千早「おっぱいが疼く……」 (35)
なんで開いたの
だれかはよ書くんだ
千早「はぁ」
あずさ「どうしたの千早ちゃん?」
千早「いえ」
あずさ「あら、それ美希ちゃんの写真集?」
千早「あっ」
あずさ「まあ、可愛いわねぇ」
千早「そ、そうですね」
あずさ「私も負けないようにしなくっちゃ」
やよい「何読んでるんですか?」
千早「高槻さん」
あずさ「これ、美希ちゃんの新しい写真集」
やよい「わ、可愛いです」
あずさ「また大ヒットでしょうね」
やよい「この水着、可愛いです…」
あずさ「私もこのくらいのが似合うようにしなくっちゃ。ダイエット、ダイエット」
千早「…」
何日か前にちーちゃんのおっぱいが爆乳になるスレあったよね
千早「ちょっと、出てきます」
やよい「うぇ、今お茶淹れてますよ千早さん」
千早「すぐに戻るから」
あずさ「あら、ごめんなさい。これ横取りしちゃって」
千早「気にしないでください、大丈夫です」
千早「はぁ」
近くの本屋に入る。
マンガ週刊誌の表紙には、きらびやかな水着姿の女の子たちが写っている。
千早(歌には関係ない)
とは言うものの
千早「…」
学生1「おい、ヤバくねこれ」
学生2「お前本当貴音好きだよなwww」
学生1「だってマジでほら、実用的じゃん」
学生2「黙れwww」
四条さんのグラビアかしら。
私には関係ない。人それぞれ。
あずささんも四条さんも、やっぱりグラマラスだから…
学生1「おっ、次回は千早ちゃんか」
千早「ッ!」
関係なくなかった。
千早「ああ、もう」
歌には関係ない、歌には関係ない。
でも歌うだけがアイドルではない、それはわかってる
けれどこんな…
千早「もしもし」
携帯取り出しポパピ…プロデューサーを呼び出す。
P『はいはい』
千早「あの、お願いがあります」
P『どんな?』
千早「グラビアの仕事を、減らしていただけないでしょうか?」
P『ええ?なんで』
千早「なんでって…」
P『写真撮られるの、やっぱり苦手か?』
千早「いや、写真がどうとか、そういう訳じゃ」
P『そうなのか』
千早「ただ、水着になるようなのは、やはり嫌です」
P『嫌なのか』
千早「…はい」
P『うーん、今時間ある?』
千早「え?」
P『時間』
千早「私のスケジュールなら、プロデューサーがご存知のはずです」
P『ごもっとも、失礼。えーっと…千早はこのあと雑誌のインタビューがあるから、8時くらいに事務所でどうだ?』
千早「わかりました。では」
言ってしまった。
四条さんや美希に恨みがある訳ではないが、私の精神衛生上、やはり水着は良くないと思う。
P「待たせた」
夜、事務所の1階。
書類の始末を終えたプロデューサーが、階段を降りてきた。
千早「プロデューサー」
P「よっしゃ、どこ行きたい?」
千早「はい?」
P「ご飯!」
そういえばそんな時間かしら。
千早「どこでもいいです」
プロデューサーは妙なテンションで私の答えを了承した。
連れてこられたのは、個人経営のイタリアンだった。
P「ここ入ってみたかったの」
注文を済ましてお冷が並ぶ。
千早「それで」
P「イエェス」
千早「なんなんですか今日は」
P「なんかノリノリなんだよ」
千早「話しづらいです」
P「ごめんなさい。で?」
千早「あの」
なんでこんなにニコニコしてるんだろう。
千早「水着グラビアの仕事、減らしたいんです」
P「そんな勿体ない」
千早「何がですか」
P「それを捨てるなんて…」
千早「馬鹿にしてるんですか」
P「違うよ千早」
千早「じゃあなんです」
P「千早は自分の需要って奴を理解出来てない」
千早「はい?」
P「いいか千早」
プロデューサーは目の前にパスタのメニューを広げた。
P「例えば、例えばだぞ。一般的にイタリアンでパスタ、スパゲッティの定番といえば何だ」
千早「トマトソース、とかですか」
P「そんなところだな。子供から大人まで、とりあえずこれ的なやつはどのジャンルにも存在する」
P「これが春香や響だ」
千早「はい?」
P「響は動物番組なんかで全年齢にファンがいるし、春香は舞台とライブでの功績で賞なんか貰ってるだろ」
千早「はい、まぁ」
P「しかしだよ、こういう汎用的な二人だけでは全人類のニーズは決して叶えられないのだよ」
メニューのページを送る。
P「ペペロンチーノ。シンプルでちょっと濃いけど旨いだろ。チェーン店なんかじゃコイツを大盛りにしてひたすら食ってる学生とかいるじゃない」
P「これがあずささんだ」
千早「意味がわかりません」
P「ボリュームや味の濃さが絶対的な層もすくなからぬわけだよ。美希なんかはカルボナーラだな。玉子2つ乗せ」
千早「何かの隠喩ですか」
P「玉子美味しいよね」
千早「帰ります」
P「ストォップ」
タイミング悪く、店員が皿を持ってきた。
P「食べてからでもいいでしょ?」
千早「…」
P「でさ、その反対もあるわけよ」
千早「はぁ」
P「やよいとか真美はこう…ちょうどこれだ、和風明太子だな。しっとりピリ辛、看板とは言えないかもしれんが、でもメニューからは決して消えない」
千早「美味しいですよね」
P「だろ。ちょっと口開けて」
千早「?」
直後、明太子パスタを盛られたスプーンが口に入る。
千早「?!んんっ」
P「えへへへへ」
千早「んっ…、んん。…」
P「美味しいでしょ」
千早「…まあ」
プロデューサーは、私がその一口を咀嚼し終えるのをじっと眺めていた。
千早「…見ないでください」
P「ダメ?」
千早「気が散ります」
P「ごめん。とにかくだ」
紙ナプキンで口を拭う。
P「味は薄いほうがいいってのもあるんだよ千早」
千早「そんなはずありません」
P「千早には絶大かつ固定的な需要があるんだ」
千早「何を根拠に…」
P「だって、歌上手いし」
千早「努力はしてます」
P「スレンダーだし」
千早「…くっ」
P「そこだよぉ千早!」
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません