ」
女神「お? ……おぉう」もそもそ
女神「うはー、ぬくーい♪」
国王「ぬくいてお前」
魔王「一瞬で堕ちたね」
勇者「ククク、これがこたつの威力よ!」
国王「勇者お前さっきから何言ってんだ」
女神「転がってみていい?」
魔王「いいよー」
女神「そして私はこたつむりになったのです」
国王「陥落はやっ」
女神「いやいやこれは無理だよー、魔王のなでなでくらい気持ちいいもん」
魔王「ちょっ」
勇者「は?」
国王「あ?」
勇者「……尋問ターイム!」
魔王「待って釈明させて!」
勇者「うるせえふざけんなロリコンのくせに!」
魔王「それは褒め言葉だよ! じゃなくて!」
国王「そうか、魔王もついに大人の階段を……」
魔王「上ってないよ! 君たち間違いなく誤解してるよ!」
女神「魔王ちん、女神ちんのこと嫌い?」
魔王「このタイミングでそういうことを訊かないで!」
勇者「……よし、殺す」
魔王「落ち着け!」
勇者「よーし釈明してみろ」
国王「ただし産業でな」
魔王「ロリ巨乳は射程外!
女神とは昔馴染み!
こいつが僕で遊ぶのはいつものこと!」
国王「判決は?」
勇者「死刑」
魔王「なんで!?」
女神「男どもは騒がしいねー、使い魔ちん」
使魔「キュイ」
勇者「巨乳は射程外? すぐわかる嘘を吐くな!」
魔王「ぎくり」
国王「それ言葉に出す奴初めて見たわ」
勇者「知っているぞ! 側近ちゃんを採用した理由がおっぱいだということを!」
魔王「…………ちらっ」
国王「こっち見んな」
勇者「お前本当はどっちもいけるクチだろ! さあ観念して裁きを受け入れろ!」
魔王「…………」
魔王「……バレては仕方ない。しかし僕がただでやられると思うなよ!」カッ
勇者「ほう、あくまで抵抗――」
魔王「くらえみかんの皮汁」ぱきゅっ
勇者「バルス!?」
勇者「ぎゃあああああああ目がああああ目がああああ!!」ビターン! ビターン!
魔王「さらに追撃」ぱきゅっ
勇者「ぬわー―――――――――――っ!!」ビターン!! ビターン!!
魔王「ふははははは! みかんの皮はまだまだあるぞ! それそれそれ!」
国王「お、鬼や……鬼がおる……!」
勇者「」
ちーん†
魔王「悪は滅びた」
国王「逆だ!?」
女神「おうふ……みかんの匂いが……あ、そうだ」
女神「てれれれってれー♪ ぼんたん~♪(だみ声)」
魔王「何故そんなものを」
女神「こたつについて予習した成果だと思いやんせ」
女神「さらにー、いよかん~♪(美声)」
国王「美声で言われましても」
女神「そしてそしてー」
女神「レモン!」
魔王「レモン!」
国王「レモン!?」
女神「夏みかん!」
魔王「夏みかん!」
女神「きんかん!」
魔王「きんかん!」
女神「はっさく!」
魔王「はっさく!」
国王「はっさく!」
三人「「「はっさく! はっさく! はっさく!」」」
国王「かぼす……」
魔王「……ゆず!」
女神「デコポン!」
国王「ライム!」
魔王「すだち!」
女神「オレンジ!」
国王「オォォルェンンンジ!」
魔王「オールェンズィ!」
女神「オレンジ!」
国王「オレンジ!」
魔王「オレンジ!」
三人「「「オレンジ! オレンジ! オレンジ!」」」
三人「「「ヘイ!」」」
パンッ(ハイタッチ)
千葉!滋賀!佐賀!
