千早「過剰な愛に永久の別れを」 (138)
閲 覧 注 意
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1384406056
見ていると気分が安らぐ
笑顔にできると嬉しくて
笑顔を見ると恥ずかしくて
触れられると、暖かくなって
ちょっとだけ、苦しくなる
でも、嫌じゃない。そんな感覚は、なんですか?
カタ、カタ、カタ……と、
ぎこちないキーボードの操作音が部屋に響く
見える誰かに聞くことはできなくて
なら見えない誰かに聞けばいい
そう思い至ったのは一週間前
音無さんに貰ったパソコン操作の指導時間
自分の部屋で扱うために支払った7万円
それらの犠牲の上に与えられた疑問の解
『それはきっと、恋。してるんじゃないかな?』
それはたった一言の、簡単なものだった
「恋……」
知らないわけではない
ただ、経験をしたことはない
K O I=恋
人差し指で丁寧に打ち出し
一瞬で現れる検索結果
どれを見ればいい、何を見ればいい
文字を追った……概念的なことばかり
ブログというものを追った……感覚的なことばかり
動画を追った……流れるように過ぎていく
解らない、伝わらない
そんな中で画像を見てみた……キスをしていた
慌てて閉じたパソコン画面
暗い中の私の顔は赤かった
彼女とするキスを……夢で見た
「おはよう、千早ちゃん」
「……おはよう。春香」
翌朝の事務所
いつものように貴女は挨拶をしてきて
いつものように挨拶を返そうとした
でも、顔が見れない
夢の中でキスをしたせいだ
いつもなら消える夢の記憶
でもこれは消えてはくれなかった
「千早ちゃん? 大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。心配しないで」
顔を背けて答えを返すと
寂しそうに小さく名前を呟かれた
ごめんなさい。貴女の顔は見たくても見れないの
綺麗な茶髪のショートヘア
丸みを帯びた優しい顔つきと緑色の大きな瞳
そして可愛らしく、柔らかそうな唇
……目を瞑っていても、見えてしまうらしい
恥ずかしくなってクッションに顔を埋めてしまった
「ん? 千早はどうしたんだ?」
「朝からあの調子なんです」
「春香にも話さないのか? そりゃ俺でもダメだな」
「あははっ……そうかもしれませんね」
春香たちの話し声
今日はレッスンする予定だったのに
『それはきっと、恋。してるんじゃないかな?』
パソコンの画面に映し出されていた言葉が蘇る
誰かに恋をしてしまったことを話してみる?
誰に?
そもそも、女の子が女の子にという異常な恋
人に相談なんてできるわけがなかった
「千早さん、そこ。ミキの場所なの」
「…………?」
「千早さん?」
いつの間にか、美希がいた
そして、仕事に向かったであろう春香とプロデューサーはいない
今なら恋愛の話を持ち出すこともできるし
美希なら多少の恋愛経験はありそうな気がする
……いや、年下に相談はありえない
しかも、美希に相談したところで
相手は誰かと迫られるに違いない
「ごめんなさい、今退くわ」
「千早さん、何かあった?」
「どうして?」
「ちょっと、複雑そうな顔してるから」
「別に何もないわ」
言い捨てて離れていく私の腕を
美希は掴んで強引に引っ張った
「なにかしら」
「千早さん、また前みたいに塞ぎ込んだりするのはダメなの」
「そんなに深刻そうな顔をしているかしら?」
「今はしてないよ。でも、するかもしれない」
美希は至って真面目な表情だった
普段はだらけていたりしても
真面目な時は真面目になれる。それが星井美希という人間
「茶化さないなら話すわ……それと、質問も禁止」
「……ミキ、笑わないよ。千早さんが真剣なら、ミキも真剣になるから」
真っ直ぐな強い瞳
参考になるか否か
とりあえず、相手が春香であることは伏せておくべきよね
年下に相談するわけじゃない
あくまで恋愛についての意見を貰うだけ
自分にそう言い聞かせながら
パソコンを弄っていたらたまたま恋愛の話を見つけ
興味本位で開いてみれば女の子が女の子に恋をするという
良く解らないものだったという話をでっち上げて訊ねてみた
「千早さんが最近小鳥と良く話してたのはパソコンのことだったんだね」
「質問は禁止」
「うっ……けど、ミキは経験あるわけじゃないから当てにならないかも」
「大丈夫よ。私よりはきっと解るはずだから」
美希は少し困った表情をして
私の顔を眺めていた
何かついているのかしら
「やっぱり、女の子が女の子に恋をするのはおかしいってミキは思うな」
「そうよね。異常だわ」
「うん。でも、ミキは他人だからそう思うんだと思う」
美希は真面目な口調でそう告げて
クッションを強く抱きしめた
まるで、それが愛おしいものであるかのように
「その恋をした人にとっては、それは異常でもなんでもない。大切な恋なの」
「…………………」
「普通に異性が好きな人にはきっと解らなくておかしいことだと思うけど」
ミキは。と言葉を区切って
しばらく美希は黙り込んでしまった
「美希?」
「……ミキは、その人が本気で相手の女の子が好きなら、応援してあげたいかな」
流れていく沈黙
過ぎていく時間
その気不味い空気を打ち破ったのは美希だった
「あはっ。結局良く解らないの」
彼女はそう笑って言うと
いつものようにあくびをしてソファへと横になってしまった
「悪かったわね。変な話に付き合わせて」
「ううん、ミキも女の子だから。恋のお話は好きだよ」
美希は微笑んでくれた
あの子とは違う微笑み
今日はまだ一度も見れていない微笑み。彼女の笑顔
「私はレッスンに行くわ」
「はぁ~い頑張ってなの~」
垢抜けた返事をしてすぐ、美希は寝息を立てて眠りにつく
春香に会いたい。春香の顔が見たい
この渇望する心は――恋?
しかし、レッスンが終わって夕方になっても
事務所に春香が戻ってくることはなかった
「千早ちゃん、帰らなくていいの?」
「ええ、もう少し」
「じゃぁ、ココアでも飲む?」
「いえ、お構いなく」
音無さんの優しさを振り払って
私はただただじっと扉を見つめているだけだった
いつもなら、春香は必ず事務所に帰ってくるのに
どうして今日は帰ってこないの?
「そうだ、パソコンはうまく使えた?」
「……ええ、おかげさまで」
話しかけてくるのが煩わしく感じてしまいそうな頃
ようやく、事務所の扉が開いた
「春」
「ん? 千早、まだ帰ってなかったのか」
入ってきたのはプロデューサーだけだった
今日はプロデューサーと春香は一緒の仕事で
つまり、戻ってくるなら一緒のはず
なのに、いなかった
「千早?」
「プロデューサー、春香はどうしたんですか?」
「春香? 春香なら亜美と会う約束があるからって途中で別れたぞ」
亜美と会う約束?
じゃぁ、今は亜美と会っているの?
「そうですか。なら、帰ります」
「千早」
横を抜けていくときに名前を呼ばれ
けれど私は足を止めることもなく事務所を出て行く
……満たされなかった
今頃、春香は何をしているのだろう
そんなことばかりを考えている頭は
普通の人から見たらやっぱりおかしいのかもしれない
でも恋をしてしまっているのだから仕方がない
春香が愛おしく
春香を独り占めしたいほどに愛しているのだから仕方がない
…………
………………?
「独り占め?」
自分が会いたいと思うときに
春香はほかの人と会っている
それを思うだけで、感情が昂る
悪い方向に昂ってしまう
ズルイ、ニクイ、ウラメシイ
嫌な感覚に、体が震えた
その翌日
「ち、千早ちゃん!?」
事務所に響いた春香の声
でも、そんなことは気にしない
強く、強く
自分のもとに縛り付けるように強く
春香を抱きしめた
「千早ちゃん、どうしたの?」
「…………………」
頭に触れてくる春香の手が心地いい
満たされていく
昨日満たされなかった分まで
春香が満たされていく……
「良く解らないけど、仕事行くまでなら……いっか」
春香は受け入れてくれた
解らないのに、私を受け入れてくれた
良く解らないのに春香は受け入れてくれた
でも、解らなくて良かったかもしれない
だって、これはあまりにも異常なものだから
春香の体を抱きしめて
艷やかで綺麗な髪の中に顔を埋めて
肺だけでなく体いっぱいに春香の匂いを取り込んで
その体の温かさを全身に感じて……。
異常だとは思う
でも好きなの。狂おしい程に愛おしいのよ。春香
言葉にはできない思いが態度となって春香を襲う
「わぁお、千早お姉ちゃん大胆だね~」
コンビニの袋を手に、亜美が事務所へと入ってきて、
そしてその臭いが体の中へと入ってきた。途端
私は凄まじい吐き気に襲われた
「っ!?」
春香を突き飛ばし
口元を押さえ込んで耐えようと息を止める
「え……?」
「ど、どうしたのさ!」
春香も亜美も唖然としている
でも、原因は2人
おかしいとは思った。でも、ただ変えただけだと思った香り
でも、違う
亜美も春香も同じにおいだった
それはつまり、春香は昨日そして今日の朝までずっと一緒だったということ
「うぇっ……ぁっ……」
吸い込んだ分だけ大きくなっていく拒絶反応
堪えきれなかった私は
胃の中が空になってしまうほどに吐き出し
「ち、千早ちゃん!」
春香の慌てふためく姿を見ながら、意識を失った
中断
えっなにこれ(困惑)
はるあみに・・・なるのか?
重い瞼が開いていく
口の中には吐いた名残の酸っぱさが残っていて
思わず顔を顰めてしまった
「千早ちゃん、大丈夫?」
白い天井と私のあいだに割り込む
春香の心配そうな表情
「春香……」
「水、持ってきたよ」
春香に染み付いた双海亜美の不快な臭いが呼吸するたびに入り込んでくる
けれど、再び吐き出すことはなかった
これは怖い(確信)
コップ一杯の水を飲み干し大きく息をつく
そのあいだも、春香は心配そうな表情のままだった
「大丈夫?」
「ええ……ごめんなさい」
「何があったの?」
「ただちょっと、目眩がしただけよ」
私の嘘は、下手過ぎた
2人並んでソファに座ったまま
春香は私の体を優しく……けれど強く抱きしめた
「嘘」
「………………」
「昨日から、ちょっと変だよ」
「………………」
黙り込んだままでいると
春香は私から離れて、顔を見つめてきた
「今朝だって、急に抱きついてきたよね?」
「……ええ」
否定することは出来なかった
不自然だったのは事実だし
そうでなくても、春香が怒っているからだ
吐くほどにおかしかったのに
なぜ、相談してくれなかったのか。と
「なにか、あったの?」
「……………………」
「黙ってたら何にも解らないよ」
「……………………」
わかる、わけがない
解って、貰えるわけがない
私は春香を好き。愛してる。そう伝えたところで
訪れる結末は私達2人の絶縁
そうとしか思えない
だから、何も言えなかった
「ねぇ、千早ちゃん」
「…………………」
「この際、黙ったままでも良いから聞いて」
春香は静かな声で言葉を作っていく
同時に、私の手を握ってくれた
「私は千早ちゃんを助けてあげたい」
だから。と、続く
「出来ることがあったら言って。なんでも協力してあげるから」
そう言って、春香は笑った
「なら……今日は事務所に来て」
「え?」
「昨日、亜美の家に泊まったんでしょう?」
「う、うん。もしかして……昨日事務所で待っててくれたの?」
春香はすぐに察してくれる
割と長い付き合いだからこその理解だった
「……ええ」
「ご、ごめんね? 昨日は元々亜美達と約束してたの」
「聞いてなかったわ」
「あははっ、その……言う必要は」
春香の声を遮った大きな音
それが自分が机を叩いた音だと気づくのには
数分程度の時間が必要だった
「ち、千早、ちゃん?」
「言う必要……ない?」
「だ、だって私のプライベ」
また、大きな音
今度は手が痺れたおかげですぐに気づいた
「春香、そんなのはダメよ。黙っているなんて」
「ち、千早ちゃん? ねぇ、どうしちゃったの……?」
「不安になるし、心配になるわ……だから、ダメ」
春香の震える頬に触れ
そこから下へ下へと流れるようにおりていく
「………………」
「ねぇ、春香」
「な、なに?」
「今日は……私の家に行きましょう」
私の提案に対して
春香はビクッとあからさまな反応をして首を横に振った
「2日連続しては」
「春香!」
「っ……」
「亜美は良くて、私はダメなんて許さない」
今の私はどんな表情なのだろう
怯える春香の瞳の中にいるのは……鬼だった
「ゎ、解った……解ったから……」
春香は涙を堪えた瞳で私を見つめ、すぐさま逸らす
そんな畏怖の感情をあらわにする春香から離れ
私は部屋を出ていこうと扉に手をかけ振り向いた
「ちゃんと事務所に帰ってきて?」
「解った……」
忘れないようにという念押し
春香はそれに対して震える声で答え
自分の体を抱きしめていた
病んでおる、病んでおるぞ
ダンスレッスン場の誰もいない部屋
私はその鏡の中に、自分ではなく春香を見ていた
春香は救いの手を差し伸べてくれていた
けれど私はその手を力強く弾き飛ばし
それだけでなく強引に引きずり込んで縛り付けた
「……春香」
怯えた瞳
震えた声と体
でも、不思議と罪悪感は沸かなかった
昨日戻らなかった春香が悪い
黙って泊まった春香が悪い
言う必要はないと言った春香が悪い
全部、全部春香が悪い
…………。
………………。
まだ、満たされていない
中断
ふぇぇ…
「あははっ、そんなことないよ~」
「いやいや~、中々才能あると思うけどなぁ」
夕方、レッスンを終えた私は
事務所の扉の前で立ち尽くしていた
中から聞こえてくる声は楽しげで
邪魔をすることを許されないような感じだったから――ではない
バァンッ!!
騒々しい音を響かせて扉を開けると
春香、音無さん、美希……そして双子の片割れである忌々しい女の子が
驚いた様子で私を見つめてきた
「すみません、ちょっと倒れそうになって……」
かなり苦しい言い訳だったけれども
今朝の嘔吐と気絶がその嘘を真実へと偽ってくれた
「千早ちゃん、まだ辛いの?」
「ソファ、貸しても良いよ?」
だからこその音無さんと、美希の気遣う声
でも、私にはそんなものは必要なかった
双子の片割れの心配そうな表情だって眼中にはない
そもそも、そんな存在など不要
私からも、春香からも。不要
もしも私たちの邪魔をするのなら。
世界からだって不――
「ち、千早……ちゃん?」
私が一番聞きたい声が聞こえた
ゆっくりと、たどたどしい足取りで
春香は私の方へと近づいてきた
心配そうな表情の影に
私に対する畏怖の感情が感じられ
じっと見つめると緑色の宝石のような瞳は暗く
わずかに揺らいでいるのが解った
「春香」
「家まで送ってあげるよ」
「それならプロデューサーさんが帰ってから車で――」
「いえ、大丈夫ですよ。ね?」
「……ええ」
春香はいつもの春香を演じ
亜美の家に泊まったせいだろう
普段よりも多い荷物を抱えて、私の手を少しばかり強引に引いて
「行こっか、千早ちゃん」
私達は事務所を後にした
夜道を歩きながら
不意に春香が口を開く
「ごめんなさい」
「……どうして謝るの?」
「亜美と話してたからだよね……あんなことしたの」
あんなこととは私が扉を強く開け放ったことだろう
流石に春香のことは誤魔化すことはできなかったらしい
かといって、
元々春香まで誤魔化すつもりはなかったけれど。
「ええ、そうよ」
「……どうして、急にそんなことするの?」
当然といえば、当然の質問だった
「昨日、勝手に亜美達の家に泊まったから?」
「……………………」
「でも、昨日の朝から様子はおかしかったよね」
「……………………」
黙り込んだまま歩く私の手をつかみ
春香は立ち止まった
「答えてよ、千早ちゃん」
「………………………」
「ねぇ、おかしいよ。千早ちゃん」
「……おかしい?」
聞きたくなかった言葉だった
自分がおかしいことは重々承知の上だ
しかしながら、春香の口からおかしいと指摘されるのは
死んでしまいそうなほどに苦しく、そして辛かった
「何があったの?」
「……何もないわ」
「嘘だよ! 一昨日の千早ちゃんは普通だった!」
「……そうね、普通だったわ」
そう。普通だった
普通に、異常が隠れていただけ
自分が抱いている気持ちの理由も解らずに
ただただ日々を生きてきただけ
けれど、私は知った。理解した
それが恋であると理解し、異常であると理解した
そのせいで
春香を渇望してやまない気持ちは、
春香が誰かと親しいということでさえ許せなくなってくるほどに異常な想いへと変わった
「でも今は狂っているし、異常なのよ。春香」
「だから、その変化の理由を」
「ここでは一目につくわ」
「……家には、いかないよ」
「……どうして?」
聞くまでもない
自ら異常者を名乗る人間にのこのことついていくような人はいるかしら?
いるわけがない
春香だってそうだものね
だけど
「……本当に。それでいいのかしら」
「え?」
「貴女は言ったじゃない。なんでも協力するって」
掴まれていることを利用して腕を強く引き
私は空いている手で春香の胸ぐらを掴んだ
「嘘を。ついたの?」
「協力するなんて、ウソだったの?」
「なかったことにするの?」
「ねぇ、春香」
「私は、嘘が嫌いとか、どうとか。言うつもりはないけれど」
「たとえ口約束だとしても」
「破られるのは――大嫌いなのよ」
「ねぇ、もう一度言ってくれる?」
「一目につくから……家に行きましょう?」
じっと瞳を見つめ
怯えてしまっていることを気にすることもなく
私は畳み掛けるように、言い放った
「……はい」
震える声で春香は静かに呟いた
同意したわけではないことは明らかだった
だけれど、恐怖が拒絶を拒んだのだろう
断ったら何をされるか解らない
その恐怖が、春香を鎖に繋いだ
「ありがとう、解ってくれて嬉しいわ」
春香の心を痛めつけるように
わざとらしく明るい声で礼を言う
春香はそれに答えることはなく
黙って俯いたまま歩いていき、電車で数駅分離れた私の家へと――来てしまった
「入って」
「……うん」
元気のない声は聞いていて痛々しいと思うかもしれない
しかし、自分が春香を支配しているということが
あまりにも大きく、私はそんな風に思うことも
胸に宿るどす黒い感情によって練られた
モラルの欠けた醜悪な計画を
今更やめようと思うことも。なかった
「ねぇ、ちは」
リビングにまで入り
振り向いた春香を力いっぱいに突き飛ばした
「ぁ゛っ」
壁にぶつかった鈍い音に重なって
春香の口からうめき声が漏れ、彼女の体はそのまま床へと倒れ込んだ
「けほっ、けほっ……千早ちゃ、ん?」
「春香。私が変わった理由を知りたいのでしょう?」
冷酷で、非情な感情のままに
一歩、また一歩と春香に近づいていく
「ち、千早ちゃ、なに、なんで……」
もしかしたら
春香は僅かな希望を抱いていたのかもしれない
おかしくなった私の中に
今まで通りの普通の私がいることを
でも。残念
そんな如月千早はいない
胸ぐらを掴み上げて力一杯左右へと引き裂くと
ボタンがはじけ飛び、ビリリッと布が裂けていく
「や、やだっ! 千早ちゃ」
「なんでも協力するって言ったじゃない」
拒絶と抵抗
それらを受けながらも、私は春香の衣服を確実に引き剥がしていく
「そんな、こんな、つもりじゃ……」
涙やらなんやらで顔をクシャクシャにしながら
春香は私への抵抗を止めてしまった
もう無理だと悟ったのかもしれない
嗚咽を漏らすことしか、春香はしなくなった
だけれど
私は春香を守る最後の一枚でさえも奪い去った
「春香、私が狂った理由……わかったかしら?」
「解らないっ! わかるわけないよっ!」
春香は怒鳴って私を睨みつけてきた
物理的な抵抗はしなくなっても
やっぱり、精神的な抵抗は続けるつもりらしい
「私が何かしたの……? こんな酷いことされなくちゃいけないことしたの!?」
「半分正解だわ」
「え……?」
春香は身に覚えがないといった感じで目を丸くする
自分で言い出したくせに、解っていないなんて
「昨日、春香は私を疎かにしたわ。これはその罰」
「罰って……ただ、ただ亜美の家にお泊りしただ」
パンッ
平手を打たれた春香は左側へと顔をそらし
唖然とした表情で私の方へと向き直った
「……した。だけ? 貴女はそれだけとしか思っていなかったのね」
アイマスで百合展開ありならそのことも書いてくれるとありがたいんだけど
閲覧注意でダメでも5レス目までで解るんだから
無理なら即閉じしとけ
「私は辛かったし、苦しかった。なにより寂しかったわ」
「そんなこと言われたって……」
「なのにっ、なのにッ!」
「きゃぁっ!」
ドンッと打ち付けるように春香の体を床へと押し倒し
その両肩を握りつぶすように強く握った
「痛いっ痛いよっ……痛いよぉっ!」
「貴女はそんなこと程度にしか思っていなかった!」
「ごめんなさいっ、ごめんなさい、謝るからっ謝るからぁっ!」
春香の叫び声が響く
うるさい、うるさいっ
今までは好きだったその声は
今はただただ煩わしいだけだった
春香の口の中に彼女自身の下着をねじ込み、黙らせた
「んーっ! んんーっ!」
溜め込んでいた涙をこぼしながら
春香は顔をしかめ、下着をぬこうと手を動かした
「ダメよ、春香」
「っ!」
万歳の状態で腕を押さえつけ
春香の頬を流れる涙をペロッと舐める
「でも。それ以前の問題があった」
「ふーっ! ふーっ!」
威嚇する猫のような息を漏らしながら
春香は私を睨みつけた
「私は貴女を好きだったの。恋愛の対象として」
「んぅ!?」
なんて言っているのかは解らない
けれど、肯定的なものではないことは確かだった
「それに気づいたのが昨日の深夜」
「……………………」
「そして、貴女が私を疎かにしたことで気づいたの」
「んん……」
春香は悲しげな瞳で私を見つめ
小さく首を横に振った
「どうしようもないほどに貴女を求めていたことにね」
「……………………」
きっと呆然としているに違いない
春香は黙り込み、私を見つめるだけだった
「だから、罰」
「んっ!」
「自分のものに印をつけるように、貴女にも私のものだって烙印を押すことに決めたのよ」
「んんんっ!!」
最後まで言い終えてようやく、春香は自分がこれからどうなるのかを理解したらしい
喋れないままにこもった悲鳴をあげた
でも。
私の心は揺るがない
春香がどんなに悲痛な叫び声をあげたとしても
春香がどれだけ懇願してきたとしても
私はもう、止まれない
「春香、経験がなくて拙いかもしれないけれど……許してくれるわよね」
「んんーっ!」
キスをするのが優先的かもしれない
けれど、今の春香は下着で口を塞がれているし
それを外せば泣き喚くのは確実だった
