櫻子「あかりちゃーん遊びに来たよー」あかり「いらっしゃーい」 (29)

櫻子「ごめんねーあかりちゃん、毎日毎日迷惑かけて」

あかり「ううん、あかりも楽しいから大丈夫だよ」

櫻子「そう? ならいいんだけど……あ、これはつまらない物ですがお土産です!」

あかり「あ、うすしお味! ありがとう櫻子ちゃん。後で一緒に食べようね」

櫻子「うん! それじゃあお邪魔しまーす」

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櫻子「やっぱり最初は宿題かー」

あかり「う、うん。でもほら、先に終わらせちゃえば後で好きなだけ遊べるよ?」

櫻子「好きなだけって言ってもあかりちゃんすぐに寝ちゃうからなー」

あかり「うう……そ、それじゃあ櫻子ちゃんが頑張って宿題終わらせてくれたら、あかりも頑張って夜更かしするよぉ!」

櫻子「おお、本当に!? じゃあ私も頑張って……頑張って……がんば……」



櫻子「あかり様、何卒お助けを……!」

あかり「あはは……ここはね櫻子ちゃん、この公式で……」

―――21時10分。


あかり「……」ウトウト

櫻子「それでさー、そこで主人公がやっと……あれ、あかりちゃん?」

あかり「……はっ。ご、ごめん櫻子ちゃん。ちょっとうとうとしちゃって」

櫻子「…………」

あかり「だ、大丈夫! もう目は覚めたから……」

櫻子「そっか。でも何か私眠たくなっちゃったからさぁ、もう寝ていいかな」

あかり「え? け、けど……」

櫻子「いいからいいから、ほら電気消すから布団入って」

あかり「……ふふ、ありがとう。やっぱり櫻子ちゃんは優しいね」



櫻子(……優しい、かぁ)

櫻子(私が優しく出来るのなんて、あかりちゃんだけだよ)

櫻子(よく寝てるなあ、あかりちゃん。普段お団子だから分かりにくいけど、髪の毛さらさらだ)ナデナデ

あかり「んん……」

櫻子「っと」パッ

あかり「……」スースー

櫻子(……何でだろう、あかりちゃんと二人でいると、すごく落ち着く)

櫻子(ごめんねあかりちゃん、最近ずっと二人だけで遊んでて。ちなつちゃんとかごらく部の先輩たちとも、きっともっと遊びたいよね)

櫻子(……寝よう)


向日葵「ちょっと櫻子、あなた宿題は……」

櫻子「ちゃんとやってきたよ、ほら」ポイ

向日葵「……確かに」

ちなつ「おお、最近櫻子ちゃん宿題忘れないね」

櫻子「はっはっは、当然当然」

あかり「……」ニコニコ

向日葵「……なるほど。櫻子、あなたまた赤座さんに教えてもらいましたわね?」

櫻子「うっ……」

あかり「あ、あれ?」

向日葵「全く。少しは赤座さんの迷惑というものを考えて……」

櫻子「わ、分かってるって」

向日葵「分かっていません。赤座さんの優しさに甘えてわがままばかり言っては……」

櫻子「な……うるさいっ! 分かってるって言ってるだろ馬鹿向日葵っ!」

ちなつ「」ビクッ

あかり「さ、櫻子ちゃん、向日葵ちゃん……」オロオロ

向日葵「ば……馬鹿!? 馬鹿はあなたでしょう馬鹿櫻子! 大体あなたが……!」

櫻子「……っ」ダッ

ちなつ「あ……」

あかり「櫻子ちゃん!」


櫻子「はあ」

櫻子(何でこうなっちゃうんだろう)


「櫻子ちゃん」


櫻子「あ……あかりちゃん」

あかり「えへへ……隣、座っていい?」

櫻子「……」コクリ

あかり「ありがとう、櫻子ちゃん。大丈夫?」

櫻子「うん……」

あかり「そっかぁ、良かった」


櫻子「あかりちゃんって、不思議だよね」

あかり「え?」

櫻子(二人で並んで座ってるだけなのに、何か落ち着く)

櫻子「……向日葵、何か言ってた?」

あかり「向日葵ちゃん、気にしてたよ。櫻子ちゃんに言い過ぎたって」

櫻子「そっかぁ。それじゃあ、私のほうから大人になってやるかな」

あかり「ふふ……そうだね、あかりもそれがいいと思うよ」

櫻子「へへ……ごめんねあかりちゃん、つき合わせちゃって。教室戻ろう」

あかり「うんっ」


向日葵「あ、櫻子……さっきはその……」

櫻子「いいよ向日葵。私こそごめん」

向日葵「私が……はい?」

櫻子「だからぁ、向日葵の言うことも間違ってないから怒鳴っちゃってごめんって」

向日葵「そ、そうですか……いえ、それでも私も言い過ぎましたので、謝ります」ペコリ

櫻子「仕方ないなー、それじゃあお互い様ってことにしてやるよ」

向日葵「何故いきなり偉そうに……」



ちなつ「おお……あの櫻子ちゃんがあんなに素直に」

あかり「ええ? 櫻子ちゃんは元から素直だよぉ」

ちなつ「まあ、向日葵ちゃん以外に対してはね」

あかり「?」


櫻子「今日は自分の家に帰るね」

あかり「櫻子ちゃん、あかりは……」

櫻子「いや、向日葵に言われたからじゃなくてさ。今日の夜は私が夕食当番なんだよ」

あかり「あ、そうなんだ。それじゃあ仕方ないねぇ」

櫻子「ってことで、私はもう帰ります! それじゃ!」ダダッ





あかり「今日は櫻子ちゃん来れないのかぁ」

あかり「最近いつも一緒にいたからちょっと寂しいなぁ」


櫻子「ぬー……今日の宿題も難しい」

櫻子「あかりちゃんにメールで……」パカッ

櫻子「……」



一週間ほど前


櫻子『うわあ!』バシャッ

あかり『ひゃあ!』

櫻子『ご、ごめんあかりちゃん! 転んじゃって……タ、タオル! いやないや……ハンカチ、ハンカチどこだっけ!?』ドタバタ

あかり『だ、大丈夫だよ櫻子ちゃん。ちょっとかかっただけだから』

櫻子『ごめんね……あかりちゃんごめんね……』グスッ

あかり『櫻子ちゃん?』

櫻子『何で私ってこうなのかな……いっつもあかりちゃんに迷惑かけて……』

あかり『櫻子ちゃん、あかりはそんなの気にしてないよ?』

櫻子『でも……』

あかり『泣かないで、櫻子ちゃん。ね?』

櫻子『あかりちゃん……えへへ、じゃあ私がお詫びに何かおごるよ! ジュースとかお菓子とか!』





櫻子(…………)

櫻子「やっぱもうちょっと一人で頑張るかー」


櫻子「一人で全部できたらあかりちゃん褒めてくれるかな……ふふっ。凄いよ櫻子ちゃーん……なんつって」カリカリ

櫻子「……勉強なんて大嫌いだったんだけどなー」カリカリ


櫻子(なのに、何でだろう。私が宿題やってこなかったら、あかりちゃんがどんな風に思うのかが怖い)

櫻子(あかりちゃんは優しいからきっと怒らない。ダメだよやってこなくちゃ、なんて優しく注意してくれるだけだと思う)

櫻子(あかりちゃんは、そのくらいのことで私のことを嫌わないってわかってるのに。なのに何で、何が怖いんだろう)

櫻子(何が私は嫌なんだろう……)カリカリ





『そっかぁ。櫻子ちゃん、宿題できなかったんだぁ』

『うん、分かるよ。あかりも難しくて、何回も解きなおしたから。櫻子ちゃんも頑張ったんだよね』

『きっと明日は大丈夫だよ! 櫻子ちゃんなら、きっと!』





櫻子「っ!」ガバッ

櫻子「は、はあっ、もう朝!? しゅ、宿題は……!」

櫻子「……お、終わってる……良かった」ホー

翌朝


櫻子「どーだ、向日葵」フフン

向日葵「はい? ああ、宿題ですか」

櫻子「そう! 誰にも頼らないで最後まで自分でやったぞ!」

向日葵「それが普通なんですが……」パラパラ

向日葵「…………まあ、今回の範囲は難しかったので復習まできちっとやることですわね」

櫻子「わかってるってー……あ、あかりちゃーん!」ダキッ

あかり「わっ、櫻子ちゃん!? お、おはよう」

櫻子「あかりちゃん聞いてよ、私ちゃんと宿題やってきたよ!」

あかり「本当!? すごいなー櫻子ちゃん、あかりは難しくてちゃんとできた自信ないよ……」

櫻子「そうなの? あかりちゃん、そういう時はちゃんと復習すれば大丈夫だよ」ドヤッ

あかり「ふふっ、そうだよね。ちゃんと復習して、櫻子ちゃんに追いつかなきゃ」ニコニコ

櫻子「うん!」

向日葵「櫻子、それはさっき私が……」

ちなつ「みんなおはよー……あれ? あかりちゃんも櫻子ちゃんも嬉しそうだけど、何かあったの?」

向日葵「……いえ、櫻子が一人で宿題をやってきただけですわ」

ちなつ「そうなの? 何かあかりちゃんも嬉しそうだけど……」

向日葵「そういえば確かに赤座さんの笑顔もいつもより……」



櫻子「それで机で寝ててさぁー」

あかり「櫻子ちゃん、すっごく頑張ったんだねぇ」ニコッ

櫻子「あ……」ドキッ

あかり「櫻子ちゃん?」

櫻子「い、いや、うん。まあちょっとは頑張ったね……ははは」

あかり「?」


櫻子(そっか……何となくわかった)


ちなつ「あー確かに難しかったねー」

あかり「ねー」


櫻子(私、あかりちゃんの信頼を裏切ることが怖かったんだ)


向日葵「応用というよりは意地の悪い問題でしたわね」

ちなつ「あんなのテストに出てきたら困るなぁ」


櫻子(あかりちゃん、ずっと私のこと信じてくれていたんだね。私が毎回宿題忘れても、今度はきっと頑張れるって……本気で信じてくれていたんだね)


櫻子(私自身だって、半分諦めかけてたのになぁ……)


櫻子「……ありがとね、あかりちゃん」

あかり「え? 何のこと?」


櫻子(だから、あんなに嬉しそうに笑ってくれたんだよね)

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