-
勇者「……お前ら何言ってんだ」
魔王「お、復活した」
国王「そろそろ飲むか」
魔王「そだねー。あ、つまみどうしよ」
女神「あるよ」
魔王「あるの?」
女神「色々あるよー」
勇者「その前にこたつの上の柑橘類を片付けろ。つーかどっから出した」
女神「この変態☆」キャハッ
勇者「なんで?」
勇者「それにしても、生きているうちに亀の翁とまみえることがあろうとは」
国王「俺は飲んだことあるけどな。なんせ王だし」
魔王「いや王じゃなくてもうまく探せば飲むくらいできるでしょ」
国王「っても瓶で手に入るってなぁ滅多にねえぞ」
女神「ひっひっひー、これぞ女神ちんの人徳ってーやつかねい♪」
勇者「へいへいありがとうございますゥ」
魔王「それじゃ早速」
「「「「乾杯っ」」」」
カンッ
いつか飲んでみたいな亀の翁
-
勇者「……なんだこれすげえ」
国王「あーいいわホント。余計な味がしねえ」
魔王「王道極めましたってかんじ?」
国王「そうそう」
女神「さすがお酒の神様がオススメしてくれた代物……思わず素に返ったよ」
国王(キャラ作ってんのかこいつ)
魔王「これはゆっくり味わいたいね」
勇者「全くだ」
魔王「なんかまったりしてきたなー」
勇者「ずっとこたつに入ってるせいでもある気がするが」
国王「たまにはこういう飲み方もいいだろ、いつも騒いでばっかだし」
女神「三人ともずいぶん仲良しになったよねー」
魔王「全ての始まりがこたつだと思うと感慨深い」
勇者「こたつ、名酒、気の合う友人」
国王「たまらんね」
ちなみに亀の翁については友人談
-
女神「他のお酒とかつまみも出そっか」
魔王「何があるの?」
女神「魔王」
魔王「はい?」
女神「だから、魔王」
魔王「えーっと?」
勇者「んん?」
国王「プレミア芋焼酎だっけか」
魔王「……あー」
魔王「何ッ!?」ガタッ
勇者「?」
国王「それは飲んだことねえなあ」
勇者「珍しいのか?」
国王「いやまあなんつーか、高い」
勇者「高いのか……」
魔王「魔王……一度飲んでみたかった魔王……!」
女神「前に言ってたもんねー。亀の翁と一緒にもらってきたんだよ」
国王「そのクラスの酒をぽんと貰えるとか地味にすごいな」
女神「女神ですので!」
勇者「果たして関係あるのだろうか」
魔王「さあ出せやれ出せはやく出せ! ハリーハリーハリー!」
国王「えらいテンション上がったな」
女神「ちゅーしてくれたら出してあげゆ☆」
魔王「飲みたかったなぁ……魔王……」
国王「えらいテンション下がったな」
勇者「待てやゴルァ」
勇者「魔王くゥン? どおォして女神たンから「ちゅーして☆」なァンて言われるのかなァ?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
国王「は、背後に仁王のオーラが……!」
魔王「落ち着け! 何度も言うけど君は誤解している!」
勇者「何が誤解なンですかァー!? 説明してごらンなさいよォーッ!!」
女神「なんでいきなりオネエ口調?」モグモグ
国王「脈絡もなく人形焼き食ってんじゃねえよどっから出した」
女神「変態」
国王「マジでどっから出してんだテメェ」
女神「まあまあ落ち着きたまえよ童貞クン」
勇者「童貞言うnムグ!?」
国王「人形焼き押し込んだ……」
女神「焼きたてだから気を付けなっせ」
国王「焼きたて!?」
魔王「相変わらず意味不明な……」
女神「女神ですので!」
魔王「うん、それ言えば済むと思うなよ?」
勇者「」ビクン! ビクン!
↑窒息状態
知らんものは友人に訊くか調べてはいる 差し入れ&お気遣い感謝
-
国王「そういや賢者ちゃんたちはどうなったんだろうな」
魔王「言われて思い出した……戻ってこないね」
国王「…………」
魔王「…………」
女神「なんでこっち見るのかな? かな?」
魔王「いやー、千里眼で様子見れないかなって」
女神「…………………………えっち」
国王「おいその反応はどういう意味だ」
魔王「壁在耳、障子在眼」
国王「唐突に漢文っぽく言うな。てか合ってんのかそれ」
魔王「さあ?」
女神「まーくんてきとーだからねー」
魔王「まーくん言うな」
国王「勇者じゃねえけど、お前らの関係がわからねえ」
女神「夫婦です☆」
魔王「さらりと嘘を言わないで下さいませんか」
魔王「ようは腐れ縁だよ」
女神「ぶー、まーくんのいけずー♪ いけずー♪」
魔王「歌うな」
国王「……うーむ、わからん」
女神「それより何か飲もうよー」
魔王「飲みに来たのか君は」
女神「うんっ!」
国王「いい返事だなぁ……」
女神「ほいハブ酒」
魔王「ハブ酒……」
国王「何故ハブ酒……」
女神「ハブ酒とは瓶に毒抜きしてないハブを突っ込んで泡盛に沈めてしばらく置いておいたものである」
魔王「いや知ってるけどさ」
女神「お酒の神様がくれた」
国王「何なんだその人」
魔王「まあ飲むけどさ」
女神「女神ちんがお酌をしてしんぜよー♪」
魔王「はいはい、ありがとうございます」
魔王「あーこれけっこう強いかも」
女神「神様お手製なんだってさー」
国王「何気に贅沢だな」
魔王「普通の人間が国王しかいない時点で既に……」
国王「賢者ちゃんは?」
魔王「かわいい」
女神「…………」
ぎゅぃーっ
魔王「痛っ! なんでつねるの!?」
国王(……あー、そういう関係なわけか)
国王「もげろ」
魔王「何が!?」
女神「つーん」
魔王「くそう、よくわからないけど味方がいない気がする……」
国王「つまみ残ってねえかな」ゴソゴソ
女神「出そうか?」
国王「……なんか不気味なんだよなぁ」
問題発生、仕事がヤバい
元々即興だが次いつ携帯触れるかわからんから一応トリップ。中途半端ですまん
こたつが恋しいぜ
∧,,∧ .∧,,∧
(´・ω・)(・ω・`) .∧,,∧ アタタカイネ
∧,,∧つ と)( つと ノ(・ω・` )
(´・ω・)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \と )∧,,∧
�・(,,_ゞ ※ ※,'´(´・ω・) ※ヾ∪,,,,,,'丿
\,,`ー─,,人,,つと人ー─ヽ,
 ̄ ̄  ̄ ̄
女神「冷や奴」
国王「そんなものまで……」
魔王「絹ごし?」
女神「絹ごし」
国王「木綿はなんかボソボソしてないか?」
魔王「なんか粗いよね」
女神「湯豆腐なら木綿のほうがオヌヌメだよ」
魔王「かつおぶし、刻みねぎ、おろし生姜」
国王「醤油かぽん酢か」
女神「冷や奴は醤油かなぁ」
魔王「絹ごしは正直そのままでもいける」
女神「たこわさ!」
魔王「たこわさ!」
国王「行きつけの居酒屋でお通しで出るな」
魔王「お通し出ない店とかあるんだよ、信じられる?」
女神「でもお通しってお金取られるんじゃなかったっけ」
魔王「そうだっけ?」
国王「わからん。しかしたこわさはうまい」
魔王「うん、うまい」
女神「女神ちんの手作りだぜー」
国王「お、さきいかとあたりめがあった」
魔王「鮭とばも発見ー」
女神「いいねいいねー、ビール残ってる?」
国王「あーっと、ヱビスしかねえや」
女神「じゃあそれちょうだい」
魔王「ひさいんを……」
国王「それはイシダイな。つーかばらかもんネタを引っ張るんじゃねえよ」
魔王「わかる君もどうかと思う」
女神「このもんおいしいよねー」
国王「ブルータス、お前もか」
女神「ビールときたらー……枝豆ェ~(脱力)」
国王「……なんで湯気がたってるんだ」
女神「茹でたてですので」
国王「お前マジすげえよ、マジ意味わかんねえよ」
魔王「うまいからいいんだけどね」
女神「( ・ω・)家庭菜園で作ったのだよ」フフリ
魔王「他にもなんかあるの?」
女神「あるよー」
女神「きんぴらごぼう!」ドンッ
国王「ボウルで!?」
魔王「多いよ!?」
女神「ナスの生姜焼き!」ドンッ
国王「アツアツだ!」
魔王「うわ香ばしいっ!」
女神「自家製しおから」コトッ
国王「家庭菜園関係ねえ……普通にうまそうだが」
魔王「絶品だよ、保証する」
女神「あとは各種漬け物~」
国王「このもんしかなかったからありがたい」
魔王「このもんおいしいのにー」
三人「「「乾杯っ」」」カツッ
国王「はー……上等な酒もいいが、やっぱりビール最高だわ」
魔王「国王の言葉とは思えないなー」
女神「なんかワインとか好きそうなイメージなんだけど」
国王「あんな堅苦しいモン式典でもなきゃ飲まねえよ」
女神「堅苦しいかなぁ」
魔王「味覚の問題じゃない?」
国王「そうか?」
女神「好きな料理は和・中・伊・仏?」
国王「和」
魔王「やっぱり味覚だよ」
国王「何このきんぴらうめえ」
魔王「ビールが……進む……ッ!」
女神「にへへ~、照れるじゃん☆」
魔王「これも手作りか……」
女神「お酒の神様に聞いて練習で作ったやつなんだけどね」
国王「練習でこれかよ、十分だろ」
女神「いやー、お酒の神様のには及ばないよ」テレテレ
魔王「本家はそんなにうまいの?」
女神「リアクションで神社が更地になるレベル」
国王「味王も真っ青だなオイ」
国王「ねっとりとまったりと……」
魔王「濃厚ッ! しかし辛すぎないッ!」
国王「こんなしおからがあるとは……」
魔王「さすが女神」
ナデナデ
女神「あ……えへへへ~♪」ニヘー
国王「なすもめっちゃうまいな。白飯のかわりにビールを飲むからペースがヤバい」
魔王「そういえばナスってスポンジみたいなもんで、油めっちゃ吸うらしいね」ナデナデ
国王「げ、マジか」
魔王「でもそれがうまいから……」ナデナデ
国王「……まあ、食った分運動すりゃいいか」
女神「~♪」ニコニコ
国王(……いつまで撫でてんだろうか)
国王「しかしこんだけあると逆に酒が足りなくね?」
女神「こんなこともあろうかと」ゴソゴソ...
女神「妹焼酎!」ゴトッ
魔王「…………妹?」
女神「……って書いてあるんだよ、ね」
国王「なんで不安げなんだ」
女神「いやぁ……お湯割りで飲めとは言われたものの、ね?」
魔王「確かに、妹……」
国王「妙な不信感があるな……」
女神「じゃ、じゃあ、せーので、ね?」
国王「お、おう」
魔王「さすがに死ぬことはない、よね……」
女神「いくよ? ――せーのっ」
女神「…………」
魔王「…………」
国王「…………」
女神「……普通だ」
魔王「普通すぎるな」
国王「結果ただの芋焼酎なのか」
女神「よし、あいつあとでボコボコにしよう」
魔王「怖い決意をしないであげて」
女神「ホッケ!」
魔王「ホッケ!」
国王「フホホ…ウマスウマス…」
魔王「うわなんか国王が壊れた」
国王「鯛より鮭よりホッケだべ」
女神「それほどかー」
魔王「居酒屋で注文するとたまに薄っぺらで物足りないことがあるよね」
女神「肉厚なのを戴いてきました」
国王「白飯のおかずに。ビールのお供に」
国王「ホッケ!」
三人「「「ホッケ!」」」
女神「あ、ウィスキー発見」
魔王「ハイボールの名残だよ」
女神「それでは次はロックで」
国王「ウィスキー!」
魔王「ウィスキー!」
女神「ウィスキー!」
三人「「「ヘーイ!」」」カンッ
女神「自家製チャーシュー」
魔王「そういえばうちのオヤジが時々作ってたなー」
女神「その大魔王氏に教わりましたー」
国王「市販のチャーシューって大概微妙だよなぁ」
魔王「自家製最強説」
女神「できたてを食べられる幸せ」
魔王「軽くオーブンで焼いて、温かいうちにいただきます」
国王「とろける脂身」
女神「食欲を誘うこの香り」
魔王「たまらんね」
国王「たまらんね」
魔王「チャーシューの端っこのうまさは異常」
女神「わっかる」
国王「味が濃く染みてるからつまみに最適」
魔王「あるいは刻んでチャーハンに」
女神「黄金色のご飯、散りばめられたチャーシュー」
国王「食いたい……」
女神「へい毎度!」
ゴトッ
魔王「もう何でもアリだなぁ」
国王「遠慮なくいただきます」
女神「具はシンプルに刻みネギとチャーシューのみ」
国王「余計なものなぞ要らぬ……ッ! 単純ッ! だがそれがいいッ!」
魔王「一方こちらはチャーシューをチーズと合わせて海苔巻きに」
国王「合うのかそれ」
魔王「焼くと意外に」
女神「意外といえば国王って意外に食べるよね」
国王「酔うとリミッターが外れるのさ」ドヤァ
魔王「あー、確かに酔ってるねこれ」
魔王「一番健康に気を使わなきゃいけない人が、実は一番ヤバいというね」
女神「ふつーの人間って国王だけだもんねー」
国王「俺は太く短く生きる! 望むままに飲み、望むままに食らう!」
女神「ダメ人間がここにいる」
国王「フッ、俺はkingだからな!」
魔王「王とダメ人間の間にイコールを入れないでいただきたい」
国王「まあ日々運動してっから割と平気だぜ? いざって時に剣を振れねえじゃ話になんねえからな」
女神「意外とまともな考えじゃん」
国王「フッ、俺はkingだからな!」
魔王「それ言いたいだけとちゃうんかお前」
国王「ビールまだある?」
魔王「この上まだ飲むと申すか」
女神「まあ出すけど」
魔王「出るんだ……」
女神「ものにより時間がかかることがございまーす」
国王「飲めればオッケー無問題ッ!」
国王・魔王「「ヘイ!」」
パン!(ハイタッチ)
女神「さりげにまーくんも酔っているね?」
魔王「まあね」
国王「あ゙ー……、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙……」
魔王「どうした? 吐くのか?」
女神「えっ、ピンチ? いきなりピンチなの?」
国王「いや大丈夫大丈夫……こたつと相乗効果で眠くなってきただけだから」
魔王「太るよ? ていうか肥えるよ?」
女神「いつかローストポークになるかもねー」
国王「こたつでローストはご勘弁願いたい……」
魔王「うん、ポークも否定しなさい」
国王「豚の体脂肪率舐めんなよ? 人間より下だぞあいつら」
女神「参照:銀の匙」
国王「何故ばれたし」
国王「っあー、ダメだ本格的に眠い。少し落ちる」
魔王「落ちるってんなネトゲみたいな」
国王「...zzz」スカピー
女神「はやっ!」
魔王「寝付きよすぎやろ……」
女神「おっさんだから体力がないのかな」
魔王「その理屈でいくと僕も寝付きがいいということに――間違ってないや」
女神「まーくんも寝る? ひざまくらしてあげるよ?」
魔王「わーいふともm――って危ねえ罠だ!」
女神「耳掻きもしてあげるよ?」
魔王「ッ!」ガタッ
魔王「いや落ち着け僕! こんな時は素数を数えるんだ!」
魔王「2、4、6、8、10、12、14、16、18……」
女神「それは偶数だよ」
魔王「よし、寝る!」
女神「あっ卑怯な!」
魔王「...zzz」スピー
女神「むー……また誤魔化されたし」
女神「まーくんの卑怯者ー」
賢者「なんせ魔王ですけん」
側近「」
女神「そういえばそうでした」