だからこそ、血を吸う吸血鬼のように
首筋に噛み付くように唇を当て、力強く吸い込んだ
「ん゛っ」
ジュルジュルと
吸い込まれていく空気に乗せられて
口の中の水分が変な音を立てる
「っは……ダメね」
息苦しくなって離れると
春香の首筋には自分の唾液が塗られただけで
噂に聞くキスマークというものをつけられてはいなかった
「んぅぅ……」
春香が止めて。と願ってくる
けれど、当然止めるわけがなかった
さっきよりも強く吸えるように口を小さく開き
もう一度春香の首筋に唇を当てて吸い込んだ
今度は苦しくなる程度では引かず
酸欠にでもなってしまいそうな程に長く
春香の皮膚を吸い続ける
「んっ、んぅぅっ!」
春香が嫌そうに動いても
押さえつけるように強く当てているために
行為においてはなんの支障もなかった
「っ! はっ、はぁっ……はぁっ……」
苦しいという感覚を超え
吸う力によって自分の首やらなんやらまでもが強ばっていき
やがて舌が引き攣るような感覚に襲われ、離れてしまった
「んんっ……うぅぅ……」
けれど
涙をこぼす春香の首筋には
初心者にしてはよくできたと言えるほど立派な跡が残っていた
「ふふっ……跡がちゃんと付いてるわ」
「っ……」
春香自身
それは見なくても感覚的なもので解るのか
小刻みに首を振りながら
その部分を気にしているようだった
「でも、これだけじゃきっとダメよね」
「んんっ!!」
「ふふっ、貴女に拒否権はないわ」
舐めまわすように春香の全身を見つめ
どこが一番最適かを考察し、
ある一点に狙いを定めた
「胸とか、どうかしら」
「んぅ!?」
「外泊なんてする気が起きなくなるし、人前で脱ぐことなんて考えられなくなるものね」
春香の絶望に浸っていく表情に笑顔を返し
春香の豊かな胸に、キスマークを
私のものであるという印を刻みつけた
首筋に1つ
右胸に1つ
左胸に1つ
合計3つの印をつけ終える頃には
春香は抵抗する気力も
声を上げる気力も喪失してしまったらしく
腕を放しても、下着を抜き取っても
春香が何かをすることも、言う事もなかった
「ねぇ、春香」
「……………………」
下着を抜き取ったことで
垂れていく春香の唾液をしたからなぞるように舐めとり
たどり着いた唇を舌でなぞる
「貴女は私のものよ」
春香の顔を固定し、その上から自分の溜め込んだ唾液を
春香の口の中へと垂れ流していく
それはまるで魂を分け与えているかのようで
私にとっては、神聖な儀式のようにも思えた……
ここまでで中断
あと少しで終わる
閲覧注意だけじゃやっぱり不足ですか……
次回から気をつけます
乙
ヤンデレズってのはけっこうキツいものがあるな
春香がレイーポされた…
ピヨッシャァァァァ!
そのまま千早専用性奴隷肉便器春香として
ゴミのように扱うところをはよ!ピヨ!
ネタバレに近いかもしれんが、百合で病んでる、R指定ってのは書いといた方がいいかも
続きはよ
乙
閲覧注意で十分
外野うるさいわ
唾液移しが神聖な儀式…か
面白い考え方してんなこの千早は
そして春香さん精神崩壊のお知らせ
はるあみも気になるな
こういうのってちょっと見ちゃうと
可哀想で怖いのに
最後が気になるから読まずには居られないよな
キスマークという呪縛を春香に与えた
しかしながら、それではまだ甘いのでは?
と、不安になってしまう
というのも、簡単にとはいかないかもしれないけれど
キスマークを消す方法は存在するからだ
だからといって
春香の体の表面上に【如月千早】とでも刺青するかと問われれば
そんなわけにはいかないのが現状だ
いくら私とて、この子のアイドルになりたいだとか、歌が好きだとか
そういったものを剥奪するつもりはない。
そもそも表面上に一生残るような傷はつけたくないのだ
しかし、この子が永久不滅に私のものであるという刻印が
私はどうしても欲しかった
だからこそ、脳裏に浮かんだのは
私が男であればよかったのに。というものだった
どうしてそれだったのかは言うまでもなく
性交渉による春香の体への私のDNAの植え付けが可能だからだ
しかし、現実はそう甘くはない
性転換したところで、DNAを植え付けるような行為はたぶんきっと不可能だろう
ゆえに、それは不可能な道として昨日のうちに崩れていった
けれども、女なら何もできないというわけでもない
はっきり言って興味はなく
学業の一環として適当に受けた保健体育の授業において
女の体には性交渉していなければ有り、すれば失われる膜があると聞いた
昨夜の時点で
春香を独り占めしたいと考えていた私は
もちろん、その情報はすでにインターネット上において調べてある
喪失における痛みはあるらしいけれど
それもまた良悪いずれにしても消せない思い出として刻まれることなので
もちろん私はちゃんと受け入れるし
そういう印を刻むのは春香自身の罪によるものなので
当然ながらそこに春香の意思は関係ない
そして、春香の純潔を奪い、私の純潔を捧げることで
ようやく、天海春香が如月千早のものであるという烙印になるはず
それは外部的接触を阻むものではないけれど
春香の内面的な部分に強く刻み付けることができたならば
春香自身からの接触はなくなる事は確実だし
たとえ春香に対してあの騒々しい子供のように接触するような人がいても
春香が拒絶し追い払ってくれるはず……だけれど
その前に問題がある
どうやって純潔を奪うかだ
色々と調べたけれど
女同士の性交渉におけるアイテムはいくつもある
ある……が。
未成年である私が
可及的速やかに入手する方法などなかった
ゆえに、この場に存在はしていない
ので。
私が恋をしていると教えてくれた
優しい知恵袋……よりも
ちょっとばかり怪しいところで訊ねてみた
私は歌好きであるため、音楽機器などを含む。と前置きしつつ
普通の日常生活において
誰しもが持っている道具で安全に貫通できる道具はありませんか?
