P「765プロ未解決事件特捜班③」(20)


1945年 shore leave 『ドラム缶』

  連合軍第501統合戦闘航空団「STRIKE WITCHES」の一員である宮藤芳佳が失踪する。

  1945年 6月

 連合軍第501統合戦闘航空団「STRIKE WITCHES」基地

 ミーナ『みなさん、おはようございます』

 ミーナ『技術班のおかげでついさっき、お風呂が完成したそうよ』

 芳佳『本当ですか!やったー♪』

 ルッキーニ『ウジュジュジューッ!』

 シャーリー『ルッキーニ、せめて人語話そうな・・・』

 バルクホルン『お前たち、風呂ごときでそんなに喜ぶんじゃない!』

 ハルトマン『あーあ、なんか始まるよ~』

 バルクホルン『そもそも、戦場ではなぁ・・・』

 シャーリー『はいはいー、堅物軍人のうんちくはもう聞き飽きたよ』

 バルクホルン『リベリアン・・・貴様というやつは・・・』ゴゴゴゴゴ

 芳佳『2人ともやめてくださいよ!』

 芳佳『バルクホルンさん・・・お風呂は嫌いですか?』

 バルクホルン『ぬ・・・べ、別に嫌いとは言ってないぞ・・・私が言いたいのは・・・』

 芳佳『はぁ・・・バルクホルンさんとお風呂に入れると思ったのに・・・残念です』

 バルクホルン『宮藤、風呂に行くぞ』

 シャーリー『シスコン』ボソッ

 バルクホルン『何か言ったか?』

 シャーリー『何もありません、大尉殿』キリッ

 ハルトマン『………』

 連合軍第501統合戦闘航空団「STRIKE WITCHES」は女性で構成された航空部隊だった。坂本少佐を筆頭に色の濃い隊員が
日々、訓練に明け暮れていた。

 そんな中、隊でもっとも軍人歴の浅い宮藤芳佳が謎の失踪を遂げた。捜索が行われるものの見つからず、このことは迷宮入りとなった。


 ***

  2013年 とある売地

 千早「おはようございます、プロデューサー」

 P「おはよう、千早。裁判どうだ?」

 千早「三沢真帆の父親がかなりできる弁護士を用意しているみたいで・・・」

 P「そっか・・・まあ、たぶんお前の納得いかない結果になるかもしれんな」

 千早「ええ・・・。で、今朝はどうしたんです?」

 P「ここって1945年は産業廃棄物処理場に使われてたんだと。それで、この土地を売る前に地質調査をしたところ・・・」

 千早「死体が見つかったわけですか」

 P「ああ、ドラム缶に入ってた。白骨化してたけど、ドッグタグがあったからそこから身元は分かった」

 千早「軍人ですか?」

P「そうだ、なんと女性だそうだ。名前は宮藤芳佳、連合軍第501統合戦闘航空団「STRIKE WITCHES」の一員だった」

 千早「歴史の授業で聞いたことがあります。女性で構成された航空部隊ですよね」

 P「その若き士官候補生が、ドラム缶に詰められて廃棄されてたってわけ・・・」

 千早「半世紀以上も前の事件ですね・・・一番古いコールドケース・・・」

 P「アイスケースか」

 千早「アイスピック持ってこないと」

 参考OP; https://www.youtube.com/watch?v=cyRAD1z-lys

  765分署 コールドケース課 

 春香「68年前ですか…ちょっと信じられないですね」

 千早「それでも、殺人が起きたってことには変わりはないわ。どれだけ昔でも」

 P「被害者の宮藤芳佳は当時15歳。捜索は隊でのみで、結局『脱走』ということになってる」

 千早「軍隊はかなりきついと聞いています」

 春香「あたしでも逃げちゃうよ」

 P「死因は頭部を鈍器のようなものによるもの」

 P「失踪当日は、全体休日だったそうだ。おおくはそこで逃げ出すから脱走だと思われたんだろう」

 小鳥「彼女のはとこを見つけました、山川美千子、当時17歳でまだ存命よ」

 小鳥「彼女の親類はこの人だけね」

 P「まずは、山川さんにこのことを伝えに行こう」