賢者「忘れがちだけど魔王なんよねー」
側近「……」コクリ
女神「……側近ちゃんどうしちゃったの?」
側近「……ナンデモナイデス」ボソッ
賢者「ちゅーか女神さんチッス」
女神「チッス」
賢者「こたつはどうだい?」
女神「出られませんなぁ……」
賢者「こたつのぬくもりを上回る熱い情熱があれば出られるよ!」
側近「」ビクッ
女神「側近ちゃんが君にしがみついたまま喋らないのは何故だい?」
賢者「ちょっとやりすぎました」
女神「オイ俺今夜寝られねえぞ」
女神「それはさておき二人も入る?」
賢者「やー、そろそろ叔父さん回収して帰るよん。時間遅いし」
女神「側近ちゃんは?」
賢者「持って帰ります」
側近「?!」
賢者「なんてね、冗談冗談♪」
側近「ホッ...」
女神「おおう……知らぬ間に二人の仲が未知の領域に」
賢者「見てたくせに」
女神「何故ばれたし」
賢者「時に女神さんや、少しは進展できたかい?」
女神「見ての通り……」
賢者「寝とるね。おっさんのくせにすげえ無垢な顔で寝とるね」
女神「あげないよ?」
賢者「いりませんて。ボクには側近ちゃんがいるからねー♪」ギューッ
側近「はぅ……」サレルガママ
女神「いいなぁ……いいなぁ……」
賢者「いっそのこと押し倒しちゃえばいいんでねーですかい?」
女神「うーん……」
賢者「まあむしろ魔王のヘタレ具合にイラッときますがね。さんざアプローチ受けて総スルーとか男じゃないすわ」
女神「ん、それは私も思うことあるけど……」
女神「まーくんが私のこと大事にしてくれてるのは、知ってるから、ね?」
賢者「そんなもんです?」
女神「そんなもんです」
賢者「女神さんが納得してるなら、ボクからは何も言えないっすね」
女神「ごめんね? わざわざ呼んでくれたのに」
賢者「こたつとお酒でゆるゆるになってる時ならイケると思ったんですけどねー、そんな甘くなかったか」
賢者「じゃ、ボクは帰りますね。側近ちゃんも送っていかなきゃ」
女神「うん」
賢者「ほら叔父さんいつまで寝てるのさ」
勇者「さ……三途の川が……」
賢者「せっ」
ドゲシッ
勇者「ナウッ!?」
勇者「はっ! ……ドリームか」
賢者「バカ言ってないで帰るよ」
勇者「あーもうそんな時間か……やれやれ」
女神「一気に静かになっちゃったなー」
女神「まーくんも寝てるし……」
女神「……」
女神「起きない、よね?」ゴソゴソ
女神「……えへへ、まーくんの腕まくら~♪」
女神「……まーくん」ギュッ
女神「……zzz」
魔王「目覚めたら女神が抱きついていた件について」
女神「...zzz」スヤスヤ
魔王「……おっぱいが! おっぱいの感触が!」
国王「真っ先にそこかい」
魔王「あ、国王起きてたんだ」
国王「少し前にな」
魔王「何飲んでるの?」
国王「いいちこ。飲むか?」
魔王「うん」
「「乾杯」」カツッ
魔王「上等な酒もいいけど、最後はこの辺りに落ち着くよね」
国王「ワンカップとか最高だわ」
魔王「一時期あれの空き瓶でちょっとしたオブジェができてたよ」
国王「いや棄てろよ」
魔王「なんかもったいなくてさ。何かに使えそうじゃん?」
国王「わかるけどな。どうせ使い道なんて思い浮かばねえのについつい残しちまうっていう」
魔王「尼のダンボールとか」
国王「ラムネのビー玉とか?」
魔王「ため込みすぎて側近に怒られたけどね」
国王「ま、集めたがる心理は女にはわからんよ」
魔王「全くだ」
魔王「そういえば勇者は?」
国王「寝てる間に帰ったみてえだな。あいつの姉貴マジこええから」
魔王「あぁ、あの姐さん……」
国王「こないだなんか騎士団長が土下座してたぜ」
魔王「怒らせないようにしようと胸に誓った雪の降る夜」
国王「無意味に詩的にすんな」
国王「……なあ魔王よ、酒の席でちょいと確かめたいんだがな」
魔王「なんだい?」
国王「お前さ、実際女神のことどう考えてんだ?」
魔王「あー……ちゃんと言った方がいい系?」
国王「だって気になるだろ、魔王と女神だぜ?」
魔王「そりゃまあ、そうか。うん……そうだねえ」ナデナデ
女神「んゅ……zzz」スヤスヤ
国王「今はお互い酒が入ってんだ。多少ぶっちゃけても構わねえだろ」
魔王「愛してるよ。世界と引き替えにしても護りたいくらいに」
国王「マジか」
魔王「うん」
国王「意外ってほどじゃねえが……そうか、そうなのか」
魔王「まー、他じゃ口が裂けても言えないけどさ。国王にならいいや」
国王「理由は?」
魔王「立場とか、存在の差とか、色々」
魔王「僕や女神ってさ、寿命がないじゃない?」
国王「ああ」
魔王「でもさ、死ぬことはあるんだよ」
国王「……ああ」
魔王「神様は天界で、魔族は魔界で。それぞれの世界でしか、本当は生きてられないんだ」
魔王「ちょっとだけふらっと遊びにいく程度だったら平気なんだけどね」
国王「そうなのか」
魔王「人間界の魔物って弱いでしょ? あれは環境に体がついていかなくって弱体化してるのさ」
魔王「魔物も魔族も、長く障気を吸わずにいるとそれだけで死んでしまうからね」
