千早「如月千早は止まらない」 (62)
ピンポーン
P「誰だ…こんな時間に」
ピンピンピンピンピンポーン!!
P「はいはいはい…そんなに鳴らさなくても出ますよ」
P「どちらさま…?」ガチャ
千早「こんばんは宅配です」
P「…何も持ってないけど?」
千早「ありますよ」
P「…どこに?」
千早「私です。千早をお届けにきました」ニコ
P「……」
千早「……」
P「間に合ってます」ガチャン
千早「あ…」
P「なんだったんだ…?」
千早「お邪魔してます」
P「なんで!?」
千早「ここがプロデューサーの部屋ですか…」
P「いやいや、どうやって入ったんだよ!!」
千早「入ろうと思った時にはすでに入ってるんですよ」
P「何だその超理論は!?」
千早「あ、プロデューサーがいつもしているマフラーですね」シュル
P「なんで当たり前のように巻いてるんだよ!」
千早「ふふ…安心します」スンスン
P「誰か助けて…」
P「はぁ…ほら、コーヒーでいいよな?」コト
千早「なんだかんだでちゃんともてなしてくれるプロデューサーのこと好きですよ」ズズ…
P「俺は人の家に勝手に入ってくる子は嫌いだけどな」
千早「はっ!!今プロデューサーの事好きって言ってしまったわ…」カァ
千早「あの、プロデューサー!好きって言うのはその、そういうことじゃなくて…」
千早「いえ、そういうことじゃないわけじゃないんですけど…」
千早「だ、ダメよ…少し落ち着かなきゃ」バッ
P「あ!俺のジャケット…」
千早「すーはーすーはー」クンクン
P「……」
千早「落ち着きました」
P「…そうか」
千早「ふふ、すごく落ち着くわ…これも着ときましょう」
P「…で、結局何しに来たんだ?」
千早「私を宅配に来たんですよ」
P「そういうのもういいから」
千早「…何しに来たんだと思いますか?」
P「…そうだな」
P「千早のことだから今度の新曲について聞きたいことがあって来たんじゃないか?」
千早「プロデューサー…」
P「なんだ?」
千早「見当違いもいいとこですよ」
P「そんなに違うのか…」
千早「ええ、身体で表すとこれくらいです」バッ
P「そんな両手いっぱいに広げられても…」
千早「……」
P「な、なんだよ」
千早「早くしてください」
P「…なにを」
千早「手を広げてプロデューサーが抱きしめてくれるのを待ってるんですよ!」
P「ええ!?」
P「見当違いの度合いを身体で表してたんだろ?」
千早「いつの話をしてるんですか?」
P「ついさっきのことだよ!!」
千早「プロデューサー、私は”今”抱きしめて欲しいんですよ」
P「抱きしめるのはちょっと…プロデューサーとアイドルだし…」
千早「腕が疲れてきました」
P「…おろしたらいいだろ」
千早「…いじわる」
P「いじわるじゃない!」
千早「はぁ…ダメですねプロデューサー」
P「もうダメでいいよ」
千早「では罰として服を脱いでください」
P「なんで!?」
千早「?」
P「いやそんな首を傾げられても」
千早「だから罰ですって」
P「なんの?」
千早「私が何をしに来たか当てられなかった罰で上半身の服を」
千早「抱きしめてくれなかった罰で下半身の服が無くなりました」
P「罰重くない!?」
千早「むしろ妥協してあげてます」
P「これで!?俺全裸になっちゃうんだけど!!」
千早「しょうがないですね…ネクタイと靴下はしててもいいですよ」
P「いらない!そんな配慮いらない!!」
千早「我儘はいけませんよプロデューサー」
P「目の前に傍若無人の女王がいるんですが」
千早「女王ってそんな…では王はプロデューサーですね」カァ
P「くそぅ…都合のいいとこしか聞こえていない」
千早「あれ?なんでまだ脱いでいないんですか?」
P「脱ぐ気がこれっぽっちも無いからね!!」
千早「脱がないんですか?」
P「脱がないよ…寒いでしょ」
千早「寒い…?」
P「まだ冬だよ?家の中でも全裸は十分寒いよ」
千早「私はプロデューサーのことを思うだけであたたかくなれます」
P「それもっと違うシチュエーションで聞きたかったよ」
千早「ムードが足らないと…?」
P「常識が足りてないんだよ!」
千早「分かりました」
P「やっとわかってくれ―…」
千早「私も脱げばいいんですね」シュル
P「…てない!何一つ!!」
千早「マフラーとジャケットは許して下さい」
P「うおおお!!何本当に脱いでるの!!?」
千早「すーすーします」
P「穿いて!!早く穿いて!!」
P「待って!!一回落ち着こ!!」
千早「私はいたって冷静ですが」
P「俺のズボンを穿いてる子が何を言ってるの…?」
P「てかどこから見つけてきたんだ…?」
千早「ちなみにノーパンです」
P「パンツ穿いて!!てか自分のズボン穿いて!!」
千早「こう…直にプロデューサーのズボンを穿いてると…んっ」
P「なにしとんじゃあああ!!」
千早「全身がプロデューサーに包まれてる感じ…ふふ」
P「誰か止めてくれー!!」
ドンッ!!
P「!」ビクッ
P「ほら、千早が変なことするからお隣さんが怒ったじゃないか」ヒソヒソ
千早「喚いてるのはプロデューサーだけですけど?」
P「喚く理由をお前が作ってるんだろ!!」
千早「?」
P「泣いていい?」
千早「!!」
千早「ちょっと待ってください!」
千早「泣く瞬間をカメラに…!携帯、携帯…」
P「一瞬で引っ込んだわ」
千早「プロデューサー!カメラ機能の使い方を教えてください!」
P「もう泣かないからいいだろ!!」
ドン!!
P「で、結局なんで来たんだ…?」ヒソヒソ
千早「プロデューサー」
P「なんだ?」
千早「深夜に若い男女が一つ屋根の下にいる…これがどういう意味か分からないはず、無いですよね?」
P「なな…何を言ってる…」
千早「72の話ですよ」
千早「くっ」
P「自分で言って自分で傷付くなよ」
千早「ならばハッキリ言いましょう」
P「いや言わなくていいよ」
千早「プロデューサーと子作りセッ―」
P「言うんじゃなああああい!!」
P「はぁはぁ…」
千早「興奮してるんですか?」ワクワク
P「疲れてるんだよ」
千早「ではすぐに休みましょう!」ポンポン
P「なんで我が物顔でベットに…って千早が帰れば休めるんだがな」
千早「ここまで来て何もせずに帰れるわけないじゃないですか!」
P「知るか!!さっさと帰れ!」
千早「分かりました」
千早「ではこのまま泣きながら帰ります」パサ
P「な…全裸にマフラー!?」
千早「寝る時は服を着ない主義です」
P「知りたくなかった…」
千早「いいんですか?このまま帰って…あらぬ疑いをかけられますよ?」
P「ぐぬぬぬ」
千早「ふふ」ヌクヌク
P「今日だけだからな」
千早「一日あれば十分…!」
P「怖ぇよ…」
千早「プロデューサー、早く来てください」
P「は?俺は床で寝るぞ?」
千早「え?」
P「え?」
千早「え?」
P「え?当たり前でしょ?」
千早「…初めてはベットの上だと思ってたけど…冷たい床の上もアリね」
P「まてまて…お前の期待してることは起こらないし、起こさせない!」
千早「とは言ってもプロデューサーのここは起きてますけど?」サワ
P「ひゃんっ」
P「し、仕方ないだろ!!これは生理現象だ!」
千早「はい、分かっています」
千早「だからこれから起こることも自然なことなんです」
P「いや…それとこれとは」
千早「プロデューサー」
P「こ、こら…」
千早「しましょう?」
P「」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
チュンチュン
P「し…してしまった」
千早「んっ…おはようございます、プロデューサー」ニコ
P「お、俺はなんてことを…!!」
千早「私は幸せでしたよ?」
P「それは俺だって…!!」
千早「ふふっ、ならいいじゃないですか」
P「千早…」
千早「ところでプロデューサー、お腹空きませんか?」
P「ん?あ、ああ空いたな」
千早「どこかに食べに行きませんか?」
P「…そうだな」
千早「ふふ」ニコ
P(千早の幸せそうな笑顔を見てると、なんだかいろいろ悩んでるのがどうでもよくなるな)
P「美味しいな」
千早「こっちのも美味しいですよ」スッ
P「え…?」
千早「あ~ん」
P「あ、あ~ん…」パク
千早「どうですか?」
P「ああ、美味い」
千早「プロデューサーのも一つください」
P「おお、取っていいぞ」
千早「あー」
P「……」
千早「あー」
P「……」スッ
千早「あー…んっ」モグモグ
千早「ふふ、美味しいです」ニコ
P「それはよかった」
千早「そういえばプロデューサー」
P「なんだ?」
千早「私が何故プロデューサーの家に来たのかを聞いてましたよね?」
P「え…その…しに来たんだろ?」テレ
千早「それもありますが、本当の理由は家に鍵を置いたまま出てきてしまったからです」
P「…ん?」
千早「オートロックの部屋なので入れずに困ってしまって…」
千早「夜も遅かったので大家さんを起こすわけにもいかず」
P「…俺の家に来たと…?」
千早「はい」
千早「ですが、もう大家さんも起きてるはずですから一度家に帰りますね」ガタ
P「え?」
千早「お代…ここに置いときますね?」チャリ
千早「今日はありがとうございましたプロデューサー」ペコ
千早「近いうちにお礼を”し”に行きますね」
P「え…?ちょっ」
千早「それでは、また事務所で会いましょう」
P「え……えぇー」
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