……と
閲覧注意なんて書いても何に注意するのか書かなきゃわかんねーだろカス
半年ROMれガキ
晒しあげ
そこでは驚く程に色々な回答が寄せられた
食材で言うと
人参とか、ナスとか、きゅうりとか……大根とか
面白かったのは長芋という意見があったことだ
長芋は相手がいくら嫌だとしても
その痒みに耐え切れず、最終的には懇願させられることから
強情な相手などに有効らしい
それは実に素晴らしい提案ではあったけれど
ただ、かぶれる可能性があるため残念ながら却下した
ほかに良いと思ったのは
春香が大好きなお菓子作りに用いる当たり棒
そして、私が前置きした音楽機器の中から出てきたマイクだった
てかこの人何作書いてると思ってんだよ
傾向でわかるだろ
マイクという意見が出てきたことにも驚いたけれど
もっと驚いたのはそれを使う理由だ
提案者によれば膣内部の音を聞くためで
しかも、アンプにつないで大音量にすれば
相手の羞恥心を煽ることが出来る……らしい
羞恥心を煽る事に興味はないが
普通は誰にも知られることのない音を聞かれる屈辱は
きっと並々ならぬものであるはずだ
ゆえに、春香の心に強く印象づけることができるはず
もうひとつの当たり棒も
千早ちゃんの家でもお菓子が作れたらいいのに。という春香の提案から置かれるようになった思い出の品で
それによって、純潔を奪われることはきっと物凄く悲しいことだろう
それに、当たり棒なら2人同時に喪失することも可能なのだ
そういうわけで
当たり棒か、マイクのどちらかにすることにした
というより、既に決めてある
それはもちろん……
過去の数々の思い出を犠牲にし
春香を縛り付ける行為なのだから――
使うのは当たり棒
思い出で純潔を奪って、思い出ごと春香を穢す
それによって春香の首輪は完成するの
「……ふふっ。春香」
「……っ」
台所から戻ってきた私の手に握られたそれを見て
春香は、わずかに体を震わせた
「大丈夫よ。春香」
怯える春香の頬に手を当て
そうっと撫でてあげた
「なに、するの……?」
光を失いかけた緑色の瞳はもう。
綺麗とは言えないようなものだった
でも、そんなことは関係ない
その瞳に光がなくても
たとえ、姿形が醜いものになったとしても
私はこの子を愛し続けるつもりだし
その誓いとして純潔を捧げ、純潔を奪うのだから
ただ、それが春香からしてみれば呪縛になるわけだけれど
>>71
誰が何書いてるなんて知るかよwwww
注意書きとして無意味だから突っ込んだだけだろwwwwwwwwwwwwww
それともなにwwwwww
全作読まないと読んじゃダメなんwwwww
だったらそれこそ>>1にそう書いとけやwwwwwwwwwwwww
「見ていて、春香」
「な、なにして……るの?」
「見ていればわかるわ」
「や、、止めて……止めて……」
春香の中の思い出が壊れていっているのかもしれない
春香は枯れたはずの涙を零しながら懇願した
やめて。と
その思い出の詰まった大切な物を穢さないで。と
でも、私は止めなかった
春香の手が伸びてくる……でも、遅い
私は春香のそれを避けるために
強引に自分の膣内部に押し込み、一気に膜を引き裂いた
「くぅぅぅっ……」
ぴりっとした痛みが走り
強く歯を噛み合わせて、痛みを堪える
そして、呆然とする春香の目の前で
思い出が赤い涙を流し始めた
>>75
何を注意するかって? 閲覧を注意するんだよ
薔薇、百合、グロ、鬱、胸糞その他もろもろをな
普通ではない事があるから閲覧注意
普通を望むなら見ないはず
見たとしても閲覧注意を知りつつ入ったなら自己責任
1から100迄説明必要な馬鹿なゆとりちゃんはもう寝とけ
「ぁ……ああっ」
「はぁっ、はぁ……くっ」
「あぁぁぁああぁぁぁあ……っ」
春香が頭を抑え強く振り
涙が飛び散って、光を反射して消えていく
「はぁっ、はぁっ……」
でも、私は春香を止める余裕がなかった
話に聞いた通り破れた瞬間は痛いが
そのあとが辛いというのは事実だったらしい
動こうとすると、膜の破れた部分が擦れて痛むし
別に興奮して濡れていたわけではないのがそれを激痛へと変える
けれども。
その強い痛みこそ、強く印象づけるのに必要不可欠
ゆえに、春香に対しても前戯を行うつもりはないし
ローションに似せた潤滑剤のようなものを使うつもりもなかった
5分程度で痛みが和らぐというのは事実らしく
慣れてきた私は膣に当り棒を挿入したまま
乱れ狂う春香を押さえつけることができた
直接見たことはないが
性交渉の参考として閲覧したアダルトな動画の男性の陰茎のように
それは僅かに揺れ、私の膣から流れ出ていった血を滴らせる
「やっ、やっ、やだ、お願いっ、お願い!」
バタバタと動く足を足で押さえ込み
同じように暴れ狂う両手を手で押さえ込む
絶望に染まった春香の表情は
物凄く美しく、可愛らしく、永遠に止めておきたいとさえ思ってしまった
「なんでもするから! 亜美達とだって距離を置く! 千早ちゃんだけを見る! ここで一緒に暮らしても良い!」
「……………………………」
春香は声高に叫び、懇願する
「だからそれだけはやめて! お願い……お願いします! 本当に好きな人にしか、それは――」
焦りのあまり、言ってはいけないことを言ってしまったわね……春香
自分の時よりも強引に、そして勢いをつけて。春香の膜を当り棒で貫いた
「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁあ゛ああぁ゛ぁぁ゛ぁ゛ぁぁぁッ!!」
春香が痛みに悶えて叫ぶ
私よりもきっと痛いのだろう
でも、それは貴女が悪い
何が本当に好きな人にしか。よ
それってつまり、私なんか好きじゃないってことじゃない
ええ、わかっているわ
貴女はプロデューサーが好きな普通の人間だったものね
でも、もう。ダメ
貴女は、私のもの
貴女に自由はない
それはもう、貴女だって解ってくれたわよね?
「痛い、痛い痛い痛い痛い痛い……っ痛いよぉっ!」
膣口から流れ出ていく血は
春香のお尻の方へと流れていく
「やだ、やだ、やだやだやだやだやだやだ……あぁぁぁっ……」
「あはっ、あははははっあはははははははははっ!」
春香は次第と静かになっていくのに対し
私は高らかに笑った
成功したのだ
春香に強い痛みを与えることを
首輪を付け、私のものであるという印を刻み付け
春香自身に自分の主が私であるということを
脳よりも先に心に刻み、教え込むことに私は成功したのだ
「あぁぁ……あ……」
プツッ……と
糸が切れた人形のように、春香は黙り込む
その瞳は緑色なのに、真っ黒にも見え
生気は全く感じられなかった
「春香」
「………………」
「春香、返事をして!」
死んでいるようにも感じ慌てて名前を呼ぶと
光のない虚ろな瞳が僅かに動き
私の顔を捉えた
「……なに?」
「よかった。死んではいないのね?」
「……残念なことにね」
春香はそっけなく返すと
今までとは明らかに違う悲しげな笑みを浮かべた
「……もう、良いよ。好きにして」
「……………………」
「……そのまま私の体を弄びたいなら、弄んでいい。殺してくれても。いい」
春香は何も興味がないとでも言うかのように呟き、また。笑った
「ほら。もう抵抗だってしない。もう、どうでも良いから……なんかもう、どうでもいいから」
「じゃぁ、好きって言って」
「……好きだよ」
「愛してるって言って」
「……愛してるよ」
「勝手に居なくなったりしないって約束して」
「……うん。解った」
春香はそう言って笑う
でも、どれもこれも、今までの癒される笑顔ではなかった
なんだろう。
何かを、間違えてしまったような
でも、何を間違えたのか解らなかった
私は望み通り春香を手に入れた
私に従順な、天海春香という狂おしい程に愛おしい女の子を手に入れた
なのに。
なのに、なんで満たされないの……?
その嫌な感覚を埋めようと
私は性行為を続けることにした
「春香、動かしていい?」
「別に、良いよ」
まるで自分は関係ないかのように
春香は素っ気なく返してきた
ゆっくりと動くと
ずりゅっと歪な音が鼓膜を揺らした
春香の膣からも僅かに抜け、私の膣からも僅かに抜け
確かにそれは動いているはずなのに
微動だにしていないようにも感じた
「もっと激しくやるわよ。春香」
「……別に一々聞かなくていいよ。どうせ、拒否権なんてないんだから」
「良く解ってるのね」
私の目論見が成功していた証
それが嬉しくて、
私は何度も何度も、互いの性器がぶつかり合う程に深く突き合わせた
拙いながらも、行為は行為であるらしく
私の体は興奮して火照り
無機質な反応ではあるけれど
春香も少しずつ感じているみたいで
最初こそ歪だった音は
艶かしく、淫らな音になりつつあった
「んっ、ふっ、はぁっはぁっ」
「…………っ」
「ふふっ、こうして見ると、私犬みたいだわ」
一心不乱に腰を振るマウンティングという行為
それを雌犬にすれば性行為なわけで
私は今まさに、雌犬である春香に対してそれをしている雄犬の気分だった
無感情に近い春香が
段々と感じ始めている姿がさらに情欲をそそり、打ち付ける腰は勢いを増していく
「はっ、はっ、はっ、はっ……」
「っ……ぅ………んっ」
腰を動かすので手一杯の私より
されるがままの春香の方が、どうやら快楽的信号は強いみたいで
犬のような荒い息を漏らす私とは対照的に
春香は可愛らしい声で小さく息を漏らした
今日はここまで
明日には終わらせます
おええええええええ
気持ち悪ぃぃいいいいい
でも読んじゃうビクンビクン
乙
間違えたなにかに気づいたらどうなるんだろう
わっほい性奴隷肉便器春香ちゃんスレや!