国王「……そいつは予想外の弱点だな」
魔王「魔族が人間界に侵攻しない理由でもあるよ。心当たりはあるでしょ?」
国王「確かに……魔法なんてもん使えるわりに、派手に攻め込まれたことはねえな」
魔王「そして、神様は天界の霊気に触れていないと、少しずつ力を失っていく」
魔王「もしずっと人間界に居続けてたら、最終的には人間と同じになるんだってさ」
国王「ってことは」
魔王「そうなれば、障気の影響で死ぬこともあり得る。魔界に居座るなんて以ての外だよ」
国王「……、俺自身神の加護とやらのお陰でこうして無事なんだが、これもいつまでもは保たねえってことか」
魔王「寿命分くらいは余裕なはずだけどね」
国王「ま、死んだらその時はその時か」
魔王「軽いなぁ」
国王「もうここに居るからな、俺ぁ」
魔王「ま、そんなわけで女神を魔界に留めたくはないわけですよ」
国王「考えはわかったけどよ、しんどくねえの? 好きな女と一緒にいられねえとか」
魔王「今でも十分一緒にいるよ。ただこれ以上は望まないってだけ」
魔王「揃って人間界に逃げ込むってことを考えたこともあるけど……」
魔王「僕は魔王だし、女神も神様の中じゃかなり偉いほうだからさ」
国王「それが立場のほうの問題か」
魔王「親父は好きなようにしたらいいって言うけど」
魔王「これでも他の魔族から慕われちゃってるからね、僕」
国王「……せめて告白くらいしてやったらどうなんだ?」
魔王「魔界が氷に閉ざされた理由」
国王「あん?」
魔王「昔はね、今ほど障気が濃くなくて人間がかなり出入りしてたんだよ」
国王「ああ、聞いたことあるな。確か勇者の剣の素材も元は魔界の鉱物だとか」
魔王「魔界の資源――石ころから魔族まで、大昔の人間にとっては何もかもが狩りの対象だった」
国王「……」
魔王「魔界を守るには、魔界を人が近付けない場所にするしかなかったんだ」
国王「……それじゃあ」
魔王「……うん」
魔王「女神はね、僕のために人間界から冬を奪って、魔界を極寒の世界に変えた」
魔王「当時は僕の仕業ってことにして誤魔化したけど……勝手なことをしたって、女神は随分叱られたみたい」
魔王「ただ、天界のほうでも人間をどうにかする方法は考えてくれてたみたいで、そんなに大事にはならなかったんだけどさ」
国王「なんか次々ととんでもない事実が出てくるなオイ」
魔王「あはは、まあ酔っ払いの妄言だとでも思ってよ」
国王「……そうだな、飲みすぎだ」
魔王「正直ね? 自惚れすぎって言われるかもだけど……」
魔王「もし僕が一緒に死んでって言ったら、女神はきっと一緒に死んでくれると思うんだ」
魔王「でも、僕はそれはイヤで……」
魔王「結局は、僕のワガママなのかな」
魔王「お互いの気持ちは確かめない。でも、できるだけそばにはいたい」
魔王「死んでほしくない、死なせたくない、笑っててほしい、泣かせたくない、傷つけたくない、傷ついてほしくない」
魔王「ずっと一緒にいたい、ずっとバカやって笑いあってたい、触れ合いたい、語り合いたい、ぬくもりを感じたい、そばにいたい……」
魔王「……でも、しょうがないじゃんか……」ポロ...
魔王「大好きだけど……しょうがないじゃんか……!」ポロ ポロ...
国王「…………飲みすぎだよ、魔王」
魔王「…………うん、ごめんね」グスッ
国王「……俺も飲みすぎだな。こりゃ明日には何も覚えてねえや」
国王「だろ? 魔王」
魔王「……うん。そうだね」
魔王「ありがとう、国王……君と友達になれて良かったよ」
国王「いきなりこっぱずかしいこと言うなアホ」
魔王「あはは」
魔王「うーん、言うだけ言ったらスッキリしたや」
国王「そいつは何よりだ」
魔王「しかしあれだねぇ」
国王「あん?」
魔王「国王と友達になれたのも、元を正せば女神のお陰なんだよねー」
国王「そうか?」
魔王「だってほら、魔界が寒いからこたつが出来て、勇者がこたつ持ち込んで停戦して」
魔王「そんでなんだかんだあって今ここなわけじゃん」
国王「まあ言われりゃそうだな」
魔王「女神には助けられっぱなしだよホント」
国王「……いや待てよ? 停戦のきっかけはこたつじゃね?」
魔王「?」
国王「そもそも人間界に冬があったら、それはそれでこたつを作ってた気がする」
魔王「……あー」
国王「そうなると……停戦の真の立役者はこたつではないだろうか」
魔王「なるほど、確かに!」
国王「つまり……」
国王「こたつは世界を救う」
魔王「マジヤバい」
‐強引に完‐
~言い訳~
ごめん、ネタが尽きた
最後シリアスになってしまったが、正直こんなことになるとは思っていなかった
締めが無理矢理なのは二人とも酔っぱらってるせいです。そういうことにしておいてくれ
そのうちまた何か書く。読んでくれた人に最上級の感謝を
ありがとうございました。
魔王「鍋やるべ!」
勇国神側賢妃「「「「「「 鍋やるべ! 」」」」」」
使魔「キュイキュイ!」
魔王「鍋と言えば!」
女神「闇鍋!」
国王「ヤメテ!」
賢者「猫鍋!」
勇者「食うな!」
王妃「空鍋!」
側近「怖いです!」
使魔「モツ鍋だろjk」
魔王「そ……えっ!?」
全員「「「「「「「 えっ!? 」」」」」」」
使魔「キュイ?」
魔王「こたつに鍋が合わさって最強に見える」
女神「向かうところ敵なしだね!」
魔王「そんなわけで適当に作りました、名付けて魔界鍋」
勇者「闇鍋並みに不安になるな」
側近「その実態はただのフツーのお鍋です」
賢者「持ち寄った食材を出汁で煮ただけ、簡単お手軽味そこそこ」
王妃「調理はわらわが腕を振るってやったのだ。感謝して頭を垂れるがよい」
国王「うちの嫁は料理上手だから安心していいぞ」
勇者「俺的には何故居るのかにツッコミたいんだが」
魔王「女神や側近に任せるのが怖いという意見があったので」
女神「というかさすがに鍋は出せないよ」
側近「あと私が料理すると何故か爆発しますし」
賢者・使魔「「」」ガクガクブルブル
勇者「一体何があったんだ……」
女神「もちろんお酒もあるよ」
国王「俺からは貰い物のウォッカだ」
勇者「……鍋にか?」
国王「飲めりゃなんでもいいだろ」
魔王「うちからはこれ、自家製古酒(クースー)。なんと三十年物」
勇者「何ッ!?」
王妃「魔族の寿命から考えればそう珍しくもあるまい」
側近「ちなみに古酒(クースー)とは、泡盛を三年以上熟成させたものを言います」
女神「おいしく飲みやすくなるのだよ」
賢者「ボクと側近ちゃんは飲めないけどね」
魔王「もちろんアテもあるよ、ほい」
国王「まさかのスクガラス」
勇者「いやだから鍋にさぁ……」
女神「そういう方はビールでどうぞ」
魔王「親父の友達から貰った手作りベーコンもあるよ」
国王「銀の匙?」
魔王「触発されたらしい。罪深いな、荒川」
側近「あれ読んで以来卵かけご飯が……おいしくて……っ!」
賢者「牛乳嫌いが治りました」ドヤッ
国王「ピザ食いたくなって思わずピザパーティー開いた」
勇者「一人だけスケールがおかしいぞ。あと俺呼ばれてない」
王妃「何故貴様のような路傍の石如きをわらわたち高貴な者の集いに呼ばねばならぬのだ、分際をわきまえよ」
勇者「国王、この口の悪い嫁をなんとかしろ」
国王「なんで?」
勇者「なん……えー……?」
魔王「そして肝心の鍋の中身です」
国王「きりたんぽ」
魔王「白菜」
勇者「鶏肉」
側近「下仁田ネギ」
賢者「豆腐」
「ちくわ大明神」
王妃「つくね」
女神「もやし(美声)」
国王「かいわれ」
魔王「水菜とか」
勇者「ちょっと待て今おかしいのがいたぞオイ」
魔王「それでは乾杯の音頭を勇者に」
勇者「俺かよ……まあいいや、んじゃみんなグラス持って。賢者と側近ちゃんはジュースな」
王妃「女神よ、貴様にわらわに酌をする許可をくれてやろう」
女神「( ゚д゚)全力で断る!!」
女神「まーくん注いで~☆」
魔王「はいはい、ウォッカ? 古酒?」
女神「最初はビールかな」
魔王「じゃ僕もそうしよう。王妃さんもほら」
王妃「ふん、魔王からの酌というのも悪くないな。よかろう、許す」
魔王「……そのキャラ疲れない?」
王妃「キャラではない。わらわは高貴なのだ」
国王「すまん、こいつ素でこうなんだ」ナデナデ
王妃「む、王よ。もっと撫でろ」
国王「はいはい」
勇者「」パリンッ
勇者「いけね、グラス割っちまった」
使魔「気持ちはわかる」
魔王「そ……んん?!」
使魔「キュイ」
賢者「はい側近ちゃん」
側近「……変なの入れてないよね?」
賢者「入れてほしい?」
側近「やめて下さいお願いします」
勇者「全員持ったか? それじゃ」
勇者「乾杯!」
「「「「「「 乾杯!」」」」」」
女神「まーくんお肉取ってお肉! ひたすらお肉!」
魔王「野菜も食べなさいってば」
勇者「……なあ、お前ら前より妙に距離感近くねえ?」
魔王「? 何が?」
勇者「いやだっておかしいだろ!」
勇者「なんで当たり前みてーに女神がお前の膝の上にいんだよ!」
魔王「しかたないだろー、早々に陣取って動かないんだもん」
女神「特等席です☆ あげないよ?」
勇者「いらんわ!」
王妃「王、わらわを抱っこする許可をやるぞ」
国王「狭いだろが。するけど」
王妃「うむ」
勇者「そっちも便乗すんな!」
賢者「むしろボクは抱き付きます!」
側近「ひゃあっ!?」
賢者「おおう、ふかふかー」ムニョンムニョン
女神「まーくんもしてみる?」
魔王「しないよ……」
勇者「」
トゥルルルル ピッ
勇者「もしもし、壁殴り代行サービスですか?」
国王「嫉妬するくらいなら結婚しろよ……」
勇者「知ってる? 結婚ってね、相手がいなきゃできないんだよ?」
<オラアアアアアア!! ―ドゴォン!!
魔王「昔はモテてたじゃん、どうなったの?」
勇者「僧侶は幼なじみとラブラブ、魔法使いはイケメン王子と駆け落ち、武闘家は実家の道場で弟子数人と夜の稽古三昧だとよ滅びろ!!」
<ウラアアアアアア!! ―バゴォン!!
側近「よ、夜の稽古って……」カァァ…ッ
賢者「側近ちゃんもしてみる?ボク頑張るよ!」
勇者「」
<ゴルアアアアアア!! ―バッゴォォン!!
魔王「壁殴り代行近いなぁ」
側近「そういえば庭師のサイクロプスが最近副業に始めたとか」
魔王「犯人はあいつか。壁壊れなければいいけど……」
<ドッセエエエエエエエイ!! ―ゴッガァン!!
側近「でも確かに、女神さんやけにべったりですね。あ、きりたんぽ美味しい」
女神「遠慮する理由がなくなったからねーん♪ お肉まぐまぐ」
魔王「何のこっちゃ……豆腐こそ至高」
王妃「貴様ら、野菜も食え」
国王「ネギもまたうまし。王妃、あーん」
王妃「あーん」
勇者「ナチュラルに何してんだオイ」
女神「まーくん、私にも私にも!」
魔王「はいはい」
勇者「だから便乗すんなってーの!」
賢者「それで……うむ、白菜甘ス。遠慮がいらなくなった理由とはなんぞや」
女神「えへへ、だって」
女神「世界と引き替えにしても守りたいくらい好き、って言われちゃったんだもん☆」キャハッ
勇者「な」
側近「ん」
賢者「だ」
王妃「と」
魔王「」
国王「ポン酢であっさり……いや、ここはゴマだれでいくか」
勇者「ちょ」
魔王「ちょっと待って何で知ってんの!? え、何で?! 寝てたじゃん!!」
勇者「お」
女神「狸寝入りです☆」
魔王「そんなバカな!?」
勇者「て」
国王「だから飲みすぎだっつったろーがアホ」
魔王「あれそういう意味だったの?! ってかうわ! うわ! うわわ恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!! 死にたい死にたい!! うわあああああああああっ!!」
女神「ふひひ、言質がとれた以上もう離さないよー♪」ギュィーッ
王妃「ひとえに愛だな、うむ」
魔王「ああああああ……ウン百年と隠してきた僕の純情がこんな呆気なく……」シクシクシク...
女神「いーいじゃーんかー♪ ラブラブしようよー♪」
国王「諦めろ魔王。そいつぜってーお前を諦めねえぞ」
魔王「黙ってればいつか諦めると思ってたのに……ッ!」
女神「諦めるのを諦めてよ、なのだよ~ん☆」
側近「極東学園天国ですね」
賢者「日本橋先生の「ちょっとお嫁に行ってきます」ってセリフがもう……」
賢者「側近ちゃん結婚しよう」キリッ
側近「ぶはっ!?」ブフォッ!
あれ、続いてるのか
王妃「よいではないか。互いに想いが通じ合っているのなら障害など在ってないようなものだ。わらわと王がよい例であるぞ」
国王「あーうん、それはお前が無理矢理押し通しただけだけどな?」
王妃「無理を通して道理を蹴っ飛ばす、だ」
賢者「それが俺たちグレン団だ!」
王妃「言い換えるなら成し遂げた者の勝ちということだな。つまり魔王、お前は女神に負けたのだ」
魔王「いや勝ちとか負けとかそういう話では……」
賢者「……スルーとかキツいっつわー、マジないっすわー」
>>242
後日談です
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女神「まーくん、女神ちんのこと嫌い?」ウルウル
魔王「う……」
国王「魔王」
魔王「ぐ……」
側近「魔王様」
魔王「ぬ……っ」
賢者「魔王」
魔王「うぅ……!」
王妃「はっきりしろ魔王」
魔王「くうぅぅぅぅ……っ!」
女神「まーくん……」
魔王「…………」
魔王「……あぃ、認めます……」ガックシ
王妃「おめでとう」パチパチパチ
国王「おめでとう!」パチパチパチ
側近「おめでとうございます!」パチパチパチ
賢者「ざまあみろ!」パチパチパチ
魔王「あー……もう、人の気もしらないでさぁ……」ハァ...
使魔「そりゃお前が悪いわ」
魔王「そ――んんん!?!?」
使魔「キュイ?」
女神「まーくん、私はね。まーくんがいなかったら生きてたってつまんないんだよ?」
女神「まーくんがいるから私がいるの。まーくんといられなかったら、私は生きていたくなんてないの」
女神「私はまーくんのものになりたいの。まーくんが大好きだし、愛してるし、私の全部をまーくんにあげたいの」
女神「まーくん、私はまーくんが好き。大好き。まーくんの気持ちも、言ってほしいな」
魔王「…………うん」
魔王「僕も好きだよ。大好きだよ、女神」
女神「まーくん……」
魔王「女神……」
国王「なお、今も鍋は続いております」
賢者「鍋目の前にしてする会話じゃねえっすわマジで」
勇者「俺の空気感を見てくれ」
王妃「む、いたのか」
勇者「ちくしょう!」
王妃「さて、魔王と女神の仲も進展したところで鍋の続きと参ろう」
側近「流れが無茶苦茶ですよ!?」
魔王「いやまあ元々食事中なわけだしね」
国王「思わぬ騒ぎになったな」
賢者「よっ、お二人さん! ひゅーひゅー!」
女神「えへへへ……なんか恥ずかしいね?」
魔王「何この子かわいい」
勇者「いきなり何ほざいてやがるクソが」
魔王・女神「「あ、勇者いたの?」」
勇者「泣いていいですか?」
やべ書き忘れた
食事中ですが完。今度こそ完。
以上蛇足かもしれない何かでした
次からはもっと終わりを真面目に考えてから書こうと誓った2月の夜
縁があればまた会いませう、ではでは。
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