老人ホーム 756

 みっちゃん「芳佳ちゃんが見つかったんですか!?・・・ゴホゴホッゴホ」

 P「はい・・・元産業廃棄物処理場で発見されました」

 みっちゃん「そうですか・・・もう何年も前のことですけど、彼女のことだけは忘れられません」

 千早「仲がよかったんですね」

 みっちゃん「はい。学校の帰り道によく事故に遭ったり、クマに襲われたりして・・・いい思い出です」

 千早「クマ・・・・?」

 みっちゃん「当時、脱走兵だなんて言われてましたけど、私はそんなこと信じませんでした。彼女は逃げ出すような人じゃないんです」

 P「わかります。彼女のためにも、解決してみせます」


 ****

 オフィス

 春香「あ~、もう疲れた」

 千早「どうっしたのよ春香」

 春香「だってさ、501の記録を見せろって言ったら、あっちいってくれこっちいってくれって・・・もうね」

 P「60年も前の資料なんて、だれも探したがらないよな」

 春香「いま、美希が元上官で、彼女を501に引き入れた坂本美緒のところに行っています」

 P「良く生きてたな、もう80後半だろうに」

 春香「いまじゃ、日本を代表する刀職人ですよ」

  ***

とある山中

 美希「はぁはぁはぁ・・・ちょっとこんなの聞いてないの」

 美希「春香に騙された・・・・の」バタッ

 ?「ん、こんなところに人が倒れている」

 ??「助けてあげましょう、美緒」

 ?「お、そうだな。小屋まで連れていくとしよう」

   ***

 小屋

 美希「んぅ・・・・まだ眠いの・・・ムニャムニャ」

 ?「おい、お前起きないか」ユッサユッサ

 美希「ムニャムニャ・・・おにぎり・・・なの」

 ??「おにぎりあるわよー」

 美希「!?」ムクッ

 美希「おにぎり食べるの!・・・ってここどこ?」

 ?「ここは私の家だが」

 ??「坂本美緒って知らない?結構有名だと思うんだけど・・・」

 ?「まあ、こんな若い子は知らないだろ」

美希「あ!思い出したの。美希ね、事件の捜査に来たんだよ」

 ?「事件?なんのことだ」

 ??「あなた、刑事さんなの?」

 美希「そうだよ。765分署の星井美希っていうの」

 坂本「私は坂本美緒だ」

 ミーナ『私はミーナよ』

 坂本「その、事件っていうのはなんだ?」

 美希「1945年に501で起きた事件についてなの。今朝、宮藤芳佳さんが見つかったの」

坂本「宮藤か・・・そうか、あいつか」

 ミーナ「見つかったっていうのはその・・・」

 美希「死体だったって聞いたよ。なんでもドラム缶に詰められて元産業廃棄物処理場の空き地で見つかったって」

 坂本「殺されたってことか・・・」

 ミーナ「だから、元上官の私たちに話を聞きにきたのね」

 美希「うん。なにか、当時のことで覚えてることある?」

 坂本「そうだな・・・覚えているのは」

***
 
 1945 

 坂本『なに?宮藤が帰ってきていない?』

 ミーナ『そうなのよ、いま捜索班に頼んで探してもらってるわ』

 坂本『あいつが門限を守らないなんて・・・って珍しくもないか』

 ミーナ『規則違反が常習みたいないいかたね』

 坂本『どうせ、どこかで人助けでもしてるんだろ』

***

 美緒『あの時は、そうやって軽くとらえていた』

 美緒「まさか、あのまま帰ってこないだなんて」

 ミーナ「私たちも探したりしたけど、結局何もわからずじまい、残念だけど脱走ってことで上は判断したわ」

 美緒「だが、あいつは逃げ出すような奴じゃない。馬鹿だが、人のために動けるやつだ」

 美希「その人のために、何かあったかもって思わなかった?」

 美希「宮藤さんの周りでなにかトラブルはなかった?」

 ミーナ「私たちの中に犯人がいるってことかしら」

 美希「もしくは、ドラム缶とかを管理していた人」

 ミーナ「そういうのは大尉たちに任せていたわ」

 美希「名前は覚えてる?」

 美緒「全員覚えているさ、安否はわからんが」

***

 オフィス

 美希「春香!よくもだましたの!!」プンプン

 春香「私は言ったよ、山の中だって」

 美希「あんな秘境に住んでるだなんてきいてない!」

 P「まあまあ、んで美希は何かわかった?」

 美希「当時、廃棄物とかを担当してた上官のリストなの」つリスト

 千早「ふむふむ・・・みんななかなか長生きね」

 P「そりゃ、戦争みてきたんだからな」

 千早「私は、シャーロットのほうに会ってきます」

 P「春香を連れて行け、俺はバルクホルンのほうに行く」

 美希「みきは?」

 P「おまえはもう少し休んでろ、あとで音無さんに凶器の解析をラボに頼むように言ってくれ」

***
 
 バイクショップ

 シャーリー『いらっしゃい、女の子用のバイクも揃ってるよ』

 千早「今日は買いに来たんじゃないんです」

 春香「私たち765分署の刑事です」

 シャーリー「刑事?あたし、なんかしたかな」

 千早「1945年の宮藤芳佳さんのことについて」

 シャーリー「宮藤か・・・たしか、脱走だっけ。そんな奴には思えなかったけど」

 春香「今朝、遺体で見つかりました」

シャーリー「なん・・・だって!?」

 春香「彼女はドラム缶に詰められて、当時の産業廃棄物処理場に捨てられていました。」
 
 シャーリー「脱走じゃなくて殺されたのか・・・」

 千早「当時、廃棄物の処理はあなたが担当してたんですよね」

 シャーリー「そうだよ・・・でも、あたしはほとんど関わっちゃいなかったよ」

 シャーリー「そういうのは、全部バルクホルンに任せてたから」

 春香「失踪当日は、何してましたか?」

 シャーリー「今と同じだよ、バイクの整備。ルッキーニと一緒にね」

 春香「ルッキーニ元少尉は証言できる?」

 シャーリー「あいつなら、まだピンピンしてるよ。たまに会ったりするね」

 千早「少尉とはトラブルはあったかしら?」

 シャーリー「まさか、いたずら好きだったけど人の命を奪うようなまねはしないはずさ」

 千早「彼女以外にトラブルがありそうだった人はいましたか?」

 シャーリー「仲間のことを悪くは言いたくないけど、しいて言うならペリーヌかな。あいつとはしょっちゅうぶつかってた」

   ****

 食堂

 ペリーヌ『宮藤さん!』

 宮藤『ペリーヌさん、どうかしましたか』

 ペリーヌ『聞きましてよ、先回の休日にあなた少佐と町へ出かけたそうですわね』

 宮藤『うん、でもペリーヌさんも確か誘ったよね?』

 ペリーヌ『あの時は少佐のことなんて一切言ってませんでしたわ!!』

 宮藤『あ、ごめん・・・そうだったかも』

 シャーリー『ペリーヌ、そう怒るなって。宮藤も悪気があって伝えてなかったわけじゃないんだしさ、だろ?』

 宮藤『そうです・・・』

ペリーヌ『シャーリーさんは黙ってくださって ?』

 シャーリー『お、おう・・・・』

 ペリーヌ『いいこと、宮藤さん。同郷だからといってあまり調子に乗らないほうがいいですわよ。』

 宮藤『うん・・・・気を付ける』

 ペリーヌ『でなきゃ、痛い目見ますわよ』スタスタスタスタ

 シャーリー『いつになく、キレてんな・・・・』

***

 2013


 シャーリー『あいつは少佐にぞっこんだったから』

 千早「嫉妬してた?」

 シャーリー「そりゃ、しょっちゅう。でも、人は殺さない。私たちは仲間だったんだ」

 千早「そうだといいですね」

 シャーリー「あぁ・・・・・」

 春香(なんかふいんき悪・・・流れ変えなきゃ!)

 春香「あれ・・・この壁の写真って・・・」

 千早「壁?」

 シャーリー「ああ、それは私だよ。もう何百年も前になるけど」 
 
 千早「となりにいる、人も同僚ですか?」

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