淫らな音は徐々に激しさを増し
それをかき消すように私の荒い呼吸が響き
さらにそれに紛れて春香の快楽に堪えようとする噛み殺した呻き声が響く
愛液と呼ばれる行為中に溢れ出る透明の液体は
私と春香では異なっているようで
さらさらとして、すぐに乾いてしまう私のそれとは違い
春香のそれはぬるっとした若干粘り気のあるものだった
「ふふっ、春香の体からいやらしい音がするの。分かる?」
「っ………」
「良い音ね……春香の音は。聞き惚れちゃうわ」
水分の方が勝っている雑炊の滑らか音が私のそれとするなら
春香のそれは水分を吸わせすぎたお粥のようなドロッとした少し重みのある音
でもだからこそ水々しさが強調され、艶かしく、いやらしい
春香は既に羞恥心というものを損なっているらしく
私が春香の愛液を手に取り
目の前でその粘り気を見せ、舐め取っても
春香は顔を赤く染めることも、逸らすこともなく
ただ無機質な声で呟いた
「そんなの舐めて美味しいの?」
「そうね、舐めてみる?」
「……千早ちゃんが望むなら」
全ては私に委ねているという春香の言動
それなら。と
床に溜まり、汗と血と愛液の混ざり合った液体を
春香の唇に塗りたくり、キスをした
見てしまっただけの画像のような表面上のものではなく
探し求めて閲覧した動画にあったような
舌と舌を絡め合い、唾液を混ぜ合う深く淫らなキス
舌を互いに伸ばしあって
口内でではなく、互いの顔の間で絡め合い、舌同士を舐め合う
飲み込めない唾液が春香の顔に垂れていき
春香の方も飲み込めず、口元から溢れ出させていく
「んぅ……ぇふ……ぁ」
「はぁっ、はぁっ……んぇぅ」
肉欲に溺れ、乱れる私達は
もはや言葉らしい言葉を話すことはなかった
顔では、唇を重ねて互いの口内に舌をねじ込み
相手の唾液を奪うように吸い、ジュルルッと下品な音を鳴らし
打ち付け合う女性器もまたキスのように合わさり
磨り潰される陰核が快楽を与え
押し潰され混ざり合う愛液が含んでいた空気が破裂し、パチャッペチャッと
いやらしく、淫らで、艶かしく、下品で、しかしながらいつまでも聞いていたいとさえ思うような
そんな中毒性のある音を響かせていた
「んっふぅ……ひんっ」
「ぁっ、ぅ、んんっ」
普段の自分からは想像のできないような甘い声が漏れ
春香の口からも、快楽に負けた体が無機質ではなく甘い声を吐き出させる
火照った体は顔までも赤く染め上げていき
荒い呼吸はさらに荒く熱の篭った暑い吐息へと変化させ
締め切った室内の温度を上げていき
それによってまた体温は上がり、汗が滴り落ちる
「ふゅ……ぁぅん、ひゃりゅ」
「ひっぁ、んぅっ……ぁっ」
甘い声が重なり合って
いつの間にか春香の腰も求めるように動き
2人して打ち付け合うおかげか自然と速度は早くなっていった
「ひゅき、あいひてる!」
もはや声なのか、息なのか判らなくなってしまうような
熱を出した時に近いふわふわとした夢心地な感覚で叫んだ音
それを受けた春香は涙をこぼしていた
「ぁんっ、ひぃぅっ……ぅぁっ……」
答えはしない
でも、涙が答えていた
こんなのは嫌だ。と
今までの日常が良かった。と
それはこたえであると同時に
私によって壊され、崩れたままだった春香の心が
涙となって流れ出ていき、消えていく瞬間だった
「んっ、んんぅっ」
弾けそうな感覚を堪え
春香の体を私が抱きしめると春香は私の体を抱きしめ
予定されていた運命のように
体は意思とは関係なく唇を合わせ、舌を繋ぐ
まるで2人で1人のような感覚だった
「「あぁぁああぁっぁぁぁぁぁぁっ!!」」
同時に果て、全身の力が抜けていく
そして
意識が闇の中へと引かれていく中で私は確かに聞いた
「ごめんね」
と、悲しげに呟かれた……春香の声を
「うっ……」
翌朝目を覚ました私は
そのあまりの気怠さと場の酷さに思わず唸ってしまった
自分たちの体の下は水浸しで
春香とは全裸で抱き合い、しかも繋がったままで
締め切っていて換気もされなかった部屋は
汗と、愛液の蒸発した
なんとも言い難い匂いを溜め込んでいたからだ
「春香」
「すぅ……すぅ……」
「春香、起きて」
普通の状態なら起こす必要はないかもしれない
でも、当り棒で繋がれている現状
些細な動きが春香にどんな影響を与えるか解らない
だから、起こすしかなかった
「んぅ……ぅ……?」
「おはよう、春香」
「……えへへ、おはよう」
少しだけ体を揺すると春香は目を覚まし
名前を呼ぶと笑顔で返事を返してくれたし
それはしっかりといつもの春香のものだった
「まだ繋がったままなの。動いて良いかしら」
「そういえば、あのまま寝ちゃったんだっけ」
「ええ、だからお風呂にも入らないといけないわ」
「そうだね、とりあえず動こう?」
表面上は外気に晒されていたせいか乾ききっていたけれど
当り棒によって栓をされていた私達の胎内は蒸されていたのかなんなのか
行為を終えて数時間経っているにも拘らずズリュッと水っ気のある音を立て
当り棒は簡単に抜くことができた
「ちょっと、違和感があるね」
「ええ……でも安心して。ダンスレッスンとか激しい運動はしない予定だから」
そこらへんのスケジュールを考えた結果が
間を空けることなく襲った理由の一部でもある
少しの間は挿入物の感覚が残るらしく
それはやっぱり仕事に影響が出ると思ったから。
けれど、そこまで気にしていながら襲ったのは
春香を掌握し冷静になれた今
少しばかり急ぎすぎた気がしてならなかった
「そっか、そういうことは考えていてくれたんだね」
「……ええ」
「どうせなら……あはは。これはもう考えても仕方ないことだね」
何かを言いかけた春香は笑みをこぼし、私の顔を見つめてきた
ようやく見ることができた春香の瞳は
暗く、深い闇にとらわれているような光のないものだった
そこに少し気を取られていると
不意に春香が呟いた
「ねぇ、シャワー浴びる許可欲しいな」
「え?」
「? 千早ちゃんが許可くれないと、ダメでしょ?」
流石にそこまで制限をかけるつもりはなく
私はあくまで人との接触に制限をかけたかっただけ。
けれど春香は、言動とまではいかないとしても
行動の自由は一切なく、全ての行動に私の許可が必要であると学んだらしい
私が黙り込んでいる間、春香は身動き一つせず
少ししてまた口を開いた
「……汚いままでいろって言うなら、ちょっと嫌だけどそうするよ?」
「そんなわけにはいかないわ。体は綺麗にしないとだめよ」
「ありがとう。じゃぁ、自分で洗っていい? それとも、千早ちゃんが洗う?」
「別にどっちでもいいわ」
「やだよ。それは嫌。もしもそれで千早ちゃんの気に障るような結果になったら嫌だもん」
「……解ったわ。自分で洗って。バスタオルで体を拭くのも、髪を乾かすのも自分。いい?」
「うん、許可してくれてありがとう。でも、私なんかより床、それよりも千早ちゃん優先だよ」
春香の発言には
こうなることを望んでいたとは言え、耳を疑わずにはいられなかった
私のことを優先するのはいい
けれど、自分よりも床を上位に置いたことが信じられなかった
「私の体なんてどうでもいいけど、この床はこれからも千早ちゃんのためにいなくちゃいけないもんね」
「春香、貴女は私の中で床よりも重要よ。良い? 優先させるのは私だけにして」
「……解った。じゃぁ、シャワーを浴びるか、部屋の掃除。どっちかの許可頂戴」
満面の笑みでいう春香の頭を軽くなでて、私は笑った
「先にシャワーよ。自分が汚いのに、綺麗になんてできないでしょ?」
しっかりと私はあとで。と付け加えて春香を浴室へと送り
私はシャワー前に着る汚れても良いような適当な服を着込み、部屋の掃除をすることにした
すぐそんな行動に移ったのは春香の異常なまでの変化を考えたくなかったからかもしれない
「千早ちゃん、ありがとう」
暫くして春香が浴室から戻ってきたことに
呼ばれて気づき、振り向いた私は
思わず硬直してしまった
「春……香?」
「なぁに?」
声が震えた
何度も瞬きをし
世界が変わることを少しばかり期待した
けれど変わらない。
変わるわけがない、それが現実なのだから。
体は拭いてある、髪も乾かしてある
でも、用意しておいた服は下着ですらつけていなかった
「どうして、何も着ていないの?」
「着て良かったの? 言ってくれないと解らないよ」
「だって、服を着るのは当たり前でしょう……?」
「そうなんだ。でも、それは【普通】だよね。私って、【普通】なの?」
春香は笑顔だった
いつもの癒される優しい笑顔は変えず
そんなことを言い放った
「……春香」
「服を着る許可をくれるの?」
「ええ。洗面所のところに用意した服を着て良いわ」
「えへへっ、ありがと。よかったぁ、流石に全裸で外を歩くのはただの変態だもんね」
まるで許可をして貰えなければそうしていたというような言い方だった
呆然とする私を置き去りにして
春香は洗面所に戻り、服を着て戻ってきた
「次は私がシャワーを浴びるのだけれど……」
「ん?」
何も言わなければ、ただじっとしているだけで
私に復讐するとかどうとか
そういった行動をするような感じは微塵もない
「春香、冷蔵庫にある材料で簡単な朝食を作ってくれる?」
「うん、解った」
その返事を聞いて背を向け、慌てて振り向いた
「1人前じゃなくて2人前よ?」
「え? どうして?」
やっぱり。としか思わなかった
春香にとっては
さっき本人が言った通り【自分のことなんてどうでも良い】と思っていて
だから、たとえ全裸で外を歩くことになろうが
許可がなければ服を着なかった……ということかしら
「貴女も食べるのよ。許可するわ」
「良いの? ありがとう、頑張って作るね」
春香はやっぱり……笑顔だった
>>102訂正
「次は私がシャワーを浴びるのだけれど……」
「ん?」
何も言わなければ、ただじっとしているだけで
私に復讐するとかどうとか
そういった行動をするような感じは微塵もない
「春香、冷蔵庫にある材料で簡単な朝食を作ってくれる?」
「うん、解った」
その返事を聞いて背を向け、慌てて振り向いた
「1人前じゃなくて2人前よ?」
「え? どうして?」
やっぱり。としか思わなかった
春香は
さっき本人が言った通り【自分のことなんてどうでも良い】と思っている
だから、たとえ全裸で外を歩くことになろうが
許可がなければ服を着なかった……ということかしら
「貴女も食べるのよ。許可するわ」
「良いの? ありがとう、頑張って作るね」
答えた春香はやっぱり……笑顔だった
ここまで、一旦中断
朝から良くもまぁ色々な意味で濃厚なものを書けるな…
そして春香…どうしてこうなった…
シャワーを浴び終えてリビングに戻ると
本当に簡単な朝食ではあったけれど
春香は見事に作り終えていた
「ハムエッグサンドだよ」
「流石ね」
「えへへっ、それほどでもないよ~」
許可がいるようなことでなければ
春香が普段と変わらない様子だったのは
救いかもしれない
そうか考えて、首を振る
救いかもしれないってなに?
生まれた疑問。
どうしてあの時満たされなかったの?
蘇った疑問。
「食べないの?」
「いえ……食べるわ」
彼女の声にそう返し
疑問を振り払った私はハムエッグサンドを口に入れた
美味しい。はず
この子は料理ができるし、当人はすごく美味しそうに食べているし
毒を持ったとかそういう様子もない
けれどなぜか、私には味を感じ取ることができなかった
「いつも通り事務所に行くわよ」
「うん、解った」
一緒に家を出て、一緒に歩く
「言っておくけれど――」
「うん。解ってる」
彼女はそう言って笑い
私の横で小さく笑った
「私は千早ちゃんのモノ。だから、千早ちゃん以外とは深く関わらない」
「ええ、正解」
「でも、必要最低限の付き合いは良いよね? それとも、もう完全に突き放したほうがいい?」
許可をしなければ
今までの傾向からしてこの子は完全に突き放すだろう
けれど、それでは春香の夢である
トップアイドルになることが叶えられなくなってしまうかもしれない
「良いわ。必要最低限よ」
「うん、解った」
彼女はまた笑う
なのになぜか、満たされなくなっていた
事務所に行くと
彼女と仕事に行く美希
そして、事務仕事に忙しい音無さんがいた
だけじゃなく。
幸か不幸か、あの双子の片割れまで事務所にいた
「千早ちゃん、挨拶していい?」
「……今まで通りでいてくれれば良いわ」
その指示で通るかどうか不安だったけれど
彼女はにこっと笑うと、事務所を見渡して手を掲げた
「おはよーございまーす!」
「あら、おはよう」
「おはよーはるるん」
「朝から煩いのー」
三者三様の返事だった
でも、誰ひとりとして異変には気づいていないようだった
「えっと、星井さ。美希」
「なに?」
「いや、その……今日はよろしくね?」
「……なんか気持ち悪いの」
美希は彼女を訝しげに見つめ
そんな失礼なことを呟いた
「えぇっ! そんな酷いよぉ」
「あはっ。冗談っぽく見せかけたガチなの」
美希は途中までは彼女を見つめながらも
最後の【ガチ】という部分からは私を睨むように見つめてきていた
……どういうつもりなのかしら
「あ、ねぇねぇはるるん」
「んー?」
「えいっ!」
忌々しい片割れが春香に抱きつこうとしたが
春香はそれを軽々しく躱し小さく笑った
「どうしたの?」
「まさか避けるとは思わなかった」
「あはは。残念だけど、亜美の遊びに付き合う余裕はないかな」
「亜美、春香は昨日私に付き合ってくれたからあまり眠れていないらしいのよ」
「……ふ~ん。そうなんだ」
「? なぜ貴女が答えるの? 美希」
「別に? 【付き合った】なら仕方ないって思っただけだよ?」
美希は何かを含んでいるよ言うな笑顔を見せ
春香の手を握った
けれど春香はすぐに振りほどき、叫んだ
「止めて!」
「は、はるるん?」
「ど、どうしたの?」
呆然とする片割れと音無さん
何かを察したように、私を睨む美希
そして春香は、握られた手を握りながら
怯えた瞳で私を見つめていた
「ごめん、ミキの手が涎で濡れてたみたい」
あははっと笑いながらも
私への敵意の視線は外すことなく美希は春香を庇った
「うっわぁ……ミキミキそれはだめっしょー」
「タオル貸してあげるから。ちゃんと拭いてね」
何も知らないで笑う馬鹿と
何も知らずに優しさを見せる音無さんは
美希の言葉で解決したと思ったのか
それ以上聞くことはなかった
でも、美希は私の元へと近寄り
握り締めた拳を2人には見えないように震わせながら
睨んできた
「……ちょっと、良い?」
「どうして?」
「もしも、それを真面目に聞いてるなら。ミキ、今ここで本気で怒るよ?」
その真面目な表情、真面目な声に従い
私達は応接室……ではなく、階下のボイスレッスンにも用いる
防音設備のある部屋に向かった
「正直に答えて欲しいの」
「なにを?」
「千早さん、春香に何かしたよね?」
「どうしてそう思うのかしら」
適当にあしらうように答えると
美希はダンッと、
力いっぱい床を踏みつけた
「ミキ、真面目だよ。あれ……誰?」
「……どういうことかしら」
「春香が星井さんって言おうとしたんだよ? 春香が、手を握られただけで叫んだんだよ!?」
