櫻子「寂しくないもん」(125)

櫻子「ただいまーっ」

櫻子「って……皆旅行かなんかだっけ」

シーン...

櫻子「べ、べつに寂しいってわけじゃ……」

櫻子「……って」

向日葵「……」スー、スー

櫻子「向日葵!?」

向日葵「……ん」

櫻子「ちょ、ちょっとなんで向日葵がうちで寝てるの!」

ユサユサ

向日葵「……」ユラユラ

櫻子「……ぐっ」ムカッ

櫻子「おーきーろーっ!」

スパーンッ

向日葵「なにごとっ!?」ガバッ

櫻子「むう……」

向日葵「あぁ、櫻子……」

櫻子「あぁ、じゃねえ」

向日葵「何を膨れていますの?」

櫻子「ふんっ」フイッ

向日葵「……」キョト

櫻子「ていうかなんで向日葵が家にいんのさ」

向日葵「櫻子が誰もいない家で一人ピーピー泣いてるんじゃないかと思ったので」

櫻子「はあ!?」

向日葵「と言って来てみたらあなたのお姉様方がいれてくださいましたの」

櫻子「泣いてねえし!」

向日葵「どうだか」

櫻子「うっ」

向日葵「帰ってくるのが私より遅かったということは、寂しくてどこかに寄り道でも
    してたんでしょう?」

櫻子「し、してない……」

向日葵「口許」スッ

櫻子「うえっ!?」バッ

櫻子「い、いきなり触らないでよっ」

向日葵「……そんなに過剰反応しないでくださる?」

櫻子「しかたないじゃんいきなり触ってきた向日葵が悪い!」

向日葵「はあ……で、ついてますわよ、なんだか知らないけど」

櫻子「あ、あかりちゃんに貰ったチョコレート……!」

向日葵「そういえば教室で赤座さんにねだってもらってましたわね」

櫻子「美味しそうだったんだもん。あかりちゃん優しいから2つもくれた」

向日葵「聞いてませんわ」

櫻子「べつにこれ、帰り道公園に寄って一人で食べてたわけとかじゃないから!」

向日葵「だから聞いてないってば。だいたいの事情はわかりましたけど」

櫻子「あっ!」

向日葵「……」

櫻子「い、今のは無し!」

向日葵「聞いてしまったものは忘れられませんわ、おばかさん」

櫻子「おばかさんじゃねーし!」

向日葵「はいはい」

櫻子「それに寂しくなんてないんだから!」

向日葵「……」

櫻子「な、なにさ」

向日葵「……あら、そうでしたか」

櫻子「う、うん」

向日葵「ならお邪魔でしたわね、帰ることに」

ガシッ

櫻子「ちょ、ちょっと待って!」

向日葵「なんですの?」

櫻子「そういえば、昨日お母さんが焼いたケーキまだ残ってるんだけど、食べて行かない?」

向日葵「やっぱり寂しいんじゃ」

櫻子「ちげーし!毒見係で引き止めただけだし!」


向日葵「……本当に毒見係みたいですわね」

櫻子「だから言ったじゃん」

向日葵「これを食べろと」

櫻子「昨日作りすぎちゃったとか言いながらでっかいの作ってたんだけど、本当に
   大きいから食べ切れなかったんだよね。あとおまけに不味い」

向日葵「一夜明けたらもっと不味くなってるんじゃないかと、そう言いたいわけ?」

櫻子「わかってるならさっさと食べてみてよ!」バタバタッ

向日葵「その口にねじりこみますわよ」

櫻子「……」ピタッ

向日葵「もしかして、よっぽど不味いんじゃ……」

櫻子「うん、不味い来た向日葵が悪い」

向日葵「それなら帰り……」

櫻子「あー、だめだめだめ!帰っちゃだめ!」

向日葵「じゃあ櫻子が先に食べてみて」

櫻子「それだったら毒見係の意味ないじゃん」

向日葵「あらそう、それなら」

櫻子「わ、わかった!食べる!食べるから待って!」

向日葵「よっぽど寂し」

櫻子「寂しくないっ!」

向日葵「どうだか」

櫻子「寂しくないから食べる!」

向日葵「よくわかりませんけどどうぞ」

櫻子「はむっ」パクッ

櫻子「……」ハムハム

向日葵「どう……?」

櫻子「ん」ズイッ

向日葵「えっ」

櫻子「んっ」

向日葵「ちょ、ちょっと……は、む……」パクリ

向日葵「……」モグモグ

向日葵「表現しようもない味ですわね。お腹壊しそう」

櫻子「壊しちゃえ」

向日葵「帰りますわよ」

櫻子「だめ」

向日葵「素直に一緒にいたいって言えばいてあげるのに」

櫻子「だって別に寂しくないし」

向日葵「だから帰るって……」

櫻子「それはだめなの!」

向日葵「じゃあどうすればいいんですの」

櫻子「このケーキ全部食べるまで帰れま10」

向日葵「殺す気?」

櫻子「えー、向日葵は仕方無いなあ」

櫻子「……なら、晩御飯これ出すから、それまでは、いていい」

向日葵「……」

向日葵「……まあいてあげますけど」

櫻子「それでこそ私の下僕だ」

向日葵「誰が下僕ですの」

 /⌒⌒ヽ    /⌒⌒ヽ           
||」ハ」」キハ   ||」ハ」」キハ
ζリ ゚ヮ゚ノζ   ζリ ゚ヮ゚ノζ
 ( つ旦O     ( つ旦O  
 と_)_)     と_)_)

 /⌒⌒ヽ    /⌒⌒ヽ           
||」ハ」」キハ   ||」ハ」」キハ
ζリ ゚ヮ゚ノζ   ζリ ゚ヮ゚ノζ
 ( つ旦O     ( つ旦O  
 と_)_)     と_)_)

――櫻子の部屋

櫻子「とりあえずはい。入って」

向日葵「お邪魔します」

櫻子「片付けて無いけど」

向日葵「片付けなさいよ。ていうか想像以上に汚いですわね。前来たとき以上ですわ」

櫻子「あれ以来片付けてないって言ってるじゃん」

向日葵「尚更片付けなさいよ」

櫻子「面倒だもん。そのへん適当に座って」

向日葵「はあ……」

櫻子「あ、ベッドの下は覗いちゃだめだから!」

向日葵「覗きませんわよ」

櫻子「ならよし」

向日葵「なにかあるんですの?」

櫻子「えーっと、べつになにもないけど……」

向日葵「(何を隠してるのかしら……)」

櫻子「それより何する?」

向日葵「突然ですわね」

櫻子「うん」

向日葵「何をするって言われましても」

櫻子「お腹減った」

向日葵「さっきのケーキ食べてきなさいよ」

櫻子「やだー」

向日葵「なら自分で作ったら」

櫻子「つくれない」

向日葵「知りませんわよもう……」

櫻子「うぅー」バタンッ

向日葵「制服のままベッド寝転んだら皺つきますわよ」

櫻子「そういえば向日葵は制服じゃないね」

向日葵「一旦家へ帰ってから来たので」

櫻子「ちゃんとお泊りの用意持って来た?」

向日葵「……泊めてくださるの?」

櫻子「え?」

向日葵「あ」

櫻子「べつに、泊めるわけじゃないけど一応っていうか!」

向日葵「私も帰るつもりですけど、どうしても帰っちゃだめって喚くんじゃないかと
    思って持って来てあげましたわ、一応!」

櫻子「……ふーん」

向日葵「……」

櫻子「(……向日葵のやつ、もしかして泊めてほしいのかな?)」

向日葵「な、なにか?」

向日葵「(うぅ、思わず泊めてくださるのなんて言っちゃいましたわ……)」

櫻子「……」ジーッ

向日葵「……」

櫻子「……」ジーッ

向日葵「ちょ、ちょっと、櫻子……」

櫻子「制服着替えたいんだけど」

向日葵「あっ……え、えぇ」

櫻子「(……やっぱなんか変)」

櫻子「(……な気がする)」

向日葵「それじゃあ外で待ってるから」

櫻子「あ、いい!」

向日葵「いいって」

櫻子「だって向日葵だし」

向日葵「……は?」

櫻子「だから向日葵だしべつに見たっていいっていうか……」

向日葵「あの、櫻子……私にそんな覗きの趣味は」

櫻子「そ、そういう意味じゃないし!いいからここにいとけ!」

向日葵「……まあ櫻子がそう言うんでしたら」

櫻子「(向日葵が部屋出てったら10秒単位で声かけちゃいそうになるじゃん……)」

櫻子「後ろ向いといて」

向日葵「見ていいって言ったのはどこの誰かしら……」クルリ

櫻子「だからそういう意味でもなくって……」

向日葵「はいはい」

何度も抜けてすいません
少し退席します

遅くなりました、再開します

櫻子「こっち見んなよ」

向日葵「はいはい」

櫻子「はいはいばっかむかつく」ガサガサ

向日葵「じゃあなんて言えばいいんですの」

櫻子「それは知らん」パサ

向日葵「なら言わないでくださる?」

櫻子「言ってみたかっただけ」パサ、

向日葵「わけがわかりませんわ」

櫻子「私も」ポイッ

向日葵「ちょっと、ブラウスこちらに投げないでくれます?」クルッ

櫻子「……!」

向日葵「あ……」

キマシ

櫻子「み、見るなーっ!」

向日葵「……す、すみません」カアッ

櫻子「なんで向日葵が赤くなるのさ!こっちまで恥ずかしくなってくるじゃん!」カアッ

向日葵「し、知りませんわ!」

櫻子「うぅ!」

向日葵「それで、あの、櫻子……」

櫻子「なにっ!」

向日葵「……」

向日葵「……思ったよりも小さい、ですわね」ボソッ

櫻子「……」

櫻子「……うっさいおっぱい星人!」ポイッ

向日葵「だから制服投げないでって……」クルッ

櫻子「だからこっち見るなー!」

向日葵「あぁ、つい」

櫻子「どういう意味それ」

向日葵「口が滑りましたわ」

櫻子「むっかーっ!あとさっさと後ろ向け!」

向日葵「……あぁ」クルッ

櫻子「素でガン見!?」

向日葵「ていうかさっさと終わらせてくださるかしら!」

櫻子「あ、うん。今度こっち向いたら鉛筆投げる」

向日葵「どうして鉛筆……」

櫻子「ポケットに入ってたから」

向日葵「あぁ、そう」

ガサガサ

櫻子「ん、いいよ」

向日葵「はあ……ようやく」

櫻子「向日葵が見るのが悪い」

向日葵「見たくて見たわけじゃ……」

櫻子「ん?」

向日葵「櫻子、随分とラフな格好してますわね……」

櫻子「ラフ?」

向日葵「えぇ」

櫻子「家にいるときは楽な格好したほうがいい!変?」

向日葵「変ってわけじゃ……ないですけど」フイッ

櫻子「部屋着っていっても結構気に入ってるんだよねー、可愛いでしょ?」

向日葵「それはまあ……」

櫻子「へへーん!」

向日葵「けど私、部屋着だなんて絶対に家族の前でしか着れませんわ……」

櫻子「なんで?」

向日葵「櫻子みたいな可愛いのだったらいいですけど、やっぱり人には見せにくいじゃない」

櫻子「私向日葵なら余裕だ」

向日葵「実際着てますもんね」

櫻子「うん、向日葵になら変なとこ見られてもいいし」

向日葵「……」ドキッ

向日葵「む、むしろ変なとこしか見てませんわ」

櫻子「家族同然とまではいかないけど、向日葵が家にいても違和感ないし」

向日葵「櫻子……」

櫻子「……ハッ」

櫻子「やっぱ今のなし!」

向日葵「またですか」

向日葵「……まあいいですけど」

櫻子「とりあえずそういうことだし、うん……」

向日葵「……」モジモジ

櫻子「ていうか向日葵が服の話題出すのが悪い!」

向日葵「えっ」

櫻子「向日葵がなにも言わなかったら良かったんじゃん!」

向日葵「そんなの知りませんわよ!」

櫻子「お腹減った!」

向日葵「だから私は――って、はい?」

櫻子「お腹減ったお腹減ったお腹減った!」

向日葵「さっきのケーキ」

櫻子「やだ」

向日葵「じゃあどうしろと」

櫻子「作って」

向日葵「無理」

櫻子「作ってよー」

向日葵「自分で作ればいいでしょう」

櫻子「向日葵お客じゃん」

向日葵「だからむしろ櫻子が作る側なんじゃ」

櫻子「うちではお客が作るっていうルールがあるの」

向日葵「そんなの聞いたことありませんわ。だいたい、ケーキの前にも赤座さんに
    もらったチョコレート食べてたんじゃ」

櫻子「成長期なの!おっぱいもそのうちでかくなる!」

向日葵「……」

櫻子「そんな哀れそうな目で見るな!」

向日葵「はあ……何を作ればいいんですの?」

櫻子「作ってくれんの!?」

向日葵「櫻子がうるさいので仕方なく」

櫻子「なんでもいい!」

向日葵「えっ?」

櫻子「なんでもいいから早く作って!」

向日葵「あなたねぇ……」

櫻子「向日葵の料理食わせろ!」

向日葵「!」

向日葵「な、なんですのその言い方……」

櫻子「へ?」

櫻子「何か変なこと言った?」

向日葵「……なんでもありませんわ」

向日葵「(この子はたまに素でドキッとするようなこと言うんだから……)」

向日葵「(……ドキッなんてしてないけど)」

櫻子「ほーらー、はーやーくー!」

向日葵「うるさいですわね!なら櫻子も手伝いなさいな!」

櫻子「えー」


――台所

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「櫻子」

櫻子「お腹減った」

向日葵「えぇ」

櫻子「お腹減った」

向日葵「けど冷蔵庫、なにもありませんわ」

櫻子「お腹減った」ズーン

向日葵「ご飯なら炊けそうですけど」カパッ

櫻子「おかずがないなら食べれない!」

向日葵「塩なめときなさいよ」

櫻子「無理!」

向日葵「と、言われましても」

櫻子「なら買いに行こう」

向日葵「えっ」

櫻子「金ならない」

向日葵「それこそ無理じゃない」

今日はこれで限界ごめん
明日残ってたら続き書きます

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