千早「いつかと同じ雪の日」 (39)
カーテンを開けたら、雪が降っていた。
昨夜から降っているようで、場所によっては積もっている。
子供のときはそれを見た瞬間喜んで家から駆け出したが、この年になるとあまり喜ぶものでもない。
P「…この中仕事かよ」
世の中は無情である。
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『お客様にお知らせします。雪のため、この列車遅れて運転しています。お急ぎのところ列車が遅れましてご迷惑をおかけします』
…事務所に間に合うのかこれ。
アイドルが先に着いてプロデューサーが遅刻とかメンツ丸つぶれだ。
大体なんで雪くらいで電車が遅れるんだちくしょう。
そんな意味のないことを延々と考えながら、進まない電車から外の真っ白な景色を見ていた。
…休みの日に雪だったら、どっか遊びに行きたいな
面白そう期待
どこも遅れていたのだろう。
一番遠い春香が遅れないか心配したが、ギリギリで何とかなった。
何とかはなったのだが…
春香「寒いー!」ガタガタ
雪歩「さ、寒いね春香ちゃん」ガタガタ
春香「雪歩ー、寒いよー!」ギュ
雪歩「は、春香ちゃん!!?」アタフタ
ワイワイ キャッキャ
貴音「……」
千早「…くしゅん!」
貴音「千早、大丈夫ですか?」
千早「ええ。ちょっと寒いけど、大丈夫」
貴音「そうですか…」
あの衣装でこの気温は寒いだろ、どう考えても。
P「その衣装じゃ流石に寒いだろ。とりあえずまだ時間があるから上着でも着とけ」
春香「はぁ… あー暖かーい」
雪歩「やっぱり上着があるだけで違うね」
千早「……」
貴音「……」
春香「それにしてもすごい大雪ですね、プロデューサーさん!」
P「ああ、まさかここまで降るとはな…」
春香「えへへ、何だか東京じゃないみたいです!」タタタッ
P「春香、そんなにはしゃいでると危ないぞ」
春香「大丈夫ですよー ってあれ!?」ツルッ
P「言ったそばからかよ!?」
雪歩「春香ちゃん!!」
ガシッ
貴音「春香、大丈夫ですか?」
春香「あ、ありがとう…」
貴音「ふふ、良いのです。雪の日にはしゃぐのは誰しも体験することです」
タイが千早なのに語りはP
来たか! 優がPヘッドの中身説が!
雪歩「四条さんも雪で遊んだんですか?」
貴音「それは、…とっぷしーくれっとです」
千早「……」
>>10
はい?
春香「あーあ、今度は休みの日に雪が積もったらみんなで遊べるのにな」
P「ああ、そうだな。春香が亜美と真美に雪だるまにされてる姿が浮かぶよ」
春香「そんなことありませんってば! もう、プロデューサーさん私のこと低く見すぎですよ」
雪歩「で、でも亜美ちゃんと真美ちゃんなら事務所の全員雪だるまにしそうだよね…」
貴音「確かに、あの二人ならやりかねません」
千早「……」
貴音「…まだ、雪は降りそうですね」
春香「この調子だともっと積もりそうだね」
雪歩「ちょっと寒いけど、この衣装にピッタリですぅ。ふふっ」
千早「……」
P「千早、どうかしたか?」
千早「え? い、いえ。何でもないです…」
P「……」
春香「プロデューサーさん、時間まで雪で遊んでていいですか?」
P「そうだな、…まだ時間あるな。よし、怪我するなよ」
春香「わ、わかってますってばー。千早ちゃんも行こ?」
千早「ごめんなさい、…私はここで見てるわ」
春香「そっか、遊びたくなったらいつでも来てね」
千早「ええ」
P「……」
ワイワイ キャッキャ
P「……」
千早「……」
P「…雪が嫌いか?」
千早「え? あ、えっと…」
P「朝から浮かれない顔してるからそうじゃないかとは思っていたんだが…」
千早「嫌いでは、ないです。嫌いでは。ただ…」
千早「…こういう仕事を前に言うことではないと思うのですが、私は雪が苦手です」
千早「小さい頃、雪が積もった時に雪で遊んだことがあるんです。…優と一緒に」
千早「…雪を見ると、その時のことを思い出してしまうんです」
また雪が降って、雪が積もる。
雪が降る度にそう考えてため息をつくのが、日課になっている。
去年だって、今年だって、きっと来年だって。
その先もずっとそうだと思っている。
ずっと、ずっと…
P「…そうか」
千早「……」
P「…誰も、いつかは雪を素直に喜べなくなるか」
千早「え?」
P「俺も昔は雪が大好きだったよ。雪が降る度に遊んでた」
P「いつからだろうな? 遊ばなくなったのは」
千早「……」
ワイワイ キャッキャ
P「…あいつら、楽しそうだな」
千早「本当ですね。私もこの年なら、本来ああいった遊び方をするのかもしれませんが。でも…」
千早「それでも… 私は、やっぱり雪が苦手です」
雪歩「ち、千早ちゃんごめんね!」
千早「萩原さん?」
雪歩「私なんかと仕事してても、楽しくないよね…」
千早「え? あ、ち、違うの萩原さん。苦手なのは萩原さんのことじゃなくて…」
P「雪歩じゃなくて雪の話だからな、これ」
雪歩「え?」
なんかkanon思い出すな
千早「私、雪が苦手なの」
雪歩「あ …そ、そうなんだ」
雪歩「良かったー。どうしようって思っちゃったよ~」
P「雪歩、自信なさすぎだろ」
千早「嫌いになるわけないわ。だって、事務所の仲間なん… きゃっ!?」ドサッ
春香「あ! ち、千早ちゃんごめんね!! プロデューサーさんを狙ったんだけど…」
P「俺かよ」
雪歩「千早ちゃん大丈夫?」パサパサ
千早「……」
雪歩「ち、千早ちゃん。春香ちゃんもわざとじゃなかったんだよ。だから元気出して、ね?」
千早「…そうね。春香はいつも悪気なくやってくれるわ」クルッ
春香「千早ちゃん! ごめんね!」
千早「……」
P「まあ、その、なんだ… そんなに拗ねるなよ」
貴音「千早、あまり気を落とさずに」
千早「……」
雪歩「千早、ちゃん?」
千早「……」ギュッギュ
P「千早、お前まさか…」
千早「…よし」クルッ
千早「春香、いつもありがとう」
春香「あ、あれ~? 千早ちゃんその両手に持ってる雪を固めたような丸いものは何かな? 」
千早「これは、…心ばかりのお礼よ」
春香「わー!? ごめんなさいー!」ダッ
雪歩「は、春香ちゃん!走ったら危ないよ!?」
春香「ってあれ!!?」ツルッ
ズサァァァッ
雪歩「春香ちゃん!」
貴音「春香! 怪我はありませんか?」
春香「あいたたた… 雪が冷たいー!」
ワイワイ キャッキャ
千早「はぁ…」
P「苦労、してるな」
千早「…春香といると、いつも昔を思い出す時間を作らせてくれないんです」
P「そうだろうな。 俺もいつも振り回されてばかりだ。…本人はそんなつもりはないんだけどな」
P「今のも多分、俺に雪をぶつけて俺が春香にお返ししに行くから、それで千早を春香達の輪に誘おうとしたんだろうし」
千早「それを私に当てる辺りが春香らしいです」
P「ははは、まったくだ」
P「…まあ、それでもいいんじゃないか?」
千早「そうですね。少し考え方が変わりました」
千早「…プロデューサー、私もちょっと行ってきます」
P「ああ、怪我するなよ。 あと春香に怪我させるなよ」
千早「ふふ、気をつけます」
おわり
乙
良い雰囲気で良かった
登場メンバーを見てわかる方もいるかもしれませんが、発想の元はこの前ロー○ンで発売されたラバーストラップです。
千早の少し困ったような表情を見て、千早Pとしてその表情は何があったのかと考えずにはいられませんでした。
そうして最初に考えたのが、>>17の部分でした。
あとはそれに色々と足していってこの形になりました。
最初は地の文がメインだったのに最後にはほとんどなくなっているのも、継ぎ足しで作った結果です。
因みに自分はまだまだ雪で遊びたいです。
ここまで見ていただいてありがとうございました。
>>3
ありがとうございます。
お楽しみいただけたら何よりです。
>>10
ご期待に沿えずに申し訳ありません。
自分の技量では優を出すことは無理そうです。
>>22
自分はkanonを見たことがありません。
もし内容が被ってたらと思うと少し怖いところです。
ええ話や…
ラバストの組み合わせは謎とみせかけて良く出来てる
こういうほのぼのを俺は求めてた!癒された乙
短いのにいい雰囲気だった
1乙!
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