春香の手を握った手を
美希は強く握りしめて、私を睨んだ
さっきからずっと……睨まれっぱなしね
「それが?」
「それが春香だって言うの? 千早さんは、あれが春香だってそう言えるの!?」
「ええ、どこをどう見ても春香でしょう?」
「そう、かな……ミキには。あれは春香に似せた人形にしか見えない」
「ふふっ。面白いこと言うのね」
「なんで、笑えるの?」
私とは対照的に
悲しげな瞳で、美希は囁くように小さな声で言い放った
「千早さん、おかしいよ。ミキ、そんなことさせるために相談に乗ったんじゃないよ……」
「……ええ。なんの参考にもならなかったわ」
「知ってる……だって、何も話せなかった。でも、ミキは応援するって言ったよ?」
「それが?」
私のたった一言の返しに
美希は目を見開き、俯き、首を振った
「ミキは、千早さんのお手伝いがしたかった。間違ってるかもしれないけど、大切な恋の。手伝いを」
細切れの不安定な言葉をつぶやきながら
美希は体を震わせていた
恐らく。
寒さでも、恐れでもなく。怒りによって
「ミキだって、しちゃいけないはずの恋をしてたプロデューサーに……ね」
「ええ、知ってるわ」
「だからね? 半分くらいなら……禁断の恋をする辛い気持ち、解ってあげられるつもりだった」
「それで?」
「……味方がいないのはつらいの。苦しいの。だから、千早さんの恋が報われるように、手伝ってあげたかった」
美希のうつむいて見えない表情から
ポロポロと、雫が落ちていく
「なのに、なんで相談もなしに春香がおかしくなるような事しちゃったの!?」
「……………………」
黙り込む私に苛立ったのか
美希は顔を上げ、やっぱり。私を睨んだ
「なんで、自分から叶うかもしれなかった恋を、絶対に叶えられないものにしちゃったの!?」
「何言ってるのよ」
「え?」
「春香は好きって言うし、愛してるって言う、体だって……私に捧げてくれるのよ?」
「違う。違うよ千早さん……っ」
美希は首を振った
今度は、睨まなかった
哀れんだ、悲しげな瞳で見つめてくるだけだった
美希が言おうとしていることが
昨日春香を手に入れようとしているあいだに感じた
不可解な違和感と
満たされない感覚の答えだと
私にはなんとなく解っていた
「だって、あれはもう。春香じゃないよ……」
美希は言う
「……………………」
「千早さんが好きになった……春香じゃないっ」
私が犯した罪……その代価に
私が失ってしまった、大切なものを
風など通り抜けていくはずもないのに
背筋を何かが撫でていったような不快感
血の気が引いていくというのは、こういうことなのかもしれない。
そんな風に嫌に冷静になる私に対して
美希はもう、怒りすら、感じないようだった
「バカだよ。千早さん……大馬鹿だよ」
「……………………」
「千早さんがどれだけあの人を好きでも、愛しても。もう、報われない」
美希は少しずつ歩き
立ち尽くす私の隣で立ち止まり
「未来永劫絶対に。昨日までの誰もが好きだった春香は……いなくなっちゃんだから」
それだけを言い残して美希は部屋から出て行く
扉が開いたせいで風がすーっと入り込み
私の体を包み込むように流れて、そして。去っていく
それは今までの春香がほんの一瞬だけでも戻り、抱きしめてくれたようにも感じた
春香
私が好きになった、春香
見ていると気分が安らいで
笑顔にできると嬉しくて
笑顔を見ると恥ずかしくて
触れられると、暖かくなる
そんな、気持ちを抱かせてくれた春香は
もう……いない
春香を手に入れるために、私は春香を失った
体を手にし、心を……手放した
「あっ、千早ちゃん」
後ろから聞こえてきた声は春香のものだった
振り向いた先にいるのは、確かに春香だった
でも
「千早ちゃん?」
「誰……?」
「え?」
「春香の姿をした貴女は……誰なの?」
それは
私が求めていた、本当に欲しかった
傍に居てくれるだけで良かった天海春香という女の子では――無くなってしまっていた
終わりです
過剰な愛ゆえにとった強引な手段でそれを手に入れられても
本当に欲しかったものは手に入れることはできないという話
はるあみですが予定では
亜美の「んっふっふ~、はるるんは亜美が貰っちゃおうかな~」
という煽り文句+適度なストーリーによって
千早を凶行に走らせるという予定で出しましたが
それだと【長すぎる】ので丸々カット
双海家お泊まりを皮切りとしてしまいました
乙
うーん、怖い
てかヤンデレに愛され過ぎる春香さん…
乙…
自業自得といいたいけど
切ないというかなんというか…胸糞悪いわ
だから面白いという表現は合わないと思うけど
良かったとは思う掛け値なしに
誰?って…なにをどう間違えてもお前だけは言っちゃいけない言葉だろ
お前が言うなってレベルじゃねーぞ
話自体は興味深く考えさせられた、乙
乙でした
まったく救いようのない…
なんだか泣きたくなってきたよ
流石春香スキーさん
見事なまでに救いがない
でも読んじゃう…だってなんだか引き込まれるんだもの
早朝の描写が神がかってて笑った
朝からなにしてんのと
はるあみが読みたい
>>121
その一言で千早がどれだけ絶望したかを表してるんだろ
>>74であれだけ想ってるモノローグがあったのに
最後の最後で「貴女は……誰?」と
春香だと愛し自分も巻き込む呪縛をしたにも関わらず言ってしまうほど、絶望したってことだよ
んなこた読みゃ誰でもわかる
それでも心に留めるべきだと俺は言ったんだ
加害者である自分が、こともあろうに被害者である本人を目の前にして言うなんて罪の認識が足りてないと言わざるを得ないだろ
果たして留めるどうこう以前に千早に心は残っていたのかね
春香には千早。千早には春香しか残ってなかったんじゃないの?
心があるなら春香がおかしいことに痛めるはず
仮にも求めていた存在なのだから満たされるはず
春香(存在)を入手する時点で春香の心は失ったんだから
体を手にし、心を失ったの心は千早のものなんじゃない?
だからこそ漂う絶望が漏れだしたのかと
だとしたら逃げたも同然だよな…まだ壊れる権利すらないのに
ちゃんと罪を背負ってやれよ。それがせめてもの償いだろ、とか思ってしまう
聞かなければいや気のせいだって出来るだろ
でも本人に聞くということは
春香が春香ではないと受け入れたという証明だと思うぞ
つまり(春香を壊した)罪を背負い、(春香でない誰かと生きる)罰を受け入れたっていう感じじゃね?
自身の心を手放したら罪を背負うも糞もないので>>129は>>127の説とは別の切り口と考えていいんだよな?
だとするとその随分前から春香は既に脱け殻だと千早自身認識してる節があるんだからそれはなくね?
そもそも事実確認取るようなことでもないだろ、察せよとも言いたいけど
ああ、わかった上でどうしても本人の口から聞きたかったってことか
それはそれで酷なことするな、と思うけど
いい欝だった、と言わせてもらう
乙
俯瞰だけでなく登場人物の心情を読み取りましょう
先生から習ったろ
レズレイパーに常識なんて期待すんなや
そもそも作品のキャラの行動にいちいち文句言うなや
それ含めて作品やぞ
合理性が全くない、とかなら分かるが気に入らないと思っただけなら心の内にしまっとけ
連投すまん
言い忘れてた
>>1乙
ピリピリしちゃってまぁ…カルシウムちゃんと取っとけよ
面白かったです
いいSSだった、かけ値なしに…
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません